説明

リモートデスクトップシステムおよび携帯通信端末

【課題】複数の周辺機器を集約して接続可能なハブ装置、およびスマートフォン等の携帯通信端末によってリモートデスクトップ環境を実現するリモートデスクトップシステムを提供する。
【解決手段】複数の周辺機器群40が接続されるIF群34と、近距離通信IF31とを有するIOハブ30と、近距離通信IF31との間で通信可能な近距離通信IF26と、リモートサーバ10と通信可能なネットワークIF21と、スマートフォンOS23と、リモートデスクトップサーバ11と連携してリモートデスクトップを実現するリモートデスクトップクライアント22と、周辺機器群40に対応するデバイスドライバとを有するスマートフォン20とを有し、リモートデスクトップクライアント22は、リモートサーバ10についてのリモートデスクトップを、デバイスドライバおよびIOハブ30との間の通信を介して、周辺機器群40において提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータのデスクトップ環境を実現する技術に関し、特に、いわゆるスマートフォン等の携帯通信端末を利用してデスクトップ環境を実現するリモートデスクトップシステムおよび携帯通信端末に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
IT技術の進展に伴い、ユーザが利用シーンにより、例えばデスクトップPC(Personal Computer)やノートPC、いわゆるスマートフォンやPDA(Personal Digital Assistant)等の携帯端末など、複数の情報処理端末を使い分ける利用形態が多く見られるようになっている。このような状況では、一人当たりの情報機器投資が増大するとともに、データの同期やセキュリティの維持などの対応も含め、必要となるコストが増大する。従って、情報機器の整備・維持コストを下げるとともに、安全で利便性の高い仕組みの実現が要求されている。
【0003】
これに対して、例えば、データの保持や処理をサーバ側に集中させ、クライアント端末側では必要最小限の処理のみを行うシンクライアントの技術が利用されてきている。シンクライアントの技術には種々のものがあるが、例えば、サーバに保持したOS(Operating System)イメージによってクライアント端末をネットワーク経由で起動するネットワークブートの形態や、OSの処理もサーバで行い、クライアント端末では単に画面表示と操作のみを遠隔で行うというリモートデスクトップの形態をとるものなどが利用されている。
【0004】
一方で、近年ではスマートフォンの機能や処理能力、通信速度などが大きく向上してきており、携帯端末でありながらPCと同様の処理(アプリケーションプログラムの実行)が行えるようになってきている。しかし、スマートフォンは携帯端末ゆえに小型化されているため、高性能化したとはいえ、特にデスクトップPCなどと比較するとユーザの操作性は大きく劣る。
【0005】
これに対して、例えば、米国特許出願公開第2009/23475号明細書(特許文献1)には、スマートフォンを接続可能なクレードルを有し、ディスプレイ、キーボード、マウス等の周辺機器を接続するためのUSB(Universal Serial Bus)ハブ等のインタフェースや、ネットワークインタフェース、プロセッサ、メモリ、OS等のプログラム、設定用のコンポーネントなどを備え、スマートフォンを接続することでデスクトップPC並みの性能や操作性を実現することができるスマートインタフェースシステムが開示されている。
【0006】
一方、ノートPCに対してディスプレイ、キーボード、マウス等の周辺機器を集約して接続することで容易にデスクトップPCと同等の操作性を得ることを可能とする機器としていわゆるドッキングステーションが利用可能である。また、例えば、非特許文献1に記載されているようなワイヤレスUSBハブなどの機器も利用可能である。このワイヤレスUSBハブでは、例えば、ワイヤレス通信により接続されたノートPC等に対して、USBにより接続された複数の周辺機器をワイヤレスコンソールとして利用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/23475号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】“ワイヤレスUSBスターターキット”、[online]、ラトックシステム株式会社、[平成22年4月15日検索]、インターネット<URL:http://www.ratocsystems.com/products/subpage/wusb/st_wusb.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来では、リモートデスクトップ等のシンクライアント技術によりデスクトップ環境を実現するには、ディスクレスのPC程度の能力を有するクライアント端末が必要とされていた。しかし近年ではスマートフォンが高性能化してきていることから、これを利用したデスクトップ環境の実現を考えることができる。
