説明

リレー

【課題】応答性を向上することができ、しかも低消費電力化を図ることができるリレーを提供することにある。
【解決手段】リレーは、絶縁性材料よりなり一対の流路10および一対の流路10それぞれと連通する形で一対の流路10間に設けられる開閉用空所11を有するボディ1と、流路10毎に設けられ一端部が流路10に他端部がボディ1の外部にそれぞれ露設される一対の端子2と、一端部に電気的に接続される形で一対の流路10それぞれに充填される導電性流体により構成される流体接点部3と、開閉用空所11内に移動自在に配置される仕切部4と、仕切部4を移動させるアクチュエータとを備え、仕切部4は、絶縁性材料よりなる本体部40と、本体部40に設けられ一対の流体接点部3間を導通させる導通部41とを有し、アクチュエータは、導通部41が一対の流体接点部3の両方に接触する閉位置と接触しない開位置との間で仕切部4を移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体金属などの導電性流体を用いたリレーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、液体金属などの導電性流体を用いて端子間の導通(オン)/非導通(オフ)を切り替えるリレー(継電器、接点開閉装置)が種々提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
特許文献1に示すものは、絶縁部材上に形成された流路と、この流路の一端に形成された室と、流路の途中に配置された複数の電極と、室に封入され加熱により膨張し、冷却により収縮する気体と、室に配置されたヒータと、流路に封入された導電流体とで構成されている。このものでは、ヒータの通電状態を切り替えることで、室に封入された気体を膨張・収縮させ、流路内で導電流体を移動させることによって、接点間の導通/非導通を切り替えることができる。特許文献2に示すものも、特許文献1に示すものと同様に、気体(流動不導体)の膨張/収縮を利用して、導電性流体(液体金属)を移動させている。
【特許文献1】特開2005−142142号公報
【特許文献2】特開2005−310773号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1,2に示すものでは、上述のようにヒータで気体を加熱して膨張させることによって、導電性流体を移動させている。そのため、ヒータへの通電を開始してから導電性流体が実際に移動するまでに比較的時間を要し、動作時間(通電状態の切り換えにかかる時間)が比較的長くなるので、応答性が悪いという問題があった。さらに、導電性流体を移動させるために、気体と当該気体を加熱するヒータとを利用しており、このような構成では、消費電力も多くなるという問題があった。
【0005】
本発明は上述の点に鑑みて為されたもので、その目的は、応答性を向上することができ、しかも低消費電力化を図ることができるリレーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するために、請求項1の発明では、絶縁性材料よりなり一対の流路および当該一対の流路それぞれと連通する形で一対の流路間に設けられる開閉用空所を有するボディと、流路毎に設けられ一端部が流路に他端部がボディの外部にそれぞれ露設される一対の端子と、端子の一端部に電気的に接続される形で一対の流路それぞれに充填される導電性流体よりなる流体接点部と、開閉用空所内に移動自在に配置される仕切部と、仕切部を移動させるアクチュエータとを備え、仕切部は、絶縁性材料よりなる本体部と、当該本体部に設けられ一対の流体接点部間を導通させる導通部とを有し、アクチュエータは、導通部に一対の流体接点部間を導通させる閉位置と一対の流体接点部間を導通させない開位置との間で仕切部を移動させることを特徴とする。
【0007】
請求項1の発明によれば、アクチュエータにより仕切部を移動させて一対の流体接点部間の導通/非導通を切り替えることで一対の端子間の導通/非導通の切り替えが行われるため、従来例のようにヒータで空気を熱膨張させて導電性流体を移動させるものに比べれば、導通状態(端子間の導通/非導通)が切り換わるまでの時間を短くすることができて、応答性を向上することができ、また、ヒータを利用していないので、低消費電力化を図ることができる。
【0008】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、上記仕切部の上記本体部は板状に形成され、上記アクチュエータは、上記閉位置と上記開位置との間で上記仕切部を上記本体部の厚み方向に直交する所定方向にスライド移動させることを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明によれば、簡単な動作で接点の導通/非導通を切り替えることができる。
【0010】
請求項3の発明では、請求項2の発明において、上記導通部は、金属材料よりなり、上記本体部の上記厚み方向における両面側それぞれに位置し上記一対の流体接点部に個別に接触される一対の接触部と、一対の接触部間を電気的に接続する電気接続部とを有していることを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明によれば、導通部の接触部に流体接点部が接触するか否かで、導通状態が切り替えられるため、流体接点部同士が直接的に接触するような場合に比べれば、流体接点部の移動距離を短くすることができて、導通状態が切り替わるまでの時間を短くすることができ、応答性の向上を図ることができる。
【0012】
請求項4の発明では、請求項3の発明において、上記導通部は、上記本体部の端部に設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明によれば、仕切部を容易に作製することができるようになる。
【0014】
請求項5の発明では、請求項3の発明において、上記流路における上記開閉用空所側の端部は、上記開閉用空所に近付くにつれて狭くなっていることを特徴とする。
【0015】
請求項5の発明によれば、仕切部と流体接点部との接触面積を小さくすることができるから、遮断性能が向上し、安定した動作を得ることができる。また、流体接点部を構成する導電性流体を流路に充填する際に、導電性流体が流路から漏れ出してしまうことを抑制することができる。
【0016】
請求項6の発明では、請求項5の発明において、上記流路における上記開閉用空所側とは反対側の端部は閉塞され、上記流路には、上記流体接点部が上記流路から流出しない程度に上記流体接点部を上記開閉用空所側に付勢する加圧用流体が封入されていることを特徴とする。
【0017】
請求項6の発明によれば、流体接点部と導通部との接圧を高めることができるから、接触信頼性の向上が図れる。
【0018】
請求項7の発明では、請求項3の発明において、上記流路における上記開閉用空所側の端部は、上記開閉用空所に近付くにつれて広くなっていることを特徴とする。
【0019】
請求項7の発明によれば、仕切部と流体接点部との接触面積を大きくすることができるから、接触信頼性を向上することができる。また、流路における開閉用空所側の端部が開閉用空所に近付くにつれて広くなっていない場合に比べれば流路の内面が開閉用空所の内面に比較的なだらかに繋がっているため、流体接点部を構成する導電性流体の一部が仕切部に付着したまま仕切部とともに移動して、導電性流体の量が少なくなってしまうことを抑制することができる。
【0020】
請求項8の発明では、請求項3の発明において、上記仕切部には、上記接触部における上記流体接点部との接触面を先端面とする凸部が形成されていることを特徴とする。
【0021】
請求項8の発明によれば、仕切部において流体接点部と接触される領域を狭くすることができ、特に、導通部のみを流体接点部に接触させることが可能になるから、遮断性能が向上し、安定した動作を得ることができる。
【0022】
請求項9の発明では、請求項8の発明において、上記接触面は、少なくとも上記所定方向に沿った方向における端部が端に近付くにつれて上記流路から離れる形に形成されていることを特徴とする。
【0023】
請求項9の発明によれば、流体接点部と導通部とが接離する際に、導通部によって流体接点部を構成する導電性流体の一部が流体接点部から分離されてしまうことを抑制することができるから、流体接点部を構成する導電性流体の量が少なくなることに起因する接触信頼性の低下を抑制することができ、安定した動作を得ることができる。
【0024】
請求項10の発明では、請求項8または9の発明において、上記接触面のサイズは、当該接触部に対応する上記流路における上記開閉用空所側の開口部のサイズよりも小さいことを特徴とする。
【0025】
請求項10の発明によれば、仕切部の導通部と流体接点部との接触面積を小さくすることができるため、遮断性能が向上し、安定した動作を得ることができる。
【0026】
請求項11の発明では、請求項3の発明において、上記仕切部には、上記接触部における上記流体接点部との接触面を底面とする凹部が形成され、上記接触面には、上記流体接点部と同じ導電性流体が塗布されていることを特徴とする。
【0027】
請求項11の発明によれば、流体接点部を構成する導電性流体と同一の導電性流体と流体接点部とが接離することによって導通状態が切り替えられるので、導通部によって流体接点部を構成する導電性流体の一部が流体接点部から分離されてしまうことを抑制することができるから、流体接点部を構成する導電性流体の量が少なくなることに起因する接触信頼性の低下を抑制することができ、安定した動作を得ることができる。
【0028】
請求項12の発明では、請求項3の発明において、上記流路における上記開閉用空所側の端部には、少なくとも上記本体部の厚み方向と上記所定方向とにそれぞれ直交する直交方向における断面形状が正円形状であり、上記仕切部が上記開位置から移動した後、上記閉位置に位置する前から上記導通部に接触される回動部と、少なくとも回動部が上記直交方向に直交する面内において回動可能に嵌め込まれる支持凹所を有し上記端部を閉塞する支持部とを有する対偶部が設けられ、回動部と支持部との間には、回動部の回動によって上記流体接点部が上記開閉用空所側に進出可能な大きさの隙間が設けられていることを特徴とする。
【0029】
請求項12の発明によれば、仕切部が開位置から閉位置に移動する際に導通部が回動部に接触して回動部が回動させられ、流体接点部が回動部の表面に付着した状態で開閉用空所側に進出し、これによって流体接点部と導通部との電気的な接続が確立される。そのため、接触部に付着する流体接点部を構成する導電性流体の量が少なくなって遮断性能が向上する。また、回動部の回動によって流体接点部が開閉用空所側に安定して供給されるから、接触信頼性が向上する。したがって、安定した動作を得ることができる。
【0030】
請求項13の発明では、請求項12の発明において、上記仕切部には、上記接触部における上記流体接点部との接触面を先端面とする凸部が形成されていることを特徴とする。
【0031】
請求項13の発明によれば、仕切部において流体接点部と接触される領域を狭くすることができ、特に、導通部のみを流体接点部に接触させることが可能になるから、遮断性能が向上し、安定した動作を得ることができる。
【0032】
請求項14の発明では、請求項13の発明において、上記接触面は、少なくとも上記所定方向に沿った方向における端部が端に近付くにつれて上記流路から離れる形に形成されていることを特徴とする。
【0033】
請求項14の発明によれば、導通部が回動部に接触する際に、回動部が破損してしまうことを防止することができる。
【0034】
請求項15の発明では、請求項14の発明において、上記流路における上記開閉用空所側とは反対側の端部は閉塞され、上記流路には、上記流体接点部を上記開閉用空所側に付勢する加圧用流体が封入されていることを特徴とする。
【0035】
