説明

リザーバにおける防水構造

【目的】 リザーバの大気連通室の呼吸を許容しながら水が浸入するのを確実に阻止する。
【構成】 油圧制御装置のハウジング31に設けられたリザーバ191 は栓部材46及びシール部材50により閉塞された大気連通室48を備える。ハウジング31の側面に結合されるカバー32は、シール部材50の外周部501 をハウジング31及び栓部材46に押圧して固定する概略環状の突起3210を備えるとともに、シール部材50の通気管502 の先端が対向する凹部329 を備える。大気連通室48は、栓部材46の通気孔461 と、シール部材50の通気管502と、カバー32の凹部329 と、突起3210の下部に形成した複数の切欠き3212と、ハウジング31及びカバー32間に形成した断面L字状の排水路64とを介して大気に連通する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、油圧制御装置等に用いられるリザーバに関し、特に圧力室の反対側に形成された大気連通室に水や塵が入り込むのをシール部材により阻止するようにしたリザーバにおける防水構造に関する。
【0002】
【従来の技術】かかるリザーバにおける防水構造は、実開平6−40402号公報により既に知られている。このものは、リザーバの大気連通室を画成する栓部材の外面に配置されるシール部材が、その中心部に突設した軸部を栓部材の中心に形成した孔に係合させることにより固定される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来のものは、リザーバを設けたハウジングが水で濡れたような場合に、リザーバのシリンダの開口部をシールするシール部材から前記シリンダ内に形成した大気連通室に水が入り易い問題がある。
【0004】本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、リザーバの大気連通室にシール部材を通して水が入り込むのを防止することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、ハウジングの側面に開口部を有するシリンダと、シリンダに摺動自在に嵌合するピストンと、中央に通気孔を有してシリンダの開口部を閉塞する栓部材と、ピストン及びハウジング間に形成した圧力室と、ピストン及び栓部材間に形成した大気連通室と、圧力室の容積を減少させる方向にピストンを付勢する戻しばねと、大気連通室への水の浸入を防止しながら栓部材の通気孔を通して大気連通室の呼吸を許容するようにシリンダの開口部に外周部を嵌合させたシール部材と、少なくともシリンダの開口部に対向する位置に所定の空間を存してハウジングの側面に結合されるカバーとを備えたリザーバにおいて、シール部材の中央部に栓部材の通気孔に連通するように突設した通気管の先端をカバーの内面に形成した凹部の底面に対向させるとともに、カバーの内面にシール部材の外周部に対向するように突起を突設したことを特徴とする。
【0006】また請求項2に記載された発明は、請求項1の構成に加えて、前記突起がシール部材の通気管の上方を円弧状に覆う防水庇部を有することを特徴とする。
【0007】また請求項3に記載された発明は、請求項2の構成に加えて、前記突起が前記防水庇部の下方に複数の切欠きを有することを特徴とする。
【0008】
【作用】請求項1の構成によれば、シール部材に突設した通気管の先端がカバーの内面に形成した凹部の底面に対向しているので、大気連通室の呼吸を許容しながら大気連通室への水の浸入を防止することができる。更に、カバーの内面に突設した突起によってシール部材の抜けを防止することができる。
【0009】請求項2の構成によれば、ハウジングとカバーとの接合面を伝わって上方から流下してくる水を突起の防水庇部で遮って大気連通室への水の浸入を一層確実に防止することができる。
【0010】請求項3の構成によれば、複数の切欠きを介して大気連通室の呼吸を支障なく行わせることができる。
【0011】
【実施例】以下、図面に基づいて本発明の実施例を説明する。
【0012】図1〜図5は本発明の一実施例を示すもので、図1は車両用アンチロックブレーキ制御装置の油圧回路図、図2はアンチロックブレーキ装置の一部破断側面図(図4の2−2線断面図)、図3はアンチロックブレーキ装置の一部破断側面図(図4の3−3線断面図)、図4は図2の4−4線矢視図、図5は図2の5部拡大図である。
【0013】先ず図1において、タンデム型マスタシリンダMは、ブレーキペダルPの踏込みに応じた制動油圧を出力する一対の出力ポート12,13を備えており、左前輪用車輪ブレーキBFL、右後輪用車輪ブレーキBRRに接続される比例減圧弁14R 、右前輪用車輪ブレーキBFR、ならびに左後輪用車輪ブレーキBRLに接続される比例減圧弁14L と、前記両出力ポート12,13との間にアンチロックブレーキ制御装置15が介設される。
