説明

ルアー

【課題】 根掛かりした場合のルアー本体を回収できることに加えて、通常の釣りに際してルアー本体を思い通りに動かすことができるようにする。
【解決手段】 釣り竿から引き出される道糸に結び付けられる力糸Aと、釣鉤20に取り付けられて力糸Aに結び付けられる鉤素Bとを挿通するための挿通孔5を、ルアー本体1に貫通して形成し、挿通孔5の後端開口周縁部に釣鉤20を当接させ、力糸Aの抜け止め手段を、挿通孔5の前端開口周縁部に突設された、複数の雄ねじ片16dからなるテーパ雄ねじ16と、該各雄ねじ片16dに螺合する筒状のテーパ雌ねじ17とで構成し、各雄ねじ片16dの先端部の内面に径内方向に突起16eを形成し、各突起16eの内面によって、挿通孔5に連通する連通孔18を形成すると共に、該連通孔18の径を、テーパ雌ねじ17の螺合状態によって拡縮する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣りをした際に、岩などの障害物に根掛かりした場合にルアー本体を回収することができるようにしたルアーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ルアーの回収具としては、円筒状の本体と、該本体に、その軸線に沿って形成された貫通孔と、該貫通孔に挿通された紐状体と、本体の両側に、軸線に対して直交する方向に設けられた一対のハンガーと、紐状体の先端部に取り付けられた磁石と、後述する二本の係止部を所定角度に維持した状態で束ねる筒体とから構成されたものが公知になっている(例えば特許文献1)。
【0003】
上記紐状体には、その一端部に、釣り糸よりも強固なワイヤの端部が結びつけられるリングが形成されると共に、他端部に、U字形状に折り曲げられた二本の係止部が形成されている。
【0004】
そして、紐状体のリングにワイヤを予め結びつけておいて、係止部をルアー側に向けた状態にして、釣り糸にハンガーの螺旋を係止させて滑走させる。この際、本体が錘となって水中に沈降してルアーに到達し、ルアーの掛針に回収具の磁石が磁着することになる。この状態においてワイヤを強く引くと、掛針が引っ張られて根掛かりを解除できると共に、ルアーの回収も可能になる。
【0005】
また、他の従来例としては、内部(頭部から背びれにかけての部位)に前後方向に埋設された管と、内部(腹部)に埋設された錘と、内部(口の中)に埋設された、力糸を止着するための止着部材(アンカー)とを備えたルアーが公知になっている(例えば特許文献2)。
【0006】
そして、道糸に結びつけられた鉤素を、管の前端開口部から挿通して後端開口部に導出し、この鉤素の導出端部に釣鉤を取り付け、力糸の一端部を止着部材に止着すると共に、その他端部を鉤素に結びつける。なお、鉤素の長さよりも力糸の長さを長くしておき、通常の釣りに際して、力糸に張力が係らないようにしておく。
【0007】
そして、障害物に釣鉤が引っ掛かった場合、道糸を強く引くことによって、鉤素を切断し、道糸に結びつけられた力糸を介してルアー本体のみを回収できるようにしている。
【特許文献1】特開2005−237255号公報
【特許文献2】登録実用新案第3038587号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1の場合、磁石の磁着力で掛針の障害物への根掛かりを常に解除できるとは考えにくく、ルアー本体の回収率も低くなると考えられる。
【0009】
また、上記特許文献2の場合、鉤素と力糸が分岐された状態でルアー本体に結びつけられているので、水の抵抗を受けやすく、通常の釣りに際してルアー本体を思い通りに動かすことが難しいという問題がある。
【0010】
