説明

リラクセイション具

【課題】温度変化が穏やかで、温度刺激が穏やかに自律神経に伝わる方法が望ましく、手軽に自律神経に自力で働きかけることができ、かつ、温度変化が穏やかなリラクセイション具を提供することである。
【解決手段】平均粒子径が7〜9mmと3〜5mmの2種類の大きさからなる真珠群30,35を、前記真珠郡の表面の熱が伝導される素材の袋体40で包んだリラクセーション具であって、平面に設置した場合の底面径を130〜150mmとしたリラクセイション具である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚表面に当て、皮膚温を一旦冷却し、その後元に戻らせることで、その温冷感覚の変化により、自律神経の緊張を和らげるリラクセイション具に関する。
【背景技術】
【0002】
人間は、適度に冷たいもの温かいものを身体に局部的に当てると、心地よく感じることがある。また、心地よいと感じているうちに、精神及び身体が安定してくる。これは自律神経によるものである。生体の神経は、自分の意志で機能を制御できる体性神経と、人間の意志とは無関係に機能する自律神経とからなる。自律神経は、外部からの刺激があると自動的に、体内の状態を好転させようとする反射機能を持ち、恒常性(ホメオスタシス)を維持している。
【0003】
自律神経は、脊椎動物の末梢神経の一つで、内臓器官に対し非意識的にコントロールする不随意神経である。生体の意志と無関係に、消化、呼吸、発汗、および新陳代謝のような不随意な機能を自動的に制御し、血圧を調整することにより、比較的一定の定常状態である恒常性(ホメオスタシス)を維持する。
【0004】
自律神経は交感神経と副交感神経という二つの神経線維からなる。自律神経により支配されている器官の大部分は、交感神経と副交感神経による二重支配を受けている。交感神経と副交感神経とは、通常括抗的に働く。二つの神経が拮抗的に働くことにより、器官の適正な機能調整が行われる。日中は、交感神経が優位になり、心臓を活発に動かす。これに対し、夜間は、副交感神経が優位になり、心拍数を低下させ、心臓に休息を与える。交感神経は、運動時、興奮時、緊張時等に、血管を収縮させることにより、心拍数を増加させ、血圧を上昇させ、全身の血流量を増やす等を行い、心身の活動を促進する。これに対し、副交感神経は、安静時、就寝時、休息時等に、血管を拡張することにより、心拍数を減少させ、血圧を低下させ、全身の血流量を抑える等を行い、心身の活動を抑制する。日常生活において、活動型の交感神経はアクセルの役目を果たし、休息型の副交感神経は、ブレーキの役目を果たす。
【0005】
緊張、不安等の精神的ストレスが続くと、交感神経が過緊張状態となり、それを抑えようとして副交感神経も活発に働く。また、疲労や睡眠不足等の身体的ストレスが溜まると、体を休ませようとして副交感神経が働き、それ以上の活動力を生み出そうとして交感神経も活発に働く。精神的又は肉体的なストレス状態が続くと、体全体の機能を調整している交感神経と副交感神経の切り替えがうまくいかなくなり、バランスが崩れ、様々な不定愁訴が表れる。この症状は一般に、自律神経失調症という名称でよく知られている。
【0006】
自律神経には、外部から刺激が与えられると、正常な状態に戻そうとする反射機能がある。生体の意志により自律神経を制御することはできない。しかし、自律神経の反射機能を利用して、外部から刺激を与えることにより、自律神経を自動的に交感神経優位から副交感神経優位、副交感神経優位から交感神経優位に転換させることは可能である。交感神経優位から副交感神経優位に転換させることができる外部刺激としては、温かいものを身体に当てる、例えばお風呂や遠赤外線、指圧、アロマテラピー等、副交感神経優位から交感神経優位に転換させることができる外部刺激としては、冷たいものを身体に当てる、例えば怪我をした時に患部を冷やすアイシング、精神的・身体的ストレス等がある。
【0007】
自律神経を自力で制御しようと働き掛ける方法として、眼球を軽度に圧迫することにより、精神的な不安感を取り除くことができる方法がある。アシュネル反射(眼球心臓反射)という。心臓反射とは、体内の各部分から情報が、自律神経中枢に入り、自律神経中枢から心臓神経を介して心臓に行くことをいう。アシュネル反射(眼球心臓反射)は、この心臓反射の1つである。眼球が軽度な圧迫を受け、自律神経が刺激されると、身体を正常な状態に調整しようと、自律神経は交感神経優位から副交感神経優位へと切り替わる。これを自律神経の圧反射という。自律神経が副交感神経優位へと切り替わることにより、血圧が降下し、緊張感が和らぎ、精神が落ち着く。このため、アシュネル反射(眼球心臓反射)は、血圧や脈拍数(又は心拍数)を下げる方法、精神を落ち着かせる方法、といった、自律神経を調整する方法として用いられている。
【0008】
他にも、自律神経に自力で働きかけることにより自律神経を調整する方法として、湯水と冷水を交互に浴びる温冷浴がある。温水と冷水とを交互に浴び、皮膚に対して温冷刺激を与えると、温水を浴びた場合には、自律神経は交感神経優位から副交感神経優位になり、血管は拡張し、冷水を浴びた場合には、自律神経は副交感神経優位から交感神経優位となり、血管は収縮する。これを繰り返すことにより、血液の循環、及び、交感神経と副交感神経とのバランスが、改善される。
【0009】
古来からの万国共通の健康法に「頭寒足熱」がある。頭は冷やした状態、足は暖かい状態にしておくと、よく眠ることができ、健康によい、とする健康法である。通常、睡眠時の体温は、頭部は低く、足部は高い。また、自律神経は、睡眠時には、副交感神経優位となっている。
【0010】
