説明

リライタブルシートの画像形成・消去システム

【課題】第1変色温度以下に冷却されたときに第1色を表示し、第2変色温度以上に昇温
した時に第2色を表示するリライタブルシートを確実に第1変色温度以下に冷却すること

【解決手段】第1変色温度(−15℃)以下に冷却されたときに第1色を表示し、第2変
色温度(60℃)以上に昇温した時に前記第1色とは異なる第2色を表示するリライタブ
ルシート(1)の表面を部分的に第2変色温度(60℃)以上に昇温させて、部分的に第
2色の表示部分を形成することにより画像を形成するリライタブルシート用表示具又は表
示装置(16)と、冷却室(A)内の温度を検出する温度センサにより検出された温度に
基づいて、冷却室(A)内が前記第1変色温度(−15℃)以下で冷却用電源をオフにす
る冷却庫(6)と、を備えたリライタブルシートの画像形成・消去システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の第1変色温度以下に冷却されたときに第1色を表示し、所定の第2変
色温度以上に昇温した時に前記第2変色温度以上に昇温した部分のみが前記第1色とは異
なる第2色を表示するリライタブルシートの画像形成・消去システム、画像形成・消去方
法、および画像消去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
前記リライタブルシート表面への画像形成・消去方法としては、次の特許文献1記載の
技術が従来公知である。
(1)特許文献1:特許第2905998号明細書(特開平4−329993号公報)
この特許文献1には、低温側変色点と高温側変色点との2つの熱変色点を持ち、低温側
変色点以下の温度で第1色を表示し、高温側変色点以上の温度で第2色を表示する熱変色
性要素の熱変色層を高温側変色点以上に昇温させて変色させる通電加熱具が記載されてい
る。
【0003】
またこの特許文献1には、従来技術およびその問題点が次のように記載されている。
すなわち、熱変色層を冷却変色させるための携帯性の軽便な冷熱手段は未だ開示されて
おらず、冷水、氷片等の冷熱媒体の適用や、対象の熱変色性要素を冷蔵庫内に入れ、庫内
の冷気による変色操作を行う技術が記載されている。また、前記対象の熱変色性要素を、
冷熱媒体が収容されている容器表面に接触させて変色操作を行う場合は、容器表面に発生
する結露層や水滴、あるいは漏水等により熱変色性要素が変質しがちであると記載されて
いる。
そこで、この特許文献1には、必要時に場所を選ばず、即座に対象物の冷熱変色を行う
ことができるようにするため、筆記具型またはアイロン型の通電冷却変色具11が記載さ
れている。
【0004】
また、熱変色層を変色させて表示色を変更する技術として次の特許文献2、3に記載さ
れた技術が従来公知である。
(2)特許文献2:特許公報昭和59−2901号
この特許文献2には、回転移動するエンドレスのベルト状の感熱表示体と、前記感熱表
示体に画像を記録する発熱体と、前記感熱体の移動経路の途中に配置され且つ記録された
画像を消去するペルチェ素子を備えた冷却器とを有する感熱表示装置が記載されている。
【0005】
(3)特許文献3(実開平4−80595号公報)
この公報には、熱変色玩具を冷却する従来方法として、冷水、氷片、または冷蔵庫等に
熱変色性玩具を出し入れして変色させる方法が記載されている。その従来方法では、水濡
れした玩具の後始末が煩雑で、軽便性に欠けているので、冷水、氷片等の冷媒中に配置し
た金属性有底筒体を冷却し、その筒体中に収容させた熱変色性玩具を冷却させて変色させ
る冷却器が記載されている。
【0006】
【特許文献1】特許第2905998号明細書(特開平4−329993号公報)
【特許文献2】特許公報昭和59−2901号
【特許文献3】実開平4−80595号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
(前記特許文献1記載の技術の問題点)
前記特許文献1に記載された技術は、筆記具型またはアイロン型の通電冷却変色具11
