説明

リン酸カルシウムおよびリン酸カルシウム複合粒子を製造するための燃焼方法

本願は、リン酸カルシウム粒子の製造方法を対象とする。特に、製造プロセスから焼結ステップの必要性を排除した製造方法を提供しようとするものである。この方法は、カルシウム前駆体、リン前駆体、および過酸化水素を含有する前駆組成物の1つまたは複数を霧化および燃焼するステップを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2007年11月12日に出願したアイルランド特許出願第2007/0808号に基づく外国優先権の利益を主張し、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願は、リン酸カルシウムおよびリン酸カルシウム複合粒子を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
リン酸カルシウムは、多くの分野で技術的に重要である。準安定相または安定相として周囲条件で存在する広範囲のリン酸カルシウム塩があり、最も一般的なものは、水溶液中で溶解度の低い方から順に表1に列挙されている(非特許文献1参照)。非晶質リン酸カルシウム(ACP)相も同定されている。
【0004】
【表1】

【0005】
ヒドロキシアパタイト(HAP)は、周囲温度付近および4から12のpH範囲で最も熱力学的に安定なリン酸カルシウム塩である。これが生理的な温度およびpHを含むことは重要である。HAPは、触媒学、肥料および水処理の産業において広範に使用される。これは、生物医学的および薬理学的な領域においても使用される。リン酸カルシウムベースのバイオマテリアルは、ヒト組織とのその優れた生体適合性のために、20年を超えて医薬および歯学において使用されている。したがって、ヒドロキシアパタイトは、歯科インプラント、経皮デバイス、歯周治療、歯槽堤増大、整形外科、顎顔面外科手術、耳鼻咽喉科学、および脊髄手術において広く使用されている。バイオマテリアルとしてHAPの機能性は、無脊椎動物の歯および骨の主な無機成分である骨アパタイトとのその化学的および構造的類似性に由来する。HAPは、既知の骨誘導性物質であり、硬組織関節形成術のための金属医療用デバイス上のコーティング、ならびに合成の骨移植片および骨セメントにおける成分の両方として使用される。生体模倣剤(bio−mimetic)であるHAPは、いずれの硬組織インプラントの成功にも必要な特性である、インビボでの骨の内部成長および固定を促進する(非特許文献2〜3参照)。
【0006】
その固有の生体適合性、および多くの生物学的種は、その表面上で容易に吸着するという事実の結果として、HAPは、抗生物質、成長因子、ならびに生理学的に重要な様々な遺伝学的経路に関与する他の調節タンパク質および/または機能タンパク質を含めた広範囲の治療剤を送達するのに最適な物質にますますなってきている(非特許文献4参照)。Habrakenらは、薬剤送達のための足場としてのセラミックコンポジットマトリックス、製造用途における焼結ステップの必要性を排除することに向けられたリン酸カルシウムおよびカルシウムの包括的な概説を記述した(非特許文献5参照)。
【0007】
硬組織の領域において広範に使用されている一方で、心血管医療用デバイスに関連した薬剤送達システムにおいてポリマーに代わるものとしてのHAPの使用、例えば、MIV TherapeuticsのVESTASYNC(商標)ステントが現在開発中である。MIV Therapeuticsによって進行中の臨床試験について最近報告された結果は、HAPをコーティングした冠動脈ステントを使用しても有害な臨床効果はまったくないことを実証している(非特許文献6参照)。
【0008】
さらに、ヒドロキシアパタイトは、特許文献1において見られるように、タンパク質精製およびDNA単離における生物学的クロマトグラフィーの支持体としても使用されている。ヒドロキシアパタイトはまた、多種多様な生体分子、例えば、酵素のサブクラス、抗体断片、核酸などを分画および精製するために現在使用されている(非特許文献7参照)。結晶ヒドロキシアパタイトのカラムは、高速液体クロマトグラフィーにおいて一般に使用される。一般に、このクロマトグラフィーカラムは、機械的強度が劣った、不規則な形状をしたヒドロキシアパタイトで満たされる。
【0009】
球状の粉末は一般に、不規則な粉末より良好な流体力学的特性を有し、したがって腰インプラントおよびクロマトグラフィー分離用の、より良好なコーティングをもたらすことが知られている。改善された機械的特性ならびに物理的および化学的安定性を示す、球状のヒドロキシアパタイトセラミックビーズが最近開発された。しかし、これらの球状のセラミックビーズは、特許文献2に見られるように、サイズが20〜80ミクロンの間である。
【0010】
HAPの電気機械的特性は、最近かなりの興味を引きつけており、特に、HAPは焦電気性であり、おそらく圧電性であることが示された。HAPの電気的特性の役割が、生理的環境において重要であるという事例証拠が存在し、分極したHAPは、分極していない対応物と比較して、擬似体液実験において改善された生物活性を有することが示された。しかし、HAPの圧電性およびまたは焦電気性の可能性を十分に活用するために、HAPの単結晶および/または異方性膜またはセラミック体を製造するための、より制御可能な方法が望ましい。
【0011】
インビトロで、リン酸カルシウム粒子またはセラミックに対する骨芽細胞(骨細胞)の応答は、マイクロ/メソおよびマクロスケールの両方で、トポグラフィーおよび材料の多孔性に依存することが示された(非特許文献8参照)。さらに、リン酸カルシウム粒子およびセラミックの多孔性および表面の化学的性質は、薬剤担体としてのその機能性にも影響し、特に、吸着に利用可能な表面積および表面自体の化学的性質は、装填することができる治療剤の量、および引き続いてインビボで実現される溶出特性を決定する。