身体を「頭寒足熱」の状態にすることにより、体温を睡眠時に近い状態にすることができる。体温が睡眠時に近い状態になることで、全身を副交感神経優位にすることができる。このため、「頭寒足熱」の状態は、よく眠ることができ、健康にも良いとされている。
【0011】
上記方法は、いずれも、外部から与える刺激が強すぎる場合には、交感神経又は副交感神経の反射反応も強くなり、失神する、心臓が停止するといった顕著な反応が現れることがあるので、注意が必要である。
【0012】
従来、アシュネル反射(眼球心臓反射)を手軽に行う方法の一つとして、アイピローが利用されている。アイピローとは、就寝時に目の上にかぶせることで、疲労回復や安眠効果を高めてくれる眼用の枕である。市販されるアイピローには、小石やセラミック等が入っており、アイピローの重みが疲れた眼を癒してくれる。また、レンジで温めたり、冷蔵庫で冷やしたりすることで、眼に程よい刺激と休憩を与えることもできる。眼が疲れたり、寝付けないとき、また、仕事で眼を酷使したり、テレビの見すぎ等の眼精疲労時に用いる。通常の枕だけではなく、ぬいぐるみ形のアイピローも販売されている。
【0013】
アイピローを冷やして使用すると、眼球及びその周辺が冷やされ、温冷浴の冷水の場合と同様、自律神経は副交感神経優位から交感神経優位へと切り替わる。また、温冷浴の場合には、風呂やシャワーの施設が必要となるが、アイピローを利用することにより、手軽に自律神経を調整する方法を実行することが可能になる。
【0014】
アイピローを冷やす方法としては、冷蔵庫に入れて冷やす方法が一般的である。しかし、上述のとおり、自律神経に伝わる外部刺激が強すぎると、交感神経系が優位となり身体に顕著な反応が起きてしまう。例えば、冷蔵庫で冷やした氷枕をタオルで巻いて使用するのは、自律神経に冷たすぎる刺激が直接伝わるのを避けるためである。本来の冷却の目的は、自律神経の交感神経を抑制し、副交感神経優位にすることにより、体温調節や心身の休息を手に入れるためであるのに対し、冷たすぎる刺激を自律神経に与えることにより、自律神経の顕著な反射反応を招き、過度な交感神経系優位の状態にしてしまうことは、望ましくない。
【0015】
温かくも冷たくも感じない、体温と同じ温度のものを身体に当てることにより、心地よさが得られる方法もある。「手あて」、「手かざし」と呼ばれるものである。世界各地で古来より、人の手で優しくさすることにより、患部が治り、また、心が癒されるとされる。医学的解明はなされていない。民間療法の一つである。しかし、現代においても洋の東西を問わず用いられている方法である。
【0016】
真珠(パール)は、貝の体内で生成される生体鉱物である。貝の体内に入った異物を核としてカルシウムの結晶がたんぱく質で接合され多層化することで真珠層が形成される。その、たんぱく質に含まれる色素の種類や含有量と真珠層の光を干渉する構造により、様々な色彩をもつ。貝の種類により様々な真珠がある。
【0017】
本真珠とは、本来、アワビ貝から採ったアワビ珠の事を指すが、現在はアワビ珠に加え、海水生のアコヤ貝から採ったアコヤ真珠を指す。湖や河に生息するイケチョウ貝やカラス貝といった淡水生の貝の中に出来る真珠は、淡水パール、又は、淡水真珠と呼ばれる。養殖の際に、母貝内に外套膜片のみを挿入し、核を挿入しないことから、真珠が真円には育たず、ライス型やドロップ型といったさまざまな形状の真珠が得られる。その色も、オレンジや紫など多岐にわたる。淡水パールのうち、粒が小さく安価なものは、ビーズとして使用されている。
【0018】
地球上の全ての天然物は、遠赤外線を放射している。真珠は天然物であり、遠赤外線を放射している。
【0019】
近年、炭やトルマリン、セラミック、ゲルマニウム等の天然石が人気である。これら天然石の放射する遠赤外線が人体に対して与える効果を、現代人が積極的に生活に取り入れようとしている現れである。遠赤外線のうち、4〜14μmの波長帯で8.9μmで最高ピークを迎える遠赤外線は、別名、生育光線と呼ばれる。生育光線は太陽光線の中で唯一地球上の様々な物質に吸収され、放射される光線である。生物が自ら放射する生育光線と、外部から放射される生育光線とが共振し、両物体中の水分子の活動が活性化され、クラスター(水分子の集合体)が小さくなる。体内の水分子が振動を起こすと、共振作用により熱エネルギーが発生する。この熱エネルギーにより、自律神経が刺激される。生育光線は、水分子に働きかけるので、生物の成長のほか、食べ物、飲み物、空気中の水分にまで影響を及ぼすとされる。
【0020】
古来より様々な国で、天然石には、種類により効能は異なるが、悪運を払い開運をもたらす力があるとされ、お守り、魔除け等として用いられてきた。西洋ではパワーストーンと呼ばれ、日本でも人気がある。空気を浄化する効能があるとされる天然石もある。天然石は、種類により異なる固有の波長の遠赤外線を放射している。古来より語り継がれる天然石の効能は、天然石が放射する遠赤外線の放射率の高さも一因であると、現代では考えられている。
【0021】
また、中国における伝統的医学である中医学や、インドの伝統的医学であるアーユルヴェーダでは、古来より、真珠は薬として使用されている。中国に伝わる薬草書「本草綱目」によれば、真珠は「諸毒を排泄し、肉体を若返らせる万能の妙薬」として「飲んでは視力を増し、肌に潤いを与え、皮膚を再生する」、「顔に塗れば、シミ、しわが消え顔色が良くなる」と記されている。
【0022】
真珠の歴史は紀元前からと非常に古く、西洋においてはギリシャ神話、日本においては古事記、日本書記にも、真珠は装飾品として記されている。真珠の持つ美しさと、量産の難しさゆえに高価な装飾品としての価値、真珠という天然物固有の物理特性による神秘的な効能ゆえ、古来より現代に至るまで、真珠は世界中の人を魅了し続けている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
