説明

ルーツ式ブロワのノイズを低減させるための方法及び装置

【課題】ルーツ式ブロワのノイズを低減させる。
【解決手段】ルーツ式ブロワは入口及び出口を有するロータチャンバを形成するハウジングと、チャンバに回転可能に取り付けられた第1及び第2のロータであって各々複数のローブを形成するとともに隣り合うローブがハウジングと協働してガス移送チャンバを1回以上形成し、ガスを入口からガス移送チャンバを介して出口へ移動させるよう構成されているロータと、ロータの回転方向と逆の方向に出口からハウジングの内面に沿って伸びている出口ガスフローチャネルであってロータのローブが出口に向かって回転する際にガスを出口からガス移送チャンバへと流すよう構成されている出口ガスフローチャネルとを備える。出口ガスフローチャネルはガス移送チャンバへのガス流速をほぼ一定にするか、出口に向かって非直線的に増大するフロー面積を形成するよう構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はルーツ式ブロワに関する。より詳細には、本発明はかかるブロワにより生成されるノイズを低減させるための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ルーツ式ブロワは多種多様な環境に適用可能である。ルーツ式ブロワは比較的効率が良く、広範囲の吐出圧力及び体積をもたらすことができる。しかし、ルーツ式ブロワは相当大きなノイズを引き起こす。ルーツブロワの引き起こすノイズが相当大きいせいで、そのようなノイズの大きさを容認できない環境でのルーツブロワの使用は制限されていた。そのような環境の1つは、人工呼吸器によって患者の呼吸を補助する環境である。
【0003】
様々な理由によって、急性呼吸窮迫症や慢性呼吸窮迫症の人々(患者)が自分で換気(即ち呼吸)できない場合がある。このような状況では、そういった患者たちが生存し続けるには、呼吸を補助してもらう必要がある。解決策の1つは、その患者たちに、人工呼吸器と呼ばれる、呼吸を補助する医療機器を提供することである。
【0004】
人工呼吸器の目的は、身体の通常の呼吸機構を再現することである。たいていの人工呼吸器は、肺内圧を陽圧にして呼吸を補助する。肺内圧は、患者の肺にガスを送り込むことにより陽圧になり、その結果、肺胞(即ち、肺の主要なガス交換ユニットとしての役割を果たす呼吸器系の最後の分岐)に陽圧が生じる。従って、本質的には、人工呼吸器は吸息相において患者の気道へのガス(例えば、空気又は酸素)の制御された流れを生成し、呼息相においてガスを肺から流出させる装置である。
【0005】
人工呼吸器では、患者へのガスの精密な送出を容易にするべく、種々の方法が用いられる。一部の呼吸器には、外部の加圧ガス源を用いるものもある。他の呼吸器には、ガス圧縮機を用いて内部の加圧ガス源を生成するものもある。
【0006】
内部のガス源を有する呼吸システムは、たいてい定速圧縮機又は可変速圧縮機のどちらかを用いる。定速圧縮機は通例連続的に動作するロータリー式の機械であり、最終的に患者に送出されるガス流速をほとんど一定にする。この定速システムは概して下流フローバルブを使用して患者へのガスの流れを制御し、患者に必要とされていないとき(例えば呼息中)の過剰な流れを迂回させるバイパス又はリリーフの機構を備える。
【0007】
可変速圧縮機の動作は、静止状態から、吸息相の冒頭において必要な流速を生むのに必要な回転速度へと急速に加速した後、患者が息を吐けるように吸息相の終わりで静止状態又はほぼ静止状態へと減速する。
【0008】
人工呼吸器の分野では一般的に2つのタイプの可変速圧縮機システムが使われている。ピストン式のシステムとロータリー式のシステムとである。ド・フリース(DeVries)らによる特許文献1には、人工呼吸器用の先行技術の可変速圧縮機システムの一例が記載されている。このシステムでは、所望の吸気ガスフローを患者に供給する為に抗力コンプレッサ(drag compressor)が用いられる。
【0009】
ロータリー式の圧縮システムは、各吸気相の初めに圧縮機ロータ(1つ又は複数)を所望の速度まで加速し、各吸気相の終わりに圧縮機ロータ(1つ又は複数)を静止時の速度又はほぼ静止時の速度まで減速することにより、吸息中に必要なガスフローを送り出す。従って、ロータリー式の圧縮機は、各吸気換気相の開始に先立って、停止するか又は公称
基底回転速度で回転する。吸気相の開始時に、ロータリー式の圧縮機は、所望の吸気ガスフローを患者に送り出す為に更に高い回転速度へと加速される。吸気相の終わりに、圧縮機の回転速度は、次の吸気換気相の開始まで、基底速度まで減速されるか停止される。先行技術のシステムでは、一般にプログラマブルコントローラを用いて圧縮機のタイミング及び回転速度が制御される。
【0010】
人工呼吸器のサイズの低減については大きな進歩が遂げられている。今日では、携帯の呼吸器が利用可能であり、ユーザには限られた程度の自律的な運動が可能となった。人工呼吸器のサイズ及び所要電力を更に低減させると、患者の運動をさらに自由なものとする可能性が生まれ、患者の生活の質が向上する。
【0011】
ルーツブロワはその相対的な効率性のおかげで、人工呼吸器のサイズ及び消費電力の低減に寄与する可能性を有する。しかし、これまでは、ルーツブロワの出すノイズを人工呼吸器において許容できるレベルまで低減させられていない。
【0012】
ルーツブロワは、相互に作用する一対のロータを用いる。各ロータには2つ以上のローブがある。ロータは、入口及び出口を有するハウジングの内側で回転する。ロータが回転すると、一方のロータのローブは他方のロータのローブ間の空間に出入りする。ガスは、ロータの隣り合うローブと、隣り合うロータハウジング壁とにより形成されるチャンバによって、ブロワを通じて移動する。このチャンバを、本明細書では“ガス移送チャンバ(gas transport chamber)”と呼ぶ。
【0013】
ルーツブロワにより様々な形でノイズが生成される。ノイズの1つのタイプは脈流により引き起こされる。ロータが回転すると、各ロータのローブ間のガス移送チャンバが順番に出口に曝される。各チャンバが出口に曝されると、組み合わさっているロータのローブがチャンバへと回転し、チャンバ内のガスを出口へ排気し、流れ/圧力の脈動をもたらす。それぞれ2つのローブを有する1対のロータの場合、ブロワの各サイクルにおいて、ガス移送チャンバのガスの排気により生成される脈動は4つである。この脈動が相当量のノイズを生成する。
【0014】
第2のタイプのノイズは、“還流(flow back)”として知られている現象により生成される。各ロータが回転する際に、ロータは入口の低圧のガスを誘導する。このガスは、ロータが出口に近づく際に概してガス移送チャンバに閉じこめられる。このガスのポケットは最初に出口に達したとき、出口の高圧のガスに曝される。この時、出口の高圧のガスが、入口から送り出される低圧のガスを含む後方のガス移送チャンバへと押し寄せる。
【0015】
このガスの逆流はひどく急である。その持続時間及び大きさは、ロータの回転速度やガス移送チャンバ内のガスの圧力(一般的に入口の圧力に近い)と出口での圧力との差などを含む、幾つかの要素に依存する。この急なガスの逆流の結果、相当大きな振幅の圧力スパイクが生成される。この圧力スパイクは、ブロワのサイクル中、ガス移送チャンバが出口に曝される毎に生成される。結果として生じた一連の圧力スパイクが、人工呼吸器を含む多くの用途で容認できないレベルの連続的なノイズを生み出す。
【0016】
図1及び図2は、それぞれ、先行技術に係るルーツブロワのガス移送チャンバが出口の領域に曝された直後の、還流ガス流速の変化及び関連するガス圧力の変化を示す図である。示すように、ガス流速はガス圧力と同じように、時間と共に非常に急激に変化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】米国特許第5,868,133号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
