説明

リニア誘導モータを備える台車

【課題】本発明の1つの目的はリニア誘導モータとリアクションレールとの間の非常に小さなエアギャップを可能とする台車を提供することである。本発明の別の目的は車両本体を支持し、かつ、リニア誘導モータの特定の必要を満たすように最適化された懸架装置を有する台車を提供することである。
【解決手段】台車はリニア誘導モータを支持するための2つのクロスメンバを備える。クロスメンバは弾性取付手段によって軸箱に取り付けられており、各クロスメンバが回転横断軸周りに旋回運動することを可能とする。5つのリンクからなるシステムはリニア誘導モータをクロスメンバに接続するために用いられる。リニア誘導モータによって各クロスメンバに伝達される垂直荷重の合力が軸箱から等距離の第1の横断軸の第1の中心位置にあるように、リンクが配置される。さらに、取付手段はリニア誘導モータの高さおよび水準位置を調節することを可能とする、高さ調節装置も備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリニア誘導モータによる推進用に設計された台車、および鉄道車両の台車へリニア誘導モータを取り付けるための装置に関する。詳細には、本発明はリアクションレールに対するリニア誘導モータの高さを調節するための調節装置を装備した装置に関する。また、本発明は鉄道車両の台車へリニア誘導モータを取り付けるための方法、およびリニア誘導モータとリアクションレールとの間の距離を調節するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リニア誘導モータは1つ以上のリアクションレール上に配置されている界磁巻線からなり、車両上の界磁巻線とレールの滑走面との間には、移動磁界を生ずる多相電流が供給されている。リニア誘導モータは、鉄道車両において電磁ブレーキおよびリニア誘導モータ推進装置を提供するために用いられる。いずれの場合にも、正常運転中に電磁ブレーキまたはモータを適正かつ制御可能に動作させるには、界磁巻線とリアクションレールの滑走面との間のエアギャップを一定またはほぼ一定に保持する必要がある。このエアギャップはリニア誘導モータでは電磁ブレーキよりも狭く、典型的には9〜24mmである。
【0003】
特許文献1には、鉄道リニアモータ用の弾性支持装置が開示されている。界磁巻線は従来の台車の4つの軸箱を連結する強直なフレームに取り付けられている。この強直なフレームは2つの長手部材および2つのクロスメンバからなり、2つの長手部材の端は車軸の4つの軸箱上に置かれている。台車の前後方向の中央の垂直面の各側には、2つの誘導モータが配置されている。各誘導モータは、長手部材上の一連の側方弾性スタッドによって支持される。追加の前後方向弾性スタッドは、前後方向の牽引力をクロスメンバに伝達するために用いられる。フレームの長手部材は、軸箱に対して長手部材の垂直位置を調節するためのスクリュ・ナット連結を含む手段によって、軸箱に取り付けられている。しかしながら、フレームのロール角およびピッチ角に4つのスクリュ・ナット連結の各々が同時に影響を及ぼすので、フレームおよび誘導モータの位置を正確に調節することは困難であると分かる。
【0004】
リニア誘導モータを備える操舵可能な鉄道台車は、特許文献2によって知られている。この台車は4つのフランジ付き車輪上に支持されており、その車軸はジャーナルハウジングに回転可能に保持されている。ジャーナルハウジングは、それぞれ前ヨークおよび後ヨークに固定されている。台車は、車体を支持するためのボルスタおよび関連する第2の懸架要素によって、鉄道車両の車体に連結されている。前後の車軸の操舵を可能とするように、前後のヨークはボルスタに連節されている。リニア誘導モータは3つの垂直なリンクからなるシステムによって、ヨークに対し支持されている。このシステムは、台車の前後方向の中央の垂直面の中央に位置し、中央から離れたヨークにリニア誘導モータを連結するための1つのシングルリンクと、台車の前後方向の中央の垂直面の両側に等距離に配置されている1対の懸架リンクとを含む。
【0005】
リニア誘導モータを備える台車は、特許文献3によって知られている。この台車は2つの車軸を備えており、各車軸は1対の軸箱、軸箱とサドルとの間の相対的な垂直運動を可能とするように各軸箱の上に装備されたサドル鋳造材、4つのサドルに強直に固定された台車フレーム、およびフレームと軸箱との間の第1の懸架装置を備える。各車軸の軸は、車輪近くに位置する1対のベアリング上に端が支持されているU字形ビームによって、囲まれている。各ビームは、リニア誘導モータのインダクターの前後端のうちの一方を吊下するための、中心に位置する1つの弾性自在継手を備えている。この構成では、U字形ビームの弾性懸架装置は提供されないので、ビームとシャフトとの間のベアリングは大きな
