説明

リボヌクレオシド誘導体及びオリゴ核酸誘導体の製造方法

【課題】リボヌクレオシド誘導体および/又はこのリボヌクレオシド誘導体を構成単位として含むオリゴ核酸誘導体の2’−水酸基の置換カルバモイル基を選択的に効率良く脱保護する方法を提供する。
【解決手段】2’−水酸基にカルバモイル保護基を有するリボヌクレオシド誘導体および/又はこのリボヌクレオシド誘導体を構成単位として含むオリゴ核酸誘導体を、R4NFと反応させ、2’−水酸基の脱保護を行う、高純度のオリゴ核酸を効率よく製造する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リボヌクレオシド誘導体及び/またはオリゴ核酸誘導体の製造方法に関する。より詳細には、2’−水酸基が保護されたリボヌクレオシド誘導体及び/またはオリゴ核酸を脱保護してリボヌクレオシド誘導体及び/またはオリゴ核酸誘導体を得る方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オリゴRNAは、アンチセンス医薬、リボザイム医薬、デコイオリゴ医薬、SiRNA医薬、miRNA医薬、アプタマー医薬等の核酸医薬品や診断薬など主として医療用途に用いられている有用な材料である。これらの用途に用いられるオリゴRNAは、化学合成法を用いて製造されることが多い。
【0003】
オリゴRNAの化学合成法の中でも現在主流となっている化学合成法は、ホスホロアミダイト法である。このホスホロアミダイト法の特徴は、他の方法に比べて高い収率でインターヌクレオチド形成反応が進行することである。
【0004】
ホスホロアミダイト法に用いられるホスホロアミダイトモノマーは、5’−,2’−水酸基に酸やフッ素化合物で脱保護できる保護基を有し、3’−水酸基にリン原子上をアルコキシ基とアミノ基を有している。このホスホロアミダイトモノマーと所望のヌクレオシド或いはヌクレオチドを活性化剤共存下で反応させることでインターヌクレオチド結合が形成される。その後酸化することで所望のオリゴヌクレオチドが取得できる。
【0005】
こうして取得したオリゴヌクレオチドは塩基部、リン酸、5’−,3’−,2’−水酸基が全て保護されているため、脱保護することが必要である。この脱保護の際には、所定の保護基の脱保護条件で他の保護基の脱保護やオリゴ核酸の分解が起こらないことが必要とされる。とりわけ2’−水酸基の脱保護は、他の保護基を脱保護した後に実施するため、特に厳密な条件が必要とされる。2’−水酸基の保護基に求められる具体的な条件とは、5’−水酸基の脱保護条件下で安定であること、カップリング反応を阻害しないこと、カップリング反応条件下で安定であること、リン酸と塩基部の脱保護条件で安定であること、脱保護条件でオリゴ鎖の開裂とうによる分解が起こらないことが挙げられる(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】RNAi法とアンチセンス法、関根光雄、多比良和誠編、10.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、最近、リボヌクレオシドの2’−水酸基にカルバモイル基を導入した場合、高い位置選択性で、効率よく2'−水酸基に保護基が導入できることを見出している。
【0008】
カルバモイル基は、脱トリチル化反応条件下、カップリング反応条件下、リン酸と塩基部の脱保護条件で分解等が起こらないため、オリゴ核酸合成に適した保護基である。しかし、オリゴ核酸の2’−水酸基に導入したカルバモイル基の効率的な脱保護方法はこれまで報告されていなかった。脱カルバモイル化反応の一般的な脱保護条件としては、金属水酸化物や金属アルコキシドを用いる方法が知られているが、例えば水酸化ナトリウムを用いた場合、リン原子を介したインターヌクレオチドでの分解や3’−から2’−水酸基へのリン酸基の転位を伴っていた。また、他の脱カルバモイル化反応としては水素化アルミニウムヒドリド等のヒドリドイオンを用いる方法も報告されているが、このような条件では、オリゴ核酸の分解が懸念される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、かかる問題を解決するために鋭意検討を行った結果、2’−水酸基にカルバモイル保護基を有するリボヌクレオシド誘導体および/又はこのリボヌクレオシド誘導体を構成単位として含むオリゴ核酸誘導体を、R4NFと反応させることで効率よく脱保護が行えることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、一般式(1):
【0011】
【化1】

