説明

リフター

【課題】小形軽量で安価に製作でき、収納、保管が容易となり、床面への設置性を高める。
【解決手段】支柱10と、支柱10の上部を盤20の上部に固定する上部固定部25と、支柱10の下部を盤20の下部に固定するとともに、床面50との間に脚部24を有する下部固定部26と、支柱10の上部に取り付けられ、ワイヤロープ14が掛けられるローラ45を有する吊り上げ部13と、支柱10の吊り上げ部13より下部に取り付けられ、ワイヤロープ14を巻き取り、放出するウインチ12と、支柱10に案内されて上下動するとともに、吊り上げ部13を介してワイヤロープ14が連結される可動部15と、可動部15に固定され、盤20内の被保守部材44の載置、昇降を行う荷台16とから構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、リフターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、可変速装置において、盤内に段積み収納されるインバータ装置を保守する場合、高圧インバータ装置では対応する電圧により複数の単相インバータをシリーズに接続して構成されるが、万が一の不具合の時には同時に幾つかの単相インバータをメンテナンスする必要が生じることがある。そのような場合には、不具合の単相インバータを昇降移動可能な装置、即ちリフターにより盤外に出して修繕したり、また戻したり、または予備品と交換したりして、不具合対策をしていた。
【0003】
リフターは可変速装置等により使用する以前から高圧開閉器盤の遮断器等の保守に採用されていた。この場合、機構的には同じであるが、被保守部材(遮断器や可変速装置等)によってリフターの荷台形状を変更して対応していた。
【0004】
図25(a),(b)は従来のリフター(昇降式移動台車)の正面図及び側面図であり、1はリフター枠であり、その下端には可動車輪2及び固定車輪3が取り付けられ、またリフター枠1の前面側には巻き上げ操作部4が設けられ、巻き上げ操作部4にはハンドル部4aが設けられている。又、リフター枠1の上部には滑車5が回転自在に支持され、巻き上げ操作部4と滑車5との間にはワイヤロープ6が巻回される。又、リフター枠1の背面側には荷台受枠7を介して荷台8が上下動自在に設けられ、荷台受枠7にはワイヤロープ6が連結される。9はリフター枠1の下部に設けられた安定器である。上記構成において、巻き上げ操作部4のハンドル部4aを回転させることにより、荷台8を上下動させる。又、リフター枠1は車輪2,3によって移動可能である。
【0005】
リフターは自身の移動のときにも転倒しないように床占有面積が大きくなるように作製され、また盤内に収納されている被保守部材を取り出すためにも床占有面積以上に荷台8が盤側に飛び出している。又、上記のようなリフターを高圧開閉器盤に適用した場合、高圧開閉器盤は電気室に設置するのが通常である。又、開閉器装置はそれ自身の外形も大きいし、収納されている遮断器も非常に重い。高圧開閉器盤は設置事業所または工場の最上流の電源部に位置するので、電気室も建設時には高圧開閉器盤を考慮している。そのため、床面もフラットで盤の周りのスペースも十分ある。従って、遮断器の開閉器盤からの取出と収納はリフターにより行うことができ、また電気室内での遮断器の移動はリフターに載せた状態で行うことができるが、遮断器の電気室外への移動は床面に段差等がある場合にはリフターでは対応できず、また遮断器を電気室外でメンテナンスする場合には遮断器をリフターに載せたり、降ろしたりする場合も別途のツールが必要になる。
【0006】
なお、先行技術文献情報としては、次のものがある。
【特許文献1】特開平9−200914
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のリフターが特にインバータ装置や遮断器を含む高圧開閉器盤に適用された場合、高圧開閉器盤は実際には電気室に設置されないことが多い。特に、高圧インバータ装置は省エネ等のために既存のシステムに追加して設置されることが多いので、設置スペースを十分配慮できないことが多く、リフターを盤前面に配置してインバータ装置を保守する場合に、インバータ装置の奥行寸法以上に盤前面に保守スペースの確保が必要になる。又、現場設置の場合には、床面の平面度が十分でなく、リフターが傾いたりする。また、複数のインバータ装置を設置する場合には、床面からのインバータ装置の設置高さが異なることがあり、リフターもそれぞれのインバータ装置に対応させることが必要になる。さらに、現場では配管等が床面にあったり、ピットの凹凸が大きかったりして、可搬専用でないリフターは移動が困難になることがあった。