請求項15の発明によれば、回動部が流体接点部を介して加圧用流体によって開閉用空所側に付勢されて、回動部と支持部との隙間が狭くなるので、流体接点部を構成する導電性流体が開閉用空所に漏出してしまうことを抑制することができる。また、一般に導電性流体の粘性は低温時に比べて高温時のほうが低下するので、回動部と支持部との隙間より漏出し易くなるが、高温時には加圧用流体が膨張するために回動部が低温時よりも開閉用空所側に付勢され回動部と支持部との隙間がより狭くなるので、高温時においても導電性流体の漏出を抑制することができる。
【0036】
請求項16の発明では、請求項3の発明において、上記一対の流路の一方は、少なくとも上記開閉用空所側の開口部が上記開位置と上記閉位置とのいずれにおいても上記導通部と上記流体接点部とが接触する形に形成されていることを特徴とする。
【0037】
請求項16の発明によれば、一対の流路の一方においては流体接点部が開位置と閉位置とにかかわらず導通部に接触しており、一対の流路の他方において流体接点部が導通部に接触するか否かによって導通状態が切り替えられるので、接触部において流体接点部と接触する面と流路との距離(ギャップ)や面粗さなどの設計管理を、両方の流路について行う必要がなく、片方の流路にだけ行えばよいから、製造が容易になる。
【0038】
請求項17の発明では、請求項3の発明において、上記一対の接触部のうちの一方は、上記流体接点部と同じ導電性流体よりなることを特徴とする。
【0039】
請求項17の発明によれば、接触部において流体接点部と接触する面と流路との距離(ギャップ)や面粗さなどの設計管理を、一対の接触部のうちの他方について行うだけでよいから、製造が容易になる。
【0040】
請求項18の発明では、請求項3〜17のうちいずれか1項の発明において、上記導通部は、少なくとも上記接触部が金属材料のなかでも上記流体接点部と比較的反応し難い金属材料により形成されてなることを特徴とする。
【0041】
請求項18の発明によれば、導通部と流体接点部が接離する際に、導通部と流体接点部との間で生じるアーク放電によって、流体接点部が導通部に溶融してしまうことを抑制することができて、耐アーク性能を高めることができる。
【0042】
請求項19の発明では、請求項3〜18のうちいずれか1項の発明において、上記ボディは、ヒドロキシ基を持つ絶縁性材料よりなることを特徴とする。
【0043】
請求項19の発明によれば、導通部と流体接点部が接離する際に、導通部と流体接点部との間でアーク放電が生じた際に、絶縁性材料に含まれるヒドロキシ基によって、熱伝導性が良好な気体である水素が発生するから、アーク放電を素早く消弧することができる。
【0044】
請求項20の発明では、請求項3〜18のうちいずれか1項の発明において、上記ボディは、絶縁性材料のなかでもアーク放電に対する消弧性が比較的良好な絶縁性材料よりなることを特徴とする。
【0045】
請求項20の発明によれば、導通部と流体接点部が接離する際に、導通部と流体接点部との間でアーク放電が生じた場合でも、ボディの一部が炭化して絶縁劣化を起こしてしまうことを抑制することができる。
【0046】
請求項21の発明では、請求項3〜20のうちいずれか1項の発明において、上記ボディには、上記開閉用空所と上記ボディの外部とを連通させるガス抜き用の連通路が形成され、連通路における上記開閉用空所側の開口部は、上記流路における上記開閉用空所側の開口部の近傍に位置していることを特徴とする。
【0047】
請求項21の発明によれば、導通部と流体接点部が接離する際に、導通部と流体接点部との間でアーク放電が生じて周囲の気体の温度が上昇し急激に膨張しても、ガス抜き用の連通路によって上記気体がボディの外部に流出するから、上記気体の膨張によって仕切部に圧力がかかって仕切部の移動が不安定になってしまうことを抑制して、安定した動作を得ることができる。
【0048】
請求項22の発明では、請求項3〜21のうちいずれか1項の発明において、上記開閉用空所は、上記仕切部が上記閉位置から上記開位置に向かって移動する開方向側において上記ボディの外部と連通し、上記流路における上記開閉用空所側の開口部近傍から上記開方向側に向かうにつれて少なくとも上記本体部の上記厚み方向において広がっていることを特徴とする。
【0049】
請求項22の発明によれば、導通部と流体接点部が接離する際に、導通部と流体接点部との間でアーク放電が生じて周囲の気体の温度が上昇し急激に膨張しても、上記気体がボディの外部に流出するから、上記気体の膨張によって仕切部に圧力がかかって仕切部の移動が不安定になってしまうことを抑制して、安定した動作を得ることができる。
【0050】
請求項23の発明では、請求項2の発明において上記本体部には、当該本体部を厚み方向に貫通する貫通孔が形成され、上記導通部は、金属材料により上記厚み方向を中心軸方向とする筒状に形成され、外周面が貫通孔の内周面に当接する形で貫通孔内に配置されていることを特徴とする。
【0051】
請求項23の発明によれば、導通部に流体接点部が接触するか否かで、導通状態が切り替えられるため、流体接点部同士が直接的に接触するような場合に比べれば、流体接点部の移動距離を短くすることができて、導通状態が切り替わるまでの時間を短くすることができ、また、仕切部の製造が容易になる。
【0052】
請求項24の発明では、請求項3〜23のうちいずれか1項の発明において、上記導通部の表面には、上記流体接点部に対する濡れ性を良くする処理がなされ、上記本体部の表面には、上記流体接点部に対する濡れ性を悪くする処理がなされていることを特徴とする。
【0053】
請求項24の発明によれば、流体接点部と導通部との接触信頼性を向上することができ、また、仕切部の本体部に流体接点部を構成する導電性流体が付着したときに、導電性流体の一部が本体部に付着したままになって、流体接点部を構成する導電性流体の量が少なくなってしまうことを抑制することができる。
【0054】
請求項25の発明では、請求項1の発明において、上記仕切部は正円柱状に形成され、上記アクチュエータは、上記閉位置と上記開位置との間で上記仕切部をその中心軸の回りに回転させることを特徴とする。
【0055】
請求項25の発明によれば、仕切部をスライド移動させる場合に比べれば、仕切部の移動のために必要な領域を狭くすることができて、仕切部の移動ための領域の省スペース化が図れ、全体として小型化を図ることができる。
【0056】
請求項26の発明では、請求項2または25の発明において、上記導通部は、上記本体部を厚み方向に貫通し、上記閉位置において内部に上記流体接点部が流入して上記一対の流体接点部同士を接触させる連通流路よりなり、上記導通部の内面には、上記流体接点部分断用の突起部が形成されていることを特徴とする。
【0057】
請求項26の発明によれば、閉位置では、連通流路内で一体となった一対の流体接点部を容易に分断することができ、遮断性能が向上し、安定した動作を得ることができる。
【0058】
請求項27の発明では、請求項1〜26のうちいずれか1項の発明において、上記流路の内面には、上記流体接点部に対する濡れ性を良くする処理がなされ、少なくとも開閉用空所の内面における上記流路の開口縁部には、上記流体接点部に対する濡れ性を悪くする処理がなされていることを特徴とする。
【0059】
請求項27の発明によれば、流路の内面のほうが、開閉用空所の内面における流路の開口縁部よりも、流体接点部に対する濡れ性が良いので、流体接点部の導電性流体が開閉用空所の内面に付着してしまうことを抑制することができる。
【0060】
請求項28の発明では、請求項1〜5,7〜15,17〜27のうちいずれか1項の発明において、上記流路の端部を閉塞する固体接点部を備え、固体接点部は、金属材料のなかでも上記流体接点部に対する濡れ性が良い金属材料よりなることを特徴とする。
【0061】
請求項28の発明によれば、流体接点部に使用する導電性流体の量を少なくすることができるから、低コスト化を図ることができる。また、流体接点部を構成する導電性流体が流路からボディの外部に漏出してしまうことを防止することができる。
【0062】
請求項29の発明では、請求項1〜5,7〜15,17〜27のうちいずれか1項の発明において、上記流路における上記開閉用空所側とは反対側の端部は閉塞されていることを特徴とする。
【0063】
請求項29の発明によれば、流体接点部を構成する導電性流体が流路からボディの外部に漏出してしまうことを防止することができる。
【0064】
請求項30の発明では、請求項1〜18,21〜29のうちいずれか1項の発明において、上記ボディは、負の線膨張係数を有する絶縁性材料により形成されてなることを特徴とする。
【0065】
請求項30の発明によれば、高温時には、流体接点部を構成する導電性流体が膨張する一方で、ボディは逆に収縮するから、温度による流路の容積変化を抑制することができ、導電性流体が流路からボディの外部に漏出してしまうことを抑制することができる。
【0066】
請求項31の発明では、請求項1〜30のうちいずれか1項の発明において、上記ボディには、上記流路の一部を狭くするくびれ部が設けられていることを特徴とする。
【0067】
請求項31の発明によれば、流路の長さ方向に交差する方向よりボディに衝撃が与えられた際に、くびれ部によって流体接点部を構成する導電性流体の流動が抑制されるから、導電性流体が流路から漏出してしまうことを抑制することができる。
【0068】
請求項32の発明では、請求項31の発明において、上記くびれ部は、上記開閉用空所側に向かうにつれて上記流路を徐々に狭くする形に形成されていることを特徴とする。
【0069】
請求項32の発明によれば、流体接点部の導電性流体を流路内に充填する作業が容易に行えるようになる。
【0070】
請求項33の発明では、請求項1〜32のうちいずれか1項の発明において、上記流路は、上記端子の上記一端部が露設される露設部と、当該露設部間を繋ぐ複数の分岐路とで構成されていることを特徴とする。
【0071】
請求項33の発明によれば、分岐路毎に導通状態が切り替えられ、全ての分岐路が非導通状態になった際に、端子間が非導通状態になるので、接触信頼性を向上することができ、また、長寿命化が図れる。
【発明の効果】
【0072】
本発明は、応答性を向上することができ、しかも低消費電力化を図ることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0073】
(実施形態1)
本実施形態のリレーは、導電性流体を用いたリレーであって、図1(a),(b)に示すように、ボディ1と、一対の端子2(以下、必要に応じて符号2A,2Bで区別する)と、導電性流体により構成される流体接点部3と、仕切部4と、アクチュエータ(図示せず)とを備える。なお、以下の説明では、説明の簡略化のために図1(a)における上側(ボディ1の厚み方向の一面側)を上側、図1(a)における下側(ボディ1の厚み方向の他面側)を下側、図1(a)における左側(ボディ1の長手方向の一端側)を左側、図1(a)における右側(ボディ1の長手方向の他端側)を右側として説明するが、これはリレーの設置方向を限定するものではない。また、図1では、流体接点部3をドットの網掛けで示している。
【0074】
ボディ1は、絶縁性材料(例えばガラス)により直方体状に形成されている。ボディ1には、一対の流路10(以下、必要に応じて符号10A,10Bで区別する)と、当該一対の流路10それぞれと連通する形で一対の流路10間に設けられた開閉用空所11とが設けられている。
【0075】
開閉用空所11は、ボディ1の中央部を上下方向(厚み方向)に貫通する孔よりなる。したがって、開閉用空所11は上下両側においてボディ1の外部に連通している。本実施形態における開閉用空所11は、例えば、ボディ1の厚み方向に直交する面内における断面形状が、ボディ1の左右方向(長手方向)を短手方向、ボディ1の幅方向(図1(a)における紙面に直交する方向)を長手方向とする長方形状である。流路10Aは、開閉用空所11の左側の内面とボディ1の左側面との間を貫通する断面円形状の孔であり、流路10Bは、開閉用空所11の右側の内面とボディ1の右側面との間を貫通する断面円形状の孔である。本実施形態では、流路10A,10Bの内径は同じ大きさであり、また中心軸は一致している。なお、ボディ1の左右方向に直交する面内において、各流路10は開閉用空所11内に収まる形に形成されている。したがって、開閉用空所11内に仕切部4を配置することによって、流路10間を遮断することができるようになっている。
