説明

ランプソケット及び照明器具

【課題】リード線を用いることなく接地用の導電部材を器具本体に容易に接続可能とする。
【解決手段】器具本体80に設けられている取付孔80Aに対してソケット本体3が上から下に向けて挿通されると、取付孔80Aの周縁に摺接した接触部22が開口315内に退避した後、取付孔80Aを乗り越えて開口315から進出する。その結果、開口315から進出した接触部22とソケット本体3上部のフランジ部312との間で取付孔80Aの周縁部分を挟持することにより、ソケット本体3が器具本体80に取り付けられる。このとき、接触部22が器具本体80に接触導通するため、接触部22を介して各導電部材2が器具本体80と電気的に接続される。故に、ソケット本体3の開口315を通して露出する接触部22が器具本体80と接触導通することにより、リード線を用いることなく接地用の導電部材2を器具本体80に容易に接続することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接地端子を有するランプが着脱自在に装着されるランプソケット、及び当該ランプソケットを備える照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のランプソケットとして特許文献1記載のものがある。特許文献1記載のランプソケットは、直管形のLEDランプが装着されるものであって、LEDランプの口金に設けられる端子ピンに接触導通する給電端子が本体内に収納されている。また、本体の外側に、LEDランプの放熱部材に接触するアース接続部材が設けられている。すなわち、ランプソケットにLEDランプが装着されると、弾性材料製のアース接続部材がLEDランプの放熱部材に弾接して接触導通し、放熱部材がアース接続部材を介して器具本体のアースに接続されるのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−170903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、直管形のLEDランプには、片側の口金に接地端子が設けられたものがある。例えば、日本電球工業会規格で規格化されているJEL801「L形ピン口金GX16t-5付直管形LEDランプシステム(一般照明用)」におけるLEDランプは、一方の口金に給電用の一対の端子ピンが設けられ、他方の口金には接地用の端子ピンが設けられている。
【0005】
ここで、接地用のランプソケット100は、図8に示すように、その内部にLEDランプの接地用の端子ピン(図示せず)と接触導通する導電板(接地端子)102を備えており、この導電板102が器具本体101に電気的に接続されることで接地されている必要がある。接地用のランプソケット100には、リード線103の一端を挿入可能な電線挿入孔100Aが設けられており、導電板102には、電線挿入孔100Aに挿入されたリード線103の一端が接続される速結端子部(図示せず)が設けられている。また、リード線103の他端には、器具本体101にねじ止めするための圧着端子103Aが設けられている。
【0006】
以下、接地用のランプソケット100の導電板102を器具本体101に接地する方法について説明する。先ず、接地用のランプソケット100の電線挿入孔100Aにリード線103の一端を挿入し、導電板102の速結端子部にリード線103の一端を接続する。次に、リード線103の他端に設けられた圧着端子103Aを器具本体101の何れかの面に当接させ、圧着端子103Aを器具本体101にねじ止めする。これにより、接地用のランプソケット100の導電板102を器具本体101に接続して接地することができる。
【0007】
しかしながら、上述のように接地用のランプソケット100の導電板102を器具本体101に接続する場合、リード線103を用いて器具本体101にねじ止めする作業を行う必要がある。この場合、リード線103の先端に圧着端子103Aを設ける加工が必要となり、ねじ止めの際にもねじの緩みに配慮せねばならず、更にリード線103の引き回しにも手間がかかり、組立作業(結線作業)が煩わしいという問題があった。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、リード線を用いることなく接地用の導電部材を器具本体に容易に接続可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のランプソケットは、ランプの口金に設けられた接地端子に接触導通する導電部材と、前記導電部材を内部に収納するソケット本体とを備え、前記導電部材は、前記ソケット本体に設けられる開口を通して前記ソケット本体外に露出し、前記ソケット本体が取り付けられる照明器具の器具本体と接触導通する接触部を有することを特徴とする。
【0010】
このランプソケットにおいて、前記接触部は、前記ソケット本体を前記器具本体に取り付けるための取付部と一体に構成されることが好ましい。
【0011】
このランプソケットにおいて、前記器具本体に設けられる被係合部と係合して前記ソケット本体を前記器具本体に取り付ける取付部を備え、前記接触部は、前記ソケット本体に対するランプの装着方向に沿って撓み自在に形成され、前記取付部が前記被係合部と係合した状態で前記器具本体に弾接することが好ましい。
【0012】
本発明の照明器具は、前記何れかのランプソケットと、前記ランプソケットが取り付けられる器具本体とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明のランプソケット及び照明器具は、リード線を用いることなく接地用の導電部材を器具本体に容易に接続することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るランプソケットの実施形態1を示し、器具本体に取り付けられた状態の斜視図である。
