説明

ランニングマシンのカーブ実現装置

【課題】 ランニングマシンは、直線状の走行を行うだけで有り、カーブ走行は考慮されていない。走行訓練には、実路面と同じカーブと路面中央と路側面の傾斜のあるランニングマシンを必要とする。
【解決手段】実走路の走行距離に対応した位置情報と、その位置の路面中央と路側面の傾斜角度を収録し、ランニングマシンの走行距離と同期した位置の位置情報と傾斜角度により、ランニングマシンの水平回転角とランニングマシンの左右傾斜を与える事で、実走路を再現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランニングマシンで曲線走行を可能とするものである。
【背景技術】
【0002】
ランニングマシンはトレッドミルやルームランナーと呼ばれ、室内で走行が行えるものであるが、2本のローラにベルトを巻き付け、ベルト上を走行するため、床に固定された装置であり、直線的運動しか出来なかった。
【0003】
路上走行を行う場合、走路は曲線を含んでおり、かつ路面中央と路側面は傾斜を持っている。
【0004】
実走路のカーブデータを収録し、走行距離に応じてランニングマシンを水平回転する事で、実路のカーブが再現可能である。
【0005】
マラソンを行う場合の走行路で、自動車走行路を使用する場合、カーブ地点は、遠心力の問題から、路面中央が高く成っている。水平だけのランニングマシンでは、実路面の実現が行え無い。
【0006】
路面中央と路面側の傾斜は、実走路の傾斜データを収録し、現在位置に合わせて、ランニングマシンを左右に傾斜させる事で再現が可能である。
【0007】
水平回転と、左右傾斜により、傾いたカーブでの走行が再現可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許公開2009−189714
【特許文献2】特許公開2001−87416
【特許文献3】登録実用新案第3164376号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】腰部脊柱管狭窄症における間欠跛行の直線往復歩行,曲線往復歩行およびトレッドミル検査の臨床評価 (労災リハビリテーション宮城作業所、新小倉病院整形外科 小松哲郎、益本真太郎) http://www.jsomt.jp/journal/pdf/053010021.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
解決しようとする問題点は、走行距離とカーブの位置関係、及び走行距離と路面中央と路側面の傾斜関係のデータ収録とその実施方法である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
走行距離とカーブの位置関係は、GPSや地図からデータを収録する事が可能でり、走行距離と路面中央と路面側の傾斜関係は、実測によりデータを収録する事で行える。
【0012】
走行距離とカーブの位置関係の解決方法は、ランニングマシンの走者の乗る位置を中心に水平に回転する機構を設け、収録した直前の位置aと現在位置b及び次の位置cの3点の座標曲率半径rの、中心Oから現在位置bと次の位置cとの扇状の角度から求まる、角度データにより、ランニングマシンを必要角度回転させる事で、実路面と同じ状態を再現可能となる。
【0013】
走行距離と路面中央と路面側の傾斜関係の解決方法は、ランニングマシン全体を左右に傾斜させる機構を設け、水平回転する台上に乗せ、収録された走行距離と路面中央と路面側の傾斜関係のデータを元に、現在位置に対応する角度を傾斜させる事で再現可能となる。
【0014】
角度の回転スピードは、走者の現在の速度と、現在位置から次の位置迄の距離から到達時間を算出し、算出された時間で、回転を完了する様に制御する事で、スムーズな走行が行われる。
【0015】
回転量と左右傾斜角度の同期は、ランニングコースのデータ位置に合わせ持つ事で行える。データ書式を一定距離間隔で次の様に持つ事で可能である。
緯度、経度、左右傾斜角度
【0016】
フルマラソンの距離、42.195kmを1m間隔でデータを収録すると、42195点の座標値と傾斜角度を収録する事で可能となる。ハードディスク以外にも、フラッシュメモリ等の大容量記憶装置を使用する事で、記録が可能である。
【0017】
リムーバルな外部記憶装置を使用する事で、マラソンコースの変更が可能となる。
【0018】
本発明の使用に当たり、ランニングマシンの走行距離に応じた風景画像または現在位置を示すマーカーを持つ地図を表示する事で、走路の前方状態が把握出来、臨場感を得ると共に、直線走行かカーブ走行かの把握が行える事により、安全に使用出来る。
【発明の効果】
【0019】
ランニングマシンで道路傾斜を含めたカーブ走行を室内で実現出来る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】回転機構と傾斜機構とランニングマシーンを組み合わせた構成を側面から見た図である。
【図2】回転機構の構成例である。
【図3】傾斜機構の構成例である。
