説明

リチウムイオン電池用セパレータの製造方法

【課題】従来法と比較して簡易に多孔性ポリイミドからなるリチウムイオン電池用セパレータを製造することが出来る方法を提供すること。
【解決手段】1)ポリアミド酸相とシリカ相とが共有結合によって一体となった分子構造を呈する有機−無機ポリマーハイブリッドIを準備し、2)有機−無機ポリマーハイブリッドIのポリアミド酸相をイミド化して、ポリイミド相とシリカ相とが共有結合によって一体となった分子構造を呈する有機−無機ポリマーハイブリッドIIとし、3)有機−無機ポリマーハイブリッドIIよりシリカ相を除去することにより、多孔性ポリイミドからなるリチウムイオン電池用セパレータとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン電池用セパレータの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高容量、高電圧、及び高エネルギー密度の達成が可能な電池として、従来より、様々な有機電解液二次電池が知られている。特に、近年、電解質中のリチウムイオンが電気伝導を担うリチウムイオン二次電池(以下、リチウムイオン電池という)が広く用いられている。
【0003】
リチウムイオン電池においては、炭酸エチレン等の有機溶媒及びヘキサフルオロリン酸リチウム等のリチウム塩が電解質として使用され、また、対向配置される正極と負極との間には、両極間のイオンの流通が可能な多孔性高分子からなるセパレータが配置されて、使用されている。
【0004】
そのようなリチウムイオン電池に使用されるセパレータに対しては、安全性の面から高耐熱性が、また、電池の軽量化及び省スペース化の観点から薄膜化(薄くても十分な強度等を有すること)が求められている。現在では、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム等の、ポリオレフィン系材料からなるフィルムがセパレータとして使用されているが、それらポリオレフィン系材料からなるフィルムは、耐熱性に劣るだけではなく、必要とされる強度を保持しつつ薄膜化することが困難である。これに対して、芳香族ポリアミドや芳香族ポリイミドからなる多孔性フィルムは、ポリオレフィン系材料からなるものと比較して、剛性が高く、また薄膜化が可能であり、更には、実質的に融点を有さずに耐熱性が高いことが知られている。
【0005】
このような状況の下、ポリイミドからなる多孔性膜の製造方法については、従来より、様々なものが提案されている。例えば、特許文献1(特開平11−310658号公報)においては、ポリアミック酸ワニスのキャストフィルムに多孔質フィルムを積層した後、貧溶媒に浸漬することを特徴とするポリイミド多孔膜の製造方法が開示されている。また、特許文献2(特開2004−359860号公報)においては、所定のポリイミドもしくはその前駆体のポリマー溶液を基板の上に流延し、流延物上に可溶性溶媒もしくは非溶媒からなる保護溶媒層を積層し、ポリマー溶液と保護溶媒層とが完全には混じり合わずに濃度勾配を有する状態を保ちつつ、積層溶液物を凝固液に浸漬する工程を含むことを特徴とするポリイミド多孔質膜の製造方法が、開示されている。更に、特許文献3(特表2008−114798号公報)においては、ポリイミド相とシリカ相とが共有結合によって一体となった分子構造を呈する有機−無機ポリマーハイブリッドに対して、該シリカ相の除去処理を施して多孔性ポリイミドを得ることが開示されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1や特許文献2において提案されている如き、溶媒置換速度を調整するために多孔質フィルムを使用する方法や、保護溶媒層を積層させる方法にあっては、緻密層の形成を制御することで連続気泡を形成せしめることが可能ではあるものの、特に膜厚方向において均質な径を有する空孔を形成せしめることが困難である。また、それらの方法において、前駆体溶液の組成、使用する溶媒、又は粘度等が異なると、形成される空孔の大きさも変化するため、必要とする空孔の大きさに合わせた条件を探索する必要があり、更には製造条件の維持にも細心の注意が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−310658号公報
【特許文献2】特開2004−359860号公報
【特許文献3】特表2008−114798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決すべき課題とするところは、従来法と比較して簡易に多孔性ポリイミドからなるリチウムイオン電池用セパレータを製造することが出来る方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そして、本発明は、上述の如き課題を解決すべく、多孔性ポリイミドからなるリチウムイオン電池用セパレータの製造方法にして、ポリアミド酸相とシリカ相とが共有結合によって一体となった分子構造を呈する有機−無機ポリマーハイブリッドIを準備する工程と、前記有機−無機ポリマーハイブリッドIのポリアミド酸相をイミド化して、ポリイミド相とシリカ相とが共有結合によって一体となった分子構造を呈する有機−無機ポリマーハイブリッドIIとする工程と、前記有機−無機ポリマーハイブリッドIIよりシリカ相を除去して多孔性ポリイミドとする工程とを、含むリチウムイオン電池用セパレータの製造方法を、その要旨とするものである。
【0010】
なお、そのようなリチウムイオン電池用セパレータの製造方法の好ましい第一の態様においては、前記ポリアミド酸相が、部分的に直鎖部を有する多分岐ポリアミド酸からなる相である。
【0011】
また、本発明に係る製造方法の好ましい第二の態様においては、前記有機−無機ポリマーハイブリッドIIよりシリカ相を除去する際に、フッ化水素酸、又はフッ素含有化合物の水溶液が用いられる。
【0012】
さらに、本発明に従う製造方法の好ましい第三の態様においては、前記多孔性ポリイミドを、水を用いて洗浄し、更に、20℃における表面張力が72.25mN/m未満である液体を用いて洗浄する工程を、含む。
【発明の効果】
【0013】
このように、本発明に従うリチウムイオン電池用セパレータの製造方法にあっては、ポリアミド酸相とシリカ相とが共有結合によって一体となった分子構造を呈する有機−無機ポリマーハイブリッドIを準備し、かかる有機−無機ポリマーハイブリッドIのポリアミド酸相をイミド化して有機−無機ポリマーハイブリッドIIとし、更に、この有機−無機ポリマーハイブリッドIIよりシリカ相を除去して多孔性ポリイミドとすることを特徴とするものである。従って、従来法より簡易にリチウムイオン電池用セパレータを製造することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ところで、本発明に従うリチウムイオン電池用セパレータの製造方法においては、先ず、ポリアミド酸相とシリカ相とが共有結合によって一体となった分子構造を呈する有機−無機ポリマーハイブリッドIが合成(調製)されて、準備される。かかる有機−無機ポリマーハイブリッドIの合成は、従来より公知の各種手法を組み合わせることにより実施することが可能である。本発明においては、好ましくは、1)先ず、テトラカルボン酸二無水物と、ジアミン及び/又はトリアミンとを反応せしめてポリアミド酸を合成する工程と、2)次いで、得られたポリアミド酸と、アルコキシシリル基を有するシランカップリング剤と、シリカ微粒子とを用いて、有機−無機ポリマーハイブリッドを合成する工程とからなる手法が、有利に採用される。
【0015】
ポリアミド酸を合成するに際して用いられ得るテトラカルボン酸二無水物としては、従来より公知の各種のものであれば、何れも用いることが可能であり、それら公知のものの中から、目的とする多孔性ポリイミドに応じた一種若しくは二種以上のものが、適宜に選択されて、用いられることとなる。