加速度を経験する。リニア誘導モータは2つの自在継手によってのみ支持され、自在継手の中心と交差する縦方向の水平軸周りに自由に回転することが可能である。しかしながら、エアギャップが小さいとき、この運動は許容不可能である。さらに、リニア誘導モータは車両の前後方向の中心軸に沿って離間された2点のみから保留されているので、リニア誘導モータの水準誤差、即ち、リニア誘導モータの左右の側の間の高さの差、を調節することは不可能である。
【特許文献1】米国特許第3,516,364号明細書
【特許文献2】米国特許第4,440,092号明細書
【特許文献3】欧州特許第0102551号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の1つの目的は、リニア誘導モータとリアクションレールとの間の非常に小さなエアギャップを可能とする台車を提供することである。
本発明の別の目的は、車両本体を支持し、かつ、リニア誘導モータの特定の必要を満たすように最適化された懸架装置を有する台車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、鉄道車両の車体を支持するための台車であって、各々1対の左右の軸箱においてジャーナルに連結されている2つの車軸と、第1の懸架装置によって軸箱上に支持されており、かつ、車体を支持するための第2の懸架装置を備える台車フレームと、各々左右の弾性取付手段によって1対の左右の軸箱のうちの1つに取り付けられている2つのクロスメンバと、弾性取付手段はクロスメンバがクロスメンバの回転横断軸周りに限定的に旋回運動することを可能とすることと、各クロスメンバにリニア誘導モータを連結するためのリンク手段と、各クロスメンバ上のリンク手段によって付勢される合力の作用点は左右の弾性取付手段から等距離にあり、クロスメンバの回転軸の中心に位置することと、からなることを要旨とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の台車において、リンク手段はリニア誘導モータとクロスメンバとの間の推力方向への相対移動を可能とすることと、台車はリニア誘導モータと台車または鉄道車両の車体との間に推力を直接伝達するための推力伝達手段を含むことと、を含むことを要旨とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の台車において、リンク手段はリニア誘導モータとクロスメンバとの間の台車の横断方向への相対移動を可能とすることと、台車はリニア誘導モータと台車または鉄道車両の車体との間に横力を直接伝達するための側方リンク手段を含むことと、を含むことを要旨とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の台車において、リンク手段は、2つのクロスメンバのうちの第1のクロスメンバにリニア誘導モータを連結するための2つ以上のリンク部材と、2つのクロスメンバのうちの第2のクロスメンバにリニア誘導モータを連結するための1つ以上のリンク部材とを含むことと、同2つ以上のリンク部材は第1のクロスメンバの中央点の両側に側方に離間された2つの位置にて第1のクロスメンバに連結されていることと、を含むことを要旨とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の台車において、リンク手段は2つのクロスメンバのうちの第1のクロスメンバにリニア誘導モータを連結するための3つの垂直リンク部材からなるセットを含むことと、同セットは第1のクロスメンバを長手方向に見て一方の側にて第1のクロスメンバに枢着されている中央リンクと、第1のクロスメンバの他方の側にて第1のクロスメンバの中央点の両側に側方に離間され、