【0014】このアンチロックブレーキ制御装置15は、左前輪用車輪ブレーキBFL、右後輪用車輪ブレーキBRR、右前輪用車輪ブレーキBFR及び左後輪用車輪ブレーキBRLに個別に対応した4つの常開型電磁弁VOFL ,VORR ,VOFR ,VORL と、各常開型電磁弁VOFL 〜VORL にそれぞれ並列に接続される4つのチェック弁17FL,17RR,17FR,17RLと、前記各車輪ブレーキBFL〜BRLに個別に対応した4つの常閉型電磁弁VCFL ,VCRR ,VCFR ,VCRL と、左前輪用車輪ブレーキBFL及び右後輪用車輪ブレーキBRR側ならびに右前輪用車輪ブレーキBFR及び左後輪用車輪ブレーキBRL側にそれぞれ個別に対応した一対のリザーバ191 ,192 と、両リザーバ191 ,192 に吸入弁201 ,202 を介して接続される一対の戻しポンプ211 ,212 と、両戻しポンプ211 ,212 に共通なモータ22と、両戻しポンプ211 ,212 に吐出弁231 ,232 を介して接続される一対のダンパー241 ,242 と、前記マスタシリンダMの出力ポート12,13及び前記両ダンパー241 ,242 間にそれぞれ介設されるオリフィス251 ,252 と、各常開型電磁弁VOFL 〜VORL 及び各常閉型電磁弁VCFL 〜VCRL の消磁・励磁を切換制御する電子制御ユニット26とを備える。
【0015】常開型電磁弁VOFL は、マスタシリンダMの一方の出力ポート12と左前輪用車輪ブレーキBFLとの間に介設され、常開型電磁弁VORR は、前記出力ポート12と右後輪用車輪ブレーキBRRに接続された比例減圧弁14R との間に介設され、常開型電磁弁VOFR は、マスタシリンダMの他方の出力ポート13と右前輪用車輪ブレーキBFRとの間に介設され、常開型電磁弁VORL は、前記出力ポート13と左後輪用車輪ブレーキBRLに接続された比例減圧弁14L との間に介設される。またチェック弁17FL〜17RLは、対応する車輪ブレーキBFL〜BRLからの作動液の流通のみを許容するようにして各常開型電磁弁VOFL 〜VORL に並列に接続される。
【0016】常閉型電磁弁VCFL は左前輪用車輪ブレーキBFL及びリザーバ191 間に、常閉型電磁弁VCRR は比例減圧弁14R 及びリザーバ191 間に、常閉型電磁弁VCFR は右前輪用車輪ブレーキBFR及びリザーバ192 間に、また常閉型電磁弁VCRL は比例減圧弁14L 及びリザーバ192 間にそれぞれ介設される。
【0017】このようなアンチロックブレーキ制御装置15によれば、各車輪がロックを生じる可能性のない通常ブレーキ時には、各常開型電磁弁VOFL 〜VORL が消磁状態にあって開弁しており、また各常閉型電磁弁VCFL 〜VCRL が消磁状態にあって閉弁している。したがってマスタシリンダMの一方の出力ポート12から出力される制動液圧は、常開型電磁弁VOFL を介して左前輪用車輪ブレーキBFLに作用するとともに常開型電磁弁VORR 及び比例減圧弁14R を介して右後輪用車輪ブレーキBRRに作用し、またマスタシリンダMの他方の出力ポート13から出力される制動液圧は、常開型電磁弁VOFR を介して右前輪用車輪ブレーキBFRに作用するとともに常開型電磁弁VORL 及び比例減圧弁14L を介して左後輪用車輪ブレーキBRLに作用する。
【0018】ブレーキ時に車輪がロック状態に入りそうになったときのアンチロック制御時には、常開型電磁弁VOFL 〜VORL のうちロック状態に入りそうである車輪に対応する常開型電磁弁を励磁して閉弁するとともに常閉型電磁弁VCFL 〜VCRL のうち上記車輪に対応する常閉型電磁弁を励磁して開弁する。そうすると、制動液圧の一部がリザーバ191 あるいは192 に逃がされて減圧されることになる。また制動液圧を保持する際には、常開型電磁弁VOFL 〜VORL を励磁して閉弁するとともに常閉型電磁弁VCFL 〜VCRL を消磁して閉弁状態に保持すればよく、制動液圧を増圧する際には、常開型電磁弁VOFL 〜VORL を消磁して開弁するとともに常閉型電磁弁VCFL 〜VCRL を消磁して閉弁状態に保持すればよい。
【0019】而して一対の戻しポンプ211 ,212 を共通に駆動するモータ22は、上記アンチロック制御時に作動せしめられるものであり、リザーバ191 ,192 に逃がされた作動液が戻しポンプ211 ,212 からダンパー241 ,242 及びオリフィス251 ,252 を経て各常開型電磁弁VOFL 〜VORL の上流側に戻される。したがってリザーバ191 ,192 に逃がした分だけマスタシリンダMにおけるブレーキペダルPの踏込み量が増加することはなく、しかも戻しポンプ211 ,212 から送出される作動液の脈動はダンパー241 ,242 及びオリフィス251 ,252 の働きにより減衰され、前記ブレーキペダルPに脈動が伝わることはない。
