説明

リモコンシステム

【課題】1のリモコンに接続した音楽再生装置から出力されるオーディオ信号を他のリモコンのスピーカから出力できるようにしたリモコンシステムにおいて、製造コストの上昇を抑制しつつ、音楽再生装置で最適な音量設定を容易に行えるようにする。
【解決手段】音声通話機能を使って送信された音楽プレーヤ4からのオーディオ信号を風呂リモコン2のスピーカ15bから出力する際に、風呂リモコンン2のマイク9bに入力される音量をマイコン5bで検出して、その検出結果を台所リモコン1の表示部8aに表示する。ユーザはこの表示を見ながら音楽プレーヤ4のボリュームを調節して最適な音量を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はリモコンシステムに関し、より詳細には、リモコン同士の音声通話機能を利用して、1のリモコンに入力された音楽再生装置からのオーディオ信号を他のリモコンのスピーカから出力できるようになっているリモコンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴槽への湯張りや風呂の追い焚きなどのいわゆる風呂機能を備えた給湯装置には、その遠隔操作装置として、浴室に設置される浴室リモコン(いわゆる風呂リモコン)と、台所などの浴室以外の場所に設置される浴室外リモコン(いわゆる台所リモコン)とが備えられている。
【0003】
このような風呂リモコンと台所リモコンとを有するリモコンシステムは、各リモコンが給湯装置のコントローラ(制御部)と通信ケーブルで接続されており、リモコンの操作に応じて各リモコンで生成される制御信号が上記通信ケーブルを介して給湯装置のコントローラに与えられることによって給湯装置の遠隔操作ができるようになっている。
【0004】
ところで、このようなリモコンシステムでは、風呂リモコンと台所リモコンとが給湯装置を介して相互に通信可能になっており、風呂リモコンで操作された内容が台所リモコンに反映される(たとえば、風呂リモコンで設定された給湯設定温度が台所リモコンにおいても給湯設定温度として設定・表示される)一方、台所リモコンで操作された内容も風呂リモコンに反映される(たとえば、台所リモコンで設定された給湯設定温度が風呂リモコンに給湯設定温度として設定・表示される)ようになっている。
【0005】
近年、このような風呂リモコンと台所リモコンの通信機能を利用して、各リモコンにマイク(マイクロフォン)とスピーカを設けておき、風呂リモコンと台所リモコンとの間で音声通話ができるようにしたもの(音声通話機能付きのリモコンシステム)があり、最近では、このリモコンシステムの音声通話機能を利用して、台所リモコンに音楽再生装置を接続する接続端子を設けておき、この接続端子に入力される音楽再生装置からのオーディオ信号を風呂リモコンに送信して、風呂リモコンのスピーカを通じて音楽再生装置で再生された音楽を聴取できるようにしたものが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0006】
図4は、このような音声通話機能を利用して音楽再生装置で再生されたオーディオ信号を台所リモコンから風呂リモコンに送信できるようにしたリモコンシステムの一例を示している。
【0007】
このリモコンシステムでは、台所リモコンaと風呂リモコンbとが図示しない給湯装置を介して2芯ケーブルcで通信接続される。各リモコンa,bには、それぞれ制御中枢としてマイコンd,dが備えられており、これら各リモコンa,bのマイコンd,dは、給湯2芯通信回路e,eを介して相互に制御信号の送受信が行えるようになっている(図4に実線の矢符で示す通信経路A参照)。
【0008】
そして、台所リモコンaと風呂リモコンbには、上記音声通話機能に関して、上記2芯ケーブルcを介してリモコンa,b同士で音声通話ができるようにインターホン通信回路f,fが備えられている。
【0009】
インターホン通信回路fは、音声入力用のマイクgと、音声信号を増幅するマイクアンプhと、マイクアンプhで増幅された音声信号を周波数変調して2芯ケーブルcに送信するFM波発振回路iと、2芯ケーブルcを介して受信した信号から雑音を除去するフィルタjと、受信した信号を復調するFM検波回路kと、FM検波回路kで復調した音声信号を増幅するスピーカアンプlと、スピーカアンプlで増幅された音声信号を外部に出力するスピーカmと、音声の送信(送話)・受信(受話)を切り替える通話切替回路nとが備えられている(図4に鎖線の矢符で示す通信経路Bおよび一点鎖線の矢符で示す通信経路C参照)。
