説明

リパーゼ測定用乾式分析要素

【課題】トリグリセリドが支持体に転写し搬送スリップや他の分析要素を汚染することがなく、さらに、トリグリセリドの添加液が再凝集や沈降することなく安定で製造適性のある膵リパーゼ分析乾式分析要素の製造方法を提供すること。
【解決手段】炭素差12〜22の長鎖アルキル脂肪酸のトリグリセリド、モノグリセリドリパーゼ、及びグリセリン測定試薬を含有し、水不透過性支持体と少なくとも1つ以上の展開または試薬層からなる体液中の膵リパーゼ測定用乾式分析要素の製造方法において、トリグリセリドを平均粒径1μm以下の乳化分散溶液として塗布する工程を含む、乾式分析要素の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体試料、特に、ヒトおよび動物の血清又は血漿中のリパーゼ活性、特に、膵リパーゼ活性を測定するための、簡便で精度の高い乾式分析要素及びその製造方法に関するものである。本発明の乾式分析要素は、特にヒトおよびイヌの膵疾患診断に有用である。
【背景技術】
【0002】
膵疾患の診断に有用な膵リパーゼ分析は、膵リパーゼが油水界面で作用することから、水中に基質がミセル状に分散された状態で測定されることが多い。界面活性剤などにより可溶化した基質やアルキル鎖長の短い脂肪酸のグリセリドでは、リポプロテインリパーゼ等の非膵リパーゼやエステラーゼが反応することがあるからである。したがって、膵リパーゼ乾式分析要素を開発する際、重要な技術的ポイントは膵リパーゼに特異的な長鎖脂肪酸のグリセリド基質を膵リパーゼ特異的な状態で組み込むことと考えられる。
【0003】
リパーゼを分析する乾式分析要素は、大きく2つに分類され、第1は、色素放出基質である1,2−O−ジラウリルーrac−グリセロ−3−グリタル酸・レゾルフィンエステルを用いる乾式分析要素である(特開平9-154598号公報)。この方法は、膵リパーゼ特異性が高く、かつ、グリセリン発色系が不要であるため、好ましい方法である。しかしながら、乾式分析要素に組み込まれた基質が極めて分解しやすく、低pHのリパーゼ基質含有層と高pHの他の試薬層を分離する試みをなされたものの実用化には至っていない。また、この基質が比較的高価なことも、実用化するのに問題となる。
【0004】
第二は、トリグリセリドを基質としグリセリン、過酸化水素を経て色素に変換する方法を用いるものである。最初に開示された方法は、α位のエステル位の一つに炭素数8個以上の長鎖のアルキル基を有し、他の2つのエステルは短鎖のアルキル基を有するトリグリセリドを基質に用い、検体中のリパーゼにより生成した水溶性の1,2ジアセチルグリセリドをアセチナーゼというエステラーゼでグリセリンに変換し、グリセリンを色素に変換する多層乾式分析要素である(特開昭59-48098号公報)。この方法は、高精度で簡易なリパーゼ測定法であるが、膵リパーゼに対する選択性が高くなく膵疾患の診断には注意が必要であることが報告されている〔Clin. Chem., 37/3, 447-451 (1991) 〕。この特異性の問題は、基質のトリグリセリドが短鎖のアルキル基も含有することに起因している可能性がある。
【0005】
続いて開示された方法は、同じくトリグリセリドを基質とする方法であるが、トリオレインのような、炭素数14〜20の長鎖脂肪酸だけを有するトリグリセリドを基質とし、モノグリセリドリパーゼ、グリセリン測定試薬を含むドライケミストリー用膵リパーゼ分析試薬が開示されている(特開平4-316500号公報)。トリオレインを用いる方法は膵リパーゼに特異性は高いと予想されるが、このトリオレインの添加方法は、脂溶性が高い基質を組み込むためアラビアゴム等の保護コロイドを用い、超音波処理による水系乳化分散を行っている(特開平4-316500号公報の実施例)。この乳化分散方法では、基質の分散の再現性や粒度分布の均一性を保つことが要求され、製造が困難であると考えられる。
【0006】
例えば、特開平4-316500号公報では次のように記載されている。“トリオレインのような3つのエステル位全てに長鎖脂肪酸を有するトリグリセリドは乳化しにくい性質を持つため、ドライ試薬作製時に界面活性剤や保護コロイドの存在下でトリオレインを攪拌、超音波等の物理的な剪断力により均一に乳化分散した溶液として添加してもドライ状態にすると分散媒である水が無くなるために乳化物は凝集、合一し展開層表面に付着し、油水界面の表面積が極端に減少する。測定時に、このドライ試薬にリパーゼを含む検体(液体)を作用させても物理的な剪断力がないため、トリオレインは凝集、合一したまま元の分散状態には戻らない。リパーゼは油水界面が反応場であるため、油水界面の表面積の減少が反応速度を低下させる原因と考えられる。”
【0007】
また、特開平4-316500号の方法は、実施例で濾紙、ナイロン製膜に試薬を含浸しているが、強度を保つための支持体を用いていないため、製造工程での一定速度・高速での搬送、巻取りが困難と考えられる。測定精度と生産性を兼ね備えた乾式分析要素を製造するためには、支持体を付与することがほぼ必須の課題となる。
【0008】
特開平4-316500号の方法を応用し、支持体を付与することで精度が高い多層分析要素を作製し、さらに、微粒子を組み込むことでリパーゼの反応性を高めることを期した方法は特開2002-125699号公報に記載されている。本出願人は、この方法をさらに進め、トリオレインなどのグリセリドをエタノール等の有機溶剤に溶解した状態で、支持体を含む分析要素に添加する方法を考案し、膵リパーゼに特異性の高いリパーゼ測定用乾式分析要素を作製した。
【0009】
しかし、これらのトリオレインを基質とし安定製造に必要な支持体を含む乾式分析要素を作製する際、思いもよらず、新たな重大な問題が発生した。すなわち、トリオレインがオイルであるため、リパーゼの反応層に添加されたトリオレインが、搬送物の巻き取り時に支持体の裏側に容易に転写し、転写された支持体上のトリオレインが搬送用のパスロールに転写し、搬送に必要なパスロールと支持体間の摩擦力を低下させ、搬送スリップが発生することが見出された。高精度の乾式分析要素を作製するためには、塗布・含浸等で一定量の試薬を添加することが必要であるため、搬送時のスリップ発生は、一定量の試薬の添加を不能にする。このことは、リパーゼ測定用乾式分析要素の製造ができないだけでなく、オイルで汚染された搬送系を有す製造機が、その時点で、一定量の試薬添加を保証する必要のある高精度の臨床分析用の製品(例えば、グルコース分析具、コレステロール分析具等)の製造機として使用不能となることを意味する。また、支持体に転写されたトリオレインは、搬送系に不具合を発生させるだけでなく、中性脂肪測定分析用具に転写した場合、正誤差を与える。
【0010】
上記の通りの問題点が存在するため、現在に至っても、商品化されているリパーゼ分析用乾式分析要素は、膵リパーゼ特異性が高くない、特開昭59-48098号公報に記載の製品だけであり、市場から、膵疾患診断において、より信頼性の高い乾式分析要素が求められている。
【0011】
【特許文献1】特開平9-154598号公報
【特許文献2】特開昭59-48098号公報
【特許文献3】特開平4-316500号公報
【特許文献4】特開2002-125699号公報
