説明

リチウム二次電池用セパレータ、およびそれを用いたリチウム二次電池

【課題】リチウム二次電池の角型セルの巻芯抜け性に優れた多孔質フィルム及びそれを含むリチウム二次電池を提供する。
【解決手段】セパレータ4は、主成分がポリオレフィンである多孔質フィルムからなる基材本体16と、耐熱性多孔質層18とから構成される基材12を含んでいる。耐熱性多孔質層18の表面にはフィラー22が付着されて、潤滑層14が形成されている。潤滑層14は、セパレータ4を正極2および負極3とともに、巻芯により渦巻き状に巻回して電極群を構成した後、巻芯を電極群から引き抜くときに、巻芯が抜けやすくなるようにセパレータの巻芯に対するすべり性を向上させる。ここで、潤滑層14の表面粗さSaは、三次元表面粗さで0.2μm以上かつ1.4μm以下となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウム二次電池用セパレータ、およびそれを用いたリチウム二次電池に関し、特にリチウム二次電池の電極群の構成を容易にするための改良に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ノートパソコンや携帯電話等のモバイル機器の電源として、繰り返し充放電が可能であり、かつ高エネルギー密度を有するリチウム二次電池が多く使われている。しかしながら、リチウム二次電池は、エネルギー密度が高いがために外部短絡などの誤使用があると電池反応が急激となり、電池温度が上昇する場合がある。そのため、リチウム二次電池にはPTC(Positive Temperture Coefficient:正温度特性)素子やSU回路(保護回路)などの安全機構が設けられる。さらに、蓄電体である正極と負極との間に配置されるセパレータにも、電池温度の上昇に対する安全機構が備えられている。
【0003】
セパレータは樹脂からなる多孔質フィルムであり、通常時には、正極と負極との間で、セパレータの孔中に含浸された電解液を通してリチウムイオンの移動が行われる。しかしながら、外部短絡などにより電池温度が上昇した場合には、その発生熱により樹脂が溶融し、セパレータが無孔化される。そして、セパレータの孔中の電解液を通したリチウムイオンの移動は行われなくなる。その結果、電池温度の上昇を抑制することができる。セパレータのこのような安全機能をシャットダウン機能という。シャットダウン機能が有効に発揮されるセパレータの材料としては、ポリエチレン(PE)およびポリプロピレン(PP)に代表されるポリオレフィンが広く知られている。
【0004】
以下に、セパレータを組み込んで構成されるリチウム二次電池の製造工程を簡単に説明する。リチウム二次電池の製造においては、まず、正極および負極がセパレータを間に挟んで交互に積層された状態となるように、シート状の正極、負極およびセパレータを渦巻状に巻回して電極群を作製する。
次に、電極群を有底の電池ケースに挿入した後に、電池ケースに電解液を注入し、電池ケースの開口部を封口してリチウム二次電池が作製される。
【0005】
ここで、電極群の構成は、セパレータの端部を金属製の2つの巻芯の間に挟み込んだ状態で、その2つの巻芯を回転させ、セパレータが最内となり、かつ正極と負極との間にセパレータが配されるようにしながら、正極、負極およびセパレータを巻回するようにして行われる。その巻回工程が終了すると、2つの巻芯の間を広げて電極群の内部から巻芯を抜き取る工程が行われる。
【0006】
このとき、セパレータの巻芯に対するすべり性が小さいと、電極群から巻芯がうまく抜けなかったり、電極のバリにセパレータが引っかかって、セパレータが損傷したりすることがある。そのため、巻芯の抜き取り工程が支障なく行われているかを常時監視する必要が生じ、製造コストの上昇を招く。また、巻芯の抜き取り工程が支障なく行われない場合には、生産ラインを止めて、再調整を行う必要があり、生産性が低下する。
したがって、セパレータの巻芯に対するすべり性を改善することは、製造コストを抑え、生産性を高めるとともに、信頼性の高い電極群、ひいては信頼性の高いリチウム二次電池を製造する上での重要な要素である。
【0007】
この点について、特許文献1においては、セパレータの表面に粒子を埋め込み、その粒子の一部分を表面から突出させることにより、セパレータのすべり性を向上させることが提案されている。
また、特許文献2においては、ステアリン酸カルシウムを50ppm以上含有するポリプロピレンの外面部分を有する多孔質フィルムを電池用セパレータとして用いることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−110052号公報