【0010】
ここで、例えば上述した特許文献1に記載された技術では、スマートインタフェースシステム(クレードル)のほうにプロセッサやメモリ、OS等のプログラムなど、相当の構成と機能を有し、スマートフォンを接続することで、シンクライアントではなくいわゆるファットクライアント相当の情報端末として機能させるものとなっている。従って、スマートインタフェースシステムの実装には相当のコストが必要となる。
【0011】
一方、例えば非特許文献1に記載された技術では、ノートPC等に対するコンソールを実現することでユーザの操作性を向上させることはできるが、スマートフォンとの連携については考慮されておらず、また、当該機器のみでリモートデスクトップによるシンクライアント環境を実現することはできない。
【0012】
そこで本発明の目的は、複数の周辺機器を集約して接続可能なハブ装置、およびスマートフォン等の携帯通信端末によってリモートデスクトップ環境を実現するリモートデスクトップシステムおよび携帯通信端末を提供することにある。本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0014】
本発明の代表的な実施の形態によるリモートデスクトップシステムは、リモートデスクトップ環境を実現するためのサーバプログラムを有するリモートサーバについてのリモートデスクトップを実現するものであって、以下の特徴を有するものである。
【0015】
すなわち、リモートデスクトップシステムは、入出力装置を含む複数の周辺機器が接続されるインタフェースと、第1の通信インタフェースとを有するIOハブと、前記IOハブの前記第1の通信インタフェースとの間で通信可能な第2の通信インタフェースと、無線通信を介して前記リモートサーバと通信可能なネットワークインタフェースと、OSと、前記OS上で稼働して前記リモートサーバの前記サーバプログラムと連携してリモートデスクトップを実現するクライアントプログラムと、前記IOハブに接続された前記周辺機器に対応するデバイスドライバとを有する携帯通信端末とを有する。
【0016】
前記携帯通信端末の前記クライアントプログラムは、前記リモートサーバについてのリモートデスクトップを、前記デバイスドライバおよび前記IOハブとの間の通信を介して、前記IOハブに接続された前記周辺機器において提供することを特徴とするものである。また、本発明は、リモートデスクトップシステムを構成する携帯通信端末にも適用することができる。
【発明の効果】
【0017】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0018】
本発明の代表的な実施の形態によれば、複数の周辺機器を集約して接続可能なハブ装置、およびスマートフォン等の携帯通信端末によってリモートデスクトップ環境を実現するリモートデスクトップシステムおよび携帯通信端末を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施の形態であるリモートデスクトップシステムの構成例の概要について示した図である。
【図2】本発明の一実施の形態における具体的な実装および利用形態の概要について例を示した図である。
【図3】本発明の一実施の形態におけるユーザがデスクトップ環境を利用可能となるまでの処理の流れの例について示したフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0021】
本発明の一実施の形態であるリモートデスクトップシステムは、複数の周辺機器(例えば、ディスプレイ、マウス、キーボード、プリンタ等)を集約して接続可能であり、近距離無線通信機能を有するハブ装置(以下では「IOハブ」と記載する場合がある)と、近距離無線通信機能を有してIOハブと接続可能であり、さらに無線LAN(Local Area Network)もしくは移動体通信網を介してリモートサーバに接続可能な携帯通信端末(例えば、スマートフォン等)とからなるシステムである。リモートサーバ上で稼働するOSや各種プログラムについての画面表示や操作等をIOハブに接続された周辺機器から遠隔で行えるようにすることで、リモートデスクトップ環境を実現することを可能とする。
【0022】