【0012】
合成のよく特徴づけられたHAPに対する要求は、これらのハイエンドの精製およびインビボ用途によって駆り立てられる。したがって、多くの時間および取り組みが、特定の用途の必要に応じて適合した形態、トポグラフィー、および多孔度を有するリン酸カルシウム粒子およびセラミック体を製造するためのプロセスの開発に充てられおり、HAPおよびリン酸カルシウムの基本的な化学的性質は、一般に多くの注目を集めている。
【0013】
HAPを調製し、かつまたはこれを表面上に堆積させるためのいくつかの方法が報告されており、例えば、とりわけ、固体状態反応経路、プラズマ技法、熱水法、他のリン酸カルシウム塩の層加水分解、およびゾル−ゲル反応法である(非特許文献9〜15参照)。
【0014】
過飽和水溶液からの沈殿による、水熱経路を介したHAPの合成は、低費用のために有利であるが、これまで使用されたすべての経路は、結晶化度が低く、多くの場合組成が化学量論的でないHAP結晶を生成してきた。高純度HAP結晶の製造に伴う困難は、対象とするpH領域におけるリン酸カルシウム相の一般に低い溶解度、および水性Ca2+/HPO42-系の相図の複雑な性質の結果から生じる(非特許文献1参照)。HAP沈殿のためのカルシウム源として酸化物またはリン酸塩以外の塩を使用する多くの反応スキームが提案されており、これらの塩の中で最も一般的なのは塩化カルシウムおよび硝酸カルシウムである。これらの塩は、水溶液中でより可溶性であり、[Ca]に関して非常に過飽和の溶液を与えるが、ならびにClまたはNO3汚染イオンを導入し、PO4源とともに、または溶液を緩衝するために他の可能な混入物が導入される。炭酸塩、リン酸水素、アンモニウム塩、水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウム、硝酸塩、尿素、ならびに塩化物を使用して経路が求められており、そのすべては、反応物とともに沈殿系中に導入され得る、可能な混入物である。これらのイオンでのHAPの汚染により、沈殿物質の結晶学的特徴が著しく逸脱する。さらに、そのような系においてなっている過飽和(σ)条件は、表面化学現象によって媒介される複雑な沈殿溶解反応を伴う、HAPへの途中で、多くの前駆体準安定相が形成されることを意味する。OCP、DCPD、TCPおよびACP(非晶質リン酸カルシウム)は、温度およびpHに応じて最も一般に観察される(動力学的に安定な)相である。多くの場合において、沈殿したリン酸カルシウムの熱処理を必要とされることが多く、高温でヒドロキシルイオンの喪失と通常関連して、非化学量論的HAPをもたらす。
【0015】
純度の観点から最も望ましいHAPへの水熱経路は、正しい比で混合されたCa(OH)2、CaOおよびH2O、ならびにリン酸を使用することであり、その理由は、これにより最終生成物が他のイオンで汚染されないためである。そのような反応スキームは提案されている(非特許文献16参照)が、CaOの溶解度が、HAPの溶解度と比べて高いため、10〜20の範囲で局所的な過飽和が反応の早期に存在し、さらに、いくつかの準安定固相が、最終生成物への途中で形成される。これらの相のHAPへの変換の動態が遅い結果として、非常に長い反応時間および複雑な洗浄手順をプロセスの間にかけなければならない。
【0016】
重要なことに、表面で媒介される二次核生成が支配する、典型的なHAP合成経路においてなっている過飽和条件は、そのような方法によって生成される合成HAPは、非晶質またはナノ結晶であることが多いことを意味する。さらに、そのようなHAP粉末を焼結することによって作製される濃密体は、本質的に等方性である。
【0017】
HAPまたは他のリン酸カルシウム塩への手段として噴霧乾燥を使用する多くの開示が存在するが、すべての場合において、所望の生成物を得るために処理後に焼結を施さなければならない。
【0018】
HAP製造のゾル−ゲル法により、カルシウム前駆体とリン前駆体が分子レベルで混合され、これは、得られるHAPの化学的な均一性を著しい程度に改善することができる(非特許文献17参照)。
【0019】
一般に、ゾル−ゲルプロセスによる合成では、正しいCaとPのモル比である1.67を有する溶液を得るなどのために、適切な溶媒中に溶解したCa前駆体とP前駆体が混合される。得られた溶液は一般に、寝かされることによってゾルの形成が可能になり、およびまたは過剰の溶媒が除去され、この時点で、これは高温で焼結されることによって、存在するCa種とP種の間の反応を開始する。様々なCa前駆体物質およびP前駆体物質、溶媒,焼結温度、ならびに継続時間を使用した、この基本テーマに対する多くの変形が文献に報告されている(非特許文献18〜30参照)。アパタイト構造を形成するのに必要とされる温度は、前駆体の化学的性質に大部分は依存するが、高温で反応物を長く維持すると、ヒドロキシル喪失により、得られたHAPが必然的に分解する。
【0020】
ゾル−ゲルプロセスは、追加の成分を組み込むことによって、目的に合わせた組成を有する生成物を得ることができるという点で特に多用途でもある。例えば、ゾル中に適切な量の置換イオンを含めることによって、置換アパタイトを製造することができる。リン酸カルシウム中に置換されるイオンの中では、シリカ、ハロゲンイオン、炭酸塩、マグネシウム、ストロンチウム、バナジウム、ヒ素、硫酸塩、アルミナ、ジルコニア、および多くの他のものである。
【0021】
さらに、ゾル−ゲルプロセスは、リン酸カルシウムが他の相とともに存在するコンポジット材を製造するのに使用することができる。リン酸カルシウムが基板上の付着層としてまたはコンポジット体中の成分として存在する物質が作製された。そのような組成物は一般に、別個の相として、チタニア、シリカ、アルミナ、ジルコニア、および他のセラミックを含有する(非特許文献24、25、30〜39参照)。
【0022】