【特許文献2】特開2003−157825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来技術はいずれも、主に円筒型電池における対応を想定したものであり、角型電池における課題を解決するには十分ではない。より具体的に説明すると、円筒型電池の電極群の巻芯は円柱状(棒状)であるために、セパレータの巻芯への力のかかり方は均一である。これに対して、角型電池の電極群の巻芯は、扁平状(板状)であるために、セパレータの巻芯への力は巻芯の端部に集中する。そのため、角型電池では、電極群から巻芯を引き抜くときに、円筒型電池の場合よりも巻芯は抜け難くなる。
【0010】
例えば特許文献1においては、セパレータの基材である多孔質フィルムの表面から球状粒子の一部分を突出させるものとしている。この構成では、多孔質フィルムの表面の球状粒子が突出していない部分が巻芯と接触してしまう可能性が生じる。多孔質フィルムの表面と巻芯とが直に接触してしまうと、上述した理由から角型電池の場合には特に、円滑に巻芯を引き抜くことが困難となる場合がある。
【0011】
また、多孔質フィルムは押出工法により作製するのが一般的となっている。押出工法により作製される多孔質フィルムにおいて、その表面から球状粒子の一部を突出させることにより良好な抜け性を確保するためには、多量の粒子を添加することが必要となる。ところが、そのような粒子を多孔質フィルムの材料である樹脂に多量に添加すると、樹脂の粘度が上昇するために、押出工法によるフィルムの成膜は困難となる。
【0012】
また、特許文献2においては、セパレータの表面のすべり性を向上させるように、ステアリン酸カルシウムを50ppm以上多孔質フィルムの材料に含有させるものとしている。しかしながら、そのような処置のみによって、角型電池の場合に十分な巻芯の抜け性を達成することは困難である。さらに、ステアリン酸カルシウムの含有量を多くすると、材料である樹脂の粘度が上昇してしまうという、上と同様の問題を生じる。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、電極群を構成した後の、電極群からの巻芯の引き抜き工程を円滑化することが可能なリチウム二次電池用セパレータを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明は、主成分がポリオレフィンである多孔質フィルムを含む基材から構成されたリチウム二次電池用セパレータであって、
前記基材の表面に所定形状のフィラーが付着されて、潤滑層が形成されており、
前記潤滑層の表面粗さが、三次元表面粗さで0.2μm以上かつ1.4μm以下であるリチウム二次電池用セパレータを提供する。
【0014】
本発明のリチウム二次電池用セパレータの好ましい形態においては、前記フィラーが、高分子化合物を含む。
【0015】
本発明のリチウム二次電池用セパレータのさらに好ましい形態においては、前記高分子化合物が、フッ素含有樹脂およびポリオレフィンの少なくとも1種を含む。
【0016】
本発明のリチウム二次電池用セパレータの別の好ましい形態においては、前記フィラーが、無機化合物を含む。
【0017】
本発明のリチウム二次電池用セパレータのさらに好ましい形態においては、前記無機化合物が、SiO2、Al23、TiO2、MgO、ZrO2、CaO、CaCO3、タルク、およびマイカよりなる群から選択される少なくとも1種を含む。
【0018】
本発明のリチウム二次電池用セパレータの別の好ましい形態においては、前記基材が、耐熱性多孔質層を具備する。
【0019】
本発明のリチウム二次電池用セパレータのさらに好ましい形態においては、前記耐熱性多孔質層が、アミド結合含有樹脂、フッ素含有樹脂、イミド結合含有樹脂、およびポリオレフィンよりなる群から選択される少なくとも1種を含む。
【0020】
本発明のリチウム二次電池用セパレータの別の好ましい形態においては、前記フィラーが粒子状である。
【0021】
本発明のリチウム二次電池用セパレータのさらに好ましい形態においては、前記フィラーの平均粒径が0.02μm以上かつ5.0μm以下である。
【0022】
本発明のリチウム二次電池用セパレータのさらに好ましい形態においては、前記潤滑層の1m2あたりに含まれる前記フィラーの重量が0.2g以上かつ0.8g以下である。
【0023】
また、本発明は、正極、負極、前記正極と前記負極との間に介在する上記したリチウム二次電池用セパレータ、および電解液を、電池ケースに収納して構成されたリチウム二次電池を提供する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、主成分がポリオレフィンである多孔質フィルムを含む基材の表面に、表面粗さが、三次元表面粗さで0.2μm以上かつ1.4μm以下である潤滑層を形成するように所定形状のフィラーが付着されて、リチウム二次電池用セパレータが構成される。これにより、正極および負極と、セパレータとを渦巻き状に巻回して電極群を構成するときに使用される巻芯に対するセパレータのすべり性が著しく向上する。その結果、例えば角型電池のように、巻芯の電極群からの抜け性に難のある電池においても円滑に巻芯の引き抜き作業を進めることが可能となる。
【0025】