【0076】
一方、ボディ1の下面側の部位には、一対の流路10A,10Bそれぞれと連通する一対の端子挿入孔12が形成されている。端子挿入孔12は、流路10において開閉用空所11側とは反対側の端部(以下、外側端部と称する)近傍に設けられている(すなわちボディ1の左右両端側に設けられている)。一対の端子挿入孔12それぞれには、一対の端子2それぞれが挿入される。端子2は、金属材料により円柱状に形成され、一端部(図1(a)における上端部)が流路10内に、他端部(図1(a)における下端部)がボディ1の下面側よりボディ1の外部に露設される形で、ボディ1の端子挿入孔12に挿入される。なお、端子2は円柱状のものに限定されず、板状やその他の形状であってもよい。
【0077】
流体接点部3は、一対の流路10それぞれに充填される導電性流体により構成される。本実施形態では、導電性流体は流路10の全部に充填されているため、流体接点部3は、流路10内に露設された端子2の一端部と直接的に接触し、端子2に電気的に接続されている。流体接点部3に使用する導電性流体としては、常温常圧(例えば25℃、1気圧)で液体の金属である水銀や、GaIn、GaInSnなどを採用することができ、特に毒性がないGaInやGaInSnを採用することが好ましい。なお、以下の説明では、必要に応じて流路10Aに対応する流体接点部3を符号3Aで、流路10Bに対応する流体接点部3を符号3Bで表す。
【0078】
仕切部4は、絶縁性材料よりなる本体部40と、本体部40に設けられ一対の流体接点部3間を導通させる導通部41とを有する。本体部40は、図2に示すように、矩形板状に形成されており、その幅と厚みは開閉用空所11内に挿入することができる長さに設定されている。本体部40の中央部には、流路10より内径が大きい貫通孔40aが厚み方向に貫設されている。貫通孔40a内には、導通部41が嵌め込まれる。導通部41は、金属材料により円柱状に形成されており、その厚み(図1(a)における左右方向の長さ)は、本体部40の厚み(図1(a)における左右方向の長さ)に等しくなっている。そのため、導通部41の左端面は、本体部40の左面を含む平面と同一平面上に位置し、導通部41の右端面は、本体部40の右面を含む平面と同一平面上に位置している。また、導通部41の外径は、貫通孔40aよりやや小さいが流路10の内径よりは大きい。
【0079】
本実施形態では、導通部41の左端部および右端部それぞれが、流体接点部3にそれぞれ接触される一対の接触部となり、導通部41の中央部が一対の接触部間を電気的に接続する電気接続部となる。また、導通部41の両端面それぞれが接触部における流体接点部3との接触面410となる。以下、必要に応じて左側の接触面410を符号410Aで表し、右側の接触面410を符号410Bで表す。
【0080】
このような導通部41に使用する金属材料としては、種々のものを採用することができるが、導通部41は、少なくとも接触部が金属材料のなかでも流体接点部3を構成する導電性流体と比較的反応し難い金属材料(すなわち導電性流体に比較的溶融し難い金属材料)によりなることが好ましい。このような金属材料の好適な例としては、タングステン(W)やモリブデン(Mo)が挙げられる。これらを使用すれば、導通部41と流体接点部3が接離する際に、導通部41と流体接点部3との間で生じるアーク放電によって、流体接点部3を構成する導電性流体が導通部41に反応してしまうことを抑制することができて、耐アーク性能を高めることができる。なお、接触部だけではなく導通部41全体を金属材料のなかでも流体接点部3と比較的反応し難い金属材料により形成しても同様の効果を得ることができる。なお、タングステンやモリブデンは、金属材料のなかでも比較的固有抵抗が高いので、端子2間の抵抗(すなわち、リレーのオン抵抗)が高くなる可能性がある。よって導通部41を、上記接触部をタングステンやモリブデンにより形成し、上記電気接続部をタングステンやモリブデンよりも固有抵抗が低い金属材料(例えば銅)により形成することで、端子2間の抵抗を小さくすることが好ましい。このような導通部41は、銅よりなる母材の表面(少なくとも流体接点部3に接触される面)に、スパッタ法などによりタングステンやモリブデンよりなる金属層を形成することによって得ることができる。
【0081】
仕切部4は、本体部40の長手方向(図1(a)における上下方向)をボディ1の厚み方向(図1(a)における上下方向)に沿わせた状態で、開閉用空所11内に配置される(上下方向に移動自在に開閉用空所11内に配置される)。また、仕切部4は、絶縁板5の下面側に固定されている。なお、絶縁板5は、厚み方向がボディ1の厚み方向と同方向となる形でボディ1の上面側に配置されている。
【0082】
アクチュエータは、絶縁板5を上下動させることによって、仕切部4をその厚み方向に直交する所定方向(図示例では上下方向)に沿って移動(スライド移動)させる。具体的には、アクチュエータは、図1(a)に示すように仕切部4の導通部41が一対の流体接点部3間の部位よりも上方に存在する位置(以下、開位置と称する)と、図1(b)に示すように導通部41が一対の流体接点部3間に存在する位置(以下、閉位置と称する)との間で仕切部4をスライド移動させる。
【0083】
ここで、仕切部4が開位置に位置しているときは、図1(a)に示すように、導通部41が一対の流体接点部3間の部位よりも上方に存在するため、一対の流体接点部3同士は互いに接触していないために絶縁されている。したがって、一対の端子2間は絶縁(開成)されている。一方、仕切部4が閉位置に位置しているときは、導通部41が一対の流体接点部3間に位置している。この状態では、図1(b)に示すように、導通部41の左端面に流体接点部3Aが接触するとともに、右端面に流体接点部3Bが接触するため、導通部41により一対の流体接点部3A,3B間の電路が形成されて、一対の流体接点部3A,3B間が導通する(短絡される)。このように一対の流体接点部3A,3B間が短絡されれば、一対の端子2間も短絡(閉成)される。そのため、本実施形態では、ボディ1の上方向側が、仕切部4が閉位置から開位置に向かって移動する開方向側であり、ボディ1の下方向側が、仕切部4が開位置から閉位置に向かって移動する閉方向側である。なお、この種のアクチュエータは、従来周知の構成のものを採用することができるから、詳細な説明は省略する。
【0084】
次に、本実施形態のリレーの動作について図1(a),(b)を参照して説明する。まず、アクチュエータを駆動していないときは、仕切部4は開位置に位置しており、このとき、上述したように導通部41は一対の流体接点部3A,3B間の部位よりも上方に位置しているから、一対の端子2A,2B間は絶縁されている(非導通状態)。すなわち、本実施形態のリレーは、常開型(ノーマリ・オープン型)のリレーである。
【0085】
アクチュエータを駆動すると、仕切部4が開位置から閉位置に移動するから、導通部41が一対の流体接点部3A,3B間に位置し、導通部41を介して一対の流体接点部3A,3B同士が短絡され、一対の端子2A,2Bが流体接点部3によって短絡される(導通状態)。
【0086】
この状態からアクチュエータの駆動を停止すれば、仕切部4が閉位置から開位置に移動するから、導通部41も一対の流体接点部3A,3B間の部位よりも上方に位置し、一対の端子2A,2B間が絶縁される(非導通状態)。
【0087】
以上述べたように、本実施形態のリレーでは、絶縁性材料よりなり一対の流路10A,10Bおよび当該一対の流路10A,10Bそれぞれと連通する形で一対の流路1A,10B間に設けられる開閉用空所11を有するボディ1と、流路10毎に設けられ一端部が流路10に他端部がボディ1の外部にそれぞれ露設される一対の端子2と、一端部に電気的に接続される形で一対の流路10A,10Bそれぞれに充填される導電性流体により構成される流体接点部3A,3Bと、開閉用空所11内に移動自在に配置される仕切部4と、仕切部4を移動させるアクチュエータとを備える。さらに、仕切部4は、絶縁性材料よりなる本体部40と、当該本体部40に設けられ一対の流体接点部3A,3B間を導通させる導通部41とを有し、アクチュエータは、導通部41に一対の流体接点部3A,3B間を導通させる閉位置と一対の流体接点部3A,3B間を導通させない開位置との間で仕切部4を移動させる。
【0088】
そして、このような本実施形態のリレーによれば、アクチュエータにより仕切部4を移動させて一対の流体接点部3A,3B間の導通/非導通を切り替えることで一対の端子2A,2B間の導通/非導通の切り替えが行われる。そのため、従来例のようにヒータで空気を熱膨張させて導電性流体を移動させるものに比べれば、導通状態(端子2間の導通/非導通)が切り換わるまでの時間を短くすることができて、応答性を向上することができる。また、ヒータを利用していないので、低消費電力化を図ることができる。
【0089】
さらに、本実施形態のリレーでは、仕切部4の本体部40は板状に形成され、アクチュエータは、閉位置と開位置との間で仕切部4を本体部40の厚み方向(左右方向)に直交する所定方向(上下方向)にスライド移動させるから、簡単な動作で一対の端子2A,2B間の導通/非導通を切り替えることができる。
【0090】
加えて、導通部41は、金属材料よりなり、本体部40の厚み方向における両面側それぞれに位置し一対の流体接点部3A,3Bに個別に接触される一対の接触部(左端部および右端部)と、一対の接触部間を電気的に接続する電気接続部(中央部)とを有する。
【0091】
そのため、本実施形態のリレーによれば、導通部41の接触部に流体接点部3が接触するか否かで、導通状態が切り替えられるため、流体接点部3A,3B同士が直接的に接触するような場合に比べれば、流体接点部3の移動距離を短くすることができて、導通状態が切り替わるまでの時間を短くすることができる。
【0092】
ところで、本実施形態における仕切部4では、導通部41の左右の両端面それぞれは、本体部40の左右の両面それぞれを含む平面と同一平面上に位置している。そのため、仕切部4の移動時には、流体接点部3は、導通部41だけではなく本体部40にも接触する。このとき、流体接点部3を構成する導電性流体の一部が本体部40に付着したままになって、流体接点部3を構成する導電性流体の量が減少して、安定した動作が得られなくなるおそがある。
【0093】
かかる点を考慮して、導通部41の表面(厚み方向の両端面)に、流体接点部3に対する濡れ性を良くする処理をし、本体部40の表面(厚み方向の両面)に、流体接点部3に対する濡れ性を悪くする処理をするようにしてもよい。ここで、流体接点部3に対する濡れ性を良くする処理としては、鏡面処理や、流体接点部3に対する濡れ性が良好な物質でコーティングする処理を採用することができる。また、流体接点部3に対する濡れ性を悪くする処理としては、粗面化処理や、流体接点部3に対する濡れ性が悪い物質でコーティングする処理を採用することができる。
【0094】
このようにすれば、流体接点部3と導通部41との接触信頼性を向上することができ、また、仕切部4の本体部40に流体接点部3を構成する導電性流体が付着したときに、導電性流体の一部が本体部40に付着したままになって、流体接点部3を構成する導電性流体の量が少なくなってしまうことを抑制することができる。よって、安定した動作が得られるようになる。
【0095】