【図2】同上の分解斜視図である。
【図3】同上の斜視図である。
【図4】本発明に係る照明器具の実施形態を示し、(a)は分解斜視図、(b)は斜視図である。
【図5】同上の器具本体に取り付けられた状態の斜視図である。
【図6】本発明に係るランプソケットの実施形態2を示す分解斜視図である。
【図7】同上の器具本体に取り付けられた状態の斜視図である。
【図8】従来例を示し、器具本体に取り付けられた状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、従来技術で説明した日本電球工業会規格JEL801における直管形LEDランプの接地側の口金が装着されるランプソケットに本発明の技術思想を適用した実施形態について説明する。ただし、本発明の技術思想が適用可能なランプソケットは上記規格における直管形LEDランプに限定されるものではなく、接地用の端子ピンを有する口金を備えたランプが装着されるランプソケット全般に適用可能である。
【0016】
(実施形態1)
本実施形態のランプソケット1は、図2及び図3に示すようにランプ(図4に示すLEDランプ200)の口金201に設けられた接地端子(図示せず)に接触導通する導電部材2と、導電部材2を内部に収納する絶縁材料製のソケット本体3とを備える。
【0017】
ソケット本体3は、図2に示すようにソケットボディ30とソケットカバー31とで扁平な略半円筒形に形成されている。なお、以下の説明では図2において前後左右上下の各方向を規定する。
【0018】
ソケットボディ30は、略半円板状の主部300、主部300前面より前方へ突出する一対の突起301、主部300前面の周縁近傍より前方へ突出する一対の突壁302、主部300前面の上部より前方へ突出する直方体状の一対の突台部303などが合成樹脂材料で一体成形されてなる。
【0019】
ソケットカバー31は、略半円板状の前壁310、前壁310の上部を除く後面周縁より後方へ突出する側壁311、前壁310の上端より前方及び左右側方へ突出したフランジ部312などが合成樹脂材料で一体成形されてなる。前壁310及び側壁311の左右中央の下部に上下方向に沿った溝313が開口しており、この溝313を通して口金201の接地端子がソケット本体3の内部に挿入される。また、前壁310の左右両端に平面視円形の凹所314がそれぞれ設けられ、各凹所314の底面に円形の孔314Aが貫通している。而して、ソケットボディ30の前面側にソケットカバー31が被着されると、ソケットボディ30の突起301がそれぞれソケットカバー31の孔314Aに挿通される。そして、凹所314内において孔314Aから突出する突起301の先端が潰されることでソケットボディ30とソケットカバー31が固定される。
【0020】
ソケット本体3内には左右一対の導電部材2が収納される。ただし、これら一対の導電部材2は互いに鏡像の関係にあって、ほぼ共通の形状を有している。導電部材2は、端子ピンに接触導通するコンタクト部20と、コンタクト部20を撓み自在に支持する支持部21とが帯板状の金属板を曲げ加工することで一体に形成されてなる。
【0021】
左側の導電部材2は、コンタクト部20の下端部が左向きに曲げられるとともにコンタクト部20の略中央が左側に突出するように半円弧状に湾曲している。また、左側の導電部材2の支持部21は略鈎形に形成され、コンタクト部20の上端より左上方に突出している。一方、右側の導電部材2は、コンタクト部20の下端部が右向きに曲げられるとともにコンタクト部20の略中央が右側に突出するように半円弧状に湾曲している。また、右側の導電部材2の支持部21は略鈎形に形成され、コンタクト部20の上端より右上方に突出している。そして、左右一対の導電部材2は、支持部21の先端部分がソケットボディ30の突台部303に係合されることにより、左右方向に向かい合った状態でソケットボディ30に取り付けられる。
【0022】
而して、ソケットカバー31の溝313を通して一対の導電部材2のコンタクト部20の間にLEDランプ200の端子ピンが下から挿入されると、支持部21で支持されているコンタクト部20が端子ピンに押されて左右方向に撓む。そして、端子ピンが半円弧状の湾曲部に到達すると、撓んでいたコンタクト部20が元に戻って端子ピンに左右両側から弾接し、導電部材2が端子ピンと接触導通する。
【0023】
ところで本実施形態では、ソケット本体3に設けられる開口315を通してソケット本体3外に露出し、ソケット本体3が取り付けられる照明器具8の器具本体80と接触導通する接触部22が各導電部材2に設けられている。開口315は、ソケットカバー31の側壁311における左右両側の上部に設けられている。接触部22は、導電部材2の支持部21において左右方向に突出する先端部分からなり、支持部21が撓むことで開口315を通してソケット本体3内から進退可能となっている(図3参照)。
【0024】
而して、図1に示すように器具本体80に設けられている取付孔80Aに対してソケット本体3が上から下に向けて挿通されると、取付孔80Aの周縁に摺接した接触部22が開口315内に退避した後、取付孔80Aを乗り越えて開口315から進出する。その結果、開口315から進出した接触部22とソケット本体3上部のフランジ部312との間で取付孔80Aの周縁部分を挟持することにより、ソケット本体3が器具本体80に取り付けられる。このとき、接触部22が器具本体80に接触導通するため、接触部22を介して各導電部材2が器具本体80と電気的に接続される。すなわち、本実施形態では、ソケット本体3の開口315を通して露出する接触部22が器具本体80と接触導通することにより、リード線を用いることなく接地用の導電部材2を器具本体80に容易に接続することができる。