これにより、巻芯の引き抜きによる電極群の変形(電極群の最内の部分が巻芯とともに引きずり出されて端部から突出する等)が抑えられる。巻芯の引き抜きにより電極群に大きな変形が生じる場合には、それだけ大きな摩擦力が巻芯とセパレータとの間に働いていることになり、セパレータに損傷が発生している可能性も増大する。したがって、電極群の変形を抑えることによって、信頼性の高い電極群を作製することが可能となる。
【0026】
また、巻芯に対するセパレータのすべり性が著しく向上することによって、巻芯の引き抜き工程が常に円滑に行われるようになる。このため、巻芯の引き抜き工程を特別に監視する必要がなくなり、製造コストが低減される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施の形態におけるリチウム二次電池の概略構成を示す断面図である。
【図2】電極群の構成方法を模式的に示す、巻芯および電極群の平面図である。
【図3】本発明のリチウム二次電池用セパレータの構成を示す、同セパレータの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
《実施の形態1》
図1に、本発明の実施の形態1に係るリチウム二次電池用セパレータを使用した角型のリチウム二次電池を断面図により示す。
この電池10は、両側端部が円弧状の丸みを帯びるように形成された、薄い箱形の電池ケース1に、電極群20と、図示しない電解液とを収納して構成されている。
電極群20は、長尺帯状の正極2および負極3を、長尺帯状のセパレータ4を間に挟んで渦巻き状に巻回して構成される。このとき、電極群20の最内面にはセパレータ4が配置される。
【0029】
図2に、巻芯を使用して構成した電極群を示す。同図に示すように、角型電池の場合には、長方形の金属製の薄い板を巻芯21として使用する。図には表れていないが、その巻芯21を2枚重ねにして、その間に2枚のセパレータ4の端部を挟み込み、その状態で電極を巻き込みながら巻芯21を回転させることにより、電極群20が構成される。電極群20の構成が終了すると、2枚の巻芯21の間を広げ、セパレータ4の端部の挟み込みを解除した後、巻芯21を電極群20から矢印Aの方向に抜き取る。
【0030】
図3に、セパレータの詳細構成を断面図により示す。セパレータ4は、基材12と、その表面に形成された潤滑層14とから構成される。
図示例の基材12は、例えばポリエチレン(PE)を主成分とする基材本体16と、その表面に形成された、耐熱性多孔質層18とから構成されている。
【0031】
基材本体16は、PEの他、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィンもしくはそれらの共重合体から構成することができる。
耐熱性多孔質層18は、例えばポリアミドを主成分として含む多孔質膜として構成される。図3においては、耐熱性多孔質層18および潤滑層14は、基材本体16の片面にのみ形成されている。しかしながら、耐熱性多孔質層18および潤滑層14は、その両方もしくはその一方を、本体16の両面に形成することもできる。なお、図3は、耐熱性多孔質層18および潤滑層14の配置の一例を模式的に示すものであり、各層の厚さの比率は、実際のものと必ずしも一致していない。
【0032】
潤滑層14は、電極群20を構成した後、巻芯21を抜き取るときに、巻芯21の抜き取りが円滑に行われるように基材12に設けられるものである。したがって、潤滑層14は、必ずしもセパレータ14の全体に設ける必要はなく、電極群20を構成したときに巻芯21と接触する部分だけに設けてもよい。角型電池の場合には、巻芯21の側端部とセパレータ4の内周面との間に特に大きな摩擦力が発生するので、巻芯21の側端部と接触するセパレータ4の部分にだけ潤滑層14を形成するようにしてもよい。
【0033】
以下に、潤滑層14のより具体的な構成を説明する。潤滑層14は、後述する材料からなるフィラー22を耐熱性多孔質層18の表面に付着させて、形成される。このとき、潤滑層14は、フィラー22を、必要に応じて界面活性剤を含ませた水などの分散媒に分散させ、その分散液を耐熱性多孔質層18の表面に塗布し、その後、分散媒を蒸発させることによって形成することができる。潤滑層14は、結着剤を含んでおらず、フィラー22が、界面活性剤の固形成分や静電気などにより凝集することにより形成される。したがって、潤滑層14は、指で擦る程度の外力で、フィラー22が容易に脱落して浮動する状態となっている。
【0034】
なお、潤滑層14の形成は、上述した塗布法の他、印刷法やスプレー法によることも可能であり、特に限定されない。また、これらの方法で使用される塗料には、フィラー22の水分散液に限らず、フィラー22の材料の水溶液、フィラー22を有機溶媒に分散させた分散液、並びにフィラー22の材料を有機溶媒に溶解させた溶液等を使用することもできる。
【0035】