【0020】各常開型電磁弁VOFL 〜VORL 及び各常閉型電磁弁VCFL 〜VCRL の消磁・励磁を制御する電子制御ユニット26には、車輪がロック状態に入りそうになったかどうかを判断するために各車輪の車輪速度を個別に検出する車輪速度センサ27FL,27RR,27FR,27RLの検出信号が入力されるとともに、ハンドブレーキレバー28が操作されたかどうかを検出するハンドブレーキ検出センサ29の検出信号が入力され、さらにアンチロック制御状態にあるときに電子制御ユニット26によって活性化されるランプ等の報知器30が電子制御ユニット26に接続される。
【0021】図2及び図3に示すように、アンチロックブレーキ制御装置15はブロック状に形成された金属製のハウジング31を備えており、ハウジング31の前面及び後面にはそれぞれ合成樹脂製のカバー32及び前記モータ22が結合される。車体33に固定された取付ブラケット34は1個の前部支持部341 及び左右2個の後部支持部342 ,342 を備えており、前部支持部341 にハウジング31の前面に設けた弾性マウント手段35がボルト36で結合されるとともに、左右2個の後部支持部342 ,342 にハウジング31の後面に設けた2個の弾性マウント手段37,37がボルト38,38で結合される。ハウジング31の下部に前記2個のリザーバ191 ,192 が左右方向に併置され、それら2個のリザーバ191 ,192 の外側に前記2個のダンパー241 ,242 が左右方向に併置される。
【0022】2個のリザーバ191 ,192 の構造は実質的に同一であり、以下その代表として一方のリザーバ191 の構造を図2に基づいて説明する。
【0023】リザーバ191 はハウジング31の前面に開口する有底円筒状のシリンダ41を備える。シリンダ41の内部には外周にOリング42を装着したカップ状のピストン43が摺動自在に嵌合しており、ピストン43の後端とシリンダ41の閉塞端部との間に、油路44を介して前記ポンプ211 に連なる容積可変の圧力室45が画成される。シリンダ41の開放端部には環状の栓部材46が嵌合し、クリップ47により軸方向に固定される。ピストン43と栓部材46間に画成される大気連通室48に収納された戻しばね49は、ピストン43を圧力室45の容積が減少する方向に付勢する。ハウジング31の前面に結合される前記カバー32と栓部材46間に、大気連通室48に塵や水が入り込むのを防止するためのラバー製のシール部材50が挟持される。
【0024】2個のダンパー241 ,242 の構造は実質的に同一であり、以下その代表として一方のダンパー241 の構造を図3に基づいて説明する。
【0025】ダンパー241 はハウジング31の前面に開口部511 を有する有底円筒状のダンパー室51を備える。ダンパー室51の開口部511 には外周にOリング52を装着した栓部材53が嵌合してクリップ54により固定される。
【0026】図2〜図4に示すように、カバー32には4個のボルト孔321 …が形成されており、このボルト孔321 …を貫通する4本のボルト60…によってカバー32がハウジング31の前面に結合される。更にカバー32の中央下部には、前記弾性マウント手段35のボルト36が貫通するボルト孔322 が形成される。
【0027】カバー32がハウジング31に結合されたとき、カバー32の上縁に沿って延びる上部当接面323 と、カバー32の左右側縁に沿って延びる左右の側部当接面324 ,324 と、カバー32の中央下部に上下方向に延びるセンターリブ325 と、センターリブ325 の左右両側部に上下方向に延びる左右のサイドリブ326 ,326 と、カバー32の下縁のセンターリブ325 及びサイドリブ326 ,326 間に突設された左右の下部当接面327 ,327 とがハウジング31の前面に当接する。そして、カバー32の下縁に沿って、ハウジング31の下面に沿うように水平方向に突出するフランジ部328 が形成される。
【0028】一対のリザーバ191 ,192 は、カバー32のセンターリブ325 と左右のサイドリブ326 ,326 とによって区画された2個の空間61,61にそれぞれ対向するとともに、一対のダンパー241 ,242 は、カバー32の左右の側部当接面324 ,324 と左右のサイドリブ326 ,326 とによって区画された2個の空間62,62にそれぞれ対向する。