ゾル−ゲルプロセスは、リン酸カルシウムを製造するための手段として、ある程度の成功を収め、いくつかの利点を提供する、すなわち、これは費用効果的であり、非常に多用途である一方で、その主な欠点は、反応後に熱処理が必要であることである。これにより必然的に、非化学量論的生成物(ヒドロキシル喪失)が生じ、所望の生成物(HAP)がCaOおよび他のリン酸カルシウム塩に分解する。しかし、中性または塩基性pH(多くの場合、水酸化アンモニウムを伴う)を有するHAP前駆体調製物は、Dean−Mo Liuらのゾル−ゲル調製物などの酸性前駆体ゾルから形成されるものより、高い焼結温度を必要とすることは、文献から明らかである(非特許文献40参照)。しかし、酸性前駆体に伴う不利点は、HAP格子中に取り込むためヒドロキシル種を、前駆体溶液中に欠いていることである。
【0023】
HAPが成分である、複合ブラスト(blasting)粒子を製造する方法も、ブラスト目的のために開示された。この場合では、衝撃でHAP成分を浸透させる粒子質量および密度を与える他のより硬い物質とともに、HAPがガラス状マトリックス内に存在する。そのような粒子は、ゾル−ゲル技法を使用して作り出され、やはりこれを製造する間に長時間の焼結を必要とする。いくつかの開示は、高密度なコア物質およびより軟らかい物質の外側付着層からなる複合粒子を伴うショットピーニング法、例えば、歯科インプラント用のRocatek junior bonding system(商標)に集中している。この場合では、アルミナの高密度なコアおよびシリカの外側付着層を含む複合粒子が、金属インプラントのショットブラストにおいて使用され、シリカの外側付着層が衝撃で表面に埋め込まれる。そのように埋め込まれたシリカは、シランカップリング化学反応を使用することによって、インプラントに付着したさらなるポリマー層の接着を増強させる。外側層がチタニアからなる、同様のタイプの粒子が開示されている。リン酸カルシウムの外側付着層とともに高密度なコアを含む、そのような層化した粒子の生成は、生物医学的な分野において同様の用途を有するが、これらを製造するための火炎熱分解法は今までまったく開示されていない。
【0024】
火炎噴霧熱分解およびまたは酸化は、ナノ粒子を含めた多くの重要な無機化合物の工業規模の製造のための手段として、近年多くの注目を集めている。例として、とりわけ、カーボンブラック、チタニア、酸化亜鉛およびヒュームドシリカを製造するためのプロセスが挙げられる。多くの金属粉末および金属触媒もエアロゾル火炎反応器で製造される。そのような反応器において、適切な前駆体化合物の溶液が、高温の火炎中に注入されることによって化学反応を開始し、所望の生成物を生じる(非特許文献41〜51参照)。火炎噴霧反応器は、工業製造に容易に拡大できると同時に、製造される粒子の形態およびサイズに対して所望のレベルの制御を可能にするという利点を提供する。
【0025】
そのようなスキームが、TCPおよびHAPを含めたリン酸カルシウムナノ粒子を製造するために最近提案された(特許文献3参照)。この開示では、水溶液中でカルボン酸塩として存在する、適切なCa前駆体およびP前駆体の溶液が、メタンおよび酸素によって燃料供給された高温の火炎中に注入されることによって、反応を開始する。しかし、得られた生成物は、所望の生成物を得るためにさらなる熱処理ステップ(焼結)を必要とした。Choら(非特許文献52参照)も、プロパンによって燃料供給された高温の火炎中に、リン酸アンモニウムおよび硝酸カルシウムの水溶液を注入することを伴う、ヒドロキシアパタイトナノ粒子を製造するための噴霧熱分解プロセスを最近報告した。しかし、得られた粒子は、所望の物質を得るためにさらなる焼結ステップを必要とした。Inoueら(特許文献4〜6参照)は、反応を開始するために火炎中に注入される、Ca前駆体およびP前駆体を含有する水性溶媒と炭化水素溶媒の混合物を利用して、リン酸カルシウム物質を製造するための燃焼方法を教示している。しかし、溶媒混合物中で前駆体の完全な溶解を実現するために、炭化水素とともにかなりの量の水が使用される。それでも、火炎に曝される前に、前駆体溶液中で望ましくないCa相およびP相が沈殿するのを防止するために、過剰の酸が使用されなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0026】
【特許文献1】米国特許第4,798,886号明細書
【特許文献2】米国特許第5,858,318号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2007/0196259号明細書
【特許文献4】米国特許第4,711,768号明細書
【特許文献5】米国特許第4,836,994号明細書
【特許文献6】米国特許第5,108,956号明細書
【非特許文献】
【0027】
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【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
火炎中の滞留時間が非常に短いことを考慮すると、前駆体溶液中のかなりの体積の水の存在は不利であり、潜熱を供給することによって、火炎中の温度を低下させ、反応の程度を動態学的に妨げているこの水を蒸発させなければならない。結果として、製造された生成物は、正しいCa/P比を有する一方で非晶質であり、結晶物質を得るために焼結されなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0029】
混合された水性溶媒、炭化水素溶媒を利用する火炎合成プロセスは、上記に概説した問題を被り、本願は、追加の焼結の必要なく、火炎熱分解ステップから直接、結晶のリン酸カルシウムを生じる燃焼方法を提供することを対象とする。これは、前駆体物質中の成分として過酸化水素を使用することによって実現される。これは、以下の説明および特許請求の範囲から明らかになるいくつかの利点および特徴をもたらす。
【0030】