【0008】
又、リフターの荷台は折りたたむことや取り外すことは可能であっても、リフターの本体部が十分大きいため、リフター自身の収納スペースの確保が必要になる。リフターを使う機会は、定期点検の時と不意に発生する不具合の時とであるが、高圧インバータ装置の場合には通常定期点検では単相インバータを盤外に引き出して行うことがなく、単相インバータに使用している電解コンデンサの寿命10年までは不意に発生する不具合の時以外に使用がないと考えられる。このように、あまり使用の機会がないリフターのために大きなスペースを確保することは、望ましいことではない。また、リフターは被保守部材を昇降させる機能と自身が移動する機能とを有し、荷物を載せたまま自立できるだけの頑丈さも有しているので、非常に高価になる。そのために、ある物件にはリフター本体と荷台で対応し、またリフター本体は多くの物件に対して同じものを使用するようにして、価格を下げるようにしているが、それでも高価になった。
【0009】
上記したように、従来においては、リフターは移動機能を有していたので、自立するだけの頑丈さを有さねばならず、非常に高価になり、また大形で重量化し、収納、保守スペースが問題となった。又、床面が平坦でない場合には、リフターの設置が困難であった。
【0010】
この発明は上記のような課題を解決するために成されたものであり、小形軽量で安価に製作できるとともに、収納、保管が容易となり、かつ床面への設置性を高めることができるリフターを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明の請求項1に係るリフターは、支柱と、支柱の上部を盤の上部に固定する上部固定部と、支柱の下部を盤の下部に固定するとともに、床面との間に脚部を有する下部固定部と、支柱の上部に取り付けられ、ワイヤロープが掛けられるローラを有する吊り上げ部と、支柱の吊り上げ部より下部に取り付けられ、ワイヤロープを巻き取り、放出するウインチと、支柱に案内されて上下動するとともに、吊り上げ部を介してワイヤロープが連結される可動部と、可動部に固定され、盤内の被保守部材の載置、昇降を行う荷台とを備えたものである。
【0012】
請求項2に係るリフターは、支柱と上下部固定部との間にすべり板を設け、荷台を支柱及び可動部と共に回転可能にしたものである。
【0013】
請求項3に係るリフターは、上部固定部及び下部固定部の実質的な長さを変更可能としたものである。
【0014】
請求項4に係るリフターは、上部固定部又は下部固定部の一部を構成する固定腕を盤内に収納可能としたものである。
【0015】
請求項5に係るリフターは、荷台の可動部に対する取付を、溝と係合部との係合及びファスナーにより行ったものである。
【0016】
請求項6に係るリフターは、上部固定部及び下部固定部を除去してリフターを90度回転させ、盤の上部に引っ掛け金具を設け、この引っ掛け金具にリフターの上部に新たに取り付けた固定腕を引っ掛けてリフターを吊り下げたものである。
【発明の効果】
【0017】
以上のようにこの発明の請求項1によれば、リフターは移動機能を持たないので、小形軽量で安価に製作することができ、またリフターは盤側に固定するので、リフターを自立させる必要がなく、頑丈に製作する必要がなく、これによっても小形、軽量化が可能になり、収納、保管も容易となる。又、リフターは盤側に固定するので、下部固定部と床面との間に脚部を設けただけでリフターの直立が可能となり、床面が平坦でない場合でも、床面への設置が容易となる。又、支柱の長さを変えるだけで、荷台の揚程を変えることができる。
【0018】
又、請求項2によれば、荷台を回転可能としたので、荷台の背後に盤や被保守部材がないので、被保守部材の荷台への載せ降ろしを広いスペースで行うことができ、載せ降ろし作業が容易になる。
【0019】
請求項3によれば、上部固定部及び下部固定部の実質的な長さを変更可能としており、被保守部材の変更に対応して盤とリフターとの間隔を変えることができる。
【0020】
請求項4によれば、上部固定部又は下部固定部の一部を構成する固定腕を盤内に収納可能としており、リフターの可搬の際に固定腕を盤側に収納することにより、リフターの可搬性を高めることができるとともに、収納スペースを不要とすることができる。
【0021】
請求項5によれば、荷台の可動部に対する取付を、溝と係合部との係合及びファスナーにより行っており、荷台の取付、取り外しが容易となり、リフターの可搬性及び収納スペースの点で非常に有利となる。