ところで、仕切部4の構成は上記の例に限定されない。例えば、導通部41の形状は円柱状ではなく、筒状であってもよい。図3(a),(b)に示す例では、導通部41は、金属材料により仕切部4の本体部40の厚み方向を中心軸方向とする筒状(図示例では円筒状)に形成され、外周面が貫通孔40aの内周面に当接する形で貫通孔40a内に配置される。このような導通部41を用いた場合でも、導通部41に流体接点部3が接触するか否かで、導通状態が切り替えられる。そのため、流体接点部3同士が直接的に接触するような場合に比べれば、流体接点部3の移動距離を短くすることができて、導通状態が切り替わるまでの時間を短くすることができる。また、円柱状の導通部41に比べれば、貫通孔40a内に嵌め込み易くなるので、仕切部4の製造が容易になり、使用する金属材料の量が減るから低コスト化を図ることができる。なお、導通部41を筒状とした場合には、導通部41に外周面を周方向に分断するスリット(図示せず)を設けてもよく、当該スリットを設ければ、導通部41を貫通孔40a内に配置し易くすることができ、仕切部4の製造をより容易に行うことができるようになる。
【0096】
また、導通部41は、本体部40と同様な矩形板状のものであってもよい。このような導通部41は、図4に示すように、本体部40の端部(下端部)に接合される。図4に示す仕切部4を採用すれば、貫通孔40aを形成する作業が必要なくなるので、仕切部4を容易に作製することができるようになる。また、導通部41は、めっき処理等によって本体部40に形成されていてもよく、一対の接触部と電気接続部に相当する構成を有していれば、図1に示すような円柱状や、図3に示すような円筒状、図4に示すような板状のものに限定されない。
【0097】
(実施形態2)
本実施形態のリレーは、図5(a)に示すように、ボディ1の構成が実施形態1と異なっている。なお、本実施形態のリレーのその他の構成については実施形態1と同様であるから、同様の構成については同一の符号を付して図示および説明を省略する。なお、図5では、端子2、絶縁板5、および端子挿入孔12の図示を省略している。
【0098】
本実施形態におけるボディ1では、図5(a)に示すように、流路の形状が実施形態1と異なっている。本実施形態における流路10は、開閉用空所11側の端部(以下、内側端部と称する)において内径が開閉用空所に近付くにつれて小さくなるように形成されている。つまり、流路10の内側端部は、開閉用空所11に近付くにつれて狭くなっている。
【0099】
本実施形態のリレーによれば、実施形態1に比べて、流体接点部3と導通部41との接触面積が小さくすることができるから、仕切部4に付着する導電性流体の量を少なくすることができる。そのため、遮断性能が向上し、安定した動作を得ることができる。また、流路10の内側端部が、開閉用空所11に近付くにつれて狭くなっているため、流路10の外側端部から流体接点部3を構成する導電性流体を充填すれば、充填時に、導電性流体が流路10から漏れ出してしまうことを抑制することができる。
【0100】
ところで、図5(b)に示すように、流路10の外側端部側に絶縁性樹脂よりなる封止部6を形成して、外側端部を閉塞するようにしてもよい。このようにすれば、流体接点部3を構成する導電性流体が流路10の外側端部よりボディ1の外部に漏出してしまうことを防止することができる。また、封止部6を設けた場合には、流体接点部3を開閉用空所11側に付勢する加圧用流体7を流路10内に封入することができる。加圧用流体7の圧力は、流体接点部3が流路10から流出しない程度に流体接点部3を開閉用空所11側に付勢するような圧力に設定される。なお、加圧用流体7としては、流体接点部3の導電性流体と混合されない空気や希ガス等の気体(この他、流体接点部3の導電性流体と混合されないならば液体であってもよい)を用いることができる。
【0101】
このような加圧用流体7を封入することによって、流体接点部3と導通部41の接触部との接圧を高めることができるから、接触信頼性の向上が図れる。
【0102】
(実施形態3)
本実施形態のリレーは、図6(a)に示すように、ボディ1の構成が実施形態1と異なっている。なお、本実施形態のリレーのその他の構成については実施形態1と同様であるから、同様の構成については同一の符号を付して図示および説明を省略する。なお、図6では、端子2、絶縁板5、および端子挿入孔12の図示を省略している。
【0103】
本実施形態におけるボディ1では、図6(a)に示すように、流路10の形状が実施形態1と異なっている。本実施形態における流路10は、内側端部において内径が開閉用空所に近付くにつれて大きくなるように形成されている。つまり、流路10の内側端部は、開閉用空所11に近付くにつれて広くなっている。
【0104】
本実施形態のリレーによれば、仕切部4と流体接点部3との接触面積を大きくすることができるから、接触信頼性を向上することができる。また、流路10の内側端部が開閉用空所11に近付くにつれて広くなっているから、広くなっていない場合に比べれば流路10の内面が開閉用空所11の内面に比較的なだらかに繋がっている。そのため、図6(b)に示すように、流体接点部3を構成する導電性流体の一部30が仕切部4に付着したまま仕切部4とともに移動して、流体接点部3を構成する導電性流体の量が少なくなってしまうことを抑制することができ、安定した動作を得ることができる。
【0105】
(実施形態4)
本実施形態のリレーは、図7(a)に示すように、仕切部4の構成が実施形態1と異なっている。なお、本実施形態のリレーのその他の構成については実施形態1と同様であるから、同様の構成については同一の符号を付して図示および説明を省略する。なお、図7,8では、端子2、絶縁板5、および端子挿入孔12の図示を省略している。
【0106】
本実施形態における仕切部4では、図7(a)に示すように、導通部41の厚みが本体部40の厚みよりも厚くなっている点で実施形態1と異なっている。導通部41は、導通部41の左端面が本体部40の左面を含む平面よりも左方に位置し、導通部41の右端面が本体部40の右面を含む平面よりも右方に位置する形で、本体部40の貫通孔40a内に嵌め込まれている。すなわち、本実施形態における仕切部4の左右両側それぞれには、導通部41の接触部における流体接点部3との接触面410を先端面とする凸部が形成されている。また、本実施形態における導通部41では、接触面410のサイズが、当該接触面410に対応する流路10における開閉用空所11側の開口部のサイズよりも小さくなっている。
【0107】
以上述べた本実施形態のリレーによれば、仕切部4において流体接点部3と接触される領域を狭くすることができ、特に、導通部41のみを流体接点部3に接触させることが可能になるから、遮断性能が向上し、安定した動作を得ることができる。
【0108】
また、接触面410のサイズを、当該接触面410に対応する流路10における開閉用空所11側の開口サイズ(開口部のサイズ)よりも小さくしているので、仕切部4の導通部41と流体接点部3との接触面積を小さくすることができるため、遮断性能が向上し、安定した動作を得ることができる。ここで、接触面410のサイズを、図7(b)に示すように、より小さくすれば(すなわち、導通部41の外径をより小さくすれば)、導通部41の接触部に付着する流体接点部3の量をさらに少なくすることができ、さらなる遮断性能の向上が図れ、より安定した動作を得ることができる。
【0109】
ところで、図7(a),(b)に示す例では、導通部41の接触面410が平坦な面になっており、接触面410と導通部41の外周面との角度が90度である。そのため、図8(b)に示すように、流体接点部3と導通部41とが接離する際に、導通部41によって流体接点部3を構成する導電性流体の一部30が流体接点部3から分離されてしまうおそれがある。
【0110】
かかる点に鑑みれば、接触面410の端部は、図8(a)に示すように、端に近付くにつれて流路10から離れるような曲面形状に形成されていることが好ましい(換言すれば、導通部41における接触面410の端部が面取りされていることが好ましい)。
【0111】
このようにすれば、流体接点部3と導通部41とが接離する際に、導通部41によって流体接点部3を構成する導電性流体の一部30が流体接点部3から分離されてしまうことを抑制することができるから、流体接点部3の量が少なくなることに起因する接触信頼性の低下などを抑制することができ、安定した動作を得ることができる。
【0112】
なお、接触面410の端部は、必ずしも全周に亘って曲面形状に形成されている必要はない。すなわち、接触面410は、少なくとも仕切部4の移動方向に沿った方向における端部が曲面形状であればよい。また、接触面410の端部は、端に近付くにつれて流路10から離れるように傾斜した形状に形成されていてもよい。要するに、接触面410は、少なくとも仕切部4の移動方向に沿った方向における端部が端に近付くにつれて流路10から離れる形に形成されていればよい。
【0113】
(実施形態5)
本実施形態のリレーは、図9に示すように、仕切部4の構成が実施形態1と異なっている。なお、本実施形態のリレーのその他の構成については実施形態1と同様であるから、同様の構成については同一の符号を付して図示および説明を省略する。なお、図9では、端子2、絶縁板5、および端子挿入孔12の図示を省略している。
【0114】
本実施形態における仕切部4では、図9に示すように、導通部41の厚みが本体部40の厚みよりも薄くなっている。この導通部41は、導通部41の左端面が本体部40の左面を含む平面よりも右方に位置し、導通部41の右端面が本体部40の右面を含む平面よりも左方に位置する形で、本体部40の貫通孔40a内に嵌め込まれている。すなわち、本実施形態における仕切部4の左右両側それぞれには、導通部41の接触面410を先端面とする凹部が形成されている。また、本実施形態における導通部41では、接触面410のサイズが、当該接触面410に対応する流路10における開閉用空所11側の開口部のサイズよりも小さくなっている。
【0115】
さらに、本実施形態における仕切部4では、各接触面410に、流体接点部3を構成する導電性流体と同じ導電性流体が塗布され、これによって、仕切部4の上記凹部それぞれに流体接触部42が形成されている。この流体接触部42の先端部は、上記凹部より外方に突出している。
【0116】
したがって、本実施形態のリレーでは、流体接点部3を構成する導電性流体と同一の導電性流体よりなる流体接触部42と流体接点部3とが接離することによって導通状態が切り替えられる。そのため、本実施形態にリレーによれば、導通部41によって流体接点部3を構成する導電性流体の一部が流体接点部3から分離されてしまうことを抑制することができるから、流体接点部3の量が少なくなることに起因する接触信頼性の低下などを抑制することができ、安定した動作を得ることができる。
【0117】
(実施形態6)
本実施形態のリレーは、図10(a)に示すように、ボディ1の構成が実施形態1と異なっている。なお、本実施形態のリレーのその他の構成については実施形態1と同様であるから、同様の構成については同一の符号を付して図示および説明を省略する。なお、図10,11では、端子2、絶縁板5、および端子挿入孔12の図示を省略している。
【0118】
本実施形態におけるボディ1は、流体接点部3を構成する導電性流体の流量を制限する対偶部13を備えている。対偶部13は、流路10の内側端部内に設けられており、回動部130と、回動部130を支持する支持部131とで構成されている。回動部130は、金属材料により球形状に形成される。このような回動部130は、仕切部4が開位置から移動した後、閉位置に位置する前から導通部41に接触されるように配置される。したがって、仕切部4が開位置から閉位置まで移動する過程において、回動部130は仕切部4の導通部41に接触し、仕切部4の移動に伴って、回動させられる。
【0119】
