説明

リポソーム組成物及びその製造方法並びにそれを用いたアナライトの分析方法

【課題】リポソームの内水相に電気化学発光物質等の化学物質をより高濃度で内包することができるリポソーム組成物及びその製造方法、並びに、前記リポソーム組成物を利用して高感度でアナライトを分析可能なアナライトの分析方法を提供する。
【解決手段】リポソームと、前記リポソームの内水相に封入された化学物質とを含むリポソーム組成物において、前記リポソームを構成する脂質二分子膜が、正又は負の電荷を有し、前記化学物質が、前記脂質二分子膜が有する電荷とは逆の電荷を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リポソーム組成物及びその製造方法並びにそれを用いたアナライトの分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
抗体標識法では、抗体に酵素、蛍光物質、化学発光物質、電気化学発光物質等の標識物質が結合した標識抗体を、レセプタたるアナライトと結合反応させる。これにより、アナライト濃度に応じて結合した標識抗体から発せられるシグナルを検出することでアナライトを検出又は定量することができる。
【0003】
なかでも、抗体に酵素を標識した酵素標識抗体を用いる酵素免疫分析方法は、酵素が有する基質に対する触媒活性の高さから容易に高感度の分析が可能である。しかしながら、酵素の安定性の問題や、抗体に対して酵素の分子サイズが大きいことにより抗原抗体反応の立体阻害が生じる問題があった。そのため、近年では、分子サイズが小さくかつ比較的安定なトリス(2,2’−ビピリジン)ルテニウム錯体のような電気化学発光物質を抗体に標識した電気化学発光免疫分析法が実用化されている。
【0004】
しかしながら、電気化学発光免疫分析法は、酵素反応のようにシグナルを生成する反応を利用した方法ではなく、標識物質そのものが発するシグナルを利用する方法である。このため、極低濃度のアナライトを検出するような場合においては、高精度かつ複雑な光学系を有する検出装置を用いる必要があった。
【0005】
この点を解決するため、電気化学発光物質であるルテニウム錯体を内包し、かつ被検タンパク質(リガンド)を表面に結合させたリポソームを用いることで、該リガンドと、前記タンパク質と抗原抗体反応する物質との抗原抗体反応を利用してルテニウム錯体の電解発光の感度を増加させる方法が報告されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−101339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の方法によると、リポソームの粒径を大きくするほど、電気化学発光物質をより多量に内包できるので高レベルのシグナル感度を達成できそうだが、実際にはシグナル感度は低下する。これは、リポソームの粒径が大きくなると、リポソーム表面での立体障害が増加し、抗原抗体反応が阻害されやすくなるからである。この立体障害を抑制するためには、リポソームの粒径を小さくすれば良いが、これに伴い、内包できる電気化学発光物質が少なくなり、得られるシグナルのレベルが低下する。すなわち、リポソーム表面での抗原抗体反応において立体障害の影響が少ない、粒径が小さなリポソームを利用すると、高レベルのシグナルが得られないという課題があった。
【0008】
本発明は、前記課題を解決するもので、粒径が小さなリポソーム組成物を利用しても、高レベルのシグナルが得られるよう、リポソームの内水相に電気化学発光物質等の化学物質をより高濃度に内包することができるリポソーム組成物及びその製造方法、並びに、前記リポソーム組成物を利用して高感度でアナライトを分析可能なアナライトの分析方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明は、リポソームと、前記リポソームの内水相に封入された化学物質とを含むリポソーム組成物であって、前記リポソームを構成する脂質二分子膜が、正又は負の電荷を有し、前記化学物質が、前記脂質二分子膜が有する電荷とは逆の電荷を有する、リポソーム組成物である。
【0010】
また本発明は、リン脂質及び糖脂質のうち少なくとも1つと、リポソームを構成する脂質二分子膜に正又は負の電荷を付与する脂質二分子膜形成成分と、前記脂質二分子膜とは逆の電荷を有する化学物質と、水との存在下で、リポソームを形成することにより、前記リポソームの内水相に前記化学物質を封入する工程を含む、リポソーム組成物の製造方法である。
【0011】
さらに本発明は、外表面にリガンドを有する前記リポソーム組成物を用い、前記リガンドとアナライトとの結合反応を利用してサンドイッチ法又は競合法で前記アナライトを分析するアナライトの分析方法であって、前記化学物質は、シグナルを発生可能なものである、アナライトの分析方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、リポソーム内水相に高濃度の化学物質を内包することができるリポソーム組成物及びその製造方法を提供することができる。また、本発明のアナライト分析方法によれば、リポソーム内水相に高濃度の化学物質を内包可能なリポソーム組成物を利用するので、粒径が小さな単層リポソームを用いても、高レベルのシグナルを得ることができる。そのため、簡便な装置で高感度にアナライトを分析することが可能である。更には、リポソームを構成する脂質二分子膜に電荷が付与されているため、静電的反発によりリポソーム同士の凝集及び融合を防ぐことができ、保存安定性に優れ、抗原抗体反応時の非特異的吸着を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1におけるリポソーム組成物を示した概念図
【図2】本発明の実施の形態1におけるリポソーム組成物の製造方法を示した概念図
【図3】本発明の実施の形態1におけるリポソームに内包されたトリス(2,2’−ビピリジル)ルテニウム錯体の電気化学発光強度及び吸光度の測定結果を示したグラフ
【図4】本発明の実施の形態2におけるリポソーム組成物を用いたアナライトの分析方法を示した概念図
【図5】本発明の実施の形態2におけるリポソーム組成物を用いたアナライトの分析結果を示したグラフ
【図6】本発明の実施の形態3におけるリポソームに内包されたビスビピリジン{{4,4’−(4−アミノブチル)}−2,2’−ビピリジン}ルテニウム錯体の封入パーセントを示すグラフ
【図7】本発明の実施の形態4におけるリポソーム組成物を用いたアナライトの分析方法を示した概念図
【図8】本発明の実施の形態4におけるリポソーム組成物を用いたアナライトの分析結果を示したグラフ
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明のリポソーム組成物及びその製造方法並びにそれを用いたアナライトの分析方法の実施の形態を図面とともに詳細に説明する。本発明における「分析」は、アナライト(分析対象化合物)の存在の有無を判定する「検出」と、アナライトの存在量を決定する「定量」との双方を含む意味で用いている。
【0015】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1におけるリポソーム組成物を概念的に示したものである。
【0016】
