説明

リチウムイオン電池

【課題】ハイレート放電に対する耐久性が改善されたリチウムイオン電池および該電池用の負極を提供すること。
【解決手段】本発明により提供されるリチウムイオン電池は、導電性金属製の負極集電体42に負極活物質層45が保持された構成の負極40を備える。負極活物質層45は、第一負極活物質としての炭素材料(例えば黒鉛)を主体とする第一活物質層451と、負極集電体42と第一活物質層451との間に設けられた層であって上記炭素材料よりも貴な電位を有する第二負極活物質(例えば、リチウムチタン酸化物)を主体とする第二活物質層452とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリチウムイオン電池に関し、詳しくは、ハイレート放電に対して良好な耐久性を示すリチウムイオン電池に関する。
【背景技術】
【0002】
正極と負極との間をリチウムイオンが行き来することによって充電および放電するリチウム二次電池(典型的にはリチウムイオン電池)は、軽量で高出力が得られることから、車両搭載用電源あるいはパソコンや携帯端末の電源として今後益々の需要増大が見込まれている。リチウム二次電池に関する従来技術文献として特許文献1〜3が挙げられる。
【0003】
【特許文献1】特開2005−050806号公報
【特許文献2】特開2005−174924号公報
【特許文献3】特開2007−026913号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リチウムイオン電池の一つの典型的な構成では、リチウムイオン(電荷担体)を可逆的に吸蔵および放出し得る材料(負極活物質)が負極集電体に保持された構成の負極を用いる。上記負極活物質としては、少なくとも一部にグラファイト構造を有する炭素材料(黒鉛等)が好ましく使用される。また、負極集電体としては銅等の導電性のよい金属材料が好ましく用いられる。
【0005】
ところで、リチウムイオン電池の用途のなかには、ハイレート放電(急速放電)を繰り返す態様で長期に亘って使用されることが想定されるものがある。車両の動力源として用いられるリチウムイオン電池(例えば、動力源としてリチウムイオン電池と内燃機関等のように作動原理の異なる他の動力源とを併用するハイブリッド車両に搭載されるリチウムイオン電池)は、かかる使用態様が想定されるリチウムイオン電池の代表例である。このようなハイレート放電の繰り返しに対するリチウムイオン電池の耐久性を向上させる(すなわち、電池性能の劣化を抑える)技術が提供されれば有用である。
【0006】
そこで本発明は、導電性金属製の負極集電体に負極活物質としての炭素材料が保持された構成の負極を備えるリチウムイオン電池であって、ハイレート放電に対する耐久性が改善されたリチウムイオン電池を提供することを目的とする。また本発明は、かかるリチウムイオン電池の構成要素として好適なリチウムイオン電池用負極の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上述のようなハイレート放電による電池性能の劣化が生じる一因は、高い電流密度にて連続して放電を行うと負極の一部が局部的に過放電となることによって当該過放電部分の負極の電位が局部的に上昇し、これにより負極集電体と電解質との反応が助長されることにあると考えた。そして、かかる局部的な負極電位の上昇を抑制すべく、負極活物質としての炭素材料を主体とする層と負極集電体との間に該炭素材料よりも貴な電位を有する材料を主体とする層を介在させることにより、上記課題を解決し得ることを見出して本発明を完成した。
【0008】
本発明により提供されるリチウムイオン電池は、導電性金属製の負極集電体に負極活物質層が保持された構成の負極を備える。前記負極活物質層は、第一負極活物質としての炭素材料を主体とする第一活物質層と、第二負極活物質を主体とする第二活物質層とを含む。ここで、前記第二活物質層は、前記炭素材料よりも貴な電位を有する第二負極活物質を主体とする層であって、前記負極集電体と前記第一活物質層との間に設けられる。
かかる構成の負極を備えるリチウムイオン電池によると、ハイレート放電を繰り返す使用態様においても電池性能の劣化(例えば、ハイレート放電を伴う充放電サイクルによる電池容量の低下)を抑制することができる。したがって、ここに開示されるいずれかのリチウムイオン電池は、ハイレートで放電されることが想定される用途その他の各種用途に好ましく使用され得る。特に、自動車等の車両(典型的には、ハイブリッド車両または電気車両)の動力源としての用途に好適である。
【0009】
前記負極集電体を構成する導電性金属の好適例として銅(Cu)が挙げられる。換言すれば、前記負極集電体としては銅製のものを好ましく用いることができる。また、前記炭素材料(第一負極活物質)としては、少なくとも一部にグラファイト構造を有する炭素材料が好ましく、例えば黒鉛を好ましく用いることができる。
【0010】
前記第二負極活物質としては、リチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出し得る材料であって、該吸蔵放出を前記炭素材料よりも貴な(高い)電位で行い得る材料を使用することができる。かかる材料の一好適例としてリチウムチタン酸化物が挙げられる。前記第二負極活物質としてリチウムチタン酸化物を用いることにより、ハイレート放電に対する耐久性(例えば、ハイレート放電を伴う充放電サイクルに対する電池容量の維持率)が特に良好なリチウムイオン電池が実現され得る。
【0011】
前記第一活物質層と前記第二活物質層との合計厚さに占める前記第二活物質層の厚さの割合は、例えば凡そ35%以下(典型的には凡そ1%以上35%以下)とすることができる。第二活物質層の厚さ割合が多すぎると初期電池性能(例えば初期放電容量)が低下傾向となることがある。
【0012】
ここに開示されるいずれかのリチウムイオン電池は、車両に搭載される電池として適した性能(例えば軽量で高出力が得られること)を備え、特にハイレート放電に対する耐久性に優れたものであり得る。したがって本発明によると、ここに開示されるいずれかのリチウムイオン電池を備える車両が提供される。特に、該リチウムイオン電池を動力源(典型的には、ハイブリッド車両または電気車両の動力源)として備える車両(例えば自動車)が好ましい。
【0013】
また、本発明によると、リチウムイオン電池用の負極が提供される。該負極は、導電性金属製の負極集電体と該負極集電体に保持された負極活物質層とを有する。前記負極活物質層は、第一負極活物質としての炭素材料を主体とする第一活物質層と、第二負極活物質を主体とする第二活物質層とを備える。ここで、前記第二活物質層は、前記炭素材料よりも貴な電位を有する第二負極活物質を主体とする層であって、前記負極集電体と前記第一活物質層との間に設けられる。かかる構成の負極は、ここに開示されるいずれかのリチウムイオン電池に備えられる負極として好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
【0015】
