説明

リアクションホイールを使用して姿勢を調節するための方法およびシステム

【課題】航行体114に搭載されたリアクションホイール230を使用して、航行体114の姿勢を制御するための方法およびシステムを提供すること。
【解決手段】1つの例示的な方法は、リアクションホイール230を使用して航行体114の姿勢を調節するためのトルク指令値を受信するステップと、トルク指令値に少なくとも部分的に基づいてリアクションホイール230の位相誤差を決定するステップと、位相誤差に基づいてリアクションホイール230のモータトルク指令値を決定するステップとを含む。モータトルク指令値は、対応するトルクをリアクションホイール230のロータ234にかけるために、リアクションホイール230の電気モータ232に供給される。モータトルク指令値の大きさと位相誤差の大きさとの間の関係は、非線形である。例示的な実施形態では、モータトルク指令値の大きさは、リアクションホイール230が期待位置よりも閾値を上回る量だけ遅れているとき、少なくとも瞬時に、静摩擦トルクを上回る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本明細書に説明する主題は、概略的には、宇宙船姿勢制御システムに関し、より具体的には、本主題の実施形態は、摩擦を補償する方式で姿勢を調節するように、1つまたは複数のリアクションホイールを動作させるための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]リアクションホイールは、通常、宇宙船、衛星などの姿勢(または方向)を制御するために使用される。リアクションホイールは、通常、ロータ(またはホイール)および電気モータから成り、電気モータは、ロータの角速度を増加または減少させ、それにより、ロータの角運動量を変化させるためにトルクをかけるように動作する。角運動量のこの変化は、宇宙船を所望の姿勢または方向へ回転させるリアクショントルクを発生させる。姿勢制御システム(ACS)および他の宇宙船配向応用装置は、3つの異なる軸の周りに回転させる少なくとも3つのリアクションホイールを含む、運動量制御システム(MCS)をしばしば使用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[0003]リアクションホイールのベアリングは、低速時、またはリアクションホイールがその回転方向を転換するとき、リアクションホイールの動作を阻害する摩擦を示す。例えば、ロータがその回転方向を転換するとき、静止摩擦に起因する力は、ロータの所望の方向での回転を再開させるのに必要なトルク量を増加させる。リアクションホイールのベアリング内の摩擦を軽減するのに、クローズドループ制御システムが開発されてきた。しかし、ベアリング内の摩擦力の非線形性のために、現行の制御システムは、所望の時間内に摩擦力を十分に補償することができず、姿勢誤差をもたらす。
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0004]航行体に搭載されたリアクションホイールを使用して、航行体の姿勢を制御するための例示的な方法が提供される。本方法は、リアクションホイールを使用して航行体の姿勢を調節するためのトルク指令値を受信するステップと、トルク指令値に少なくとも部分的に基づいてリアクションホイールの位相誤差を決定するステップと、位相誤差に基づいてリアクションホイールのモータトルク指令値を決定するステップと、モータトルク指令値をリアクションホイールに供給するステップとを含む。
【0005】
[0005]別の実施形態では、航行体用の制御システムが提供される。制御システムは、電気モータに結合するロータを含む、航行体に搭載されたリアクションホイールを含む。回転検知要素は、ロータに結合し、ロータの回転を示す出力を発生させる。制御モジュールは、回転検知要素の出力およびリアクションホイールのトルク指令値に基づいてロータの位相誤差を決定し、位相誤差に基づいてモータトルク指令値を決定し、モータトルク指令値を電気モータに供給するために、電気モータおよび回転検知要素に結合する。電気モータは、航行体の姿勢を調節するために、モータトルク指令値に対応するトルクをロータにかける。
【0006】
[0006]航行体に搭載されたリアクションホイールを使用して航行体の姿勢を制御するための別の例示的な方法は、リアクションホイールのトルク指令値に少なくとも部分的に基づいてリアクションホイールの位相誤差を決定するステップと、リアクションホイールのロータが期待ロータ位置より閾値を上回る量だけ遅れていることを位相誤差が示すとき、電気モータの静摩擦克服モータトルク指令値を決定するステップと、静摩擦克服モータトルク指令値を電気モータに供給するステップとを含む。電気モータは、静摩擦克服モータトルク指令値に対応するトルクをロータにかける。例示的な実施形態では、電気モータによりかけられるトルクは、リアクションホイールの静摩擦トルクを上回る瞬時値を有する。
【0007】
[0007]以下、本主題の実施形態は、同様の番号が同様の要素を示す、以下の図面と併せて説明される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】[0008]一実施形態による、宇宙航行体と共に使用するのに適した制御システムのブロック図である。
【図2】[0009]一実施形態による、図1の制御システム内のリアクションホイールと共に使用するのに適したリアクションホイール制御システムのブロック図である。
【図3】[0010]一実施形態による、図1の制御システムに使用するのに適した制御プロセスのフロー図である。
【図4】[0011]図2のリアクションホイール制御システムによる図3の制御プロセスの実施形態を示す、1つの例示的な実施形態による、時間に対する修正モータトルク指令値の大きさを示すグラフである。
【図5】[0012]1つの例示的な実施形態による、位相誤差に対する修正モータトルク指令値の瞬時ピーク値を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0013]以下の詳細な説明は、元来、例示的なものに過ぎず、本主題またはその用途の実施形態、およびそうした実施形態の使用を限定するものではない。例として本明細書に説明する、いかなる実施形態も、他の実施形態よりも好ましく、または有利であると必ずしも解釈すべきでない。さらに、上述の背景または以下の詳細な説明に示す、いかなる理論にも拘束されるものではない。
【0010】
[0014]本明細書に説明する主題の実施形態は、概略的には、リアクションホイールのベアリング内の摩擦の影響を軽減し、または別途、この影響を補償する方式で、宇宙航行体(すなわち宇宙船)に所望の姿勢をもたらすように、リアクションホイールを動作させるための方法およびシステムに関する。本明細書に使用する場合、「始動トルク」、「静摩擦トルク」、およびそれらの類義語はいずれも、リアクションホイールのロータが回転していない(止まる)ときの、リアクションホイールのベアリング内の静摩擦抵抗(静摩擦)に起因する力を克服するのに必要なトルク量を指すことを理解されたい。「運転トルク」、「運転ドラグトルク」、「動摩擦トルク」、およびそれらの類義語はいずれも、ロータが回転しているときの、リアクションホイールのベアリング内のクーロン摩擦力に起因する反対トルク量を指すことを理解されたい。
【0011】
[0015]以下により詳細に説明するように、リアクションホイールの回転速度の大きさが閾値回転速度を下回るとき、リアクションホイールを動作させるために、速度誤差のみに応答するモータトルク指令値の代わりに、修正モータトルク指令値が使用される。修正モータトルク指令値は、期待ロータ位置と測定ロータ位置との間の角度変位を表す位相誤差に基づいて決定される。測定ロータ位置が期待ロータ位置よりも閾値量だけ遅れていることを位相誤差が示すとき、修正モータトルク指令値は、ロータの回転を加速し、期待ロータ位置と測定ロータ位置との間の角度変位を低減するために、ベアリング内の摩擦力に起因する可能性があるほぼ最大量の始動トルクを上回るように選択される大きさを有するパルスである。反対に、ロータが期待ロータ位置よりも閾値量だけ進んでいることを位相誤差が示すとき、修正モータトルク指令値の大きさは、ロータの回転を減速し、期待ロータ位置と測定ロータ位置との間の角度変位を低減するために、ベアリング内の摩擦力に起因する運転ドラグトルクの最小予測量を下回るように選択される。ロータが期待ロータ位置と位相同期状態であることを位相誤差が示すとき、修正モータトルク指令値の大きさは、ロータを期待ロータ位置と位相同期状態か、または期待ロータ位置よりも進んだ状態に維持するために、ベアリング内の摩擦力に起因する運転ドラグトルクの最大予測量を上回るように選択される。