<システム構成>
図1は、本発明の一実施の形態であるリモートデスクトップシステムの構成例の概要について示した図である。リモートデスクトップシステム1は、リモートサーバ10に対して図示しないネットワークを介して接続する携帯通信端末であるスマートフォン20と、スマートフォン20との間で近距離無線通信を行うことが可能であり、ディスプレイやマウス、キーボード、プリンタ等の入出力装置からなる周辺機器群40を接続することができるIOハブ30とを有する構成となっている。
【0023】
リモートサーバ10は、ネットワークに接続されたコンピュータシステムによって実装されるサーバ機器であり、ソフトウェアプログラムによって実装されるリモートデスクトップサーバ11の機能により、図示しないOSやミドルウェア、各種アプリケーションプログラムなどの実行機能や、ストレージ機能などのコンピュータ資源を、後述するリモートデスクトップの機能によってクライアント端末から利用可能とする。すなわち、リモートデスクトップの機能によって、ユーザはリモートサーバ10上のOSや各種プログラムについての画面表示や操作等をクライアント端末から遠隔で行うことが可能である。なお、リモートデスクトップサーバ11を実装する技術については公知であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0024】
スマートフォン20は、各種プログラムを実行することができる機能を有し、無線LANもしくは移動体通信網などの無線通信を介して、ネットワークを経由してリモートサーバ10に接続することができる携帯通信端末である。本実施の形態では携帯通信端末としてスマートフォン20を例に挙げているが、携帯電話やPDAなど他の携帯通信端末を利用することも可能である。スマートフォン20は、ハードウェアもしくはソフトウェアによって実現されるネットワークインタフェース(IF)21、リモートデスクトップクライアント22、スマートフォンOS23、仮想デバイスドライバ24、ドライバ群25、近距離通信インタフェース(IF)26、機器認証部27などの各部を有する。
【0025】
ネットワークIF21は、移動体通信網もしくは無線LANのインタフェースであり、これによってネットワークを介してリモートサーバ10との間で通信を行うことができる。例えば、広域でのデータ交換が可能な第3世代や第4世代の移動体通信によって通信事業者経由でインターネットを介してリモートサーバ10にアクセスする構成などをとることができる。セキュリティが確保された企業内等での利用の場合は、例えば無線LANによって企業内のLANを経由してリモートサーバ10にアクセスする構成とすることも可能である。なお、リモートデスクトップ環境の操作性の観点から十分な通信速度を実現することが可能な手段を利用するのが望ましい。
【0026】
リモートデスクトップクライアント22は、後述するスマートフォンOS23の上で稼働するソフトウェアであり、リモートサーバ10のリモートデスクトップサーバ11と連携してスマートフォン20上でリモートデスクトップサービスを実現する。なお、スマートフォン20自体の図示しないディスプレイ等を利用してリモートデスクトップサービスを実現するためのリモートデスクトップクライアント22を実装する技術については公知である(例えば、URL:http://code.google.com/p/android-vnc-viewer/など)ため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0027】
スマートフォンOS23は、スマートフォン20上で稼働するOSであり、例えば、Google社のAndroid(登録商標)やMicrosoft社のWindows Mobile(登録商標)などを利用することができる。
【0028】
仮想デバイスドライバ24およびドライバ群25は、スマートフォンOS23から、もしくはスマートフォンOS23上で稼働するアプリケーションから外部の周辺機器群40を制御するためのソフトウェアである。ドライバ群25は、ディスプレイやマウス、キーボード、プリンタ等の周辺機器群40の各機器に対応してこれらの動作を制御する、いわゆるネイティブコードで実装されたドライバプログラムからなる。また、仮想デバイスドライバ24は、ネイティブコードで実装されたドライバ群25に対して、スマートフォンOS23から、もしくはスマートフォンOS23上で稼働するアプリケーションからネイティブコールを行うためのインタフェースを提供するソフトウェアである。
【0029】
