説明

リハビリテーション用手縒り独楽セット

【課題】両手を連動させない単純な運動による作業・理学療法にしか対応出来ない。
【解決手段】独楽本体1と、該独楽本体に対し着脱可能にして、少なくとも一方向に回転不能に装着可能な、径の異なる複数本の芯軸2、2a…とを有したものとすることにより、独楽本体1に芯軸2、2a…のどれかを装着した手縒り独楽に回転力を効率的に与えてるべく、芯軸2(2a…)を挟んだ両手のバランスを保たせつつ、擦り合わせる様に互い違いの方向に均等に動かす単純且つ高度な運動の反復により運動機能を効率的に向上させる様にする。更に、芯軸2(2a…)を軸径を小さいものに段階を踏んで取り替えていくことで操作性を悪くし回転させ難くした手縒り独楽としていくことにより、段階的に更なる機能向上を図っていく様にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業療法や理学療法におけるリハビリテーションの一環として使用するリハビリテーション用手縒り独楽セットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、独楽を回すことにより、高齢者の痴呆症の予防や、老若男女を問わず障害者の身体機能の回復のための病院や自宅等でのリハビリテーションとして、指先を使うことによって指先を刺激し脳を活性化させたり、脳梗塞などにより機能不全に陥った脳神経回路を別の脳神経回路を使って対処させる様にして、痴呆症の予防及び身体機能の回復を図ることが可能と考えられ、その一環として、激しい動作を必要とせず簡易に行うことが可能で、高齢者や障害者にも手軽に行える、下まわし式又は上まわし式の捻り独楽を指先で回す独楽まわしが有効であると認識されていることは事実である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
又、リハビリテーションに使用する独楽としては、回転軸の下部にコマ盤を設け、該コマ盤の下に糸巻き溝を有した補助盤を設け、コマ盤の上に回転軸を設けて、左手でコマを持ち、右手に糸を持ち補助盤の糸巻き溝に糸を力強く巻き付け、巻き付けた糸は緩まないように指にからめておきながらコマを持ち、回転軸に装着したカラーを左手の親指と人差し指で持ちコマを回す位置におきコマを支え、その状態のままで右手に持っている糸を力強く引き抜くことで勢い良く回すことが可能な補助つきコマが見受けられる(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2006−247119号公報(段落番号〔0002〕)
【特許文献2】実用新案登録第3085695号公報(請求項1、第4頁末尾)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1に記載の従来技術にあっては、独楽の軸を親指と人指し指又は中指で摘んで回すだけであり、上記特許文献2に記載の従来技術にあっては、片方の手で独楽を回転可能に支持し、もう片方の手で糸を引っ張るだけであるため、両者共に両手を連動させない極めて単純な運動であり、而もそれ以上の、特に運動機能の回復、向上を見込めず、基本的な作業・理学療法としてしか利用出来ないなど、解決せねばならない課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記従来技術に基づく、両手を連動させない単純な運動による作業・理学療法にしか対応出来ない課題に鑑み、独楽本体と、該独楽本体に対し着脱可能にして、少なくとも一方向に回転不能に装着可能な、径の異なる複数本の芯軸とを有しているものとすることによって、手縒り独楽に回転力を効率的に与えてるべく、芯軸を挟んだ両手のバランスを保たせつつ、擦り合わせる様に互い違いの方向に均等に動かす単純且つ高度な運動の反復により運動機能を効率的に向上させる様にし、更に芯軸を軸径を小さいものに段階を踏んで取り替えていくことで操作性を悪くし回転させ難くした手縒り独楽としていくことによって、段階的に更なる機能向上を図っていく様にし、望ましくは上記独楽本体も径の異なるものを複数個有したものとすることによって、独楽本体を大径な重いものに段階を踏んで取り替えていくことで、筋力を向上させる様にして、上記課題を解決する。
更に、捻り独楽を備えることで、拇指と対立指である第2指又は第3指による所謂『ピンチ運動』をさせて、拇指と第2指又は第3指によるピンチ力を向上させる作業・理学療法にも対応可能にしている。
【発明の効果】
【0007】
要するに本発明は、独楽本体と、該独楽本体に対し着脱可能にして、少なくとも一方向に回転不能に装着可能な、径の異なる複数本の芯軸とを有しているので、かかる手縒り独楽は、両掌を均等な力で重ね合わせバランスを保たせた状態のまま、一方を前方に他方を手前側に反対方向に擦り合わせる様に互い違いの方向に均等に動かす、一見簡単そうではあるが複雑な複合動作をさせることができるため、リハビリテーションの一環として非常に有効であり、而も複数本の芯軸があることで、対象者の症状に適合する径の芯軸を選択出来るため、無理なく機能回復に努めることが出来、上手に回転させることが可能になったら、両手に籠める力を強くし且つ互い違いの方向に均等に動かすスピードを遅くして対応しないと上手に回転させることが出来ない小径な芯軸に順次取り替えることが出来るため、上手に回したいという対象者の向上心を養いつつ更なる機能向上を図ることが出来る。