本願は、特にHAPの製造に適した適切な溶媒中に溶解した、適当なCa前駆体化合物およびP前駆体化合物の溶液を直接燃焼させることを伴う、リン酸カルシウム塩の製造方法を教示する。この方法は、複合粒子を製造するため、ならびに金属物品およびセラミック物品、特にインプラントの表面上にリン酸カルシウムコーティングを堆積させるためにも使用することができる。
【0031】
より詳細には、本願は、以下に続く特許請求の範囲に従った、リン酸カルシウム物質の製造方法、この方法によって製造されるリン酸カルシウム粒子、この粒子でコーティングされたもの、製造システムおよびコーティングシステムを提供する。有利な特徴、代替案および実施形態は、従属クレームに示される。
【0032】
本願は、以下の図面を参照してより明らかに理解されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本願で使用するための例示的なバーナーの構成の略図である。
【図2】従来技術に従った方法によって製造されたHAPのXRDスペクトルの図である。
【図3】本願の方法に従って、実質的に乾燥エタノール/Ca前駆体およびP前駆体溶液を直接燃焼させることによって製造したリン酸カルシウムのXRDスペクトルの図である。
【図4】本願の方法によって製造したHAPのXRDスペクトルの図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
従来技術において、Ca前駆体およびP前駆体の溶液またはゾルから純粋なHAPを製造して成功するために重要なことは、前駆体化合物の反応を開始し、HAP格子を結晶化させるために高い量の熱エネルギーを提供すると同時に、その環境において水およびまたはヒドロキシル種を維持することであり、長時間の高温焼結を利用するいずれのプロセスにおいても不可能である。
【0035】
本願は、生成物を長時間焼結する必要を除く一方で、前駆体の反応を開始するのに十分な熱エネルギーを提供し、同時に、反応時点での環境において蒸気およびヒドロキシル種を維持することによって、この問題を回避する。
【0036】
適当なリン化合物およびカルシウム化合物は、適切な比で過剰の可燃性溶媒中に溶解または懸濁することによって、リン酸カルシウム物質の前駆組成物(antecedent composition)を生成する。過酸化水素も、燃焼混合物の成分として添加される。
【0037】
過酸化水素は、以下の反応を起こすことができることが、当業者に分かる。
【0038】
【化1】

【0039】
後者は、酸の酸化力(溶解力)を増大させることに関与し、ピラニア溶液などの酸化配合物中で、この目的のために鉱酸とともにH22が利用される。
【0040】
本願において、前駆組成物中に過酸化物が存在することにより、前駆組成物の含水量を最小限に維持する一方で、完全に混合される前に、組成物中に望まれないCa相およびP相が沈殿するのを防止することが可能になる。
【0041】
さらに、反応2は、前駆組成物において酸性条件になる場合があっても、火炎中でヒドロキシル種源をもたらし、HAPの製造において特に重要である。
【0042】
先の反応は、本願との関連で以下の利点を提供する。
【0043】
第1に、火炎中での酸素の生成は、炭化水素溶媒の完全燃焼を助け、第2にガスの発生は、燃焼されている前駆組成物の霧化において助けとなる。また、この反応は非常に発熱性であるので、火炎中に追加の熱がもたらされることによって、最小の水性成分の蒸発によって除かれる熱のカウンターバランスが取られる。
【0044】
次いで、リン酸カルシウム物質および過酸化水素の前駆組成物は、霧化され、酸素源と好ましくは同時に混合され、点火される。溶媒は、高い発熱量および十分に高いモル組成の水素を有することによって、所望のリン酸カルシウム塩を得るために前駆体化合物の反応を開始するための熱エネルギー、および燃焼反応の副生成物としての蒸気の両方をもたらすことが好ましい。HAP製造の特定の場合では、反応の間に水和環境を維持することは、純粋な化学量論的生成物を得るのに有益である。
【0045】
カルシウム前駆体物質は、例として、硝酸カルシウム、塩化カルシウム、フッ化カルシウムおよびヨウ化カルシウムを含めた1つまたは複数の可溶性カルシウム塩から選択することができる。前駆体カルシウム化合物は、例として、カルシウムアルコキシド(Ca(OR)2)および他のカルシウムのエステルを含めた1つまたは複数の有機カルシウム化合物から選択することができる。有機カルシウム前駆体化合物は、可溶性カルシウム塩を適切な溶媒中に溶解させることによっても得ることができる。さらに、カルシウム前駆体は、例として、コロイドを形成するために溶媒中に分布した、ナノメートル粒径での酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、硫酸カルシウムおよびリン酸カルシウムを含めた、1つまたは複数の非可溶性カルシウム塩から選択することができる。
【0046】
リン前駆体物質は、例として、リン酸化物、リン酸水素アンモニウム、リン酸ナトリウムおよびリン酸カリウムを含めた、1つまたは複数の可溶性リン酸塩から選択することができる。リン前駆体物質は、亜リン酸およびリン酸の1つまたは複数から選択することができることが有利である。前駆体リン化合物は、例として、リン酸アルコキシド、リン酸フェノキシド、亜リン酸エステル(P(OR)3)、リン酸エステル(OP(OR)3)、ホスホン酸(HOP(OR)3)、またはRが任意のアリールもしくはアルキル基であるホスホネート(ROP(OR)3)を含めた、1つまたは複数の有機リン酸化合物から選択することができる。有機リン酸前駆体化合物は、適切な溶媒中に可溶性リン酸塩またはリン酸を溶解させることによっても得ることができる。リン前駆体は、例として、コロイドを形成するために溶媒中に分布した、ナノメートル粒径でのリン酸カルシウム塩を含めた、1つまたは複数の非可溶性リン酸塩から選択することができる。
