説明

リモコン送信器

【課題】器具本体の傾斜角度に関わらず、赤外線信号の送信成功率を向上させると共に、消費電力を低減させることができるリモコン送信器を提供する。
【解決手段】照明器具Sを制御する赤外線信号を送信し、赤外線信号の送信方向が互いに異なる送信部2(前面送信部21,上面送信部22)と、送信部2が設けられる器具本体6と、6器具本体の傾斜を検出する傾斜センサ3と、赤外線信号の送信要求を行う操作部5(ボタンスイッチ51,52)と、操作部5が送信要求を発生すると、傾斜センサ3の検出結果に基づいて、送信部2のうち、赤外線信号の放射領域に照明器具Sが含まれる少なくとも1つの送信部2(前面送信部21,上面送信部22)を選択し、選択した送信部2に対して赤外線信号の送信を指示する制御部4とを備える

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リモコン送信器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、テレビやエアコンや照明器具等の家電機器の動作を遠隔制御するリモコン送信器がある。この種のリモコン送信器は、ボタンスイッチ等が設けられており、このボタンスイッチが操作されることで、対象の家電機器の動作コマンドをコード化した動作コマンド情報を付加した赤外線信号を送信する。そして、対象の家電機器の受信部が、赤外線信号を受信して動作コマンド情報を解読し、実行することで遠隔制御を行っている。
【0003】
また、リモコン送信器がタイマー機能を有しており、予め設定された時刻になると、自動的に赤外線信号を送信するリモコン送信器がある。なお、ユーザーがボタンスイッチを操作して赤外線信号の送信を行う操作モードを手動操作モードと称し、タイマー機能で自動的に赤外線信号の送信を行う操作モードを自動送信モードと称す。
【0004】
リモコン送信器から送信される赤外線信号を対象の受信部に到達させるためには、リモコン送信器に設けられた、赤外線信号を送信する送信部を、対象の受信部に向ける必要がある。一般的に、送信部はリモコン送信器の先端部に設けられており、先端部が向いている方向に赤外線信号が送信される。
【0005】
例えば、対象の家電機器が天井に設けられる照明器具である場合、手動操作モードにおいて、ユーザーは意図的にリモコン送信器の先端部を照明器具に向けるため、赤外線信号の送信成功率を確保することができる。しかし、自動送信モードを行う場合、リモコン送信器は机上に置かれていることが多く、リモコン送信器の先端部は天井に向かないので、赤外線信号の送信成功率が低減する。
【0006】
そこで、リモコン送信器の傾斜を検出する傾斜センサを具備し、この傾斜センサの検出結果に基づいて、赤外線信号を送信する送信部を可動させることで、赤外線信号の送信成功率を向上させるリモコン送信器がある(例えば、特許文献1参照)。このリモコン送信器は、送信部を可動させるステッピングモーターを具備しており、傾斜センサの検出結果に基づいて、ステッピングモーターを駆動して送信部を可動させることで、送信部を対象の受信部に向けることができる。
【0007】
また、互いに異なる方向へ赤外線信号を送信する2つの送信部を備えたリモコン送信器がある(例えば、特許文献2参照)。このリモコン送信器は、操作面に対して水平方向に赤外線信号を送信する第1の送信部と、操作面に対して垂直方向に赤外線信号を送信する第2の送信部とをリモコン送信器の先端部に有している。このリモコン送信器は、手動操作モードでは第1の送信部から赤外線信号を送信し、自動送信モードでは第2の送信部から赤外線信号を送信することで、赤外線信号の送信成功率を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−288914号公報
【特許文献2】特開2008−11013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1のリモコン送信器は、送信部を可動させるためにステッピングモーターを用いているため、消費電力が大きくなるという問題がある。一般的にリモコン送信器は電池で駆動しているため、消費電力を低減させることが望まれている。また、ステッピングモーターの駆動中に赤外線信号が送信された場合、送信部は対象の受信部に向かっておらず、赤外線信号の送信成功率が低減する。
【0010】