【0012】
[式中、R1は置換基を有していても良い炭素数1〜18のアルキル基、置換基を有していても良い炭素数1〜18のシクロアルキル基、置換基を有していても良い炭素数6〜18のアリール基、置換基を有していても良い炭素数7〜18のアラルキル基、置換基を有していても良いスルホニル基、又は置換基を有していても良いシリル基を表す。R2は水素、水酸基の保護基、又はオリゴ核酸を表す。R3はオリゴ核酸を表す。Xはヘテロ原子を表す。Yは水素、ヒドロキシル基、アルコキシ基、又はチオール基を表す。Bは、下記式:
【0013】
【化2】

【0014】
(R4は、水素又はアミノ基の保護基を表す)で表されるアデニン、グアニン、シトシン、ウラシルまたはそれらから誘導される基を表す。mは1より大きい自然数を表す]で表される2’−水酸基を保護したリボヌクレオシド誘導体および/又はこのリボヌクレオシド誘導体を構成単位として含むオリゴ核酸誘導体を、一般式(2):
54NF
[式中、R5は置換基を有していても良い炭素数1〜18のアルキル基、置換基を有していても良い炭素数1〜18のシクロアルキル基、置換基を有していても良い炭素数6〜18のアリール基、又は置換基を有していても良い炭素数7〜18のアラルキル基を表す]と反応させることで2’−水酸基を脱保護し、一般式(3):
【0015】
【化3】

【0016】
[式中、R2、R3、B、X、Y、mは前記と同じ。]で表されるリボヌクレオシド誘導体及び/又はこのリボヌクレオシドを構成単位として含むオリゴ核酸誘導体に変換する方法に関する。
【0017】
なお、オリゴ核酸の2’−水酸基に導入した置換カルバモイル基の脱保護反応にフッ素化合物を用いることはこれまで報告されていなかった。
【発明の効果】
【0018】
本発明にかかる方法によれば、2’−水酸基を置換カルバモイル保護したリボヌクレオシド誘導体および/又はこのリボヌクレオシド誘導体を構成単位として含むオリゴ核酸誘導体から簡便にリボヌクレオシド誘導体および/又はこのリボヌクレオシド誘導体を構成単位として含むオリゴ核酸誘導体を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0020】
本発明においては、一般式(1):
【0021】
【化4】

【0022】
で表されるリボヌクレオシド誘導体および/又はこのリボヌクレオシド誘導体を構成単位として含むオリゴ核酸誘導体と、一般式(2):
54NF (2)
と反応させ、一般式(3):
【0023】
【化5】

