説明

リフォームサッシ及びその施工方法

【課題】既設サッシを取り付けた状態のまま新しいサッシを取り付け可能で、特に構造が簡単で施工も容易なリフォームサッシ。
【解決手段】建物の開口部1に設けられた既設サッシAの上下枠2、3及び縦枠4の内方にそれぞれベース材40、41、42を固定し、該ベース材によって構成されたベース枠Cの内方に新設サッシBを固定したリフォームサッシにおいて、上記下枠3に対応する下ベース材41には既設サッシの下枠の外レール14と内レール13の間の外レール14上を含む外レール14寄り位置に取付壁43を形成するとともに、該取付壁43の屋内側に水平な平坦部44を延長形成し、新設サッシBの下枠22を上記平坦部44に載置し、新設サッシの下枠22の中央部に形成された釘打ちフィン24bを上記取付壁43にビス止め固定した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設サッシを新しいサッシに代えるに際し、既設サッシを取り付けた状態のまま新しいサッシを取り付け可能としたリフォームサッシに関する。
【背景技術】
【0002】
既設サッシを新しいサッシに代える場合、既設サッシを窓開口部から取り外して新しいサッシに付け替えることが考えられるが、既設サッシの取り外し作業には手間や時間や費用がかかるので煩わしい。そのため、既設サッシを窓開口部に取り付けた状態のまま新しいサッシを取り付ける改装サッシが知られている(特許文献1、2、3参照)。
【0003】
これは、既設サッシが内付けサッシの場合、下枠については、その上部屋外側に取付部材を固定し、屋内側には倒れ防止部材を固定し、上記取付部材と倒れ防止部材に新設サッシを固定するように構成されている。この場合、取付部材の上に新設サッシの下枠を支持させ、取付部材の屋外側の垂直面に新設サッシの取付片をネジ止めしている。なお、取付片は釘打ちフィンとも呼ばれ、新旧に関わらずサッシの四周に面一になるように突設されているもので、窓開口部に木ネジで固定されるように構成されている。
【0004】
これらのほかにもいくつかの改装方式が提案実施されている。
【特許文献1】特開2003−82941号公報
【特許文献2】特開2003−82942号公報
【特許文献3】特開2004−124436号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これまでに行われてきたサッシの改装方式には次のような問題点があった。
(1)既設サッシの下枠上に取付部材と倒れ防止部材を別個に取り付ける必要があり、それぞれを位置決めしたりネジ止めしたりするのに手間がかかり、施工が面倒である。
(2)取付部材は既設サッシの下枠の外レール支持部上に設けられて新設サッシを支持固定する構成であるから、新設サッシの荷重は窓台の屋外側に偏り安定しにくい。
(3)取付部材は既設サッシの外レールを跨ぐように配置され、外レールには支持させない構造である。サッシの外レールは障子の荷重を直接に受けるので、しっかりと強度設計がなされている部位であるが、それを利用しないので、合理的でない。
(4)新設サッシには専用のサッシが使用され、一般的なサッシには適用できないものもあった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解消し、既設サッシを取り付けた状態のまま新しいサッシを取り付け可能で、特に構造が簡単で施工も容易なリフォームサッシ及びその施工方法を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、建物の開口部に設けられた既設サッシの上下枠及び縦枠の内方にそれぞれベース材を固定し、該ベース材によって構成されたベース枠の内方に新設サッシを固定したリフォームサッシにおいて、上記下枠に対応する下ベース材には既設サッシの下枠の外レールと内レールの間の外レール上を含む外レール寄り位置に取付壁を形成するとともに、該取付壁の屋内側に水平な平坦部を延長形成し、新設サッシの下枠を上記平坦部に載置し、新設サッシの下枠の中央部に形成された釘打ちフィンを上記取付壁にビス止め固定したことを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、建物の開口部に設けられた既設サッシの内方にそれぞれ金属製のベース材を固定し、該ベース材によって構成されたベース枠の内方に新設サッシを固定したリフォームサッシであって、上記新設サッシの上下枠及び縦枠の屋内側には合成樹脂製の樹脂枠を取りつけ、該樹脂枠には室内側に延出するアングルを形成し、該アングルの外方に合成樹脂製の樹脂ブロック枠を取り付け、上記既設サッシの屋内側に合成樹脂製室内額縁を取りつけるとともに、上記樹脂枠と樹脂ブロック枠とを連続させ、かつ樹脂ブロック枠と樹脂製室内額縁を連続させ、さらに上記新設サッシ枠内には、屋内側に樹脂框を取り付けた障子を収納したことを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項2において、上記下枠に対応する下ベース材には既設サッシの下枠の外レールと内レールの間の外レール上を含む外レール寄り位置に取付壁を形成するとともに、該取付壁の屋内側に水平な平坦部を延長形成し、新設サッシの下枠を上記平坦部に載置し、新設サッシの下枠の中央部に形成された釘打ちフィンを上記取付壁にビス止め固定したことを特徴とする。
【0010】
請求項4において、請求項1又は3において、上記下ベース材を既設サッシの下枠の外レール上に支持させ、下ベース材の屋内側の平坦部を既設サッシの下枠の内レール又は立上り片上に支持させてネジ止め固定したことを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項1、3又は4において、上記下ベース材の平坦部を既設サッシとともに窓台に一体的にネジ止めしたことを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項1又は3〜5のいずれかにおいて、上記下ベース材の平坦部を中空状に形成し、上記ネジの頭部は中空部内に位置させたことを特徴とする。
【0013】
請求項7に係る発明は、請求項1又は3〜6のいずれかにおいて、上記下ベース材の平坦部の上面部には溝が形成されたことを特徴とする。
【0014】
請求項8に係る発明は、請求項1又は3〜7のいずれかにおいて、上記下ベース材の屋外側端部を上記既設サッシの網戸レールに係合させて位置出ししたことを特徴とする。
【0015】
請求項9に係る発明は、請求項1又は3〜8のいずれかにおいて、上記下ベース材の屋外側端部と既設サッシの下枠の網戸レールとを着脱可能な位置決め用ピース部材を介して係合させることにより位置決めしたことを特徴とする。
【0016】
請求項10に係る発明は、建物の開口部に設けられた既設サッシに新設サッシを施工するリフォームサッシの施工方法において、建物の開口部に設けられた既設サッシの上下枠及び縦枠の内方にそれぞれ上下ベース材及び縦ベース材を固定し、これらのベース材によって構成されたベース枠の内方に新設サッシを固定するに際し、上記下枠に対応する下ベース材には既設サッシの下枠の外レールと内レールの間の外レール上を含む外レール寄り位置に取付壁を形成するとともに、該取付壁の屋内側に水平な平坦部を延長形成し、新設サッシの下枠を上記平坦部に載置し、新設サッシの下枠の中央部に形成された釘打ちフィンを上記取付壁にビス止めして固定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明によれば、新設サッシを施工するにあたり、既設サッシの下枠上には下ベース材だけを取りつければよく、新設サッシの下枠を下ベース材の屋内側の平坦部に載置し、新設サッシの下枠の中央部に形成された釘打ちフィンとを取付壁にビス止め固定すればよい。このように、新設サッシを取り付けるためには、既設サッシの下枠には下ベース材のみを取り付ければよいので、手間がかからず、施工が容易である。
【0018】
