説明

リモートデスクトップ表示方法

【課題】携帯電話端末の処理能力に依存せずに、パーソナルコンピュータの画面を携帯端末に表示し、ストレスの無い画面制御を行うことのできるリモートデスクトップ表示技術を実現する。
【解決手段】ネットワークに接続されたパーソナルコンピュータに、管理サーバから画面送出アプリケーションプログラムをダウンロードして、パーソナルコンピュータから管理サーバにパーソナルコンピュータのアドレスと、このパーソナルコンピュータに関連付けられた携帯電話端末の識別子を登録しておき、次に、管理サーバから携帯電話端末に携帯電話端末用アプリケーションプログラムをダウンロードして、この携帯電話端末用アプリケーションプログラムで管理サーバへのアクセス認証を行うと、管理サーバが、パーソナルコンピュータの画面送出アプリケーションプログラムから受信した画面情報を携帯電話端末に送信して、この携帯電話端末が受信した画面情報を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汎用のパーソナルコンピュータの画面表示をネットワークを介して携帯電話端末から行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
自宅やオフィスに設置したパーソナルコンピュータ等の情報処理機器の画面を、ネットワーク接続した携帯電話端末で閲覧できるようにする、いわゆるリモートデスクトップ技術が知られている。
【0003】
このようなリモートデスクトップ表示技術では、パーソナルコンピュータの画面をそのままフルブラウザと呼ばれる携帯電話端末上のアプリケーションプログラムで表示するものであった。
【特許文献1】特表2002−517814号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのため、前記従来技術では、携帯電話端末上でパーソナルコンピュータの全画面を表示するために高精度な液晶表示画面を装備しなければならず、かつ、全画面を把握するためには携帯電話端末の画面を大画面化せざるを得なかった。
【0005】
さらに、前記技術では、円滑な画面操作が、携帯電話端末の中央処理装置の処理能力や通信速度に依存しているため、パーソナルコンピュータに較べて処理能力が劣る携帯電話端末では、ストレスの無い操作を行うことが難しかった。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、携帯電話端末の処理能力に依存せずに、パーソナルコンピュータの画面を携帯端末に表示し、ストレスの無い画面制御を行うことのできるリモートデスクトップ表示技術を提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明では、以下の手段を採用した。
【0008】
本発明の請求項1は、ネットワークに接続されたパーソナルコンピュータに、管理サーバから画面送出アプリケーションプログラムをダウンロードするステップと、前記パーソナルコンピュータの前記画面送出アプリケーションプログラムから前記管理サーバに対して、当該パーソナルコンピュータのアドレスと、このパーソナルコンピュータに関連付けられた携帯電話端末の識別子を登録するステップと、前記携帯電話端末からネットワークを介して前記管理サーバに対して携帯電話端末用アプリケーションプログラムのダウンロードを要求し、当該要求に応じて、前記管理サーバから前記携帯電話端末に対して携帯電話端末用アプリケーションプログラムをダウンロードするステップと、前記携帯電話端末が前記携帯電話端末用アプリケーションプログラムを起動して、前記管理サーバへのアクセス認証を行うステップと、前記アクセス認証に基づいて前記管理サーバが、前記パーソナルコンピュータの前記画面送出アプリケーションプログラムによって送信した画面情報を受信し、前記携帯電話端末に送信するステップと、前記携帯電話端末の前記携帯電話端末用アプリケーションプログラムが前記で受信した画面情報を表示するステップとからなるリモートデスクトップ表示方法である。
【0009】
これによれば、管理サーバを介して、パーソナルコンピュータの画面送出アプリケーシ
ョンプログラムと、携帯電話端末の携帯電話端末用アプリケーションプログラムとが通信を行うことで、当該携帯電話端末に最適な表示画面情報を提供することが可能となるため、携帯電話端末の処理能力に依存せずに、パーソナルコンピュータの画面を携帯端末に表示し、ストレスの無い画面制御を行うができる。
【0010】
本発明の請求項2は、前記携帯電話端末用アプリケーションプログラムが、前記携帯電話端末の押釦の操作信号を前記管理サーバに送信するステップと、前記管理サーバが、前記押釦の操作信号をパーソナルコンピュータの制御信号に変換して前記パーソナルコンピュータに送信するステップとを実行する請求項1記載のリモートデスクトップ表示方法である。
【0011】
