説明

リフレクタ及びこれを備えた車両用灯具

【課題】組み立てが容易で、見栄えの低下を招くことなく内面全てにアルミ蒸着を施すことができるリフレクタを提供すること。
【解決手段】開口高さに対して奥行寸法が大きく、内面にアルミ蒸着がなされたリフレクタ7を、第1分割片7Aと第2分割片7Bとに左右に2分割し、第2分割片7Bを第1分割片7Aに嵌め込むことによって両者を一体化して構成する。例えば、第2分割片7Bが嵌め込まれる第1分割片7Aの左右方向において奥行寸法が大きい側の上下面に開口部7bを形成し、該開口部7bの周縁に、前記第2分割片7Bの上下面に形成された係止突起7cを係止することによって該第2割片7Bを第1分割片7Aに嵌合固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口高さに対して奥行寸法が大きなリフレクタとこれを備える車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、横長で薄型のアクセサリランプやポジションランプは、車両のバンパー形状に合わせてその外形が決定されるために後退角がきつく、これに使用されるリフレクタの奥行寸法が大きくなってしまう(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、リフレクタを樹脂で一体成形する場合、該リフレクタの内面は反射処理としてアルミ蒸着が施される。又、近年、車両用灯具の光源として、高輝度且つ高寿命で消費電力が少ないLED(発光ダイオード)が使用されつつある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−135340号公報
【特許文献2】特開2010−267468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、薄型で奥行寸法が大きなリフレクタの内面にアルミ蒸着を施す場合、蒸着の特性上、リフレクタの内面全てにアルミ蒸着を施すことができないという問題がある。
【0006】
そこで、リフレクタを上下に2分割することが考えられるが、このようにリフレクタを上下に2分割すると分割線が目立ち、見栄えが悪いという問題が発生する。
【0007】
又、リフレクタを上面又は下面で上下に2分割することも考えられるが、この場合、部品(分割片の一方)が薄くなって成型上の問題が発生する。又、組立時の部品の強度不足が生じたり、部品を組み付けるネジが必要となって部品点数や組立工数の増加を招く等の問題が発生する。
【0008】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、組み立てが容易で、見栄えの低下を招くことなく内面全てにアルミ蒸着を施すことができるリフレクタとこれを備えた車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、開口高さに対して奥行寸法が大きく、内面にアルミ蒸着がなされたリフレクタを、左右に2分割された分割片の一方を他方に対して嵌め込むことによって両者を一体化して構成したことを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、一方の分割片が嵌め込まれる他方の分割片の左右方向において奥行寸法が大きい側の上下面に開口部を形成し、該開口部の周縁に、前記一方の分割片の上下面に形成された係止突起を係止することによって該一方の分割片を他方の分割片に嵌合固定することを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の車両用灯具は、請求項1又は2記載のリフレクタを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、リフレクタを左右に2分割したため、リフレクタに分割線が現れることがなく、該リフレクタの見栄えの低下が防がれるとともに、各分割片の内面の全てにアルミ蒸着を施すことができるため、両分割片を組み付けて成るリフレクタの内面全てにアルミ蒸着が施されて反射面である該内面の反射率が高められる。又、リフレクタは、一方の分割片を他方の分割片に嵌め込むことによってネジ等の締結具を用いることなく容易に組み付けられる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、一方の分割片が嵌め込まれる他方の分割片の左右方向において奥行寸法が大きい側の上下面に開口部を形成したため、該開口部からアルミ蒸着液が他方の分割片の内部まで浸透し、その内面全てにアルミ蒸着が施される。又、一方の分割片の上下面に形成された係止突起を他方の分割片に形成された開口部の周縁に係止することによって該一方の分割片が他方の分割片にワンタッチで簡単に嵌め込まれるため、リフレクタの組付性が高められる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、薄型で奥行きが深い車両用灯具であっても、内面の全てに反射処理としてアルミ蒸着が施されたリフレクタによって光源からの光を効率良く反射させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る車両用灯具の斜視図である。