【0022】
請求項6によれば、リフターを盤の引っ掛け金具に吊り下げるので、床面状態がどのような場合でもリフターの設置が容易となり、これによって構造が簡単になり、安価にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
実施最良形態1
以下、この発明を実施するための最良の形態を図面とともに説明する。この実施最良形態のリフターは従来の昇降式移動台車とは異なる。即ち、台車としての機能は市販されている台車に比べて劣るため、昇降機能部と移動機能部とを分離し、移動については市販品を使用するようにし、移動機能部を削除することにより、リフター自身の可搬を容易にし、収納スペースを削減して、安価な製作を可能にした。図1(a),(b)及び図2は実施最良形態1によるリフターの正面図、側面図及び平面図を示し、10は支柱であり、支柱10の中央部にはウインチ取付金具11を介してウインチ12が取り付けられ、ウインチ12はハンドル12aを有している。支柱10の上部にはローラ45を有する吊り上げ部13が取り付けられ、ウインチ12と吊り上げ部13のローラ45との間にはワイヤロープ14が掛けられ、ウインチ12はワイヤロープ14の巻き取り、放出を行う。又、ワイヤロープ14の吊り上げ部13で折り返した端部には支柱10に案内されて上下動する可動部15が連結され、可動部15には荷台16が取り付けられ、荷台16は盤20内の被保守部材44の載置、昇降を行う。そして、ウインチ12のハンドル12aの回転によりワイヤロープ14を介して荷台16を上下動させる。
【0024】
図3(a),(b)は支柱10の上端に設けられた上部固定部25の平面図及び側面図であり、上部固定部25は固定腕17、固定金具18及び押え金具19により形成され、固定腕17は線状の部材により一体に形成され、その基端は支柱10の上端に取り付けられた固定金具18に1本のボルト57により取り付けられ、固定腕17の先端には押え金具19が回動可能に取り付けられ、押え金具19は盤(高圧開閉器盤等)20の上端に取り付けられる。図4(a),(b)は支柱10の下端に設けられた下部固定部26の側面図及び平面図であり、下部固定部26は固定腕21、固定金具22及び押え金具23により構成され、固定腕21も線状の部材により一体に形成され、その基端は支柱10の下端に取り付けられた固定金具22に1本のボルト58により取り付けられ、固定腕21の先端には押え金具23が回動可能に取り付けられ、押え金具23は盤20の下端に取り付けられる。又、固定金具22の下部にはリフターの自立を可能とする3本の脚24が床面50との間に設けられ、3本の脚24の長さの調整により床面の凹凸が吸収される。固定腕17は一体のものとしたが、図5に示すように二つの部分17a,17bに分割したものでも良い。又、固定腕17,21と固定金具18,22とは一軸上で取り付け、回動可能とする。
【0025】
なお、リフターを立たせるためには、下部の固定腕21と押え金具23は不要であるが、被保守部材のリフターへの載せ降ろしは主にリフターの下部で行うので、安定度を増すために固定腕21及び押え金具23を設けている。又、固定腕17,21は丸パイプ又は丸棒により製作するが、角材でもよい。また、上部固定腕17の両端を固定金具18との取付部分よりさらに長くしているのは、固定腕17を盤20の上部へ持ち上げる時の作業を容易にするためである。図6(a)〜(c)はアジャスターフット27a付のキャスター27の平面図、側面図及び正面図であり、3本の脚24の一つをこのようなキャスター27(アジャスターフット27a付きでなくてもよい。)にすれば、リフターの可搬性を増すことができる。
【0026】
図7(a)〜(c)は支柱10の平面図、正面図及び側面図であり、支柱10は角パイプ形状であり、鋼板により形成され、コ字状の本体枠28と、その開口側を塞いで補強する補強材29a〜29cとからなり、支柱10の上下端には固定金具18,22を取り付けるためのボルト30,31が取り付けられる。又、本体枠28には吊り上げ部13を取り付ける部分28aが設けられ、補強材29bにはウインチ12が取付金具11を介して取り付けられる。本体枠28と補強材29a〜29cは市販の金属製角パイプ等から製作可能である。又、リフターは可搬を容易にすることが求められており、軽量化が必要になる。そのために、補強材29a〜29cに肉抜き加工部29dを設けている。レーザ加工であれば、角パイプ形状でも肉抜き加工は可能である。なお、本体枠28と補強材29a〜29cとの間には図7(c)に示すように間隔Aが設けられているが、これは後述するフランジ付ローラのためである。
