説明

リグノセルロース性生成物及び該リグノセルロース性生成物を形成する方法

リグノセルロース性生成物が、複数のリグノセルロース性部分、及びイソシアネート成分、及びその上に配置された加工助剤を含む。加工助剤は、イソシアネート成分に対して反応性であり、連続及び不連続相を有するグラフトポリオールを含み、及びリグノセルロース性複合体を形成するために使用することができる。加工助剤は、複合体に耐水性、耐膨潤性、及び強靱性を与え、及び冷間粘着性を生成物から複合体を製造する間に与える。連続相は、イソシアネート反応性成分を含む。不連続相は、ポリマー性粒子を含む。イソシアネート成分及び加工助剤は、生成物を100質量部として、約1〜約25質量部の組み合わされた量で、生成物中に存在する。複合体は、種々の工学的リグノセルロース性複合体、例えばオリエンテッドスタンダードボード(OSB)、粒子ボード(PB)、スクリンバー、又はファイバーボードを含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概してリグノセルロース性生成物に関し、特に本発明は、複数のリグノセルロース性部分、イソシアネート成分、及び加工助剤を含むリグノセルロース性生成物に関し、リグノセルロース性生成物から形成されるリグノセルロース性複合体に関し、及びリグノセルロース性生成物及びリグノセルロース性複合体を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リグノセルロース性生成物、例えば、オリエンテッドスタンダードボード(OSB)、オリエンテッドスタンダードランバー(OSL)、パーティクルボード(PB)、又はスクリンバー、アグリファイバーボード、チップボード、フレークボード、及びファイバーボード、例えば中密度ファイバーボード(MDF)は、通常、リグノセルロース性部分を、バインダー組成物、例えば樹脂と一緒にブレンドすることにより、又は吹き付けることによって製造され、一方では、リグノセルロース性部分が、ブレンド器又は類似した機器内でタンブル(混合)、又は攪拌される。十分にブレンディングしてバインダー−リグノセルロース性混合物を形成した後、今やバインダー組成物で被覆されたリグノース性部分が、生成物(特にルーズマット)中に形成され、これが、加熱プラテン/プレート間で圧縮され、バインダー組成物をセットして、そしてリグノセルロース性部分を一緒に緻密な状態で結合させ、例えばボード、パネル、又は他の形状が形成される。ルーズマット(ゆるいマット)を圧縮するための通常の方法は、通常、約120℃〜約225℃の温度で、種々の量の蒸気の存在下に(該水蒸気は、目的に従ってルーズマットに吹き込まれ、又はリグノース性部分からルーズマット中に混入した水分を解放させることによって生成される)行われる。これらの方法では、通常、リグノース性部分の水分含有量が、(リグノース性部分をバインダー組成物と混合する前に)2質量%〜20質量%の間であることが必要とされる。
【0003】
リグノセルロース性部分は、チップ、削りくず、ストランド、スクリム、ウエハー、ファイバー、おがくず、バガス、ストロー、及び木毛の状態であることが可能である。リグノセルロース性部分が、比較的大きいサイズ、例えば1〜7インチの場合、上記方法で製造されるリグノセルロース複合体は、工学的木材(engineered wood)という一般用語で、この技術分野で知られている。これらの工学的木材は、積層スタンダードランバー、OSB、OSL、スクリンバー、パラレルスタンダードランバー、及び積層ベニアランバーを含む。リグノース性部分が比較的小さい場合、例えば、典型的なおがくず、及び緻密化したファイバーサイズの場合、リグノセルロース性複合対は、パーティクルボード及びファイバーボード、例えばMDFとして、この技術分野で知られている。他の工学的ウッド、例えば合板は、(バインダー組成物によって、サンドイッチ構造に保持されている)大きなサイズのランバー(lumber)を使用する。更に、他の工学的木材、例えばスクリンバーは、平均径が2〜10mmの範囲で、長さが数フィートの、薄くて長い、不規則なウッドを使用する。
【0004】
工学的木材が発達した理由は、ランバー(木材)をカットするために適切なサイズの木の幹がますます不足してきていることにある。このような工学的木材は、有利な物理的特性、例えば強度と安定性を有している。工学的木材の他の有利性は、これらが他の木材及びリグノセルロース性材料を加工することにより発生した廃棄物から作ることができることである。これは、リサイクリング工程からの効率化とエネルギーの節約をもたらし、及び埋め立てごみ廃棄場所(用地)を節約する。
【0005】
このようなリグノセルロース性複合体を製造するために使用されるバインダー組成物は、フェノールホルムアルデヒド(PF)樹脂、ウレアホルムアルデヒド(UF)樹脂、及びイソシアネート樹脂を含む。イソシアネート化学に基づくバインダー組成物が、商業的に望ましい。この理由は、これらは、水の吸収が少なく、粘着性(接着性)が高く、及び結合力、処方物中でのたわみ性、硬化温度及び速度についての多様性、卓越した構造特性、水分含有量が高いリグノセルロース性材料との良好な結合性、及び重要なことに、ホルムアルデヒドの放出が無い(零)ことにある。イソシアネートの不利な点は、プラテンへの接着のために、加工が困難なこと、冷間粘性(cold-tack)に欠けること(すなわち、イソシアネートは、「粘着性」又は「スティッキー」ではない)、コスト、及び所定のシナリオで、特殊な保管が必要なことである。
【0006】
リグノセルロース材料を、ポリメチレンポリ(フェニルイソシアネート)(ポリマー性MDI又はPMDIとしても公知)で処理して、複合体の強度を改良することが公知である。代表例では、このような処理は、イソシアネートを、リグノセルロース材料に施し、そして(熱と圧力を与えて、又は室温で)イソシアネートを硬化させることを含む。PMDIを、環境の条件で硬化させ、残っているイソシアネート(NCO)基を、処理した物品上に、例えば数週間又は数ヶ月、維持することができる。このような目的のために、トルエンジイソシアネート(TDI)を使用することも可能であることが公であるが、環境上の問題からは好ましくない。イソシアネートプレポリマーは、(種々の処理問題を解決するために、特に、プレスプラテンへの粘着(接着)を低減するために、及びイソシアネートの反応性を低減するために、バインダー組成物中に使用される)特に好ましいイソシアネート材料である。
【0007】
伝統的に、種々の「サイズ」剤、例えばワックスが、撥水性を達成し、及び水分に曝された時にリグノセルロース性複合体の膨潤(swelling)を低減するために、リグノセルロース複合体に加えられてきた。ワックス、例えば(溶融又は乳状の懸濁が可能である)パラフィンが、製造の間、リグノセルロース性複合体に加えられる。ワックスは、リグノセルロース性複合体の中に存在する微細な割れ(マイクロクラック)を埋め、従って、少なくとも幾分かの撥水性を達成し、そしてクラック(割れ)を物理的に閉塞することによって、水の取り込みを低減し、これによりリグノセルロース性複合体の膨潤を低減する。
【0008】
不都合なことに、ワックスは、リグノセルロース性複合体に使用された、他の成分、例えばイソシアネートに対して不活性であり、すなわち、ワックスは、リグノセルロース性材料中に使用された他の成分に対して反応しない。従って、ワックスは、例えば、リグノセルロース性材料の内部結合(IB)強度を高めるために補助することがなく、実際には、このような強度を低減させ得る。類似して、ワックスは圧力と熱を与える前(すなわち、ルーズマット状態、生成物、質量、又は「供給状態」)に、リグノセルロース性材料を一緒に保持するための補助をすることがない。例えば、イソシアネートとワックスを使用する場合には、(PF又はUF樹脂とワックスを使用する場合と比較して)プレスの閉まる速度を低減しなければならない。この理由は、プレスをあまりにも速く閉めた場合には、空気がルーズマット中に入り、ルーズマットの構造に損傷を与え得るからである。この問題は、専らイソシアネート(及び使用した場合には、ワックス)の粘着性(tackiness)が不足しており、この一方で、PF及びUF樹脂は、それ自体、ある程度の粘着性を有しているからである。プレスが閉まる速度を低減することは、リグノセルロース性複合体の製造にとって、経済的な理由、例えば処理量の低下、及び労働コストの上昇等の損害をもたらすものである。
【0009】
更に、リグノセルロース性複合体の製造の間において、製造で使用する高い温度、例えば上述した温度、例えば、可圧の間、又は蒸気注入の間の高い温度は、ワックスのリグノセルロース性複合体からの昇華及び/又は蒸発の要因となる。このようなリグノセルロース性複合体からのワックスの損失は、多くの問題を引き起こし得る。例えば、ワックスの形成(増加:build-up)は、(設備の表面でのワックスの形成と体積と一緒に)火災の要因となる潜在性をもたらし得るものである。蒸気から由来するワックスは、製造の施設内に、炭化水素のもや(煙霧)を発生させる要因となる。更に、リグノセルロース性複合体からのワックスの物理的な損失(例えば多い場合50質量%の損失)のみならず、清潔性、安全性、及びリグノセルロース性複合体を製造するための製造装置と周辺領域を維持するハウスキーピングコストからも、製造コストが増加する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、耐水性が改良され、耐膨湿性が改良され、製造コストが低減され、冷間粘性(cold-tack)が改良され、及び強靭性(toughness)が改良されたリグノセルロース性複合体を提供する機会が残っている。このようなリグノセルロース性複合体を形成する方法を提供する機会も残っている。例えば、バインダー組成物、及び任意にワックスのためにイソシアネートを使用するリグノセルロース性複合体の製造の間、プレス速度を上げるという切実な必要性に取り組む機会が残っている。他の例として、所定のリグノセルロース性複合体の形成にワックスを使用するための、経済的な経済面での関心に取り組む機会が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明と有利な点の要約
リグノセルロース性生成物は、複数のリグノセルロース性部分を含む。リグノセルロース性生成物は、更に、複数のリグノセルロース性部分に配置されたイソシアネート成分を含む。リグノセルロース性生成物は、更に、加工助剤を含む。この加工助剤は、イソシアネート成分に対して反応性であり、連続相と不連続層を有するグラフトポリオールを含んでいる。連続相は、イソシアネート反応性の成分を含む。不連続相は、ポリマー性粒子を含む。イソシアネート成分と加工助剤は、リグノセルロース性生成物中に、(リグノセルロース性生成物を100質量部として、)約1〜約25質量部の組み合わせた量で存在する。リグノセルロース性生成物を形成する方法も、開示されている。
