説明

リモコン装置、並びに、熱源装置

【課題】本発明は、需要者に抵抗感という心理的作用を働かせることなく、実際に消費したエネルギーやその他資源の情報等を認知させ、有効的に省エネルギーに繋げることが可能なリモコン装置、並びに、熱源装置を提供することを目的とした。
【解決手段】リモコン装置3は、給湯装置1に備えられ、湯水又は熱媒体を加熱して、昇温した湯水そのもの又は熱媒体の熱エネルギーを外部に供給する運転を制御可能なものであり、給湯装置1で消費されるガスや湯水の実績消費量や、家庭内で消費される電力の実績消費量に基づいた金額を種類ごとに演算する機能が備えられている。そして、リモコン装置3は、運転スイッチ28をオフにすると、演算された金額を料金項目ごとに表示する機能を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯や暖房等を目的として湯水又は熱媒体を加熱する熱源装置を制御するリモコン装置に関するものである。また、本発明は、そのリモコン装置を備えた熱源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、給湯や暖房等を目的として湯水又は熱媒体を加熱する熱源装置が普及している。この種の熱源装置は、リモコン装置により制御可能な構成とされており、そのリモコン装置の本体部が台所や浴室に設置されて使用されることが一般的である。
【0003】
ところで、熱源装置には、消費したエネルギーやその他資源(以下、エネルギー等と言う)に関する情報等を、リモコン装置に表示させる機能を備えたものがある(例えば、特許文献1)。そして、この種の熱源装置は、一般的に、エネルギー等に関する情報を表示する特定のスイッチを有し、リモコン装置の操作内容や熱源装置の稼働状態だけでなく、熱源装置において使用されたガスや水の量等が表示部に表示できる構成とされている。即ち、この構成によれば、需要者に対して、需要者自身が使用した実際のエネルギー等の消費量の実体を認知してもらうことができるため、心理的作用から省エネルギーに繋げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許3966018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、アンケート調査等による需要者等からの意見によると、この機能による省エネルギーの効果は、殆ど期待できないことが明らかとなった。この理由を以下に示す。
ここで、追いだき機能を備えた熱源装置のリモコン装置には、熱源装置を制御する主要なスイッチとして運転スイッチ、ふろ自動スイッチ、並びに、追いだきスイッチが備えられたものがある。この種のスイッチは、需要者が日常的に操作するもので、これらのスイッチを操作する際には、抵抗感という心理的作用が働かない。一方、エネルギー等に関する情報等を表示させる特定のスイッチは、熱源装置を制御するスイッチではなく、日常的に操作する必要がないスイッチであるため、操作に対する抵抗感が生まれる。
以上から判断すると、運転スイッチ、ふろ自動スイッチ、並びに、追いだきスイッチ以外のスイッチで、且つ、熱源装置の運転制御に実質的に関係しないスイッチがリモコン装置に備えられたとしても、一般需要者はそのようなスイッチを操作することに抵抗を感じるため、省エネルギーに繋がる機能を有効的に利用することが困難であった。
【0006】
そこで、本発明では、需要者に抵抗感という心理的作用を働かせることなく、実際に消費したエネルギーやその他資源の情報等を認知させ、有効的に省エネルギーや環境保全に繋げることが可能なリモコン装置、並びに、熱源装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、湯水又は熱媒体を加熱する熱源手段の動作を制御するリモコン装置であって、熱源手段は、供給された燃料が燃焼する燃焼部を有し、燃焼部で生成された燃焼ガスで湯水又は熱媒体を加熱するもので、少なくともエネルギーの実績消費量を演算する消費量演算機能と、実績消費量に基づいて実績消費金額を演算する金額演算機能が制御され、リモコン装置の起動スイッチをオン状態からオフにすると、金額演算機能によって演算された金額が報知されることを特徴とするリモコン装置である。
なお、ここで言う「起動スイッチ」とは、カランから所望の湯を出湯する給湯運転を起動するスイッチ(運転スイッチ)と、その他の暖房運転(追いだき運転含む)を起動するスイッチ(ふろ自動スイッチや追いだきスイッチ)を含めた熱源手段における加熱動作を実行できるスイッチのことである。
【0008】