【0024】
で表されるリボヌクレオシド又はこのリボヌクレオシドを構成単位として含むオリゴ核酸誘導体に変換することができる。
【0025】
まず、本反応に用いられる化合物について以下に説明する。
【0026】
オリゴ核酸誘導体とは、オリゴDNA及びオリゴRNAを表し、化学修飾を受けている物や天然型及び非天然型のいずれも含み、さらにオリゴ体構造のいずれかの場所にペプチドや糖やポリマーなどを含んでいても良い。
【0027】
前記式(1)中、R1は置換基を有していても良い炭素数1〜18のアルキル基、置換基を有していても良い炭素数1〜18のシクロアルキル基、置換基を有していても良い炭素数6〜18のアリール基、置換基を有していても良い炭素数7〜18のアラルキル基、置換基を有していても良いスルホニル基、又は置換基を有していても良いシリル基を表す。
【0028】
1としては、具体的には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、オクチル、イソオクチル等のアルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等のシクロアルキル基;ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、1−メチルナフチル、2−メチルナフチル、1−エチルナフチル、2−エチルナフチル等のアラルキル基;フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、1−アントリル、2−アントリル、9−アントリル、1−フェナントリル、9−フェナントリル、10−フェナントリル等のアリール基;メタンスルホニル、エタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、トルエンスルホニル等のスルホニル基;トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリフェニルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、tert−ブチルジフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、ジメチルベンジルシリル、ジフェニルメチルシリル等のシリル基などを挙げることができ、好ましくはアルキル基とアリール基であり、更に好ましくはアリール基であり、特に好ましくはフェニル基である。
【0029】
これらは置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、オクチル、イソオクチル等のアルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等のシクロアルキル基;ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、1−メチルナフチル、2−メチルナフチル、1−エチルナフチル、2−エチルナフチル等のアラルキル基;フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、1−アントリル、2−アントリル、9−アントリル、1−フェナントリル等のアリール基;メチルオキシ、エチルオキシ、プロピルオキシ、t−ブチルオキシ、ペンチルオキシ、イソペンチオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、2−メチルシクロプロピルオキシ、シクロプロピルメチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ等のアルコキシ基;アミノ基;N−メチルアミノ、N−シクロへキシルアミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N,N−ジイソプロピルアミノ等のモノ又はジアルキルアミノ基;N−フェニルアミノ、N−ナフチルアミノ、N,N−ジフェニルアミノ、N−ナフチル−N−フェニルアミノ基等のモノ又はジアリールアミノ基;N−ベンジルアミノ、N,N−ジベンジルアミノ基等のモノ又はジアラルキル基;ニトロ基を挙げることができる。置換基は1または2以上であっても良く、置換基の位置は特に限定されるものではない。
【0030】
2は水素、水酸基の保護基、又はオリゴ核酸を表す。ここで、水酸基の保護基としては、一般的な水酸基の保護基、例えば4,4’−ジメトキシトリチル基、4−メトキシトリチル基等のトリチル基、tert−ブチルジメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル、トリイソプロピルシリル基等のシリル基等を挙げることができる。
【0031】
3はオリゴ核酸を表す。
【0032】
Xはヘテロ原子を表し、具体的には酸素、硫黄、ホウ素が挙げられる。
【0033】
Yは水素、水酸基、アルコキシ基、又はチオール基を表す。アルコキシ基としては、メトキシ基やシアノエチル基等を挙げることができる。
【0034】
Bは、下記式:
【0035】
【化6】