【非特許文献1】Clin. Chem., 37/3, 447-451 (1991)
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明の炭素差12〜22の長鎖アルキル脂肪酸のトリグリセリド、モノグリセリドリパーゼ、及びグリセリン測定試薬を含有し、水不透過性支持体と少なくとも1つ以上の展開または試薬層からなる体液中の膵リパーゼ測定用乾式分析要素の製造方法は、トリグリセリドを平均粒径1μm以下の乳化分散溶液として塗布する工程を含むことを特徴とする。
【0023】
乳化分散物の平均粒径は1μm以下であればよいが、好ましくは、乳化分散物の平均粒径は0.5μm以下であり、より好ましくは0.3μm以下である。更に好ましくは0.2μm以下である。乳化方法として、超音波法、せん断法、高圧ホモジナイザー法が用いられるが、高圧乳化法が発泡を抑えながら微細分散を可能にし、高圧乳化することで、好ましくは100MPa以上の圧力でトリオレインの乳化分散液を作製する。高圧ホモジナイザー法の超音波分散法を組み合わせる方法が好ましい。
【0024】
基質であるトリグリセリドの添加方法を説明する。トリグリセリドをエタノールなどの有機溶剤に可溶化し添加する方法は、オイルであるトリグリセリドの支持体や他の分析要素への転写が容易に発生することが本発明の研究過程で見出された。このため、この方法を採用するには、注意が必要である。製造機全体へのトリグリセリドの汚染に繋がり、一定速度の搬送を不可能にすることがある。また、界面活性剤を多量に添加することで、トリグリセリドを水系溶媒に溶解し添加する方法は、膵リパーゼだけでなく、非膵リパーゼやエステラーゼのこれらの基質への反応性を向上させることがあり、また、界面活性剤が共役酵素を失活させることがあるので、好ましくない。
【0025】
このため、本発明ではトリグリセリドを乳化分散液として作製し、乾式分析要素に添加する方法を用いる。従来、トリオレインをリパーゼ分析液や乾式分析具に添加する方法として使用されてきたアラビアゴム等の保護コロイドを用い超音波分散による分散法は、一般的に、形成される分散物の平均粒径は1μmを超え、保護コロイドで安定化されているとはいえ、試薬添加のタイミング、攪拌効率、液温の変動等によりグリセリド粒子径は安定せず、ロット内、ロット間のバラツキは大きく、精度がよいリパーゼ乾式分析具を製造するには困難である。また、分散粒径が小さくならない限り、粒子の再凝集や沈降が発生する。この分散液の不安定性は、均一な分析要素を作製するためには問題となる。このため、本発明の微細分散方法が好ましい。
【0026】
(乳化方法)
〔高圧ホモジナイザー〕
そこで、本発明のトリオレイン等のグリセリド(リパーゼ基質)は、既知の乳化方法を用いて微細油滴状に乳化することが出来る。本発明に用いられる乳化方法として、高圧ホモジナイザーの使用が挙げられる。高圧ホモジナイザーには、処理液の流路が固定されたチャンバーを有するチャンバー型高圧ホモジナイザー及び均質バルブを有する均質バルブ型高圧ホモジナイザーがある。これらの中では、均質バルブ型高圧ホモジナイザーは、処理液の流路の幅を容易に調節することができるので、操作時の圧力及び流量を任意に設定することができ、その操作範囲が広いため特に食品や化粧品などの乳化分野で広く用いられている。これに対し、操作の自由度は低いが、圧力を高める機構が作りやすいため、超高圧を必要とする用途にはチャンバー型高圧ホモジナイザーが用いられる。
【0027】
チャンバー型高圧ホモジナイザーとしては、マイクロフルイダイザー(マイクロフルイディクス社製)、ナノマイザー(吉田機械興業(株)製)、アルティマイザー((株)スギノマシン製)等が挙げられる。
【0028】
均質バルブ型高圧ホモジナイザーとしては、ゴーリンタイプホモジナイザー(APV社製)、ラニエタイプホモジナイザー(ラニエ社製)、高圧ホモジナイザー(ニロ・ソアビ社製)、ホモゲナイザー(三和機械(株)製)、高圧ホモゲナイザー(イズミフードマシナリ(株)製)、超高圧ホモジナイザー(イカ社製)等が挙げられる。
【0029】
高圧ホモジナイザーによる乳化は、液体が非常に狭い(小さな)間隙を高速度で通過する際に発生する大きな剪断力によるものと考えられる。この剪断力の大きさはほぼ圧力に比例し、高圧になればなるほど水性液体中に乳化された油滴粒子にかかる剪断力すなわち乳化力は強くなる。しかし、液体が高速で流れるときの運動エネルギーの大半は熱に変わるため、高圧になればなるほど液体の温度は上昇し、これによって乳化液成分の劣化や粒子の再合一が促進される事がある。従って、高圧ホモジナイザーの圧力は最適点が存在するが、その最適点は乳化される物、狙うべく粒径によっても異なると考えられる。
【0030】
本発明のトリグリセリドを平均粒径が200nmの範囲に乳化分散するためには、100MPaから300MPaの圧力で乳化するのが好ましい。150MPa〜300MPaが更に好ましい。このような、高圧での運転は、均質バルブ型高圧ホモジナイザーでも可能あるが、運転条件の安定性の観点から、チャンバー型高圧ホモジナイザーがより好ましい。均質バルブ型高圧ホモジナイザーではその構造上150MPaの圧力を出すのはかなり難しく、実験室スケールのものでは200MPa程度まで出すことも出来るが、安定製造を考えると150MPaでの運転が最高圧である。これに対し、チャンバー型高圧ホモジナイザーでは、300MPa迄の超高圧が生産スケールで実現されていることから、本発明の乳化装置としては好適である。乳化液はチャンバー通過直後30秒以内、好ましくは3秒以内に何らかの冷却器を通して冷却することが好ましい。乳化−冷却のサイクルを1回でも充分微細な乳化物を得ることが出来るが、更に微細化の観点から複数回、好ましくは3回〜10回繰り返すのが好ましい。
【0031】
〔超音波ホモジナイザー〕
本発明のグリセリド微細に乳化するもう一つの有力な方法として超音波ホモジナイザーの使用を挙げることが出来る。具体的には、予備混合物に15〜40kHzの周波数で超音波を照射する方法が知られていた。しかしながら、超音波を発生させる装置は未だ十分なスケールで照射できるものは商業的に販売されておらず、小さい装置では処理可能な液媒体の体積に限界があった。従って、このような超音波を発生させる装置を用いた乳化物の製造方法では、小量で調製された乳化物の性能は大変優れているが、処理可能な量が小さくなってしまい、工業的な量産は困難であった。
【0032】
最近、超音波照射装置の高出力化が進み、ある程度の量産化が可能となってきた。高出力超音波ホモジナイザーの例としては、超音波ホモジナイザーUS−1200T、同RUS−1200T、同MUS−1200T(以上、(株)日本精機製作所製)、超音波プロセッサーUIP2000,同UIP−4000、同UIP−8000,同UIP−16000(以上、ヒールッシャー社製)等が挙げられる。これらの高出力超音波照射装置を用いて25kHz以下の周波数、好ましくは15〜20kHzの周波数で、且つ乳化部のエネルギー密度が100W/cm2以上、好ましくは120W/cm2とすることにより、微細化が可能となった。
【0033】
