説明

レインスポイラー

【課題】窓枠の下端部とボンネットの上端部との間にあるワイパーのための隙間を無くし、車体の形状を変えることなく、運転者が視界を見る窓ガラスの目線の範囲に、雨が付着しないように防御することにより、ワイパーの払拭回数を少なくする。
【解決手段】採光材1の前面に透明なレインスポイラー2を、車体の採光材1面に当接して設け、このレインスポイラー2の上端部は窓枠の上枠4に回動自在に取り付けられており、レインスポイラー2の下端部近傍に取り付けられた上下動装置11の作用によって、レインスポイラー2が下端側から開口されるように成されており、このレインスポイラー2が採光材1面に当接している時はレインスポイラー2面が、レインスポイラー2が開口している時には採光材1面が、ワイパー6、6により払拭される構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体、船体、機体(以下、車体と言う)の運転席の窓ガラスの視界を遮る雨、雪(以下、雨と言う)を防御し、ワイパーの払拭回数を減少させて、良好な視界を継続して見ることが出来るレインスポイラーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車体の運転席などの窓ガラスに付着した雨は、ワイパーで払拭している。ワイパーの動作は上下又は左右に動く往復動であり、雨が付着していないはっきりした視界は、間欠的にしか見ることは出来ない。そしてワイパーが雨を払拭する回数は、雨量に正比例するので、ワイパーの払拭回数が多い時は、運転者の目の前を横切るので目障りである。近年、窓ガラスに撥水加工をすることによって、高速走行中は雨を吹き飛ばすことが可能と成っている。撥水効果を継続させるためのワイパーグレードも使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−291786
【特許文献2】特開2002−211390
【特許文献3】特開平5−39002
【0004】
特開2003−291786は自動車の前面ガラスの下部にノズルを配置し、このノズルを上下動させながらガラス面に圧搾エアーを吹き付けて雨水を飛散させるものであるが、ノズルを取り付けた棒は視界を横切り、圧搾エアーを吹き付けた部分の雨水だけを飛散させることになるので、範囲は狭く視界を継続して見ることは出来ない。
【0005】
特開2002−211390は車両のボンネットとエンジンルームの隙間から吸入された空気を、フロントガラス前面に設けた噴射ノズルからガラス全面に噴射する構造であるが、噴射ノズル近傍の降雨、水滴しか除去することは出来ない。
【0006】
特開平5−39002はボンネット上にスポイラーを設け、圧縮空気と車両走行中の風圧を利用したものであるが、このエアーワイパーの取り付け位置からのエアーでは、ガラス全面の雪、水滴を除去することは出来ない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
窓枠の下端部とボンネットの上端部との間にあるワイパーのための隙間を無くし、車体の形状を変えることなく、運転者が視界を見る窓ガラスの目線の範囲に、雨が付着しないように防御することであり、ワイパーの払拭回数を少なくすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、採光材1の前面に透明なレインスポイラー2を、車体の採光材1面に当接して設け、このレインスポイラー2の上端部は窓枠の上枠4に回動自在に取り付けられており、レインスポイラー2の下端部近傍に取り付けられた上下動装置7、7・・・の作用によって、レインスポイラー2が下端側から開口されるように成されており、このレインスポイラー2が採光材1面に当接している時はレインスポイラー2面が、レインスポイラー2が開口している時には採光材1面が、ワイパー6、6により払拭される構成である。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、透明なレインスポイラー2の下端部の端面とボンネット8の後端部又は外板9の上端部の端面同士が、相接した状態で停止可能に成されているので、空気抵抗を減少させる。レインスポイラー2面及び採光材1面に雨、汚れが付着した場合、ワイパー6で払拭することができる。降雨中は、レインスポイラー2を開口して運転者の目線15の位置まで上昇させることによって雨を防御することができる。高速走行中は、レインスポイラー2の先端部を目線15より下方の位置に停止させ、レインスポイラー2面で雨を吹き飛ばし、運転者は透明なレインスポイラー2を通して前方の視野を見ることができる。豪雨の時は、レインスポイラー2の開口した空腔内に気体噴出口10から走行風以上の風圧の気体12を吹き込むことによって、採光材1面に雨が付着しないように防御することができる。よって、良い天気から豪雨に至るまで、採光材1に雨、汚れが付着しないように対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明1の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明1の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【図3】本発明1の実施の形態の一例を示す説明図である。