心地よいと感じるためには、自律神経を交感神経優位から副交感神経優位へ、又は、副交感神経優位から交感神経優位へと切り替える必要がある。しかし、自律神経は不随意神経であり、自分の意思で制御することはできない。自分の意思で制御することはできないが、自律神経に自力で働きかけることで自律神経を調整することはできる。
【0024】
自律神経に自力で働きかける方法として、最も日常に近いものに、お風呂やシャワーに入ることがあるが、これらは大がかりな装置とその装置を置く場所が必要など、いつでもどこでも手軽に使用することはできない。
【0025】
お風呂やシャワーは温かさにより自律神経に自力で働きかける方法である。逆に、冷たさにより自律神経に自力で働きかける方法として、冷蔵庫で冷やした氷枕若しくは氷の入った袋を身体に当てる方法がある。氷を用いれば、手軽に自律神経に自力で働きかけることができる。しかし、氷枕はタオルで巻いて冷たすぎる刺激が直接身体に伝わらないようにして使用することで分かるように、身体に自律神経に冷たすぎる強い温度刺激が直接伝わると、身体が顕著な反応を起こしてし、過度に交感神経系優位となり、緊張状態となってしまう。よって、温度変化が穏やかで、温度刺激が穏やかに自律神経に伝わる方法が望ましく、手軽に自律神経に自力で働きかけることができ、かつ、温度変化が穏やかなリラクセイション具が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明に係るリラクセイション具は、平均粒子径が7〜9mmと3〜5mmの2種類の大きさからなる真珠群を、前記真珠郡の表面の熱が伝導される素材の袋体で包んだリラクセイション具であって、平面に設置した場合の底面径が130〜150mmである。
【0027】
また、本発明に係るリラクセイション具は、袋体が、透明又は半透明素材のものである。また、素材は、オーガンジーであってもよい。さらに、袋体に香料を賦香してもよい。
【発明の効果】
【0028】
当該部位は軽い圧迫と穏やかな冷却の刺激を受けることにより、当該部位の自律神経が、交感神経優位から副交感神経優位になる。手軽に心地よさを感じることができ、手軽に心身の休息を獲得することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明のリラクセイション具の実施の形態を説明する。本発明のリラクセイション具は、平均粒子径が7〜9mmと3〜5mmの大小2種類の大きさからなる真珠群と、平均底面径が130〜150mmで、かつ、真珠の冷たさが伝わる素材の袋体からなること特徴とするリラクセイション具である。
【0030】
本発明に係るリラクセイション具は顔面の目と目の間の鼻根部を中心とする額部と眼帯に掛かる部位に置いて使用する。以下の説明においては、本発明に係るリラクセイション具を鼻根部に置いた場合について説明するが、使用する部位は、圧迫又は冷却を行いたい部位であれば、使用する部位を問わないのはもちろんである。
【0031】
図1は、リラクセイション具の外観図である。図1には、真珠(大)30と真珠(小)35とからなる真珠群と、前記真珠郡の表面の熱が伝導される素材の袋体で包んだリラクセイション具であって、平面に設置した場合の底面径が130〜150mmであるリラクセイション具10が示されている。
【0032】
真珠群の真珠は、平均粒子径が7〜9mmの真珠(大)30と、3〜5mmの真珠(小)35との大小2種類の大きさのものを使用する。使用する真珠の種類を大小2種類としたのは、見た目の変化と触感とを楽しむためである。
【0033】
本発明に係るリラクセイション具では、真珠群には安価な淡水パールを用いたが、本真珠のような高価な真珠を用いてもよいのはもちろんである。また、天然石であって、淡水パールに近い物理特性を有する天然石があれば、これを用いてもよい。また、天然石ではないが、淡水パールに近い物理特性を有する物体があれば、当該物体を用いてもよい。
【0034】
使用する真珠群の重さは、見た目のパールのボリューム感から、美しさを感じさせること、及び、身体に置いた時の感覚が重過ぎず軽すぎず丁度良く、また、見た目と重さ感覚のバランスが良いことから、150g前後とした。
【0035】
本発明に係るリラクセイション具を平面に設置した場合の底面径が平均底面径は130〜150mmとなるような真珠群の量とした。この平均底面積の値は、「日本人の人体計測データJapanese Body Size Data 1992-1994(発行 社団法人 人間生活工学研究センター)」に基づいて定めたものである。
【0036】
「日本人の人体計測データJapanese Body Size Data 1992-1994(発行 社団法人 人間生活工学研究センター)」によれば、日本人の成人女性20代から60代の「耳珠間幅」は137.5mm〜138.7mm、「頭頂・瞳孔高」は102.1mm〜108.6mm、「頸側・肩峰点水平距離」は106.0mm〜110.7mmである。また、日本人の成人男性20代から60代の「耳珠間幅」は145.9mm〜148.2mm、「頭頂・瞳孔高」は107.4mm〜115.4mm、「頸側・肩峰点水平距離」は114.8mm〜122.4mmである。ここで、「耳珠間幅」とは、左右の耳珠点の間の直線距離、「頭頂・瞳孔高」とは、頭頂点から瞳孔中心までの垂直距離、「頸側・肩峰点水平距離」は、頸側点と肩峰点の間の水平距離をいう。
【0037】
