説明

ルーティングシステム

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は複数の入力ラインと複数の出力ラインとを接続するために使用されるルーティングシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のルーティングシステムは、図1に示すように、一般に、入力ラインからのATM(非同期転送モード)セルを出力ラインに転送するために使用されている。このため、ルーティングシステムは、複数の入力ポート(外部入力ポート)15、複数の出力ポート(外部出力ポート)16を備え、更に、入力及び出力ポート15及び16間には、ATMスイッチネットワーク21を備えている。ATMスイッチネットワーク21は、スイッチ回路22及びバッファ23を有し、スイッチ回路22はスイッチ制御部27によって制御されている。図示されたスイッチ制御部27はスイッチコントローラ31とカウンタ部32とによって構成されている。
【0003】より具体的に述べれば、スイッチ回路22はスイッチコントローラ31の制御の下に、内部入力及び内部出力ポートの間に、内部経路(パス)を形成する。このために、スイッチ回路22は複数ステージに分割された複数のスイッチユニットを有すると共に、入力或いは出力ポート等に対応して設けられたバッファ23とを備えている。この場合、バッファ23はランダムに到来するATMセルを保持し、特定の入力或いは出力ポートに対してATMセルが集中しても、輻輳が生じないようにしている。
【0004】更に、ルーティングシステムは入力ライン側に入力部25を備えると共に、出力ライン側に出力部26を備えている。図示された入力部25は、外部入力ポート15から与えられる入力セル(外部入力セル)を、そのまま第1の出力信号01としてスイッチ回路22に出力すると共に、外部入力セルのヘッダを分離し、第2の出力信号02としてルーティングテーブル29に出力するヘッダー分離部を有している。ここで、ルーティングテーブル29には、スイッチネットワーク21の出力ポート番号(内部出力ポート番号)が各ヘッダーに対応して記憶されている。
【0005】いずれにしても、ルーティングシステムは、ATMセル間の衝突の確率ができるだけ小さくなるように、例えば、10-10 程度になるように、設計されている。しかしながら、このような場合でも、ATMセル間に、ATMセル間に衝突が生じると、バッファ23にオーバーフローが発生して、ATMセルが廃棄され、廃棄されたATMセルは出力ラインに伝送されないことになる。したがって、ATMセルの衝突を常に監視し、ATMセルの廃棄の発生原因を分析することが必要である。
【0006】ATMセルの衝突を検出するために、各バッファのオーバーフローの発生によって生じる廃棄セルの数を計数するカウンタ部32によって、各バッファ23をマイクロプロセッサ33によって監視することが行われている。この構成では、カウンタ32のカウント値を監視することによって、廃棄セルの数を検出することができる。
【0007】また、従来の他のルーティングシステムとして、それぞれ53バイトの長さを有する外部入力セルを入力部で多重化し、内部多重化セルを形成し、この内部多重化セルをATMスイッチネットワークの入力ポート(内部入力ポート)を介してスイッチ回路に与える形式のものがある。この場合、各内部多重化セルは出力部で複数の外部出力セルに分離され、出力ラインを介して送出されている。
【0008】このように、外部入力セルを多重化したシステムでは、内部多重化セルは外部入力セルより高速でスイッチ回路に供給されている。このため、スイッチ回路は高速で動作することが必要になるが、このような高速動作は通常のスイッチ回路では困難である。
【0009】このことを考慮して、スイッチ回路において、内部多重化セルの各セルをビット毎に並列に処理することも提案されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者のように、廃棄ATMセルをカウントするだけでは、廃棄セルに関連する外部入力ポート、出力ポート番号、VPI、VCI等のヘッダー情報を得ることは不可能である。したがって、廃棄ATMセルの発生原因を十分に分析することはできない。
【0011】また、後者のように、外部入力セルを多重化して並列処理を行うシステムでは、各外部入力セルが素数である53バイトによって構成されているため、ビット毎に並列処理に必要なスイッチユニットの数が極めて多くなり、実現は難しい状況にある。