【0012】
[0016]図1は、衛星または他の宇宙船などの宇宙航行体114と共に使用するのに適した制御システム100の例示的な実施形態を示す。例示的な実施形態では、制御システム100は、限定しないが、姿勢制御システム(ACS)102、運動量制御システム(MCS)104、および航行体センサシステム106を含む。制御システム100の動作中、ACS102は、姿勢を調節し、または別途、宇宙航行体114を再配向させるためのトルク指令値をMCS104の制御モジュール108に供給し、次いで、制御モジュール108は、ACS102により供給されるトルク指令値に影響を受ける方式で、リアクションホイールアレイ110を動作させるための適当なモータトルク指令値を決定し、所望の方式で宇宙航行体114の姿勢を再配向し、または別途、その姿勢を調節するために、宇宙航行体114のリアクショントルク指令値を供給するようにリアクションホイールアレイ110を動作させる。
【0013】
[0017]例示的な実施形態では、リアクションホイールアレイ110は、宇宙航行体114に取り付けられる複数のリアクションホイールを含み、各リアクションホイールは、電気モータに機械的に結合し、または別途、電気モータにより駆動される回転要素(すなわちロータまたはホイール)を含む。ロータの回転軸の周りのその回転は、回転軸に合致する角運動量をもたらし、電気モータは、ロータの角速度を増加および/または減少させ、それにより、リアクションホイールの角運動量を増加および/または減少させるために、ロータにトルクをかけるように動作する。1つまたは複数のリアクションホイールの角運動量の変化は、当技術分野で理解されるように角運動量保存則に基づいて、航行体114に加わる角運動量の変化に対抗するリアクショントルクをもたらす。アレイ110のリアクションホイールは、リアクションホイールアレイ110が航行体114に3次元的に(すなわち3つの異なる直交軸の周りに)回転トルクを与えることができるように構成される。
【0014】
[0018]アレイ110の各リアクションホイールは、1つまたは複数のベアリングを介して宇宙航行体114に取り付けられる。以下により詳細に説明するように、アレイ110のリアクションホイールを宇宙航行体114に取り付けるのに使用されるベアリング内の摩擦に起因し、または別途、それらのベアリングにより示される力は、このリアクションホイールの角運動量を減少させる、ロータの回転に対抗するトルクをもたらし、次いで、リアクションホイールは、宇宙航行体114にかかるリアクショントルクの量を減少させ、および/または、航行体姿勢誤差をもたらす可能性がある。したがって、例示的な実施形態では、MCS104は、姿勢誤差を確実に低減するためにリアクションホイールベアリング内の摩擦に対抗する方式で、アレイ110のリアクションホイールの電気モータを動作させるためのモータトルク指令値を決定する。以下により詳細に説明するように、MCS104は、低回転速度時に、ロータが期待ロータ位置と位相同期状態であることを維持し、ベアリング摩擦によりロータ回転が不意に止まる時間量を低減するために、このリアクションホイールのロータの位相誤差と非線形の関係があるトルクをそれぞれのリアクションホイールにかけるように、位相同期ループベースのモータトルク指令値を決定する。
【0015】
[0019]例示的な実施形態では、MCS104は、リアクションホイールアレイ110および制御モジュール108に結合する検知装置112を含む。検知装置112は、リアクションホイールアレイ110の個々のリアクションホイールの動作に関する情報を制御モジュール108に供給するように構成される。例示的な実施形態では、検知装置112は、複数の回転検知要素を含み、各回転検知要素は、リアクションホイールアレイ110のそれぞれのリアクションホイールに結合し、その関連のリアクションホイールのロータの回転変位および/または回転速度を示す出力を発生させる。例示的な実施形態では、検知装置112は、複数の回転速度計(または別の適当な回転速度検知要素)を含み、各それぞれの回転速度計は、リアクションホイールアレイ110のそれぞれのリアクションホイールのロータに機械的に結合する。以下により詳細に説明するように、例示的な実施形態では、各回転速度計は、その関連のロータがある増分角度変位(本明細書では回転速度計回転増分または回転増分とも呼ぶ)だけ回転するごとに、出力パルスをもたらし、または別途、出力パルスを発生させる。例えば、例示的な一実施形態によれば、検知装置112の回転速度計は、1回転当り18個の出力パルス、すなわち2π/18ラジアン回転ごとに1つの出力パルスを発生させる。したがって、検知装置112の回転速度計により発生する出力パルスは、リアクションホイールのロータの角度変位を示し、回転速度計により発生する出力パルスの周波数または率は、リアクションホイールロータの回転速度を示す。
【0016】
[0020]例示的な実施形態では、通常、航行体センサシステム106は、宇宙航行体114の現在の姿勢(または方向)および回転速度(すなわち角速度または回転率)に関する情報を検知し、その情報を測定し、または別途、その情報を得るように構成された、航行体114に搭載された1つまたは複数の検知要素(またはセンサ)を表す。いくつかの適用例では、航行体センサシステム106は、限定しないが、レートジャイロスコープ、リングレーザジャイロ、光ファイバジャイロ、スタートラッカ、および太陽センサなどの、センサまたは検知要素を使用する。例示的な実施形態では、ACS102は、航行体センサシステム106に通信可能に結合し、ACS102は、航行体センサシステム106から受信する姿勢および回転速度情報に少なくとも部分的に基づいて、宇宙航行体114の姿勢を回動させ、その姿勢を再配向し、または別途、その姿勢を調節するための航行体トルク指令値を決定する。この実施形態によれば、ACS102は、宇宙航行体114の現在の姿勢および/もしくは回転速度に基づき、または、ユーザからの入力に応答して、自動的に航行体トルク指令値を決定することができる。制御システム100の動作中、MCS104は、ACS102と通信し、ACS102からの航行体トルク指令値の受信に応答して、MCS104は、リアクションホイールアレイ110の1つまたは複数のリアクションホイールを動作させ、宇宙航行体114に指令トルクをかけ、それにより、所望の方式を指令しながら、宇宙航行体114の姿勢を調節する。
【0017】
[0021]例示的な実施形態では、通常、制御モジュール108は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、処理ロジック、および/または、ACS102からの航行体トルク指令値に応答してリアクションホイールアレイ110の動作をサポートするように構成されたMCS104の他の要素を表す。この実施形態によれば、制御モジュール108は、汎用プロセッサ、マイクロプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、状態機械、連想メモリ、特定用途向集積回路、フィールドプログラム可能ゲートアレイ、適当な任意のプログラム可能ロジックデバイス、離散したゲートもしくはトランジスタロジック、離散したハードウェア要素、または本明細書に説明する機能を実施するように設計されたそれらのいずれかの組合せと共に実装し、または実現することができる。実際に、制御モジュール108は、以下により詳細に説明するように、宇宙航行体114の動作に関連する機能、技法、および処理タスクを実行するように構成することができる処理ロジックを含む。さらに、本明細書に開示する実施形態に関連して説明する方法またはアルゴリズムのステップは、ハードウェア内、ファームウェア内、制御モジュール108により実行されるソフトウェアモジュール内、またはそれらの実用的な任意の組合せ内で直接実施することができる。制御モジュール108は、本明細書に記載する制御モジュール108の動作をサポートする、適当な量のメモリを含むこともできる。