【0010】
そして、台所リモコンaには、デジタルオーディオプレーヤなどの音楽再生装置(音楽プレーヤ)oを接続するための接続端子pが備えられており、音楽再生装置oのオーディオ信号の出力ケーブルqをこの接続端子pに接続して音楽再生装置oを再生することによって、音楽再生装置oから出力されるオーディオ信号が、音声信号と同様に、通話切替回路nを介してFM波発振回路iで変調されて風呂リモコンbに送信され、風呂リモコンbにおいてFM検波回路kで復調されてスピーカmから出力されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2002−277050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、このような従来の構成には以下のような問題があり、その改善が望まれていた。
【0013】
すなわち、このような構成のリモコンシステムおいて、風呂リモコンbのスピーカから出力される音量の調節はスピーカアンプlの音量設定で行うようになっているが、部品点数の増加や製造コストの上昇を抑制するために、風呂リモコンbの音量設定機能は消音を含めて4段階程度にしか設定されておらず、風呂リモコンbの操作だけでは微妙な音量調節は行えなかった。そのため、台所リモコンaに接続した音楽再生装置で再生される音楽を風呂リモコンbで聴取する場合において、自己の好みに合った最適な音量を得るためには、音楽再生装置側の音量調整操作が求められることとなり、その結果、ユーザは浴室と台所を行き来しなければ最適な音量にすることができないという不便があった。
【0014】
なお、このような問題は、たとえば、風呂リモコンのスピーカアンプを詳細な音量設定ができるアンプに交換することで解消するが、このようなスピーカアンプiの交換による対応では、スピーカアンプの製造コストが上昇し、その結果、リモコンシステム全体のコスト上昇を招き、安価にリモコンシステムを提供できなくなるという新たな問題を生じることになる。
【0015】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、リモコン同士の音声通話機能を利用して1のリモコンに接続した音楽再生装置から出力されるオーディオ信号を他のリモコンのスピーカから出力できるようにしたリモコンシステムにおいて、製造コストの上昇を抑制しつつ、音楽再生装置で最適な音量設定を容易に行えるリモコンシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため、本発明に係るリモコンシステムは、通信接続された1のリモコンと他のリモコンとがそれぞれマイクとスピーカを備え、これらリモコン間で音声通話ができるようにされたリモコンシステムであって、上記1のリモコンに音楽再生装置から出力されるオーディオ信号を入力するための音楽入力端子が備えられ、この音楽入力端子に入力されるオーディオ信号が上記音声通話機能を利用して上記他のリモコンのスピーカから出力できるようになっているリモコンシステムにおいて、上記他のリモコンは、上記1のリモコンの音楽入力端子に入力されたオーディオ信号をそのスピーカから出力する際に当該他のリモコンに備えられたマイクに入力される音量を検出する出力音量検出手段を備え、この出力音量検出手段で検出された出力音量情報を上記1のリモコンに送信するように構成され、上記1のリモコンは、上記他のリモコンから送信される上記出力音量情報を当該1のリモコンに備えられた報知手段を通じて外部に報知するように構成されていることを特徴とする。
【0017】
すなわち、本発明に係るリモコンシステムは、1のリモコンの音楽入力端子に入力されたオーディオ信号を他のリモコンのスピーカから出力した際に、当該他のリモコンのマイクに入力される音量(つまり、当該他のリモコンのスピーカから出力される音楽の音量)を当該他のリモコンで検出して、その検出結果を出力音量情報として上記1のリモコンに送信し、当該1のリモコンでその出力音量情報を報知するようにしているので、ユーザは、音楽再生装置を接続した1のリモコンの付近に居ながらにして他のリモコンのスピーカから出力される音量を確認することができる。そのため、ユーザは、スピーカの音量確認のためにわざわざ他のリモコンが設置された場所まで行くことなく、その場で音楽再生装置の出力音量設定(音楽再生装置のボリューム調節)を行って最適なスピーカの音量を設定することができる。
