説明

リモコン装置

【課題】 リモコン装置をより薄く構成でき、電池交換時の電子部品の破壊も防ぐことができるトイレ装置システムを提供すること。
【解決手段】 表面側に操作部が配置されて裏面側に開口を設けた上ケースと、前記操作部の操作を受け付けるスイッチを含んだ複数の電子部品が表裏面に配設された制御基板と、前記制御基板に電源を供給する給電部がリード線を介して接続された電池と、前記上ケースの開口を封止する蓋体である下ケースと、を備えたリモコン装置において、前記制御基板と電池を、前記上ケース及び下ケースによって封止された空間内に重合するように配置し、且つ前記制御基板と電池の間に、当該電池を所定位置に保持する凹部を形成した薄板状の樹脂製の保護シートを設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛生洗浄装置などのように便器に設置されるトイレ装置を操作するトイレブース内に設けられたリモコン装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、便器を設置したトイレブースには、その快適さから、洗浄機能、乾燥機能、脱臭機能などの各種機能を有する衛生洗浄装置と呼ばれるトイレ装置が取り付けられてきている。
【0003】
また、この種のトイレ装置を操作するリモコン装置が赤外線光通信や電波通信等の無線で行われ、トイレブース内の壁面に設けられことにより使用者にとってはその操作性と施工者にとっては施工性が向上されている。(たとえば、特許文献1参照。)
【0004】
そして、そのリモコン装置において、無線で行うことでトイレ装置との配線をなくすことでレイアウトの自由度が増加するので市場でも好まれている。さらに、無線通信では、一般に電波を用いた電波通信を行うことの方が、赤外光で行う赤外線通信に比べて到達範囲や消費電力を低減することができることから、電波を利用したものが増加してきている。
【0005】
また、それらの周辺機器とは、無線で行うことでトイレ装置と周辺機器との配線をなくすことで周辺機器とレイアウトの自由度が増加するので市場でも好まれている。さらに、無線通信では、一般に電波を用いた電波通信を行うことの方が、赤外光で行う赤外線通信に比べて到達範囲や消費電力を低減することができることから、電波を利用したものが増加してきている。
【0006】
そうすると、リモコン装置には、当然に電池を内蔵させその電力で通信動作を行い、赤外線リモコン装置の電池は、通常単三電池が用いられ1年前後で交換を必要としていた。また、トイレブースの壁面に設けられるリモコンは、デザイン上その装置の小型化と薄さ並びに防水性が求められている。そのために電波を用いた無線通信にして、赤外線通信に比べて消費電力を低減したり、長寿命のコイン形電池を使用したり電池交換を少なくしたりする必要がでてきている。
【0007】
以上のように、コイン電池を使用する機器として、特許文献1のようなものと、特許文献2のように電池ケースを設けないでリモコンケースにその電池を固定するものがある。
【0008】
【特許文献1】特開平7−183013号公報
【特許文献2】特開平9−27685号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、リモコン装置は、その制御基板の面積でリモコンの縦・横の大きさが決めその背面に電池を収納することで場合、リモコン小型化をめざして設計している。ケースの縦・横方向の大きさを小さくするためにどうしても電池を制御基板と重合する構成をとる方が有利である。その場合、電池ケースを別個に設けるとその電池ケースの厚さだけ厚くなってしまい、より薄くする工夫を必要とする。
【0010】
そのために、電池ケースを設けず、リモコンケース内にボタン電池を収納する場合、その交換のことを考えるとボタン電池にリード線を設け、リモコンの制御基板にコネクタで接続しなければならない。そして、電池交換時にリモコンケースがリモコン制御基板に設けられた電子部品の端子に、誤って触れて静電破壊で破損させないように保護しなければならないという問題もある。
【0011】
そのため、リモコン制御基板に設けられた電子部品の端子を保護する保護シートの形状を単なる平面的なシート形状でなくボタン電池を固定する三次元的な形状に構成する。そうすることで、改めて電池ケースを設ける必要もなくなるので、リモコンケースを薄く構成することが可能になる。
【0012】
