説明

リール部材及びこれを用いた接着フィルムの引出方法

【課題】粘度の小さい接着剤を用いた場合であっても、長尺の接着フィルムを引き出して貼付する際に接着剤のはみ出しが発生しないリール部材及び接着フィルムの引出技術を提供する。
【解決手段】本発明のリール部材1は、円筒形状に形成され、接着フィルムを巻取可能な巻芯軸部2と、巻芯軸部2の端部に巻芯軸部2と一体的に設けられたフランジ部13と、巻芯軸部2の回転軸方向に移動可能に構成され、巻芯軸部2に巻き取られた接着フィルムを側面側から挟んで押圧する押圧機構7とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電子機器の製造工程において異方導電性接着フィルム等の一連の長尺の接着フィルムをリールから引き出して配線基板等に貼付する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、例えば、液晶パネルやICチップのような電子部品同士を電気的に接続する場合には、異方導電性接着フィルムが用いられる。
このような接着フィルムは、幅狭で長尺の剥離シート上に形成され、リール部材にロール状に巻取った形態で出荷されている。
【0003】
図13は、従来の接着フィルムの貼付方法を示す概略構成図である。
図13に示すように、従来、リール101に巻き取られた接着フィルム102を貼付対象物140上に貼付する場合には、巻出軸103に取り付けられたフィルムロール104から引き出した接着フィルム102に対して所定の張力を加え、複数のローラ105、106、121を介して引き回すことにより、貼付機構108の支持台109と熱圧着ヘッド110との間に配置するようにしている。
【0004】
ところで、近年、接着フィルム102の長尺化が望まれているが、接着フィルム102が長尺化すると、フィルムロール104の径が増すことによって接着フィルム102に生じる応力が増大するため、接着フィルム102内の接着剤がはみ出るおそれがある。
【0005】
特に、接着剤の粘度が小さい場合、また使用環境によって接着剤の粘度が小さくならざるを得ない場合には、リール101を巻出軸103に装着した後、接着フィルム102を引き出す際に、リール101の巻芯近傍部分において接着剤のはみ出しが発生するという問題があった。
さらに、接着フィルムが巻き付けられた巻き出しリールを仮圧着装置にセットする際には、人手によりフィルムを引き出すことが多く、この際に通常使用時の張力を超える大きな張力がフィルムロールに加わるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−94662号公報
【特許文献2】特開2000−159403号公報
【特許文献3】実公平2−48082号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような従来の技術の課題を考慮してなされたもので、その目的とするところは、粘度の小さい接着剤を用いた場合であっても、長尺の接着フィルムを引き出して貼付する際に接着剤のはみ出しが発生しないリール部材及び接着フィルムの引出技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためになされた本発明は、円筒形状に形成され、接着フィルムを巻取可能な巻芯軸部と、前記巻芯軸部の端部に当該巻芯軸部と一体的に設けられたフランジ部と、前記巻芯軸部の回転軸方向に移動可能に構成され、前記巻芯軸部に巻き取られた前記接着フィルムを側面側から挟んで押圧する押圧機構とを有するリール部材である。
本発明では、前記フランジ部が、巻芯軸部の両端部に設けられた一対のフランジを有し、当該フランジ部の一方のフランジに、前記押圧機構として、前記フランジ部に装着された押圧部材が設けられ、当該押圧部材によって当該巻芯軸部に巻き取られた接着フィルムを当該フランジ部の他方のフランジに押し付けるように構成されている場合にも効果的である。
本発明では、前記フランジ部が、巻芯軸部の両端部に設けられた一対のフランジを有し、前記押圧機構が、前記一対のフランジ間の距離を変化させるように構成されている場合にも効果的である。
本発明では、前記押圧機構が、当該リール部材の巻芯軸部から前記フランジ部の外縁部に向って前記接着フィルムに対する押圧力が大きくなるように構成されている場合にも効果的である。
本発明では、前記接着フィルムが、絶縁性接着剤樹脂中に導電性粒子が分散された異方導電性接着フィルムである場合にも効果的である。
一方、本発明は、上述したいずれかのリール部材を用いた接着フィルムの引出方法であって、前記押圧機構の押圧部材を当該接着フィルムの巻取ラインから退避する退避位置に配置した状態で前記巻芯軸部に当該接着フィルムを巻き付ける工程と、前記巻芯軸部に巻き取られた接着フィルムを前記押圧機構によって側面側から挟んだ状態で引き出す工程を有する接着フィルムの引出方法である。
【0009】
本発明の場合、リール部材の巻芯軸部に巻き取られた接着フィルムの側面側から挟んで押圧する押圧機構を備えることから、接着フィルムを引き出す際、接着フィルムに加えられる張力が接着フィルムの巻芯軸部近傍にまで到達することを阻止することができ、巻き締まりに起因する接着剤の応力を従来技術と比較して小さくすることができる。
