説明

リフト装置

【課題】最低位置と最高停止位置の間の中間停止位置においてテーブルを停止させ、その位置でテーブルを維持してもテーブルの荷重が作動装置に影響することのない定揚程のリフト装置を提供する。
【解決手段】基台1に対してテーブル2を平行に維持するための鋏状リンク式案内装置3と、テーブル2を昇降させるために、一端を基台1に枢着1aするとともに他端のローラ6をテーブル2に接する主作動アーム5とこの主作動アーム5を回動、起立させるための作動装置7とを備えた昇降装置4とからなるリフト装置において、主作動アーム5の所定位置にその一端を枢着11し、他端のローラ12で基台1に接する副作動アーム10を設け、主作動アーム5を、この副作動アーム10を介して回動、起立させるとともに、テーブル2の中間停止位置において、副作動アーム10を略垂直な状態に起立して停止させるための制御手段を前記作動装置7に設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、リフト装置に関し、特に、基台と、この基台の上方に配置されるテーブルと、この基台とテーブルの間に設けられ、テーブルの垂直方向の移動に際し、基台に対してテーブルを平行に維持するための鋏状リンク式案内装置と、テーブルを昇降させるために、一端を基台に枢着すると共に他端のローラをテーブルに接する主作動アームとこの主作動アームを回動、起立させるための作動装置とを備えた昇降装置とからなるリフト装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のリフト装置は、既に、特許文献1によって知られ、図6に示されているように、基台1と、この基台1の上方に配置されたテーブル2と、この基台1とテーブル2との間に設けられ、テーブル2の垂直方向の移動に際し、基台1に対してテーブル2を平行に維持するための鋏状リンク式案内装置3と、テーブル2を昇降させるために、一端を基台1に枢着1aするとともに他端のローラ6をテーブルに接する主作動アーム5とこの主作動アーム5を回動、起立させるための作動装置7とを備えた昇降装置4とからなり、狭い利用空間で大きな荷重を迅速に昇降させることができる。なお、図示の例では、テーブル2の最高停止位置において、作動装置7が主作動アーム5を略垂直な状態とするものであって、この停止位置においては、テーブル2の荷重を略垂直な状態の主作動アーム5が支承し、作動装置7には荷重の影響が及ばないので、テーブル2を長時間にわたって最高停止位置に維持できるものである。なお、主作動アーム5は、主アーム5a、補助アーム5bおよび両者を連結している横バー5cとからなっている。
【0003】
また、リフト装置においては、テーブルを最低位置と最高停止位置との中間で停止させる中間停止位置を設定することが行われているが、この中間停止位置においてもその位置を長時間維持するために、作動装置に荷重の影響が及ばないようにすることが考慮されている。例えば、基台とテーブルの間にカムプレートを設け、このカムプレートの移動によりテーブルの昇降を行うリフト装置が既に知られ(特許文献2参照)、このようなリフト装置においては、中間停止位置においてテーブルの荷重がカムプレートにより支承されるので、停止状態でテーブルの荷重の影響が作動装置に及ぶことはない。しかしながら、このようなリフト装置において揚程を大きくするためには、作動装置の能力を大きくするとともにカムプレートを大きくする必要があり、空間に制限の有る場所では設置することが困難であった。
【0004】
すなわち、図7に示されるように、鋏状リンク式案内装置3のリンクアーム3aにローラ装置9を設けて、そのローラ装置9と基台1との間にカムプレート8を配置し、このカムプレート8を作動装置9により水平方向に移動させ、リンクアーム3aの回動、起立によりテーブル2を昇降させるもの(特許文献2参照)にあっては、作動装置7とカムプレート8の配置のために水平方向に大きな空間を必要とするとともに、カムプレートを移動させるために作動装置の大きな能力を必要とする。
【0005】
【特許文献1】実開平2−2400号公報
【特許文献2】特開平3−51297号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、この発明が解決しようとする課題は、基台と、この基台の上方に配置されるテーブルと、この基台とテーブルの間に設けられ、テーブルの垂直方向の移動に際し、基台に対してテーブルを平行に維持するための鋏状リンク式案内装置と、テーブルを昇降させるために、一端を基台に枢着するとともに他端のローラをテーブルに接する主作動アームとこの主作動アームを回動、起立させるための作動装置とを備えた昇降装置とからなるリフト装置において、最低位置と最高停止位置の間の中間停止位置においてテーブルを停止させ、その位置でテーブルを維持してもテーブルの荷重が作動装置に影響することのない定揚程のリフト装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