支持部131は、流路10の長さ方向を中心軸方向とする円筒状に形成されている。支持部131の外径は流路10の内径よりやや小さく、支持部131を流路10内に配置することによって、流路10の内側端部を閉塞することができるようにしている。また、支持部131における開閉用空所11側の端部には、回動部130が回動可能に嵌め込まれる支持凹所131aが形成されている。さらに、支持部131の内径は、開閉用空所11より離れるにつれて大きくなっており、流体接点部3が支持部131内に流入し易くしている。
【0120】
このような対偶部13において、回動部130と支持部131との間には、回動部130の回動によって流体接点部3が開閉用空所11側に進出可能な大きさの隙間が設けられている。そのため、流路10内において流体接点部3を構成する導電性流体が回動部130に付着し、回動部130に付着した導電性流体は、回動部130が回動することによって、開閉用空所11側に進出する。対偶部13では、回動部130の表面に常に流体接点部3の導電性流体が付着することになる。
【0121】
次に、本実施形態のリレーの動作について説明する。まず、アクチュエータを駆動していないときは、仕切部4は開位置に位置しており(図10(a)参照)、このとき、導通部41は一対の流体接点部3A,3B間の部位よりも上方に位置しているから、非導通状態である。アクチュエータを駆動すると、仕切部4は開位置から閉位置に向けて移動する。この過程で、仕切部4の導通部41は対偶部13の回動部130に接触し、その結果、回動部130が回動させられる。これによって、流体接点部3を構成する導電性流体が仕切部4の導通部41に付着する。そして、仕切部4が閉位置に到達すると、導通部41が一対の流体接点部3間に位置し、導通部41を介して一対の流体接点部3同士が短絡され、導通状態となる。そして、アクチュエータの駆動を停止すれば、仕切部4が閉位置から開位置に移動するから、導通部41も一対の流体接点部3間の部位よりも上方に位置し、非導通状態に戻る。
【0122】
このように本実施形態のリレーでは、仕切部4が開位置から閉位置に移動する際に導通部41が回動部130に接触して回動部130が回動させられ、流体接点部3を構成する導電性流体が回動部130の表面に付着した状態で開閉用空所11側に進出し、これによって流体接点部3と導通部41との電気的な接続が確立される。そのため、導通部1の接触部に付着する流体接点部3を構成する導電性流体の量が少なくなって遮断性能が向上する。また、回動部130の回動によって流体接点部3が開閉用空所11側に安定して供給されるから、接触信頼性が向上する。したがって、安定した動作を得ることができる。
【0123】
また、本実施形態における仕切部4の構成は、図10(a)に示すものに限定されない。例えば、仕切部4は、図10(b)に示すように、導通部41の厚みが本体部40の厚みよりも厚くなっているものであってもよい。この仕切部4では、導通部41の厚みが本体部40の厚みより厚くなっているため、導通部41の左端面は本体部40の左面を含む平面よりも左方に位置し、導通部41の右端面は本体部40の右面を含む平面よりも右方に位置している。つまり、仕切部4の左右両側それぞれには、導通部41の接触部における流体接点部3との接触面410を先端面とする凸部が形成されている。
【0124】
このような仕切部4を用いれば、仕切部4において流体接点部3と接触される領域を狭くすることができ、特に、導通部41のみを流体接点部3に接触させることが可能になるから、遮断性能が向上し、安定した動作を得ることができる。
【0125】
ところで、図10(b)に示す例では、導通部41の接触面410が平坦な面になっており、接触面410と導通部41の外周面との角度が90度である。そのため、対偶部3の回動部130と導通部41の接触面410とが接離する際に、導通部41の角が回動部130に当たって回動部130が削られ、回動部130が破損してしまうおそれがある。
【0126】
かかる点に鑑みれば、接触面410の端部は、図10(c)に示すように、端に近付くにつれて流路10から離れるように傾斜した形状に形成されていることが好ましい(換言すれば、導通部41における接触面410の端部が面取りされていることが好ましい)。このようにすれば、回動部130に導通部41が接触する際に、導通部41によって回動部130が破損してしまうことを抑制することができるから、安定した動作を得ることができる。なお、接触面410の端部は、必ずしも全周に亘って傾斜した形状に形成されている必要はない。すなわち、接触面410は、少なくとも仕切部4の移動方向に沿った方向における端部が傾斜した形状であればよい。また、接触面410の端部は、端に近付くにつれて流路10から離れるような曲面形状に形成されていてもよい。要するに、接触面410は、少なくとも仕切部4の移動方向に沿った方向における端部が端に近付くにつれて流路10から離れる形に形成されていればよい。
【0127】
また、図11(a)に示すように、封止部6により流路10の外側端部を閉塞するようにしてもよい。このようにすれば、流体接点部3を構成する導電性流体が流路10の外側端部よりボディ1の外部に漏出してしまうことを防止することができる。
【0128】
ここで、封止部6を設けた場合には、図11(b)に示すように、流体接点部3を開閉用空所11側に付勢する加圧用流体7を流路10内に封入することができる。なお、加圧用流体7としては、流体接点部3の導電性流体と混合されない空気や希ガス等の気体(この他、流体接点部3の導電性流体と混合されないならば液体であってもよい)を用いることができる。
【0129】
このようにすれば、回動部130が流体接点部3を介して加圧用流体7によって開閉用空所側に付勢されて、回動部130と支持部131との隙間が狭くなるので、流体接点部130を構成する導電性流体が開閉用空所11に漏出してしまうことを抑制することができる。また、一般に導電性流体の粘性は低温時に比べて高温時のほうが低下するので、回動部130と支持部131との隙間より漏出し易くなるが、高温時には加圧用流体7が膨張するために回動部130が低温時よりも開閉用空所11側に付勢され回動部130と支持部131との隙間がより狭くなるので、高温時においても導電性流体の漏出を抑制することができる。
【0130】
ところで、本実施形態における対偶部13は、図12(a),(b)に示すようなものであってもよい。図12に示す対偶部13は、支持部131の形状が図10,11に示すものと異なっている。図12に示す支持部131は、円環状のかしめ部131bを有する。かしめ部131bの内面は球形の凹面状に、外面は球形の凸面状にそれぞれ形成されており、かしめ部131bの内部空間が支持凹所131aを構成する。このかしめ部131bの一端側の開口は、開閉用空所11側に向けられ、支持凹所131a内に配置された回動部130の回動によって、当該開口より流体接点部3を構成する導電性流体が開閉用空所11側に供給される。一方、かしめ部131bの他端側の開口縁部からは、円筒状の供給路131cが、かしめ部131bと中心軸を同じにする形で突設されている。流路10内の導電性流体は、供給路131cを通って支持凹所131a内に流入する。
【0131】
このような対偶部13であっても、図10,11に示す例と同様の効果を得ることができる。なお、図12(a)に示すリレーは、図11(a)に示す例と同様に封止部6を備え、図12(b)に示す例では、図11(b)に示す例と同様に封止部6および加圧用流体7を備えている。
【0132】
また、対偶部13の構成は上記の例(図10〜図12に示す例)に限定されない。例えば、回動部130は、球形状であるものに限定されず、少なくとも仕切部4の本体部40の厚み方向と仕切部4の移動方向とにそれぞれ直交する直交方向における断面形状が正円形状であるもの(例えば円柱形状)であればよい。つまり、仕切部4の移動時に受ける力によって回動可能な形状であればよい。
【0133】
(実施形態7)
本実施形態のリレーは、図13に示すように、ボディ1の構成が実施形態1と異なっている。なお、本実施形態のリレーのその他の構成については実施形態1と同様であるから、同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。また、図13では絶縁板5の図示を省略している。
【0134】
本実施形態におけるボディ1では、流路10Aよりも流路10Bの内径が大きくなっている。流路10Bの内径は、仕切部4の位置に関わらず(開位置と閉位置とのいずれにおいても)、導通部41と流路10B内の流体接点部3Bとが接触するような大きさである。
【0135】
このように本実施形態のリレーでは、一対の流路10の一方(流路10B)においては流体接点部3Bが仕切部4の位置が開位置と閉位置とにかかわらず導通部41に接触している。そのため、一対の流路の他方(流路10A)において流体接点部3Aが導通部41に接触するか否かによって導通状態が切り替えられる。したがって、本実施形態のリレーによれば、導通部41の接触部において流体接点部3と接触する接触面410と流路10との距離(ギャップ)や面粗さなどの設計管理を、両方の流路10A,10Bについて行う必要がなく、片方の流路10Aにだけ行えばよいから、製造が容易になる。
【0136】
ところで、図13に示す例では、流路10Bの全体の内径を大きくしているが、流路10Bは、少なくとも開閉用空所11側の開口部が、開位置と閉位置とのいずれにおいても導通部41と流路10B内の流体接点部3Bとが接触する形に形成されていればよい。
【0137】
(実施形態8)
本実施形態のリレーは、図14に示すように、仕切部4の構成が実施形態1と異なっている。なお、本実施形態のリレーのその他の構成については実施形態1と同様であるから、同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。なお、図14では、端子2、絶縁板5、および端子挿入孔12の図示を省略している。
【0138】
本実施形態における仕切部4は、図14に示すように、導通部41の構成が実施形態1と異なっている。本実施形態における導通部41は、固体接触部411を有する。固体接触部411は、金属材料により厚みが本体部40の厚みよりも薄い円盤状に形成され、本体部40の貫通孔40a内の左端側に嵌め込まれている。ここで、固体接触部411は、左端面が、本体部40の左面を含む平面と同一平面上に位置するように本体部40の貫通孔40aに嵌め込まれている。したがって、固体接触部411の右端面は、本体部40の右面を含む平面よりも左方に位置している。これによって、仕切部4の右面側には、固体接触部411の右端面を底面とする凹所が形成され、当該凹所には、流体接点部3を構成する導電性流体と同じ導電性流体よりなる流体接触部412が設けられている。
【0139】
本実施形態では、固体接触部411と流体接触部412とによって導通部41が構成されている。すなわち、導通部41の一対の接触部のうちの一方は、流体接点部3と同じ導電性流体よりなる。
【0140】
このような本実施形態のリレーによれば、導通部41の接触部において流体接点部3と接触する面と流路との距離(ギャップ)や面粗さなどの設計管理を、一対の接触部のうちの他方(本実施形態では、固体接触部411)についてのみ行うだけで済み、製造が容易になる。なお、本実施形態では、流路10B側の接触部を導電性流体により構成しているが、勿論、流路10A側の接触部を導電性流体により構成してもよい。
【0141】
(実施形態9)
本実施形態のリレーは、図15に示すように、ボディ1の構成が実施形態1と異なっている。なお、本実施形態のリレーのその他の構成については実施形態1と同様であるから、同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。また、図15では、端子2、絶縁板5、および端子挿入孔12の図示を省略している。
【0142】
本実施形態におけるボディ1には、ガス抜き用の連通路14が設けられている。連通路14は、ボディ1の外部と開閉用空所11とを連通させるものであり、ボディ1の上面側と開閉用空所11の内面とを連通させる形に形成されている。したがって、連通路14の一方の開口部は、ボディ1の上面に設けられ、他方の開口部(すなわち開閉用空所11側の開口部)は、開閉用空所11の内面に設けられている。ここで、上記他方の開口部は、導通部41と流体接点部3との間に生じるアーク放電によって加熱された気体がボディ1の外部に抜け易いように、流路10における開閉用空所11側の開口部の近傍かつ上方に位置している。