また、下ベース材の屋内側の平坦部上には新設サッシの下枠が載置されるが、自然の状態では半外付けサッシは、障子が窓開口部の屋外側寄りに収納配置されるので、上部が屋外側に倒れるように力を受けやすい。したがって、全体の荷重も屋内側平坦部の屋外側の端部、つまり取付壁に荷重が集中しやすい。上記取付壁は既設サッシの下枠の外レールの屋内側に位置するので、新設サッシの荷重も窓台の中心側で受けるので、サッシ全体を安定に支持することができる。
【0019】
しかも、取付壁は下枠では障子の荷重がかかるために最も強度が確保されている外レール上又はその近傍に位置するので、新設サッシの支持がより安定になる。
【0020】
また、取付壁は既設サッシの下枠の外レールの屋内側に位置することに伴い、釘打ちフィンは屋内側に寄ることにより、雨水の影響を受けにくくなる。
【0021】
さらに、一般にサッシの基本となる下枠は窓台に載置される部分と窓台の屋外側の側面に固定される釘打ちフィンとが設けられ、これに対応して下ベース材は窓台に対応する平坦部と釘打ちフィンのねじ込みに対応する取付壁とを備えているので、上記下ベース材には、専用サッシではなく一般サッシであっても取り付けることができるとともに、その取付けは慣れた作業となり、容易迅速に行うことができる。
【0022】
請求項2に係る発明によれば、建物の開口部に設けられた既設サッシの内方にそれぞれ金属製のベース材を固定し、該ベース材によって構成されたベース枠の内方に新設サッシを固定したリフォームサッシであって、上記新設サッシの上下枠及び縦枠の屋内側には合成樹脂製の樹脂枠を取りつけ、該樹脂枠には室内側に延出するアングルを形成し、該アングルの外方に合成樹脂製の樹脂ブロック枠を取り付け、上記既設サッシの屋内側に合成樹脂製室内額縁を取りつけるとともに、上記樹脂枠と樹脂ブロック枠とを連続させ、かつ樹脂ブロック枠と樹脂製室内額縁を連続させ、さらに上記新設サッシ枠内には、屋内側に樹脂框を取り付けた障子を収納した構成であるから、既設サッシとベース枠は断熱性を有しないが、既設サッシと新設サッシの屋内側に連続的に配置される樹脂枠、樹脂ブロック枠及び樹脂製室内額縁が連続し、リフォームサッシの屋内側は全て合成樹脂製の断熱部材で連続的に覆われることになるから、リフォームサッシ全体としては高い断熱性を発揮することができる。また、内側には断熱障子が収容されるので、全体として優れた高断熱性能を有することができる。
【0023】
このように、本発明に係るリフォームサッシは屋内側の面に全て合成樹脂を配設した構成となっているが、合成樹脂は単に断熱機能を有するだけではない。金属特有の「てかり」がなく、金属の冷たくて硬い質感ではなく暖かくて柔らかい質感が感得され、特に木質感のある合成樹脂は高級感に優れる。特にサッシ枠や障子の屋内側の面に全て合成樹脂が露出する構成とすることにより、内観における意匠的効果は格段に向上する。したがって、本発明において新設サッシが断熱性を有するかどうかは関係がない。断熱性を有しないアルミニウム等からなる金属サッシであってもよいほか、屋内側の金属部と屋内側の金属部とを断熱材を介して連結した断熱サッシであってもよい。同様に、障子も屋内側に合成樹脂を設けなくても断熱効果を有する断熱障子であってもよい。いずれの場合も、屋内側の面に全て合成樹脂を配設する構成とすることにより、内観における意匠的効果を強調することができる。
【0024】
請求項3に係る発明によれば、断熱サッシにおいて、請求項1に係る発明と同様の効果が得られる。
【0025】
請求項4に係る発明によれば、新設サッシにおいて最も荷重がかかる下ベース材は、既設サッシの外レールによって支持される構造である。一般にサッシにおいて最も強度を要する部分は障子を支持する外レールと内レールであるから、外レール上に下ベース材を支持させるという構造は強度上非常に合理的である。
【0026】
また、既設サッシの下枠の屋内側には内レールと立上り片が形成され、その上部に下ベース材の屋内側の平坦部が載置されるのであるが、内レールを外レールの高さとあまり変えない設計になっているものがあり、上記内レールと立上り片とは高さが異なるが、外レールと立上り片の高さは一定である。この場合は、下ベース材は高い立上り片の上に載置すればよいので、特別の設計の既設サッシにも対応することができる。
【0027】
請求項5に係る発明によれば、下ベース材の平坦部を既設サッシとともに窓台に一体的にネジ止めしたので、下ベース材と既設サッシとの結合を強固にすることができる。
【0028】
請求項6に係る発明によれば、下ベース材の平坦部を中空状に形成し、上記ネジの頭部は中空部内に位置させているので、ネジの頭が外部に露出することがないほか、下ベース材の平坦部を既設サッシとともに窓台に一体的にネジ止めするとき、ネジを深く窓台中に締め込むことができる。
【0029】
請求項7に係る発明によれば、下ベース材の平坦部の上面部には溝が形成されているので、排水に利用することができるとともに、縦ベース材の位置決めにも利用することができる。
【0030】
請求項8に係る発明によれば、下ベース材の屋外側端部を上記既設サッシの網戸レールに係合させて位置出しする構成であるから、下ベース材の正しい位置を容易かつ確実に得ることができる。
【0031】
請求項9に係る発明によれば、下ベース材の屋外側端部と既設サッシの下枠の網戸レールとを位置決め用ピース部材を介して係合させることにより位置決め可能であり、ピース部材は着脱が可能となっているから、工場出荷時には取り付けておき、不要なときは取り外して使用すればよい。
【0032】
請求項10に係る発明によれば、新設サッシを施工するにあたり、既設サッシの下枠上には下ベース材だけを取りつければよく、新設サッシの下枠を下ベース材の屋内側の平坦部に載置し、新設サッシの下枠の中央部に形成された釘打ちフィンとを取付壁にビス止め固定すればよい。このように、新設サッシを取り付けるためには、既設サッシの下枠には下ベース材のみを取り付ければよいので、手間がかからず、施工が容易である。
【0033】
さらに、一般にサッシの基本となる下枠は窓台に載置される部分と窓台の屋外側の側面に固定される釘打ちフィンとが設けられ、これに対応して下ベース材は窓台に対応する平坦部と釘打ちフィンのねじ込みに対応する取付壁とを備えているので、上記下ベース材には、専用サッシではなく一般サッシであっても取り付けることができるとともに、その取付けは慣れた作業となり、容易迅速に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
図1は本発明に係るリフォームサッシの縦断面図、図2は横断面図であり、図3及び図4はそれぞれ縦断面と横断面の分解図である。
【0035】
[既設サッシの構成]
上図において符号Aは既設サッシを示す。この既設サッシAは建物躯体の窓開口部1に設けられた高窓タイプの内付けサッシで、それぞれアルミニウム押出型材からなる上枠2、下枠3及び左右の縦枠4とから方形に枠組みされている。上枠2は、上枠本体2aの屋外側から外方に突出する釘打ちフィン5aが形成され、屋外側と屋内側の内方には内障子と外障子の案内片6が形成され、屋外側端部には網戸の案内片7、屋内側端部には係合片8が垂下形成されている。そして、上記釘打ちフィン5aが窓開口部1のまぐさ11の屋外端面にネジ止め固定されているとともに、上枠本体2aの屋内側がまぐさ11の下面からネジ止め固定されている。
【0036】
下枠3は、下枠本体3aの屋外側には外方に突出する釘打ちフィン5bが形成され、屋外側端部には網戸レール12、屋外側と屋内側の内方には内障子用内レール13と外障子用外レール14が段状に形成され、屋内側端部の上部には外レール14と同じ高さの立上り片15が、下部には前倒れ防止用の取付片16が形成されている。そして、上記釘打ちフィン5bが窓開口部1の窓台10の屋外端面にネジ止め固定されているとともに、取付片16が窓台10の上面からネジ止め固定されている。
【0037】
縦枠4は、縦枠本体4aの中間部には外方に突出する釘打ちフィン5cが形成され、釘打ちフィン5cと反対側の内方には内障子と外障子の案内片17が形成され、屋内側端部には係合片18が形成されている。そして、上記釘打ちフィン5cが窓開口部1の柱9の屋外側端面にネジ止め固定されている。