【0027】
図8(a)〜(c)は市販されているウインチ12の側面図、正面図及び平面図である。12bは巻取ドラムである。ただし、図8(b),(c)においては、ハンドル12aの位置を90°変えている。ウインチ12はワイヤロープ14の巻き取り、放出を行う。ウインチ12の支柱10への取付は取付金具11を介して行うが、ウインチ12は取付面を支柱10側にしていない。これは、ハンドル12aが荷台16と干渉するのを避けるためでる。なお、ウインチ12が支柱10からあまり出っ張らないようにするために、支柱10の補強材29a〜29cを切り欠いてウインチ12の一部、例えば巻取ドラム12bを埋め込むことは可能である。
【0028】
図9(a)〜(c)は可動部15の正面図、側面図及び平面図であり、可動部15はワイヤロープ14の巻取、放出により支柱10を上下動する。可動部15は支柱10を囲むように板金により形成され、また支柱10の相対する面を挟むように配置された複数のローラ32,33を有し、またワイヤーロープ14の端部を固定するワイヤロープ固定部34が設けられている。又、可動部15の両側には荷台16の溝16aと係合する係合部35が設けられている。また、少なくとも支柱10を挟むローラ32,33の一方の側の上下左右のローラ33はフランジ付とする。これにより、荷台16に作用する左右方向の偏加重により荷台16が傾くことは防止される。図9(d),(e)は支柱10を挟む一方の側のフランジ付ローラ36,37の変形例を示し、ローラ36はローラ33とは反対端にフランジを有し、ローラ37は両端にフランジを有する。又、図9(f)は支柱10を挟む他方の側のローラ32の代わりに支柱10に対してボール38をばねにより圧接するものとしたものであり、これによっても荷台16の傾きを防止することができる。さらに、図9(g)は支柱10を挟む両側のローラ32,39にはフランジを設けず、可動部15の内面に支柱10と係合する凸部15aを設けたものであり、これによっても偏荷重に対応することができる。
【0029】
図10(a)〜(d)は荷台16を構成する架台40の平面図、正面図、側面図及び一部拡大斜視図であり、側部には可動部15の係合部35と係合する溝16aが設けられている。図11(a)〜(d)は荷台16を構成する枠状の取付枠41の平面図、正面図、背面図及び側面図を示し、取付枠41の正面側及び背面側には後述するレール43が挿入される溝41a,41bが設けられ、取付枠41は架台40に取り付けられる。溝41aは溝41bより浅い。図12(a)〜(c)は架台40及び取付枠41により支持される荷台皿42の平面図、正面図及び側面図であり、取付部42a,42bを架台40及び取付枠41に取り付けた際にレール43が動けるように隙間(レール43の厚みより大きい。)を作るためのディスタンス部42cが設けられている。図13(a)〜(c)はレール43の平面図、正面図及び側面図であり、レール43はキャップ形状であり、段違いの折り返し部43aが設けられ、荷台16の左右に設けられており、その折り返し部43aが取付枠41の溝41a,41bに沿って上記の隙間を動くことができる。図14(a)〜(d)は組み立てられた荷台16の平面図、正面図、側面図及び図14(b)の一部拡大図を示す。図1に示すように、レール43は、盤20内の被保守部材(例えば単相インバータ)44を引き出したり、収納する場合に、荷台16から盤20内に引き出す。折り返し部43aは幅が長短の二段になっており、長い部分は取付枠41の溝41a,41bの深さより長く、抜け止めの役目を持っている。なお、荷台16は、対象となる保守容量機種(高圧インバータ装置以外の製品でも)に応じて変更が必要となることもあるが、架台40については、同じものを使用することができる。
【0030】
図15(a)〜(d)は吊り上げ部13の側面図、平面図、側面図及び底面図を示し、吊り上げ部13は支柱10の上部に取り付けられ、ウインチ12と可動部15とを繋いでいるワイヤロープ14をローラ45により支持している。ローラ45はワイヤロープ14が可動部15に対して垂直になり、ウインチ12側ではウインチ取付金具11と干渉しないように配置しなければならないので、大きなローラ45を1個用いるか、または複数のローラ45を用いる。13aは吊り上げ部13のウインチ12又は可動部15側に下りる部分に設けられたワイヤロープ14の貫通孔である。このローラ45の部分でワイヤロープ14が外れることが考えられるので、その対策が必要であり、ローラ45の上側の水平面を接線状に塞ぎ、またはワイヤロープ14の貫通孔13aを設ける。あるいは、図15(e)に示すように、吊り上げ部13のウインチ12又は可動部15側に下りる部分にワイヤロープ14の径に近い切欠部13bを設ける。