図2は、リラクセイション具の袋体40を平面に広げた外観図である。本発明のリラクセイション具は、顔面の目と目の間の鼻根部90を中心とする額部と眼帯に掛かる部位に置いて使用することを前提としている。よって、リラクセイション具の大きさは、額部と眼帯に掛かる部位、すなわち、「耳珠間幅」及び「頭頂・瞳孔高」の幅があればよい。従って、袋体の平均底面径は、130mm〜150mmであれば、日本人の「耳珠間幅」及び「頭頂・瞳孔高」を十分覆うことができる。また、この平均底面径であれば、「頸側・肩峰点水平距離」の部位、すなわち、肩の上に乗せて使用することもできる。
【0038】
袋体40は、袋状にしたときに、平均底面積は132.7〜176.6平方センチメートルとするとよい。この平均底面積であれば、真珠群20は均一に広がり、本発明のリラクセイション具を身体に置いたときに、安定性及び密着感を得ることができる。平均粒子径が3〜5mmの大きさの真珠35は、自在に可動なので、身体に置いたときに、より密着感を得ることができる。本体の重さは150gなので、身体の部位へ置いたときの圧は、均一の重みとして1平方センチメートルあたり0.85〜1.13g、すなわち、約1gとなっている。本発明のリラクセイション具における手軽さを必要としないのであれば、1平方センチメートルあたりの重さが約1gであって、平均底面積の大きさが異なっていてもよい。
【0039】
袋体40は、巾着袋型にしたときに底面が丸くなるよう、丸形に切り抜いた布を使用しているが、布の形状は問わない。例えば、四角形でもよい。
【0040】
本発明のリラクセイション具の平均底面積は132.7〜176.6平方センチメートルとした場合には、手のひらほどの大きさとなる。従って、非常に手軽に利用することができる。古来より万国共通で、安眠促進などの健康法として推奨される「頭寒足熱」というのがある。本発明のリラクセイション具を使用すれば、この「頭寒足熱」のうち「頭寒」を、動力を一切必要とすることなく、休息時に額に載せるだけで、手軽に実現することができる。
【0041】
本発明のリラクセイション具の袋体40の素材には、真珠群20の表面の冷たさが伝導され、かつ、真珠群20の美しさを最大限に見せるような透明感と質感を持ち、袋体40を巾着袋型にしたときに、中身の真珠群20が透けて見える素材を用いることができる。例えば、モノフィラメントでポリエステル100%のオーガンジーを使用することにより実現されるがこれに限定されない。
【0042】
モノフィラメントでポリエステル100%のオーガンジーは、衣類用としては、ウエディングドレスの用途が最も多い。生地の特性となっている、透明度と張りにより、しわが寄りにくく、ドレープ性が良いため、美しいふんわり感が出せる。また、強度や耐久性も大きく、通常の洗濯が可能である。建築資材としても一般に活用されている素材である。
【0043】
袋体40に用いる布は、真珠群20の冷たさが伝わる素材で、かつ、真珠群20の美しさを最大限に見せるような透明感と質感があり、中身が透ける透明又は半透明の素材で、かつ、耐久性のある素材であることが好ましく、このような素材であれば、例えば、紙、和紙のように、一過性の使用にしか耐えない素材でもよい。
【0044】
本発明のリラクセイション具の真珠群20を乗せ、本発明のリラクセイション具の使用の際に真珠群20がこぼれないよう、袋型にする必要がある。本発明のリラクセイション具では、袋体40の袋の形は、巾着袋型とした。袋体40の袋の形は、本発明のリラクセイション具を真珠群20をこぼさずに使用することができれば、巾着袋型であることを問わない。例えば、枕のように、四角状で4辺を縫い合わせてもよい。
【0045】
袋体40の布に真珠群20を乗せ、本発明のリラクセイション具の使用の際に真珠群20がこぼれないよう、真珠群20を巾着袋型にくるむ。袋体40の巾着袋の紐には、真珠の美しさを最大限に見せるよう、リボン50を使用している。本発明のリラクセイション具では、巾着袋の紐にはリボンを使用したが、使用する紐は問わない。
【0046】
リボン50で締めた袋体40は、花のような形状になる。真珠のつやや輝きが失われないよう、巾着袋の紐として用いるリボン50の結び目と縫い合わせ60とは、一体化し、縫い合わせ60が目障りでない自然な縫製とした。また、袋体40の花のような形状の美しさを最大限に高めるため、袋体40を巾着袋型にしたときに、袋体40の上部外側となる部分に、質感の異なる、光沢のあるオーガンジーの布を使用した別布体45を、縫い合わせ60の部分で縫い合わせている。質感の異なる2枚のオーガンジーの布を縫い合わせ、リボンで締め、巾着袋型にすることにより、本発明のリラクセイション具は、花としての美しさを、より一層増す。
【0047】
従来より、淡水パールの入った袋を、結婚式を終えて退場する新郎新婦に対し参列者が投げかけて祝う、パールシャワーという演出がある。パールシャワーは、ライスシャワーの米粒に代えて淡水パールを用いる。他にも、花びらを投げかけるフラワーシャワーという演出もある。このように、淡水パールの入った袋や花びらは、幸福感をより一層高めるものとして用いられている。本発明のリラクセイション具は、幸福感を一層盛り上げるパールシャワーやフラワーシャワーの演出と同じ、淡水パールの入った、また、花の形状を用いる。本発明のリラクセイション具の美しさや上品さ、高級感は、使用する人のこころに、心理的効果を与える。
【0048】
本発明のリラクセイション具の触感は、最初はひんやりとしていて、徐々に人肌に馴染んでくる。真珠は常温の放置状態において、人肌よりも温度が低い。前述のように、自律神経に伝わる外部刺激が強すぎる場合には、身体に顕著な反応が起き、交感神経系が優位となり、過度な緊張状態になってしまう。また、このとき心地よいとは感じない。温度変化が身体に穏やかに伝わることにより、自律神経は副交感神経が優位へと切り替わり、心地よいと感じる。リラクセイション具が体温と同じになり、冷たさを感じなくなったときには、「手あて」、「手かざし」と同じ効果を得る。すなわち、温かくも冷たくも感じない体温と同じ温度のものであるが、身体に当てることにより、医学的根拠はないが、心地良いと感じる。