図1は、負の電荷を有する脂質二分子膜1、リポソーム内水相2、正の電荷を有する化学物質3、リガンド4、及びリンカー5を含む。化学物質3は、リポソーム内水相2に存在しており、すなわちリポソームに内包される。リガンド4は、リンカー5を介して、リポソームの外表面を修飾している。
【0017】
脂質二分子膜1は、球状となってリポソームを構成している。脂質二分子膜を形成する成分は、リン脂質又は糖脂質の少なくともいずれか一方を主要構成成分として含む。形成されるリポソームは、直径20〜200nmの単層リポソームである。リン脂質及び糖脂質は特に限定されるものではなく、例えば、リン脂質にはジパルミトイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジン酸、ジステアロイルホスファチジルコリン等が挙げられ、糖脂質にはガングリオシド、ガラクトセレブロシド、グルコシルカルジオリピン等が挙げられる。これらリン脂質及び糖脂質中の脂肪酸炭素鎖は、炭素原子数が12〜18であることが好ましい。
【0018】
脂質二分子膜1は負の電荷を有するものであるが、この負の電荷は、脂質二分子膜を形成する成分が、負の電荷を有する成分を含むことにより脂質二分子膜に付与されたものである。このような脂質二分子膜に負の電荷を付与する成分としては、例えば、カルジオリピンやサルファチド、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン等の酸性リン脂質や、シアル酸を有する糖脂質、ジセチルリン酸等のリン酸エステル等が挙げられる。リン酸エステルのなかでも特にリン酸ジエステルが好ましく、リン酸エステルに含まれる炭化水素基の炭素数は12〜18であることが好ましい。これらの成分が脂質二分子膜形成成分に含まれることで、脂質二分子膜は負の電荷を有することになる。
【0019】
リポソームの安定性を向上させるために、上述したリン脂質や糖脂質等の脂質二分子膜形成成分に、必要に応じてコレステロールを含ませることもできる。その場合のコレステロールの配合量は、前記脂質二分子膜形成成分に対して10〜500モル%の割合で調整可能である。また、脂質の酸化防止を目的として、α−トコフェロールを含ませてもよく、その場合、リポソームの特性に応じて配合量を適宜調整可能である。
【0020】
リポソーム内水相2は、リポソームを構成する球状の脂質二分子膜内部にある水相であり、ここに化学物質3が含まれている。内水相は水系溶媒から構成され、前記化学物質は当該水系溶媒に溶解している。このようにして、本発明のリポソーム組成物は、前記化学物質をリポソームの内水相に内包することができる。
【0021】
化学物質3は、正の電荷を有する化合物である。実施の形態1においては、化学物質3として、電気化学発光性及び親水性を有する金属錯体を用いた。しかし化学物質3としては、親水性の溶媒に溶解して正の電荷を有する化合物であれば特に限定されない。
【0022】
電気化学発光性を有する金属錯体とは、これを含む溶液に電圧を印加することにより発光することが可能な金属錯体のことをいう。金属錯体は中心金属及び配位子からなる。中心金属としては電気化学発光性を持つものである限り特に限定されない。例えば、ルテニウム、オスミウム、クロム、銅、イリジウム、レニウム、ユウロピウム等が挙げられる。なかでも、発光効率が高いため、ルテニウム又はオスミウムが好ましい。
【0023】
配位子としては、これを含む金属錯体が電気化学発光性を持つものである限り特に限定されないが、アミノ基、ホスフィノ基、カルボキシル基及びチオール基からなる群より選択される少なくとも1つの官能基を含む有機化合物、又は、複素環式化合物が好適である。前記有機化合物と複素環式化合物の双方を配位子としてもよい。複素環式化合物としては、発光効率の点から、ピリジン部位を有する化合物が好適であり、ビピリジン骨格又はフェナントロリン骨格を有する化合物が特に好適である。ビピリジン骨格又はフェナントロリン骨格を有する化合物とは、置換基を持たないビピリジン又はフェナントロリンであってもよいし、フェニル等の置換基を有するビピリジン又はフェナントロリンであってもよい。ビピリジン骨格を有する化合物としては、2,2′,2″−テルピリジンも使用できる。その他、8−ヒドロキシキノリン、2−フェニルピリジン等も使用できる。前記有機化合物としては、発光効率の点から、ホスフィノ基を含む有機化合物が好ましく、ビス(ジフェニルホスフィノ)エテンが特に好ましい。実施の形態1では、電気化学発光性及び親水性を有する金属錯体として、トリス(2,2’−ビピリジル)ルテニウム錯体を使用するが、本発明はこれに限定されない。
【0024】
リポソーム内水相2への化学物質3の内包は、リポソーム形成時に使用する水系溶媒中に化学物質を添加して溶解させることで実現できる。実施の形態1では、リポソームの脂質二分子膜に負の電荷を付与し、かつリポソームに内包する化学物質として、正の電荷を帯びた親水性の化学物質を使用する。これにより、脂質二分子膜と化学物質間の静電作用の影響により、リポソーム内水相2中により高濃度で化学物質3を内包することが可能になる。
【0025】
実施の形態1においては、負の電荷が付与された脂質二分子膜から構成されたリポソームの内水相に、正の電荷を有する化学物質を内包したリポソーム組成物について説明している。しかし、正の電荷が付与された脂質二分子膜から構成されたリポソームの内水相に、負の電荷を有する化学物質を内包したリポソームであっても同様に、リポソーム内水相中により高濃度で化学物質を内包することができる。この場合、リポソームの脂質二分子膜形成成分に、正の電荷を有する脂質二分子膜形成成分を含めることで、脂質二分子膜に正の電荷を付与することができる。このような成分としては、脂質二分子膜を形成する成分でありながら脂質二分子膜に正の電荷を付与できる成分であればよく、例えばステアリルアミン等のアミン化合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。アミン化合物のなかでも、第一級アミンが好ましく、アミン化合物が有する炭化水素基の炭素数は12〜18であることが好ましい。
【0026】
リガンド4は、リポソームの外表面側に位置し、リンカー5を介して脂質二分子膜1と結合している。リガンド4は、抗体、抗原、ペプチド、核酸、プロテインA、プロテインG、アビジン、及び、ビオチンからなる群より選ばれた少なくとも1つを含んでよい。本実施の形態1においては、リガンドとしてアビジンの一つであるストレプトアビジンを用いる。
【0027】
リンカー5は、脂質二分子膜1の外表面にリガンド4を結合させるための成分である。具体的には、脂質二分子膜形成成分とリガンド4双方に結合することで、リガンド4を脂質二分子膜1の外表面に結合させる。本実施の形態1では、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(以下DPPEと略す)のアミノ基に対し、N−サクシンイミジル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(以下SPDPと略す)を縮合反応により結合させることでSPDP−DPPE(以下活性型DPPEと略す)を調製し、この活性型DPPEをリポソーム脂質二分子膜形成成分の一つとして使用して化学物質内包リポソームを調製する。一方、ストレプトアビジンのアミノ基に対し、SPDPを縮合反応により結合させてSPDP修飾ストレプトアビジンを調製する。リポソーム脂質二分子膜に存在する活性型DPPEと、SPDP修飾ストレプトアビジンとをジスルフィド結合させることにより、ストレプトアビジンがリポソームの外表面に修飾する。しかし、本発明のリポソーム表面へのリガンドの修飾は、これに限定されない。