また、特許文献2のリモコン送信器は、手動操作モードではユーザーがリモコン送信器を手に持った状態、自動送信モードではリモコン送信器を机上に置いた状態を想定している。しかし、手動操作モードにおいて、リモコン送信器を机上に置いた状態でユーザーがボタンスイッチを操作した場合、第1の送信部は壁面に向かっているので、赤外線信号の送信成功率が低減する。また、自動送信モードにおいて、リモコン送信器が照明器具直下の机上に、操作面が垂直方向となるように立てて置かれている場合、第2の送信部は天井に向かないので、赤外線信号の送信成功率が低減する。
【0011】
また、手動操作モードおよび自動送信モードの両方のモードにおいて、第1,第2の送信部の両方から赤外線信号を送信することで、赤外線信号の送信成功率を向上させることができるが、第1,第2の送信部の両方を駆動する必要があるので消費電力が大きくなる。
【0012】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、器具本体の傾斜角度に関わらず、赤外線信号の送信成功率を向上させると共に、消費電力を低減させることができるリモコン送信器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のリモコン送信器は、機器を制御する赤外線信号を送信し、当該赤外線信号の送信方向が互いに異なる複数の送信部と、前記複数の送信部が設けられる器具本体と、前記器具本体の傾斜を検出する傾斜検出部と、前記赤外線信号の送信要求を行う送信要求部と、前記送信要求部が前記送信要求を発生すると、前記傾斜検出部の検出結果に基づいて、前記複数の送信部のうち、前記赤外線信号の放射領域に前記機器が含まれる少なくとも1つの前記送信部を選択し、選択した前記送信部に対して前記赤外線信号の送信を指示する制御部とを備えることを特徴とする。
【0014】
このリモコン送信器において、前記傾斜検出部に電源供給を行う電源部を備え、前記制御部は、前記電源部から前記傾斜検出部への電源供給をオン・オフ制御し、前記制御部は、前記送信要求部が前記送信要求を発生した場合、前記電源部から前記傾斜検出部への電源供給を開始し、前記送信部が前記赤外線信号の送信終了した場合、前記電源部から前記傾斜検出部への電源供給を停止することが好ましい。
【0015】
このリモコン送信器において、前記傾斜検出部の検出結果に基づいて、前記制御部が、前記複数の送信部のうち少なくとも1つの前記送信部を選択し、選択した前記送信部に対して前記赤外線信号の送信を指示する選択送信モードと、前記制御部が、前記傾斜検出部の検出結果に関わらず予め設定された前記送信部を選択し、選択した前記送信部に対して前記赤外線信号の送信を指示する強制送信モードとを切り替える送信モード切替部を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明では、器具本体の傾斜角度に関わらず、赤外線信号の送信成功率を向上させると共に、消費電力を低減させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】(a)〜(c)本発明の実施形態1のリモコン送信器の外観図である。
【図2】同上の回路構成図である。
【図3】同上のフローチャートである。
【図4】同上の動作外略図である。
【図5】(a)〜(d)同上の外観図である。
【図6】同上の回路構成図である。
【図7】(a)〜(c)実施形態2のリモコン送信器の外観図である。
【図8】同上の回路構成図である。
【図9】同上のフローチャートである。
【図10】同上の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
(実施形態1)
本実施形態のリモコン送信器1の外観図を図1(a)〜(c)に示す。図1(a)にリモコン送信器1の前面図、図1(b)にリモコン送信器1の上面図、図1(c)にリモコン送信器1の側面図を示す。なお、図1(a)における上下左右方向をリモコン送信器1の上下左右方向、図1(c)における左右方向をリモコン送信器1の前後方向として説明する。
【0020】
本実施形態のリモコン送信器1は、送信部2(前面送信部21,上面送信部22)と傾斜センサ3と制御部4と操作部5と器具本体6と操作モード切替部7とで構成されている。本実施形態のリモコン送信器1は、天井に設けられた照明器具を制御対象としており、この照明器具に対して赤外線信号の送信を行う。