【0031】
上記した実施最良形態1においては、移動台車は用途によって種々のものが市販されており、事業所等は既に所有している場合も多く、リフターに移動機能が無くても移動台車を用いれば、問題になることは無い。又、移動台車は量産品であり、安価である。また、移動機能を持たないリフターは非常に安価に製作することができる。又、リフターは盤20側に固定するので、リフターを自立させる必要がなく、頑丈に製作する必要がなく、足場の踏ん張りも大きくする必要がなく、小形、軽量化が可能になる。さらに、リフターの使用時は非常に限られており、通常は無用で邪魔物である。リフターは小形化により盤20の片隅に収納することも可能であり、非常時の使用に対する対応も容易になり、収納、保管の場所が問題にならない。又、従来では盤20の前面の床面50が斜めの場合リフターの設置が困難であったが、下部固定部と床面50との間に脚部24を設けるだけでリフターの直立が可能となった。さらに、荷台16の揚程を大きくする場合、従来では、安定性等により見直し部品が多くなり、また強度上から溶接構造体を用いるので、作り置き部品とすることができず、特殊品への対応が容易でなかったが、実施最良形態1ではワイヤロープ14や支柱10の長さを変えるだけで対応することができ、支柱10は角パイプまたは鋼板製で接続構造とすることもできる。
【0032】
実施最良形態2
図16(a)〜(d)は実施最良形態2による支柱10の上部固定部の平面図及び側面図、下部固定部の側面図及び平面図であり、支柱10と固定金具18,22との間にすべり板(被保守部材44が軽ければポリアセタールのような材料)46を設けたものである。被保守部材44を荷台16の荷台皿42上に引き出し、可動部15を下降させ、適当な高さまで降ろしたところで、図17に示すように荷台16を支柱10等と共に90度回転させる。回転には適当な抵抗があるので、被保守部材44の収納、引き出しには不便を感じない。このように、荷台16を回転させることにより、荷台16の背後に盤20や被保守部材44がないので、被保守部材44の荷台16への載せ降ろしを広いスペースで行うことができ、載せ降ろし作業が容易になる。
【0033】
実施最良形態3
図18(a),(b)はこの発明の実施最良形態3による支柱10の上部固定部及び下部固定部の側面図を示し、固定腕17,21に固定金具18,22と固定腕17,21とを結合するボルト57,58ための孔17c,21aを複数個設ける。このようにすれば、ボルト57,58の孔17a,21aに対する取付位置を変更することにより、盤20の前面とリフターとの間隔を変えることができる。例えば、盤20が床面50の上にさらに台を設けて設置される場合(配線ピット用に台で盤20を浮かす場合)に対応が可能になる。床面50からのリフターの揚程は決まっているので、盤20の最上部については保守対応が困難になるが、大体の場合には盤20の最上部に被保守部材44を配置しないので、有効となる。図1の場合、上部固定腕17は斜めになっているが、これは盤20の高さが台枠を含めて2350mmで支柱10の本体枠28を定尺2000mm×1000mmのものを使用した場合を表しているためである。支柱10の本体枠28を定尺4×8材にしたり、既成の角パイプを用いれば、可動部15の移動範囲を大きくできて、揚程ももっと高くなる。又、図19(a),(b)に示すように、固定腕17の直線部に長さ調整部(接続端部17c,17dに雄ねじ部を設け、これに逆ねじのナット部17eを螺合させたもの。)47を設ければ、固定腕17の長さを容易に調整することができる。固定腕21についても同様である。
【0034】
実施最良形態3においては、固定腕17,21と固定金具18,22との取付位置の変更、あるいは固定腕17,21の長さの変更により、上部固定部及び下部固定部の実質的な長さを変更可能としており、被保守部材44の変更に対応して盤20とリフターとの間隔を変えることができる。
【0035】
実施最良形態4
図20(a),(b)はこの発明の実施最良形態4による下部固定部での支柱10と盤20との固定構造の平面図及び側面図を示し、盤20内の両側に一対の固定腕48の一端を回動自在に取り付け、リフターを用いないときには各固定腕48の他端は盤20内に設けられた穴20a内に収納しておく。リフターを用いるときには、各固定腕48の他端を穴20a内から取り出し、各固定腕48を回動して支柱10の下端に設けられた固定金具22の穴22aに挿入し、支柱10と盤20を固定する。支柱10の上部固定部においても同様である。
