説明

ルーフドレイン

【課題】受皿部の底面部に対して防水塗料を塗布するときに、その底面部の所定の領域にまで的確に塗布して所定の塗布寸法を確保でき、またその塗膜の剥がれを長期に渡って防止して良好な防水性を得ることができる雨水排水用のルーフドレインを提供する。
【解決手段】露天のスラブ9のコーナー部に据え付けられる断面ほぼL形状の受皿部2を有し、スラブ9から受皿部2に渡って塗膜防水による防水層が施工される雨水排水用のルーフドレインにおいて、受皿部2は底面部4と直立部5とで断面ほぼL形状をなし、底面部4の表面には受皿部2の外縁から所定の距離だけ離れた位置に凹部8を形成し、塗膜防水を施工する際の防水塗料(ウレタン11)をスラブ9から凹部8内の位置にまで塗布してその防水塗料を凹部8内に充満させる。凹部8は受皿部2の外縁に沿うコ字状に延びるように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、雨水などを排水するためにコンクリート建屋の屋上面やベランダ、バルコニーなどの露天のスラブのコーナー部に据え付けられるルーフドレインに関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート建屋の屋上面やベランダ、バルコニーなどの露天のスラブのコーナー部には、雨水排水用のいわゆる横引きタイプのルールドレインが据え付けられる。この種のルーフドレインは、例えば特開2006−144377公報などに見られるように、断面ほぼL形状の受皿部と、この受皿部の背面に一体に形成された排水口部とを有し、受皿部から排水口部を通して雨水が排水される。
【0003】
受皿部は底面部と直立部とから断面ほぼL形状をなし、底面部がスラブの床部表面に沿い、直立部がスラブの側壁表面に沿うようにスラブのコーナー部に据え付けられる。そしてスラブの側壁を貫通して排水口部に排水管が接続され、この排水管を通して雨水が所定の廃棄部に廃棄される。
【0004】
スラブの表面には防水層が施工される。防水層としては、シート防水や塗膜防水があり、塗膜防水の場合には、スラブの全体からルーフドレインの受皿部の一部に渡ってウレタンなどの防水塗料が一様に塗布され、その塗膜によりスラブへの雨水の浸透が防止される。
【特許文献1】特開2006−144377公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
塗膜防水の場合、防水塗料はルーフドレインの受皿部の外縁からその内側の所定の寸法の領域にまで塗布することが必要である。ところが実際の施工に当っては、防水塗料を受皿部のどの辺の領域まで塗布すればよいかが分からず、往々にして塗布寸法が不足してしまうことがある。
【0006】
受皿部の直立部においては、塗布寸法が多少不足してもその部分が垂直面で雨水の流通がごく僅かであるから特に問題はないが、底面部においては雨水が多量に流通し、また滞留するため塗布寸法が不足すると、底面部と塗膜との間に雨水が浸透してスラブの表面にまで達してしまい、所定の防水性が得られなくなる恐れがある。
【0007】
また、防水塗料の塗膜は、一般に厚さが1〜2mm以下と薄く、このため受皿部の上に単に塗布しただけでは、経年変化などによりその塗膜の縁部が剥がれ、受皿部の底面部ではその塗膜の剥がれで雨水が浸透してスラブの表面にまで達し、所定の防水性が得られなくなる恐れがある。
【0008】
この発明はこのような点に着目してなされたもので、その目的とするところは、受皿部の底面部に対して防水塗料を塗布するときに、その底面部の所定の領域にまで的確に塗布して所定の塗布寸法を確保でき、またその塗膜の剥がれを長期に渡って防止して良好な防水性を得ることができるルーフドレインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、露天のスラブのコーナー部に据え付けられる断面ほぼL形状の受皿部を有し、前記スラブから前記受皿部に渡って塗膜防水による防水層が施工される雨水排水用のルーフドレインにおいて、前記受皿部は底面部と直立部とで断面ほぼL形状をなし、前記底面部の表面には受皿部の外縁から所定の距離だけ離れた位置に凹部が形成され、前記塗膜防水を施工する際の防水塗料がスラブから前記凹部内の位置にまで塗布されることを特徴としている。前記凹部は、受皿部の外縁に沿うコ字状に延びるように形成される。
【発明の効果】
【0010】
この発明のルーフドレインによれば、受皿部の底面部に対して防水塗料を塗布するときに、その底面部の所定の領域にまで的確に塗布して所定の塗布寸法を確保でき、またその塗膜の剥がれを長期に渡って防止して良好な防水性を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0012】
図1にはこの発明の一実施形態に係るルーフドレインの断面図を、図2には同じく平面図を、図3には同じく正面図を示してある。
【0013】