【0029】図5を併せて参照すると明らかなように、内側に位置する各空間61にはすり鉢状の凹部329 が形成されており、この凹部329 の外周を囲むように概略環状の突起3210が突設される。突起3210の上半部は半円状に連続する防水庇部3211を構成しており、また下半部には5個の切欠き3212…及び4個の押圧部3213が交互に形成される。リザーバ191 ,192 のシール部材50の外周部501 は、前記突起3210によりハウジング31及び栓部材46間の溝に圧接されて固定される。そして、シール部材50の中央から突出する通気管502 の先端がカバー32の凹部329 底面に対向する。カバー32とシール部材50との間隔は少なくとも1.5mm以上離れており、両者間に表面張力により水が溜まらないようになっている。
【0030】図4に鎖線で示すハウジング31の下縁と、カバー32のフランジ部328 の上面との間に隙間が形成される。この隙間により、空間61の下部において、下部当接面327 とセンターリブ325 との間に第1排水路63(図4参照)が形成されるとともに、下部当接面327 とサイドリブ326 との間に第2排水路64(図4及び図5参照)が形成される。また、空間62の下部には、側部当接面324 とサイドリブ326 との間に第3排水路65(図3及び図4参照)が形成される。
【0031】次に、前述の構成を備えた本発明の実施例の作用について説明する。
【0032】リザーバ191 ,192 の圧力室45の容積が拡縮してピストン43が摺動すると、それに伴って大気連通室48の容積も拡縮する。例えば、図2においてピストン43が右動して大気連通室48の容積が拡大すると、第1排水路63及び第2排水路64を介して空間61に空気が吸入され、その空気は5個の切欠き3212…を介して突起3210の内側に達し、そこからカバー32の凹部329 、シール部材50の通気管502 及び栓部材46の通気孔461 を経て大気連通室48に吸入される。また、ピストン43が左動して大気連通室48の容積が縮小すると、前述と逆の経路で大気連通室48内の空気が大気に排出される。
【0033】さて、ハウジング31とカバー32との結合面には特別のシール部材が配置されていないため、カバー32の上部当接面323 及び側部当接面324 ,324から浸入した水はハウジング31の前面を伝って下方に流れ、リザーバ191 ,192 に対向する空間61,61及びダンパー241 ,242 に対向する空間62,62に流入する。空間61に流入した水は突起3210の上半部に形成された防水庇部3211に遮られて横方向に流れ、空間61の下部を大気に連通させる第1排水路63及び第2排水路64から外部に排出される。
【0034】このようにして突起3210の内側への水の流入が防止されるため、リザーバ191 ,192 の大気連通室48への水の浸入が阻止される。万一、突起3210の内側に水が流入しても、シール部材50の通気管502 とカバー32の凹部329 とにより迷路が形成されているため、その水は大気連通室48に浸入することなく、切欠き3212…、第1排水路63及び第2排水路64を経て外部に排出される。
【0035】また、突起3210がシール部材50の外周部501 をハウジング31及び栓部材46間の溝に押し付けているため、シール部材50の外周部501 が浮き上がって防水性が低下する虞がなく、しかも同時にシール部材50の抜け止めが可能になる。
【0036】ダンパー241 ,242 に対向する空間62に流入した水は、そのまま下方に流れて第3排水路65から外部に排出される。このとき、リザーバ191 ,192 に対向する空間61,61とダンパー241 ,242 に対向する空間62,62とがサイドリブ326 ,326 により仕切られているため、空間62,62側から空間61,61側に水が流れ込むことが防止され、これによりリザーバ191 ,192 に水が浸入する可能性が一層小さくなる。また、前記サイドリブ326 ,326 は、リザーバ191 ,192 の大気連通室48が呼吸したときに、空間62,62側から空間61,61側に塵を吸い込む可能性も小さくしている。更に、センターリブ325 及びサイドリブ326 ,326 は上下方向に延びているため、空間61,61,62,62に流入した水を案内して速やかに第1〜第3排水路63,63,64,64,65,65から排出させる機能を有している。
【0037】また、ハウジング31の下面に水飛沫等がかかった場合、カバー32のフランジ部328 によって形成された第1〜第3排水路63,63,64,64,65,65が断面L字状に屈曲した迷路を構成しているため、空間61,61,62,62に直接水飛沫が入ることが阻止されてリザーバ191 ,192 及びダンパー241 ,242 への水の浸入が更に確実に阻止される。