更に、前記独楽本体を、径の異なる複数個のものを有しているので、独楽本体を大径な重いものに段階を踏んで取り替えていくことで筋力を向上させることか出来、而も上手に回転させることが可能になれば、次のステップとして回転時間を伸ばすことを目的とし、長時間回すためには全身を使い両掌に力を集中させねばならないことから、特に腕部、胸部、背部及び大腿部の筋力向上を図ることが可能となり、他のリハビリテーションにも好影響を及ぼすことにも繋がり、よって理学療法及び作業療法に最適なアイテムを提供出来る等その実用的効果甚だ大である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明に係るリハビリテーション用手縒り独楽セットを図面に基づき説明する。
図1は、本発明に係るリハビリテーション用手縒り独楽セットを示す図であり、径の異なる複数個の独楽本体1、1a…と、各々が全ての独楽本体1、1a…に対し着脱自在とした径の異なる複数本の芯軸2、2a…とを有し、必要に応じて『ピンチ運動』の機能向上のための捻り独楽3を加えたものとしているが、基本的には1個の独楽本体1と、該独楽本体1に対し着脱自在とした径の異なる複数本の芯軸2、2a…とを有していれば良い。
【0009】
独楽本体1、1a…及び芯軸2、2a…における着脱構造にあっては、要するに独楽本体1、1a…に対し芯軸2、2a…を着脱可能にし、且つ少なくとも一方向に回転不能に装着可能な構造であればその構造に何ら限定しないが、具体的には下記実施例1〜3の構造のものが挙げられる。
【実施例1】
【0010】
図2、3は、独楽本体及び芯軸の取付構造をネジ孔及びネジ部とした手縒り独楽の分解斜視図及びその断面図であって、独楽本体1aに形成したネジ孔4及び芯軸2aの下端部に形成したネジ部5により少なくともねじ込み側に回転不能に装着可能且つ着脱が容易な構造としている。
【実施例2】
【0011】
図4、5は、独楽本体及び芯軸の取付構造を板及びネジとした手縒り独楽の分解斜視図おびその断面図であって、芯軸2aの下端に設けた円板部6をネジ7、7a…により独楽本体1aの上面に固定する構造として、芯軸2aを独楽本体1aに対し着脱可能且つ回転不能に装着可能にしている。
【実施例3】
【0012】
独楽本体1aに形成した嵌挿孔8に芯軸2aの下端部を嵌挿状態で貫通させる構造とし、具体的には、図6、7に示す様に、独楽本体1aに多角形状の貫通孔8を形成し、芯軸2aの下端より若干上方に鍔部9を形成すると共に、該鍔部9より上方部分を多角形状の、上記貫通孔8と同一断面形状の嵌挿部10を形成して上記貫通孔8に嵌挿状態とし、図示しないが、必要に応じて芯軸2aの嵌挿部10より上方部分に形成したネジ部にナット部材を螺嵌し独楽本体1aの上面に押圧させる様に緊締する様にしても良い。
そして、図6に示す様に、独楽本体1aにおける貫通孔8の下方開口部より芯軸2aの上端を差し込み、該芯軸2a側の嵌挿部10を独楽本体1a側の嵌挿孔8に嵌挿状態として、芯軸2a側の鍔部9に独楽本体1aの下端部を当接させることで、芯軸2aを独楽本体1aに対し着脱可能且つ回転不能に装着可能にしている。
【0013】
尚、上記実施例1〜3及び図2〜7においては、代表として独楽本体1aと芯軸2aで着脱構造を説明しているが、残りの独楽本体1、1b及び芯軸2、2bにも同一構成の着脱構造を形成ていることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るリハビリテーション用手縒り独楽セットを示す図である。
【図2】独楽本体及び芯軸の取付構造をネジ孔及びネジ部とした手縒り独楽の分解斜視図である。(実施例1)
【図3】図2の手縒り独楽の断面図である。
【図4】独楽本体及び芯軸の取付構造を板及びネジとした手縒り独楽の分解斜視図である。(実施例2)
【図5】図4の手縒り独楽の断面図である。
【図6】独楽本体に対し芯軸を貫通状態で取り付ける手縒り独楽の分解斜視図である。(実施例3)
【図7】図6の手縒り独楽の断面図である。
【符号の説明】
【0015】
1、1a… 独楽本体
2、2a… 芯軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
独楽本体と、該独楽本体に対し着脱可能にして、少なくとも一方向に回転不能に装着可能な、径の異なる複数本の芯軸とを有していることを特徴とするリハビリテーション用手縒り独楽セット。
【請求項2】
前記独楽本体を、径の異なるものを複数個有していることを特徴とする請求項1記載のリハビリテーション用手縒り独楽セット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−46127(P2010−46127A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−210656(P2008−210656)
【出願日】平成20年8月19日(2008.8.19)
【出願人】(508251760)
【出願人】(508251298)
【Fターム(参考)】