パーソナルコンピュータの画面制御、すなわちウィンドウ・アイコンの選択、クリック操作等を携帯電話端末の押釦に割り当てて制御することによって、限られた操作系(押釦)しか有さない携帯電話端末であっても、パーソナルコンピュータの画面制御をストレス無く行うことが可能となる。
【0012】
本発明の請求項3は、前記パーソナルコンピュータの画面送出アプリケーションプログラムが、パーソナルコンピュータの画面の少なくとも一部を切り出して画面情報として前記管理サーバに送信するステップを実行する請求項1または2記載のリモートデスクトップ表示方法である。
【0013】
これによれば、高精度なフルブラウザアプリケーションを有しない携帯電話端末、すなわちパーソナルコンピュータの全画面が表示できない携帯電話端末であっても一部の切り出し画面だけを表示させてパーソナルコンピュータの画面制御を実行することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、携帯電話端末の処理能力に依存せずに、パーソナルコンピュータの画面を携帯端末に表示し、ストレスの無い画面制御を行うことのできるリモートデスクトップ表示を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
【0016】
図1は、本発明の全体システムを示す図である。
【0017】
同図に示すように、本実施形態では、ネットワークを介して接続されたパーソナルコンピュータ、センターサーバ、基地局および携帯電話端末で構成される。
【0018】
センターサーバは、図2に示すように、バス(BUS)によって接続された中央処理装置(CPU)、メインメモリ(MM)、ハードディスク装置(HD)、ディスプレイ装置(DISP)、キーボード(KBD)、マウス等で構成されている。
【0019】
ハードディスク装置内には、オペレーティングシステムとともに、PCアプリケーションプログラム、モバイルアプリケーションプログラム、ユーザデータベースが格納されている。
【0020】
ここで、PCアプリケーションプログラムは、ネットワークを介してパーソナルコンピュータからのダウンロード要求に応じて当該パーソナルコンピュータにダウンロードされるためのプログラムである。すなわち、このPCアプリケーションプログラムは、パーソ
ナルコンピュータにダウンロードされてパーソナルコンピュータのリモートデスクトップ制御プログラムとして機能する。
【0021】
また、モバイルアプリケーションプログラムは、基地局およびネットワークを介して、携帯電話端末からのダウンロード要求に応じて当該携帯電話端末にダウンロードされるためのプログラムである。すなわち、このモバイルアプリケーションプログラムは、iアプリ(NTTドコモ株式会社の商標)等と呼ばれるJAVA(登録商標)プログラムであり、携帯電話端末にダウンロードされて携帯電話端末のリモートデスクトップ制御プログラムとして機能する。
【0022】
ユーザデータベースには、ユーザIDと、パーソナルコンピュータのアドレスと、パスワードと、携帯電話端末の端末装置番号、機種番号等が登録されて、パーソナルコンピュータと携帯電話端末とを関係付けている。なお、1つのユーザIDに対して、登録可能なパーソナルコンピュータは複数台であってもかまわない。
【0023】
なお、図示は省略するが、パーソナルコンピュータも同様にバス(BUS)によって接続された中央処理装置(CPU)、メインメモリ(MM)、ハードディスク装置(HD)、ディスプレイ装置(DISP)、キーボード(KBD)等で構成されている。このハードディスク装置内には、オペレーティングシステムとともに、マイクロソフト社のインターネットエクスプローラ等のインターネット接続・閲覧プログラムが登録されている。
【0024】
次に、図3によって、パーソナルコンピュータと携帯電話端末のセンターサーバへの登録手順を説明する。
【0025】
まず、ユーザはあらかじめパーソナルコンピュータにインストールしてあるインターネット接続プログラムおよび閲覧プログラムを使用して、ネットワークを介してセンターサーバの所定のアドレス(URL)にアクセスする。
【0026】
このアドレスは、センターサーバに登録されたPCアプリケーションプログラムのダウンロード要求画面の表示アドレスであり、この要求画面から要求入力を行うことによって、センターサーバのハードディスク装置内のPCアプリケーションプログラムがネットワークを介してパーソナルコンピュータのハードディスク装置内にダウンロードされる。
【0027】
次に、ユーザはダウンロードしたPCアプリケーションプログラムを実行可能な状態にハードディスク装置内にインストールする(1)。
【0028】
