説明

ループアンテナ

【課題】電線及び電線接続部の整列が容易にできるとともに、薄型化を可能としたループアンテナを提供する。
【解決手段】ループアンテナ1は、アンテナ素子を構成する複数本の電線10と、絶縁性のハウジング20と、複数本の電線10を互いに直列に接続する第1端子30と、互いに直列に接続された複数本の電線10の両端がそれぞれ接続される1対の第2端子40とを備えている。第1端子30の電線接続部32及び第2端子40の電線接続部41が略平坦形状に形成される。複数本の電線10の先端部を第1端子30の電線接続部32に案内する案内溝23をハウジング20又は第1端子30に設け、互いに直列に接続された複数本の電線10の両端部を第2端子40の電線接続部41に案内する案内溝24をハウジング20又は第2端子40に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ループアンテナ、特に、RFID(Radio Frequency Identification)の送受信に用いられる巻線型のループアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
RFID等、無線によって信号をやりとりする機器(例えば、無線タグ等)にループアンテナが用いられている。
ループアンテナは、その構造によってFPC等を用いた平面型と巻線型とに大別される。
平面型のループアンテナが用いられる典型例としては、交通機関の乗車券等として用いられるICカードがある。
【0003】
一方、巻線型ループアンテナが用いられる典型例としては、その製造コストが安価である等の理由により、RFID機能を持つ携帯電話機等の電子機器に用いられている。
この巻線型ループアンテナとして、従来、例えば、図7に示すものが知られている(特許文献1参照)。
図7に示すループアンテナ101は、3重のループアンテナの各ループ素子を構成する3本の電線110(110a,110b,110c)と、RFID機能を持つ携帯電話機等の電子機器の筐体(図示せず)内部に実装される絶縁性のハウジング120とを備えている。また、ループアンテナ101は、それぞれ2本の電線10を互いに直列に接続する2つの第1圧接端子130と、電線10の一端に接続される1対の第2圧接端子140とを備えている。
【0004】
ここで、各第1圧接端子130は、ハウジング120に設けられた第1案内溝(図示せず)に圧入される第1圧接部131と、当該ハウジング120に設けられた第2案内溝(図示せず)に圧入される第2圧接部132と、第1圧接部131及び第2圧接部132をつなぐブリッジ部133とを備えている。第1圧接部131は、第1案内溝の底面に配置される底板(図示せず)と、底板から立ち上がる2対の圧接刃134とを備えている。また、第2圧接部132は、第2案内溝の底面に配置される底板(図示せず)と、底板から立ち上がる2対の圧接刃135とを備えている。
【0005】
そして、一方の第1圧接端子130(図7における上側の第1圧接端子)の第1圧接部131には、電線110cの他端部が圧接接続され、また、第2圧接部132には、電線110aの一端部が圧接接続される。また、他方の第1圧接端子130(図7における下側の第1圧接端子)の第1圧接部131には、電線110aの他端部が圧接接側され、また、第2圧接部132には、電線110bの一端部が圧接接続される。
【0006】
また、1対の第2圧接端子140のうち一方の第2圧接端子140は、前記第1案内溝に圧入される圧接部141と、外部端子部143とを備えている。また、他方の第2圧接端子140は、前記第2案内溝に圧入される圧接部141と、外部端子部143とを備えている。そして、各圧接部141は、底板(図示せず)と底板から立ち上がる2対の圧接刃142とを備えている。一方の第2圧接端子140の圧接部141には、電線110bの他端部が圧接接続され、他方の第2圧接端子140の圧接部141には、電線110cの一端部が圧接接続される。
この図7に示したループアンテナ101によれば、各電線110(110a,110b,110c)の先端を各案内溝の壁面に付き当てた状態で各圧接部に圧接接続するので、各電線の110のループ長のばらつきを小さくすることができる。
【0007】
また、巻線型ループアンテナの他の従来例として、図8に示すものも知られている(図8参照)。
図8に示すループアンテナ201は、図8(A)に示すように、3重のループアンテナの各ループ素子を構成する3本の電線210を備えている。各電線210は、図8(B)に示すように、導体211に樹脂212を被覆してなる。3本の電線210は、外被213で覆われて集合電線214を構成する。
【0008】