【0028】
次に、本発明のリポソーム組成物の製造方法について述べる。
【0029】
本発明において、リポソームは、通常知られている方法、例えばボルテクスィング法、ソニケーション法、プレベシクル法、エタノール注入法、フレンチプレス法、エクストルージョン法等によって形成できる。具体的には、まず、リン脂質及び糖脂質のうち少なくとも1つと、リポソーム脂質二分子膜に正又は負の電荷を付与する脂質二分子膜形成成分と、リポソーム脂質二分子膜とは逆の電荷を有する化学物質と、水と、必要によりリンカーが結合された脂質二分子膜形成成分との存在下で、上述したリポソームの形成方法を実施することにより、リポソーム内水相に前記化学物質が内包されたリポソーム組成物を得ることができる。更に具体的には、リン脂質及び糖脂質のうち少なくとも一つとリポソーム脂質二分子膜に正又は負の電荷を付与する脂質二分子膜形成成分とを、リポソーム内水相に内包する脂質二分子膜形成成分とは逆の電荷を有する化学物質を溶解した水溶液とに混合して、上記方法により、リポソーム組成物を形成させる。
【0030】
本実施の形態1においては、エクストルージョン法により本発明のリポソーム組成物を調製する。図2は、本実施の形態1のリポソーム組成物の製造方法の一例を示したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0031】
図2は、無極性溶媒を含む溶媒に溶解した負の電荷を有する脂質二分子膜形成成分6、脂質フィルム7、正の電荷を有する化学物質を溶解した水溶液8、多重層リポソーム組成物9、フィルター10、単層かつ均一なリポソーム組成物11を含む。
【0032】
まず、リン脂質及び糖脂質のうち少なくとも1つと、リポソーム脂質二分子膜に負の電荷を付与する脂質二分子膜形成成分を少なくとも含む脂質二分子膜形成成分混合物を、無極性溶媒を含む溶媒に溶解し、ナス型フラスコのようなガラス容器に入れる(図2(a))。無極性溶媒としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジクロロエチレン、テトラクロロエタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、エーテル、テトラヒドロフラン、へキサン、シクロヘキサン等を用いることができる。脂質の溶解が容易になるため、無極性溶媒にメタノール等のアルコールを含有させることもできる。
【0033】
次に、エバポレーションや窒素気流下で無極性溶媒を取り除き、ガラス容器壁面に脂質の薄膜(脂質フィルム)を形成させる(図2(b))。形成した脂質の薄膜に対し、正の電荷を有する化学物質を溶解した水溶液を加えることで前記薄膜を膨潤させる(図2(c))。次いでガラス容器に機械的振動を加えることで、正の電荷を有する化学物質を内包した多重層リポソーム組成物を形成させる(図2(d))。この際の機械的振動としては、激しい攪拌や、超音波による振動等を使用することができ、これらにより多重層リポソーム組成物を形成することが可能である。実施の形態1では、正の電荷を有する化学物質として、トリス(2,2’−ビピリジル)ルテニウム錯体を用いる。
【0034】
次に、形成した多重層リポソーム組成物はフィルターを通過させることで粒径を均一にすることができ、これにより、単層かつ粒径が均一なリポソーム組成物を形成する(図2(e))。実施の形態1において、リポソーム組成物の均一化にはエクストルージョン法を適用する。
【0035】
本発明のリポソーム組成物の製造方法は、リポソームの脂質二分子膜に正の電荷を付与する脂質二分子膜形成成分を含む脂質二分子膜形成成分混合物を用い、リポソーム内水相に内包する化学物質として負の電荷を有する化学物質を用いて実施しても、同様の効果を得ることができる。
【0036】
以下、リポソーム組成物の製造法について、実施例を示す。
【0037】
<活性型DPPEの調製>
活性型DPPEの調製は化1に示す反応スキームに従って行った。
【0038】
【化1】

DPPE10μmol、SPDP12μmol、及びトリエチルアミン(TEA)20μmolをクロロホルム/無水メタノール=9:1溶液に溶解し、室温にて2時間攪拌した。2時間攪拌後、リン酸二水素カリウムからなる10mmol/lリン酸緩衝液(pH7.4)を加えて激しく攪拌し、上相を取り除いた。次いで蒸留水を加えて激しく攪拌し、上相を取り除き、下相を採取した。採取した下相の溶媒を留去し、12時間、減圧乾燥し、収量5.8mg(6.52×10−6mol)、収率65.24%で活性型DPPEを得た。
【0039】
<リポソーム組成物の調製>
ナス型フラスコ中に、クロロホルム/無水メタノール=9:1で調製した溶液にそれぞれ溶解したジパルミトイルホスファチジルコリン(以下DPPCと略す)、活性型DPPE、コレステロール、及び、ジセチルリン酸を入れ、エバポレーターにて溶媒を留去し、フラスコ内壁に脂質フィルムを形成させた。DPPC、活性型DPPE、コレステロール及びジセチルリン酸の投入量は、表1に示すとおり調整した。
【0040】
【表1】

表1中、条件1及び2は、本発明のリポソーム組成物を調製する条件を示した。一方、条件3及び4は、本発明の効果を確認するため、DPPC、活性型DPPE、及びコレステロールから形成した、リポソーム脂質二分子膜に電荷を付与していないコントロールのリポソーム組成物について、条件5及び6は、DPPC、活性型DPPE、コレステロール、及びステアリルアミンから形成した、リポソーム脂質二分子膜に正電荷を付与したリポソーム組成物について調製条件を示した。
【0041】
上述のとおり形成した脂質フィルムを減圧乾燥後、化学物質として、5mmol/lのトリス(2,2’−ビピリジル)ルテニウム錯体を溶解した水溶液を1ml注入した後、脂質フィルムが形成されたナス型フラスコを激しく攪拌し、多重層リポソーム組成物を形成させた。調製した多重層リポソーム組成物をエクストルージョン法により、ポアサイズ100nmのポリカーボネート膜を通すことによりサイジングを行うことで、脂質二分子膜に負の電荷が付与され、トリス(2,2’−ビピリジル)ルテニウム錯体を内包した均一かつ単層の、脂質二分子膜に正の電荷を有するリポソーム組成物を調製した。さらに、ゲル濾過カラム(Sephadex G−50)で精製し、分画した。得られた化学物質内包リポソーム分画をマイクロプレートリーダー(モレキュラーデバイス社製)で励起波長444nm、蛍光波長612nmで測定し、蛍光が確認される分画を採取した。それぞれの条件で調製したリポソーム組成物を含む分画を15mlにメスアップした。調製したリポソーム組成物の粒径は、シスメックス社製(マルバーン社製)の「ゼータサイザーナノ」を用いて動的光散乱法により測定した。粒径測定条件として、測定温度25℃、希釈液としてリン酸二水素カリウムからなる10mmol/lリン酸緩衝液(pH7.4)を用い、測定モードはAutoで行った。また、動的光散乱法における、リポソーム及び希釈液の屈折率をそれぞれ1.45、1.33で設定して解析した。測定結果から得られた粒度分布から平均粒径を得た。測定された平均粒径の結果を表2に示す。