【0036】
(R4は、水素又はアミノ基の保護基を表す)で表される、アデニン、グアニン、シトシン、ウラシルまたはその誘導体を表す。
【0037】
Bのうち、アデニン、グアニン、シトシンに含まれるアミノ基上のR4は、水素原子またはアミノ基の保護基を表す。アミノ基の保護基としては、一般的によく用いられるアミノ基の保護基が用いられ、具体的には、例えばアセチル、ベンゾイル、フェノキシアセチル等のアシル基;ベンジルやジメトキシトリチル等のアルキル基;tert−ブチルジカーボネートやベンジルカーバメート等のカルバメート基;フタルイミドなどの環状イミド基;トルエンスルホニル等のスルホ基;tert−ブチルジメチルシリル等のシリル基;N,N−ジメチルアミノメチルやN,N−ジブチルアミノメチル等のイミノ基等を挙げることができる。
【0038】
mは1より大きい自然数を表す。
【0039】
前記式(2)中、R5は置換基を有していても良い炭素数1〜18のアルキル基、置換基を有していても良い炭素数1〜18のシクロアルキル基、置換基を有していても良い炭素数6〜18のアリール基、置換基を有していても良い炭素数7〜18のアラルキル基を表す。
【0040】
5としては、具体的には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、オクチル、イソオクチル等のアルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等のシクロアルキル基;ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、1−メチルナフチル、2−メチルナフチル、1−エチルナフチル、2−エチルナフチル等のアラルキル基;フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、1−アントリル、2−アントリル、9−アントリル、1−フェナントリル、9−フェナントリル、10−フェナントリル等のアリール基などを挙げることができ、好ましくはアルキル基とアリール基であり、更に好ましくはアルキル基であり、特に好ましくはブチル基である。
【0041】
これらは置換基を有していてもよく、置換基としては、R1の場合と同様のものを挙げることができる。置換基は1または2以上であっても良く、置換基の位置は特に限定されるものではない。
【0042】
本反応においては、通常、反応溶媒を用いる。反応溶媒としては、反応を阻害しない溶媒であれば特に制限は無いが、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒、tert−ブチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、塩化メチレン、1,2−ジクロロエチレン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系溶媒、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロパノール、フェノール等のアルコール系溶媒および水が挙げられ、好ましくはテトラヒドロフランである。これらは2種以上を混合しても良い。混合溶媒を用いる場合、混合割合に特に制限は無い。
【0043】
次に反応について詳細に説明する。
【0044】
本反応においては、前記式(1)で表されるオリゴリボヌクレオシド(オリゴリボヌクレオシド(1))とR54NFを反応させる。
【0045】
本発明に用いるR54NFの量は、特に制限されるものではないが、通常、m=1の場合、オリゴリボヌクレオシド(1)に対して1〜3000モル、好ましくは1〜1000モル、特に好ましくは5〜500モル使用すればよい。m=1以上の場合は、mの数に対応してR54NFの量を増やしてもよい。
【0046】
反応を行う際の各化合物の混合順は特に限定されるものではないが、一般的にはオリゴリボヌクレオシド(1)の溶液にR54NFを添加すればよい。
【0047】
反応を行う際の化合物の濃度は用いる反応溶媒によって異なるが、一般的には0.01〜100重量%で反応を実施することができ、好ましくは1〜50重量%である。
【0048】
反応時の反応温度は、用いる化合物、R54NFの種類によって異なるが、通常は用いる反応溶媒の凝固点から沸点以下の範囲である。反応を短時間で完了させるためには温度を高めて実施するほうが良く、オリゴリボヌクレオシドの分解等の進行を抑制する観点からは温度は低く設定して実施するほうが良い。好ましくは、−78℃〜100℃であり、特に好ましくは−10℃〜80℃である。
【0049】
反応時の反応時間は、用いる化合物、R54NFの種類によって異なるが、反応温度を−30℃〜80℃で実施した場合、通常0.1〜200時間程度が好ましい。
【0050】
反応は、常圧、減圧、加圧のいずれの状態でも実施可能である。また、空気中で実施しても良いし、或いは窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性気体雰囲気下で実施しても良い。
【0051】
反応は、反応速度を加速することを目的として、添加剤共存下で実施しても良い。添加剤としては、特に制限は無く、反応溶媒に可溶、不溶のいずれでも良い。添加剤としては、水酸化テトラブチルアンモニウム、モレキュラーシーブス、無機フッ素化合物、有機塩基を挙げることができる。
【0052】
本反応の後処理としては、反応液から生成物を取得するための一般的な処理を行えば良い。得られた生成物は、一般的精製を行い、更に純度を高めても良い。
【実施例】
【0053】
以下に実施例を挙げ、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、各実施例における物性の測定に用いた装置は次のとおりである。
高速液体クロマトグラフィー:島津製作所社製 SPD−10Avp、LC−10ADvp、SCL−10Avp、DGU−12A、CTO−10ASvp、C−R8A
【実施例1】
【0054】
脱保護されたウリジル酸2量体の製造法
2’−O−フェニルカルバモイルウリジル酸2量体(37.6mg、0.05mmol)をTBAF(テトラブチルアンモニウムフルオリド)の1MTHF溶液(1.5mL、1.5mmol)に加え、66℃にて16時間撹拌した。HPLCにて確認すると、脱保護されたウリジル酸2量体が変換率99%以上で生成していた。
[HPLC分析条件]
カラム:Phenomenex、溶離液:アセトニトリル/10mM酢酸アンモニウム水溶液=0/100→90/10(グラジエント)、流速:1.0mL/min.、検出波長:254nm、カラム温度:40℃、保持時間:2’−O−フェニルカルバモイルウリジル酸2量体=24分、脱保護されたウリジル酸2量体=12分。
【実施例2】
【0055】
脱保護されたウリジル酸2量体の製造法
2’−O−フェニルカルバモイルウリジル酸2量体(37.6mg、0.05mmol)をTBAF(テトラブチルアンモニウムフルオリド)の1MTHF溶液(1.5mL、1.5mmol)に加え、50℃にて161時間撹拌した。HPLCにて確認すると、脱保護されたウリジル酸2量体が変換率99%で生成していた。
【実施例3】
【0056】
脱保護されたウリジル酸2量体の製造法
2’−O−フェニルカルバモイルウリジル酸2量体(37.6mg、0.05mmol)をTBAF(テトラブチルアンモニウムフルオリド)の1MTHF溶液(1.5mL)に加えた後、水酸化テトラブチルアンモニウムのメタノール溶液(0.15mL、0.15mmol)を加えた。50℃にて98時間撹拌した後、HPLCにて確認すると、脱保護されたウリジル酸2量体が変換率99%以上で生成していた。
【実施例4】
【0057】
脱保護されたウリジル酸2量体の製造法
2’−O−フェニルカルバモイルウリジル酸2量体(30.1mg、0.04mmol)をTBAF(テトラブチルアンモニウムフルオリド)の1MTHF溶液(1.2mL、1.2mmol)に加えた後、MS4A(5.0mg)を加えた。67℃にて22時間撹拌した後、HPLCにて確認すると、脱保護されたウリジル酸2量体が変換率96%で生成していた。
【実施例5】
【0058】
2’水酸基が脱保護された5’−O−ジメトキシトリチルウリジル酸2量体の製造法
5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−フェニルカルバモイルウリジル酸2量体(48.6mg、0.05mmol)をTBAF(テトラブチルアンモニウムフルオリド)の1MTHF溶液(5.0mL、5mmol)に加え、66℃にて15時間撹拌した。HPLCにて確認すると、5’−O−ジメトキシトリチル保護されたウリジル酸2量体が変換率99%以上で生成していた。
[HPLC分析条件]
カラム:μ−BONDASPHERE、溶離液:アセトニトリル/10mM酢酸アンモニウム水溶液=10/90→90/10(グラジエント)、流速:1.0mL/min.、検出波長:254nm、カラム温度:40℃、保持時間:5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−フェニルカルバモイルウリジル酸2量体=26分、2’水酸基が脱保護された5’−O−ジメトキシトリチルウリジル酸2量体の製造法
=24分。
【実施例6】
【0059】
2’水酸基が脱保護された5’−O−ジメトキシトリチルウリジル酸2量体の製造法
5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−フェニルカルバモイルウリジル酸2量体(48.6mg、0.05mmol)をTBAF(テトラブチルアンモニウムフルオリド)の1MTHF溶液(5.0mL、5mmol)に加え、50℃にて96時間撹拌した。HPLCにて確認すると、5’−O−ジメトキシトリチル保護されたウリジル酸2量体が変換率99%以上で生成していた。
【比較例】
【0060】
2’−O−フェニルカルバモイルウリジル酸2量体(23.0mg、0.033mmol)を水酸化ナトリウムの1M水溶液(1.0mL、1.0mmol)に加えた後、50℃にて2.5時間撹拌した後、HPLCにて確認すると、原料は0.1エリア%以下まで消費され、脱保護されたウリジル酸2量体が3エリア%、分解生成物であるウリジル酸が16エリア%、5´−リン酸が24エリア%、ウリジンが39エリア%生成していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1):
【化1】