【0012】一方、並列処理を行うスイッチユニット数を減少させるために、53バイトの外部入力セルの長さを54バイト、56バイト、或いは64バイトに変換し、変換されたセル(以下、変換セルと呼ぶ)を並列処理することも提案されている。このように、セルの長さを変換することにより、ハードウェア量を少なくすることができる。
【0013】ここで、上記したように、セルの長さを変換した場合、変換セル中に、空フィールドが生じる。通常、この空フィールドに、内部出力ポート番号、外部出力ポート番号等をルーティング情報として配置することも考えられている。しかしながら、スイッチ回路の規模が大きくなるにつれて、ルーティング情報の量も多くなるため、変換セルの長さがルーティング情報の量に依存して決定されてしまうという欠点がある。したがって、この構成では、スイッチネットワークの規模の拡大或いは変更に対処できないという欠点がある。
【0014】上記したように、従来のルーティングシステムでは、廃棄セルを分析するため或いは、ルーティング情報信号を伝送するために、各外部入力セルが有効に処理されているとは言えない。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は各セルを有効に処理できるルーティングシステムを提供することである。
【0016】本発明の他の目的は各バッファにオーバーフローが発生した場合、廃棄セルの分析を正確に行うことができるルーティングシステムを提供することである。
【0017】本発明の更に他の目的はハードウェアを増加させることなく、スイッチネットワークの規模の拡大等に容易に対処できるルーティングシステムを提供することである。
【0018】本発明の適用されるルーティングシステムは、複数の外部入力ポートと複数の外部出力ポートとを接続するために使用され、複数の内部入力ポート、複数の内部出力ポート、及び内部入力ポートと内部出力ポートとの間に設けられたスイッチ回路と、外部入力ポートと内部入力ポートの間に設けられた入力部と、内部出力ポートと外部出力ポートのと間に設けられた出力部と、前記入力部及びスイッチ回路に結合され、前記内部入力ポートと前記内部出力ポートとの間に内部経路を形成するために、前記スイッチ回路を制御する制御部とを有し、且つ、前記各外部入力ポートには、ヘッダーを含む外部入力セルが順次与えられ、前記外部入力ポート及び外部出力ポートには、外部入力ポート番号及び外部出力ポート番号が割り当てられており、他方、前記内部入力ポート及び内部出力ポートには、内部入力ポート番号及び内部出力ポート番号が割り当てられた構成を有している。
【0019】ここで、本発明に係る前記入力部は、前記各外部入力ポートと前記各外部出力ポートとの間に設けられ、前記外部入力セルに応答して、前記外部入力ポート及び内部入力ポートのいずれかに関連した入力ポート番号信号を生成する一方、前記内部出力ポート番号の一つをあらわす出力ポート番号信号を生成するポート番号生成部と、前記各外部入力セル、前記入力ポート番号信号、及び前記出力ポート番号信号に応答して、前記各外部入力セルを前記スイッチ回路に送出すると共に、前記ヘッダーを前記入力ポート番号及び出力ポート番号を前記制御部にそれぞれ供給する信号供給手段を有している。一方、前記制御部は、前記ヘッダー及び前記出力ポート番号信号を受け、前記スイッチ回路を前記ヘッダー及び前記出力ポート番号信号に基づいて制御し、前記内部経路を形成するためのスイッチ制御手段と、出力ポート番号信号及び前記入力ポート番号信号の少なくとも一方と、前記ヘッダーとを受け、前記出力ポート番号信号及び前記入力ポート番号信号の少なくとも一方を使用して、前記ヘッダーを処理し、前記各外部入力ポートを分析する処理手段を有している。
【0020】また、本発明の他の態様に係るルーティングシステムの入力部は、前記外部入力ポートに結合され、前記外部入力セルのセルフォーマットをルーティング情報信号用のルーティング情報フィールド、前記ペイロードフィールド、及び前記ヘッダーフィールドを有する内部フォーマットに変換し、当該ルーティング情報フィールドを有する変換されたセルを生成する第1のフォーマット変換手段と、前記第1のフォーマット変換手段に結合され、前記外部入力ポート番号に関連した第1のポート番号を前記変換されたセルのルーティング情報フィールドに前記ルーティング情報として割り当て、前記ルーティング情報フィールドに前記第1の入力ポート番号を有する内部セルを生成するポート番号割当手段と、前記ポート番号割当手段に結合され、前記内部セルを、第1の入力ポート番号を含む多重化された入力セルを有する内部多重化セルシーケンスに多重化するセル多重化ユニットと、前記セル多重化ユニット及び前記内部入力ポートの一つに結合され、前記第1の入力ポート番号及び前記多重化された入力セルに基づき、前記内部出力ポート番号と、前記外部出力ポート番号に関連した第2のポート番号を生成すると共に、前記第1のポート番号を第2のポート番号によって順次置換し、置換された多重化セルを形成する番号生成手段と、前記スイッチネットワーク及び前記制御部に結合され、前記置換された多重化セル及び前記内部出力ポート番号を前記スイッチネットワーク及び前記制御部にそれぞれ伝送するための伝送手段とを備えている。