【0018】
[0022]1つまたは複数の実施形態によれば、制御モジュール108は、ACS102からの航行体トルク指令値の受信に応答して、航行体114に指令トルクを供給するのに、リアクションホイールアレイ110の各それぞれのリアクションホイールの適当なリアクションホイールトルク指令値を計算し、または別途、その指令値を決定する。例えば、リアクションホイールアレイ110の各リアクションホイールに関して、制御モジュール108は、それぞれのリアクションホイールの回転軸に合致する航行体トルク指令値の成分を決定することにより、航行体トルク指令値に基づいて、リアクションホイールトルク指令値を決定することができる。他の実施形態では、ACS102は、航行体トルク指令値に基づいて、リアクションホイールトルク指令値を決定し、制御モジュール108に、航行体トルク指令値を供給する代わりに、リアクションホイールトルク指令値を供給することができる。リアクションホイールトルク指令値を決定するための様々な制御スキームおよび/またはアルゴリズムは、よく知られており、リアクションホイールアレイ110のリアクションホイールの特定の実施形態および構成により様々であり、したがって、リアクションホイールアレイ110の個々のリアクションホイールのトルク指令値を決定するための特定の方法は、本明細書には詳細に説明しない。
【0019】
[0023]図1は、説明のため、および説明を簡単にするための宇宙航行体114の簡略図であり、図1は、本主題の用途または範囲を決して限定するものではないことを理解されたい。それに関して、図1は、宇宙航行体114に搭載されたACS102を示すが、いくつかの実施形態では、ACS102のいくつかの要素は、宇宙航行体114から分離し、遠く離れて(地球上の地上位置などに)位置し、例えば、無線データリンクまたは別の適当な無線データ通信媒体を介して、宇宙航行体114に搭載されたMCS104および航行体センサシステム106に通信可能に結合することができる。実際に、宇宙航行体114は、当技術分野で理解される、追加の機能および特徴を供給するための多くの他の要素を含むこともできる。
【0020】
[0024]図2は、リアクションホイール集合体230と共に使用するのに適したリアクションホイール制御システム200の例示的な実施形態を示す。それに関して、例示的な実施形態では、リアクションホイール制御システム200は、リアクションホイールアレイ110の各リアクションホイール230に関して、図1の制御システム100内の制御モジュール108および/またはMCS104により実装される。例示するリアクションホイール制御システム200は、限定しないが、トルク積分ブロック202、ロータ速度観測ブロック204、加合せブロック206、ゲインブロック208、増分ロータ速度変換ブロック210、増分ロータ速度観測ブロック212、第2の加合せブロック214、位相誤差積分ブロック216、非線形モータトルク指令値発生ブロック218、およびモータトルク指令値選択装置220を含む。リアクションホイール制御システム200の出力部224におけるモータトルク指令値は、リアクションホイール230の電気モータ232に供給され、電気モータ232は、モータトルク指令値に応答し、それにより、リアクションホイール230のロータ234に対応するトルクをかけるように動作する。以下により詳細に説明するように、リアクションホイール230のロータ234の回転速度の大きさが、閾値回転速度を下回るとき、リアクションホイール制御システム200は、ロータ234の回転がそのベアリング内の摩擦により不意に止まる時間を低減するために、リアクションホイールのロータ234の位相誤差に基づいて、出力部224において、非線形モータトルク指令値発生ブロック218により決定される修正モータトルク指令値を発生させ、または別途、これらの指令値をもたらす。以下により詳細に説明するように、非線形モータトルク指令値発生ブロック218により決定される修正モータトルク指令値は、位相誤差と線形の関係がない。それに関して、修正モータトルク指令値の大きさは、位相誤差の大きさに比例しない。
【0021】
[0025]例示的な実施形態では、リアクションホイール制御システム200の入力部222は、リアクションホイールアレイ110のそれぞれのリアクションホイール230によりもたらされる、ACS102により供給される航行体トルク指令値の成分に対応するリアクションホイールトルク指令値を受信し、または別途、その指令値を得る。言い換えれば、入力部222におけるリアクションホイールトルク指令値は、ロータ234の回転軸に合致する航行体トルク指令値の成分に対応し、リアクションホイールアレイ110により航行体114に与えられる所望のリアクショントルクの成分をもたらすように動作するリアクションホイール230をもたらすものとする。上述のように、いくつかの実施形態では、MCS104および/または制御モジュール108は、ACS102から受信する航行体トルク指令値、およびリアクションホイールアレイ110の他のリアクションホイールに対するリアクションホイール230の幾何学的配置に基づいて、リアクションホイールトルク指令値を決定することができる。例示するように、トルク積分ブロック202は、入力部222に結合して、リアクションホイールトルク指令値を受信し、トルク積分ブロック202は、リアクションホイールトルク指令値に対応するリアクションホイール230のロータ234の期待(または所望)角速度(例えばラジアン/秒)を得るために、リアクションホイールトルク指令値を変換するように構成される伝達関数を有する。言い換えれば、トルク積分ブロック202の出力は、リアクションホイール230が入力部222において供給される指令リアクションホイールトルクを発生させているときに予想される、リアクションホイール230のロータ234の角速度に対応する。
【0022】
[0026]例示するように、トルク積分ブロック202の出力は、加合せブロック206の第1の入力部に結合し、加合せブロック206は、ロータ234の期待角速度と、ロータ234の測定(または観測)角速度との間の差を決定するように構成される。例示する実施形態では、ロータ速度観測ブロック204は、ロータ234に結合する回転検知要素240に結合し、ロータ速度観測ブロック204は、ロータ234の回転方向を明示する方式で(例えば、一方の回転方向が正で、他方の回転方向が負であり、回転が正の方向であるとき、計数は増加し、回転が負の方向であるとき、計数は減少する)、制御サイクル(または別の観測時間間隔)にわたって回転検知要素240により発生する出力パルスの数を計数し、または別途、その数を監視し、ロータ234の対応する角速度を決定し、その角速度が加合せブロック206の入力部に供給される。例えば、一実施形態によれば、回転検知要素240は、2π/18ラジアンに等しい回転増分で出力パルスを発生させるように構成された回転速度計として実現され、ロータ速度観測ブロック204は、上述の制御サイクルの間、回転速度計240により発生する出力パルスの数を計数し、出力パルスの総数に2π/18ラジアンを乗算し、その結果を制御サイクルの継続時間により除算し、ロータ234の測定(または観測)角速度(ラジアン/秒)を決定する。このように、回転速度計240を使用して、ロータ速度観測ブロック204によりもたらされる角速度が、測定、検知、または別途、得られる。ロータ速度観測ブロック204により決定される測定角速度は、加合せブロック206の第2の入力部に供給され、加合せブロック206の出力は、ロータ234の速度誤差、すなわちロータ234の期待角速度とロータ234の測定角速度との間の差を表し、加合せブロック206の出力は、ゲインブロック208により増幅されて、電気モータ232を動作させるためのクローズドループモータトルク指令値を得る。ゲインブロック208の出力は、モータトルク指令値選択装置220の入力部に結合する。
