説明

ルーバーを利用した借景システム

【課題】鏡面をルーバー状に並べたインテリアに景色を反射させ、建物内部に景色を取り込む。
【解決手段】鏡面をルーバー状に並べる。個々のルーバーは、片側もしくは両側の一部、もしくは全部が鏡面となる。個々の鏡面はルーバーの角度に応じて景色を反射させ、個々の鏡面に映し出される景色が連続して並ぶことにより、ルーバー状の鏡面全体で一つの景色と認識できる映像を得られる。また、片側のみ鏡面としたルーバーが並んでいれば、鏡面でない側からの視線は遮られ、プライバシーが確保される。また、ブラインドのように窓面に設置される場合、鏡面は窓の上方、もしくは下方の景色を映し出すことになるため、室内のいずれの場所からも窓辺の景色を得られる環境となる。平滑で一体の大きな面積の鏡面部分が必要であった借景の手法は、鏡面をルーバー状に並べるためコンパクトなものとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインテリア・エクステリアでのルーバーに関わる。
【背景技術】
【0002】
古来より日本では、窓からの景色を借景と呼ばれる方法で楽しむ文化があったが、現在では、街は都市化し、密集した建築郡のため隣棟建物の壁が窓の景色となった。また、任意の景色を見るために窓の位置を決定していた借景は、鏡面化させた天井や床面、時には机などのインテリアに景色を反射させ、建物内部に景色を取り込む手法へと変化している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
都市が過密化すると同時に、プライバシーを確保するため、ブラインドやカーテンが普及したが、いずれの場合も視線を遮断するため、景色を楽しむための余地が無くなりつつある。また、建物内部に景色を取り込むためには、平滑で一体の大きな面積の鏡面部分が必要となるため、土地が高価なうえ、取り込む景色が限られている都市部では効果的な手法ではなかった。また、調光を目的としたブラインドは、光を効率的に取り入れるといった機能性から、景色を取り入れるという概念での工夫がなされていなかった。
【課題が解決するための手段】
【0004】
鏡面をルーバー状に並べる。個々のルーバーは、片側もしくは両側の一部、もしくは全部が鏡面となる。個々の鏡面はルーバーの角度に応じて景色を反射させ、個々の鏡面に映し出される景色が連続して並ぶことにより、ルーバー状の鏡面全体で一つの景色と認識できる映像を映し出す。片側のみ鏡面としたルーバーが並んでいる場合は、鏡面でない側からの視線が遮られプライバシーが確保される。また、ブラインドのように窓面に設置される場合、鏡面は窓の上方、もしくは下方の景色を映し出すことになり、室内のいずれの場所からも窓辺の景色を得られる環境となる。そして、平滑で一体の大きな面積の鏡面部分が必要であった借景の手法が、鏡面をルーバー状に並べるためコンパクトなものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
図1の説明は以下の通り。
ルーバー上面3を平滑な鏡面とする。1の視線が角度Bでルーバー上面3において反射し、景色5の一部分を捕らえる。全てのルーバーが角度Aであっても視線の反射角度Bはそれぞれの鏡面と目の位置により変化する。そのため、個々の鏡面が景色5の一部分を連続して映し出すこととなり、1は一つの景色と認識できる映像6を獲得する。1はルーバー角度Aを調整することにより視線反射角度Bを調整し、写し出す景色5を決定する。また、2からの視線はルーバー下面4を捕らえるため、視線は遮られ、1のプライバシーは確保される。
【0006】
図1ではルーバー上面3を鏡面で統一したが、図2では、ルーバー下面8を鏡面として統一する。1の視線が角度Dでルーバー下面8に反射し、景色10の一部分を捕らえる。全てのルーバーが角度Cであっても、視線の反射角度Dはそれぞれの鏡面と、目の位置により変化する。そのため、個々の鏡面が景色10の一部分を連続して映し出すこととなり、7は一つの景色と認識できる映像11を獲得する。7はルーバー角度Cを調整することにより、視線反射角度Dを調整し、写し出す景色10を決定する。
【0007】
図1、図2では、鏡面が反射する視線の先を、ルーバーを挟んだ向こう側としていたが、図3でのルーバー角度では、12側の景色に視線が反射する。すなわち、12のルーバーの向こう側に建物や壁面など障害物となるものがある場合でも、12は景色13を獲得できる。
【0008】
図4の14は、図1〜図3のいずれの場合であっても、ルーバー角度を、個別に任意の角度とする事で、任意の景色15を個々の鏡面で同様に映し出す、または、映し出す範囲を限定して、部分的に獲得するといった操作ができる。
【0009】
図5は図の通り、個々のルーバーの長辺を分割し、それぞれの部分が独自の角度を得られる事により、様々な景色の投影装飾効果を生み出す。
【0010】