【0021】
器具本体6は、略矩形体状に形成されており、送信部2と操作部5と操作モード切替部7とが外部に露出するように設けられ、傾斜センサ3および制御部4が実装された回路基板(図示なし)を内部に収納している。
【0022】
送信部2は、器具本体6の前面に設けられた前面送信部21と、器具本体6の上面に設けられた上面送信部22とで構成されている。
【0023】
前面送信部21は、赤外線が照射可能な赤外線LED211,212で構成されており、赤外線LED211,212は器具本体6の前面において左右方向に並設されている。また、上面送信部22は、赤外線が照射可能な赤外線LED221,222で構成されており、赤外線LED221,222は器具本体6の上面かつ、前方において左右方向に並設されている。なお、赤外線LEDの個数は上記に限定するものではなく、1乃至複数個であってもよい。
【0024】
操作部5は、2つのボタンスイッチ51,52で構成されており、ボタンスイッチ51,52は器具本体6の上面において、前後方向に並設されている。操作部5は、赤外線信号の送信要求を発生する送信要求部として機能する。なお、ボタンスイッチ51が操作された場合、照明器具の点灯を指示する動作コマンド情報が付加された赤外線信号(点灯指示信号)の送信要求が発生する。また、ボタンスイッチ52が操作された場合、照明器具の消灯を指示する動作コマンド情報が付加された赤外線信号(消灯指示信号)の送信要求が発生する。
【0025】
傾斜センサ3(傾斜検出部)は、器具本体6に収納された回路基板に実装されており、器具本体6の傾斜角度θを検出する。本実施形態の傾斜センサ3は、器具本体6の前後方向の傾斜角度θを検出しており、器具本体6の前後方向を水平にした場合における傾斜角度θを0°とする。
【0026】
制御部4は、器具本体6に収納された回路基板に実装されている。そして、制御部4は、ボタンスイッチ51,52が操作されて赤外線信号(点灯指示信号・消灯指示信号)の送信要求が発生すると、傾斜センサ3の検出結果に基づいて、前面送信部21,上面送信部22のうち少なくとも一方の送信部2を選択する。そして、制御部4は、選択した送信部2に対して、点灯指示信号・消灯指示信号の送信を指示する。
【0027】
操作モード切替部7は、器具本体6の上面に設けられており、制御部4の操作モードを手動操作モードと自動送信モードとのいずれか一方に切り替えることができる。
【0028】
次に、本実施形態のリモコン送信器1の回路構成について図2を用いて説明する。
【0029】
バッテリーE1の両端間に平滑用の電解コンデンサC1が接続されることで、本実施形態のリモコン送信器1の電源部を構成している。また、バッテリーE1の両端間に、PNP型のトランジスタQ1とコンデンサC2との直列回路が接続されている。そして、コンデンサC2の両端が傾斜センサ3の入力電源端子31a,31bに接続されており、トランジスタQ1がオンすると、バッテリーE1から傾斜センサ3に電源供給される。
【0030】
また、トランジスタQ1はエミッタ−ベース間に抵抗R1が接続されると共に、ベースは抵抗R2を介して制御部4に接続されている。そして、制御部4がトランジスタQ1のベース電流を制御することで、トランジスタQ1のオン・オフを制御する。
【0031】
傾斜センサ3は、入力電源端子31a,31bがコンデンサC2の両端に接続され、出力端子32a,32b間にコンデンサC3が接続されている。また、出力端子32aは、制御部4の入力端子に接続され、出力端子32aとバッテリーE1の負極間には、抵抗R3およびコンデンサC4が接続されている。そして、トランジスタQ1がオンして傾斜センサ3に電源が供給されると、傾斜センサ3は器具本体6の現在の傾斜角度θを検出し、検出した傾斜角度θに応じた検出電圧を制御部4に出力する。
【0032】
制御部4は、CPU(中央演算処理装置)41とメモリ42とタイマー43とを具備するマイクロコンピュータで構成されており、バッテリーE1に並列接続され、バッテリーE1から電源供給されることで駆動する。また、制御部4の入力端子とバッテリーE1との負極間に、抵抗R4とボタンスイッチ51との直列回路および、抵抗R5とボタンスイッチ52との直列回路が接続されている。そして、制御部4は、抵抗R4,R5に流れる電流を監視することで、送信部5(ボタンスイッチ51,52)による赤外線信号(点灯指示信号・消灯指示信号)の送信要求の発生を検出している。
