ランプアセンブリ
少なくとも1つの光源と、第1の防湿性組成物で形成されたハウジングと、第2の防湿性組成物で形成された封止キャップとを備えるランプアセンブリである。前記少なくとも1つの光源は前記ハウジングの中に配設されており、前記封止キャップは前記ハウジングと前記少なくとも1つの光源とに密封接合されており、前記封止キャップは前記ハウジングと前記封止キャップとで画成された空間の中に前記少なくとも1つの光源を封入するように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広く一般的には、ソーベント(吸着材料)による防護機能を備えた物品に関し、詳しくは、樹脂材料から成る基礎材料中に吸着用添加材料を混合して調製した改良した射出成形用組成物、並びに、かかる射出成形用組成物により製造された製品に関し、更に詳しくは、樹脂結合ソーベント組成物から成る防湿性筐体を備えたランプアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より様々な状況下において、樹脂材料から成る母材中に乾燥剤材料などのソーベントを混入するということが行われている。この種の樹脂含有組成物は、適宜に賦形することによって、構造部品とすることも、また機能部品とすることもでき、その賦形のための様々な加工方法を記載した数々の特許出願が存在している。同様に、構造部品を製造するための成形用樹脂含有組成物に様々なフィラー(充填材料)を添加するということも行われている。無機材料などの低価格のフィラーを添加して、樹脂含有組成物の嵩増しをすることで、成形法によってその樹脂含有組成物で製造する物品の強度を用途に応じた十分な強度に維持しつつ、その樹脂含有組成物に配合する樹脂材料の量を減らすことができるため、コスト低減を図ることができる。また、ガラス繊維やガラスビーズなどの強化用添加材料を配合するということも広く行われている。これによって成形用樹脂含有組成物の機械的特性を向上させることができ、ここで機械的特性というのは例えば硬度、引張変位、等々の特性である。更に、これもよく知られているように、強化用添加材料に関しては、フィラーの場合と同様に、成形用樹脂含有組成物の射出成形特性及び機械的特性を好適に維持しつつ、目的とする樹脂含有組成物の嵩増しをするという効果や樹脂含有組成物で製造する物品の強度を増大させるという効果を達成することのできる、強化用添加材料の配合率の範囲というものが存在している。
【0003】
しかるに、強化用添加材料を配合した従来の成形用樹脂含有組成物は、ある種の用途には全く不適当であった。例えば、成形用樹脂含有組成物に、ガラス繊維やガラスビーズなどの強化用添加材料を高レベルの配合率で配合する場合には、そのことによって、その成形用樹脂含有組成物に適切な吸着特性を付与するために配合するソーベントなどの吸着用添加剤の配合率の上限が低下することになる。一方、強化用添加材料の配合率を減少させて、その分、ソーベントなどの吸着用添加剤の配合率を増大させると、それによって例えば、硬度、引張強度、等々の所要の機械的特性が低下するおそれがある。
【0004】
そのため、在来のレジン/ソーベント・マトリクス材料(樹脂材料から成る母材中にソーベントを分散させた材料)には数々の欠点が付随していた。即ち、その種の材料は往々にして、脆性が顕著であり、標準的な落下試験に耐え得るだけの十分な靱性を備えていなかった。更に、在来のレジン/ソーベント・マトリクス材料からは、粉粒状の欠片が剥落することがあった。このような剥落が発生すると、その材料で製造した部品の性能が低下し、或いは装置の機能が劣化するおそれがある。また、在来のレジン/ソーベント・マトリクス材料は、その材料構造のために吸湿速度がかなり速く、一般的な製造方法でその材料から部品を製造しようとする場合に、その吸湿速度が速すぎて不都合であることがあった。即ち、部品を製造する製造現場では必ずしも環境条件を適当に整えることができず、そのために、製造した部品を装置に組付ける前に、その部品の吸湿能力が消尽してしまうことがあった。また、在来のレジン/ソーベント・マトリクス材料は往々にして、その材料の製造コストも、その材料を用いることに関連したコストも、かなりの高コストになりがちであった。その原因は、特殊な樹脂材料を使用すること、付加的な処理工程を必要とすること、それに、複数の樹脂材料を混合して使用するためにそれら樹脂材料の間に相境界が形成されてしまうことなどであった。更に、在来のレジン/ソーベント・マトリクス材料には、通常、バインダー(結合剤)が使用されているが、そのバインダーの材質のために相溶性に関する問題が生じることもあった。
【0005】
周知のごとく、一般的にランプアセンブリ(照明灯アセンブリ)は、また特に自動車並びに船舶の分野で用いられているランプアセンブリは、様々な状況下において過酷な環境に曝されるものである。例えばトラクタトレーラは、そのトレーラ部分の車台の何箇所にもランプアセンブリが装備されている上に、更にそのトラクタ部分にもランプアセンブリが装備されている。荷物の運送のためにトラクタトレーラが使用される環境は、例えば高緯度地方の冬季寒冷環境から赤道地方の夏期高温多湿環境に至るまで、実に様々であるため、ランプアセンブリの使用環境の気温範囲並びに相対湿度範囲は極めて広い。一方、海洋関連用途として、例えば舷側標示灯として用いられる場合などでは、ランプアセンブリに塩水などの液体がかかるおそれがある。
【0006】
これら環境要因に加えて更に、ランプアセンブリは、強力な洗浄液に曝されることもある。例えば、トラクタトレーラのトラクタ部分を洗車する際には様々な洗浄液が使用されるが、トレーラ部分の洗車には、そのようなトラクタ部分の洗車に使用される洗浄液よりはるかに強力な洗浄液が使用されることがあり、それは、トレーラ部分に搭載される荷物のうちには、一旦付着したならば容易には落ちないようものもあるからである。同様に、ボートの船体を洗浄する際には、通常、例えばムラミン酸と水の50:50混合溶液などの酸性溶液が用いられるため、船舶のランプアセンブリもまた、激烈な溶液に曝されることがある。
【0007】
これらのことから理解されるように、ランプアセンブリの内部の電子部品は、その性能を劣化させ寿命を縮めかねない様々な環境条件に曝されている。例えば、ランプアセンブリのうちには、その光源として発光ダイオード(LED)を使用しているものがあるが、LEDをしかるべく機能させるためには駆動回路及び電気配線が必要である。上に述べた環境条件は、また特に、相対湿度が高レベルであるという環境条件は、ランプアセンブリの中への湿気の浸入を発生させることにより、ランプアセンブリの電子回路に悪影響を及ぼすものである。このランプアセンブリの中への湿気の浸入は、水分が熱可塑性樹脂で形成されているハウジングやレンズカバーに浸透することによって発生することもあり、また、配線ハーネスやコネクタの挿通部を通して発生することもある。この問題は、この種の用途に最も広く用いられている熱可塑性または熱硬化性の樹脂材料は防湿性に乏しいという事実によって、更に面倒なものとなっている。それら樹脂材料がこの種の用途に用いられている理由は、主として、それら樹脂材料が寸法安定性を有すること、ないしは、それら樹脂材料で製造した部品は互いに接合して組付けることが容易であるということにある。これまでは、ガスケットやシール材の形状に形成したエポキシ樹脂製の充填材やポッティング材を用いて、悪影響を及ぼす物質がランプアセンブリに浸入する速度を低下させるということが行われていた。そのため、電子回路が湿気に曝されないように防護することが重要であるものの、そのための在来の手段はいずれも、高コストで面倒な作業を必要とするものであった。
【0008】
その一例として、特許文献1(米国特許第5632551号公報−発明の名称:車両用LEDランプアセンブリ)には、回路基板の全面をエポキシ樹脂で覆ってランプアセンブリを密封することによって、LED及び回路基板を、振動、疲労破壊、湿気、等々から防護するということが教示されている。しかしながらこの種の構造は、製造コストが高く、製造に時間と手間がかかり、環境に悪影響を及ぼす材料を使用し、場合によっては、例えば通気機構などの特別な保護具の使用を必要とするものである。
【0009】
密封構造のランプアセンブリを提供することを目的とした、多種多様な機構及び方法が存在していることからも分かるように、ランプアセンブリの中への湿気の浸入を防止するという所要の目的を達成するために、これまでに多くの手段が案出されてきた。しかしながら、これまでは、性能とコストの兼ね合いを考慮しなければならなかった。それゆえ、湿気の浸入を防止することができ、コスト対効果に優れ、しかも製造の容易な、密封構造のランプアセンブリが長い間求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5632551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って本発明の主たる目的は、ランプアセンブリの中に収容された電子回路の近傍領域に防湿機能を付与することのできる、改良したランプアセンブリを提供することにある。このランプアセンブリは、以下に記載する樹脂結合ソーベント組成物で形成することにより、好適に製造することのできるものである。
【0012】
ある種の樹脂材料にある種のソーベントを配合して適切な処理を施すならば、そのソーベントが、その樹脂材料を強化しつつ、しかも同時にその本来の吸着能力を維持することができ、その結果としてその樹脂材料の防湿特性が強化されるということが判明した。更に、このようにして調製した樹脂含有組成物は、適切な処理を施すならば、多少の制約はあるにせよ、最新の高速射出成形法により部品を製造するための材料とすることができ、そのようにして製造した部品は多種多様な用途において十分に機能し得るものであるということも判明した。また更に、配合したソーベント材料は、その本来の吸着能力によって水分が樹脂材料の中へ浸透するのを防止することにより、樹脂材料として選択した熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂の防湿特性を強化するということも判明した。また更に、ソーベントの配合によって樹脂材料の物理的特性及び機械的特性が強化されるため、単独では成形用樹脂材料としての良好な特性を備えていない安価な熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂でも、それらにソーベントを配合することによって成形用材料として使用できるようになることも判明した。また更に、この樹脂含有組成物は、吸湿能力を備えていることから、みずからを乾燥状態に維持して成形用材料としての適性を維持することができ、そのため射出成形加工を実施する直前に乾燥処理を施す必要がなく、そのことによって加工に要する時間が短縮され、加工に要するコストが低減されるものである。
【0013】
またこれまで、樹脂材料にガラス繊維などの強化用添加材料を配合して機械的特性を向上させるということも広く行われている。更に、このような強化用添加材料に関しては、フィラーの場合と同様に、成形用樹脂含有組成物の射出成形特性及び機械的特性を好適に維持しつつ、目的とする樹脂含有組成物の嵩増しをするという効果や樹脂含有組成物で製造する物品の強度を増大させるという効果を達成することのできる、強化用添加材料の配合率の範囲というものが存在している。それゆえ、樹脂材料に粒子状の材料であるソーベントを添加することによって、通常の強化用添加材料を添加したときと同様に、その樹脂材料の引張弾性率及び曲げ弾性率などの機械的特性を増大させるということも、本発明の目的の1つである。
【0014】
様々な樹脂材料のうちには、例えばオレフィン樹脂のように、収縮率が非常に大きいために、形状に歪みが出易く寸法安定性にも乏しいことから、射出成形用樹脂材料として用いるのにはあまり適していないと考えられている樹脂材料がある。しかるに、オレフィン樹脂であっても、それにある種のソーベントを配合して適切に混練し、そのソーベントの全ての粒子が互いに分離するように十分に分散させるならば、それによって、オレフィン樹脂の収縮率を小さく抑えることができ、例えばポリアミド樹脂のように成形用樹脂材料として用いるのに適していると考えられている樹脂材料と同程度の収縮率にし得ることも判明した。そのようなソーベントと樹脂材料との適切な混練方法について述べることも、本発明の目的の1つである。
【0015】
以上の様々な事項を念頭に置いた上で、複数種類の成形用樹脂材料に様々な添加率でソーベントを添加した場合の特性について調査研究を行った。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、広く一般的に述べるならばランプアセンブリであって、このランプアセンブリは、少なくとも1つの光源と、第1の防湿性組成物で形成されたハウジングと、第2の防湿性組成物で形成された封止キャップとを備え、前記少なくとも1つの光源は前記ハウジングの中に配設されており、前記封止キャップは前記ハウジングと前記少なくとも1つの光源とに密封接合されており、前記封止キャップは前記ハウジングと該封止キャップとで画成された空間の中に前記少なくとも1つの光源を封入するように構成されていることを特徴とする。様々な実施の形態のうちには、前記第1の防湿性組成物が第1の樹脂材料と第1のソーベントとの混合物を含み、前記第2の防湿性組成物が第2の樹脂材料と第2のソーベントとの混合物を含むものがある。更に、その種の実施の形態のうちには、前記第1の樹脂材料及び/または前記第2の樹脂材料が熱可塑性樹脂材料であるものもあり、或いはまた、前記第1の樹脂材料及び/または前記第2の樹脂材料が、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、及びそれらの均質混合物から成る部類中から選択された樹脂材料であるものもあり、後者の実施の形態のうちには、前記ポリオレフィン樹脂が、高密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、及びポリプロピレン樹脂から成る部類中から選択された樹脂材料であるものもある。様々な実施の形態のうちには、前記第1のソーベント及び/または前記第2のソーベントが、分子篩材料、シリカゲル、イオン交換樹脂、活性アルミナ、粘土、塩類、ゼオライト、及びそれらの混合物から成る部類中から選択されたソーベントであるものもある。様々な実施の形態のうちには、前記封止キャップが、溶着法により、前記ハウジングと前記少なくとも1つの光源とに密封接合されているものもあり、或いはまた、前記封止キャップが、エポキシ接着剤またはその他の接着剤で接着することで、前記ハウジングと前記少なくとも1つの光源とに密封接合されているものもある。更に、その種の実施の形態のうちには、前記溶着法が、音波溶着法、超音波溶着法、スピン溶着法、熱板溶着法、及び振動溶着法から成る部類中から選択された溶着法であるものがある。また更に、様々な実施の形態のうちには、前記ハウジング及び前記少なくとも1つの光源を覆うように前記封止キャップを成形することによって、該封止キャップが、前記ハウジングと前記少なくとも1つの光源とに密封接合されているものがある。
【0017】
また別の様々な実施の形態のうちには、前記少なくとも1つの光源が少なくとも2つの電気的接続部を備え、前記ハウジングが前記少なくとも2つの電気的接続部が挿通される少なくとも2つの開口を備え、前記少なくとも2つの電気的接続部と前記少なくとも2つの開口とが第3の防湿性組成物によって密閉囲包されているものがある。様々な実施の形態のうちには、前記第3の防湿性組成物が第3の樹脂材料と第3のソーベントとの混合物を含むものがある。更に、その種の実施の形態のうちには、前記第3の樹脂材料が熱可塑性樹脂材料であるものもあり、或いはまた、前記第3の樹脂材料が、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、及びそれらの均質混合物から成る部類中から選択された樹脂材料であるものもあり、後者の実施の形態のうちには、前記ポリオレフィン樹脂が、高密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、及びポリプロピレン樹脂から成る部類中から選択された樹脂材料であるものがある。様々な実施の形態のうちには、前記第3のソーベントが、分子篩材料、シリカゲル、イオン交換樹脂、活性アルミナ、粘土、塩類、ゼオライト、及びそれらの混合物から成る部類中から選択されたソーベントであるものがある。様々な実施の形態のうちには、前記少なくとも2つの電気的接続部及び前記少なくとも2つの開口が、溶着法により、前記第3の防湿性組成物によって密閉囲包されているものもあり、或いはまた、前記少なくとも2つの電気的接続部及び前記少なくとも2つの開口が、エポキシ接着剤またはその他の接着剤で接着することで、前記第3の防湿性組成物によって密閉囲包されているものもある。更に、その種の実施の形態のうちには、前記溶着法が、音波溶着法、超音波溶着法、スピン溶着法、熱板溶着法、及び振動溶着法から成る部類中から選択された溶着法であるものがある。また更に、様々な実施の形態のうちには、前記少なくとも2つの電気的接続部及び前記少なくとも2つの開口が、該少なくとも2つの電気的接続部及び該少なくとも2つの開口を覆うように前記第3の防湿性組成物が成形されることで、前記第3の防湿性組成物によって密閉囲包されているものがある。
【0018】
本発明の目的は、低コストで容易に製造することのできるランプアセンブリを提供することにあり、この目的は本明細書の開示に従って射出成形用樹脂材料にソーベントを配合することにより達成され、その配合によれば、ソーベントの吸着機能が維持され、樹脂材料の成形特性が維持され、機械的特性が強化され、また更に、防湿特性が向上することにより、構造を複雑化する原因となるシール材、ガスケット、フィラー材、それにポッティング材などを使用することなく長寿命化が達成される。
【0019】
本発明に関して本明細書並びに特許請求の範囲の記載に使用する「樹脂結合ソーベント組成物」という用語は、樹脂材料の結晶性が消失してソーベントと樹脂材料とが界面融和性を持つようになり、それによって界面張力が低下した結果、ソーベントが樹脂材料で濡れ、ソーベントと樹脂材料とが相溶化した組成物をいう。この「樹脂結合ソーベント組成物」という表現には、ソーベントが樹脂で固められているという意味に加えて更に、樹脂材料とソーベントとが結合しているという意味も含まれており、両者の結合は、例えばソーベントと樹脂材料との混合物を加熱することで達成されることもあり、或いはまた、適当な、即ち支障を生じることのない、カップリング剤、界面活性剤、または相溶化剤を添加することによって達成されることもあり、これについては後に更に詳細に説明する。また、「レジン/ソーベント・マトリクス材料」という用語中の「レジン(樹脂材料)」とは、母材を形成している樹脂材料を指していうものであり、一方、「ソーベント」とは、支障を生じ得るような物質を実質的に吸収または吸着する特性を有する材料をいうものであって、この「ソーベント」自体が高分子あるいは樹脂の材料であることもあり得る。
【0020】
本発明の新規であると考えられる特徴、並びに、本発明に独特の特徴的な構成要素については、特許請求の範囲に明記した通りである。また添付図面は、具体例を提示することのみを目的としたものであって、必ずしも正確な縮尺図にはなっていない。ただし、添付図面と共に以下の詳細な説明を参照することによって、本発明を、その組成物と方法との両方に関して明瞭に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係るアキュムレータの端面図である。
【図2】本発明に係るアキュムレータの部分断面側面図である。
【図3】従来例に係る冷却システムに用いられている、フィルタ部材と、乾燥剤バッグと、アルミニウム製取付部材とを示した分解図である。
【図4】図3に示した部品の側面図である。
【図5】本発明に係る組成物を用いて製作された、フィルタ部材と取付部材とを一体化したワンピース部品を示した図である。
【図6】図5に示した部品を乾燥剤バッグと共に使用する場合の両者の組付方を示した図である。
【図7】図5に示した部品をコンデンサー(冷媒の凝縮器)の頂部に配設した実施の形態の断面図である。
【図8】本発明に従って製作された、自動車用の冷却システムのアキュムレータにおけるセパレータ(冷媒の気液分離器)のバッフル部分を示した図であり、これは自動車用エアコンディショニングシステムのレシーバー(冷媒の貯留容器)などに用いられるものである。
【図9】図8に示したセパレータのキャップ部材を示した図である。
【図10】本発明の1つの実施の形態の断面図である。
【図11】本発明に係るランプアセンブリの1つの実施の形態の斜視図である。
【図12】図11のランプアセンブリの分解図である。
【図13】図11のランプアセンブリの、図11の13−13線に略々沿った断面図である。
【図14】図11のランプアセンブリの、図11の14−14線に略々沿った断面図である。
【図15】本発明のランプアセンブリの別の実施の形態の断面図である。
【図16】本発明のランプアセンブリの更に別の実施の形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
当業者には周知のごとく、「流体」という用語の定義は、物質の集合体であってその分子どうしが互いに相対的に流動可能であり、その流動に制約がなく、その流動によってその集合体に裂面を発生しないものをいう。「流体」という用語により叙述される物質のうちには、例えば液体、気体、それに蒸気などが含まれる。更に、本明細書において使用する「CO2放出性アニオンの塩」という用語は、炭酸よりも酸性度の強い酸と接触することによりCO2蒸気を発生する任意の塩をいうものであり、これに該当する塩には、例えば炭酸塩類や、重炭酸塩類などがある。また、本明細書においては、水蒸気が高密度ポリ塩化ビニリデンに浸透するのと同程度の小さな浸透性をもって不浸透性といい、一方、水蒸気が水膨潤性水不溶性のヒドロキシセルロースに浸透するのと同程度の大きな浸透性をもって実質的な浸透性という。本明細書で使用する「水膨潤性水不溶性ヒドロキシセルロース」という用語は、ヒドロキシ置換したセルロースであって、そのヒドロキシ置換のレベルが、15%までの水膨潤を可能とする程度に高く、水不溶性とし得る程度に低いものをいう。本明細書において使用する「蒸気浸透速度」という用語は、先に言及した浸透の速度をいうものであり、水以外の物質の蒸気即ち気体に関しては、この速度は高密度ポリ塩化ビニリデンないし水膨潤性水不溶性ヒドロキシセルロースの実際の浸透性の程度には影響されない。また、本明細書において使用する「浸透性」ないし「不浸透性」という用語は、材料を透過する流体が輸送され易いか否かをいうものであり、その輸送が、流体が材料の細孔を通過することによるものか、それとも流体が分子レベルで材料を通過するものであるかを問わない。
【0023】
ソーベントを樹脂材料に配合して、また特に、成形用樹脂材料に配合して、その配合したソーベントの吸着能力がそのまま維持され、且つ、その樹脂材料の成形特性が維持されて機械的特性の劣化が生じないようにするならば、それによってコスト並びに生産性の点で非常に望ましい組成物が得られる。のみならず、瞠目すべきことに、本発明に係る新規な成形用組成物、並びに、同組成物により製造された物品は、多機能性を有しており、即ち、構造材料ないし構造部材としての特性と、機械的特性と、吸着特性とを兼ね備えており、しかも、通常用いられている強化用添加材料を必ずしも必要としない。そのため、本発明に係る新規な成形用組成物は、強化用添加材料を配合しないものとすることも可能であり、そうした場合には、在来のソーベント含有成形用組成物と比べて、ソーベントの配合率をより高くすることができ、従ってより大きな吸湿能力を備えたものとすることができる。
【0024】
また、本発明に関連した思いがけない発見の1つとして、この「樹脂結合ソーベント組成物」の形態の成形用組成物に配合されたソーベントは、その吸湿能力を維持すると同時に、本発明の成形用組成物に対して強化作用も提供するという有益な効果をもたらしており、そのため、例えばガラスビーズやガラス繊維などの一般的に使用されている強化用添加材料を必要としないということがあった。その結果として、吸着用添加材料であるソーベントの配合率を高めることが可能となっており、更にそれによって、成形用組成物の機械的特性が大きく変化しないようにとの配慮をすることなく、成形用組成物の吸着特性を向上させることが可能となっている。
【0025】