近距離通信IF26は、近距離無線通信を行うためのインタフェースであり、これにより後述するIOハブ30の近距離通信IF31との間で無線通信を行うことが可能である。近距離通信IF26としては、例えば、ワイヤレスUSBやBluetooth(登録商標)など種々の方式を利用することができるが、リモートデスクトップ環境の操作性の観点から十分な通信速度を実現することが可能な手段を利用するのが望ましい。なお、本実施の形態では、上記のようにスマートフォン20とIOハブ30との間の通信は近距離無線通信を利用するものとしているが、通信手段はこれに限らず、USBなどによる有線通信であってもよい。
【0030】
機器認証部27は、スマートフォン20の近距離通信IF26とIOハブ30の近距離通信IF31との間の無線通信において、後述するIOハブ30の機器認証部32との間で相互に機器認証を行うとともに、無線通信により授受されるデータの暗号化および復号化を行う。これにより、複数のIOハブ30が存在する場合に、スマートフォン20は通信相手のIOハブ30を特定して他と混信せずに秘話通信を行うことができる。なお、機器認証や暗号化の手法については特に限定されず、公知の手法から適宜選択して利用することができる。
【0031】
IOハブ30は、各種の周辺機器群40を集約して接続することが可能であるとともに、近距離無線通信を介して他の機器(本実施の形態ではスマートフォン20)から周辺機器群40へのアクセスを可能とするハブ装置である。IOハブ30は、ハードウェアもしくはソフトウェアによって実現される近距離通信インタフェース(IF)31、機器認証部32、変換部33、インタフェース(IF)群34などの各部を有する。
【0032】
近距離通信IF31および機器認証部32は、上述したスマートフォン20の近距離通信IF26および機器認証部27との間で、近距離無線通信および機器認証をそれぞれ行う。変換部33は、後述するIF群34と近距離通信IF31との間で授受されるデータのフォーマット変換を行う。IF群34は、IOハブ30に対して接続される外部の周辺機器群40に対する接続インタフェースである。図示するように、周辺機器群40の各機器の種別に応じた固有のインタフェース(ディスプレイIF、マウスIF…など)を有していてもよいし、周辺機器が利用可能であれば、例えばUSBインタフェースのような汎用的なインタフェースを利用してもよい。
【0033】
図2は、図1に示したリモートデスクトップシステム1の具体的な実装および利用形態の概要について例を示した図である。図2の例では、リモートサーバ10はインターネット等のネットワーク50に接続されており、クラウドコンピューティング環境によって提供されるサーバやサービスであってもよい。一方、例えば、企業におけるサテライトオフィス70やネットカフェなど、不特定のユーザがコンピュータ資源を利用するための環境では、PCやディスクレスのシンクライアント端末などではなく、IOハブ30a〜cおよびこれにそれぞれ接続された周辺機器群40a〜cのセットのみが複数設置されて利用可能となっている。
【0034】
ここで例えばユーザ71は、自身が保有するスマートフォン20aと利用可能なIOハブ30(図2の例ではIOハブ30a)との間で近距離無線通信による接続を確立させる。このとき、対象のスマートフォン20aとIOハブ30aとの間で機器認証を行って相互に相手方を識別することで、以降の通信における他のスマートフォン20cやIOハブ30b、cとの間での混信を防止する。
【0035】
スマートフォン20aは、例えば移動体通信網を介して通信事業者60経由でネットワーク50に接続し、リモートサーバ10に対するリモートデスクトップサービスを実行する。このとき、ユーザ71に対する画面表示やユーザ71による各種操作は、ユーザ71のスマートフォン20aとIOハブ30aを介して接続された周辺機器群40aによって行う。
【0036】
<処理の概要>
図3は、図2に示したような環境においてリモートデスクトップシステム1によってユーザ71がデスクトップ環境を利用可能となるまでの処理の流れの例について示したフロー図である。まずユーザ71は、準備としてIOハブ30に所望の周辺機器が接続されていない場合はこれらをIF群34に接続し(S01)、IOハブ30および周辺機器群40の電源を投入する(S02)。IOハブ30は、電源投入後、近距離無線通信IF31によってスマートフォン20からの接続待ちの状態となる(S03)。
【0037】
一方、ユーザ71が保有するスマートフォン20は、ユーザ71からの指示により、近距離無線通信IF26によって接続可能なIOハブ30(接続待ち状態であるIOハブ30)の検索を行う(S04)。検索により複数のIOハブ30が検出された場合は、スマートフォン20のディスプレイにそのリストを表示する。ユーザ71はリストから接続するIOハブ30を選択し、スマートフォン20の近距離無線通信IF26は、選択されたIOハブ30の近距離無線通信IF31との間で相互に接続処理を行う(S05、S06)。