ルーツブロワのノイズのレベルを低減させる為の幾つかの試みがなされている。“脈動する(pulsing)”タイプのノイズを低減させるべく、ロータのローブは、真っ直ぐではなく、らせん形状になるよう再構成された。ロータのローブが真っ直ぐだと、ガス移送チャンバに出入りするガスフローは非常に急激に発生する。ローブがらせん形状だと、各ローブはより大きな回転角を通じてガスを排気する。これによってガスの排気は回転角を通じて拡散され、ガスの排気により引き起こされる圧力の脈動の大きさが減少し、ブロワが出すノイズも低減する。しかし、このローブの設計では、出口のガスと入口から送り出されるガスとの間の相対圧力は依然として同一なので、還流の問題は対処されていない。
【0019】
還流のノイズを低減させる為の試みもなされている。チャンバが出口に達する時間に先立ちある程度のガスを出口からガス移送チャンバへと流す種々の種類のチャネル、即ち、通路を設けることによって、チャンバ内のガス圧力を増大させ、チャンバ内のガスが高い出口圧力に曝された際に生ずる圧力スパイクを低減させる。しかし、これまでは、ルーツブロワのノイズを人工呼吸器などのノイズに敏感な用途で使用する際に必要な程度にまで低減させることは可能となっていない。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、ルーツ式ブロワにより生成されるノイズを低減させるための方法及び装置に関する。本発明は特に人工呼吸器において用いられるが、本発明の利点はノイズに敏感なブロワに関する多くのいろいろな用途で実現されてよい。
【0021】
本発明のブロワは、ロータチャンバと、ロータチャンバへの入口及び出口とを形成するハウジングを備える。第1のロータ及び第2のロータはロータチャンバに取り付けられており、各ロータは間隔をおいて位置する複数のローブを形成している。ロータの隣り合うローブはハウジングと協働して、ロータが回転する際に入口から出口へと移動する一連の概して閉鎖されているチャンバを形成する。本明細書では、このチャンバを“ガス移送チャンバ”と呼ぶ。1つ以上の実施形態では、脈流により引き起こされるノイズを低減するように、ブロワは当該分野で既知のらせん状のロータによって構成されている。
【0022】
加えて、このブロワは、チャンバが出口に接近する際、ガス移送チャンバ内部の圧力が入口圧力から出口圧力に概して直線的又はほぼ直線的に増大するよう、特別に構成されている。
【0023】
一実施形態では、出口からガス移送チャンバへのガスの正味の流速を規制して、チャンバ内部の圧力変化を制御する。一実施形態では、出口からガス移送チャンバへの流路及びガス移送チャンバから入口への流路のうちの1つ以上が備えられる。流路は、ガス移送チャンバが出口に接近する時間中、出口からガス移送チャンバへのガスの正味の流速が概して一定又はほぼ一定となり、得られるチャンバの圧力変化が概して直線的又はほぼ直線的となるように構成される。
【0024】
1つ以上の実施形態では、流路は、ハウジングの内面に形成される少なくとも1つの出口フローチャネルを含む。出口フローチャネルは、出口の手前の箇所(ロータの回転方向を考慮して)から出口まで伸びている。フローチャネルは、ガス移送チャンバが出口に向かって進んでいるときにガスを出口からガス移送チャンバへと流すように構成される。一実施形態では、出口フローチャネルの断面積は、ガス移送チャンバへのガスの流速をほぼ
一定に保持するように、若しくはチャンバ内の圧力の変化の比率をほぼ直線的に保持するように、又はその両方のように、非直線的に増大し、第1の端部から出口に向かって連続的に移動する。一実施形態では、各ロータに対応して出口フローチャネルが設けられる。
【0025】
一実施形態では、流路は、ハウジングの内面に形成され、入口(ロータの回転方向を考慮して)の後ろの箇所から入口へ伸びている少なくとも1つの入口フローチャネルを含む。入口フローチャネルは、出口フローチャネルを介して出口からガス移送チャンバに入るガスによってガス移送チャンバ内のガス圧力が上昇する際、ガスをガス移送チャンバから入口へ流れさせるように構成されている。一実施形態では、各ロータに対応して入口フローチャネルが設けられる。
【0026】
一実施形態では、出口フローチャネル及び入口フローチャネルの両方が設けられる。入口及び出口のフローチャネルは協働して作用し、ガス移送チャンバへの正味のガスの流れを制御することによって、ガス移送チャンバ内の圧力の変化の比率を制御する。
【0027】
本発明の1つ以上の実施形態は、ガス移送チャンバにおいて所望の圧力変化の比率を得るように流路の構成を決定するための方法を含む。一実施形態では、最初のフローチャネル構成が選択され、次いでモデル化プロセスを用いて、圧縮性ガスフローを支配する既知の式を用い、所望の動作パラメータ(例えば、回転速度、温度、入口圧力及び出口圧力)におけるガス移送チャンバ内部の経時的な圧力変化が決定される。得られる経時的な圧力変化が所望の結果とマッチしない場合、フローチャネル構成が調整され、修正したフローチャネル構成についてガス移送チャンバ内部の圧力変化が再び決定される。満足な結果が得られるまで、複数回の反復が行なわれてよい。一実施形態では、所望の結果は、ガス移送チャンバの経時的な圧力変化がほぼ直線的又は概して直線的なことである。
【0028】
これに代えて、別の実施形態では、仮定したフローチャネル構成から開始し、満足な圧力プロファイルが得られるまでそのフローチャネル構成の調整を反復するのではなく、所望の圧力プロファイルを用いて、所望圧力のプロファイルの得られるフローチャネルのプロファイルを解析的若しくは数値的又はその両方によって、直接的に計算される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】先行技術に従うルーツ式ブロワのガス移送チャンバに関して還流ガス流速の変化を経時的に示す図。
【図2】図1に示す先行技術のブロワについて還流中の圧力の変化を経時的に示す図。
【図3】本発明の一実施形態によるルーツ式ブロワの分解斜視図。
【図4】図3に示すブロワのハウジングの端面斜視図。
【図5】図4に示すブロワハウジングの出口をハウジングの内部から見た拡大図。
【図6】図3に示すハウジングについてブロワハウジングの出口を示す第1の側面図。
【図7】図6に示すハウジングの7−7線に沿った断面図。
【図8】図7に示すブロワハウジングの出口のフローチャネルの部分の拡大図。
【図9】図7に示すハウジングの9−9線の方向の部分の拡大図。
【図10】入口フローチャネル及び出口フローチャネルが設けられた本発明の一実施形態によるブロワのハウジングの断面図。
【図10A】入口フローチャネル及び出口フローチャネルが設けられた本発明の一実施形態によるブロワのハウジングの断面図。
【図11A】図10に示すブロワの入口フローチャネルの拡大図。
【図11B】図10に示すブロワの入口フローチャネルの拡大図。
【図12】本発明の一実施形態による流路の構成を決定する第1の方法の工程を示すフロー図。
【図13】本発明の一実施形態による流路の構成を決定する第2の方法の工程を示すフロー図。
【図14】本発明により構成されるブロワによってガス流速の変化を経時的に示す図。
【図15】本発明により構成されるブロワによって変化するガス圧力を経時的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
一般に、本発明はルーツ式ブロワを含む。ブロワは、ハウジング内部で回転する互いに噛み合う2つのロータを備える。ロータはガスを入口から引き込みハウジングを通じて出口へ送り出す。ロータは各々、2つ以上のローブを有する。各ロータの隣り合うローブは、ハウジングと組み合わさり、ガスを入口から出口へと移送するガス移送チャンバを形成する。