超音波照射はバッチ式でも良いが、その際には乳化液全体を攪拌する手段と併用することが好ましい。併用する攪拌手段としてはアジテーター、マグネチックスターラー、ディスパー等の攪拌が用いられる。更に好ましくはフロー式の超音波照射を行うことが出来る。フロー式とはすなわち乳化液供給タンク、供給ポンプを備え、一定流量で超音波照射部を備えたチャンバー中に乳化液を送るものである。チャンバーへの液の供給はどういう方向でも効果があるが、超音波照射面に対し液の流れが垂直に衝突する方向に供給する方法が特に好ましい。
【0034】
超音波照射を行う時間は、特に制限されないが、実質的に容器内で超音波が照射されている時間で、2〜200分/Kg乳化物、であることが好ましい。短すぎると分散が不十分であり、長すぎると再合一が起こる可能性がある。グリセリドの種類や乳化剤の使用方法により最適時間は変化するが、一般に好ましくは10分〜100分/Kgの間である。
【0035】
高エネルギー密度の超音波照射による乳化液の温度上昇により、乳化液中の構成成分の劣化や粒子の再合一が起こる可能性があるため、冷却手段を併用することが好ましい。バッチ照射の場合には照射容器を外から冷却したり、容器の中に冷却ユニット設置することが出来る。また、フロー式の場合には、超音波照射チャンバーを外から冷却するほかにフロー循環の途中に熱交換器等の冷却手段を設置することが好ましい。
【0036】
超音波ホモジナイザーを前記の超高圧ホモジナイザーと併用すると更に好ましい乳化分散物が得られる。すなわち、予備混合物に超音波照射を終えた後に、超高圧ホモジナイザー乳化を行うことで超高圧ホモジナイザー乳化効率が高まり、パス回数の低減が図られると共に粗大粒子を低減することが可能となる。また、超高圧ホモジナイザー分散行った乳化物に更に超音波照射を行うことで、粗大粒子が無くなり好ましい。また、超高圧分散と超音波照射を交互に行うなど任意の順序でこれらの工程を繰り返し行うことも出来る。
また、せん断法または超音波乳化とせん断法と組み合わせても1μmより小さなトリグリセリドの良好な乳化物を作製することができる。
【0037】
<粒径測定法1>
本発明における平均粒径は、体積平均粒径(Mean Volume Diameter)とする。本発明の水中油滴型エマルションの粒径(体積平均粒径)は市販の粒度分布計等で計測することができる。エマルションの粒度分布測定法としては、光学顕微鏡法、共焦点レーザー顕微鏡法、電子顕微鏡法、原子間力顕微鏡法、静的光散乱法、レーザー回折法、動的光散乱法、遠心沈降法、電気パルス計測法、クロマトグラフィー法、超音波減衰法等が知られており、それぞれの原理に対応した装置が市販されている。
【0038】
本発明における粒径範囲および測定の容易さから、本発明のエマルション粒径測定では動的光散乱法が好ましい。動的光散乱を用いた市販の測定装置としては、ナノトラックUPA(日機装(株))、動的光散乱式粒径分布測定装置LB−550((株)堀場製作所)、濃厚系粒径アナライザーFPAR−1000(大塚電子(株))等が挙げられる。
【0039】
また、エマルション組成物の粒子径は、エマルション組成物の成分以外に、製造方法における攪拌条件(せん断力・温度・圧力)や、油相と水相比率、などの要因によって調整することができる。
【0040】
本発明における粒径は、日機装社製ナノトラックUPA-EX150を用いて25℃で測定し、粒径、単分散度を評価した。粒径は体積平均粒径Mvで評価した。単分散度は体積平均粒径Mvを数平均粒径Mnで除した値(Mv/Mn)で評価した。
前記体積平均粒径の測定方法は、油相成分の濃度が0.1〜1質量%の範囲内になるように純水で希釈を行い、測定用セル部に入れる。体積平均粒径は、分散媒屈折率として1.3313(純水)、分散媒の粘度として0.8846mPa・S(純水)を用いて求めることができる。
【0041】
また、簡易な粒径測定法として、Mie散乱理論に基づく濁度比から平均粒子径(この方法では散乱断面積平均)算出する方法がある(R.J.Gledhill, J.Phys.Chem.,〔66〕458(1962))。Mie散乱領域に於ける散乱強度は波長のn乗に依存し、このnが粒径に依存しているので、この領域より粒径が大きいと波長依存性が無くなり、逆に小さいと粒径とは関係なく波長の4乗に逆比例する、いわゆるレイリー散乱域になる。
【0042】
<展開層に添加する親水性ポリマー>
展開層には親水性ポリマーも含有させることができる。この親水性ポリマーには、澱粉、セルロースおよびセルロース誘導体(メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等)、アガロース、ゼラチン(例、酸処理ゼラチン、脱イオンゼラチン等)、ゼラチン誘導体(例、フタル化ゼラチン、ヒドロキシアクリレートグラフトゼラチン等)、アクリルアミド重合体、アクリルアミドと各種ビニル性モノマーとの共重合体、ビニルピロリドン重合体、ビニルピロリドンと各種ビニル性モノマーとの共重合体、アクリレート重合体およびアクリレートと各種ビニル性モノマーとの共重合体等を挙げることができる。上記親水性ポリマーのうちではビニルピロリドン誘導体とセルロース誘導体が好ましい。特に、好ましいのはセルロース誘導体である。本発明で使用するグリセリン測定試薬で、ペルオキシダーゼとロイコ色素を用いる時、ポリビニルピロリドンは、非特異的な発色が発生しやすいからである。
【0043】
<トリグリセリドの乳化分散溶液に添加する水溶性ポリマー>
上記の展開層に添加する親水性ポリマーを、特に、トリグリセリドの乳化分散溶液に添加することがトリグリセリドの転写抑制に好ましく、特に好ましい親水性ポリマーは、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、セルロース誘導体、ゼラチンである。
好ましくは、セルロース誘導体は、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースから選択される。さらに好ましくは、親水性ポリマーとして、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチンを含む。トリグリセリドの乳化分散溶液における親水性ポリマーの添加量は好ましくは、親水性ポリマーの合計で5g/m2以上、より好ましくは10g/m2以上である。
【0044】
本発明では、トリオレインの乳化分散溶液にゼラチンを含ませることで、製造原材料である、トリオレインの乳化分散物の保存性に関し、好ましい結果を得た。すなわち、トリオレインの乳化分散溶液は、溶解状態で6時間以上安定であっただけでなく、ゼラチンが室温以下でゲル化する性質があるので、トリオレインの乳化分散物、または、その溶液を、冷蔵保存することで長期保存することができた。加温状態で液体の分散物が冷蔵保存でゲル化したことで、トリオレインの再凝集が抑制されたためと考えられる。ゼラチンを含む乳化分散物の長期安定性を強化するためには、さらに、防腐剤を加えることができる。これらの製造技術を加えることで、トリオレインの乳化分散物は冷蔵で2週間以上、保存可能となった。ゼラチンは、酸処理ゼラチン、アルカリ処理ゼラチンが使用できるが、アルカリ処理ゼラチンが好ましい。
【0045】
<トリグリセリド>