【0143】
本実施形態のリレーでは、導通部41の接触部と流体接点部3が接離する際に、導通部41と流体接点部3との間でアーク放電が生じて周囲の気体の温度が上昇し急激に膨張しても、ガス抜き用の連通路14によって気体がボディ1の外部に流出する。そのため、本実施形態のリレーによれば、気体の膨張によって仕切部4に圧力がかかって仕切部4の移動が不安定になってしまうことを抑制して、安定した動作を得ることができる。
【0144】
なお、ガス抜き用の連通路14の形状は、図15に示すものに限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することができる。例えば、図15に示す例では、連通路14の一方の開口部がボディ1の上面に設けられているが、当該一方の開口部はボディ1の左面や右面などの側面(開閉用空所11と反対側の面)に設けられていてもよい。すなわち、連通路14は、アーク放電に起因した膨張した気体をボディ1の外部へ逃がすことができるようにボディ1に形成されていればよい。
【0145】
(実施形態10)
本実施形態のリレーは、図16に示すように、ボディ1の構成が実施形態1と異なっている。なお、本実施形態のリレーのその他の構成については実施形態1と同様であるから、同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。また、図16では、端子2、絶縁板5、および端子挿入孔12の図示を省略している。
【0146】
本実施形態におけるボディ1では、開閉用空所11は、流路10における開閉用空所11側の開口部近傍から開方向側(仕切部4が閉位置から開位置に向かって移動する側、図16に示す例では上方向側)に向かうにつれて本体部40の厚み方向(左右方向)に広がっている。これによって、ボディ1には、ガス抜き用の空間部15が設けられている。
【0147】
したがって、本実施形態のリレーでは、導通部41の接触部と流体接点部3が接離する際に、導通部41と流体接点部3との間でアーク放電が生じて周囲の気体の温度が上昇し急激に膨張しても、ガス抜き用の空間部15を通って気体がボディ1の外部に流出する。そのため、本実施形態のリレーによれば、気体の膨張によって仕切部4に圧力がかかって仕切部4の移動が不安定になってしまうことを抑制して、安定した動作を得ることができる。なお、ガス抜き用の空間部15の形状は、図16に示すものに限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することができる。
【0148】
(実施形態11)
本実施形態のリレーは、図17(a),(b)に示すように、仕切部4の構成が実施形態1と異なっている。なお、本実施形態のリレーのその他の構成については実施形態1と同様であるから、同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0149】
本実施形態における仕切部4は、実施形態1と同様に、本体部40と、導通部41とを有しているが、本実施形態における導通部41は、図18に示すように、本体部40を厚み方向に貫通する円形状の孔よりなる。この導通部41は、仕切部4が閉位置に位置しているときに、内部に流体接点部3の導電性流体が流入して一対の流体接点部3同士を接触させる連通流路となる。
【0150】
次に、本実施形態のリレーの動作について図17(a),(b)を参照して説明する。まず、アクチュエータを駆動していないときは、仕切部4は開位置に位置(導通部41は一対の流体接点部3A,3B間の部位よりも上方に位置)しており、一対の流体接点部3A,3B間の接触は仕切部4の本体部40によって防止されているから、一対の端子2A,2B間は絶縁されている(非導通状態)。アクチュエータを駆動すると、仕切部4は開位置から閉位置に移動するために、導通部41が一対の流体接点部3A,3B間に位置する。よって、導通部41内に流体接点部3の導電性流体が流入して一対の流体接点部3A,3B同士が接触し、結果として流体接点部3A,3Bを構成する導電性流体が一体になる。そのため、一対の端子2A,2Bが流体接点部3によって短絡される(導通状態)。そして、アクチュエータの駆動を停止すれば、仕切部4が閉位置から開位置に移動するから、導通部41も一対の流体接点部3A,3B間の部位よりも上方に位置する。これによって、一対の流体接点部3A,3B間が分断され、一対の端子2A,2B間が絶縁される(非導通状態)。
【0151】
したがって、本実施形態のリレーによれば、アクチュエータにより仕切部4を移動させて一対の流体接点部3A,3B間の導通/非導通を切り替えることで一対の端子2A,2B間の導通/非導通の切り替えが行われる。そのため、従来例のようにヒータで空気を熱膨張させて導電性流体を移動させるものに比べれば、導通状態(端子2間の導通/非導通)が切り換わるまでの時間を短くすることができて、応答性を向上することができる。また、ヒータを利用していないので、低消費電力化を図ることができる。
【0152】
さらに、本実施形態のリレーでは、仕切部4の本体部40は板状に形成され、アクチュエータは、閉位置と開位置との間で仕切部4を本体部40の厚み方向(左右方向)に直交する所定方向(上下方向)にスライド移動させるから、簡単な動作で一対の端子2A,2B間の導通/非導通を切り替えることができる。
【0153】
(実施形態12)
本実施形態のリレーは、図19に示すように、仕切部4の構成が実施形態11と異なっている。なお、本実施形態のリレーのその他の構成については実施形態11と同様であるから、同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。また、図19では、端子2および端子挿入孔12の図示を省略している。
【0154】
本実施形態における仕切部4では、導通部41は、開口部(左右両側の開口部)から中間部に向かうにつれて内径が小さくなる形に形成されている(導通部41となる連通流路が、開口部から中間部に向かうにつれて狭くなる形に形成されている)。これによって、導通部41の内面には、流体接点部3分断用の突起部41aが形成されている。そのため、仕切部4の移動時には、突起部41aを境界として導電性流体が左右に流動するから、突起部41aがない場合に比べれば、導電性流体が分断され易くなる。
【0155】
したがって、本実施形態のリレーによれば、導通部41内(連通流路内)で一体となった一対の流体接点部3A,3Bを容易に分断することができ、遮断性能が向上し、安定した動作を得ることができる。
【0156】
(実施形態13)
本実施形態のリレーは、図20(a),(b)に示すように、主としてボディ1と仕切部4の構成が実施形態1と異なっている。なお、本実施形態のリレーのその他の構成については実施形態1と同様であるから、同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。また、図20では、端子2、絶縁板5、および端子挿入孔12の図示を省略している。
【0157】
本実施形態におけるボディ1では、開閉用空所11の形状が実施形態1と異なっており、開閉用空所11は、上下方向に直交する面内における断面形状が正円形状の凹所よりなり、上端部がボディ1の上面側と連通している。
【0158】
本実施形態における仕切部4は、正円柱状に形成された本体部40を有する。本体部40の外径は、開閉用空所11の内径よりも小さく設定されている。本体部40には、その中心軸に直交する方向(径方向)において本体部40を貫通する孔よりなる導通部41が形成されている。導通部41は、実施形態11と同様に、内部に流体接点部3の導電性流体が流入して一対の流体接点部3同士を接触させる連通流路となる。
【0159】
このような仕切部4は、開閉用空所11内に、本体部40の中心軸の回りに回動自在に配置される。本実施形態の場合、導通部41が一対の流路10それぞれと連通する仕切部4の位置、すなわち図20(a)に示すように導通部41の中心軸方向がボディ1の左右方向と平行する状態となる位置が閉位置である。また、導通部41が一対の流路10それぞれと連通しない仕切部4の位置、すなわち図20(b)に示すように導通部41の中心軸方向がボディ1の左右方向と交差(図示例では直交)する状態となる位置が開位置である。
【0160】
そのため、本実施形態におけるアクチュエータとしては、実施形態1のように仕切部4をスライド移動させるものではなく、仕切部4を回動(回転移動)させるものが採用される。本実施形態においても、アクチュエータを駆動していないときは、仕切部4が開位置に位置し、アクチュエータを駆動している間だけ、仕切部4が閉位置に位置するようにしている。なお、このようなアクチュエータとしては、従来周知のものを採用することができる。
【0161】
次に、本実施形態のリレーの動作について図20(a),(b)を参照して説明する。まず、アクチュエータを駆動していないときは、図20(b)に示すように、仕切部4は開位置に位置している。この状態では、上述したように導通部41は一対の流路10A,10Bそれぞれと連通していないから、一対の端子2A,2B間は絶縁されている(非導通状態)。アクチュエータを駆動すると、図20(a)に示すように、仕切部4は開位置から閉位置まで回転(90度回転)させられる。これによって、導通部41が一対の流路10A,10Bそれぞれと連通し、導通部41内に流体接点部3の導電性流体が流入して一対の流体接点部3A,3B同士が接触し、一対の端子2A,2Bが流体接点部3によって短絡される(導通状態)。そして、アクチュエータの駆動を停止すれば、図20(b)に示すように、仕切部4が閉位置から開位置まで回転させられ、導通部41が一対の流路10A,10Bそれぞれと連通しなくなる。これによって、一対の流体接点部3A,3B間が分断され、一対の端子2A,2B間が絶縁される(非導通状態)。
【0162】
したがって、本実施形態のリレーによれば、アクチュエータにより仕切部4を移動させて一対の流体接点部3A,3B間の導通/非導通を切り替えることで一対の端子2A,2B間の導通/非導通の切り替えが行われる。そのため、従来例のようにヒータで空気を熱膨張させて導電性流体を移動させるものに比べれば、導通状態(端子2間の導通/非導通)が切り換わるまでの時間を短くすることができて、応答性を向上することができる。また、ヒータを利用していないので、低消費電力化を図ることができる。
【0163】
さらに、本実施形態のリレーでは、仕切部4をスライド移動ではなく、回転移動させている。そのため、仕切部4をスライド移動させる場合に比べれば、仕切部4の移動のために必要な領域を狭くすることができて、仕切部4の移動ための領域の省スペース化が図れ、全体として小型化を図ることができる。
【0164】
(実施形態14)
本実施形態のリレーは、ボディ1に使用する絶縁性材料が実施形態1と異なっている。本実施形態のリレーのその他の点については実施形態1と同様であるから図示および説明を省略する。
【0165】
本実施形態のリレーでは、ボディ1に使用する絶縁性材料として、水酸化マグネシウムを混入したナイロンを採用している。
【0166】
本実施形態のリレーによれば、ボディ1が水酸化マグネシウムを混入したナイロンによりなるので、導通部41の接触部と流体接点部3が接離する際に、接触部と流体接点部3との間でアーク放電が生じた際に、絶縁性材料に含まれるヒドロキシ基(水酸基、OH基)によって熱伝導性が良好な気体である水素が発生するから、アーク放電を素早く消弧することができる。ところで、本実施形態では、ボディ1の材料として水酸化マグネシウムを混入したナイロンを採用しているが、この他の例としては、ポリブチレンテレフタレート(PBT)を用いることができる。また、ボディ1に使用する絶縁性材料として、ヒドロキシ基を持つ絶縁性材料を用いることで、同様の効果を得ることができる。なお、本実施形態の技術的思想は、実施形態1のみならず、実施形態2〜13にも適用することができる。