【0047】
溶媒は、アルキルおよびアリールアルコールを含めたアルコールを含むことができるが、より好ましくはアルキルアルコール、および最も好ましくは、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)または1−プロパノールである。溶媒は、例として、1分子当たり20炭素以下であるが、より好ましくは1分子当たり10炭素以下、および最も好ましくは1分子当たり6炭素以下のアルカン、アルケン、アルキン、アルデヒド、エステル、またはケトンを含めた炭化水素も含むことができる。溶媒は、40体積%以下の水および過酸化水素を含むこともできる。
【0048】
個々のCa前駆体溶液およびP前駆体溶液は、霧化および燃焼される前に混合することができ、または別々に霧化し、火炎中で混合することができる。
【0049】
一つの態様では、カルシウム前駆体が溶媒中に溶解することによって、0.0001Molar(moles Lt-1)から10Molarの範囲であるが、より好ましくは0.001Molarから5Molarの範囲、および最も好ましくは0.01Molarから1Molarの範囲のカルシウム濃度を有する溶液を生じる一方で、リン前駆体が溶媒中に溶解することによって、0.45〜1.8の範囲であるが、より好ましくは0.5〜1.7の範囲のCa:Pモル比を生じる。
【0050】
さらなる構成では、必要とされる溶液は、所望の濃度のPおよびCaを有する可燃性溶液を得るために、リン前駆体およびカルシウム前駆体を別々に溶解させ、得られた溶液を一緒に加えることによって作製される。
【0051】
前駆組成物におけるカルシウムとリンの比、ひいては火炎中で生成されるリン酸カルシウム物質に対する制御は、最終生成物にかなり重要である。
【0052】
一つの態様では、所望のリン酸カルシウム塩はHAPであり、溶液中のモル濃度のCa:P比は1.67である一方で、さらなる実施形態では、所望のリン酸カルシウム塩はTCPであり、溶液中のモル濃度のCa:P比は1.5である。
【0053】
一つの態様では、所望のリン酸カルシウム塩は、一般式Ca10-x(A)x(PO46-y(B)y(OH)2-z(C)zを有する置換HAPであり、式中、Aは、それだけに限らないが、Ca、Mg、Sr、Ba、二価の遷移金属、および二価のランタニドを含めた任意の二価の陽イオンである。Bは、それだけに限らないが、リン酸、ケイ酸塩、ヒ酸塩、チタン酸塩、アルミナ、硫酸塩、炭酸塩や、遷移金属およびランタニド、特に酸化物の4面体イオンを含めた陰イオンとすることができる。Cは、それだけに限らないが、ヒドロキシル、炭酸水素塩、硝酸塩、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を含めた一価の陰イオンとすることができる。ある特定の用途では、所望の置換種の前駆体は、xが0.001から10の範囲であり、yが0.001から6の範囲であり、zが0.001から2の範囲である置換アパタイトなどを得るために燃焼される溶液中に溶解している。置換種の前駆体は、置換種のハライド、酸化物、シリケート、水酸化物、ホスフェート、カーボネート、ニトレートおよびサルフェート、ならびにそれだけに限らないが、置換種のシラン、アルコキシドおよびエステルを含めた有機前駆体である。そのような用途では、溶媒中のCa前駆体およびP前駆体のモル濃度は調整され、したがって、溶液またはコロイドを燃焼させて形成される置換アパタイトにおける電荷中立性を保存する。
【0054】
生成されるリン酸カルシウム物質の粒径は、ナノメートルの範囲内にある場合がある。さらなる用途では、燃焼される溶液は、不溶性のシードのリン酸カルシウム塩の懸濁液をさらに含み、コロイドまたは懸濁液が燃焼すると、このシード上に追加のリン酸カルシウムが結晶化かつ成長し、より大きい粒径を有するリン酸カルシウム粒子の製造を可能にする。製造される粒子は、ナノ粒子の合体物であってもよく、ナノ構造および多孔性を有してもよい。そのような粒子は、治療担体としての用途を有する。
【0055】
燃焼される溶媒は、ナノメートルからミクロンサイズの範囲のコア粒子の懸濁液をさらに含むことができる。このコロイドまたは懸濁液を燃焼させると、コア粒子の表面上にリン酸カルシウム塩が結晶化することによって、リン酸カルシウムの外側付着層を有する複合粒子を生じる。コア粒子は、シリカ、バイオガラス、アルミナ、チタニア、酸化チタン、カーバイド、ジルコニア、ステンレス鋼ショットおよびグリット、フェライト鋼、ショット、グリット、ならびにこれらの組合せを含むものから選択される。一実施形態では、こうして製造された複合粒子は、ショットピーニングに基づく表面処理において用途を有する。コア粒子は、例えば、別個のガス流中で流体化し、その点火直前に可燃性溶液の軌道中に送達するか、可燃性溶液を点火して生成された火炎中に送達することもできる。
【0056】
別の構成では、リン酸カルシウム物質の前駆組成物の燃焼は、噴霧器(ノズル)、点火源(火花または口火)、酸素供給材料、および燃焼チャンバーを備えるバーナー中で実施される。溶液またはコロイドの霧化および燃焼は、市販のオイルバーナーなどの従来の市販のバーナー、またはエタノールバーナーおよびメタノールバーナーを含めた市販のバイオ燃料バーナーを使用して実現することができる。同様に、可燃性流体は、従来の市販の噴霧ノズルで霧化することができる。
【0057】
別の構成では、溶液またはコロイドの燃焼は、図1に模式的に示された、燃焼チャンバーを有する、より具体的に設計されたバーナー1中で実施され、このバーナーでは、可燃性溶液またはコロイドを霧化するのに同軸ノズル2が使用される。より詳細には、溶液4またはコロイドは、同軸ノズルの中心ベンチュリーに送達される。実質的に酸素に富む高速ガス流6は、外側ベンチュリを通して送達され、同時に可燃性溶液またはコロイドを霧化し、燃焼反応のために酸素を供給する。高速(外側)ガス流は、水蒸気をさらに含むことができる。このガス流は、不活性ガス、水素、低分子量揮発性炭化水素、またはこれらの組合せをさらに含むことができる。ノズルは、同軸ノズルの少なくとも外側部分が、例として、アルミナ、磁器、カーバイド、炭化ケイ素、炭化タングステン、炭化ホウ素および/またはムライトを含めたセラミックまたは他の耐火性物質で実質的に作製されるように構成することができる。