【0012】
本発明のリグノセルロース生成物は、卓越した冷間粘性を有しており、及び種々のリグノセルロース性複合体(製品)を形成するのに使用可能である。本発明のリグノセルロース性生成物から形成されるリグロセルロース複合体は、通常のリグノセルロース性複合体と比較して、卓越した耐水性、膨潤の低減、及び強靭性、及び弾性を有している。加工助剤は、イソシアネートに対して反応性であり、リグノセルロース性生成物及びこれから製造されるリグノセルロース性複合体に卓越した物理的特性を与える。加工助剤は、冷間粘性をも改良し、これにより、部分的に、製造コストが低下され及び本発明の方法のローバスト性(強さ)が高められる。本発明の方法は、製造コストを低減し、例えば、リグノセルロース性複合体の製造の間のプレス速度を高め、及び本発明の、上記長所(例えば改良された耐水性)を有するリグノセルロース性生成物、及びリグノセルロース性複合体を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明の詳細な説明
本発明は、リグノセルロース性生成物を提供する。リグノセルロース性生成物は、種々のリグノセルロース複合体(製品)を形成するのに使用することができる。リグノセルロース性生成物(以降生成物とする)を、更に以下に記載する。本発明は、リグノセルロース性複合体をも提供する。リグノセルロース性複合体(以降、複合体とする)は、種々の用途のために使用することができる。このような用途の例は、包装、家具及び高級家具、ルーフ及びフロア被覆材料、ルーフ、フロア及び羽目板パネリング、窓及びドア枠、及びウェッブストック、例えば工学Iビームのためのウィッブストックのための用途であるが、これらに限定されない。種々の実施の形態における複合体は、工学的リグノセルロース複合体の種々の形態として名称付けて良く、例えば、工学的ウッド複合体、例えば、オリエンテッドスタンダードボード(OSB);オリエンテッドスタンダードランバー(OSL);スクリンバー;ファイバーボード、例えば低密度(LDF)、中密度ファイバーボード(MDF)、及び高密度ファイバーボード(HDF);チップボード;フレークボード;パーティクルボード(PB);合板等と称して良い。通常、複合体は、OSB、OSL、PB、クリンバー、合板、LDF、MDF、又はHDFの状態であり;しかしながら、リグノセルロース性複合体は、他の工学的ウッド形態、例えばここに記載され、例示されたものであっても良いが、これらに限られるものではない。
【0014】
本発明の生成物と複合体の両方は、複数のリグノセルロース性部分を含む。リグノセルロース性部分は、種々のリグノセルロース性材料から誘導することができる。通常、リグノセルロース性部分は、ウッドから誘導され;しかしながら、リグノセルロース部分は、他のリグノセルロース材料、例えばバガス、ストロー、フラックス残留物、クルミの殻、穀物の殻等、及びこれらの混合物から誘導することもできる。リグノセルロース材料として、ウッドが使用された場合、リグノセルロース部分は、この技術分野で理解される、種々の硬質ウッド及び/又は軟質ウッドから製造することができる。フレーク、ファイバー、又は他の粒子状形態、例えば、ガラスファイバー、マイカ、アスベスト、ラバー、等の状態の、非リグノセルロース性材料を、リグノセルロース性材料中に混合することができる;しかしながら、このような材料は、通常、本発明の目的のために必要とはされない。
【0015】
リグノセルロース性部分は、種々の工程(方法)から、例えば、小さなログ(丸太)、工業的なウッドの残り、枝、原料パルプウッド、等をおがくず、チップ、フレーク、ウエハー、ストランド、スクリム、ファイバー、シート等に粉砕することによって、由来することができる。ある実施の形態では、リグノセルロース部分は、代表例では、OSB、OSL、スクリンバー及びパーティクルボードを形成するために使用される、これらの部分を含む。他の実施の形態では、リグノセルロース性部分は、代表例では、ファイバーボード、例えばLDF、MDF、及びHDFを形成するために使用される、これらの部分を含む。更に他の実施の形態では、リグノセルロース性部分は、代表例では、合板を形成するために使用される、これらの部分を含む。本発明の生成物、及び複合体は、上述した材料、及び/又は部分(pieces)、例えばストランド及びおがくずの種々の組み合わせを含むことができる。更に、複合体は、(生成物から)パネル及びボード以外の、他の形状に形成しても良い。
【0016】
上述したように、リグノセルロース性部分は、種々の通常の技術(従来技術)によって製造することができる。例えば、パルプウッドグレードのログを、通常のラウンドウッドフレーカーを使用して、一操作でフレークに変換することができる。この替わりに、ログ及びログ処理の残留物を、通常の装置を使用して、約0.5〜約3.5インチの長さに細分し、そして細分化したものを、通常のリングタイプフレーカー装置を使用して、フレーク(断片)化することもできる。この技術分野で理解されるように、ログは、典型的には、フレーク化の前に皮はぎ(debark)することができる。本発明は、リグノセルロース性部分を形成する特定の方法によって制限されるものではない。
【0017】
リグノセルロース部分の寸法は、本発明の目的のために特に重要ではない。OBSを形成するために使用されるような、ある実施の形態では、リグノセルロース性部分は、典型的には、平均長さが約2.5〜約6インチ、平均幅が約0.5〜約2インチ、及び平均厚さが約0.1〜約0.5インチのストランドを含む。この技術分野の当業者の所望により、他のサイズも使用可能である。これらの実施の形態の幾つかでは、生成物及び複合体は、他のタイプのリグノセルロース性部分、例えば、ストランドに加え、チップを含んでも良い。所定の実施の形態では、典型的には幅が約1.5インチ、及び長さが約12インチのストランドを、積層ストランドランバーを製造するのに使用することができ、一方、典型的には幅が約0.12インチ、及び長さが約9.8インチのストランドを、パラレルストランドランバーを製造するのに使用することができる。ある実施の形態では、フレークボードを形成するのに使用されるもののように、リグノセルロース性部分は、平均長さが約2〜約6インチ、平均幅が約0.25〜約3インチ、及び平均厚さが約0.005〜0.05インチのフレークを含む。他の実施の形態では、スクリンバーを形成するのに使用されるもののように、リグノセルロース部分は、平均径が、約0.25〜約20mmの範囲、より典型的には、約0.5〜約15mm、及び最も典型的には、約1〜約10mm、及び長さが数インチ〜数フィートの範囲の薄い、不規則な部分を含む。リグノセルロース性部分、例えばスクリムの適切なサイズと形状、及び本発明の目的のための、スクリンバーを製造する方法についての詳細な情報は、U.S.patentNo.6,344,165 to Colemanに記載されており、この文献は、これにより、その全てがここに導入される。所望の物品を製造するために、より適切なサイズを製造することが所望される場合、リグノセルロース性部分は、使用する前に更に粉砕(ミル)することができる。例えば、ハンマー、ウイングビーター、及び歯付きディスクミルを、種々のサイズ(大きさ)と形状を有するリグノセルロース性部分を形成するために使用しても良い。
【0018】
リグノセルロース性部分は、種々の水分含有量を有することができる。典型的には、リグノセルロース性部分は、水分含有量が、リグノセルロース性部分を100質量部として、約1〜約20、より典型的には、約2〜約15、更により適切には、約3〜12、及び最も典型的には、3〜10質量部(水)である。この技術分野の当業者に理解されるように、水は、リグノセルロース性部分中(又は上)に存在する場合、生成物の硬化又はセッティングさせて、複合体を形成することを促進する。リグノセルロース性部分は、固有の水分含有量を有することができ;又はこの替わりに、水を、(例えば、リグノセルロース性部分を濡らすか、又は乾燥することによって)リグノセルロース性部分から除去し又は加え、複合体の形成の前/形成中に、リグノセルロース性部分の所望の水分含有量を得ることができる。
【0019】
リグノセルロース性部分は、生成物から形成されることが望まれる複合体の種類に依存して、生成物及び複合体中に、種々の量で存在する。代表例では、OSB、PB、スクリンバー、又はMDFの用途では、生成物又は複合体を100質量として、リグノセルロース性部分は、約75〜約99質量部、より典型的には、約85〜約98、更により典型的には約90〜約97、及び最も典型的には、約92〜96質量部の量で存在する。
【0020】
生成物及び複合体は、更に、複数のリグニセルロース性部分の上に配置されたイソシアネート成分を含む。「配置」については、イソシアネート成分が、リグノセルロース性部分の少なくとも一部と接触していることを意味する。ここで使用されているように、又は記載上の便宜で、反応生成物又はバインダー組成物が参照されても良い。特定的には、反応生成物は、イソシアネート成分、及びイソシアネート成分に対して反応性の加工助剤(加工助剤については後に更に記載する)を含む。このように、反応生成物は、反応生成物が複合体中に存在し、そして反応生成物が、リグノセルロース性部分と一緒に結合する。バインダー組成物は、イソシアネート成分、及び少なくとも1種の他の成分、例えば加工助剤を含み、(以降、更に記載するように)成分の全ては、複合体の一部である。通常、バインダー組成物は、反応生成物が最終的に硬化した状態に硬化して複合体を形成する前に、所定の量で存在するのみである。換言すれば、反応生成物は、(ここに含まれる成分の間で起こる反応の後、すなわち、イソシアネート成分と加工助剤の間の反応の後、)バインダー組成物が最終的に硬化した状態である。バインダー組成物のこのような成分を予備混合又は混ぜ合わせて、バインダー組成物を形成することができ、そしてバインダー組成物をリグノセルロース部分に施すことができる。より典型的には、(予備混合及び施されるよりは)イソシアネート成分及び他の成分が、複合体を形成する間、リグノセルロース性部分に個々に施される。この技術分野の当業者にとって理解されるように、イソシアネート成分は、リグノセルロース性部分と一緒に粘着(接着)し、(とたんに)硬化する。更に、イソシアネート成分と加工助剤の両方を含む反応生成物は、リグノセルロース性部分も一緒に結合させる。ウッド複合体のための、粘着(接着)の通常のメカニズムは、The Polyurethaens Handbook(David Randall&Steve Lee eds.,John Wiley&Sons,Ltd.2002)の397〜399頁に詳細に記載されている。
【0021】