本発明に関連した最も重要な発見といえるのは、樹脂材料に吸着用添加材料であるソーベントを配合して成る成形用組成物の機械的特性は、通常は必要とされるガラスビーズやガラス繊維などの強化用添加材料の添加を必要としないほど優れた機械的特性となし得ることであるが、ただし本発明に包含されるところの、樹脂材料にソーベントを配合して成る多機能性の成形用組成物には種々様々なものがあり、それら成形用組成物のうちには、吸湿能力及び機械的性能を強化するのに十分な量の吸着材料を配合すると共に、強化用添加材料をも併せて樹脂材料に配合して成る成形用組成物も含まれる。即ち、本発明が提供する成形用組成物のうちには、脱湿材料を配合することによってガラス繊維やガラスビーズなどの強化用添加材料の添加量を低減した成形用組成物も含まれる。このような配合とすることによって、成形法を用いて製造する物品の強度特性を劣化させるおそれなしに、成形用組成物の機械的特性を向上させることができる。更に具体的に述べるならば、ソーベント、強化用添加材料、及び樹脂材料の配合率の範囲は、ソーベントが約5〜約50重量%、強化用添加材料が約0〜約15重量%、そして樹脂材料が約45〜約95重量%とするとよい。更に、その成形用組成物を、発泡剤を配合したレジン/ソーベント・マトリクス材料とすれば、それによって、構造健全性を維持しつつ材料密度を約30%低減できることも判明した。
【0026】
本発明に関連した更なる発見として、本発明に係る樹脂含有組成物は、多少の制約はあるものの、様々な加工処理方法及び賦形方法を用いて加工処理及び賦形を施すことが可能であり、それら方法のうちには、例えば最新の高速射出成形法なども含まれ、それら方法によって完璧な機能を有する機能部品を製造することができ、例えば、様々な種類の密閉構造の装置やアセンブリの構成部品などを製造するという用途に用い得るものである。また、その種の用途に用いた場合には、本発明に係る樹脂含有組成物は、その構造材料としての特性並びに機能材料としての特性を発揮すると同時に、環境中の湿気やその装置ないしアセンブリに浸入した湿気を吸着し、それによって、その装置ないしアセンブリの構成部品のうち、湿気の影響を受けたならば例えば加水分解や腐食などを生じて劣化するおそれのある構成部品を防護することができる。
【0027】
以上の説明から明らかなように、本発明に係る樹脂含有組成物は、強化された材料であり、構造材料として用いることができ、しかも、射出成形用組成物として用いるのに適した材料であり、しかも、優れた機械的特性と、十分な溶融取扱容易性と、大きな吸湿能力とを備えた材料である。この樹脂含有組成物は、ソーベントを樹脂材料で結合して成る樹脂結合ソーベント組成物であり、その結合のための樹脂材料としては、殆どの熱可塑性樹脂材料を好適に用いることができ、そのような熱可塑性樹脂のうちには様々なホモポリマー類も含まれ、2種類以上のモノマーから成る様々なコポリマー類も含まれる。その代表例を挙げるならば、例えば、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン610、等々のポリアミド類がある。また、その他にも様々なものがあり、その幾つかを代表例として挙げるならば、例えば、高密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン類や、エチレンと酢酸ビニルとから成るコポリマー類、ポリスチレン樹脂、それに、PETなどのポリエステル樹脂がある。
【0028】
上でも言及したように、本発明の1つの局面によれば、本発明に係る組成物は、約5〜約55重量%のソーベントと残余の樹脂とから成る組成物とすることができ、より好ましくは、約25〜約45重量%のソーベントと残余の樹脂とから成る組成物とすることができる。更に好ましい組成物は、約35〜約42重量%の分子篩材料などのソーベントと残余の樹脂とから成る組成物である。特に好ましい組成物であるところの樹脂結合ソーベント組成物は、約60%のナイロン成形用樹脂材料(例えば、E.I.デュポン社が販売している「Zytel(登録商標)101」など)と、40%の分子篩材料(例えば、W.R.グレース社の「4A分子篩パウダー」など)とから成るものである。本発明に使用する分子篩材料は、例えば、その公称細孔サイズが4オングストロームで、その粒径範囲が約0.4〜約32μmのものなどである。ただし、これ以外の大きさの細孔サイズの分子篩材料を用いることも可能であり、例えば、細孔サイズが3オングストローム、5オングストローム、或いは10オングストロームの分子篩を用いるようにしてもよい。
【0029】
多くの場合、本発明に用いるのに適した所要の機能を備えたソーベントは、例えば前述の分子篩材料のように、特別の添加剤を添加せずとも樹脂材料に機械的に結合することのできるソーベントである。ただし、本発明に用いるソーベントは、必ずしもそのようなものだけに限られず、例えばカップリング材や相溶化剤などの適当な添加剤を添加することによって樹脂材料に結合させることのできるソーベントも用いることができる。従って、本発明に用いるのに適したソーベントの代表例を挙げるならば、分子篩材料の他に更に、シリカゲル、活性炭、活性アルミナ、粘土、その他の天然ゼオライト類、それにそれらの混合物なども挙げることができる。また、それらのうち、カップリング剤または相溶化剤と共に用いるのが適当であることが判明しているソーベントは、活性炭や活性アルミナなどである。
【0030】
相溶化剤としての役割を果たす添加剤には様々なものがあるが、それらは2つの種類に分類される。それら分類の一方は樹脂材料またはソーベントと結合する相溶化剤であり、他方は樹脂材料とソーベントとの双方に対して親和性を有するために固体界面活性剤として機能する相溶化剤である。また、反応性カップリング剤としては、例えばマレイン酸系化合物、エポキシ系化合物、それにシラン系化合物などがある。より具体的に、反応性カップリング剤の代表例を挙げるならば、例えばマレイン酸無水物をグラフトしたポリマー類などがあり、この種のポリマー類を反応性カップリング剤として用いる場合には、その配合料を約2〜約5重量%とすればよい。また、この種のポリマー類の具体的な代表例を挙げるならば、例えばマレイン酸無水物をポリプロピレンまたはABS樹脂にグラフトしたものがあり、特に、それをABS樹脂にグラフトしたものは、ソーベントをポリスチレン樹脂に結合させるためのカップリング剤として用いるのに適している。同様に、シラン系化合物に様々な機能基を結合したカップリング剤も好適に用いることができる。
【0031】
本発明のうちには、いわゆる非反応性相溶化剤を用いてソーベントと樹脂材料とを結合した組成物も含まれる。非反応性相溶化剤の代表例としては、金属類(例えば亜鉛やナトリウムなど)、アクリル酸化合物、ステアリン酸化合物、様々なブロックコポリマー類などが挙げられ、より具体的には、例えばステアリン酸亜鉛やステアリン酸ナトリウムなどをソーベントの量に対して約0.01〜約0.02重量%の添加率で添加するようにしてもよい。実際の添加率はソーベントの表面積に影響され、ソーベントの表面積はその粒子サイズに応じた大きさとなる。例えば、ソーベントとして平均粒子サイズが10μmの分子篩材料を用いてポリアミド樹脂を相溶化するための相溶化剤としてステアリン酸アルミニウムを用いる場合には、通常、その相溶化剤の添加率の開始値を100ppmとすればよい。反応性のものであれ非反応性のものであれ、カップリング剤または相溶化剤を樹脂母材中に添加することによって、相境界の形成を防止することができる。
【0032】
以上に説明した樹脂結合ソーベント組成物を本発明に従って調製する際には、当業者には周知の様々なプラスチック混練技法を用いることができる。好適なソーベントである分子篩材料を、例えばポリアミド樹脂やポリオレフィン樹脂などの選択した樹脂材料に混入するには、例えばパウダー状のソーベントと、その選択した樹脂材料のビーズとを、混練性能に優れたプラスチック押出機に供給する。樹脂材料とソーベントとの混練は、単軸押出機(シングルスクリュー押出機)でも十分に行える場合もあるが、一般的には、好適な樹脂結合ソーベント組成物を製造するためには、樹脂材料とソーベントとを混合した混合物に対して二軸混練を施す必要がある。また、二軸混練を施した場合でも、その混練後に相分離を発生することがあり得る。これまでに判明しているところによれば、ソーベントを略々完全に分散させるためには、そして、本発明の目的のうちの1つである優れた機械的特性及び物理的特性を備えた組成物を得るという目的を達成するためには、樹脂結合ソーベント組成物を製造する際の混練を、二軸押出機(ツインスクリュー押出機)を用いて、しかも大きなバックミキシングが発生するようにして行う必要がある。即ち、二軸押出機を用いて調製した樹脂結合ソーベント組成物は、その樹脂母材中でソーベントのマイグレーションが殆どまたは全く発生しないため、外観的均一性を有する樹脂結合ソーベント組成物が得られる。従って、本発明の樹脂結合ソーベント組成物を調製する際には、一般的に、二軸押出機を用いて混練を行うことによって、溶融状態の樹脂材料の全域にソーベントが混合される。尚、この混合物については、それを樹脂材料の融点以上の温度になるまで加熱して溶融状態とすることが必須要件であり、この混合物の温度は、DSC(示差走査熱量計)を用いて計測するとよい。従って、本発明の樹脂結合ソーベント組成物を調製する際には、樹脂材料の結晶性が完全に消失して樹脂材料中にソーベントが完全に混和するようになる温度にまで加熱すべきである。例えば、樹脂材料としてデュポン社の「Zytel(登録商標)101」ポリアミド樹脂を使用する場合であれば、262℃以上の温度にまで加熱するようにする。続いて、こうして樹脂材料が溶融した混合物を押出機から押出して冷却し、更に切断または破砕することによって、ペレットなどの粒状体とする。このように、混練が高温下で行われるため、以上に説明した処理工程の期間中にソーベントは湿気を吸着しない傾向があるが、そのため、成形法によってこの樹脂結合ソーベント組成物で部品が製造され、その部品が実地環境中に装備されるとき、ソーベントは吸着能力を保持している。
【0033】
本発明の樹脂結合ソーベント組成物を用いることで得られる更なる利点として、この樹脂結合ソーベント組成物では樹脂材料とソーベントとが緊密に結合するため、袋詰めした吸着材料を使用する吸着方式と比べて1グラムあたりの吸着能力が大きく、ひいては、単位体積あたりの吸着能力に優れているということがある。袋詰めしたソーベントを使用する従来方式では、例えば、冷媒に混入している水分を除去するために冷媒の流れの中に浸すソーベントが、その冷媒の流れに乗って袋から流れ出ることがないように、ソーベントをビーズ状にしておく必要がある。そして、そのためには、ソーベントに例えばパウダー状のバインダー樹脂を混合して、ソーベントをバインダー樹脂で固める必要があり、そのバインダー樹脂の通常の配合率はソーベントに対して15重量%である。従って、市販されている既製のビーズ状のソーベントを使用し、それを袋の中に40グラム詰める場合には、実際に装置に組込むことのできるソーベントの量は34グラムだけとなる(残りの6グラムはバインダー樹脂である)。これに対して、本発明の樹脂結合ソーベント組成物では、部品を形成する成形用樹脂含有組成物の中に直接的にソーベントを混入するため、余分なバインダー樹脂を必要としない。従って、本発明によれば、介在物であるバインダー樹脂を必要としないため、その分、袋詰めしたソーベントを使用する従来方式と比べて、ソーベントの配合率を高くすることできるという利点が得られる。
【0034】
以上に説明したように、樹脂材料にソーベントを添加して混練した本発明の混合物は、これを押出機から押出してシート状またはフィルム状にしてもよく、或いは、これを押出機から射出成形機へ供給して射出成形法により部品を製造するようにしてもよい。このようにして製造する部品の一例としては、例えば、自動車用エアコンディショニングシステムのレシーバー(冷媒の貯留容器)に組込まれるセパレータ(冷媒気液分離器)などがある。樹脂材料にケイ素系の材料を添加して強化した樹脂含有組成物の材料強度は、構造部材として機能し得る十分な頑健性を備えた成形部品の製造材料とするのに十分な強度である。そのため、かかる材料で製造した部品は、自立型の部品とすることができ、それゆえ冷却機構の金属製ないしプラスチック製の部品の現状の取付方式と同じ方式で取付けることができる。これに関しては、例えば図1及び図2を参照されたい。それらの図は、U字形チューブアセンブリ100の端面図及び部分断面側面図である。この実施の形態では、本発明の樹脂結合ソーベント組成物を用いて、ライナー即ちスリーブ110を形成したものであって、アキュムレータ容器130の中にU字形チューブ120が収容されている。この構成は、冷媒に接触するライナー110の内面をもって、脱湿手段としたものである。また、この実施の形態は、従来の「バッフル型」アキュムレータ(不図示)をこれに置き換えて使用することのできるものである。
【0035】
本発明に従って調製した樹脂含有組成物は、それを溶融状態のままで射出成形機へ供給して、射出成形法によりソーベントとしての機能を有する部品を成形するばかりでなく、それを一旦硬化させ、破砕するなどしてペレットとし、そのペレットを焼結することで、部品を成形することも可能である。この方法で成形する部品には、例えば空気を通過させることのできるワンピース部品である貫流型ドライヤー部品などがあり、そのような部品は、例えば、ハード・ディスク・ドライブ装置の電子回路の冷却用空気を濾過するフィルタ部材などとして用いられる。この場合、その部品は、射出成形法により成形されるのではないが、樹脂材料にソーベントを添加した混合物を混練した組成物により、型を用いて成形され、それによって、目的とする用途に適合した十分な空孔率を有する機能部品が製造され、この方法によれば、例えばレシーバー・ドライヤー・アセンブリ(冷媒の貯留容器と冷媒から水分を除去する脱湿器とが一体化されたアセンブリ)の部品などを製造することができる。
【0036】
本発明に係る樹脂結合ソーベント組成物より製造される部品は、特に、これまで複数の部品構成要素を組合せることで製造されていた部品の代替とするのに適したものである。例えば、冷却システムを構成している様々な構成部品に脱湿材料(ばら材料であった)を装備するための構造として、これまでに数多くの特別な構造が案出されている。例えば、ビーズ状または粒体状にした分子篩材料や酸化アルミニウム材料を、溶着または縫製により製作した袋に詰め、その袋を流路中に配設するようにした構造があった。また更に、特に固定設置型の冷却システムに用いる構造として、ビーズ状または粒体状の脱湿材料に適当な熱硬化性樹脂系バインダーまたはセラミック系バインダーを配合し、それを成形型の中で加熱して固めることにより、固形部品を製造するということも行われていた。こうして製造された固形部品は、例えば、脱湿材料ブロックとして用いられ、或いは、部分濾過フィルタ部材として用いられていた。また、それらの部品を用いる構造は、ハウジングの内部に構築されていた。しかしながら、この方式に用いられる部品は、複数の部品構成要素を組合せて構成される複雑な部品となっていた。これに対して、本発明は、脱湿材料の脱湿機能と部品に要求される構造材料としての機能とを結びつけて、それら両方の機能をワンピース構造の装置が提供できるようにするものである。
【0037】
例えば、本発明の具体的な用途のうちの1つに、自動車用エアコンディショニングシステムの冷却サイクルにおける、レシーバー(冷媒の貯留容器)と、ドライヤー(冷媒から水分を除去する脱湿器)と、コンデンサー(冷媒の凝縮器)とを統合した統合型装置を製造するための材料として用いるという用途があり、このような統合型装置は、近年ますます多くの自動車に採用されるようになってきている。自動車の冷却サイクルの構成要素であるこのような統合型装置においては、通常、コンデンサーに除湿機能を組込むようにしており、それは以下の理由によるものである。先ず、そうすることによって、冷却システムの構成部品の部品数が低減されるため、自動車のボンネット内の空間を効率的に利用できるようになる。また部品数の低減に伴って、取付具の個数、並びに、連結部の箇所数も減少するため、冷却システムに漏出が発生するおそれが低下する。更に、冷却効率に関する性能向上という効果も得られる。図3及び図4は、従来構造のシステムを示した図であり、この従来構造のシステムは、ネジ部が形成されたアルミニウム製のプラグ部材300と、Oリング305、306と、射出成形法により製作されたフィルタ部材310と、その中に脱湿材料を詰めるための脱湿材料バッグ320とを備えている。この従来構造のシステムを、射出成形法により成形された、プラグ部材とフィルタ部材とを一体化したアセンブリに代えるならば、例えば図5に示したように、ワンピース構造のプラグ/フィルタ部材500と、Oリング510とに代えることができる。また、そうした場合に、図6に示したように、そのプラグ/フィルタ部材500に脱湿材料バッグ600を取付けるようにしてもよい。図7は組付けを完了した装置の部分断面図である。
【0038】
更に詳しく説明すると、図7に示したように、装置700はコンデンサー710に隣接した位置に配設されている。装置700は脱湿材料バッグ720を備えており、この脱湿材料バッグ720はレシーバー・ドライヤー・チューブ730の中に収容されている。装置700は、その一端にフィルタ・チューブ740を備えており、このフィルタ・チューブ740の中に、プラグ部材とフィルタ部材とを一体化した部材であるネジ部付きプラグ/フィルタ部材750が収容されている。参照番号705で示したのはOリングである。プラグ/フィルタ部材750には、その連結部760に脱湿材料バッグ720が連結されている。この構造とすることによって、個々の部品同士を組付ける工程を不要化することができ、上で説明したアルミニウム製のネジ部を有するプラグ部材を使用する構造と比べて、部品構成要素の個数を減じることができる。
【0039】
本発明を用いた更に別の実施の形態を図8に示した。同図に示したのは自動車用の冷却システムのアキュムレータのアッパー部材800である。このアッパー部材800は、自動車用エアコンディショニングシステムのレシーバーに組込まれているセパレータ(冷媒の気液分離器)に取付けられる部材である。図8から明らかなように、アキュムレータのアッパー部材800の中にJ字形チューブ810が収容されており、このJ字形チューブ810はアキュムレータのアッパー部材800に取付けられている。この実施の形態ではアキュムレータのアッパー部材800とJ字形チューブ810との一方または両方を、成形法によって、本発明の樹脂結合ソーベント組成物で成形するものである。図9に示したのはアキュムレータのアッパー部材800の上にかぶせるキャップ900である。このようなアキュムレータ装置の好適な実施の形態では、アッパー部材800とキャップ900との両方を射出成形法により成形した後に、それらを互いに溶着するようにしてもよく、或いは、それらの半体を射出ブロー成形法により成形するようにしてもよい。また、このアッパー部材800がロアー部材(不図示)に組付けられることでアキュムレータが完成するが、そのロアー部材も、成形法により、本発明の樹脂結合ソーベント組成物で成形するとよい。
【実施例】
【0040】
本発明に係る樹脂結合ソーベント組成物の利点を明らかにするために、実験的に幾つかの実施例を製造した。それら実施例は以下の通りである。
【0041】
(実施例1)
試験試料とする樹脂結合ソーベント組成物を、特許請求の範囲に記載した発明に従って以下の作業手順により調製した。樹脂材料は、ペレット状のものを販売者から購入した。最も一般的なペレットは円筒形ペレットであり、その寸法は、直径が0.03〜0.12インチ(約0.8〜約3.0mm)であり、長さが0.06〜0.25インチ(約1.5〜約6.3mm)である。また、円筒形以外のものとしては涙滴形ペレットがあり、その寸法は、0.06〜0.19インチ(約1.5〜約4.8mm)である。樹脂材料に対する分子篩材料の配合率は、両者の重量比で表すようにした。樹脂材料と分子篩材料とをポリ袋の中に入れ、手作業で予備混合した(5〜15分間)。その予備混合した混合物を、ブラベンダー社製の単軸押出機のホッパーに投入した。この押出機のスクリューの作用により、樹脂材料と分子篩材料とはこの押出機のバレルの中を移動しながら更に混合され、溶融状態となった。こうして得られた樹脂結合ソーベント組成物を、押出機の末端部のシングルストランドダイ(円形の吐出孔が1個だけ形成されたダイ)から吐出させて、溶融状態の樹脂結合ソーベント組成物の1本のストランドを形成した。使用した樹脂材料はナイロン樹脂であり、このナイロン樹脂を溶融させるために262℃以上に加熱した。続いて、その溶融状態のストランドを空気中で放置して冷却した。冷却後にそのストランドを破砕して細片とした。その細片を射出成形機のホッパーに投入し、射出成形法により部品を成形した。製作した部品を破砕して細片とし、その細片を再び射出成形機に投入し、射出成形法により材料試験のための引張試験片(ドッグボーン形試験片)を形成した。尚、この実施例では単軸押出機を使用したが、上述のように、二軸押出機を用いて樹脂材料とソーベントとを混練するようにしてもよく、そのようにしたものも特許請求の範囲に記載した本発明の概念及び範囲に包含される。
【0042】
ここで選択した樹脂材料は、最近のエアコンディショニングシステムに用いられている冷媒(例えば「R−134a」、「R−152a」など)に接触しても支障を生じないことが判明している樹脂材料である。また、この樹脂材料は更に、流れている冷媒に混入するコンプレッサ用潤滑剤に接触しても支障を生じない樹脂材料である。乾燥剤として用いるソーベントには、在来のシステムに最も広く使用されているもの(例えば「3A分子篩」、「4A分子篩」など)と略々同じ特性のものを使用した。
【0043】
比較のために、強化用添加材料として広く用いられているガラスビーズを、この実施例のソーベントの配合率と略々同じ配合率で樹脂材料に配合した組成物を調製した。凝固時の収縮量を抑制し、また組成物の全領域において一様に機械的特性を向上させるために、溶融状態の樹脂材料にガラスビーズを混合する。この場合、成形後の材料構造が等方性を有するものとなるように、ガラスビーズが樹脂材料に機械的に結合することによってそれらの効果が得られる。
【0044】
表1に、実施例の樹脂含有組成物(樹脂結合ソーベント組成物)の機械的特性を、純粋樹脂材料の機械的特性、並びに、ガラスビーズで強化された樹脂材料の機械的特性と比較して示した。
【0045】
【表1】
【0046】
樹脂材料が強化されたことにより、硬度が上昇しており、またそれに伴って、引張変位及び曲げ変位が顕著に減少しているが、これらの変化はいずれも、樹脂材料が、より金属材料的になったことによるものである。そのため、引張弾性率及び曲げ弾性率も顕著に上昇している。ガラスビーズの配合により強化されたナイロン樹脂も、またソーベントの配合により(ガラスビーズは配合されずに)強化されたナイロン樹脂も、引張応力及び曲げ応力は殆ど変化していない。以上の発見における注目すべき重要な点は、ナイロン樹脂がソーベントで強化されることによってその特性が純粋ナイロン樹脂の特性から変化するときの変化と、ナイロン樹脂がガラスビーズで強化されることによってその特性が純粋ナイロン樹脂の特性から変化するときの変化とでは、変化の方向が同じであり、変化の大きさも略々同じであるということであった。更に、それらの配合によって、熱変形温度も上昇している。熱変形温度は耐熱性の尺度となるものである。熱変形温度という用語は、当業者に周知の用語である。熱変形温度は、材料が長時間に亘って高温に曝されるときの耐変形性能の指標値である。熱変形温度が上昇するということは、ソーベントで強化された樹脂材料を用いて成形法により製造される部品の使用可能温度が上昇することを意味している。
【0047】
更に、ソーベントの配合により(ガラスビーズは配合されずに)強化されたナイロン樹脂を成形用組成物として用いた場合には、その成形品の材料構造が等方性を有するものとなることも判明した。このことは、引張弾性率及び曲げ弾性率が方向によらず略々一定であるという事実によって証明された。またこのことは、成形型から取出した成形品の収縮率が非常に小さく且つ対称性を有しているという事実によっても証明された。
【0048】
(実施例2)