その結果、本発明によれば、粘度の小さい接着剤を用いた場合であっても、接着剤のはみ出しによるブロッキングを発生させることなく、接着フィルムの長尺化を図ることができる。
また、本発明によれば、接着フィルムの側面とフランジ部との間に隙間がなくなることから、接着フィルムを引き出す際に接着フィルムの側面とフランジ部との間に接着フィルムが入り込んでしまうことを防止することができる。
本発明において、フランジ部が、巻芯軸部の両端部に設けられた一対のフランジを有し、当該フランジ部の一方のフランジに、押圧機構として、フランジ部に装着された押圧部材が設けられ、当該押圧部材によって当該巻芯軸部に巻き取られた接着フィルムを当該フランジ部の他方のフランジに押し付けるように構成されている場合には、簡素な構成で確実に接着フィルムの側面を両側から挟んで押圧するリール部材を提供することができる。
本発明において、フランジ部が、巻芯軸部の両端部に設けられた一対のフランジを有し、押圧機構が、一対のフランジ間の距離を変化させるように構成されている場合には、接着フィルムに対する押圧力を調整して最適の押圧力で接着フィルムを挟むことが可能になる。
本発明において、当該リール部材の巻芯軸部からフランジ部の外縁部に向って接着フィルムに対する押圧力が大きくなるように構成されている場合には、接着フィルムに加えられる張力が接着フィルムの巻芯軸部近傍にまで到達することを確実に阻止することができ、これにより、巻き締まりに起因する接着剤の応力をより小さくすることができる。
また、本発明方法にあっては、押圧機構の押圧部材を接着フィルムの巻取ラインから退避する退避位置に配置した状態で巻芯軸部に当該接着フィルムを巻き取り、その後、巻芯軸部に巻き付けれた接着フィルムを押圧機構によって側面側から挟んだ状態で引き出すことから、押圧部材を退避させた状態でフィルムの円滑な巻き取りを行うことができる一方で、接着フィルムの巻取終了後には、押圧部材を動作させて接着フィルムを側面側から挟んだ状態で引き出すことができ、これにより接着フィルムの巻取工程と貼付工程を効率良く行うことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、粘度の小さい接着剤を用いた場合であっても、長尺の接着フィルムを引き出して貼付する際に接着剤のはみ出しやブロッキングが発生しない接着フィルムの引出技術を提供することができる。
その結果、本発明によれば、接着フィルムの貼付工程において、リールを頻繁に交換する必要がなく、生産効率を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】(a):本発明に係るリール部材の実施の形態を示す平面図である。(b):図1(a)のA−A線断面図で、押圧機構を使用しない状態を示すものある。(c):図1(a)のA−A線断面図で、押圧機構の使用時の状態を示すものである。
【図2】(a):同実施の形態のリール部材の要部を示す平面図である。(b):図2(a)のB−B線断面図である。
【図3】(a):同リール部材の他の例の要部を示す平面図である。(b):図3(a)のC−C線断面図である。(c):同リール部材の係止機構の構成を示す説明図である。
【図4】(a)(b):同実施の形態に用いる押圧部材の寸法関係を示す説明図である。
【図5】(a)〜(d):同実施の形態に用いる押圧部材の先端面の形状の例を示す説明図である。
【図6】(a)〜(c):同実施の形態を用いた接着フィルムの引出方法の例を示す断面図である。
【図7】(a)(b):本発明に係るリール部材の他の実施の形態を示す断面図である。
【図8】(a)(b):本発明に係るリール部材の他の実施の形態を示す断面図である。
【図9】(a)〜(d):本発明に係るリール部材の他の実施の形態を示す断面図である。
【図10】(a)(b):本発明に係るリール部材の他の実施の形態を示す断面図である。
【図11】本発明に係るリール部材の他の実施の形態を示す断面図である。
【図12】本発明に係るリール部材の他の実施の形態を示す断面図である。
【図13】従来の接着フィルムの貼付方法を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1(a)は、本発明に係るリール部材の実施の形態を示す平面図、図1(b)は、図1(a)のA−A線断面図で、押圧機構を使用しない状態を示すもの、図1(c)は、図1(a)のA−A線断面図で、押圧機構の使用時の状態を示すものである。
図2(a)は、本実施の形態のリール部材の要部を示す平面図、図2(b)は、図2(a)のB−B線断面図である。
図3(a)は、同リール部材の他の例の要部を示す平面図、図3(b)は、図3(a)のC−C線断面図、図3(c)は、同リール部材の係止機構の構成を示す説明図である。
【0013】
図1(a)(b)に示すように、本実施の形態のリール部材1は、図示しないフィルム引出装置の駆動軸10に装着されるもので、例えば異方導電性接着フィルム等の長尺の接着フィルムが巻き付けられる円筒形状の巻芯軸部2を有し、この巻芯軸部2の両端部に、フランジ部13を構成する円板形状の第1及び第2フランジ11、12が一体的に設けられているものである。