【0167】
(実施形態15)
本実施形態のリレーは、ボディ1に使用する絶縁性材料が実施形態1と異なっている。本実施形態のリレーのその他の点については実施形態1と同様であるから図示および説明を省略する。
【0168】
本実施形態のリレーでは、ボディ1に使用する絶縁性材料として、絶縁性材料のなかでもアーク放電に対する消弧性が比較的良好な絶縁性材料(例えば、不飽和ポリエステルや、ユリア樹脂、セラミックスなど)を採用している。
【0169】
本実施形態のリレーによれば、導通部41と流体接点部3が接離する際に、導通部41と流体接点部3との間でアーク放電が生じた場合でも、ボディ1の一部が炭化して絶縁劣化を起こしてしまうことを抑制することができる。なお、本実施形態の技術的思想は、実施形態1のみならず、実施形態2〜13にも適用することができる。
【0170】
(実施形態16)
本実施形態のリレーは、ボディ1の構成が実施形態1と異なっている。なお、本実施形態のリレーのその他の構成については実施形態1と同様であるから、同様の構成については同一の符号を付して図示および説明を省略する。
【0171】
本実施形態におけるボディ1では、流路10の内面には、流体接点部3に対する濡れ性を良くする処理がなされ、開閉用空所11の内面における流路10の開口縁部には、流体接点部3に対する濡れ性を悪くする処理がなされている。ここで、流体接点部3に対する濡れ性を良くする処理としては、鏡面処理や、流体接点部3に対する濡れ性が良好な物質でコーティングする処理を採用することができる。また、流体接点部3に対する濡れ性を悪くする処理としては、粗面化処理や、流体接点部3に対する濡れ性が悪い物質でコーティングする処理を採用することができる。
【0172】
本実施形態のリレーによれば、流路10の内面のほうが、開閉用空所11の内面における流路10の開口縁部よりも、流体接点部3に対する濡れ性が良いので、流体接点部3の導電性流体が開閉用空所11の内面に付着したり、導電性流体が流路10外に漏出したりしてしまうことを抑制することができる。
【0173】
なお、上記の例では、開閉用空所11の内面における流路10の開口縁部に、流体接点部3に対する濡れ性を悪くする処理を行っているが、このような処理は、開閉用空所11の内面全面に対して行うようにしてもよい。また、ボディ1の外面における流路10の開口縁部あるいは外面全面にも同様の処理を行うようにしてもよい。要は、流体接点部3の導電性流体が付着して欲しくない面に対して、濡れ性を悪くする処理を行えばよい。また、本実施形態の技術的思想は、実施形態1のみならず、他の実施形態2〜15にも適用することができる。
【0174】
(実施形態17)
本実施形態のリレーは、図21に示すように、ボディ1の構成が実施形態1と異なっている。なお、本実施形態のリレーのその他の構成については実施形態1と同様であるから、同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。なお、図21では、絶縁板5の図示を省略している。
【0175】
本実施形態におけるボディ1は、各流路10の形状が実施形態1と異なっている。流路10は、開閉用空所11側の内径が、開閉用空所11側とは反対側の内径よりも小さくなっている。つまり、流路10は、小径部10aと、小径部より内径が大きい大径部10bとが連通した形状である。そして、流路10の小径部10a内には、流体接点部3を構成する導電性流体が充填される一方、大径部10b内には、金属材料よりなる固体接点部8が大径部10bを閉塞する形で配置されている。すなわち、本実施形態におけるボディ1は、流路10における開閉用空所11側とは反対側の端部(外側端部)を閉塞する固体接点部8を備えている。
【0176】
この固体接点部8は、金属材料のなかでも流体接点部3に対する濡れ性が良い金属材料により形成されており、これによって、流体接点部3が固体接点部8に接触した状態が保たれるようにしている。なお、図示例では、端子挿入孔12は、大径部10bにおいて流路10と連通しているため、流体接点部3は、固体接点部8を通じて端子2に電気的に接続されている。ただし、端子挿入孔12は、小径部10aにおいて流路10と連通していてもよく、この場合、流体接点部3は端子2に直接的に接触することになる。
【0177】
以上述べた本実施形態のリレーによれば、流体接点部3に使用する導電性流体の量を少なくすることができるから、低コスト化を図ることができる。また、固体接点部8で流路10を閉塞しているから、流体接点部3を構成する導電性流体がボディ1の外部に漏出してしまうことを抑制することができる。なお、本実施形態の技術的思想は、実施形態1のみならず、他の実施形態にも適用することができ、特に実施形態2,6では封止部6の代わりに使用することができる。
【0178】
(実施形態18)
本実施形態のリレーは、図22に示すように、ボディ1の構成が実施形態1と異なっている。なお、本実施形態のリレーのその他の構成については実施形態1と同様であるから、同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。なお、図22では、端子2、仕切部4、絶縁板5、および端子挿入孔12の図示を省略している。
【0179】
本実施形態におけるボディ1は、封止部6を備える。封止部6は、絶縁性樹脂により、流路10における開閉用空所11側とは反対側の端部(外側端部)を閉塞する形に形成されている。つまり、本実施形態では、流路10の外側端部は閉塞されている。
【0180】
したがって、本実施形態のリレーによれば、流体接点部3の導電性流体が流路10の外側端部からボディ1の外部に流出してしまうことを防止することができる。すなわち、実施形態1のように、流路10の外側端部がボディ1の外部に開放されているものでは、流路10内の導電性流体が外側端部より漏出するおそれがあったが、本実施形態のリレーによれば、このような点を解消することができる。なお、本実施形態の技術的思想は、実施形態1のみならず、他の実施形態2〜16にも適用することができる。
【0181】
(実施形態19)
本実施形態のリレーは、図23(a)に示すように、ボディ1の構成が実施形態1と異なっている。なお、本実施形態のリレーのその他の構成については実施形態1と同様であるから、同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。なお、図23では、端子2、絶縁板5、および端子挿入孔12の図示を省略している。
【0182】
本実施形態におけるボディ1は、くびれ部16を備える。くびれ部16は、流路10の内面における開閉用空所11側の部位を周方向に一周する形に突出形成されている。したがって、本実施形態では、流路10の一部が狭くなっている(流路10は一部が狭口に形成されている)。そのため、流路10の長さ方向(長手方向、図23(a)における左右方向)に沿った方向以外の方向への導電性流体の流動が抑制されることになる
そのため、本実施形態のリレーによれば、流路10の長さ方向に交差する方向よりボディ1に衝撃が与えられた際に、流体接点部3の導電性流体が流路10から外部に漏出することを抑制することができる。
【0183】
ところで、くびれ部16は、図23(a)に示すように、内径が一様なものに限定されず、図23(b)に示すように、開閉用空所11側に向かうにつれて流路10を徐々に狭くする形に形成されていてもよい。このようにすれば、流体接点部3の導電性流体を流路10内に充填する作業が容易に行えるようになる。なお、本実施形態の技術的思想は、実施形態1のみならず、他の実施形態2〜18にも適用することができる。
【0184】
(実施形態20)
本実施形態のリレーは、ボディ1と仕切部4の構成が実施形態1と異なっている。なお、本実施形態のリレーのその他の構成については実施形態1と同様であるから、同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0185】
本実施形態におけるボディ1は、図24(a)に示すように、流路10の形状が実施形態1と異なっている。本実施形態における流路10Aは、端子2の一端部が露設される露設部101と、一端部が開閉用空所11に連通し他端部が露設部101に連通する複数(図示例では3つ)の分岐路102(102A〜102C)とで構成されている。なお、流路10Bは、図24(a)では図示を省略しているが、流路10Aと同様に、露設部101と、分岐路102(102A〜102C)とで構成されている。
【0186】
本実施形態における仕切部4は、図24(b)に示すように、矩形板状の本体部40を備える。本体部40には、貫通孔40aが3つ設けられており、3つの貫通孔40aそれぞれは、分岐路102A〜102Cそれぞれに対応している。そして、各貫通孔40aには、導通部41(導通部41A〜41C)が設けられている。ここで、導通部41A〜41Cそれぞれは、一対の流路10の分岐路102A〜102C内の流体接点部3間それぞれを導通させるためのものである。
【0187】
そして、本実施形態では、仕切部4は、開位置に位置しているときは、全ての導通部41が一対の分岐路102間の部位よりも上方に位置し、閉位置に位置しているときは全ての導通部41が一対の分岐路102間の部位に位置するように、アクチュエータにより移動させられる。
【0188】
次に、本実施形態のリレーの動作について説明する。まず、アクチュエータを駆動していないときは、仕切部4は開位置に位置しており、このとき、導通部41A〜41Cはいずれも対応する分岐路102A〜102C間の部位よりも上方に位置している。そのため、流路10Aの分岐路102A〜102C内の流体接点部3と、流路10Bの分岐路102A〜102C内の流体接点部3とは互いに絶縁されている。よって、一対の端子2間は絶縁されている(非導通状態)。
【0189】
アクチュエータを駆動すると、仕切部4は下方に移動させられ、開位置から閉位置に移動する。これによって、導通部41A〜41Cはいずれも対応する分岐路102A〜102C間の部位に位置する。そのため、流路10Aの分岐路102A〜102C内の流体接点部3と、流路10Bの分岐路102A〜102C内の流体接点部3とは導通部41により互いに電気的に接続される。よって、一対の端子2が流体接点部3によって短絡される(導通状態)。
【0190】
そして、アクチュエータの駆動を停止すれば、仕切部4が閉位置から開位置に移動するから、導通部41A〜41Cはいずれも対応する分岐路102A〜102C間の部位よりも上方に位置し、一対の端子2間が絶縁される(非導通状態)。
【0191】
以上述べた本実施形態のリレーでは、分岐路102毎に導通状態が切り替えられ、全ての分岐路102が非導通状態になった際に、端子2間が非導通状態になる。そのため、本実施形態のリレーによれば、接触信頼性を向上することができ、また、いずれかの導通部41によって一対の流体接点部3間が導通していれば、導通状態になるため、長寿命化が図れる。
【0192】
(実施形態21)
本実施形態のリレーは、ボディ1に使用する絶縁性材料が実施形態1と異なっている。本実施形態のリレーのその他の点については実施形態1と同様であるから図示および説明を省略する。
【0193】
本実施形態のリレーでは、ボディ1は、負の線膨張係数を有する絶縁性材料、例えば、「ポリ(パラフェニレンベンゾビスオキサゾール)」(poly(p-phenylenebenzobisoxazole))によりなる。
【0194】
本実施形態のリレーによれば、高温時には、流体接点部3を構成する導電性流体が膨張する一方で、ボディ1は逆に収縮するから、温度による流路10の容積変化を抑制することができ、導電性流体が流路10からボディ1の外部に漏出してしまうことを抑制することができる。なお、本実施形態の技術的思想は、実施形態1のみならず、実施形態2〜13,16〜20にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0195】