【0038】
なお、上記のステップS03およびS04の処理は、スマートフォン20とIOハブ30とを有線通信により接続する場合は不要である。ユーザ71がスマートフォン20と所望のIOハブ30とを有線接続する処理が、ステップS05におけるIOハブ30の選択処理に相当する。
【0039】
スマートフォン20とIOハブ30との間の接続が確立すると、当該接続を利用して相互に機器情報の交換を行う(S07、S08)。交換する機器情報としては、例えば、スマートフォン20の機器タイプやスマートフォンOS23に関する情報、IOハブ30に接続された周辺機器群40の各機器についての機器タイプに関する情報などが含まれる。これにより、例えばスマートフォン20の仮想デバイスドライバ24においてドライバ群25として実際に使用するドライバの種類やバージョン等を選択したり、必要に応じてリモートサーバ10からダウンロードしたりすることができる。
【0040】
また、機器情報の交換の際に、スマートフォン20とIOハブ30との間の接続が無線通信による場合は、通信相手を相互に特定して混信を防止するために機器認証を行う。ここでは例えば、スマートフォン20の機器認証部27とIOハブ30の機器認証部32との間で相互に認証用のIDの交換等を行う。スマートフォン20とIOハブ30との間で機器情報の交換が完了すると、IOハブ30では周辺機器群40としてディスプレイが接続されていればこれに接続完了の旨を表示し(S09)、スマートフォン20ではスマートフォン20のディスプレイに接続完了の旨を表示する(S10)。
【0041】
その後、スマートフォン20では、リモートデスクトップクライアント22によってリモートサーバ10へのログイン要求を行い(S11)、リモートサーバ10では、リモートデスクトップサーバ11においてログイン処理が行われる(S12)。ログイン処理が完了すると、スマートフォン20のリモートデスクトップクライアント22とリモートサーバ10のリモートデスクトップサーバ11との連携によってスマートフォン20上でリモートデスクトップを実現することが可能となる。このとき、リモートデスクトップクライアント22は、仮想デバイスドライバ24およびドライバ群25を利用してIOハブ30に接続された周辺機器群40上でリモートサーバ10に対するリモートデスクトップを実現(表示)させる(S13、S14)。
【0042】
以上に説明したように、本発明の一実施の形態であるリモートデスクトップシステム1によれば、IOハブ30を介してディスプレイやマウス等の周辺機器群40を接続可能とすることで、スマートフォン20を直接操作する場合と比較してユーザ71の操作性を大きく改善することができる。また、デスクトップサービス自体は、例えばクラウドコンピューティング環境におけるリモートサーバ10によって提供しつつ、そのクライアントとしての処理とIOハブ30との間の入出力データの授受の部分のみをスマートフォン20上で行うことで、スマートフォン20を用いてPCと遜色のないデスクトップ環境を安価に実現することができる。
【0043】
また、スマートフォン20がIOハブ30を介して周辺機器群40と接続する構成とすることで、スマートフォン20が個々の周辺機器と接続を確立する必要がなく、IOハブ30との間での一度の接続で済むため、ユーザ71の利便性を向上させることができる。また、デスクトップ自体やデスクトップでの処理に係るデータをスマートフォン20上に保持せずリモートサーバ10上に保持する構成であるため、例えばスマートフォン20を紛失した場合であっても、リモートサーバ10においてリモートデスクトップサービスを利用するための接続用のID等を使用不可とするだけで不正利用を防止することができる。これにより、スマートフォン20などの可搬な通信端末を利用することによるセキュリティ上のリスクを低減することができる。
【0044】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、スマートフォン等の携帯通信端末を利用してデスクトップ環境を実現するリモートデスクトップシステムおよび携帯通信端末に利用可能である。
【符号の説明】
【0046】
1…リモートデスクトップシステム、
10…リモートサーバ、11…リモートデスクトップサーバ、
20、20a、20c…スマートフォン、21…ネットワークインタフェース(IF)、22…リモートデスクトップクライアント、23…スマートフォンOS、24…仮想デバイスドライバ、25…ドライバ群、26…近距離通信インタフェース(IF)、27…機器認証部、