【0018】
また、本発明の請求項2に記載のリモコンシステムは、請求項1に記載のリモコンシステムにおいて、上記他のリモコンは、上記1のリモコンから所定の制御信号を受信したときに、上記出力音量検出手段による音量の検出と出力音量情報の送信を行うように構成されていることを特徴とする。
【0019】
この請求項2に係るリモコンシステムでは、上述した他のリモコンによる出力音量情報の検出とその送信が、音楽再生装置が接続される1のリモコンから所定の制御信号を受信したときに行われるようになっているので、たとえば、上記1のリモコンに音楽再生装置が接続されたときに、その接続を当該1のリモコンで自動検出して上記所定の制御信号を自動送信するように構成したり、あるいは、上記1のリモコンに音楽再生装置を接続したときに、ユーザが当該1のリモコンで所定操作を行ったことを条件として上記所定の制御信号が送信されるようにしておくことで、音楽再生装置のボリューム調整が必要ないとき(たとえば、音楽再生装置が上記1のリモコンに接続されていないときや、音楽再生装置は接続されているが既に最適な出力音量設定が完了しているときなど)には、上記他のリモコンにおいてスピーカの出力音量の検出や上記1のリモコンでの出力音量情報の報知が行われないようにすることができる。
【0020】
また、本発明の請求項3に記載のリモコンシステムは、請求項1または2に記載のリモコンシステムにおいて、上記1のリモコンは、音楽入力端子に入力されるオーディオ信号の入力音量を検出する入力音量検出手段を備え、上記報知手段が上記出力音量情報を外部に報知する際には、この出力音量情報とともに上記入力音量検出手段で検出されたオーディオ信号の入力音量情報も報知するように構成されていることを特徴とする。
【0021】
すなわち、この請求項3に係るリモコンシステムでは、上記1のリモコンで出力音量情報を報知する際に、その報知と併せて音楽再生装置から上記1のリモコンに入力されるオーディオ信号の入力音量情報を報知するので、ユーザは他のリモコンの設置場所で出力されるスピーカの音量だけでなく、音楽再生装置の出力音量設定を目視確認することができる。そのため、たとえば、音楽再生装置の出力音量設定を過大に設定しすぎて音割れが生じるような事態を事前に回避することができる。
【0022】
また、本発明の請求項4に記載のリモコンシステムは、請求項3に記載のリモコンシステムにおいて、上記1のリモコンは、上記入力音量検出手段で検出した入力音量情報を記憶する記憶手段を備えてなり、上記1のリモコンで入力音量情報を報知する際に、この記憶手段に記憶された過去の入力音量情報も併せて報知するように構成されていることを特徴とする。
【0023】
すなわち、この請求項4に係るリモコンシステムでは、過去に入力音量検出手段で検出した入力音量情報が現在の入力音量情報と併せて表示されるので、たとえば、過去の入力音量情報として、前回音楽再生装置を接続したときの入力音量情報を表示するようにしておくことにより、前回の入力音量情報を参考にして音楽再生装置の出力音量設定を行うことができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、1のリモコンの音楽入力端子に入力されたオーディオ信号が他のリモコンのスピーカから出力されたときに、当該他のリモコンのマイクに入力された音量が出力音量情報として上記1のリモコンで報知されるようになっているので、ユーザは、上記他のリモコンのスピーカの音量を確認するためにわざわざ移動することなく、音楽再生装置を接続した1のリモコンの付近に居ながらにして、音楽再生装置の出力音量を設定(ボリュームを調節)して、他のリモコンのスピーカの音量を自己の好みに合った最適な音量にすることができる。
【0025】
しかも、本発明では、音声通話機能を実現するために他のリモコンに設けられている既設のスピーカとマイクを使って上記他のリモコンのスピーカの出力音量を検出するようにしているので、本発明の適用にあたっての部品点数の増加は必要最小限に抑えられ、製造コストの大幅な上昇を伴うことなく上述した効果を得ることができる。
【0026】
また、本発明のリモコンシステムは、上記1のリモコンで出力音量情報を報知する際に、この報知と併せて上記1のリモコンに入力されるオーディオ信号の入力音量情報を報知するようにしておくことで、ユーザは音楽再生装置の出力音量設定(ボリューム設定)も目視確認できるようになり、音楽再生装置の出力音量設定が過大になることを防止することができる。
【0027】