【図4】回転機構と傾斜機構とランニングマシーンを組み合わせた構成を図1の右側面から見た3態図である。上中下の3図の上の図は、右に傾斜した状態の図である。中間の図は、水平状態の図である。下の図は、左に傾斜した状態の図である。
【図5】本発明の機構の制御部分である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
実走路の走行距離に対応した位置情報と、その位置の路面中央と路面側の傾斜角度を収録したデータにより、ランニングマシンに水平回転角と左右傾斜を与える事で、実走路を再現した。
【実施例】
【0022】
発明実施の形態を、図1、図2、図3、図4及び図5を参照して説明する。
【0023】
図1は、回転機構を下段に、傾斜機構を中段に、ランニングマシーンを上段に組み込んだ全体い像である。
【0024】
図2は、回転機構部を説明した図である。上図が平面図で、下図が側面図である。
【0025】
1aの固定座板を、床上にボルトで固定して使用する。
【0026】
2のギヤードモータに、走行距離に応じた回転角度指示を与え回転させる。例としてギヤードモータを使用したが、与えた回転角度指示通りに動作するもので有れば、他の機構でもよい。
【0027】
3は、モータの回転軸で、4の回転板を取り付ける。
【0028】
4は、回転板で、4aは初期状態を示し、4bの2点鎖線は、回転した場合の予想図である。
【0029】
図3は、傾斜機構部を説明した図である。上図が平面図で、下図が側面図である。
【0030】
4dは、回転機構の回転板で、その上に傾斜機構を乗せて構成する。
【0031】
5aは、傾斜角入力により、傾斜をさせるジャッキである。例としてジャッキを使用したが、傾斜を発生させるもので有れば、ジャッキ以外でもよい。
【0032】
6a及び7は、固定点である。固定点を水平位置として、ジャッキ位置の固定点の上下位置移動により、左右の傾斜を発生する。
【0033】
8a、8eは、傾斜板で、固定点とジャッキとで、傾斜が作られる。
【0034】
図4は、図1の側面図を右から見た図である。
【0035】
上段の図は右に傾斜した場合、中段の図は水平状態の場合、下段の図は左に傾斜した場合の図である。
【0036】
図5は、本発明の機構の制御部分である。
【0037】
10は、ランニングマシンからの、走行距離の入力端子である。
【0038】
11は、CPU及び処理回路で、10の走行距離入力と12の左右傾斜角度データにより、11のCPUが回転角度と道路中央からの傾斜角度を算出して出力回路により、13から回転機構及び14から傾斜機構に出力する。
【0039】
12は、走行距離に対応した、カーブと傾斜データを記憶した外部メモリである。
【0040】
13は、回転機構への回転角度出力端子である。
【0041】
14は、傾斜機構への傾斜角度出力端子である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
特許公開2009−189714「走行距離に応じ傾斜角を上下するランニングマシン制御装置」に組み込む事で、箱根駅伝5区、6区の急な上り下り坂の急カーブの道路中央との傾斜が有る走路のトレーニングを、室内で行う事が可能となる。
【0043】
運動科学的に、カーブと路面の傾きによる左右の足にかかる負荷状態を、測定計器を装着した状態で計測可能となる。
【0044】
非特許文献にあるトレッドミル検査のおける床上で行っている曲線往復歩行を、トレッドミル上で行う事が可能となり、測定装置を装着した状態で検査が行える様になる。
【0045】
運動科学上のコーナリングの課題の解明有効である。
【0046】
リハビリテーションでの回復運動の解析に有効である。
【符号の説明】
【0047】
1 1a、1b 固定座板
2 回転用ギヤードモータ
3 回転軸
4 4a、4b、4c、4d 回転板
5 5a、5b、5c、5d 傾斜用ジャッキ
6 6a、6b、6c、6d 傾斜用固定点
7 傾斜用固定点
8 8a、8b、8c、8d、8e 傾斜板
9 9a、9b、9c、9d ランニングマシン
10 走行距離入力端子
11 CPU及び処理回路
12 カーブ、傾斜データ外部メモリ
13 回転出力端子
14 傾斜出力端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランニングマシンの走行距離に応じ、距離毎のカーブ回転角度をフィードバックする装置。
【請求項2】
ランニングマシンの走行距離に応じ、距離毎の路面中央からの左右傾斜角度をフィードバックする装置。
【請求項3】
ランニングマシンの走行距離に応じたカーブ角度及び路面中央からの左右傾斜角度情報を外部メモリとする事で、走行状態を自由に変更可能とする。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−102813(P2013−102813A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246527(P2011−246527)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(708000683)