【0058】
一構成では、燃焼チャンバーは、ノズルを含むチャンバーの末端で密閉されている。場合により、ノズルのベンチュリの後ろに、燃焼チャンバーへの入口を介して追加のガス流(図示せず)を提供し、その結果、ベンチュリの後ろに冷却効果(affect)を誘発し、燃焼生成物を、燃焼チャンバーを下って反対(開放)端に向ける陽圧を作り出すことができる。一実施形態では、追加のガス流は、酸素、空気、不活性ガス、水蒸気、流体化されたコア粒子、またはこれらの組合せを含む。
【0059】
燃焼チャンバー中へのガス流は、少なくとも、十分な酸素が反応系に供給されることによって、系に入るすべての炭素および水素(水素ガスとして、または炭化水素中の水素として)を、それぞれ二酸化炭素および水に実質的に変換することを保証する(完全な酸化を実現するために)ように選択される。反応物の点火は、ノズルのベンチュリを出る、霧化された溶液またはコロイドの近傍において火花を生じさせることによって実現することができる。火花は、点火装置10、例えば、当業者によく知られているような電気火花発生器または口火によって生じさせることができる。当業者は、溶媒であっても、水素であっても、揮発性炭化水素であっても、燃料の可燃限界内で酸化剤と燃料の比を維持し、その結果、火炎を伝播かつ維持することの重要性を理解するであろう。
【0060】
燃焼チャンバーの壁8を、例えば、鋼、鉄またはアルミニウムを含めた適当な金属で構成することができる。チャンバーの壁の内面を、断熱耐火性物質、例えば、セラミックで適当に裏打ちしてもよい。この目的に適した例示的物質として、それだけに限らないが、磁器、ムライト、耐火セメント(fire cement)、アルミナ、カーバイド、例えば、炭化ケイ素、炭化タングステン、および炭化ホウ素などが挙げられる。さらに、柔軟なまたは圧縮性の耐火性物質を、外側の金属と内側の耐火物との間隙に使用することによって、金属および内側の耐火性物質の異なる熱膨張特性から生じる熱衝撃を吸収することができる。この目的に適した材料として、市販の断熱テープ、ライナー、ロープ、グラスウールおよび布が挙げられる。使用するとき、チャンバーの温度および/または燃焼チャンバーに沿った熱勾配は、加熱源によって、例えば、耐火性ライニング中に埋め込まれた電気加熱コイルを使用して制御することができる。
【0061】
酸化炎は、300℃から2000℃の範囲の温度で燃えることが適当である。
【0062】
燃焼チャンバーの長さは、高温およびまたは水和環境における生成物粒子の滞留時間が、所望の生成物を生じるのに十分であるように適当に選択される。燃焼チャンバーは、水平の構成に限られず、したがって、例えばこれは、燃焼排ガスを収集チャンバー中へと上方に向けて、垂直に配置することもできる。チャンバーの長さの選択は、火炎から発出する燃焼生成物の線速度の程度に依存する場合がある。当業者は、このパラメータが、燃焼チャンバー中への流量にどのように依存するかを理解するであろう。最適な流量および/またはチャンバー寸法は、計算または実験によって求めることができる。
【0063】
上記方法の利点は、得られたリン酸カルシウム粒子または複合粒子は、所望の生成物を得るために追加の熱焼結を一般に必要としないことである。
【0064】
生成物の回収を促進するために、燃焼チャンバーの開放端に、生成物粒子を回収するために粒子トラップ(図示せず)へのはけ口をつけてもよい。粒子トラップは、従来のスクラバーまたは集塵装置とすることができる。同様に、粒子トラップは、生成物粒子を捕捉するために液相、好ましくは水を使用することができる。
【0065】
別の構成では、チャンバー中で生じるリン酸カルシウム物質粒子の流れを物品に向けることができ、その結果、前記リン酸カルシウム物質のコーティングが、物品上に形成される。リン酸カルシウム物質を形成するのに必要な高温は、前記物質を物品表面に融着することによってコーティングを形成することにおいて助けになる。コーティングプロセスは、物品を受け入れるように構成された改良燃焼チャンバー内で実施することができることが最も好都合である。このプロセスは、金属、セラミック、または高温に耐えることができる他の物質で構成された物品に特に適している。物品は、必要に応じてコーティングプロセスの間に移動または回転することによって、物質の物品への均一なコーティングを実現することができる。この移動または回転は、ステッピングモーターのようなもの、2軸ロボットおよび3軸ロボット、ならびに自動制御システムを使用することによって制御することができ、これらのすべては当業者によく知られている。
【実施例1】
【0066】
硝酸カルシウム四水和物117.56gをエタノール250ml中に溶解させ、同様に、五酸化リン(phosphorous pentoxide)21.28gをエタノール250ml中に溶解させた。塩が完全に溶解したら、得られた溶液を混合し、オイルバーナーに送り込んで燃焼させた。燃焼排ガスは、水を含むステンレス鋼容器中に向けた。燃やした後、粉末物質を水から回収し、100℃で一晩乾燥させ、XRD(X線回折)解析にまわした。得られたXRDパターンを図3中に示し、これは、図2中に示したNISTの基準HAPのXRDパターンと比較することができる。示したように、1.67のカルシウムとリンのモル比を有するエタノール溶液を燃やすことにより、さらに高温処理をすることなくHAPが形成されたが、回折パターンにおいて、リン酸三カルシウム(TCP)および酸化カルシウム(CaO)のピーク特性が観察される。
【実施例2】
【0067】