【0042】
【表2】

動的光散乱法で粒径を測定した結果、リポソーム組成物の平均粒径は、条件1は97.9nm、条件2は99.7nm、条件3は101nm、条件4は100nmであり、条件1−4で調製したリポソーム組成物の粒径はほぼ均一であった。従って、調製したリポソーム組成物を含む溶液には、脂質二分子膜形成成分を同一モル量加えた条件1と条件3、及び、条件2と条件4はほぼ同数のリポソームが含まれていると考えられる。一方、リポソーム脂質二分子膜に正の電荷を付与するためにステアリルアミンを添加した条件5及び条件6においては、リポソームの形成が確認できなかった。この結果は、正の電荷を有するトリス(2,2’−ビピリジル)ルテニウム錯体と、同じく正の電荷を有する脂質二分子膜形成成分との間で、脂質二分子膜を形成する段階で静電反発が生じた結果、リポソームが形成されなかったことが原因と考えられる。
【0043】
<SPDP修飾リガンドの調製>
次に、SPDP修飾リガンドの調製を化2に示す反応スキームに従って行った。
【0044】
【化2】

無水メタノールに溶解した1.6mmol/lのSPDP溶液5μlをストレプトアビジン(リガンド)1mg/mlに加え、30分間室温で反応させた。次いで、得られた反応液を分画分子量1kDaの透析チューブに導入し、10mmol/l酢酸緩衝液(pH4.5)で透析を3日間行い、SPDP修飾ストレプトアビジン(SPDP修飾リガンド)を回収した。
【0045】
<リポソーム組成物表面へのリガンドの修飾>
さらに、リポソーム組成物表面へのリガンドの修飾を化3及び化4に示す反応スキームに従って行った。
【0046】
【化3】

【0047】
【化4】

10mmol/l酢酸緩衝液(pH4.5)に溶解した50mmol/lジチオトレイトール(以下DTTと略す)500μlを、透析後のSPDP修飾ストレプトアビジンに加え、30分間、室温で反応させた。反応後のSPDP修飾ストレプトアビジンをSephadex G25で分画し、DTT、及び副生成物であるピリジン−2−チオンを除去し、活性型SPDP修飾ストレプトアビジンを含む分画を得た。活性型SPDP修飾ストレプトアビジンの分画を、化学物質内包リポソーム溶液10mlに加え、24時間、室温で反応させた。反応後、4℃下でShepharose 4Bで分画し、未結合のSPDP修飾ストレプトアビジンを除去した。その後、励起波長444nm、蛍光波長612nmで蛍光を測定し、蛍光が確認される分画を採取した。これにより、表面にリガンドが修飾されたリポソーム組成物を含む溶液を得た。
【0048】
<リポソーム組成物中のトリス(2,2’−ビピリジル)ルテニウム錯体の測定>
まず、調製したリポソーム組成物を含む溶液を10mmol/lリン酸緩衝液(pH7.4)で400倍希釈し、電気化学発光強度を測定した。ガラス基板上にスパッタ装置(アルバック製SH−350)により、チタン10nmを下地に金200nmを形成させ、フォトリソグラフィ工程により電極パターンを形成した。得られた直径3mmの作用電極を有する金電極チップの作用電極に、400倍希釈したリポソーム組成物を含む溶液を2μl滴下し、65℃の恒温槽中に5分間放置した。その後、0.1mol/lリン酸二水素カリウム、0.1mol/lリン酸水素ニカリウム及び0.1mol/lTEAからなる電解発光液を80μl滴下し、0V〜1.3Vまで電圧走査し、4秒間の電気化学発光強度を光電子倍増管(浜松ホトニクス製H7360−01)で測定した。リポソーム濃度は、予め同様の手順でトリス(2,2’−ビピリジル)ルテニウム錯体で作成した検量線を基に定量した。化学物質内包リポソームの電気化学発光強度の測定結果を表3に示す。
【0049】
【表3】

条件1〜条件4で調製したリポソーム組成物の電気化学発光強度(積分値)は、条件1では25468RLU、条件2は45221RLU、条件3は18816RLU、条件2は19744RLUであった。電気化学発光強度を示す単位RLUとはRelative Light Unitの略である。
【0050】
この結果を基に、62.5nmol/l、31.3nmol/l、15.6nmol/l、7.8nmol/l、3.9nmol/l、0の濃度で作成したトリス(2,2’−ビピリジル)ルテニウム錯体の検量線から濃度を算出すると、15mlにメスアップした化学物質内包リポソーム中に含まれるトリス(2,2’−ビピリジル)ルテニウム錯体濃度は、条件1では6.2μmol/l、条件2は12.3μmol/l、条件3は4.2μmol/l、条件4は4.5μmol/lであった。条件1と3、及び条件2と4で調製したリポソーム粒径がほぼ同一であったため、溶液中に含まれるリポソーム数はほぼ同程度であると考えられ、溶液中に含まれるリポソームの全内水相容積が等しいとすることができる。これに基づきトリス(2,2’−ビピリジル)ルテニウム錯体の封入パーセントを求めることで、本発明によれば化学物質をリポソーム中に高濃度で封入できることを示した。トリス(2,2’−ビピリジル)ルテニウム錯体の封入パーセントは、下記式により算出した。
Y=X/Z×100
Y:トリス(2,2’−ビピリジル)ルテニウム錯体の封入パーセント(%)
X:溶液中に含まれる全リポソームに封入されたトリス(2,2’−ビピリジル)ルテニウム錯体の濃度(mol/l)
Z:封入前に導入されたトリス(2,2’−ビピリジル)ルテニウム錯体の濃度(mol/l)
結果、封入前に導入されたトリス(2,2’−ビピリジル)ルテニウム錯体の濃度は、5mmol/lであるため、条件1での封入パーセントは0.124%、条件2は0.246%、条件3は0.084%、条件4は0.09%であった。従って、全リポソーム脂質二分子膜形成成分に対し3モル%量のジセチルリン酸を加えた条件1では、従来法と比較して47%、全リポソーム脂質二分子膜形成成分に対し22モル%量のジセチルリン酸を加えた条件2では、従来法と比較して、173%高濃度にリポソーム内水相中にトリス(2,2’−ビピリジル)ルテニウム錯体が含まれていることになる。更に、リポソーム組成物中のトリス(2,2’−ビピリジル)ルテニウム錯体濃度を確認するために、15mlにメスアップした化学物質内包リポソーム溶液について、マイクロプレートリーダーで波長450nmでの吸光度を測定した。測定結果を表4に示す。
【0051】
【表4】

条件1〜4それぞれについて吸光度を測定した結果、条件1は0.223、条件2は0.419、条件3は0.163、条件4は0.184であった。予め66.7μmol/l、33.3μmol/l、16.7μmol/l、8.3μmol/l、4.2μmol/l、0の濃度のトリス(2,2’−ビピリジル)ルテニウム錯体で作成した検量線を基にそれぞれの濃度を算出すると、リポソーム内水相中に含まれるトリス(2,2’−ビピリジル)ルテニウム錯体濃度は、条件1では22.18μmol/l、条件2は46.69μmol/l、条件3は14.69μmol/l、条件4は17.31μmol/lであった。トリス(2,2’−ビピリジル)ルテニウム錯体の封入パーセントを求めると、条件1は0.444%、条件2は0.934%、条件3は0.294%、条件4は0.346%であった。従って、全リポソーム脂質二分子膜形成成分に対し3モル%量のジセチルリン酸を加えた条件1では、従来法と比較して51%、全リポソーム脂質二分子膜形成成分に対し22モル%量のジセチルリン酸を加えた条件2では、従来法と比較して、170%高濃度にリポソーム内水相中にトリス(2,2’−ビピリジル)ルテニウム錯体が含まれている結果になった。