本発明のリモコン装置は、給湯運転等を制御する起動スイッチに連動させて、エネルギー等の実績消費量に基づいて演算された演算金額を報知する構成とされている。
ここで、先にも説明したように、需要者にとって起動スイッチを操作することは日常的操作で、特別な操作を行っているという認識すらないため、操作に対する抵抗感が生じることはない。
そのため、起動スイッチをオフ操作する度に、金額演算機能によって演算された金額が報知される構成とすることで、需要者に対して、抵抗感を生じさせることなく、エネルギー等の実績消費量に基づいた金額を、確実に認識させることができる。また、需要者にとっては、実績消費量を報知するよりも、その実績消費量に基づいた金額を報知する方が無駄遣いの有無を判断し易い。従って、本発明によれば、実績消費量に基づいた金額を報知することによって、需要者のエネルギー等の無駄遣いに対する意識に作用し、省エネルギーを図ることができる。
また、本発明によれば、エネルギー等の金額を報知させるためだけに特定のスイッチを用意する必要がないため、製造コストを増加させることがない。
【0009】
請求項2に記載の発明は、金額演算機能は、所定時刻から24時間が経過するまでの実績消費金額を積算することを特徴とする請求項1に記載のリモコン装置である。
また、請求項2と同様の思想に基づく請求項3に記載の発明は、所定時間から24時間が経過するまでの実績消費量を積算する消費量積算機能を有し、金額演算機能は、積算された実績消費量に基づいて金額を演算することを特徴とする請求項1に記載のリモコン装置である。
【0010】
かかる構成によれば、所定時刻から24時間の間、つまり1日の実績消費量に基づいた金額を算出することができるため、需要者に対して、日々のエネルギー等の使用実績を認識させることができる。即ち、従来であれば、ガス等のエネルギー供給会社から1ヶ月ごとの実績消費量に基づいた金額が知らされていたが、本発明によれば、1日ごとにエネルギー等の金額が分かるため、日々、エネルギー等の無駄遣いを意識的に削減することができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、建物には、分電盤が設けられ、分電盤を介して、外部から供給される電力が、熱源手段、リモコン装置、並びに、その他の電気機器に分配されるものであって、前記リモコン装置は、分電盤から出力される電流及び電圧を検出する電力検出手段を有し、消費量演算機能は、前記電力検出手段から得られた電力の情報に基づいて、実績消費量をさらに演算でき、リモコン装置の起動スイッチをオフにすると、前記電力の実績消費量に基づいて演算された金額が報知されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のリモコン装置である。
【0012】
かかる構成によれば、分電盤を介して各機器に供給されて使用される電力の実績消費量を演算でき、リモコン装置の起動スイッチに連動させて、エネルギーたる電力の実績消費量に基づいた金額を報知できる。これにより、熱源手段に使用される燃料だけでなく、建物において使用される電力の無駄遣いを意識的に削減することができるため、省エネルギーの効果をより向上させることができる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、消費量演算機能は、資源たる湯水の実績消費量をさらに演算でき、リモコン装置の起動スイッチをオンの状態からオフにすると、前記湯水の実績消費量に基づいて演算された金額が報知されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のリモコン装置である。
【0014】
かかる構成によれば、エネルギーに加えて、湯水等の資源の実績消費量に基づいて演算された金額を報知できる。これにより、熱源手段に使用される燃料だけでなく、熱源手段を介して使用される湯水の無駄遣いを意識的に削減することができる。
【0015】
請求項6に記載の発明は、エネルギーあるいは資源を含む複数種類ごとに実績消費量が演算される場合、リモコン装置の起動スイッチをオンの状態からオフにする度に、前回報知したエネルギーあるいは資源の種類と異なる種類の実績消費量に基づいて演算された金額が報知されることを特徴とする請求項4又は5に記載のリモコン装置である。
【0016】
ここで、需要者がリモコン装置の起動スイッチをオフにする場合、需要者の行動心理に基づけば、用が済んだリモコン装置近傍の位置からは直ぐさま立ち去ろうとすることが多い。