ここに開示される技術は、負極活物質としての炭素材料(典型的には、黒鉛等のように少なくとも一部にグラファイト構造を含む炭素材料)が導電性金属製(典型的には銅製)の負極集電体に保持された構成の負極、該負極を備えるリチウムイオン電池、および該リチウムイオン電池を搭載した車両に広く適用され得る。上記リチウムイオン電池の外形は特に限定されず、例えば直方体状、扁平形状、円筒状等の外形であり得る。
【0016】
上記負極を構成する負極集電体としては、導電性の良い金属(例えば、銅、ニッケル、アルミニウム、鉄、ステンレス鋼等)材料からなる導電性部材が好ましく用いられる。ここに開示される技術は、特に、銅製(銅または銅を主成分とする合金(銅合金)材料から構成されることをいう。)の負極集電体(典型的には、実質的に銅からなる負極集電体)を備える負極に対して好ましく適用され得る。
負極集電体の形状は、得られた負極を用いて構築されるリチウムイオン電池の形状等に応じて異なり得るため特に制限はなく、例えば棒状、板状、シート状、箔状、メッシュ状等の種々の形態であり得る。なお、種々の形態の集電体自体の作製は、リチウムイオン電池の分野において従来公知の方法であればよく、本発明を特徴付けるものではない。ここに開示される技術は、例えばシート状もしくは箔状の負極集電体に負極活物質が保持された形態の負極を備えるリチウムイオン電池に好ましく適用され得る。かかるリチウムイオン電池の好ましい一態様として、捲回型の電極体を備えるリチウムイオン電池が挙げられる。
【0017】
ここに開示される負極では、このような負極集電体に、第一負極活物質を主体とする第一活物質層と、第二負極活物質を主体とする第二活物質層と、を含む負極活物質層(典型的には、これら第一活物質層および第二活物質層からなる負極活物質層)が保持されている。上記負極活物質層に含まれる第一活物質層および第二活物質層の数はそれぞれ一層でも二層以上でもよいが、少なくとも最下層(最も負極集電体側)の第一活物質層と負極集電体との間には第二活物質層が設けられている。換言すれば、負極集電体の表面にはまず第二活物質層が設けられ、その上に第一活物質層が少なくとも一層設けられている。さらにその上に一層または二層以上の第一活物質層および/または第二活物質層が積層されていてもよい。通常は、第一活物質層および第二活物質層をそれぞれ一層づつ含む構成の負極活物質層が好ましい。かかる構成によると、負極集電体の表面付近に第二負極活物質が集中的に配置されているので、該集電体表面の電位上昇を抑える効果(ひいてはハイレート放電に対する耐久性を高める効果)が効率よく発揮され得る。
【0018】
第一負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵および放出可能な(換言すれば、活物質として機能し得る)炭素材料が用いられる。いわゆる黒鉛質のもの(グラファイト)、難黒鉛化炭素質のもの(ハードカーボン)、易黒鉛化炭素質のもの(ソフトカーボン)、これらを組み合わせた構造を有するもののいずれの炭素材料も好適に使用し得る。少なくとも一部にグラファイト構造(層状構造)を含む粒子状の炭素材料(カーボン粒子)の使用が好ましい。例えば、天然黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、高配向性グラファイト(HOPG)等を用いることができる。
【0019】
上記第一負極活物質(典型的にはカーボン粒子、好ましくは球状黒鉛等の黒鉛粒子)としては、例えば平均粒径が凡そ50μm以下(典型的には5μm〜50μm)の炭素材料を使用することができる。平均粒径が凡そ20μm以下(典型的には5μm〜20μm)のカーボン粒子が好ましく、なかでも平均粒径が凡そ15μm以下(典型的には5μm〜15μm)のカーボン粒子の使用が好ましい。このように比較的小粒径のカーボン粒子は、単位体積当たりの表面積が大きいことから、より急速充放電(例えばハイレート放電)に適した負極活物質となり得る。したがって、かかる負極活物質を用いたリチウムイオン電池は、例えば車両搭載用のリチウムイオン電池(特に、車両の動力源として用いられるリチウムイオン電池)として好適なものとなり得る。
【0020】
一方、第二負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵および放出可能であって上記第一負極活物質としての炭素材料(典型的には黒鉛)よりも貴な電位を有する材料、換言すれば第一負極活物質よりも電極電位の高い材料が用いられる。かかる第二負極活物質を負極集電体の表面に配置することにより、第一負極活物質からのリチウムイオンの脱離が局部的に過剰に進行した場合であっても、負極集電体表面の電位が局部的に上昇する事象を緩和することができる。例えば、電極電位が第一負極活物質よりも凡そ0.1V以上高い(貴な)材料を第二負極活物質として好ましく採用することができ、凡そ0.3V以上(例えば凡そ0.5V以上)高い材料を用いることにより更に良好な結果が実現され得る。また、電極電位が負極集電体自体の電位よりも低い(好ましくは凡そ0.5V以上、より好ましくは1V以上低い)第二負極活物質の使用が好ましい。
【0021】
上記第二負極活物質は、負極集電体表面の電位(対Li)の上昇を凡そ2V以下(より好ましくは凡そ1V)以下に抑制する効果を発揮し得るように選択することが好ましい。かかる観点から、電極電位(対Li)が凡そ2V以下(典型的には凡そ0.5V〜2V程度)の材料が好ましく、例えば該電極電位(対Li)が凡そ1V以下(典型的には凡そ0.5V〜1V程度)の材料を好ましく採用することができる。該第二負極活物質としてハイレート特性に優れた材料を用いることが好ましく、これにより電位上昇の抑制効果をより適切に発揮することができる。また、充放電に伴う構造的な膨張収縮が少ない材料を第二負極活物質として用いることにより、導電ネットワークの崩れを抑制し、より良好な耐久性を実現することができる。第二負極活物質を主体とする第二活物質層は負極活物質層の一層目として(すなわち負極集電体表面に)設けられることから、このように膨張収縮が少ない材料を選択することによる効果が特によく発揮され得る。
【0022】
ここに開示される技術における第二負極活物質の具体例として、リチウムチタン酸化物、リチウムチタン硫化物、硫化リチウム、硫化モリブデン(典型的にはMoS)、硫化鉄、金属窒化物等が挙げられる。これらのうち一種のみを用いてもよく、同一のまたは異なる第二活物質層において二種以上を併用してもよい。ここで「リチウムチタン酸化物」とは、少なくともリチウムおよびチタンを構成金属元素として含む酸化物を指し、該構成金属元素がリチウムおよびチタンのみからなる酸化物のほか、リチウムおよびチタン以外に少なくとも一種の金属元素をチタンよりも少ない割合で含む酸化物を包含する意味である。このような酸化物はリチウムチタン複合酸化物と称されることもあり、典型例としてはリチウム、チタンおよび酸素からなる化合物が挙げられる。同様に、「リチウムチタン硫化物」とは、少なくともリチウムおよびチタンを構成金属元素として含む硫化物(複合硫化物)をいい、典型例としてはリチウム、チタンおよび硫黄からなる化合物が挙げられる。また、上記「硫化鉄」とは、構成金属元素として少なくとも鉄を含む硫化物をいい、FeS,FeS等のように鉄および硫黄からなる化合物のほか、鉄および硫黄に加えてさらにリチウムを含む化合物(複合硫化物)、例えば次式:LiFeS(式中のxは0<x<2を満たす数であることが好ましい。);で表される化合物をも包含する概念である。上記金属窒化物の典型例としては、リチウムと遷移金属元素とを構成金属元素として含む窒化物(すなわちリチウム遷移金属窒化物)、例えば次式:LiCoN(式中のxは0<x<4を満たす数であり、式中のyは0<y<0.5を満たす数であることが好ましい。)で表される化合物が挙げられる。