また、ループアンテナ201は、集合電線214の両端部において、各電線210の端部が電気的に接続される端子部221を一面の両端に備えた基板220を備えている。基板220の他面には、一端の端子部221に接続された電線210の一端と、他端の端子部221に接続された電線210の他端とを電気的に接続し、接続された電線210が一連をなし、かつ環状のコイルとなるような配線パターン(図示せず)が形成されている。なお、端子部221と各電線210の導体211とは、半田により接続することが好適とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−60519号公報
【特許文献2】特開2009−100188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、これら図7に示したループアンテナ101及び図8に示したループアンテナ201にあっては、以下の問題点があった。
即ち、図7に示したループアンテナ101の場合、第1圧接端子130及び第2圧接端子140といった圧接端子を利用しているため、薄型(例えば、1.45mm以下の高さ、この1.45mmは電線の外径に対応する高さ)にすることが困難である。巻線型ループアンテナを用いるRFID機能を持つ携帯電話機等の電子機器においては、近年、ループアンテナの薄型化の要請が多い。
【0011】
また、図8に示すループアンテナ201の場合、各電線210の導体211を端子部221に接続する際に、導体211を端子部221に整列させるのが容易ではなく、導体211の整列作業性に問題がある。
従って、本発明は、上述の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、電線及び電線接続部の整列が容易にできるとともに、薄型化を可能としたループアンテナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に係るループアンテナは、アンテナ素子を構成する複数本の電線と、絶縁性のハウジングと、該ハウジングに取り付けられ、前記複数本の電線を互いに直列に接続する第1端子と、前記ハウジングに取付けられ、互いに直列に接続された前記複数本の電線の両端がそれぞれ接続される1対の第2端子とを備えたループアンテナであって、前記第1端子の電線接続部及び前記第2端子の電線接続部が略平坦形状に形成されるともに、前記複数本の電線の先端部を前記第1端子の電線接続部に案内する案内溝を前記ハウジング又は前記第1端子に設け、互いに直列に接続された前記複数本の電線の両端部を前記第2端子の電線接続部に案内する案内溝を前記ハウジング又は前記第2端子に設けたことを特徴としている。ここで、「略平坦形状」とは、電線接続部に電線の芯線が載置された際に、電線接続部のいかなる部分も当該芯線の高さよりも低いことを意味するので、例えば若干湾曲した部分を有するものも含まれる。
【0013】
また、本発明のうち請求項2に係るループアンテナは、請求項1記載のループアンテナにおいて、前記複数本の電線の先端部は前記第1端子の電線接続部に半田接続、レーザ溶接接続、又は超音波融着接続されると共に、互いに直列に接続された前記複数本の電線の両端部は前記第2端子の電線接続部に半田接続、レーザ溶接接続、又は超音波融着接続されることを特徴としている。
また、本発明のうち請求項3に係るループアンテナは、請求項1又は2記載のループアンテナにおいて、前記ハウジングが、前記第1端子の電線接続部及び前記第2端子の電線接続部の周囲に壁を有することを特徴としている。
【0014】
また、本発明のうち請求項4に係るループアンテナは、請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載のループアンテナにおいて、前記ハウジングが、前記第2端子の外部端子部の周囲に、該外部端子部の表層部よりも高い壁部を有することを特徴としている。
更に、本発明のうち請求項5に係るループアンテナは、請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載のループアンテナにおいて、前記第2端子の外部端子部が、ばね端子部であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るループアンテナによれば、第1端子の電線接続部及び第2端子の電線接続部が略平坦形状に形成されるので、ループアンテナの薄型化を可能とすることができる。また、複数本の電線の先端部を第1端子の電線接続部に案内する案内溝をハウジング又は第1端子に設け、互いに直列に接続された複数本の電線の両端部を第2端子の電線接続部に案内する案内溝をハウジング又は第2端子に設けたので、電線を電線接続部に整列させるのを容易に行え、製造工程を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係るループアンテナの第1実施形態を示し、(A)は斜視図、(B)は(A)の矢印1B部分の拡大図である。
【図2】図1に示すループアンテナにおいて、電線接続部を接着剤で覆う前の状態を示し、(A)は斜視図、(B)は(A)の矢印2B部分の斜視図である。