そうして、トイレブース内に設置された電波を用いたリモコン装置と電波通信を行うトイレ装置とのトイレ装置システムにおいて、リモコン装置をより薄く構成でき、電池交換時の電子部品の破壊も防ぐことができるトイレ装置システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に記載の発明は、表面側に操作部が配置されて裏面側に開口を設けた上ケースと、前記操作部の操作を受け付けるスイッチを含んだ複数の電子部品が表裏面に配設された制御基板と、前記制御基板に電源を供給する給電部がリード線を介して接続された電池と、前記上ケースの開口を封止する蓋体である下ケースと、を備えたリモコン装置において、前記制御基板と電池を、前記上ケース及び下ケースによって封止された空間内に重合するように配置し、且つ前記制御基板と電池の間に、当該電池を所定位置に保持する凹部を形成した薄板状の樹脂製の保護シートを設けたことを特徴とする。
【0014】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のリモコン装置で、前記保護シートに前記制御基板へ前記給電部を接続する孔又は切欠を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、制御基板を静電気から守る保護シートに電池を保持する凹部を設けることで、新たに電池ケースを設けることなく、電池交換時の電子部品の破壊も防ぐことができる部材を兼用できるので、リモコン装置を薄く構成できる。
【0016】
また、請求項2に記載の発明によれば、電池からのリード線より制御基板に給電を行う場合、保護シートに孔又は切欠を設けたので、リード線をその孔又は切欠へ通し固定できる。そのため、リード線を保護シートの側面から廻して接続する必要がなくなり、リード線を短くでき、またリード線の固定部材が不要となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の最良の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本実施形態におけるトイレ装置システムの全体構成図である。
以下、本実施形態に係るトイレ装置システムの一実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0018】
図1は、本実施形態に係るトイレ装置システムを採用したトイレブースを示す斜視図であり、図2は、本発明におけるリモコン装置の断面構造、図3は本発明におけるリモコン装置の背面視の下ケース開口状態の電池収納構造、図4は本発明におけるリモコン装置の電池収納構造の分解図である。
【0019】
(トイレ装置システム構成)
図1に示すように、トイレ装置システム1は、トイレブース2に設置されている便器3に取付けられたトイレ装置(ここでは衛生洗浄装置として説明)4と、トイレブース2の壁面に取付けられたリモコン装置5等とを備えている。
【0020】
(トイレ装置の概略)
ここで、トイレ装置としては、衛生洗浄装置や暖房便座など便器に取り付けて使用する機器を言う。ここでは、衛生洗浄装置について、実施例を説明する。衛生洗浄装置4は、衛生洗浄装置本体7と、この衛生洗浄装置本体7と一体に設けられている便座8と、衛生洗浄装置本体7に回動自在に設けられた便蓋9とを備えている。
【0021】
そして、衛生洗浄装置本体7には、トイレブース2内の使用者を検知する人体検知手段として機能するセンサ10を備えている。
【0022】
このセンサ10は、トイレブース2への使用者の入室を検知する入室検知手段として機能する入室センサと、使用者の衛生洗浄装置4への接近を検知する接近検知手段として機能する接近センサと、使用者の便座8への着座を検知する着座検知手段として機能する着座センサという3つのセンサにより構成されている。
【0023】
ここで、入室センサは、人体などから発せられる赤外線を検出する焦電型赤外線センサを使用し、接近センサは、接近する使用者へ向けて所定波長の光を照射し、その光が使用者に反射した反射光を受光して、使用者が接近しているか否かを検出する赤外線センサにより構成している。
【0024】
また、着座センサは、便座8に着座している使用者へ向けて所定波長の光を照射し、その光が使用者に反射した反射光を受光して、使用者が着座しているか否かを検出する赤外線センサにより構成している。
【0025】
そして、この衛生洗浄装置4は、接近センサにより使用者の便器3への接近を検知すると、便蓋9を自動的に開放状態にすると共に、使用者を検知しなくなると便蓋9を自動的に閉塞状態とする便蓋自動開閉機能を備えている。
【0026】
また、この衛生洗浄装置4は、使用者の局部を自動洗浄する局部洗浄機能を備えており、局部を洗浄する際には、図1に示す洗浄ノズル11から洗浄水を使用者の局部へ向けて噴射することにより、局部洗浄を行うようにしている。
【0027】
この他、この衛生洗浄装置4は、便座8表面の温度を使用者が快適と感じる温度となるように制御する便座暖房機能や、節電機能等、様々な機能を備えている。
【0028】