潤滑層14の表面粗さは、例えば乾燥直後の初期状態で、表面粗さSa(三次元表面粗さ)が0.2μm以上かつ1.4μm以下となるように設定される。このような表面粗さの設定は、フィラー22の粒径や潤滑層14の単位面積当たりの重量を調節することにより行われる。
【0036】
ここで、表面粗さSaは、起伏カーブ(以下、表面起伏形態という)と平均面とで囲まれた部分の体積を測定面積で割ることにより求められる。すなわち、平均面をX−Y平面とし、高さ方向をZ軸とし、測定された表面起伏形態の面積zをz=f(x,y)で表すとき、表面粗さSaは下記式(数1)により定義される。
【0037】
【数1】

ただし、式(数1)において、LxはX方向の測定長さ、LyはY方向の測定長である。この測定はレーザーや電子線による非接触表面形状測定により求められる。
【0038】
表面粗さSaが0.2μm未満であると巻芯21と潤滑層14との接触面積が増大するため、すべり性が低下する。また、潤滑層14の単位面積当たりのフィラー22の重量が小さすぎる結果として表面粗さSaが0.2μmとなっている場合には、すべり性が小さい基材12と巻芯21とが直接に接触する面積も増大する。それにより、巻芯21の電極群20からの抜き取り性は低下する。
一方、表面粗さSaが1.4μmを超えると、潤滑層14からのフィラー22の脱落量が増大したり、セパレータ4を挟んで配置される正極2と負極3との間の距離が不均一となったりするといった不都合が生じる。この結果、電池特性に悪影響を及ぼす可能性が生じる。
【0039】
また、フィラー22の形状は繊維状、板状、針状、粒状、および球状などとすることができる。潤滑層14の高いすべり性を達成するためには、フィラー22の形状は、球状もしくは粒状に近い形状とするのが望ましい。フィラー22が、球状もしくは粒状の場合には、平均粒径(体積基準のメディアン径)は、0.02μm以上かつ5.0μm以下の範囲とするのが好ましい。平均粒径が0.02μm未満になると、潤滑層14の表面が平坦となってしまい、目的とする表面粗さSaを達成することは困難となる。一方、フィラー22の平均粒径が5μmを超えると、表面粗さSaは大きくなるが、基材12が露出する部分が生じるために潤滑層14によるすべり性は低下する。また、フィラー22は、粒径や材質の異なる2種類以上の粒子を混合して使用してもよい。ここで、フィラー22の平均粒径は0.02μm以上かつ3.0μm以下とするのが、潤滑層14のさらに良好なすべり性を達成することができるので、より好ましい。
また、潤滑層14の1m2あたりに含まれるフィラー22の重量は、0.2g以上かつ
0.8g以下とするのが好ましい。
【0040】
また、フィラー22は、高分子化合物もしくは無機化合物から構成することができる。フィラー22の素材として好ましい性質は、脱落したフィラー22が正極2もしくは負極3と接触する可能性があることから、電気化学的に安定していることである。また、フィラー22は、電池ケース1内で電解液と接触するものであるために、その材料は、有機溶媒に対して安定していることが好ましい。
【0041】
フィラー22の素材として好ましい材料は、具体的には、フッ素含有樹脂、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル化合物、シリコン、アルミニウム、チタン、マグネシウム、ジルコニウムおよびカルシウムなどの酸化物、窒化物または炭酸塩、並びにタルクおよびマイカなどのケイ酸塩鉱物等である。フィラー22の素材として好ましい材料の具体的な化学組成を例示すると、SiO2、Al23、TiO2、MgO、ZrO2、CaO、およびCaCO3などである。より好ましいのは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロエチレンプロピレンコポリマー(FEP)、パーフルオロアルコキシアルカンポリマー(PFA)、およびエチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)などの摩擦係数の小さなフッ素含有樹脂である。
【0042】
また、基材本体16は、ポリオレフィンを主成分とする多孔質フィルムから構成される。これは、電池温度が異常に上昇したときに120℃〜150℃程度の温度で多孔質樹脂が閉孔(シャットダウン)し、これにより電流が遮断され、電池反応が停止して更なる温度の上昇を抑制することができるからである。しかしながら、何らかの原因でそれ以上の高い温度が加わると基材本体16の軟化、溶融、または収縮が起こる。
そのため、基材12には、耐熱性多孔質層18を含ませることが好ましい。耐熱性多孔質層18の材料である耐熱樹脂は、上記した理由から融点が150℃以上であることが好ましい。
【0043】