このルーフドレイン1は受皿部2を有し、この受皿部2の背面に一体に排水口部3が形成されている。受皿部2は底面部4と直立部5とから断面ほぼL形状をなし、排水口部3は円筒状をなし、受皿部2の内側が排水口部3に通じている。
【0014】
受皿部2は、外縁の堰堤部6と、その内側の窪み部7とからなり、堰堤部6から窪み部7に雨水が流れ込み、排水口部3を通して排水されるようになっている。受皿部2における底面部4の窪み部7の表面には、受皿部2の外縁から所定の距離だけ離れた位置に溝状の凹部8が形成されている。この凹部8は例えば断面がほぼ台形状をなし、受皿部2の外縁に沿うコ字状に屈曲して延びるように形成されている。図2においては、凹部8の領域を明確にするためにその領域に斜線を施してある。
【0015】
このルーフドレイン1は、図1に示すように、例えば建屋の屋上スラブ9のコーナー部に据え付けて使用される。この据え付けに当っては、受皿部2の底面部4の堰堤部6がスラブ9の床部表面9aと面一となり、受皿部2の直立部5の堰堤部6がスラブ9の側壁表面9bと面一となるように施工する。そして、排水口部3に排水管10をねじ込んで接続する。
【0016】
ルーフドレイン1の据え付け後には塗膜防水の施工を行なう。この施工に当っては、防水塗料として例えばウレタン11を用いる。この防水塗料としてのウレタン11は主剤と硬化剤とからなる2液性タイプで、その主剤と硬化剤とを混合攪拌してスラブ9の表面の全体からルーフドレイン1の受皿部2の所定の領域に渡って一様に塗布する。
【0017】
すなわち、受皿部2の底面部4においては、図1に示すように受皿部2の外縁から凹部8に達するLの寸法部分にまでウレタン11を塗布し、その凹部8内にウレタン11を充満させる。受皿部2の直立部5においても受皿部2の外縁からその内側に達する部分にまでウレタン11を塗布する。
【0018】
このように、スラブ9からルーフドレイン1の一部に渡ってウレタン11を塗布した後には、自然乾燥によりウレタン11を硬化させる。そしてその硬化したウレタン11の塗膜が防水層となる。なお、防止層の施工後には、受皿部2の前面に例えばL形に屈曲する目皿状のストレーナ(図示せず)を取り付ける。
【0019】
ウレタン11をルーフドレイン1の上に塗布する実際の作業の際には、底面部4に凹部8が形成されているからその凹部8を目印としてウレタン11を塗布すべき領域を明確に判断でき、したがって所要の塗布寸法Lを確保して塗布することができる。
【0020】
このため、特に雨水の流通量が多く、また滞留しやすい受皿部2の底面部4における防水性を良好に保持することができる。そして、ウレタン11による塗膜の縁は凹部8に充満した部分となるが、この部分ではウレタン11が凹部8内に食い込んで強固に接着する状態にある。つまり、ウレタン11が凹部8に充満することでその接触面積が増し、その分接着力が高まる。このため塗膜の縁の剥がれを長期に渡って防止でき、その剥がれによる防水効果の低下を抑えて高い防水性を得ることができる。
【0021】
なお、塗膜防水に用いる防水塗料としては、ウレタンを用いる場合のほか、例えばアクリル系防水塗料、ゴムアスファルト系防水塗料、アクリルエマルション防水塗料などを用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の一実施形態に係るルーフドレインの断面図。
【図2】同じく平面図。
【図3】同じく一部破断の正面図。
【符号の説明】
【0023】
1…ルーフドレイン
2…受皿部
3…排水口部
4…底面部
5…直立部
6…堰堤部
7…窪み部
8…凹部
9…スラブ
9a…床部表面
9b…側壁表面
10…排水管
11…ウレタン(防水塗料)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
露天のスラブのコーナー部に据え付けられる断面ほぼL形状の受皿部を有し、前記スラブから前記受皿部に渡って塗膜防水による防水層が施工される雨水排水用のルーフドレインにおいて、
前記受皿部は底面部と直立部とで断面ほぼL形状をなし、前記底面部の表面には受皿部の外縁から所定の距離だけ離れた位置に凹部が形成され、前記塗膜防水を施工する際の防水塗料がスラブから前記凹部内の位置にまで塗布されることを特徴とするルーフドレイン。
【請求項2】
前記凹部は受皿部の外縁に沿うコ字状に延びるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のルーフドレイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−127764(P2008−127764A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−310550(P2006−310550)
【出願日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(000208651)第一機材株式会社 (18)