更なる実験として、使用する樹脂材料をポリプロピレン樹脂とした樹脂含有組成物(樹脂結合ソーベント組成物)の実験を行った。ポリプロピレン樹脂としてはハンツマン社の「ポリプロピレン6106」を使用した。ポリプロピレン樹脂もナイロン樹脂と同様に、冷媒に接触しても、またコンプレッサ用潤滑剤に接触しても支障を生じない樹脂である。ポリプロピレン樹脂の配合率は実施例1のナイロン樹脂の配合率と同様とし、即ち、ポリプロピレン樹脂を60%、「4A分子篩」を40%とした。この樹脂材料混合物を174℃以上に加熱した。こうして調製した樹脂含有組成物は、純粋ポリプロピレン樹脂と同様の優れた機械的特性を有していた。また、こうして調製した樹脂含有組成物の構造材料としての性能は、ガラスビーズの配合により強化された樹脂含有組成物の性能に近いものであった。表2に、この樹脂含有組成物の特性をまとめて示した。尚、表中の様々な値は、表1に記してあるASTM規格に従って測定した値である。
【0049】
【表2】
【0050】
ポリプロピレン樹脂が強化された結果として、硬度が上昇しており、更に、引張弾性率並びに曲げ弾性率も上昇している。これら3つの特性に関しては、ソーベントのみによる強化の方が、ガラスビーズによる強化よりも大きな強化効果を示していた。また、それらが変化したことに伴って、引張変位及び曲げ変位が減少しているが、これは材料の剛性が増大したことによるものである。実施例1の場合と同様に、ソーベントで強化されることによる効果と、ガラスビーズで強化されることによる効果とでは、効果の方向が同じであるが、ただし効果の大きさはソーベントによる強化の方が大きかった。引張応力及び曲げ応力は、ソーベントによる強化では僅かしか低下していない。これに対して、ガラスビーズによる強化では、それらがより大幅に低下している。樹脂材料としてポリプロピレン樹脂を使用する場合には、概して、ガラスビーズによる強化よりもソーベントによる強化の方が大きな効果が得られた。熱変形温度も上昇している。先にも述べたように、熱変形温度が上昇するということは、ソーベントで強化された樹脂材料を用いて成形法により製造される部品の使用可能温度が上昇することを意味している。
【0051】
また同様に、ソーベントにより強化されたポリプロピレン樹脂を成形用組成物として用いた場合には、その成形品の材料構造が等方性を有するものとなることも判明した。このことは、引張弾性率及び曲げ弾性率が方向によらず略々一定であるという事実によって証明された。また、このことは、成形型から取出した成形品の収縮率が非常に小さく且つ対称性を有しているという事実によっても証明された。
【0052】
(実施例3)
表3から明らかなように、ソーベントにより強化されたナイロン樹脂は、そのメルトフローインデックスの値が、純粋ナイロン樹脂と比べても、またガラスビーズにより強化されたナイロン樹脂と比べても低い値となっている。ただし、低い値ではあるものの、そのメルトフローインデックスの値はなお実用的な範囲内にあり、ポリプロピレン樹脂の場合と比べれば高い値となっている。ソーベントの配合により強化されたポリプロピレン樹脂のメルトフローインデックスの値は、純粋ポリプロピレン樹脂と比べても、またガラスビーズにより強化されたポリプロピレン樹脂と比べても高い値となっている。
【0053】
【表3】
【0054】
(実施例4)
部品の吸湿能力に関しては、部品重量の何%に相当する量の水分を吸着できるかという吸着水分率が重要である。これを示したのが表4である。分子篩材料を実際に使用するときの吸着水分率は、その分子篩材料の重量の約25%と見積もられる。従って、分子篩材料の配合率を40%とした樹脂含有組成物は、その樹脂含有組成物の重量の10%に相当する量の水分を吸着する能力を有すると考えるのが合理的である。しかるに、樹脂材料としてナイロン樹脂を使用した場合には、相対湿度(RH)が90%の環境中での吸着水分率が13%に達している。ただし、80%RHの環境中での吸着水分率は10%に近い値となった。このような結果が得られたのは、おそらく、ソーベントが水分を吸着することに加えて、ナイロン樹脂それ自体も幾分かの水分を吸着することによるものと思われる。部品全体としての吸着水分量が10%を超えているということは、ソーベントが、ナイロン樹脂を強化する機能を果たしていることに加えて、ナイロン樹脂中に分散した状態にあっても尚、その本来の吸着剤としての機能を完全に維持していることを示すものである。この場合、実際にソーベントはナイロン樹脂との相乗作用をもたらしており、それによってそれら2つの機能を同時に提供しているのである。尚、表4に示した吸着水分量の測定値は、ソーベントである分子篩材料の配合率を36〜38%とした場合の値である。
【0055】
【表4】
【0056】
ポリプロピレン樹脂は疎水性樹脂であるため、ナイロン樹脂と比べて吸湿進行速度がはるかに緩慢である。しかしながら、それでも尚、ソーベントが配合されたポリプロピレン樹脂は、吸着材料として十分に機能すると同時に、成形用樹脂含有組成物としても十分に機能するものとなっている。
【0057】
本発明が適用可能な用途としては更にその他の数多くの用途が存在する。それら用途のうちには、エアコンディショニングシステムや冷却システムの部品ないし構造部材であって、樹脂結合ソーベント組成物で製造することのできる様々な部品ないし構造部材に用いるという用途がある。上述のように、その種の部品ないし構造部材の具体例としては、全体を二分割した2つの半体部品が射出成形法により成形されてそれら半体が溶着されることにより製造され、或いは、全体がブロー成形法により製造される、J字形チューブがある。また更に、スリーブライナー、内部部品または内殻部品のコーティング層、共射出成形法により製造される複合構造部材、それに、インサート成形法により製造されるフィルタ・ドライヤー・アセンブリなどがある。診断に関連した用途としては、試験片基板、イー・トランス・ケースのためのケースまたは支持部材、それに、診断用機器の収容容器またはその収容容器の構成部品などがある。医薬品関連用途としては、錠剤容器の構成部品(容器底板、容器蓋板、容器本体など)、錠剤容器に装着される装着部品(底板支持部品、錠剤の取出しを容易にするための容器口部装着部品など)、それに、薬剤を1回用量分ずつまたは1回用量分の半量ずつ小分けにして収容するプリスターパッケージなどの薬剤用小分けパッケージに用いる単層熱成形用シートまたは多層熱成形用シートのうちの1層とする用途などがある。更に、医薬品容器として用いられている一体成形品の円筒形容器をこの樹脂結合ソーベント組成物で形成するようにするのもよく、そうすれば、これまでは粒子状の乾燥剤を収容して使用していた中空容器の代わりに、単にその樹脂結合ソーベント組成物で形成した円筒形容器に使用することができる。また、電子デバイスや光電子デバイスに関連した用途として、完全ユニット型の通気機構のフィルタボディ、暗視システムの撮像装置の内部部材、それに、リアビューカメラのボディの内部部材などを形成するために用いるなどの用途がある。
【0058】
容易に理解されるように、密閉構造の機器類や密封型包装材などの分野には、樹脂材料にソーベントを添加して成る射出成形用組成物の潜在的用途が数多く存在している。また更に、これも当然理解されることであるが、押出成形法は射出成形法より条件の緩やかな技法であるため、樹脂材料にソーベントを添加して成る射出成形用組成物は、押出成形法によって、棒材やチャンネル材などの一定断面を有する型材とすることも可能である。
【0059】
以上に説明した様々な樹脂結合ソーベント組成物、並びに、以下に説明する様々な樹脂結合ソーベント組成物は、いずれも、従来の材料に付随していた短所を払拭することのできるものである。詳細には、本発明に係る材料は従来の材料より脆弱性が小さく、例えば本発明に係る樹脂結合ソーベント組成物で製造した部品は欠損なしで落下試験に合格する。また、本発明に係る樹脂結合ソーベント組成物で製造した部品は、緩やかな吸着速度で流体を吸着するため、その機能寿命が長い上に、製造環境から受ける影響が最小限に抑えられ、多少の時間をかければ吸着機能を回復することも可能である。更に、本発明に係る樹脂結合ソーベント組成物で製造された部品は、吸着材料としての特性と構造部材としての特性とを兼ね備えた部品であることから、1つのアセンブリを構成するために要する部品数を低減することができ、すなわち、1個の部品が2つの機能を果たすことができるためにコスト低減を実現することができる。また、本発明に係る樹脂結合ソーベント組成物は、レジン/ソーベント・マトリクス材料であり、このレジン/ソーベント・マトリクス材料は、製造にかかるコスト並びに使用にかかるコストが低廉であり、それらコストが低廉であるのは、広く一般的に用いられている樹脂材料を使用できること、少ない工程数の製造工程で製造できること、それに、相境界を形成しない複数の樹脂材料を混合して使用できることによるものである。更に、これまで使用されていた金属製のハウジングを、本発明の樹脂結合ソーベント組成物で製造されたハウジングに置き換えるならば、それによって、水分などの流体の浸入を防止するアクティブ・バリヤ機能が得られるため、設計自由度が増大し、軽量化が可能となり、更には上で述べたようにコスト低減も可能となる。
【0060】
回路基板上の電気接続を行うために、回路基板を加熱してハンダを溶融させてリフローさせるときには、回路基板の形成材料の内部に水分が吸着されることにより、回路基板が損傷することがある。そこで、本発明の1つの実施形態として、回路基板を樹脂結合ソーベント組成物で形成するようにするのもよい。回路基板の形成材料にソーベントが混入されていれば、それによって回路基板を乾燥状態に維持することができるため、ハンダのリフローに際して回路基板が損傷するおそれを皆無にまたは顕著に低減することができる。また、密閉構造のハウジングを備えた電子デバイスでは、その回路基板を樹脂結合ソーベント組成物で形成するようにすれば、それによって、密閉構造のハウジングに収容されているその回路基板以外の部品を、その電子デバイスの使用寿命の全期間に亘って防護することができる。
【0061】
別の実施の形態として、本発明の樹脂結合ソーベント組成物を用いて、プレス加工やオーバーモールド成形を施した多様な成形品を製造するのもよい。この実施の形態では、先ず、樹脂結合ソーベント組成物に、プレス加工法、焼結法、または成形法などによって加工を施して、所要の形状に賦形する。尚、プレス加工法を実施する際に加熱するようにしてもよく、成形法を実施する際に高圧で加圧するようにしてもよい。続いてその賦形した樹脂結合ソーベント組成物の表面に、オーバーモールド成形法によって、構造体の保護のための樹脂材料層を成形し、その樹脂材料層によって、賦形した樹脂結合ソーベント組成物の表面の少なくとも一部を被覆する。オーバーモールド成形法により成形する樹脂材料層には、密閉状態の電子デバイスまたはデータ・ストレージ・デバイスの内部に固定ないし装着するためのタブ部などを成形しておくのもよい。上述の実施の形態と同様に、この実施の形態で使用するソーベントも、保護しようとしている電子デバイスないしデータ・ストレージ・デバイスの寿命を損なうおそれのある水分ないしその他の粒体を吸着することのできるものであれば、いかなる種類の乾燥剤ないしいかなる種類の揮発性物質吸着剤であってもよい。また、この実施の形態において、オーバーモールド成形法により成形する樹脂材料層に用いる樹脂材料は、所要の特性を有し、且つ、保護しようとしている密閉構造の電子デバイスないしデータ・ストレージ・デバイスに悪影響を及ぼさない、適当な熱可塑性または熱硬化性の樹脂とすることができる。
【0062】
更に別の実施の形態として、本発明の樹脂結合ソーベント組成物を用いて、光デバイスないし光電子デバイスの構造部品を形成するのもよい。その具体例として、例えば、レンズ、レンズ取付部材、レンズ保持リング、アパーチャ画成部材、ハウジング、等々の部品を樹脂結合ソーベント組成物で形成し、そのようにして形成した部品を、既存の部品が用いられたのと同様にして、これらデバイスに組込むようにすればよい。この実施の形態によれば、樹脂結合ソーベント組成物によって、これらデバイスの内部の結露が防止される。これらデバイスの内部に結露が生じるようなことがあると、レンズなどの光学部材の表面が曇るために、画質が劣化するおそれがある。更に、使用するソーベントを、例えば特定の含水量をこえたならば色が変化するような、含水量指示型ソーベントとすれば、それによって、その部品の吸湿能力がまだ持続しているか否かについてのその部品の状態を目で見て容易に判断することができる。また、そのような含水量指示型ソーベントを使用する場合には、ユーザがその部品の色の変化を見ることができるように、そのデバイスに窓を形成するとよく、そうすれば、ユーザはその窓を通して、その色の変化を見ることで、その部品を交換する必要があることを知ることができる。
【0063】
更に別の実施の形態として、本発明の樹脂結合ソーベント組成物を用いて、それまで利用されていなかった空きスペースだけを利用してソーベントとしての機能を発揮させる部品を形成するのもよい。これによって、既存の機器類のハウジングなどの筐体の内部空間を増大させることなく、その機器類にソーベントを組込むことが可能となる。例えばハード・ディスク・ドライブ装置のハウジング内の空きスペースは、通常、極めて僅かなスペースでしかないが、それでも尚、そのハウジング内の環境を適切なものとして長寿命を確保するためにはソーベントの吸着機能を組込むことが望まれる。この実施の形態では、ハード・ディスク・ドライブ装置の内部部品を、補強機能と吸着機能との両方の機能を有するソーベントを使用した樹脂結合ソーベント組成物で形成した部品に置き換えてもよく、或いは、上で説明したように、オーバーモールド加工法を用いて製作した多様な成形品をハード・ディスク・ドライブ装置に組込むようにしてもよい。また、他の実施の形態と同様に、この実施の形態に使用するソーベントも、乾燥剤、揮発性有機物質吸着剤、揮発性酸性物質吸着剤、それに脱酸素剤などとすることができる。
【0064】
電子機器類のうちには、例えば航空宇宙環境などの非常に過酷な環境中で用いられるものがある。航空機と航空宇宙分野においては、航空電子システムや通信システムなどに非常に多くの多種多様な電子機器類が使用されている。湿気やその他の様々な揮発性物質が、これら電子機器類の寿命に悪影響を及ぼすおそれがある。例えばセンサ、トランスミッタ、アンテナ、レーダ装置などのように、機外に装備される様々な電子機器類は、特に湿気が浸入するおそれが大きく、それは、温度及び圧力の変動によってこれら電子機器類のハウジングの中で水分の蒸発と再凝縮とが生じることがあるからである。また、機内に装備される様々な電子機器類も、動作状態が変動することに伴う温度変動により障害を発生する可能性がある。従って、この種の電子機器類に組込まれる部品を本発明の樹脂結合ソーベント組成物で製作することは、非常に有益である。
【0065】
同様に、自動車用の電子機器類も様々な環境中で使用され、その使用環境は、例えば砂漠から山頂、更にはツンドラに至るまで実に様々である。自動車用の電子機器類のうちには、乗用車やトラックの車外やボンネット内に装備されるものがあり、そのようなものには、例えば、バックアップ用暗視カメラや、検出ないし制御のための様々な回路機器類が含まれる。そこで、そのような自動車用の電子機器類のハウジングや内部部品を樹脂結合ソーベント組成物で形成するとよく、そうすれば、湿気の浸入を防止することや湿気の浸入の影響を緩和することが可能となる。更に、電子制御式の制動システムにも、湿気の浸入から防護するための手段を講じるのがよく、なぜならば、電子制御式の制動システムは極端な温度条件に曝されるからである。例えば、ブレーキフルードは吸湿性の高い液体であり、しかも様々な電子制御機器と接触している。ブレーキフルードの温度は、例えば長い坂道を下るときのように大負荷の制動条件下におかれると、例えば冬季の外気温である0℃であったものが極めて短時間のうちに350℃にまで上昇することもある。ブレーキフルードに湿気が浸入するのを防止することによって電子制御機器を長寿命化することができるばかりでなく、安全条件も高レベルに維持することができる。安全条件について述べると、ブレーキフルードは混入水分量が増大すると沸点が低下するため、通常の動作状態において、液体であったブレーキフルードが気化して制動力が殆ど失われるという事態に陥るおそれがあるのである。同様に、船舶ないし舟艇、RV(レクリエーション用自動車)、ATV(全地形対応車)、それに軍用不整地対応車などに装備される計器類や電子ディスプレイ類も過酷な環境に曝されるものであり、それゆえ本発明を適用することにより大きな利益が得られる。特に、海洋用途及び潜水用途では、電子機器類が、腐食を加速する電解質水溶液に曝されることになる。同様に、自動車用の機器類や海洋関連の機器類も、これら機器類に組込まれる部品を本発明の樹脂結合ソーベント組成物で製作することが有益である。
【0066】
例えば、光検出センサ、モーションセンサ、感熱センサ、それに防犯カメラなどの、監視用ないし保安用の様々な機器類は、広範な温度範囲及び湿度範囲に亘って高い信頼性をもって動作するものでなければならない。例えば、ニューヨーク州、バッファロー市に所在の、ある銀行の屋外に設置されている防犯カメラは、37℃という高い外気温に曝されることもあれば、−23°という低い外気温に曝されることもあり、また相対湿度に関しては、上は95%から下は20%までの範囲内の湿度に曝されている。従って、これら機器類のハウジングや内部部品を本発明に係る樹脂結合ソーベント組成物で形成することは、これら機器類を長寿命化する上で非常に有益である。
【0067】
電子機器類が多用されているその他の過酷な環境としては、有害化学物質の製造環境及び使用環境がある。センサ類、制御機器類、それにスイッチ機器類をそのような環境中で使用するためには、これらの機器類を有害蒸気及び/または腐食性蒸気から防護しておく必要がある。そこで、これらの機器類のハウジングや内部部品を樹脂結合ソーベント組成物で形成し、しかも、その樹脂結合ソーベント組成物に用いるソーベントを、例えば、乾燥剤、活性炭、ゼオライト、粘土、有機ソーベントなどの適当なソーベントとすれば、それによって、これらの機器類を長寿命化することができる。同様に、生産現場で使用されているパーソナルコンピュータ(PC)及びプログラマブルロジックコントローラ(PLC)も、例えば高湿度環境などの過酷な生産現場環境において良好に動作し得るものでなければならない。従って、このような環境中で使用されるPCやPLCは、そのハウジングや内部部品を本発明に係る樹脂結合ソーベント組成物で製作することによって、長寿命化することができる。
【0068】
電子機器類が次第に多用されつつあるその他の過酷な環境としては、ヒトの体内環境があり、そのような環境で使用される電子機器類には、植込型医用電子デバイスや身体装着型医用電子デバイスなどがある。これらの医用電子デバイスは、湿った、塩分のある環境中で、即ち、かなり腐食性の強い環境中で、高い信頼性をもって継続的に機能し続ける必要がある。これらの医用電子デバイスは、そのハウジングや内部部品を適当な樹脂結合ソーベント組成物で製作することによって、乾燥状態に維持することができ、長寿命化することができ、そして、信頼性を向上させることができる。植込型及び身体装着型の医用電子デバイスの他に、医用診断機器なども、高い信頼性をもって動作可能な状態に維持する必要があり、そのためには例えば乾燥状態に維持する必要がある。従って、そのような機器も、本発明を適用してそのハウジングや内部部品を形成することが、特に有益なものである。
【0069】
移動体通信デバイス並びに固定通信デバイスもまた、有害で過酷な環境に曝されるデバイスである。これらデバイスのハウジングの内部を乾燥状態に維持することによって、端子及びスイッチ機構を長寿命化してメンテナンスを軽減することができる。従って、これらデバイスは、そのハウジングや内部部品を本発明の樹脂結合ソーベント組成物で形成することによって、乾燥状態に維持することができ、もって、漏れ電流を低減し、短絡が発生するおそれを低減し、デンドライトの形成を阻止し、電解腐食や化学腐食を防止することができる。更に、適当なソーベントを選択することによって、湿気の吸着に加えて、ハウジング内に存在するその他の揮発性物質にも対処することができる。
【0070】
その他の様々な電子機器類のうちにも、解決しなければならない問題を有する電子機器類が多々存在しており、そのような電子機器類として、例えばソーラーパネルや昼夜検出センサなどがある。市販されている太陽電池設備のうちには、その略々全体がガラス材料から成る平板状のパネルを備えたものがある。そのパネルは表面に光反応性物質がコーティングされており、この光反応性物質は湿気の影響を受けると劣化する。また、そのような2枚のパネルが二重ガラス窓の2枚のガラス板のように向かい合わせに組合わされており、それら2枚のパネルの間の空間は密閉されている。その空間を密閉するために、組合せた2枚のパネルの周縁部にシール材を装着することもあり、或いは、組合せた2枚のパネルを枠体に装着することによってその空間を密閉することもある。更に、そのパネルには、電気的接続のための孔や開口が形成されており、それら孔や開口も封止しなければならない。そこで、その枠体を製作するための構成材や、その電気的接続のための接続部品を、湿気の影響を受けると劣化する上に破損し易いソーラーパネルを保持し且つ保護するために必要な機械的強度とソーベントとしての吸着能力とを共に提供することのできる、樹脂結合ソーベント組成物で製作するとよい。
【0071】
無線識別デバイス(RFIDデバイス)は、半導体チップと、それに付随する回路とで構成されるデバイスである。また、回路基板として種々のものが使用されているが、特にプリント回路基板が多用されている。RFIDデバイスは、有害環境中で使用されることも少なくなく、その場合に、RFIDデバイスは、また特に有機材料を使用したRFIDデバイスは、湿気、酸素、揮発性化学物質などの影響を受けて劣化するおそれがある。そこで、RFIDデバイスの改善策として、RFIDデバイスの支持構造部品やハウジングの製作材料を、ソーベントを添加して特性を増強した樹脂材料とし、そのソーベントとして例えば乾燥剤や脱酸素剤などを用いるとよく、そうすることによってRFIDデバイスを長寿命化することができる。
【0072】
発光ダイオード(LED)並びに液晶ディスプレイ(LCD)は、湿気に敏感な材料から製造される。特に、有機材料を使用したLEDやLCDなどは、顕著に湿気の影響を受ける。これまでにも、薄膜状またはシート状の吸湿性材料を液晶ディスプレイに装備することによって、この点を改善して長寿命化を図るということが行われていた。しかるに、本発明によれば、その種のデバイスの支持構造部材やシール材を、樹脂結合ソーベント組成物で形成した支持構造部材やシール材に置き換えることによって、防湿機能を提供してデバイスを長寿命化することができ、しかも、以前の支持構造機能やシール材が担っていた機能をそのまま肩代わりすることができる。また同様に、フレキシブル電子ディスプレイなども、顕著に湿気の影響を受けるデバイスである。フレキシブル電子ディスプレイの製造材料のうち、湿気の影響を受けて劣化するのは発色材料であり、それゆえ、フレキシブル電子ディスプレイの内部に、樹脂結合ソーベント組成物で形成した部品を組込むことで、発色材料の安定化を図るようにするとよい。
【0073】
家庭用照明器具や自動車用ヘッドランプなどのような旧来型の照明機器も、本発明を適用することが有益である。即ち、本発明を適用することにより、レンズの表面などの結露を防止することができ、それによって電球などの構成要素を長寿命化することができ、更に、結露による反射光の損失も回避することができる。
【0074】
樹脂材料製パッケージに封入された表面実装型固体電子デバイスは、必ずしも密閉状態にあるとは見なせず、それは、そのパッケージの樹脂材料が透湿性を有するからである。このことに関する根本的な問題として、ハンダリフロー工程において樹脂材料中の含有水分の水蒸気圧が変化するためにパッケージが損傷するおそれがあるということがあり、例えば、それによってパッケージに、剥離、亀裂、漏入、それに「ポップコーン状変形」などが発生するおそれがある。これまで、湿気の影響を受けにくくするための手段として、材料を適切に選択すること、パッケージの構造を適切に設計すること、それに、問題を生じにくい製造工程を選択することなどが行われていた。しかるに、本発明の樹脂結合ソーベント組成物でパッケージを製作するならば、組成物中のソーベントが吸湿して飽和状態になるまでの間、湿気の浸入を防止して事実上の密封状態を維持することが可能となる。そうすることが有効な電子デバイスの具体例としては、例えば、高周波電子デバイス、無線通信用電子デバイス、ローカルエリアネットワーク(LAN)用電子デバイス、それにブロードバンド通信用電子デバイスなどがあり、また、電子回路チップを回路基板に搭載するための搭載用パッケージに適用しても有効であり、更には、それらのみに限定されずその他にも数々の有用な用途が存在する。