そこで、本発明は、上記問題点を鑑み、根掛かりした場合のルアー本体を回収できることに加えて、通常の釣りに際してルアー本体を思い通りに動かすことができるようにしたルアーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、本発明に係るルアーは、釣り竿から引き出される道糸に結び付けられる力糸Aと、釣鉤20に取り付けられて力糸Aに結び付けられる鉤素Bとを挿通するための挿通孔5が、ルアー本体1を貫通して形成され、しかも、釣鉤20は、挿通孔5の後端開口周縁部に接離可能に当接され、さらに、力糸Aが挿通孔5から抜け出ることを防止するための抜け止め手段が設けられてなることを特徴とする。
【0012】
この場合、道糸、力糸A、鉤素Bが一直線状に繋がるので、釣りをする際、余分な抵抗を受けることなく、力糸Aを介してルアー本体1を直接動かせることができる。一方、釣鉤20が挿通孔5の後端開口周縁部に当接することで、力糸Aの道糸方向への移動が規制されるので、根掛かりした際、引っ張り強度の小さい鉤素Bが切断されて、抜け止めされている力糸Aによって、ルアー本体1を回収できるようになる。
【0013】
さらに、釣鉤20が挿通孔5の後端開口周縁部に接離可能であるので、釣ろうとする対象物に合わせて、釣鉤20を適宜選択できて容易に交換できるようになる。
【0014】
また、本発明によれば、上記抜け止め手段を、上記挿通孔5の前端開口周縁部に突設された、複数の雄ねじ片16dからなるテーパ雄ねじ16と、該各雄ねじ片16dに螺合する筒状のテーパ雌ねじ17とで構成し、各雄ねじ片16dの先端部の内面に径内方向に突起16eを形成し、各突起16eの内面によって、挿通孔5に連通する連通孔18を形成すると共に、該連通孔18の径を、テーパ雌ねじ17の螺合状態によって拡縮するような構成を採用することもできる。
【0015】
この場合、テーパ雌ねじ17が緩んだ状態で螺合している時は、各突起16eが拡開して、連通孔18が拡径されて、力糸Aが挿通孔5に対して挿脱可能になる。一方、テーパ雌ねじ17が緊締状態で螺合している時は、各突起16eがテーパ雌ねじ17の内周面によって径内方向に押圧されて、連通孔18が縮径され、且つ力糸Aの一部が各突起16eによって圧接されて、力糸Aが挿通孔5に対して抜け止めされる。
【0016】
また、本発明によれば、上記抜け止め手段を、上記挿通孔5に交差するよう、且つ少なくとも一端部がルアー本体1を貫通するよう形成された連通孔26と、該連通孔26に移動自在に設けられた抜け止め部材25とで構成し、該抜け止め部材25を、力糸Aを挿通するための通し孔31が形成された抜け止め部材本体30と、該抜け止め部材本体30を連通孔26の開口端部27側に常時付勢する弾性部29と、該弾性部29の付勢力によって、連通孔26の開口周縁部に接離可能に、且つ進退可能になるよう設けられた押圧部32とで構成するようにしてもよい。
【0017】
この場合、押圧部32が連通孔26の開口周縁部から離脱して後退している時は、通し孔31が挿通孔5に位置し、力糸Aが挿通孔5に対して挿脱可能になる。一方、押圧部32が連通孔26の開口周縁部に当接して進出している時は、通し孔31が連通孔26に位置し、通し孔31に挿通された力糸Aの部位が挿通孔5から連通孔26に引き込まれて、力糸Aが挿通孔5に対して抜け止めされる。
【0018】
また、本発明によれば、上記ルアー本体1は魚形状を呈しており、押圧部32が接離可能に、且つ進退可能になるよう設けられた上記連通孔26の開口端部27は、ルアー本体1の少なくとも一方の目の位置に形成されるような構成を採用することもできる。
【0019】
この場合、抜け止め部材25の押圧部32を連通孔26の開口端部27から進出させても、市販されている魚形状のルアーと何ら変わりないので、違和感なく使用できて、釣果に影響を及ぼすことがない。
【0020】
また、本発明によれば、上記抜け止め手段を、ルアー本体1を貫通して挿通孔5に連通するよう形成されたねじ孔36と、該ねじ孔36に螺合する螺棒37と、挿通孔5に位置する該螺棒37の先端部に設けられた、力糸Aを抜け止めするための当接体38とで構成するようなこともできる。