さらに、入力音量情報を報知する際に、過去の入力音量情報を表示することにより、前回の入力音量情報を参考にして音楽再生装置の出力音量設定を迅速かつ的確に行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係るリモコンシステムの第1の実施形態の概略構成の一例を示す回路構成図である。
【図2】同リモコンシステムの第2の実施形態を示す説明図であって、台所リモコンに設けられる入力音量検出手段の構成を示している。
【図3】同第2の実施形態に係るリモコンシステムの台所リモコンの表示部の表示例を示す外観図である。
【図4】従来のリモコンシステムの概略構成の一例を示す回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
実施形態1
本発明に係るリモコンシステムは、風呂機能を備えた給湯装置(図示せず)の遠隔操作に用いられるリモコンシステムであって、本実施形態では、図1に示すように、台所など浴室以外の場所に設置される台所リモコン(1のリモコン)1と、浴室に設置される風呂リモコン(他のリモコン)2とを主要部として構成されている。
【0030】
ここで、これら台所リモコン1と風呂リモコン2は、図示しない給湯装置を介して通信接続されている。具体的には、各リモコン1,2に接続される2芯の通信ケーブル3が給湯装置の端子台(図示せず)などを介して相互に接続されることによって、台所リモコン1と風呂リモコン2とが通信接続されている。
【0031】
そして、この図1に示すリモコンシステムは、台所リモコン1と風呂リモコン2との間で音声通話ができる機能(音声通話機能)と、この音声通話機能を利用して、台所リモコン1に接続した音楽プレーヤ(音楽再生装置)4から出力されるオーディオ信号を風呂リモコン2のスピーカを通じて出力できるようにしたBGM機能とを備えている。
【0032】
そこで、以下においては、これらの機能を中心に本発明のリモコンシステムを説明する。なお、説明にあたり、台所リモコン1と風呂リモコン2とに共通する構成については同一の符号を付して重複する説明は省略する(ただし、同一の構成であっても、説明の便宜上両者を区別する必要があるときには、台所リモコン1の構成部品には符号の末尾に「a」を、また、風呂リモコン2の構成部品には符号の末尾に「b」をそれぞれ付して両者を区別する)。
【0033】
台所リモコン1および風呂リモコン2は、いずれも給湯装置の遠隔操作のために設けられた遠隔操作装置であって、制御中枢としてのマイコン5と、該マイコン5が給湯装置や他のリモコンとの間で制御信号を送受信するための給湯2芯通信回路6と、上述した音声通話機能ならびにBGM機能を実現するためのインターホン通信回路7と、給湯装置の状態などを表示するための表示部8(風呂リモコン2については図示を省略)とを主要部として備えている。
【0034】
上記マイコン5は、各リモコン1,2において、給湯装置の遠隔操作機能、音声通話機能、BGM機能などの各種機能を実現するために必要なデータの記憶やプログラムの処理などを行う制御手段であって、周知のとおり、CPU,ROM,RAMなどを主要部として構成されている。
【0035】
給湯2芯通信回路6は、上記マイコン5が上記通信ケーブル3を介して給湯装置や他のリモコンとの間で制御信号を送受信するために設けられた通信手段である。すなわち、この給湯2芯通信回路6が設けられることによって、台所リモコン1のマイコン5aは図示しない給湯装置のコントローラ(制御部)や風呂リモコン2のマイコン5bと制御信号のやり取りができるようになっており、また同様に、風呂リモコン2のマイコン5bも図示しない給湯装置のコントローラや台所リモコン1のマイコン5aと制御信号のやり取りができるようになっている。
【0036】
インターホン通信回路7は、台所リモコン1と風呂リモコン2との間で音声通話を行うために設けられた通信手段であって、このインターホン通信回路7には、音声通話時に音声を入力するためのマイク9と、マイク9で電気信号に変換された音声信号を増幅するマイクアンプ10と、マイクアンプ10で増幅された音声信号を周波数変調して通信ケーブル3に供給するFM波発振回路11と、通信ケーブル3を介して受信した変調信号から雑音を除去するフィルタ12と、受信した変調信号を復調するFM検波回路13と、FM検波回路13で復調された音声信号を増幅するスピーカアンプ14と、スピーカアンプ14で増幅された音声信号を外部に聴取可能な音響として出力するスピーカ15と、音声信号の送受信を切り替える通話切替回路16とを主要部として備えている。