【0031】
一実施形態では、ブロワは、ガスを出口からガス移送チャンバへ流す流路を形成する1つ以上のフローチャネルを備える。一実施形態では、ロータの各々に対応して、そのような出口フローチャネルが1つ以上設けられる。
【0032】
一実施形態では、ブロワは、更に、ガスをガス移送チャンバから入口へ流す流路を形成する1つ以上のフローチャネルを備える。一実施形態では、ロータの各々に対応して、そのような入口フローチャネルが1つ以上設けられる。一実施形態では、入口及び出口の両方にフローチャネルが設けられる。
【0033】
1つ以上の実施形態では、ガス移送チャンバへと“還流”するガスの正味の流速を規制して、ガス流速が概して一定又はほぼ一定になるように、若しくはチャンバ内のガス圧力の変化が概して直線的又はほぼ直線的になるように、又はその両方になるように、1つ以上のフローチャネルが構成される。従って、本発明の構成によって還流ガスに関連する圧力スパイクが低減されるため、ブロワにより生成されるノイズが実質的に低減される。
【0034】
図3には、本発明の一実施形態によるルーツ式ブロワ20を示す。示すように、ブロワ20は、ハウジング22、第1のロータ24及び第2のロータ26を備える。
以下に更に詳細に記載するように、ハウジング22の構成は様々である。示すように、ハウジング22はロータチャンバ28を形成するケーシングを備える。示すように、チャンバ28は2つの交差するシリンダの構成を有する。
【0035】
一実施形態では、ケーシングの構成は壁で囲われた構造である。ケーシングの外部形状は様々である。一実施形態では、ケーシングの外部形状は概して立方体形状である。この構成では、ハウジング22は、第1の側面30と、概ね対向している第2の側面32とを有する。ハウジング22は、第1の端面34と、概ね対向している第2の端面36と、上面38と、底面40とを有する。
【0036】
一実施形態では、チャンバ28の長手方向の軸は、ハウジング22の第1の端面34と第2の端面36とを通じて伸びている。一実施形態では、ハウジングの第1の端面34が開放されており、ハウジング22の第2の端面36は閉鎖されている。これによって、ロータ24,26を第1の端面34を介してハウジング22へ挿入することや、ハウジング22から取り除くことが可能となる。
【0037】
この実施形態では、ハウジング22の第1の端面34を閉鎖するのに第1のエンドプレート42が用いられる。ハウジング22の第2の端面36にカバープレート44が設置さ
れている。示すように、第1のエンドプレート42には、それぞれベアリング55,57を受ける、くぼみ部51,53がある。カバープレート44は、それぞれシャフト50,52の第2の端部60,62に取り付けられている歯車64,66を受ける、はめ込み部又はくぼみ部46を有する。第2の端部60,62は、ロータ24,26がシャフト50,52に取り付けられ、チャンバ28に挿入される際、ハウジング22の第2の端面36のボアを通して突き出る。図3の実施形態では、ハウジング22の第1のエンドプレート42のはめ込み部又ははめ直し部51,53と同様の、第2の端面36の適切なはめ込み部又ははめ直し部(図示せず)に取り付けられているベアリング63,65によって、歯車64,66は駆動する関係に支持される。動作中、歯車64,66はカバープレート44に保護され覆われており、カバープレート44のくぼみ部又ははめ込み46内に配置されている。歯車64,66は互いに噛み合っており、動作中、ロータ24,26のそれぞれのローブ70が噛み合うが実際に接触はしないように、ロータ24,26が互いに適正な関係で回転することを確実にする。
【0038】
第1のエンドプレート42及びカバープレート44は、好適には、脱着可能にハウジング22と接続可能である。第1のエンドプレート42及びカバープレート44は、1つ以上の留め具を用いてハウジング22に接続されてもよい。一実施形態では、第1のエンドプレート42の組み合わさっているアパーチャへの挿入の為に、1つ以上のピン48がハウジング22の第1の端面34から伸びている。このピン48は、第1のエンドプレート42がハウジング22と整合して接続されている状態を保持することを補助する。第1のエンドプレート42を通じて1つ以上のねじ付きの留め具50が伸び、ハウジング22と係合していることによって、第1のエンドプレート42はハウジング22へ接続又は締結される。好適には、カバープレート44は同様にハウジング22へ接続される。
【0039】
示した実施形態では、第1のロータ24が第1のシャフト52に取り付けられ、第2のロータ26が第2のシャフト54に取り付けられている。これに代えて、ロータ24,26は、それぞれシャフト52,54と一体化して形成されてもよい。示した実施形態では、第1のシャフト52の第1の端部56が第1のエンドプレート42を通じて伸びている。第1のシャフト52を駆動するための手段が設けられている。この手段には、例えば、ブラシレス直流電動機がある。このような電動機の一実施形態は、本明細書と同じ譲受人所有の2004年5月18日提出の米国特許出願第10/847,693号明細書に記載されている。当然のことながら、第1のシャフト52を駆動するための手段は多様な要素からなってもよい。更に、第1のシャフト52の駆動される手段は、直接駆動や間接駆動など、様々である。
【0040】
一実施形態では、第2のシャフト54の第1の端部58は、第1のエンドプレート42によって回転に関して支持される。これは、ベアリング57又は同様な手段によって行なわれてよい。
【0041】
当然のことながら、上述において詳細に示したもの以外の多様な駆動構成によって、ロータ24,26が駆動されてもよい。例えば、別々であるが同期されている電動機によってロータ24,26の各々が独立して駆動されてもよく、他のやり方によって各ロータが互いに駆動する関係になるように構成されてもよい。
【0042】
1つ以上の実施形態では、入口及び出口のみを通ってガスが出入りするように、ハウジング22は入口及び出口を除いて概して密閉されている。示した実施形態では、ハウジング22の第1の端面34及び第2の端面36は密閉されている。従って、示した実施形態では、第1のエンドプレート42はハウジング22に密着している。当該分野で既知のように、シャフトの境界やハウジング22と第1のエンドプレート42との境界においてなど、第1のエンドプレート42のハウジング22に対する接続及び種々の他の構成要素の
接続を密閉するために、任意の多様なシールやブッシングなどが用いられてよい。
【0043】
当然のことながら、ハウジング22は他の様々な構成を有してもよく、ハウジングを密閉するための他のアプローチ及び構成要素のうちの1つ以上が用いられ得る。例えば、ハウジング22の第2の端面36も開放されていてよく、次いで閉鎖され又は覆われてもよいし、エンドプレート又はハウジング22の第1の端面34が閉鎖され、第2の端面36が開放されていてもよい。
【0044】
第1のロータ24及び第2のロータ26は、好適には、2つ以上のローブ70を備える。好適な一実施形態では、各ロータ24,26は3つのローブ70を有する。しかし、ロータ24,26のローブは2つであってもよく、4つ以上であってもよい。ローブ70は、好適には、シャフト52又は54のそれぞれの軸を中心にらせん状の経路をたどる。一実施形態では、各ローブ70の第1の端部及び第2の端部はロータ/シャフトの回りに半径方向に互いに約60度だけ離間されている。
【0045】
ローブ70は、各ロータ24,26の中心から外側に伸びている。隣り合うローブ70間には、空間が形成されている。既知のように、ロータ24,26のうちの一方のロータのローブ70は、他方のロータの隣り合うローブ間に形成されている空間に入ることによって、そのロータと噛み合う又は係合するよう構成されている。ロータ24,26がハウジング22内に取り付けられているときは、各ロータ24,26の隣り合うローブ70は、ハウジング22の内部と協働して、図10に示すように、ガスを入口から出口へと移送するように構成されるガス移送チャンバ103を形成する。
