説明

リソース分散管理システム

【課題】
本発明の目的は、サーバ間の通信量を減少させて減らすことによって、一つのリソース借用要求を処理する応答性能を向上させることができるリソース分散管理システムを提供することにある。
【解決手段】
一般サーバ2と管理サーバ1はネットワーク3を介して接続されている。1台の管理サーバ1と複数台の一般サーバ2でリソースグループを形成し、管理サーバ1はグループ内における複数台の一般サーバ2のメモリ残容量を管理し、グループ内の一般サーバ2からメモリリソースの借用要求があると自サーバのメモリ残容量に基づき割当可能かを判断し、割当不可のときにグループ内の一般サーバのメモリ残容量に基づき割当可能かを判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はネットワークを介して接続されている複数台の共有可能なメモリリソースを借用して共用するリソース分散管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザからのリソース借用要求を受付けて、ユーザが要求するリソースを割当てには、1台のサーバでリソースを集中管理する方法と、複数台のサーバでリソースを分散管理し、使用可能なリソースが見つかるまでサーバに問い合わせる方法がある。後者の場合には、他のサーバに順番に問い合わせる方法と一斉に問い合わせる方法がある。また、複数台のサーバがそれぞれ他の全てのサーバのリソースを管理する方法も知られている。このことは、例えば、下記の特許文献1に記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2002−182935号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術は、処理可能なリソース量のシステム規模を拡大するために複数台のサーバでリソースを分散管理すると、使用可能なリソースを見つけるまでに試行錯誤的に問い合わせを行うために使用可能なリソースが存在しないという回答が返ってくる無効な問い合わせが発生する。このような無効な通信と無効な処理負荷の増加によって一つの借用要求を処理する応答性能が低下するという欠点を有する。
【0005】
また、前記特許文献1に記載されているように複数台のサーバがそれぞれ他の全てのサーバのリソースを管理するでは、無効化通信をなくするためには任意のサーバのリソース利用状態が変化したときに全てのサーバに対して通知することが必要であり、リソースの確保ごとにサーバ台数の通信が発生する。このため、無効な通信と無効な処理負荷の増加によって一つの借用要求を処理する応答性能が低下するという欠点を有する。
【0006】
本発明の目的は、サーバ間の通信量を減少させて減らすことによって、一つのリソース借用要求を処理する応答性能を向上させることができるリソース分散管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の特徴とするところは、自サーバのメモリリソースの状態を管理するリソース管理手段を有する一般サーバと、自サーバのメモリリソース状態および一般サーバのメモリリソース状態を管理する共有リソース管理手段とを有する管理サーバとがネットワークを介して接続され、1台の管理サーバと複数台の一般サーバでリソースグループを形成し、管理サーバはグループ内における複数台の一般サーバのメモリ残容量を管理し、グループ内の一般サーバからメモリリソースの借用要求があると自サーバのメモリ残容量に基づき割当可能かを判断し、割当不可のときにグループ内の一般サーバのメモリ残容量に基づき割当可能かを判断するようにしたことにある。
【0008】
換言すると、本発明は、自サーバのメモリリソースを管理する一般サーバと、グループを形成する一般サーバのメモリリソースの状態も管理する管理サーバとによって階層的に管理するものである。
【0009】
また、本発明の管理サーバはグループ内の一般サーバからメモリリソースの借用要求があり自サーバのメモリ残容量とグループ内の一般サーバのメモリ残容量に基づき割当可能かを判断し、割当不可のときに他グループの管理サーバに借用要求を送信する。
【0010】