【0016】
具体的には、無水ピロメリット酸(PMDA)、オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物(6FDA)、2,2’−ビス[(ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物(BSAA)、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルフィド二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ビフェニル二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物を、例示することが出来る。また、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ペンタン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサ−1−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−エチルシクロヘキサン−1−(1,2),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等の脂肪族テトラカルボン酸二無水物についても、使用可能である。
【0017】
また、そのようなテトラカルボン酸二無水物(A2 )に対して、トリアミン(B3 )を反応させると、所謂A2 +B3 系重縮合によって、デンドリティック構造を有する多分岐ポリアミド酸が得られる。なお、本明細書において、多分岐ポリアミド酸(多分岐ポリイミド)とは、全体がデンドリティック構造を呈するポリアミド酸(ポリイミド)は勿論のこと、部分的に直鎖部を有する多分岐ポリアミド酸(ポリイミド)や、少なくともその一部がデンドリティック構造を呈するポリアミド酸(ポリイミド)をも含むものである。また、単にポリアミド酸(ポリイミド)と記載した場合でも、特段の場合を除いて、多分岐ポリアミド酸(多分岐ポリイミド)も含まれることは、言うまでもないところである。
【0018】
本発明において用いられるトリアミンとしては、分子内に3個のアミノ基を有する化合物であれば、如何なるものであっても使用可能である。具体的には、1,3,5−トリアミノベンゼン、トリス(3−アミノフェニル)アミン、トリス(4−アミノフェニル)アミン、トリス(3−アミノフェニル)ベンゼン、トリス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,3,5−トリス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3,5−トリス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3,5−トリス(4−アミノフェノキシ)トリアジン、3,3’,5−トリアミノビフェニル、3,3’,5−トリアミノジフェニルエーテル、1,1−ビス(4−アミノフェニル)−1−(4−アミノフェニル)エタン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)−1−(4−アミノフェニル)−2,2,2−トリフルオロエタン、2−アミノ−9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2−アミノ−9,9−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕フルオレン等の芳香族トリアミンを、例示することが出来る。それらの中でも、本発明においては、好ましくは分子構造が対称形を呈するものが用いられる。即ち、ベンゼン環やトリアジン環の1,3,5位にアミノ基を有するトリアミン化合物が有利に用いられるのであり、そのような芳香族トリアミンとしては、1,3,5−トリアミノベンゼン、トリス(3−アミノフェニル)アミン、トリス(4−アミノフェニル)アミン、トリス(3−アミノフェニル)ベンゼン、トリス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,3,5−トリス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3,5−トリス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3,5−トリス(4−アミノフェノキシ)トリアジン等が挙げられる。
【0019】
本発明においては、ポリアミド酸を合成するに際して、上述のようなトリアミンと共に、或いはトリアミンに代えて、ジアミンを使用することも可能である。特に、ポリアミド酸相が、部分的に直鎖部を有する多分岐ポリアミド酸からなる相である有機−無機ポリマーハイブリッドIを合成するに際しては、上述のテトラカルボン酸二無水物とトリアミンとを反応させて多分岐ポリアミド酸を合成する一方で、別個に、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させて直鎖ポリアミド酸を合成し、その後、それら異なるポリアミド酸と、後述する所定のシランカップリング剤と、シリカ微粒子とを用いて、有機−無機ポリマーハイブリッドIが合成される。
【0020】
本発明において用いられ得るジアミンとしては、フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエーテル(オキシジアニリン)、ジアミノジフェニール、ジアミノベンゾフェノン、2,2−ビス[(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−アミノフェノキシフェニル]スルホン、2,2−ビス[(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、
4,4’−[フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパンや9,9−ビス(アミノフェニル)フルオレン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、3,3’−ジアミベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,3−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、5,7−ジアミノ−1,1,4,6−テトラメチルインダイン、1,3−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−(2−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、
1,3−ビス(4−(2−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−(2−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−(2−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−(2−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−(2−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、