そのような耐熱樹脂の例を挙げると、PP等融点が150℃以上あるポリオレフィン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニリデンと6フッ化プロピレン(HFP)との共重合体(PVDF−HFP)、PTFEなどのフッ素含有樹脂、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)およびポリエーテルイミド(PEI)などのイミド結合含有樹脂、ナイロンおよびアラミドなどのアミド結合含有樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)などのポリエステル化合物、ポリスルフォン(PSF)、ポリエーテルスルフォン(PES)およびポリフェニレンスルフィド(PPS)等のスルフォン基を有する化合物、ポリエーテルケトン(PEK)およびポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の芳香族ポリエーテルケトン樹脂、並びにポリアセタール(POM)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンエーテル(PPE)およびポリアリレート(PAR)などがある。耐熱性多孔質層18は、これらから選択される少なくとも一種から通常構成されるが、これら以外の素材を排除するものではない。特に好ましい材料は、PP、PVDF、PVDF−HFP、PI、PAI、およびアラミドであり、耐熱性多孔質層18は、これらの中から選択される耐熱樹脂により構成されるのが特に好ましい。
【0044】
正極2は、正極用の集電体と、それに担持される正極活物質層とから構成される。正極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵・放出できる材料であれば、特に限定されることなく使用することができる。例えば、LiCoO2、LiNiO2、LiMn24、LiNi0.4Mn1.64、LiCo0.3Ni0.72、V25、MnO2、LiCoPO4、LiFePO4、LiCoPO4F、LiFePO4F、Li4Ti512、Li4Fe0.5Ti512、Li4Zn0.5Ti512等の遷移金属酸化物、TiS2、LiFeS2等の硫化物、およびこれらの混合物や各種金属元素が添加されたものを正極活物質として使用することができる。正極活物質層の厚さは、特に限定されないが、例えば0.1〜100μmとすることができる。
【0045】
負極3は、負極用の集電体と、それに担持される負極活物質層とから構成される。負極活物質としては、Li、Al、Zn、Sn、In、Si、Ta、およびNbよりなる群から選択される少なくとも1種を含む金属、その合金および酸化物(例えば、SiO0.3、Ta25、Nb25)、グラファイトやカーボンナノチューブ等の炭素材料、Li4Ti512、Li4Fe0.5Ti512、Li4Zn0.5Ti512などのスピネル構造を有するリチウムチタン酸化物、TiS2等の硫化物、LiCo2.60.4N、Ta35等の窒素化合物、およびこれらの混合物や各種金属元素が添加されたものが用いられる。ただし、リチウムイオンを吸蔵・放出できる材料であれば、特に限定なく負極に用いることができる。負極活物質層の厚さは、特に限定されないが、例えば0.1〜100μmとすることができる。
【0046】
正極2および負極3の作製方法は特に限定されないが、塗工法、スパッタリング法および蒸着法、エアロゾル蒸着法、CVD法、並びにスクリーン印刷法等により正極活物質または負極活物質を、それぞれの集電体に担持させることができる。
【0047】
電解液は、充放電にリチウムを用いるために非水溶媒を用いることが望ましい。また、その溶媒は、リチウム塩を混合したときのイオン伝導度が高くなるものがより好ましい。例えばエチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、γ−ブチロラクトン(GBL)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、およびジメチルカーボネート(DMC)等が好ましい。これらのうちの少なくとも1種、もしくは2種以上を混合して使用することが好ましく、高誘電率溶媒であるECをその混合要素の1つとして選択することがより好ましい。
【0048】
電解液に使用するリチウム塩は、上記した非水溶媒に溶解し得るものであり、リチウム二次電池の電解質としての使用に堪えるものであれば特に限定されない。例えばLiPF6、LiBF4、LiClO4、LiN(C25SO22、およびLiN(CF3SO22が好ましい。これらのリチウム塩は1種、もしくは2種以上を混合して用いることができる。特に、LiBF4は非水溶媒に溶解させたときに、LiPF6およびLiClO4と比べてイオン伝導率が低いので、2種以上のリチウム塩を混合して使用することが好ましい。
【0049】
電解液のリチウム塩濃度は0.5モル/リットルから2モル/リットルの範囲となることが好ましい。一般的に、非水電解液は、濃度が低くなるとイオン伝導度が小さくなり、濃度が高くなるとイオンの解離が困難となる。したがって、リチウム塩濃度が高すぎても低すぎてもいずれの場合においてもイオン伝導性は低下する傾向を示すからである。
【0050】