を使用するので、多数枚のリライタブルシートに形成された画像を一度に消去する場合に
は、画像消去作業に要する時間が長くなるという問題点がある。
(前記特許文献2記載の技術の問題点)
前記特許文献2に記載された技術は、感熱表示装置が、回転移動するエンドレスのベル
ト状の感熱表示体と、前記感熱表示体に画像を記録する発熱体と、前記感熱体の移動経路
の途中に配置され且つ記録された画像を消去するペルチェ素子を備えた冷却器とを有する
ので、全体として装置が複雑、大型となり、使い勝手が悪いという問題点がある。
【0008】
(前記特許文献3記載の技術の問題点)
前記特許文献3に記載された技術は、冷水、氷片等の冷媒中に配置した金属性有底筒体
を冷却し、その筒体中に収容させた熱変色性玩具を冷却させて変色させているが、冷却し
て変色した熱変色玩具を、冷却状態で大気中に取り出すと、玩具表面が結露により濡れる
という問題点があった。
【0009】
なお、前記特許文献1に従来技術として記載された、熱変色性要素(例えば、リライタ
ブルシート)を冷蔵庫内に入れ、庫内の冷気による変色操作を行う技術では、熱変色要素
が冷却状態で大気に接触すると、冷却状態の熱変色要素の表面が結露により濡れるという
問題点が生じる。前記熱変色要素の材料が紙の場合には、前記結露により濡れると寿命が
短くなるという問題点がある。
しかしながら、従来、熱変色性要素(例えば、リライタブルシート)表面の結露に対す
る有効な対策は考えられたことがなかった。
【0010】
本発明は前記事情に鑑み、次の(O01)の記載内容を技術的課題とする。
(O01)所定の第1変色温度以下に冷却されたときに第1色を表示し、所定の第2変色温
度以上に昇温した時に前記第2変色温度以上に昇温した部分のみが前記第1色とは異なる
第2色を表示するリライタブルシート表面が結露により濡れることを防止すること。
【課題を解決するための手段】
【0011】
次に、前記課題を解決するために案出した本発明を説明するが、本発明の構成要素には
、後述の実施例の構成要素との対応を容易にするため、実施例の構成要素の符号をカッコ
で囲んだものを付記する。
なお、本発明を後述の実施例の符号と対応させて説明する理由は、本発明の理解を容易
にするためであり、本発明の範囲を実施例に限定するためではない。
【0012】
なお、本発明の説明において、リライタブルシートとは、従来より知られている、ヒス
テリシス特性を示す可逆熱変色性材料を一面に塗布した感熱変色シートのことである。所
定の第1変色温度以下に冷却されたときに第1色を表示し、所定の第2変色温度以上に昇
温した時に前記第1色とは異なる第2色を表示するが、前記第1色が有色で第2色が異な
った色彩の有色でも良いし、前記第1色が有色で第2色が無色(透明)であっても良い。
リライタブルシート表示具又は表示装置とは、従来より知られている、ケーシングに収
容、保持した通電発熱体を発熱させ、該発熱体に接触配置の伝熱性部材を加熱して機能さ
せるか、前記通電発熱体の後方に配置の送風手段を介してケーシング先端の吐出口より温
風を吐出させる構造(特許公報第2905998号公報に記載)や、熱を付与するサーマ
ルヘッドを有した熱転写プリンタのことである。
【0013】
また本発明の説明において、シート収容体とは、開閉可能な開口部を有する袋状や、開
口部を開閉する開閉蓋を有する箱型形状のものである。材質としては、ケースの表面から
空気が出入りしない金属や合成樹脂等が良いが、ケースの表面から空気が出入りしにくい
紙でも良い。好ましくは、リライタブルシートを収納しやすくシート収容体内を外気と容
易に遮断することができる開閉蓋を有する箱型形状が良い。また材質は、収納したリライ
タブルシートの表面を所定の第1変色温度以下に冷却するために熱伝導率の良い金属が良
く、特にアルミ製は重量やコストの面から好ましい。
冷却庫とは、前記シート収容体を収納可能であって、前記した所定の第1変色温度以下
に冷却できるものであっても良く、一般的に知られている冷蔵庫や冷凍庫であっても良い

【0014】
(第1発明)