【0037】
すなわち、台所リモコン1および風呂リモコン2は、このようなインターホン通信回路7を備えることにより、たとえば、台所リモコン1から風呂リモコン2に対して通話を行う場合、図示しない台所リモコン1の通話スイッチの操作などによって上記通話切替回路16aが送信動作に切り替わり、これによってマイク9a、マイクアンプ10aを介して入力される音声信号がFM波発振回路11aで周波数変調されて通信ケーブル3を通じて風呂リモコン2に送信される。そして、風呂リモコン2では、通信ケーブル3を介して変調信号を受信すると、その信号はフィルタ12bで雑音が除去された後にFM検波回路13bで復調されて音声信号となって通話切替回路16bに供給される。このとき通話切替回路16bは受信動作となっており、復調された音声信号はスピーカアンプ14bで所定の音量となるように増幅されてスピーカ15bに供給され、スピーカ15bから聴取可能な音響として外部に出力される(図1に鎖線の矢符で示す通信経路B参照)。
【0038】
なお、このときにスピーカ15bから出力される音量は、スピーカアンプ14bでのボリューム設定(増幅量)によって決定されるが、本実施形態に示す各リモコン1,2のスピーカアンプ14は、部品コストの上昇を抑えるために、ボリューム設定は消音を含めて4段階(具体的には、消音、音量小、音量中、音量大の4段階)に設定可能とされており、ユーザによってこの4段階のいずれかに設定されるようになっている。
【0039】
一方、風呂リモコン2から台所リモコン1に対して通話を行う場合には、上述した経路とは逆の通信経路、すなわち、図1に一点鎖線の矢符で示す通信経路Cを経て、風呂リモコン2のマイク9bに入力された音声が台所リモコン1のスピーカ15aから音響として出力される。
【0040】
そして、本実施形態に示すリモコンシステムでは、このような音声通話機能を利用して上述したBGM機能を実現するために、台所リモコン1には音楽プレーヤ4から出力されるオーディオ信号を入力するための音楽入力端子17が備えられている。この音楽入力端子17は、BGM機能の性格上、台所リモコン1にのみ設けられており、風呂リモコン2には備えられていない。
【0041】
ここで、このBGM機能に用いられる音楽プレーヤ4としては、たとえば、デジタルオーディオプレーヤやCDプレーヤなどの各種音楽再生装置が用いられる。そして、上記音楽入力端子17には、これら音楽再生装置において音量調節ができるようになっているオーディオ信号(たとえば、ヘッドホン出力)を入力するようになっており、そのため、台所リモコン1に設けられる上記音楽入力端子17としては、このようなオーディオ信号の入力に適した端子、たとえばフォンジャックが好適に採用される。
【0042】
この音楽入力端子17に入力されるオーディオ信号は、上記インターホン通信回路7aの通話切替回路16aに入力される。音楽プレーヤ4から出力されるオーディオ信号を風呂リモコン2に送信する際には、通話切替回路16aが上述した音声通話時の通信経路Bによって風呂リモコン2に送信するようになっている。つまり、通話切替回路16aに入力されたオーディオ信号は、FM波発振回路11aで周波数変調されて通信ケーブル3を介して風呂リモコン2に送信され、風呂リモコン2のFM検波回路13bで復調されてスピーカアンプ14bで設定された音量に増幅されてスピーカ15bから出力される。
【0043】
そして、上記表示部(報知手段)8は、給湯装置の状態や他のリモコンから与えられる情報などを表示するための表示手段であって、この表示部8としては、たとえば、液晶表示パネルや蛍光表示管表示パネルなど文字や図形を表示できる表示装置が用いられている。なお、本実施形態では、後述するように、台所リモコン1の表示部8aは、風呂リモコン2から与えられる情報(出力音量情報)を外部に報知する報知手段として機能するようになっている。
【0044】
しかして、このように構成されたリモコンシステムにおいて、本実施形態では、BGM機能に関して、風呂リモコン2のスピーカ15bから出力される音楽の音量を台所リモコン1側で確認できるように、台所リモコン1および風呂リモコン2は以下のような構成を備えている。
【0045】
すなわち、このような機能を実現するために、本実施形態のリモコンシステムでは、風呂リモコン2に、スピーカ15bから出力されてマイク9bに入力される音楽の音量を検出する出力音量検出手段が備えられるとともに、台所リモコン1にはこの出力音量検出手段で検出された出力音量情報を報知する報知手段が備えられている。