【0075】
先の説明でも言及したように、撮像デバイスには、部品の劣化とはまた別の問題も付随している。その問題とは、湿気の存在と温度の変動とが組合わさると、撮像デバイスのレンズや撮影窓部材の表面に結露が生じるおそれがあるということである。それらの箇所に結露が生じると、たちまち画質が劣化して、場合によっては撮像デバイスが機能を失うことにもなる。そのため、撮像デバイスの使用環境が高湿度でしかも温度が変動する環境である場合には、湿気を抑制する手段を講じる必要があることが知られている。そこで、例えば、レンズ保持リング、アパーチャ画成部材、ハウジングなどの部品を樹脂結合ソーベント組成物で製作し、それをアセンブリに組込むようにすれば、その組込んだ部品が、支持構造部材としての機能だけでなく、更にソーベントとしての吸湿能力も発揮することになる。このようにすることが有用な光デバイスには、物体の認識及び/または検出を行うためのデバイスなどがあり、その具体例を挙げるならば、例えば、標的を捕捉して標的への誘導を行うためのセンサないしシステムがある。このような標的捕捉誘導システムにとっては、レーザなどを利用した検出デバイスが決定的な重要性を有しており、それゆえ、検出デバイスの光学性能は最高レベルに維持されている必要があり、即ち、光学部材の表面に結露が生じることは許されない。
【0076】
本発明に係る樹脂結合ソーベント組成物は、吸着能力を提供するソーベントに加えて更にその他の材料を併せて配合して多機能性材料とするのもよく、例えば、静電気消散材料(導電性材料)を配合すれば、それによって湿気抑制機能と共に帯電防止機能を兼ね備えた多機能性材料とすることができる。そして、このような多機能性材料は、上で説明した電子回路関係の様々な用途に使用すれば、吸湿と静電気消散との両方を行わせることができる。
【0077】
図10に示したのは、本発明の1つの実施の形態に係る装置11の断面図である。装置11はハウジング12を備えており、このハウジング12は、第1壁部14と、第2壁部16と、肩部18とを備えている。上で説明した実施の形態と同様に、ハウジング12それ自体を樹脂結合ソーベント組成物で製造するようにしてもよく、そうすることで粒体の浸入速度を緩慢にすること、或いは、流体の浸入を防止することが可能となる。肩部18は、レンズ20を装着するための装着部を提供しており、第1壁部14は、ソーベント部材22を取付けるための取付部を提供しており、第2壁部16は、複数の絶縁支柱部材24を植設するための植設部を提供している。それら複数の絶縁支柱部材24を介して回路基板26がハウジング12に固設されている。ソーベント部材22は、ソーベント28の表面にオーバーモールド樹脂層30を被着して製造された部品である。オーバーモールド樹脂層30には複数のタブ部32が形成されており、それらタブ部32が止着部材34によって第1壁部14に止着されることで、このソーベント部材22が第1壁部14に固定されている。前述の実施形態と同様に、回路基板26もまた樹脂結合ソーベント組成物で製作するようにしてもよく、そうすることでハウジング12の内部においてソーベントとしての機能を発揮させることができる。この装置11は更に、ガスケット36と保持リング38とを備えている。ガスケット36は肩部18とレンズ20との間に介装されており、保持リング38はガスケット36方向に押圧力を作用させて、それによってガスケット36を圧縮している。このガスケット36の圧縮によってハウジング12が封止されており、内部への流体の浸入が防止されている。更に、ガスケット36、保持リング38、及び/または、レンズ20も、樹脂結合ソーベント組成物で製造するようにしてもよく、そうすることで、流体の浸入を防止する機能が更に高められる。この装置11は更に、アパーチャ画成部材40を備えており、このアパーチャ画成部材40はレンズ20と回路基板26との間に配設されている。アパーチャ画成部材40も、樹脂結合ソーベント組成物で形成するようにすることができ、そうすればソーベントによる吸着能力が更に付加される。ここではアパーチャ画成部材40を樹脂結合ソーベント組成物で形成することについて述べているが、当業者には容易に理解されるように、装置11に組込むその他の部品ないし部材を樹脂結合ソーベント組成物で形成するようにしてもよく、例えば、バッフル部材、止着部材、絶縁支柱部材などを樹脂結合ソーベント組成物で形成することができる。表面実装デバイス42が、回路基板26の電気的接続部44に接続されて回路基板26に固定されている。更に、この表面実装デバイス42は封入体46を備えている。一般的に、封入体46の材料は、ある種の流体によっては浸透性を有するものであるため、表面実装デバイス42は密閉封止されているとは見なせない。それゆえ、この封入体46を樹脂結合ソーベント組成物で形成するようにするとよく、そうすれば、表面実装デバイス42を密閉封止状態とすることができる。
【0078】
当業者には容易に理解されるように、本発明に係る装置11の具体的な構成、並びに、本発明に係る装置11の様々な構成要素の具体的な構成は、図10に示した実施の形態のものに限定されない。例えば、ハウジング12は、レンズ20及び/またはアパーチャ画成部材40を備えない構成として、完全密閉状態の容器としてもよい。従って、ある装置11の様々な構成部品のうちの少なくとも1つの構成部品が樹脂結合ソーベント組成物で形成されているならば、その装置11は本発明の概念及び範囲に包含されるものであり、また、樹脂結合ソーベント組成物で形成される構成部品は、例えば、レンズ、回路基板、ハウジング、筐体、フレーム、支持構造部材、取付構造部材、保持構造部材、シール材、表面実装固体デバイス、電子チップパッケージ、通信端末、通信用交換装置、データ・ストレージ・デバイス、電子デバイス、電子光学デバイス、スコープ、センサ、トランスミッタ、アンテナ、レーダ装置、光電池デバイス、無線識別デバイス、発光ダイオード、液晶ダイオード、半導体封入体、撮像デバイス、照準器、携帯電話端末、目標捕捉誘導センサ、植込型医用電子デバイス、身体装着型医用デバイス、移動体通信デバイス、固定通信デバイス、自動車用検出回路、自動車用制御回路、制動制御システム、有害化学物質センサ、有害化学物質制御機器、計器類、電子ディスプレイ、パーソナルコンピュータ、プログラマブル論理演算装置、医用診断機器、光センサ、運動センサ、熱センサ、防犯カメラ、フレキシブル電子デバイス、照明器具、海洋計器類、海洋照明機器、航空機用機外取付型検出機器、航空機用機外取付型監視機器、航空機用機外取付型計測機器、動力工具用検出機器、動力工具用照準機器、動力工具用計測機器、レーザ装置及びそれらの組合せから成る部類中から選択された構成部品とすることができる。
【0079】
図11は、本発明に係るランプアセンブリ50の1つの実施の形態を示した斜視図であり、図12はこのランプアセンブリ50の分解図である。図13は図11の13−13線に略々沿ったこのランプアセンブリ50の断面図であり、図14は図11の14−14線に略々沿ったこのランプアセンブリ50の断面図である。図15は本発明に係るランプアセンブリの別の実施の形態(即ち、ランプアセンブリ52)の断面図であり、図16は本発明に係るランプアセンブリの更に別の実施の形態(即ち、ランプアセンブリ54)の斜視図である。以下の説明は、これらの図11〜図16を参照することによって明瞭に理解し得るものである。
【0080】
ランプアセンブリ50は少なくとも1つの光源(図示例では複数の光源56)を備えている。この少なくとも1つの光源は、例えばLEDであってもよく、その他の種類の光源であってもよい。いかなる種類の光源を使用した実施の形態も、特許請求の範囲に記載した本発明の概念及び範囲に包含されるものである。更に、その少なくとも1つの光源は、実装基板(図示例では回路基板57)に搭載するようにしてもよく、或いは個別に配設するようにしてもよい。ランプアセンブリ50は更に、第1の防湿性組成物で形成されたハウジング58と、第2の防湿性組成物で形成された封止キャップ60とを備えている。前記少なくとも1つの光源(図示例では光源56)は、ハウジング58の中に配設されており、封止キャップ60は、このハウジング58と少なくとも1つの光源とに密封接合されている。図示例のように、様々な実施の形態のうちには、封止キャップ60が、前記少なくとも1つの光源をその中に収容するように形成された少なくとも1つの孔(図示例では複数の孔61)を備えたものがある。封止キャップ60は、ハウジング58とこの封止キャップ60とで画成された空間62の中に前記少なくとも1つの光源を封入するように構成されている。更に、これも図から明らかなように、ランプアセンブリ50が、前記少なくとも1つの光源から発せられる光の光路を制御するためのレンズ63を備えているようにしてもよく、ただし、このレンズ63は本発明に特別の関連を有するものではない。
【0081】
図面に示した実施の形態では、前記第1の防湿性組成物は第1の樹脂材料と第1のソーベントとの混合物を含み、前記第2の防湿性組成物は第2の樹脂材料と第2のソーベントとの混合物を含むものである。ただし、それら防湿性組成物に関しては、様々な実施の形態とすることができる。例えば、第1の樹脂材料と第2の樹脂材料とを同一材料とすると共に第1のソーベントと第2のソーベントとを同一材料としてもよく、また、第1の樹脂材料と第2の樹脂材料とを異なる材料として第1のソーベントと第2のソーベントとを同一材料としてもよく、また、第1の樹脂材料と第2の樹脂材料とを同一材料として第1のソーベントと第2のソーベントとを異なる材料としてもよく、また、第1の樹脂材料と第2の樹脂材料とを異なる材料とすると共に第1のソーベントと第2のソーベントとを異なる材料としてもよい。これら様々な実施の形態はいずれも、特許請求の範囲に記載した本発明の概念及び範囲に包含されるものである。
【0082】
上でも述べたように、本発明のランプアセンブリに用いる樹脂材料は、熱可塑性樹脂材料とすることができ、また、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、及びそれらの均質混合物から成る部類中から選択された樹脂材料とすることができる。ポリオレフィン樹脂の具体例としては、高密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、それにポリプロピレン樹脂などがある。同様に、本発明のランプアセンブリに用いるソーベントは、分子篩材料、シリカゲル、イオン交換樹脂、活性アルミナ、粘土、塩類、ゼオライト、及びそれらの混合物から成る部類中から選択されたソーベントとすることができる。
【0083】
本発明に係るランプアセンブリにおける密閉封止のための方法としては、幾つもの方法が採用可能であり、それら方法は特許請求の範囲に記載した本発明の概念及び範囲に包含されるものである。例えば、封止キャップ60は、溶着法により、ハウジング58と前記少なくとも1つの光源(図示例では複数の光源56)とに密封接合されているようにしてもよい。或いは、封止キャップ60は、エポキシ接着剤またはその他の接着剤で接着することで、ハウジング58と前記少なくとも1つの光源とに密封接合されているようにしてもよい。様々な実施の形態のうちには、その溶着法として、音波溶着法、超音波溶着法、スピン溶着法、熱板溶着法、及び振動溶着法から成る部類中から選択された溶着法を用いるようにしたものがあり、それら溶着法は当業界において周知の方法である。溶着法を用いる実施の形態と接着法を用いる実施の形態とのいずれにおいても、封止キャップ60の表面64が、ハウジング58の表面65と光源56の表面66とに密封接合される。尚、ここで使用している「密閉封止する」及び「密封接合する」という用語は、封止ないし接合することによって、その封止箇所ないし接合箇所の一方の側から他方の側への、液体、気体、ないし蒸気の流動が防止されるようにすることをいう。例えば、封止キャップ60が、ハウジング58と少なくとも1つの光源とに密封接合されたならば、ハウジング58の外部から空間62(これはハウジング58と封止キャップ60とによってハウジング58の中に画成された空間である)の中へ、液体、気体、ないし蒸気が決して流入しなくなる。本発明のランプアセンブリ(図示例ではランプアセンブリ50)における接合の方法としては、2つの樹脂材料製の基材を互いに接合することのできる周知の様々な音波溶着法のうちの任意の方法を用いることができる。同様に、本発明のランプアセンブリにおける接合の方法としては、2つの樹脂材料製の基材を互いに接合することのできるエポキシ接着剤などの周知の様々な接着剤のうちの任意の接着剤を用いることができる。
【0084】
様々な実施の形態のうちには、例えば図15に示した実施の形態のように、ハウジング58及び前記少なくとも1つの光源(図示例では複数の光源56)を覆うようにして直接的に封止キャップ60を成形したものがある。この方法は一般的にオーバーモールド成形法と呼ばれており、これによって、封止キャップ60と、ハウジング58と、前記少なくとも1つの光源との間に、密封接合箇所、即ち密閉封止箇所を形成することができる。前述の実施の形態の場合と同様に、このオーバーモールド成形法としては、2つの樹脂材料製の基材を互いに接合することのできる周知の様々なオーバーモールド成形法のうちの任意の方法を用いることができる。
【0085】
様々な実施の形態のうちには、前記少なくとも1つの光源が少なくとも2つの電気的接続部(図示例では電気的接続部68)を備え、また、前記ハウジング58がそれら少なくとも2つの電気的接続部が挿通される少なくとも2つの開口(図示例では開口70)を備えているようにしたものがある。かかる実施の形態においては、前記少なくとも2つの電気的接続部と前記少なくとも2つの開口とが第3の防湿性組成物によって密閉囲包されている。前述の実施の形態の場合と同様に、この第3の防湿性組成物は第3の樹脂材料と第3のソーベントとの混合物を含み、第3の樹脂材料は前記第1ないし第2の樹脂材料と同一の樹脂材料としても異なる樹脂材料としてもよく、第3のソーベントは前記第1ないし第2のソーベントと同一のソーベントとしても異なるソーベントとしてもよい。更に、上で述べたように、第3の樹脂材料は、熱可塑性樹脂材料とすることができ、また、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、及びそれらの均質混合物から成る部類中から選択された樹脂材料とすることができる。好適なポリオレフィン樹脂の具体例としては、高密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、それにポリプロピレン樹脂などがある。また、第3のソーベントは、分子篩材料、シリカゲル、イオン交換樹脂、活性アルミナ、粘土、塩類、ゼオライト、及びそれらの混合物から成る部類中から選択されたソーベントとすることができる。
【0086】
前記少なくとも2つの電気的接続部と前記少なくとも2つの開口とを密閉囲包するために用いることのできる方法としては、幾つもの方法があり、それら方法は特許請求の範囲に記載した本発明の概念及び範囲に包含されるものである。例えば、前記少なくとも2つの電気的接続部(図示例では電気的接続部68)及び前記少なくとも2つの開口(図示例では開口70)を第3の防湿性組成物によって密閉囲包するためには、前述のように、溶着法や、エポキシ接着剤などの接着剤による接着法を用いることができる。尚、ここで使用している「密閉囲包する」という用語は、何らかのものを囲繞して、その囲繞箇所の一方の側から他方の側への、液体、気体、ないし蒸気の流動が防止されるようにすることをいう。例えば、前記少なくとも2つの電気的接続部及び前記少なくとも2つの開口が密閉囲包されたならば、ハウジング58の外部からそれら少なくとも2つの開口を通って空間62(これはハウジング58と封止キャップ60とによってハウジング58の中に画成された空間である)の中へ、液体、気体、ないし蒸気が流入することはなくなる。尚、前述の実施の形態と同様に、オーバーモールド成形法を用いて、前記少なくとも2つの電気的接続部及び前記少なくとも2つの開口を密閉囲包するようにしてもよい。
【0087】
図16から明らかなように、本発明に係るランプアセンブリは(同図に示したランプアセンブリ54のように)図11〜図15に示した実施の形態とは異なった形状とすることも可能である。ランプアセンブリ54は、円筒形のハウジング72と、円形のレンズ74とを備えたものである。更にその他の形状とすることも可能であり、例えば、三角形や菱形などとしてもよく、そのような形状としたものも、特許請求の範囲に記載した本発明の概念及び範囲に包含される。
【0088】
以上に説明したように、本発明に係るランプアセンブリは、蒸気が樹脂材料を透過するのを防止するバリヤ材料として、様々な実施の形態に係る樹脂結合ソーベント組成物を用いたものとすることができ、例えば、水蒸気がポリプロピレン樹脂を透過するのを防止するバリヤ材料として、ポリプロピレン樹脂に分子篩材料を配合した樹脂結合ソーベント組成物を用いたものとすることができる。従って、ハウジングと封止キャップとを備え、それらハウジングと封止キャップとの両方を樹脂結合ソーベント組成物で形成したランプアセンブリは、このランプアセンブリの中への湿気の浸入を効果的に防止することのできるものである。
【0089】
本発明に用いられる樹脂含有組成物は、特別な樹脂材料混練法を用いて調製されるものである。また、好適なソーベントは分子篩材料であり、例えばポリアミド樹脂やポリオレフィン樹脂などの選択した樹脂材料にソーベントを混入するには、例えば粉体状の分子篩材料をその選択した樹脂材料のビーズと共に、良好な混合特性を備えた樹脂材料押出機に投入すればよい。そして、その温度、動作速度、成分材料濃度を、分子篩材料から成るソーベントの粒子が十分に分散し、そしてソーベントの粒子が十分に樹脂材料で濡れて、その表面が樹脂材料でコーティングされ、それによってソーベントの粒子が互いから分離するようにするのに必要な、温度、動作速度、成分材料濃度に設定する。通常は二軸押出機を使用する。必要とされるソーベントの粒子の分散状態が達成されるまで、この混練の工程を反復して実行する。この混練によって樹脂材料は溶融し、その全領域に亘ってソーベントが混合される。押出機から押出した樹脂系組成物を空気中で冷却し、更に、それを切断または破砕してペレットなどの粒状体とする。この混練は高温下で行われるため、混練中にソーベントが吸湿することはなく、そのためソーベントの吸湿能力は維持される。
【0090】
以上に本発明をその具体的な好適な実施の形態に即して詳細に説明したが、当業者であれば、様々な代替形態、変更形態、及び別形態にも容易に相当することは明らかである。それら代替形態、変更形態、及び別形態は、本発明の範囲及び概念に包含されるものであり、それゆえ本明細書に添付した特許請求の範囲の記載は、それら形態を包含するものと解釈されるべきである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、広く一般的には、ソーベント(吸着材料)による防護機能を備えた物品に関し、詳しくは、樹脂材料から成る基礎材料中に吸着用添加材料を混合して調製した改良した射出成形用組成物、並びに、かかる射出成形用組成物により製造された製品に関し、更に詳しくは、樹脂結合ソーベント組成物から成る防湿性筐体を備えたランプアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より様々な状況下において、樹脂材料から成る母材中に乾燥剤材料などのソーベントを混入するということが行われている。この種の樹脂含有組成物は、適宜に賦形することによって、構造部品とすることも、また機能部品とすることもでき、その賦形のための様々な加工方法を記載した数々の特許出願が存在している。同様に、構造部品を製造するための成形用樹脂含有組成物に様々なフィラー(充填材料)を添加するということも行われている。無機材料などの低価格のフィラーを添加して、樹脂含有組成物の嵩増しをすることで、成形法によってその樹脂含有組成物で製造する物品の強度を用途に応じた十分な強度に維持しつつ、その樹脂含有組成物に配合する樹脂材料の量を減らすことができるため、コスト低減を図ることができる。また、ガラス繊維やガラスビーズなどの強化用添加材料を配合するということも広く行われている。これによって成形用樹脂含有組成物の機械的特性を向上させることができ、ここで機械的特性というのは例えば硬度、引張変位、等々の特性である。更に、これもよく知られているように、強化用添加材料に関しては、フィラーの場合と同様に、成形用樹脂含有組成物の射出成形特性及び機械的特性を好適に維持しつつ、目的とする樹脂含有組成物の嵩増しをするという効果や樹脂含有組成物で製造する物品の強度を増大させるという効果を達成することのできる、強化用添加材料の配合率の範囲というものが存在している。
【0003】
しかるに、強化用添加材料を配合した従来の成形用樹脂含有組成物は、ある種の用途には全く不適当であった。例えば、成形用樹脂含有組成物に、ガラス繊維やガラスビーズなどの強化用添加材料を高レベルの配合率で配合する場合には、そのことによって、その成形用樹脂含有組成物に適切な吸着特性を付与するために配合するソーベントなどの吸着用添加剤の配合率の上限が低下することになる。一方、強化用添加材料の配合率を減少させて、その分、ソーベントなどの吸着用添加剤の配合率を増大させると、それによって例えば、硬度、引張強度、等々の所要の機械的特性が低下するおそれがある。
【0004】
そのため、在来のレジン/ソーベント・マトリクス材料(樹脂材料から成る母材中にソーベントを分散させた材料)には数々の欠点が付随していた。即ち、その種の材料は往々にして、脆性が顕著であり、標準的な落下試験に耐え得るだけの十分な靱性を備えていなかった。更に、在来のレジン/ソーベント・マトリクス材料からは、粉粒状の欠片が剥落することがあった。このような剥落が発生すると、その材料で製造した部品の性能が低下し、或いは装置の機能が劣化するおそれがある。また、在来のレジン/ソーベント・マトリクス材料は、その材料構造のために吸湿速度がかなり速く、一般的な製造方法でその材料から部品を製造しようとする場合に、その吸湿速度が速すぎて不都合であることがあった。即ち、部品を製造する製造現場では必ずしも環境条件を適当に整えることができず、そのために、製造した部品を装置に組付ける前に、その部品の吸湿能力が消尽してしまうことがあった。また、在来のレジン/ソーベント・マトリクス材料は往々にして、その材料の製造コストも、その材料を用いることに関連したコストも、かなりの高コストになりがちであった。その原因は、特殊な樹脂材料を使用すること、付加的な処理工程を必要とすること、それに、複数の樹脂材料を混合して使用するためにそれら樹脂材料の間に相境界が形成されてしまうことなどであった。更に、在来のレジン/ソーベント・マトリクス材料には、通常、バインダー(結合剤)が使用されているが、そのバインダーの材質のために相溶性に関する問題が生じることもあった。
【0005】
周知のごとく、一般的にランプアセンブリ(照明灯アセンブリ)は、また特に自動車並びに船舶の分野で用いられているランプアセンブリは、様々な状況下において過酷な環境に曝されるものである。例えばトラクタトレーラは、そのトレーラ部分の車台の何箇所にもランプアセンブリが装備されている上に、更にそのトラクタ部分にもランプアセンブリが装備されている。荷物の運送のためにトラクタトレーラが使用される環境は、例えば高緯度地方の冬季寒冷環境から赤道地方の夏期高温多湿環境に至るまで、実に様々であるため、ランプアセンブリの使用環境の気温範囲並びに相対湿度範囲は極めて広い。一方、海洋関連用途として、例えば舷側標示灯として用いられる場合などでは、ランプアセンブリに塩水などの液体がかかるおそれがある。
【0006】
これら環境要因に加えて更に、ランプアセンブリは、強力な洗浄液に曝されることもある。例えば、トラクタトレーラのトラクタ部分を洗車する際には様々な洗浄液が使用されるが、トレーラ部分の洗車には、そのようなトラクタ部分の洗車に使用される洗浄液よりはるかに強力な洗浄液が使用されることがあり、それは、トレーラ部分に搭載される荷物のうちには、一旦付着したならば容易には落ちないようものもあるからである。同様に、ボートの船体を洗浄する際には、通常、例えばムラミン酸と水の50:50混合溶液などの酸性溶液が用いられるため、船舶のランプアセンブリもまた、激烈な溶液に曝されることがある。
【0007】