【0038】
上記構成により、既設サッシAの屋外側の端部は面一になるように形成されている。なお、既設サッシAの屋内側には木製の額縁20が配設されている。
【0039】
[新設サッシの構成]
次に、符号Bは新設サッシで、この新設サッシBはリフォーム専用ではなく、半外付けの一般的サッシである。
【0040】
上枠21は、上枠本体21aの中間部から外方に突出する釘打ちフィン24aが形成され、釘打ちフィン24aをはさんで屋外側と屋内側の内方には内障子と外障子の案内片25が形成され、屋外側端部には網戸の案内片26、屋内側端部には合成樹脂製のアングル材27が一体に取り付けられている。
【0041】
下枠22は、下枠本体22aの中間部には外方に突出する釘打ちフィン24bが形成され、釘打ちフィン24bをはさんで屋外側と屋内側の内方には内障子用内レール30と外障子用外レール31が形成され、屋外側端部には網戸レール32、屋内側端部の上部には立上り片33が、下部には取付片34が形成されている。立上り片33の上部には合成樹脂製のアングル材35が係止固定されている。
【0042】
縦枠23は、縦枠本体23aの中間部に外方に突出する釘打ちフィン24cが形成され、釘打ちフィン24cと反対側の内方には内障子と外障子の案内片36が形成されている。縦枠本体23aの屋外側と屋内側の端部は断面がT字形に形成されている。
枠組みされたとき、釘打ちフィン24a、24b、24cは新設サッシBの外周に面一になる。
【0043】
なお、上下枠21、22と縦枠23の屋内側には合成樹脂製の樹脂ブロック37a、37b及び37cが固定されるが、これらの取付作業は上下枠21、22と縦枠23の取付作業が終了した後に行う。まず、両側に縦ブロック37cを取り付け、その間に上下ブロック37a、37bを入れ込んでアングル材27側からネジで止めればよい。
【0044】
[ベース材]
次に、新設サッシBはベース枠Cを介して既設サッシA上に取り付けられる。ベース枠Cは上ベース材40、下ベース材41及び縦ベース材42から方形に枠組みされ、それぞれアルミニウムの押出型材からなり、中央の取付壁43をはさんで平坦部44、45を形成してなるもので、取付壁43は窓開口部1の面方向と平行に形成され、平坦部44、45は窓開口部1の面方向と垂直に形成されるものである。屋外側の平坦部45は取付壁43の外方端(窓開口部1の周面に近い側の端部)から屋外側に延出されている。屋内側の平坦部44は取付壁43の内方端(窓開口部1の周面から遠い側の端部)から屋内側に延出されている。また、下ベース材41の屋外側の平坦部45は、さらに屋内側の水平部45aと屋外側のわずかに斜めに形成された緩斜面部45bとから構成され、平坦部45の先端からは当接片46が取付壁43と平行に垂下形成されている。取付壁43と屋内側平坦部44の底辺部44aと屋外側平坦部45の水平部45aとは、他の部分に比べて肉厚に形成されている。また、上記当接片46の先端は屋内側に屈曲して係止片47が形成されている。さらに、上記屋内側の平坦部44は中空に形成され、上ベース材40と下ベース材41の屋外側中空部48には、長手方向に沿って内方に開口する溝49が形成されている。なお、下ベース材41の屋外側端部の当接片46から取付壁43までの長さは、既設サッシAの下枠3の網戸レール12から外レール14と内レール13の間の外レール14寄りの位置(外レール14上でもよい)までの長さとする。
【0045】
上ベース材40、下ベース材41及び縦ベース材42の幅寸法はすべて同じに設定され、また上記屋外側の端部から取付壁43までの寸法及び取付壁43から屋内側の端部までの寸法も同じ長さに設定されている。
【0046】
なお、下ベース材41の幅寸法は既設サッシAを全部覆うことができるように設定されている。
【0047】
また、下ベース材42の水平部45aと取付壁43と屋内側平坦部44の底辺部44aとは、既設サッシAに載置されて新設サッシBを支持するから、その荷重に耐えられる強度を有するように肉厚に形成されている。
【0048】
[リフォームサッシの施工方法]
次に、既設サッシAに新設サッシBを取り付けるにあたっては、まず既設サッシAの内周面に沿ってベース枠Cを配設する。その際、図1〜図5に示されるように、下ベース材41を上記下枠3上に取り付けるときは、屋外側の水平な平坦部45を外レール14の上に載置して支持させ、屋内側の水平な平坦部44を内レール13と立上り片15の上に載置して支持させる。そして、屋外側の端部の当接片46を網戸レール12に当接させて位置出しをする。このとき、下ベース材41の取付壁43は、既設サッシAの下枠3の外レール14と内レール13の間の外レール14寄りに位置する。位置決め後、屋内側の平坦部44から長いネジ50で既設サッシAとともに窓台10に一体的にネジ止めする。このとき、ネジ50は上記平坦部44の上面部の作業孔(図示せず)から挿通し、頭部が中空部48の底部に達するまでねじ込むようにするのが好ましい。
【0049】
次に、上ベース材40は、屋外側の端部の当接片46を既設サッシAの上枠2の網戸案内片7に係合させて位置出しをし、下ベース材41と同様に、屋内側の平坦部44から長いネジ50では既設サッシAとともにまぐさ11に一体的にネジ止めする。
【0050】
さらに、縦ベース材42は、屋外側の端部を既設サッシAの縦枠4の屋外側端面に合わせて位置出しをすればよいが、安定的に固定するため、図6に示されるように、縦ベース材42の上端と下端に位置出し用の係合板51を固定して上方と下方に突出させ、これを下ベース材41及び上ベース材40の溝49に係合させればよい。70は係合板51の位置決め用ノッチである。これにより、縦ベース材42は容易且つ確実に所定の位置に安定的に位置決めされる。その後、屋内側の平坦部44から長いネジ50で既設サッシAとともに柱に一体的にネジ止めすることにより、所定の位置に固定される。なお、係合板51は縦ベース材42の上端又は下端の一方にのみ固定して位置出しするようにしてもよい。
【0051】
上記構成により、上ベース材40、下ベース材41及び縦ベース材42は既設サッシAの下枠3の網戸レール12を基準として、既設サッシAの内周面に沿って配設されてベース枠Cが組み立てられ、取付壁43は面一に揃えられる。
【0052】
次に、上記ベース枠Cに新設サッシBを取り付ける場合、まず新設サッシBを方形に枠組みして窓開口部1のベース枠Cに嵌合させ、新設サッシBの下枠22を下ベース材41の屋内側の平坦部44上に載置する。そして、新設サッシBの上下枠21、22と縦枠23の中間部の釘打ちフィン24a、24b、24cを取付壁43に当接してネジ52で固定する。また、下枠22は図5に示されるように、屋内側端部の取付片34を下ベース材41の平坦部44にネジで固定し、上枠21と縦枠23は調整材53を介して上ベース材40と縦ベース材42にネジ止めする。これにより、新設サッシBはベース枠Cに固定される。
【0053】
さらに、新設サッシBの屋内側に合成樹脂製の長尺の樹脂ブロック37bを固定する。上下の樹脂ブロック37a、37bは上下枠21、22のアングル材27、35にネジ止め固定し、縦の樹脂ブロック37cも同様とする。これによって各樹脂ブロック37a、37b、37cはベース材40、41、42の屋内側の端面と面一になるように配置される。
【0054】
上述の構成によれば、新設サッシBを施工するにあたり、既設サッシAにはベース枠Cを取り付け、ベース枠C内に新設サッシBを嵌合配置して釘打ちフィン24a、24b、24cを取付壁43にビス止め固定すればよいので、手間がかからず、施工が容易である。
【0055】
しかも、一般にサッシの外周面には釘打ちフィンが設けられているが、これに対応してベース枠Cには取付壁43が設けられているので、ベース枠Cには、専用サッシではなく一般サッシであっても取り付けることができるとともに、その取付けは慣れた作業となり、容易迅速に行うことができる。
【0056】
[内外観の化粧処理]
次に、上述の段階では、屋内側と屋外側にはベース枠Cや既設サッシAが見えるので、内観と外観の体裁をよくするため、新設サッシBの屋外側の外周は上下及び縦の化粧カバー材54、55、56によって隠し処理が施され、また屋内側は上下及び縦の室内額縁57、58、59によって隠し処理が施されている。