以下に、本発明の各実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
《実施例1》
以下に示す手順でセパレータ4を作製した。
(1)基材本体16として、ポリエチレンを主成分とする厚さが20μmの多孔膜フィルムを使用した。この多孔膜フィルムは、ポリエチレンを溶融押出しで成形し、得られた成形物を2軸方向に延伸して作製したものである。その孔径は、正極2および負極3より脱離した活物質、結着剤および導電剤などが透過しないように0.1〜1μmとした。
【0051】
(2)耐熱性多孔質層18として、厚さが3.5μmである、ポリアミドを含む多孔質膜を基材本体16の片側の表面に形成した。ポリアミドを含む多孔質膜は、ポリアミドを溶媒に溶解させた溶液を、基材本体16の片面に塗布し、その後、溶媒を乾燥により除去するようにして形成した。溶媒には、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を使用した。溶液には、ポリアミド100重量部あたり200重量部の無機酸化物(具体的には、平均粒径0.013μmのアルミナ)を分散させた。
【0052】
(3)耐熱性多孔質層18の表面に潤滑層14を形成するために、平均粒径が0.2μmのPTFEからなる球状の粒子を、界面活性剤を含ませた水に分散させ、その分散液を耐熱性多孔質層18の表面に塗布した。その後、分散媒である水を蒸発させることによって、平均粒径が0.2μmである、粒子状のフィラー22から構成される潤滑層14を形成した。
【0053】
ここで、潤滑層14の、1m2当たりに含まれるフィラー22の乾燥重量は0.5gであった。また、電子線三次元粗さ解析装置(エリオニクス(株)製のERA−8800)により測定した潤滑層14の表面粗さSaは、1.0μmであった。このときの加速電圧は5kV、観察倍率は200倍とした。
【0054】
次に、正極2および負極3を作製した。
(4)正極2は次のようにして作製した。正極活物質としてのコバルト酸リチウム(LiCoO2)と、導電助剤としてのアセチレンブラック(AB)と、バインダーとしてのPVDFとを、重量比100:4:3の比率で混合し、NMPを溶媒として、スラリーを調合した。
【0055】
このスラリーを、厚みが15μmである、正極用の集電体としてのアルミニウム箔の両面に塗布し、110℃の雰囲気下で30分間乾燥した後圧延して、正極2を作製した。このときの正極2の厚みは160μmであった。
【0056】
(5)負極3は次のようにして作製した。負極活物質としての人造黒鉛と、バインダーとしてのスチレン−ブタジエン共重合ゴム粒子結着剤と、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)とを、重量比100:1:1の比率で混合し、水を分散媒としてスラリーを調合した。
【0057】
このスラリーを、厚みが10μmである、負極用の集電体としての銅箔の両面に塗布し、110℃の雰囲気下で30分間乾燥した後圧延して、負極3を作製した。このときの負極3の厚みは180μmであった。
【0058】
(6)電極群20を次のようにして作製した。2枚の長尺帯状のセパレータ4の端部を、2枚の長方形の板状の巻芯21の間に挟み込み、500gf(=500×980.665dyn)の荷重で各セパレータ4を引っ張りながら、一方のセパレータ4を最内とし、他方のセパレータ4を間に挟んで正極2と負極3とを対向させるようにしながら、正極2、負極3および2枚のセパレータ4を渦巻き状に巻回した。
【0059】
規定の長さだけ正極2、負極3および2枚のセパレータ4を巻回して電極群20を構成した後、2枚の巻芯21の間を広げて、電極群20の内部から巻芯21を抜き取った。そして、その際に、巻芯21の円滑な抜き取りが行われているかを観察するとともに、作製した電極群20の外観検査を行った。
【0060】
そして、電極群20を、電池ケース1としての、開口部を有する有底角型のアルミケースに挿入し、電解液を注入した後に、その開口部を封口して、1千個のリチウム二次電池を作製した。このとき、電極群20は、上記した外観検査に合格したもののみを使用している。電解液は、エチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート(PC)とを体積比で1:3の割合で調合した溶媒に、リチウム塩としてのLiPF6を1mol/Lの濃度で溶解させたものを使用した。
【0061】
そして、作製された1千個のリチウム二次電池について、電池特性を評価するための充放電試験を行った。この充放電試験においては、2時間率の電流で端子間電圧が4.2Vとなるまで各電池を充電し、その後、端子間電圧が3.0Vに低下するまで放電を行った。充電と放電との間の休止時間は30分間とした。この充放電を200回繰り返した後の放電容量を測定し、その測定値を初期の放電容量の測定値と比較し、初期の放電容量を100とする指数を計算した。その指数が70以上あれば電池特性が良好であると判断した。