イソシアネート複合体は、典型的には、2種以上の官能基、例えばイソシアネート(NCO)基を有するポリイソシアネートである。適切な有機ポリイソシアネートは、本発明の目的のために、通常の脂肪族、脂環式、アラリファティック、及び芳香族イソシアネートを含むが、これらに限定されない。所定の実施の形態では、イソシアネート成分は、ジフェニルメタンジイソシアネート(類)(MDIs)、ポリマー性ジフェニルメタンジイソシアネート(PMDIs)、及びこれらの組み合わせから成る群から選ばれる。ポリマー性ジフェニルメタンジイソシアネートは、この技術分野では、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートとも称される。他の実施の形態では、イソシアネート成分は、乳化可能なMDI(eMDI)である。本発明の目的のために、適切な他のイソシアネートの例は、トルエンジイソシアネート(類)(TDIs)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDIs)、イソホロンジイソシアネート(IPDIs)、ナフタレンジイソシアネート(NDIs)、及びこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0022】
ある実施の形態では、イソシアネート成分は、イソシアネート終端プレポリマー(isocyanate-terminated prepolymer)である。イソシアネート終端プレポリマーは、イソシアネートと、ポリオール及び/又はポリアミンの反応生成物である。イソシアネートは、ポリウレタン技術の当業者にとって公知の如何なるものであっても良く、例えば上述したポリイソシアネートの一つであっても良い。イソシアネート終端プレポリマーを製造するために使用される場合、ポリオールは、典型的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ペンタエリチリトール、ソルビトール、及びこれらの組み合わせから成る群から選ばれる。イソシアネート終端プレポリマーを製造するために使用される場合、ポリアミンは、典型的には、エチレンジアミン、トルエン、ジアミン、ジアミノジフェニルメタン、及びポリメチレンポリフェニレンポリアミン、アミノアルコール、及びこれらの組み合わせから成る群から選ばれる。適切なアミノアルコールの例は、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、及びこれらの組み合わせを含む。イソシアネート終端プレポリマーは、上述したポリオール及び/又はポリアミンの2種以上の組み合から形成されても良い。
【0023】
上述したように、イソシアネート又はイソシアネート終端プレポリマーは、このような材料を、乳化剤の存在下に、水と混合することによって、水性乳濁液の状態で使用しても良い。イソシアネート成分は、変性イソシアネート、例えばカルボジイミド、アロファネート、イソシアヌレート及びビウレットであっても良い。
【0024】
本発明の目的のために、適切な他のイソシアネートは、U.S.Patent Nos.4,742,113 to Gismondi et al.;5,093,412 to Mente et al.;5,425,976 to Clarke et al.;6,297,313 to Hsu;6,352,661 to Thompson et al.;6,451,101 to Mente et al.;6,458,238 to Mente et al.;6,464,820 to Mente et al.;6,638,459 to Mente et al.;6,649,098 to Mente et al.;6,822,042 to Capps;及び6,846,849 to Capps;及びU.S.Publication Nos.2003/0047278 to et al;2005/0221078 to Lu et al.;2005/0242459 to Savino et al.;及び2006/0157183 to Evers et al.;に記載されているものを含み、これにより、これらの文献は、その全てがここに導入される。
【0025】
本発明の目的のために、適切なイソシアネート成分の特定の例は、BASF Corporation of Florham Park,NJから市販されている、登録商標LUPRANATE(登録商標)、例えばLUPRANATE(登録商標)M、LUPRANATE(登録商標)MI、LUPRANATE(登録商標)M20SB、LUPRANATE(登録商標)M20HB、及びLUPRANATE(登録商標)M20FBイソシアネートである。イソシアネート成分は、上述したイソシアネート、及び/又はイソシアネート終端プレポリマーの任意の組み合わせを含んでも良い。
【0026】
イソシアネート成分は、典型的には、イソシアネート成分をリグノセルロース性部分に(イソシアネート成分をリグノセルロース性部分に施すために、イソシアネート成分を吹きつけ、噴霧、及び/又はアトマイズ化することによって)特定的に適用するのに適切な粘度を有している。典型的には、イソシアネート成分は、ASTMD2196に従い、25℃で、約100〜約5000cps、より典型的には約100〜約2500、及び最も典型的には、約100〜約1000cpsの粘度を有している。供給技術とは無関係に、イソシアネート成分の粘度は、リグノセルロース性部分を被覆するのに充分なものであるべきである。
【0027】
典型的には、例えば、PB、スクリンバー、又はMDF用途等で、イソシアネート成分は、反応生成物又はバインダー組成物を100質量部として、約1〜約20、より典型的には約1〜約15、及び最も典型的には約2〜約10質量部の量で存在する。通常、イソシアネート成分が少な過ぎる場合には、得られる複合体は、商業的に充分であるために必要な物理的特性を有していない。同様に、イソシアネート成分の量が多すぎる場合には、複合体を製造するためのコストが、このようなイソシアネート成分を使用する利益を超えて高くなる。
【0028】
複合体は更に、上述したように、複数のリグノセルロース性部分に配置された加工助剤を含む。「配置された」について、加工助剤は、リグノセルロース性部分の少なくとも一部と接触していることを意味する。また、バインダー組成物は、更に加工助剤を含む。加工助剤は、イソシアネート成分に対して反応性である。また、加工助剤は、「イソシアネート反応性加工助剤」とも称することができる。加工助剤は、グラフトポリオールを含む。ある実施の形態では、加工助剤は、(補足的なポリオール及び/又は他のスタンダードウレタン樹脂成分を含む)他の成分を含んでも良い。他の実施の形態では、加工助剤は、グラフトポリオールから成る。
【0029】
一実施の形態では、グラフトポリオールは、ポリマーポリオールである。他の実施の形態では、グラフトポリオールは、ポリハルンストッフ(PHD)ポリオール、ポリイソシアネート重付加(PIPA)ポリオール、及びこれらの組み合わせから成る群から選ばれる。加工助剤は、上述したグラフとポリオールの如何なる組み合わせをも含むことができると理解される。グラフトポリオールは、この技術分野では、グラフトディスパーションポリオール(類)又はグラフトポリマーポリオールとも称されて良い。グラフトポリオールは、ポリウレタン技術の当業者にとって公知であり、そして、生成物、すなわち、1種以上のビニルモノマー、例えばスチレンモノマー及び/又はアクリロニトリルモノマー、及びポリオール中マクロマー、例えばポリエーテルポリオールの現場重合(in-situ polymerization)によって得られるポリマー性粒子を含む。一実施の形態では、加工助剤は、スチレン−アクリロニトリルグラフトポリオールである。PHDポリオールは、典型的には、ジイソシアネートとジアミンをポリオール中で現場反応(in-situ reaction)させて、ポリウレア粒子の安定した分散物を得ることによって形成される。PIPAポリオールは、PHDポリオールに類似するが、分散物が典型的には、ジイソシアネートと(ジアミンの替わりに)アルカノアミンを現場反応させ、ポリオール中のポリウレア分散物を得ることによって形成されることが異なる。本発明は、グラフトポリオールを製造する特定の方法に限定されることはない。
【0030】
加工助剤は、一旦形成された複合体にある程度の撥水性を与えることによって、サイズ剤代用、例えばサイズワックス又はワックスサイジング代用として作用する。例えば、パラフィンは、OSB及びOSL用途のための共通するワックスサイジング剤である。ある実施の形態では、リグノセルロース生成物及び複合体は、ワックス成分、例えばパラフィンを実質的に有しない。「実質的に有しない」という記載について、該記載は、これらの実施の形態では、ワックス成分は、生成物又は複合体を100質量部として、典型的には、約5質量部以下、より典型的には、約2.5質量部以下、更により典型的には、約1.5質量部以下、及び最も典型的には、0質量部に近いか0質量部に等しいことを意味する。ある実施の形態では、生成物及び複合体は、ワックス成分を、完全に有しない。
【0031】
本発明の加工助剤が、撥水性を与える方法は、リグノセルロース性部分の表面を少なくとも部分的に被覆し、表面の表面張力を低下させることによる。本発明の加工助剤が、撥水性を与える他の方法は、加工助剤が、毛細管、及びリグノセルロース性部分の間を少なくとも部分的に満たし、毛細管が水を採取することのバリア(障壁)を提供するものである。更に、加工助剤が、複合体内、例えば、(反応生成物を形成する硬化の間、又は後の)バインダー組成物内の、ミクロ−及びナノ−クラックの形成を低減すると信じられている。更に、このようなクラック(割れ)が、リグノセルロース性部分無いに、既に存在している場合、(毛細管について上述したように、)加工助剤は、少なくとも部分的にクラックを埋める。水のブロックとクラックの充填は、(複合体が、使用の間、水分に曝された時に、)層間剥離と膨潤(膨張)の問題を低減すると信じられている。更に、このような「充填」は、グラフトポリオールのポリマー性粒子に起因して行なわれると信じられている。
【0032】
加工助剤は、連続相と不連続相を含み、より典型的には、グラフトポリオールは、連続相と不連続相を含む。加工助剤の連続相は、通常、イソシアネート成分とは混和性ではなく、ポリマー性粒子の、反応性基(例えばヒドロキシル(OH)基)での被覆率を高める。このような反応性基は、更に(反応性基が反応すると、)生成物及び複合体中の架橋を与える。ポリマー性粒子について、以下に、更に詳細に説明する。連続相は、加工助剤とイソシアネート成分の反応性を与えるために、イソシネート反応性成分を含む。ある実施の形態では、上述したように、連続相と不連続相の両方が、イソシアネート成分に対して反応性である。これらの実施の形態を、以下に更に詳細に説明する。
【0033】