この場合、前記制御部は、前記伝送手段と前記スイッチ回路に結合され、前記内部出力ポート番号に基づき、前記スイッチ回路を制御する手段を備えており、前記出力部は、前記内部出力ポート番号によって示された内部出力ポートに結合され、且つ、前記選択された第2のポート番号に基づいて前記置換された多重化セルを分離し、外部出力セルにする分離部、及び、前記外部出力セルを前記外部出力ポートに順次出力する出力手段とを有している。
【0021】
【実施例】図2を参照すると、本発明の第1の実施例に係るルーティングシステムは、入力部、制御部、及びマイクロプロセッサーが図1に示されたシステムと異なった動作を行う以外、図1に示されたシステムと同様である。この関係で、図2の入力部、制御部、及びマイクロプロセッサーはそれぞれ25a、27a、33aの参照符号によって示されている。図示された入力部25aには、外部入力ポート15を通して、外部入力セルが供給されている。各外部入力セルは53バイトからなり、それぞれヘッダーフィールド及びペイロードフィールドに配置された5バイトのヘッダーと48バイトのペイロードを伝送する。ヘッダーとしては、VPI或いはVCIが使用される。
【0022】ルーティングシステムは外部入力ポート15に接続されたフォーマット変換器36を有している。各フォーマット変換器36は53バイトの外部入力セルを例えば、56バイトの内部入力セルに変換するのに役立つ。この内部入力セルは、外部入力セルと同じヘッダー及びペイロードとを有している。このことからも明らかな通り、内部入力セルはフォーマット変換の結果として、2バイトの空フィールドを有し、各内部入力セルはフォーマット変換器36から入力ポート番号設定器37に与えられている。
【0023】図3をも併せ参照すると、入力ポート番号設定器37はフィールド抽出回路371と入力ポート番号発生器372とを有している。入力ポート番号発生器372は各外部入力ポート15に割り当てられた外部入力ポート番号を発生する。図示された外部入力セルは多重化されていないから、外部入力ポート番号はスイッチネットワーク21のスイッチ入力ポート、即ち、内部入力ポートと一致している。一方、フォーマット変換器36から内部入力セルが与えられるフィールド抽出回路371は、内部入力セルの空フィールドを検出する。空フィールドが検出されると、外部入力ポート番号が入力ポート番号発生器372から送出され、各内部入力セルの空フィールドにルーティング情報として配置される。この関係で、空フィールドはルーティング情報フィールドと呼ばれる。この様にして、外部入力ポート番号はヘッダーと共に、ヘッダー分離回路28aに送られる。
【0024】図2において、ヘッダー分離回路28aは内部入力セルを第1の出力信号O1として通過させる一方、内部入力セルからヘッダーフィールド及びルーティング情報フィールドを分離する。結果として、ヘッダー及び外部入力ポート番号はヘッダー分離回路28aにより分離され、第2の出力信号O2として、ルーティングテーブル29aに送出される。ルーティングテーブル29aには、各ヘッダー(VPI或いはVCI)に対応した出力ポート番号、即ち、スイッチ出力ポート番号(内部出力ポート番号)が記憶されている。このため、各ヘッダーに基づいて、スイッチ出力ポート番号(内部出力ポート番号)がルーティングテーブル29aから読み出され、ヘッダー及び外部入力ポート番号と共に、制御部27aに転送される。
【0025】制御部27aはスイッチコントローラー31aと廃棄セルメモリ40とを備えている。スイッチコントローラー31aには、スイッチ出力ポート番号、ヘッダー、及び外部入力ポート番号が与えられている。スイッチコントローラー31aはスイッチネットワーク21のバッファ23を制御し、スイッチ出力ポート番号に基づいて、ルーティング制御を行う。スイッチコントローラー31aは、公知の方法で、出力ポート毎に、バッファ23に書き込まれたセル数と読み出されたセル数の差、即ち、バッファ23に滞留しているセル数をカウンタでカウントすることにより管理している。具体的にいえば、カウンタのカウンタ値がバッファ23の中の該当出力ポートに割り当てられている容量(上限)に達した状態で、その出力ポートへルーティングされるセルが到着すると、スイッチコントローラー31aはバッファ23のオーバフローと認識し、そのセルの書き込みは行わない。即ち、スイッチコントローラー31aはバッファ23に対して書き込み制御信号を送出しない。このとき、スイッチコントローラー31aは、廃棄するセルのヘッダー及び外部入力ポート番号を入力されたルーティング情報から取り出し、廃棄セルメモリ40に書き込む。この場合、書き込まれたヘッダー及び外部入力ポート番号は廃棄セルに対応しており、これらは履歴情報信号として、廃棄メモリ40に格納される。監視用マイクロプロセッサ33aは履歴情報信号、即ち、ヘッダー及び外部入力ポート番号をバス34を介して廃棄セルメモリ40から読みだし、廃棄セルの履歴を解析する。