そして、次にユーザは、パーソナルコンピュータ内のPCアプリケーションプログラムを起動して、インターネット接続プログラムを介してセンターサーバのユーザデータベースに対してユーザ登録を行う(2)。このとき、ユーザデータベースに割り当てられたユーザIDに対して、パスワードの設定を行う。このとき、センターサーバの中央処理装置は、当該パーソナルコンピュータのアドレスを認識して、前記ユーザIDとパスワードとともにこのパーソナルコンピュータのアドレスを関連付けてユーザデータベースに登録する(3)。
【0029】
次にユーザは、自身が所持している携帯電話端末から前記センターサーバにアクセスし、モバイルアプリケーションのダウンロード要求を行う(4)。これに対してセンターサーバの中央処理装置は、ハードディスク装置内のモバイルアプリケーションプログラムをネットワークおよび基地局を介してダウンロードさせる(5)。
【0030】
次にユーザは、携帯電話端末より基地局、ネットワークを介してセンターサーバにアク
セスして、ユーザIDを入力する。このとき、中央処理装置は、ユーザデータベースから当該ユーザIDに対応した利用可能なパーソナルコンピュータのリストを生成し、リスト画面として携帯電話端末に返信する(6)。前記リスト画面は携帯電話端末の表示画面に表示され、ユーザは当該リスト画面からコントロールしたパーソナルコンピュータを選択して、パスワードを入力する(7)。
【0031】
センターサーバの中央処理装置は、携帯電話端末で入力されたパスワードとデータベースに格納されたパスワードとを照合し、一致した場合(認証した場合)には、当該パーソナルコンピュータのアドレスを前記携帯電話端末に送信する(8)。
【0032】
次に、携帯電話端末は、前記でセンターサーバから受信したアドレスに基づいて、基地局およびネットワークを介してパーソナルコンピュータにアクセスし、画面情報送出要求を行う。
【0033】
パーソナルコンピュータにインストールされたPCアプリケーションを読み込んだ中央処理装置が、前記携帯電話端末からのアクセスを検出すると、その画面情報の出力要求にしたがって、当該パーソナルコンピュータの画面情報をネットワークを介して携帯電話端末に出力する(9)。このとき、当該画面情報はセンターサーバを経由してもよいし、直接携帯電話端末に出力してもよい。
【0034】
前記画面情報を受信した携帯電話端末は、この画面情報を自身の表示画面に出力するとともに(10)、携帯電話端末の押釦を用いた制御コードの入力を受け付ける。
【0035】
前記携帯電話端末の押釦による制御コードが入力されると、モバイルアプリケーションプログラムを読み込んだ携帯電話端末の中央処理装置は、当該制御コードを基地局およびネットワークを介してパーソナルコンピュータに送信する(11)。
【0036】
そして、パーソナルコンピュータでは、受信した制御コードに応じた入出力処理、画面制御処理を行う。
【0037】
ここで、パーソナルコンピュータのディスプレイ画面と、携帯電話端末の表示画面とではその大きさが異なるため、図4に説明したような処理を行う。
【0038】
すなわち、事前登録されたパーソナルコンピュータにインストールされたPCアプリケーションが、ディスプレイ装置に表示される画面の一部を切り出してセンターサーバに送信するが、センターのサーバでは、あらかじめ登録されたユーザデータベースの携帯電話端末の端末装置番号、機種番号から携帯電話端末の機種を認識して、その画面サイズにあわせて、パーソナルコンピュータから送信された画像の縦横比サイズを圧縮して携帯電話端末に送信する。これによって、携帯電話端末にとって最適な表示が可能となる。
【0039】
そして、携帯電話端末では、数字押釦の2,4,6,8でマウスの移動、マウスの右クリック、左クリック、ドラッグをそれぞれ定義しておき、定義されたキーシーケンスを制御コードとして送信する。
【0040】
なお、あらかじめセンターサーバのユーザデータベースに登録されたパーソナルコンピュータのIPアドレスを、センターサーバから携帯電話端末のモバイルアプリケーションプログラムに伝えることで、以後のキーシーケンス(制御コード)のやりとりは、携帯電話端末のモバイルアプリケーションとPCアプリケーション間で直接行うようにしてもよい。
【0041】
そして、パーソナルコンピュータでは、携帯電話端末の押釦操作によるキーシーケンス(制御コード)で、マウスの上下左右、右クリック、左クリックを動きをエミュレートし、パーソナルコンピュータに入力する。この入力にともなって、パーソナルコンピュータの画面が再表示される。
【0042】
図5は、このようにして表示されるパーソナルコンピュータの画面と携帯電話端末の液晶表示画面との関係を示したものである。また、図8はこれをさらに具体的に示したものである。図5に示すように、パーソナルコンピュータのPCアプリケーションプログラムは、マウスカーソルの位置を常に検出し、そのマウスカーソルを中心として携帯電話端末用の画面の切り取り処理を行うようになっている。
【0043】
図6は、携帯電話端末のそれぞれの押釦と、キーシーケンス(制御コード)との関係を説明したものである。すなわち、マウスカーソルの移動制御については、「2」が上方向、「4」が左方向、「6」が右方向、「8」が下方向への移動にそれぞれ対応している。