そこで、本発明では、リモコン装置の起動スイッチをオフにする度に、報知する実績消費量に基づいた金額の情報を前回と異なる情報に変更することとした。即ち、複数の種類ごとに金額が演算されていたとしても、例えば、その複数の種類のうちの1種類の金額情報だけを報知するのであれば、需要者のリモコン装置に対する対峙時間が短時間であっても、報知されるその金額を認識してもらうことができる。換言すれば、リモコン装置の近傍から直ぐさま立ち去るような需要者に対しても確実にその情報を認識させることができる。また、今回表示されなかったエネルギーあるいは資源を含む種類の金額に関しては、次回以降に表示されるため、その種類が多数であっても、全ての種類の金額を確実に認識してもらうことができる。
【0017】
請求項7に記載の発明は、エネルギーあるいは資源ごとに目標となる消費量を設定する目標設定手段を有し、エネルギーあるいは資源を含む複数種類の実績消費量のうち、設定された目標消費量を上回った実績消費量の種類の演算された金額を優先的に報知する優先機能を備えたことを特徴とする請求項6に記載のリモコン装置である。
【0018】
かかる構成によれば、目標設定手段によって設定された目標値を上回った実績消費量の金額を優先的に報知するため、特に消費量に無駄が多いエネルギーや資源の使用意識に制限を掛けることができる。
【0019】
請求項8に記載の発明は、エネルギーあるいは資源ごとに目標となる消費量を所定期間の実績消費量から演算する目標値演算機能を有し、当該演算により得られた目標消費量を設定可能であることを特徴とする請求項7に記載のリモコン装置である。
【0020】
かかる構成によれば、実績消費量に基づいて目標消費量が設定されるため、需要者がわざわざ設定しなくても、その実績消費量に基づいた目標消費量と実績消費量を比較することができる。また、この構成によれば、家族構成等に変化があっても、その条件に適した目標値を自動的に設定することができる。
【0021】
請求項9に記載の発明は、燃料を燃焼して燃焼ガスが生成される燃焼部と、湯水又は熱媒体が流通する熱交換器と、請求項1乃至8のいずれかに記載のリモコン装置とを有し、リモコン装置の起動スイッチを操作することで、前記熱交換器内に湯水又は熱媒体を流通させ、前記燃焼部で燃焼ガスを生成し、燃焼ガスで熱交換器を加熱して昇温した湯水そのもの又は熱媒体の熱エネルギーを外部に供給できることを特徴とする熱源装置である。
【0022】
本発明の熱源装置は、リモコン装置の起動スイッチをオフにする際に、燃料や電力等のエネルギーや、湯水等の資源の実績消費量に基づいた金額を報知することができる構成とされている。即ち、熱源装置を制御する起動スイッチに連動して金額を報知できるため、起動スイッチをオフにする度に、金額を需要者に確実に認識させることができる。さらに、本発明では、実績消費量に基づいた金額を報知するスイッチが、従来のように特定のスイッチではないため、スイッチを操作する際に抵抗感を感じることがない。
以上により、本発明によれば、需要者に対して、エネルギーの無駄遣いを無くそうとする省エネルギーの意識や、資源の無駄遣いを無くそうとする環境保全の意識を持たせることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明のリモコン装置、並びに、熱源装置では、熱源装置の運転を制御する起動スイッチのオフ操作に連動してエネルギーや資源の実績消費量に基づいた金額を報知できるため、起動スイッチのオフ操作の度に確実にエネルギーや資源の使用実績を認識させることができる。これにより、本発明では、需要者に対して、エネルギーや資源の無駄遣いを意識的に制限させるような心理的作用を働かせることができるため、省エネルギーや環境保全の効果を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態の給湯装置を示す作動原理図である。
【図2】図1のリモコン装置を示す正面図である。
【図3】リモコン装置の装置構成を示すブロック図である。
【図4】表示部における運転スイッチをオフにした際の表示状態(電気料金)を示す説明図である。
【図5】表示部における運転スイッチをオフにした際の表示状態(ガス料金)を示す説明図である。
【図6】表示部における運転スイッチをオフにした際の表示状態(水道料金)を示す説明図である。
【図7】図4〜6の表示状態が一定時間継続された後の表示状態を示す説明図である。
【図8】制御基板の変形例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明の実施形態に係る給湯装置(熱源装置)1について説明する。
本実施形態の給湯装置1は、家庭用のものであって、給湯器本体(熱源手段)2と、その給湯器本体2を遠隔操作可能なリモコン装置3で構成されている。