【0023】
[0027]例示的な実施形態では、モータトルク指令値選択装置220は、ロータ速度観測ブロック204からロータ234の測定角速度を取得し、または別途、その測定角速度を受信するように構成され、ロータ234の測定角速度の大きさが閾値回転速度(例えば0.5ラジアン/秒)を上回ることをモータトルク指令値選択装置220が決定するとき、モータトルク指令値選択装置220は、以下により詳細に説明するように、ゲインブロック208からのクローズドループモータトルク指令値を出力部224に供給する。上述のように、モータトルク指令値選択装置220により出力部224に供給されるモータトルク指令値は、リアクションホイール230の電気モータ232に供給される。電気モータ232は、ロータ234に機械的に結合し(例えば、シャフトまたは別の駆動列要素を介して)、出力部224においてリアクションホイール制御システム200によりもたらされるモータトルク指令値に対応する大きさおよび方向を有するトルクを発生させ、そのトルクを生成し、または別途、リアクションホイール230のロータ234にかける。例示的な実施形態では、ゲインブロック208の伝達関数および/またはゲインは、トルク積分ブロック202、ロータ速度観測ブロック204、加合せブロック206、およびゲインブロック208の構成により実装されるクローズドループ制御システムにより発生するクローズドループモータトルク指令値が、電気モータ232を動作させ、トルク積分ブロック202の出力部における期待角速度にほぼ等しくなるように、ロータ234の角速度を増加および/または減少させ、加合せブロック206の出力部におけるロータ速度誤差を最小に維持するように選択される。
【0024】
[0028]図2の例示的な実施形態では、トルク積分ブロック202の出力は、増分ロータ速度変換ブロック210の入力部にも結合し、増分ロータ速度変換ブロック210は、トルク積分ブロック202からロータ234の期待角速度を受信し、この角速度を、リアクションホイールトルク指令値に対応する、ロータ234の期待(または所望)増分回転速度に変換する。それに関して、期待増分回転速度は、ロータ234が指令リアクションホイールトルクを発生させるために期待角速度で回転しているとき、リアクションホイール230のロータ234に結合する回転速度計240により発生することが予想される出力パルスの率(または周波数)、すなわち、期待角速度における単位時間当りの、回転速度計240により観測される回転増分の数を表す。したがって、期待増分回転速度は、時間当りの回転増分を単位として表現される、ロータ234の期待回転速度を表す。例えば、上述のように、例示的な一実施形態によれば、回転速度計240は、トルク積分ブロック202の出力が1秒当りのラジアンであるとき、増分ロータ速度変換ブロック210が期待角速度に回転速度計回転増分の逆数(例えば、18/2π回転速度計パルス/ラジアン)を乗算し、回転速度計出力パルス/秒の期待増分回転速度を得るように、1回転当り18個の出力パルスを発生させる。
【0025】
[0029]増分ロータ速度観測ブロック212は、リアクションホイール230に関連する回転速度計240に結合し、または別途、回転速度計240から出力パルスを受信するように構成され、増分ロータ速度観測ブロック212は、回転速度計240により発生する出力パルスの数に基づいて、ロータの測定(または観測)増分速度を決定するように構成される。それに関して、増分ロータ速度観測ブロック212は、回転速度計240により発生する出力パルスを計数し(ロータ速度観測ブロック204の文脈で上述した回転方向を明示する方式で)、回転速度計パルスを微分し、または別途、回転速度計出力パルスの総数を制御サイクルの継続時間(または他の観測時間間隔)で除算し、回転速度計パルス/秒のリアクションホイール230のロータ234の測定(または観測)増分速度を得る。したがって、測定増分回転速度は、時間当りの回転増分を単位として表現される、ロータ234の測定回転速度を表す。例示するように、増分ロータ速度変換ブロック210の出力は、加合せブロック214の第1の入力部に結合し、または別途、その第1の入力部に供給され、増分ロータ速度観測ブロック212の出力は、加合せブロック214の第2の入力部に結合し、または別途、その第2の入力部に供給され、加合せブロック214は、増分速度誤差を得るために、増分ロータ速度変換ブロック210により決定される期待増分回転速度から、増分ロータ速度観測ブロック212により決定される測定増分回転速度を減算するように構成される。加合せブロック214の出力は、位相誤差積分ブロック216の入力部に結合し、または別途、その入力部に供給され、位相誤差積分ブロック216は、リアクションホイール230のロータ234の位相誤差(Perr)を得るために、増分速度誤差を積分するように構成される。それに関して、位相誤差は、入力部222に供給されるリアクションホイールトルク指令値に基づいて決定される、ロータ234の期待(または所望)角度位置と、いくつかの回転速度計出力パルス(または回転速度計回転増分)を単位として表現される、回転速度計出力パルスに基づいて決定される、ロータ234の測定(または観測)位置との間の差を表す。
【0026】
[0030]例示的な実施形態では、位相誤差積分ブロック216の出力は、非線形モータトルク指令値発生ブロック218の入力部に結合し、または別途、その入力部に供給され、非線形モータトルク指令値発生ブロック218は、位相誤差積分ブロック216から得られる位相誤差に基づいて、その出力部において修正モータトルク指令値を発生させる。修正モータトルク指令値は、モータトルク指令値選択装置220の別の入力部に供給される。上述のように、モータトルク指令値選択装置220は、ロータ速度観測ブロック204から、ロータ234の測定角速度を受信し、ロータ234の測定角速度の大きさが閾値回転速度(例えば0.5ラジアン/秒)を下回ることの検出すること、または別途、それを決定することに応答して、モータトルク指令値選択装置220は、出力部224に修正モータトルク指令値を供給する。
【0027】
[0031]例示的な実施形態では、非線形モータトルク指令値発生ブロック218により発生する修正モータトルク指令値は、位相誤差積分ブロック216からの位相誤差と非線形の関係があり、リアクションホイール230のベアリング内の摩擦力に起因する反対トルク(運転ドラグトルクなど)に対抗することにより、ロータ位置の所望のロータ位置との位相同期を維持しようとする。例示的な実施形態では、回転速度計240の出力は、元来、離散的であり(例えば、1回転当り一定数のパルスを放出する)、したがって、この文脈では、位相同期は、理想位置より「進んだもの」と「遅れたもの」との間で循環させることにより達成される。この「位相同期」状態を得るのに、電気モータ232により発生するトルクは、ロータ位置が所望のロータ位置よりも遅れているときは、運転ドラグトルクよりも大きく、ロータ位置が所望のロータ位置よりも進んでいるときは、運転ドラグトルクよりも小さい。積分器216により発生する位相誤差は、ロータが所望のロータ位置との位相同期からどれくらい進んでいるか、または遅れているかを示し、単位としては回転速度計増分(例えば、回転速度計出力パルス間の複数の角度変位)に等しい。ロータ位置が期待ロータ位置よりも1回転速度計増分未満(例えば、0≦Perr<1)遅れていることを位相誤差が示すとき、非線形モータトルク指令値発生ブロック218は、リアクションホイール230のほぼ最大の運転トルクを上回る大きさを有する修正モータトルク指令値を発生させ、または別途、その指令値を、モータトルク指令値選択装置220の入力部に供給するが、その指令値は、本明細書では加速モータトルク指令値とも呼ぶ。それに関して、運転トルクを上回る大きさを有する加速モータトルク指令値が、モータトルク指令値選択装置220により出力部224に供給されるとき、電気モータ232は、ベアリング内の動摩擦に起因する反対トルクを上回るトルクの大きさによりロータ234の回転を加速するトルクを、ロータ234にかける。このように、加速モータトルク指令値は、ロータ234の位相誤差を低減する。ベアリング内の摩擦力は、経時的に変化し、いくつかの実施形態では、非線形トルク指令値発生ブロック218は、前に適用されたモータトルク指令値および前に得られたロータ速度に基づいて、最大運転トルクを動的に計算し、リアクションホイールベアリングの現在の状態を反映するために、対応する方式で加速モータトルク指令値の大きさを修正することができることに留意されたい。