なかでも、上記第二負極活物質として下記式(1):
Li4+xTi12 (1);
で表されるリチウムチタン酸化物(複合酸化物)を好ましく採用することができる。上記式(1)中のxの好ましい範囲は−1≦x≦3であり、好ましくは0≦x≦3、例えば0≦x≦2である。
【0023】
上記第二負極活物質としては粒子状のものを好ましく使用することができ、例えば、一次粒子の平均粒径が凡そ1μm以下(より好ましくは凡そ0.5μm以下)である第二負極活物質の使用が好ましい。このように比較的小粒径の第二負極活物質は、単位体積当たりの表面積が大きいことからリチウムイオンの拡散速度が大きく、より急速充放電(例えばハイレート放電)に適した負極活物質となり得る。したがって、負極集電体の局部的な電圧上昇を抑制する効果がよく発揮され、ハイレート放電に対する耐久性(例えば容量維持率)をより向上させることができる。なお、粒径が0.1μm以下の粒子は集電が困難であるためカットすることが好ましい。
【0024】
かかる第二負極活物質を主体(主成分)とする第二活物質層は、例えば、第二負極活物質(好ましくは粒子状、例えばリチウムチタン酸化物粒子)を適当な溶媒に分散させた液状組成物(典型的にはペーストまたはスラリー状の組成物)を負極集電体に付与(典型的には塗布)し、該組成物(第二活物質層形成用組成物)を乾燥させることにより好ましく作製され得る。上記溶媒(すなわち、第二負極活物質等の分散媒)としては水、有機溶媒およびこれらの混合溶媒のいずれも使用可能である。該第二活物質層形成用組成物を負極集電体(好ましくは箔状もしくはシート状)に塗布するにあたっては、従来公知の方法と同様の技法を適宜採用することができる。例えば、適当な塗布装置(スリットコーター、ダイコーター、コンマコーター等)を使用して、集電体の表面に所定量の上記組成物を層状に塗布するとよい。
【0025】
上記第二活物質層形成用組成物は、第二負極活物質および上記溶媒のほかに、一般的なリチウムイオン電池において負極活物質層の形成に用いられる組成物に配合され得る一種または二種以上の材料を必要に応じて含有することができる。かかる材料の一例として導電材(導電性付与材)が挙げられる。該導電材としては、種々のカーボンブラック(アセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック等)やグラファイト粉末のようなカーボン粉末、VGCF(登録商標)等のような気相法により得られた炭素繊維(カーボンナノファイバーと称されることもある。)、ニッケル粉末等の導電性金属粉末、等から選択される一種または二種以上を用いることができる。
必要に応じて上記組成物に含有され得る材料の他の例として、バインダ(結着剤)および流動性調整剤が挙げられる。例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF−HFP)等のフッ素含有ポリマー;スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリル系ゴム(例えば、(メタ)アクリル酸エステルを主構成単量体とするゴム)、フッ素系ゴム(例えば、フッ化ビニリデン系ゴム、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体ゴム)、ポリブタジエン、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)およびスルホン化EPDM等のゴム類;アクリル系樹脂(例えば、(メタ)アクリル酸エステルを主構成単量体とする樹脂、ポリアクリル酸等);カルボキシメチルセルロース(CMC)、ジアセチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース系ポリマー;ポリビニルアルコール;ポリエチレンオキサイド等のポリアルキレンオキサイド;等の各種ポリマーから適宜選択される一種または二種以上のポリマー材料を、上記バインダおよび/または流動性調整剤(典型的には粘度調整剤、例えば増粘剤)として好適に使用することができる。
【0026】
特に限定するものではないが、第二活物質層形成用組成物の固形分濃度(不揮発分、すなわち該組成物に占める第二活物質層形成成分の割合)は、例えば凡そ40〜60質量%程度とすることが適当である。また、該組成物の固形分(第二活物質層形成成分)に占める第二負極活物質の割合は、例えば凡そ60質量%以上(典型的には凡そ60〜99質量%)とすることができ、凡そ70〜97質量%とすることが好ましく、凡そ80〜95質量%とすることがより好ましい。
上述のように導電材を含有する組成の第二活物質層形成用組成物では、上記固形分に占める導電材の割合を例えば凡そ0.5〜30質量%とすることができ、凡そ3〜20質量%とすることが好ましく、凡そ5〜18質量%とすることがより好ましい。導電材の使用量を上記範囲とすることにより、他の電池性能(例えば初期電池容量)への過剰な影響を抑えつつ、所望の導電性向上効果を得ることができる。また、例えばリチウムイオン電池を高温条件下で保存した場合においても、該導電材表面における非水電解質の分解を低度なレベルに抑えることができる。
また、上述のようにポリマー材料を含有する組成の第二活物質層形成用組成物では、上記固形分に占めるポリマー材料の割合を例えば凡そ0.5〜10質量%とすることができ、凡そ2〜7質量%とすることが好ましい。ポリマー材料の使用割合を上記範囲とすることにより、他の電池性能(例えば初期内部抵抗)への過剰な影響を抑えつつ、十分な接着強度を確保することができる。
【0027】
また、第一負極活物質を主体(主成分)とする第一活物質層は、例えば上述した第二活物質層の形成と同様に、第一負極活物質(好ましくはカーボン粒子、例えば球状黒鉛粒子)を適当な溶媒に分散させた液状組成物(第一活物質層形成用組成物)を、表面に第二活物質層が設けられた負極集電体に付与して乾燥させることにより好ましく作製され得る。上記溶媒(すなわち、第一負極活物質等の分散媒)としては水、有機溶媒およびこれらの混合溶媒のいずれも使用可能である。この第一活物質層形成用組成物は、上述した第二活物質層形成用組成物と同様に、一般的なリチウムイオン電池において負極活物質層の形成に用いられる組成物に配合され得る一種または二種以上の材料を必要に応じて含有することができる。例えば、第二活物質層形成用組成物に含有され得る材料として例示した導電材およびポリマー材料と同様のものを、必要に応じて第一活物質層形成用組成物に含有させることができる。
【0028】