本発明で使用するトリグリセリドは、膵リパーゼへの特異性を向上させるために、長鎖アルキル鎖の脂肪酸からなるトリグリセリドである。長鎖アルキル鎖は飽和でも不飽和でもよい。好ましくは、不飽和脂肪酸のトリグリセリドである。不飽和脂肪酸の膵リパーゼの反応性が相対的に低い。長鎖アルキル鎖の脂肪酸のアルキル鎖長は、膵リパーゼへの選択性から炭素数12以上22以下であればよく、好ましくは炭素数16以上20以下である。以下に例を示す。
【0046】
飽和脂肪酸の例は、ラウリン酸(C12:0)、ミリスチン酸(C14:0)、パルミチン酸(C16:0)、ステアリン酸(C18:0)、アラキン酸(C20:0)、ベヘン酸(C22:0)が挙げられる。不飽和脂肪酸の例は、パルミトオレイン酸(C16:1)、ペトロセリン酸(C11H23COOH)、オレイン酸(C18:1)、リノール酸(C18:1)、リノレン酸(C18:2)、エレステアリン酸(C18:3)、アラキドン酸(C20:4)等が挙げられる。好ましいのは不飽和脂肪酸のトリグリセリドである。好ましくは、オレイン酸、リノール酸のトリグリセリドである。特に、好ましいトリグリセリドは、オレイン酸のトリグリセリドであるトリオレインである。
【0047】
<モノグリセリドリパーゼ>
本発明の乾式分析要素に組み込まれる試薬系には、モノグリセリドリパーゼを加える。モノグリセリドリパーゼは、トリグリセリドおよびジグリセリドと実質的に反応せず、長鎖脂肪酸のモノグリセリドに反応するものが好ましい。特に好ましいのは、特開昭63-245672、特開平4-316500号公報に記載の、バチルス・ステアロサーモフィラスH-165由来のモノグリセリドリパーゼである。
【0048】
<グリセリン測定試薬>
本発明で採用している測定反応系は、測定対象であるリパーゼによって基質であるトリグリセリドが分解して生成するモノグリセリドをモノグリセリドリパーゼで分解する。好ましいグリセリン発色系は、このグリセロールをグリセロールキナーゼによってL−α−グリセロリン酸とし、L−α−グリセロリン酸をL−α−グリセロリン酸オキシダーゼによってジヒドロキシアセトンリン酸に変えるとともに過酸化水素を発生させ、この過酸化水素によりペルオキシダーゼの作用で発色色素を発色させるものである。
【0049】
グリセロールキナーゼはグリセロールとATPを反応させてL−α−グリセロリン酸(L−グリセロール−3−リン酸)とADPに変えるものであり、Mg2+、Mn2+等を補酵素としている。
【0050】
L−α−グリセロリン酸オキシダーゼ(グリセロール−3−リン酸オキシダーゼ)はL−グリセロリン酸を酸化してジヒドロキシアセトンリン酸に変えるとともに過酸化水素を発生させるものである。
【0051】
この過酸化水素によりペルオキシダーゼの作用で発色させる発色系は乾式分析要素用として種々開発されており、そのなかから適宜選択して使用することができる。その多くはロイコ色素であり、代表的なものはo−トルイジンである。
【0052】
<層構成>
層構成は、少なくとも1つ以上の展開層または試薬層、並びに、より測定精度と強度を高めるために、また、製造工程における搬送性を向上させるために支持体を含む。最もシンプルな形態は支持体と試薬層の機能も持つ展開層からなる。層の数は多くしてもよい。
【0053】
<支持体>
本発明のリパーゼ測定用乾式分析要素の支持体層を構成するものとしては、光透過性でかつ水不透過性である支持体が用いることができる。展開層側から測定する場合には光不透過性の支持体を用いてもよい。支持体は、乾式分析要素の強度を与え、製造効率を向上させる。光不透過性・水不透過性支持体の例としては、ポリエチレンテレフタレート、ビスフェノールAのポリカルボネート、ポリスチレン、セルロースエステル(例、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート等)等のポリマーからなる厚さ約50μmから約1mm、好ましくは約80μmから約300μmの範囲のフィルムもしくはシート状の透明支持体を挙げることができる。好ましい材料は、強度、光学特性からポリエチレンテレフタレートである。
【0054】
支持体の表面には必要により下塗層を設けて、支持体の上に設けられる反応層と支持体との接着を強固なものにすることができる。また、下塗層の代りに、支持体の表面を物理的あるいは化学的な活性化処理を施して接着力の向上を図ってもよい。
【0055】
<試薬層>
支持体の上には(場合によっては下塗層等の他の層を介して)試薬層が設けてよい。試薬層はアナライトであるリパーゼと反応して光学的に検出可能な変化を生じる後述の試薬組成物の少なくとも一部が親水性ポリマーバインダー中に実質的に一様に分散されている吸水性で水浸透性の層である。
【0056】
試薬層のバインダーとして用いることができる親水性ポリマーは、一般には水吸収時の膨潤率が30℃で約150%から約2000%、好ましくは約250%から約1500%の範囲の天然または合成親水性ポリマーである。そのような親水性ポリマーの例としては、特開昭58−171864号公報および特開昭60−108753号公報等に開示されているゼラチン(例、酸処理ゼラチン、脱イオンゼラチン等)、ゼラチン誘導体(例、フタル化ゼラチン、ヒドロキシアクリレートグラフトゼラチン等)、アガロース、プルラン、プルラン誘導体、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等をあげることができる。
【0057】
試薬層は架橋剤を用いて適宜に架橋硬化された層とすることができる。架橋剤の例として、ゼラチンに対する1,2−ビス(ビニルスルホニルアセトアミド)エタン、ビス(ビニルスルホニルメチル)エーテル等の公知のビニルスルホン系架橋剤、アルデヒド等、メタリルアルコールコポリマーに対するアルデヒド、2個のグリシジル基含有エポキシ化合物等がある。
【0058】
試薬層の乾燥時の厚さは約1μmから約100μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは約3μmから約30μmの範囲である。また試薬層は実質的に透明であることが好ましい。
【0059】
<展開層>
本発明では多孔性展開層に布製の展開層を用いることが好ましいが、ポリスルホン、アセチルセルロースからなる多孔質膜または、微小ビーズから形成する多孔質膜、ガラス繊維濾紙、濾紙など布以外の材質を使用することも可能である。
【0060】
<布>
この布製の多孔性展開層としては特開昭55−164356号公報、特開昭57−66359号公報等に記載の織物布地展開層(例:ブロード、ポプリン等の平織布地等)、特開昭60−222769号公報等に記載の編物布地展開層(例:トリコット編布地、ダブルトリコット編布地、ミラニーズ編布地等)、特開平1−172753号公報に記載のアルカリエッチング液でエッチング処理した織物布地又は編物布地からなる展開層、等がある。好ましいものは編物布であり、特にトリコット編物が好ましい。布の材質としてはポリエステル、綿、ナイロン、絹、ビニロン、レーヨン、ポリアミド、アクリル、ウール、ポリプロピレン、麻等が用いられ、好ましいものはポリエステルである。展開層の厚さは50〜400μm程度、好ましくは200〜400μm程度が適当である。布の空隙率は20〜90%程度、好ましくは40〜85%程度である。
【0061】