【図3】図2に示す状態のループアンテナの平面図である。
【図4】本発明に係るループアンテナの第2実施形態を示し、(A)は電線接続部を接着剤で覆う前の状態の斜視図、(B)は(A)の矢印4B部分の拡大図である。
【図5】図4に示すループアンテナにおいて、マスキングテープを貼着した場合の断面図である。
【図6】本発明に係るループアンテナの第3実施形態を示し、(A)は斜視図、(B)は(A)の矢印6B部分の拡大図である。
【図7】従来例のループアンテナの平面図である。
【図8】従来の他の例のループアンテナを示し、(A)は平面図、(B)は(A)の8B−8B線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1乃至図3は本発明に係るループアンテナの第1実施形態を示している。
図1乃至図3に示すループアンテナ1は、RFID機能を有する携帯電話機に好適なループアンテナとして構成されている。
このループアンテナ1は、3重のループアンテナの各アンテナ素子を構成する3本の電線10(10a,10b,10c)と、RFID機能を有する携帯電話機の筐体(図示せず)の内部に実装される絶縁性のハウジング20とを備えている。また、ループアンテンナ1は、それぞれ2本の電線10を互いに直列に接続する2つの第1端子30と、電線10の一端に接続される1対の第2端子40とを備えている。
【0018】
各電線10は、図2(B)に示すように、芯線11の周囲に被覆12を設けてなり、芯線11は銅線等が用いられる。3本の電線10は、3重ループ状に互いに直列に接続され、3重のループアンテナを構成する。各電線10は、ループアンテナ1が使用される周波数に応じた長さに予め正確に備えられている。また、3本の電線10は、1本のケーブルとして構成されている。なお、3本の電線10として、ばらばらの電線10を用いてもよい。
【0019】
ハウジング20は、絶縁性の樹脂を成形することによって一体的に形成されている。ハウジング20は、図2(B)及び図3に示すように、2つの第1端子30と1対の第2端子40それぞれの電線接続部41とが配置される第1ハウジング部21と、1対の第2端子それぞれの外部端子部43が配置される第2ハウジング部22とを備えている。第1ハウジング部21及び第2ハウジング部22は、ほぼ同一の板厚でそれぞれ矩形形状に形成されている。
【0020】
2つの第1端子30は、図3に示すように、ハウジング20の第1ハウジング部21において、前側(図3における下側)と後側に互いに平行になるようにそれぞれ配置される。各第1端子30は、図2(B)及び図3に示すように、前後方向に直交する左右方向(図3における左右方向)に細長く延びる基部31と、基部31の左右両端に設けられた1対の電線接続部32とを備えている。各第1端子30は、銅合金等の金属板を打抜き加工することによって形成される。各第1端子30は、左右方向に細長い矩形形状板で、基部31と電線接続部32とが直線状に連続するように形成されている。各第1端子30は、ハウジング20の第1ハウジング部21にインサート成形することによって固定される。
【0021】
ここで、各第1端子30の電線接続部32は、表面が第1ハウジング部21から露出しており、略平坦形状に形成されている。ここで、「略平坦形状」とは、電線接続部32に電線10の芯線11が載置された際に、電線接続部32のいかなる部分も当該芯線11の高さよりも低いことを意味する。「略平坦形状」には、完全に平坦なもののみならず、若干湾曲した部分を有するものも含まれる。
【0022】
また、1対の第2端子40の各々は、図2(B)及び図3に示すように、左右方向に細長く延びる電線接続部41と、前後方向及び左右方向に幅広く延びた矩形形状の外部端子部43と、電線接続部41と外部端子部43とを連結する連結部42とを備えている。各第2端子40は、銅合金等の金属板を打抜き及び曲げ加工することによって形成される。1対の第2端子40は、それぞれの電線接続部41が第1ハウジング部21において前側の第1端子30よりも前側でかつ互いに左右方向に対向するように、それぞれの外部端子部43が第2ハウジング部22において互いに左右方向に対向するように配置される。各第2端子40は、第1ハウジング部21及び第2ハウジング部22にインサート成形することによって固定される。
各第2端子40の電線接続部41は、表面が第1ハウジング部21から露出しており、略平坦形状に形成されている。この「略平坦形状」の意味は、第1端子30の電線接続部32と同様である。
【0023】