【0028】
[0032]リアクションホイール230のロータ234が1回転速度計増分未満(例えば、−1<Perr<0)だけ期待ロータ位置よりも進んでいることを位相誤差が示すとき、非線形モータトルク指令値発生ブロック218は、リアクションホイール230のほぼ最小の運転トルク未満の大きさを有する修正モータトルク指令値を発生させ、または別途、その指令値を、モータトルク指令値選択装置220の入力部に供給するが、その指令値は、本明細書では減速モータトルク指令値とも呼ぶ。それに関して、電気モータ232が、運転トルク未満のトルクをロータ234にかけるとき、ロータ234は、電気モータ232によりかけられるトルクを上回る、ベアリング内の摩擦に起因する運転トルクのために、回転速度を減速させ、または別途、回転速度を消失させる。減速モータトルク指令値は、ロータ234が期待ロータ位置と再び位相同期状態になる可能性を増大させる。例示的な実施形態では、リアクションホイール230のロータ234が1回転速度計増分未満だけ期待ロータ位置よりも進んでいることを位相誤差が示すとき、非線形モータトルク指令値発生ブロック218は、リアクションホイール230の公称運転トルクの大きさの1/2に等しい大きさを有する減速モータトルク指令値を発生させ、または別途、その指令値を供給する。例示的な実施形態では、リアクションホイール230のロータ234が1以上の回転速度計増分(例えば、Perr≦−1)だけ期待ロータ位置よりも進んでいることをロータ位相誤差が示すとき、非線形モータトルク指令値発生ブロック218は、ロータ234がベアリング内の摩擦により確実に減速するように、0に等しい大きさを有する修正モータトルク指令値を発生させ、または別途、その指令値をモータトルク指令値選択装置220の入力部に供給する。
【0029】
[0033]あるいは、リアクションホイール230のロータ234が、1回転速度計増分以上で2回転速度計増分未満(例えば、1≦Perr<2)だけ期待ロータ位置よりも遅れていることを位相誤差が示すとき、非線形モータトルク指令値発生ブロック218は、リアクションホイール230のベアリング内の静止摩擦に起因する可能性がある最大トルクの大きさを上回る大きさ、または言い換えれば最大始動トルクを上回る大きさを有する修正モータトルク指令値を発生させ、または別途、その指令値を供給する。一実施形態では、非線形モータトルク指令値発生ブロック218は、リアクションホイール230のベアリング内の静止摩擦に起因する可能性がある最大トルクの大きさを上回る瞬時ピーク値を有する事前記憶波形から成る修正モータトルク指令値を発生させ、または別途、その指令値を供給する。それに関して、ロータ234の回転が止まる(すなわち、回転速度が0に等しい)とき、ベアリング内の静止摩擦(または静摩擦)力に打ち勝つのに必要なトルクは、ベアリング内の動摩擦に起因する運転トルクよりも大幅に大きい可能性がある。例えば、静摩擦に起因するトルク(始動トルクなど)の大きさは、運転トルクの10〜50倍程度である可能性がある。したがって、ブロック218により供給される修正モータトルク指令値波形は、ロータ234が期待ロータ位置より遅れているとき、静摩擦トルクを上回る瞬時値を有し、したがって、説明を簡単にするために、ベアリング内の摩擦に起因する可能性がある最大トルクの大きさを上回るか、またはその大きさに等しい瞬時値を有する修正モータトルク指令値は、本明細書では、静摩擦克服モータトルク指令値とも呼ばれる。図4の文脈で、以下により詳細に説明するように、例示的な実施形態では、静摩擦克服モータトルク指令値は、ほぼ正弦波形状を有する前のモータトルク指令値の値から、ほぼ正弦波形状で減少し、制御サイクルの残りの時間、運転トルクを上回る一定値に落ち着く前に静摩擦トルク(例えば、ベアリング摩擦に起因する可能性がある最大トルク)を上回るか、または静摩擦トルクに等しいピーク値まで増加する。この場合に、電気モータ232が、静摩擦克服モータトルクをロータ234にかけるとき、リアクションホイール230のベアリング内の摩擦力に起因するどんな反対トルクでも、少なくとも瞬時に克服する可能性がある。リアクションホイールベアリング内の摩擦力を克服することにより、静摩擦克服モータトルク指令値は、ロータ234を加速し、または別途、ロータ234の回転速度を増加させ、それにより、ロータ234の回転が長い時間の間に不意に止まる可能性を低減することができる。静摩擦克服モータトルク指令値が、次の制御サイクルにより、ロータ234を期待ロータ位置と再び位相同期状態になる(またはわずかに進ませる)のが好ましい。以下により詳細に説明するように、例示的な実施形態では、非線形モータトルク指令値発生ブロック218が、静摩擦克服モータトルク指令値を発生させると、非線形モータトルク指令値発生ブロック218は、ロータ234を最小のオーバーシュートで期待ロータ位置と再び位相同期状態になる可能性を実現するために、別の静摩擦克服モータトルク指令値を後に発生させる前に、第1の遅延時間間隔の間、待つように構成される。
【0030】
[0034]同様に、リアクションホイール230のロータ234が、2回転速度計増分以上(例えば、Perr>2)だけ期待ロータ位置よりも遅れていることを位相誤差が示すとき、非線形モータトルク指令値発生ブロック218は、リアクションホイールベアリング内の静摩擦力に起因する可能性がある最大トルクの大きさを上回るか、またはその大きさに等しい瞬時ピーク値まで増加する、1つまたは複数の追加の静摩擦克服モータトルク指令値波形を発生させ、または別途、その波形を供給する。いくつかの実施形態では、第2の静摩擦克服モータトルク指令値の大きさは、第1の静摩擦克服モータトルク指令値の大きさを上回る可能性がある(例えば、ロータ234が2回転速度計増分未満、進んでいるとき)。例示的な実施形態では、非線形モータトルク指令値発生ブロック218が、所望のロータ位置よりも2以上の回転速度計増分遅れている位相誤差を特定した後、非線形モータトルク指令値発生ブロック218は、別の静摩擦克服モータトルク指令値を後に発生させる前に、(例えば、ロータ234が、所望のロータ位置よりも2回転速度計増分未満だけ遅れていることを位相誤差が示すとき)第1の静摩擦克服モータトルク指令値と共に使用される第1の遅延時間間隔よりも短い第2の遅延時間間隔の間、待つように構成される。それに関して、より短い遅延時間間隔は、ロータ234が不意に止まる時間量を低減するために、ロータ234への追加のエネルギーの伝達を可能にする。
【0031】
[0035]図2〜4の文脈の非線形モータトルク指令値発生ブロック218の説明は、本主題の用途または範囲を決して限定するものではないことを理解されたい。実際に、ほぼ同じ機能を達成する均等な方式で実施することができる、減速モータトルク指令値、加速モータトルク指令値、および静摩擦克服モータトルク指令値の多くの可能な構成が存在する。それに関して、本明細書に説明する、例示的な減速モータトルク指令値、加速モータトルク指令値、および静摩擦克服モータトルク指令値は、説明のための1つの例示的な実施形態を表しているに過ぎない。
【0032】
[0036]ここで図3を参照すれば、例示的な実施形態では、制御システムは、以下に説明する、制御プロセス300および追加のタスク、機能、ならびに動作を実行するように構成することができる。様々なタスクは、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、またはそれらのいずれかの組合せにより実行することができる。説明のために、以下の説明は、図1〜2に関連して上述した要素を指す可能性がある。実際に、タスク、機能、および動作は、MCS104、制御モジュール108、リアクションホイールアレイ110、検知装置112、リアクションホイール制御システム200、リアクションホイール230、および/または回転速度計240などの、説明したシステムの様々な要素により実行することができる。任意の数の追加または代わりのタスクを含むことができ、それらのタスクは、本明細書では詳細に説明しない追加の機能を有する、より包括的な手順またはプロセスに組み込むことができることを理解されたい。