多孔性展開層に用いられる織物布地、編物布地は特開昭57−66359に記載のグロー放電処理またはコロナ放電処理に代表される物理的活性化処理を布生地の少なくとも片面に施すか、または特開昭55−164356、特開昭57−66359等に記載の水洗脱脂処理、界面活性剤含浸又は親水性ポリマー含浸等の親水化処理、またはこれらの処理工程を適宜に組み合せて逐次実施することにより布地を親水化し、下側(支持体に近い側)の層との接着力を増大させることができる。
【0062】
展開反応層として多孔性層を用いる場合、その多孔性媒体は繊維質であってもよいし、非繊維質であってもよい。繊維質材料としては、例えば濾紙、不織布、織物布地(例えば平織布地)、編物布地(例えばトリコット編物布地)、ガラス繊維濾紙等を用いることができる。非繊維質材料としては、特開昭49−53888等に記載の酢酸セルロース等からなるメンブランフィルター、特開昭49−53888、特開昭55−90859(対応米国特許4,258,001)、特開昭58−70163(対応米国特許4,486,537)等に記載の無機物又は有機物微粒子からなる連続空隙含有粒状構造物層等のいずれでもよい。特開昭61−4959(対応欧州公開EP0166365A)、特開昭62−116258、特開昭62−138756(対応欧州公開EP0226465A)、特開昭62−138757(対応欧州公開EP 0226465A)、特開昭62−138758(対応欧州公開EP0226465A)等に記載の部分接着された複数の多孔性層の積層物も好適である。
【0063】
展開層への試薬添加のためには、展開層を形成させた後、反応試薬を塗布等の手段により添加してもよく、また、例えば紙、布、高分子からなる多孔質膜等に本発明の試薬を予め含浸又は塗布した後、支持体上に設けた他の水浸透性層の上に、特開昭55-164356 号のような方法で接着させるのも有用な方法である。
【0064】
多孔性層は供給される液体の量にほぼ比例した面積に液体を展開する、いわゆる計量作用を有する展開層であってもよい。この機能の制御には、界面活性剤と親水性バインダーの使用が有用である。
【0065】
本発明の乾式分析要素には上記以外の層も設けることができる。例えば、光遮蔽層、吸水層、接着層等である。
【0066】
本発明の乾式分析要素に組み込まれる試薬として、本発明の測定対象は主に血液に含まれる膵リパーゼの反応性を高めるため、コリパーゼを加えることが好ましい。コリパーゼはブタ膵臓由来のコリパーゼが好ましい。また、膵リパーゼの活性を高め、膵リパーゼ以外のリパーゼ活性を軽減するため、デオキシコール酸やタウロデオキシコール酸を活性化剤として加えることによって、エステラーゼ、肝リパーゼ、リポプロテインリパーゼの影響を排除して、高い特異性で膵リパーゼを測定できる。
【0067】
上記各試薬の含有量としては、トリグリセリドが0.1〜15g/m2程度、好ましくは0.5〜10g/m2程度、グリセロールキナーゼが0.5〜100KU/m2程度、好ましくは1〜10KU/m2程度、L−α−グリセロリン酸オキシダーゼが2〜200KU/m2程度、好ましくは1〜30KU/m2程度、ペルオキシダーゼが1〜200KU/m2程度、好ましくは1〜50KU/m2程度、、発色色素が0.05〜2.00g/m2程度、好ましくは0.1〜1.00g/m2程度、コリパーゼが0.010〜0.400g/m2 程度、デオキシコール酸が0.1〜10g/m2程度、タウロデオキシコール酸が0.05〜10g/m2程度が適当である。
【0068】
ここで、モノグリセリドリパーゼは、好ましくは、8000U/m2から1000U/m2、さらに好ましくは5000U/m2から2000U/m2である。モノグリセリドリパーゼは共役酵素であるものの、過剰量を添加することは好ましくない。ジグリセリドを基質に使用するとバックグランドが高くなることがある。また、トリグリセリドを基質として使用した場合でも、モノグリセリドリパーゼ量が多くなるに従い、血液中の一部のリポプロテインが反応し、測定誤差を生じる場合があるためである。
【0069】
この試薬組成物は全てを試薬層又は展開層に含有させてもよく、また、両層に振り分けて含有させてもよく、一部を他の層に含有させてもよい。
【0070】
本発明の乾式分析要素には、その他の試薬も加えることができる。このような試薬には緩衝剤、界面活性剤等がある。
【0071】
本発明の乾式分析要素に含有させることができる緩衝剤の例としては、炭酸塩、ホウ酸塩、燐酸塩、トリス塩およびグッド(Good)の緩衝剤などの公知の緩衝剤を挙げることができる。これらの緩衝剤は「蛋白質・酵素の基礎実験法」(梶尾武一他,南江堂,1981)等の公知文献を参考にして選択し、使用することができる。含有量は一体型多層分析要素で通常使用されている量と同程度でよく、約100mg/m2〜約20g/m2の範囲、好ましくは約1g/m2〜約10g/m2の範囲である。
【0072】
乾式分析要素を用いた分析では、検体を希釈することなく分析するため、検体に含まれる様々な成分の影響を受けやすい。このリパーゼ活性化の検体間差に関する問題を解決するためには、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルフェニルスルホン酸塩の添加が有用であることを見出している。即ち、従来の乾式分析要素を用いた分析においては、一部の検体のリパーゼ反応不良のために、多検体相関が不良であった。この問題を解決するために、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルフェニルスルホン酸塩を乾式分析要素に添加することによって、相関係数を著しく向上させることに成功した。この効果は、相関で負誤差を生じていた検体のリパーゼ活性が回復したためである。
【0073】
本発明で用いるアニオン界面活性剤は、例えば、親水基が、カルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸塩などを有すものが挙げられる。本発明で用いることができる好ましいスルホン酸基を有するアニオン界面活性剤は、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸液、α‐オレフィンスルホン酸塩、N-アシルメチルタウリン塩である。疎水基の炭素数が12〜20程度が好ましい。これらの中で、リパーゼ活性を阻害せず、乾式分析要素に添加された酵素を失活させないものが好ましい。
【0074】
この中で、好ましくは、アルキルベンゼンスルホン酸塩であり、アルキル差の炭素数10〜14がさらに好ましい。さらに好ましいのは、洗剤の主要成分となっている、炭素数が12である直鎖ドデシルベンゼンスルホン酸塩である。塩は、ナトリウム塩が好ましいが、カリウム塩、リチウム塩も使用できる。アルキルベンゼンスルホン酸を添加した後、乾式分析要素内で塩を形成させてもよい。
【0075】
カルボキシ基を有するアニオン界面活性剤は、リパーゼ活性化作用がある胆汁酸塩が好ましく、デオキシコール酸塩、コール酸塩、タウロコール酸塩、タウロデオキシコール酸塩、デオキシタウロコール酸塩が好ましく、特に、デオキシコール酸ナトリウム、タウロデオキシコール酸ナトリウムが好ましい。
【0076】