特に限定するものではないが、第一活物質層形成用組成物の固形分濃度は、例えば凡そ40〜60質量%程度とすることが適当である。また、該組成物の固形分(第一活物質層形成成分)に占める第一負極活物質の割合は、例えば凡そ60質量%以上(典型的には凡そ60〜99.5質量%)とすることができ、凡そ70〜99質量%とすることが好ましく、凡そ80〜98質量%とすることがより好ましい。
上述のように導電材を含有する組成の第一活物質層形成用組成物では、上記固形分に占める導電材の割合を例えば凡そ0.5〜30質量%とすることができ、凡そ1〜20質量%(より好ましくは凡そ1〜18質量%)とすることが好ましい。導電材の使用割合を上記範囲とすることにより、他の電池性能(例えば初期電池容量)への過剰な影響を抑えつつ、所望の導電性向上効果を得ることができる。また、例えばリチウムイオン電池を高温条件下で保存した場合においても、該導電材表面における非水電解質の分解を低度なレベルに抑えることができる。
また、上述のようにポリマー材料を含有する組成の第一活物質層形成用組成物では、上記固形分に占めるポリマー材料の割合を例えば凡そ0.5〜10質量%とすることができ、凡そ2〜7質量%とすることが好ましい。ポリマー材料の使用割合を上記範囲とすることにより、他の電池性能(例えば内部抵抗)への過剰な影響を抑えつつ、十分な接着強度を確保することができる。
【0029】
第一および第二活物質層形成用組成物の塗布量は特に限定されず、負極および電池の形状や目標性能等に応じて適当な量に設定され得る。例えば、上述のような捲回型の電極体を備えるリチウムイオン電池の構築に使用される負極を作製する場合には、箔状集電体(例えば、厚さ10〜30μm程度の金属箔(銅箔等)を好ましく用いることができる。)の表面に上記組成物を、乾燥後に形成される第一活物質層および第二活物質量の合計塗布量(すなわち固形分換算の合計塗布量)が集電体の単位面積当たり凡そ5〜20mg/cm程度となるように塗布するとよい。集電体の両面に上記組成物を塗布する(すなわち、集電体の両面に負極活物質層を設ける)場合には、それら両面の合計量が上記範囲となるように塗布量を設定するとよい。あるいは、集電体の片面のみに上記組成物を塗布してもよい。通常は、集電体の両面に上記組成物を塗布する態様を好ましく採用することができる。塗布後、適当な乾燥手段で塗布物を乾燥し、必要に応じてプレスすることにより、負極活物質層を形成することができる。プレス方法としては、ロールプレス法、平板プレス法等の従来公知の各種プレス方法を適宜採用することができる。例えば、負極集電体の表面に第二活物質層形成用組成物を塗布し乾燥させて第二活物質層を形成し、次いで該第二活物質層の上から第一活物質層形成用組成物を塗布して乾燥させることにより(必要に応じて、第二活物質層の形成後第一活物質層の形成前および/または第一活物質層の形成後にプレスを行ってもよい。)、負極集電体の表面に第二活物質層および第一活物質層がこの順に積層された二層構造の負極活物質層が得られる。
【0030】
負極集電体のいずれか一面側に設けられた負極活物質層について、第一活物質層と第二活物質層との合計厚さ(典型的には負極活物質層の全厚さと一致する。)に占める第二活物質層の厚さ(二層以上の第二活物質層が含まれる場合にはそれらの合計厚さ)は、例えば凡そ50%以下とすることができ、凡そ35%以下(例えば凡そ10〜30%)とすることが好ましい。第二活物質層の厚さ割合の下限は、ハイレート放電に対する耐久性向上効果が実現される割合とすればよく特に限定されないが、通常は凡そ1%以上とすることが好ましく、凡そ5%以上とすることがより好ましい。例えば、負極集電体の両面に第二活物質層および第一活物質層がこの順に積層された二層構造の負極活物質層がそれぞれ形成され、該負極活物質層に占める上記第二活物質層の厚さ割合がいずれも凡そ5〜35%(より好ましくは凡そ10〜30%)である負極が好ましい。片面当たり二層以上の第二活物質層を含む構成の負極活物質層では、それら第二活物質層のうち最も下に(すなわち負極集電体の表面に)設けられる層の厚さ割合を、上記二層以上の第二活物質層と第一活物質層との合計厚さ(典型的には負極活物質層全体の厚さ)の凡そ1%以上(より好ましくは凡そ5%以上)とすることが好ましい。
【0031】
上記負極活物質層に含まれる第一負極活物質(炭素材料)および第二負極活物質(例えばリチウムチタン酸化物)の割合は、例えば第一負極活物質と第二負極活物質との合計質量に対して第二負極活物質の占める質量が凡そ1〜50質量%となるように設定することができ、該割合を凡そ5〜35質量%とすることが好ましい。また、片面当たり二層以上の第二活物質層を含む負極活物質層では、それら二層以上の第二活物質層のうち負極集電体の表面に設けられる層に含まれる第二負極活物質の質量割合を、上記第一負極活物質と第二負極活物質との合計質量に対して凡そ1質量%以上(より好ましくは凡そ5質量%以上)とすることが好ましい。
【0032】
ここに開示される技術の一つの典型的な態様では、負極集電体のうち少なくとも第一活物質層が形成された領域全体を含む範囲に、該第一活物質層と負極集電体表面とを隔てるように第二活物質層が形成されている。さらに第一活物質層が形成されていない範囲にまで広がって第二活物質層が形成されていてもよい。通常は、第二活物質層が形成された領域とその上に第一活物質層が形成された領域とをほぼ一致させるか、あるいは第一活物質層の形成領域の外縁が第二活物質層形成領域の外縁よりも若干内側となるように、これら活物質層の形成領域を設定することが好ましい。
【0033】
本発明により提供され得るリチウムイオン電池は、上述した構成の負極を用いる点以外は、従来のこの種の二次電池と概ね同様に構成されたものであり得る。かかるリチウムイオン電池は、典型的には、ここに開示されるいずれかの負極と、適当な材質の正極集電体に正極活物質(リチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出し得る材料)が保持された構成の正極と、それら正負極を離隔する多孔質シート状のセパレータと、該正負極間に配置される非水電解質とを備える。電池の外容器の構造(例えば金属製の筐体やラミネートフィルム構造物)やサイズ、あるいは正負極を主構成要素とする電極体の構造(例えば捲回構造や積層構造)等について特に制限はない。
【0034】
例えば、上記正極活物質(典型的には粒子状)としては、一般的なリチウムイオン電池に用いられる層状構造の酸化物系正極活物質、スピネル構造の酸化物系正極活物質等を好ましく用いることができる。かかる正極活物質の代表例として、リチウムコバルト酸化物(例えばLiCoO)、リチウムニッケル酸化物(例えばLiNiO)、リチウムマンガン酸化物(例えばLiMn)等の、リチウムと遷移金属元素とを構成金属元素として含む酸化物(リチウム遷移金属酸化物)を主成分とする正極活物質が挙げられる。