なお、本明細書において、「長尺の接着フィルム」とは、300m〜500m以上の長さの接着フィルムをいうものとする。
【0014】
本実施の形態においては、第1フランジ11の厚さが、第2フランジ12の厚さより厚くなるように構成されている。
ここで、第1フランジ11には、巻芯軸部2に切り込み部11aが設けられるとともに、この切り込み部11aから第1フランジ11の縁部に向って、例えば長方形形状の貫通孔部11bが形成されている。
【0015】
そして、この第1フランジ11の巻芯軸部2の切り込み部11aには、貫通孔部11bに嵌(は)まり合う細長形状の押圧部材5の一方の端部が接着され、これにより押圧部材5が貫通孔部11b内に装着されている。
この押圧部材5は、例えばフッ素樹脂やポリエチレン等の弾性を有する材料からなり、第1フランジ11の中心部から縁部に向って厚さが厚くなるように形成されている。
【0016】
また、この押圧部材5に対して第1フランジ11の側面側には、押圧部材5の表面と接触摺動し、かつ、第1フランジ11の貫通孔部11bの延びる方向に沿って案内移動するように構成された押圧ストッパ6が設けられている。
【0017】
図1(b)に示すように、押圧部材5は、押圧ストッパ6が第1フランジ11の切り込み部11a上の位置即ち退避位置に配置されている状態で、押圧部材5の外側面5aの、第2フランジ12の内側面12aに対してなす角度が、押圧部材5の基端部50から先端部51に向って大きくなり、かつ、押圧部材5の下面が、第2フランジ12の内側面12aと平行となるように形成されている。
【0018】
そして、図1(c)に示すように、押圧ストッパ6が押圧部材5の押圧部52側の位置即ち押圧位置に配置されている状態で、後述するように、押圧部材5の先端部51が、図1(b)に示す場合に比べて、第2フランジ12の内側面12aに接近するように形成されている。
本実施の形態では、上述した押圧部材5と、押圧ストッパ6と、第2フランジ12の内側面12aによって押圧機構7が構成されている。
【0019】
図2(a)(b)に示すように、本実施の形態では、第1フランジ11には、切り込み部11aと対向する両側部分に、例えば断面矩形状で切り込み部11aとほぼ同等の長さを有する案内溝部14L、14Rが設けられている。
【0020】
一方、押圧ストッパ6は、押圧部材5の上面上に配置される本体部6aと、本体部6aの押圧部材5の移動方向両側部に設けられた案内突部6L、6Rとを有している。
ここで、押圧ストッパ6の本体部6aは、例えば断面矩形状に形成され、押圧部材5と同等の幅を有している。
【0021】
また、案内突部6L、6Rは、第1フランジ11の案内溝部14L、14Rとそれぞれ係合する大きさで、例えば断面矩形状に形成されている。
さらに、押圧ストッパ6の第1フランジ11の外側面11c側の面と、第1フランジ11の案内溝部14L、14Rとが対向する面の間には、若干のクリアランスが設けられ、これにより押圧ストッパ6の案内突部6L、6Rが、第1フランジ11の案内溝部14L、14R内において、その長手方向に移動するように構成されている。
【0022】
一方、図3(a)〜(c)に示す例では、押圧部材5の外側面に、例えば角度が90度程度の凹部及び凸部を有する凹凸部5cが、押圧ストッパ6の移動方向と直交する方向に連続的に設けられている。
一方、押圧ストッパ6の本体部6aには、第2フランジ12側の部分に、押圧部材5の凹凸部5cと噛み合う凹凸部6cが設けられている。
【0023】
そして、本例では、押圧ストッパ6の案内突部6L、6Rが、第1フランジ11の案内溝部14L、14R内において、その長手方向に移動するとともに、押圧部材5の凹凸部5cと押圧ストッパ6の本体部6aの凹凸部6cの噛み合いによって案内溝部14L、14Rの中腹部分で係止され、これにより押圧ストッパ6が所望の位置に位置決めされるように構成されている。
【0024】
図4(a)(b)は、本実施の形態に用いる押圧部材の寸法関係を示す説明図である。
図4(a)に示すように、本実施の形態の押圧部材5は、基端部50の高さ(H1)より先端部51の高さ(H2)が大きくなるように形成されている。
そして、図4(b)に示すように、この押圧部材5は、押圧時において、押圧部52が接着フィルム20と接触するようになっている。
【0025】
本発明の場合、特に限定されることはないが、確実に押圧し、接着フィルムに加えられる張力を阻止する観点からは、押圧部材5の押圧面と接着フィルム20の間のなす角度θが、0.1〜10度となるように、押圧部材5の寸法、押圧部材5の押圧側面との距離を設定することが好ましい。
【0026】
図5(a)〜(d)は、本実施の形態に用いる押圧部材の先端面の形状の例を示す説明図である。
図5(a)に示す例では、押圧部材の先端面53Aが矩形形状に形成されており、押圧部52Aは、直線状に形成されている。
図5(b)に示す例では、押圧部材の先端面53Bは、押圧部52Bが円弧状に設けられるとともに、押圧部52Bの両側には、円弧状のアール部54Bが設けられている。
図5(c)に示す例の場合、押圧部材の先端面53Cは、押圧部52Cが直線状に形成された部分を有し、その両側に直線状の傾斜部55Cが設けられている。そして、押圧部52Cと傾斜部55Cとの間には、円弧状のアール部54Cが設けられている。
図5(d)に示す例では、円弧状の押圧部52Dが設けられ、その両側に直線状の傾斜部55Dが設けられている。
【0027】
本発明の場合、特に限定されることはないが、接着フィルム20に対して確実に押圧力を加える観点からは、図5(a)及び図5(c)に示すように、押圧部52A、52Cを直線状に形成することがより好ましい。
また、押圧による接着フィルムの変形を防ぐ観点からは、図5(b)〜(d)に示すように、押圧部52B、52C、52Dの両側にそれぞれアール部54B、54C、傾斜部55Dを設けることがより好ましい。
【0028】
図6(a)〜(c)は、本実施の形態を用いた接着フィルムの引出方法の例を示す断面図である。
本実施の形態においては、まず、上述したリール部材1を図示しないフィルム巻取装置に装着し、図6(a)に示すように、巻芯軸部2に接着フィルム20を巻き取る。
【0029】
この場合、接着フィルム20の第2フランジ12側の側面20aが第2フランジ12の内側面12aに密着するように接着フィルム20の巻取ラインを設定する。
そして、図6(b)に示すように、押圧ストッパ6を押圧部材5の先端部51に向って移動させる。
これにより、押圧ストッパ6の本体部6aから押圧部材5の外側面5aに対して第2フランジ12に向かう方向の力が作用し、押圧部材5の先端部51が第2フランジ12側に移動する。
【0030】
さらに、図6(c)に示すように、押圧ストッパ6を所定の押圧位置まで移動させると、押圧部材5の押圧部52が接着フィルム20の第1フランジ11側の側面20bに接触し、第2フランジ12の内側面12aに対して接着フィルム20の外縁部から巻芯軸部2近傍に向って押し付けられる。また、この位置において、第1フランジ11及び押圧ストッパ6の案内突部6L、6Rの凹凸部15L,15R、60L,60Rの噛み合いによって、係止され位置決めされる。
【0031】
その結果、接着フィルム20の第1フランジ11側の側面20bの外縁部から巻芯軸部2近傍の領域が、第2フランジ12の内側面12a及び押圧部材5の押圧部52によって挟まれ両側から外力が作用した状態のフィルム収容体30が得られる。この場合、接着フィルム20に対する押圧力は、リール部材1の巻芯軸部2からフランジ部13の外縁部に向って接着フィルム20に対する押圧力が大きくなっている。
【0032】
一方、接着フィルム20の使用時においては、上述したフィルム収容体30を、作業者(図示せず)の人手によって図示しない貼付装置に装着し、フィルム収容体30から接着フィルム20を引き出して所定の貼付対象物に貼り付ける。
【0033】
以上述べた本実施の形態にあっては、リール部材1の巻芯軸部2に巻き取られた長尺の接着フィルム20の側面を両側から挟んで押圧する押圧機構7を備えることから、接着フィルム20を引き出す際、接着フィルム20に加えられる張力が接着フィルム20の巻芯軸部2近傍にまで到達することを阻止することができ、巻き締まりに起因する接着剤の応力を従来技術と比較して小さくすることができる。
【0034】
その結果、本実施の形態によれば、粘度の小さい接着剤を用いた場合であっても、接着剤のはみ出しによるブロッキングを発生させることなく、接着フィルム20を長尺化を図ることができる。
【0035】
また、本実施の形態によれば、接着フィルム20の側面とフランジ部13との間に隙間がなくなることから、接着フィルム20を引き出す際に接着フィルム20の側面とフランジ部13との間に接着フィルム20が入り込んでしまうことを防止することができる。
【0036】
さらに、本実施の形態では、第1フランジ11に、押圧機構7を構成する押圧部材5が設けられ、この押圧部材5によって巻芯軸部2に巻き取られた接着フィルム20を第2フランジ12に押し付けるように構成されていることから、簡素な構成で確実に接着フィルム20の側面を両側から挟んで押圧するリール部材1を提供することができる。
【0037】
さらにまた、本実施の形態では、リール部材1の巻芯軸部2からフランジ部13の外縁部に向って接着フィルム20に対する押圧力が大きくなるように構成されていることから、接着フィルム20に加えられる張力が接着フィルム20の巻芯軸部2近傍にまで到達することを確実に阻止することができ、これにより、巻き締まりに起因する接着剤の応力をより小さくすることができる。
【0038】
また、本実施の形態にあっては、押圧機構7の押圧部材5を接着フィルム20の巻取ラインから退避する退避位置に配置した状態で巻芯軸部2に当該接着フィルム20を巻き取り、その後、巻芯軸部2に巻き付けれた接着フィルム20を押圧機構7によって両側面側から挟んだ状態で引き出すことから、押圧部材5を退避させた状態でフィルムの円滑な巻き取りを行うことができる一方で、接着フィルム20の巻取終了後には、押圧部材5を動作させて接着フィルム20を両側面側から挟んだ状態で引き出すことができ、これにより接着フィルム20の巻取工程と貼付工程を効率良く行うことができる。
【0039】
図7(a)(b)は、本発明に係るリール部材の他の実施の形態を示す断面図であり、以下、上記実施の形態と対応する部分には同一の符号を付しその詳細な説明を省略する。