【0021】
この場合、挿通孔5に力糸を挿通した状態で、螺棒37をねじ込んでいくと、挿通孔5に位置する当接体38が力糸Aに圧接して、力糸Aが抜け止めされる。
【0022】
また、本発明によれば、ルアー本体1を貫通して挿通孔5が形成される一方、その両端部に、力糸Aを結び付けるための力糸接続用リング42、及び鉤素Bを結び付けるための鉤素接続用リング43を有する線材41が設けられ、しかも、挿通孔5は、前側に形成された小径部5aと、後側に形成された大径部5bとで構成されると共に、線材41は、力糸接続用リング42及び鉤素接続用リング43のうち、少なくとも鉤素接続用リング43の径が、挿通孔5の小径部5aよりも大きくて大径部5bよりも小さく、さらに、線材41は、力糸接続用リング42が挿通孔5の前端開口部から導出されて外部に位置するよう、且つ鉤素接続用リング43が挿通孔5に挿通されて大径部5bに位置するよう、挿通孔5に貫設されてなることを特徴とする。
【0023】
この場合、線材41の鉤素接続用リング43の径が挿通孔5の小径部5aよりも大きいので、根掛かりした場合、小径部5aと大径部5bの段差部に鉤素接続用リング43が当接することになり、これによって、線材41の移動が規制され、鉤素Bが切断されるようになる。そして、力糸A、線材41を介してルアー本体1を回収できるようになる。
【0024】
また、本発明によれば、上記抜け止め手段を、上記挿通孔5の前側に形成された小径部5a及び後側に形成された大径部5bと、力糸Aに結び付けられる、大径部5bよりも小さくて小径部5aよりも大きな止めゴム又はガン玉からなる抜け止め部材45とで構成し、力糸Aを挿通孔5に挿通して、釣鉤20を挿通孔5の後端開口周縁部に当接した状態において、力糸Aに結び付けられた抜け止め部材45を大径部5bに位置させるような構成を採用することもできる。
【0025】
この場合、力糸Aが挿通孔5に挿通された状態において、小径部5aよりも大きい抜け止め部材45が、大径部5bに位置するようになっているため、根掛かりによって力糸Aが強く引っ張られた際、小径部5aと大径部5bの段差部に抜け止め部材45が当接することで、力糸Aが抜け止めされて、ルアー本体1を回収できる。
【0026】
また、本発明によれば、挿通孔5の前端開口部及び後端開口部に、略筒状の保護部材10、12を嵌着するような構成を採用することもできる。
【0027】
この場合、力糸Aや鉤素Bと、挿通孔5の前端開口部、及び後端開口部の内周面との摩耗抵抗を低減できる。また、保護部材10,12によって、力糸Aの円滑な動きが維持されると共に、これに追従するルアー本体1も円滑な動きになる。さらに、ルアー本体1の長寿化が図れるようになる。
【発明の効果】
【0028】
以上のように、本発明によれば、力糸及び鉤素が直線状に結び付けられた状態で、ルアー本体の挿通孔に挿通されて、外部に導出される。このため、釣りをする際、道糸に接続される力糸を介してルアー本体に直接アクションを掛けることができるので、水の抵抗を受けることなく、ルアー本体を思い通りに動かせる。一方、力糸は、抜け止め手段によってルアー本体の挿通孔から抜け出ることを防止されているので、根掛かりした際、鉤素が切断されることになり、ルアー本体を容易に回収でき、環境問題に多大に貢献できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態1〜4に係るルアーについて、添付図面を参照しつつ説明する。
(実施形態1)
まず、本実施形態1に係るルアーの構成は、図1に示すように、魚形状を呈したルアー本体1と、該ルアー本体1の前端部(口部)から後端部(尾びれ部)を貫通して形成された挿通孔5と、該挿通孔5の前端開口部、及び後端開口部にそれぞれ嵌着された略筒状の保護部材10と、後側の保護部材12に接離可能に当接する釣鉤20と、ルアー本体1の先端部に固設された円台錐状のテーパ雄ねじ16と、該テーパ雄ねじ16に螺合する筒状のテーパ雌ねじ17とから構成されている。