かつ、第1のクロスメンバの中央点から等距離にある2つの位置にて第1のクロスメンバに枢着されている1対の左右のリンク部材とからなることと、3つの垂直リンク部材はリニア誘導モータに枢着されていることと、を含むことを要旨とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の台車において、リンク手段は第2のクロスメンバの回転軸の両側に前後方向に離間された2つの位置にてリニア誘導モータと、第2のクロスメンバとに枢着されている2つの垂直リンク部材からなるセットを含むことを要旨とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の台車において、左右の弾性取付手段はクロスメンバと軸箱との間の距離を調節するための左右の高さ調節機構を含むことを要旨とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の台車において、各高さ調節機構は雌ねじを備える第1の調節装置要素および雄ねじを備える第2の調節装置要素を含むことと、第1の調節装置要素および第2の調節装置要素のうちの一方は対応する軸箱に固定されていることと、第1の調節装置要素および第2の調節装置要素のうちの他方はゴムばねを通じてクロスメンバに固定されていることと、を含むことを要旨とする。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の台車にリニア誘導モータを取り付けるための方法であって、リンク手段によって第1のクロスメンバおよび第2のクロスメンバにリニア誘導モータを取り付ける工程を含むことを要旨とする。
【0016】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の方法において、3箇所以上、好適には4箇所以上において、リニア誘導モータまたはクロスメンバと地面またはリアクションレールとの間の距離を測定する工程を含むことを要旨とする。
【0017】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の方法において、左右の弾性取付手段はクロスメンバと軸箱との間の距離を調節するための左右の高さ調節機構を含むことと、測定した距離に基づき水準誤差を評価する工程と、第2の高さ偏差および水準誤差に基づきクロスメンバのうちの1つの左右の弾性取付手段の高さ調節機構を操作する工程と、を含むことを要旨とする。
【0018】
請求項12に記載の発明は、請求項10に記載の方法において、左右の弾性取付手段はクロスメンバと軸箱との間の距離を調節するための左右の高さ調節機構を含むことと、測定した距離に基づき、リニア誘導モータの前後方向の第1の端における所定の所要高さからの第1の高さ偏差と、リニア誘導モータの前後方向の第2の端における所定の所要高さからの第2の高さ偏差とを評価する工程と、第1の高さ偏差に基づきリニア誘導モータの前後方向の第1の端近くの左右の弾性取付手段の高さ調節機構を操作する工程と、第2の高さ偏差に基づきリニア誘導モータの前後方向の第2の端近くの左右の弾性取付手段の高さ調節機構を操作する工程と、を含むことを要旨とする。
【0019】
請求項13に記載の発明は、請求項9に記載の方法において、左右の弾性取付手段はクロスメンバと軸箱との間の距離を調節するための左右の高さ調節機構を含むことと、測定した距離に基づき、リニア誘導モータの前後方向の第1の端における所定の所要高さからの第1の高さ偏差と、リニア誘導モータの前後方向の第2の端における所定の所要高さからの第2の高さ偏差とを評価する工程と、測定した距離に基づき水準誤差を評価する工程と、第1の高さ偏差に基づきリニア誘導モータの前後方向の第1の端近くの左右の弾性取付手段の高さ調節機構を操作する工程と、第2の高さ偏差および水準誤差に基づき、リニア誘導モータの前後方向の第2の端近くの左右の弾性取付手段の高さ調節機構を操作する
工程と、を含むことを要旨とする。
【0020】
請求項14に記載の発明は、請求項7または8に記載の台車に取り付けられたリニア誘導モータの位置を調節するための方法であって、3箇所以上、好適には4箇所以上において、リニア誘導モータまたはクロスメンバと、地面またはリアクションレールとの間の距離を測定する工程と、測定した距離に基づき、リニア誘導モータの前後方向の第1の端における所定の所要高さからの第1の高さ偏差と、リニア誘導モータの前後方向の第2の端における所定の所要高さからの第2の高さ偏差とを評価する工程と、測定した距離に基づき水準誤差を評価する工程と、第1の高さ偏差に基づきリニア誘導モータの前後方向の第1の端近くの左右の弾性取付手段の高さ調節機構を操作する工程と、第2の高さ偏差および水準誤差に基づき、リニア誘導モータの前後方向の第2の端近くの左右の弾性取付手段の高さ調節機構を操作する工程と、を含むことを要旨とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1を参照する。台車10の非懸架部分は、2つの車軸12,14を備える。各車軸12,14は通常の左右の軌道車輪16を有し、左右の軌道車輪16の間に位置する1対の左右の軸箱18において、ジャーナルに各々連結されている。各軸箱18は前後の受け皿20を備えており、第1の懸架装置のゴムばね22の下端は前後の受け皿20上に当接している。