給湯器本体2は、公知のそれと同じである。即ち、給湯器本体2は、供給された燃料を燃焼する燃焼部20と、燃焼部20で発生した燃焼ガスで湯水を加熱する熱交換部21と、給湯系統22及び追いだき系統23と、制御部25とを備えている。そして、給湯器本体2では、制御部25によって、給湯系統22を流れる湯水を熱交換部21で加熱する給湯運転(風呂への落とし込み運転含む)と、追いだき系統23を流れる湯水を熱交換部21で加熱する追いだき運転とが制御される。
なお、公知のそれと同様であるため具体的説明は省略するが、給湯系統22及び追いだき系統23には、流通する湯水の温度、流量又は通水の有無等の情報を検知するセンサが配されている。
【0026】
リモコン装置3は、図2に示すように、給湯器本体2の制御部25に電気的に接続された運転操作部6と、表示部7と、制御基板8(図3)と、設定操作部17(図3)がリモコン本体5に具備された構成とされている。具体的には、リモコン装置3は、通常の設置状態を基準に説明すると、運転操作部6がリモコン本体5の上部側に操作可能に露出するように配され、表示部7が運転操作部6の下方であってリモコン本体5の上下方向ほぼ中央に配され、制御基板8がリモコン本体5に内蔵され、設定操作部17がリモコン本体5の下部側で開閉可能な蓋部19の内側に位置するように配されている。
【0027】
本実施形態では、運転操作部6は、3つのスイッチ(起動スイッチ)28、29、30で構成されている。具体的には、図2に示すように、左から運転スイッチ28、ふろ自動スイッチ29、追いだきスイッチ30であり、各スイッチ28〜30は後述する制御基板8に実装された内部スイッチ(図示しない)に連動する構成である。即ち、各スイッチ28〜30を操作すると、内部スイッチが物理的に押下され、そこで生成された信号がリモコン装置3のCPU(マイコン)に入力される。なお、設定操作部17も運転操作部6と同様、制御基板8に実装された内部スイッチ(図示しない)に連動する構成である。
【0028】
表示部7は、図2に示すように、液晶ディスプレイ18やLED等(図示しない)で構成されており、液晶ディスプレイ18に、時刻、給湯温度等の設定内容、給湯器本体2の運転状態に関する情報、及び、給湯器本体2で消費されたガス及び湯水の実績消費量に基づいて演算された金額や、家庭内で消費された電力の実績消費量に基づいて演算された金額を表示するものである。より具体的には、液晶ディスプレイ18は、主に給湯温度等の設定温度や運転状態等を示す運転・設定表示領域Aと、主に時刻やガス、電力、及び湯水の実績消費量に基づいた金額を示す時刻・金額表示領域Bに分割された構成とされている。
【0029】
制御基板8は、図3のブロック図に示すように、通信部10と、演算部11と、制御部12と、記憶部14を備えている。なお、演算部11、制御部12、及び、記憶部14は、1つのCPU(マイコン)15を構成している。
【0030】
通信部10は、図示しないインターフェース回路とCPU15で構成された部分で、外部の機器とリモコン装置3とを電気的に繋ぐ部分である。
通信部10は、給湯器本体2の制御部25と接続されており、給湯器本体2で検知された湯水の情報(熱交換部21を基準とした入水温度及び出湯温度と、熱交換部21を通過する湯水の流量(湯水の実績消費量))や、エラー情報等の信号が入力されたり、逆にリモコン装置3側で生成された運転指令や設定情報等の信号を給湯器本体2側に出力する部分である。そして、通信部13に入力された給湯器本体2における情報に基づいた信号は、リモコン装置3のCPU15に送信される。
【0031】
また、本実施形態のリモコン装置3は、家庭内で消費される電流・電圧情報が入力される構成とされている。即ち、通信部10は、1対のカレントトランス33a、33bと、コンセントプラグ35とが接続されている。具体的には、通信部10は、カレントトランス33a、33bと、コンセントプラグ35とが接続された電力計測ユニット16と接続されており、カレントトランス33a、33b及びコンセントプラグ35からの電力情報が、電力計測ユニット16を介して入力される。
【0032】
カレントトランス33a、33bは、商用電源(例えばAC100VやAC200V)から出力される交流電流を検出するもので、コンセントプラグ35は商用電源から出力される交流電圧をサンプル的に検出するものである。即ち、1対のカレントトランス33a、33bは、家庭内の電気機器に電力を分配する分電盤26からコンセント(図示しない)に延びた電源線36を挟むように取り付けられている。