【0030】
ルアー本体1は、前部の両側に目が固着され、例えば鳥の羽などによって胸びれに似せて作られたひれ様体が植設されると共に、錘が設けられている(図示せず)。
【0031】
挿通孔5は、前側に小径部5aが形成され、該小径部5aに連通すべく後側に大径部5bが連続して形成されている。そして、該挿通孔5には、釣り竿から引き出される道糸(図示せず)に結び付けられる力糸Aと、釣鉤20に取り付けられて力糸Aに結び付けられる鉤素Bとが挿通され、大径部5bに、力糸Aと鉤素Bとの結び目Cが位置している。
【0032】
前側の保護部材10は、円錐形状の着脱部10aと、該着脱部10aの端面から軸方向に延出された、着脱部10aよりも小径の筒状の延出部10bと、着脱部10a及び延出部10bを貫通して形成された貫通孔11とを備えている。後側の保護部材12は、円台錐状を呈し、挿通孔5に連通する、該挿通孔5と同一径の貫通孔13が形成されている。そして、貫通孔13には、鉤素Bに結び付けられた釣鉤20の取付軸21が後方から挿通される。さらに、力糸Aに接する部位は、摩擦抵抗を低減するために、全てアール加工されているものとする。
【0033】
釣鉤20は、直線状の大径の取付軸21と、該取付軸21の軸線に沿って延出された小径の延出軸22と、取付軸21の周面に、針先が斜め前方に向かって突出するよう、「レ」字形状に折り曲げられた複数の針23を有している。そして、延出軸22の先端部には、鉤素Bを結び付けるための目孔24が形成されている。ルアー本体1に釣鉤20を装着した際には、この延出軸22は、挿通孔5の内部に位置することになる。また、結び付けられた鉤素Cの長さは、挿通孔5の内部において鉤素5が切断できればよく、比較的短めに設定されている。
【0034】
テーパ雄ねじ16は、外形が略円錐状になるよう、挿通孔5の前端開口周縁部に複数の雄ねじ片16dが突設され、各雄ねじ片16dの先端部の内面に径内方向に突起16eが形成されている。そして、各突起16eの内面によって、挿通孔5に連通する連通孔18が形成されている。さらに、各雄ねじ片16dの基端部16aは、挿通孔5の前端開口周縁部に固設され、該基端部16aの外周面にねじ溝16bが形成されている。先端部は、傾斜面に沿って形成された切り込み16cによって分割されている。また、突起16eは、楔形状を呈し、テーパ雌ねじ17の螺合によって力糸Aに接離する。
【0035】
テーパ雌ねじ17の基端部の内周面に、各雄ねじ片16dのねじ溝16bに螺合する螺合部17aにより構成され、先端部の内周面17bは、各雄ねじ片16dとの螺合によって、各雄ねじ片16dに圧接して連通孔18を縮径するよう構成されている。
【0036】
そして、上述したような構成のテーパ雄ねじ16、及びテーパ雌ねじ17によって抜け止め手段15が構成されており、各雄ねじ片16dは、テーパ雌ねじ17が緩められた状態では、やや拡開した状態になる一方、テーパ雌ねじ17が螺合するにしたがって、テーパ雌ねじ17の内周面17bが各雄ねじ16dに圧接して、各雄ねじ16dの突起16eが縮径し、連通孔18の前側が縮径される。即ち、テーパ雌ねじ17の緊緩によって、力糸Aの抜け止めとその解除とが成される。
【0037】
つぎに使用態様について説明する。まず、ルアー本体1の各雄ねじ片16dに螺合している雌ねじ17を緩めて、各雄ねじ片16dを拡開して連通孔18を拡径し、力糸Aの一端部を、テーパ雄ねじ16の連通孔18、ルアー本体1の挿通孔5の前端開口部を経て、挿通孔5の内部に導入し、挿通孔5の後端開口部から外部に導出する。一方、釣鉤20の延出軸22の目孔24に鉤素Bの一端部を結びつけると共に、導出された力糸Aの一端部と鉤素Bの他端部とを結びつける。続いて、力糸Aをルアー本体1の前方に引っ張り、釣鉤20をルアー本体1の後側の保護部材12に当接する。最後に、テーパ雌ねじ17を締め付けて、各雄ねじ片16dを縮閉して連通孔18を縮径し、力糸Aに突起16eを圧接して、力糸Aを固定し、力糸Aの他端部を、釣り竿から引き出された道糸に結びつける。