典型的には、加工助剤のイソシアネート反応性成分は、ポリオールを含む。ポリオールは、通常、グラフトポリオールを形成するために使用されるポリオールであり、該ポリオールは、この技術分野では、キャリヤポリオールと称される;しかしながら、ポリマー性粒子とは異なる、別のポリオール(distinct polyol)も使用されて良い。ポリオールは、通常、(イソシアネート成分に対して反応性の)少なくとも2種のヒドロキシル基を有する。ポリオールは、既に記載し、及びイソシアネート終端プレポリマーの記載で例示したものと同一であっても、異なっていても良い。イソシアネート反応性成分は、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、及びこれらの組み合わせを含む。更に、ポリオールは、脂肪族ポリオール、脂環式ポリオール、芳香族ポリオール、複素環式ポリオール、及びこれらの組み合わせから成る群から選ばれることができる。適切なポリオールのより特定的な例は、グリセロール、プロピレングリコール、サッカロース−開始ポリオール、サッカロース/グリセリン開始ポリオール、トリメチロールプロパン−開始ポリオール、及びこれらの組み合わせから成る群から選ばれるがこれらに限定されない。
【0034】
ある実施の形態では、ポリオールは、疎水性ポリオールである。特定の実施の形態では、ポリオールは、疎水性ポリエーテルポリオールである。他の特定の実施の形態では、ポリオールは、疎水性ポリエステルポリオールである。疎水性ポリオールは、アルキレンオキシドを含む。これらの実施の形態では、疎水性ポリオールは、典型的には、疎水性ポリオールのアルキレンオキシドを100質量部として、約0〜約50、より典型的には、約2〜約20、及び最も典型的には、約5〜約15、質量部のエチレンオキシド(EO)を有する。他の実施の形態では、疎水性ポリオールは、アルキレンオキシドを100質量部として、典型的には、少なくとも60質量部、より典型的には、少なくとも70質量部、及び最も典型的には、少なくとも80質量部のプロピレンオキシド(PO)を含む。従って、これらの実施の形態では、疎水性ポリオールは、プロピレンオキシドが豊富なポリオールで、これにより疎水性ポリオールに疎水性が与えられ、そして従って更に、生成物と複合体に疎水性が与えられる。
【0035】
ある実施の形態では、疎水性ポリオールのアルキレンオキシドは、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの混合物を含む。他の実施の形態では、疎水性のポリオールのアルキレンオキシドは、プロピレンオキシドのみを含み、すなわち、疎水性ポリオールは、他のアルキレンオキシド、例えばエチレンオキシドを含まない。ある実施の形態では、疎水性ポリオールは、この技術分野では公知のアルキレンオキシドの他のタイプ、例えばブチレンオキシド(BO)を、プロピレンオキシドと組み合わせて、及び任意にエチレンオキシドと組み合わせて含む。疎水性ポリオールのアルキレンオキシドは、種々の構造、例えばランダム(ヘテリック)構造、ブロック構造、キャップされた構造、又はこれらの組み合わせに配置することができる。例えば、一実施の形態では、疎水性ポリオールは、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのヘテリック混合物を含む。
【0036】
ある実施の形態では、疎水性ポリオールは、エチレンオキシドで末端がキャップされている。疎水性ポリオールは、疎水性ポリオールを100質量部として、典型的には、約5〜約25質量部、より典型的には、約5〜約20質量部、及び最も典型的には、約10〜約15質量部のエチレンオキシドの末端キャップを含む。ある実施の形態では、エチレンオキシドは、末端エチレンオキシドキャップにのみ存在していても良く、しかしながら、他の実施の形態では、エチレンオキシドは、プロピレンオキシドと一緒に、及び任意に、疎水性ポリオールのアルキレンオキシド中の他のアルキレンオキシド、例えば、ブチレンオキシドと一緒に存在していても良い。通常、本発明の目的のために、生成物及び複合体の疎水性を増すために、疎水性ポリオールのプロピレンオキシドの含有量を増加させることが好ましい。
【0037】
本発明の目的のために、適切な疎水性ポリオールは、グリセリン開始、トリメチロールプロパン開始、プロピレングリコール開始、及びサッカロース開始のポリエーテルポリオール、及びこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されるものではない。一実施の形態では、疎水性ポリオールは、グリセリン開始のポリエーテルポリオールである。疎水性ポリオールのアルキレンオキシドは、通常、疎水性ポリオールの、それぞれの開始剤部分から伸びる。
【0038】
上述のように、加工助剤の不連続相は、ポリマー性粒子を含む。上述したように、マイクロ−及び/又はナノ−クラックが、リグノセルロース性部分内に存在している場合、加工助剤の不連続相のポリマー性粒子が、少なくとも部分的にこれらのクラックを埋めると信じられている。ポリマー性粒子は、通常、そのマクロマー成分のために、サイズが大きく、すなわち、ポリマー性粒子は、マイクロメーター又はそれ以上の寸法を有しており、例えば、マイクロメーター又はそれ以上の直径を有している。ある実施の形態では、ポリマー性粒子は、平均径が約0.1〜約10ミクロンの範囲、より典型的には、約0.1〜約1.5ミクロンの範囲である。他の実施の形態では、ポリマー性粒子は、平均径が0.1ミクロン未満であり、これは、加工助剤にナノ−ポリマー性粒子を与える。保管又は使用の間に、複合体が水分に曝された場合、水のブロックとクラックの充填は、層間剥離と膨潤の問題を低減する。クラックの充填に加え、ある実施の形態では、ポリマー性粒子は、イソシアネートに対して反応性であり、これにより、生成物から形成される複合体の内部結合(IB)強度が高められて良い。上述したように、ポリマー性粒子は、典型的には、スチレン、例えばアルファ−メチルスチレン、アクリルニトリル、アクリル酸とメタクリル酸のエステル、エチレン性不飽和ニトリル、アミン、アミド、及びこれらの組み合わせから成る群から選ばれるモノマーの反応生成物を含む。ある実施の形態では、ポリマー性粒子は、マクロマー、例えば不飽和のポリオールの反応を含む(これにより、上述したように、ポリマー性粒子の化学的な導入が可能になる)。これらの実施の形態では、ポリマー性粒子は、ポリマー性粒子に付いている(イソシアネート成分と反応することができる)反応性基、例えばOH基のために、複合体中に架橋を与えると信じられている。ポリマー性粒子は、その特定の化学的構造(例えば、スチレンとアクリロニトリルモノマーから形成されたポリマー性粒子)に依存して、「ホットメルト」粘着(接着)として作用することができると信じられている。
【0039】
一実施の形態では、ポリマー性粒子は、スチレンモノマーとアクリロニトリルモノマーの反応生成物である(このことは、当業者にとって公知である)、スチレンアクリロニトリル(SAN)コポリマーを含む。典型的には、SANコポリマーは、スチレンのアクリロニトリルに対する質量割合が、約30:70〜約70:30、より典型的には、約40:60〜約60:40、更により典型的には、約45:55〜約60:40、最も典型的には、約50:50〜約60:40、及び更に最も典型的には、約55:45〜約60:40である。一実施の形態では、SANコポリマーは、スチレンのアクリロニトリルに対する質量割合が約66.7:33.3である。他の実施の形態では、ポリマー性粒子は、(アミンモノマーとイソシアネート(NCO)基、例えばジイソシアネートのNCO基との反応生成物である)ウレアである。更なる実施の形態では、ポリマー性粒子は(アルコールモノマーとイソシアネート(NCO)基、例えばジイソシアネートのNCO基との反応生成物である)ウレタンである。
【0040】
典型的には、ポリマー性粒子は、加工助剤中に、加工助剤を100質量部として、約5〜約70質量部、より典型的には、約15〜約55質量部、及び最も典型的には、約25〜約50質量部の量で存在する。一実施の形態では、ポリマー粒子は、加工助剤中に、加工助剤を100質量部として、約65質量部の量で存在する。通常、ポリマー粒子を増加させると、上述のように、生成物と複合体の撥水性が増加する。
【0041】
グラフトポリオールは、典型的には、分子量(molecular weight)が、約400〜約20000、より典型的には、約500〜約10000、更により典型的には、約600〜約5000、及び最も典型的には、約700〜約3000である。一実施の形態では、グラフトポリオールは、分子量が、約730である。他の実施の形態では、グラフトポリオールは、分子量が約3000である。
【0042】
本発明の目的のための、他の適切なグラフトポリオール、及び該グラフトポリオールを製造する方法は、U.S.PatentNos.4,522,976 to Grace et al.;5,093,412 to Mente et al.;5,179,131 to Wujcik et al.;5,223,570 to Huang et al.;5,594,066 to Heinemann et al.;5,814,699 to Kratz et al.;6,034,146 to Flake et al.;6,103,140 to Falke et al.;6,352,658 to Chang et al.;6,432,543 to Harrison et al.;6,472,447 to Lorenz et al.;6,649,107 to Harrison et al.;及び7,179,882 to Adkins et al.に記載されているものを含み、これらの文献は、これにより、その全てがここに導入される。
【0043】
本発明の目的のために、適切なグラフトポリオールの特定の例は、商標PLURACOL(登録商標)、例えばPLURACOL(登録商標)1365、PLURACOL(登録商標)4600、PLURACOL(登録商標)4650、PLURACOL(登録商標)4800、PLURACOL(登録商標)4815、PLURACOL(登録商標)4830、及びPLURACOL(登録商標)4850グラフトポリオールの下に、BASF Corporation of Floarham Park,NJから市販されている。加工助剤は、上述したグラフトポリオールの如何なる組み合わせをも含んで良い。グラフトポリオールの詳細な情報は、THE POLYURETHANES HANDBOOK(David Randall&Steve Lee eds.,John Wiley&Sons,Ltd.2002)の104及び105頁に記載されており、これらは、その全てがここに導入される。
【0044】