【0033】
[0037]図3を参照し、続いて図1および図2を参照すれば、制御プロセス300は、リアクションホイールの電気モータを動作させるために、モータトルク指令値を決定するように実行される。それに関して、例示的な実施形態では、制御プロセス300は、制御システム100のリアクションホイールアレイ110内の各個々のリアクションホイール230に関して同時に実行される。制御プロセス300は、リアクションホイールのトルク指令値(リアクションホイールトルク指令値など)を取得することにより開始する(タスク302)。上述のように、ACS102は、宇宙航行体114の所望の姿勢および/または回転速度を達成するために、宇宙航行体114の姿勢を再配向し、または別途、その姿勢を調節するのに、MCS104および/またはリアクションホイールアレイ110により供給される、所望の量のリアクショントルクに対応する航行体トルク指令値を決定する。一実施形態では、MCS104および/または制御モジュール108は、ACS102から航行体トルク指令値を受信し、それに応答して、航行体トルク指令値、およびリアクションホイールアレイ110のリアクションホイールの幾何学的配置に基づいて、リアクションホイールアレイ110の個々のリアクションホイールのリアクションホイールトルク指令値を決定する。それに関して、MCS104および/または制御モジュール108は、航行体トルク指令値の成分を生成するのに、個々のリアクションホイールの角速度をどのようにして増加および/または減少させるかを決定する。他の実施形態では、ACS102は、同様に航行体トルク指令値に基づいてリアクションホイールトルク指令値を決定し、リアクションホイールトルク指令値をMCS104および/または制御モジュール108に供給することができる。図2の文脈で上述したように、リアクションホイール制御システム200の入力部222は、リアクションホイール230の電気モータ232を動作させるためのモータトルク指令値を決定するのに使用されるリアクションホイールトルク指令値を取得し、または別途、その指令値を受信する。
【0034】
[0038]例示的な実施形態では、制御プロセス300は、リアクションホイールの回転速度が閾値回転速度値を上回っているかどうかを決定することにより続ける(タスク304)。閾値回転速度値は、次の制御サイクル内でロータの回転がリアクションホイールのベアリング内の摩擦力によってはあまり止まる可能性がない、リアクションホイールロータの角速度の大きさを表す。1つまたは複数の実施形態によれば、閾値回転速度値は、0.5ラジアン/秒である。リアクションホイールのロータの回転速度が閾値を上回るとき、制御プロセス300は、リアクションホイールのクローズドループモータトルク指令値を決定し、クローズドループモータトルク指令値によりリアクションホイールの電気モータを動作させることにより続ける(タスク306、308)。図2の文脈で上述したように、例示的な実施形態では、MCS104および/または制御モジュール108により実装されるリアクションホイール制御システム200は、リアクションホイール230に関連する回転速度計240に結合するロータ速度観測ブロック204を含み、ロータ速度観測ブロック204は、ロータ234の測定角速度を決定し、ロータ角速度をモータトルク指令値選択装置220に供給する。ロータ角速度の大きさが閾値回転速度値(例えば、0.5ラジアン/秒)を上回るとき、モータトルク指令値選択装置220は、ゲインブロック208の出力部からのクローズドループモータトルク指令値を、リアクションホイール230の電気モータ232に供給する。上述のように、クローズドループモータトルク指令値は、(例えば、トルク積分ブロック202により)リアクションホイールトルク指令値を積分し、または別途、その指令値を期待ロータ角速度に変換し、ロータ速度誤差を得るために(例えば、加合せブロック206により)期待ロータ角速度から測定ロータ角速度を減算し、(例えば、ゲインブロック208により)ロータ速度誤差を増幅することにより決定される。クローズドループモータトルク指令値は、モータトルク指令値選択装置220を介して電気モータ232に供給され、電気モータ232は、ロータ速度誤差を低減し、それにより、航行体114の指令トルク成分を与える方式で、ロータ234の回転速度を調節するために、出力部224においてモータトルク指令値に対応するトルクをロータ234にかける。
【0035】
[0039]タスク302、304、306、および308により規定されるループは、リアクションホイール230の回転速度が閾値ロータ速度値未満に落ちるまで、制御システム100の動作の間中、要望通りに繰り返す可能性がある。クローズドループモータトルク指令値は、ロータ速度誤差と線形の関係があり、フィードバックループにより、リアクションホイール230のベアリング内の動摩擦を補償し、宇宙航行体114に所望のトルクを供給することに留意されたい。それに関して、ゲインブロック208のゲインおよび/または伝達関数は、ロータ234が回転しているとき、宇宙航行体114に所望のトルクを確実に供給するように選択することができる。しかし、上述のように、リアクションホイールベアリング内の静摩擦に起因するトルクは、リアクションホイールベアリング内の動摩擦に起因するトルクよりも大幅に大きい可能性がある。したがって、ロータ234の回転が低回転速度で止まるとき、および/または方向転換中に、ロータ速度誤差が、静摩擦トルクを上回る、ゲインブロック208の出力部におけるクローズドループモータトルク指令値の大きさをもたらすのに十分に大きい値まで増加するのにいくつかの制御サイクルを要する可能性がある。その結果、低回転速度時、および/または方向転換中に、クローズドループモータトルク指令値は、望ましくないほど長い応答時間または望ましくない姿勢誤差を被る可能性がある。
【0036】
[0040]そのまま図3を参照すれば、ロータ回転速度が閾値回転速度値を下回るとき、制御プロセス300は、リアクションホイールのロータ位相誤差を決定し、ロータ位相誤差に基づいてリアクションホイールの修正モータトルク指令値を決定する(タスク310、312)。図2の文脈において上述のように、ロータ角速度の大きさが、閾値を下回る(例えば、0.5ラジアン/秒未満)とき、モータトルク指令値選択装置220は、非線形モータトルク指令値発生ブロック218からリアクションホイール230の電気モータ232に修正モータトルク指令値を供給し、非線形モータトルク指令値発生ブロック218により供給および/または生成される修正モータトルク指令値は、ロータ234の位相誤差および/または角度位置と非線形の関係があり、リアクションホイール230のベアリング内の摩擦力に対抗することにより、ロータ位置を期待ロータ位置と位相同期する状態に維持するものとする。増分ロータ速度変換ブロック210は、トルク積分ブロック202の出力部からの期待ロータ角速度に基づいて、回転速度計240の出力パルスの期待増分速度を決定し、増分ロータ速度観測ブロック212は、制御サイクルにわたって回転速度計240により発生する出力パルスに基づいて、測定増分回転速度を決定する。加合せブロック214は、期待増分回転速度と測定増分回転速度との間の差に基づいて、増分速度誤差を決定し、位相誤差積分ブロック216は、いくつかの回転速度計出力パルス(または回転速度計回転増分)を単位として表現される、期待ロータ位置と測定ロータ位置との間の角度位置を表す位相誤差を得るために、増分速度誤差を積分する。位相誤差積分ブロック216からのロータ位相誤差に基づいて、非線形モータトルク指令値発生ブロック218は、図2の文脈で上述し、図4の文脈で以下により詳細に説明するように、モータトルク指令値選択装置220、および/またはロータ234の回転を望ましくないことに止める、リアクションホイールベアリング内の摩擦力の可能性を低減する電気モータ232に供給される、修正モータトルク指令値を決定する。修正モータトルク指令値は、モータトルク指令値選択装置220を介して電気モータ232に供給され、電気モータ232は、ロータ位置を調節するためにロータ234に適当なトルクをかける(タスク308)。タスク302、304、310、312、および308により規定されるループは、リアクションホイールアレイ110内の特定のリアクションホイールの回転速度が閾値を上回るまで増加するまで、制御システム100の動作の間中、要望通りに繰り返す可能性がある。