ここで「リチウムコバルト酸化物」とは、リチウムとコバルトとを構成金属元素とする酸化物のほか、リチウムおよびコバルト以外に他の少なくとも一種の金属元素(すなわち、リチウムおよびコバルト以外の遷移金属元素および/または典型金属元素)をコバルトよりも少ない割合(原子数換算。リチウムおよびコバルト以外の金属元素を二種以上含む場合にはそれらの合計量としてコバルトよりも少ない割合)で含む酸化物をも包含する意味であり、リチウムニッケル酸化物およびリチウムマンガン酸化物についても同様である。したがって、例えばLiCoOにおけるコバルトサイトのうち50個数%未満のサイトがNiおよびMnから選択されるいずれかで置き換えられた組成の酸化物(例えば、次式;LiCo1−x−yNiMn(x+y<0.5);で表される化合物)は、ここでいうリチウムコバルト酸化物の概念に包含される。また、LiNiOにおけるニッケルサイトのうち50個数%未満のサイトがAlで置き換えられた組成の酸化物(例えば、次式;LiNi1−xAl(x<0.5);で表される化合物)や、該サイトがMnおよびAlから選択されるいずれかで置き換えられた組成の酸化物(例えば、次式;LiNi1−x−yMnAl(x+y<0.5);で表される化合物)は、ここでいうリチウムニッケル酸化物の概念に包含される。また、LiMnにおけるマンガンサイトのうち50個数%未満のサイトがCoで置き換えられた組成の酸化物(例えば、次式;LiMn2−xCo(x<1);で表される化合物)は、ここでいうリチウムマンガン酸化物の概念に包含される。ここに開示される技術は、例えば、リチウムコバルト酸化物またはリチウムニッケル酸化物を主成分とする正極活物質を備えるリチウムイオン電池に好ましく適用することができる。
【0035】
ここに開示される技術は、かかる正極活物質を有する正極と上記負極とを用いて構築されるリチウムイオン電池であって、予定される使用電圧(すなわち正常な使用電圧)の下限が、両極間の電圧(端子間電圧)として凡そ2.5V〜3V程度(例えば3V,2.8V等)であるリチウムイオン電池に好ましく適用され得る。上記使用電圧の上限は、正極活物質の種類等によっても異なり得るが、例えばリチウムコバルト酸化物またはリチウムニッケル酸化物を主成分とする正極活物質を備えるリチウムイオン電池では通常凡そ4V〜4.2V程度である。本発明は、通常の(正常な)使用状況において上記の下限電圧と上限電圧との間で充放電を行うことが予定される(少なくともそのような意図で用いられる)リチウムイオン電池および該電池を構成する負極に好ましく適用することができる。特に、5A以上(さらには10A以上、例えば10A〜1000A程度)の大電流で放電されることが予定される用途に好適である。なお、ここに開示される技術は、かかるハイレート放電を行う使用状況を意図しないリチウムイオン電池および該電池を構成する負極にも適用されて、さらなる耐久性の向上に寄与し得る。
【0036】
ここに開示される技術における正極は、典型的には、このような正極活物質を主成分とする層(正極活物質層)が正極集電体に保持された構成を有する。該正極集電体としては、導電性の良好な金属からなる導電性部材が好ましく用いられる。特に、アルミニウム(Al)またはアルミニウムを主成分とする合金(アルミニウム合金)製の正極集電体の使用が好ましい。
正極集電体の形状は、上述した負極集電体と同様に、得られた正極を用いて構築されるリチウムイオン電池の形状等に応じて異なり得るため特に制限されない。ここに開示される技術は、例えばシート状もしくは箔状の集電体に正極活物質層が保持された形態の正極を備えるリチウムイオン電池(例えば捲回型の電極体を備えるリチウムイオン電池)に好ましく適用され得る。
【0037】
上記正極活物質層は、例えば、正極活物質(好ましくは粒子状、例えばリチウムコバルト酸化物粒子)を適当な溶媒に分散させた液状組成物(典型的にはペーストまたはスラリー状の組成物)を正極集電体に付与し、該組成物(正極活物質層形成用組成物)を乾燥させることにより好ましく作製され得る。上記溶媒(正極活物質粒子等の分散媒)としては水、有機溶媒およびこれらの混合溶媒のいずれも使用可能である。
上記正極活物質層形成用組成物は、正極活物質および上記溶媒のほかに、一般的なリチウムイオン電池において正極活物質層の形成に用いられる組成物に配合され得る一種または二種以上の材料を必要に応じて含有することができる。例えば、第二活物質層形成用組成物に含有され得る材料として例示した導電材およびポリマー材料(バインダおよび/または流動性調整剤)と同様のものを、必要に応じて正極活物質層形成用組成物に含有させることができる。
【0038】
特に限定するものではないが、正極活物質層形成用組成物の固形分濃度(不揮発分、すなわち該組成物に占める正極活物質層形成成分の割合)は、例えば凡そ40〜60質量%程度とすることが適当である。該固形分(正極活物質層形成成分)に占める正極活物質の含有割合は、少なくとも凡そ50質量%以上であることが好ましく、例えば凡そ75〜99質量%とすることができる。通常は、この割合を凡そ78〜95質量%程度とすることが適当である。上記導電材を含む組成では、例えば、正極活物質層形成成分に占める正極活物質の割合を凡そ78〜95質量%とし、導電材の割合を凡そ3〜20質量%(より好ましくは5〜18質量%)とすることが好ましい。導電材の使用割合を上記範囲とすることにより、他の電池性能(例えば電池容量)への過剰な影響を抑えつつ、所望の導電性向上効果を得ることができる。また、例えばリチウムイオン電池を高温条件下で保存した場合においても、該導電材表面における非水電解質の分解を低度なレベルに抑えることができる。また、上述のようなポリマー成分を含む組成では、正極活物質層形成成分に占めるポリマー成分の割合を凡そ2〜7質量%とすることが好ましい。ポリマー材料の使用割合を上記範囲とすることにより、他の電池性能(例えば内部抵抗)への過剰な影響を抑えつつ、十分な接着強度を確保することができる。
【0039】
このような正極活物質層形成用組成物を正極集電体(好ましくは箔状もしくはシート状)に付与(典型的には塗布)するにあたっては、従来公知の方法と同様の技法を適宜採用することができる。例えば、適当な塗布装置(スリットコーター、ダイコーター、コンマコーター等)を使用して、集電体の表面に所定量の上記組成物を層状に塗布するとよい。塗布後、適当な乾燥手段で塗布物を乾燥し、必要に応じてプレスすることにより、正極活物質層を形成することができる。
【0040】
ここに開示されるリチウムイオン電池に用いられる非水電解質の典型例としては、非水系溶媒と該溶媒に溶解可能なリチウム塩(支持塩)とを含む液状電解質が挙げられる。該液状電解質にポリマーが添加された固体状(ゲル状)の電解質であってもよい。
上記非水系溶媒としては、カーボネート類、エステル類、エーテル類、ニトリル類、スルホン類、ラクトン類等の非プロトン性の溶媒を用いることができる。例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、アセトニトリル、プロピオニトリル、ニトロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン等の、一般にリチウムイオン電池の電解質に使用し得るものとして知られている非水系溶媒から選択される一種または二種以上を用いることができる。また、必要に応じてビニレンカーボネート(VC)、エチレンサルファイト(ES)等の添加剤を例えば凡そ0.5〜10質量%程度の濃度で含有させてもよい。
【0041】
上記支持塩としては、例えば、LiPF,LiBF,LiClO,LiAsF,LiCFSO,LiCSO,LiN(CFSO,LiN(CSO,LiC(CFSO,LiB[(OCO)、等から選択される一種または二種以上のリチウム塩を用いることができる。