【0046】
具体的には、本実施形態のリモコンシステムでは、上記出力音量検出手段として、風呂リモコン2のインターホン通信回路7bに、マイクアンプ10bから出力される信号を上記マイコン5bにも供給できるようにするスイッチ回路18が備えられるとともに、上記マイコン5bには、スイッチ回路18を介してマイクアンプ10bから供給される電気信号に基づいてマイク9bに入力された音量をデータ化(出力音量情報を生成)するプログラムが備えられている。
【0047】
ここで、マイコン5bでの音量のデータ化は、マイコン5bに入力される電気信号の電圧値に基づいて行われる。たとえば、マイコン5bは、入力された電気信号の電圧値を平均化処理してマイク9bに入力された音量を5乃至10段階程度にレベル分けし、その結果を出力音量情報とする。なお、このレベル分けは、少なくとも上述したスピーカアンプ14のボリューム設定(本実施形態では4段階)よりも細かな段階でもってレベル分けされるように設定されている。つまり、スピーカアンプ14で調整可能な音量調整段数よりも大きな分解能でマイク9bへの入力音量(つまり、スピーカ15bからの出力音量)の検出が行われるようになっている。
【0048】
次に、このように構成された出力音量検出手段と報知手段の動作について説明する。
本実施形態のリモコンシステムでは、上記出力音量検出手段は、台所リモコン1から与えられる所定の制御信号をトリガとして、上述したマイク9bに入力される音量のデータ化(出力音量情報の生成)を行うように構成されている。
【0049】
ここで、この出力音量検出手段を動作させるトリガとなる制御信号は、たとえば、台所リモコン1の音楽入力端子17に音楽プレーヤ4からのオーディオ信号の出力ケーブル19が接続されたときに、そのケーブル19の接続を台所リモコン1のマイコン5aで自動検出して当該制御信号を自動送信するように構成される。あるいは、ユーザが台所リモコン1に対してあらかじめ設定された所定操作を行ったことを条件として浴室リモコン2に送信されるように構成される。すなわち、前者の場合、音楽入力端子17に音楽プレーヤ4が接続されるたびに風呂リモコン2でのスピーカ15bの音量確認が行われるようになり、また、後者の場合、ユーザが音量確認を希望する場合にのみ音量確認が行われるようになる。
【0050】
風呂リモコン2は、このような制御信号を受信すると、上記スイッチ回路18の接続先を通話切替回路16bからマイコン5bに切り替えて、マイク9bに入力される音楽(具体的には、マイクアンプ10bで増幅された音楽の電気信号)がマイコン5bに入力されるようにする(図1に二点鎖線の矢符で示す通信経路D参照)。なお、このときユーザは、音楽プレーヤ4を音楽再生状態にしておき、風呂リモコン2のスピーカ15bから音楽が出力されるようにしておく。
【0051】
そして、マイコン5bは、スイッチ回路18から電気信号が入力されると、この電気信号から上述した出力音量情報を生成し、その結果を上記給湯2芯通信回路6bを介して台所リモコン1に送信する(図1に実線の矢符で示す通信経路A参照)。
【0052】
これに対して、台所リモコン1は、風呂リモコン2から出力音量情報を受信すると、その内容を表示部8aに表示する。すなわち、本実施形態では、出力音量情報は、マイク9bに入力された音量をレベル分けた情報であるので、表示部8aには、このレベル分けされた結果が数値や図などを用いて表示される。つまり、この表示部8aが報知手段として上記出力音量情報を外部に報知する。
【0053】
これにより、ユーザはこの表示部8aに表示された出力音量情報を基にして、音楽プレーヤ4の音量を調節して風呂リモコン2のスピーカ15bから出力される音量が自分の好みにあった最適な音量になるように設定することができる。つまり、ユーザは、音楽プレーヤ4が接続される台所リモコン1の近傍に居ながらにして風呂リモコン2のスピーカ15bから出力される音量を確認し、その結果を視認しながら、その場で音楽プレーヤ4の出力音量を調節して最適なスピーカ15bの音量を設定することができる。
【0054】
そして、本発明に係るリモコンシステムは、このような効果を得るにあたり、音声通話機能を実現するために風呂リモコン2に設けられている既設のスピーカ15bとマイク9bを使い、ハード面ではスイッチ回路18を増設するだけの簡単な設計変更で、スピーカ15bの出力音量の検出からその表示を実現しているので、部品点数の増加は必要最小限に抑えられ、製造コストの大幅な上昇を伴うことなく上述した効果を得ることができる。