これらのことから理解されるように、ランプアセンブリの内部の電子部品は、その性能を劣化させ寿命を縮めかねない様々な環境条件に曝されている。例えば、ランプアセンブリのうちには、その光源として発光ダイオード(LED)を使用しているものがあるが、LEDをしかるべく機能させるためには駆動回路及び電気配線が必要である。上に述べた環境条件は、また特に、相対湿度が高レベルであるという環境条件は、ランプアセンブリの中への湿気の浸入を発生させることにより、ランプアセンブリの電子回路に悪影響を及ぼすものである。このランプアセンブリの中への湿気の浸入は、水分が熱可塑性樹脂で形成されているハウジングやレンズカバーに浸透することによって発生することもあり、また、配線ハーネスやコネクタの挿通部を通して発生することもある。この問題は、この種の用途に最も広く用いられている熱可塑性または熱硬化性の樹脂材料は防湿性に乏しいという事実によって、更に面倒なものとなっている。それら樹脂材料がこの種の用途に用いられている理由は、主として、それら樹脂材料が寸法安定性を有すること、ないしは、それら樹脂材料で製造した部品は互いに接合して組付けることが容易であるということにある。これまでは、ガスケットやシール材の形状に形成したエポキシ樹脂製の充填材やポッティング材を用いて、悪影響を及ぼす物質がランプアセンブリに浸入する速度を低下させるということが行われていた。そのため、電子回路が湿気に曝されないように防護することが重要であるものの、そのための在来の手段はいずれも、高コストで面倒な作業を必要とするものであった。
【0008】
その一例として、特許文献1(米国特許第5632551号公報−発明の名称:車両用LEDランプアセンブリ)には、回路基板の全面をエポキシ樹脂で覆ってランプアセンブリを密封することによって、LED及び回路基板を、振動、疲労破壊、湿気、等々から防護するということが教示されている。しかしながらこの種の構造は、製造コストが高く、製造に時間と手間がかかり、環境に悪影響を及ぼす材料を使用し、場合によっては、例えば通気機構などの特別な保護具の使用を必要とするものである。
【0009】
密封構造のランプアセンブリを提供することを目的とした、多種多様な機構及び方法が存在していることからも分かるように、ランプアセンブリの中への湿気の浸入を防止するという所要の目的を達成するために、これまでに多くの手段が案出されてきた。しかしながら、これまでは、性能とコストの兼ね合いを考慮しなければならなかった。それゆえ、湿気の浸入を防止することができ、コスト対効果に優れ、しかも製造の容易な、密封構造のランプアセンブリが長い間求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5632551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って本発明の主たる目的は、ランプアセンブリの中に収容された電子回路の近傍領域に防湿機能を付与することのできる、改良したランプアセンブリを提供することにある。このランプアセンブリは、以下に記載する樹脂結合ソーベント組成物で形成することにより、好適に製造することのできるものである。
【0012】
ある種の樹脂材料にある種のソーベントを配合して適切な処理を施すならば、そのソーベントが、その樹脂材料を強化しつつ、しかも同時にその本来の吸着能力を維持することができ、その結果としてその樹脂材料の防湿特性が強化されるということが判明した。更に、このようにして調製した樹脂含有組成物は、適切な処理を施すならば、多少の制約はあるにせよ、最新の高速射出成形法により部品を製造するための材料とすることができ、そのようにして製造した部品は多種多様な用途において十分に機能し得るものであるということも判明した。また更に、配合したソーベント材料は、その本来の吸着能力によって水分が樹脂材料の中へ浸透するのを防止することにより、樹脂材料として選択した熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂の防湿特性を強化するということも判明した。また更に、ソーベントの配合によって樹脂材料の物理的特性及び機械的特性が強化されるため、単独では成形用樹脂材料としての良好な特性を備えていない安価な熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂でも、それらにソーベントを配合することによって成形用材料として使用できるようになることも判明した。また更に、この樹脂含有組成物は、吸湿能力を備えていることから、みずからを乾燥状態に維持して成形用材料としての適性を維持することができ、そのため射出成形加工を実施する直前に乾燥処理を施す必要がなく、そのことによって加工に要する時間が短縮され、加工に要するコストが低減されるものである。
【0013】
またこれまで、樹脂材料にガラス繊維などの強化用添加材料を配合して機械的特性を向上させるということも広く行われている。更に、このような強化用添加材料に関しては、フィラーの場合と同様に、成形用樹脂含有組成物の射出成形特性及び機械的特性を好適に維持しつつ、目的とする樹脂含有組成物の嵩増しをするという効果や樹脂含有組成物で製造する物品の強度を増大させるという効果を達成することのできる、強化用添加材料の配合率の範囲というものが存在している。それゆえ、樹脂材料に粒子状の材料であるソーベントを添加することによって、通常の強化用添加材料を添加したときと同様に、その樹脂材料の引張弾性率及び曲げ弾性率などの機械的特性を増大させるということも、本発明の目的の1つである。
【0014】
様々な樹脂材料のうちには、例えばオレフィン樹脂のように、収縮率が非常に大きいために、形状に歪みが出易く寸法安定性にも乏しいことから、射出成形用樹脂材料として用いるのにはあまり適していないと考えられている樹脂材料がある。しかるに、オレフィン樹脂であっても、それにある種のソーベントを配合して適切に混練し、そのソーベントの全ての粒子が互いに分離するように十分に分散させるならば、それによって、オレフィン樹脂の収縮率を小さく抑えることができ、例えばポリアミド樹脂のように成形用樹脂材料として用いるのに適していると考えられている樹脂材料と同程度の収縮率にし得ることも判明した。そのようなソーベントと樹脂材料との適切な混練方法について述べることも、本発明の目的の1つである。
【0015】
以上の様々な事項を念頭に置いた上で、複数種類の成形用樹脂材料に様々な添加率でソーベントを添加した場合の特性について調査研究を行った。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、広く一般的に述べるならばランプアセンブリであって、このランプアセンブリは、少なくとも1つの光源と、第1の防湿性組成物で形成されたハウジングと、第2の防湿性組成物で形成された封止キャップとを備え、前記少なくとも1つの光源は前記ハウジングの中に配設されており、前記封止キャップは前記ハウジングと前記少なくとも1つの光源とに密封接合されており、前記封止キャップは前記ハウジングと該封止キャップとで画成された空間の中に前記少なくとも1つの光源を封入するように構成されていることを特徴とする。様々な実施の形態のうちには、前記第1の防湿性組成物が第1の樹脂材料と第1のソーベントとの混合物を含み、前記第2の防湿性組成物が第2の樹脂材料と第2のソーベントとの混合物を含むものがある。更に、その種の実施の形態のうちには、前記第1の樹脂材料及び/または前記第2の樹脂材料が熱可塑性樹脂材料であるものもあり、或いはまた、前記第1の樹脂材料及び/または前記第2の樹脂材料が、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、及びそれらの均質混合物から成る部類中から選択された樹脂材料であるものもあり、後者の実施の形態のうちには、前記ポリオレフィン樹脂が、高密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、及びポリプロピレン樹脂から成る部類中から選択された樹脂材料であるものもある。様々な実施の形態のうちには、前記第1のソーベント及び/または前記第2のソーベントが、分子篩材料、シリカゲル、イオン交換樹脂、活性アルミナ、粘土、塩類、ゼオライト、及びそれらの混合物から成る部類中から選択されたソーベントであるものもある。様々な実施の形態のうちには、前記封止キャップが、溶着法により、前記ハウジングと前記少なくとも1つの光源とに密封接合されているものもあり、或いはまた、前記封止キャップが、エポキシ接着剤またはその他の接着剤で接着することで、前記ハウジングと前記少なくとも1つの光源とに密封接合されているものもある。更に、その種の実施の形態のうちには、前記溶着法が、音波溶着法、超音波溶着法、スピン溶着法、熱板溶着法、及び振動溶着法から成る部類中から選択された溶着法であるものがある。また更に、様々な実施の形態のうちには、前記ハウジング及び前記少なくとも1つの光源を覆うように前記封止キャップを成形することによって、該封止キャップが、前記ハウジングと前記少なくとも1つの光源とに密封接合されているものがある。
【0017】
また別の様々な実施の形態のうちには、前記少なくとも1つの光源が少なくとも2つの電気的接続部を備え、前記ハウジングが前記少なくとも2つの電気的接続部が挿通される少なくとも2つの開口を備え、前記少なくとも2つの電気的接続部と前記少なくとも2つの開口とが第3の防湿性組成物によって密閉囲包されているものがある。様々な実施の形態のうちには、前記第3の防湿性組成物が第3の樹脂材料と第3のソーベントとの混合物を含むものがある。更に、その種の実施の形態のうちには、前記第3の樹脂材料が熱可塑性樹脂材料であるものもあり、或いはまた、前記第3の樹脂材料が、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、及びそれらの均質混合物から成る部類中から選択された樹脂材料であるものもあり、後者の実施の形態のうちには、前記ポリオレフィン樹脂が、高密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、及びポリプロピレン樹脂から成る部類中から選択された樹脂材料であるものがある。様々な実施の形態のうちには、前記第3のソーベントが、分子篩材料、シリカゲル、イオン交換樹脂、活性アルミナ、粘土、塩類、ゼオライト、及びそれらの混合物から成る部類中から選択されたソーベントであるものがある。様々な実施の形態のうちには、前記少なくとも2つの電気的接続部及び前記少なくとも2つの開口が、溶着法により、前記第3の防湿性組成物によって密閉囲包されているものもあり、或いはまた、前記少なくとも2つの電気的接続部及び前記少なくとも2つの開口が、エポキシ接着剤またはその他の接着剤で接着することで、前記第3の防湿性組成物によって密閉囲包されているものもある。更に、その種の実施の形態のうちには、前記溶着法が、音波溶着法、超音波溶着法、スピン溶着法、熱板溶着法、及び振動溶着法から成る部類中から選択された溶着法であるものがある。また更に、様々な実施の形態のうちには、前記少なくとも2つの電気的接続部及び前記少なくとも2つの開口が、該少なくとも2つの電気的接続部及び該少なくとも2つの開口を覆うように前記第3の防湿性組成物が成形されることで、前記第3の防湿性組成物によって密閉囲包されているものがある。
【0018】
本発明の目的は、低コストで容易に製造することのできるランプアセンブリを提供することにあり、この目的は本明細書の開示に従って射出成形用樹脂材料にソーベントを配合することにより達成され、その配合によれば、ソーベントの吸着機能が維持され、樹脂材料の成形特性が維持され、機械的特性が強化され、また更に、防湿特性が向上することにより、構造を複雑化する原因となるシール材、ガスケット、フィラー材、それにポッティング材などを使用することなく長寿命化が達成される。
【0019】
本発明に関して本明細書並びに特許請求の範囲の記載に使用する「樹脂結合ソーベント組成物」という用語は、樹脂材料の結晶性が消失してソーベントと樹脂材料とが界面融和性を持つようになり、それによって界面張力が低下した結果、ソーベントが樹脂材料で濡れ、ソーベントと樹脂材料とが相溶化した組成物をいう。この「樹脂結合ソーベント組成物」という表現には、ソーベントが樹脂で固められているという意味に加えて更に、樹脂材料とソーベントとが結合しているという意味も含まれており、両者の結合は、例えばソーベントと樹脂材料との混合物を加熱することで達成されることもあり、或いはまた、適当な、即ち支障を生じることのない、カップリング剤、界面活性剤、または相溶化剤を添加することによって達成されることもあり、これについては後に更に詳細に説明する。また、「レジン/ソーベント・マトリクス材料」という用語中の「レジン(樹脂材料)」とは、母材を形成している樹脂材料を指していうものであり、一方、「ソーベント」とは、支障を生じ得るような物質を実質的に吸収または吸着する特性を有する材料をいうものであって、この「ソーベント」自体が高分子あるいは樹脂の材料であることもあり得る。
【0020】
本発明の新規であると考えられる特徴、並びに、本発明に独特の特徴的な構成要素については、特許請求の範囲に明記した通りである。また添付図面は、具体例を提示することのみを目的としたものであって、必ずしも正確な縮尺図にはなっていない。ただし、添付図面と共に以下の詳細な説明を参照することによって、本発明を、その組成物と方法との両方に関して明瞭に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係るアキュムレータの端面図である。
【図2】本発明に係るアキュムレータの部分断面側面図である。
【図3】従来例に係る冷却システムに用いられている、フィルタ部材と、乾燥剤バッグと、アルミニウム製取付部材とを示した分解図である。
【図4】図3に示した部品の側面図である。
【図5】本発明に係る組成物を用いて製作された、フィルタ部材と取付部材とを一体化したワンピース部品を示した図である。
【図6】図5に示した部品を乾燥剤バッグと共に使用する場合の両者の組付方を示した図である。
【図7】図5に示した部品をコンデンサー(冷媒の凝縮器)の頂部に配設した実施の形態の断面図である。
【図8】本発明に従って製作された、自動車用の冷却システムのアキュムレータにおけるセパレータ(冷媒の気液分離器)のバッフル部分を示した図であり、これは自動車用エアコンディショニングシステムのレシーバー(冷媒の貯留容器)などに用いられるものである。
【図9】図8に示したセパレータのキャップ部材を示した図である。
【図10】本発明の1つの実施の形態の断面図である。
【図11】本発明に係るランプアセンブリの1つの実施の形態の斜視図である。
【図12】図11のランプアセンブリの分解図である。
【図13】図11のランプアセンブリの、図11の13−13線に略々沿った断面図である。
【図14】図11のランプアセンブリの、図11の14−14線に略々沿った断面図である。
【図15】本発明のランプアセンブリの別の実施の形態の断面図である。
【図16】本発明のランプアセンブリの更に別の実施の形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
当業者には周知のごとく、「流体」という用語の定義は、物質の集合体であってその分子どうしが互いに相対的に流動可能であり、その流動に制約がなく、その流動によってその集合体に裂面を発生しないものをいう。「流体」という用語により叙述される物質のうちには、例えば液体、気体、それに蒸気などが含まれる。更に、本明細書において使用する「CO2放出性アニオンの塩」という用語は、炭酸よりも酸性度の強い酸と接触することによりCO2蒸気を発生する任意の塩をいうものであり、これに該当する塩には、例えば炭酸塩類や、重炭酸塩類などがある。また、本明細書においては、水蒸気が高密度ポリ塩化ビニリデンに浸透するのと同程度の小さな浸透性をもって不浸透性といい、一方、水蒸気が水膨潤性水不溶性のヒドロキシセルロースに浸透するのと同程度の大きな浸透性をもって実質的な浸透性という。本明細書で使用する「水膨潤性水不溶性ヒドロキシセルロース」という用語は、ヒドロキシ置換したセルロースであって、そのヒドロキシ置換のレベルが、15%までの水膨潤を可能とする程度に高く、水不溶性とし得る程度に低いものをいう。本明細書において使用する「蒸気浸透速度」という用語は、先に言及した浸透の速度をいうものであり、水以外の物質の蒸気即ち気体に関しては、この速度は高密度ポリ塩化ビニリデンないし水膨潤性水不溶性ヒドロキシセルロースの実際の浸透性の程度には影響されない。また、本明細書において使用する「浸透性」ないし「不浸透性」という用語は、材料を透過する流体が輸送され易いか否かをいうものであり、その輸送が、流体が材料の細孔を通過することによるものか、それとも流体が分子レベルで材料を通過するものであるかを問わない。
【0023】
ソーベントを樹脂材料に配合して、また特に、成形用樹脂材料に配合して、その配合したソーベントの吸着能力がそのまま維持され、且つ、その樹脂材料の成形特性が維持されて機械的特性の劣化が生じないようにするならば、それによってコスト並びに生産性の点で非常に望ましい組成物が得られる。のみならず、瞠目すべきことに、本発明に係る新規な成形用組成物、並びに、同組成物により製造された物品は、多機能性を有しており、即ち、構造材料ないし構造部材としての特性と、機械的特性と、吸着特性とを兼ね備えており、しかも、通常用いられている強化用添加材料を必ずしも必要としない。そのため、本発明に係る新規な成形用組成物は、強化用添加材料を配合しないものとすることも可能であり、そうした場合には、在来のソーベント含有成形用組成物と比べて、ソーベントの配合率をより高くすることができ、従ってより大きな吸湿能力を備えたものとすることができる。
【0024】
また、本発明に関連した思いがけない発見の1つとして、この「樹脂結合ソーベント組成物」の形態の成形用組成物に配合されたソーベントは、その吸湿能力を維持すると同時に、本発明の成形用組成物に対して強化作用も提供するという有益な効果をもたらしており、そのため、例えばガラスビーズやガラス繊維などの一般的に使用されている強化用添加材料を必要としないということがあった。その結果として、吸着用添加材料であるソーベントの配合率を高めることが可能となっており、更にそれによって、成形用組成物の機械的特性が大きく変化しないようにとの配慮をすることなく、成形用組成物の吸着特性を向上させることが可能となっている。
【0025】
本発明に関連した最も重要な発見といえるのは、樹脂材料に吸着用添加材料であるソーベントを配合して成る成形用組成物の機械的特性は、通常は必要とされるガラスビーズやガラス繊維などの強化用添加材料の添加を必要としないほど優れた機械的特性となし得ることであるが、ただし本発明に包含されるところの、樹脂材料にソーベントを配合して成る多機能性の成形用組成物には種々様々なものがあり、それら成形用組成物のうちには、吸湿能力及び機械的性能を強化するのに十分な量の吸着材料を配合すると共に、強化用添加材料をも併せて樹脂材料に配合して成る成形用組成物も含まれる。即ち、本発明が提供する成形用組成物のうちには、脱湿材料を配合することによってガラス繊維やガラスビーズなどの強化用添加材料の添加量を低減した成形用組成物も含まれる。このような配合とすることによって、成形法を用いて製造する物品の強度特性を劣化させるおそれなしに、成形用組成物の機械的特性を向上させることができる。更に具体的に述べるならば、ソーベント、強化用添加材料、及び樹脂材料の配合率の範囲は、ソーベントが約5〜約50重量%、強化用添加材料が約0〜約15重量%、そして樹脂材料が約45〜約95重量%とするとよい。更に、その成形用組成物を、発泡剤を配合したレジン/ソーベント・マトリクス材料とすれば、それによって、構造健全性を維持しつつ材料密度を約30%低減できることも判明した。
【0026】
本発明に関連した更なる発見として、本発明に係る樹脂含有組成物は、多少の制約はあるものの、様々な加工処理方法及び賦形方法を用いて加工処理及び賦形を施すことが可能であり、それら方法のうちには、例えば最新の高速射出成形法なども含まれ、それら方法によって完璧な機能を有する機能部品を製造することができ、例えば、様々な種類の密閉構造の装置やアセンブリの構成部品などを製造するという用途に用い得るものである。また、その種の用途に用いた場合には、本発明に係る樹脂含有組成物は、その構造材料としての特性並びに機能材料としての特性を発揮すると同時に、環境中の湿気やその装置ないしアセンブリに浸入した湿気を吸着し、それによって、その装置ないしアセンブリの構成部品のうち、湿気の影響を受けたならば例えば加水分解や腐食などを生じて劣化するおそれのある構成部品を防護することができる。
【0027】
以上の説明から明らかなように、本発明に係る樹脂含有組成物は、強化された材料であり、構造材料として用いることができ、しかも、射出成形用組成物として用いるのに適した材料であり、しかも、優れた機械的特性と、十分な溶融取扱容易性と、大きな吸湿能力とを備えた材料である。この樹脂含有組成物は、ソーベントを樹脂材料で結合して成る樹脂結合ソーベント組成物であり、その結合のための樹脂材料としては、殆どの熱可塑性樹脂材料を好適に用いることができ、そのような熱可塑性樹脂のうちには様々なホモポリマー類も含まれ、2種類以上のモノマーから成る様々なコポリマー類も含まれる。その代表例を挙げるならば、例えば、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン610、等々のポリアミド類がある。また、その他にも様々なものがあり、その幾つかを代表例として挙げるならば、例えば、高密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン類や、エチレンと酢酸ビニルとから成るコポリマー類、ポリスチレン樹脂、それに、PETなどのポリエステル樹脂がある。
【0028】
上でも言及したように、本発明の1つの局面によれば、本発明に係る組成物は、約5〜約55重量%のソーベントと残余の樹脂とから成る組成物とすることができ、より好ましくは、約25〜約45重量%のソーベントと残余の樹脂とから成る組成物とすることができる。更に好ましい組成物は、約35〜約42重量%の分子篩材料などのソーベントと残余の樹脂とから成る組成物である。特に好ましい組成物であるところの樹脂結合ソーベント組成物は、約60%のナイロン成形用樹脂材料(例えば、E.I.デュポン社が販売している「Zytel(登録商標)101」など)と、40%の分子篩材料(例えば、W.R.グレース社の「4A分子篩パウダー」など)とから成るものである。本発明に使用する分子篩材料は、例えば、その公称細孔サイズが4オングストロームで、その粒径範囲が約0.4〜約32μmのものなどである。ただし、これ以外の大きさの細孔サイズの分子篩材料を用いることも可能であり、例えば、細孔サイズが3オングストローム、5オングストローム、或いは10オングストロームの分子篩を用いるようにしてもよい。
【0029】
多くの場合、本発明に用いるのに適した所要の機能を備えたソーベントは、例えば前述の分子篩材料のように、特別の添加剤を添加せずとも樹脂材料に機械的に結合することのできるソーベントである。ただし、本発明に用いるソーベントは、必ずしもそのようなものだけに限られず、例えばカップリング材や相溶化剤などの適当な添加剤を添加することによって樹脂材料に結合させることのできるソーベントも用いることができる。従って、本発明に用いるのに適したソーベントの代表例を挙げるならば、分子篩材料の他に更に、シリカゲル、活性炭、活性アルミナ、粘土、その他の天然ゼオライト類、それにそれらの混合物なども挙げることができる。また、それらのうち、カップリング剤または相溶化剤と共に用いるのが適当であることが判明しているソーベントは、活性炭や活性アルミナなどである。
【0030】
相溶化剤としての役割を果たす添加剤には様々なものがあるが、それらは2つの種類に分類される。それら分類の一方は樹脂材料またはソーベントと結合する相溶化剤であり、他方は樹脂材料とソーベントとの双方に対して親和性を有するために固体界面活性剤として機能する相溶化剤である。また、反応性カップリング剤としては、例えばマレイン酸系化合物、エポキシ系化合物、それにシラン系化合物などがある。より具体的に、反応性カップリング剤の代表例を挙げるならば、例えばマレイン酸無水物をグラフトしたポリマー類などがあり、この種のポリマー類を反応性カップリング剤として用いる場合には、その配合料を約2〜約5重量%とすればよい。また、この種のポリマー類の具体的な代表例を挙げるならば、例えばマレイン酸無水物をポリプロピレンまたはABS樹脂にグラフトしたものがあり、特に、それをABS樹脂にグラフトしたものは、ソーベントをポリスチレン樹脂に結合させるためのカップリング剤として用いるのに適している。同様に、シラン系化合物に様々な機能基を結合したカップリング剤も好適に用いることができる。