図7(a)(b)に示すように、本実施の形態のリール部材1Aにおいては、巻芯軸部2が第1フランジ11A側に延ばされ、この延ばされた部分にねじ部2aが形成されている。
【0040】
そして、第1フランジ11Aには、巻芯軸部2のねじ部2aと噛み合うねじ部(図示せず)が形成されている。そして、第1フランジ11Aを巻芯軸部2の回転軸を中心として回転させることにより、第1フランジ11Aが巻芯軸部2に沿って第2フランジ12に対して接近又は離間するように構成されている。
【0041】
また、本実施の形態の第1フランジ11Aは、弾性を有する部材からなるもので、第2フランジ12側の面11cにテーパを設けることにより、中心部から縁部に向って第2フランジ12との距離が小さくなるように形成されている。
そして、この押圧部材である第1フランジ11Aと、巻芯軸部2のねじ部2aと、第2フランジ12の内側面12aによって押圧機構7Aが構成されている。
【0042】
このような構成を有する本実施の形態においては、まず、リール部材1Aを図示しないフィルム巻取装置に装着し、図7(a)に示すように、巻芯軸部2に接着フィルム20を巻き取る。
この場合、上記実施の形態と同様に、接着フィルム20の第2フランジ12側の側面20aが第2フランジ12の内側面12aに密着するように接着フィルム20の巻取ラインを設定する。
【0043】
そして、図7(b)に示すように、第1フランジ11Aを巻芯軸部2の回転軸を中心として所定の方向へ回転させることにより、第1フランジ11Aを第2フランジ12に接近させる方向に移動させ、第1フランジ11Aの内側面11cを接着フィルム20の第1フランジ11A側の側面20bに押し付ける。
さらに、ナット8を用い、第1フランジ11Aが回転しないように固定する。
これにより、接着フィルム20の外縁部が、第2フランジ12の内側面12a及び第1フランジ11Aの押圧部52によって挟まれ両側から外力が作用した状態のフィルム収容体30Aが得られる。
【0044】
このような構成を有する本実施の形態によれば、上述した効果に加え、第1フランジ11Aの内側面11cが、中心部から縁部に向って第2フランジ12との距離が小さくなるように構成されているため、巻芯軸部2から第1フランジ11Aの外縁部に向って接着フィルム20に対する押圧力が大きくなり、その結果、引き出しの際に接着フィルム20に加えられる張力が接着フィルム20の巻芯軸部2近傍にまで到達することを確実に阻止できるという効果がある。
【0045】
さらに、本実施の形態では、フランジ部13が、巻芯軸部2の両端部に設けられた第1及び第2フランジ11A、12を有し、押圧機構7Aが、第1及び第2フランジ11A、12間の距離を変化させるように構成されていることから、接着フィルム20に対する押圧力を調整して最適の押圧力で接着フィルム20を挟むことが可能になる。
その他の構成及び作用効果については上述の実施の形態と同一であるのでその詳細な説明を省略する。
【0046】
図8(a)(b)は、本発明に係るリール部材の他の実施の形態を示す断面図であり、以下、上記実施の形態と対応する部分には同一の符号を付しその詳細な説明を省略する。
図8(a)(b)に示すように、本実施の形態のリール部材1Bにおいては、第1フランジ11Bの所定の部分にねじ部を有する貫通孔部が設けられ(詳細図示せず)、この貫通孔部に、円柱形状の本体部にねじ部を有する押圧部材5Bが装着されて構成されている。
【0047】
この押圧部材5Bの外側端部には、把持部56が一体的に固定され、この把持部56を回転させることにより、押圧部材5Bが巻芯軸部2に沿って第2フランジ12に対して接近又は離間するように構成されている。
また、押圧部材5Bの本体部の内側端部には、平面状の押圧部52が設けられている。
そして、この押圧部材5Bと、第2フランジ12の内側面12aによって押圧機構7Bが構成されている。
【0048】
このような構成を有する本実施の形態においては、まず、リール部材1Bを図示しないフィルム巻取装置に装着し、図8(a)に示す如く、接着フィルム20の第2フランジ12側の側面20aが第2フランジ12の内側面12aに密着するように、巻芯軸部2に接着フィルム20を巻き取る。
【0049】
そして、押圧部材5Bを所定の方向へ回転させることにより、押圧部材5Bを第2フランジ12に接近させる方向に移動させ、押圧部材5Bの押圧部52を接着フィルム20の第1フランジ11B側の側面20bに押し付ける。
これにより、接着フィルム20が、第2フランジ12の内側面12a及び押圧部材5の押圧部52によって挟まれ両側から外力が作用した状態のフィルム収容体30Bが得られる。
【0050】
このような構成を有する本実施の形態によれば、上述した効果に加え、既存のリールを加工して簡便に作成できるため、低コストで作成できるという効果がある。
その他の構成及び作用効果については上述の実施の形態と同一であるのでその詳細な説明を省略する。
【0051】
図9(a)〜(d)は、本発明に係るリール部材の他の実施の形態を示す断面図であり、以下、上記実施の形態と対応する部分には同一の符号を付しその詳細な説明を省略する。
本実施の形態のリール部材1Cは、スライド式で第1フランジ11Cに対して着脱自在の押圧部材5Cを有するものである。