なお、上記非水電解質における支持塩の濃度は特に制限されず、例えば従来のリチウムイオン電池で使用される電解質と同様とすることができる。通常は、適当なリチウム化合物(支持塩)を凡そ0.1mol/L〜5mol/L(例えば凡そ0.8mol/L〜1.5mol/L)程度の濃度で含有する非水電解質を好ましく使用することができる。
【0042】
以下、図面を参照しつつ、本発明により提供され得るリチウムイオン電池用負極および該負極を備えるリチウムイオン電池に係る一実施形態を説明する。
図1〜4に示されるように、本実施形態に係るリチウムイオン電池10は、金属製(樹脂製又はラミネートフィルム製も好適である。)の筐体(外容器)12を備えており、この筐体12の中に、長尺シート状の正極(正極シート)30、セパレータ50A、負極(負極シート)40およびセパレータ50Bをこの順に積層し次いで捲回する(本実施形態では扁平形状に捲回する)ことにより構成された捲回電極体20が収容される。
【0043】
正極30は、長尺状の正極集電体32と、その表面に形成された正極活物質層35とを備える。正極集電体32としては、アルミニウム、ニッケル、チタン等の金属からなるシート材(典型的にはアルミニウム箔等の金属箔)を使用し得る。正極活物質層35は、上述したような好適な正極活物質層形成用組成物を正極集電体32に付与して得られたものであり得る。典型的には、該組成物を正極集電体32の両サイドの表面に塗布する。かかる塗布物には溶媒が含まれているため、次に正極活物質が変性しない程度の適当な温度域(典型的には70〜200℃)で塗布物を乾燥させる。これにより、正極集電体32の両サイドの表面の所望する部位に正極活物質層35を形成することができる(図2)。また、必要に応じて適当なプレス処理(例えばロールプレス処理)を施すことによって、正極活物質層35の厚みや密度を適宜調整することができる。
【0044】
他方、負極40は、長尺状の負極集電体42と、その負極集電体の表面に形成された負極活物質層45とを備える。負極活物質層45は、第一負極活物質としての炭素材料(例えば球状黒鉛)を主体とする第一活物質層451と、該炭素材料よりも貴な電位を有する第二負極活物質(例えばリチウムチタン酸化物)を主体とする層であって負極集電体42と第一活物質層451との間に設けられた第二活物質層452とからなる(図2および図3)。負極集電体42としては銅等の金属から成るシート材(典型的には銅箔等の金属箔)を使用し得る。負極活物質層45は、正極側と同様、上述したような好適な第一活物質層形成用組成物および第二活物質層形成用組成物を負極集電体45の両サイドの表面に塗布して適当な温度で乾燥させ、必要に応じて適当なプレス処理(例えばロールプレス処理)を施すことにより厚みや密度を調整して得られたものであり得る。なお、図2では、本発明の理解を容易にするため負極40の一部(図中の左下部分)において第一活物質層451の一部を取り除いてその下の第二活物質層452が見えるようにしているが、実際にはこの部分を含めて第二活物質層452とほぼ同じ範囲に第一活物質層451が形成されている。
【0045】
これら正極30および負極40と重ね合わせて使用されるセパレータ50A,50Bとしては、非水電解質を備えるリチウムイオン電池のセパレータに利用し得ることが知られている各種の多孔質シートを用いることができる。例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂から成る多孔質樹脂シート(フィルム)を好適に使用し得る。かかる多孔質樹脂シートは、単層構造であってもよく、二層以上の複層構造(例えば、PPの両面にPEが積層された三層構造)であってもよい。特に限定するものではないが、好ましい多孔質シート(典型的には多孔質樹脂シート)の性状として、平均孔径が0.0005〜30μm(より好ましくは0.001〜15μm)程度であり、厚みが5〜100μm(より好ましくは10〜30μm)程度である多孔質樹脂シートが例示される。該多孔質シートの気孔率は、例えば凡そ20〜90体積%(好ましくは30〜80体積%)程度であり得る。
【0046】
図2に示すように、正極シート30の長手方向に沿う一方の端部には、上記正極活物質層形成用組成物が塗布されず、よって正極活物質層35が形成されない部分(活物質層未形成部分)が設けられている。また、負極シート40の長手方向に沿う一方の端部には、上記第一,第二活物質層形成用組成物が塗布されず、よって負極活物質層45が形成されない部分(活物質層未形成部分)が設けられている。正負極シート30,40を二枚のセパレータ50A,50Bとともに重ね合わせる際には、両活物質層35,45を重ね合わせるとともに正極シートの活物質層未形成部分と負極シートの活物質層未形成部分とが長手方向に沿う一方の端部と他方の端部に別々に配置されるように、正負極シート30,40をややずらして重ね合わせる。この状態で計四枚のシート30,40,50A,50Bを捲回し、次いで得られた捲回体を側面方向から押しつぶして拉げさせることによって扁平形状の捲回電極体20が得られる。
【0047】
次いで、得られた捲回電極体20を筐体12に収容するとともに(図4)、上記正極活物質層未形成部分および負極活物質層未形成部分を、一部が筐体12の外部に配置される外部接続用正極端子14および外部接続用負極端子16の各々と電気的に接続する。
そして、適当な非水電解質(例えば、ジエチルカーボネートとエチレンカーボネートとの混合溶媒にLiPF等のリチウム塩を適当量含有させた液状の非水電解質(電解液))を筐体12内に配置(注液)し、筐体12の開口部を当該筐体とそれに対応する蓋部材13との溶接等により封止して、本実施形態に係るリチウムイオン電池10の構築(組み立て)が完成する。なお、筐体12の封止プロセスや電解液の配置(注液)プロセスは、従来のリチウムイオン電池の製造で行われている手法と同様にして行うことができ、本発明を特徴付けるものではない。
【0048】
本発明に係るリチウムイオン電池または本発明に係る負極を備えるリチウムイオン電池は、上述のとおり、ハイレート放電を繰り返す使用態様においても電池性能の劣化(例えば電池容量の低下)が少ない。したがって、かかるリチウムイオン電池は、特に自動車等の車両に搭載されるモーター(電動機)用電源として好適に使用し得る。したがって本発明は、図6に模式的に示すように、本発明に係るリチウムイオン電池10(当該リチウムイオン電池を複数個直列に接続して形成される組電池の形態であり得る。)を電源として備える車両(典型的には自動車、特にハイブリッド自動車、電気自動車等のような電動機を備える自動車)1を提供する。
【0049】
本発明を実施するにあたって、上記構成の負極を用いることによってハイレート放電に対する耐久性に優れたリチウムイオン電池が実現される理由を明らかにする必要はないが、一つの要因として以下のことが考えられる。すなわち本発明者は、ハイレート放電によるリチウムイオン電池の性能劣化は、高い電流密度にて連続して放電を行うと、負極の一部が局部的に過放電(換言すれば、予定される使用電圧の範囲を超えた放電)状態となって当該過放電部分の電位が局部的に上昇し、これにより負極集電体と電解質との反応が助長されることに起因するのではないかと考えた。例えば、上記過放電によって、予定される使用電圧の範囲で放電される場合に負極集電体が経験し得る電位範囲を超えて該集電体の電位が高くなりすぎると、電解質構成成分(例えば、該電解質に含まれる非水系溶媒)の還元分解、その分解生成物の負極表面等への析出、等の不都合が生じ得る。