【0049】
同時に、リラクセイション具の重さによる圧感覚を、眼球に与えることになる。眼球はアシュネル反射(眼球心臓反射)が生じ、自律神経は副交感神経優位へと切り替わり、血圧や脈拍数(又は心拍数)の低下と共に心地よさを感じる。
【0050】
温度刺激と眼球への刺激は、どちらか一方の刺激を与えても心地よさを感じることができる。しかし、本発明のリラクセイション具を用いて、両方の刺激を与えることにより、より深く心身の休息を得ることが可能になる。
【0051】
本発明のリラクセイション具により刺激を与える部位は、眼球のみならず、心地よさを感じる場所であれば、使用する場所を問わない。例えば、ツボや腹部のみぞおちの下でもよい。腹部のみぞおちの下の部位は腹部神経叢といわれ、内臓の種々の機能を司る自律神経の束があるといわれている。この部分に重みと冷感を与えることで、自律神経は交感神経優位から副交感神経優位へと切り替わり、内臓の働きが促され、また、心理的な安心感がもたらされる。
【0052】
図3は、図1のリラクセイション具を巾着袋形にすると花の中心のように見える花芯部70に、賦香帯80を置いた外観図である。本発明のリラクセイション具に、自分の好きな香りを賦香したものを乗せることにより、香りが自律神経を刺激し、心地よさを得ることができる。本発明のリラクセイション具では、香りを賦香する媒体として、賦香帯80には不織布を使用したが、香りを賦香することができるものであれば、不織布でなくてもよい。また、本発明では、リラクセイション具がより一層花のように見えるよう、賦香帯80を花芯部70に置いたが、賦香帯80を置く場所は問わない。例えば、巾着袋型の下部に、真珠群20と一緒に入れてもよい。
【0053】
本発明では、リラクセイション具とは別に、香りを賦香した賦香帯80を用いたが、これは賦香帯80とリラクセイション具とが別体であってもよい。すなわち、リラクセイション具の真珠群20、袋体40又はリボン50に直接賦香してもよい。賦香帯80とリラクセイション具とを別体にすると、賦香帯80を交換することで、様々な香りを楽しむことができる。
【0054】
また、本発明のリラクセイション具を揺らしたとき、真珠群20が揺れる心地よい音がする。本発明のリラクセイション具は、聴覚でも楽しむことができ、心地よさを感じることができる。
【0055】
以上のように、本発明のリラクセイション具は、人間の五感のうち、味覚を除く、視覚、聴覚、触覚、嗅覚の四感に働きかけ、四感の情報は自律神経を刺激する。本発明のリラクセイション具は、手軽に使用することができるにも関わらず、五感のうち四感までも用いて自律神経を刺激し、最大限の心身のリラクセイションを提供する。
【0056】
図4は、本発明のリラクセイション具を、顔面の目と目の間の鼻根部90を中心とする額部と眼帯に掛かる部位に置いたときの外観図である。使用する部位は、圧迫又は冷却を行いたい部位であれば、使用する部位を問わないのはもちろんである。
【0057】
図5は、図3のリラクセイション具の外観図である。本発明に係るリラクセイション具の花芯部70には、賦香した不織布を置いている。本発明のリラクセイション具は、美しさや上品さ、高級感などの視覚的美感が美しい。以下本発明のリラクセイション具を「パールピロー」と名付けて被験者に対して行った種々の検証につき説明する。
【実施例1】
【0058】
パールピローの心理生理的効果について行った効果検証は以下の通りである。
(1)目的
パールピローの使用時の効果感や心理生理的効果について、検証する。
(2)方法
指標は以下のとおりである。
(質問紙)
快や不快などの情動と覚醒感を表す25項目と、「身体が疲れている」などの身体症状21項目について、「全く感じない」を0、「やや感じる」を1、「感じる」を2、「非常に感じる」を3とした、4件法の回答形式で構成した。
(生理指標)
額部の皮膚表面温度は、レーザー血流計(Advance Co.Ltd製ADVANCE LASER FLOWMETER)により、1分毎に測定した。心拍数は、日本光電製ECGトレンド・モニターBSM-7200により、サンプリングタイムを15秒とした、1分毎の平均心拍数を測定した。
(被験者)
出願人の会社の健常な女性研究員20〜40代の5名
(測定場所)
出願人の会社の人工気候室にて、室内温度25℃、室内湿度50%の設定で行った。
(手続き)
実験は、被験者1名につき、
A条件:ピロー無し
B条件:ピロー有り・香り無し
C条件:ピロー有り・香り有り
で3回行った。条件の順番は各人で異なった。
実験日は、1日に1条件を同じ時間帯で3日間とし、質問紙への回答と生理測定を行った。1回あたりの所要時間は座位姿勢で、室内環境への肌の慣れの時間30分と仰臥姿勢での測定が約30分の計1時間であった。
【0059】
実験の時間帯は、9:00、10:30、13:00、14:30、16:00のいずれかで、各回につき1名の測定を行った。生理測定は、各条件とも、肌慣らし30分後、仰臥姿勢で前安静として5分間と、ピロー条件の5分間、後安静として5分間行い、質問紙は、各セッションの終了毎に回答させた。パールピローは150gで、付帯部位は、顔面の目と目の間の鼻根部90を中心とする額部と眼帯に掛かる部位とした。部位は図7に示す。
【0060】
香りは、「禅(登録商標) オード パルファム」、「イプサ(登録商標) オード パルファム」、「むらさき オード パルファム」の3香の中から、好みの香りを選択させ、好みの強さに調節しながら、パールピローの花芯部の不織布へ賦香した。不織布を置いたパールピローの図面を図8に示す。