【0026】上記したように、ヘッダー及び外部入力ポート番号が廃棄セルメモリ40に履歴情報信号として転送される。このため、マイクロプロセッサ33aは廃棄セルに関する廃棄原因を容易に分析することができる。特に、ビットスライス形のATMスイッチ回路が使用された場合、廃棄の原因をビットスライスされたセルを再構成することなく、分析できる。
【0027】図4に示された本発明の第2の実施例に係るルーティングシステムは複数の外部入力セルを多重化している。図4において、ルーティングシステムはそれぞれ入力ライン及び出力ラインに接続された外部入力ポート15と外部出力ポート16とを有している。外部入力ポート15は図4に15a及び15bで示された複数の入力ポートグループに区分されており、また、外部出力ポートも、また、16a及び16bで示された複数の出力ポートグループに区分されている。以下、第1の入力ポートグループと呼ぶ入力ポートグループ15aには、15.52Mbpsのビットレートを有する外部入力セルが供給され、他方、第2の入力ポートグループと呼ぶ入力ポートグループ15bには、622.08Mbpsのビットレートの外部入力セルが与えられる。同様に、第1の出力ポートグループと呼ぶ外部出力ポートグループ16aには、15.52Mbpsの外部出力セルが供給され、第2の出力ポートグループと呼ぶ外部出力ポートグループ16bには、622.08Mbpsの外部出力セルが与えられる。図示された例では、第1及び第2の外部入力ポートグループの各外部入力セルは内部多重化入力セルに多重化されており、各内部多重化入力セルは2488.32Mbpsのビットレートを有している。
【0028】この関係で、第1の外部入力ポートグループ15aは#1乃至#16で示されているように、16の外部入力ポートからなり、他方、第2の外部入力ポートグループは#1乃至#4で示されているように、4つの外部入力ポートによって形成されている。同様に、第1の外部出力ポートグループ16aは#1乃至#16で示されているように、16の外部出力ポートからなり、また、第2の外部出力ポートグループ16bは#1乃至#4で示されているように、4つの外部出力ポートグループによって形成されている。
【0029】ここで、外部入力セルは伝送路信号として各外部入力ポート15に順次与えられるものとする。図4R>4において、各伝送路信号は図2の場合と同様な構成を有するフォーマット変換器36(ここでは、第1のフォーマット変換器と呼ぶ)に供給される。
【0030】図5において、各伝送路信号は図5(A)に示すように、SOH(セクションオーバヘッド)領域のようなオーバーヘッド領域、有効セル、及び空セルを含んでいる。各有効セル及び空セルはヘッダーを有し、図2を参照して説明されたように、外部入力セルを形成している。したがって、図5(B)のように、53バイトの外部入力セルは5バイトのヘッダーフィールドと48バイトのペイロードフィールドとを有している。
【0031】図4に示された第1のフォーマット変換器36は伝送路信号を受け、この伝送路信号を図5(C)に示すような内部信号に変換する。各内部信号は伝送路信号と同様に、有効セル及び空セルとを有している。更に、ルーティング情報フィール及びヘッダーフィールドとが有効セル及び空セルに付加され、内部入力セルが形成される。ルーティング情報フィールドについて後で詳細に説明する。ルーティング情報フィールドは、例えば、2バイト長を有している。その結果として、第1のフォーマット変換器36は図5(D)に示すような内部信号を順次出力する。
【0032】図6及び図4を参照すると、フォーマット変換器36はFIFOメモリ361、有効セル検出器362、書込制御部363、及び読出制御部364とを備えている。伝送路信号はFIF0メモリ361及び有効セル検出器362の双方に与えられている。有効セル検出器362では、有効セルだけが各セルの先頭を示すセル先頭信号CHに応答して順次検出される。具体的に述べると、セル先頭信号CH及び伝送路信号が供給されると、有効セル検出器362はセル先頭信号CHを参照して有効セルを一つづつ検出する。その結果、有効セル検出器362は各有効セルと同期し、且つ、有効セルの検出をあらわす有効セル検出信号を書込制御部363に送出する。