【0033】
また、抵抗R6,R7およびNPN型のトランジスタQ2からなる直列回路と、前面送信部21およびNPN型のトランジスタQ3からなる直列回路とが、バッテリーE1と並列接続されている。トランジスタQ2のエミッタとトランジスタQ3のベースとが接続されており、トランジスタQ2のベースは抵抗R8を介して制御部4の出力端子に接続されている。前面送信部21は、抵抗R9と赤外線LED211とからなる直列回路と、抵抗R10と赤外線LED212とからなる直列回路が並列接続されることで構成されている。
【0034】
また、抵抗R11,R12およびNPN型のトランジスタQ4からなる直列回路と、上面送信部22およびNPNからのトランジスタQ5からなる直列回路とが、バッテリーE1と並列接続されている。トランジスタQ4のエミッタとトランジスタQ5のベースとが接続されており、トランジスタQ4のベースは抵抗R13を介して制御部4の出力端子に接続されている。上面送信部22は、抵抗R14と赤外線LED221とからなる直列回路と、抵抗R15と赤外線LED222とからなる直列回路が並列接続されることで構成されている。
【0035】
そして、制御部4のCPU41は、トランジスタQ2,Q4のベース電流を制御することで、トランジスタQ2,Q4のオン・オフを制御している。トランジスタQ2がオンすると、トランジスタQ3もオンし、赤外線LED211,212に電流が流れて赤外線信号が送信される。また、トランジスタQ4がオンすると、トランジスタQ5もオンし、赤外線LED221,222に電流が流れて赤外線信号が送信される。このように、CPU41は、トランジスタQ2,Q4をオンさせることで、前面送信部21,上面送信部22に対して赤外線信号の送信を指示することができる。
【0036】
操作モード切替部7は、制御部4とバッテリーE1の負極間に接続されており、抵抗R16を介して制御部4に接続されている。そして、操作モード切替部7を操作することで、操作モードを手動操作モードと自動送信モードとに切り替えることができる。なお、操作モード切替部7がオン(導通)状態(図1(b)における「自動」)の場合、自動送信モードとなり、操作モード切替部7がオフ(遮断)状態(図1(b)における「手動」)の場合、手動操作モードとなる。
【0037】
上記構成のリモコン送信器1において、ボタンスイッチ51,52が操作されて、赤外線信号(点灯指示信号・消灯指示信号)の送信要求が発生すると、CPU41はトランジスタQ1をオンしてバッテリーE1から傾斜センサ3への電源供給を開始する。傾斜センサ3は、電源供給されると、現在の器具本体6の傾斜角度θの検出を開始し、傾斜角度θに応じた検出電圧を制御部4に出力する。
【0038】
制御部4は、A/D変換機能を有しており、傾斜センサ3から出力されるアナログ値からなる検出電圧をデジタル値に変換し、この検出電圧に基づいて傾斜角度θを算出し、算出した傾斜角度θをメモリ42に格納する。
【0039】
CPU41は、メモリ42に格納された現在の傾斜角度θに基づいて、前面送信部21,上面送信部22のうち、少なくとも一方を選択する。そして、CPU41は、選択した送信部2(前面送信部21,上面送信部22)に対して、操作されたボタンスイッチ51,52に応じて赤外線信号(点灯指示信号・消灯指示信号)の送信を指示する。そして、赤外線信号の送信が終了すると、CPU41は、トランジスタQ1をオフすることで、傾斜センサ3への電源供給を停止する。
【0040】
操作モード切替部7を操作して手動操作モードに設定して場合、上記で説明したように、ボタンスイッチ51,52が赤外線信号の送信要求部として機能する。そして、ユーザーがボタンスイッチ51,52を操作することで、CPU41に対して赤外線信号の送信要求を発生する。そして、CPU41は、傾斜センサ3が検出する傾斜角度θに基づいて送信部2を選択する。そして、CPU41は選択した送信部2に対して赤外線信号の送信を指示し、送信部2から赤外線信号が送信される。
【0041】
また、自動送信モードに設定した場合、制御部4のタイマー43が赤外線信号の送信要求部として機能し、予め設定された時刻になるとタイマー43からCPU41に対して赤外線信号の送信要求を発生する。そして、CPU41が傾斜センサ3が検出する傾斜角度θに基づいて送信部2を選択し、選択した送信部2に対して赤外線信号の送信を指示する。そして、この送信部2から赤外線信号が送信される。