本発明は1台の管理サーバと複数台の一般サーバでリソースグループを形成し、管理サーバはグループ内における複数台の一般サーバのメモリ残容量を管理し、グループ内の一般サーバからメモリリソースの借用要求があると自サーバのメモリ残容量に基づき割当可能かを判断し、割当不可のときにグループ内の一般サーバのメモリ残容量に基づき割当可能かを判断するようにしている。また、管理サーバはグループ内での割当不可のときに他グループの管理サーバに借用要求を送信するようにしている。管理サーバは一般サーバに対して無効な通信を行う必要がなくなり、かつ無効な処理負荷の低減できるので一つの借用要求を処理する応答性能を向上させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、管理サーバが一般サーバに対して無効な通信を行う必要がなくなり、かつ無効な処理負荷の低減できるので一つの借用要求を処理する応答性能を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
一般サーバは自サーバのメモリリソースの状態を管理するリソース管理手段を有し、管理サーバは自サーバのメモリリソース状態および一般サーバのメモリリソース状態を管理する共有リソース管理手段とを有する。一般サーバと管理サーバはネットワークを介して接続されている。1台の管理サーバと複数台の一般サーバでリソースグループを形成する。管理サーバはグループ内における複数台の一般サーバのメモリ残容量を管理し、グループ内の一般サーバからメモリリソースの借用要求があると自サーバのメモリ残容量に基づき割当可能かを判断し、割当不可のときにグループ内の一般サーバのメモリ残容量に基づき割当可能かを判断する。管理サーバはグループを形成する一般サーバと階層を形成し、一般サーバのメモリリソースの状態を階層的に管理する。また、管理サーバはグループ内で割当不可のときに他グループの管理サーバにメモリリソースの借用要求を送信する。
【実施例1】
【0013】
図1に本発明の一実施例を示す。
【0014】
図1において、自サーバ内のメモリリソースのみを管理する複数台の一般サーバ2a〜2zと、他のサーバにメモリリソースの割当と開放を指示する複数台の管理サーバ1a〜1nとがネットワーク3を介して接続されている。1台の管理サーバ1a〜1nに対して複数台の一般サーバ2a〜2zが階層構成に形成されている。
【0015】
図2に階層構成の一例を示す。管理サーバ1aには6台の一般サーバ2a〜2fがリソースグループとして階層構成され、管理サーバ1bには7台の一般サーバ2g〜2m,また、管理サーバ1cには5台の一般サーバ2p〜2tがリソースグループとして階層構成されている。
【0016】
管理サーバ1は図3(a)に示すように、ユーザアプリケーション部10と共有リソース管理部11から構成される。共有リソース管理部11はメモリリソースの割当・開放を行う共有リソース割当・開放処理部12、自サーバ1のメモリリソースの状態を格納するリソース管理テーブル13およびリソースグループを形成する一般サーバ2のメモリリソースの状態を格納する共有リソース管理テーブル14を有している。
【0017】
また、一般サーバ2は図3(b)に示すように、ユーザアプリケーション部20とリソース管理部21から構成される。リソース管理部21はメモリリソースの割当・開放を行うリソース割当・開放処理部22、メモリリソースの状態を格納するリソース管理テーブル23およびリソースグループを形成する管理サーバを登録する管理サーバテーブル24を有している。
【0018】
次に動作を説明する。
【0019】
まず、一般サーバ2の動作を図4、図5に示すフロー図を参照して説明する。
【0020】
図4はメモリリソースの割当動作のフロー図を示す。一般サーバ2はユーザアプリケーション部20または管理サーバ1からメモリリソースの割当指示が与えられる。割当指示があると、リソース割当・開放処理部22はステップS1において図8(a)に示すようなリソース管理テーブル23を参照し、割当られるメモリリソースがあるか否かを確認する。
【0021】
リソース管理テーブル23には割当られるメモリリソースのリソース番号(格納アドレス)とその状態が格納される。リソースの状態には「未使用」、「使用中」、「借用中」が設定される。使用中は自サーバ2で使用している状態で、借用中は他サーバ2で使用している状態である。図8(a)に示す「借用中」は管理サーバ1b借用していることを示している。
【0022】