【0062】
以上の結果を、下記表1に示す。
【0063】
《実施例2》
フィラー22の素材として、平均粒径が0.2μmであるパーフルオロエチレンプロピレンコポリマー(FEP)からなる球状の粒子を使用したこと、潤滑層14の1m2当たりに含まれるフィラー22の乾燥重量が0.8gとなるように、上記粒子の水分散液を耐熱性多孔質層18の表面に塗布したこと、並びに形成された潤滑層14の表面粗さSaが、1.4μmであったこと以外は、実施例1と同様にして1千個のリチウム二次電池を作製した。
【0064】
本実施例2においても、電極群20を構成する際に、巻芯21の円滑な抜き取りが行われているかを観察するとともに、作製された電極群20の外観検査を行った。また、実施例1と同様の手順で電池特性の評価を行った。以上の結果を、下記表1に示す。
【0065】
《実施例3》
フィラー22の素材として、平均粒径が0.1μmであるSiO2からなる球状の粒子を使用したこと、潤滑層14の1m2当たりに含まれるフィラー22の乾燥重量が
0.3gとなるように、上記粒子の水分散液を耐熱性多孔質層18の表面に塗布したこと、並びに形成された潤滑層14の表面粗さSaが、0.2μmであったこと以外は、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
【0066】
本実施例3においても、電極群20を構成する際に、巻芯21の円滑な抜き取りが行われているかを観察するとともに、作製された電極群20の外観検査を行った。また、実施例1と同様の手順で電池特性の評価を行った。以上の結果を、下記表1に示す。
【0067】
《比較例1》
フィラー22の素材として、平均粒径が0.2μmであるPTFEからなる球状の粒子を使用したこと、潤滑層14の1m2当たりに含まれるフィラー22の乾燥重量が2.0gとなるように、上記粒子の水分散液を耐熱性多孔質層18の表面に塗布したこと、並びに形成された潤滑層14の表面粗さSaが、1.5μmであったこと以外は、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
【0068】
本比較例1においても、電極群20を構成する際に、巻芯21の円滑な抜き取りが行われているかを観察するとともに、作製された電極群20の外観検査を行った。また、実施例1と同様の手順で電池特性の評価を行った。以上の結果を、下記表1に示す。
【0069】
《比較例2》
フィラー22の素材として、平均粒径が0.2μmであるPTFEからなる球状の粒子を使用したこと、潤滑層14の1m2当たりに含まれるフィラー22の乾燥重量が0.1gとなるように、上記粒子の水分散液を耐熱性多孔質層18の表面に塗布したこと、並びに形成された潤滑層14の表面粗さSaが、0.1μmであったこと以外は、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
【0070】
本比較例2においても、電極群20を構成する際に、巻芯21の円滑な抜き取りが行われているかを観察するとともに、作製された電極群20の外観検査を行った。また、実施例1と同様の手順で電池特性の評価を行った。以上の結果を、下記表1に示す。
【0071】
《比較例3》
セパレータ4に潤滑層14を形成せず、基材12のみからセパレータ4を構成したこと以外は、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
【0072】
本比較例3においても、電極群20を構成する際に、巻芯21の円滑な抜き取りが行われているかを観察するとともに、作製された電極群20の外観検査を行った。また、実施例1と同様の手順で電池特性の評価を行った。以上の結果を、下記表1に示す。
【0073】
《実施例4》
潤滑層14を、基材12の、電極群20を構成するときに巻芯21と接触する部分にのみ形成したこと以外は、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
【0074】
本実施例4においても、電極群20を構成する際に、巻芯21の円滑な抜き取りが行われているかを観察するとともに、作製された電極群20の外観検査を行った。また、実施例1と同様の手順で電池特性の評価を行った。以上の結果を、下記表1に示す。
【0075】
【表1】

【0076】
《評価》
表1に示すように、潤滑層14の表面粗さSaが0.2μm以上かつ1.4μm以下の範囲にある実施例1〜4においては、それぞれ約1千個の電極群20について、巻芯21の抜き取りが円滑に行われているか否かを観察した結果、全ての電極群20について円滑な抜き取りが行われていた。また、作製された電極群20の外観検査の結果も、巻芯21の抜き取りに追随して、最内の部分が1mm以上引き出されているような外観不良を有する電極群20は存在しなかった。この結果は、潤滑層14の表面粗さSaが適度な大きさを有するために、潤滑層14が十分なすべり性を発揮したからであると考えられる。