また、コンセントプラグ35は、電源効果を発揮するものではなく、あくまで商用電源から出力される交流電圧をサンプル的に検出するものである。なお、コンセントプラグ35は、コンセント(図示しない)に差し込まれて使用される。
電力計測ユニット16は、カレントトランス33a、33bから入力された電流情報と、コンセントプラグ35から入力された電圧情報に基づいて、消費電力の積算処理を行う部分である。
【0033】
即ち、通信部10は、電力計測ユニット16において積算処理された消費電力の情報が定期的に入力される部分でもある。
そして、通信部10に入力された電流・電圧情報に基づいた信号は、リモコン装置3のCPU15に送信される。具体的には、通信部10から記憶部14に入力され、必要に応じて演算部11に送信される。
【0034】
演算部11は、通信部10から入力された情報に基づいて演算する部分である。即ち、給湯器本体2側の情報(湯水を加熱する際の燃焼量)に基づいて、給湯器本体2で使用された消費ガス量(ガスの実績消費量)が演算される。さらに、演算部11では、電力、ガス、及び湯水の実績消費量に基づいて、一定期間の消費金額が演算される。
【0035】
ここで、ガスの実績消費量の演算方法について説明する。
本実施形態では、燃焼部20が給湯系統22や追いだき系統23を流れる湯水の温度や流量、並びに需要者などによって設定された給湯温度等に基づいて、予め設定された燃焼量に制御される。しかしながら、燃焼制御する際においては、使用されるガス流量が流量センサ等で正確に制御されているわけではない。即ち、本実施形態では、ガス比例弁や電磁弁等で適当なガス流量に制御しているだけである。
そこで、本実施形態では、給湯系統22や追いだき系統23における熱交換部21への入水温度と、需要者などによって設定された設定温度と、熱交換部21を通過する通水流量とに基づいて演算される目標燃焼量(燃焼部20における発熱量)を算出し、その目標燃焼量に熱交換部21における熱交換効率に基づく係数を乗じて、その算出された数値をガスが持つ単位体積当たりの熱量(以下、単位熱量という)で除して得られる数値をガスの実績消費量として採用することとした。即ち、本実施形態では、地域によって異なるガスの種類ごとに適したガスの実績消費量が演算できる。
また、その他の演算方法として、燃焼制御中における、給湯系統22や追いだき系統23を流れる湯水の温度や流量から実際の燃焼量を算出し、その算出された燃焼量をガスの単位熱量で除して得られる数値をガスの実績消費量としても構わない。
【0036】
制御部12は、運転操作部6、設定操作部17、演算部11、並びに、通信部10から入力された信号に基づいて、設定変更や運転制御等を行う部分である。
記憶部14は、予め設定された情報や設定操作部17によって入力、変更された情報、さらに演算部11あるいは電力計測ユニット16において演算されたエネルギー(ガス、電気)や資源(湯水)ごとの実績消費量等が記憶される部分である。
【0037】
次に、給湯装置1の動作及び機能について説明する。
なお、本実施形態の給湯装置1は、従来の給湯装置と同様の動作をするため、簡単に説明する。
給湯装置1は、リモコン装置3の操作によって、給湯運転、ふろ落とし込み運転、並びに、追いだき運転が制御される。
即ち、給湯運転は、リモコン装置3の運転スイッチ28がオン操作されると開始可能となる。具体的には、運転スイッチ28の操作でオン信号が生成されると、制御基板8を介して、給湯器本体2側に信号が送信される。そして、制御部25がその信号を受信すると、給湯器本体2を給湯可能状態とする。そして、この状態で、図示しないカラン等が操作されると、給湯系統22内に湯水の水流が発生し、その流量が燃焼動作可能な最低流量(MOQ)以上であることが検知されると、燃焼部20において燃焼動作が開始され、所望の温度の湯水を給湯する。その後、人為的に運転スイッチ28がオフ操作されると、燃焼動作を不可とする信号が送信され、給湯運転が停止される。
なお、運転スイッチ28は、以下に説明する追いだき運転を機能させる際においても予めオンの状態にしておくことが必要である。
【0038】
ふろ落とし込み運転は、リモコン装置3のふろ自動スイッチ29がオン操作されると開始される運転である。即ち、ふろ自動スイッチ29の操作で生成された信号が、給湯器本体2側に入力されると、浴槽内に湯水を落とし込む風呂循環金具37に至る給湯系統22に一定流量で流れる水流が発生し、燃焼部20の燃焼動作が開始されて、所望の温度の湯水が給湯される。そしてその後、浴槽内に設定水量の湯水が満たされると、風呂循環金具37からの給湯は停止する。