【0022】
図2に示すように、第1の懸架装置のゴムばね22は各々その上端にてスピンドル24に螺合されており、スピンドル24は側部台車フレーム26を通じて突出し、側部台車フレーム26に固定されている。台車フレーム27は1対の管状の横ばり28と、側部台車フレーム26に溶接された前後のクロスメンバ30とを備える。車両本体は空気ばね組立品によって台車の側部の部材上に支持される。
【0023】
図2に示すように、台車10はリニア誘導モータ44を支持するための1対のクロスメンバ40,42を備える。クロスメンバ40,42は各々、車軸12,14のうちの一方の上を伸びており、その端部に2つの取付座46を備える。図3に示すように、軸箱18への連結を可能とするように、各取付座46は貫通孔を有し、弾性連結部52の上下のゴムばね48,50の間に挟まれている。ゴムばねは上下の硬質板に接合したゴム体からなり、ロッキングリング58によって調節スリーブ56上に保持される。調節スリーブ56は雌ねじを備えており、この雌ねじは調節チューブ60の雄ねじに螺合されている。調節チューブ60は、半径方向に遊びを有さず取り付けスタッド62の軸周りを自由に回転するように、その内側の軸の端部にて、軸箱ハウジング64に螺合されている取り付けスタッド62と共同して動作する。調節チューブ60の軸方向の移動を防ぐために、スタッド62の上部端に六角形のロックナット66を螺合する。六角形のロッキングナット68を調節チューブ60に螺合して、調節スリーブ56の位置を固定することが可能である。
【0024】
ゴムばね48,50は軸箱18に対する各クロスメンバ40,42の剛直な垂直懸架装置を提供するが、その回転剛性は低く、弾性連結部52の回転の中心にてクロスメンバが車軸12,14に平行に、左右の取り付けスタッド62と交差して、水平横断軸76に対して回転することを可能とする。
【0025】
5つの垂直リンク80,82,84,86,88からなるシステムは、クロスメンバに対してリニア誘導モータ44を支持する。このシステムは、一方のクロスメンバ40の両側の左右の取り付けスタッド62から等距離にあり、中央に位置する1対の垂直リンク80,82を含む。また、この垂直リンクのシステムは、リニア誘導モータ44を他方のクロスメンバ42に連結するための3つの垂直リンク84,86,88を含む。垂直リンク84はクロスメンバを長手方向に見て一方の側に、取り付けスタッド62から等距離に位
置する。他の2つの垂直リンク86,88はクロスメンバを長手方向に見て他方の側に、垂直リンク84から等距離に、互いから側方に離間して位置する。5つのリンクは金属ボールベアリングを通じてクロスメンバ40,42およびリニア誘導モータ44に枢着されている。これらの連結全体のため、リンクによってクロスメンバへ伝達される力が均衡されて、各クロスメンバ上のリンクによって付勢される合力の作用点は、取り付けスタッドから等距離にあるクロスメンバの回転軸に位置する。したがって、この5つのリンクからなるシステムは、3点の水準方式と等価である。
【0026】
長尺状の連接棒90は台車フレーム27の管状の横ばり28のうちの一方にリニア誘導モータ44から推力を直接伝達する。2つの側方リンク92,94は、好適には台車の同じ側に位置し、側部台車フレーム26のうちの一方にリニア誘導モータ44から横力を伝達する。
【0027】
調節スリーブ56と調節チューブ60とからなる対は各々、弾性連結部52と一体の高さ調節装置を構成する。この高さ調節装置には、車体床面の開口部を通じて上方から達することが可能であり、次のように操作される。ロッキングナット68を解放し、1,2回転だけ緩める。次いで、ロックナット66を解放すると、ねじ山付きチューブの自由回転が可能となる。次いで、ねじ山付きチューブの六角形の頭部にレンチを係合させ、必要に応じて調節スリーブを上下させることが可能である。所要位置に達すれば、ロックナットを締め、ロッキングナットを締める。
【0028】
4つの高さ調節装置は軸箱および地上のリアクションレールに対してクロスメンバの位置を調節するために用いられる。高さ調整手順は次のとおりである。最初に台車を直線的かつ水平な軌道部分に配置する。4箇所程度にて、リニア誘導モータとリアクションレールとの間の距離を正確に測定する。好適には、測定位置はリニア誘導モータの外縁部の方にあり、クロスメンバに沿っている。この測定位置は軌道の中心線周りに対称である。