【0052】
以上の結果を図3に示す。図3から分かるように、電気化学発光強度及び吸光度の測定結果には一致した傾向が見られ、いずれのデータからも、本発明のリポソーム組成物及びその製造方法を用いることで、従来のリポソーム組成物と比較して、ジセチルリン酸を3モル%加えることで50%程度、22モル%加えることで170%程度、金属錯体の内包量が増加することが判明した。すなわち、本発明のリポソーム組成物及びその製造方法を用いることで、リポソーム内水相中に正の電荷を有する化学物質を高濃度で内包することが可能である。
【0053】
実施の形態1においては、負の電荷を有するリポソームに正の電荷を有する化学物質を内包する一例を示したが、正の電荷を有するリポソームに負の電荷を有する化学物質を内包しても同様の結果を得ることができる。これは、本実施の形態1のリポソーム内水相に静電作用により高濃度の化学物質が内包された結果と、正の電荷を有するリポソームに正の電荷を有する化学物質の作成を試み、静電反発の影響によりリポソームが形成されなかった結果から、容易に導かれる。
【0054】
(実施の形態2)
実施の形態2は、リポソーム組成物を用いたアナライトの分析方法に関する。アナライトの分析では、一般的な免疫分析法である非競合法(サンドイッチ法)や競合法のいずれを用いても同様の効果が得られるが、実施の形態2においては、一例として磁性ビーズを用いた非競合法(サンドイッチ法)に関して説明する。
【0055】
化学物質内包リガンド修飾リポソームは、アナライトとリガンドとが直接的に結合するものでもよいし、アナライトとリガンドとが間接的に結合するものであってもよく、いずれでも同様の効果が得られる。本形態では、アナライトとビオチン標識抗体とが結合した複合体に対し、実施の形態1によるストレプトアビジンを修飾したリポソーム組成物を結合させることで、間接的にアナライトとストレプトアビジン修飾リポソーム組成物とを結合させることによりアナライトの分析を行う。
【0056】
実施の形態2においては、正の電荷を有する化学物質であるトリス(2,2’−ビピリジル)ルテニウム錯体から発せられる電気化学発光により、アナライトの分析を行う。しかし、トリス(2,2’−ビピリジル)ルテニウム錯体のように電気化学発光に加え、蛍光性を有する化学物質に関しては、蛍光検出によりアナライトを分析しても同様の効果を得ることができる。
【0057】
以下、具体的な免疫分析方法について述べる。
【0058】
本実施の形態2におけるアナライトの分析法は、図4に示す反応により行う。図4は、固相12、アナライト14と特異的に結合する抗体13、アナライト14、アナライト14及びリガンドと特異的に結合する化合物15、リガンドによって修飾されたリポソーム組成物16を含む。
【0059】
固相12としては、実施の形態2の実施例においては磁性ビーズを用いる。しかし、固相であれば特に限定されず、例えば、金電極上に自己組織化単分子膜を形成させ、抗体13を金電極上に固定化したものを用いてもアナライトを分析できる。
【0060】
アナライト14は、抗体、抗原、ペプチド、及び、核酸から選ばれる少なくとも1つである。
【0061】
抗体13は、固相12に固定されており、アナライト14と特異的に結合できるものであれば特に限定されない。
【0062】
アナライト14及びリガンドと特異的に結合する化合物15は特に限定されないが、実施の形態2の実施例においては、リポソームを修飾するリガンドであるストレプトアビジンと結合するビオチン標識抗体を用いる。しかし、化合物15の使用を省略し、アナライト14と直接特異的に結合できるリンカーによってリポソームを修飾することもできる。
【0063】
リポソーム組成物16を修飾するリガンドは、化合物15又はアナライト14と特異的に結合できるものであれば特に限定されない。このようなものとして、例えば、抗体、抗原、ペプチド、核酸、プロテインA、プロテインG、(ストレプト)アビジン、ビオチン等が挙げられる。
【0064】
以下、実施の形態2に関する実施例を示す。以下の実施例では、抗体13としてmouse anti−human TNF−αを使用し、アナライト14としてHuman TNF−α(以下TNF−αと略す)を使用した。
【0065】
磁性ビーズ(Invitrogen社製Dynabeads M−450 Tosylactivated)を25μl(1×10beads)採取し、0.1mol/lリン酸緩衝液(pH7.4)で2度洗浄後、R&D systems社製のmouse anti−human TNF−αを100μg加えた。24時間反応させて、磁性ビーズ上にmouse anti−human TNF−αを固定化した。その後、0.2mol/lのEDTA及び0.1%BSAを含有した0.1mol/lリン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)と、0.1%BSAを含有した0.2mol/lTris緩衝液(pH8.5)で洗浄した。その後、1%BSAを含有した0.1mol/lリン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)で磁性ビーズ表面をブロッキングし、抗体固定化磁性ビーズを調製した。以後の免疫分析には、1アッセイで5×10beadsを使用した。
【0066】
アナライトであるR&D systems社製Recombinant Human TNF−αを、1%BSA含有0.1mol/lリン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)で希釈し、それぞれ、濃度が100pg/ml、10pg/ml、1pg/ml、0.1pg/ml、0(バックグラウンド:BG)の分析サンプル溶液を調製した。そのうち500μlを抗体固定化磁性ビーズに加え、25℃、1時間、抗原抗体反応させた。抗原抗体反応後、0.1mol/lリン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)で3度洗浄した。
【0067】
その後、1μg/mlのビオチン標識抗体(biotinylated goat anti−human TNF−α)を500μl加え、25℃、1時間、抗原抗体反応させた。抗原抗体反応後、0.1mol/lリン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)で3度洗浄した。
【0068】
洗浄後、実施の形態1の実施例の条件2で調製したストレプトアビジンを修飾したリポソーム組成物を1ml加え、25℃、1時間、反応させた。0.1mol/lリン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)で3度洗浄した後、0.1mol/lリン酸緩衝液(pH7.4)20μlに懸濁した。
【0069】