30、30a〜c…IOハブ、31…近距離通信インタフェース(IF)、32…機器認証部、33…変換部、34…インタフェース(IF)群、
40、40a〜c…周辺機器群、
50…ネットワーク、
60…通信事業者、
70…サテライトオフィス、71…ユーザ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リモートデスクトップ環境を実現するためのサーバプログラムを有するリモートサーバについてのリモートデスクトップを実現するリモートデスクトップシステムであって、
入出力装置を含む複数の周辺機器が接続されるインタフェースと、第1の通信インタフェースとを有するIOハブと、
前記IOハブの前記第1の通信インタフェースとの間で通信可能な第2の通信インタフェースと、無線通信を介して前記リモートサーバと通信可能なネットワークインタフェースと、OSと、前記OS上で稼働して前記リモートサーバの前記サーバプログラムと連携してリモートデスクトップを実現するクライアントプログラムと、前記IOハブに接続された前記周辺機器に対応するデバイスドライバとを有する携帯通信端末とを有し、
前記携帯通信端末の前記クライアントプログラムは、前記リモートサーバについてのリモートデスクトップを、前記デバイスドライバおよび前記IOハブとの間の通信を介して、前記IOハブに接続された前記周辺機器において提供することを特徴とするリモートデスクトップシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のリモートデスクトップシステムにおいて、
前記携帯通信端末の前記ネットワークインタフェースは、広域でのデータ交換が可能な移動体通信網に対するインタフェースであることを特徴とするリモートデスクトップシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のリモートデスクトップシステムにおいて、
前記携帯通信端末の前記ネットワークインタフェースは、無線LANに対するインタフェースであることを特徴とするリモートデスクトップシステム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のリモートデスクトップシステムにおいて、
前記デバイスドライバは、前記携帯通信端末のネイティブコードで実装されたドライバプログラムと、前記ドライバプログラムに対して前記OSもしくは前記クライアントプログラムからネイティブコールを行うためのインタフェースを提供する仮想デバイスドライバとからなることを特徴とするリモートデスクトップシステム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のリモートデスクトップシステムにおいて、
前記IOハブの前記第1の通信インタフェースと、前記携帯通信端末の前記第2の通信インタフェースとの間での通信は近距離無線通信であり、前記IOハブおよび前記携帯通信端末は、それぞれ相互に機器認証を行うための機器認証部をさらに有することを特徴とするリモートデスクトップシステム。
【請求項6】
リモートデスクトップ環境を実現するためのサーバプログラムを有するリモートサーバについてのリモートデスクトップを実現するリモートデスクトップシステムにおいて利用される携帯通信端末であって、
入出力装置を含む複数の周辺機器が接続されるIOハブとの間で通信可能な通信インタフェースと、無線通信を介して前記リモートサーバと通信可能なネットワークインタフェースと、OSと、前記OS上で稼働して前記リモートサーバの前記サーバプログラムと連携してリモートデスクトップを実現するクライアントプログラムと、前記IOハブに接続された前記周辺機器に対応するデバイスドライバとを有し、
前記クライアントプログラムは、前記リモートサーバについてのリモートデスクトップを、前記デバイスドライバおよび前記IOハブとの間の通信を介して、前記IOハブに接続された前記周辺機器において提供することを特徴とする携帯通信端末。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−227810(P2011−227810A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−98771(P2010−98771)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(000155469)株式会社野村総合研究所 (1,067)
【Fターム(参考)】