【0037】
[0041]図4は、ロータ回転速度が、リアクションホイール制御システム200の1つの例示的な実施形態の閾値回転速度値を下回るとき、非線形モータトルク指令値発生ブロック218により決定され、電気モータ232によりロータ234にかけられる修正モータトルク指令値の大きさを示す。図4に示すように、図1〜3を参照すれば、最初の時間(t)から次の時刻(t)まで、測定ロータ位置が、期待ロータ位置よりも1回転速度計増分(または回転速度計出力パルス)未満(例えば、0<Perr<1)だけ遅れていることをロータ位相誤差が示すとき、リアクションホイール制御システム200は、リアクションホイール230のほぼ最大運転トルクを上回る加速モータトルク指令値を、電気モータ232に供給する。上述のように、例示的な実施形態では、リアクションホイール制御システム200および/または非線形モータトルク指令値発生ブロック218は、ロータ234が期待ロータ位置よりも遅れていることをロータ位相誤差が示すとき、公称運転トルクの2倍(2T)に等しい大きさを有する加速モータトルク指令値を供給する。時刻(t)で、測定ロータ位置が期待ロータ位置よりも1完全回転速度計増分未満(例えば、−1<Perr<0)だけ進んでいることをロータ位相誤差が示すとき、リアクションホイール制御システム200は、ほぼ最小の運転トルク未満の減速モータトルク指令値を、電気モータ232に供給する。測定ロータ位置が、期待ロータ位置よりも1回転速度計増分未満進んでいるとき、リアクションホイール制御システム200は、ロータ234が期待ロータ位置よりも進んでいることをロータ位相誤差が示す次の時刻(t)まで、運転トルク未満の減速モータトルク指令値を供給するが、時点(t)では、リアクションホイール制御システム200は、運転トルクを上回る修正モータトルク指令値の供給を再開する。上述のように、例示的な実施形態では、リアクションホイール制御システム200および/または非線形モータトルク指令値発生ブロック218は、ロータ234が期待ロータ位置よりも1回転速度計増分未満だけ進んでいることをロータ位相誤差が示すとき、公称運転トルクの半分(T/2)に等しい大きさを有する減速モータトルク指令値を供給する。リアクションホイール230のベアリング内の動摩擦に起因するトルクが、これら2つの指令値の間(例えば、公称運転トルクの2倍と公称運転トルクの半分との間)にある限り、リアクションホイール制御システム200は、図4に示すように、位相誤差に基づいて、加速モータトルク指令値と減速モータトルク指令値との間で切り換えて供給し、ロータ234を期待ロータ位置と位相同期する状態に維持する。
【0038】
[0042]ロータ234の回転速度の大きさが、0に向かって減少し、および/または、0に到達するとき、リアクションホイール230のベアリング内の始動静摩擦トルクは、加速モータトルク指令値を上回り、それにより、ロータ234の位置を期待ロータ位置よりも遅れさせる可能性がある。次の時刻(t)に、リアクションホイール230のロータ234が、期待ロータ位置よりも1回転速度計増分以上で2回転速度計増分未満だけ遅れていることを位相誤差が示すとき、リアクションホイール制御システム200は、リアクションホイール230のベアリング内の静摩擦力に起因することが予想される最大トルク(最大始動トルクなど)を上回る瞬時ピーク値(T)を有する静摩擦克服モータトルク指令値波形を供給する。例示するように、例示的な実施形態では、リアクションホイール制御システム200および/または非線形モータトルク指令値発生ブロック218は、ピーク値(T)から、ほぼ最大運転トルクを上回るトルクまでほぼ正弦波的に減少する前に、前のトルク指令値(2T)から、静摩擦トルクを上回る瞬時ピーク値(T)までほぼ正弦波的に増加する静摩擦克服モータトルク指令値を供給する。上述のように、一実施形態によれば、瞬時ピーク値は、公称運転トルクの約10倍から50倍(例えば、10T<T<50T)の範囲である可能性がある。上述のように、例示的な実施形態では、リアクションホイール制御システム200および/または非線形モータトルク指令値発生ブロック218は、追加の静摩擦克服モータトルク指令値なしに、ロータ234が期待ロータ位置と再び位相同期状態になることを可能にするために、別の静摩擦克服モータトルク指令値をかける前に、ロータ位相誤差に基づいて選択される遅延間隔(t)の間、待つように構成される。例示するように、前の静摩擦克服モータトルク指令値の時刻(t)後の少なくとも遅延間隔時間(t)である、次のある時刻(t)で、リアクションホイール230のロータ234が、期待ロータ位置よりも1〜2回転速度計増分だけ依然として遅れていることをロータ位相誤差が示すとき、リアクションホイール制御システム200および/または非線形モータトルク指令値発生ブロック218は、電気モータ232に別の静摩擦克服モータトルク指令値を供給する。例示するように、静摩擦克服モータトルク指令値は、ベアリング内の摩擦力を克服して、ロータ234を加速し、または別途、ロータ234を回転させ、ロータ位置が期待ロータ位置と再び位相同期状態となるようにすることができ、次のある時刻(t)に、測定ロータ位置は、再び期待ロータ位置よりも進む。ロータ234が期待ロータ位置よりも進んでいることをロータ位相誤差が示すとき、リアクションホイール制御システム200は、上述のように、ロータ234が期待ロータ位置と位相同期状態となるまで、ほぼ最小運転トルク未満の減速モータトルク指令値を電気モータ232に供給する。
【0039】
[0043]図5は、リアクションホイール制御システム200の例示的な実施形態の位相誤差(Perr)に関する修正モータトルク指令値の瞬時ピーク値を示す。図5に示し、図2〜4の文脈で上述したように、修正モータトルク指令値の大きさは、位相誤差の量と非線形の関係がある。言い換えれば、位相誤差の増加および/または減少は、得られる修正モータトルク指令値の瞬時ピーク値の比例的でない変化をもたらす。図5には示さないが、位相誤差が増加し、リアクションホイール230のロータ234が期待ロータ位置よりも2回転速度計増分以上(例えば、Perr>2)だけ遅れていることを位相誤差が示すとき、次に発生する静摩擦克服モータトルク指令値波形は、リアクションホイール230のロータ234が期待ロータ位置よりも2回転速度計増分未満だけ遅れているときの静摩擦克服モータトルク指令値の瞬時ピーク値を上回る瞬時ピーク値を有する可能性があることに留意されたい。例えば、リアクションホイール230のロータ234が期待ロータ位置よりも2回転速度計増分以上(例えば、Perr>2)だけ遅れているとき、得られる静摩擦克服モータトルク指令値波形(TS2)は、リアクションホイール230のロータ234が期待ロータ位置よりも1を超え2未満の回転速度計増分だけ遅れているときの静摩擦克服モータトルク指令値のピーク値の数(n)倍(例えば、TS2=n×T)となる瞬時ピーク値を有し、ロータ234は、低減した時間内に確実に回転し、期待ロータ位置と再び位相同期状態になることができる。
【0040】
[0044]本明細書に説明するシステムおよび/または方法の1つの利点は、低回転速度時にロータ位相誤差と非線形の関係がある修正モータトルク指令値をかけることにより、静摩擦の影響を軽減し、それにより、姿勢誤差を低減することができることである。上述のように、リアクションホイールのロータが不意に止まる継続時間が低減され、いくつかの実施形態では、静摩擦克服モータトルク指令値は、ロータを回転再開させ、わずか1制御サイクル内に、その所望のロータ位置および/または角速度に到達させることができる。上述のロータ速度誤差と線形の関係があるクローズドループモータトルク指令値と比べて、位相同期ループモータトルク指令値は、ロータの回転が止まり、および/または方向を変える応答時間が低減する。