加工助剤は、典型的には、加工助剤をリグノセルロース性部分に(加工助剤をリグノセルロース性部分に施すために、加工助剤を吹きつけ、噴霧、及び/又はアトマイズ化することによって)特定的に適用するのに適切な粘度を有している。典型的には、加工助剤は、ASTMD2196に従い、25℃で、約100〜約10000、より典型的には約500〜約5000、及び最も典型的には、約500〜約3000cpsの粘度を有している。供給技術とは無関係に、加工助剤の粘度は、リグノセルロース性部分を適切に被覆するのに充分なものであるべきである。
【0045】
典型的には、加工助剤は、反応生成物又はバインダー組成物を100質量部として、約5〜約40質量部、より典型的には、約10〜約30質量部、及び最も典型的には、約15〜約25質量部の量で存在する。加工助剤は、上述したポリオール、ポリマー性粒子及び/又はグラフトポリオールの如何なる組み合わせをも含んで良い。
【0046】
上述したように、生成物と複合体は、加工助剤として(又は中に)使用されるポリオールとは異なる、補助的なポリオールを更に含んでも良い。また、バインダー組成物は、補助的なポリオールをも更に含んでも良い。補助的なポリオールとして使用するための適切なポリオールは、イソシアネート終端プレポリマーの記載と共に記載され、及び例示されたものである。補助的なポリオールは、種々の目的のために使用することができる。例えば、(グラフトポリオールのポリオールに対して)高い官能性を有する補助的なポリオールを、イソシアネート成分との反応のための追加的な反応性基を与えるために使用することができ、又は加工助剤の粘度を増すために、又は低下させるために、補助的なポリオールを使用することができる。使用した場合、補助的なポリオールは、種々の量で使用して良い。
【0047】
生成物及び複合体の両方は、更に、添加成分を含んでも良い。また、バインダー成分及びこれらから形成される反応生成物は、更に、添加剤成分を含んでも良い。使用する場合、添加剤成分は、典型的には、剥離剤(parting agent)、触媒、充填材、難燃剤、水、可塑剤、安定化剤、架橋剤、鎖延長剤、鎖停止剤、排気剤、湿潤剤、表面改質剤、フォーム安定化剤、水分除去剤、乾燥剤、粘性低下剤、染料、顔料、着色剤、酸化防止剤、相溶性剤、紫外線安定化剤、チキソトロープ剤、老化防止剤、潤滑剤、カップリング剤、溶媒、流動促進剤、粘着促進剤、増粘剤、防煙剤、静電気防止剤、抗菌剤、殺菌剤、殺虫剤、及びこれらの組み合わせから成る群れから選ばれる。使用する場合、添加剤成分は、種々の量で存在して良い。添加剤成分は、上述した添加剤の任意の組み合わせを含んで良い。
【0048】
ある実施の形態では、添加剤は、触媒成分を含む。一実施の形態では、触媒成分は、スズ触媒を含む。本発明の目的のために、適切なスズ触媒は、有機カルボン酸のスズ(II)塩、例えばスズ(II)アセテート、スズ(II)オクトエート、スズ(II)エチルヘキサノエート、及びスズ(II)ラウレートを含む。一実施の形態では、有機金属触媒は、(有機カルボン酸のジアルキルチン(IV)である)ジブチルチンジラウレートを含む。本発明の目的のための、適切な有機金属触媒の例、例えばジブチルチンジラウレートは、Air Products and Chemicals,Inc. of Allentown,PAから、商標名DABCO(登録商標)で市販されている。有機金属触媒は、他の(有機カルボン酸の)ジアルキルチン(IV)塩、例えばジブチルチンジアセテート、ジブチルチンマーレイト、及びジオクチルチンジアセテートをも含むことができる。
【0049】
本発明の目的のために、他の適切な触媒の例は、鉄(II)クロリド;亜鉛クロリド;鉛オクトエート;トリス(N,N−ジメチルアミノプロピル)−s−ヘキサヒドロトリアジンを含むトリス(ジアルキルアミノアルキル)−s−ヘキサヒドロトリアジン;テトラメトヒルアンモニウムヒドロキシドを含むテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド;水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムを含むアルカリ金属ヒドロキシド;ナトリウムメトキシド及びカリウムイソプロポキシドを含むアルカリ金属アルコキシド;及び10〜20個の炭素原子及び/又は側部OH基を有する長鎖脂肪酸のアルカリ金属塩を含む。
【0050】
本発明の目的のために、適切な他の触媒、特に、三量化触媒の更なる例は、N,N,N−ジメチルアミノプロピルヘキサヒドロトリアジン、カリウム、カリウムアセテート、N,N,N−トリメチルイソプロピルアミン/フォルメート、及びこれらの組み合わせを含む。適切な三量化触媒の特定の例が、Air Products and Chemicals,Inc.から、POLYCAT(登録商標)の商標名で市販されている。
【0051】
本発明の目的のために、適切な他の触媒、特に、三級アミン触媒の更なる例は、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエトキシエタノール、トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、N,N,N’,N’,N”−ペンタメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、N,N,N’,N’,N”−ペンタメチルジプロピレントリアミン、トリス(ジメチルアミノプロピル)アミン、N,N−ジメチルピペラジン、テトラメチルイミノビス(プロピルアミン)、ジメチルベンジルアミン、トリメチルアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−メチルピロリドン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、ビス(2−ジメチルアミノ−エチル)エーテル、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン(DMCHA)、N,N,N’,N’,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、1,2−ジメチルイミダゾール、3−(ジメチルアミノ)プロピルイミダゾール、及びこれらの組み合わせを含む。適切な三級アミン触媒の特定の例が、Air Products and Chemicals,Inc.から、POLYCAT(登録商標)の商標名で市販されている。
【0052】
使用する場合、触媒成分は、種々の量で使用することができる。触媒成分は、上述した触媒の任意の組み合わせを含んで良い。
【0053】
典型的には、イソシアネート成分及び加工助剤は、生成物又は複合体中に、組み合わせた量で、(生成物又は複合体を100質量部として、)約1〜約25質量部、典型的には約1〜約15質量部、更により典型的には、約1〜約10質量部、及び最も典型的には約1〜約5質量部、存在する。「組み合わせた量」について、この記載は、それぞれのイソシアネート成分と加工助剤が、生成物又は複合体中に、正の量(positive)で存在する、すなわち、生成物又は複合体を100質量部として、0質量部より大きい量で存在することを意味する。イソシアネート成分及び加工助剤は、生成物又は加工助剤中に、種々の質量割合(質量比)で存在することができる。典型的には、イソシアネート成分と加工助剤は、質量割合が、約10:1〜約1:10、より典型的には、約5:1〜約1:5、更により特定的には、約4:1〜約1:4、及び最も典型的には、約4:1〜約2:1で存在する。通常、グラフトポリオールは、リグノセルロース性複合体に疎水性、及びここに記載された他の物理的特性、例えば生成物に冷間粘性を与えるために有効な量で存在する必要がある。典型的には、グラフトポリオールは、生成物、又は複合体中に、(生成物又は複合体を100質量部として、)少なくとも約0.25質量部、より典型的には、少なくとも約0.5質量部、及び最も典型的には、少なくとも約1質量部の量で存在する。他の任意の成分、例えば、補助的なポリオール、及び/又は添加成分が、生成物及び複合体内に存在することもできる。
【0054】
ある実施の形態では、生成物と複合体は、ウレアホルムアルデヒド(UF)樹脂、及び/又はフェノールホルムアルデヒド(PF)樹脂を実質的に有しない。「実質的に有しない」という記載について、この記載は、これらの実施の形態では、UF樹脂、及び/又はPF樹脂は、生成物又は複合体を100質量部として、約15質量部以下、より典型的には、約10質量部以下、更により典型的には、約5質量部以下、及び最も典型的には、0質量部に近いか0質量部の量で存在することを意味する。他の実施の形態では、生成物及び複合体は、UF樹脂及び/又はPF樹脂が完全に存在しない。
【0055】
バインダー組成物のイソシアネート成分及び加工助剤は、種々の手段(例えば、鉄道車両、タンカー、大型ドラム及びコンテナ、又は小型ドラム、荷物、及びキット)によって、使用のために消費者に提供することができる。例えば、一つのドラムがイソシアネート成分を含み、そして他のドラムが加工助剤を含むことができる。消費者に、成分を別々に提供することにより、成分の早期の反応が防止され、及びバインダー成分を形成するための処方の柔軟性が増す。例えば、消費者は、特定のイソシアネート成分及び特定の加工助剤、及びこれらの量を選び、生成物及び複合体をこれらから製造(調製)することができる。他の成分、例えば補助的なポリオール、及び/又は添加成分、例えば触媒成分が使用される場合、このような成分は、別々に、又はイソシアネート成分及び加工助剤の一方、又は両方と予備混合して提供することができる。
【0056】
生成物から形成される複合体は、種々のサイズ、形状及び厚さのものであって良い。例えば、本発明の複合体は、模倣の、通常の複合体、例えばOSB、PB、スクリンバー、及びMDFビーム、ボード、又はパネルに形成することができる。複合体は、種々の複雑な形状、例えば、成形物、バンド(fascias)、家具等のものであっても良い。上述したように、ある実施の形態では、複合体は、ファイバーボード、例えば、MDFである。他の実施の形態では、複合体は、OSB、スクリンバー、又はOSLである。更に他の実施の形態では、複合体はPBである。複合体は、1層以上の層を含むことができる。例えば、複合体がOSBである場合、この技術分野の当業者にとって理解されるように、複合体は、1層、例えば核層、2層、例えば核層及び表面/バンド層、又は3層以上の層、例えば核層及び2層のバンド層を含むことができる。
【0057】