【0033】図示された書込制御部363には、伝送路信号のフレーム信号FM及び書込くロックWCが有効セル検出信号と共に供給されている。書込制御部363は有効セル検出信号、フレーム信号FM、及び書込クロックWCを参照して書込タイミング信号をFIFOメモリ361に出力する。この様にして、書込タイミング信号が各有効セルに同期して、書込制御部363からFIFOメモリ361に与えられる。結果として、FIFOメモリ361は書込制御部363の制御のもとに、各外部入力ポート15からのセルの内、有効セルのみを記憶セルとして格納する。記憶セルは順次FIFOメモリ361から読出制御部364の制御の下に、図5(D)に示すような内部信号として出力される。この場合、読出制御部364はルーティング情報フィールドが各有効セルの先頭部分に付加され、且つ、各記憶セルがそのセルに割り当てられた位相でFIFOメモリ361から読み出されるように、FIFOメモリを制御する。FIFOメモリ361中に、有効セルが存在していないときには、空セルがFIFOメモリ361から生成される。
【0034】このように、内部信号は各第1のフォーマット変換部36から、図2及び3を参照して説明された対応する入力ポート番号設定器37に供給され、外部入力ポート番号が各内部入力セルのルーティング情報フィールドに配置される。
【0035】図4に戻ると、第1及び第2の外部入力グループからの内部信号はセル多重化部41で多重化され、内部多重化入力セル列を形成する。内部多重化入力セル列はスイッチネットワーク21の内部入力ポート、即ち、スイッチ入力ポートにヘッダー変換器43を通して送出される。スイッチネットワーク21は図2にしめされたものと同様な構成を備え、内部入力ポートは高速入力ポートと呼ばれてもよい。
【0036】図7を図4と共に参照すると、各ヘッダー変換器43はヘッダー変換テーブル431、入力ポート番号検出器432、ヘッダー検出器433、及び再配列回路434とを備えている。図3、4、及び5に関連して述べられているように、内部多重化入力セルの各セルはヘッダーフィールド及びペイロードフィールドの他に、外部入力ポート番号用のルーティング情報フィールドとを有している。
【0037】図7において、内部多重化入力セルは入力ポート番号検出器432、ヘッダー検出器433、及び再配列回路434に与えられる。入力ポート番号検出器432は各内部多重化入力セルから外部入力ポートを検出し、検出された外部入力ポート番号をあらわすポート番号検出信号を生成する。一方、ヘッダー検出器433はVPI或いはVCIのようなヘッダーを検出し、検出されたヘッダーをあらわすヘッダー検出信号を出力する。ヘッダー検出信号とポート番号検出信号はアドレス信号としてヘッダー変換テーブル431に供給される。
【0038】図4に示されたスイッチネットワーク21は複数のスイッチ出力ポート、即ち、内部出力ポートを有し、各ポートには、内部出力ポート番号IOPが割り当てられており、且つ、セル分離部45がそれぞれ接続されている。各セル分離部45は複数の中間出力ポートを備え、これら中間出力ポートは第1及び第2の外部出力ポートグループ16a及び16bに区分されている。各中間出力ポートには、それぞれ中間出力ポート番号IMが割り当てられており、且つ、第2のフォーマット変換器37に接続されている。
【0039】図7において、ヘッダー変換テーブル431はスイッチネットワーク21の内部出力ポート番号IOPを記憶するための第1の領域A1、中間出力ポート番号を記憶するための第2の領域A2、及び、VPIまたはVCIのようなヘッダーを記憶するための第3の領域A3とを有している。ヘッダー検出信号及びポート番号検出信号がアドレス信号としてヘッダー変換テーブル431に与えられると、一組の内部出力ポート番号、中間出力ポート番号IM、及びヘッダーがアドレス信号によって指示されたヘッダー変換テーブル431のアドレスから同時的に読み出される。
【0040】内部出力ポート番号IOPは読出出力ポート番号として制御部27bに送出され、他方、中間出力ポート番号IM及びヘッダーは読出中間出力ポート番号及び読出ヘッダーとして再配列回路434に送出される。再配列回路434は各内部多重化入力セルの外部入力ポート番号及びヘッダーを読出中間出力ポート番号及び読出ヘッダーによって置き換える。読出中間出力ポート番号及び読出ヘッダーはそれぞれルーティング情報フィールド及びヘッダーフィールドに配置され、スイッチネットワーク21に供給される。