1,4−ビス(2−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(3−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(3−(2−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(4−(2−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(2−(2−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(2−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(2−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)−2−メチルベンゼン、1,3−ビス(3−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)−4−メチルベンゼン、1,3−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)−2−エチルベンゼン、1,3−ビス(3−(2−アミノフェノキシ)フェノキシ)−5−sec−ブチルベンゼン、1,3−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)−2,5−ジメチルベンゼン、1,3−ビス(4−(2−アミノ−6−メチルフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−(2−アミノ−6−エチルフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−(3−アミノフェノキシ)−4−メチルフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−(4−アミノフェノキシ)−4−tert−ブチルフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)−2,5−ジ−tert−ブチルベンゼン、1,4−ビス(3−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)−2,3−ジメチルベンゼン、1,4−ビス(3−(2−アミノ−3−プロピルフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)−4−メチルベンゼン、1,2−ビス(3−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)−3−n−ブチルベンゼン、1,2−ビス(3−(2−アミノ−3−プロピルフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(アミノフェノキシ)3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−メチルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−エチルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−n−プロピルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−i−プロピルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−t−ブチルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−3−メチルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−3−エチルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−3−n−プロピルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−3−i−プロピルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−3−t−ブチルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−3−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−3−メチルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−4−メチルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−5−メチルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−6−メチルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−3−エチルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−4−エチルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−5−エチルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−6−エチルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−3−n−プロピルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−4−n−プロピルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−5−n−プロピルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−6−n−プロピルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−3−i−プロピルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−4−i−プロピルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−5−i−プロピルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−6−i−プロピルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−3−t−ブチルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−4−t−ブチルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−5−t−ブチルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−6−t−ブチルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−3−トリフロオロメチルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−4−トリフロオロメチルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−5−トリフロオロメチルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−6−トリフロオロメチルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−メチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−エチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−n−プロピルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−i−プロピルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−t−ブチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−メチルフェノキシ)−3−エチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−エチルフェノキシ)−3−エチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−n−プロピルフェノキシ)−3−エチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−i−プロピルフェノキシ)−3−エチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−t−ブチルフェノキシ)−3−エチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−3−エチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−メチルフェノキシ)−3−n−プロピルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−エチルフェノキシ)−3−n−プロピルフェニル〕フルオレン、
9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−n−プロピルフェノキシ)−3−n−プロピルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−i−プロピルフェノキシ)−3−n−プロピルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−t−ブチルフェノキシ)−3−n−プロピルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−3−n−プロピルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−メチルフェノキシ)−3−i−プロピルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−エチルフェノキシ)−3−i−プロピルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−n−プロピルフェノキシ)−3−i−プロピルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−i−プロピルフェノキシ)−3−i−プロピルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−t−ブチルフェノキシ)−3−i−プロピルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−3−i−プロピルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−メチルフェノキシ)−3−t−ブチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−エチルフェノキシ)−3−t−ブチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−n−プロピルフェノキシ)−3−t−ブチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−i−プロピルフェノキシ)−3−t−ブチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−t−ブチルフェノキシ)−3−t−ブチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−3−t−ブチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−メチルフェノキシ)−3−トリフルオロメチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−エチルフェノキシ)−3−トリフルオロメチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−n−プロピルフェノキシ)−3−トリフルオロメチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−i−プロピルフェノキシ)−3−トリフルオロメチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−t−ブチルフェノキシ)−3−トリフルオロメチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−3−トリフルオロメチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−メチルフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−エチルフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−n−プロピルフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−i−プロピルフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−t−ブチルフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−メチルフェノキシ)−3,5−ジエチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−エチルフェノキシ)−3,5−ジエチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−n−プロピルフェノキシ)−3,5−ジエチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−i−プロピルフェノキシ)−3,5−ジエチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−t−ブチルフェノキシ)−3,5−ジエチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−3,5−ジエチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−メチルフェノキシ)−3,5−ジ−n−プロピルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−エチルフェノキシ)−3,5−ジ−n−プロピルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−n−プロピルフェノキシ)−3,5−ジ−n−プロピルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−i−プロピルフェノキシ)−3,5−ジ−n−プロピルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−t−ブチルフェノキシ)−3,5−ジ−n−プロピルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−3,5−ジ−n−プロピルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−メチルフェノキシ)−3,5−ジ−i−プロピルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−エチルフェノキシ)−3,5−ジ−i−プロピルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−n−プロピルフェノキシ)−3,5−ジ−i−プロピルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−i−プロピルフェノキシ)−3,5−ジ−i−プロピルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−t−ブチルフェノキシ)−3,5−ジ−i−プロピルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−3,5−ジ−i−プロピルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−メチルフェノキシ)−3,5−ジ−t−ブチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−エチルフェノキシ)−3,5−ジ−t−ブチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−n−プロピルフェノキシ)−3,5−ジ−t−ブチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−i−プロピルフェノキシ)−3,5−ジ−t−ブチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−t−ブチルフェノキシ)−3,5−ジ−t−ブチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−3,5−ジ−t−ブチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−メチルフェノキシ)−3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−エチルフェノキシ)−3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−n−プロピルフェノキシ)−3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−i−プロピルフェノキシ)−3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−t−ブチルフェノキシ)−3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−3−メチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−4−メチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−5−メチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−6−メチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−3−トリフロオロメチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−4−トリフロオロメチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−5−トリフロオロメチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−6−トリフロオロメチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−2−メチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−4−メチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−5−メチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−6−メチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−2−エチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−4−エチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−5−エチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−6−エチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−2−n−プロピルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−4−n−プロピルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−5−n−プロピルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−6−n−プロピルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−2−i−プロピルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−4−i−プロピルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−5−i−プロピルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−6−i−プロピルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−2−t−ブチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−4−t−ブチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−5−t−ブチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−6−t−ブチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−2−トリフロオロメチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−4−トリフロオロメチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−5−トリフロオロメチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−6−トリフロオロメチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、