【0029】
水準誤差は、リニア誘導モータの前後端の各々に対して、各端における2箇所の測定位置の高さの差として決定される。次いで、前後の水準誤差の平均として、平均水準誤差が決定される。
【0030】
クロスメンバ42に対しては、平均水準誤差の半分をリニア誘導モータの低い側に加え、平均水準誤差の半分を高い側から減じることによって、水準誤差の調節を実施することが可能である。クロスメンバ40に対しては、リニア誘導モータの端がクロスメンバの中央に取り付けられているので、調節を行う必要はない。
【0031】
同様に、リニア誘導モータの前後端の各々にて平均の高さが決定され、所定の公称高さからの偏差が算出される。この誤差が、対応するクロスメンバの高さ調節装置に対して必要な調節である。
【0032】
水準誤差および高さ誤差を同時に算出可能であることや、これらの調節を1工程で実行可能であることは明らかである。
4箇所ではなく、クロスメンバ40近くの1箇所の中央位置と、クロスメンバ42の端の方の2箇所の位置との3箇所にて、高さ測定を行うことが可能である。
【0033】
上述の台車は、単独のまたは任意の所望の構成の車体を運ぶ、任意の種類の鉄道車両と共に用いることが可能である。
容易に認められるように、上述の懸架装置構成を用いて、車両用のガイドレールに取り付けられているリニア誘導モータのリアクションプレートを支持することが可能である。
【0034】
リンクの連結は剛直な弾性手段を備えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明による台車の下部の斜視図。
【図2】図1の台車の斜視図。
【図3】図1の台車の調節装置および弾性連結部の部分図。
【符号の説明】
【0036】
10…台車、12,14…車軸、18…軸箱、22,48,50…ゴムばね、40,42…クロスメンバ、44…リニア誘導モータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両の車体を支持するための台車であって、
各々1対の左右の軸箱においてジャーナルに連結されている2つの車軸と、
第1の懸架装置によって軸箱上に支持されており、かつ、車体を支持するための第2の懸架装置を備える台車フレームと、
各々左右の弾性取付手段によって1対の左右の軸箱のうちの1つに取り付けられている2つのクロスメンバと、弾性取付手段はクロスメンバがクロスメンバの回転横断軸周りに限定的に旋回運動することを可能とすることと、
各クロスメンバにリニア誘導モータを連結するためのリンク手段と、各クロスメンバ上のリンク手段によって付勢される合力の作用点は左右の弾性取付手段から等距離にあり、クロスメンバの回転軸の中心に位置することと、からなる台車。
【請求項2】
リンク手段はリニア誘導モータとクロスメンバとの間の推力方向への相対移動を可能とすることと、
台車はリニア誘導モータと台車または鉄道車両の車体との間に推力を直接伝達するための推力伝達手段を含むことと、を含む請求項1に記載の台車。
【請求項3】
リンク手段はリニア誘導モータとクロスメンバとの間の台車の横断方向への相対移動を可能とすることと、
台車はリニア誘導モータと台車または鉄道車両の車体との間に横力を直接伝達するための側方リンク手段を含むことと、を含む請求項1または2に記載の台車。
【請求項4】
リンク手段は、2つのクロスメンバのうちの第1のクロスメンバにリニア誘導モータを連結するための2つ以上のリンク部材と、2つのクロスメンバのうちの第2のクロスメンバにリニア誘導モータを連結するための1つ以上のリンク部材とを含むことと、
同2つ以上のリンク部材は第1のクロスメンバの中央点の両側に側方に離間された2つの位置にて第1のクロスメンバに連結されていることと、を含む請求項1乃至3のいずれか一項に記載の台車。
【請求項5】
リンク手段は2つのクロスメンバのうちの第1のクロスメンバにリニア誘導モータを連結するための3つの垂直リンク部材からなるセットを含むことと、
同セットは第1のクロスメンバを長手方向に見て一方の側にて第1のクロスメンバに枢着されている中央リンクと、第1のクロスメンバの他方の側にて第1のクロスメンバの中央点の両側に側方に離間され、かつ、第1のクロスメンバの中央点から等距離にある2つの位置にて第1のクロスメンバに枢着されている1対の左右のリンク部材とからなることと、
3つの垂直リンク部材はリニア誘導モータに枢着されていることと、を含む請求項1乃至4のいずれか一項に記載の台車。
【請求項6】