【0042】
次に、図3に示すフローチャートを用いて、本実施形態のリモコン送信器1の動作について説明する。なお、本実施形態では、図4(a)〜(d)に示すように、天井Tに設置される照明器具Sを、赤外線信号の送信対象機器としている。
【0043】
まず、ユーザーが操作モード切替部を操作して、リモコン送信器1の操作モードを手動操作モードと自動送信モードとのうち、いずれか一方に切り替える(S1)。
【0044】
ユーザーが自動送信モードを選択した場合、予め設定されている時刻になると、タイマー43がCPU41に対して赤外線信号の送信要求を発生する。そして、CPU41はトランジスタQ1をオンすることで傾斜センサ3に電源供給し、傾斜センサ3は器具本体6の傾斜角度θを検出する(S3)。
【0045】
そして、CPU41は、傾斜角度θが45°未満であるか否かを判断する(S5)。
【0046】
傾斜角度θが45°以上(θ≧45°)である場合、CPU41は前面送信部21および上面送信部22の両方を選択する(S8)。そして、CPU41は選択した前面送信部21,上面送信部22に対して、赤外線信号の送信を指示し、前面送信部21,上面送信部22は赤外線信号を送信する(S13)。
【0047】
また、傾斜角度θが45°未満(θ<45°)である場合、CPU41は上面送信部22のみを選択する(S9)。そして、CPU41は選択した上面送信部22に対して赤外線信号の送信を指示し、上面送信部22は赤外線信号を送信する(S13)。
【0048】
このように、自動送信モードでは、傾斜角度θが45°未満であるか否かで、選択する送信部2(前面送信部21,上面送信部22)を切り替える。図4(d)に示すように、傾斜角度θが45°以上である場合は、リモコン送信器1が壁面に設けられたリモコンホルダーに装着されている状態または、机上などにリモコン送信器1の操作面(上面)が垂直方向となるように立てて置かれた状態を想定している。
【0049】
リモコン送信器1がリモコンホルダーに装着されている状態において、前面送信部21のみを用いると、前面送信部21が照明器具Sに向いていないおそれがあり、前面送信部21の放射領域A1に照明器具Sが含まれない場合がある。また、リモコン送信器1が照明器具1の直下に立てて置かれている場合、上面送信部22のみを用いると、上面送信部22の放射領域A2に照明器具Sが含まれないおそれがある。そのため、本実施形態では、自動送信モードにおいて傾斜角度θが45°以上である場合、前面送信部21と上面送信部22との両方を用いて、赤外線信号を送信することで、赤外線信号の送信成功率を向上させている。また、傾斜角度θが45°以上とした理由は、リモコン送信器1が垂直方向であるか否かを判断するためである。
【0050】
また、図4(a)に示すように、傾斜角度θが45°未満である場合は、机上などにリモコン送信器1の操作面(上面)を上に向けて置かれた状態を想定しているため、上面送信部22のみを用いて赤外線信号を送信する。この場合、前面送信部21は壁面を向いており前面送信部21を用いる必要がないので、前面送信部21を停止することで消費電力を低減させることができる。
【0051】
一方、ユーザーが手動操作モードを選択した場合、CPU41はボタンスイッチ51,52がオン状態であるか否かを監視する(S2)。そして、CPU41は、ボタンスイッチ51,52が操作されてオン状態となり、赤外線信号(点灯指示信号・消灯指示信号)の送信要求を発生すると、CPU41はトランジスタQ1をオンすることで傾斜センサ3に電源供給する。そして、傾斜センサ3は器具本体6の傾斜角度θを検出する(S4)。
【0052】
そして、CPU41は、傾斜角度θが15°以上であるか否かを判断する(S6)。
【0053】
傾斜角度θが15°以上(θ≧15°)である場合、CPU41は前面送信部21を選択する(S10)。そして、CPU41は選択した前面送信部21に対して、赤外線信号の送信を指示し、前面送信部21は赤外線信号を送信する(S13)。
【0054】
また、傾斜角度θが15°未満(θ<15°)である場合、CPU41は傾斜角度θが10°以下であるか否かを判断する(S7)。
【0055】
傾斜角度θが10°以下(θ≦10°)である場合、CPU41は上面送信部22を選択する(S11)。そして、CPU41は選択した上面送信部22に対して、赤外線信号の送信を指示し、上面送信部22は赤外線信号を送信する(S13)。