前記課題を解決するために第1発明のリライタブルシートの画像形成・消去システムは

所定の第1変色温度(−15℃)以下に冷却されたときに第1色を表示し、所定の第2
変色温度(60℃)以上に昇温した時に前記第1色とは異なる第2色を表示するリライタ
ブルシート(1)の表面を部分的に前記第2変色温度(60℃)以上に昇温させて、前記
第1色に表示された前記表面に部分的に第2色の表示部分を形成することにより前記リラ
イタブルシート(1)に画像を形成するリライタブルシート用表示具又は表示装置(16
)と、
前記リライタブルシート(1)を前記第1変色温度(−15℃)以下に冷却して前記第
2色の表示部分を消去可能な冷却室(A)を有し、前記冷却室(A)内の温度を検出する
温度センサにより検出された温度に基づいて、前記冷却室(A)内が前記第1変色温度(
−15℃)以下で冷却用電源をオフにする冷却庫(6)と、
を備えたことを特徴とする。
【0015】
(第1発明の作用)
前記構成要件を備えた第1発明のリライタブルシートの画像形成・消去システムでは、
所定の第1変色温度(−15℃)以下に冷却されたときに第1色を表示し、所定の第2変
色温度(60℃)以上に昇温した時に前記第1色とは異なる第2色を表示するリライタブ
ルシート(1)に画像を形成するリライタブルシート用表示具又は表示装置(16)は、
リライタブルシート(1)の表面を部分的に前記第2変色温度(60℃)以上に昇温させ
て、前記第1色に表示された前記表面に部分的に第2色の表示部分を形成することにより
リライタブルシート(1)に画像を形成する。前記リライタブルシート(1)を前記第1
変色温度(−15℃)以下に冷却して前記第2色の表示部分を消去可能な冷却室(A)を
有する冷却庫(6)では、前記冷却室(A)内の温度を検出する温度センサにより検出さ
れた温度に基づいて、前記冷却室(A)内が前記第1変色温度(−15℃)以下で冷却用
電源がオフにされる。したがって、リライタブルシート(1)を第1変色温度以下に確実
に冷却でき、リライタブルシート(1)を第1色にして画像を確実に消去することができ
る。
【0016】
(第1発明の形態1)
第1発明の形態1のリライタブルシート(1)の画像形成・消去システムは、前記第1
発明において次の構成要件(A04),(A05)を備えたことを特徴とする。
(A04)前記冷却庫(6)の冷却室(A)内の前記リライタブルシート(1)を前記第1
変色温度(−15℃)以下に冷却している時間をセット可能なタイマ(9)、
(A05)前記タイマ(9)がタイムアップした時に前記冷却庫(6)の冷却用電源をオフ
にする電源遮断装置。
【0017】
(第1発明の形態1の作用)
前記構成要件(A04),(A05)を備えた第1発明の形態1のリライタブルシート(1
)の画像形成・消去システムでは、電源遮断装置は、時間をセット可能なタイマ(9)が
タイムアップした時に前記冷却庫(6)の冷却用電源をオフにする。
したがって、温度センサの検出温度に基づいて前記タイマ(9)に適当な時間、例えば
、冷却庫(6)に収容されたリライタブルシート(1)が第1変色温度(−15℃)以下
になる時間をセットすると、リライタブルシート(1)が第1色を表示する状態になって
から前記タイマ(9)がタイムアップして、冷却庫(6)の冷却用電源がオフになる。こ
の場合、リライタブルシート(1)の冷却に無駄な電力を消費することを防止することが
できる。
【0018】
(第1発明の形態2)
第1発明の形態2リライタブルシート(1)の画像形成・消去システムは、前記第1発
明において次の構成要件(A06)を備えたことを特徴とする。
(A06)前記冷却庫(6)の冷却室(A)内の前記リライタブルシート(1)を前記第1
変色温度(−15℃)以下に冷却している時間をセット可能なタイマ(9)を有し、前記
タイマ(9)がタイムアップした時に前記冷却庫(6)の冷却用電源をオフにするタイマ
付電源遮断装置。
(第1発明の形態2の作用)
前記構成要件(A06)を備えた第1発明の形態2のリライタブルシート(1)の画像形
成・消去システムでは、タイマ付電源遮断装置は、時間をセット可能なタイマ(9)がタ