【0046】
図3に示すように、第1のロータ24及び第2のロータ26は、ロータチャンバ28内に取り付けられている。ロータ24,26は、それらのロータのシャフト52,54が互いに平行に、かつ、ハウジング22の第1の端面34及び第2の端面36に対し垂直に伸びるように取り付けられている。
【0047】
ブロワ20は、ガスが引き込まれる入口と、ガスが放出される出口とを有する。図4に示すように、入口80はハウジング22の第1の側面30に位置する。ガスはハウジング22の入口80へ送り出される。一実施形態では、入口80は大気に直接開放されている。別の実施形態では、ガス送出管などのガス送出経路が、入口80へのガス流路を形成する。
【0048】
出口82はハウジング22の第2の側面32に形成されている。以下に更に詳細に説明するように、ガスはロータ24,26によって、入口80から出口82へと送り出される。ガス移送チャンバによって出口82へ送り出されたガスは、出口82を通ってハウジング22から放出される。
【0049】
1つ以上の実施形態では、入口80及び出口82の形は概して三角形である。この構成は特に、ロータ24,26がらせん状のローブを有する場合に適している。中でも特に、ロータ24,26のローブがらせん状の場合、好適には、入口80及び出口82のそれぞれの上面は上のロータ24のローブと同じ角度で下向きに傾斜し、好適には、入口80及び出口82のそれぞれの底面は下のロータ26のローブと同じ角度で上向きに傾斜している。
【0050】
当然のことながら、入口80及び出口82の構成は様々であり、特にロータ24,26の構成が変化するときには様々である。例えば、ロータ24,26が真っ直ぐなローブを有する場合、入口80及び出口82は長方形形状となる。
【0051】
この点について記載したように、ロータ24,26は、ブラシレス直流モータなどの駆動素子によってハウジング22内で回転される。ロータ24,26が回転する際、それらのロータはガスを入口80から出口82へと送り出す。図10に示すように、ガスは“先行(front)”のローブと“後続(rear)”のローブとの間に位置するガス移送チャンバ103内に送り出される。チャンバの“先行”ローブが入口を通過すると、ガス移送チャンバは入口に曝され、入口圧力のガスで満たされる。ロータが回転し続けると、“後続”ローブが入口を通過する。この時、ガス移送チャンバは先行ローブ及び後続ローブ並びにハウジングの内面によって概して囲まれ、かつ、入口及び出口に直接的には曝されていない。
【0052】
ロータが回転し続けると、先導するローブ即ち先行ローブは出口に達する。ガス移送チャンバが出口に曝されると、ガスは最初に(高圧の)出口からガス移送チャンバへと押し寄せる。この“還流”が望ましくない圧力スパイクを生み出す。ロータが回転し続けると、第2のロータの対応するローブがガス移送チャンバの中へと回転し、その中のガスを出口へと排気することによって、ガスは入口から出口へと送り出される。そしてロータは更に回転し、ガス移送チャンバは最終的には回転して入口へと戻る。
【0053】
本発明では、ガス移送チャンバへの還流ガスの流速が概して一定又はほぼ一定であるように、若しくは、ガス移送チャンバが出口に接近する際にガス移送チャンバ内のガス圧力の変化の比率が概して直線的であるように、又はその両方であるように、ブロワ20が構成される。1つ以上の実施形態では、このことは、ロータハウジングに組み込まれている1つ以上のガスフローチャネルによって行なわれる。本発明の一実施形態では、還流は、出口からハウジングの内部に伸びている1つ以上のガスフローチャネルを用いて制御され、好適な一実施形態では、ハウジングの内部から入口へと通じている1つ以上のガスフローチャネルを用いて制御される。
【0054】
図4,5に最も良く示すように、一実施形態では、各ロータ24,26に対応して、出口82からハウジング22のロータチャンバ28へと伸びているガスフローチャネルが提供される(このようなフローチャネルを、本明細書では“出口(outlet)”フローチャネルと呼ぶ)。一実施形態では、第1のロータ24と協働する第1の出口フローチャネル90aは、出口82から第1の円周方向へ伸びており、第2のロータ26と協働する第2の出口フローチャネル90bは、出口82から第2の円周方向へ伸びている。出口フローチャネルのうちの一方90aをこれから更に詳しく記載するが、好適な一実施形態において、他方のロータに対応するチャネル90bが同様であることは理解される。
【0055】
上述において詳細に記載したように、ロータ24,26は、ハウジング22により形成されるロータチャンバ28内部で回転するよう構成されている。図4,5に示した実施形態では、一方のロータ24は他方のロータ26の上方に取り付けられている。この実施形態では、上のロータ24は、図4,5に示したハウジング22の図において時計回りの方向に回転する。換言すると、ロータ24がハウジング22内に取り付けられているとき、そのロータのローブ70は各々、出口82に向けて掃くように下方へと移動する。
【0056】
引き続き図4,5を参照すると、ロータ24のローブ70の回転方向を考慮した場合、出口フローチャネル90aはハウジング22の内部に沿って出口82より手前の箇所から始まる。図5に示すように、出口フローチャネル90aは、第1の端部92、第2の端部94及び一対の側面96,98を有する。出口フローチャネル90aの第2の端部94は、好適には、出口82で終わる。第1の端部92は、説明したように、ローブ70の回転方向を考慮した場合、ハウジング22に沿って出口82より手前の箇所に位置する。
【0057】
本発明の1つ以上の実施形態では、ブロワ20のロータ24,26の外部の寸法は最大
現になっている。最も外側の寸法は、ローブ70のチップ即ち“ランド(land)”で形成されている。ロータチャンバ28は概して、ロータ24,26がチャンバ28内部に精密公差内で適合するよう構成されている。一実施形態では、この公差によって生じるハウジング22の内面とロータ24,26のローブ70との間の間隙は約0.00762cm(0.003インチ)である。実際の間隔は様々である。以下でより明らかになるように、フローチャネルのサイズ及び構成は、この間隙に依存して様々である。
【0058】
1つ以上の実施形態では、出口フローチャネル90aの深さは、第1の端部92から第2の端部94に向けて円周方向に移動するにつれ増大する。チャネル90aの側面即ち側壁96,98は、出口フローチャネル90aの長さ方向に沿ってその第1の端部92からその第2の端部94へと伸びている。出口フローチャネル90aの幅は、側壁96,98の間の距離により規定される。1つ以上の実施形態では、出口フローチャネル90aの深さは概して連続的かつ非直線的に増大するが、幅は不変である。
【0059】
出口フローチャネル90aの深さは、自身の長さ方向に沿った特定の場所における側壁96,98の高さに対応している。示すように、側壁96,98は各々、下面100から上方に伸びている。側壁96,98は各々、ハウジング22の内面で終わっている。図5の実施形態では、出口82がほぼ三角形の形状である為、側壁98の長さは壁96の長さより短い。
【0060】