【0056】
また、傾斜角度θが10°より大きい(θ>10°)場合、CPU41は前面送信部21および上面送信部22の両方を選択する(S12)。そして、CPU41は選択した前面送信部21,上面送信部22に対して、赤外線信号の送信を指示し、前面送信部21,上面送信部22は赤外線信号を送信する(S13)。
【0057】
このように、手動操作モードでは、まず傾斜角度θが15°以上であるか否かで、選択する送信部2(前面送信部21,上面送信部22)を切り替える。図4(c)に示すように、傾斜角度θが15°以上である場合は、ユーザーがリモコン送信器1を手に持ち、前面送信部21を照明器具Sに向けた状態を想定している。そのため、傾斜角度θが15°以上である場合、上面送信部22を停止し、前面送信部21のみを用いて赤外線信号を送信することで、消費電力を低減することができる。
【0058】
また、傾斜角度θが15°以上とした理由は、12畳の部屋において、部屋の隅に位置する部屋の中心から3.2mで高さ1.2mの位置から、高さ2.4mの位置に設けられた照明器具Sに対してリモコン送信器1を向けた場合、傾斜角度θは20°前後となる。また、この位置より照明器具Sに近付いた場合、さらに傾斜角度θは20°より大きくなる。そこで、持ち手の誤差を考慮し、傾斜角度θが15°以上である場合を、ユーザーがリモコン送信器1を手に持ち、前面送信部21を照明器具Sに向けている状態と想定している。
【0059】
また、傾斜角度θが10°以上15°未満である場合、図4(b)に示すように、前面送信部21および上面送信部22の両方を用いて赤外線信号を送信する。これは、ユーザーがリモコン送信器1を手に持ち、操作面(上面)を見ながら操作している状態を想定している。ユーザーがリモコン送信器1の操作面に記載された文字を見ながら送信する場合、無意識のうちに傾斜角度θが10°付近まで下がるおそれがある。そのため、前面送信部21のみを用いて赤外線信号を送信した場合、送信が失敗するおそれがある。したがって、傾斜角度θが10°以上15°未満である場合、前面送信部21および上面送信部22の両方を用いて赤外線信号を送信することで、赤外線信号の送信成功率を向上させることができる。
【0060】
また、傾斜角度θが10°未満である場合、図4(a)に示すように、上面送信部22を用いて赤外線信号を送信する。これは、机上などで操作面(上面)を上にしてボタンスイッチ51,52が操作される状態を想定している。そのため、前面送信部21は壁面に向いており、前面送信部21を用いる必要がないので、消費電力を低減させることができる。
【0061】
なお、上記で説明した傾斜角度θの値は、一例であって上記に限定するものではない。
【0062】
このように、本実施形態のリモコン送信器1は、器具本体6の傾斜角度θに応じて、用いる送信部2(前面送信部21,上面送信部22)を切り替えることで、赤外線信号の送信成功率を向上させると共に、消費電力を低減することができる。
【0063】
また、ステップS13において赤外線信号送信を開始した後、CPU41はステップS2において操作された操作部5(ボタンスイッチ51,52)のオン状態が継続する同一操作が行われているか否かを確認する(S14)。例えば、ステップS2においてボタンスイッチ51が操作されて送信指示信号の送信要求が発生し、送信指示信号送信した後、ステップS14においてボタンスイッチ51が操作されて送信要求が継続しているか否かを確認する。
【0064】
ステップS14において同一操作が行われていなかった場合、CPU41は、現在赤外線信号を送信している送信部2(前面送信部21,上面送信部22)に対して、赤外線信号の停止命令を送信し、赤外線信号の送信が停止する(S15)。
【0065】
そして、CPU41はトランジスタQ1をオフすることで、傾斜センサ3への電源供給を停止し、傾斜センサ3は傾斜角度θの検出を停止する(S16)。
【0066】
また、ステップS14において同一操作が行われている場合、CPU41はボタンスイッチ51,52のオン状態の継続が1秒以上であるか否かを確認する(S17)。
【0067】
オン状態の継続が1秒以上である場合、傾斜センサ3は再度、傾斜角度θを検出する(S18)。なお、ステップS4において検出した傾斜角度をθ1、ステップS17において検出した傾斜角度をθ2とする。CPU41は、傾斜角度θ1,θ2を比較し、両者の差が5°以上であるか否かを判断する(S19)。