【0041】
[0045]技法および/または技術は、本明細書では、様々なコンピュータ要素またはデバイスにより実行することができる、動作、処理タスク、および機能の符号表示を参照して、機能的および/または論理的なブロック要素に関して説明することができる。図に示す様々なブロック要素は、特定の機能を実行するように構成される、任意の数のハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェア要素により実現することができることを理解されたい。例えば、システムまたは要素の一実施形態は、1つまたは複数のマイクロプロセッサまたは他の制御デバイスの制御の下で様々な機能を実行することができる、メモリ要素、デジタル信号処理要素、ロジック要素、ルックアップテーブルなどの、様々な集積回路要素を使用することができる。さらに、本明細書に説明する主題の実施形態は、(例えば、制御モジュール108および/またはMCS104により)実行されるとき、上述した制御プロセス200によりリアクションホイールを動作させるためのモータトルク指令値の発生を容易にする、その上に記憶されたコンピュータ実行可能命令またはデータとして一過性でない適当な任意のコンピュータ読取可能媒体上に記憶され、その上にエンコードされ、または別途、それにより実施することができる。
【0042】
[0046]上述の説明は、要素、またはノード、または特徴部が互いに「結合する」ことを表す。本明細書に使用する場合、別途明確に述べなければ、「結合する」は、ある要素/ノード/特徴部が別の要素/ノード/特徴部と直接または間接的に接合している(あるいは直接または間接的に通信する)が、必ずしも機械的に接合していないことを意味する。したがって、図面は、要素の1つの例示的な構成を示す可能性があるが、追加の介在する要素、デバイス、特徴部、または部品は、例示した主題の一実施形態の中で存在することができる。それに加えて、いくつかの術語は、以下の説明において、参照のためだけに使用することもでき、したがって、限定するものではない。例えば、「第1の」、「第2の」、および構成を表す他のそうした数を表す用語などの用語は、文脈で明確に示さなければ、手順または順番を示唆しない。
【0043】
[0047]簡略化するために、姿勢制御システム、リアクションホイール制御、回動計画、衛星および/または宇宙船制御、ならびにシステム(およびシステムの個々の動作部品)の他の機能的な態様に関する従来の技法は、本明細書に詳細には説明しない可能性がある。さらに、本明細書に含まれる様々な図面に示される接続線は、様々な要素間の例示的な機能的関係および/または物理的結合を表すものとする。多くの代替的な、または追加の機能的関係または物理的結合は、本主題の一実施形態の中で存在することができることに留意されたい。
【0044】
[0048]少なくとも1つの例示的な実施形態が、上述の詳細な説明に提供されてきたが、多数の変形形態が存在することを理解されたい。1つの例示的な実施形態または複数の例示的な実施形態は、例示のためだけであり、本主題の範囲、用途、または構成を決して限定するものではないことも理解されたい。むしろ、以上の詳細な説明は、本主題の例示的な実施形態を実施するための便利な指針を当業者に提供する。添付の特許請求の範囲に記載する主題の範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態で説明する要素の機能および構成において、様々な変更を行うことができることを理解されたい。
【符号の説明】
【0045】
100 制御システム
102 姿勢制御システム
104 運動量制御システム
106 航行体センサシステム
108 制御モジュール
110 リアクションホイールアレイ
112 検知装置
114 宇宙航行体
200 リアクションホイール制御システム
202 トルク積分ブロック
204 ロータ速度観測ブロック
206 加合せブロック
208 ゲインブロック
210 増分ロータ速度変換ブロック
212 増分ロータ速度観測ブロック
214 第2の加合せブロック
216 位相誤差積分ブロック
218 非線形モータトルク指令値発生ブロック
220 モータトルク指令値選択装置
222 入力部
224 出力部
230 リアクションホイール集合体
232 電気モータ
234 ロータ
240 回転検知要素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
航行体(114)に搭載されたリアクションホイール(230)を使用して、前記航行体(vehicle)(114)の姿勢を制御するために制御モジュール(108)により実行可能な方法であって、
前記リアクションホイール(230)を使用して、前記航行体(114)の姿勢を調節するためのトルク指令値を受信するステップと、
前記トルク指令値に少なくとも部分的に基づいて、前記リアクションホイール(230)の位相誤差を決定するステップと、
前記位相誤差に基づいてリアクションホイール(230)のモータトルク指令値を決定するステップにおいて、前記モータトルク指令値の大きさと前記位相誤差の大きさとの間の関係が非線形である、ステップと、
前記モータトルク指令値を前記リアクションホイール(230)に供給するステップとを含む、方法。
【請求項2】
航行体(114)用の制御システム(100)であって、
電気モータ(232)に結合するロータ(234)を含む、前記航行体(114)に搭載されたリアクションホイール(230)と、
前記ロータ(234)に結合し、前記ロータ(234)の回転を示す出力(224)を発生させる、回転検知要素(240)と、
前記電気モータ(232)および前記回転検知要素(240)に結合する制御モジュール(108)において、
前記回転検知要素(240)の前記出力(224)および前記リアクションホイール(230)のトルク指令値に基づいて、前記ロータ(234)の位相誤差を決定し、
前記位相誤差に基づいてモータトルク指令値を決定し、
前記モータトルク指令値の大きさと前記位相誤差の大きさとの間の関係が非線形であり、
前記モータトルク指令値を前記電気モータ(232)に供給し、
前記電気モータ(232)は、前記モータトルク指令値に対応するトルクを前記ロータ(234)にかける、制御モジュール(108)とを含む、制御システム(100)。
【請求項3】
航行体(114)に搭載されたリアクションホイール(230)を使用して、前記航行体(114)の姿勢を制御するための方法であって、前記リアクションホイール(230)は、電気モータ(232)に結合するロータ(234)を含み、
前記リアクションホイール(230)のトルク指令値に少なくとも部分的に基づいて、前記リアクションホイール(230)の位相誤差を決定するステップと、
前記ロータ(234)が期待(expected)ロータ(234)位置より閾値を上回る量(a threshold amount)だけ遅れている(behind)ことを前記位相誤差が示すとき、前記電気モータ(232)の静摩擦克服(stiction-overcoming)モータトルク指令値を決定するステップと、
前記静摩擦克服モータトルク指令値を前記電気モータ(232)に供給するステップにおいて、前記電気モータ(232)が、前記静摩擦克服モータトルク指令値に対応するトルクを前記ロータ(234)にかける、ステップとを含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−6593(P2013−6593A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−140742(P2012−140742)
【出願日】平成24年6月22日(2012.6.22)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)