【0050】
ここに開示されるリチウムイオン電池の負極は、第一負極活物質としての炭素材料に加えて、該炭素材料よりも貴な電位を有する第二負極活物質(上記炭素材料よりもリチウムイオンの放出電位が高い材料として把握され得る。)を有する。かかる構成によると、上記第二負極活物質の作用によって上記負極集電体の局部的電位上昇を抑制(緩和)することができ、その結果、ハイレート放電に対する耐久性の向上(電池劣化の低減)が実現されるものと考えられる。また、上記第二負極活物質は、第一負極活物質と負極集電体との間(すなわち、第一活物質層と負極集電体との間に設けられた第二活物質層)に集中して配置されているので、例えば第一負極活物質と第二負極活物質とを混在させる態様に比べて、該第二負極活物質によって上記局部的電位上昇を抑制する機構(換言すれば、電池の耐久性を向上させる効果)がより効果的に発揮され得る。
【0051】
ここに開示されるリチウムイオン電池または該電池用負極の好適な態様によると、第一負極活物質として性能に優れた炭素材料(典型的には黒鉛)を利用しつつ、該炭素材料よりも電位が貴な材料を第二負極活物質として用いることにより、所望の初期性能(例えば初期電池容量)を確保しつつ耐久後の性能を改善することができる。また、上記第二活物質を第一負極活物質よりも負極集電体側に集中して配置することにより、比較的少量の第二負極活物質によっても(例えば、負極活物質層の全厚さに占める第二負極活物質層の厚さを凡そ5〜35%程度、好ましくは凡そ10〜30%程度としても)、十分な耐久性向上効果を実現することができる。このことは、材料コストの低減に好ましく寄与し得るほか、上記初期性能を確保する上でも有利である。
【0052】
以下、本発明に関するいくつかの実施例につき説明するが、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。
【0053】
<例1>
以下のようにして正極を作製した。すなわち、正極活物質としてのコバルト酸リチウム(LiCoO)粉末、導電材としてのアセチレンブラック(AB)と、バインダとしてのPVDFとを、これら材料の質量比が90:7:3となる割合でN−メチルピロリドン(NMP)と混合して、ペースト状の正極活物質層形成用組成物を調製した。この組成物を、正極集電体としての厚み約15μmのアルミニウム箔の両面に塗布して乾燥させることにより正極活物質層を形成し、次いで全体をプレスし、所定の幅に切断して長尺シート状とした。その後、該シートの幅方向の一端から所定の幅で長手方向に沿って正極活物質層を掻き取り、正極集電体の表面を露出させた。このようにしてシート状の正極(正極シート)を得た。
【0054】
また、以下のようにして負極を作製した。すなわち、第一負極活物質としての球状天然黒鉛(平均粒径5μm)と、導電材としてのABと、バインダとしてのPVDFとを、これら材料の質量比が94:2:4となる割合でNMPと混合して、ペースト状の第一活物質層形成用組成物を調製した。また、第二負極活物質としてのLiTi12で表される組成(すなわち、上述した式(1)においてxが0である組成)のリチウムチタン酸化物粉末(平均粒径1μm)と、導電材としてのABと、バインダとしてのPVDFとを、これら材料の質量比が87:10:3となる割合でNMPと混合して、ペースト状の第二活物質層形成用組成物を調製した。負極集電体としての厚み約15μmの銅箔の両面に上記第二活物質層形成用組成物を塗布して乾燥させることにより第二活物質層(下層)を形成した。さらに、該第二活物質層の上から上記第一活物質層形成用組成物を塗布して乾燥させることにより第一活物質層(上層)を形成した。このようにして、上記負極集電体の両面に、第二活物質層および第一活物質層がこの順に積層された構成の負極活物質層を形成した。次いで全体をプレスし、所定の幅に切断して長尺シート状とした。その後、該シートの幅方向の一端から所定の幅で長手方向に沿って負極活物質層を掻き取り、負極集電体の表面を露出させた。このようにしてシート状の負極(負極シート)を得た。
本例では、最終的に形成される負極シートに備えられる負極活物質層の厚さが片面当たり約30μm(負極集電体およびその両面に設けられた負極活物質層を含む負極シート全体の厚さは約75μm)となり且つ該負極活物質層の厚さに占める第二活物質層(下層)の厚さの割合が約10%(すなわち、第一活物質層(上層)の厚さ割合が約90%)となるように、上記第二活物質層形成用組成物および上記第一活物質層形成用組成物の塗布量および上記プレスの条件を調整した。
【0055】
このようにして得られた正極シートおよび負極シートを用いて、以下に示す手順で、図5に示す構成のリチウムイオン電池100を作製した。このリチウムイオン電池100のサイズは直径14.5mm、高さ50mm(すなわち単3型)である。なお、図5において、図1〜4に示すリチウムイオン電池10と同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略することがある。
【0056】
上記で作製した正極シート30および負極シート40と二枚のセパレータ(ここでは多孔質ポリプロピレンシートを用いた。)50A,50Bとを重ねて渦巻状に捲回した。また、アルミニウム製の正極リード板103を正極シート30の正極集電体露出部分にレーザ溶接により取り付け、同様に銅製の負極リード板104を負極シート40の負極集電体露出部分にレーザ溶接によって取り付けた。このようにして得られた捲回電極体20を、大まかにいって有底円筒状の外形を呈する金属製のケース(外容器)102内に挿入した。挿入後、ケース102の上端開口部を塞ぐようにしてステンレス製の封口板106を配置し、この封口板106に正極リード板103をレーザ溶接により取り付けた。また、負極端子を兼ねたケース12の底面中央部に負極リード板104をレーザ溶接により取り付けた。なお、封口板106には、正極端子を兼ねるキャップ部材101が予めスポット溶接されている。また、封口板106およびキャップ部材101は、これらの外周に配置されたポリプロピレン樹脂製の絶縁ガスケット107によってケース102と電気的に絶縁されている。封口板106とキャップ部材101との間には、このリチウムイオン電池100に異常が起きて電池内圧が過剰に上昇した場合に内部のガスを外部に放出するように構成された安全弁108が配置されている。
【0057】
以上の操作の後、図示しない電解質注入口からケース102内に液状の非水電解質(ここでは2.3mL)を注入し、上記注入口を封止した。上記非水電解質(電解液)としては、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)との3:7(体積比)混合溶媒に1mol/Lの濃度で支持塩(ここではLiPF)を溶解したものを使用した。このようにして本例に係るリチウムイオン電池を作製した。