【0057】
化粧カバー材54、55、56はそれぞれ略板状のアルミニウム押出型材からなり、幅方向の一側寄りに1対の嵌合片60が形成されている。化粧カバー材54、55、56は取付アタッチメント61を介して上下及び縦の各ベース材40、41、42に取り付けられている。取付アタッチメント61は断面がC字形のアルミニウム押出型材からなり、先端部には突部62が向き合いに形成されている。取付アタッチメント61は各ベース材の両端の屋外側端部にネジ止め固定されている。したがって、図7及び図8に示すように四隅に計8個が取り付けられる。そして、4個の化粧カバー材54、55、56はそれぞれ対応する取付アタッチメント61の先端の突部62の内側に嵌合片60を嵌合させることにより固定され、上部化粧カバー材54と下部化粧カバー材55との間に縦化粧カバー材56を横通しで取り付けられる。縦化粧カバー材56の両端部は上下化粧カバー材54、55に飲み込まれている。
【0058】
上記構成により、新設サッシBとベース枠Cとの間及びベース枠Cと既設サッシAとの間の部分は化粧カバー材54、55、56によって覆われ、屋外側から隠蔽される。
【0059】
次に、新設サッシBの屋内側は室内額縁57、58、59によってカバーされる。室内額縁57、58、59は合成樹脂からなり、それぞれ基本額縁材63と補助額縁材64とから構成され、図3に示されるように、基本額縁材63は額縁材本体65の外方に2本の脚部66を突出したものであり、額縁材本体65の屋内側には嵌合溝67が形成され、嵌合溝67にはキャップ69が着脱自在に設けられている。補助額縁材64は基本額縁材63の脚部66に対応する部位に、嵌合溝67に嵌合可能な嵌合片68を形成した形状となっている。
【0060】
基本額縁材63は上記ベース材と樹脂ブロック37aの屋内側端面に当接され、嵌合溝67から挿通された長いネジ50によって窓台10とまぐさ11と柱9にネジ止め固定されている。そして、図の上部及び側部の室内額縁57、59のように、高さが不十分な場合には基本額縁材63の上にさらに補助額縁材64を重合して嵌合片68を基本額縁材63の嵌合溝67に嵌合して固定すればよい。なお、上記室内額縁57、58、59は樹脂ブロック37a、37b、37cと一体的に配置される。
【0061】
なお、室内額縁57、58、59は、それぞれ基本額縁材63のみによって構成してもよいが、図1、図2等に示されるように、室内額縁57、58、59を基本額縁材63と補助額縁材64(1個又は複数個)とから構成する場合は、基本額縁材63上に補助額縁材64を予め積み上げた状態にしてから縦通しで組み付ければよい。
【0062】
上記構成により、新設サッシBとベース枠Cとの間及びベース枠Cと既設サッシAとの間の部分は室内額縁57、58、59によって覆われ、屋内側から隠蔽される。後は新設サッシB内に内障子a、外障子bと網戸cを納めれば完成する。
【0063】
[作用効果]
上述のように、新設サッシBを施工するにあたり、既設サッシAの下枠3上には下ベース材41だけを取りつければよく、新設サッシBの下枠22を下ベース材41の屋内側の平坦部44に載置し、新設サッシBの下枠22の中央部に形成された釘打ちフィン24bとを取付壁43にビス止め固定すればよい。このように、新設サッシBを取り付けるためには、既設サッシAの下枠3には下ベース材41のみを取り付ければよいので、手間がかからず、施工が容易である。
【0064】
また、下ベース材41の屋内側の平坦部44上には新設サッシBの下枠22が載置されるが、自然の状態では半外付けサッシは、障子が窓開口部1の屋外側寄りに収納配置されるので、上部が屋外側に倒れるように力を受けやすい。したがって、全体の荷重も屋内側平坦部の屋外側の端部、つまり取付壁43に荷重が集中しやすい。上記取付壁43は既設サッシAの下枠3の外レール14の屋内側に位置するので、新設サッシBの荷重も窓台10の中心側で受けるので、サッシ全体を安定に支持することができる。
【0065】
しかも、取付壁43は、障子の荷重がかかるために最も強度が確保されている外レール14上又はその近傍に位置するので、新設サッシBの支持がより安定になる。
【0066】
また、取付壁43は既設サッシAの下枠3の外レール14の屋内側に位置することに伴い、釘打ちフィン24bは屋内側に寄ることにより、雨水の影響を受けにくくなる。
【0067】
なお、下ベース材41の幅寸法は既設サッシAを全部覆うことができるように設定され、また新設サッシBの取付壁43の下端から屋外側に、下ベース材41の水平部45aと緩斜面部45bとが連続して形成され、これらの部分が水切り機能を有するので、新設サッシBに格別に水切り材を取り付ける必要がない。
【0068】
さらに、一般にサッシの基本となる下枠は窓台に載置される部分と窓台の屋外側の側面に固定される釘打ちフィンとが設けられているが、これに対応して下ベース材41は窓台10に対応する平坦部44と釘打ちフィン24bのねじ込みに対応する取付壁43とを備えているので、上記下ベース材41には、専用サッシではなく一般サッシであっても取り付けることができるとともに、その取付けは慣れた作業となり、容易迅速に行うことができる。
【0069】
また、新設サッシBにおいて最も荷重がかかる下ベース材41は、既設サッシAの外レール14によって支持される構造である。一般にサッシにおいて最も強度を要する部分は障子を支持する外レールと内レールであるから、外レール上に下ベース材41を支持させるという構造は強度上非常に合理的である。
【0070】
同様に、内付けサッシも外付けサッシも、基本的には外レールと内レールとの間隔や高低差は同じであり、屋内側に立上り片がある構成も同じである。下ベース材41は外レール14と内レール13又は立上り片15に支持されるので、既設サッシAが内付けサッシでも外付けサッシでも対応することができる。
【0071】
さらに、下ベース材41の屋外側端部を上記既設サッシAの網戸レールに当接させて位置出しする構成であるから、下ベース材41の正しい位置を容易かつ確実に得ることができる。
【0072】
また、下ベース材41の平坦部を既設サッシAとともに窓台10に一体的にネジ止めしたので、下ベース材41と既設サッシAとの結合を強固にすることができる。
【0073】
さらに、下ベース材41の平坦部44を中空状に形成し、上記ネジの頭部は中空部内に位置させているので、ネジの頭が外部に露出することがないほか、下ベース材41の平坦部を既設サッシAとともに窓台10に一体的にネジ止めするとき、ネジを深く窓台10中に締め込むことができる。
【0074】
また、下ベース材41の平坦部44の上面部には溝49が形成されているので、排水溝として利用することができるとともに、縦ベース材42の位置決めにも利用することができる。
【0075】
加えて、上記下枠22の屋内側には合成樹脂製の樹脂ブロック37bを設けるとともに、上記下ベース材41の屋内側には合成樹脂製の室内額縁58を設け、上記樹脂ブロック37bと室内額縁58とを一体的に配置されているから、既設サッシAとベース材41と新設サッシBがともに金属製であっても、リフォームサッシを施工することにより全体として断熱性の高いサッシが得られる。上枠21と上ベース材40及び縦枠23と縦ベース材42も同様である。したがって、障子を断熱障子にすれば、全体を断熱窓にすることができる。
【0076】
なお、断熱性に関しては、図1、図2、図5等に示されているように、断熱性の高い合成樹脂製部材の樹脂ブロック37a、37b、37cと室内額縁57、58、59とは、互いに当接されているが、これに対し、断熱性の低いアルミニウム製の上ベース材40、下ベース材41、縦ベース材42と断熱性の高い室内額縁57、58、59とは接触しないよう、互いにわずかながら離間するように配置されている。これにより、ベース枠と額縁との間の断熱は良好に確保され、額縁が結露するようなことがない。そのため、樹脂ブロック37a、37b、37cは上ベース材40、下ベース材41、縦ベース材42よりもわずかに室内側に突出している。室内額縁57、58、59を基本額縁材63と補助額縁材64とから構成する場合は、両額縁材を予め積み上げた状態にしてから組み付ける理由の1つは、こうすることによって、自動的にベース枠と額縁との間に隙間ができるからである。