【0038】
そして、釣りをする際、水中にルアー本体1を投げ入れて、道糸、力糸Aを介してルアー本体1にアクションを掛けてトローリングを行うことになるが、道糸に一直線状に繋がっている力糸Aが、ルアー本体1に抜け止めされているので、ルアー本体1にアクションを掛けやすくなり、ルアー本体1を思い通りに操作できる。
【0039】
また、根掛かりした場合には、道糸を巻き取ることで、力糸Aよりも引っ張り強度の弱い鉤素Bが切断されることになり、ルアー本体1に抜け止めされた力糸Aを介して、ルアー本体1を回収することができる。なお、図示していないが、ルアー本体1において、力糸Aの抜け止めを強化するよう、前側の保護部材10の前方、及び挿通孔5の大径部5bに、ガン玉や浮き止めゴムを設けてもよい。
【0040】
(実施形態2)
つぎに本発明の実施形態2に係るルアーについて、図2を参照して説明する。同図において、図1と同一符号は同一もしくは相当するものを示し、異なる点は以下の通りである。ルアー本体1は、抜け止め部材25を内挿するための連通孔26が、ルアー本体1の挿通孔5を交差するよう、両目の位置に貫通して形成されている。そして、連通孔26の両側の開口端部27は、後述する抜け止め部材25の押圧部32が接離可能に、且つ進退可能になるようやや小径になっている。さらに、ルアー本体1には、抜け止め部材25(抜け止め部材本体30)の移動をガイドするガイド体28が、該抜け止め部材25(抜け止め部材本体30)の両側に突設されている。一方、抜け止め部材25は、連通孔26の開口端部27の反対側に配される断面U字形状の弾性部29と、一端部が該弾性部29に固着された抜け止め部材本体30と、該抜け止め部材本体30に形成された力糸Aの通し孔31と、抜け止め部材本体30の他端部に固着された半球形状の押圧部32とを備えている。そして、押圧部32と、弾性部29の外面に形成された突起33とが両目になっている。なお、突起33を押圧部として兼用してもよい。
【0041】
つぎに使用態様について説明する。通常、抜け止め部材25の押圧部32は、ルアー本体1の連通孔26の開口端部27から突出されており、この状態においては、抜け止め部材本体30の通し孔31は、ルアー本体1の連通孔26に位置している。即ち、力糸Aを挿通孔5に挿通できない状態になっている。
【0042】
そして、押圧部32を内側(図2の矢印方向)に押圧すると、抜け止め部材本体30の通し孔31が挿通孔5に位置して、通し孔31と挿通孔5が連通状態、即ち力糸Aが挿通可能な状態になる。この状態において、力糸Aの一端部を、ルアー本体1の挿通孔5の前端開口部、抜け止め部材25の通し孔31を通って、挿通孔5の後端開口部から外部に導出する。この際、力糸Aの導出長さとしては、釣鉤20に結び付けられた鉤素Bを結べる程度にしておくことが好ましい。
【0043】
つぎに、押圧部32への押圧を解除すると、抜け止め部材本体30の通し孔31がルアー本体1の挿通孔5から連通孔26に移行することに加えて、抜け止め部材本体30が弾性部29の付勢力によって連通孔26側に付勢されるので、連通孔26側に引き込まれた力糸Aの部位が固定された状態になる。この状態において、釣鉤20に結び付けられた鉤素Bに、導出された力糸Aの一端部を結び付ける。その後、押圧部32を再度押圧して、力糸Aをルアー本体1の先端部側に引っ張って、釣鉤20を挿通孔5の後端開口周縁部に当接する。
【0044】
(実施形態3)