エタノール250ml中に硝酸カルシウム四水和物115.05gを溶解させることによって、カルシウム溶液を作製した。85%w/wのリン酸水溶液20mlを、30%w/wの過酸化水素水溶液50mlに添加することによって、リン溶液を作製した。絶えず勢いよく撹拌しながら、カルシウム溶液をリンに徐々に添加して、得られた溶液を混合した。2つの溶液を混合する間、または混合した直後で沈殿物はまったく形成しなかったが、正しいCa/P比(完全な混合)に達した後に、濁り、すなわちコロイドのゼラチン状物質を含有する組成物が確かに発生した。この組成物を、同軸燃焼ノズルの内側ベンチュリに送り込んだ。空気を外側ベンチュリ中に供給し、口火により霧化した組成物を点火するための手段を提供した。燃焼生成物を、水を含むステンレス鋼容器中に向けた。燃やした後、粉末物質を水から回収し、100℃で一晩乾燥させ、XRD(X線回折)解析にまわした。得られたXRDパターンを図4に示す。示したように、1.67のカルシウムとリンのモル比を有するエタノール/水溶液を燃やすことにより、さらに高温処理をすることなく結晶のHAPが形成されたが、回折パターンにおいて、リン酸三カルシウム(TCP)および酸化カルシウム(CaO)のピーク特性はまったく観察されず、過酸化水素の利点を実証している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルシウム前駆体、リン前駆体および過酸化水素を含有する前駆組成物の1つまたは複数を霧化するステップと、その後、
前記霧化した前駆組成物を燃焼するステップと、
を含むことを特徴とするリン酸カルシウム物質の製造方法。
【請求項2】
前記リン酸カルシウム物質が、
a.リン酸カルシウム粒子
b.リン酸カルシウム複合粒子
のうちの1つまたはその組み合わせを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記リン酸カルシウム複合粒子が、少なくとも1つの他の物質と混合されたリン酸カルシウム物質を含むことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記リン酸カルシウム複合粒子が、内側のコア粒子の周囲にリン酸カルシウム物質のコーティングを含むことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記前駆組成物が、
a.液体
b.溶液
c.懸濁液
d.ゲル
e.ゾル
f.コロイド
g.微粒子
h.1つまたは複数のガス
のうちの1つまたは複数を含むことを特徴とする、請求項1から4に記載の方法。
【請求項6】
前記前駆組成物が、
a.有機金属
b.イオン種
c.微粒子
d.水
e.炭化水素
のうちの1つまたは複数を含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記有機金属が、
a.カルシウム
b.リン
c.イットリウム
d.ジルコニウム:
e.マグネシウム
f.ケイ素
g.ストロンチウム
h.バリウム
i.二価の遷移金属
j.二価のランタニド
のうちの1つまたは複数のアルコキシド、カルボン酸塩、またはエステルであることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記イオン種が、カルシウム、リン、ケイ素、ジルコニウム、イットリウム、チタン、アルミニウム、リン酸塩、亜リン酸塩、硝酸塩、ハライド、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩、ヒ酸塩、チタン酸塩、アルミナ、遷移金属の4面体イオン、またはランタニドの4面体イオンのうちの1つまたは複数であることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記前駆物質を一緒に混合するために、霧化するステップおよび燃焼するステップの前に混合するステップを実施することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
霧化および/または燃焼の間に前記前駆物質を一緒に混合することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記霧化が、ベルヌーイ噴霧器、圧力噴霧器、2流体噴霧器、超音波噴霧器、改良スプレー乾燥機、改良噴霧コーター、エアブラシ、エレクトロスプレー噴霧器、同軸ノズルアセンブリ、圧力低下を取り入れるノズル、およびガスレンズ原理で動作する同軸ノズルアセンブリのうちの1つまたは複数によるものであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
燃焼を促進するためにガスが供給されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記ガスが、
a.水素
b.酸素
c.空気
d.不活性な非可燃性ガス
e.揮発性炭化水素
f.水蒸気
のうちの1つまたは複数を含むことを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ガスが、
a.霧化
b.火炎中への微粒子の送達
の機能のうちの1つまたは複数をさらに行うことを特徴とする、請求項5、12、または13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記微粒子が、リン酸カルシウム、ジルコニア、安定化ジルコニア、チタニア、アルミナ、ガラス、シリカ、炭素繊維、窒化物、サルフェート、またはカーバイドのうちの1つまたは複数であることを特徴とする、請求項5または請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記前駆組成物が燃焼チャンバー内で燃焼されることを特徴とする、請求項1から15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記燃焼チャンバーの壁が、