イムアップした時に前記冷却庫(6)の冷却用電源をオフにする。
前記タイマ付電源遮断装置は、タイマ(9)と電源遮断装置とがセットになって構成さ
れているので、使い勝手が良い。
【0019】
(第1発明の形態3)
第1発明の形態3のリライタブルシート(1)の画像形成・消去システムは、前記第1
発明において次の構成要件(A07)を備えたことを特徴とする。
(A07)前記冷却庫(6)の冷却室(A)内の前記リライタブルシート(1)を前記第1
変色温度(−15℃)以下に冷却している時間をセット可能なタイマ(9)と、前記タイ
マ(9)がタイムアップした時に前記冷却庫(6)の冷却用電源をオフにする電源遮断装
置とを有する前記冷却庫(6)。
(第1発明の形態3の作用)
前記構成要件(A07)を備えた第1発明の形態3のリライタブルシート(1)の画像形
成・消去システムでは、前記冷却庫(6)の電源遮断装置は、時間をセット可能なタイマ
(9)がタイムアップした時に前記冷却庫(6)の冷却用電源をオフにする。
前記冷却庫(6)は、前記タイマ(9)および電源遮断装置を備えているので、使い勝
手が良い。
【0020】
(第1発明の形態4)
第1発明の形態4のリライタブルシート(1)の画像形成・消去システムは、前記第1
発明の形態1ないし3のいずれかにおいて次の構成要件(A09),(A010)を備えたこ
とを特徴とする。
(A09)前記温度センサの検出温度に対して設定されたタイマセット温度を記憶するセッ
ト温度記憶手段、
(A010)前記温度センサの検出温度がタイマセット温度になったときに前記時間がセッ
トされる前記タイマ。
【0021】
(第1発明の形態4の作用)
前記構成要件(A09),(A010)を備えた第1発明の形態4のリライタブルシート(
1)の画像形成・消去システムでは、セット温度記憶手段は、前記温度センサの検出温度
に対して設定されたタイマセット温度を記憶する。前記タイマは、前記温度センサの検出
温度がタイマセット温度になったときに前記時間がセットされる。
この場合、前記冷却室(A)内の温度がタイマセット温度になった時にタイマにセット
された時間が経過した時に前記冷却庫(6)の冷却用電源がオフになる。
前記タイマセット温度として、例えば前記第1変色温度(−15℃)を採用すれば、前
記冷却室(A)内の温度が第1変色温度になった時から前記タイマにセットされた時間が
経過した時に冷却庫(6)の冷却用電源がオフになる。したがって、前記タイマにセット
する時間として、前記冷却室(A)内の温度が第1変色温度になった時点から冷却室(A
)内に収容された全リライタブルシート(1)の温度が前記第1変色温度になる時点まで
の経過時間をセットすることにより、冷却庫(6)の冷却室(A)を冷却するための無駄
な電力消費を防止することができる。
【0022】
(第2発明)
第2発明のリライタブルシート(1)の画像形成・消去方法は、次の工程(B01),(
B02)を順次実行することを特徴とする。
(B01)所定の第1変色温度以下に冷却されたときに第1色を表示し、所定の第2変色温
度(60℃)以上に昇温した時に前記第1色とは異なる第2色を表示するリライタブルシ
ート(1)の表面を、リライタブルシート用表示具又は表示装置(16)により、部分的
に前記第2変色温度(60℃)以上に昇温させて前記第1色に表示された前記表面に部分
的に第2色の表示部分を形成することにより前記リライタブルシート(1)に画像を形成
する画像形成工程、
(B02)前記リライタブルシート(1)を冷却庫(6)の冷却室(A)に収容させて、前
記冷却室(A)内の温度を検出する温度センサにより検出された温度に基づいて、前記冷
却室(A)内が前記第1変色温度(−15℃)以下で冷却用電源をオフにすることにより
、前記リライタブルシート(1)を前記第1変色温度以下に冷却して第1色のみの表示状
態にする画像消去工程。
【0023】
(第2発明の作用)
前記工程(B01),(B02)を順次実行する第2発明のリライタブルシート(1)の画
像形成・消去方法では、所定の第1変色温度以下に冷却されたときに第1色を表示し、所