【0061】
(3)結果
(心理的効果)
各条件における女性5名のパールピローによる覚醒・情動項目の変化を図6に示す。パールピロー使用による心理的効果について、情動と覚醒の質問紙の各項目毎に、被験者内のピロー条件(3水準:「使用無し」「使用有り・香り無し」「使用有り・香り有り」)と時間(3水準)「前安静後・ピロー条件後・後安静後」)を2要因とする分散分析を行った。
緊張覚醒+(項目「気が休まらない」と「緊張した」の合計点/2)は、時間の主効果の傾向があり、ピロー条件と時間の交互作用が有意傾向で、ピローの使用により、低下する傾向が見られた(時間の主効果[F(2,8)=4.26,p<.1†、ピロー条件と時間の交互作用[F(4,16)=2.96,p<.1†]]、多重比較:LSD,α=.05より、後安静後:ピロー無し>ピロー有り・香り無し、p=.11)。また、心地よさについては、ピロー条件と時間の交互作用が有意で、ピローの使用により、心地よさが高まった(ピロー条件と時間の交互作用F(4,16)=6.37,p<.01**、多重比較(LSD,α=.05)より、「使用有り・香り無し」:前安静後<後安静後、「使用有り・香り有り」:前安静後<ピロー条件後)。
【0062】
(主観的な身体変化)
各条件における女性5名のパールピローによる主観的な身体項目の変化を図10に示す。上記の心理的効果と同様、各身体症状項目について、被験者内のピロー条件(3水準)と時間(3水準)を2要因とする分散分析を行った。身体の軽さ感はピロー条件の主効果の傾向で、使用時の方が使用無しよりも身体が軽く思われる傾向があった(ピロー条件:F(2,8)=4.07,p<.1†)。
【0063】
(香り付きの場合における主観的な心身効果)
各条件における女性5名の香り付きパールピローによる香りの主観的な心身効果を図8に示す。好みの香り付きピローの主観的な心身効果は、上記と同様の分析をしたところ、特に「上品さ」や「身体がふわふわする」という浮遊感に表れた。上品な気分は、ピロー条件と時間の交互作用が有意であった(条件と時間の交互作用:F(4,16)=3.37,p<.05*、多重比較(LSD,α=.05)より、「使用有り・香り有り」:前安静後<ピロー条件後、ピロー条件後:使用無し<使用有り・香り有り)。「身体がふわふわする」ではピロー条件と時間の交互作用が有意傾向であった(F(4,16)=2.88,p<.1†、多重比較(LSD,α=.05)より、ピロー条件後:ピロー有り・香り無し<ピロー有り・香り有り、p<.1†)。
【0064】
また、肩こりや腰痛について、ピロー条件と時間の交互作用が有意の傾向があり、ピローの使用と共に、肩こりや腰痛の感覚が減少する傾向が示された(ピロー条件と時間の交互作用:F(4,16)=2.67,p<.1†)。
【0065】
(生理的効果)
額部の皮膚表面温度変化
各条件における女性5名の額部の皮膚表面温度の平均値の経時変化を図9に示す。ピローを設置しない場合、アンケート記入時では低下するが、各セッションとも安定しており、ほとんど変化しない。
一方、ピローを設置した場合、額部の皮膚温は、ピロー設置直後に約1℃以上低下し、設置中でも徐々に回復していくが、ピローを外した後安静時では、設置前の安静時よりも低温で維持される。香りの有無による差異はアンケート記入時以外の各セッションでは見られない。
図10は、パールピロー使用時の額部における皮膚表面温度の変化を示す図であり、前安静とピロー設置時、後安静の各1分後から5分後までの平均皮膚温を算出し、ピロー条件(3水準)×時間(3水準)を2要因とする分散分析を行い、その結果、ピロー条件と時間の主効果と、ピロー条件と時間の有意な交互作用が見られた(ピロー条件:F(2,8)=4.82,p<.05、時間:F(2,8)=38.44,p<.01、ピロー条件×時間:F(2,8)=9.42,p<.01)。多重比較(LSD,α=.05)より、香りの有無に関わらず、ピロー使用時には皮膚温が低下した。香り無しでは、皮膚温の低下が後安静時でも見られた。
また、他社品で、直径約3mmの粒状ペレットが入ったアイピロー(150g)を別の被験者1名に同様に試したところ、パールピローと比べて、額部の皮膚温の低下は小さかった。額部の皮膚表面温度の平均値と他メーカーのピローの比較を図11に示す。
【0066】
(心拍数の変化)
皮膚温と同様に、各条件における女性5名の心拍数の経時変化を図12に示す。図12から、アンケート記入により、若干心拍数は上昇するようだが、後安静で再び低下していく。3条件のセッション毎(5分間)の変化について、被験者内でピロー条件(3水準)×時間(3水準)を2要因とする分散分析を行ったところ、どの要因についても有意差は無かった。セッション毎の平均心拍数の変化について、図13に示す。
【0067】
以上の実験により、パールピローを使用することにより、心理的な緊張感が低下し、心地よさが高まり、快適なリラクセイション状態となることがわかった。また、身体感では、肩こりや腰痛の痛みが軽減し、身体の軽さを感じた。
【0068】
一方、好みの香りを賦香することで、身体感はより軽やかに、浮遊感が生じるだけでなく、肩こりや腰痛の痛みの感覚も減少した。さらに、上品な気分も高めた。香りは、パールピローが持つ心身へのリラクセイション効果や癒し的な感覚をより高めると共に、パールの魅力的な印象と相まって、心を優雅に美しくするのに役立つ。
【実施例2】
【0069】
パールピローの印象と触感について行った効果検証は以下の通りである。
(1)目的
パールピローの見た目や触った時の印象、触感について、他のアイピローとの比較により検討する。