【0031】
本発明のうちには、いわゆる非反応性相溶化剤を用いてソーベントと樹脂材料とを結合した組成物も含まれる。非反応性相溶化剤の代表例としては、金属類(例えば亜鉛やナトリウムなど)、アクリル酸化合物、ステアリン酸化合物、様々なブロックコポリマー類などが挙げられ、より具体的には、例えばステアリン酸亜鉛やステアリン酸ナトリウムなどをソーベントの量に対して約0.01〜約0.02重量%の添加率で添加するようにしてもよい。実際の添加率はソーベントの表面積に影響され、ソーベントの表面積はその粒子サイズに応じた大きさとなる。例えば、ソーベントとして平均粒子サイズが10μmの分子篩材料を用いてポリアミド樹脂を相溶化するための相溶化剤としてステアリン酸アルミニウムを用いる場合には、通常、その相溶化剤の添加率の開始値を100ppmとすればよい。反応性のものであれ非反応性のものであれ、カップリング剤または相溶化剤を樹脂母材中に添加することによって、相境界の形成を防止することができる。
【0032】
以上に説明した樹脂結合ソーベント組成物を本発明に従って調製する際には、当業者には周知の様々なプラスチック混練技法を用いることができる。好適なソーベントである分子篩材料を、例えばポリアミド樹脂やポリオレフィン樹脂などの選択した樹脂材料に混入するには、例えばパウダー状のソーベントと、その選択した樹脂材料のビーズとを、混練性能に優れたプラスチック押出機に供給する。樹脂材料とソーベントとの混練は、単軸押出機(シングルスクリュー押出機)でも十分に行える場合もあるが、一般的には、好適な樹脂結合ソーベント組成物を製造するためには、樹脂材料とソーベントとを混合した混合物に対して二軸混練を施す必要がある。また、二軸混練を施した場合でも、その混練後に相分離を発生することがあり得る。これまでに判明しているところによれば、ソーベントを略々完全に分散させるためには、そして、本発明の目的のうちの1つである優れた機械的特性及び物理的特性を備えた組成物を得るという目的を達成するためには、樹脂結合ソーベント組成物を製造する際の混練を、二軸押出機(ツインスクリュー押出機)を用いて、しかも大きなバックミキシングが発生するようにして行う必要がある。即ち、二軸押出機を用いて調製した樹脂結合ソーベント組成物は、その樹脂母材中でソーベントのマイグレーションが殆どまたは全く発生しないため、外観的均一性を有する樹脂結合ソーベント組成物が得られる。従って、本発明の樹脂結合ソーベント組成物を調製する際には、一般的に、二軸押出機を用いて混練を行うことによって、溶融状態の樹脂材料の全域にソーベントが混合される。尚、この混合物については、それを樹脂材料の融点以上の温度になるまで加熱して溶融状態とすることが必須要件であり、この混合物の温度は、DSC(示差走査熱量計)を用いて計測するとよい。従って、本発明の樹脂結合ソーベント組成物を調製する際には、樹脂材料の結晶性が完全に消失して樹脂材料中にソーベントが完全に混和するようになる温度にまで加熱すべきである。例えば、樹脂材料としてデュポン社の「Zytel(登録商標)101」ポリアミド樹脂を使用する場合であれば、262℃以上の温度にまで加熱するようにする。続いて、こうして樹脂材料が溶融した混合物を押出機から押出して冷却し、更に切断または破砕することによって、ペレットなどの粒状体とする。このように、混練が高温下で行われるため、以上に説明した処理工程の期間中にソーベントは湿気を吸着しない傾向があるが、そのため、成形法によってこの樹脂結合ソーベント組成物で部品が製造され、その部品が実地環境中に装備されるとき、ソーベントは吸着能力を保持している。
【0033】
本発明の樹脂結合ソーベント組成物を用いることで得られる更なる利点として、この樹脂結合ソーベント組成物では樹脂材料とソーベントとが緊密に結合するため、袋詰めした吸着材料を使用する吸着方式と比べて1グラムあたりの吸着能力が大きく、ひいては、単位体積あたりの吸着能力に優れているということがある。袋詰めしたソーベントを使用する従来方式では、例えば、冷媒に混入している水分を除去するために冷媒の流れの中に浸すソーベントが、その冷媒の流れに乗って袋から流れ出ることがないように、ソーベントをビーズ状にしておく必要がある。そして、そのためには、ソーベントに例えばパウダー状のバインダー樹脂を混合して、ソーベントをバインダー樹脂で固める必要があり、そのバインダー樹脂の通常の配合率はソーベントに対して15重量%である。従って、市販されている既製のビーズ状のソーベントを使用し、それを袋の中に40グラム詰める場合には、実際に装置に組込むことのできるソーベントの量は34グラムだけとなる(残りの6グラムはバインダー樹脂である)。これに対して、本発明の樹脂結合ソーベント組成物では、部品を形成する成形用樹脂含有組成物の中に直接的にソーベントを混入するため、余分なバインダー樹脂を必要としない。従って、本発明によれば、介在物であるバインダー樹脂を必要としないため、その分、袋詰めしたソーベントを使用する従来方式と比べて、ソーベントの配合率を高くすることできるという利点が得られる。
【0034】
以上に説明したように、樹脂材料にソーベントを添加して混練した本発明の混合物は、これを押出機から押出してシート状またはフィルム状にしてもよく、或いは、これを押出機から射出成形機へ供給して射出成形法により部品を製造するようにしてもよい。このようにして製造する部品の一例としては、例えば、自動車用エアコンディショニングシステムのレシーバー(冷媒の貯留容器)に組込まれるセパレータ(冷媒気液分離器)などがある。樹脂材料にケイ素系の材料を添加して強化した樹脂含有組成物の材料強度は、構造部材として機能し得る十分な頑健性を備えた成形部品の製造材料とするのに十分な強度である。そのため、かかる材料で製造した部品は、自立型の部品とすることができ、それゆえ冷却機構の金属製ないしプラスチック製の部品の現状の取付方式と同じ方式で取付けることができる。これに関しては、例えば図1及び図2を参照されたい。それらの図は、U字形チューブアセンブリ100の端面図及び部分断面側面図である。この実施の形態では、本発明の樹脂結合ソーベント組成物を用いて、ライナー即ちスリーブ110を形成したものであって、アキュムレータ容器130の中にU字形チューブ120が収容されている。この構成は、冷媒に接触するライナー110の内面をもって、脱湿手段としたものである。また、この実施の形態は、従来の「バッフル型」アキュムレータ(不図示)をこれに置き換えて使用することのできるものである。
【0035】
本発明に従って調製した樹脂含有組成物は、それを溶融状態のままで射出成形機へ供給して、射出成形法によりソーベントとしての機能を有する部品を成形するばかりでなく、それを一旦硬化させ、破砕するなどしてペレットとし、そのペレットを焼結することで、部品を成形することも可能である。この方法で成形する部品には、例えば空気を通過させることのできるワンピース部品である貫流型ドライヤー部品などがあり、そのような部品は、例えば、ハード・ディスク・ドライブ装置の電子回路の冷却用空気を濾過するフィルタ部材などとして用いられる。この場合、その部品は、射出成形法により成形されるのではないが、樹脂材料にソーベントを添加した混合物を混練した組成物により、型を用いて成形され、それによって、目的とする用途に適合した十分な空孔率を有する機能部品が製造され、この方法によれば、例えばレシーバー・ドライヤー・アセンブリ(冷媒の貯留容器と冷媒から水分を除去する脱湿器とが一体化されたアセンブリ)の部品などを製造することができる。
【0036】
本発明に係る樹脂結合ソーベント組成物より製造される部品は、特に、これまで複数の部品構成要素を組合せることで製造されていた部品の代替とするのに適したものである。例えば、冷却システムを構成している様々な構成部品に脱湿材料(ばら材料であった)を装備するための構造として、これまでに数多くの特別な構造が案出されている。例えば、ビーズ状または粒体状にした分子篩材料や酸化アルミニウム材料を、溶着または縫製により製作した袋に詰め、その袋を流路中に配設するようにした構造があった。また更に、特に固定設置型の冷却システムに用いる構造として、ビーズ状または粒体状の脱湿材料に適当な熱硬化性樹脂系バインダーまたはセラミック系バインダーを配合し、それを成形型の中で加熱して固めることにより、固形部品を製造するということも行われていた。こうして製造された固形部品は、例えば、脱湿材料ブロックとして用いられ、或いは、部分濾過フィルタ部材として用いられていた。また、それらの部品を用いる構造は、ハウジングの内部に構築されていた。しかしながら、この方式に用いられる部品は、複数の部品構成要素を組合せて構成される複雑な部品となっていた。これに対して、本発明は、脱湿材料の脱湿機能と部品に要求される構造材料としての機能とを結びつけて、それら両方の機能をワンピース構造の装置が提供できるようにするものである。
【0037】
例えば、本発明の具体的な用途のうちの1つに、自動車用エアコンディショニングシステムの冷却サイクルにおける、レシーバー(冷媒の貯留容器)と、ドライヤー(冷媒から水分を除去する脱湿器)と、コンデンサー(冷媒の凝縮器)とを統合した統合型装置を製造するための材料として用いるという用途があり、このような統合型装置は、近年ますます多くの自動車に採用されるようになってきている。自動車の冷却サイクルの構成要素であるこのような統合型装置においては、通常、コンデンサーに除湿機能を組込むようにしており、それは以下の理由によるものである。先ず、そうすることによって、冷却システムの構成部品の部品数が低減されるため、自動車のボンネット内の空間を効率的に利用できるようになる。また部品数の低減に伴って、取付具の個数、並びに、連結部の箇所数も減少するため、冷却システムに漏出が発生するおそれが低下する。更に、冷却効率に関する性能向上という効果も得られる。図3及び図4は、従来構造のシステムを示した図であり、この従来構造のシステムは、ネジ部が形成されたアルミニウム製のプラグ部材300と、Oリング305、306と、射出成形法により製作されたフィルタ部材310と、その中に脱湿材料を詰めるための脱湿材料バッグ320とを備えている。この従来構造のシステムを、射出成形法により成形された、プラグ部材とフィルタ部材とを一体化したアセンブリに代えるならば、例えば図5に示したように、ワンピース構造のプラグ/フィルタ部材500と、Oリング510とに代えることができる。また、そうした場合に、図6に示したように、そのプラグ/フィルタ部材500に脱湿材料バッグ600を取付けるようにしてもよい。図7は組付けを完了した装置の部分断面図である。
【0038】
更に詳しく説明すると、図7に示したように、装置700はコンデンサー710に隣接した位置に配設されている。装置700は脱湿材料バッグ720を備えており、この脱湿材料バッグ720はレシーバー・ドライヤー・チューブ730の中に収容されている。装置700は、その一端にフィルタ・チューブ740を備えており、このフィルタ・チューブ740の中に、プラグ部材とフィルタ部材とを一体化した部材であるネジ部付きプラグ/フィルタ部材750が収容されている。参照番号705で示したのはOリングである。プラグ/フィルタ部材750には、その連結部760に脱湿材料バッグ720が連結されている。この構造とすることによって、個々の部品同士を組付ける工程を不要化することができ、上で説明したアルミニウム製のネジ部を有するプラグ部材を使用する構造と比べて、部品構成要素の個数を減じることができる。
【0039】
本発明を用いた更に別の実施の形態を図8に示した。同図に示したのは自動車用の冷却システムのアキュムレータのアッパー部材800である。このアッパー部材800は、自動車用エアコンディショニングシステムのレシーバーに組込まれているセパレータ(冷媒の気液分離器)に取付けられる部材である。図8から明らかなように、アキュムレータのアッパー部材800の中にJ字形チューブ810が収容されており、このJ字形チューブ810はアキュムレータのアッパー部材800に取付けられている。この実施の形態ではアキュムレータのアッパー部材800とJ字形チューブ810との一方または両方を、成形法によって、本発明の樹脂結合ソーベント組成物で成形するものである。図9に示したのはアキュムレータのアッパー部材800の上にかぶせるキャップ900である。このようなアキュムレータ装置の好適な実施の形態では、アッパー部材800とキャップ900との両方を射出成形法により成形した後に、それらを互いに溶着するようにしてもよく、或いは、それらの半体を射出ブロー成形法により成形するようにしてもよい。また、このアッパー部材800がロアー部材(不図示)に組付けられることでアキュムレータが完成するが、そのロアー部材も、成形法により、本発明の樹脂結合ソーベント組成物で成形するとよい。
【実施例】
【0040】
本発明に係る樹脂結合ソーベント組成物の利点を明らかにするために、実験的に幾つかの実施例を製造した。それら実施例は以下の通りである。
【0041】
(実施例1)
試験試料とする樹脂結合ソーベント組成物を、特許請求の範囲に記載した発明に従って以下の作業手順により調製した。樹脂材料は、ペレット状のものを販売者から購入した。最も一般的なペレットは円筒形ペレットであり、その寸法は、直径が0.03〜0.12インチ(約0.8〜約3.0mm)であり、長さが0.06〜0.25インチ(約1.5〜約6.3mm)である。また、円筒形以外のものとしては涙滴形ペレットがあり、その寸法は、0.06〜0.19インチ(約1.5〜約4.8mm)である。樹脂材料に対する分子篩材料の配合率は、両者の重量比で表すようにした。樹脂材料と分子篩材料とをポリ袋の中に入れ、手作業で予備混合した(5〜15分間)。その予備混合した混合物を、ブラベンダー社製の単軸押出機のホッパーに投入した。この押出機のスクリューの作用により、樹脂材料と分子篩材料とはこの押出機のバレルの中を移動しながら更に混合され、溶融状態となった。こうして得られた樹脂結合ソーベント組成物を、押出機の末端部のシングルストランドダイ(円形の吐出孔が1個だけ形成されたダイ)から吐出させて、溶融状態の樹脂結合ソーベント組成物の1本のストランドを形成した。使用した樹脂材料はナイロン樹脂であり、このナイロン樹脂を溶融させるために262℃以上に加熱した。続いて、その溶融状態のストランドを空気中で放置して冷却した。冷却後にそのストランドを破砕して細片とした。その細片を射出成形機のホッパーに投入し、射出成形法により部品を成形した。製作した部品を破砕して細片とし、その細片を再び射出成形機に投入し、射出成形法により材料試験のための引張試験片(ドッグボーン形試験片)を形成した。尚、この実施例では単軸押出機を使用したが、上述のように、二軸押出機を用いて樹脂材料とソーベントとを混練するようにしてもよく、そのようにしたものも特許請求の範囲に記載した本発明の概念及び範囲に包含される。
【0042】
ここで選択した樹脂材料は、最近のエアコンディショニングシステムに用いられている冷媒(例えば「R−134a」、「R−152a」など)に接触しても支障を生じないことが判明している樹脂材料である。また、この樹脂材料は更に、流れている冷媒に混入するコンプレッサ用潤滑剤に接触しても支障を生じない樹脂材料である。乾燥剤として用いるソーベントには、在来のシステムに最も広く使用されているもの(例えば「3A分子篩」、「4A分子篩」など)と略々同じ特性のものを使用した。
【0043】
比較のために、強化用添加材料として広く用いられているガラスビーズを、この実施例のソーベントの配合率と略々同じ配合率で樹脂材料に配合した組成物を調製した。凝固時の収縮量を抑制し、また組成物の全領域において一様に機械的特性を向上させるために、溶融状態の樹脂材料にガラスビーズを混合する。この場合、成形後の材料構造が等方性を有するものとなるように、ガラスビーズが樹脂材料に機械的に結合することによってそれらの効果が得られる。
【0044】
表1に、実施例の樹脂含有組成物(樹脂結合ソーベント組成物)の機械的特性を、純粋樹脂材料の機械的特性、並びに、ガラスビーズで強化された樹脂材料の機械的特性と比較して示した。
【0045】
【表1】
【0046】
樹脂材料が強化されたことにより、硬度が上昇しており、またそれに伴って、引張変位及び曲げ変位が顕著に減少しているが、これらの変化はいずれも、樹脂材料が、より金属材料的になったことによるものである。そのため、引張弾性率及び曲げ弾性率も顕著に上昇している。ガラスビーズの配合により強化されたナイロン樹脂も、またソーベントの配合により(ガラスビーズは配合されずに)強化されたナイロン樹脂も、引張応力及び曲げ応力は殆ど変化していない。以上の発見における注目すべき重要な点は、ナイロン樹脂がソーベントで強化されることによってその特性が純粋ナイロン樹脂の特性から変化するときの変化と、ナイロン樹脂がガラスビーズで強化されることによってその特性が純粋ナイロン樹脂の特性から変化するときの変化とでは、変化の方向が同じであり、変化の大きさも略々同じであるということであった。更に、それらの配合によって、熱変形温度も上昇している。熱変形温度は耐熱性の尺度となるものである。熱変形温度という用語は、当業者に周知の用語である。熱変形温度は、材料が長時間に亘って高温に曝されるときの耐変形性能の指標値である。熱変形温度が上昇するということは、ソーベントで強化された樹脂材料を用いて成形法により製造される部品の使用可能温度が上昇することを意味している。
【0047】
更に、ソーベントの配合により(ガラスビーズは配合されずに)強化されたナイロン樹脂を成形用組成物として用いた場合には、その成形品の材料構造が等方性を有するものとなることも判明した。このことは、引張弾性率及び曲げ弾性率が方向によらず略々一定であるという事実によって証明された。またこのことは、成形型から取出した成形品の収縮率が非常に小さく且つ対称性を有しているという事実によっても証明された。
【0048】
(実施例2)
更なる実験として、使用する樹脂材料をポリプロピレン樹脂とした樹脂含有組成物(樹脂結合ソーベント組成物)の実験を行った。ポリプロピレン樹脂としてはハンツマン社の「ポリプロピレン6106」を使用した。ポリプロピレン樹脂もナイロン樹脂と同様に、冷媒に接触しても、またコンプレッサ用潤滑剤に接触しても支障を生じない樹脂である。ポリプロピレン樹脂の配合率は実施例1のナイロン樹脂の配合率と同様とし、即ち、ポリプロピレン樹脂を60%、「4A分子篩」を40%とした。この樹脂材料混合物を174℃以上に加熱した。こうして調製した樹脂含有組成物は、純粋ポリプロピレン樹脂と同様の優れた機械的特性を有していた。また、こうして調製した樹脂含有組成物の構造材料としての性能は、ガラスビーズの配合により強化された樹脂含有組成物の性能に近いものであった。表2に、この樹脂含有組成物の特性をまとめて示した。尚、表中の様々な値は、表1に記してあるASTM規格に従って測定した値である。
【0049】
【表2】
【0050】
ポリプロピレン樹脂が強化された結果として、硬度が上昇しており、更に、引張弾性率並びに曲げ弾性率も上昇している。これら3つの特性に関しては、ソーベントのみによる強化の方が、ガラスビーズによる強化よりも大きな強化効果を示していた。また、それらが変化したことに伴って、引張変位及び曲げ変位が減少しているが、これは材料の剛性が増大したことによるものである。実施例1の場合と同様に、ソーベントで強化されることによる効果と、ガラスビーズで強化されることによる効果とでは、効果の方向が同じであるが、ただし効果の大きさはソーベントによる強化の方が大きかった。引張応力及び曲げ応力は、ソーベントによる強化では僅かしか低下していない。これに対して、ガラスビーズによる強化では、それらがより大幅に低下している。樹脂材料としてポリプロピレン樹脂を使用する場合には、概して、ガラスビーズによる強化よりもソーベントによる強化の方が大きな効果が得られた。熱変形温度も上昇している。先にも述べたように、熱変形温度が上昇するということは、ソーベントで強化された樹脂材料を用いて成形法により製造される部品の使用可能温度が上昇することを意味している。
【0051】
また同様に、ソーベントにより強化されたポリプロピレン樹脂を成形用組成物として用いた場合には、その成形品の材料構造が等方性を有するものとなることも判明した。このことは、引張弾性率及び曲げ弾性率が方向によらず略々一定であるという事実によって証明された。また、このことは、成形型から取出した成形品の収縮率が非常に小さく且つ対称性を有しているという事実によっても証明された。
【0052】
(実施例3)
表3から明らかなように、ソーベントにより強化されたナイロン樹脂は、そのメルトフローインデックスの値が、純粋ナイロン樹脂と比べても、またガラスビーズにより強化されたナイロン樹脂と比べても低い値となっている。ただし、低い値ではあるものの、そのメルトフローインデックスの値はなお実用的な範囲内にあり、ポリプロピレン樹脂の場合と比べれば高い値となっている。ソーベントの配合により強化されたポリプロピレン樹脂のメルトフローインデックスの値は、純粋ポリプロピレン樹脂と比べても、またガラスビーズにより強化されたポリプロピレン樹脂と比べても高い値となっている。
【0053】
【表3】
【0054】
(実施例4)
部品の吸湿能力に関しては、部品重量の何%に相当する量の水分を吸着できるかという吸着水分率が重要である。これを示したのが表4である。分子篩材料を実際に使用するときの吸着水分率は、その分子篩材料の重量の約25%と見積もられる。従って、分子篩材料の配合率を40%とした樹脂含有組成物は、その樹脂含有組成物の重量の10%に相当する量の水分を吸着する能力を有すると考えるのが合理的である。しかるに、樹脂材料としてナイロン樹脂を使用した場合には、相対湿度(RH)が90%の環境中での吸着水分率が13%に達している。ただし、80%RHの環境中での吸着水分率は10%に近い値となった。このような結果が得られたのは、おそらく、ソーベントが水分を吸着することに加えて、ナイロン樹脂それ自体も幾分かの水分を吸着することによるものと思われる。部品全体としての吸着水分量が10%を超えているということは、ソーベントが、ナイロン樹脂を強化する機能を果たしていることに加えて、ナイロン樹脂中に分散した状態にあっても尚、その本来の吸着剤としての機能を完全に維持していることを示すものである。この場合、実際にソーベントはナイロン樹脂との相乗作用をもたらしており、それによってそれら2つの機能を同時に提供しているのである。尚、表4に示した吸着水分量の測定値は、ソーベントである分子篩材料の配合率を36〜38%とした場合の値である。
【0055】
【表4】
【0056】
ポリプロピレン樹脂は疎水性樹脂であるため、ナイロン樹脂と比べて吸湿進行速度がはるかに緩慢である。しかしながら、それでも尚、ソーベントが配合されたポリプロピレン樹脂は、吸着材料として十分に機能すると同時に、成形用樹脂含有組成物としても十分に機能するものとなっている。
【0057】
本発明が適用可能な用途としては更にその他の数多くの用途が存在する。それら用途のうちには、エアコンディショニングシステムや冷却システムの部品ないし構造部材であって、樹脂結合ソーベント組成物で製造することのできる様々な部品ないし構造部材に用いるという用途がある。上述のように、その種の部品ないし構造部材の具体例としては、全体を二分割した2つの半体部品が射出成形法により成形されてそれら半体が溶着されることにより製造され、或いは、全体がブロー成形法により製造される、J字形チューブがある。また更に、スリーブライナー、内部部品または内殻部品のコーティング層、共射出成形法により製造される複合構造部材、それに、インサート成形法により製造されるフィルタ・ドライヤー・アセンブリなどがある。診断に関連した用途としては、試験片基板、イー・トランス・ケースのためのケースまたは支持部材、それに、診断用機器の収容容器またはその収容容器の構成部品などがある。医薬品関連用途としては、錠剤容器の構成部品(容器底板、容器蓋板、容器本体など)、錠剤容器に装着される装着部品(底板支持部品、錠剤の取出しを容易にするための容器口部装着部品など)、それに、薬剤を1回用量分ずつまたは1回用量分の半量ずつ小分けにして収容するプリスターパッケージなどの薬剤用小分けパッケージに用いる単層熱成形用シートまたは多層熱成形用シートのうちの1層とする用途などがある。更に、医薬品容器として用いられている一体成形品の円筒形容器をこの樹脂結合ソーベント組成物で形成するようにするのもよく、そうすれば、これまでは粒子状の乾燥剤を収容して使用していた中空容器の代わりに、単にその樹脂結合ソーベント組成物で形成した円筒形容器に使用することができる。また、電子デバイスや光電子デバイスに関連した用途として、完全ユニット型の通気機構のフィルタボディ、暗視システムの撮像装置の内部部材、それに、リアビューカメラのボディの内部部材などを形成するために用いるなどの用途がある。