ある実施の形態では、例えばOSB用途のために、複合体は、(一緒に圧縮され、及び実質的に第1の方向に方向付けられた)複数のリグノセルロース性部分の第1の部分を含む第1のバンド層を有する。複合体は、更に、第1のバンド層と間隔を置き、及び平行する、及び(一緒に圧縮され、及び実質的に第1の方向に方向付けられた)複数のリグノセルロース性部分の第2の部分を含む第2のバンド層を有する。複合体は、更に、第1と第2のバンド層の間に配置され、及び(一緒に圧縮され、及び第1の方向とは異なる、第2の方向に実質的に方向付けられた)複数のリグノセルロース性部分の残りの部分を含む核層を有する。これらの実施の形態では、複数のリグノセルロース性部分の、少なくとも一部分が、バインダー組成物と一緒に圧縮され、(上述し、及び例示したように、)バインダーが硬化して反応生成物を形成する。例えば、核層は、バインダー組成物から形成された反応生成物を含むことができる。バンド層(fascia layer)は、核層に加え、又は核層の替わりに、バインダー組成物から形成された反応生成物を含むこともできる。層は、層のそれぞれのバインダー組成物に使用される特定の成分に依存して、それぞれ、異なる反応生成物を含むことができる。ある実施の形態では、層の内の少なくとも1層、例えばバンド層の1層又は2層は、(この技術分野では理解されるように、)フェノールホルムアルデヒド(PF)樹脂を更に含むことができる。各層は、(例えば、通常のOBS層のもののように、)種々の厚さを有することができる。この技術分野の当業者は、OSLは典型的には、実質的に1方向にのみ方向付けられた(oriented)リグノセルロース性部分を有することを理解する。本発明の目的のために形成することができる、複合体の他のタイプ、例えばウッド複合体、及び製造方法(例えば、バインダー組成物を使用することによる)は、The Polyurethaens Handbook(David Randall&Steve Lee eds.,John Wiley&Sons,Ltd.2002)の395〜408頁に記載されており、該文献は、その全てがここに導入される。
【0058】
複合体は、オリジナルの厚さ、すなわち、製造の後の厚さ、例えば生成物をプレスして複合体を形成した後の厚さを有する。典型的には、本発明の反応生成物のために、複合体は、ASTM D1037に従う24時間の寒冷浸透テストに基づいて、膨潤性(swelling)が、約10%未満、より典型的には、約5%未満、及び最も典型的には、約3%未満である。厚さは種々のものであるが、典型的には、約0.25〜約10インチ、より典型的には、約0.25〜約5インチ及び最も典型的には、約0.25〜約1.5インチである。複合体が、ボード又はパネル以外の形状である場合には、厚さについての記載は適切でないことが理解される。また、複合体の最終的な形状に基づいて、複合体は、種々の寸法を有することができる。
【0059】
複合体は、内部結合(IB)強度を有する。典型的には、本発明の反応生成物のために、すなわち、バインダー組成物の加工助剤のために、IB強度は、ASTM D1037に従い、約20ポンド/平方インチ(psi)を超え、より典型的には、約30ポンド/平方インチを超え、及び最も典型的には、約40ポンド/平方インチを超える。ある実施の形態では、複合体は、典型的には、IB強度が、ASTM D1037に従い、約50psi〜約500psi、より典型的には、約100psi〜約300psi、及び最も典型的には、約150psi〜約250psiである。
【0060】
この技術分野の当業者にとって理解されるように、IB強度は、「脆性強度特性」(brittele strength property)である。典型的には、通常の複合体では、IB強度が増すと、曲げ特性、例えば、弾性係数(mojulus of elasticity)(MOE)及び決裂係数(mojulus of rupture)(MOR)が変化し、特に、通常MOEは、IB強度が増すに従い、低下する。しかしながら、非常に驚くべきことに、本発明の複合体では、MOEは、通常、IB強度が増すに従って増加する。この予想外の関係は、部分的には、本発明の反応生成物、すなわちバインダー組成物中の加工助剤に起因すると信じられている。
【0061】
典型的には、複合体は、ASTM D1037に従い、MOEが75000psiを超え、より典型的には、95000psiを超え、より典型的には100000psiを超え、及び最も典型的には110000psiを超える。典型的には、複合体は、ASTM D1037に従い、MORが3000psiを超え、より典型的には、3250psiを超え、より典型的には3300psiを超え、及び最も典型的には3500psiを超える。
【0062】
本発明は、生成物(生成物は、典型的には、複合体を形成するための中間物として形成される)又は複合体であることが可能な物品を形成する方法をも提供する。物品を形成するために、リグノセルロース性部分が提供(用意)される。上述し、及び例示したように、リグノセルロース性部分は、種々のリグノセルロース性源から誘導することができ、及びこの技術分野では理解されるように、種々の方法(工程)から形成することができる。
【0063】
イソシアネート成分及び加工助剤、及び任意に他の成分、例えば補助的なポリオール、及び/又は添加剤成分(これらの全ては、以降、成分として称される)が、複数のリグノセルロース性部分に施され、本発明の生成物が形成される。成分は、リグノセルロース性部分に、同時に施すことができ、又はリグノセルロース性部分に、異なる時点で施すことができる。一実施の形態では、加工助剤は、イソシアネート成分の前に、リグノセルロース性部分に施すことができる。他の実施の形態では、加工助剤は、イソシアネート成分の後に、リグノセルロース性部分に施すことができる。更に他の実施の形態では、加工助剤とイソシアネート成分は、リグノセルロース性部分に同時に施すことができる。例えば、加工助剤は、リグノセルロース性部分に施すことができ、そして次に、幾分か後に、イソシアネート成分をリグノセルロース性部分に施すことができ、又はこの逆も可能である。この替わりに、複数成分を(別々にでも、及び/又は予備混合して)同時に施すことも可能である。一実施の形態では、複数成分が、ブレンドされて混合物を形成し、この混合物がリグノセルロース性部分に施される。種々の方法、例えばミキシング、タンブリング、ローリング、スプレイング、シーティング、ブローラインレジネーション、ブレンディング(例えば、ブローラインブレンディング)によって、成分をリグノセルロース性部分に施すことができる。例えば、成分とリグノセルロース性部分を、密集体(マス)を形成する間、一緒に混合又はミルすることができる。密集体(マス)は、バインダー−リグノセルロース混合物、マット、又は「ファーニシュ」とも称され、これについては後述する。上述したように、イソシアネート成分と加工助剤は、相互に反応性であり、これらは反応条件下に接触して、相互に反応を開始する。
【0064】
典型的には、成分は、(この技術では理解されるように、)吹きつけ(スプレイング)、アトマイズ化又は噴霧法によってリグノセルロース性部分に施される。そして、密集体を支持体(例えば、コンベアベルト)上に落とすことにより、密集体を生成物に形成することができ、又はこの替わりに、生成物を、支持体上に直接的に形成することができ、すなわち、バインダー−リグノセルロース性混合物を支持体上に直接的に形成することができる。換言すれば、イソシエネート成分と加工助剤を施された状態で有する、複数のリグノセルロース性部分が、支持体上に配置されて密集体を形成する。配置の後、密集体は、予め設定された幅と予め設定された厚さを有し、及び複数のリグノセルロース性部分が緩んだ状態で、支持体上に方向付けされる。密集体の予め設定された幅と厚さは、複合体に望まれる最終的な幅と厚さに従って決定され、これについては後述する。
【0065】
上述したように、生成物を、種々の形状(例えば、ボード、又はパネル)に形成することができ、又は上述したように、例えば生成物を成形、又は押し出しして複合体を形成することによって、複雑な(複合した)形状に形成することができる。
【0066】
ある実施の形態では、成分は、(リグノセルロース性部分を適切な装置内で攪拌させながら)吹きつけ、アトマイズ化、及び/又は噴霧化によって、リグノセルロース性部分に施すことができる。吹きつけ、アトマイズ化、及び/又は噴霧化(fogging)は、ノズル、例えば供給される各成分のための一個のノズル、又は予備混合され、及び供給される2種以上の成分を有する複数のノズルを使用することによって行うことができる。通常、少なくとも1個のノズルがイソシアネート成分に適用され、そして少なくとも1個のノズルが加工助剤に適用される。リグノセルロース性部分の被覆を最大限にするために、成分は通常、(成分の)吹きつけの液滴、又はアトマイズ化又は噴霧の粒子によって、リグノセルロース性部分に(リグノセルロース性部分が、ロータリーブレンダー又は類似する装置内で回転(タンブル)されながら)施される。他の例として、リグノセルロース性部分は、少なくとも1個、典型的には少なくとも2個のスピニングディスクアトマイザーを備えたロータリードラムブレンダー内で、成分によって被覆することができる。この技術分野では理解されるように、タンブラー、ドラム、又はローラー(バッフルを含む)を使用することができる。上述したように、この替わりに、リグノセルロース性部分を支持体に直接的に供給することも可能であり、そして成分をリグノセルロース性部分に、例えば吹きつけ、又はシーティングによって施し、生成物を形成することもできる。例えば、リグノセルロース性部分を、コンベアベルト又はプレート上に配置し、そして次に成分を吹きつけて生成物を形成することができる。更に、少なくとも1種の成分、例えば加工助剤を、既にリグノセルロース性部分上に存在させ、バインダー組成物の残りの成分(複数種類の場合を含む)、例えばイソシアネート成分をリグノセルロース性部分及び加工助剤に施すことができる。
【0067】
施され、及びリグノセルロース性部分と混合される成分の量は、使用される特定の成分、サイズ、水分含有量、及び使用するリグノセルロース性部分のタイプ、複合体の用途、及び複合体の所望の特性を含む幾つかの変数に依存する。上述のように製造されたバインダー−リグノセルロース混合物は、この技術分野では「ファーニッシュ」と称される。得られたファーニッシュ(すなわち、生成物)は、典型的には、単一又は複数層のマット(該マットは、例えばOSB、PB、スクリンバー、MDF、又は所望の形状と寸法を有する他の複合体に圧縮される)に形成される。上述したように、生成物は、(ファーニッシュを成形すること又は押し出しすることによって、)より複雑な形状に形成することができる。
【0068】