以下、本発明の実施形態3に係るルアーについて、図3を参照して説明する。同図において、図1と同一符号は同一もしくは相当するものを示し、異なる点は、抜け止め手段35が、ルアー本体1の前側において、挿通孔5に連通すべく、該挿通孔5に対して直交する方向に形成されたねじ孔36と、該ねじ孔36に螺合する螺棒37と、挿通孔5に位置する螺棒37の先端部に設けられた半球形状の当接体38と、挿通孔5に形成された、螺棒37の当接体38が係止する凹部39とから構成されている点である。当接体38は、他端部に、六角レンチやドライバなどの工具の先端部を嵌入するための嵌入孔が形成されている(図示せず)。
【0045】
そして、工具の先端部を螺棒37の嵌入孔に嵌入して、工具を回動して螺棒37を締め付け、当接体38を力糸Aに圧接して、力糸Aを抜け止めする。
【0046】
(実施形態4)
以下、本発明の実施形態4に係るルアーについて、図4を参照して説明する。同図において、図1と同一符号は同一もしくは相当するものを示し、異なる点は、抜け止め部材40が、ルアー本体1の挿通孔5に予め挿通された線材41により構成されており、該線材41の両端部には、力糸接続用リング42、及び鉤素接続用リング43が設けられている。
【0047】
力糸接続用リング42をルアー本体1の前側に位置させて、鉤素接続用リング43を挿通孔5の大径部5bに位置させる。この状態で、鉤素接続用リング43と釣鉤20の鉤素Bとを結び付ける。
【0048】
なお、前記各実施形態1〜4の場合、魚の形状を呈したルアーを例にとって説明したが、ワームや餌木等にも適用できるのは言うまでもない。また、図5に示すように、挿通孔5の前端開口部から挿通すると共に、後端開口部から外部に導出された力糸Aに、挿通孔5の小径部5aよりも大きくて大径部5bよりも小さな止めゴムやガン玉からなる抜け止め部材45を結び付けて、抜け止めするようにしてもよい。要するに、力糸Aを抜け止めして、鉤素20を切断することで、ルアー本体1を回収できければよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施形態1に係るルアーを示す断面図である。
【図2】本発明の実施形態2に係るルアーを示す断面図である。
【図3】本発明の実施形態3に係るルアーを示す断面図である。
【図4】本発明の実施形態4に係るルアーを示す断面図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係るルアーを示す断面図である。
【符号の説明】
【0050】
1…ルアー本体、5…挿通孔、5a…小径部、5b…大径部、10、12…保護部材、10a…着脱部、10b…延出部、11、13…貫通孔、15…抜け止め部材、16…テーパ雄ねじ、16a…基端部、16b…ねじ溝、16c…切り込み、16d…雄ねじ片、16e…突起、17…テーパ雌ねじ、17a…螺合部、17b…内周面、18…連通孔、20…釣鉤、21…取付軸、22…延出軸、23…針、24…目孔、25、35、40、45…抜け止め部材、26…連通孔、27…開口端部、28…ガイド体、29…弾性部、30…抜け止め部材本体、31…通し孔、32…押圧部、33…突起、36…ねじ孔、37…螺棒、38…当接体、39…凹部、41…線材、42…力糸接続用リング、43…鉤素接続用リング、A…力糸、B…鉤素、C…結び目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣り竿から引き出される道糸に結び付けられる力糸(A)と、釣鉤(20)が取り付けられて力糸(A)に結び付けられる鉤素(B)とを挿通するための挿通孔(5)が、ルアー本体(1)を貫通して形成され、しかも、釣鉤(20)は、挿通孔(5)の後端開口周縁部に接離可能に当接され、さらに、力糸(A)が挿通孔(5)から抜け出ることを防止するための抜け止め手段が設けられてなることを特徴とするルアー。
【請求項2】
上記抜け止め手段は、
上記挿通孔(5)の前端開口周縁部に突設された、複数の雄ねじ片(16d)からなるテーパ雄ねじ(16)と、該各雄ねじ片(16d)に螺合する筒状のテーパ雌ねじ(17)とで構成され、