【0052】
すなわち、図9(a)(b)に示すように、第1フランジ11Cに、巻芯軸部から第1フランジ11Cの縁部に向って延びる切り込み部11dが設けられ、この切り込み部11dの対向する両端部に、第1フランジ11Cと平行に板状の係止部材58が取り付けられている。
【0053】
また、本実施の形態の押圧部材5Cは、第1フランジ11Cの切り込み部11d内に配置される大きさで箱状の本体部を有し、この本体部の切り込み部11dと対向する部分に、上述した係止部材58と係合する溝部57が巻芯軸部の回転軸方向に所定の間隔でそれぞれ複数設けられている。
そして、この押圧部材5Cと、第2フランジ12の内側面12aによって押圧機構7Cが構成されている。
【0054】
このような構成を有する本実施の形態においては、まず、リール部材1Cを図示しないフィルム巻取装置に装着し、図9(a)に示す如く、接着フィルム20の第2フランジ12側の側面20aが第2フランジ12の内側面12aに密着するように、巻芯軸部2に接着フィルム20を巻き取る。
【0055】
この場合、図9(b)に示すように、押圧部材5Cの押圧部52が第1フランジ11Cの切り込み部11dから突出しないように、押圧部材5Cの溝部57と第1フランジ11Cの係止部材58とを係合させておく。
【0056】
その後、押圧部材5Cを第1フランジ11Cから取り外し、図9(c)(d)に示すように、押圧部材5Cの押圧部52が第1フランジ11Cの切り込み部11dから突出するように、押圧部材5Cの所定の溝部57と第1フランジ11C側の係止部材58とを係合させる。
【0057】
これにより、接着フィルム20が、第2フランジ12の内側面12a及び押圧部材5Cの押圧部52によって挟まれ両側から外力が作用した状態のフィルム収容体30Cが得られる。
【0058】
このような構成を有する本実施の形態によれば、上述した効果に加え、図8に示す構成よりも広範囲に接着フィルムを押圧できるため、巻き巣が発生しにくいという効果がある。
その他の構成及び作用効果については上述の実施の形態と同一であるのでその詳細な説明を省略する。
【0059】
なお、本発明は上述した実施の形態に限られることなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、上述した図7(a)(b)に示す実施の形態では、押圧部材として、第2フランジ12側の内側面11cにテーパを設けることにより中心部から縁部に向って第2フランジ12との距離が小さくなるように形成された第1フランジ11Aを用いたが、例えば、図10(a)(b)に示すように、平板状の第1フランジ11Dを用いることもできる。
【0060】
そして、本実施の形態では、この第1フランジ11Dと、巻芯軸部2のねじ部2aと、第2フランジ12の内側面12aによって押圧機構7Dが構成されている。
このような構成を有する本実施の形態によれば、既存の部材を用い、巻き締まりに起因する接着剤の応力を従来技術と比較して小さくすることが可能なフィルム収容体30Dを得ることができる。
【0061】
一方、本発明では、例えば図11に示すように、複数(本例では3個)のコイルばね71〜73によって押圧部材5Dを接着フィルム20の内側面20bに押圧するようにした押圧機構7Eを設けることもできる。
この場合、ハウジング70内に設けられたコイルばね71〜73は、巻芯軸部2から第1フランジ11Dの外縁部に向って接着フィルム20に対する押圧力が大きくなるものを用いることがより好ましい。
【0062】
さらに、本発明では、押圧機構に複数の押圧部材を設けることもできる。
例えば、図12に示す例においては、図8(a)(b)に示す押圧部材5Bを、巻芯軸部2から第1フランジ11Bに向って3個並べて押圧機構7Fを構成したものである。
この場合、接着フィルム20の巻き締まりをより確実に防止する観点からは、巻芯軸部2から第1フランジ11Bの外縁部に向って接着フィルム20に対する押圧力が大きくなるように、各押圧部材5Bのねじの締め具合を調整することが好ましい。
【0063】
他方、上記実施の形態においては、押圧部材の凹凸部と押圧ストッパの凹凸部の噛み合いによって押圧ストッパを位置決めるようにしたが、本発明はこれに限られず、第1フランジ11の案内溝部14L、14Rと押圧ストッパ6の案内突部6L、6Rに凹凸部を設け、これら凹凸部の噛み合いによって押圧ストッパ6を位置決めすることもできる。
【0064】
また、上記実施の形態においては、凹凸部の噛み合いによって押圧部材の位置決めを行うようにしたが、本発明はこれに限られず、ねじ等を用いて押圧部材の位置決めを行うこともできる。
さらにまた、本発明においては、上述した押圧部材を第1フランジ側のみならず、第2フランジ側に併せて設けることもできる。
【0065】
その一方、本発明においては、両側フランジタイプのリール部材の他、片側フランジタイプのリール部材にも適用することができる。
加えて、上記実施の形態においては、異方導電性接着フィルムを例にとって説明したが、絶縁性接着剤樹脂中に導電性粒子を含有しない絶縁性接着フィルムにも適用をすることができるものである。
【実施例】
【0066】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0067】