【図2】本発明に係る車両用灯具の正面図である。
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】図2のB−B線断面図である。
【図5】本発明に係るリフレクタの分解斜視図である
【図6】本発明に係るリフレクタの平面図である
【図7】本発明に係るリフレクタの正面図である
【図8】図7のC−C線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0017】
図1は本発明に係る車両用灯具の斜視図、図2は同車両用灯具の正面図、図3は図2のA−A線断面図、図4は図2のB−B線断面図であり、図示の車両用灯具1は、車両の前部左右に配置される薄型で奥行きが深いアクセサリランプであって、このアクセサリランプ1は、ハウジング2とその前面を覆う透明なアウタレンズ3によって画成される灯室4(図3及び図4参照)内に、光源である6つのLED5と、該LED5が実装されたLED基板6及びLED5からの光を車両前方(図4の左方)に向けて反射させるリフレクタ7を収容して構成されている。尚、左右のアクセサリランプ1の構成は同じであるため、以下、一方のアクセサリランプ1についてのみ図示及び説明する。
【0018】
上記ハウジング2は、樹脂によって横長プレート状に一体成形されており、その左右には取付フランジ2aが一体に突設されている。そして、ハウジング2の左右の各取付フランジ2aには円孔8と長孔9がそれぞれ形成されており、図3に示すように、アクセサリランプ1は、ハウジング2の左右の取付フランジ2aに形成された円孔8と長孔9にそれぞれ挿通するネジ10を車体20にねじ込むことによって車体20の左右にそれぞれ取り付けられる。尚、図3に示すように、ハウジング2の背面の横方向中央部には給電用のカプラー2bが一体に形成されており、このカプラー2bには、車両に搭載された不図示のバッテリから延びる給電用ハーネスの端部に取り付けられた車体側コネクタ21が装着されている。
【0019】
又、前記アウタレンズ3は、平面視直角三角形を成す偏平な有底三角筒状に一体成形されており、ハウジング2を前方から覆うように該ハウジング2に嵌め込まれて取り付けられている。
【0020】
更に、光源である6つのLED5は、図3に示すように横方向に適当な間隔で一列に配列された状態でLED基板6に実装されており、LED基板6は、これの左右に挿通するネジ11をハウジング2の左右に形成されたボス2cに車両前方(図3の上方)からねじ込むことによってハウジング2に取り付けられている。
【0021】
又、前記リフレクタ7には、6つの各LED6の周囲を囲む凹球面状の反射部7aが横一列に形成されており、各反射部7aの中央には、LED5を通すための円孔12がそれぞれ形成されている。
【0022】
而して、以上のように構成されたアクセサリランプ1において、不図示のバッテリからLED基板6を介して各LED5に電流が供給されると、各LED5が起動されて発光するが、その光はリフレクタ7の各反射部7aの内面(反射面)によって反射して車両前方へと向かい、透明なアウタレンズ3を透過して車両前方へと出射する。
【0023】
ここで、リフレクタ7の構成の詳細を図5〜図8に基づいて以下に説明する。
【0024】
図5は本発明に係るリフレクタの分解斜視図、図6は同リフレクタの平面図、図7は同リフレクタの正面図、図8は図7のC−C線断面図であり、図示のリフレクタ7は、アウタレンズ3の内部形状に沿った形状、即ち、開口部の高さよりも奥行寸法が大きな平面視直角三角形を成す偏平な有底三角筒状に成形されている。
【0025】
而して、本実施の形態に係るリフレクタ7は、図5に示すように、第1分割片7Aと第2分割片7Bとに左右に2分割されており、第2分割片7Bを第1分割片7Aに背面側から嵌め込むことによって構成されている。ここで、リフレクタ7は、横方向中央において第1分割片7Aと第2分割片7Bとに左右に2分割されており、これらの第1分割片7Aと第2分割片7Bにはそれぞれ同数(3つ)の反射部7aが含まれている。