【0055】
実施形態2
次に、本発明の第2の実施形態について、図2および図3を参照しながら説明する。
この第2の実施形態に示すリモコンシステムは、上述した実施形態1に示すリモコンシステムに、音楽プレーヤ4から入力されるオーディオ信号の入力音量を検出する入力音量検出手段を備えさせるとともに、表示部8aが上述した出力音量情報を表示する際に、この出力音量情報とともに上記入力音量検出手段で検出したオーディオ信号の入力音量情報も併せて表示するように構成している。なお、その他の構成は実施形態1と共通するので、構成が共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0056】
図2は、台所リモコン1に設けられる入力音量検出手段の概略構成を示す説明図である。
この図2に示すように、本実施形態に示すリモコンシステムでは、音楽入力端子17に入力されるオーディオ信号が台所リモコン1のマイコン5aにも入力されるように構成している。
【0057】
具体的には、図2に示すように、音楽入力端子17とマイコン5aのA/D入力端子とがコンデンサ20および抵抗21を介して接続され、音楽入力端子17からインターホン通信回路7aに供給されるオーディオ信号の電圧をマイコン5aで監視できるようにしている。つまり、本実施形態では、上記入力音量検出手段は、これらコンデンサ20と抵抗21とマイコン5aとで構成されている。
【0058】
そして、マイコン5aは、音楽入力端子17から入力されるオーディオ信号の電圧値を平均化処理して音楽入力端子17から入力されるオーディオ信号の音量(つまり、音楽プレーヤ4の出力音量)を、数段階乃至十数段階(たとえば5段階)にレベル分けし、その結果を入力音量情報とする。そして、上記表示部8aに上述した出力音量情報を表示する際に、この出力音量情報と併せて入力音量情報を表示するように構成されている。
【0059】
ここで、この入力音量情報の表示に関して、本実施形態では、マイコン5aには入力音量検出手段で検出した入力音量情報を記憶する記憶手段として、たとえば、EEPROMのような不揮発性の記憶装置22が備えられている。そして、表示部8aに入力音量情報を表示する際には、この記憶装置22に記憶された過去の入力音量情報(たとえば、前回、音楽プレーヤ4が接続されたときの入力音量情報)をマイコン5aが読みだして、現在の入力音量情報とともに過去の入力音量情報も表示するように構成している。
【0060】
なお、この入力音量情報の表示にあたっては、上記表示部8aに出力音量情報と入力音量情報の双方を同一の画面に表示することも可能であるが、出力音量情報と入力音量情報とを別画面に設定しておき、これらを交互に、あるいは、台所リモコン1に対するユーザの操作によって選択して表示するようにしておくことができる。
【0061】
図3は、入力音量情報の表示を出力音量の表示とは別画面に設定した場合の一例を示しており、この図に示す例では、現在の入力音量情報を表示部8aの表示パネル左側に5段階の棒グラフで表示し(図示例では現在の入力音量はハッチングで示した「3」と表示している)、過去の入力音量情報を表示部8aの表示パネル右側に算用数字で表示(図示例では、前回の設定が「4」であったことを表示)している。
【0062】
このように、本実施形態に示すリモコンシステムでは、台所リモコン1に、音楽入力端子17に入力されるオーディオ信号の入力音量を検出する入力音量検出手段が備えられるとともに、入力音量検出手段で検出された入力音量情報を記憶する記憶手段が備えられているので、台所リモコン1に音楽プレーヤ4を接続した場合、ユーザは、音楽プレーヤ4の音量設定を行うにあたって、上述した実施形態1に示すように、表示部8aに表示された出力音量情報(つまり、浴室リモコン2のスピーカ15bからの出力音量)を基に音楽プレーヤ4の音量を調節することができることに加えて、入力音量情報によって、音楽プレーヤ4の出力音量がどれほどあるかを目視確認することができ、さらには、過去に音楽プレーヤを接続したときの音楽プレーヤ4の出力音量を参考にしつつ、音楽プレーヤの出力音量を設定することができ、自己の好みに合った音量設定を容易に行うことができるようになる。
【0063】
なお、上述した実施形態は本発明の好適な実施態様を示すものであって、本発明はこれらに限定されることなく発明の範囲内で種々の設計変更が可能である。
【0064】