上述のように、出口フローチャネル90aは、ガス移送チャンバが出口82に接近する際、ガスを出口82からそのガス移送チャンバへと流すよう構成されている。サイズ及び形状を含め、出口フローチャネル90aの構成は、好適には、ガス移送チャンバが出口82に接近する際のガス移送チャンバへのガス流速によってガス移送チャンバの圧力が経時的にほぼ直線的に増大するよう選択される。ガス移送チャンバ内部のガス圧力の変化の比率は概して、ガス移送チャンバへのガス流速に関係している。ガス移送チャンバへのガス流速は、概して、出口とガス移送チャンバとの間の圧力差、及び任意の時点においてそのガス移送チャンバの“先行”ローブ70の位置する箇所の出口フローチャネル90aの断面積に関係している。この断面積は、ローブ70の半径方向に外向きの端部が1辺を形成し、出口フローチャネル90aの3つの側面が他の3つの辺を形成する、ほぼ四辺形の形状の面積である。一実施形態では、出口フローチャネル90aの面積を連続的かつ非直線的に増大させると、ガス移送チャンバへのガス流速は概して一定又はほぼ一定となり、ガス移送チャンバ内部の関連する圧力の変化の比率は概して直線的又はほぼ直線的となることが分かっている。特に、出口フローチャネル90aの断面積は、好適には、チャネル90aの第1の端部92から出口82に向かって移動するにつれ連続的かつ非直線的に増大する。
【0061】
動作中、ロータ24のガス移送チャンバが入口80を通過すると、ガス移送チャンバは入口80の周囲圧力のガスで満たされる。入口80の周囲圧力は概して、出口82の出口圧力より低い。ロータ24が回転してガス移送チャンバがチャネル90aの第1の端部92に達すると、出口82からのより高い圧力のガスがガス移送チャンバへと流れ始める。この時、出口のガスとガス移送チャンバ内のガスとの圧力差は最大の値である。ガス移送チャンバへのガス流速はこの圧力差に依存するので、経時的な圧力の増大を概して直線的とするために、端部92でのチャネル90aのサイズは最小である。
【0062】
ロータ24が出口82に向かって回転し続けると、チャネル90aを通じてガス移送チャンバへ向かうガスの流れによって、ガス移送チャンバ内のガスの圧力が上昇し始める。ガス移送チャンバと出口82との圧力差は減少するので、チャネル90aのサイズは増大し、フロー断面積が広くなって、ガス移送チャンバへのガス流速がほぼ一定に保持されるため、ガス移送チャンバの圧力はほぼ直線的に増大される。
【0063】
最終的には、先行ローブが出口82に達し、ガス移送チャンバが出口82に直接的に曝される。ガス移送チャンバ内のガスの圧力と出口でのガスの圧力とが既に実質的には等しくなっているので、急激な圧力変化は起きず、ノイズが有意に低減される。
【0064】
ロータ24が回転し続けると、他方のロータ26の組み合わさっているローブ70がガス移送チャンバを満たし始め、その中のガスを出口82へと排気する。
他方のロータ26に関するブロワ20の動作は同様であり、ガスを出口82から出口フローチャネル90bを介し、ロータ26のローブ70間のガス移送チャンバへと、還流させることができる。
【0065】
本発明の1つ以上の実施形態では、また図10〜11に示すように、ガス移送チャンバへのガスの正味の流速と、結果として生じた圧力変化とは、好適には、更に、1つ以上の入口フローチャネル即ち102a,bを設けることによって制御される。この入口フローチャネル102a,bによって、ロータ24,26のガス移送チャンバ内のガスを入口80に向かって還流させる流路が形成される。上述のように、ガス移送チャンバが出口82に接近する際のガス移送チャンバへのガス流速を概して一定又はほぼ一定とすることによって、ガス移送チャンバ内のガス圧力が概して直線的又はほぼ直線的な変化を生じる際には、出口フローチャネル90a,bを適切に構成することが効果的である。しかし、ガス移送チャンバから入口への流路も設けられる場合、ガス移送チャンバへの正味の流速を制御する能力、従ってガス移送チャンバ内のガス圧力の変化を制御する能力を更に高められることが分かっている。
【0066】
よって、本発明の好適な一実施形態では、上述の出口フローチャネル90a,bと同様なフローチャネル又はリリーフチャネル、即ち、通路102a,bが、入口80に配置される(したがって、本明細書では“入口”フローチャネルと呼ぶ)。好適には、入口フローチャネル102a,bは、各ロータ24,26に対応してハウジング22内に設けられる。入口フローチャネル102a,bを用いて、ガスがガス移送チャンバから入口へ還流する又は“漏れる”比率を制御する。
【0067】
ロータ24,26がハウジング22内部で回転することを可能とするには、各ローブの“ランド”即ち最も外側の部分と、隣り合うハウジング壁との間に、ある程度の間隙が必要である。このわずかな間隙によって、出口からガス移送チャンバへの漏れ(ガス移送チャンバの“先行”ローブとハウジング壁との間の間隙領域を介して)と、ガス移送チャンバから入口に戻る漏れ(ガス移送チャンバの“背後(back)”ローブとハウジング壁との間の間隙領域を介して)とが生じる。従って、当然のことながら、特定のローブの間隙の選択は、ガス移送チャンバへの正味のガスフローに影響を与える。
【0068】
一実施形態では、ガス移送チャンバが出口82に接近する際、ガス移送チャンバへの正味のガス流速が概して一定又はほぼ一定であるように、若しくはガス移送チャンバのガス圧力の変化が概して直線的又はほぼ直線的であるように、又はその両方になるように、出口80の出口フローチャネル90a,b及びローブの間隙から生じる固有の漏れと共に、入口フローチャネル102a,bの構成が選択される。入口フローチャネル102a,bの構成は様々である。一実施形態では、入口フローチャネル102a,bの構成は、出口フローチャネル90a,bの構成と同様である。入口フローチャネル及び出口フローチャネルの構成を決定する具体的な方法を以下に更に詳細に述べる。
【0069】
本発明には、様々な変形形態が想定される。1つ以上の出口フローチャネル若しくは入口フローチャネル又はその両方、即ち、通路は、好適には、両方のロータに設けられる。しかし、1つのロータにのみフローチャネル、即ち、通路を設けることも可能である。
【0070】
記載のように、フローチャネル、即ち、通路は、好適には、ガス移送チャンバが出口82に接近する際、ガス移送チャンバへのガス流速を概して一定又はほぼ一定にするように、したがって、ガス移送チャンバ内の圧力の変化を概して直線的又はほぼ直線的にするように構成される。用語“概して”又は“ほぼ”は、所望の目標を厳密に達成することから幾分ずれることを想定するものである。一実施形態では、達成した結果の所望の結果からのずれは、約30%以下、好適には約20%以下、最も好適には約5%〜約10%以下である。
【0071】
図14,15には、本発明によるブロワの一実施形態におけるガス移送チャンバへのガスの正味の流速と、結果として生じる圧力の変化とを経時的に示す。図14に示すように、流速は期間tを通じて概して一定及びほぼ一定である。図15に示すように、結果として生じる圧力の変化は概して直線的又はほぼ直線的である。
【0072】
本発明の1つ以上の実施形態には、所望の流れ/圧力の特性値を概して又はほぼ達成するフローチャネルの構成を決定する方法が含まれる。本発明の一実施形態は、仮定したフローチャネルのプロファイルを含む複数の変数に基づき、ガス移送チャンバ内の圧力の変化対時間を決定するための方法である。この方法は反復的に実施されてよい。例えば、満足な圧力変化のプロファイルが得られるまで、仮定したフローチャネルのプロファイルは変更される。
【0073】
一実施形態では、コンピュータデバイス上でブロワをモデル化することによって、ブロワの出口フローチャネル及び入口フローチャネルの構成を決定する反復的な方法が実行される。好適な一実施形態では、米国マサチューセッツ州ウェストフォード所在のVisual Solutions社により市販されているVisSimソフトウェアを用いて、モデル化が行なわれる。しかし、この方法は手作業で行なわれてもよく、他の適切なソフトウェアを用いて行なわれてもよい。また、モデルを構築し、モデルを使用してデータを測定することによって、この方法が物理的に実行されてもよい。
【0074】