a.金属
b.耐火性物質
の物質のうちの1つまたは複数で形成されることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記燃焼チャンバーが、前記チャンバーの長さに沿った熱勾配を制御するように制御された方法で加熱が可能になるように構成されることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記リン酸カルシウム物質が、
a.スクラバー
b.集塵装置
c.生成物粒子を捕捉するために液体を使用する粒子トラップ
のうちの1つで収集されることを特徴とする、請求項1から18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
燃焼が
a.火花発生器
b.口火
のうちの1つを使用して開始されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記リン酸カルシウム物質が、
a.ヒドロキシアパタイト
b.オキシアパタイト
c.カーボネートアパタイト
d.フルオロアパタイト
e.クロロアパタイト
f.ブロモアパタイト
g.リン酸三カルシウム
h.リン酸八カルシウム
i.リン酸二カルシウム
j.リン酸一カルシウム
のうちの1つまたは複数であることを特徴とする、請求項1から20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記リン酸カルシウム物質が、一般式
Ca10-x(A)x(PO46-y(B)y(OH)2-z(C)z
を有する置換アパタイトであることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項23】
Aが、
a.イットリウム
b.ジルコニウム
c.マグネシウム
d.サマリウム
e.バリウム
f.ストロンチウム
g.二価の遷移金属
h.二価のランタニド
のうちの1つまたは複数である二価の陽イオンであることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
Bが、
a.ケイ酸塩
b.ヒ酸塩
c.チタン酸塩
d.アルミン酸塩
e.硫酸塩
f.炭酸塩
g.遷移金属の4面体イオン
h.ランタニドの4面体イオン
のうちの1つまたは複数である陰イオンであることを特徴とする、請求項22または請求項23に記載の方法。
【請求項25】
Cが、
a.ヒドロキシル
b.炭酸塩
c.硝酸塩
d.フッ化物
e.塩化物
f.臭化物
g.ヨウ化物
のうちの1つまたは複数である陰イオンであることを特徴とする、請求項22から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
x、yおよびzの値が、それぞれ、0.001から10、0.001から6、および0.001から2の範囲にあることを特徴とする、請求項21から23に記載の方法。
【請求項27】
請求項1から26のいずれか一項に記載の方法によって製造されることを特徴とするリン酸カルシウム粒子。
【請求項28】
請求項1から27のいずれか一項に記載の方法によって製造された物質を含むコーティングを有することを特徴とする物体。
【請求項29】
前記コーティングが、燃焼生成物を、物体の表面に向けるとことによって形成されることを特徴とする請求項28に記載の物体。
【請求項30】
前記物体が、移植可能な物体であることを特徴とする、請求項28または請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記移植可能な物体が、
a.医療用デバイス
b.ステント
c.ペースメーカー
d.除細動器
e.硬組織インプラント
f.カテーテル
g.炭素繊維の織物
のうちの1つまたは複数であることを特徴とする、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
燃焼チャンバーと、
カルシウム前駆体、リン前駆体、および過酸化水素を含有する前駆組成物の供給源と、
前駆組成物を霧化して、前駆組成物を含む流れにするための噴霧器と、
前記霧化した前駆組成物の流れの燃焼を開始するための点火装置と
を備えることを特徴とするリン酸カルシウム物質を製造するためのシステム。
【請求項33】
前記チャンバーが一端で密閉されていることを特徴とする、請求項32に記載のリン酸カルシウム物質を製造するためのシステム。
【請求項34】
前記噴霧器が、流れを密閉端から離れる方向に向けるように配置されていることを特徴とする、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
粒子を搬送するさらなる流れを導入するための手段をさらに備えることを特徴とする、請求項33または請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
請求項32から35のいずれか一項に記載のシステムを備える、物品をコーティングするためのシステムであって、前記コーティングされる物品を、前記燃焼から生じる生成物の経路中に配置することを特徴とするシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−502667(P2011−502667A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−533566(P2010−533566)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【国際出願番号】PCT/EP2008/065414
【国際公開番号】WO2009/062973
【国際公開日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(510108227)エイチケーピービー サイエンティフィック リミテッド (2)
【Fターム(参考)】