懸濁後、2.5μlを採取し、ガラス基板上にスパッタ装置(アルバック製SH−350)によりチタン10nmを下地に金200nmを形成させ、フォトリソグラフィ工程により電極パターンを形成した直径3mmの作用電極を有する金電極チップの作用電極に滴下した。滴下後、65℃の恒温槽中に5分間放置した。その後、0.1mol/lリン酸二水素カリウム、0.1mol/lリン酸水素二カリウム及び0.1MTEAからなる電解発光液を80μl滴下し、0V〜1.3Vまで電圧走査し、4秒間の電気化学発光強度を光電子倍増管(浜松ホトニクス製H7360−01)で測定した。
【0070】
従来例として、実施の形態1の実施例の条件4で調製したストレプトアビジンを修飾したリポソーム組成物を同様の手順で測定した。
【0071】
以上の結果を図5に示す。本発明(条件2)における電気化学発光強度は、2761223RLU(100pg/ml)、869142RLU(10pg/ml)、162336RLU(1pg/ml)、39233RLU(0.1pg/ml)、26133RLU(BG)であった。また、従来法(条件4)における電気化学発光強度は、971129RLU(100pg/ml)、226111RLU(10pg/ml)、45122RLU(1pg/ml)、24226RLU(0.1pg/ml)、23817RLU(BG)であった。従来法と比較して、本発明では、電気化学発光強度が3〜4倍程度上昇したにもかかわらず、バックグラウンドに関しては両者間に大きな差異はなかった。また、従来法では0.1〜1pg/ml付近で電気化学発光強度の向上が見られたのに対し、本発明では、バックグラウンドに対し0.1pg/mlで向上が確認され、大よそ1桁程度感度の上昇が見られた。
【0072】
以上の結果より、本発明のリポソーム組成物を用いたアナライトの分析法によると、従来法と比較して、3〜4倍の電気化学発光強度を得ることが出来た。従って、より簡便な発光検出装置を用いても、高感度にアナライトを分析できることを示している。
【0073】
(実施の形態3)
実施の形態3では、実施の形態1と同様の手順でルテニウム錯体を内包したリポソームを調製し、リポソーム表面にウサギ由来のBSA抗体を修飾させ、実施の形態1とは異なる測定方法にて、リポソームに内包された化学物質の封入パーセントを割り出した。実施の形態1とは異なる測定方法で封入パーセントを割り出す理由は以下の通りである。リポソームは微少のサイズであり、調製したリポソームの個数、リポソーム内水相の容積等を正確に求めることは困難である。従って、別の観点からの測定方法を用いて封入パーセントの割り出しを行うことで、本発明でリポソーム封入パーセントの向上が見込めることを、多角的に検討することが好ましいと考えられた。
【0074】
リポソームの調製方法は、調製したリポソーム組成物のエクストルージョン法によるサイジングをポアサイズ50nmのポリカーボネート膜で行った点、リポソームを、DPPC10μmol、コレステロール5μmol、活性型DPPE1.5μmolのリポソーム構成成分にジセチルリン酸を0、1、2、4、6、又は8μmol加えて調製した点が実施の形態とは異なる。また、多重層リポソームの形成において、トリス(2,2’−ビピリジル)ルテニウム錯体ではなく、下記式で表されるビスビピリジン{{4,4’−(4−アミノブチル)}−2,2’−ビピリジン}ルテニウム錯体を溶解した1.5μmol/lの水溶液を1ml加えた点も異なる。リポソーム表面への抗体の修飾は、実施の形態1のTNF−α抗体をBSA抗体に変更した点以外は同一である。その他については実施の形態1と同様の手順で調製した。リポソームの粒径は、実施の形態1同様、シスメックス社製(マルバーン社製)の「ゼータサイザーナノ」を用いて動的光散乱法により測定し、いずれのリポソームも平均粒径が約90nmであることを確認した。
【0075】
【化5】

調製したビスビピリジン{{4,4’−(4−アミノブチル)}−2,2’−ビピリジン}ルテニウム錯体を内包したリポソームにおける封入パーセントは、このリポソームの調製に使用した前記ルテニウム錯体と、このリポソームに内包された前記ルテニウム錯体とをHPLCを用いて検出し、それぞれに相当するピーク面積を算出することで求めた。このリポソームは、HPLCにおいて、ディテクターとして450nmの波長の吸光度により検出した。
【0076】
測定結果を図6に示す。図6から分かるようにジセチルリン酸の量が増加するに従い、ビスビピリジン{{4,4’−(4−アミノブチル)}−2,2’−ビピリジン}ルテニウム錯体の封入パーセントが増加し、4μmol(リポソーム組成物構成成分に対して、19.5mol%)加えた場合が、最も封入パーセントが高く、ジセチルリン酸を加えないリポソームと比較して、大よそ6倍強多く内水相に封入されていることが分かる。この結果より、ジセチルリン酸を4〜6μmol加えた場合が、リポソーム内水相に多くビスビピリジン{{4,4’−(4−アミノブチル)}−2,2’−ビピリジン}ルテニウム錯体を内包できることが分かる。
【0077】
また、リポソーム脂質二分子膜に負の電荷を付与するジセチルリン酸の段階的な増加に応じて、リポソーム内水相に内包できるビスビピリジン{{4,4’−(4−アミノブチル)}−2,2’−ビピリジン}ルテニウム錯体の封入パーセントが調節されていることが分かる。すなわち、リポソームの脂質二分子膜に付与される負の電荷量を調節することで、内包する化学物質の封入パーセントを任意に調節可能であるといえる。
【0078】
以上より、実施の形態1とは別の測定方法で行った封入パーセントを算出した実施の形態3においても、リポソーム内水相に高濃度の化学物質を内包でき、また、リポソームの脂質二分子膜の電荷量を調節することで、内包する化学物質の封入パーセントを任意に設定できることを示すことができた。
【0079】
(実施の形態4)
実施の形態4では、実施の形態3で調製したリポソーム組成物を用いて、競合法によりBSAの測定を試みた。検出方法は、電気化学発光検出により行った。また、実施の形態3で調製したリポソーム組成物は、ビスビピリジン{{4,4’−(4−アミノブチル)}−2,2’−ビピリジン}ルテニウム錯体を内包している。このビスビピリジン{{4,4’−(4−アミノブチル)}−2,2’−ビピリジン}ルテニウム錯体は、リンカー部位にアミンを2つ有した構造であり、このアミンが金電極と強固な配位結合を形成するため、金電極表面に吸着し易く、除去され難い。従って、リポソーム組成物の破壊及び洗浄等の操作を伴う競合反応においては、これら操作で吸着され易く、除去され難いビスビピリジン{{4,4’−(4−アミノブチル)}−2,2’−ビピリジン}ルテニウム錯体の使用が適している。
【0080】
以下、本発明を用いた競合法について、図7を参照して具体的に説明する。
【0081】
実施の形態4においてはアナライト14としてBSAを使用する。抗体によって修飾されたリポソーム17における抗体としてBSA抗体を使用する。実施の形態4では、SAM(Self−Assembled Monolayer)20を用いて、金電極18表面に、抗原19を結合させた。金電極18に固定化された抗原19としては、競合法であるため、抗原そのものを用いてもよいし、抗体の結合部位を有するペプチドを用いてもよい。
【0082】
以下、実施の形態4に関する実施例を示す。
【0083】