以下に更に詳細に記載するように、本発明の一方法では、ブロワの構成に関する若しくはブロワの構成に関連付けられている、様々な仮定若しくは選択のパラメータ又は変数(フローチャネルのサイズ/形状や、入口圧力/出口圧力、温度、送出量、ロータ速度などの動作パラメータなど)を用いて、ガス移送チャンバ内の圧力の経時的な変化が計算される、或いは、ガス移送チャンバ内のガスの他の特性値の値、例えば、チャンバへのガスの流速などが計算される。
【0075】
本発明の一方法では、選択したパラメータ及び変数のうちの1つ以上を利用して、当該分野で既知の圧縮性流体の流動方程式に基づき、ブロワのロータが回転する際のブロワのガス移送チャンバ内の圧力の経時的な変化が計算される又は決定される。本発明の方法の一実施形態による工程を図12に示し、以下に更に詳細に記載する。
【0076】
第1の工程S1では、ガス移送チャンバの所望の圧力補正が行なわれる角度(“テーパ角度(taper angle)”)をロータのローブが通過するのにかかる時間の長さが決定される。本明細書では、この時間を“テーパ時間(taper time)”と呼ぶ。テーパ時間はテーパ角度とロータの回転速度とに依存する。出口フローチャネル及び入口フローチャネルの両方を用いる実施形態では、出口フローチャネル及び入口フローチャネルのそれぞれで、テーパ角度は別々であり、従ってテーパ時間も別々である。例えば、図10の実施形態では、出口フローチャネル90bにはテーパ角度180が適用され、入口フローチャネル102bにはテーパ角度190が適用される。これに代えて、出口フローチャネル及び入口フローチャネルの両方に単一のテーパ角度が適用されてもよい。
【0077】
従って、一実施形態では、“テーパ時間”は、ロータの仮定した動作回転速度(min−1(rpm)単位で測定)と、適用可能なテーパ角度とから決定される。一実施形態では、テーパ時間は、テーパ角度とロータの回転速度とから以下のように計算される。
【0078】
テーパ時間 = (1/(min−1/60))×(テーパ角度/360)
ブロワが一定の範囲の回転速度に亘り用いられるよう意図されている場合、回転速度毎に適用可能なテーパ時間は異なる。動作範囲に亘り最も満足な圧力変化プロファイルをもたらすフローチャネルプロファイルを選択する為に、この方法が動作範囲内の様々な動作速度にて実行されてもよい。
【0079】
テーパ時間の決定後、工程S2では、仮定したフローチャネルのプロファイルを用いて、入口フロー断面積及び出口フロー断面積(本明細書では、それぞれ“入口オリフィス面積”及び“出口オリフィス面積”とも呼ぶ)がロータ位置の関数として決定される。これに代えて、オリフィス面積はロータ位置の関数としてではなく、正規化したテーパ時間の関数として表現されてもよい。即ち、オリフィス面積は“t”の関数として表現されてもよい。ここで“t”は、ガス移送チャンバのローブがテーパ角度を通過し始めた時間からの期間をテーパ時間で除算したものに等しい。例えば、ローブがテーパ角度の始まりにあるとき“t”は0に等しく、ローブがテーパ角度の端部に達したとき“t”は1に等しい。
【0080】
上述のように、ロータが回転している任意の時点における、ガスが出口からガス移送チャンバへと流れる(出口フローチャネルの場合)又はガス移送チャンバから入口へと流れる(入口フローチャネルの場合)オリフィス総面積は、適用可能なロータのローブのチップ(即ち“ランド”)がその時点で位置する箇所でのフローチャネルの断面積、及びローブとハウジングとの間の間隙ギャップの断面積(“漏れ面積(leakage area)”)の合計である。
【0081】
一実施形態では、各フローチャネルの深さはそのフローチャネルの長さに沿って変動し、出口(出口フローチャネルの場合)又は入口(入口フローチャネルの場合)に近づくに従って深くなるが、その幅は固定されたままである。本発明の反復的な方法の一実施形態では、各フローチャネルの最初の面積プロファイルは仮定され、結果として得られる圧力の変化の比率が計算される。仮定したプロファイルに対して調整が行なわれ、圧力の変化の比率が再び計算される。ブロワの所望の動作範囲に亘る圧力の変化の満足な比率が得られるまで、この反復的なプロセスが続けられる。
【0082】
1つ以上の実施形態では、出口フローチャネル及び入口フローチャネルの面積についてのプロファイルは、高次多項式の形式によって仮定される。1つ以上の実施形態では、出口フローオリフィス総面積(漏れ面積を含む)は次の形式を有すると仮定される。
【0083】
(t)=Et+Ft+Gt12+L
上記の式では、“A(t)”は、正規化したテーパ時間“t”(0〜1で変化する)の関数としての出口オリフィス総面積の断面積(出口フローチャネルの断面積と漏れ面積との合計)である。E,F,Gは定数であり、Lは漏れ面積である。一実施形態では、定数E,F,Gの値として、それぞれ、約0.045cm(0.007in.)、約0.129cm(0.02in.)、約0.045cm(0.007in.)という値が選択される。
【0084】
1つ以上の実施形態では、出口フローチャネルの幅は固定されていると仮定されるので、出口フローチャネルに沿った任意の場所における出口フローチャネルの深さは出口フロ
ーチャネルの断面積をその幅で除算したものと等しくなる。
【0085】
1つ以上の実施形態では、出口フローチャネルの断面積は出口オリフィス総面積から漏れ面積を引いたものと等しい。
OC(t)=A(t)−L=Et+Ft+Gt12
従って、正規化したテーパ時間の関数としての出口フローチャネルの深さは次の形式を有する。
【0086】
(t)=AOC(t)/W=(Et+Ft+Gt12)/W
ここで、D(t)は“t”の関数としての出口フローチャネルの深さであり、“AOC(t)”は“t”の関数としての出口フローチャネルの面積であり、“W”は出口フローチャネルの幅であり、E,F,Gは定数である。1つ以上の実施形態では、“W”は、出口フローチャネルを通過する際のローブのランドを通じて測定した、出口フローチャネルの幅である。
【0087】
1つ以上の実施形態では、入口フローオリフィス総面積(入口フローチャネルの断面積に漏れ面積を加えたもの)は、次の形式を有すると仮定される。
(t)=H(1−t)+I(1−t)+J(1−t)12+L
上記の式では、“A(t)”は、正規化したテーパ時間“t”(0〜1で変化する)の関数としての入口フローオリフィス総面積であり、H,I,Jは定数である。一実施形態では、定数H,I,Jの値として、それぞれ、約0.00645cm(0.001in.)、0、約0.00645cm(0.001in.)という値が選択される。
【0088】
1つ以上の実施形態では、入口フローチャネルの幅は固定されていると仮定されるので、入口フローチャネルに沿った任意の場所における入口フローチャネルの深さは入口フローチャネルの断面積をその幅で除算したものと等しくなる。
【0089】
1つ以上の実施形態では、入口フローチャネルの断面積は入口オリフィス総面積から漏れ面積を引いたものと等しい。
IC(t)=A(t)−L=Ht+It+Jt12
従って、正規化したテーパ時間の関数としての入口フローチャネルの深さは次の形式を有する。
【0090】
(t)=AIC(t)/W=(Ht+It+Jt12)/W
ここで、D(t)は“t”の関数としての入口フローチャネルの深さであり、“AIC(t)”は“t”の関数としての入口フローチャネルの面積であり、“W”は入口フローチャネルの幅であり、H,I,Jは定数である。1つ以上の実施形態では、“W”は、入口フローチャネルを通過する際のローブのランドを通じて測定した、入口フローチャネルの幅である。
【0091】