アニオン界面活性剤の最適な組み合わせは、デオキシコール酸ナトリウム、タウロデオキシコール酸ナトリウムと直鎖ドデシルベンゼンスルホン酸塩である。
【0077】
本発明におけるアルキルフェニルスルホン酸塩の添加量は、本発明の効果が達成できる限り特に限定されないが、好ましくは0.1〜10g/m2であり、より好ましくは0.2〜5g/m2であり、さらに好ましくは0.5〜5g/m2である。
【0078】
本発明の分析要素の試薬層又は展開層には、上記したアニオン界面活性剤以外の界面活性剤、例えばノニオン性界面活性剤を含有させることもできる。親油基としてアルキル基、アルキルフェニル基、スチレン化フェニル基、ベンジルフェニル基、ソルビタンアルキル基など、親水基はポリオキシエチレン基、ポリグリセロール基、ポリオキシエチレンポリプロピレン重合体などを組み合わせた界面活性剤を用い、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン分岐アルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、アルキルフェニルポリグリセリド等が挙げられる。具体的には、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレン分岐デシルエーテル、ポリオキシエチレンp−オクチルフェノニルエーテル、ポリオキシエチレンp−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンp−ノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、p−ノニルフェノキシポリグリシドール、オクチルグルコシド等がある。これらのノニオン性界面活性剤のうちでは、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレン分岐デシルエーテル、p−オクチルフェノキシポリエトキシエタノール、p−ノニルフェノキシポリエトキシエタノール、p−ノニルフェノキシポリグリシドールなどが好ましい。ノニオン性界面活性剤を展開層に含有させることにより水性液体試料の展開作用(メータリング作用)がより良好になる。ノニオン性界面活性剤を反応層に含有させることにより分析操作時に水性液体試料中の水が反応層に実質的に一様に吸収されやすくなり、また展開層との液体接触が迅速にかつ実質的に一様になる。
【0079】
本発明の乾式分析要素の好ましい製造方法を記す。支持体にゼラチン等のバインダーと界面活性剤を加え、製膜性を向上した水溶液である塗布液を塗布し乾燥することで、試薬層を作製する。試薬層には、発色試薬としてペルオキシダーゼ、ロイコ色素、さらに必要があれば、ATP、塩化マグネシウム、pH緩衝剤を加えることができる。また、ゼラチンをバインダーとして使用する場合、ゼラチンを架橋する、所謂、硬膜剤を加えることができる。展開層は、例えば、布やすでに形成された多孔質膜を展開層膜として用いる場合には、試薬層に水を付着させ一部可溶化したのち、必要なら加温しバインダーをさらに軟化させ、展開層膜と支持体上の試薬層に圧着し乾燥する。
【0080】
(トリグリセリド液の調液方法)
トリグリセリドの乳化分散物は、添加液の経時安定性を増すため親水性ポリマーを添加することができる。塗布安定性を増すために、動的・静的表面張力を適正化するため界面活性剤を加えることができる。ノニオン界面活性剤が使用されることが多いが、添加される共役酵素への影響が小さい場合はアニオン界面活性剤を使用できる。
【0081】
(塗布・乾燥方法)
トリグリセリドの等の試薬の添加方法の中で、ギーサーにより塗布し乾燥する工程が均一で効率の高い生産方法を与える。この工程において、乾燥は温風乾燥が好ましい。乾燥風は温度20〜60℃が好ましく、特に、25〜40℃が好ましい。露点は0℃から10℃が好ましい。風量は0.5〜10m/秒が好ましい。乾燥時間は溶剤が実質的に乾燥すればよく、一方、長時間の乾燥では、共役酵素が失活する場合があるので、1分から60分が好ましい。複数の乾燥ゾーンを用い、それぞれのゾーンで、乾燥風の温度、露点、風速、風向、時間を制御し、良好な乾燥条件を設定することもできる。
【0082】
リパーゼ活性測定に必要な他の反応試薬は、トリグリセリドの添加液と別に調製する方が望ましい。デオキシコール酸塩、タウロデオキシコール酸塩などのリパーゼ活性化剤であるアニオン界面活性剤、コリパーゼ、共役酵素モノグリセリドリパーゼ、pH緩衝剤を蒸留水に溶解する。塗布適性、血液の展開性を向上させるために、バインダーおよび界面活性剤を加えると良い。CaCl2は、どの塗布液に添加してもよいがデオキシコール酸と反応して凝集物を形成する場合もあるので、基質液に溶解して添加するのが好ましい。pHは膵リパーゼの至適pHに近いpH7〜9に調整することが望ましい。反応試薬は、検体中のリパーゼが反応するとき、溶解・拡散することで反応に適した試薬環境を設定できればよいので、各試薬は、製造において基本的にどの層に加えてもよい。この反応試薬液も、上述の、塗布、乾燥方により展開層中に添加できる。
【0083】
試薬の添加方法は、均一な試薬量を設定できれば、含浸してもよく、またスプレーを用いてもよい。各層の作製順序は、均一で試薬が分解しない方法であればよい。
【0084】
本発明の一体型分析要素は、一辺約10mmから約30mmの正方形または、ほぼ同サイズの円形等の小片に裁断し特開昭57−63452号、特開昭54−156079号、実開昭56−142454号、実開昭58−32350号および特開昭58−501144号各公報等に開示のスライド枠等に納めて分析スライドとして用いるのが製造、包装、輸送、保存および測定操作等の全ての観点で好ましい。
【0085】
本発明の一体型分析要素は、前述の諸公報に開示の方法に従い約5μlから約30μl、好ましくは約8μlから約15μlの水性液体試料を多孔性展開層に点着供給し、必要に応じて約20℃から約45℃の範囲の実質的に一定の温度でインクベーションの後に、光透過性支持体側から一体型多層分析要素内の色変化、発色等の検出可能な変化を反射測光し比色法の原理により液体試料中の測定対象成分を分析する。
【0086】
本発明において、体液としては、イヌ、ネコ、その他の動物の体液でもよいし、ヒトの体液を用いてもよい。
【0087】
以下の実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
【実施例】
【0088】
比較例1:膵リパーゼ分析スライドの作製(トリオレインを有機溶剤に溶解し製造、スライド中では油膜として存在):
(トリオレインの支持体または他のスライドへの転写(汚染)は「基質の添加」の巻き取り工程で最も大きくなる。よって、トリオレイン転写実験は、最もトリオレイン転写が大きい「基質の添加」までを実施した塗布物を用いて行った。)
【0089】
(1)グリセリン発色試薬の添加:
ゼラチン下塗りがされている厚さ180μmのポリエチレンテレフタレート無色透明平滑フイルム上に添加試薬を下記の乾燥塗布量となるように、水溶液として127g/m2で塗布し、乾燥させたのち、続いて、水を均一供給し湿潤させ、その上に50デニール相当のポリエチレンテレフタレート紡績糸を36ゲージ編みしたトリコット編み物布地または多孔質膜(アセチルセルロース)を軽く圧力をかけて積層し、乾燥温度20℃でゼラチンを固めたのち、45℃で乾燥させた。なお、pH緩衝剤PIPESを含む塗布液は1N-NaOH水溶液でpH5.5に調整したものを用いた。