まず、ガラス基板上にスパッタ装置(アルバック製SH−350)によりチタン10nmを下地に金200nmを形成させ、フォトリソグラフィ工程により電極パターンを形成した直径3mmの作用電極を有する金電極チップを準備した。作用電極上に硫酸と過酸化水素を3:1の割合で混合した液を滴下し、1分間放置後、蒸留水で洗浄し、風乾させた。次いで、ジチオブタン酸(DTBA)71.5mg(2.52×10−4mol)を30mlのエタノールに溶解させてジチオブタン酸/エタノール溶液を調製した。この溶液中に、風乾させた金電極チップを浸し、12時間、室温にて緩やかに攪拌して、SAMを形成させ、反応後、エタノールで洗浄した。洗浄後、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボヂイミド塩酸塩50mg(2.61×10−4mol)、N−ヒドロキシコハク酸イミド30mg(2.61×10−4mol)を10mlの0.1mol/lリン酸緩衝液(pH7.4)に溶解させた。この溶液に洗浄した金電極チップを浸して1時間、室温にて緩やかに攪拌して、作用電極上のカルボキシル基を活性化した。この電極を0.1mol/lリン酸緩衝液(pH7.4)で洗浄した後、BSA1mg(4.74×10−7mol)を10mlの0.1mol/lリン酸緩衝液(pH7.4)に溶解させた溶液に浸して4℃、15時間緩やかに撹拌して電極表面への抗原の固定化を行った。反応後、0.1mol/lリン酸緩衝液(pH7.4)で洗浄した。次に、2−アミノエタノール61mg(1.0×10−3mol)を10mlの0.1mol/lリン酸緩衝液(pH7.4)に溶解させ、この溶液に金電極チップを浸し、4℃、1時間緩やかに攪拌させて、ブロッキングを行った。ブロッキング後、金電極チップを常温に戻して、0.02%Tween20を含有した0.1mol/lリン酸緩衝液(pH7.4)で洗浄した。その後、金電極チップを風乾させ、金電極チップの測定部位以外をシリコンシートで覆い、金電極チップ上にアナライトである各濃度BSAと上記リポソーム組成物を加え、1時間、室温にて競合反応を行った。この際測定したBSA濃度は、1.67×10−7mol/l、1.67×10−8mol/l、1.67×10−9mol/l、1.67×10−10mol/l、1.67×10−11mol/l、1.67×10−12mol/lの6通りである。競合反応後、0.02%Tween20を含有した0.1mol/lリン酸緩衝液(pH7.4)で金電極チップ表面を洗浄した後、上記と同様にシリコンシートで覆い、エタノール7μlを加えてリポソーム組成物を破壊し、5分間、60℃で金電極チップを加熱した。加熱後、金電極チップを5分間、室温に放置し、0.1mol/lリン酸緩衝液(pH7.4)で洗浄し、風乾させた。その後、0.1mol/lリン酸二水素カリウム、0.1mol/lリン酸水素二カリウム及び0.1MTEAからなる電解発光液を60μl滴下し、0V〜1.3Vまで電圧走査し、4秒間の電気化学発光強度を光電子倍増管(浜松ホトニクス製H7360−01)で測定した。
【0084】
この測定においては、実施の形態3で調製したジセチルリン酸の量が4μmol(リポソーム組成物構成成分に対して、19.5mol%)のリポソーム組成物を用いて測定を行った。また、従来例との比較を行うため、ジセチルリン酸を加えてないリポソーム組成物(実施の形態3のジセチルリン酸を加えていないリポソーム組成物)においても同様に測定し、比較を行った。
【0085】
測定結果を図8に示す。
【0086】
図8に示す通り、同一のBSA濃度で本発明と従来例とを比較すると、本発明では2〜3倍の電気化学発光強度が得られていることが分かる。すなわち、本発明のリポソーム組成物を用いることで、非常に高い発光強度が得られるため、簡易な検出装置を用いても、高感度に測定できるといえる。
【0087】
以上、実施の形態1〜4の結果より本発明のリポソーム組成物は、リポソーム内水相に高濃度の化学物質を内包することができ、このリポソーム組成物を免疫分析方法等の標識剤に用いることで、高感度で高発光のシグナルが得られることを示すことができた。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明に係るリポソーム組成物及びその製造方法並びにそれを用いたアナライトの分析方法は、リポソーム脂質二分子膜に正又は負の電荷を付与し、リポソーム脂質二分子膜とは逆の電荷を有する化学物質をリポソーム内水相に内包することで、化学物質を高濃度で内包できるため、電気化学発光物質や化学発光物質等のシグナルを発する化学物質を内包することで高感度にアナライトを測定でき、食品分析・臨床検査分野等で有用である。すなわち、高感度で高発光のシグナルを得ることのできる分析方法を提供することが可能になるため、検出装置の簡易化に繋がり、例えば、臨床検査分野におけるポイントオブケアテスティング装置の小型化が見込まれる。また、高濃度の化学物質をリポソーム内水相に内包可能になることで、化学物質の内包量を自由に選択することができるため、医薬品における効果の増強及び副作用の軽減が見込まれるドラッグデリバリーシステムや、薬剤を内包した化粧品への応用も見込まれる。
【符号の説明】
【0089】
1 負の電荷を有する脂質二分子膜
2 リポソーム内水相
3 正の電荷を有する化学物質
4 リガンド
5 リンカー
6 無極性溶媒を含む溶媒に溶解した負の電荷を有する脂質二分子膜形成成分
7 脂質フィルム
8 正の電荷を有する化学物質を溶解した水溶液
9 多重層リポソーム組成物
10 フィルター
11 単層かつ均一なリポソーム組成物
12 固相
13 抗体
14 アナライト
15 アナライト及びリガンドと特異的に結合する化合物
16 リガンドによって修飾されたリポソーム組成物
17 抗体によって修飾されたリポソーム組成物
18 金電極
19 抗原
20 SAM結合部位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リポソームと、前記リポソームの内水相に封入された化学物質とを含むリポソーム組成物であって、
前記リポソームを構成する脂質二分子膜が、正又は負の電荷を有し、
前記化学物質が、前記脂質二分子膜が有する電荷とは逆の電荷を有する、リポソーム組成物。
【請求項2】
前記リポソーム組成物は、脂質二分子膜の電荷量に応じて、前記内水相に内包する化学物質の封入パーセントが調節されている請求項1に記載のリポソーム組成物。
【請求項3】
前記脂質二分子膜を形成する成分が、リン脂質及び糖脂質のうちいずれか一方又は双方を含む、請求項1又は2に記載のリポソーム組成物。
【請求項4】
前記リポソームが、外表面にリガンドを有する、請求項1〜3のいずれか一つに記載のリポソーム組成物。
【請求項5】
前記リガンドが、抗体、抗原、ペプチド、核酸、プロテインA、プロテインG、アビジン、及び、ビオチンからなる群より選ばれた少なくとも1つである、請求項4に記載のリポソーム組成物。
【請求項6】
前記リポソームが、単層リポソームである、請求項1〜5のいずれか一つに記載のリポソーム組成物。
【請求項7】
前記単層リポソームは、直径が20〜200nmの範囲にある、請求項6に記載のリポソーム組成物。
【請求項8】
前記化学物質が、親水性を有するものである、請求項1〜7のいずれか一つに記載のリポソーム組成物。
【請求項9】
前記脂質二分子膜を形成する成分が、負の電荷を有する脂質二分子膜成分を含み、前記負の電荷を有する脂質二分子膜成分により、前記脂質二分子膜に負の電荷が付与される請求項1〜8のいずれか一つに記載のリポソーム組成物。