(2)方法
(被験者)
出願人の会社の社員37人で、20代12名、30代12名、40代11名、50代2名
(サンプル品)
パールピローと比較検証する他社のアイピローを図14に示す。比較対象となるサンプル品には、パールピローの香り無しと、パールピローの香り有り、図14(a)の代表的な他社アイピロー商品の「リラクシング・アイマスク」15、図14(b)のハーブ香のある「森のほほえみ」16の4品を用いた。
(アンケート)
印象項目は39項目で、「美しい、繊細な、かわいい、新鮮な」などの形容詞で構成した。 触り心地については、「やさしい、なじむ、あたたかい」などの11項目、期待感については、「機能的な、効果のある、気持ち良さそう」などの9項目で構成した。
(手続き)
一人につき、全4品について、それぞれの順番を循環法(rotation method)によるカウンターバランスをして割り振り、見た目や触れた時の印象や触感の単品評価について、アンケート形式で回答した。なお、同時に比較して回答することがないように、教示した。
【0070】
(3)結果
(パールピローの印象と使用感)
今回用いた、印象項目や触り心地の項目、期待感の項目について、因子分析を行い、アイピローとしての印象構造について、検討した。その結果、3因子が抽出され、第1因子を「美感」、第2因子を「なごみ」、第3因子を「機能・効果感」とした。全項目(59項目)による因子分析の結果を図15の表1に示す。
【0071】
各因子について、尺度を構成する項目として、5項目を選択し、尺度間の相関係数、信頼係数、統計量を求めた。因子毎に選択した5項目、選択項目のPearsonの相関係数、選択項目の信頼係数α、及び選択項目での記述統計量を、図15の表2に示す。
また、各尺度について、年代の4水準(20代、30代、40代、50代)とサンプル品との4水準を2要因とした、分散分析を行ったところ、全尺度で年代とサンプル品それぞれの主効果が見られた。年代についての多重比較では、いずれも50代との差が有意であった。交互作用は有意でなかった。因子毎の年代とサンプルの2要因分散分析結果を図16に示す。
【0072】
年代についての主効果は50代の被験者数が少ないことによる影響とも考えられ、また、交互作用もないことから、ここでは、サンプル品毎に、各尺度5項目の合計平均得点を図17に示す。
【0073】
これより、「美感」については、パールピローと、その香り付きが最も強く感じられた。「なごみ」については、動物を模ったピロー「森のほほえみ」16が最も強く感じられたが、パールピローについても、「リラクシング・アイマスク」15よりは「なごみ」が感じられた。「機能・効果感」では、「リラクシング・アイマスク」15が最も強く感じられたと共に、パールピロー香り付きは、ピロー「森のほほえみ」16と同程度の機能・効果感が得られた。いずれも、多重比較は、ティーキーのHSD検定による。
【0074】
(パールピローが与えるその他の感覚)
パールピローの上記以外の特徴として、「心地よい音(聴覚)」と、「きれいになれそう」が挙げられた。いずれも、この2項目では、サンプル品の主効果(「心地よい音」:F(3,116)=16.2,p<.01**)、「きれいになれそう」:F(3,116)=2.2,p<.1†)と共に、他のアイピローと比較して有意差が見られた。各項目における、サンプル品の平均得点を図18に示す。
これより、パールピローはアイピローとして使用する場合、他のアイピローよりも、心地よくさせるような聴覚や「きれいになりそうな」感覚を与えることができる。いずれも、多重比較は、ティーキーのHSD検定による。
【0075】
(4)まとめ
パールピローの印象は、アイピローとして使用する場合でも、他のアイピローと比較して、美しさや上品さ、高級感などの美感が最も高いことが示された。更に、香り付きでは、他のアイピローと同様の機能や効果感も得られる可能性が示唆された。賦香する香りの種類によっては、様々な心理的効果も期待できそうである。また、美感が強く感じられることから、「きれいになれそう」など、自分自身の美しさに対する、心理的にポジティブな期待感も得られる。
五感という観点では、パールピローは他のアイピローとは異なり、心地よい聴覚も併せ持っていることから、視覚的美感だけでなく、広く聴覚や触覚へも心地よい効果や美感が得られることが示唆された。
【実施例3】
【0076】
(1)目的
パールの物理特性を評価する。
(2)試験実施日
平成12年12月
(3)試料
(1)熱伝導率、比熱測定用
材質:真珠、核
マーク:S(真珠)、K(核)
数量:2種
形状:t1mm×約10mmφ(約10mmφの真珠(または核)を紙ヤスリにて加工)
(2)放射率測定用
材質:真珠
マーク:A(白)、B(ピンク)、C(紫)
数量:3種
形状:半球(約10mmφを削り、底面(約8mm経)を現出)
(4)測定条件
(熱伝導率、比熱測定)
測定装置:真空理工製 TC−7000
測定温度:真空
測定方法:レーザーフラッシュ(JISR1611準拠)
(放射率測定)
測定装置:Bruker製 IFS−113V
測定温度:80℃
測定方法:FT−IR法
参照資料:黒体(80℃)
(5)測定結果
測定結果を図19に示す。
【実施例4】
【0077】
(1)目的
FT−IR法により真珠の放射率測定と黒体換算を行い、全放射率を算出する。
(2)試料
真珠3点 A(白)、B(ピンク)、C(紫)
(3)測定方法
装置:IFS−113V(Bruker製FT−IR、真空光学系)
光源:OFF
検知器:DTGS
ビームスプリッター:Ge/KBr
測定条件:分解能=8cm−1
積算回数=512個
ゼロフィルター=2倍
アボダイゼーション=三角形