9,9−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3−エチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3−n−プロピルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3−i−プロピルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3−t−ブチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3−トリフルオロメチルフェニル〕フルオレン、9−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジエチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジ−n−プロピルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジ−i−プロピルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジ−t−ブチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル〕フルオレン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミノン、2,2′−ジアミノビフェニル、2,3′−ジアミノビフェニル、2,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジアミノビフェニル、3,4′−ジアミノビフェニル、4,4′−ジアミノビフェニル、2−(3−アミノフェニル)−3′−アミノビフェニル、2,2′−ビス(3−アミノフェニル)ビフェニル、2,2′−ジアミノジフェニルエーテル、2,3′−ジアミノジフェニルエーテル、2,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′−ジアミノジフェニルエーテル、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス(2−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス〔3−(2−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(2−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン等の芳香族ジアミンを例示することが出来る。また、本発明においては、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、イソホロンジアミン、シス−1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,4−シクロヘキサンビス(メチルアミン)、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン、3,8−ビス(アミノメチル)トリシクロ〔5.2.1.0〕デカン、1,3−ジアミノアダマンタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−プロパンジアミン、1,4−テトラメチレンジアミン、1,5−ペンタメチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,7−ヘプタメチレンジアミン、1,8−オクタメチレンジアミン、1,9−ノナメチレンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン等の脂肪族ジアミンも、使用可能である。
【0021】
なお、本発明においては、上述したトリアミン等と共に、シロキサンジアミンや、分子内にアミノ基を4個以上有するアミン化合物を、トリアミン等と共重合せしめた状態にて、或いは、多分岐ポリアミド酸合成時にトリアミン等と同時に添加することにより、使用することも可能である。そのようなシロキサンジアミンとしては、(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、ビス(アミノフェノキシ)ジメチルシランやビス(3−アミノプロピル)ポリメチルジシロキサン等が挙げられ、また、分子内にアミノ基を4個以上有するアミン化合物としては、トリス(3,5−ジアミノフェニル)ベンゼン、トリス(3,5−ジアミノフェノキシ)ベンゼン等が挙げられる。
【0022】
また、上述してきた、テトラカルボン酸二無水物、トリアミン、ジアミン、及び分子内にアミノ基を4個以上有するアミン化合物の各化合物におけるベンゼン環に、炭化水素基(アルキル基、フェニル基、シクロヘキシル基等)、ハロゲン基、アルコキシ基、アセチル基、スルホン酸基等の置換基を有する誘導体であっても、本発明においては、用いることが可能である。
【0023】
そのようなテトラカルボン酸二無水物と、トリアミン(及び、ジアミン、シロキサンジアミン、或いは分子内にアミノ基を4個以上有するアミン化合物。以下、適宜アミン成分という。)との反応は、比較的低温、具体的には100℃以下、好ましくは50℃以下の温度下において実施することが好ましい。また、テトラカルボン酸二無水物とアミン成分は、テトラカルボン酸二無水物に由来する酸無水物基の総数:αと、アミン成分に由来するアミノ基の総数:βとが、α:β=1.0:0.3〜1.0:1.5を満たすような、好ましくは、α:β=1.0:0.3〜1.0:0.5、或いはα:β=1.0:1.0〜1.0:1.5を満たすような量的割合において、反応せしめることが好ましい。
【0024】
さらに、ポリアミド酸の合成は、所定の溶媒内にて行なうことが好ましい。本発明において用いられ得る溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N−ジエチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、テトラメチルスルホン、ヘキサメチルスルホン、ヘキサメチルフォスホアミド等の非プロトン性極性溶媒や、m−クレゾール、o−クレゾール、p−クレゾール、p−クロロフェノール、m−クロロフェノール、o−クロロフェノール等のフェノール系溶媒、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグライム、ビス(2−メトキシエチル)エーテル等のエーテル系溶媒の他、N−メチルカプロラクタム、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、ピリジン、ピコリン、ジメチルスルホン、テトラメチル尿素等を挙げることが出来、これらは単独で、若しくは二種以上の混合溶媒として、使用することが可能である。
【0025】
次いで、上述のようにして得られたポリアミド酸と、アルコキシシリル基を有するシランカップリング剤と、シリカ微粒子とを用いて、ポリアミド酸相とシリカ相とが共有結合によって一体となった分子構造を呈する有機−無機ポリマーハイブリッドIが合成される。具体的には、ポリアミド酸とアルコキシシリル基を有するシランカップリング剤とを反応させて、複数の末端基のうちの少なくとも一部が水酸基及び/又はアルコキシシリル基であるポリアミド酸とし、かかるポリアミド酸とシリカ微粒子とを反応させることにより、有機−無機ポリマーハイブリッドIが得られるのである。
【0026】