【請求項10】
前記負の電荷を有する脂質二分子膜成分が、酸性リン脂質、シアル酸を有する糖脂質、及び、リン酸エステルからなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項9に記載のリポソーム組成物。
【請求項11】
前記リン酸エステルは、ジセチルリン酸である、請求項10に記載のリポソーム組成物。
【請求項12】
前記化学物質が、正の電荷を有する化学物質である、請求項1〜11のいずれか一つに記載のリポソーム組成物。
【請求項13】
前記正の電荷を有する化学物質が、金属錯体である、請求項12に記載のリポソーム組成物。
【請求項14】
前記金属錯体が、電気化学発光性を有するものである、請求項13に記載のリポソーム組成物。
【請求項15】
前記金属錯体が、アミノ基、ホスフィノ基、カルボキシル基及びチオール基からなる群より選択される少なくとも1つの官能基を含む有機化合物、及び/又は、複素環式化合物を、配位子として含むものである、請求項13又は14に記載のリポソーム組成物。
【請求項16】
前記複素環式化合物が、ピリジン部位を有する化合物である、請求項15に記載のリポソーム組成物。
【請求項17】
前記ピリジン部位を有する化合物が、ビピリジン骨格又はフェナントロリン骨格を有する化合物である、請求項16に記載のリポソーム組成物。
【請求項18】
前記有機化合物が、ビス(ジフェニルホスフィノ)エテンである、請求項15に記載のリポソーム組成物。
【請求項19】
前記金属錯体が、中心金属にルテニウム又はオスミウムを含む、請求項13〜18のいずれか一つに記載のリポソーム組成物。
【請求項20】
前記脂質二分子膜を形成する成分が、正の電荷を有する脂質二分子膜成分を含み、前記正の電荷を有する脂質二分子膜成分により、前記脂質二分子膜に正の電荷が付与される請求項1〜8のいずれか一つに記載のリポソーム組成物。
【請求項21】
前記正の電荷を有する脂質二分子膜成分が、アミン化合物である、請求項20に記載のリポソーム組成物。
【請求項22】
前記アミン化合物が、ステアリルアミンである、請求項21に記載のリポソーム組成物。
【請求項23】
前記化学物質が、負の電荷を有する化学物質である、請求項20〜22のいずれか一つに記載のリポソーム組成物。
【請求項24】
リン脂質及び糖脂質のうち少なくとも1つと、リポソームを構成する脂質二分子膜に正又は負の電荷を付与する脂質二分子膜形成成分と、前記脂質二分子膜とは逆の電荷を有する化学物質と、水との存在下で、リポソームを形成することにより、前記リポソームの内水相に前記化学物質を封入する工程を含む、リポソーム組成物の製造方法。
【請求項25】
リン脂質及び糖脂質のうち少なくとも一つと、リポソームを構成する脂質二分子膜に正又は負の電荷を付与する脂質二分子膜形成成分とを含む脂質フィルムを形成する工程と、
前記脂質フィルムと、前記脂質二分子膜形成成分とは逆の電荷を有する化学物質を溶解した水溶液とを接触させる工程と、
前記接触工程後、前記脂質フィルムと前記水溶液とを混合して前記化学物質を内包したリポソームを形成させる工程とを含む請求項24に記載のリポソーム組成物の製造方法。
【請求項26】
前記封入工程で形成されたリポソームの外表面に、リガンドを修飾する修飾工程をさらに含む、請求項24又は25に記載のリポソーム組成物の製造方法。
【請求項27】
前記脂質二分子膜に負の電荷を付与する成分が、酸性リン脂質、シアル酸を有する糖脂質、及び、リン酸エステルからなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項24〜26のいずれか一つに記載のリポソーム組成物の製造方法。
【請求項28】
前記化学物質が、正の電荷を有する化学物質である、請求項24〜27のいずれかに記載のリポソーム組成物の製造方法。
【請求項29】
前記脂質二分子膜に正の電荷を付与する成分が、ステアリルアミンを含む、請求項24〜26のいずれか一つに記載のリポソーム組成物の製造方法。
【請求項30】
前記化学物質が、負の電荷を有する化学物質である、請求項24〜26又は29のいずれか一つに記載のリポソーム組成物の製造方法。
【請求項31】
請求項4記載のリポソーム組成物を用い、前記リガンドとアナライトとの結合反応を利用してサンドイッチ法又は競合法で前記アナライトを分析するアナライトの分析方法であって、
前記化学物質は、シグナルを発生可能なものである、アナライトの分析方法。
【請求項32】
前記正の電荷を有する化学物質が、金属錯体である、請求項31に記載のリポソーム組成物を用いたアナライトの分析方法。
【請求項33】
前記金属錯体が、電気化学発光性又は蛍光性を有するものである、請求項32に記載のリポソーム組成物を用いたアナライトの分析方法。
【請求項34】
前記金属錯体が、アミノ基、ホスフィノ基、カルボキシル基及びチオール基からなる群より選択される少なくとも1つの官能基を含む有機化合物、及び/又は、複素環式化合物を、配位子として含むものである、請求項32又は33に記載のリポソーム組成物を用いたアナライトの分析方法。
【請求項35】
前記複素環式化合物が、ピリジン部位を有する化合物である、請求項34に記載のリポソーム組成物を用いたアナライトの分析方法。
【請求項36】
前記ピリジン部位を有する化合物が、ビピリジン骨格又はフェナントロリン骨格を有する化合物である、請求項35に記載のリポソーム組成物を用いたアナライトの分析方法。
【請求項37】
前記有機化合物が、ビス(ジフェニルホスフィノ)エテンである、請求項34に記載のリポソーム組成物を用いたアナライトの分析方法。
【請求項38】
前記金属錯体が、中心金属にルテニウム又はオスミウムを含む、請求項32〜37のいずれかに記載のリポソーム組成物を用いたアナライトの分析方法。
【請求項39】
前記シグナルは、電気化学発光又は蛍光である、請求項31〜38のいずれかに記載のリポソーム組成物を用いたアナライトの分析方法。
【請求項40】
前記リポソームが、単層リポソームである、請求項31〜39のいずれかに記載のリポソーム組成物を用いたアナライトの分析方法。
【請求項41】
前記単層リポソームは、直径が20〜200nmの範囲にある、請求項40に記載のリポソーム組成物を用いたアナライトの分析方法。
【請求項42】
前記リガンドが、抗体、抗原、ペプチド、核酸、プロテインA、プロテインG、アビジン、及び、ビオチンからなる群より選ばれた少なくとも1つである、請求項31〜41のいずれかに記載のリポソーム組成物を用いたアナライトの分析方法。
【請求項43】
前記アナライトが、抗体、抗原、ペプチド、及び、核酸からなる群より選ばれた少なくとも1つである、請求項31〜42のいずれかに記載のリポソーム組成物を用いたアナライトの分析方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−47923(P2011−47923A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−140371(P2010−140371)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【出願人】(507234438)公立大学法人県立広島大学 (24)
【Fターム(参考)】