たとえば、上述した実施形態では、台所リモコン1に表示する出力音量情報として、風呂リモコン2のマイク9bに入力された音量を5乃至10段階程度にレベル分けした情報を用いた場合を示したが、このレベル分けはより細かく行ってもよく、また、レベル分けをせずに、マイク9bに入力された音量を数値化してそのまま表示するように構成することも可能である。
【0065】
上述した第2の実施形態では、音楽プレーヤ4から入力されるオーディオ信号の音量(入力音量情報)を表示するにあたり、過去分の入力音量情報も併せて表示した場合を示したが、過去分の表示は省略することができる。またその一方、過去分の入力音量情報を表示するにあたっては、その表示とともに当該過去に接続された音楽プレーヤ4の機種なども併せて表示するようにしておくことも可能である。なお、その場合、台所リモコン1には、音楽プレーヤ4を接続した際に当該音楽プレーヤ4の機種を入力・記憶させる構成が採用される。
【0066】
また、上述した実施形態では、マイコン5bでの出力音量情報の生成ならびにマイコン5aでの入力音量情報の生成は、いずれもマイコン5に入力された信号を平均化処理して一回だけ情報を生成する場合を示したが、平均化処理を繰り返し行って表示部8aに表示される情報を定期的に更新するように構成することも可能である。
【0067】
なお、上述した実施形態では、インターホン通信回路7は、音声信号や音楽の信号を周波数変調して送受信する通信回路で構成される場合を示したが、音声通話機能やBGM機能における通信方式は周波数変調に限られず適宜設計変更可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 台所リモコン(1のリモコン)
2 風呂リモコン(他のリモコン)
3 通信ケーブル
4 音楽プレーヤ(音楽再生装置)
5 マイコン
6 給湯2芯通信回路
7 インターホン通信回路
8 表示部(報知手段)
9 マイク
15 スピーカ
17 音楽入力端子
18 スイッチ回路
19 オーディオ信号の出力ケーブル
22 記憶装置(記憶手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信接続された1のリモコンと他のリモコンとがそれぞれマイクとスピーカを備え、これらリモコン間で音声通話ができるようにされたリモコンシステムであって、
前記1のリモコンに音楽再生装置から出力されるオーディオ信号を入力するための音楽入力端子が備えられ、この音楽入力端子に入力されるオーディオ信号が前記音声通話機能を利用して前記他のリモコンのスピーカから出力できるようになっているリモコンシステムにおいて、
前記他のリモコンは、前記1のリモコンの音楽入力端子に入力されたオーディオ信号をそのスピーカから出力する際に当該他のリモコンに備えられたマイクに入力される音量を検出する出力音量検出手段を備え、この出力音量検出手段で検出された出力音量情報を前記1のリモコンに送信するように構成され、
前記1のリモコンは、前記他のリモコンから送信される前記出力音量情報を当該1のリモコンに備えられた報知手段を通じて外部に報知するように構成されている
ことを特徴とするリモコンシステム。
【請求項2】
前記他のリモコンは、前記1のリモコンから所定の制御信号を受信したときに、前記出力音量検出手段による音量の検出と出力音量情報の送信を行うように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のリモコンシステム。
【請求項3】
前記1のリモコンは、音楽入力端子に入力されるオーディオ信号の入力音量を検出する入力音量検出手段を備え、前記報知手段が前記出力音量情報を外部に報知する際には、この出力音量情報とともに前記入力音量検出手段で検出されたオーディオ信号の入力音量情報も報知するように構成されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載のリモコンシステム。
【請求項4】
前記1のリモコンは、前記入力音量検出手段で検出した入力音量情報を記憶する記憶手段を備えてなり、
前記1のリモコンで入力音量情報を報知する際に、この記憶手段に記憶された過去の入力音量情報も併せて報知するように構成されている
ことを特徴とする請求項3に記載のリモコンシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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