図1〜図5では、ルーバーそのものが不透明である前提であり、鏡面を用いていたが、図6ではルーバーを透明、もしくは半透明素材として光幕反射・反射グレアといった自然現象を利用して景色を獲得する。(光幕反射とは、透明で平滑な面に対し、角度Eが90度から0度に近づくにつれ、Eの角度に対する視線の反射量は多くなり、透過率が減少するという自然現象であり、反射グレアは、ガラス面を見た時に、暗い部分に明るい映像が反射して写し出されるという、明度差から発生する自然現象である。)ルーバーが透明素材であれば、視線は反射せず、そのままルーバーを通過する事になるが、ルーバーを平滑な面として角度Eを与える事で、視線は光幕反射現象により反射するため、映像17は視線反射先の景色を獲得する。また、通常であれば映像18の範囲は、上部ルーバーにより景色が遮られるが、周囲の環境により反射グレアが発生し、上部ルーバーを透過した景色を得られる。しかし、ルーバーが透明素材であるため隠蔽を目的とした装置とはならず、防犯や装飾目的のものとなる。ルーバーの視線反射側に、熱線反射フィルター、熱線吸収フィルター、マジックミラー等の半透明フィルターを貼ることで反射率を高め、図6での現象(光幕反射・反射グレア)をより効果的なものとできる。
【0011】
上記説明文では、鉛直に配置したルーバーで説明しているが、本発明は、いかなる角度でルーバーが配置されても、同様の効果を得る事ができる。
【産業上の利用可能性】
本発明は、ブラインド、屋内・屋外ルーバー、天窓からの直射光を遮るため上部に設置するルーバー、ガラリ、防犯用格子や柵・塀、横繁手摺など様々な産業で利用できる。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明ではルーバー状に設置された鏡面部分に景色が反射され、景色を反射する鏡面が連続して集合していることで、一つの景色の投影と認識しうる効果を得ることができる。すなわち、その鏡面を設置した場所である、窓辺や外部の塀といった場所から、見上げたり、見下げた時に獲得できる景色を、ルーバー状に並べた鏡面で反射させ、離れた場所からでもその景色を獲得できることとなる。また、反対側からの視界を遮る構造ともでき、プライバシーが守られる環境ともできる。ルーバーを透明素材とする場合は、景色の映像効果をルーバー面全体で得られるが、隠蔽目的のルーバーとならない。
【図面の簡単な説明】
【図1】断面図1
【図2】断面図2
【図3】断面図3
【図4】断面図4
【図5】斜視図
【図6】断面図5
【符号の説明】
1は図1でのルーバー設置者
2は図1でのルーバー設置者とは無関係の他人を示す
3はルーバー上面(鏡面)
4はルーバー下面
5は上部景色
6は鏡面ルーバーにより獲得される映像
7は図2でのルーバー設置者
8はルーバー下面(鏡面)
9はルーバー上面
10は下部景色
11は図2による鏡面ルーバーにより獲得される映像
12は図3でのルーバー設置者
13は鏡面ルーバーにより獲得される景色範囲
14は図4でのルーバー設置者
15はルーバー設置者が獲得したい任意の景色範囲を示す
16は分割されたルーバー
17は景色を獲得できる範囲
18はルーバーが不透明であれば、上部のルーバーが写り込み、景色を獲得できない範囲。および、上部のルーバーが透明であれば景色が獲得できる範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルーバーの両側全て、もしくは両面の一部、を鏡面とすることで、個々の鏡面部分に景色が反射される。景色を反射するルーバーが連続して集合していることで、それらが一つの景色と認識しうる効果を得ることができる製品。
【請求項2】
ルーバーの片側全て、もしくは片側の一部を鏡面とし、請求項目1と同じ効果を得るもので、片側が鏡面でないことから、反対側からは視線が遮られ、プライバシーが守られる製品。
【請求項3】
請求項目1〜2のルーバーが透明な物質である場合に、鏡面処理をせずとも平滑な面とし、光幕反射、もしくは反射グレア、もしくは両方の自然現象を利用した、他の景色や映像を投影するための製品。
【請求項4】
請求項目3のルーバー片側、もしくは片側の一部に半透明処理(熱線反射、熱線吸収等、半透明のフィルター貼りや特殊処理)を施し、反射効果を強化する製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−192006(P2007−192006A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−53762(P2006−53762)
【出願日】平成18年1月16日(2006.1.16)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2005年6月22日 ホームページアドレス「http://www.hm6.aitai.ne.jp/〜expo2005/mono/」「http://www.expo2005−toyota.net/mono/entry2.html」
【出願人】(506069686)
【Fターム(参考)】