風呂循環金具37からの給湯が停止した後は、所定の条件の下、ふろ自動スイッチ29がオフにされる。即ち、浴槽内の湯水を保温する保温設定が機能していれば、一定期間保温動作が有効に働いた後に、また保温機能が設定されていなければ給湯が停止した後に、給湯側本体2の制御部25からリモコン装置3に対して、ふろ落とし込み運転が停止される信号が送信され、人為的操作によってふろ自動スイッチ29がオフにされれば、その操作のタイミングでリモコン装置3から給湯器本体2に対して、ふろ落とし込み運転を停止する信号が送信される。
【0039】
また、追いだき運転は、運転スイッチ28をオン状態にした後に、リモコン装置3の追いだきスイッチ30がオン操作されると開始される運転である。即ち、追いだきスイッチ30の操作で生成された信号が、給湯器本体2側に入力されると、浴槽内の湯水を追いだき系統23内に導入して一定速度で流し、燃焼部20の燃焼動作を開始する。これにより、浴槽内の湯水が設定の温度まで昇温される。そしてその後、浴槽内の湯水が設定温度まで昇温(追いだき系統内の湯水の温度で判断)すれば、燃焼部20における燃焼動作の停止及び追いだき系統23における水流が停止される。即ち、浴槽内の湯水が設定温度まで昇温すれば、給湯器本体2の制御部25からリモコン装置3に対して、追いだき運転が停止される信号が送信される。
また、浴槽内の湯水が設定温度に至る前に、人為的に追いだきスイッチ30をオフ操作すれば、リモコン装置3側から給湯器本体2の制御部25に対して、追いだき運転を停止する信号が送信される。
【0040】
続いて、本実施形態におけるリモコン装置3の特徴的機能について説明する。
本実施形態のリモコン装置3は、給湯器本体2の運転に制御指令を送信するほか、給湯器本体2で使用されたガスや湯水の実績消費量、さらに家庭内で使用された電力の実績消費量に基づいて演算されたそれぞれの金額を、運転スイッチ28の操作に連動させてリモコン装置3を介して報知できる特徴的機能が備えられている。
【0041】
具体的に説明すると、運転スイッチ28をオフに操作した際に、リモコン装置3の表示部7に、ガス、湯水、並びに、電力の実績消費量に基づいて演算された金額が所定時間(本実施例では3秒程度)表示される。また、このとき表示される金額は、午前零時から24時間経過するまでの期間に演算された金額であって、当日の午前零時からオフ操作された時点までの実績消費量に基づいた金額である。さらに詳細に説明すると、午前零時から24時間経過するまでの期間において、複数回運転スイッチ28がオン・オフ操作される場合が考えられるが、今回のオフ操作までの実績消費量が全て積算されて金額が算出される。即ち、前記した期間の間、給湯器本体2が運転される限り、消費量が常に積算される構成とされている。即ち、本実施形態では、運転スイッチ28がオフ操作されるまでの実績消費量が積算され、そのそれぞれの積算消費量に対してガス、湯水、並びに、電力の所定の単価が乗されて積算金額が算出される。そして、その算出された積算金額が、表示部7に表示される。
【0042】
運転スイッチ28のオフ操作の際に表示されるレイアウトについて説明すると、図4〜6に示すように、表示される料金項目(具体的に、上から電気、ガス、お湯)と、その料金項目に対応する積算金額が表示される。より具体的に説明すると、時刻・金額表示領域Bであって、運転・設定表示領域Aとの境界近傍に料金項目が表示され、時刻・金額表示領域Bであって、右側(運転・設定表示領域Aから離れた側)に積算金額が表示される。
そして、リモコン装置3の表示部7に積算金額等が表示されてから、所定時間が経過すると、図7に示すように、時刻のみの表示に切り替わる。
【0043】
また、本実施形態では、1回の運転スイッチ28のオフ操作で、1つの料金項目及びその項目の積算金額だけが表示部7に表示され、さらに、運転スイッチ28をオフ操作する度に、表示される料金項目及びその項目の積算金額が、前回表示部7に表示したものと異なるものが表示される構成とされている。具体的に言えば、例えば、今回、運転スイッチ28をオフ操作して、図4に示す電気の積算金額が表示されたとすれば、次回は、運転スイッチ28のオフ操作を行えば、図5、6に示すいずれかの積算金額が表示され、さらに次回の運転スイッチ28のオフ操作においては、前回(図5のガスの積算金額とする)と異なる積算金額が表示される(図4又は図6に示す積算金額)。なお、本実施形態では、電気→ガス→お湯→電気・・の順番で表示部7に表示される設定とされている。
【0044】
さらに、本実施形態では、ガス、湯水、電力のうち、実績消費量あるいは積算金額が目標値を超えていれば、表示部7に優先的に表示させる機能を備えている。