【0041】上記したように、外部入力ポート番号を読出中間出力ポート番号によって置き換えることにより、ルーティング情報フィールドの拡大を防止することができ、また、ルーティング情報信号量を最小にすることができる。更に、読出出力ポート番号は信号線を介して制御部27bに送出される。
【0042】図8を図4と共に参照すると、制御部27bはヘッダー変換器43に接続された複数の出力ポート抽出回路271と、各出力ポート抽出回路271に接続された複数の比較器272とを有している。ここで、制御部27bは第1乃至第Nの出力ポート抽出回路271−1乃至271−Nを第1乃至第Nの比較器272−1乃至272−Nと共に有していると仮定しても一般性は失われることはない。第1乃至第Nの出力ポート抽出回路271−1乃至271−Nは読出出力ポート番号を抽出し、抽出された出力ポート番号は順次第1乃至第Nの比較器272−1乃至272−Nに供給される。第1乃至第Nの比較器272−1乃至272−Nには、スイッチネットワーク21のスイッチ出力ポートに対応した第1乃至第Nの物理ポート番号が与えられているから、抽出された出力ポート番号は比較器272−1乃至272−Nにおいてそれぞれ物理ポート番号と比較される。比較の結果、一致が検出されると、第1乃至第Nのスイッチ制御信号SW1乃至SWNが各比較器272−1乃至272−Nからスイッチネットワーク21に送出される。
【0043】置換された、即ち、読出出力ポート番号を有する内部多重化入力セルはスイッチ制御信号SW1乃至SWNにしたがって、スイッチ出力ポートIOPに内部多重化出力セルとして送り出され、図4のセル分離部45に供給される。セル分離部45は内部多重化出力セルを中間出力ポート番号IMに基づいて内部出力セルに分離する。内部出力セルは第2のフォーマット変換器47を介してそれぞれ外部出力ポート16a及び16bに与えられる。
【0044】図9を図4と共に参照すると、第2のフォーマット変換器47は内部出力セルを伝送路出力セルに変換するために使用される。図示された伝送路出力セルは外部入力ポート15a及び15bを通して入力されている伝送路入力セルと同様なビットレートを有しているものとする。この場合、第2のフォーマット変換器47は図6と同様に、FIFOメモリ471、有効セル検出器472、書込制御部473、及び読出制御部474とを備えている。
【0045】図9において、中間出力セルは順次FIFOメモリ471及び有効セル検出器472に与えられる。有効セル検出器472は各セルの先頭をあらわすセル先頭信号を受け、中間出力セルの各ヘッダーフィールドをチェックし、有効セルを検出する。有効セルが検出されると、有効セル検出器472は有効セルの検出をあらわす有効セル検出信号を生成する。この有効セル検出信号は書込クロック列に応答して動作する書込制御部473に送られる。書込制御部473は書込タイミング信号をFIFO471に有効セルに同期して供給する。その結果、有効セルは順次FIFO471に格納される。この場合、書込制御部473は、有効セルに先行するルーティング情報フィールドがFIFO471に書き込まれないように制御する。
【0046】有効セルがFIFO471に書き込まれると、読出制御部474は読出クロックRC及び伝送路のフレーム信号にしたがって、読出制御を行う。より具体的に述べると、有効セルは伝送路フレーム信号FMの位相にしたがって、順次、FIFO471から読み出される。このような読出動作はオーバーヘッド領域以外で行われる。もし、FIFO471に有効セルが記憶されていない場合には、空セルが伝送される。
【0047】図4に示された実施例においても、外部入力ポート番号がルーティング情報フィールドに配置され、中間出力ポート番号に置き換えられている。このため、ルーティング情報量が多くなっても、ルーティング情報フィールドを拡大する必要がなく、したがって、ハードウェア量を少なくすることができる。加えて、中間出力ポート番号が外部出力ポート番号と同じ時には、外部出力ポート番号かルーティング情報フィールドに位置付けられても良い。
【0048】
【発明の効果】以上述べたように、本発明では、入力側ポート番号を入力側セルのルーティング情報フィールドに配置することにより、スイッチネットワークのバッファにオーバーフローが発生した場合、この入力側ポート番号を用いて廃棄セルの分析を容易に行うことができると共に、入力側ポート番号を出力側ポート番号に置き換えることにより、ルーティング情報フィールドを拡大することなく、ルーティングシステムの拡大、変更等に容易に対処することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のルーティングシステムの一例を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施例に係るルーティングシステムを説明するためのブロック図である。