【0058】
<例2>
本例では、負極活物質層の厚さに占める第二活物質層(下層)の厚さの割合が約5%となるように、上記第二活物質層形成用組成物および上記第一活物質層形成用組成物の塗布量を調整した。その他の点については例1と同様にして、例2に係るリチウムイオン電池を作製した。
【0059】
<例3>
本例では、負極活物質層の厚さに占める第二活物質層(下層)の厚さの割合が約30%となるように、上記第二活物質層形成用組成物および上記第一活物質層形成用組成物の塗布量を調整した。その他の点については例1と同様にして、例3に係るリチウムイオン電池を作製した。
【0060】
<例4>
本例では、負極活物質層の厚さに占める第二活物質層(下層)の厚さの割合が約40%となるように、上記第二活物質層形成用組成物および上記第一活物質層形成用組成物の塗布量を調整した。その他の点については例1と同様にして、例4に係るリチウムイオン電池を作製した。
【0061】
<例5>
本例では、例1〜4で用いたLiTi12に代えて、LiTi12で表される組成(すなわち、上述した式(1)においてxが2である組成)のリチウムチタン酸化物粉末(平均粒径2.5μm)を第二負極活物質として使用した。その他の点については例1と同様にして、例5に係るリチウムイオン電池を作製した。
【0062】
<例6>
本例では、第二活物質層形成用組成物を使用せず、負極集電体の表面に第一活物質層形成用組成物を直接塗布することにより、該組成物から形成された第一活物質層からなる負極活物質層を上記負極集電体の両面に形成した。上記第一活物質層形成用組成物の塗布量は、負極活物質層の厚さ(ここでは第一活物質層の厚さと一致する。)が例1と同程度となるように調整した。その他の点については例1と同様にして、例6に係るリチウムイオン電池を作製した。
【0063】
[性能評価試験]
例1〜例6により得られたリチウムイオン電池について、ハイレート(ここでは10A)での充放電サイクルに対する電池劣化(ここでは容量低下)の程度を評価した。すなわち、各電池を室温(25℃)にて10Aの定電流で4.1Vまで充電し、次いで10Aの定電流で2.8Vまで放電して、このときの(すなわち第一サイクル目の)放電時における電池容量(初期放電容量)[mAh]を測定した。引き続いて上記条件での充放電を第500サイクルに至るまで行い、その第500サイクル目の放電時における電池容量(500サイクル後放電容量)[mAh]を測定した。これらの測定値から、各電池について初期放電容量に対する500サイクル後放電容量の維持率(%)を算出した。
上記評価試験の結果を、各電池の備える負極活物質の厚さに対する第二活物質層の厚さ割合(第二活物質層を有しない例6では0%)とともに表1に示す。なお、この表1中では、第二活物質層の厚さ割合の大小に合わせて、例1と例2の記載順を上下に入れ替えて示している。
【0064】
【表1】

【0065】
表1に示す結果から明らかなように、第一活物質層と負極集電体との間に第二活物質層を配置した例1〜5に係るリチウムイオン電池は、かかる第二活物質層を有しない例6に係る電池に比べていずれも改善された(より具体的には80%以上の)容量維持率を示した。第二活物質層の厚さ割合が5〜35%の範囲にある例1〜3および例5の電池では95%以上という高い容量維持率が実現され、特に第二活物質層の厚さ割合が10〜30%である例1,3および例5の電池では100%の容量維持率が達成された。その結果、例1〜3および例5の電池によると、例6の電池に比べて初期放電容量はやや減少したものの、耐久後には例6の電池よりも明らかに高い放電容量が得られた。また、例1および例5の比較から判るように、異なる種類の第二活物質層を用いても同様の耐久性(容量維持率)向上効果が実現された。
【0066】
以上、本発明を詳細に説明したが、上記実施形態および実施例は例示にすぎず、ここで開示される発明には上述の具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】一実施形態に係るリチウムイオン電池の外形を模式的に示す斜視図である。
【図2】一実施形態に係る捲回電極体を構成する正負極およびセパレータを示す一部破断の平面図である。
【図3】図2におけるIII−III線断面図である。
【図4】図1におけるIV−IV線断面図である。
【図5】一実施例として作製した単3型リチウムイオン電池の形状を模式的に示す断面図である。
【図6】本発明のリチウムイオン電池を備えた車両(自動車)を模式的に示す側面図である。
【符号の説明】
【0068】
1 車両(自動車)
10,100 リチウムイオン電池
12 筐体
20 捲回電極体
30 正極
32 正極集電体
35 正極活物質層
40 負極シート(負極)
42 負極集電体
45 負極活物質層
451 第一活物質層
452 第二活物質層
50A,50B セパレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性金属製の負極集電体に負極活物質層が保持された構成の負極を備えるリチウムイオン電池であって、
前記負極活物質層は、
第一負極活物質としての炭素材料を主体とする第一活物質層と、
前記負極集電体と前記第一活物質層との間に設けられ、前記炭素材料よりも貴な電位を有する第二負極活物質を主体とする第二活物質層と、
を含む、リチウムイオン電池。
【請求項2】
前記負極集電体は銅製である、請求項1に記載のリチウムイオン電池。
【請求項3】
前記炭素材料は黒鉛である、請求項1または2に記載のリチウムイオン電池。
【請求項4】
前記第二負極活物質はリチウムチタン酸化物である、請求項1から3のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池。
【請求項5】
前記第一活物質層と前記第二活物質層との合計厚さに占める前記第二活物質層の厚さの割合が35%以下である、請求項1から4のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池。
【請求項6】
車両の動力源として用いられる、請求項1から5のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池を備える車両。
【請求項8】
リチウムイオン電池用の負極であって、
導電性金属製の負極集電体と該負極集電体に保持された負極活物質層とを有し、
前記負極活物質層は、
第一負極活物質としての炭素材料を主体とする第一活物質層と、
前記負極集電体と前記第一活物質層との間に設けられ、前記炭素材料よりも貴な電位を有する第二負極活物質を主体とする第二活物質層と、
を備える、リチウムイオン電池用負極。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−305746(P2008−305746A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−153823(P2007−153823)
【出願日】平成19年6月11日(2007.6.11)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】