【図1】実施形態1のリレーを示し、(a)は非導通状態の概略断面図、(b)は導通状態の概略断面図である。
【図2】図1(a)のA−A線矢視図である。
【図3】同上のリレーの他例を示し、(a)は導通状態の一部を省略した概略断面図、(b)は同図(a)のB−B線矢視図である。
【図4】同上のリレーの他例の一部を省略した概略断面図である。
【図5】(a)は実施形態2のリレーの一部を省略した概略断面図、(b)は同上のリレーの他例の一部を省略した概略断面図である。
【図6】(a)は実施形態3のリレーの一部を省略した概略断面図、(b)は説明図である。
【図7】(a)は実施形態4のリレーの一部を省略した概略断面図、(b)は同上のリレーの他例の一部を省略した概略断面図である。
【図8】(a)は同上のリレーの一部を省略した概略断面図、(b)は説明図である。
【図9】実施形態4のリレーの一部を省略した概略断面図である。
【図10】(a)は実施形態6のリレーの一部を省略した概略断面図、(b)は同上のリレーの他例の一部を省略した概略断面図、(c)は同上のリレーの他例の一部を省略した概略断面図である。
【図11】同上のリレーの他例の一部を省略した概略断面図である。
【図12】同上のリレーの他例の一部を省略した概略断面図である。
【図13】実施形態7のリレーの一部を省略した概略断面図である。
【図14】実施形態8のリレーの一部を省略した概略断面図である。
【図15】実施形態9のリレーの一部を省略した概略断面図である。
【図16】実施形態10のリレーの一部を省略した概略断面図である。
【図17】実施形態11のリレーを示し、(a)は非導通状態の概略断面図、(b)は導通状態の概略断面図である。
【図18】図17(a)のC−C線矢視図である。
【図19】実施形態12のリレーの一部を省略した概略断面図である。
【図20】実施形態13のリレーを示し、(a)は導通状態の一部を省略した概略断面図、(b)は非導通状態の一部を省略した概略断面図である。
【図21】実施形態17のリレーの一部を省略した概略断面図である。
【図22】実施形態18のリレーの一部を省略した概略断面図である。
【図23】(a)は実施形態19のリレーの一部を省略した概略断面図、(b)は同上のリレーの他例の一部を省略した概略断面図である。
【図24】(a)は実施形態20におけるボディの一部を省略した斜視図、(b)は同上における仕切部の断面図である。
【符号の説明】
【0196】
1 ボディ
2(2A,2B) 端子
3(3A,3B) 流体接点部
4 仕切部
7 加圧用流体
8 固体接点部
10(10A,10B) 流路
11 開閉用空所
13 対偶部
14 連通路
16 くびれ部
40 本体部
40a 貫通孔
41(41A〜41C) 導通部
41a 突起部
101 露設部
102(102A〜102C) 分岐路
130 回動部
131 支持部
131a 支持凹所
410(410A,410B) 接触面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性材料よりなり一対の流路および当該一対の流路それぞれと連通する形で一対の流路間に設けられる開閉用空所を有するボディと、流路毎に設けられ一端部が流路に他端部がボディの外部にそれぞれ露設される一対の端子と、端子の一端部に電気的に接続される形で一対の流路それぞれに充填される導電性流体により構成される流体接点部と、開閉用空所内に移動自在に配置される仕切部と、仕切部を移動させるアクチュエータとを備え、
仕切部は、絶縁性材料よりなる本体部と、当該本体部に設けられ一対の流体接点部間を導通させる導通部とを有し、
アクチュエータは、導通部に一対の流体接点部間を導通させる閉位置と一対の流体接点部間を導通させない開位置との間で仕切部を移動させることを特徴とするリレー。
【請求項2】
上記仕切部の上記本体部は板状に形成され、
上記アクチュエータは、上記閉位置と上記開位置との間で上記仕切部を上記本体部の厚み方向に直交する所定方向にスライド移動させることを特徴とする請求項1記載のリレー。
【請求項3】
上記導通部は、金属材料よりなり、上記本体部の上記厚み方向における両面側それぞれに位置し上記一対の流体接点部に個別に接触される一対の接触部と、一対の接触部間を電気的に接続する電気接続部とを有していることを特徴とする請求項2記載のリレー。
【請求項4】
上記導通部は、上記本体部の端部に設けられていることを特徴とする請求項3記載のリレー。
【請求項5】
上記流路における上記開閉用空所側の端部は、上記開閉用空所に近付くにつれて狭くなっていることを特徴とする請求項3記載のリレー。
【請求項6】
上記流路における上記開閉用空所側とは反対側の端部は閉塞され、
上記流路には、上記流体接点部が上記流路から流出しない程度に上記流体接点部を上記開閉用空所側に付勢する加圧用流体が封入されていることを特徴とする請求項5記載のリレー。
【請求項7】
上記流路における上記開閉用空所側の端部は、上記開閉用空所に近付くにつれて広くなっていることを特徴とする請求項3記載のリレー。
【請求項8】
上記仕切部には、上記接触部における上記流体接点部との接触面を先端面とする凸部が形成されていることを特徴とする請求項3記載のリレー。
【請求項9】
上記接触面は、少なくとも上記所定方向に沿った方向における端部が端に近付くにつれて上記流路から離れる形に形成されていることを特徴とする請求項8記載のリレー。
【請求項10】
上記接触面のサイズは、当該接触部に対応する上記流路における上記開閉用空所側の開口部のサイズよりも小さいことを特徴とする請求項8または9記載のリレー。
【請求項11】
上記仕切部には、上記接触部における上記流体接点部との接触面を底面とする凹部が形成され、
上記接触面には、上記流体接点部と同じ導電性流体が塗布されていることを特徴とする請求項3記載のリレー。
【請求項12】
上記流路における上記開閉用空所側の端部には、少なくとも上記本体部の厚み方向と上記所定方向とにそれぞれ直交する直交方向における断面形状が正円形状であり、上記仕切部が上記開位置から移動した後、上記閉位置に位置する前から上記導通部に接触される回動部と、少なくとも回動部が上記直交方向に直交する面内において回動可能に嵌め込まれる支持凹所を有し上記端部を閉塞する支持部とを有する対偶部が設けられ、
回動部と支持部との間には、回動部の回動によって上記流体接点部が上記開閉用空所側に進出可能な大きさの隙間が設けられていることを特徴とする請求項3記載のリレー。
【請求項13】
上記仕切部には、上記接触部における上記流体接点部との接触面を先端面とする凸部が形成されていることを特徴とする請求項12記載のリレー。
【請求項14】
上記接触面は、少なくとも上記所定方向に沿った方向における端部が端に近付くにつれて上記流路から離れる形に形成されていることを特徴とする請求項13記載のリレー。
【請求項15】
上記流路における上記開閉用空所側とは反対側の端部は閉塞され、
上記流路には、上記流体接点部を上記開閉用空所側に付勢する加圧用流体が封入されていることを特徴とする請求項14記載のリレー。
【請求項16】
上記一対の流路の一方は、少なくとも上記開閉用空所側の開口部が上記開位置と上記閉位置とのいずれにおいても上記導通部と上記流体接点部とが接触する形に形成されていることを特徴とする請求項3記載のリレー。
【請求項17】
上記一対の接触部のうちの一方は、上記流体接点部と同じ導電性流体よりなることを特徴とする請求項3記載のリレー。
【請求項18】
上記導通部は、少なくとも上記接触部が金属材料のなかでも上記流体接点部と比較的反応しにくい金属材料により形成されてなることを特徴とする請求項3〜17のうちいずれか1項記載のリレー。
【請求項19】
上記ボディは、ヒドロキシ基を持つ絶縁性材料よりなることを特徴とする請求項3〜18のうちいずれか1項記載のリレー。
【請求項20】
上記ボディは、絶縁性材料のなかでもアーク放電に対する消弧性が比較的良好な絶縁性材料よりなることを特徴とする請求項3〜18のうちいずれか1項記載のリレー。
【請求項21】
上記ボディには、上記開閉用空所と上記ボディの外部とを連通させるガス抜き用の連通路が形成され、
連通路における上記開閉用空所側の開口部は、上記流路における上記開閉用空所側の開口部の近傍に位置していることを特徴とする請求項3〜20のうちいずれか1項記載のリレー。
【請求項22】
上記開閉用空所は、上記仕切部が上記閉位置から上記開位置に向かって移動する開方向側において上記ボディの外部と連通し、上記流路における上記開閉用空所側の開口部近傍から上記開方向側に向かうにつれて少なくとも上記本体部の上記厚み方向において広がっていることを特徴とする請求項3〜21のうちいずれか1項記載のリレー。
【請求項23】
上記本体部には、当該本体部を厚み方向に貫通する貫通孔が形成され、
上記導通部は、金属材料により上記厚み方向を中心軸方向とする筒状に形成され、外周面が貫通孔の内周面に当接する形で貫通孔内に配置されていることを特徴とする請求項2記載のリレー。
【請求項24】
上記導通部の表面には、上記流体接点部に対する濡れ性を良くする処理がなされ、
上記本体部の表面には、上記流体接点部に対する濡れ性を悪くする処理がなされていることを特徴とする請求項3〜23のうちいずれか1項記載のリレー。
【請求項25】
上記本体部は正円柱状に形成され、
上記アクチュエータは、上記閉位置と上記開位置との間で上記仕切部をその中心軸の回りに回転させることを特徴とする請求項1記載のリレー。
【請求項26】
上記導通部は、上記本体部を厚み方向に貫通し、上記閉位置において内部に上記流体接点部が流入して上記一対の流体接点部同士を接触させる連通流路よりなり、
上記導通部の内面には、上記流体接点部分断用の突起部が形成されていることを特徴とする請求項2または25記載のリレー。
【請求項27】
上記流路の内面には、上記流体接点部に対する濡れ性を良くする処理がなされ、
少なくとも開閉用空所の内面における上記流路の開口縁部には、上記流体接点部に対する濡れ性を悪くする処理がなされていることを特徴とする請求項1〜26のうちいずれか1項記載のリレー。
【請求項28】
上記流路の端部を閉塞する固体接点部を備え、
固体接点部は、金属材料のなかでも上記流体接点部に対する濡れ性が良い金属材料よりなることを特徴とする請求項1〜5,7〜15,17〜27のうちいずれか1項記載のリレー。
【請求項29】
上記流路における上記開閉用空所側とは反対側の端部は閉塞されていることを特徴とする請求項1〜5,7〜15,17〜27のうちいずれか1項記載のリレー。
【請求項30】
上記ボディは、負の線膨張係数を有する絶縁性材料により形成されてなることを特徴とする請求項1〜18,21〜29のうちいずれか1項記載のリレー。
【請求項31】
上記ボディには、上記流路の一部を狭くするくびれ部が設けられていることを特徴とする請求項1〜30のうちいずれか1項記載のリレー。
【請求項32】
上記くびれ部は、上記開閉用空所側に向かうにつれて上記流路を徐々に狭くする形に形成されていることを特徴とする請求項31記載のリレー。
【請求項33】
上記流路は、上記端子の上記一端部が露設される露設部と、当該露設部より分岐する複数の分岐路とで構成されていることを特徴とする請求項1〜32のうちいずれか1項記載のリレー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2010−27308(P2010−27308A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−185351(P2008−185351)
【出願日】平成20年7月16日(2008.7.16)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】