ここで、本発明において用いられるアルコキシシリル基を有するシランカップリング剤としては、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノフェニルジメチルメトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシリルカルボン酸、プロピルメチルジエトキシシリルカルボン酸、ジメチルメトキシシリル安息香酸、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、2−アミノエチルアミノメチルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、カルボン酸無水物基含有シラン類[3−トリエトキシシリルプロピル琥珀酸無水物(TEPSA)、3,4−ジカルボキシフェニルトリメトキシシランの酸無水物、3,4−ジカルボキシベンジルトリメトキシシランの酸無水物等]、メルカプトメチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、(2−アミノエチルアミノ)メチルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルジメトキシメチルシラン、3−〔2−(2−アミノエチルアミノ)エチルアミノ〕プロピルトリメトキシシラン、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)ウレア、2−(2−アミノエチルチオ)エチルトリメトキシシラン、2−(2−アミノエチルチオ)エチルトリエトキシシラン、2−(2−アミノエチルチオ)エチルジメトキシメチルシラン、2−(2−アミノエチルチオ)エチルジエトキシメチルシラン、2−アミノフェニルトリメトキシシラン、2−アミノフェニルトリエトキシシラン、3−アミノフェニルトリメトキシシラン、3−アミノフェニルトリエトキシシラン、4−アミノフェニルトリメトキシシラン、4−アミノフェニルトリエトキシシラン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン、3−シクロヘキシルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−シクロヘキシルアミノプロピルジメトキシメチルシラン、3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−フェニルアミノプロピルジメトキシメチルシラン、3−ベンジルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−ベンジルアミノプロピルジメトキシメチルシラン、3−(p−ビニルベンジルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(p−ビニルベンジルアミノ)プロピルジメトキシメチルシラン、3−アリルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−アリルアミノプロピルジメトキシメチルシラン、3−ピペラジノプロピルトリメトキシシラン、3−ピペラジノプロピルジメトキシメチルシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルジメトキシメチルシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルジメトキシメチルシラン、3−イソシアネートプロピルジエトキシメチルシラン、3−グリシドキシプロピルプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等を、挙げることが出来る。
【0027】
なお、本発明においては、上述の如きアルコキシシリル基を有するシランカップリング剤に代えて、アミノ基、酸無水物基又はカルボキシル基と反応可能な官能基を有し、且つシラノール基とも反応可能な官能基を分子内に有する多官能化合物も、使用することが出来る。かかる多官能化合物としては、2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、1−アミノ−2−ブタノール、1−アミノ−1−ブタノール、3−アミノプロピオン酸、2−アミノプロピオン酸、ジイソシアナート化合物類、ジグリシジル化合物類等を、挙げることが出来る。
【0028】
また、上述の如きシランカップリング剤と多分岐ポリアミド酸との反応は、先に説明したテトラカルボン酸二無水物とアミン成分とを反応せしめた際と同様の温度条件にて、また、同様の溶媒中にて実施されることが望ましい。
【0029】
本発明において用いられるシリカ微粒子としては、従来より公知のものが何れも用いられ得るが、一般に、10μm以下、好ましくは3μm以下、更に好ましくは1μm以下、特に100〜700nm程度の大きさ(平均粒子径)のものが好ましく、更に、シリカ微粒子のオルガノゾルが、有利に用いられる。なお、シリカ微粒子の使用量は、最終的に得られるリチウムイオン電池用セパレータが所望とするガーレー値(好ましくは2000sec/100mL以下、より好ましくは1000sec/100mL以下)となるように、適宜に決定されることとなる。また、シリカ微粒子のオルガノゾルを用いる場合、製膜性の観点より、シリカ微粒子の濃度が40重量%以上、好ましくは50重量%以上のオルガノゾルが、有利に採用される。
【0030】
なお、上述した所定のポリアミド酸とシリカ微粒子との反応は、所定の溶媒中にて容易に進行する。かかる溶媒としては、多分岐ポリアミド酸を合成する際の溶媒として例示したものを用いることが望ましい。そして、所定の溶媒を用いてなるポリアミド酸溶液中に、シリカ微粒子のオルガノゾルを添加し、溶液を撹拌することによって、ポリアミド酸相とシリカ相とが共有結合によって一体となった有機−無機ポリマーハイブリッドIが得られるのである。
【0031】
次いで、得られた有機−無機ポリマーハイブリッドIのポリアミド酸相をイミド化することにより、ポリイミド相とシリカ相とが共有結合によって一体となった有機−無機ポリマーハイブリッドIIを合成する。
【0032】
すなわち、有機−無機ポリマーハイブリッドIは、シリカ微粒子が、ポリアミド酸の複数の末端基のうちの水酸基及び/又はアルコキシシリル基と共有結合してなるものであるところから、ポリアミド酸分子の周辺に、シリカ微粒子が比較的均一に存在した構造を呈している。そして、そのような有機−無機ポリマーハイブリッドIをイミド化せしめると、シリカ微粒子が均一に存在した状態を維持した有機−無機ポリマーハイブリッドIIとなるのである。
【0033】
ここで、有機−無機ポリマーハイブリッドIのイミド化は、従来より公知の手法の中から適宜に選択されて、採用される。一般に、リチウムイオン電池用セパレータはフィルム状であることから、一般の高分子材料の場合と同様に、下記の如き手法にてイミド化及び製膜化を行うことが可能である。具体的には、1)所定溶媒を用いてなる有機−無機ポリマーハイブリッドIの溶液を、ガラス、高分子フィルム等の基盤上に流延せしめた後、熱イミド化(加熱乾燥)する方法、2)上記混合溶液をガラス、高分子フィルム等の基盤上にキャストした後、水、アルコール、ヘキサン等の受溶媒に浸漬せしめ、フィルム化させた後、熱イミド化(加熱乾燥)する方法等が挙げられ、本発明においては、これらの何れをも採用することが可能である。また、有機−無機ポリマーハイブリッドIに対して化学処理を施すことによって、イミド化せしめることも可能である。
【0034】
そして、以上のようにして得られた、ポリイミド相とシリカ相とが共有結合によって一体となった分子構造を呈する有機−無機ポリマーハイブリッドIIに対して、そのシリカ相を除去するための処理を施すことによって、目的とする、多孔性ポリイミドからなるリチウムイオン電池用セパレータが得られるのである。
【0035】
ここで、有機−無機ポリマーハイブリッドIIよりシリカ相を除去するための処理方法としては、従来より公知の各種手法が採用され得るが、一般には、有機−無機ポリマーハイブリッドIIを、フッ化水素酸や、フッ化水素アンモニウム等のフッ素含有化合物の水溶液に所定時間、浸漬せしめ、シリカ相を除去する方法が、採用される。なお、フッ化水素酸等のフッ素含有化合物の水溶液を用いる場合にあっては、その濃度は、一般に、0.5〜40重量%のものが使用される。
【0036】