【0077】
[その他]
次に、既設サッシAが半外付けサッシである場合の対応を下枠部分について説明する。なお、上枠、縦枠部分は前述の例と同様、下枠に準じて構成すればよいので、説明は省略する。また、上図と同じ符号は同じ部材を示すものとする。
【0078】
図9において既設サッシAは高窓タイプの半外付けサッシで、基本的構成は上述の内付けサッシと同じであるが、主に釘打ちフィンの位置が屋内側に寄っている点と下枠の網戸レール12がより低い点で異なっている。
【0079】
新設サッシBは上述の半外付けサッシと同じである。
【0080】
また、上下及び側部のベース材およびこれらのベース材によって構成されたベース枠Cも上述のものと同じである。但し、下ベース材41の屋外側端部に形成された当接片46と係止片47にはピース部材71が取り付けられている。
【0081】
上記既設サッシAにベース枠Cを形成し、さらにその内側に新設サッシBを嵌合してネジ等で固定する取付手順も上述と同じである。
【0082】
なお、既設の半外付けサッシの網戸レール12は内付けサッシのものと比べて低いので、下ベース材41の当接片46を直接に網戸レール12に当接させることはできない。位置決め用のピース部材71を介して網戸レール12に当接させればよい。
【0083】
このように、下ベース材41の屋外側端部の当接片46と既設サッシAの下枠の網戸レール12とを位置決め用ピース部材71を介して係合させることにより位置決め可能であり、ピース部材71は着脱が可能となっているから、工場出荷時に取り付けておき、不要なときは取り外して使用すればよい。
【0084】
以上のように、上記リフォームサッシ構成によれば、既設サッシAが内付けサッシであっても半外付けサッシであっても対応することができる。
【0085】
また、図10は新設サッシとして面格子付きサッシBを取り付けた例で、面格子付きサッシBは屋外側に面格子77を取り付けるための枠が張り出し、そこからアーム72が突出しているが、上下部及び側部のいずれのベース材41、42等も新設サッシBの屋外側に干渉することはないので、新設サッシBが屋外側に張り出していても、その取り付けになんら支障はない。したがって、上記リフォームサッシ構成によれば、面格子付きサッシにも適用することができる。
【0086】
さらに、図11は新設サッシとして嵌め殺しサッシBを取り付けた例で、同じ構成、同じ手順で取り付けることができる。なお、引き違いサッシの取付態様については全て同じような扱いでよい。
【0087】
また、図12に示されるように、既設サッシAの下枠の屋内側には内レール13と立上り片15が形成され、その上部に下ベース材41の屋内側の平坦部44が載置されるのであるが、内レール13を外レール14の高さとあまり変えない設計になっているものがあり、この場合、上記内レール13と立上り片15とは高さが異なるので、下ベース材41の屋内側は高い立上り片15の上に載置すればよい。
【0088】
さらに、図13に示されるように、屋内側の立上り片15の高さが特別に高いときは、下ベース材41は外レール14に対しては高さ調整部材73を介して載置すればよい。
【0089】
次に、窓には大きく分けて上述の高窓タイプと掃き出し窓タイプがあるが、これらは基本的構成において大きな違いはない。ただ、掃き出し窓では、下枠が床面と連続的に配設されており、人が出入りするので、下部の室内額縁を踏むことがあり、それに耐えるだけの荷重が必要である。そこで、図14に示されるように、専用のアルミニウムの芯材74と樹脂カバー75からなる掃き出し用室内額縁58を床面76と新設サッシBの下枠22の樹脂アングル35の高さ間に取り付けてある。これによれば、室内額縁58は芯材74によって補強されているので、十分な強度が確保される。
【0090】
次に、図15は本発明に係る他のリフォームサッシの縦断面図、図16は横断面図であり、図17及び図18は図16のX−X線及びY−Y線上の断面図である。
【0091】
[既設サッシの構成]
上図において符号Aは既設サッシを示す。この既設サッシAは図25及び図26に詳しく示されたものと同じ構成で、建物躯体の窓開口部1に設けられた高窓タイプの内付けサッシで、それぞれアルミニウム押出型材からなる上枠2、下枠3及び左右の縦枠4とから方形に枠組みされている。上枠2は、上枠本体2aの屋外側に外方に突出する釘打ちフィン5aが形成され、屋外側と屋内側の内方には内障子a´と外障子b´の案内片6が形成され、屋外側端部には網戸の案内片7、屋内側端部には係合片8が垂下形成されている。そして、上記釘打ちフィン5aが窓開口部1のまぐさ11の屋外端面にネジ止め固定されているとともに、上枠本体2aの屋内側がまぐさ11の下面からネジ止め固定されている。
【0092】
下枠3は、下枠本体3aの屋外側には外方に突出する釘打ちフィン5bが形成され、屋外側端部には網戸レール12、屋外側と屋内側の内方には内障子用内レール13と外障子用外レール14が段状に形成され、屋内側端部の上部には外レール14と同じ高さの立上り片15が、下部には前倒れ防止用の取付片16が形成されている。そして、上記釘打ちフィン5bが窓開口部1の窓台10の屋外端面にネジ止め固定されているとともに、取付片16が窓台10の上面からネジ止め固定されている。
【0093】
縦枠4は、縦枠本体4aの中間部には外方に突出する釘打ちフィン5cが形成され、釘打ちフィン5cと反対側の内方には内障子と外障子の案内片17が形成され、屋内側端部には係合片18が形成されている。そして、上記釘打ちフィン5cが窓開口部1の柱9の屋外側端面にネジ止め固定されている。
【0094】
上記構成により、既設サッシAの屋外側の端部は面一になるように形成されている。なお、既設サッシAの屋内側には窓台10とまぐさ11と柱9と木製額縁20はリフォームサッシでも利用するが、既設サッシの内障子a´と外障子b´と網戸c´は使用しない。
【0095】
[新設サッシの構成]
次に、符号Bは新設サッシで、この新設サッシBはリフォーム専用ではなく、半外付けの一般的断熱サッシである。
【0096】
図17及び図18に詳しく示したように、上枠21は、上枠本体21aの中間部から外方に突出する釘打ちフィン24aが形成され、釘打ちフィン24aをはさんで屋外側と屋内側の内方には内障子と外障子の案内片25が形成され、屋外側端部には網戸の案内片26が形成されている。
【0097】
下枠22は、下枠本体22aの中間部には外方に突出する釘打ちフィン24bが形成され、釘打ちフィン24bをはさんで屋外側と屋内側の内方には内障子用内レール30と外障子用外レール31が形成され、屋外側端部には網戸レール32、屋内側端部の上部には立上り片33が、下部には取付片34が形成されている。
【0098】
縦枠23は、縦枠本体23aの中間部に外方に突出する釘打ちフィン24cが形成され、釘打ちフィン24cと反対側の内方には内障子と外障子の案内片36が形成されている。縦枠本体23aの屋外側と屋内側の端部は断面がT字形に形成されている。
【0099】
枠組みされたとき、釘打ちフィン24a、24b、24cは新設サッシBの外周に面一になる。
【0100】
また、上記新設サッシBの上下枠21、22及び縦枠23の金属部分の屋内側には合成樹脂製の枠材39a、39b、39cによる樹脂枠39が取りつけられ、上記樹脂枠39の枠材39a、39b、39cには室内側に延出するアングル35が形成されている。そして、上下枠21、22及び縦枠23のアングル35の外方には合成樹脂製の樹脂ブロック37a、37b、37cによる樹脂ブロック枠37が取り付けられている。さらに、上枠21の屋内側には樹脂枠材38が取り付けられ、屋内側案内片25も樹脂枠材38によって構成されている。また、下枠22には障子閉鎖時に屋内側に面する部分に樹脂枠材38aが配置されている。
【0101】
なお、樹脂ブロック枠37の取付作業は上下枠21、22と縦枠23の取付作業が終了した後に行う。
