説明

リモコンユニット

【課題】リモコンに光を照射して充電することが可能であり、かつ非使用時におけるリモコンの電力消費量を減少させることができるリモコンユニットを提供する。
【解決手段】便座ボックス2には、光照射部6、送受信部7、人体検知センサ9、制御回路10が設けられている。制御回路10は、外部情報源からの情報信号を受信し、情報信号を含む変調光を光照射部6から照射可能である。リモコン20には、スイッチ21〜23、送受信部24、表示部25、太陽電池26、充電制御回路28、蓄電部27、信号処理部20が設けられている。人体検知センサ9が人体を検知すると、光照射部6が、情報信号を含む変調光を照射する。太陽電池26及び送受信部24が受光し、蓄電部27が充電されると共に、情報が表示部25に表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リモコンと、該リモコンによって操作される機器を有した本体部とを有するリモコンユニットに係り、特に本体部からリモコンに向けて光を照射可能なリモコンユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2004−140637号公報には、リモコンの電池として太陽電池を採用することにより、電池の交換を不要とすることが記載されている(第0008段落)。このようにリモコンの電池として太陽電池を採用した場合、リモコンの設置場所が暗いと、太陽電池が十分に発電することができない。
【0003】
特開平5−14978号公報には、太陽電池を備えたリモコン(コマンダ)と、該リモコンが装着される常置場所と、該太陽電池に対して光を照射する常置場所照明用ライトとを備えたリモコン装置が記載されている。このリモコンを該常置場所に装着すると、プッシュスイッチがオンとなり、該ライトから該太陽電池に向けて光が照射され、太陽電池による発電が行われる(第0017段落)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−140637号公報
【特許文献2】特開平5−14978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2のリモコン(コマンダ)には、リモコン周辺の明暗を検知するためのフォトトランジスタが設けられている。そして、リモコンが常置場所から離脱して暗い周囲空間に放置されると、該フォトトランジスタが暗状態を検知し、リモコン内の発光ダイオードが発光し、リモコンの操作面が発光表示される。
【0006】
このように特許文献2のリモコン装置によると、リモコンが暗い周囲空間に放置されると、リモコン使用者がいないときにもリモコン内の発光ダイオードが発光することになり、リモコンの電力消費量が多くなる。
【0007】
本発明は、リモコンに光を照射して充電することが可能であり、かつ非使用時におけるリモコンの電力消費量を減少させることができるリモコンユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明(請求項1)のリモコンユニットは、リモコンと、該リモコンによって操作される機器を備えた本体部とを有するリモコンユニットにおいて、該本体部は、人体検知手段と、該人体検知手段が人体を検知すると該リモコンに向けて光を照射する光照射手段とを備えており、該リモコンは、受光した光を光電変換する光電変換手段と、該光電変換手段からの電力を蓄電する蓄電手段と、該蓄電手段からの電力によって作動する信号処理手段とを備えているリモコンユニットであって、該信号処理手段は、該光電変換手段が該光照射手段から光を受光すると、スリープモードからウェイクアップモードに移行するよう構成されていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項2のリモコンユニットは、請求項1において、前記リモコンは、前記信号処理手段がウェイクアップモードとなっているときに情報を表示する表示手段を備えていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項3のリモコンユニットは、請求項1又は2において、前記光電変換手段は太陽電池であることを特徴とするものである。
【0011】