明は、基台と、この基台の上方に配置されるテーブルと、この基台とテーブルの間に設けられ、テーブルの垂直方向の移動に際し、基台に対してテーブルを平行に維持するための鋏状リンク式案内装置と、テーブルを昇降させるために、一端を基台に枢着するとともに他端のローラをテーブルに接する主作動アームとこの主作動アームを回動、起立させるための作動装置とを備えた昇降装置とからなるリフト装置において、主作動アームの所定位置にその一端を枢着し、他端のローラで基台に接する副作動アームを設け、主作動アームを、この副作動アームを介して回動、起立させるとともに、テーブルの中間停止位置において、副作動アームを略垂直な状態に起立させて停止させるための制御手段を作動装置に設けたものである。
【0008】
なお、主作動アームには、副作動アームが当接する回動停止部が設けられているのが好ましく、作動装置の制御手段は、作動装置が流体圧シリンダである場合には、流体圧シリンダの作動を制御するための流体圧回路であり、作動装置が電動モータにより作動するネジ機構である場合には、電動モータを制御する制御器であることが好ましい。さらに、主作動アームが、最高停止位置において、略垂直な状態に起立して停止するものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
この発明によるリフト装置は、主作動アームの所定位置に一端を枢着し、他端をローラで基台に接する副作動アームと、この副作動アームを介して主作動アームを作動させるとともに、中間停止位置において副作動アームを略垂直な状態で停止させるための手段とを設けたので、テーブルを中間停止位置において停止する場合に、テーブルの荷重を略垂直な状態の副作動アームにより支承させることができ、作動装置にテーブルの荷重の影響が及ぶことが少ないので、テーブルを長時間にわたって所定の中間停止位置に維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態を図に示されるリフト装置について説明する。なお、図中、同一または相当部分には同一の符号が付されている。
【0011】
図1には、図6に示される従来の定揚程リフト装置に本発明を適用した場合のリフト装置が示されている。すなわち、このリフト装置は、略矩形状に組み合わされた枠組みからなる基台1と、この基台1の上方に、基台1に対して平行に配置された矩形状の平板からなるテーブル2と、この基台1とテーブル2との間に設けられ、テーブル2の垂直方向の移動に際し、テーブル2を基台1に対して平行に維持するための鋏状リンク式案内装置3と、一端を基台1に枢着1aされると共に他端のローラ6、6’をそれぞれテーブル2に接するようにした2個の主作動アーム5、5’とこの主作動アーム5、5’を作動するための油圧シリンダすなわち作動装置7、7’を備えた昇降装置4、4’とからなっている。
【0012】
昇降装置4と4’は全く同じ構造であるので、以下、一方の昇降装置4についてのみ説明する。昇降装置4の主作動アーム5には、図2に示されるように、その所定位置に一端を枢着11し、他端のローラ12で基台1に接する副作動アーム10が設けられ、その副作動アームの中間位置には、作動装置7である油圧シリンダのピストン7aの先端が枢着されている。したがって、この副作動アーム10を油圧シリンダ7により作動することにより、主作動アーム5を回動、起立させることができる。図3に示されるように、副作動アーム10を略垂直な状態に回動、起立させたところで、油圧シリンダ7への油圧の供給を中断すると、主作動アーム5の回動を停止し、テーブル2の中間停止位置とすることができる。作動装置が油圧シリンダ7である場合には、この油圧シリンダ7に油圧を供給する油圧回路にこのような制御手段を設けるものである。
【0013】
なお、副作動アーム10を枢着する主作動アーム5の所定位置は、副作動アーム10を中間停止位置で略垂直な状態に起立させるので、図4に示されるように、テーブル2の中間停止位置の高さHと副作動アーム10の長さhにより定められる。すなわち、図4に示すように、中間停止位置の高さHは、H=sinθ・Lであり、その時の所定位置は、l=L・h/Hで定めることができる。この場合、Hはローラ6の中心と枢着点1aを含む平面間の垂直距離であり、略中間停止位置の高さに一致し、Lはローラ6の中心と枢着点1a間の距離で、略主作動アーム5の長さに一致している。θは中間停止位置で停止した主作動アーム5の傾斜角度であり、hは枢着点11とローラ12の基台との接点間の距離で、略副作動アームの長さを表す。主作動アーム5の所定位置Xは枢着点1aからの主作動アームに沿う長さで表される。例えば、H=1/2Lの場合には、枢着点1aからl(l=2h)だけ離れた位置が所定位置Xである。
【0014】