そして、図2(B)及び図3に示すように、後側の第1端子30の左端側の電線接続部32には、電線10aの一端部が半田13により接続され、また、右端側の電線接続部32には、電線10cの他端部が半田13により接続される。また、前側の第1端子30の左端側の電線接続部32には、電線10bの一端部が半田13により接続され、右端側の電線接続部32には、電線10aの他端部が半田13により接続される。更に、1対の第2端子40のうち左側の第2端子40の電線接続部41には、電線10cの一端部が半田13により接続され、右側の第2端子40の電線接続部41には、電線10bの他端部が半田13により接続される。また、各第2端子40の外部端子部43は、相手基板の接点に押し付けられて電気的接続をなすようになっている。
【0024】
ここで、ハウジング20の第1ハウジング部21には、図2(B)及び図3に示すように、3本の電線10の先端部、即ち、電線10aの一端部及び他端部、電線10bの一端部、及び電線10cの他端部を第1端子30の電線接続部32に案内する4つの案内溝23が設けられている。4つの案内溝23は、後側第1端子30の左右両側の電線接続部32の左右外側及び前側第1端子30の左右両側の電線接続部の左右外側であって第1ハウジング部21の左右側縁から連続するように設けられる。各案内溝23は、第1ハウジング部21の表面から立ち上がる1対の側壁25a,25b間に形成される。各案内溝23の幅は、3本の電線10の芯線11の先端部がそれぞれ電線接続部32に半田接続される際に、各電線10の被覆12を前後両側から案内して当該先端部が各電線接続部32上に位置する幅に設定される。
【0025】
また、ハウジング20の第1ハウジング部21には、図2(B)及び図3に示すように、互いに直列に接続された2本の電線10の両端部、即ち、電線10cの一端部及び電線10bの他端部を第2端子40の電線接続部41に案内する2つ案内溝24が設けられている。2つの案内溝24は、1対の第2端子40の電線接続部41の左右両側であって第1ハウジング部21の左右側縁から連続するように設けられる。各案内溝24は、案内溝23と同様に、第1ハウジング部21の表面から立ち上がる1対の側壁25a,25b間に形成される。各案内溝24の幅は、互いに直列に接続された2本の電線10の芯線11の両端部がそれぞれ電線接続部41に半田接続される際に、各電線10の被覆12を前後両側から案内して当該両端部が各電線接続部41上に位置する幅に設定される。
【0026】
更に、ハウジング20の第1ハウジング部21には、4つの第1端子30の電線接続部32及び1対の第2端子40の電線接続部41の周囲を囲う壁26が設けられている。この壁26は、矩形形状に形成された第1ハウジング部21の表面外縁から立ちあがって矩形状をなしている。壁26には、4つの案内溝23及び2つの案内溝24と連通する切欠きが形成され、各電線10の被覆12が挿通できるようになっている。この壁26は、後述するように、第1ハウジング部21に接着剤50を塗布して各電線接続部32,41を覆うときに、接着剤50の外部端子部43への流れ込みを阻止する機能を有する。
【0027】
次に、ループアンテナ1の組立方法について説明する。
先ず、第1端子30及び第2端子40をハウジング20に取り付けた状態で、各電線10を半田接続するのに先立ち、第2ハウジング部22に配置されている各第2端子40の外部端子部43をマスキングテープ(図示せず)で覆う。これにより、各外部端子部43を保護し、半田接続時に半田フラックスが外部端子部43に飛び散るのを阻止する。
【0028】
次いで、図2(B)に示すように、後側の第1端子30の左端側の電線接続部32に、電線10aの一端部を半田13により接続し、また、右端側の電線接続部32に、電線10cの他端部を半田13により接続する。また、前側の第1端子30の左端側の電線接続部32に、電線10bの一端部を半田13により接続し、右端側の電線接続部32に、電線10aの他端部を半田13により接続する。更に、1対の第2端子40のうち左側の第2端子40の電線接続部41に、電線10cの一端部を半田13により接続し、右側の第2端子40の電線接続部41に、電線10bの他端部を半田13により接続する。これにより、3本の電線10(10a,10b,10c)が、3重ループ状に互いに直列に接続され、3重のループアンテナが構成される。
【0029】
ここで、電線10aの一端部及び他端部、電線10bの一端部、及び電線10cの他端部を第1端子30の電線接続部32に半田接続する際には、作業者は、各電線10(10a,10b,10c)の被覆12を各案内溝23に位置させる。このとき、各案内部23が、各電線10(10a,10b,10c)の被覆12を前後両側から案内して電線10aの一端部及び他端部、電線10bの一端部、及び電線10cの他端部を第1端子30の電線接続部32上に案内する。このため、3本の電線10(10a,10b,10c)の先端部を電線接続部32に整列させるのを容易に行うことができる。よって、各電線10(10a,10b,10c)の先端部の整列作業が簡易となり、製造工程を簡略化することができる。
【0030】