定の第2変色温度(60℃)以上に昇温した時に前記第1色とは異なる第2色を表示する
リライタブルシート(1)の表面に画像を形成する画像形成工程において、前記第1色に
表示された前記リライタブルシート(1)の前記表面を、リライタブルシート用表示具又
は表示装置(16)により部分的に前記第2変色温度(60℃)以上に昇温させる。その
とき、前記リライタブルシート(1)表面の部分的に前記第2変色温度(60℃)以上に
昇温した部分は、部分的に第2色の表示部分が形成される。
画像消去工程では、前記リライタブルシート(1)を冷却庫(6)の冷却室(A)に収
容させて、前記冷却室(A)内の温度を検出する温度センサにより検出された温度に基づ
いて、前記冷却室(A)内が前記第1変色温度(−15℃)以下で冷却用電源をオフにす
ることにより、前記リライタブルシート(1)を前記第1変色温度以下に冷却して第1色
のみの表示状態にする。
【0024】
(第3発明)
第3発明のリライタブルシート(1)の画像消去方法は、次の工程(C01)を備えたこ
とを特徴とする。
(C01)所定の第1変色温度以下に冷却されたときに第1色となり、所定の第2変色温度
(60℃)以上に昇温した時に前記第2変色温度(60℃)以上に昇温した部分のみが前
記第1色とは異なる第2色に変色したリライタブルシート(1)を、冷却庫(6)の冷却
室(A)に収容させて、前記冷却室(A)内の温度を検出する温度センサにより検出され
た温度に基づいて、前記冷却室(A)内が前記第1変色温度(−15℃)以下で冷却用電
源をオフにすることにより、前記リライタブルシート(1)を前記第1変色温度以下に冷
却して第1色のみの状態にする画像消去工程。
【0025】
(第3発明の作用)
前記工程(C01)を備えた第3発明のリライタブルシート(1)の画像消去方法では、
所定の第1変色温度以下に冷却されたときに第1色となり、所定の第2変色温度(60℃
)以上に昇温した時に前記第2変色温度(60℃)以上に昇温した部分のみが前記第1色
とは異なる第2色に変色したリライタブルシート(1)の画像消去工程では、リライタブ
ルシート(1)を冷却庫(6)の冷却室(A)に収容させて、前記冷却室(A)内の温度
を検出する温度センサにより検出された温度に基づいて、前記冷却室(A)内が前記第1
変色温度(−15℃)以下で冷却用電源をオフにすることにより、前記リライタブルシー
ト(1)を前記第1変色温度以下に冷却して第1色のみの状態にする。
【発明の効果】
【0026】
前述の本発明は、下記の効果(E01)を奏する。
(E01)所定の第1変色温度以下に冷却されたときに第1色を表示し、所定の第2変色温
度以上に昇温した時に前記第2変色温度以上に昇温した部分のみが前記第1色とは異なる
第2色を表示するリライタブルシートを確実に第1変色温度以下に冷却でき、第1色のみ
の状態にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
次に図面を参照しながら、本発明の実施例を説明するが、本発明は以下の実施例に限定
されるものではない。
【実施例1】
【0028】
図1は本発明のリライタブルシートの画像形成・消去システムの実施例で使用するリラ
イタブルシートの1例の説明図で、図1Aは第1変色温度以下に冷却された状態のリライ
タブルシートの斜視図、図1Bはリライタブルシート用プリンタ(16)により表面の一
部が第2変色温度以上に昇温されて画像が表示された状態のリライタブルシートの斜視図
である。
図1において、リライタブルシート1は、白色の台紙2と、前記台紙2の表面の1/2
の領域にそれぞれ形成された第1表示層3と、第2表示層4とを有している。第1表示層
3は第1変色温度(−15℃)以下に冷却されると赤色(第1色)を表示し、第2変色温
度(60℃)以上に昇温すると透明(第2色)となる表示層である。第2表示層4は第1
変色温度(−15℃)以下に冷却されると青色(第1色)を表示し、第2変色温度(60
℃)以上に昇温すると透明(第2色)となる表示層である。
【0029】