[式中、R1は置換基を有していても良い炭素数1〜18のアルキル基、置換基を有していても良い炭素数1〜18のシクロアルキル基、置換基を有していても良い炭素数6〜18のアリール基、置換基を有していても良い炭素数7〜18のアラルキル基、置換基を有していても良いスルホニル基、又は置換基を有していても良いシリル基を表し、R2は水素又は水酸基の保護基又はオリゴ核酸を表し、R3はオリゴ核酸を表す。Xはヘテロ原子を表す。Yは水素、ヒドロキシル基、アルコキシ基、又はチオール基を表す。Bは、下記式:
【化2】

(R4は、水素或いはアミノ基の保護基を表す)で表されるアデニン、グアニン、シトシン、ウラシルまたはそれらから誘導される基を表す。mは1より大きい自然数を表す]で表される2’−水酸基を保護したリボヌクレオシド誘導体および/又はこのリボヌクレオシド誘導体を構成単位として含むオリゴ核酸誘導体を、一般式(2):
54NF (2)
[式中、R5は置換基を有していても良い炭素数1〜18のアルキル基、置換基を有していても良い炭素数1〜18のシクロアルキル基、又は置換基を有していても良い炭素数6〜18のアリール基、置換基を有していても良い炭素数7〜18のアラルキル基表す]と反応させることを特徴とする、一般式(3):
【化3】

[式中、R2、R3、B、X、Y、mは前記と同じ。]で表されるリボヌクレオシド誘導体及び/又はこのリボヌクレオシドを構成単位として含むオリゴ核酸誘導体の製造法。
【請求項2】
5がアルキル基である請求項1記載の製造法。
【請求項3】
5のアルキル基がブチル基である請求項2記載の製造法。

【公開番号】特開2010−254616(P2010−254616A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−106184(P2009−106184)
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】