【0102】
なお、上記新設サッシBの内側には断熱障子a、bが摺動自在に収納されている。断熱障子a、bは、それぞれアルミニウム等の金属製障子a1、b1の屋内側を合成樹脂製の上下及び縦の樹脂框81、82、83によって形成してなるもので、公知の構成の断熱障子でよい。
【0103】
[ベース材]
次に、新設サッシBはベース枠Cを介して既設サッシA上に取り付けられる。ベース枠Cは上ベース材40、下ベース材41及び縦ベース材42から方形に枠組みされ、それぞれアルミニウムの押出型材からなり、中央の取付壁43をはさんで平坦部44、45を形成してなるもので、取付壁43は窓開口部1の面方向と平行に形成され、平坦部44、45は窓開口部1の面方向と垂直に形成されるものである。屋外側の平坦部45は取付壁43の外方端(窓開口部1の周面に近い側の端部)から屋外側に延出されている。屋内側の平坦部44は取付壁43の内方端(窓開口部1の周面から遠い側の端部)から屋内側に延出されている。また、下ベース材41の屋外側の平坦部45は、さらに屋内側の水平部45aと屋外側のわずかに斜めに形成された緩斜面部45bとから構成され、平坦部45の先端からは当接片46が取付壁43と平行に垂下形成されている。取付壁43と屋内側平坦部44の底辺部44aと屋外側平坦部45の水平部45aとは、他の部分に比べて肉厚に形成されている。また、上記当接片46の先端は屋内側に屈曲して係止片47が形成されている。さらに、上記屋内側の平坦部44は中空に形成され、上ベース材40と下ベース材41の屋外側中空部48には、長手方向に沿って内方に開口する溝49が形成されている。なお、下ベース材41の屋外側端部の当接片46から取付壁43までの長さは、既設サッシAの下枠3の網戸レール12から外レール14と内レール13の間の外レール14寄りの位置(外レール14上でもよい)までの長さとする。
【0104】
上ベース材40、下ベース材41及び縦ベース材42の幅寸法はすべて同じに設定され、また上記屋外側の端部から取付壁43までの寸法及び取付壁43から屋内側の端部までの寸法も同じ長さに設定されている。
【0105】
なお、下ベース材41の幅寸法は既設サッシAを全部覆うことができるように設定されている。
【0106】
また、下ベース材42の水平部45aと取付壁43と屋内側平坦部44の底辺部44aとは、既設サッシAに載置されて新設サッシBを支持するから、その荷重に耐えられる強度を有するように肉厚に形成されている。
【0107】
[リフォームサッシの施工方法]
次に、既設サッシAに新設サッシBを取り付けるにあたっては、まず既設サッシAの内周面に沿ってベース枠Cを配設する。その際、図1〜図5に示されるように、下ベース材41を上記下枠3上に取り付けるときは、屋外側の水平な平坦部45を外レール14の上に載置して支持させ、屋内側の水平な平坦部44を内レール13と立上り片15の上に載置して支持させる。そして、屋外側の端部の当接片46を網戸レール12に当接させて位置出しをする。このとき、下ベース材41の取付壁43は、既設サッシAの下枠3の外レール14と内レール13の間の外レール14寄りに位置する。位置決め後、屋内側の平坦部44から長いネジ50で既設サッシAとともに窓台10に一体的にネジ止めする。このとき、ネジ50は上記平坦部44の上面部の作業孔(図示せず)から挿通し、頭部が中空部48の底部に達するまでねじ込むようにするのが好ましい。
【0108】
次に、上ベース材40は、屋外側の端部の当接片46を既設サッシAの上枠2の網戸案内片7に係合させて位置出しをし、下ベース材41と同様に、屋内側の平坦部44から長いネジ50では既設サッシAとともにまぐさ11に一体的にネジ止めする。
【0109】
さらに、縦ベース材42は、屋外側の端部を既設サッシAの縦枠4の屋外側端面に合わせて位置出しをすればよい。
【0110】
上記構成により、上ベース材40、下ベース材41及び縦ベース材42は既設サッシAの下枠3の網戸レール12を基準として、既設サッシAの内周面に沿って配設されてベース枠Cが組み立てられ、取付壁43は面一に揃えられる。
【0111】
次に、上記ベース枠Cに新設サッシBを取り付ける場合、まず新設サッシBを方形に枠組みして窓開口部1のベース枠Cに嵌合させ、新設サッシBの下枠22を下ベース材41の屋内側の平坦部44上に載置する。そして、新設サッシBの上下枠21、22と縦枠23の中間部の釘打ちフィン24a、24b、24cを取付壁43に当接してネジ52で固定する。また、下枠22は、屋内側端部の取付片34を下ベース材41の平坦部44にネジで固定し、上枠21と縦枠23は調整材53を介して上ベース材40と縦ベース材42にネジ止めする。これにより、新設サッシBはベース枠Cに固定される。
【0112】
さらに、新設サッシBの屋内側に合成樹脂製の樹脂ブロック枠37を固定する。その際、まず両側に縦ブロック37cを取り付け、その間に上下ブロック37a、37bを入れ込んで上下枠21、22のアングル35にネジ止め固定する。これによって各樹脂ブロック37a、37b、37cはベース材40、41、42の屋内側の端面と面一になるように配置されて樹脂ブロック枠37が構成される。
【0113】
上述の構成によれば、新設サッシBを施工するにあたり、既設サッシAにはベース枠Cを取り付け、ベース枠C内に新設サッシBを嵌合配置して釘打ちフィン24a、24b、24cを取付壁43にビス止め固定すればよいので、手間がかからず、施工が容易である。
【0114】
また、一般にサッシの外周面には釘打ちフィンが設けられているが、これに対応してベース枠Cには取付壁43が設けられているので、ベース枠Cには、専用サッシではなく一般サッシであっても取り付けることができるとともに、その取付けは慣れた作業となり、容易迅速に行うことができる。
【0115】
さらに、断熱性樹脂枠39と断熱性ブロック枠37とは連続し、断熱性ブロック枠37と断熱性室内額縁80とは連続している。したがって、リフォームサッシの屋内側は全て合成樹脂製の断熱部材で連続的に覆われることになるから、リフォームサッシ全体としては高い断熱性を発揮することができる。
【0116】
[内外観の化粧処理]
次に、上述の段階では、屋内側と屋外側にはベース枠Cや既設サッシAが見えるので、内観と外観の体裁をよくするため、新設サッシBの屋外側の外周は上下及び縦の化粧カバー材54、55、56によって隠し処理が施され、また屋内側は上下及び縦の上、下及び縦の額縁57、58、59によって隠し処理が施されている。
【0117】
化粧カバー材54、55、56はそれぞれ略板状のアルミニウム押出型材からなり、幅方向の一側寄りに1対の嵌合片60が形成されている。化粧カバー材54、55、56は取付アタッチメント61を介して上下及び縦の各ベース材40、41、42に取り付けられている。取付アタッチメント61は断面がC字形のアルミニウム押出型材からなり、先端部には突部62が向き合いに形成されている。取付アタッチメント61は各ベース材の両端の屋外側端部にネジ止め固定されている。したがって、図19に示すように、一隅に2個、四隅に計8個が取り付けられる。そして、4個の化粧カバー材54、55、56はそれぞれ対応する取付アタッチメント61の先端の突部62の内側に嵌合片60を嵌合させることにより固定され、上部化粧カバー材54と下部化粧カバー材55との間に縦化粧カバー材56を横通しで取り付けられる。縦化粧カバー材56の両端部は上下化粧カバー材54、55に飲み込まれている。
【0118】
上記構成により、新設サッシBとベース枠Cとの間及びベース枠Cと既設サッシAとの間の部分は化粧カバー材54、55、56によって覆われ、屋外側から隠蔽される。
【0119】
次に、新設サッシBの屋内側は上、下及び縦の額縁57、58、59によって構成された室内額縁によってカバーされる。上、下及び縦の額縁57、58、59は合成樹脂からなり、それぞれ基本額縁材63と補助額縁材64とから構成され、図17に示されるように、基本額縁材63は額縁材本体65の外方に2本の脚部66を突出したものであり、額縁材本体65の屋内側には嵌合溝67が形成され、嵌合溝67にはキャップ69が着脱自在に設けられている。補助額縁材64は基本額縁材63の脚部66に対応する部位に、嵌合溝67に嵌合可能な嵌合片68を形成した形状となっている。