請求項4のリモコンユニットは、請求項1ないし3のいずれか1項において、前記光照射手段は、通信信号を含む変調光を照射するものであり、前記信号処理手段は、変調光の受光信号から該通信信号を取り出すように構成されていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項5のリモコンユニットは、請求項4において、前記信号処理手段は、前記光電変換手段の受光信号から該通信信号を取り出すように構成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明(請求項1)のリモコンユニットによると、人体検知時に、本体部の光照射手段から光が照射され、この光をリモコンの光電変換手段が受光し、蓄電手段が充電される。また、このように本体部側からの照射光を光電変換手段が受光することにより、信号処理手段がウェイクアップモードに移行するため、リモコンを使用することが可能となる。人体の非検知時には、本体側からの光の照射が停止され、光電変換手段が本体側からの光照射を受けなくなることにより、信号処理手段がスリープモードに移行するため、リモコンの消費電力量が少なくなる。
【0014】
本発明において、リモコンに表示手段を設け、信号処理手段がウェイクアップモードとなっているときに表示手段に情報を表示させてもよい。これにより、リモコン近傍にいる人がリモコンから情報を得ることができる。また、信号処理手段がウェイクアップモードとなっていないときには、表示手段に情報を表示させないことにより、リモコンの消費電力量が節約される。本発明において、光電変換手段としては太陽電池が好適である。
【0015】
本発明において、前記光照射手段は通信信号を含む変調光を照射するものであり、リモコンは、変調光の受光信号から通信信号を取り出すように構成されてもよい。これにより、本体部からリモコンに対して情報を送信することができる。この場合、光電変換手段が、変調光の受光信号から該通信信号を取り出すように構成されてもよい。これにより、通信用光信号の受光専用の受光手段が不要となり、部品点数の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施の形態に係るリモコンユニットが設置されたトイレルーム内の斜視図である。視図である。
【図2】第1図のリモコンユニットの便座ボックス側の制御ブロック図である。
【図3】第1図のリモコンユニットのリモコン側の制御ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。第1図は実施の形態に係るリモコンユニットが設置されたトイレルーム内の斜視図、第2図は第1図のリモコンユニットの便座ボックス側の制御ブロック図、第3図は第1図のリモコンユニットのリモコン側の制御ブロック図である。
【0018】
本実施の形態に係るリモコンユニットは、温水洗浄装置等の機器を搭載した本体部としての便座ボックス2と、リモコン20とからなっている。このリモコン20から便座ボックス2に向って、シャワー動作信号(人体臀部洗浄動作信号)、ビデ動作信号、又はストップ信号(シャワー又はビデ動作を停止させる信号)が送信される。
【0019】
第1図の通り、洋風便器1の後部上面に便座ボックス2が設置され、この便座ボックス2に便座3及び便蓋4が起倒自在に枢支されている。この便座ボックス2の右側面(便器着座者にとっての右側面。以下、同様。)には手動式フラッシュハンドル5が設けられている。
【0020】
この便座ボックス2の左側の上角縁には、リモコン20に向けて光を照射する光照射部6が設けられている。該光照射部6はLEDなどの発光体を備えている。便座ボックス2の右側の上角縁には、トイレルーム内に入室した人体を検知する人体検知センサ9が設けられている。また、便座ボックス2には、第2図の通り、リモコン20からの制御信号(電波)を受信する受信部7、シャワー駆動回路11、ビデ駆動回路12のほか、人体検知センサ9からの信号及び該受信部7の受信信号に基づいて光照射部6及び各駆動回路11,12を制御する制御回路10が設けられている。
【0021】
便座ボックス2内の電気回路は、図示しないコード、プラグを介して商用電源(AC100V)から給電される。この洋風便器1は、図示しないホース及び止水栓を介して水道水が供給可能とされている。図示は省略するが、この便座ボックス2内には、シャワーノズル及びビデノズルが設けられている。制御回路10は、天気予報チャンネルやニュースチャンネル等の外部情報源(第2図)からの情報信号を入力し、この情報信号を含む変調光を光照射部6から照射させることが可能とされている。
【0022】