第3の工程S3では、入口オリフィス面積及び出口オリフィス面積を通るガスの流速は、オリフィス面積のサイズ並びにガス移送チャンバと入口及び出口との間の圧力差に基づき、時間“t”の関数として決定される。中でも特に、出口から出口オリフィス面積を通りガス移送チャンバへと戻るガスの流速(“QIn”)と、ガス移送チャンバから出て入口オリフィス面積を通り入口へと戻るガスの流速(“QOut”)とが決定される。1つ以上の実施形態では、QIn及びQOutは、当該分野で既知の圧縮性ガスフローの流動方程式を用いて決定される。例えば、ジェイ.ディ.アンダーソン(J.D.Anderson)の「The Analysis & Design of Pneumatic
Systems」(Krieger Publishing Co.より出版)に述べられている式が用いられる。ガス移送チャンバへの正味の流速の合計はこの2つの流速の
差である。
【0092】
Q=QIn−QOut
工程S4では、正規化したテーパ時間の関数としてのガス移送チャンバの圧力が、チャンバへの正味のガスの流れとチャンバのデッドスペースのコンプライアンスとから決定される。このように、圧力が望ましくない変動をするか否かが決定され得る。オリフィスを通りチャンバへと向かうガスフローを支配する周知の原理及び式を用いて、解析的に又は数値的に圧力が決定されてよい。1つ以上の実施形態では、時間に対する圧力を示すグラフが生成される。
【0093】
1つ以上の実施形態では、ガス移送チャンバ内の圧力Pは次の式を用いて計算される。
【0094】
【数1】

【0095】
ここで、Pはガス移送チャンバの圧力であり、Qはガス移送チャンバへと向かう正味の流速であり、Cはガス移送チャンバのデッドスペースのコンプライアンスである。一実施形態では、Pの単位はcmHOであり、Qの単位はリットル毎分であり、C=約0.0000170リットル/kPa(0.00000167リットル/cmHO)である。
【0096】
示したように、本発明の方法の一適用では、ガス移送チャンバが出口に接近する際に、ガス移送チャンバ内のガスの圧力の変化が概して直線的又はほぼ直線的であることが望まれる。工程S5では、工程S4にて決定された圧力の変化の比率がブロワの用いられる目的において充分に直線的であるか否かについて、判定が行なわれる。工程S5にて圧力変化の比率が所望のようには直線的でないと判定される場合、工程S6にて、より直線的な圧力変化の比率をもたらす面積関数の公式化を試みて、出口の面積関数及び入口の面積関数(1つ又は複数)のうちの1つ以上が修正される(例えば、関数の係数、テーパ角度又は形式を変えてフローチャネルの深さのプロファイルを変えることによって)。次いで、修正した面積関数によってより直線的な結果が得られるか否かを判定するために、工程S2〜S5が繰り返されてよい。工程S5にて結果が満足なものであると判定されると、その結果の得られる面積関数及びフローチャネルのプロファイルのうちの一方又は両方は、工程S7にてブロワの製造に利用される。
【0097】
1つ以上の実施形態では、ガス移送チャンバ内のガスに関して圧力以外の特性値が対象となってもよい。例えば、圧力とテーパ時間との間に所望の関係を有する代わりに、ガス移送チャンバへのガスの流速とテーパ時間との間に所望の関係が指定されてもよい。このガス移送チャンバ内のガスの特性値の値(例えば、圧力や流速)間の所望の関係を、“所望のガス移送チャンバ関数”と呼ぶ場合がある。所望のガス移送チャンバ関数が何であっても、問題となる特性値の推定値又は予測値(仮定した面積関数を用いて計算される)と所望のガスチャンバ関数との間の差異が満足なものになるまで、本発明の反復的な方法が実行されてよい。
【0098】
記載の方法の実施形態において、1つ以上の実施形態では、所望の関係(例えば、ガス移送チャンバ内の圧力変化が概して直線的若しくはほぼ直線的であること、又はガス移送チャンバへのガスの流速が概して一定若しくはほぼ一定であること)を得るために、入口フローチャネル及び出口フローチャネルの両方が用いられる。これに代えて、入口フローチャネルのみ又は出口フローチャネルのみを用いて、この方法が実行されてもよい。
【0099】
図12の方法の一適用では、ロータの寸法が長さ約2.54cm(1.0in.)、かつ、直径が約2.24cm(0.88in.)であり、入口圧力が0(ゲージ圧)、出口圧力が約3.92kPa(40cmHO)、かつ、回転速度の範囲が1000〜12,000min−1(RPM)で動作し、漏れ面積が約0.0110cm(0.0017in.)、出口のテーパ角度が60度、かつ、入口のテーパ角度が60度であるルーツブロワの場合、ガス移送チャンバ内の圧力を満足できる程度にほぼ直線的に上昇させるには、次のフローチャネル面積関数(in.単位)が決定される。
【0100】
OC(t)=0.007t+0.02t+0.007t12
IC(t)=0.001t+0.001t12
出口フローチャネル及び入口フローチャネルの幅に、それぞれ、約0.953cm(0.375in.)及び約0.254cm(0.10in.)を選択すると、得られる出口フローチャネル及び入口フローチャネルの深さのプロファイルは、インチ単位では次のようになる。
【0101】
(t)=0.0187t+0.0533t+0.0187t12
(t)=0.01t+0.01t12
本発明の別の実施形態は、ブロワの所望の構成を決定する解析的/数値的方法である。図13を参照して、この実施形態を記載する。この実施形態では、出口フローチャネル及び入口フローチャネルのうちの一方又は両方の面積関数が仮定されるのではなく、所望の圧力関数を用いて、その所望の圧力関数の得られる面積関数が解析的若しくは数値的又はその両方によって計算される。次いで、必要な面積関数が得られるように、フローチャネルの寸法が選択される。一実施形態では、出口フローチャネルのみが利用される。一実施形態では、テーパ時間中の不連続な区間において、必要なオリフィス面積が計算され、得られる不連続なオリフィス面積の値から面積関数が導かれる。
【0102】
第1の工程S1では、“テーパ時間”が計算される。上述のように、“テーパ時間”とは、選択したテーパ角度をロータのローブが回転するのに必要な時間である。この時間は、先述の方法に関する上述の時間と同様に計算されてよい。また、所望の反復時間区間と所望の圧力変化のプロファイルも選択される。例えば、所望の反復時間区間はテーパ時間の分数として表現されてよく、例えば、反復時間区間をテーパ時間の1/2000となるように選択される。
【0103】
工程S2では、特定の正規化された時間“t”における出口オリフィス面積での所望の流速が、所望の圧力変化のプロファイルによって指定されるその時間での所望の圧力の変化の比率から計算される。1回目の反復の間、“t”は選択した反復時間区間をテーパ時間で除算したものと等しくされる。続く各々の反復の間、“t”は反復時間区間をテーパ時間で除算した値だけ増分される。“t”が1に等しくなるまで、この反復が継続される。
【0104】
工程S3では、現在の時間“t”の所望のフローを得るために必要な出口オリフィス面積は、当該分野において既知の圧縮性ガスフローの流動方程式を用いて決定される。
工程S4では、tの値は反復時間区間だけ増分され、プロセスは工程S2へ戻る。tの値が1になるまで工程S2〜S4が繰り返される。次いで、各時間tにおいて計算される出口オリフィス面積は、所望のオリフィス面積対時間のプロットを作成するために用いられてよく、このプロットは、出口フローチャネルのプロファイルを選択するために用いられ得る(出口オリフィス総面積に対する間隙漏れ面積の寄与を考慮した後)。
【0105】
本発明によるブロワが回転速度と、出口圧力及び入口圧力とのうちの一方又は両方のある範囲に亘り動作するよう意図されている場合、図12又は図13の方法は、意図される
動作範囲内の複数の点で行なわれてもよく、各動作点にて決定される面積関数/深さのプロファイルから平均の面積関数/深さのプロファイルが選択されてもよい。或いは、動作点の範囲を通じて最も満足な結果の得られる面積関数/深さのプロファイルが選択されてもよい。
【0106】