図8(a)に示すように、状態が「未使用」で割当て可能なメモリリソースがあれば、リソース割当・開放処理部22はステップS2でリソース管理テーブル23の割当るリソースの状態を「使用中」に変更し、ステップS3においてユーザアプリケーション部20あるいは管理サーバ1の借用要求元に報告する。さらに、リソース管理テーブル23に「未使用」のメモリリソースがなくなった場合は、ステップS4において図8(b)に示す管理サーバテーブル24に登録してある管理サーバ1(例えば、1a)にメモリ残容量を通知する。
【0023】
リソース割当・開放処理部22はステップS1においてリソース管理テーブル24に割当られるメモリリソースが無いと判断すると、ステップS5で管理サーバテーブル24に登録してある管理サーバ1にリソース割当の要求を行う。管理サーバ1からリソース割当の成功とリソース番号が通知されたら(ステップS6)、リソース管理テーブル23にリソース番号を登録した上で、その状態を「借用中」として、リソースの要求元にリソース番号を報告する(ステップ208)。
【0024】
ステップS6で管理サーバ1からメモリリソース割当の失敗が通知された場合は、リソースの要求元にリソースの割当の失敗を報告する(ステップS8)。
【0025】
一般サーバ2のリソース開放の動作について図5を参照して説明する。
【0026】
ユーザアプリケーション部20や管理サーバ1から開放するリソース番号が通知されると、リソース管理テーブル23から該当するメモリリソースを探す(ステップS9)。該当するリソースの状態が「使用中」の場合は、「未使用」に変更するとともに(ステップS10)、管理サーバテーブル24に登録してある管理サーバ1にメモりリソース割当が可能であることを通知する(ステップS11)。
【0027】
リソース割当・開放処理部22はステップS9でリソースの状態が「借用中」と判断すると、ステップS10に移行して管理サーバテーブル24に登録してある管理サーバ1に開放するリソース番号を通知し、リソース管理テーブル23から該当するリソース情報を削除する(ステップS13)。
【0028】
次に,図6、図7を用いて管理サーバ1の動作を説明する。
【0029】
まず、図6を用いてメモリリソースの割当動作について説明する。ユーザアプリケーション部10またはグループ内の一般サーバ2や他の管理サーバ1からメモリリソースの割当要求があると、管理サーバ1の共有リソース割当・開放処理部12は、図8(c)に示すリソース管理テーブル13を参照し、自己のメモリに割当られるメモリリソースがあるか否かを確認する(ステップS15)。
【0030】
管理サーバ1は割当可能なリソースがあれば、リソース管理テーブル13の割当るメモリリソースの状態を「使用中」に変更し(ステップS16)、ユーザアプリケーション部10または他の管理サーバ1の要求元にリソース番号を報告する(ステップS17)。ステップS15でリソース管理テーブル13に割当られるリソースが無いと判断すると、図8(c)に示す共有リソース管理テーブル14からメモリリソース残容量が割当可能な一般サーバ2を検索し、該当する一般サーバ2にリソースの割当要求を行う(ステップS18)。
【0031】
リソース割当が成功し(ステップS19)、リソース番号が返却されると、リソース管理テーブル13にサーバ番号とリソース番号からなる共有リソース番号を登録し(ステップS19)、リソースの要求元の一般サーバ2またはユーザアプリケーション部10に成功の通知と、共有リソース番号を報告する(ステップS20)。共有リソース番号は、例えば、サーバ番号とリソース番号を連結した番号とする。
【0032】
ステップS18でグループ内の複数台の一般サーバ2割当可能なメモリリソースが無いと判断するとステップS21に移行して他の管理サーバ1にメモリリソース割当を要求する。ステップS22において他の管理サーバ1がメモリリソース割当成功と判断すると要求元に割当成功の通知と共有リソース番号を報告する(ステップS20)。
【0033】
ステップS22で他の管理サーバ1がメモリリソース割当に失敗と判断すると要求元に失敗を報告し、ステップS21に戻り更に他の管理サーバ1にメモリリソース割当を要求する。
【0034】
図7を参照して管理サーバ1のリソース開放の動作を説明する。
【0035】