ここで、目標値とは、需要者が設定操作部17を操作して設定した数値や、一定期間内のガス、湯水、電力の実績消費量あるいは積算金額に基づいて演算された数値のことであり、本実施形態ではいずれかを選択して採用することができる。なお、後者に関しては、その日の前日から二週間前までの実績消費量あるいは積算金額の平均が目標値となる。
即ち、この機能によれば、例えば、電力の実績消費量あるいは積算金額が目標値を超えていれば、午前零時から24時間経過するまでは、運転スイッチ28がオフ操作されると、表示部7には電力の情報のみが優先的に表示される。換言すれば、その期間が経過するまでは、ガス、湯水の情報は表示部7に表示されることはない。
【0045】
以上によれば、本実施形態では、需要者が日常的に操作する運転スイッチ28をオフする操作に連動して、リモコン装置3の表示部7に、ガス、電気等のエネルギーの実績消費量に基づいた積算金額や、湯水等の資源の実績消費量に基づいた積算金額を表示させるため、需要者にスイッチを操作する抵抗感を働かせることなく、実際に消費したエネルギーやその他資源の情報等を認知させることができるため、需要者に与える心理的作用からエネルギー及び資源の過剰消費の抑制を図ることができる。
さらに、本実施形態では、午前零時から24時間が経過するまでの期間(1日)における積算金額を表示する構成とされているため、日々のエネルギー及び資源の消費実績を比較し易い。即ち、日々、エネルギー及び資源の過剰消費の抑制を図ることができるため効果が高い。
また、本実施形態では、実績消費量あるいは積算金額が目標値を超えた場合、その超えた実績消費量あるいは積算金額の料金項目に対応する積算金額を優先的に表示させるため、特に消費量が多いエネルギーあるいは資源が明確となる。即ち、需要者に対して、消費量が多い特定の種類のエネルギーや資源の使用意識に制限を掛けることができるため、より効果的にエネルギー及び資源の過剰消費の抑制を図ることができる。
【0046】
上記実施形態では、演算された積算金額を表示部7に表示するだけの構成を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、表示部7に表示することに加えてあるいは替えて音声等によって、報知する構成であっても構わない。
【0047】
上記実施形態では、午前零時から24時間経過するまでの期間中、運転スイッチ28がオフ操作されるまでの実績消費量が積算され、その積算消費量に対してガス、湯水、並びに、電力の所定の単価が乗されて積算金額を算出する構成を示したが、本発明ではこれに限定されず、前記期間の間に、運転スイッチ28がオフ操作されると、今回のオフ操作以前に算出された実績消費量に基づく消費金額と、前回のオフ操作から今回のオフ操作までの実績消費量に基づく消費金額とを積算して報知する構成であっても構わない。
【0048】
上記実施形態では、ガスの実績消費量に基づく金額の他、電力及び湯水の実績消費量に基づく金額を表示部7に表示させる構成を示したが、本発明ではこれに限定されず、電力あるいは湯水の実績消費量を演算しない構成であっても構わない。なお、電力の実績消費量を演算しない構成を採用する場合、分電盤26から電流及び電圧の情報を検出する電力検出手段を設けなくてもよい。
【0049】
上記実施形態では、リモコン装置3においてエネルギー等の実績消費量やその実績消費量に基づいた報知すべき金額を演算する構成を示したが、本発明ではこれに限定されず、給湯器本体2の制御部25にそのような演算を行う構成を設けても構わない。即ち、リモコン装置3において、実績消費量に基づいた金額を表示部7に表示させたり、音声等で報知できる構成であれば構わない。
【0050】
上記実施形態では、運転スイッチ28のオフ操作に連動させてガス、電力、湯水の実績消費量に基づいた金額を報知する構成を示したが、本発明ではこれに限定されず、運転スイッチ28に加えて、あるいは替えて、ふろ自動スイッチ29や追いだきスイッチ30のオフ操作に連動させる構成であっても構わない。
【0051】
上記実施形態では、実績消費量を積算する基準として、午前零時を採用していたが、その他の時刻を採用し、その時刻から24時間経過するまでの期間であっても構わない。
また、1日単位ではなく、2日単位や1週間単位等、さらに長い期間を単位として金額を算出しても構わない。
【0052】
また、上記実施形態では、ガスを燃料とする給湯装置1を採用した構成を示したが、本発明ではこれに限定されず、石油を燃料とする給湯装置を採用した構成であっても構わない。この場合、ガスの実績消費量に代えて、石油の実績消費量を演算し、その実績消費量に基づいて金額を報知する構成が必要となる。