【0090】
750ゼラチン(新田ゼラチン) 12 g/m2
PIPES(同仁化学) 1.5 g/m2
塩化マグネシウム(和光純薬工業)0.52 g/m2
ATP−2ナトリウム塩(オリエンタル酵母)1.4 g/m2
ポリオキシエチレントリデシルエーテルHLB14.8(第一工業製薬)0.3 g/m2
ポリエチレンアルキル分岐デシルエーテルHLB15.9 (第一工業製薬)0.06 g/m2
ロイコ色素 0.21 g/m2
ワサビペルオキシダーゼ(東洋紡)14 kU/m2
グリセロールキナーゼ(旭化成)3.8 kU/m2
L-α-グリセロリン酸オキシダーゼ(旭化成)19 kU/m2
1,2−ビス(ビニルスルホニルアセトアミド)エタン 0.12 g/m2
【0091】
(2)基質の添加:
上記の布地上に下記組成の試薬をエタノールに溶解し塗布し、乾燥温度32℃、露点0℃の風で、温風乾燥させた。このエタノール溶液の塗布量は220g/m2とし、乾燥塗布量は下記の通りである。
塩化カルシウム(和光純薬)0.18 g/m2
ポリビニルピロリドンK90(BASF) 2.0 g/m2
トリオレイン(95%、MP Biomedicals)1.1 g/m2
【0092】
(3)リパーゼ反応補助剤の添加:
さらに、下記試薬を水に溶解し、145g/m2で塗布、乾燥し、膵リパーゼ乾式分析要素を作製した。なお、pH緩衝剤HEPESを含む塗布液は1N-NaOH水溶液でpH8.0に調整したものを用いた。乾燥塗布量は下記の通りである。
HEPES(同仁化学) 6.1 g/m2
直鎖ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(和光純薬) 1.0 g/m2
デオキシコール酸ナトリウム(和光純薬) 4.6 g/m2
タウロデオキシコール酸ナトリウム 1.5 g/m2
メトロース 2.1 g/m2
モノグリセリドリパーゼ(旭化成) 4400 U/m2
ブタコリパーゼ(ロシュ)0.1 g/m2
アスコルビン酸オキシダーゼ(東洋紡)8500 U/m2
【0093】
比較例2(トリオレインの粒径が大きい乳化分散方法)
アラビアゴム(和光純薬)の10%水溶液50gに、トリオレイン(95%、MP Biomedicals)1.43gを添加し、超音波分散を行った。
得られた乳化物中のトリオレインの体積平均粒径を、動的光散乱粒径分布測定装置であるナノトラックUPA(日機装製)で測定し、1.693μmであった。分散物は、室温で放置すると、1時間以内に乳化分散物が再凝集することが観察された。
【0094】
実施例1-1(超高圧ホモジナイザーによるトリオレインの微細乳化分散方法)
精製水175mlにポリビニルピロリドンK90(BASF製)4.0g、ゼラチン(新田ゼラチン製)6.0g、および直鎖ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(和光純薬製)0.5gを60℃にて30分溶解した後、液温度を40℃に下げ、この水溶液中にトリオレイン(95%、MP Biomedicals)5.0gを撹拌しながら添加した。上記油水混合粗分散液を、超音波ホモジナイザーUS−600T(日本精機製)にて3分間分散した後、スターバーストミニ超高圧ホモジナイザー(スギノマシン製)を用い245MPaの圧力にて5回処理することで、微細乳化を行った。
【0095】
得られた乳化物中のトリオレインの体積平均粒径を、動的光散乱粒径分布測定装置であるナノトラックUPA(日機装製)で測定したところ、190nmであった。分散物は、40℃で放置後、24時間安定だった。また、4℃で冷蔵すると2週間、安定だった。
【0096】
実施例1-2(PHYSCOTRON乳化装置によるトリオレインの微細乳化分散方法)
精製水223.5mlにポリビニルピロリドンK90(BASF製)10.0g、ゼラチン(新田ゼラチン製)15.0g、および直鎖ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(和光純薬製)1.25gを50℃にて30分溶解した後、液温度を40℃に下げ、この水溶液中にトリオレイン(95%、MP Biomedicals)12.5gを撹拌しながら添加した。上記油水混合粗分散液を、PHYSCOTRON乳化装置(株式会社マイクロテック・ニチオン)にて8000rpm、14分、さらに12000rpm、11分間分散し、微細乳化を行った。
【0097】
得られた乳化物中のトリオレインの体積平均粒径を、動的光散乱粒径分布測定装置であるナノトラックUPA(日機装製)で測定し、370nmであった。分散物は、40℃で放置後、6時間安定だった。また、4℃で冷蔵すると2週間、安定だった。
【0098】
実施例1-3(T.K.HOMODISPER f-modelによるトリオレインの微細乳化分散方法)
精製水223.5mlにポリビニルピロリドンK90(BASF製)10.0g、ゼラチン(新田ゼラチン製)15.0g、および直鎖ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(和光純薬製)1.25gを50℃にて30分溶解した後、液温度を40℃に下げ、この水溶液中にトリオレイン(95%、MP Biomedicals)12.5gを撹拌しながら添加した。上記油水混合粗分散液を、T.K.HOMODISPER f-model(特殊機化工業)にて6000rpm、20分分散し、微細乳化を行った。得られた乳化物中のトリオレインの体積平均粒径を、動的光散乱粒径分布測定装置であるナノトラックUPA(日機装製)で測定し、700nmであった。分散物は、40℃で放置後、6時間安定だった。また、4℃で冷蔵すると2週間、安定だった。
【0099】
実施例2(トリオレイン乳化分散物を用いたリパーゼ測定用乾式分析要素への添加方法 ):
実施例2-1
比較例1において、基質に上記実施例1-1〜1-3で作製したトリオレイン乳化分散液を添加(下記)した。またこの乳化分散塗布液は塗布の工程安定性から134g/m2とし、乾燥塗布量は下記の通りとした。その他は比較例1と同じとし展開層には布を用いた。
実施例2-2
展開層に多孔質膜(アセチルセルロース)を用いる以外は実施例2-1.と同様である。
ポリビニルピロリドンK90 (BASF) 1.96g/m2
塩化カルシウム(無水) (和光純薬工業) 0.18g/m2
実施例1のトリオレイン乳化分散液(以下に塗布量としての処方量を示す)
・ポリビニルピロリドンK90 (BASF) 0.9g/m2
・750ゼラチン (新田ゼラチン) 1.3g/m2
・トリオレイン(95%、MP Biomedicals) 1.1g/m2
・直鎖ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(和光純薬) 0.11 g/m2
【0100】
実施例3(トリオレイン乳化分散物に親水性ポリマーを加えたリパーゼ測定用乾式分析要素への添加方法)
実施例3-1