【0025】
しかも、ソケット本体3を器具本体80に取り付けるための取付部と接触部22が一体に構成されているので、器具本体80に対するソケット本体3の取付と電気的な接続が同時に実施できる。このため、照明器具8の組立作業が簡素化できるものである。
【0026】
図4は本実施形態のランプソケット1を接地側のランプソケットに用いた照明器具8を示している。この照明器具8は、金属板により下面が開口した直方体形状に形成された器具本体80と、器具本体80の下面開口を塞ぐカバー81と、給電用のランプソケット9と、接地用のランプソケット1とを有している。器具本体80下面の長手方向両端にそれぞれ取付孔80Aが設けられ、一方の取付孔80Aに給電用のランプソケット9が取り付けられ、他方の取付孔80Aに接地用のランプソケット1が取り付けられる。なお、給電用のランプソケット9については従来周知であるから詳細な説明を省略する。
【0027】
なお、図5に示すように取付孔80Aが前方に開口されている場合であれば、フランジ部312と接触部22の間の隙間に取付孔80Aの周縁を挿入するようにしてソケット本体3をスライドさせることでランプソケット1を器具本体80に取り付けることができる。
【0028】
(実施形態2)
本実施形態のランプソケット4は、図6及び図7に示すように合成樹脂製のソケット本体5と、金属製の導電部材6とで構成される。
【0029】
導電部材6は、接地用の端子ピンに接触導通する左右一対のコンタクト部60と、コンタクト部60を支持して器具本体80に接触する接触部61とが弾性を有する金属板によって一体に形成されてなる。コンタクト部60は、下端部が互いに離れる向きに曲げられるとともに略中央が互いに離れる向きに突出する半円弧状に形成されている。接触部61は、各コンタクト部60の上部後端縁に連結された連結片610と、連結片610から左右両側に突出する板ばね片611とを有する。また、板ばね片611の左右両端部には円形の貫通孔612が設けられている。
【0030】
ソケット本体5は、略半円板状の前壁50、前壁50の後面周縁より後方へ突出する側壁51、側壁51の左右両側より後方へ突出する一対の取付部52が合成樹脂材料で一体成形されてなる。前壁50及び側壁51の左右中央の下部に上下方向に沿った溝53が開口しており、この溝53を通して口金201の接地端子がソケット本体5の内部に挿入される。取付部52は、半円筒形状の突片520と、突片520の先端(後端)より左右方向に突出する円板状の係合片521とを有する。
【0031】
導電部材6は、一対のコンタクト部60をソケット本体5内に収納するようにしてソケット本体5の後面側に被着され、板ばね片611に設けられている貫通孔612に左右一対の取付部52が挿通されることでソケット本体5に取り付けられる。
【0032】
一方、器具本体80には、各取付部52の係合片521が挿通される一対の取付孔82が貫通している。なお、これら一対の取付孔82は円形であって、ソケット本体5の取付部52同士の間隔とほぼ同一の間隔で配置されている。
【0033】
而して、図7に示すように一対の取付部52が器具本体30の各取付孔82に挿通されると、取付部52先端の係合片521が取付孔82の後面側周縁に係合することにより、ランプソケット4が器具本体80に取り付けられる。このとき、板ばね片611の左右両側の後端が器具本体80の前面に弾接するため、導電部材6と器具本体80が接触部61を介して接触導通する。さらに、接触部61は、板ばね片611によってLEDランプ200の装着方向(前後方向)に撓み自在であるから、接触部61と一体に構成されているコンタクト部60が前後方向に変位可能となる。その結果、器具本体80に対するランプソケット4の取付位置が前後方向にずれていても、導電部材6のコンタクト部60が前後方向に変位することでLEDランプ200を確実にランプソケット4に装着することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 ランプソケット
2 導電部材
3 ソケット本体
8 照明器具
22 接触部
80 器具本体
315 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランプの口金に設けられた接地端子に接触導通する導電部材と、前記導電部材を内部に収納するソケット本体とを備え、前記導電部材は、前記ソケット本体に設けられる開口を通して前記ソケット本体外に露出し、前記ソケット本体が取り付けられる照明器具の器具本体と接触導通する接触部を有することを特徴とするランプソケット。
【請求項2】
前記接触部は、前記ソケット本体を前記器具本体に取り付けるための取付部と一体に構成されることを特徴とする請求項1記載のランプソケット。
【請求項3】
前記器具本体に設けられる被係合部と係合して前記ソケット本体を前記器具本体に取り付ける取付部を備え、前記接触部は、前記ソケット本体に対するランプの装着方向に沿って撓み自在に形成され、前記取付部が前記被係合部と係合した状態で前記器具本体に弾接することを特徴とする請求項1記載のランプソケット。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかのランプソケットと、前記ランプソケットが取り付けられる器具本体とを有することを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−84385(P2013−84385A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222065(P2011−222065)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】