【0068】
傾斜角度θ1,θ2の差が5°以上である場合、ステップS6に移行し、傾斜角度θ2に基づいて、赤外線信号を送信する送信部2(前面送信部21,上面送信部22)を再度選択する。そして、選択された送信部2(前面送信部21,上面送信部22)は赤外線信号を送信する。それによって、操作中に傾斜角度θが変化して、照明器具Sがリモコン送信器1から送信される赤外線信号の受信を失敗した場合でも、再度傾斜角度θを検出して赤外線信号を送信することで、赤外線信号の送信成功率を向上させることができる。
【0069】
また、ステップS15においてオン状態の計測が1秒未満である場合および、ステップS19において傾斜角度θ1,θ2の差が5°未満である場合、ステップS13に移行し、現在選択している送信部2(前面送信部21,上面送信部22)を用いて赤外線信号を送信する。
【0070】
なお、ステップS17におけるオン状態の継続時間1秒は、一例であって1秒以外であってもよい。
【0071】
また、赤外線LED211,212,221,222に、赤外線の放射角が広いものを用いることで、赤外線信号の送信成功率を向上させることができる。
【0072】
また、図5に示すように、例えば前面送信部21を上方に5°、上面送信部22を前方に5°傾けることによって、送信部2(前面送信部21,上面送信部22)が照明器具Sに向きやすく、赤外線信号の送信成功率が向上する。なお、上記5°は一例であって、5°に限定するものではない。
【0073】
また、図6に示すように、操作部5が1つのボタンスイッチ53で構成されていてもよい。ボタンスイッチ53は、抵抗R2を介してトランジスタQ1のベースに接続されており、CPU41はボタンスイッチ53の両端電圧を検出している。ボタンスイッチ53がオンされて両端電圧がゼロとなった状態を、赤外線信号の送信要求の発生とする。この場合、ボタンスイッチ53は、点灯ボタンと消灯ボタンとを兼用しており、ボタンスイッチ53を操作することで、照明器具Sの点灯・消灯の切り替えを指示する赤外線信号(点灯・消灯切替信号)の送信要求を発生する。
【0074】
そして、CPU41は、ボタンスイッチ53が操作されて点灯・消灯切替信号の送信要求が発生すると、傾斜センサ3が検出する傾斜角度θに基づいて、送信部2(前面送信部21,上面送信部22)を選択する。そして、CPU41は選択した送信部2に対して点灯・消灯切替信号の送信を指示し、この送信部2から点灯・消灯切替信号が送信される。
【0075】
また、本実施形態の送信部2は、前面送信部21と上面送信部22とで構成されているが、3つ以上の送信部2で構成されていてもよい。それによって、より多彩な方向に赤外線信号を送信することができる。
【0076】
また、本実施形態の傾斜センサ3は、器具本体6の前後方向の傾きのみを検出するが、2軸以上の傾きを検出する傾斜センサ3を用いてもよい。それによって、より多彩な方向に赤外線信号を送信することができる。
【0077】
また、本実施形態では、赤外線信号の送信対象機器を照明器具Sとしているが、照明器具Sに限定するものではなく、他の機器であってもよい。
【0078】
(実施形態2)
本実施形態のリモコン送信器1の外観図を図7(a)〜(c)、回路構成図を図8、動作を示すフローチャートを、図9に示す。なお、実施形態1と同一構成には、同一符号を付して説明は省略する。また、図9に示すフローチャートにおけるステップS1〜S19は、実施形態1と同様の制御が行われるので説明は省略する。
【0079】
本実施形態のリモコン送信器1は、送信モードを切り替えるセンサスイッチ8(送信モード切替部)が器具本体6の上面に設けられている。
【0080】
センサスイッチ8は、制御部4とバッテリーE1の負極間に接続されており、抵抗R17を介して制御部4に接続されている。そして、センサスイッチ8を操作することで、手動操作モード時における、制御部4の送信モードを選択送信モードと強制送信モードとに切り替えることができる。なお、センサスイッチ8がオン(導通)状態(図7(b)における「入」)の場合、制御部4の送信モードは選択送信モードとなり、センサスイッチ8がオフ(遮断)状態(図7(b)における「切」)の場合、制御部4の送信モードは強制送信モードとなる。
【0081】