【0053】
上記実施形態では、電力の情報を得るために、電力計測ユニット16を備えた構成を示したが、本発明ではこれに限定されず、図8に示すように、制御基板8に通信部10とは別に入力部24を設け、電力計測ユニット16を介さずに、入力部24に直接的に入力可能な構成を備えても構わない。また、入力部24を設けず、通信部10に入力される構成であっても構わない。
【符号の説明】
【0054】
1 給湯装置(熱源装置)
2 給湯器本体(熱源手段)
3 リモコン装置
6 運転操作部(起動スイッチ)
7 表示部
8 制御基板
20 燃焼部
21 熱交換部
28 運転スイッチ(起動スイッチ)
29 ふろ自動スイッチ(起動スイッチ)
30 追いだきスイッチ(起動スイッチ)
A 運転・設定表示領域
B 時刻・金額表示領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水又は熱媒体を加熱する熱源手段の動作を制御するリモコン装置であって、
熱源手段は、供給された燃料が燃焼する燃焼部を有し、燃焼部で生成された燃焼ガスで湯水又は熱媒体を加熱するもので、
少なくともエネルギーの実績消費量を演算する消費量演算機能と、実績消費量に基づいて実績消費金額を演算する金額演算機能が制御され、
リモコン装置の起動スイッチをオン状態からオフにすると、金額演算機能によって演算された金額が報知されることを特徴とするリモコン装置。
【請求項2】
金額演算機能は、所定時刻から24時間が経過するまでの実績消費金額を積算することを特徴とする請求項1に記載のリモコン装置。
【請求項3】
所定時間から24時間が経過するまでの実績消費量を積算する消費量積算機能を有し、
金額演算機能は、積算された実績消費量に基づいて金額を演算することを特徴とする請求項1に記載のリモコン装置。
【請求項4】
建物には、分電盤が設けられ、
分電盤を介して、外部から供給される電力が、熱源手段、リモコン装置、並びに、その他の電気機器に分配されるものであって、
前記リモコン装置は、分電盤から出力される電流及び電圧を検出する電力検出手段を有し、
消費量演算機能は、前記電力検出手段から得られた電力の情報に基づいて、実績消費量をさらに演算でき、リモコン装置の起動スイッチをオフにすると、前記電力の実績消費量に基づいて演算された金額が報知されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のリモコン装置。
【請求項5】
消費量演算機能は、資源たる湯水の実績消費量をさらに演算でき、リモコン装置の起動スイッチをオンの状態からオフにすると、前記湯水の実績消費量に基づいて演算された金額が報知されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のリモコン装置。
【請求項6】
エネルギーあるいは資源を含む複数種類ごとに実績消費量が演算される場合、リモコン装置の起動スイッチをオンの状態からオフにする度に、前回報知したエネルギーあるいは資源の種類と異なる種類の実績消費量に基づいて演算された金額が報知されることを特徴とする請求項4又は5に記載のリモコン装置。
【請求項7】
エネルギーあるいは資源ごとに目標となる消費量を設定する目標設定手段を有し、
エネルギーあるいは資源を含む複数種類の実績消費量のうち、設定された目標消費量を上回った実績消費量の種類の演算された金額を優先的に報知する優先機能を備えたことを特徴とする請求項6に記載のリモコン装置。
【請求項8】
エネルギーあるいは資源ごとに目標となる消費量を所定期間の実績消費量から演算する目標値演算機能を有し、当該演算により得られた目標消費量を設定可能であることを特徴とする請求項7に記載のリモコン装置。
【請求項9】
燃料を燃焼して燃焼ガスが生成される燃焼部と、湯水又は熱媒体が流通する熱交換器と、請求項1乃至8のいずれかに記載のリモコン装置とを有し、
リモコン装置の起動スイッチを操作することで、前記熱交換器内に湯水又は熱媒体を流通させ、前記燃焼部で燃焼ガスを生成し、燃焼ガスで熱交換器を加熱して昇温した湯水そのもの又は熱媒体の熱エネルギーを外部に供給できることを特徴とする熱源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−247087(P2012−247087A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117248(P2011−117248)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】