比較例1において、基質に上記実施例1-1〜1-3で作製したトリオレイン乳化分散液を添加(下記)した。またこの乳化分散塗布液は塗布の工程安定性から134g/m2とし、乾燥塗布量は下記の通りとした。その他は比較例1と同じとし展開層には布を用いた。
実施例3-2
展開層に多孔質膜(アセチルセルロース)を用いる以外は実施例3-1.と同様である。
ヒドロキシプロピルセルロース−L(日本曹達株式会社) 9.8g/m2
塩化カルシウム(無水) (和光純薬工業) 0.18g/m2
実施例1のトリオレイン乳化分散液(以下に塗布量としての処方量を示す)
・ポリビニルピロリドンK90 (BASF) 0.9g/m2
・750ゼラチン (新田ゼラチン) 1.3g/m2
・トリオレイン(95%、MP Biomedicals) 1.1g/m2
・直鎖ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(和光純薬) 0.11 g/m2
【0101】
(測定1:トリオレインの乳化分散液の安定性まとめ)
比較例2および実施例1-1、1-2、1-3で作製したトリオレインの乳化液の、安定性を観察した結果を下表に示す。
【0102】
【表1】

【0103】
トリオレインが微細化されると乳化物の安定性が向上した。
【0104】
(測定2)
例1.リパーゼ分析要素(「基質の添加」まで)からのトリオレインの転写(漏れ)
(1)リパーゼ分析要素(「基質の添加」まで)の布面からFDC、TGスライド布面への転写:
実施例の塗布品を4X3cmに切り取った。TGスライドのマウントを割り、1.2×1.3cmの塗布物を取り出した後、そのTG塗布物で上記実施例の塗布品の布面を擦り、トリオレインを転写させた。その後、マウント加工機で再マウント後、FDC7000アナライザーを用い、7%ヒトアルブミン生食液を点着し、転写したトリオレインに応じた4分後の発色量〔反射濃度ODr(4min)として測定〕を測定し、またコントロールとして、試薬の添加を実施していない布についても同様の布面の拭き取りを行った後、同様の測定し、両測定の差(ΔODr)を算出した。
【0105】
例2.リパーゼ分析要素(製造中間体)からのトリオレインの転写(漏れ)
(1)展開層面からのトリオレインの漏れ
【表2】

【0106】
実施例2-1、2-2は比較例に対し、トリオレイン転写量が大幅に抑制され、実施例3-1、3-2はさらに高い抑制効果が確認された。また乳化物粒径が小さいものほど転写量が小さい傾向にあることが確認された。
【0107】
上記表より、いずれの展開層においてもトリオレインをエタノールに溶解した添加方法より、乳化分散物として添加した方が転写量が大幅に少ないことがわかる。さらに、親水性ポリマーを添加することで、トリオレインの転写量がさらに減少することがわかる。
【0108】
(測定3)リパーゼ乾式分析要素の製造工程搬送時におけるスリップ故障:
比較例1、実施例2-1及び実施例3-1のトリオレインまで添加した製造中間品を、支持体側を搬送ロール(ステンレス製)に付着する方向で、30m/分で搬送した。その結果を示す。
【0109】
【表3】

【0110】
トリオレインをエタノールに溶解し添加した方法(比較例1)と比較し、乳化分散溶液として添加した方法(実施例2-1)はスリップ長が減少し、さらにこのトリオレイン乳化分散溶液に親水性ポリマーを添加した方法はスリップがほとんど発生しないことがわかる。また、乳化物の平均粒径が小さいほどスリップが起こりにくくなる傾向が確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素差12〜22の長鎖アルキル脂肪酸のトリグリセリド、モノグリセリドリパーゼ、及びグリセリン測定試薬を含有し、水不透過性支持体と少なくとも1つ以上の展開または試薬層からなる体液中の膵リパーゼ測定用乾式分析要素の製造方法において、トリグリセリドを平均粒径1μm以下の乳化分散溶液として塗布する工程を含む、乾式分析要素の製造方法。
【請求項2】
トリグリセリドの平均粒径が0.5μm以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
トリグリセリドの平均粒径が0.3μm以下である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
100MPa以上の圧力で高圧乳化することによってトリグリセリドの乳化分散溶液が作製される、請求項1から3の何れかに記載の方法。
【請求項5】
トリグリセリドの乳化分散溶液に親水性ポリマーが含まれている、請求項1から3の何れかに記載の方法。
【請求項6】
トリグリセリドの乳化分散溶液に、5g/m2以上の親水性ポリマーが含まれている、請求項1から5の何れかに記載の方法。
【請求項7】
トリグリセリドの乳化分散溶液に、10g/m2以上の親水性ポリマーが含まれている、請求項1から6の何れかに記載の方法。
【請求項8】
親水性ポリマーが、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、セルロース誘導体、ゼラチン、又はこれらの組み合わせから選択される親水性ポリマーである、請求項5から7の何れかに記載の方法。
【請求項9】
セルロース誘導体が、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、又はメチルセルロースである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
トリグリセリドの乳化分散溶液に、少なくともヒドロキシプロピルセルロースまたはゼラチンが含まれている、請求項5から9の何れかに記載の方法。
【請求項11】
トリグリセリドがトリオレインである、請求項1から10の何れかに記載の方法。
【請求項12】
モノグリセリドリパーゼが、バチルス・ステアロサーモフィラスH-165由来のモノグリセリドリパーゼである、請求項1から11の何れかに記載の方法。
【請求項13】
グリセリン測定試薬が、グリセロキナーゼ、グリセロリン酸オキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよび発色試薬を含む、請求項1から12の何れかに記載の方法。
【請求項14】
体液中の膵リパーゼ測定用乾式分析要素が、水不透過性支持体、試薬層および展開層を含む構成を有している、請求項1から13の何れかに記載の方法。
【請求項15】
展開層が、布または多孔質膜からなる、請求項1から14の何れかに記載の方法。
【請求項16】
多孔質膜が、ポリスルホン又はアセチルセルロースからなる多孔質膜、または微小ビーズから形成された多孔質膜である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
請求項1から16の何れかに記載の方法で製造された、体液中の膵リパーゼ測定用乾式分析要素。

【公開番号】特開2009−254360(P2009−254360A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−71292(P2009−71292)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】