【0038】以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0039】例えば、本発明の防水構造はアンチロックブレーキ装置以外の任意の油圧機器のリザーバに対して適用することが可能である。また、実施例ではカバー32の突起3210でシール部材50の外周部501 を押圧しているが、突起3210と外周部501 との間に隙間を形成することも可能である。このようにしても、シール部材50の通気管502 及びカバー32の凹部329 間の迷路による効果と、突起3210が水を遮る効果とにより、充分な防水性を得ることが可能である。
【0040】
【発明の効果】以上のように、請求項1記載された発明によれば、シール部材に突設した通気管の先端をカバーの内面に形成した凹部の底面に対向させたので、通気管による大気連通室の呼吸を許容しながら、通気管及び凹部間に形成した迷路により大気連通室への水の浸入を防止することができる。しかも、カバーの内面に突設した突起をシール部材の外周部に対向させたので、シール部材の抜けを防止することができる。
【0041】また請求項2に記載された発明によれば、ハウジングとカバーとの接合面を伝わって上方から流下してくる水が突起の防水庇部で遮ぎられるので、大気連通室への水の浸入を一層確実に防止することができる。
【0042】また請求項3に記載された発明によれば、複数の切欠きを介して空気が流通可能であるため、大気連通室の呼吸を支障なく行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】車両用アンチロックブレーキ制御装置の油圧回路図
【図2】アンチロックブレーキ装置の一部破断側面図(図4の2−2線断面図)
【図3】アンチロックブレーキ装置の一部破断側面図(図4の3−3線断面図)
【図4】図2の4−4線矢視図
【図5】図2の5部拡大図
【符号の説明】
31 ハウジング
32 カバー
329 凹部
3210 突起
3211 防水庇部
3212 切欠き
41 シリンダ
411 開口部
43 ピストン
45 圧力室
46 栓部材
461 通気孔
48 大気連通室
49 戻しばね
50 シール部材
501 外周部
502 通気管
61 空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ハウジング(31)の側面に開口部(411 )を有するシリンダ(41)と、シリンダ(41)に摺動自在に嵌合するピストン(43)と、中央に通気孔(461 )を有してシリンダ(41)の開口部(411 )を閉塞する栓部材(46)と、ピストン(43)及びハウジング(31)間に形成した圧力室(45)と、ピストン(43)及び栓部材(46)間に形成した大気連通室(48)と、圧力室(45)の容積を減少させる方向にピストン(43)を付勢する戻しばね(49)と、大気連通室(48)への水の浸入を防止しながら栓部材(46)の通気孔(461 )を通して大気連通室(48)の呼吸を許容するようにシリンダ(41)の開口部(411 )に外周部(501 )を嵌合させたシール部材(50)と、少なくともシリンダ(41)の開口部(411 )に対向する位置に所定の空間(61)を存してハウジング(31)の側面に結合されるカバー(32)とを備えたリザーバにおいて、シール部材(50)の中央部に栓部材(46)の通気孔(461 )に連通するように突設した通気管(502 )の先端をカバー(32)の内面に形成した凹部(329 )の底面に対向させるとともに、カバー(32)の内面にシール部材(50)の外周部(501 )に対向するように突起(3210)を突設したことを特徴とするリザーバにおける防水構造。
【請求項2】 前記突起(3210)がシール部材(50)の通気管(502)の上方を円弧状に覆う防水庇部(3211)を有することを特徴とする、請求項1記載のリザーバにおける防水構造。
【請求項3】 前記突起(3210)が前記防水庇部(3211)の下方に複数の切欠き(3212)を有することを特徴とする、請求項2記載のリザーバにおける防水構造。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【図5】
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【公開番号】特開平8−261201
【公開日】平成8年(1996)10月8日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平7−62332
【出願日】平成7年(1995)3月22日
【出願人】(000226677)日信工業株式会社 (840)