本発明のブロワの構成は、本発明のブロワの構成を有しないブロワに比べ有意に少ないノイズしか生成しない点で有利である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルーツ式ブロワのノイズを低減させる構成であって、
入口及び出口を有するロータチャンバを形成するハウジングと、
チャンバに回転可能に取り付けられている第1のロータ及び第2のロータと、各ロータは複数のローブを形成することと、各ロータの隣り合うローブはハウジングと協働してガス移送チャンバを1回以上形成することと、ロータはガスを入口からガス移送チャンバを介して出口へ移動させるよう構成されていることと、
ロータの回転方向と逆の方向に出口からハウジングの内面に沿って伸びている少なくとも1つの出口ガスフローチャネルと、同少なくとも1つの出口ガスフローチャネルはロータのローブが出口に向かって回転する際にガスを出口からガス移送チャンバへと流すよう構成されていることと、同少なくとも1つの出口ガスフローチャネルはガス移送チャンバへのガス流速をほぼ一定にするか、または出口の方向に向かって概して非直線的に増大するフロー面積を形成するよう構成されていることと、からなるルーツ式ブロワのノイズを低減させる構成。
【請求項2】
各出口ガスフローチャネルの断面積は出口ガスフローチャネルの第1の端部から第2の端部への方向に移動するにつれ増大する請求項1に記載のブロワ。
【請求項3】
出口ガスフローチャネルの断面積は出口ガスフローチャネルの第2の端部の第1の端部の方向に移動するにつれ非直線的に増大する請求項1に記載のブロワ。
【請求項4】
面積の増大は少なくともチャネルの深さの増大に関連付けられている請求項1に記載のブロワ。
【請求項5】
前記少なくとも1つの出口ガスフローチャネルの幅は概して一定であることと、前記少なくとも1つの出口ガスフローチャネルの深さは出口の方向に向かって非直線的に増大することと、を含む請求項1に記載のブロワ。
【請求項6】
ロータのそれぞれに対する少なくとも1つの出口ガスフローチャネルと、出口ガスフローチャネルは第1の端部及び第2の端部を有することと、第2の端部は出口に位置することと、第1の端部はロータの回転方向と逆の方向に第2の端部から間隔をおいて位置することと、を含む請求項1に記載のブロワ。
【請求項7】
ロータのうちの少なくとも1つに対応する少なくとも1つの入口フローチャネルと、同少なくとも1つの入口フローチャネルはロータの回転の方向に入口からロータチャンバの内面に沿って伸びていることと、入口フローチャネルはガスをチャンバから入口へと流すよう構成されていることと、を含む請求項1に記載のブロワ。
【請求項8】
ルーツ式ブロワのポートと同ブロワの少なくとも1つのロータのローブ間に形成されるガス移送チャンバとの間にガスの流れをもたらすガスの流路を構成するための方法であって、
流路の長さを選択する長さ選択工程と、
ガス移送チャンバ内のガスの特性値の所望の値をロータ位置の関数として規定する所望のガス移送チャンバ関数を選択するガス移送チャンバ関数選択工程と、
流路の長さに沿った流路の断面積を規定する面積関数を選択する面積関数選択工程と、
面積関数に対応してガス移送チャンバ内のガスの特性値の推定値を計算する推定値計算工程と、
推定値を所望の値と比較する推定値比較工程と、
推定値が所望の値とほぼ等しくなるまで、面積関数選択工程、推定値計算工程及び推定
値比較工程を繰り返す工程と、からなり、
所望のガス移送チャンバ関数はガス移送チャンバへのほぼ一定のガス流速を含む、方法。
【請求項9】
面積関数は不変の成分と可変の成分とを含み、不変の成分は漏れ面積を含み、可変の成分は多項式を含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記多項式は、Et+Ft+Gt12の形式の多項式を含むことと、“E”、“F”及び“G”は定数であることと、“t”は正規化したテーパ時間であることと、を含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
Eはほぼ0.045cm(0.007in.)に等しく、Fはほぼ0.129cm(0.02in.)に等しく、かつ、Gはほぼ0.045cm(0.007in.)に等しい請求項10に記載の方法。
【請求項12】
Eはほぼ0.00645cm(0.001in.)に等しく、Fは0に等しく、かつ、Gはほぼ0.00645cm(0.001in.)に等しい請求項10に記載の方法。
【請求項13】
面積関数に対応するガスフローチャネルを構成する工程を含む請求項10に記載の方法。
【請求項14】
ルーツ式ブロワのポートと同ブロワの少なくとも1つのロータのローブ間に形成されるガス移送チャンバとの間にガスの流れをもたらすガスの流路を構成するための方法であって、
流路の長さを選択する長さ選択工程と、
ガス移送チャンバ内のガスの特性値の所望の値をロータ位置の関数として規定する所望のガス移送チャンバ関数を選択するガス移送チャンバ関数選択工程と、
最初の増分ロータ位置を選択する初期ロータ位置選択工程と、
最初の増分ロータ位置にてガス移送チャンバ関数に対応して最初の所望のフロー断面積を計算する初期フロー断面積計算工程と、
次の増分ロータ位置を選択する次ロータ位置選択工程と、
次の増分ロータ位置にてガス移送チャンバ関数に対応して次の所望のフロー断面積を計算する次フロー断面積計算工程と、
流路の長さを通過するロータ位置それぞれについて、次ロータ位置選択工程及び次フロー断面積計算前記工程を繰り返す工程と、からなり、
所望のガス移送チャンバ関数はガス移送チャンバへのほぼ一定のガス流速を含む、方法。
【請求項15】
流路の長さはテーパ角度を含む請求項8または14に記載の方法。
【請求項16】
ロータ位置はテーパ時間で表される請求項8または14に記載の方法。
【請求項17】
ガス移送チャンバ内のガスの特性値はガスの圧力と、ガス移送チャンバへのガスの流速とのうちの少なくとも一方を含む請求項8または14に記載の方法。
【請求項18】
所望のガス移送チャンバ関数はガス移送チャンバ内のガスの圧力のほぼ直線的な変化の比率を含む請求項8または14に記載の方法。
【請求項19】
ポートはブロワの出口ポートまたは入口ポートを含む請求項8または14に記載の方法

【請求項20】
所望のフロー断面積に対応するガスフローチャネルを構成する工程を含む請求項14に記載の方法。
【請求項21】
ガスフローチャネルの幅は概して一定である請求項20に記載の方法。
【請求項22】
ガスフローチャネルの深さはガスフローチャネルの長さに沿って概して非直線的に増大する請求項21に記載の方法。
【請求項23】
ガスフローチャネルは出口フローチャネルを含む請求項20に記載の方法。
【請求項24】
ガスフローチャネルは入口フローチャネルを含む請求項20に記載の方法。
【請求項25】
ルーツ式ブロワは人工呼吸器の一部を構成する請求項8または14に記載の方法。
【請求項26】
前記ガスフローチャネルは、前記チャンバが出口に向けて移動するにつれ前記チャンバ内のガスの圧力が直線的に増大するように構成されている、請求項1に記載のブロワ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図10A】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−159081(P2012−159081A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−111030(P2012−111030)
【出願日】平成24年5月14日(2012.5.14)
【分割の表示】特願2007−524783(P2007−524783)の分割
【原出願日】平成16年11月10日(2004.11.10)
【出願人】(506039955)ケアフュージョン 203 インコーポレイテッド (8)
【氏名又は名称原語表記】CareFusion 203,Inc.
【Fターム(参考)】