【0058】
容易に理解されるように、密閉構造の機器類や密封型包装材などの分野には、樹脂材料にソーベントを添加して成る射出成形用組成物の潜在的用途が数多く存在している。また更に、これも当然理解されることであるが、押出成形法は射出成形法より条件の緩やかな技法であるため、樹脂材料にソーベントを添加して成る射出成形用組成物は、押出成形法によって、棒材やチャンネル材などの一定断面を有する型材とすることも可能である。
【0059】
以上に説明した様々な樹脂結合ソーベント組成物、並びに、以下に説明する様々な樹脂結合ソーベント組成物は、いずれも、従来の材料に付随していた短所を払拭することのできるものである。詳細には、本発明に係る材料は従来の材料より脆弱性が小さく、例えば本発明に係る樹脂結合ソーベント組成物で製造した部品は欠損なしで落下試験に合格する。また、本発明に係る樹脂結合ソーベント組成物で製造した部品は、緩やかな吸着速度で流体を吸着するため、その機能寿命が長い上に、製造環境から受ける影響が最小限に抑えられ、多少の時間をかければ吸着機能を回復することも可能である。更に、本発明に係る樹脂結合ソーベント組成物で製造された部品は、吸着材料としての特性と構造部材としての特性とを兼ね備えた部品であることから、1つのアセンブリを構成するために要する部品数を低減することができ、すなわち、1個の部品が2つの機能を果たすことができるためにコスト低減を実現することができる。また、本発明に係る樹脂結合ソーベント組成物は、レジン/ソーベント・マトリクス材料であり、このレジン/ソーベント・マトリクス材料は、製造にかかるコスト並びに使用にかかるコストが低廉であり、それらコストが低廉であるのは、広く一般的に用いられている樹脂材料を使用できること、少ない工程数の製造工程で製造できること、それに、相境界を形成しない複数の樹脂材料を混合して使用できることによるものである。更に、これまで使用されていた金属製のハウジングを、本発明の樹脂結合ソーベント組成物で製造されたハウジングに置き換えるならば、それによって、水分などの流体の浸入を防止するアクティブ・バリヤ機能が得られるため、設計自由度が増大し、軽量化が可能となり、更には上で述べたようにコスト低減も可能となる。
【0060】
回路基板上の電気接続を行うために、回路基板を加熱してハンダを溶融させてリフローさせるときには、回路基板の形成材料の内部に水分が吸着されることにより、回路基板が損傷することがある。そこで、本発明の1つの実施形態として、回路基板を樹脂結合ソーベント組成物で形成するようにするのもよい。回路基板の形成材料にソーベントが混入されていれば、それによって回路基板を乾燥状態に維持することができるため、ハンダのリフローに際して回路基板が損傷するおそれを皆無にまたは顕著に低減することができる。また、密閉構造のハウジングを備えた電子デバイスでは、その回路基板を樹脂結合ソーベント組成物で形成するようにすれば、それによって、密閉構造のハウジングに収容されているその回路基板以外の部品を、その電子デバイスの使用寿命の全期間に亘って防護することができる。
【0061】
別の実施の形態として、本発明の樹脂結合ソーベント組成物を用いて、プレス加工やオーバーモールド成形を施した多様な成形品を製造するのもよい。この実施の形態では、先ず、樹脂結合ソーベント組成物に、プレス加工法、焼結法、または成形法などによって加工を施して、所要の形状に賦形する。尚、プレス加工法を実施する際に加熱するようにしてもよく、成形法を実施する際に高圧で加圧するようにしてもよい。続いてその賦形した樹脂結合ソーベント組成物の表面に、オーバーモールド成形法によって、構造体の保護のための樹脂材料層を成形し、その樹脂材料層によって、賦形した樹脂結合ソーベント組成物の表面の少なくとも一部を被覆する。オーバーモールド成形法により成形する樹脂材料層には、密閉状態の電子デバイスまたはデータ・ストレージ・デバイスの内部に固定ないし装着するためのタブ部などを成形しておくのもよい。上述の実施の形態と同様に、この実施の形態で使用するソーベントも、保護しようとしている電子デバイスないしデータ・ストレージ・デバイスの寿命を損なうおそれのある水分ないしその他の粒体を吸着することのできるものであれば、いかなる種類の乾燥剤ないしいかなる種類の揮発性物質吸着剤であってもよい。また、この実施の形態において、オーバーモールド成形法により成形する樹脂材料層に用いる樹脂材料は、所要の特性を有し、且つ、保護しようとしている密閉構造の電子デバイスないしデータ・ストレージ・デバイスに悪影響を及ぼさない、適当な熱可塑性または熱硬化性の樹脂とすることができる。
【0062】
更に別の実施の形態として、本発明の樹脂結合ソーベント組成物を用いて、光デバイスないし光電子デバイスの構造部品を形成するのもよい。その具体例として、例えば、レンズ、レンズ取付部材、レンズ保持リング、アパーチャ画成部材、ハウジング、等々の部品を樹脂結合ソーベント組成物で形成し、そのようにして形成した部品を、既存の部品が用いられたのと同様にして、これらデバイスに組込むようにすればよい。この実施の形態によれば、樹脂結合ソーベント組成物によって、これらデバイスの内部の結露が防止される。これらデバイスの内部に結露が生じるようなことがあると、レンズなどの光学部材の表面が曇るために、画質が劣化するおそれがある。更に、使用するソーベントを、例えば特定の含水量をこえたならば色が変化するような、含水量指示型ソーベントとすれば、それによって、その部品の吸湿能力がまだ持続しているか否かについてのその部品の状態を目で見て容易に判断することができる。また、そのような含水量指示型ソーベントを使用する場合には、ユーザがその部品の色の変化を見ることができるように、そのデバイスに窓を形成するとよく、そうすれば、ユーザはその窓を通して、その色の変化を見ることで、その部品を交換する必要があることを知ることができる。
【0063】
更に別の実施の形態として、本発明の樹脂結合ソーベント組成物を用いて、それまで利用されていなかった空きスペースだけを利用してソーベントとしての機能を発揮させる部品を形成するのもよい。これによって、既存の機器類のハウジングなどの筐体の内部空間を増大させることなく、その機器類にソーベントを組込むことが可能となる。例えばハード・ディスク・ドライブ装置のハウジング内の空きスペースは、通常、極めて僅かなスペースでしかないが、それでも尚、そのハウジング内の環境を適切なものとして長寿命を確保するためにはソーベントの吸着機能を組込むことが望まれる。この実施の形態では、ハード・ディスク・ドライブ装置の内部部品を、補強機能と吸着機能との両方の機能を有するソーベントを使用した樹脂結合ソーベント組成物で形成した部品に置き換えてもよく、或いは、上で説明したように、オーバーモールド加工法を用いて製作した多様な成形品をハード・ディスク・ドライブ装置に組込むようにしてもよい。また、他の実施の形態と同様に、この実施の形態に使用するソーベントも、乾燥剤、揮発性有機物質吸着剤、揮発性酸性物質吸着剤、それに脱酸素剤などとすることができる。
【0064】
電子機器類のうちには、例えば航空宇宙環境などの非常に過酷な環境中で用いられるものがある。航空機と航空宇宙分野においては、航空電子システムや通信システムなどに非常に多くの多種多様な電子機器類が使用されている。湿気やその他の様々な揮発性物質が、これら電子機器類の寿命に悪影響を及ぼすおそれがある。例えばセンサ、トランスミッタ、アンテナ、レーダ装置などのように、機外に装備される様々な電子機器類は、特に湿気が浸入するおそれが大きく、それは、温度及び圧力の変動によってこれら電子機器類のハウジングの中で水分の蒸発と再凝縮とが生じることがあるからである。また、機内に装備される様々な電子機器類も、動作状態が変動することに伴う温度変動により障害を発生する可能性がある。従って、この種の電子機器類に組込まれる部品を本発明の樹脂結合ソーベント組成物で製作することは、非常に有益である。
【0065】
同様に、自動車用の電子機器類も様々な環境中で使用され、その使用環境は、例えば砂漠から山頂、更にはツンドラに至るまで実に様々である。自動車用の電子機器類のうちには、乗用車やトラックの車外やボンネット内に装備されるものがあり、そのようなものには、例えば、バックアップ用暗視カメラや、検出ないし制御のための様々な回路機器類が含まれる。そこで、そのような自動車用の電子機器類のハウジングや内部部品を樹脂結合ソーベント組成物で形成するとよく、そうすれば、湿気の浸入を防止することや湿気の浸入の影響を緩和することが可能となる。更に、電子制御式の制動システムにも、湿気の浸入から防護するための手段を講じるのがよく、なぜならば、電子制御式の制動システムは極端な温度条件に曝されるからである。例えば、ブレーキフルードは吸湿性の高い液体であり、しかも様々な電子制御機器と接触している。ブレーキフルードの温度は、例えば長い坂道を下るときのように大負荷の制動条件下におかれると、例えば冬季の外気温である0℃であったものが極めて短時間のうちに350℃にまで上昇することもある。ブレーキフルードに湿気が浸入するのを防止することによって電子制御機器を長寿命化することができるばかりでなく、安全条件も高レベルに維持することができる。安全条件について述べると、ブレーキフルードは混入水分量が増大すると沸点が低下するため、通常の動作状態において、液体であったブレーキフルードが気化して制動力が殆ど失われるという事態に陥るおそれがあるのである。同様に、船舶ないし舟艇、RV(レクリエーション用自動車)、ATV(全地形対応車)、それに軍用不整地対応車などに装備される計器類や電子ディスプレイ類も過酷な環境に曝されるものであり、それゆえ本発明を適用することにより大きな利益が得られる。特に、海洋用途及び潜水用途では、電子機器類が、腐食を加速する電解質水溶液に曝されることになる。同様に、自動車用の機器類や海洋関連の機器類も、これら機器類に組込まれる部品を本発明の樹脂結合ソーベント組成物で製作することが有益である。
【0066】
例えば、光検出センサ、モーションセンサ、感熱センサ、それに防犯カメラなどの、監視用ないし保安用の様々な機器類は、広範な温度範囲及び湿度範囲に亘って高い信頼性をもって動作するものでなければならない。例えば、ニューヨーク州、バッファロー市に所在の、ある銀行の屋外に設置されている防犯カメラは、37℃という高い外気温に曝されることもあれば、−23°という低い外気温に曝されることもあり、また相対湿度に関しては、上は95%から下は20%までの範囲内の湿度に曝されている。従って、これら機器類のハウジングや内部部品を本発明に係る樹脂結合ソーベント組成物で形成することは、これら機器類を長寿命化する上で非常に有益である。
【0067】
電子機器類が多用されているその他の過酷な環境としては、有害化学物質の製造環境及び使用環境がある。センサ類、制御機器類、それにスイッチ機器類をそのような環境中で使用するためには、これらの機器類を有害蒸気及び/または腐食性蒸気から防護しておく必要がある。そこで、これらの機器類のハウジングや内部部品を樹脂結合ソーベント組成物で形成し、しかも、その樹脂結合ソーベント組成物に用いるソーベントを、例えば、乾燥剤、活性炭、ゼオライト、粘土、有機ソーベントなどの適当なソーベントとすれば、それによって、これらの機器類を長寿命化することができる。同様に、生産現場で使用されているパーソナルコンピュータ(PC)及びプログラマブルロジックコントローラ(PLC)も、例えば高湿度環境などの過酷な生産現場環境において良好に動作し得るものでなければならない。従って、このような環境中で使用されるPCやPLCは、そのハウジングや内部部品を本発明に係る樹脂結合ソーベント組成物で製作することによって、長寿命化することができる。
【0068】
電子機器類が次第に多用されつつあるその他の過酷な環境としては、ヒトの体内環境があり、そのような環境で使用される電子機器類には、植込型医用電子デバイスや身体装着型医用電子デバイスなどがある。これらの医用電子デバイスは、湿った、塩分のある環境中で、即ち、かなり腐食性の強い環境中で、高い信頼性をもって継続的に機能し続ける必要がある。これらの医用電子デバイスは、そのハウジングや内部部品を適当な樹脂結合ソーベント組成物で製作することによって、乾燥状態に維持することができ、長寿命化することができ、そして、信頼性を向上させることができる。植込型及び身体装着型の医用電子デバイスの他に、医用診断機器なども、高い信頼性をもって動作可能な状態に維持する必要があり、そのためには例えば乾燥状態に維持する必要がある。従って、そのような機器も、本発明を適用してそのハウジングや内部部品を形成することが、特に有益なものである。
【0069】
移動体通信デバイス並びに固定通信デバイスもまた、有害で過酷な環境に曝されるデバイスである。これらデバイスのハウジングの内部を乾燥状態に維持することによって、端子及びスイッチ機構を長寿命化してメンテナンスを軽減することができる。従って、これらデバイスは、そのハウジングや内部部品を本発明の樹脂結合ソーベント組成物で形成することによって、乾燥状態に維持することができ、もって、漏れ電流を低減し、短絡が発生するおそれを低減し、デンドライトの形成を阻止し、電解腐食や化学腐食を防止することができる。更に、適当なソーベントを選択することによって、湿気の吸着に加えて、ハウジング内に存在するその他の揮発性物質にも対処することができる。
【0070】
その他の様々な電子機器類のうちにも、解決しなければならない問題を有する電子機器類が多々存在しており、そのような電子機器類として、例えばソーラーパネルや昼夜検出センサなどがある。市販されている太陽電池設備のうちには、その略々全体がガラス材料から成る平板状のパネルを備えたものがある。そのパネルは表面に光反応性物質がコーティングされており、この光反応性物質は湿気の影響を受けると劣化する。また、そのような2枚のパネルが二重ガラス窓の2枚のガラス板のように向かい合わせに組合わされており、それら2枚のパネルの間の空間は密閉されている。その空間を密閉するために、組合せた2枚のパネルの周縁部にシール材を装着することもあり、或いは、組合せた2枚のパネルを枠体に装着することによってその空間を密閉することもある。更に、そのパネルには、電気的接続のための孔や開口が形成されており、それら孔や開口も封止しなければならない。そこで、その枠体を製作するための構成材や、その電気的接続のための接続部品を、湿気の影響を受けると劣化する上に破損し易いソーラーパネルを保持し且つ保護するために必要な機械的強度とソーベントとしての吸着能力とを共に提供することのできる、樹脂結合ソーベント組成物で製作するとよい。
【0071】
無線識別デバイス(RFIDデバイス)は、半導体チップと、それに付随する回路とで構成されるデバイスである。また、回路基板として種々のものが使用されているが、特にプリント回路基板が多用されている。RFIDデバイスは、有害環境中で使用されることも少なくなく、その場合に、RFIDデバイスは、また特に有機材料を使用したRFIDデバイスは、湿気、酸素、揮発性化学物質などの影響を受けて劣化するおそれがある。そこで、RFIDデバイスの改善策として、RFIDデバイスの支持構造部品やハウジングの製作材料を、ソーベントを添加して特性を増強した樹脂材料とし、そのソーベントとして例えば乾燥剤や脱酸素剤などを用いるとよく、そうすることによってRFIDデバイスを長寿命化することができる。
【0072】
発光ダイオード(LED)並びに液晶ディスプレイ(LCD)は、湿気に敏感な材料から製造される。特に、有機材料を使用したLEDやLCDなどは、顕著に湿気の影響を受ける。これまでにも、薄膜状またはシート状の吸湿性材料を液晶ディスプレイに装備することによって、この点を改善して長寿命化を図るということが行われていた。しかるに、本発明によれば、その種のデバイスの支持構造部材やシール材を、樹脂結合ソーベント組成物で形成した支持構造部材やシール材に置き換えることによって、防湿機能を提供してデバイスを長寿命化することができ、しかも、以前の支持構造機能やシール材が担っていた機能をそのまま肩代わりすることができる。また同様に、フレキシブル電子ディスプレイなども、顕著に湿気の影響を受けるデバイスである。フレキシブル電子ディスプレイの製造材料のうち、湿気の影響を受けて劣化するのは発色材料であり、それゆえ、フレキシブル電子ディスプレイの内部に、樹脂結合ソーベント組成物で形成した部品を組込むことで、発色材料の安定化を図るようにするとよい。
【0073】
家庭用照明器具や自動車用ヘッドランプなどのような旧来型の照明機器も、本発明を適用することが有益である。即ち、本発明を適用することにより、レンズの表面などの結露を防止することができ、それによって電球などの構成要素を長寿命化することができ、更に、結露による反射光の損失も回避することができる。
【0074】
樹脂材料製パッケージに封入された表面実装型固体電子デバイスは、必ずしも密閉状態にあるとは見なせず、それは、そのパッケージの樹脂材料が透湿性を有するからである。このことに関する根本的な問題として、ハンダリフロー工程において樹脂材料中の含有水分の水蒸気圧が変化するためにパッケージが損傷するおそれがあるということがあり、例えば、それによってパッケージに、剥離、亀裂、漏入、それに「ポップコーン状変形」などが発生するおそれがある。これまで、湿気の影響を受けにくくするための手段として、材料を適切に選択すること、パッケージの構造を適切に設計すること、それに、問題を生じにくい製造工程を選択することなどが行われていた。しかるに、本発明の樹脂結合ソーベント組成物でパッケージを製作するならば、組成物中のソーベントが吸湿して飽和状態になるまでの間、湿気の浸入を防止して事実上の密封状態を維持することが可能となる。そうすることが有効な電子デバイスの具体例としては、例えば、高周波電子デバイス、無線通信用電子デバイス、ローカルエリアネットワーク(LAN)用電子デバイス、それにブロードバンド通信用電子デバイスなどがあり、また、電子回路チップを回路基板に搭載するための搭載用パッケージに適用しても有効であり、更には、それらのみに限定されずその他にも数々の有用な用途が存在する。
【0075】
先の説明でも言及したように、撮像デバイスには、部品の劣化とはまた別の問題も付随している。その問題とは、湿気の存在と温度の変動とが組合わさると、撮像デバイスのレンズや撮影窓部材の表面に結露が生じるおそれがあるということである。それらの箇所に結露が生じると、たちまち画質が劣化して、場合によっては撮像デバイスが機能を失うことにもなる。そのため、撮像デバイスの使用環境が高湿度でしかも温度が変動する環境である場合には、湿気を抑制する手段を講じる必要があることが知られている。そこで、例えば、レンズ保持リング、アパーチャ画成部材、ハウジングなどの部品を樹脂結合ソーベント組成物で製作し、それをアセンブリに組込むようにすれば、その組込んだ部品が、支持構造部材としての機能だけでなく、更にソーベントとしての吸湿能力も発揮することになる。このようにすることが有用な光デバイスには、物体の認識及び/または検出を行うためのデバイスなどがあり、その具体例を挙げるならば、例えば、標的を捕捉して標的への誘導を行うためのセンサないしシステムがある。このような標的捕捉誘導システムにとっては、レーザなどを利用した検出デバイスが決定的な重要性を有しており、それゆえ、検出デバイスの光学性能は最高レベルに維持されている必要があり、即ち、光学部材の表面に結露が生じることは許されない。
【0076】
本発明に係る樹脂結合ソーベント組成物は、吸着能力を提供するソーベントに加えて更にその他の材料を併せて配合して多機能性材料とするのもよく、例えば、静電気消散材料(導電性材料)を配合すれば、それによって湿気抑制機能と共に帯電防止機能を兼ね備えた多機能性材料とすることができる。そして、このような多機能性材料は、上で説明した電子回路関係の様々な用途に使用すれば、吸湿と静電気消散との両方を行わせることができる。
【0077】
図10に示したのは、本発明の1つの実施の形態に係る装置11の断面図である。装置11はハウジング12を備えており、このハウジング12は、第1壁部14と、第2壁部16と、肩部18とを備えている。上で説明した実施の形態と同様に、ハウジング12それ自体を樹脂結合ソーベント組成物で製造するようにしてもよく、そうすることで粒体の浸入速度を緩慢にすること、或いは、流体の浸入を防止することが可能となる。肩部18は、レンズ20を装着するための装着部を提供しており、第1壁部14は、ソーベント部材22を取付けるための取付部を提供しており、第2壁部16は、複数の絶縁支柱部材24を植設するための植設部を提供している。それら複数の絶縁支柱部材24を介して回路基板26がハウジング12に固設されている。ソーベント部材22は、ソーベント28の表面にオーバーモールド樹脂層30を被着して製造された部品である。オーバーモールド樹脂層30には複数のタブ部32が形成されており、それらタブ部32が止着部材34によって第1壁部14に止着されることで、このソーベント部材22が第1壁部14に固定されている。前述の実施形態と同様に、回路基板26もまた樹脂結合ソーベント組成物で製作するようにしてもよく、そうすることでハウジング12の内部においてソーベントとしての機能を発揮させることができる。この装置11は更に、ガスケット36と保持リング38とを備えている。ガスケット36は肩部18とレンズ20との間に介装されており、保持リング38はガスケット36方向に押圧力を作用させて、それによってガスケット36を圧縮している。このガスケット36の圧縮によってハウジング12が封止されており、内部への流体の浸入が防止されている。更に、ガスケット36、保持リング38、及び/または、レンズ20も、樹脂結合ソーベント組成物で製造するようにしてもよく、そうすることで、流体の浸入を防止する機能が更に高められる。この装置11は更に、アパーチャ画成部材40を備えており、このアパーチャ画成部材40はレンズ20と回路基板26との間に配設されている。アパーチャ画成部材40も、樹脂結合ソーベント組成物で形成するようにすることができ、そうすればソーベントによる吸着能力が更に付加される。ここではアパーチャ画成部材40を樹脂結合ソーベント組成物で形成することについて述べているが、当業者には容易に理解されるように、装置11に組込むその他の部品ないし部材を樹脂結合ソーベント組成物で形成するようにしてもよく、例えば、バッフル部材、止着部材、絶縁支柱部材などを樹脂結合ソーベント組成物で形成することができる。表面実装デバイス42が、回路基板26の電気的接続部44に接続されて回路基板26に固定されている。更に、この表面実装デバイス42は封入体46を備えている。一般的に、封入体46の材料は、ある種の流体によっては浸透性を有するものであるため、表面実装デバイス42は密閉封止されているとは見なせない。それゆえ、この封入体46を樹脂結合ソーベント組成物で形成するようにするとよく、そうすれば、表面実装デバイス42を密閉封止状態とすることができる。
【0078】
当業者には容易に理解されるように、本発明に係る装置11の具体的な構成、並びに、本発明に係る装置11の様々な構成要素の具体的な構成は、図10に示した実施の形態のものに限定されない。例えば、ハウジング12は、レンズ20及び/またはアパーチャ画成部材40を備えない構成として、完全密閉状態の容器としてもよい。従って、ある装置11の様々な構成部品のうちの少なくとも1つの構成部品が樹脂結合ソーベント組成物で形成されているならば、その装置11は本発明の概念及び範囲に包含されるものであり、また、樹脂結合ソーベント組成物で形成される構成部品は、例えば、レンズ、回路基板、ハウジング、筐体、フレーム、支持構造部材、取付構造部材、保持構造部材、シール材、表面実装固体デバイス、電子チップパッケージ、通信端末、通信用交換装置、データ・ストレージ・デバイス、電子デバイス、電子光学デバイス、スコープ、センサ、トランスミッタ、アンテナ、レーダ装置、光電池デバイス、無線識別デバイス、発光ダイオード、液晶ダイオード、半導体封入体、撮像デバイス、照準器、携帯電話端末、目標捕捉誘導センサ、植込型医用電子デバイス、身体装着型医用デバイス、移動体通信デバイス、固定通信デバイス、自動車用検出回路、自動車用制御回路、制動制御システム、有害化学物質センサ、有害化学物質制御機器、計器類、電子ディスプレイ、パーソナルコンピュータ、プログラマブル論理演算装置、医用診断機器、光センサ、運動センサ、熱センサ、防犯カメラ、フレキシブル電子デバイス、照明器具、海洋計器類、海洋照明機器、航空機用機外取付型検出機器、航空機用機外取付型監視機器、航空機用機外取付型計測機器、動力工具用検出機器、動力工具用照準機器、動力工具用計測機器、レーザ装置及びそれらの組合せから成る部類中から選択された構成部品とすることができる。