<接着フィルム>
接着フィルムとして、幅1.2mmの剥離シート上に乾燥後の厚さが35μmの異方導電性接着剤をフィルム状に塗布形成した2層タイプのものを用いた。なお、接着剤の種類はエポキシ系熱硬化型のものである。
ここで、異方導電性接着フィルムの最低溶融粘度は、3.0×104Pa・sである。
この最低溶融粘度は、回転式レオメータ(TA instrument社製)を用い、昇温速度が10℃/分、測定圧力が5gで一定に保持し、直径8mmの測定プレートを使用して測定した値である。
【0068】
<実施例1>
リール部材として、巻芯軸部の直径が85mmで両面フランジタイプのものを用い、このリール部材に、接着フィルムとして長さ300mの異方導電性接着フィルムを、巻取張力15gの条件で巻き取った。
押圧機構としては、図1(a)〜(c)に示すものを用いた。この場合、押圧部材としては、ポリ4フッ化エチレン樹脂からなり、基端部の高さH1が1.5mm、先端部の高さH2が3.0mm、幅8.0mm、長さ53mmのものを用いた。また、この押圧部材の先端面は、図5(c)に示す形状のものである。
【0069】
上記条件に加え、試験環境温度を35℃に設定し、接着フィルムに対する押圧力を測定した。
この場合、第2フランジの、縁部近傍、中腹部分、巻芯軸部近傍に、それぞれ貫通孔を設け、プッシュプルゲージを用いて接着フィルムに対する押圧力を測定したところ、80g、50g、20gであった。
また、接着フィルムを、引出張力70g、引張速度500mm/秒で5時間引き出し、引出後の接着フィルムの状態(接着剤のはみ出し、ブロッキング、巻き巣)を目視で観察した。その結果を表1に示す。
【0070】
<実施例2>
押圧機構として、図7(a)(b)に示すものを用いた。この場合、第1フランジの半径は100mmとし、基端部である巻芯軸部の高さは1.5mm、先端部である縁部の高さは3.0mmとした。その他は実施例1と同一の条件にして、押圧力の測定を行ったところ、20g、10g、5gであった。
また、実施例1と同一の条件で接着フィルムを引き出し、その後の観察を行った。その結果を表1に示す。
【0071】
<実施例3>
押圧機構として、図8(a)(b)に示すものを用いた。この場合、押圧部材は、第1フランジの中腹部分に設けた。その他は実施例1と同一の条件にして、押圧力の測定及び接着フィルムの引き出し後の観察を行った。その結果を表1に示す。
【0072】
<実施例4>
押圧機構として、図9(a)〜(d)に示すものを用いた他は実施例1と同一の条件にして、押圧力の測定及び接着フィルムの引き出し後の観察を行った。この場合、接着フィルムに対する押圧力の測定は、第2フランジの中腹部分において行った。その結果を表1に示す。
【0073】
<実施例5>
押圧機構として、図10(a)(b)に示すものを用いた他は実施例1と同一の条件にして、押圧力の測定及び接着フィルムの引き出し後の観察を行った。この場合、接着フィルムに対する押圧力の測定は、第2フランジの縁部近傍及び巻芯軸部の近傍において行った。その結果を表1に示す。
【0074】
<実施例6>
フィルム収容体として、フィルムサイズが500mの接着フィルムを上記リール部材に巻き取ったものを用い、接着フィルムの引出時間を6時間とした他は実施例1と同一の条件にして、押圧力を測定した。得られた押圧力は、100g、60g、20gであった。
また、実施例1と同一の条件で接着フィルムを引き出し、その後の観察を行った。その結果を表1に示す。
【0075】
<実施例7>
フィルム収容体として、フィルムサイズが500mの接着フィルムを上記リール部材に巻き取ったものを用い、接着フィルムの引出時間を6時間とした他は実施例2と同一の条件にして、押圧力を測定した。得られた押圧力は、20g、15g、10gであった。
また、実施例1と同一の条件で接着フィルムを引き出し、その後の観察を行った。その結果を表1に示す。
【0076】
【表1】

【0077】
<比較例1>
リール部材として、押圧機構を設けないのものを用いた他は実施例1と同一の条件にして、押圧力の測定及び接着フィルムの引き出し後の観察を行った。その結果を表2に示す。
【0078】
<比較例2>
フィルム収容体として、フィルムサイズが500mの接着フィルムを上記リール部材に巻き取ったものを用い、接着フィルムの引出時間を6時間とした他は実施例3と同一の条件にして(押圧機構は図8(a)(b)に示すもの)、押圧力の測定及び接着フィルムの引き出し後の観察を行った。その結果を表2に示す。
【0079】
<比較例3>
フィルム収容体として、フィルムサイズが500mの接着フィルムを上記リール部材に巻き取ったものを用い、接着フィルムの引出時間を6時間とした他は実施例4と同一の条件にして(押圧機構は図9(a)〜(d)に示すもの)、押圧力の測定及び接着フィルムの引き出し後の観察を行った。その結果を表2に示す。
この場合、接着フィルムに対する押圧力は70gであった。
【0080】
<比較例4>
接着フィルムに対する押圧力が100gとなるように押圧部材の位置を調整した以外は比較例3と同一の条件にして、接着フィルムの引き出し後の観察を行った。その結果を表2に示す。
【0081】
<比較例5>