【0044】
また、「*」が左クリック、「#」が右クリック、「0」がドラッグ・ドロップ動作がそれぞれ対応している。
【0045】
このように、携帯電話端末の押釦の配置を利用して直感的に把握可能な位置にある数字釦にそれぞれのキーシーケンスを割り当てることによって、パーソナルコンピュータの画面制御が極めて容易になる。
【0046】
図7は、携帯電話端末のテキスト入力インターフェースを用いたパーソナルコンピュータの画面上でのテキスト入力処理を示したものである。
【0047】
同図に示すように、携帯電話端末のモバイルアプリケーションプログラムを読み込んだ中央処理装置は、画面表示状態でテキストボックスがクリックされると携帯電話端末自身がプリインストールしているテキスト入力インターフェースプログラムを起動する。そしてこのプログラムにしたがって入力された文字コードを入力文字列としてパーソナルコンピュータに送信する。
【0048】
このように、テキスト入力そのものは、パーソナルコンピュータのフロントエンドプロセッサを起動して行うのではなく、ユーザにとって慣れ親しんだ携帯電話端末のテキスト入力で行うことによって、パーソナルコンピュータに対してストレスの無いテキスト入力が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、遠隔地にある情報処理機器の画面制御に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施形態のリモートデスクトップシステムの全体構成図
【図2】実施形態のセンターサーバのブロック構成図
【図3】実施形態の処理手順の概略を示すブロック図
【図4】実施形態の携帯電話端末とパーソナルコンピュータでの処理を示すブロック図
【図5】実施形態のパーソナルコンピュータと携帯電話端末の画面表示の関係を示す説明図
【図6】実施形態の携帯電話端末の押釦による画面制御コードの出力割り当てを示す説明図
【図7】実施形態の携帯電話端末によるテキスト入力を説明するための図
【図8】図5に対応した具体的な画面の表示状態を示す図
【符号の説明】
【0051】
CPU 中央処理装置
MM メインメモリ
HD ハードディスク装置
BUS バス
DISP ディスプレイ装置
KBD キーボード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続されたパーソナルコンピュータに、管理サーバから画面送出アプリケーションプログラムをダウンロードするステップと、
前記パーソナルコンピュータの前記画面送出アプリケーションプログラムから前記管理サーバに対して、当該パーソナルコンピュータのアドレスと、このパーソナルコンピュータに関連付けられた携帯電話端末の識別子を登録するステップと、
前記携帯電話端末からネットワークを介して前記管理サーバに対して携帯電話端末用アプリケーションプログラムのダウンロードを要求し、当該要求に応じて、前記管理サーバから前記携帯電話端末に対して携帯電話端末用アプリケーションプログラムをダウンロードするステップと、
前記携帯電話端末が前記携帯電話端末用アプリケーションプログラムを起動して、前記管理サーバへのアクセス認証を行うステップと、
前記アクセス認証に基づいて前記管理サーバが、前記パーソナルコンピュータの前記画面送出アプリケーションプログラムによって送信した画面情報を受信し、前記携帯電話端末に送信するステップと、
前記携帯電話端末の前記携帯電話端末用アプリケーションプログラムが前記で受信した画面情報を表示するステップとからなるリモートデスクトップ表示方法。
【請求項2】
前記携帯電話端末用アプリケーションプログラムが、前記携帯電話端末の押釦の操作信号を前記管理サーバに送信するステップと、
前記管理サーバが、前記押釦の操作信号をパーソナルコンピュータの制御信号に変換して前記パーソナルコンピュータに送信するステップとを実行する請求項1記載のリモートデスクトップ表示方法。
【請求項3】
前記パーソナルコンピュータの画面送出アプリケーションプログラムが、パーソナルコンピュータの画面の少なくとも一部を切り出して画面情報として前記管理サーバに送信するステップを実行する請求項1または2記載のリモートデスクトップ表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−251630(P2007−251630A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−72849(P2006−72849)
【出願日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(500183881)株式会社サイバードホールディングス (5)
【Fターム(参考)】