マットは、適切な任意の方法で形成することができる。例えば、ファーニッシュを無端ベルト上の、又はコンベア上の、プレート状の台車(carriage)上に(ベルト上に、間隔を置いて配置された1個以上のホッパーから)供給することができる。複数層マットが形成される場合、複数のホッパーが使用される(それぞれのホッパーは、台車が形成ヘッドの間を移動する時に、ファーニッシュの別個の層をうまく配置するために、台車の幅を横切って、分配又は形成ヘッドを有している)。マット厚さ(すなわち、予め設定された厚さ)は、リグノセルロース性部分のサイズ及び形状、マットを形するために使用される特定の技術、最終的な複合体の厚さと密度、及びプレスサイクルの間に使用される圧力のようなファクターに従って変動する。マット(生成物)の予め設定された厚さは、通常、複合体の最終的な厚さ約5倍〜20倍である。例えば、厚さが0.5インチで最終的な密度が約35lbs/ftのフレークボード又は粒子ボード(particleboard)のために、マットは最初は通常、約3インチ〜約6インチの厚さである。マットの予め設定された幅は通常、複合体の最終的な幅と実質的に同じである;しかしながら、予め設定された厚さの記載に類似して、複合体の形状に依存して、最終的な幅は、予め設定された厚さの比(フラクション)であっても良い。
【0069】
上述したように、リグノセルロース性部分は、生成物、例えばマット内で緩く(漫然と)適用(導入)されている。上述したように、支持体が与えられる(例えばコンベアベルト又はベルト又はプレート)、そして生成物が支持体上に配置される。また上述したように、生成物は、支持体上で直接的に形成することができ、及び/又は例えばタンブラー内で形成した後、支持体に移すことができる。加工助剤は、生成物中の複数のリグノセルロース性部分の適用(導入:orientation)を実質的に維持する。換言すれば、加工助剤は、「粘着剤(tacktifier)」又は「粘着性」接着剤として作用し、そしてUF及び/又はPF樹脂の代用品として使用可能である。また、バインダー組成物は、冷間粘着性(cold-tack)を有している。この技術分野の当業者にとって理解されるように、冷間粘着性は、種々の方法で決定することができる。例えば、ある場合、「スランプ」テストを使用することができる。この「スランプ」テストでは、密集体(マス)で満たされた漏斗を使用し、次に表面上にあけ、そして除去し、(漏斗の形状の)密集体が表面上に残るようにする。そして、漏斗形状をした密集体を、時間の経過に伴う形状の変化(漏斗形状をした密集体のスランピング/崩壊による角度の変化等)について観察する。他の例は、この技術分野では「スノーボール」テストと称されるもので、この場合、密集体(マス)を一つかみし、手で密集体のボールを作り、そしてボールを投げ上げて落とし、ボールがバラバラに壊れるかどうかを見るものである。本発明の目的のために、他の適切なテストは、ASTM D1037に記載されている。特に、加工助剤は、密集体(マス)、例えば生成物の予め設定された幅と厚さを(生成物が支持体上に存在する間)維持する。理解されるように、支持体が例えば運搬により動いた場合、加工助剤は生成物、例えばマットが振動のために落下することを防止する。振動は、例えば支持体がプレートの場合、及びプレートがプレスへと移動する場合にも発生する。このような振動は、リグノセルロース部分の方向付け(適用性:orientation)の問題、内部結合(IB)強度の低下、及び他の類似した問題の要因となり得る。
【0070】
複合体は、典型的には、生成物、例えばマットから、マットを温度を上昇させて、及び圧力下に圧縮することによって形成される。このような条件は、反応生成物を形成するバインダー組成物の反応を容易化する。粘着剤として作用することにより(例えば、密集体に圧力を加えた時にリグノセルロース性部分がバラバラに吹き飛ぶ機会を低減することにより)、加工助剤は、リグノセルロース性部分が密集体内で動くことを低減することができる。特定的に、複合体を形成するために密集体に圧力を加える速度を(通常の加圧速度及び/又は通常の複合体を形成するために使用される圧力と比較して、)増すことができ、これにより、本発明の複合体の製造のための経済的な利益、例えば処理量の増加が達成される。
【0071】
典型的には、密集体(塊:mass)に熱が加えられ、バインダー組成物の硬化を容易化する。プレス温度、圧力、及び時間は、複合体の形状、厚さ、及び所望の密度、ウッドフレークのサイズとタイプ、ウッドフレークの水分含有量、及び使用する特定の成分に依存して広く変化する。例えばプレス温度は、約100℃〜約300℃の範囲が可能である。内部蒸気の発生を最小限にし、及び最終複合体の水分含有量の低下を所望のレベル未満にするために、プレス温度は、典型的には約250℃未満、及び最も典型的には約180℃〜約240℃である。使用する圧力は、通常、約300〜約800ポンド/平方インチ(psi)である。典型的には、プレス時間は、120〜900秒である。使用するプレス時間は、(実質的に反応生成物を形成するために)少なくとも実質的にバインダー組成物を硬化させ、及び所望の形状、寸法、及び強度を有する複合体を得るために、充分な継続時間のものであるべきである。例えばフレークボード、又はPBパネルを製造するために、プレス時間は、主に製造された複合体のパネル厚さに依存する。例えば、厚さが0.5インチのプレスされた複合体のために、プレス時間は、通常、約200秒〜約300秒である。
【0072】
本発明の複合体を形成するための他の適切な方法は、U.S.Patent Nos.6,451,101 to Mente et al.;6,458,238 to Mente et al.;6,464,820 to Mente et al.;6,638,459 to Mente et al.;6,649,098 to Mente et al.及びU.S.patentNo.6,344,165 to Coleman;及びU.S. Publication Nos.2003/0047278 to Mente et al.;2005/0221078 to Lu et al.;及び2005・0242459 to Savino et al.に記載されており、これらの文献は、ここに導入される。
【0073】
本発明は更に、リグノセルロース部分に疎水性を与える方法を提供する。この方法は、上述し及び例示したように、加工助剤をリグノセルロース性部分に施す工程を含む。疎水性を与えることにより、複合体は、(上述のように)水分に曝された場合に膨潤する傾向が少なくなる。
【0074】
以下に本発明のリグノセルロース性生成物及びリグノセルロース性複合体を、実施例を使用して説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0075】
実施例
リグノセルロース性複合体の例を製造し、特に1つの比較例(比較)及び3つの本発明の実施例(本発明1〜3)を製造した。下記に形成されたリグノセルロース複合体は、粒子ボード(particleboard)である。実施例は、粒子ボード(PB)を製造するための(製造方法が、実施例間に差異を与えることのない)典型的な方法を使用してなされた。リグノセルロース性生成物を形成するために使用された各成分の量とタイプを、以下の表Iに示す(全ての値は、全成分を100質量部とした質量部である)。
【0076】
【表1】

【0077】
イソシアネート成分は、官能価が2.7、NCO含有量が約31.5質量%、及び粘度が25℃で約200cpsで、BASF Corporation of Florham Park,NJから市販されているポリマー性MDIである。
【0078】
加工助剤1は、共重合したスチレンとアクリロニトリルを含むポリマー性粒子を約44質量%有する、二級のヒドロキシル終端グラフトポリエーテルトリオールである(ヒドロキシル価が約27〜約31mgKOH/gm、及び粘度が25℃で約4230cps、BASF Corporationから市販)。
【0079】
加工助剤2は、共重合したスチレンとアクリロニトリルを含み、及び分子量が約730のポリマー性粒子を約44質量%〜約45質量%有する、二級のヒドロキシル終端グラフトポリエーテルトリオールである。
【0080】
実施例の残りの質量部は、典型的にはPBを形成するために使用された形状とサイズのリグノセルロース性部分で、特に、リグノセルロース性部分は、(リグノセルロース性部分を100質量部として)乾燥質量含有量が約88%、及び水分含有量が約7質量%の松の木(パイン)を含む。
【0081】
本発明1のために、イソシアネート成分及び加工助剤1をリグノセルロース性部分に別々に加え、リグノセルロース性生成物を形成した(加工補剤1は、イソシアネート成分よりも前に、リグノセルロース性部分に加えられた)。本発明2のために、イソシアネート成分及び加工助剤1を予備混合してブレンドを形成し、そしてこのブレンドをリグノセルロース性部分に加え、リグノセルロース性生成物を形成した。発明3は、発明1と同様に製造されたが、しかし加工助剤1に対して分子量が低い、異なる加工助剤を使用した。リグノセルロース性生成物、例えばマットを形成した後、スタンダードPB形成装置を(この技術分野で使用される)代表的な温度と圧力条件で使用し、マットを圧縮し、(所定時間で(for a matter of time))PBを形成し、これにより、リグノセルロース性複合体を形成した。リグノセルロース性複合体を形成した後、(この技術分野の当業者にとって理解されるスタンダードテスト法を使用して)物理的試験を行った。
【0082】
表Iに示したように、本発明の実施例の全ては、比較例と比較して良好な物理的特性(例えば、IB強度、MOE、及びMOR)を有していた。また、本発明の実施例でも示したように、驚くべきことに、本発明のMOEが増すに従いIB強度も増加した。更に、発明2に対して、発明1のIB強度、MOE,及びMORが増加しており、イソシアネートを(別の流れとして)リグノセルロース性部分に加える前に、加工助剤を(別の流れとして)リグノセルロース性部分に加えることが、リグノセルロース性複合体の物理的特性を増すために有用であることが信じられている。換言すれば、加工助剤とイソシアネート成分を、リグノセルロース性部分に別々に加えることによって、好ましくはイソシアネート成分の前に加工助剤を加えることによって、リグノセルロース性複合体の所望の物理的特性を達成することができると信じられている。成分をブレンドして混合物を形成する場合、このような混合は、混合物をリグノセルロース性部分に施す前に、短い期間(例えば数秒)で行い、混合物をリグセルロース性部分に導入する前に、成分の相互の「過度の」反応を防止するべきであると信じられている。また低分子量のグラフトポリオールを使用すると、(発明1及び2に対して発明3のIB強度、MOE,及びMORの増加に見られるように、)同様の有利性が得られると信じられている。上述し及び上記に例示したように、イソシアネート及び加工助剤の種々の質量割合を、本発明の目的のために使用することができる。
【0083】