また、電線10cの一端部及び電線10bの他端部を第2端子40の電線接続部41に半田接続する際には、作業者は、各電線10(10b,10c)の被覆12を各案内溝24に位置させる。このとき、各案内部24が、各電線10(10b,10c)の被覆12を前後両側から案内して電線10cの一端部及び電線10bの他端部を第2端子40の電線接続部41上に案内する。このため、互いに直列に接続された3本の電線10(10a,10b,10c)の両端部を電線接続部41に整列させるのを容易に行うことができる。
【0031】
次に、図1(B)に示すように、第1ハウジング部21に自然硬化型接着剤あるいはUV硬化型接着剤等の接着剤50を塗布して各電線接続部32,41を覆う。これにより、各電線接続部32,41と各電線10の芯線11との接続部分を保護するとともに、各電線接続部32,41間の絶縁を確保する。
ここで、ハウジング20の第1ハウジング部21には、第1端子30の4つの電線接続部32及び1対の第2端子30の電線接続部41の周囲を囲う壁26が設けられている。このため、第1ハウジング部21に接着剤50を塗布して各電線接続部32,41を覆うときに、壁26により、接着剤50の外部端子部43への流れ込みが阻止される。よって、外部端子部43へ流れ込んだ接着剤50を除去する作業が不要となる。
以上の作業の後に、最後に、マスキングテープを除去する。これにより、ループアンテナ1が完成する。
【0032】
このように完成したループアンテナ1は、各外部端子部43が、携帯電話機の筐体内の回路基板に接続された相手端子部に接触した状態で、当該筐体内に実装される。
本実施形態におけるループアンテナ1においては、各第1端子30の電線接続部32及び各第2端子40の電線接続部41が略平坦形状に形成されるので、ループアンテナ1の薄型化、例えば1.45mm以下の高さを可能とすることができる。
【0033】
また、前述したように、3本の電線10の先端部を第1端子30の電線接続部32に案内する案内溝23をハウジング20に設け、互いに直列に接続された3本の電線10の両端部を第2端子40の電線接続部41に案内する案内溝24をハウジング20に設けた。このため、電線10を電線接続部32,41に整列させるのを容易に行え、製造工程を簡略化することができる。
【0034】
次に、本発明に係るループアンテナの第2実施形態を図4及び図5を参照して説明する。図4は、本発明に係るループアンテナの第2実施形態を示し、(A)は電線接続部を接着剤で覆う前の状態の斜視図、(B)は(A)の矢印4B部分の拡大図である。図5は、図4に示すループアンテナにおいて、マスキングテープを貼着した場合の断面図である。図4及び図5においては、図1乃至図3における構成部材と同一の構成部材については同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0035】
図4及び図5に示すループアンテナ1は、図1乃至図3に示すループアンテナ1と基本構成は同一である。しかし、図4及び図5に示すループアンテナ1は、ハウジング20の第2ハウジング部22に、1対の第2端子40の外部端子部43の周囲に外部端子部43の表層部よりも高い壁部27を設けた点で図1乃至図3に示すループアンテナ1と異なっている。
【0036】
即ち、図4及び図5に示すループアンテナ1において、矩形形状に形成された第2ハウジング部22の表面外縁に、外部端子部43の表層部よりも高くなるように該表面外縁から立ち上がる壁部27が設けられている。
この壁部27は、図5に示すように、各電線10の半田接続に先立ち、第2ハウジング部22に配置されている各第2端子40の外部端子部43をマスキングテープ60で覆う際に、壁部27の上面上にマスキングテープ60を貼着させるものである。
【0037】
この壁部27は、外部端子部43の表層部よりも高くなっているから、壁部27の上面上にマスキングテープ60を貼着すると、図5に示すように、外部端子部43とは離れた位置に貼着されることになる。このため、マスキングテープ60が外部端子部43に接触するのが防止され、外部端子部43上にマスキングテープ60の糊残りを防止することができる。
更に、本発明に係るループアンテナの第3実施形態を図6を参照して説明する。図6は、本発明に係るループアンテナの第3実施形態を示し、(A)は斜視図、(B)は(A)の矢印6B部分の拡大図である。図6においては、図1乃至図3における構成部材と同一の構成部材については同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0038】
図6に示すループアンテナ1は、図1乃至図3に示すループアンテナ1と基本構成は同一である。しかし、図6に示すループアンテナ1は、各第2端子40の外部端子部43の構造及び形状が図1乃至図3に示すループアンテナ1の外部端子部43と異なっている。