測定温度=80℃
参照資料=黒体 80℃
付属装置:赤外エミッション測定付属装置
測定装置内は全てロータリーポンプで焼く133Paの真空状態を保っており、測定はこの真空下で行っている。
試料は底面からヒーターにより加熱した、温度コントローラによる温度制御の安定性は±0.1℃
試料表面が測定温度に安定するまで十分時間をおいた後、測定面から垂直方向に放射される光を測定した。同様に、同一温度の黒体からの放射光を測定し、(試料放射/黒体放射)=垂直分光放射率を求めた。
【0078】
(4)結果
(4−1)放射率スペクトル
同じ温度の黒体の発光強度に対する試料の発光の割合を放射率とし、各波長ごとに放射率スペクトルの形で示した。
図21は、A(白)の放射率スペクトルを、図22は、B(ピンク)の放射率スペクトルを、図23はC(紫)の放射率スペクトルを示す。
(4−2)黒体換算
測定した黒体の発光が理想的な黒体の発光強度分布(プランク分布)を持つと仮定して、理想黒体の発光強度分布曲線に試料の放射率を乗じ、試料の発光強度エネルギー分布を得た。
図24は理想黒体及び真珠A(白)の発光強度エネルギー分布を、図25は理想黒体及び真珠B(ピンク)の発光強度エネルギー分布を、図26は理想黒体及び真珠C(紫)の発光強度エネルギー分布を示す。
(4−3)全放射率
(4−2)で得られた試料の発光強度エネルギー分布の面積を計算し、理想黒体の面積との比を取ることにより、全放射率を算出した。計算結果は図20に示されている。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明によれば、手軽に心身の休息を獲得することが可能になり、人のこころとからだに癒しを与える分野に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明に係るリラクセイション具の外観図である。
【図2】本発明に係るリラクセイション具の袋体を平面に広げた外観図である。
【図3】本発明に係るリラクセイション具を巾着袋形にすると花の中心のように見える花芯部に、賦香体を置いた外観図である。
【図4】「耳珠間幅」の測定場所を示した図である。
【図5】図3のリラクセイション具の外観図である。
【図6】本発明に係るリラクセイション具による覚醒・情動項目の変化を示す図である。
【図7】本発明に係るリラクセイション具による主観的な身体項目の変化を示す図である。
【図8】本発明に係るリラクセイション具が香り付きの場合における香りの主観的な心身効果を示す図である。
【図9】本発明に係るリラクセイション具による額部の皮膚表面温度の平均値の経時変化を示す図である。
【図10】本発明に係るリラクセイション具使用時の額部における皮膚表面温度の変化を示す図である。
【図11】本発明に係るリラクセイション具による額部の皮膚表面温度の平均値と他メーカーのピローの比較を示す図である。
【図12】本発明に係るリラクセイション具による心拍数の経時変化を示す図である。
【図13】本発明に係るリラクセイション具による平均心拍数の変化を示す図である。
【図14】本発明に係るリラクセイション具と比較検証する他のアイピローであり、(a)は代表的な他社アイピロー商品の「リラクシング・アイマスク」で、(b)はハーブ香のある「森のほほえみ」を示す図である。
【図15】本発明に係るリラクセイション具について、全項目(59項目)による因子分析の結果、因子毎に選択した5項目、選択項目のPearsonの相関係数、選択項目の信頼係数α、及び、選択項目での記述統計量を示す図である。
【図16】本発明に係るリラクセイション具について、因子毎の年代とサンプルの2要因分散分析結果を示す図である。
【図17】本発明に係るリラクセイション具について、因子毎の各ピローの合計平均得点を示す図である。
【図18】本発明に係るリラクセイション具について、「心地良い音(聴覚)」と「きれいになれそう」項目の各ピローの平均得点を示す図である。
【図19】真珠の熱伝導率及び比熱測定の測定結果を示す図である。
【図20】真珠の放射率測定の測定結果を示す図である。
【図21】真珠A(白)の放射率スペクトルを示す図である。
【図22】真珠B(ピンク)の放射率スペクトルを示す図である。
【図23】真珠C(紫)の放射率スペクトルを示す図である。
【図24】理想黒体及び真珠A(白)の発光強度エネルギー分布を示す図である。
【図25】理想黒体及び真珠B(ピンク)の発光強度エネルギー分布を示す図である。
【図26】理想黒体及び真珠C(紫)の発光強度エネルギー分布を示す図である。
【符号の説明】
【0081】
10 パールピロー
15 リラクシング・アイマスク
16 森のほほえみ
30 真珠(大)
35 真珠(小)
40 袋体
45 別布体
50 リボン
60 縫い合わせ
70 花芯部
80 賦香体
90 鼻根部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒子径が7〜9mmと3〜5mmの2種類の大きさからなる真珠群を、前記真珠郡の表面の熱が伝導される素材の袋体で包んだリラクセイション具であって、平面に設置した場合の底面径が130〜150mmであるリラクセイション具。
【請求項2】
前記袋体が、透明又は半透明素材である請求項1記載のリラクセイション具。
【請求項3】
前記袋体が、オーガンジーである請求項2記載のリラクセイション具。
【請求項4】
前記袋体に香料を賦香した請求項1から請求項3記載のリラクセイション具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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