【0036】
実施最良形態4においては、上部固定部又は下部固定部の一部を構成する固定腕48を盤20内に収納可能としており、長さが長く邪魔な固定腕48をリフターの可搬の際に盤20側に収納することにより、リフターの可搬性を高めることができるとともに、収納スペースを不要とすることができる。
【0037】
実施最良形態5
図21は実施最良形態5による荷台16と可動部15の取付構造を示し、荷台16の架台40の溝16aと可動部15の係合部35とを係合するとともに、ファスナー49により架台40と可動部15とを締結する。ファスナー49は図22に示すようにファスナーヘッド59、ホルダー51、スプリング52及びレセプタクル53により構成される。係合部35と溝16aとの係合は容易に取り外すことができ、ファスナー49もファスナーヘッド59を90度回転させることにより容易に取り外すことができ、荷台16と可動部15の取付、取り外しが容易になる。又、支柱10の上下部の固定部25,26において固定金具18,22と固定腕17,21とをやはりファスナー49により取り付ければ、容易に取り外すことができる。従って、リフターを使用しないときの収納時には、荷台16と固定腕17,21を取り外すことによってリフターの外形を格段に縮小することができ、大きな収納スペースを必要としなくなり、リフターの可搬性も向上する。
【0038】
又、荷台16と可動部15との締結をファスナー49ではなく、例えばボルト等により荷台16が回転可能なように固定すれば、溝16aと係合部35との係合が荷台16の回転に沿うように係合しているので、荷台16を時計方向に回転させることができる。固定腕17,21も回転可能に取り付けられているので、固定腕17,21及び荷台16を回転させて折りたたむことによってリフターの収納時の外形を小さくすることができる。なお、この折りたたんだときに元に戻らないように、支柱10側に荷台16及び固定腕17,21の保持綱等を用意すれば、よりリフターの可搬時の扱いが容易となる。
【0039】
実施最良形態6
図23(a),(b)は実施最良形態6によるリフターの正面図及び側面図を示し、図24(a),(b)は実施最良形態6によるリフターの上部固定部の拡大平面図及び上下部固定部の拡大側面図である。実施最良形態6は実施最良形態1と比較して、支柱10を盤20に対して90度回転させて設置した場合を示す。ただし、この場合は被保守部材44を引き出したり、収納したりするときにリフターが邪魔にならないように、リフターを盤20の幅方向の端部に寄せる。盤20とリフターとの固定は、盤20の上部に引っ掛け金具54を取り付け、支柱10の上端に取り付けた固定金具18に一端を取り付けた固定腕55の他端を引っ掛け金具54に引っ掛けてリフターを吊り下げる。盤20の下部には支柱10の垂直位置を確保するためのストッパ56を設け、ストッパ56を支柱10の下端の固定金具22と連結する。被保守部材44を引っ張り出す場合には、リフターを押える。被保守部材44の重量が大きかったり、外形が大きいものについては、盤20の下部に引っ掛け金具を設け、リフターが上部の引っ掛け金具54を中心に盤20から離れる方向に振れるのを防止する。
【0040】
実施最良形態6においては、リフターを吊り下げるので、リフターの設置が容易であり、構造が簡単で安価にすることができる。又、リフター設置の床面状態を問題にする必要がないので、盤20が床面50の台枠(床面50にピットが掘れない場合には床面50に台枠を設けてピットとしている。)上にある場合にも、容易に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】この発明の実施最良形態1によるリフターの正面図及び側面図である。
【図2】実施最良形態1によるリフターの平面図である。
【図3】実施最良形態1によるリフターの上部固定部の平面図及び側面図である。
【図4】実施最良形態1によるリフターの下部固定部の側面図及び平面図である。
【図5】実施最良形態1によるリフターの上部固定部の変形例を示す平面図である。
【図6】実施最良形態1によるリフターのキャスターの平面図、側面図及び正面図である。
【図7】実施最良形態1によるリフターの支柱の平面図、正面図及び側面図である。
【図8】実施最良形態1によるリフターのウインチの側面図、正面図及び平面図である。