即ち、図6に示すループアンテナ1における第2端子部43は、第2ハウジング部22の上面上を延びる略矩形形状の基部43aと、基部43aの前端(図6(B)における下端)から湾曲するように折り返されたばね部43bとを備えている。基部43aは、連結部42から延びている。また、第2端子部43は、ばね部43bの先端から上方に延びて湾曲する接触部43cを備えている。接触部43cは、携帯電話機の筐体内の回路基板に接続された相手端子部に弾性的に接触する。また、第2端子部43は、接触部43cに予め荷重を負荷するプリロード付与部43dを備えている。
【0039】
このように、図6に示すループアンテナ1における第2端子部43は、ばね部43bを設けて接触部43cを弾性的に上下方向に変位可能とするよう構成され、ばね端子部となっている。これにより、携帯電話機の筐体内の回路基板に接続された相手端子部を弾性的に変位可能とする必要はなくなり、相手端子部の形状を弾性部を不要とした簡単な形状とすることができる。
【0040】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されず、種々の変更、改良を行うことができる。
例えば、ループアンテナ1では、3本の電線10a,10b,10cを用いて、3重のループアンテナを構成しているが、用いる電線10の数及びループアンテナの巻数は適宜増減することができる。用いる電線10の数は2本以上であればよい。この際に、用いる第1端子30の数は、用いる電線10の数よりも1つ少ない。
【0041】
また、3本の電線10の先端部を第1端子30の電線接続部32に案内する案内溝23を第1ハウジング部21に設けたが、当該案内溝23を第1端子30に設けてもよい。同様に、互いに直列に接続された3本の電線10の両端部を第2端子40の電線接続部41に案内する案内溝24を第1ハウジング部21に設けたが、当該案内溝24を第2端子40に設けても良い。
また、3本の電線10の芯線11の先端部は第1端子30の電線接続部32に半田接続されているが、半田接続以外の例えば、レーザ溶接接続、超音波融着接続であってもよい。互いに直列に接続された3本の電線10の両端部の電線接続部41に対する接続も同様である。
【0042】
また、第1端子30の電線接続部32及び第2端子40の電線接続部41の周囲に設けた壁26は、全ての電線接続部32及び電線接続部41の周囲を囲うように形成されているが、4つの電線接続32の各々及び2つの電線接続部41の各々を囲うように複数設けても良い。
さらに、外部端子部43の表層部よりも高い壁部27は、第2ハウジング部22の表面外縁に設ける必要は必ずしもなく、各外部端子部43を取り囲むように複数設けても良い。
【符号の説明】
【0043】
1 ループアンテナ
10(10a,10b,10c) 電線
20 ハウジング
23,24 案内溝
26 壁
27 壁部
30 第1端子
32 電線接続部
40 第2端子
41 電線接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ素子を構成する複数本の電線と、絶縁性のハウジングと、該ハウジングに取り付けられ、前記複数本の電線を互いに直列に接続する第1端子と、前記ハウジングに取付けられ、互いに直列に接続された前記複数本の電線の両端がそれぞれ接続される1対の第2端子とを備えたループアンテナであって、
前記第1端子の電線接続部及び前記第2端子の電線接続部が略平坦形状に形成されるともに、前記複数本の電線の先端部を前記第1端子の電線接続部に案内する案内溝を前記ハウジング又は前記第1端子に設け、互いに接続された前記複数本の電線の両端部を前記第2端子の電線接続部に案内する案内溝を前記ハウジング又は前記第2端子に設けたことを特徴とするループアンテナ。
【請求項2】
記複数本の電線の先端部は前記第1端子の電線接続部に半田接続、レーザ溶接接続、又は超音波融着接続されると共に、互いに接続された前記複数本の電線の両端部は前記第2端子の電線接続部に半田接続、レーザ溶接接続、又は超音波融着接続されることを特徴とする請求項1記載のループアンテナ。
【請求項3】
前記ハウジングが、前記第1端子の電線接続部及び前記第2端子の電線接続部の周囲に壁を有することを特徴とする請求項1又は2記載のループアンテナ。
【請求項4】
前記ハウジングが、前記第2端子の外部端子部の周囲に、該外部端子部の表層部よりも高い壁部を有することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載のループアンテナ。
【請求項5】
前記第2端子の外部端子部が、ばね端子部であることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載のループアンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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