【0026】
ところで、図5及び図6に示すように、第2分割片7Bが嵌め込まれる側の大きな第1分割片7Aの左右方向において奥行寸法が大きい側の上下面には略平行四辺形の開口部7bがそれぞれ形成されており、小さい側の第2分割片7Bの上下面の左右には、該第2分割片7Bの嵌め込み方向に沿って係止突起7cが互いに平行に突設されている(図5及び図6には上面に形成された係止突起7cのみ図示)。
【0027】
而して、第2分割片7Bを第1分割片7Aの空洞部に背面側から図5の矢印方向に嵌め込み、その上下面の左右に突設された係止突起7cの端部を第1分割片7Aに上下面に形成された開口部7bの周縁に係止することによって、該第2分割片7Bが第1分割片7Aに嵌合固定されて両者が組付一体化され、これによって図6〜図8に示すリフレクタ7が構成される。
【0028】
以上のように、本実施の形態によれば、リフレクタ7を第1分割片7Aと第2分割片7Bとに左右に2分割したため、リフレクタ7に分割線が現れることがなく、該リフレクタ7の見栄えの低下が防がれるとともに、両分割片7A,7Bの内面の全てにアルミ蒸着を施すことができるため、両分割片7A,7Bを組み付けて成るリフレクタ7の内面全てにアルミ蒸着が施されて反射面である該内面の反射率が高められる。特に、本実施の形態では、第1分割片7Aの左右方向において奥行寸法が大きい側の上下面に開口部7bを形成したため、該開口部7bからアルミ蒸着液が第1分割片7Aの内部まで浸透し、その内面全てにアルミ蒸着が施される。尚、小さい側の第2分結片7Bの内面にはアルミ蒸着が全面に亘って問題なく確実に施される。
【0029】
又、リフレクタ7は、第2分割片7Bを第1分割片7Aに嵌め込むことによってネジ等の締結具を用いることなく容易に組み付けられる。特に,本実施の形態では、第2分割片7Bの上下面に形成された係止突起7cを第1分結片7Aに形成された開口部7bの周縁に係止することによって、該第2分割片7Bを第1分割片7Aにワンタッチで簡単に嵌め込むことができるため、リフレクタ7の組付性が高められる。
【0030】
そして、以上のようなリフレクタ7を備える図1〜図4に示すような薄型で奥行きが深いアクセサリランプ1であっても、内面の全てに反射処理としてアルミ蒸着が施されたリフレクタ7によってLED5からの光を効率良く反射させることができ、当該アクセサリランプ1に高い性能が確保される。
【0031】
尚、以上は本発明をアクセサリランプに対して適用した形態について説明したが、本発明は、薄型で奥行きが深いポジションランプ等の他の任意の車両用灯具に対しても同様に適用可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0032】
1 アクセサリランプ
2 ハウジング
2a ハウジングの取付フランジ
2b ハウジングのカプラー
2c ハウジングのボス
3 アウタレンズ
4 灯室
5 LED(光源)
6 LED基板
7 リフレクタ
7A リフレクタの第1分割片
7B リフレクタの第2分結片
7a リフレクタの反射部
7b リフレクタの開口部
7c リフレクタの係止突起
8 ハウジングの円孔
9 ハウジングの長孔
10,11 ネジ
12 リフレクタの円孔
20 車体
21 車体側コネクタ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口高さに対して奥行寸法が大きく、内面にアルミ蒸着がなされたリフレクタであって、
左右に2分割された分割片の一方を他方に対して嵌め込むことによって両者を一体化して成ることを特徴とするリフレクタ。
【請求項2】
一方の分割片が嵌め込まれる他方の分割片の左右方向において奥行寸法が大きい側の上下面に開口部を形成し、該開口部の周縁に、前記一方の分割片の上下面に形成された係止突起を係止することによって該一方の分割片を他方の分割片に嵌合固定することを特徴とする請求項1記載のリフレクタ。
【請求項3】
請求項1又は2記載のリフレクタを備えることを特徴とする車両用灯具。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−25990(P2013−25990A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158940(P2011−158940)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】