【図9】(a)〜(c)は実施最良形態1によるリフターの可動部の正面図、側面図及び平面図であり、(d)〜(g)は可動部の変形例を示す平面図である。
【図10】実施最良形態1によるリフターの荷台の架台の平面図、正面図、側面図及び一部拡大斜視図である。
【図11】実施最良形態1によるリフターの荷台の取付枠の平面図、正面図、背面図及び側面図である。
【図12】実施最良形態1によるリフターの荷台の荷台皿の平面図、正面図及び側面図である。
【図13】実施最良形態1によるリフターの荷台のレールの平面図、正面図及び側面図である。
【図14】実施最良形態1によるリフターの荷台の平面図、正面図、側面図及び(b)の一部拡大図である。
【図15】実施最良形態1によるリフターの吊り上げ部の側面図、平面図、側面図及び底面図である。
【図16】実施最良形態2によるリフターの上部固定部の平面図、側面図、下部固定部の側面図及び平面図である。
【図17】実施最良形態2によるリフターの荷台等を回転させた状態の平面図である。
【図18】実施最良形態3によるリフターの上部固定部及び下部固定部の側面図である。
【図19】実施最良形態3によるリフターの上部固定部の変形例を示す平面図及び要部拡大半断面図である。
【図20】実施最良形態4によるリフターの下部固定部の平面図及び側面図である。
【図21】実施最良形態5によるリフターの荷台と可動部の取付構造を示す側面図である。
【図22】実施最良形態5によるリフターのファスナーの部品の正面図である。
【図23】実施最良形態6によるリフターの正面図及び側面図である。
【図24】実施最良形態6によるリフターの上部固定部の拡大平面図及び上下部固定部の拡大側面図である。
【図25】従来のリフターの正面図及び側面図である。
【符号の説明】
【0042】
10…支柱
12…ウインチ
13…吊り上げ部
14…ワイヤローラ
15…可動部
16…荷台
16a…溝
17,21,48,55…固定腕
17a,17b…部分
17c,21a…孔
18,22…固定金具
19,23…押さえ金具
20…盤
24…脚
25…上部固定部
26…下部固定部
27…キャスター
35…係合部
40…架台
44…被保守部材
45…ローラ
46…すべり板
47…長さ調整部
49…ファスナー
50…床面
54…引っ掛け金具
57,58…ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱と、支柱の上部を盤の上部に固定する上部固定部と、支柱の下部を盤の下部に固定するとともに、床面との間に脚部を有する下部固定部と、支柱の上部に取り付けられ、ワイヤロープが掛けられるローラを有する吊り上げ部と、支柱の吊り上げ部より下部に取り付けられ、ワイヤロープを巻き取り、放出するウインチと、支柱に案内されて上下動するとともに、吊り上げ部を介してワイヤロープが連結される可動部と、可動部に固定され、盤内の被保守部材の載置、昇降を行う荷台とを備えたことを特徴とするリフター。
【請求項2】
支柱と上下部固定部との間にすべり板を設け、荷台を支柱及び可動部と共に回転可能にしたことを特徴とする請求項1記載のリフター。
【請求項3】
上部固定部及び下部固定部の実質的な長さを変更可能としたことを特徴とする請求項1又は2記載のリフター。
【請求項4】
上部固定部又は下部固定部の一部を構成する固定腕を盤内に収納可能としたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のリフター。
【請求項5】
荷台の可動部に対する取付を、溝と係合部との係合及びファスナーにより行ったことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のリフター。
【請求項6】
上部固定部及び下部固定部を除去してリフターを90度回転させ、盤の上部に引っ掛け金具を設け、この引っ掛け金具にリフターの上部に新たに取り付けた固定腕を引っ掛けてリフターを吊り下げたことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のリフター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2007−261708(P2007−261708A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−85863(P2006−85863)
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【出願人】(000006105)株式会社明電舎 (1,739)
【Fターム(参考)】