【0079】
図11は、本発明に係るランプアセンブリ50の1つの実施の形態を示した斜視図であり、図12はこのランプアセンブリ50の分解図である。図13は図11の13−13線に略々沿ったこのランプアセンブリ50の断面図であり、図14は図11の14−14線に略々沿ったこのランプアセンブリ50の断面図である。図15は本発明に係るランプアセンブリの別の実施の形態(即ち、ランプアセンブリ52)の断面図であり、図16は本発明に係るランプアセンブリの更に別の実施の形態(即ち、ランプアセンブリ54)の斜視図である。以下の説明は、これらの図11〜図16を参照することによって明瞭に理解し得るものである。
【0080】
ランプアセンブリ50は少なくとも1つの光源(図示例では複数の光源56)を備えている。この少なくとも1つの光源は、例えばLEDであってもよく、その他の種類の光源であってもよい。いかなる種類の光源を使用した実施の形態も、特許請求の範囲に記載した本発明の概念及び範囲に包含されるものである。更に、その少なくとも1つの光源は、実装基板(図示例では回路基板57)に搭載するようにしてもよく、或いは個別に配設するようにしてもよい。ランプアセンブリ50は更に、第1の防湿性組成物で形成されたハウジング58と、第2の防湿性組成物で形成された封止キャップ60とを備えている。前記少なくとも1つの光源(図示例では光源56)は、ハウジング58の中に配設されており、封止キャップ60は、このハウジング58と少なくとも1つの光源とに密封接合されている。図示例のように、様々な実施の形態のうちには、封止キャップ60が、前記少なくとも1つの光源をその中に収容するように形成された少なくとも1つの孔(図示例では複数の孔61)を備えたものがある。封止キャップ60は、ハウジング58とこの封止キャップ60とで画成された空間62の中に前記少なくとも1つの光源を封入するように構成されている。更に、これも図から明らかなように、ランプアセンブリ50が、前記少なくとも1つの光源から発せられる光の光路を制御するためのレンズ63を備えているようにしてもよく、ただし、このレンズ63は本発明に特別の関連を有するものではない。
【0081】
図面に示した実施の形態では、前記第1の防湿性組成物は第1の樹脂材料と第1のソーベントとの混合物を含み、前記第2の防湿性組成物は第2の樹脂材料と第2のソーベントとの混合物を含むものである。ただし、それら防湿性組成物に関しては、様々な実施の形態とすることができる。例えば、第1の樹脂材料と第2の樹脂材料とを同一材料とすると共に第1のソーベントと第2のソーベントとを同一材料としてもよく、また、第1の樹脂材料と第2の樹脂材料とを異なる材料として第1のソーベントと第2のソーベントとを同一材料としてもよく、また、第1の樹脂材料と第2の樹脂材料とを同一材料として第1のソーベントと第2のソーベントとを異なる材料としてもよく、また、第1の樹脂材料と第2の樹脂材料とを異なる材料とすると共に第1のソーベントと第2のソーベントとを異なる材料としてもよい。これら様々な実施の形態はいずれも、特許請求の範囲に記載した本発明の概念及び範囲に包含されるものである。
【0082】
上でも述べたように、本発明のランプアセンブリに用いる樹脂材料は、熱可塑性樹脂材料とすることができ、また、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、及びそれらの均質混合物から成る部類中から選択された樹脂材料とすることができる。ポリオレフィン樹脂の具体例としては、高密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、それにポリプロピレン樹脂などがある。同様に、本発明のランプアセンブリに用いるソーベントは、分子篩材料、シリカゲル、イオン交換樹脂、活性アルミナ、粘土、塩類、ゼオライト、及びそれらの混合物から成る部類中から選択されたソーベントとすることができる。
【0083】
本発明に係るランプアセンブリにおける密閉封止のための方法としては、幾つもの方法が採用可能であり、それら方法は特許請求の範囲に記載した本発明の概念及び範囲に包含されるものである。例えば、封止キャップ60は、溶着法により、ハウジング58と前記少なくとも1つの光源(図示例では複数の光源56)とに密封接合されているようにしてもよい。或いは、封止キャップ60は、エポキシ接着剤またはその他の接着剤で接着することで、ハウジング58と前記少なくとも1つの光源とに密封接合されているようにしてもよい。様々な実施の形態のうちには、その溶着法として、音波溶着法、超音波溶着法、スピン溶着法、熱板溶着法、及び振動溶着法から成る部類中から選択された溶着法を用いるようにしたものがあり、それら溶着法は当業界において周知の方法である。溶着法を用いる実施の形態と接着法を用いる実施の形態とのいずれにおいても、封止キャップ60の表面64が、ハウジング58の表面65と光源56の表面66とに密封接合される。尚、ここで使用している「密閉封止する」及び「密封接合する」という用語は、封止ないし接合することによって、その封止箇所ないし接合箇所の一方の側から他方の側への、液体、気体、ないし蒸気の流動が防止されるようにすることをいう。例えば、封止キャップ60が、ハウジング58と少なくとも1つの光源とに密封接合されたならば、ハウジング58の外部から空間62(これはハウジング58と封止キャップ60とによってハウジング58の中に画成された空間である)の中へ、液体、気体、ないし蒸気が決して流入しなくなる。本発明のランプアセンブリ(図示例ではランプアセンブリ50)における接合の方法としては、2つの樹脂材料製の基材を互いに接合することのできる周知の様々な音波溶着法のうちの任意の方法を用いることができる。同様に、本発明のランプアセンブリにおける接合の方法としては、2つの樹脂材料製の基材を互いに接合することのできるエポキシ接着剤などの周知の様々な接着剤のうちの任意の接着剤を用いることができる。
【0084】
様々な実施の形態のうちには、例えば図15に示した実施の形態のように、ハウジング58及び前記少なくとも1つの光源(図示例では複数の光源56)を覆うようにして直接的に封止キャップ60を成形したものがある。この方法は一般的にオーバーモールド成形法と呼ばれており、これによって、封止キャップ60と、ハウジング58と、前記少なくとも1つの光源との間に、密封接合箇所、即ち密閉封止箇所を形成することができる。前述の実施の形態の場合と同様に、このオーバーモールド成形法としては、2つの樹脂材料製の基材を互いに接合することのできる周知の様々なオーバーモールド成形法のうちの任意の方法を用いることができる。
【0085】
様々な実施の形態のうちには、前記少なくとも1つの光源が少なくとも2つの電気的接続部(図示例では電気的接続部68)を備え、また、前記ハウジング58がそれら少なくとも2つの電気的接続部が挿通される少なくとも2つの開口(図示例では開口70)を備えているようにしたものがある。かかる実施の形態においては、前記少なくとも2つの電気的接続部と前記少なくとも2つの開口とが第3の防湿性組成物によって密閉囲包されている。前述の実施の形態の場合と同様に、この第3の防湿性組成物は第3の樹脂材料と第3のソーベントとの混合物を含み、第3の樹脂材料は前記第1ないし第2の樹脂材料と同一の樹脂材料としても異なる樹脂材料としてもよく、第3のソーベントは前記第1ないし第2のソーベントと同一のソーベントとしても異なるソーベントとしてもよい。更に、上で述べたように、第3の樹脂材料は、熱可塑性樹脂材料とすることができ、また、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、及びそれらの均質混合物から成る部類中から選択された樹脂材料とすることができる。好適なポリオレフィン樹脂の具体例としては、高密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、それにポリプロピレン樹脂などがある。また、第3のソーベントは、分子篩材料、シリカゲル、イオン交換樹脂、活性アルミナ、粘土、塩類、ゼオライト、及びそれらの混合物から成る部類中から選択されたソーベントとすることができる。
【0086】
前記少なくとも2つの電気的接続部と前記少なくとも2つの開口とを密閉囲包するために用いることのできる方法としては、幾つもの方法があり、それら方法は特許請求の範囲に記載した本発明の概念及び範囲に包含されるものである。例えば、前記少なくとも2つの電気的接続部(図示例では電気的接続部68)及び前記少なくとも2つの開口(図示例では開口70)を第3の防湿性組成物によって密閉囲包するためには、前述のように、溶着法や、エポキシ接着剤などの接着剤による接着法を用いることができる。尚、ここで使用している「密閉囲包する」という用語は、何らかのものを囲繞して、その囲繞箇所の一方の側から他方の側への、液体、気体、ないし蒸気の流動が防止されるようにすることをいう。例えば、前記少なくとも2つの電気的接続部及び前記少なくとも2つの開口が密閉囲包されたならば、ハウジング58の外部からそれら少なくとも2つの開口を通って空間62(これはハウジング58と封止キャップ60とによってハウジング58の中に画成された空間である)の中へ、液体、気体、ないし蒸気が流入することはなくなる。尚、前述の実施の形態と同様に、オーバーモールド成形法を用いて、前記少なくとも2つの電気的接続部及び前記少なくとも2つの開口を密閉囲包するようにしてもよい。
【0087】
図16から明らかなように、本発明に係るランプアセンブリは(同図に示したランプアセンブリ54のように)図11〜図15に示した実施の形態とは異なった形状とすることも可能である。ランプアセンブリ54は、円筒形のハウジング72と、円形のレンズ74とを備えたものである。更にその他の形状とすることも可能であり、例えば、三角形や菱形などとしてもよく、そのような形状としたものも、特許請求の範囲に記載した本発明の概念及び範囲に包含される。
【0088】
以上に説明したように、本発明に係るランプアセンブリは、蒸気が樹脂材料を透過するのを防止するバリヤ材料として、様々な実施の形態に係る樹脂結合ソーベント組成物を用いたものとすることができ、例えば、水蒸気がポリプロピレン樹脂を透過するのを防止するバリヤ材料として、ポリプロピレン樹脂に分子篩材料を配合した樹脂結合ソーベント組成物を用いたものとすることができる。従って、ハウジングと封止キャップとを備え、それらハウジングと封止キャップとの両方を樹脂結合ソーベント組成物で形成したランプアセンブリは、このランプアセンブリの中への湿気の浸入を効果的に防止することのできるものである。
【0089】
本発明に用いられる樹脂含有組成物は、特別な樹脂材料混練法を用いて調製されるものである。また、好適なソーベントは分子篩材料であり、例えばポリアミド樹脂やポリオレフィン樹脂などの選択した樹脂材料にソーベントを混入するには、例えば粉体状の分子篩材料をその選択した樹脂材料のビーズと共に、良好な混合特性を備えた樹脂材料押出機に投入すればよい。そして、その温度、動作速度、成分材料濃度を、分子篩材料から成るソーベントの粒子が十分に分散し、そしてソーベントの粒子が十分に樹脂材料で濡れて、その表面が樹脂材料でコーティングされ、それによってソーベントの粒子が互いから分離するようにするのに必要な、温度、動作速度、成分材料濃度に設定する。通常は二軸押出機を使用する。必要とされるソーベントの粒子の分散状態が達成されるまで、この混練の工程を反復して実行する。この混練によって樹脂材料は溶融し、その全領域に亘ってソーベントが混合される。押出機から押出した樹脂系組成物を空気中で冷却し、更に、それを切断または破砕してペレットなどの粒状体とする。この混練は高温下で行われるため、混練中にソーベントが吸湿することはなく、そのためソーベントの吸湿能力は維持される。
【0090】
以上に本発明をその具体的な好適な実施の形態に即して詳細に説明したが、当業者であれば、様々な代替形態、変更形態、及び別形態にも容易に相当することは明らかである。それら代替形態、変更形態、及び別形態は、本発明の範囲及び概念に包含されるものであり、それゆえ本明細書に添付した特許請求の範囲の記載は、それら形態を包含するものと解釈されるべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの光源と、
第1の防湿性組成物で形成されたハウジングと、
第2の防湿性組成物で形成された封止キャップとを備え、
前記少なくとも1つの光源は前記ハウジングの中に配設されており、前記封止キャップは前記ハウジングと前記少なくとも1つの光源とに密封接合されており、前記封止キャップは前記ハウジングと該封止キャップとで画成された空間の中に前記少なくとも1つの光源を封入するように構成されている、
ことを特徴とするランプアセンブリ。
【請求項2】
前記第1の防湿性組成物は第1の樹脂材料と第1のソーベントとの混合物を含み、前記第2の防湿性組成物は第2の樹脂材料と第2のソーベントとの混合物を含むことを特徴とする請求項1記載のランプアセンブリ。
【請求項3】
前記第1の樹脂材料及び/または前記第2の樹脂材料は熱可塑性樹脂材料であることを特徴とする請求項2記載のランプアセンブリ。
【請求項4】
前記第1の樹脂材料及び/または前記第2の樹脂材料は、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、及びそれらの均質混合物から成る部類中から選択された樹脂材料であることを特徴とする請求項2記載のランプアセンブリ。
【請求項5】
前記ポリオレフィン樹脂は、高密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、及びポリプロピレン樹脂から成る部類中から選択された樹脂材料であることを特徴とする請求項4記載のランプアセンブリ。
【請求項6】
前記第1のソーベント及び/または前記第2のソーベントは、分子篩材料、シリカゲル、イオン交換樹脂、活性アルミナ、粘土、塩類、ゼオライト、及びそれらの混合物から成る部類中から選択されたソーベントであることを特徴とする請求項2記載のランプアセンブリ。
【請求項7】
前記封止キャップは、溶着法により、前記ハウジングと前記少なくとも1つの光源とに密封接合されていることを特徴とする請求項1記載のランプアセンブリ。
【請求項8】
前記溶着法は、音波溶着法、超音波溶着法、スピン溶着法、熱板溶着法、及び振動溶着法から成る部類中から選択された溶着法であることを特徴とする請求項7記載のランプアセンブリ。
【請求項9】
前記封止キャップは、エポキシ接着剤またはその他の接着剤で接着することで、前記ハウジングと前記少なくとも1つの光源とに密封接合されていることを特徴とする請求項1記載のランプアセンブリ。
【請求項10】
前記封止キャップは、前記ハウジング及び前記少なくとも1つの光源を覆うように該封止キャップが成形されることによって、前記ハウジングと前記少なくとも1つの光源とに密封接合されていることを特徴とする請求項1記載のランプアセンブリ。
【請求項11】
前記少なくとも1つの光源は少なくとも2つの電気的接続部を備え、前記ハウジングは前記少なくとも2つの電気的接続部が挿通される少なくとも2つの開口を備え、前記少なくとも2つの電気的接続部と前記少なくとも2つの開口とは第3の防湿性組成物によって密閉囲包されていることを特徴とする請求項1記載のランプアセンブリ。
【請求項12】
前記第3の防湿性組成物は第3の樹脂材料と第3のソーベントとの混合物を含むことを特徴とする請求項11記載のランプアセンブリ。
【請求項13】
前記第3の樹脂材料は熱可塑性樹脂材料であることを特徴とする請求項12記載のランプアセンブリ。
【請求項14】
前記第3の樹脂材料は、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、及びそれらの均質混合物から成る部類中から選択された樹脂材料であることを特徴とする請求項12記載のランプアセンブリ。
【請求項15】
前記ポリオレフィン樹脂は、高密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、及びポリプロピレン樹脂から成る部類中から選択された樹脂材料であることを特徴とする請求項14記載のランプアセンブリ。
【請求項16】
前記第3のソーベントは、分子篩材料、シリカゲル、イオン交換樹脂、活性アルミナ、粘土、塩類、ゼオライト、及びそれらの混合物から成る部類中から選択されたソーベントであることを特徴とする請求項12記載のランプアセンブリ。
【請求項17】
前記少なくとも2つの電気的接続部及び前記少なくとも2つの開口は、溶着法により、前記第3の防湿性組成物によって密閉囲包されていることを特徴とする請求項11記載のランプアセンブリ。
【請求項18】
前記溶着法は、音波溶着法、超音波溶着法、スピン溶着法、熱板溶着法、及び振動溶着法から成る部類中から選択された溶着法であることを特徴とする請求項17記載のランプアセンブリ。
【請求項19】
前記少なくとも2つの電気的接続部及び前記少なくとも2つの開口は、エポキシ接着剤またはその他の接着剤で接着することで、前記第3の防湿性組成物によって密閉囲包されていることを特徴とする請求項11記載のランプアセンブリ。
【請求項20】
前記少なくとも2つの電気的接続部及び前記少なくとも2つの開口は、該少なくとも2つの電気的接続部及び該少なくとも2つの開口を覆うように前記第3の防湿性組成物が成形されることで、前記第3の防湿性組成物によって密閉囲包されていることを特徴とする請求項11記載のランプアセンブリ。
【請求項1】
少なくとも1つの光源と、
第1の防湿性組成物で形成されたハウジングと、
第2の防湿性組成物で形成された封止キャップとを備え、
前記少なくとも1つの光源は前記ハウジングの中に配設されており、前記封止キャップは前記ハウジングと前記少なくとも1つの光源とに密封接合されており、前記封止キャップは前記ハウジングと該封止キャップとで画成された空間の中に前記少なくとも1つの光源を封入するように構成されている、
ことを特徴とするランプアセンブリ。
【請求項2】
前記第1の防湿性組成物は第1の樹脂材料と第1のソーベントとの混合物を含み、前記第2の防湿性組成物は第2の樹脂材料と第2のソーベントとの混合物を含むことを特徴とする請求項1記載のランプアセンブリ。
【請求項3】
前記第1の樹脂材料及び/または前記第2の樹脂材料は熱可塑性樹脂材料であることを特徴とする請求項2記載のランプアセンブリ。
【請求項4】
前記第1の樹脂材料及び/または前記第2の樹脂材料は、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、及びそれらの均質混合物から成る部類中から選択された樹脂材料であることを特徴とする請求項2記載のランプアセンブリ。
【請求項5】
前記ポリオレフィン樹脂は、高密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、及びポリプロピレン樹脂から成る部類中から選択された樹脂材料であることを特徴とする請求項4記載のランプアセンブリ。
【請求項6】
前記第1のソーベント及び/または前記第2のソーベントは、分子篩材料、シリカゲル、イオン交換樹脂、活性アルミナ、粘土、塩類、ゼオライト、及びそれらの混合物から成る部類中から選択されたソーベントであることを特徴とする請求項2記載のランプアセンブリ。
【請求項7】
前記封止キャップは、溶着法により、前記ハウジングと前記少なくとも1つの光源とに密封接合されていることを特徴とする請求項1記載のランプアセンブリ。
【請求項8】
前記溶着法は、音波溶着法、超音波溶着法、スピン溶着法、熱板溶着法、及び振動溶着法から成る部類中から選択された溶着法であることを特徴とする請求項7記載のランプアセンブリ。
【請求項9】
前記封止キャップは、エポキシ接着剤またはその他の接着剤で接着することで、前記ハウジングと前記少なくとも1つの光源とに密封接合されていることを特徴とする請求項1記載のランプアセンブリ。
【請求項10】
前記封止キャップは、前記ハウジング及び前記少なくとも1つの光源を覆うように該封止キャップが成形されることによって、前記ハウジングと前記少なくとも1つの光源とに密封接合されていることを特徴とする請求項1記載のランプアセンブリ。
【請求項11】
前記少なくとも1つの光源は少なくとも2つの電気的接続部を備え、前記ハウジングは前記少なくとも2つの電気的接続部が挿通される少なくとも2つの開口を備え、前記少なくとも2つの電気的接続部と前記少なくとも2つの開口とは第3の防湿性組成物によって密閉囲包されていることを特徴とする請求項1記載のランプアセンブリ。
【請求項12】
前記第3の防湿性組成物は第3の樹脂材料と第3のソーベントとの混合物を含むことを特徴とする請求項11記載のランプアセンブリ。
【請求項13】
前記第3の樹脂材料は熱可塑性樹脂材料であることを特徴とする請求項12記載のランプアセンブリ。
【請求項14】
前記第3の樹脂材料は、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、及びそれらの均質混合物から成る部類中から選択された樹脂材料であることを特徴とする請求項12記載のランプアセンブリ。
【請求項15】
前記ポリオレフィン樹脂は、高密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、及びポリプロピレン樹脂から成る部類中から選択された樹脂材料であることを特徴とする請求項14記載のランプアセンブリ。
【請求項16】
前記第3のソーベントは、分子篩材料、シリカゲル、イオン交換樹脂、活性アルミナ、粘土、塩類、ゼオライト、及びそれらの混合物から成る部類中から選択されたソーベントであることを特徴とする請求項12記載のランプアセンブリ。
【請求項17】
前記少なくとも2つの電気的接続部及び前記少なくとも2つの開口は、溶着法により、前記第3の防湿性組成物によって密閉囲包されていることを特徴とする請求項11記載のランプアセンブリ。
【請求項18】
前記溶着法は、音波溶着法、超音波溶着法、スピン溶着法、熱板溶着法、及び振動溶着法から成る部類中から選択された溶着法であることを特徴とする請求項17記載のランプアセンブリ。
【請求項19】
前記少なくとも2つの電気的接続部及び前記少なくとも2つの開口は、エポキシ接着剤またはその他の接着剤で接着することで、前記第3の防湿性組成物によって密閉囲包されていることを特徴とする請求項11記載のランプアセンブリ。
【請求項20】
前記少なくとも2つの電気的接続部及び前記少なくとも2つの開口は、該少なくとも2つの電気的接続部及び該少なくとも2つの開口を覆うように前記第3の防湿性組成物が成形されることで、前記第3の防湿性組成物によって密閉囲包されていることを特徴とする請求項11記載のランプアセンブリ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2011−518420(P2011−518420A)
【公表日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−506378(P2011−506378)
【出願日】平成21年4月20日(2009.4.20)
【国際出願番号】PCT/US2009/041124
【国際公開番号】WO2010/011379
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(503264031)マルチソーブ テクノロジーズ インコーポレイティド (12)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月20日(2009.4.20)
【国際出願番号】PCT/US2009/041124
【国際公開番号】WO2010/011379
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(503264031)マルチソーブ テクノロジーズ インコーポレイティド (12)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]