ユーザアプリケーション部10またはグループ内の一般サーバ2や他の管理サーバ1から開放するリソース番号または共有リソース番号が通知されると、リソース管理テーブル13から該当するリソースを探す(ステップS24)。該当するリソースの状態が「使用中」の場合は、未使用に変更する(ステップS25)。
【0036】
ステップS24で他のサーバと判断するとステップS26に移行して割当元のサーバに開放するリソース開放を指示し、ステップS27において他のサーバに関する共通リソース管理テーブル14のメモリ残容量を更新する。
【0037】
このようにしてメモリリソースの割当、開放を行うのであるが、1台の管理サーバと複数台の一般サーバでリソースグループを形成し、管理サーバはグループ内における複数台の一般サーバのメモリ残容量を管理し、グループ内の一般サーバからメモリリソースの借用要求があると自サーバのメモリ残容量に基づき割当可能かを判断し、割当不可のときにグループ内の一般サーバのメモリ残容量に基づき割当可能かを判断するようにしている。また、管理サーバはグループ内での割当不可のときに他グループの管理サーバに借用要求を送信するようにしている。管理サーバは一般サーバに対して無効な通信を行う必要がなくなり、かつ無効な処理負荷の低減できるので一つの借用要求を処理する応答性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施例を示す構成図である。
【図2】管理サーバと一般サーバの関係構成の一例図である。
【図3】管理サーバと一般サーバの一例構成図である。
【図4】本発明の動作を説明するためのフロー図である。
【図5】本発明の動作を説明するためのフロー図である。
【図6】本発明の動作を説明するためのフロー図である。
【図7】本発明の動作を説明するためのフロー図である。
【図8】本発明のテーブルに一例図である。
【符号の説明】
【0039】
1…管理サーバ、2…一般サーバ、3ネットワーク、10、20…ユーザアプリケーション部、11…共有リソース管理部、12…共有リソース要求・開放処理部、13…リソース管理テーブル、14…共有リソーステーブル、21…リソース管理部、22…共有リソース要求・開放処理部、23…リソース管理テーブル、24…管理サーバテーブル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自サーバのメモリリソースの状態を管理するリソース管理手段を有する一般サーバと、自サーバのメモリリソース状態および前記一般サーバのメモリリソース状態を管理する共有リソース管理手段とを有する管理サーバと、前記一般サーバと前記管理サーバを接続するネットワークを備え、1台の前記管理サーバと複数台の前記一般サーバでリソースグループを形成し、前記管理サーバはグループ内における複数台の前記一般サーバのメモリ残容量を管理し、グループ内の前記一般サーバからメモリリソースの借用要求があると自サーバのメモリ残容量に基づき割当可能かを判断し、割当不可のときにグループ内の前記一般サーバのメモリ残容量に基づき割当可能かを判断するようにしたことを特徴とするリソース分散管理システム。
【請求項2】
自サーバのメモリリソースの状態を管理し前記メモリリソースの借用要求を受付けるリソース管理手段を有する一般サーバと、自サーバのメモリリソース状態および前記一般サーバのメモリリソース状態を管理する共有リソース管理手段とを有する管理サーバと、前記一般サーバと前記管理サーバを接続するネットワークを備え、1台の前記管理サーバと複数台の前記一般サーバでリソースグループを形成し、前記管理サーバはグループ内における複数台の前記一般サーバのメモリ残容量を管理し、グループ内の前記一般サーバからメモリリソースの借用要求があり自サーバのメモリ残容量とグループ内の前記一般サーバのメモリ残容量に基づき割当可能かを判断し、割当不可のときに他グループの前記管理サーバに借用要求を送信するようにしたことを特徴とするリソース分散管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−18717(P2006−18717A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−197710(P2004−197710)
【出願日】平成16年7月5日(2004.7.5)
【出願人】(390023928)日立エンジニアリング株式会社 (134)
【Fターム(参考)】