選択送信モードとは、実施形態1と同様の制御を行う送信モードであって、CPU41が器具本体6の傾斜角度θに基づいて、送信部2(前面送信部21,上面送信部22)を選択し、選択した送信部2を用いて赤外線信号を送信する。一方、強制送信モードとは、傾斜センサ3の検出結果に関わらず、予め設定された送信部2を選択し、選択した送信部2を用いて赤外線信号を送信する。なお、本実施形態では、強制送信モードを選択した場合、常に前面送信部21を用いて赤外線信号の送信を行う。
【0082】
図9に示すように、ステップS2において、手動操作モードで操作部5(ボタンスイッチ51,52)が操作されると、CPU41はセンサスイッチ8の状態を確認する(S20)。センサスイッチ8が切り替えられてオン状態(選択送信モード)である場合、ステップS4に移行し、以降は実施形態1と同様の制御を行う。
【0083】
また、ステップS20において、センサスイッチ8が切り替えられてオフ状態(強制送信モード)である場合、CPU41は予め設定された前面送信部21を選択する(S21)。
【0084】
そして、CPU41は、選択した前面送信部21に対して、操作されたボタンスイッチ51,52に応じて、点灯指示信号・消灯指示信号の送信を指示し、前面送信部21から赤外線信号(点灯指示信号・消灯指示信号)が送信される(S22)。
【0085】
そして、CPU41は、現在赤外線信号を送信している前面送信部21に対して、赤外線信号の停止命令を送信し、赤外線信号の送信が停止する(S23)。
【0086】
このように、本実施形態では、ユーザーが傾斜センサ3を用いる送信部選択機能をオン・オフすることができ、送信部選択機能が必要ない場合は傾斜センサ3に電源供給されないので消費電力を低減することができる。
【0087】
また、図10に示すように、実施形態1と同様に、前面送信部21を上方に5°、上面送信部22を前方に5°傾けて設けることによって、送信部2(前面送信部21,上面送信部22)が照明器具Sに向きやすく、赤外線信号の送信成功率が向上する。
【0088】
なお、操作部5が1つのボタンスイッチ53で構成されている場合でも、実施形態1と同様の制御が行われる。
【符号の説明】
【0089】
1 リモコン送信器
2 送信部
3 傾斜センサ(傾斜検出部)
4 制御部
5 操作部(送信要求部)
6 器具本体
7 操作モード切替部
21 前面送信部
22 上面送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器を制御する赤外線信号を送信し、当該赤外線信号の送信方向が互いに異なる複数の送信部と、
前記複数の送信部が設けられる器具本体と、
前記器具本体の傾斜を検出する傾斜検出部と、
前記赤外線信号の送信要求を行う送信要求部と、
前記送信要求部が前記送信要求を発生すると、前記傾斜検出部の検出結果に基づいて、前記複数の送信部のうち、前記赤外線信号の放射領域に前記機器が含まれる少なくとも1つの前記送信部を選択し、選択した前記送信部に対して前記赤外線信号の送信を指示する制御部とを備えることを特徴とするリモコン送信器。
【請求項2】
前記傾斜検出部に電源供給を行う電源部を備え、
前記制御部は、前記電源部から前記傾斜検出部への電源供給をオン・オフ制御し、
前記制御部は、前記送信要求部が前記送信要求を発生した場合、前記電源部から前記傾斜検出部への電源供給を開始し、前記送信部が前記赤外線信号の送信を終了した場合、前記電源部から前記傾斜検出部への電源供給を停止することを特徴とする請求項1記載のリモコン送信器。
【請求項3】
前記傾斜検出部の検出結果に基づいて、前記制御部が、前記複数の送信部のうち少なくとも1つの前記送信部を選択し、選択した前記送信部に対して前記赤外線信号の送信を指示する選択送信モードと、前記制御部が、前記傾斜検出部の検出結果に関わらず予め設定された前記送信部を選択し、選択した前記送信部に対して前記赤外線信号の送信を指示する強制送信モードとを切り替える送信モード切替部を備えることを特徴とする請求項1または2記載のリモコン送信器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−175373(P2012−175373A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35031(P2011−35031)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】