しかも、各雄ねじ片(16d)は、その先端部の内面に径内方向に突起(16e)が形成され、
さらに、各突起(16e)の内面によって、挿通孔(5)に連通する連通孔(18)が形成されると共に、該連通孔(18)の径が、テーパ雌ねじ(17)の螺合状態によって縮小されてなることを特徴とする請求項1に記載のルアー。
【請求項3】
上記抜け止め手段は、
上記挿通孔(5)に交差するよう、且つ少なくとも一端部がルアー本体(1)を貫通するよう形成された連通孔(26)と、該連通孔(26)に移動自在に設けられた抜け止め部材(25)とで構成され、
該抜け止め部材(25)は、力糸(A)を挿通するための通し孔(31)が形成された抜け止め部材本体(30)と、
該抜け止め部材本体(30)を連通孔(26)の開口端部(27)側に常時付勢する弾性部(29)と、
該弾性部(29)の付勢力によって、連通孔(26)の開口周縁部に離脱可能に、且つ連通孔(26)に進退可能になるよう設けられた押圧部(32)とを備えてなることを特徴とする請求項1に記載のルアー。
【請求項4】
上記ルアー本体(1)は魚形状を呈しており、
押圧部(32)が接離可能に、且つ進退可能になるよう設けられた上記連通孔(26)の開口端部(27)は、ルアー本体(1)の少なくとも一方の目の位置に形成されてなることを特徴とする請求項3に記載のルアー。
【請求項5】
上記抜け止め手段は、
ルアー本体(1)を貫通して挿通孔(5)に連通するよう形成されたねじ孔(36)と、
該ねじ孔(36)に螺合する螺棒(37)と、挿通孔(5)に位置する該螺棒(37)の先端部に設けられた、力糸(A)を抜け止めするための当接体(38)とで構成されてなることを特徴とする請求項1に記載のルアー。
【請求項6】
上記抜け止め手段は、
上記挿通孔(5)の前側に形成された小径部(5a)及び後側に形成された大径部(5b)と、
力糸(A)に結び付けられる、大径部(5b)よりも小さくて小径部(5a)よりも大きな止めゴム又はガン玉からなる抜け止め部材(45)とで構成され、
力糸(A)が挿通孔(5)に挿通されて、釣鉤(20)が挿通孔(5)の後端開口周縁部に当接された状態において、力糸(A)に結び付けられた抜け止め部材(45)が大径部(5b)に位置するよう構成されてなることを特徴とする請求項1に記載のルアー。
【請求項7】
ルアー本体(1)を貫通して挿通孔(5)が形成される一方、
その両端部に、力糸(A)を結び付けるための力糸接続用リング(42)及び鉤素(B)を結び付けるための鉤素接続用リング(43)を有する線材(41)が設けられ、
しかも、挿通孔(5)は、前側に形成された小径部(5a)と、後側に形成された大径部(5b)とで構成されると共に、線材(41)は、力糸接続用リング(42)及び鉤素接続用リング(43)のうち、少なくとも鉤素接続用リング(43)の径が、挿通孔(5)の小径部(5a)よりも大きくて大径部(5b)よりも小さく、
さらに、線材(41)は、力糸接続用リング(42)が挿通孔(5)の前端開口部から導出されて外部に位置するよう、且つ鉤素接続用リング(43)が挿通孔(5)に挿通されて大径部(5b)に位置するよう、挿通孔(5)に貫設されてなることを特徴とするルアー。
【請求項8】
挿通孔(5)の前端開口部及び後端開口部に、略筒状の保護部材(10、12)が嵌着されてなることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のルアー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−282594(P2007−282594A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−115619(P2006−115619)
【出願日】平成18年4月19日(2006.4.19)
【出願人】(391057052)株式会社サンパック (16)
【Fターム(参考)】