本発明を実施例を使用して記載したが、使用した専門用語は、記載された用語の本来の意味に使用され、限定を意図していない。本発明について、上述した記載に基いて、種々の応用と変形が可能である。本発明は、他に特定の記載がなければ、請求項の範囲に基づいて実施されて良いものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リグノセルロース性生成物であって、
複数のリグノセルロース性部分;
前記複数のリグノセルロース性部分に配置されたイソシアネート成分;及び
前記複数のリグノセルロース性部分に配置された加工助剤を含み、及び以下の
イソシアネート反応性成分を含む連続相と、
ポリマー性粒子を含む不連続相と、
を有するグラフトポリオールを含み、
前記イソシアネート成分及び前記加工助剤が、リグノセルロース性生成物を100質量部として、約1〜約25質量部の組み合わせ量で、前記リグノセルロース性生成物中に存在することを特徴とするリグノセルロース性生成物。
【請求項2】
前記グラフトポリオールが、ポリマーポリオールであることを特徴とする請求項1に記載のリグノセルロース性生成物。
【請求項3】
前記グラフトポリオールが、polyharnstoff(PHD)polyols、ポリイソシアネート重付加(PIPA)ポリオール、及びこれらの組み合わせから成る群から選ばれることを特徴とする請求項1に記載のリグノセルロース性生成物。
【請求項4】
ワックス成分を実質的に有しないことを特徴とする請求項1に記載のリグノセルロース性生成物。
【請求項5】
前記ポリマー性粒子が、前記加工助剤を100質量部として、約5〜約70質量部の量で、前記加工助剤中に存在することを特徴とする請求項1に記載のリグノセルロース性生成物。
【請求項6】
前記ポリマー性粒子が、スチレンアクリロニトリル(SAN)コポリマーを含むことを特徴とする請求項5に記載のリグノセルロース性生成物。
【請求項7】
前記SANコポリマーは、スチレンのアクリロニトリルに対する質量割合が、約30:70〜約70:30である特徴とする請求項6に記載のリグノセルロース性生成物。
【請求項8】
前記イソシアネート成分が、ポリマー性ジフェニルメタンジイソシアネート(PMDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、及びこれらの組み合わせから成る群から選ばれることを特徴とする請求項1に記載のリグノセルロース性生成物。
【請求項9】
前記連続相がポリオールを含むことを特徴とする請求項1に記載のリグノセルロース性生成物。
【請求項10】
前記ポリオールが、疎水性ポリオールであることを特徴とする請求項9に記載のリグノセルロース性生成物。
【請求項11】
前記複数のリグノセルロース性部分が、前記リグノセルロース生成物を100質量部として、75〜99質量部の量で存在することを特徴とする請求項1に記載のリグノセルロース性生成物。
【請求項12】
前記イソシアネート成分及び前記加工助剤が、前記リグノセルロース性生成物中に、前記リグノセルロース性生成物を100質量部として、1〜15質量部の組み合わせ量で存在することを特徴とする請求項11に記載のリグノセルロース性生成物。
【請求項13】
前記複数のリグノセルロース性部分が、前記複数のリグノセルロース性部分を100質量部として、約1〜約20質量部の水分含有量を有することを特徴とする請求項11に記載のリグノセルロース性生成物。
【請求項14】
前記リグノセルロース性生成物が、オリエンテッドスタンダードボード(OSB)生成物、オリエンテッドスタンダードランバー(OSL)生成物、パーティクルボード(PB)生成物、又はスクリンバー生成物であることを特徴とする請求項1に記載のリグノセルロース性生成物。
【請求項15】
前記リグノセルロース性生成物が、ファイバーボード生成物であることを特徴とする請求項1に記載のリグノセルロース性生成物。
【請求項16】
前記リグノセルロース性生成物が、合板生成物であることを特徴とする請求項1に記載のリグノセルロース性生成物。
【請求項17】
リグノセルロース性複合体であって、
前記リグノセルロース性複合体を100質量部として、約75〜約99質量部の量で存在する、複数のリグノセルロース性部分;及び
イソシアネート及び加工助剤の反応生成物(但し、該反応生成物は、前記複数のリグノセルロース性部分を一緒に結合し、そして前記リグノセルロース性複合体中に、前記リグノセルロース性複合体を100質量部として、約1〜約25質量部の量で存在する);
を含み、前記加工助剤が、ポリマーポリオール、polyharnstoff(PHD)polyols、ポリイソシアネート重付加(PIPA)ポリオール、及びこれらの組み合わせから成る群から選ばれるグラフトポリオールを含むことを特徴とするリグノセルロース性複合体。
【請求項18】
ワックスを実質的に有しないことを特徴とする請求項17に記載のリグノセルロース性複合体。
【請求項19】
前記グラフトポリオールが、ポリオールを含む連続相と、ポリマー性粒子を含む不連続相を含み、そして、前記加工助剤中に、前記加工助剤を100質量部として、約5〜約70質量部の量で存在することを特徴とする請求項17に記載のリグノセルロース性複合体。
【請求項20】
前記ポリマー性粒子が、スチレンアクリロニトリル(SAN)コポリマーを含むことを特徴とする請求項19に記載のリグノセルロース性複合体。
【請求項21】
前記SANコポリマーは、スチレンのアクリロニトリルに対する質量割合が、約30:70〜70:30であることを特徴とする請求項20に記載のリグノセルロース性複合体。
【請求項22】
前記イソシアネート反応性成分の前記ポリオールが、疎水性ポリオールであることを特徴とする請求項19に記載のリグノセルロース性複合体。
【請求項23】
ASTM D1037に従う24時間寒冷浸透テストに基づいて、膨潤性が約10%未満であることを特徴とする請求項17に記載のリグノセルロース性複合体。
【請求項24】
ASTM D1037に従う内部結合(IB)強度が、100psiより大きいことを特徴とする請求項17に記載のリグノセルロース性複合体。
【請求項25】
前記反応生成物が、前記リグノセルロース性複合体を100質量部として、約1〜約15質量部の量で、前記リグノセルロース性複合体中に存在することを特徴とする請求項17に記載のリグノセルロース性複合体。
【請求項26】
前記複数のリグノセルロース性部分は、該複数のリグノセルロース性部分を100質量部として、約1〜約20質量部の水分を有することを特徴とする請求項17に記載のリグノセルロース性複合体。
【請求項27】
複数のリグノセルロース性部分を用意する工程;
イソシアネート成分及び加工助剤を、複数のリグノセルロース性部分に施す工程;
イソシアネート成分及び加工助剤を、その上に施された状態で有する複数のリグノセルロース性部分を、支持体上に施し、予め設定された幅と予め設定された厚さを有する密集体を形成する工程(但し、複数のリグノセルロース性部分が弛んだ状態で支持体上に位置付けられており、加工助剤が、
イソシアネート反応性成分を含む連続相;及び
ポリマー性粒子を含む不連続相;
を有するグラフトポリオールを含む)、及び
イソシアネート成分と加工助剤を反応させる工程;
を含み、加工助剤が、密集体内の複数のリグノセルロース性部分の位置付けを実質的に維持しており、これにより、支持体上に存在する間、密集体の予め設定された幅と予め設定された厚さを実質的に維持していることを特徴とする物品を製造する方法。
【請求項28】
イソシアネート成分を複数のリグノセルロース性部分に施す前に、前記加工助剤が、複数のリグノセルロース性部分に施されることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
加工助剤を複数のリグノセルロース性部分に施す前に、前記イソシアネート成分が、複数のリグノセルロース性部分に施されることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項30】
更に、イソシアネート成分と加工助剤をブレンドし、混合物を形成する工程を、イソシアネート成分とイソシアネート成分に対して反応性の加工助剤を複数のリグノセルロース性部分に施す工程の前に含むことを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項31】
イソシアネート成分と加工助剤が、複数のリグノセルロース性部分に同時に施されることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項32】
グラフトポリオールが、ポリマーポリオールであることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項33】
グラフトポリオールが、polyharnstoff(PHD)polyols、ポリイソシアネート重付加(PIPA)ポリオール、及びこれらの組み合わせから成る群から選ばれることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項34】
密集体に、リグノセルロース性複合体を形成するのに充分な時間で圧力をかける工程を更に含むことを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項35】
密集体に、リグノセルロース性複合体を形成するのに充分な時間で熱を加える工程を更に含むことを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項36】
加工助剤を複数のリグノセルロース性部分に施す工程、
を含み、前記加工助剤は、
イソシアネート反応性成分を含む連続相、及び
ポリマー性粒子を含む不連続相、
を有するグラフトポリオールを含むことを特徴とする複数のリグノセルロース性部分に疎水性を与える方法。
【請求項37】
グラフトポリオールが、ポリマーポリオールであることを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項38】
グラフトポリオールが、polyharnstoff(PHD)polyols、ポリイソシアネート重付加(PIPA)ポリオール、及びこれらの組み合わせから成る群から選ばれることを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項39】
加工助剤のイソシアネート反応性成分が、疎水性ポリオールを含むことを特徴とする請求項35に記載の方法。

【公表番号】特表2011−529107(P2011−529107A)
【公表日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−519114(P2011−519114)
【出願日】平成21年7月13日(2009.7.13)
【国際出願番号】PCT/EP2009/058884
【国際公開番号】WO2010/009992
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】