したがって、前記リライタブルシート1を−15℃以下に冷却すると、第1表示層3は
全面が赤色を表示し、第2表示層4は全面が青色を表示する。前記リライタブルシート1
に熱転写プリンタ(リライタブルシート用プリンタ)により、大きな文字で、例えば第1
表示層3に「大売」および「10月」と印字し、また、第2表示層4に、「出し」および
「11〜15日」と印字すると、第1表示層3および第2表示層4の印字した部分は透明
になる。その場合、第1表示層3には赤を背景にして「大売」および「10月」が前記台
紙2の白色で表示され、第2表示層4には青を背景にして「出し」および「11〜15日
」が前記台紙2の白色で表示される。
【0030】
図2は本発明のリライタブルシートの画像形成・消去システムの実施例1の全体説明図
である。
図2において、冷凍庫(シート収容体冷却庫)6は、冷凍室(冷却室)Aを形成する冷
凍庫本体7と前記冷凍室Aを開閉する開閉カバー8とを有している。開閉カバー8の外側
面にはタイマ9が設けられている。開閉カバー8を閉塞した状態で、タイマ9に冷却時間
をセットすると冷凍庫6の電源(図示せず)がオンとなり、冷凍庫6の冷却が開始される
。前記タイマ9にセットした時間がタイムアップしたとき、冷凍庫6の冷却用電源がオフ
となるように構成されている。
【0031】
前記冷凍庫6の冷凍室Aに出入可能なアルミ製のシート収容体11は、前記リライタブ
ルシート1を挿入する開口部12aを有するケース本体12と、前記開口部12aを開閉
する開閉蓋13とを有している。
前記冷凍庫6は、複数のリライタブルシート1が重ねて収容され且つ前記開閉蓋13が
閉塞されたシート収容体11を、前記冷凍室A内に収容して開閉カバー8を閉塞した状態
で、タイマ9にセットした時間シート収容体11を冷却可能である。前記タイマ9に所定
時間をセットすることにより、前記冷凍室A内のシート収容体11内の複数枚のリライタ
ブルシート1を前記第1変色温度(−15℃)以下に冷却可能である。
【0032】
前記冷凍庫6の上面には、前記リライタブルシートに印字するための熱転写プリンタ(
リライタブルシート用プリンタ)16が支持されている。前記熱転写プリンタ16は、パ
ソコン17に接続されており、パソコン17には、ディスプレイ18、キーボード19、
マウス20等が接続されている。パソコン17はハードディスクを内蔵している。符号1
7〜20等で示された要素により、前記リライタブルシート1に印字する画像を作成する
ための画像作成装置(17〜20)が構成されている。また、前記画像作成装置(17〜
20)と前記熱転写プリンタ16とにより、リライタブルシート1に画像を形成するため
の画像形成装置(16+17〜20)が構成されている。
【0033】
(実施例1の作用)
図3は前記図2で説明した本発明のリライタブルシートの画像形成・消去システムの実
施例1の作用説明図であり、図3Aは冷凍室内部にシート収容体を配置する様子を示す図
、図3Bは冷凍室内部にシート収容体を配置した状態を示す図である。
図2において、シート収容体11のケース本体12にその開口部12aから複数のリラ
イタブルシート1を挿入し、前記開口部12aを閉塞蓋13により閉塞する。
図3Aにおいて、前記冷凍庫6の開閉カバー8を開放して、複数のリライタブルシート
1を収納したシート収容体11を冷凍室A内に挿入する。その状態で開閉カバー8を閉塞
する。その状態で、前記タイマ9に例えば8時間をセットする。前記タイマ9に時間をセ
ットすると同時に、冷凍庫6の冷却用電源がオンとなって冷凍室Aが冷却される。
前記タイマ9にセットされた時間の経過に伴って冷凍室A内の温度が低下する。なお、
前記タイマ9には、冷凍室A内部に配置したシート収容体11内部の全リライタブルシー
トが前記第1変色温度(−15℃)以下になるのに必要な時間がセットされる。
【0034】
図4はタイマにセットされた時間が経過したときの冷却室内の状態の説明図で、図4A
は冷却室内のシート収容体内部の温度が−15℃以下になった状態の説明図、図4Bはタ
イマにセットされた時間がタイムアップした状態の説明図である。