フィルム収容体として、フィルムサイズが500mの接着フィルムを上記リール部材に巻き取ったものを用い、接着フィルムの引出時間を6時間とした他は実施例5と同一の条件にして(押圧機構は図10(a)(b)に示すもの)、押圧力の測定及び接着フィルムの引き出し後の観察を行った。その結果を表2に示す。
【0082】
【表2】

【0083】
<評価>
表1から明らかなように、押圧機構を設けた実施例1〜7においては、フィルムサイズが500mの接着フィルムを引き出した場合であっても、接着剤のはみ出し、ブロッキング及び巻き巣は生じなかった。
【0084】
一方、表2に示すように、押圧機構を設けない比較例1にあっては、フィルムサイズが300mの接着フィルムを引き出した場合においても、接着剤のはみ出し、ブロッキング及び巻き巣が生じた。
また、図8(a)(b)に示す押圧機構を設けた比較例2にあっては、フィルムサイズが500mであって通常のものより長さが長いため、接着剤のはみ出し、ブロッキング及び巻き巣が生じた。
【0085】
なお、比較例2の場合、ブロッキングについては、引き出し開始から3時間後に発生した。
さらに、図9(a)〜(d)に示す押圧機構を設け、フィルムサイズが500mである比較例3並びに比較例4のうち、接着フィルムに対する押圧力が70gである比較例については、接着フィルムに対する押圧力が足りず、接着剤のはみ出し、ブロッキング及び巻き巣が生じた。
【0086】
他方、接着フィルムに対する押圧力を100gに増加させた比較例4にあっては、巻き巣は発生しなかったが、接着剤のはみ出し、ブロッキングが生じた。特に、ブロッキングについては、接着フィルムの引き出し開始から3時間後に生じた。
【0087】
その一方で、図10(a)(b)に示す押圧機構を設け、フィルムサイズが500mである比較例5にあっては、巻き巣は発生しなかったが、接着剤のはみ出し、ブロッキングが生じた。特に、ブロッキングについては、接着フィルムの引き出し開始から4時間後に生じた。
【0088】
以上の結果から、本発明によれば、粘度の小さい接着剤を用いた場合であっても、長尺の接着フィルムを引き出して貼付する際に接着剤のはみ出し、ブロッキング及び巻き巣を防止できることを実証することができた。
【符号の説明】
【0089】
1…リール部材
2…巻芯軸部
5…押圧部材
6…押圧ストッパ
6a…本体部
6L、6R…案内突部
7…押圧機構
10…駆動軸
11…第1フランジ(一方のフランジ)
11b…貫通孔部
12…第2フランジ(他方のフランジ)
12a…内側面
13…フランジ部
14L、14R…案内溝部
15L、15R…凹凸部
20…接着フィルム
20a…側面
60L、60R…凹凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形状に形成され、接着フィルムを巻取可能な巻芯軸部と、
前記巻芯軸部の端部に当該巻芯軸部と一体的に設けられたフランジ部と、
前記巻芯軸部の回転軸方向に移動可能に構成され、前記巻芯軸部に巻き取られた前記接着フィルムを側面側から挟んで押圧する押圧機構とを有するリール部材。
【請求項2】
前記フランジ部が、巻芯軸部の両端部に設けられた一対のフランジを有し、当該フランジ部の一方のフランジに、前記押圧機構として、前記フランジ部に装着された押圧部材が設けられ、当該押圧部材によって当該巻芯軸部に巻き取られた接着フィルムを当該フランジ部の他方のフランジに押し付けるように構成されている請求項1記載のリール部材。
【請求項3】
前記フランジ部が、巻芯軸部の両端部に設けられた一対のフランジを有し、前記押圧機構が、前記一対のフランジ間の距離を変化させるように構成されている請求項1又は2のいずれか1項記載のリール部材。
【請求項4】
前記押圧機構が、当該リール部材の巻芯軸部から前記フランジ部の外縁部に向って前記接着フィルムに対する押圧力が大きくなるように構成されている請求項1乃至3のいずれか1項記載のリール部材。
【請求項5】
前記接着フィルムが、絶縁性接着剤樹脂中に導電性粒子が分散された異方導電性接着フィルムである請求項1乃至4のいずれか1項記載のリール部材。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項記載のリール部材を用いた接着フィルムの引出方法であって、
前記押圧機構の押圧部材を当該接着フィルムの巻取ラインから退避する退避位置に配置した状態で前記巻芯軸部に当該接着フィルムを巻き付ける工程と、
前記巻芯軸部に巻き取られた接着フィルムを前記押圧機構によって側面側から挟んだ状態で引き出す工程を有する接着フィルムの引出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−153511(P2012−153511A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15684(P2011−15684)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(000108410)ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社 (595)
【Fターム(参考)】