リンク手段は第2のクロスメンバの回転軸の両側に前後方向に離間された2つの位置にてリニア誘導モータと、第2のクロスメンバとに枢着されている2つの垂直リンク部材からなるセットを含む請求項5に記載の台車。
【請求項7】
左右の弾性取付手段はクロスメンバと軸箱との間の距離を調節するための左右の高さ調節機構を含む請求項1乃至6のいずれか一項に記載の台車。
【請求項8】
各高さ調節機構は雌ねじを備える第1の調節装置要素および雄ねじを備える第2の調節装置要素を含むことと、第1の調節装置要素および第2の調節装置要素のうちの一方は対応する軸箱に固定されていることと、第1の調節装置要素および第2の調節装置要素のう
ちの他方はゴムばねを通じてクロスメンバに固定されていることと、を含む請求項7に記載の台車。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の台車にリニア誘導モータを取り付けるための方法であって、リンク手段によって第1のクロスメンバおよび第2のクロスメンバにリニア誘導モータを取り付ける工程を含む方法。
【請求項10】
3箇所以上、好適には4箇所以上において、リニア誘導モータまたはクロスメンバと地面またはリアクションレールとの間の距離を測定する工程を含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
左右の弾性取付手段はクロスメンバと軸箱との間の距離を調節するための左右の高さ調節機構を含むことと、
測定した距離に基づき水準誤差を評価する工程と、
第2の高さ偏差および水準誤差に基づきクロスメンバのうちの1つの左右の弾性取付手段の高さ調節機構を操作する工程と、を含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
左右の弾性取付手段はクロスメンバと軸箱との間の距離を調節するための左右の高さ調節機構を含むことと、
測定した距離に基づき、リニア誘導モータの前後方向の第1の端における所定の所要高さからの第1の高さ偏差と、リニア誘導モータの前後方向の第2の端における所定の所要高さからの第2の高さ偏差とを評価する工程と、
第1の高さ偏差に基づきリニア誘導モータの前後方向の第1の端近くの左右の弾性取付手段の高さ調節機構を操作する工程と、
第2の高さ偏差に基づきリニア誘導モータの前後方向の第2の端近くの左右の弾性取付手段の高さ調節機構を操作する工程と、を含む請求項10に記載の方法。
【請求項13】
左右の弾性取付手段はクロスメンバと軸箱との間の距離を調節するための左右の高さ調節機構を含むことと、
測定した距離に基づき、リニア誘導モータの前後方向の第1の端における所定の所要高さからの第1の高さ偏差と、リニア誘導モータの前後方向の第2の端における所定の所要高さからの第2の高さ偏差とを評価する工程と、
測定した距離に基づき水準誤差を評価する工程と、
第1の高さ偏差に基づきリニア誘導モータの前後方向の第1の端近くの左右の弾性取付手段の高さ調節機構を操作する工程と、
第2の高さ偏差および水準誤差に基づき、リニア誘導モータの前後方向の第2の端近くの左右の弾性取付手段の高さ調節機構を操作する工程と、を含む請求項9に記載の方法。
【請求項14】
請求項7または8に記載の台車に取り付けられたリニア誘導モータの位置を調節するための方法であって、
3箇所以上、好適には4箇所以上において、リニア誘導モータまたはクロスメンバと、地面またはリアクションレールとの間の距離を測定する工程と、
測定した距離に基づき、リニア誘導モータの前後方向の第1の端における所定の所要高さからの第1の高さ偏差と、リニア誘導モータの前後方向の第2の端における所定の所要高さからの第2の高さ偏差とを評価する工程と、
測定した距離に基づき水準誤差を評価する工程と、
第1の高さ偏差に基づきリニア誘導モータの前後方向の第1の端近くの左右の弾性取付手段の高さ調節機構を操作する工程と、
第2の高さ偏差および水準誤差に基づき、リニア誘導モータの前後方向の第2の端近くの左右の弾性取付手段の高さ調節機構を操作する工程と、を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−168787(P2007−168787A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−348068(P2006−348068)
【出願日】平成18年12月25日(2006.12.25)
【出願人】(506427842)ボンバルディール トランスポーテーション ゲーエムベーハー (1)
【氏名又は名称原語表記】BOMBARDIER TRANSPORTATION GMBH