【0120】
基本額縁材63は上記ベース材と樹脂ブロック37aの屋内側端面に当接され、嵌合溝67から挿通された長いネジ50によって窓台10とまぐさ11と柱9にネジ止め固定されている。そして、図の上部及び側部の室内額縁57、59のように、高さが不十分な場合には基本額縁材63の上にさらに補助額縁材64を重合して嵌合片68を基本額縁材63の嵌合溝67に嵌合して固定すればよい。なお、上記上、下及び縦の額縁57、58、59は樹脂ブロック37a、37b、37cと一体的に配置される。
【0121】
なお、上、下及び縦の額縁57、58、59は、それぞれ基本額縁材63のみによって構成してもよいが、図15、図16等に示されるように、上、下及び縦の額縁57、58、59を基本額縁材63と補助額縁材64(1個又は複数個)とから構成する場合は、基本額縁材63上に補助額縁材64を予め積み上げた状態にしてから縦通しで組み付ければよい。
【0122】
上記構成により、新設サッシBとベース枠Cとの間及びベース枠Cと既設サッシAとの間の部分は室内額縁によって覆われ、屋内側から隠蔽される。後は新設サッシB内に内障子a、外障子bと網戸cを納めれば完成する。
【0123】
[作用効果]
上述のように、新設サッシBを施工するにあたり、既設サッシAの下枠3上には下ベース材41だけを取りつければよく、新設サッシBの下枠22を下ベース材41の屋内側の平坦部44に載置し、新設サッシBの下枠22の中央部に形成された釘打ちフィン24bを取付壁43にビス止め固定すればよい。このように、新設サッシBを取り付けるためには、既設サッシAの下枠3には下ベース材41のみを取り付ければよいので、手間がかからず、施工が容易である。
【0124】
また、下ベース材41の屋内側の平坦部44上には新設サッシBの下枠22が載置されるが、自然の状態では半外付けサッシは、障子が窓開口部1の屋外側寄りに収納配置されるので、上部が屋外側に倒れるように力を受けやすい。したがって、全体の荷重も屋内側平坦部の屋外側の端部、つまり取付壁43に荷重が集中しやすい。上記取付壁43は既設サッシAの下枠3の外レール14の屋内側に位置するので、新設サッシBの荷重も窓台10の中心側で受けるので、サッシ全体を安定に支持することができる。
【0125】
しかも、取付壁43は、障子の荷重がかかるために最も強度が確保されている外レール14上又はその近傍に位置するので、新設サッシBの支持がより安定になる。
【0126】
また、取付壁43は既設サッシAの下枠3の外レール14の屋内側に位置することに伴い、釘打ちフィン24bは屋内側に寄ることにより、雨水の影響を受けにくくなる。
【0127】
なお、下ベース材41の幅寸法は既設サッシAを全部覆うことができるように設定され、また新設サッシBの取付壁43の下端から屋外側に、下ベース材41の水平部45aと緩斜面部45bとが連続して形成され、これらの部分が水切り機能を有するので、新設サッシBに格別に水切り材を取り付ける必要がない。
【0128】
さらに、一般にサッシの基本となる下枠は窓台に載置される部分と窓台の屋外側の側面に固定される釘打ちフィンとが設けられているが、これに対応して下ベース材41は窓台10に対応する平坦部44と釘打ちフィン24bのねじ込みに対応する取付壁43とを備えているので、上記下ベース材41には、専用サッシではなく一般サッシであっても取り付けることができるとともに、その取付けは慣れた作業となり、容易迅速に行うことができる。
【0129】
また、新設サッシBにおいて最も荷重がかかる下ベース材41は、既設サッシAの外レール14によって支持される構造である。一般にサッシにおいて最も強度を要する部分は障子を支持する外レールと内レールであるから、外レール上に下ベース材41を支持させるという構造は強度上非常に合理的である。
【0130】
同様に、内付けサッシも外付けサッシも、基本的には外レールと内レールとの間隔や高低差は同じであり、屋内側に立上り片がある構成も同じである。下ベース材41は外レール14と内レール13又は立上り片15に支持されるので、既設サッシAが内付けサッシでも外付けサッシでも対応することができる。
【0131】
さらに、下ベース材41の屋外側端部を上記既設サッシAの網戸レールに当接させて位置出しする構成であるから、下ベース材41の正しい位置を容易かつ確実に得ることができる。
【0132】
また、下ベース材41の平坦部を既設サッシAとともに窓台10に一体的にネジ止めしたので、下ベース材41と既設サッシAとの結合を強固にすることができる。
【0133】
さらに、下ベース材41の平坦部44を中空状に形成し、上記ネジの頭部は中空部内に位置させているので、ネジの頭が外部に露出することがないほか、下ベース材41の平坦部を既設サッシAとともに窓台10に一体的にネジ止めするとき、ネジを深く窓台10中に締め込むことができる。
【0134】
また、下ベース材41の平坦部44の上面部には溝49が形成されているので、排水溝として利用することができるとともに、縦ベース材42の位置決めにも利用することができる。
【0135】
加えて、上記下枠22の屋内側には合成樹脂製の樹脂ブロック37bを設けるとともに、上記下ベース材41の屋内側には合成樹脂製の室内額縁58を設け、上記樹脂ブロック37bと室内額縁58とを一体的に配置されているから、既設サッシAとベース材41と新設サッシBがともに金属製であっても、リフォームサッシを施工することにより全体として断熱性の高いサッシが得られる。上枠21と上ベース材40及び縦枠23と縦ベース材42も同様である。したがって、障子を断熱障子にすれば、全体を断熱窓にすることができる。
【0136】
なお、断熱性に関しては、図15〜図18等に示されているように、断熱性の高い合成樹脂製部材の樹脂ブロック37a、37b、37cと上、下及び縦の額縁57、58、59とは、互いに当接されているが、これに対し、断熱性の低いアルミニウム製の上ベース材40、下ベース材41、縦ベース材42と断熱性の高い上、下及び縦の額縁57、58、59とは接触しないよう、互いにわずかながら離間するように配置されている。そのため、樹脂ブロック37a、37b、37cは上ベース材40、下ベース材41、縦ベース材42よりもわずかに室内側に突出している。上、下及び縦の額縁57、58、59を基本額縁材63と補助額縁材64とから構成する場合は、両額縁材を予め積み上げた状態にしてから組み付ける理由の1つは、こうすることによって、自動的にベース枠と額縁との間に隙間ができるからである。これにより、ベース枠Cと室内額縁との間の断熱は良好に確保され、上、下及び縦の額縁57、58、59が結露するようなことがない。
【0137】
上記構成によれば、新設サッシBは断熱サッシであるが、ベース枠Cと既設サッシAは断熱性を有しないが、新設サッシBの屋内側に断熱性樹脂枠39を取り付け、上記ベース枠Cの屋内側に断熱性ブロック枠37を取り付け、上記既設サッシAの屋内側に断熱性室内額縁80を取り付けるとともに、上記断熱性樹脂枠39と断熱性ブロック枠37とを連続させ、断熱性ブロック枠37と断熱性室内額縁80とを連続させることにより、リフォームサッシの屋内側は全て合成樹脂製の断熱部材で連続的に覆われることになるから、リフォームサッシ全体としては高い断熱性を発揮することができる。同様に、内側には断熱障子a、bが収容されるので、全体として優れた高断熱性能を有することができる。
【0138】
以上のように、上記リフォームサッシは屋内側の面に全て合成樹脂を配設した構成となっているが、合成樹脂は単に断熱機能を有するだけではない。金属特有の「てかり」がなく、金属の冷たくて硬い質感ではなく暖かくて柔らかい質感が感得され、特に木質感のある合成樹脂は高級感に優れる。特にサッシ枠や障子の屋内側の面に全て合成樹脂が露出する構成とすることにより、内観における意匠的効果は格段に向上する。したがって、本発明において新設サッシBや障子a、bが断熱性を有するかどうかは関係がない。断熱性を有しないアルミニウム等からなる金属サッシであってもよいほか、屋内側の金属部と屋内側の金属部とを断熱材を介して連結した断熱サッシであってもよい。同様に、障子a、bも屋内側に合成樹脂を設けなくても断熱効果を有する断熱障子であってもよい。いずれの場合も、屋内側の面に全て合成樹脂を配設する構成とすることにより、内観における意匠的効果を強調することができる。