トイレルームの壁面にリモコン20が設置されている。このリモコン20の前面下部に、シャワースイッチ21、ビデスイッチ22、停止スイッチ23、信号光の受信部24及び制御信号(電波)を送信する送信部30が設けられている。また、このリモコン20の前面中央部には液晶等の表示部25が設けられ、前面上部には太陽電池(光電変換手段)26が設けられている。この太陽電池26で発電した電力は、リモコン20内の充電制御回路28を介して蓄電部27に蓄電される。リモコン20の各回路はこの蓄電部27からの給電により動作する。なお、太陽電池26の前面には透明なパネル(図示略)が設けられている。リモコン20には、洋風便器1に洗浄水を供給するフラッシュスイッチなど、その他の各種スイッチが設けられてもよい。
【0023】
さらに、このリモコン20内には、信号処理部29が設けられている。この信号処理部29は、スイッチ21〜23及び受信部24からの信号に基づいて送信部30及び表示部25を作動させるよう構成されている。
【0024】
このように構成されたリモコンユニットの動作例について以下に説明する。
【0025】
人体検知センサ9が人体を非検知のときには、処理信号部29はスリープモードになっている。このスリープモードにあっては、該処理信号部29は、スイッチ21〜23からの信号を処理せず、送信部30及び表示部25を作動させない。これにより、リモコン20の電力消費量が節約される。
【0026】
使用者がトイレルーム内に入室すると、人体検知センサ9が人体を検知し、制御回路10に人体検知信号を出力する。制御回路10は、この人体検知信号の入力があると、光照射部6を作動させ、光照射部6からリモコン20に向けて上記情報信号を含む変調光を照射させる。
【0027】
この変調光を、リモコン20の太陽電池26と受信部24とが受光する。この太陽電池26の電力は充電制御回路28を介して蓄電部27を蓄電する。また、送受信部24は、受光信号を電気信号として信号処理部29に出力する。
【0028】
信号処理部29は、受信部24から信号の入力があると、ウェイクアップモードに移行する。このウェイクアップモードにおいて、該信号処理部29は、スイッチ21〜23及び受信部24からの信号を処理し、送信部30及び表示部25を作動させる。
【0029】
使用者がリモコン20のスイッチ21又はスイッチ22を操作すると、送信部30がそれに対応した信号を発信する。便座ボックス2の受信部7がこの信号を受信し、これに基づいて制御回路10がシャワー駆動回路11又はビデ駆動回路12を作動させ、シャワー洗浄又はビデ洗浄が行われる。使用者がリモコン20の停止スイッチ23を操作すると、ストップ信号が送信部30から受信部7に送信され、シャワー洗浄又はビデ洗浄が停止される。
【0030】
使用者がトイレルームから退出すると、人体検知センサ9が人体非検知となり、制御回路10は、光照射部6の発光体の光照射を停止させる。リモコン20の信号処理部29は、受信部24からの信号の入力が無くなると、スリープモードに移行する。
【0031】
本実施の形態に係るリモコンユニットによると、人体検知時に、便座ボックス2の光照射部6が光を照射し、リモコン20の太陽電池26が受光して発電することにより、蓄電部27を充電することができる。また、受信部24が受光すると、信号処理部29がウェイクアップモードに移行する。人体の非検知時には、光照射部6が光の照射を停止することにより、信号処理部29がスリープモードになるため、リモコン20の消費電力を減少させることができる。
【0032】
本実施の形態は本発明の一例であり、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、リモコン20の蓄電部27の蓄電量が所定量よりも不足しているときには、リモコン20の送信部30から便座ボックス2に蓄電量不足信号を送信し、人体検知センサ9が人体を非検知の場合でも、蓄電量が所定量に達するまで光照射部6からの光の照射を継続させてもよい。これにより、蓄電部27の蓄電不足を防止することができる。
【0033】
また、リモコン20の受信部24を省略し、太陽電池26が受信部を兼ねるようにしてもよい。この場合、便座ボックス2の光照射部6から照射された変調光を太陽電池26が受光すると、この変調光を光電変換した電気信号に含まれる通信信号を信号処理部29が取り出す。信号処理部29は、この通信信号の入力があるか、又は太陽電池26の出力電圧が所定以上になると、ウェイクアップモードに移行すると共に、表示部25に情報を表示する。リモコン20のスイッチ21〜23が操作されると、信号処理部29が送信部30を作動させて操作信号を送信する。このようにすると、リモコン20の受信部24が省略され、部品点数が減少する。