前記タイマ9がセットされてから、ある時間経過すると冷凍室A内の温度が−15℃以
下になる(図4A参照)。その状態になった後に、前記シート収容体11内部の温度も低
下して−15℃以下になる。前記シート収容体11内部の全リライタブルシート1の温度
が−15℃以下になると、リライタブルシートの第1表示層3の全領域が赤色(第1色)
、第2表示層4の全領域が青色(第1色)になる。
前記リライタブルシートの第1表示層3の全領域が赤色(第1色)、第2表示層4の全
領域が青色(第1色)になった状態で前記タイマ9がタイムアップする。
前記タイマ9がタイムアップした時、前記冷凍庫6の冷却用電源がオフとなって冷凍庫
6の冷却動作が停止される。
【0035】
図5は前記冷凍庫の冷凍室からシート収容体を取り出し、シート収容体内部の温度が大
気温度にほぼ等しくなるまで大気中にシート収容体を放置している状態を示す図である。
前記タイマ9がオフになった後、前記冷凍庫6の冷凍室Aからシート収容体11を取り
出して、シート収容体11内部が低温の状態で開閉蓋13を開放すると、シート収容体1
1内部のリライタブルシート1に結露が生じることがある。そこで、図5に示すように、
前記リライタブルシート1表面での結露の発生を防止するため、前記タイマ9がオフにな
った後、前記冷凍庫6の冷凍室Aからシート収容体11を取り出して開閉蓋13を閉塞状
態にしたまま大気中に放置し、シート収容体11内部が常温(外部温度とほぼ同程度の温
度)になってから、開閉蓋13を開放する。
このように、リライタブルシート1を前記シート収容体内部に収容した状態で冷却し、
且つシート収容体11内部が外部温度に同程度の温度になってから、シート収容体11内
部のリライタブルシート1を取り出すことにより、リライタブルシート1表面に結露が発
生することを防止することができる。
【0036】
前記大気中に放置した後に開閉蓋13を開放したときのシート収容体11内部のリライ
タブルシート1は全領域が第1色(第1表示層3は赤色、第2表示層4は青色)になって
いる。
全領域が第1色になっているリライタブルシート1を前記熱転写プリンタ16にセット
して印字を行うと、第1表示層3では赤色を背景にして白色の文字または画像が形成され
、第2表示層4では青色を背景にして白色の文字または画像が形成される。
【産業上の利用可能性】
【0037】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく
、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能で
ある。本発明の変更実施例を下記に例示する。
(1)実施例1では、リライタブルシート1として、白色の台紙2表面に第1表示層3お
よび第2表示層の2色の表示層を形成したものを使用したが、従来公知の種々のリライタ
ブルシートを使用可能である。また、台紙2上に2色の表示層を形成したリライタブルシ
ートの代わりに、3色以上の表示層を形成したものを使用可能である。また、前記台紙2
として、白色のものを使用する代わりに他の色の台紙を使用したり、2色以上の複数色に
色付けされた台紙を使用することも可能である。
(2)冷凍庫6にタイマ9が設けられていない場合には、冷凍庫6と電源との接続ケーブ
ルの途中に、タイマのセット時間がタイムアップした時に電源を遮断する電源遮断装置付
タイマを設けることができる。
【0038】
(3)前記実施例1において、冷凍室(A)内の温度を検出する温度センサと、前記温度
センサの検出温度に対して設定されたタイマセット温度を記憶するセット温度記憶手段と
、前記温度センサの検出温度がタイマセット温度になったときに前記時間がセットされる
タイマとを設けることが可能である。その場合、前記タイマセット温度を例えば、−15
℃に設定することができる。その場合、前記タイマは、前記温度センサの検出温度が−1
5℃になったときに設定される。その場合、冷凍室(A)の温度が−15℃になってから
、前記タイマにセットされた時間が経過した時に冷凍庫6の電源が遮断される。