副作動アーム10には、主作動アーム5の回動停止部14と係合する係合部13が設けられており、この係合部13は、副作動アーム10が、テーブル2の中間停止位置で停止するときに、主作動アーム5の回動停止部14に係合し、図3に示されるように、副作動アーム10が略垂直な状態に起立するのを助ける作用をする。すなわち、この係合部13が回動停止部14と係合することにより、副作動アーム10の主作動アーム5に対する回動は防止され、油圧シリンダ7のピストン7aの力は、副作動アーム10の枢着点11ばかりでなく、この係合部を通しても伝達されるようになる。したがって、主作動アーム5に設けられる回動停止部14は、その後の主作動アーム5の回動のための力がこの回動停止部14を介して伝えられるので、回動停止部14を回転ローラとするのが良く、また係合部13には耐摩耗部13aを形成するのが良い。
【0015】
なお、シリンダに適用する流体圧としては、油圧に代えて水圧や空気圧を利用することもできる。また、主作動アーム7の作動装置を電動モータで作動するネジ機構とすることができ、この場合には、制御手段として電動モータの制御器を使用する。
【0016】
今、昇降装置4,4’の作動装置である油圧シリンダ7と7’を同調させて駆動し、図3で示される中間停止位置で停止させると、副作動アームは略垂直な状態で起立して停止するので、この状態でテーブルにかかる荷重はこの副作動アーム10により支承され、油圧シリンダ7,7’に影響を与えることがなく、油圧漏れを引き起こす恐れもなく、また、油圧漏れが有ったとしても、テーブル2の降下を防ぐことができる。したがって、従来のリフト装置に比して正確な中間停止位置に長時間停止させることができる。また、テーブルの荷重が重い場合に、作動装置の駆動力を少なくすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明のリフト装置は、高い揚程で大きな荷重を扱うことができ、さらに、正確な高さで停止させ、その停止位置を長時間維持できるので、簡単な構造で従来の複雑な機構のリフト装置に代えて利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は本発明の実施例であるリフト装置の側面図である。
【図2】図2は図1のリフト装置のテーブルが下位停止位置にある時の昇降装置の側面図である。
【図3】図3は図1のリフト装置のテーブルが中間停止位置にある時の昇降装置の側面図である。
【図4】図4は副作動アームを枢着する所定位置の決定方法を示す説明図である。
【図5】図5は図1のリフト装置のテーブルが最高停止位置にある時の昇降装置の側面図である。
【図6】従来の定揚程リフト装置の側面図である。
【図7】従来の定揚程リフト装置の側面図である。
【符号の説明】
【0019】
1 基台
2 テーブル
3 鋏状リンク式案内装置
4、4’ 昇降装置
5、5’ 主作動アーム
6、6’ ローラ
7、7’ 作動装置
8 カムプレート
9 ローラ装置
10 副作動アーム
11 枢着点
12 ローラ
13 係合部
14 回動停止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、この基台の上方に配置されるテーブルと、この基台とテーブルの間に設けられ、テーブルの垂直方向の移動に際し、基台に対してテーブルを平行に維持するための鋏状リンク式案内装置と、テーブルを昇降させるために、一端を基台に枢着するとともに他端のローラをテーブルに接する主作動アームとこの主作動アームを回動、起立させるための作動装置とを備えた昇降装置とからなるリフト装置において、前記主作動アームの所定位置にその一端を枢着し、他端のローラで基台に接する副作動アームを設け、前記主作動アームを、この副作動アームを介して回動、起立させるとともに、テーブルの中間停止位置において、副作動アームを略垂直な状態に起立して停止させるための制御手段を前記作動装置に設けたことを特徴とするリフト装置。
【請求項2】
上記主作動アームには、副作動アームが当接する回動停止部が設けられていることを特徴とする請求項1記載のリフト装置。
【請求項3】
上記作動装置に設けられた制御手段が、作動装置が流体圧シリンダである場合には、そのシリンダの作動を制御するための油圧回路からなることを特徴とする請求項1記載のリフト装置。
【請求項4】
上記作動装置に設けられた制御手段が、作動装置が電動モータにより作動するネジ機構である場合には、電動モータを制御する制御器からなることを特徴とする請求項1記載のリフト装置。
【請求項5】
上記主作動アームが、テーブルの最高停止位置において、略垂直な状態に起立して停止することを特徴とする請求項1〜4記載のリフト装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−137619(P2007−137619A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−335427(P2005−335427)
【出願日】平成17年11月21日(2005.11.21)
【出願人】(593045488)日本機器鋼業株式会社 (12)