また、フッ化水素酸等のフッ素含有化合物の水溶液や、その他の溶液を用いてシリカ相の除去処理を実施した場合、かかる処理によって得られた多孔性ポリイミドについては、水を用いた洗浄処理を施し、更に、20℃における表面張力が72.25mN/m未満である液体を用いた洗浄処理を施すことが好ましい。このような二段階の洗浄処理を実施することにより、得られる多孔性ポリイミドの収縮を効果的に抑制すること可能である。ここで、表面張力とは、懸滴法に従って測定されるものを意味する。20℃における表面張力が72.25mN/m未満である液体としては、イソプロパノール(IPA)、ブタノール、エタノール、メタノール、ヘキサン等を例示することが出来る。本発明においては、水との置換がスムーズに進行するように、水溶性の液体が有利に用いられる。
【0037】
上述してきたように、本発明に係る製造方法においては、従来法と比較して簡易にリチウムイオン電池用セパレータを製造することが可能である。
【実施例】
【0038】
以下に、本発明の実施例を幾つか示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記した具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。
【0039】
なお、以下の実施例において得られた、リチウムイオン電池用セパレータたる多孔性フィルムの透気度(ガーレー値)は、JIS−P−8117に規定されるガーレー試験法に基づいて、株式会社東洋精機製作所製のガーレー式デンソメータを用いて測定した。
【0040】
−実施例1、実施例2−
撹拌機、窒素導入管、塩化カルシウム管及び温度計を備えた100mLの三つ口フラスコに、N,Nジメチルアセトアミド(DMAc):30mLを加え,2,3,3’,4’−オキシジフタル酸無水物(a−ODPA):12.7g(40.8mmol)を溶解させた。この溶液を、窒素気流下で攪拌しながら、20mLのDMAcに溶解させたオキシジアニリン(ODA):7.95g(39.6mmol)を徐々に加えた後、さらに25℃で3時間、攪拌することにより、酸無水物末端直鎖ポリアミド酸を合成した。
【0041】
一方、別途用意した、撹拌機、窒素導入管、塩化カルシウム管及び温度計を備えた200mLの三つ口フラスコに、所定量のDMAc分散コロイダルシリカ(平均粒子径:180nm)を加え,更に1,3,5−トリス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TAPOB):3.9g(9.77mmol)を溶解させた。この溶液を、窒素気流下で攪拌しながら、10mLのDMAcに溶解させたa−ODPA:2.05g(6.62mmol)を徐々に加えた後、25℃で2時間攪拌した。この溶液に、3−エトキシシリルプロピル琥珀酸無水物(TEPSA):3.4g(10.1mmol)を加え、1時間撹拌することにより、多分岐ポリアミド酸−シリカハイブリッド溶液を得た。尚、DMAc分散コロイダルシリカは、後述する有機−無機ポリマーハイブリッド(本発明の有機−無機ポリマーハイブリッドIIに相当)におけるシリカ含有量が下記表1に示す数値となるような量において、使用した。
【0042】
この多分岐ポリアミド酸−シリカハイブリッド溶液に、別途準備した酸無水物末端直鎖ポリアミド酸溶液を徐々に加えた後、25℃で3時間、撹拌することにより、部分的に直鎖部を有する多分岐ポリアミド酸−シリカハイブリッド溶液を得た。更に、この溶液を、ポリエステルフィルム上にキャストした。得られたフィルムを、窒素雰囲気下にて、100℃で1時間、200℃で1時間、300℃で1時間、加熱処理することにより、有機−無機ポリマーハイブリッド(本発明の有機−無機ポリマーハイブリッドIIに相当)からなるフィルムを得た。尚、実施例2において、ポリエステルフィルム上への多分岐ポリアミド酸−シリカハイブリッド溶液のキャスト量は、実施例1のキャスト量とは異なる量を採用した。
【0043】
そして、得られたフィルムをフッ化水素酸(15%)に3時間浸漬せしめることにより、シリカを除去した。さらにイオン交換水に1時間浸漬し洗浄後、イソプロパノール(IPA)に1時間浸漬せしめ、100℃で1時間、減圧乾燥させることにより、2種類の多孔性フィルムを得た。得られた多孔性フィルムの膜厚及びガーレー値を、下記表1に示す。
【0044】
−実施例3〜16−
DMAc分散コロイダルシリカの使用量を変更し、また、ポリエステルフィルム上への多分岐ポリアミド酸−シリカハイブリッド溶液のキャスト量を適宜変更したこと以外は実施例1と同様の手法に従い、14種類の多孔性フィルムを得た。得られた各多孔性フィルムの膜厚及びガーレー値を、下記表1に示す。
【0045】
−実施例17〜22−
オキシジアニリン(ODA)に代えて1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPEM)を用いて、また、DMAc分散コロイダルシリカの使用量を変更し、更にポリエステルフィルム上への多分岐ポリアミド酸−シリカハイブリッド溶液のキャスト量を適宜変更したこと以外は実施例1と同様の手法に従い、6種類の多孔性フィルムを得た。得られた各多孔性フィルムの膜厚及びガーレー値を、下記表1に示す。
【0046】
−実施例23、実施例24−
2,3,3’,4’−オキシジフタル酸無水物(a−ODPA)に代えて4,4’−オキシジフタル酸無水物(s−ODPA)を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法に従い、2種類の多孔性フィルムを得た。得られた各多孔性フィルムの膜厚及びガーレー値を、下記表1に示す。
【0047】
−実施例25、実施例26−
2,3,3’,4’−オキシジフタル酸無水物(a−ODPA)に代えて4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法に従い、2種類の多孔性フィルムを得た。得られた各多孔性フィルムの膜厚及びガーレー値を、下記表1に示す。
【0048】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔性ポリイミドからなるリチウムイオン電池用セパレータの製造方法にして、
ポリアミド酸相とシリカ相とが共有結合によって一体となった分子構造を呈する有機−無機ポリマーハイブリッドIを準備する工程と、
前記有機−無機ポリマーハイブリッドIのポリアミド酸相をイミド化して、ポリイミド相とシリカ相とが共有結合によって一体となった分子構造を呈する有機−無機ポリマーハイブリッドIIとする工程と、
前記有機−無機ポリマーハイブリッドIIよりシリカ相を除去して多孔性ポリイミドとする工程とを、
含むリチウムイオン電池用セパレータの製造方法。
【請求項2】
前記ポリアミド酸相が、部分的に直鎖部を有する多分岐ポリアミド酸からなる相である請求項1に記載のリチウムイオン電池用セパレータの製造方法。
【請求項3】
前記有機−無機ポリマーハイブリッドIIよりシリカ相を除去する際に、フッ化水素酸、又はフッ素含有化合物の水溶液が用いられる請求項1又は請求項2に記載のリチウムイオン電池用セパレータの製造方法。
【請求項4】
前記多孔性ポリイミドを、水を用いて洗浄し、更に、20℃における表面張力が72.25mN/m未満である液体を用いて洗浄する工程を含む請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のリチウムイオン電池用セパレータの製造方法。


【公開番号】特開2013−109842(P2013−109842A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251665(P2011−251665)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
【Fターム(参考)】