(4)前記冷凍庫(6)には、前記タイマ(9)がタイムアップした時に前記シート収容
体(11)を大気に露出させるケース露出装置を設けることが可能である。前記ケース露
出装置は、前記タイマ(9)がタイムアップした時に開閉カバー8を開放して冷凍室Aと
大気とを連通させる装置により構成することが可能である。
(5)前記シートケース11としては、例えば、箱型のシートケース、袋状のシート収容
体等の種々のシート収容体を使用可能であるが、リライタブルシートの販売時に、複数の
前記リライタブルシートを収容した状態で前記複数のリライタブルシートと、前記リライ
タブルシートを挿入する開閉可能な開口部を有したシート収容体とが一緒に販売された場
合には、前記販売時にリライタブルシートが収容されていたシート収容体を使用すること
が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は本発明のリライタブルシートの画像形成・消去システムの実施例で使用するリライタブルシートの1例の説明図で、図1Aは第1変色温度以下に冷却された状態のリライタブルシートの斜視図、図1Bはリライタブルシート用プリンタにより表面の一部が第2変色温度以上に昇温されて画像が表示された状態のリライタブルシートの斜視図である。
【図2】図2は本発明のリライタブルシートの画像形成・消去システムの実施例1の全体説明図である。
【図3】図3は前記図2で説明した本発明のリライタブルシートの画像形成・消去システムの実施例1の作用説明図であり、図3Aは冷凍庫(冷却庫)の冷凍室(冷却室)内部にシート収容体を配置する様子を示す図、図3Bは冷凍庫の冷凍室内部にシート収容体を配置した状態を示す図である。
【図4】図4はタイマにセットされた時間が経過したときの冷凍室内の状態の説明図で、図4Aは冷凍室内のシート収容体内部の温度が−15℃以下になった状態の説明図、図4Bはタイマにセットされた時間がタイムアップした状態の説明図である。
【図5】図5は前記冷凍庫(冷却庫)の冷凍室からシート収容体を取り出し、シート収容体内部の温度が大気温度にほぼ等しくなるまで大気中にシート収容体を放置している状態を示す図である。
【符号の説明】
【0040】
A…冷凍室(冷却室)、
1…リライタブルシート、
6…シート収容体冷凍庫(冷却庫)、
9…タイマ、
11…シート収容体、
12…ケース本体、
12a…開口、
13…開閉蓋、
16…リライタブルシート用プリンタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の第1変色温度以下に冷却されたときに第1色を表示し、所定の第2変色温度以上
に昇温した時に前記第1色とは異なる第2色を表示するリライタブルシートの表面を部分
的に前記第2変色温度以上に昇温させて、前記第1色に表示された前記表面に部分的に第
2色の表示部分を形成することにより前記リライタブルシートに画像を形成するリライタ
ブルシート用表示具又は表示装置と、
前記リライタブルシートを前記第1変色温度以下に冷却して前記第2色の表示部分を消
去可能な冷却室を有し、前記冷却室内の温度を検出する温度センサにより検出された温度
に基づいて、前記冷却室内が前記第1変色温度以下で冷却用電源をオフにする冷却庫と、
を備えたことを特徴とするリライタブルシートの画像形成・消去システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2006−335074(P2006−335074A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−256976(P2006−256976)
【出願日】平成18年9月22日(2006.9.22)
【分割の表示】特願2004−223827(P2004−223827)の分割
【原出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(303022891)株式会社パイロットコーポレーション (647)
【Fターム(参考)】