【図3】図2に示されたルーティングシステムに使用される入力ポート番号設定器の一例を示すブロック図である。
【図4】本発明の第2の実施例に係るルーティングシステムを説明するためのブロック図である。
【図5】図4のルーティングシステムにおいて使用されるフォーマットを説明するための図である。
【図6】図4のルーティングシステムにおいて使用されるフォーマット変換器を説明するためのブロック図である。
【図7】本発明の第2の実施例で使用されるヘッダー変換部を説明するためのブロック図である。
【図8】本発明の第2の実施例に係る制御部を説明するためのブロック図である。
【図9】本発明の第2の実施例に係るフォーマット変換器を説明するためのブロック図である。
【符号の説明】
15、外部入力ポート
16、外部出力ポート
21、スイッチネットワーク
22、スイッチ回路
23、バッファ
25a、入力部
26、出力部
28a、ヘッダー分離回路
29a、ルーティングテーブル
27a、制御部
31a、スイッチコントローラ
36、フォーマット変換器
37、入力ポート番号設定器
40、廃棄セルメモリ
33a、マイクロプロセッサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】複数の外部入力ポートと複数の外部出力ポートとを接続するために使用されるルーティングシステムにおいて、前記ルーティングシステムは、複数の内部入力ポート、複数の内部出力ポート、及び内部入力ポートと内部出力ポートとの間に設けられたスイッチ回路と、外部入力ポートと内部入力ポートの間に設けられた入力部と、内部出力ポートと外部出力ポートのと間に設けられた出力部と、前記入力部及びスイッチ回路に結合され、前記内部入力ポートと前記内部出力ポートとの間に内部経路を形成するために、前記スイッチ回路を制御する制御部とを有し、且つ、前記各外部入力ポートには、ヘッダーを含む外部入力セルが順次与えられ、前記外部入力ポート及び外部出力ポートには、外部入力ポート番号及び外部出力ポート番号が割り当てられており、他方、前記内部入力ポート及び内部出力ポートには、内部入力ポート番号及び内部出力ポート番号が割り当てられた構成を有し、前記入力部は、前記各外部入力ポートと前記各外部出力ポートとの間に設けられ、前記外部入力セルに応答して、前記外部入力ポート及び内部入力ポートのいずれかに関連した入力ポート番号信号を生成する一方、前記内部出力ポート番号の一つをあらわす出力ポート番号信号を生成するポート番号生成部と、前記各外部入力セル、前記入力ポート番号信号、及び前記出力ポート番号信号に応答して、前記各外部入力セルを前記スイッチ回路に送出すると共に、前記ヘッダーを前記入力ポート番号及び出力ポート番号を前記制御部にそれぞれ供給する信号供給手段を有し、前記制御部は、前記ヘッダー及び前記出力ポート番号信号を受け、前記スイッチ回路を前記ヘッダー及び前記出力ポート番号信号に基づいて制御し、前記内部経路を形成するためのスイッチ制御手段と、出力ポート番号信号及び前記入力ポート番号信号の少なくとも一方と、前記ヘッダーとを受け、前記出力ポート番号信号及び前記入力ポート番号信号の少なくとも一方を使用して、前記ヘッダーを処理し、前記各外部入力ポートを分析する処理手段を有することを特徴とするルーティングシステム。
【請求項2】請求項1に記載されたルーティングシステムにおいて、前記ヘッダーはVPI及びVCIの少なくとも一方によって形成されていることを特徴とするルーティングシステム。
【請求項3】請求項1に記載されたルーティングシステムにおいて、前記処理手段は、前記信号供給手段に結合されて、前記入力ポート番号信号及びヘッダーを記憶し、記憶された入力番号信号及びヘッダーを生成する記憶手段と、前記記憶手段に結合され、記憶された入力番号信号及びヘッダーに基づいて、各外部入力セルの履歴を分析するための手段を有することを特徴とするルーティングシステム。
【請求項4】複数の外部入力ポートと複数の外部出力ポートとを接続するために使用されるルーティングシステムにおいて、前記ルーティングシステムは、複数の内部入力ポート、複数の内部出力ポート、及び内部入力ポートと内部出力ポートとの間に設けられたスイッチ回路と、外部入力ポートと内部入力ポートの間に設けられた入力部と、内部出力ポートと外部出力ポートのと間に設けられた出力部と、前記入力部及びスイッチ回路に結合され、前記内部入力ポートと前記内部出力ポートとの間に内部経路を形成するために、前記スイッチ回路を制御する制御部とを有し、且つ、前記各外部入力ポートには、ペイロードフィールド及びヘッダー用のヘッダーフィールドを有するセルフォーマットを備