【0139】
[その他]
図20、図21はリフォームサッシの別の実施形態を示すものである。基本的構成は図15及び図16に示したものとほとんど同じであるが、障子a、bの室内側に設けられた樹脂框81、82、83の中空部や全体の大きさ、あるいは新設サッシの断熱構成などが図15、16のものに比べて低断熱となるように設計されている。この場合、断熱機能は高くないが、上述のような意匠的効果は肉厚の場合と同じく大である。
【0140】
次に、図22及び図23は、既設サッシAが半外付けサッシである場合の対応を下枠部分について示したものである。上枠、縦枠部分は前述の例と同様、下枠に準じて構成すればよいので、説明は省略する。また、上図と同じ符号は同じ部材を示すものとする。
【0141】
同図において既設サッシAは高窓タイプの半外付けサッシで、基本的構成は上述の内付けサッシと同じであるが、主に釘打ちフィン24a、24b、24cの位置が屋外側に寄っている点と下枠3の網戸レール12がより低い点で異なっている。
【0142】
新設サッシBは上述の半外付けサッシと同じである。
【0143】
また、上下及び側部のベース材およびこれらのベース材によって構成されたベース枠Cも上述のものと同じである。
【0144】
上記既設サッシAにベース枠Cを形成し、さらにその内側に新設サッシBを嵌合してネジ等で固定する取付手順も上述と同じである。
【0145】
以上のように、上記リフォームサッシ構成によれば、既設サッシAが半外付けサッシであっても対応することができる。
【0146】
次に、上述の断熱性リフォームサッシは高窓タイプのサッシであるが、図24に示される掃き出し窓タイプの場合も基本的構成において大きな違いはない。ただ、掃き出し窓では、下枠22が床面76と連続的に配設されており、人が出入りするので、下部の額縁58を踏むことがあり、それに耐えるだけの強度が必要である。そこで、専用のアルミニウムの芯材74と樹脂カバー75からなる掃き出し用室内額縁58を床面76と新設サッシBの下枠22のアングル35の高さ間に取り付けてある。これによれば、下部の額縁58は芯材74によって補強されているので、十分な強度が確保される。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】本発明に係るリフォームサッシの縦断面図
【図2】上記リフォームサッシの横断面図
【図3】図1の要部の分解図
【図4】図2の要部の分解図
【図5】図1の下枠部分の拡大図
【図6】縦枠の位置出し態様説明図
【図7】取付アタッチメントの取付態様の拡大説明図
【図8】取付アタッチメントの取付態様説明図
【図9】下ベース材の位置出しの他の態様を示す縦断面図
【図10】面格子サッシの取付態様を示す縦断面図
【図11】嵌め殺しサッシの取付態様を示す縦断面図
【図12】下ベース材を立上り片に載置した状態を示す縦断面図
【図13】下ベース材を高さ調整部材を介して外レールに載置した状態を示す縦断面図
【図14】掃き出し窓の取付態様を示す下枠部分の縦断面図
【図15】本発明に係るリフォームサッシの縦断面図
【図16】上記リフォームサッシの横断面図
【図17】図1の要部の分解図
【図18】図2の要部の分解図
【図19】取付アタッチメントの取付態様の拡大説明図
【図20】低断熱仕様のリフォームサッシの縦断面図
【図21】上記リフォームサッシの横断面図
【図22】既設サッシが半外付けの場合のフォームサッシの縦断面図
【図23】上記リフォームサッシの横断面図
【図24】掃き出し窓の取付態様を示す縦断面図
【図25】既設サッシの縦断面図
【図26】既設サッシの横断面図
【符号の説明】
【0148】
A 既設サッシ
B 新設サッシ
C ベース枠
14 外レール
22 下枠
24b 釘打ちフィン
40 上ベース材
41 下ベース材
42 縦ベース材
43 取付壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の開口部に設けられた既設サッシの上下枠及び縦枠の内方にそれぞれ金属製のベース材を固定し、該ベース材によって構成されたベース枠の内方に新設サッシを固定したリフォームサッシであって、上記下枠に対応する下ベース材には既設サッシの下枠の外レールと内レールの間の外レール上を含む外レール寄り位置に取付壁を形成するとともに、該取付壁の屋内側に水平な平坦部を延長形成し、新設サッシの下枠を上記平坦部に載置し、新設サッシの下枠の中央部に形成された釘打ちフィンを上記取付壁にビス止め固定したことを特徴とするリフォームサッシ。
【請求項2】
建物の開口部に設けられた既設サッシの内方にそれぞれ金属製のベース材を固定し、該ベース材によって構成されたベース枠の内方に新設サッシを固定したリフォームサッシであって、上記新設サッシの上下枠及び縦枠の屋内側には合成樹脂製の樹脂枠を取りつけ、該樹脂枠には室内側に延出するアングルを形成し、該アングルの外方に合成樹脂製の樹脂ブロック枠を取り付け、上記既設サッシの屋内側に合成樹脂製室内額縁を取りつけるとともに、上記樹脂枠と樹脂ブロック枠とを連続させ、かつ樹脂ブロック枠と樹脂製室内額縁を連続させ、さらに上記新設サッシ枠内には、屋内側に樹脂框を取り付けた障子を収納したことを特徴とするリフォームサッシ。
【請求項3】
上記下枠に対応する下ベース材には既設サッシの下枠の外レールと内レールの間の外レール上を含む外レール寄り位置に取付壁を形成するとともに、該取付壁の屋内側に水平な平坦部を延長形成し、新設サッシの下枠を上記平坦部に載置し、新設サッシの下枠の中央部に形成された釘打ちフィンを上記取付壁にビス止め固定したことを特徴とする、請求項2に記載のリフォームサッシ。
【請求項4】
上記下ベース材を既設サッシの下枠の外レール上に支持させ、下ベース材の屋内側の平坦部を既設サッシの下枠の内レール又は立上り片上に支持させてネジ止め固定したことを特徴とする、請求項1又は3に記載のリフォームサッシ。
【請求項5】
上記下ベース材の平坦部を既設サッシとともに窓台に一体的にネジ止めしたことを特徴とする、請求項1、3又は4に記載のリフォームサッシ。
【請求項6】
上記下ベース材の平坦部を中空状に形成し、上記ネジの頭部は中空部内に位置させたことを特徴とする、請求項1又は3〜5のいずれかに記載のリフォームサッシ。
【請求項7】
上記下ベース材の平坦部の上面部には溝が形成されたことを特徴とする、請求項1又は3〜6のいずれかに記載のリフォームサッシ。
【請求項8】
上記下ベース材の屋外側端部を上記既設サッシの網戸レールに係合させて位置出ししたことを特徴とする、請求項1又は3〜7のいずれかに記載のリフォームサッシ。
【請求項9】
上記下ベース材の屋外側端部と既設サッシの下枠の網戸レールとを着脱可能な位置決め用ピース部材を介して係合させることにより位置決めした、請求項1又は3〜8のいずれかに記載のリフォームサッシ。
【請求項10】
建物の開口部に設けられた既設サッシに新設サッシを施工するリフォームサッシの施工方法において、建物の開口部に設けられた既設サッシの上下枠及び縦枠の内方にそれぞれ上下ベース材及び縦ベース材を固定し、これらのベース材によって構成されたベース枠の内方に新設サッシを固定するに際し、上記下枠に対応する下ベース材には既設サッシの下枠の外レールと内レールの間の外レール上を含む外レール寄り位置に取付壁を形成するとともに、該取付壁の屋内側に水平な平坦部を延長形成し、新設サッシの下枠を上記平坦部に載置し、新設サッシの下枠の中央部に形成された釘打ちフィンを上記取付壁にビス止めして固定することを特徴とするリフォームサッシの施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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