【0077】
また、基材12の、電極群20を構成するときに巻芯21と接触する部分にのみ潤滑層14を形成した実施例4においても他の実施例と同様の結果が得られていることから、本発明の効果を達成するためには、潤滑層14は、セパレータ14の巻芯21と接触する部分に形成されていれば十分であることが理解される。
【0078】
一方、潤滑層14の表面粗さSaが0.1μmである比較例2においては、電極群20から巻芯21を抜き取る際に最内のセパレータ4が引きずり出される様子が見られた。電極群20の外観検査においても、最大で1mm程度、最内のセパレータ4が引きずり出されているものが存在した。これは、潤滑層14の表面粗さSaが小さすぎるために、潤滑層14が十分なすべり性を発揮することができなかったからであると考えられる。
【0079】
また、潤滑層14の表面粗さSaが1.5μmである比較例1においては、電極群20からの巻芯21の抜き取りは円滑に行われており、外観検査においても異常を生じている電極群20は存在しなかった。しかしながら、充放電試験の結果においては、この比較例1にのみ充放電のサイクル特性が低下しているリチウム二次電池が存在した。
そのような電池の電極群を分解して観察した結果、セパレータ4から多量のフィラー22が脱落しており、それらが正極2および負極3や、セパレータ4にめり込んでいるのが確認された。
【0080】
以上の結果によれば、潤滑層14は、表面粗さSaが0.2μm以上かつ1.4μm以下の範囲となるように形成するのが、セパレータ4の巻芯21に対する十分なすべり性を確保するとともに、潤滑層14の形成により電池特性に悪影響を及ぼさない、という観点から好ましいことが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明のリチウム二次電池用セパレータは、電極群を構成する際に、電極およびセパレータをより緊密に巻回した場合にも良好な巻芯の引き抜き性を発揮するので、モバイル機器等の電源として高容量・高出力が特に要求されるリチウム二次電池のセパレータとして有用である。
【符号の説明】
【0082】
1 電池ケース
2 正極
3 負極
4 セパレータ
10 リチウム二次電池
12 基材
14 潤滑層
18 耐熱性多孔質層
20 電極群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主成分がポリオレフィンである多孔質フィルムを含む基材から構成されたリチウム二次電池用セパレータであって、
前記基材の表面にフィラーが付着されて、潤滑層が形成されており、
前記潤滑層の表面粗さが、三次元表面粗さで0.2μm以上かつ1.4μm以下であるリチウム二次電池用セパレータ。
【請求項2】
前記フィラーが、高分子化合物を含む請求項1記載のリチウム二次電池用セパレータ。
【請求項3】
前記高分子化合物が、フッ素含有樹脂およびポリオレフィンの少なくとも1種を含む請求項2記載のリチウム二次電池用セパレータ。
【請求項4】
前記フィラーが、無機化合物を含む請求項1記載のリチウム二次電池用セパレータ。
【請求項5】
前記無機化合物が、SiO2、Al23、TiO2、MgO、ZrO2、CaO、CaCO3、タルク、およびマイカよりなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項4記載のリチウム二次電池用セパレータ。
【請求項6】
前記基材が、耐熱性多孔質層を具備する請求項1〜5のいずれかに記載のリチウム二次電池用セパレータ。
【請求項7】
前記耐熱性多孔質層が、アミド結合含有樹脂、フッ素含有樹脂、イミド結合含有樹脂、およびポリオレフィンよりなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項6記載のリチウム二次電池用セパレータ。
【請求項8】
前記フィラーが粒子状である請求項1〜7のいずれかに記載のリチウム二次電池用セパレータ。
【請求項9】
前記フィラーの平均粒径が0.02μm以上かつ5.0μm以下である請求項8記載のリチウム二次電池用セパレータ。
【請求項10】
前記潤滑層の1m2あたりに含まれる前記フィラーの重量が0.2g以上かつ0.8g以下である請求項1〜9のいずれかに記載のリチウム二次電池用セパレータ。
【請求項11】
正極、負極、前記正極と前記負極との間に介在する請求項1〜10のいずれかに記載のリチウム二次電池用セパレータ、および電解液を、電池ケースに収納して構成されたリチウム二次電池。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2010−244875(P2010−244875A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−93037(P2009−93037)
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】