えた外部入力セルが順次与えられ、前記外部入力ポート及び外部出力ポートには、外部入力ポート番号及び外部出力ポート番号が割り当てられており、他方、前記内部入力ポート及び内部出力ポートには、内部入力ポート番号及び内部出力ポート番号が割り当てられた構成を有し、前記入力部は、前記外部入力ポートに結合され、前記外部入力セルのセルフォーマットをルーティング情報信号用のルーティング情報フィールド、前記ペイロードフィールドの、及び前記ヘッダーフィールドを有する内部フォーマットに変換し、当該ルーティング情報フィールドを有する変換されたセルを生成する第1のフォーマット変換手段と、前記第1のフォーマット変換手段に結合され、前記外部入力ポート番号に関連した第1のポート番号を前記変換されたセルのルーティング情報フィールドに前記ルーティング情報として割り当て、前記ルーティング情報フィールドに前記第1の入力ポート番号を有する内部セルを生成するポート番号割当手段と、前記ポート番号割当手段に結合され、前記内部セルを、第1の入力ポート番号を含む多重化された入力セルを有する内部多重化セルシーケンスに多重化するセル多重化ユニットと、前記セル多重化ユニット及び前記内部入力ポートの一つに結合され、前記第1の入力ポート番号及び前記多重化された入力セルに基づき、前記内部出力ポート番号と、前記外部出力ポート番号に関連した第2のポート番号を生成すると共に、前記第1のポート番号を第2のポート番号によって順次置換し、置換された多重化セルを形成する番号生成手段と、前記スイッチネットワーク及び前記制御部に結合され、前記置換された多重化セル及び前記内部出力ポート番号を前記スイッチネットワーク及び前記制御部にそれぞれ伝送するための伝送手段とを備え、他方、前記制御部は、前記伝送手段と前記スイッチ回路に結合され、前記内部出力ポート番号に基づき、前記スイッチ回路を制御する手段を備えており、また、前記出力部は、前記内部出力ポート番号によって示された内部出力ポートに結合され、且つ、前記選択された第2のポート番号に基づいて前記置換された多重化セルを分離し、外部出力セルにする分離部、及び、前記外部出力セルを前記外部出力ポートに順次出力する出力手段とを有していることを特徴とするルーティングシステム。
【請求項5】請求項4に記載されたルーティングシステムにおいて、前記セル多重化ユニットは前記外部入力ポートに対して前記ポート番号割当手段を介して接続され、中間入力ポート番号が与えられた中間入力ポートを有し、前記ポート番号割当手段は、前記第1のポート番号として、前記中間入力ポート番号を前記内部セルに割り当てることを特徴とするルーティングシステム。
【請求項6】 請求項5に記載されたルーティングシステムにおいて、前記分離手段は前記出力手段を介して前記外部出力ポートに接続され、且つ、中間力ポート番号が割当られた中間出力ポートを備え、前記番号生成手段は、前記第2のポート番号として、前記中間出力ポート番号を与えることを特徴とするルーティングシステム。
【請求項7】請求項4に記載されたルーティングシステムにおいて、前記ポート番号割当手段は、前記第1のポート番号として、前記外部入力ポート番号を前記内部セルに割り当てることを特徴とするルーティングシステム。
【請求項8】請求項7に記載されたルーティングシステムにおいて、前記番号生成手段は、前記第2のポート番号として、前記外部出力ポート番号を与えることを特徴とするルーティングシステム。

【図3】
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【図1】
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【図2】
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【図8】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【特許番号】第2737760号
【登録日】平成10年(1998)1月16日
【発行日】平成10年(1998)4月8日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−187920
【出願日】平成3年(1991)7月26日
【公開番号】特開平5−153151
【公開日】平成5年(1993)6月18日
【審査請求日】平成7年(1995)5月30日
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【参考文献】
【文献】特開 平2−113750(JP,A)
【文献】特開 平2−179141(JP,A)
【文献】特開 平2−137542(JP,A)