【0034】
上記実施の形態では、光照射部6が、外部情報源からの通信信号を含む変調光を照射したが、この外部情報源からの通信信号と共に又はこれに代えて、便座ボックス2の制御回路10が保持している情報を変調光に含めて照射し、この情報をリモコン20の表示部25に表示するようにしてもよい。また、該変調光をリモコン20が受光したときに、リモコン20の信号処理部29の記憶情報を表示部25に表示させてもよい。このような保持情報、記憶情報としては、時刻、メンテナンス情報(過去のメンテナンス履歴、故障等によりメンテナンスを必要とする箇所の表示、業者による定期メンテナンスの期日が近づいている旨の表示等)、リモコン装置の設定変更情報等が挙げられる。
【0035】
上記実施の形態では、人体が検知されると外部情報がリモコン20の表示部25に表示されるが、リモコン20に外部情報表示スイッチを設けておき、この外部情報表示スイッチを操作したときに外部情報が表示されるようにしてもよい。例えば、人体検知時には、便座ボックス2の制御回路10の保持情報やリモコン20の信号処理部29の記憶情報がリモコン20の表示部25に表示され、外部情報表示スイッチが操作されると、外部情報が表示部25に表示されるようにしてもよい。
【0036】
上記実施の形態では、表示手段として液晶等の表示部25を設けたが、これと共に又はこれに代えて、リモコンのスピーカから音声を情報として出力してもよい。
【0037】
上記実施の形態ではリモコンによって温水洗浄装置が操作されるが、その他の機器が操作されてもよい。本発明は便器設備用リモコン以外のリモコンにも適用可能である。
【0038】
本発明では、リモコン20の太陽電池26を覆うプレートの表面に、斜めに入射する光をプレート表面で反射させることなく該プレート内に取り込み、太陽電池26に向けて透過させるための多数の微細な凹凸形状部を設けてもよい。このような凹凸形状としては、プリズム形、四角錐形、円錐形などが例示される。プレート面を平坦とした場合の平坦面と、該凹凸形状の斜面との交差角度は5〜85°特に45〜85°程度であることが好ましい。
【符号の説明】
【0039】
1 洋風便器
2 便座ボックス
3 便座
4 便蓋
5 手動式フラッシュハンドル
6 光照射部
7 受信部
9 人体検知センサ
10 制御回路
20 リモコン
21〜23 スイッチ
24 受信部
25 表示部
26 太陽電池
27 蓄電部
28 充電制御回路
29 信号処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リモコンと、該リモコンによって操作される機器を備えた本体部とを有するリモコンユニットにおいて、
該本体部は、人体検知手段と、該人体検知手段が人体を検知すると該リモコンに向けて光を照射する光照射手段とを備えており、
該リモコンは、受光した光を光電変換する光電変換手段と、該光電変換手段からの電力を蓄電する蓄電手段と、該蓄電手段からの電力によって作動する信号処理手段とを備えているリモコンユニットであって、
該信号処理手段は、該光電変換手段が該光照射手段から光を受光すると、スリープモードからウェイクアップモードに移行するよう構成されていることを特徴とするリモコンユニット。
【請求項2】
請求項1において、前記リモコンは、前記信号処理手段がウェイクアップモードとなっているときに情報を表示する表示手段を備えていることを特徴とするリモコンユニット。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記光電変換手段は太陽電池であることを特徴とするリモコンユニット。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、前記光照射手段は、通信信号を含む変調光を照射するものであり、
前記信号処理手段は、変調光の受光信号から該通信信号を取り出すように構成されていることを特徴とするリモコンユニット。
【請求項5】
請求項4において、前記信号処理手段は、前記光電変換手段の受光信号から該通信信号を取り出すように構成されていることを特徴とするリモコンユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−4656(P2012−4656A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−135122(P2010−135122)
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】