特に、この衛生洗浄装置4は、リモコン装置5から電波送信される操作信号を受信する操作信号受信手段として機能する電波の受信回路とを備えている。
【0029】
そして、尚、図1に示す符号12は、使用後の便器を洗浄するための洗浄水を貯留する貯水タンクであり、符号12aは、手動により便器3洗浄を行う際に操作する洗浄レバーである。
【0030】
リモコン装置5の筐体は、図2に示すように、トイレ装置を操作する操作スイッチ21と、操作スイッチ21を取り付ける上ケース22と、送信機能を備え上ケース22に基板固定ねじ23で固定されるスイッチ基板24と、リモコン装置を稼動させコネクタ25aでスイッチ基板(制御基板)24と接続できる電池25と、スイッチ基板(制御基板)24と接しスイッチ基板(制御基板)24と一緒に基板固定ねじ23で固定される保護シート26と、電池25を収納するために開口させる下ケース27とで構成される。
【0031】
リモコン装置は、電池25で駆動される送信機である。電池25は、複数のコイン電池を接合した構造であり、図3に示すようにスイッチ基板(制御基板)24とコネクタ25aで接続できる構造としている。
【0032】
また、電池25の取り付け、取り外しの場合は、上ケース22に嵌合する下ケース27が外された状態でスイッチ基板(制御基板)24から電池25のコネクタ25aを抜き挿しし、電池25をスイッチ基板(制御基板)24から付け外しする構造としている。このようにすることで、施工時に電池25を取り付け可能とすることで、出荷してから倉庫にあるまでの電池を接続することがないので、電池消費が抑えられる。
【0033】
さらに図4に示すように、電池25を取り付け、取り外しする際は、スイッチ基板(制御基板)24に、保護シート26でスイッチ基板(制御基板)24を全面で覆う構造としている。これは、電池接続時に、直接、手が接触しないようにして、電子部品が静電破壊することを防止するようにしている。
【0034】
ここで、保護シート26は、電池25をガイドできるように電池25の外郭に沿った電池収納構造となっている。これにて、電池25がしっかり保持されズレないようになっている。そして、下ケース27を上ケース22と嵌合することで、電池25をケースの上下方向に固定し収納することができる構造となっている。また、コネクタ25aを基板コネクタ29へ接続して給電させるために、保護シート26に接続孔28が設けられている。ここを通してコネクタ25aと基板コネクタ29が接続されることにより、電池25に繋がったリード線30が位置決めされている。なお、保護シート26は、通常の保護シートと同じ厚さ1mm以下で作成された真空成形品である樹脂で構成している。そのように、保護シートに電池固定を兼用させることで、電池収納部を新たに設けず、保護シートで形成しそれを薄くすることで、リモコン装置5の薄型化にも貢献している。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明におけるトイレ装置システムが設けられたトイレブースを示す斜視図
【図2】本発明におけるリモコン装置の断面構造図
【図3】本発明におけるリモコン装置の背面視の下ケース開口状態の電池収納構造図
【図4】本発明における電池収納構造の分解図
【符号の説明】
【0036】
1 トイレ装置システム
2 トイレブース
3 便器
4 衛生洗浄装置
5 リモコン装置
7 衛生洗浄装置本体
8 便座
9 便蓋
10 センサ
11 洗浄ノズル
12 貯水タンク
12a 洗浄レバー
21 操作スイッチ
22 上ケース
23 基板固定ねじ
24 スイッチ基板
25 電池
25a コネクタ(給電部)
26 保護シート
27 下ケース
28 接続孔(孔)
29 基板コネクタ(受電部)
30 リード線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面側に操作部が配置されて裏面側に開口を設けた上ケースと、前記操作部の操作を受け付けるスイッチを含んだ複数の電子部品が表裏面に配設された制御基板と、前記制御基板に電源を供給する給電部がリード線を介して接続された電池と、前記上ケースの開口を封止する蓋体である下ケースと、を備えたリモコン装置において、前記制御基板と電池を、前記上ケース及び下ケースによって封止された空間内に重合するように配置し、且つ前記制御基板と電池の間に、当該電池を所定位置に保持する凹部を形成した薄板状の樹脂製の保護シートを設けたことを特徴とするリモコン装置。
【請求項2】
前記保護シートに、前記制御基板へ前記給電部を接続する孔又は切欠を設けたことを特徴とする請求項1に記載のリモコン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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