【図4】本発明1の実施の形態の一例を示す説明図である。
【図5】本発明1の実施の形態の一例を示す説明図である。
【図6】本発明1の実施の形態の一例を示す説明図である。
【図7】本発明1の実施の形態の一例を示す側面図である。
【図8】本発明1の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【図9】本発明1の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【図10】本発明1の実施の形態の一例を示す説明図である。
【図11】本発明2の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【図12】本発明3の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【図13】本発明4の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【図14】本発明4の実施の形態の一例を示す説明図である。
【図15】本発明5の実施の形態の一例を示す側面図、斜視図である。
【図16】本発明5の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【図17】本発明5の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
採光材1と略同一形状の透明なレインスポイラー2を、車体の採光材1面に相対して当接して設け、このレインスポイラー2の上端部は採光材1を嵌めている窓枠の上枠4に回動自在に取り付けられており、このレインスポイラー2の下端部近傍には、採光材1の両側枠5、5又は車体内に設けた一本又は複数本の上下動装置7、7・・・の先端が取り付けられていて、この上下動装置7、7・・・の作用によって、レインスポイラー2が下端側から開口されるように成されており、このレインスポイラー2が採光材1面に当接している時はレインスポイラー2面が、レインスポイラー2が開口している時には採光材1面が、ワイパー6、6により払拭されるように成されている。
【実施例1】
【0012】
そこで、本発明の請求項1記載のレインスポイラー(以下、本発明1と言う)は、車体、船体、機体(以下、車体と言う)の採光材1の前面に透明なレインスポイラー2を、車体の採光材1面に当接して設け、このレインスポイラー2の上端部は採光材1を嵌めている窓枠の上枠4に対し回動自在に取り付けられており、このレインスポイラー2の下端部近傍には、採光材1の両側枠5、5又は車体内に設けた一本又は複数本の上下動装置7、7・・・の先端が取り付けられていて、この上下動装置7、7・・・の作用によって、上記レインスポイラー2が下端側から開口されるように成されており、このレインスポイラー2が採光材1面に当接している時はレインスポイラー2面が、レインスポイラー2が開口している時には採光材1面が、ワイパー6、6により払拭されるように成されていることを特徴としている。
【0013】
実施の形態の一例として、第1a図は本発明1のレインスポイラー2を採光材1面に当接した自動車の斜視図である。自動車の採光材1と略同一形状の透明なレインスポイラー2を、自動車の採光材1面に相対して当接し、ワイパー6、6の動きを妨げないようにボンネット8との間に隙間を開けて設け、このレインスポイラー2の上端部は窓枠の上枠4に回動自在に軸支されており、このレインスポイラー2の両側端は、上方に突出している採光材1の両側枠5、5に当接していることを示している。雨の降っていない時のレインスポイラー2の位置を示しており、ワイパー6、6はボンネット8の後端部近傍の車体内に収納されている。
【0014】
実施の形態の一例として、第1b図は、本発明1のレインスポイラー2が採光材1面に当接した状態で、レインスポイラー2面をワイパー6、6で払拭している斜視図である。常にレインスポイラー2面の汚れを払拭することができる。本発明1のレインスポイラー2を自動車のリアーウインドウに取り付けることができる。
【0015】
実施の形態の一例として、第2a図は、本発明1のレインスポイラー2を車体内に設けた2本の上下動装置7、7で上昇させた状態を示す斜視図である。レインスポイラー2の上端部と窓枠の上枠4とは兆番を取り付けるか、又はレインスポイラー2の両端と窓枠の上枠4の両端を軸支して回動自在に取り付け、レインスポイラー2の下端部両側には、採光材1の両側枠5、5に設けた2本の上下動装置7、7の先端が回動自在に取り付けられていて、この上下動装置7、7が上昇することによって、レインスポイラー2が開口し、レインスポイラー2の先端部を任意の位置で停止させることができる。第2b図は、レインスポイラー2を開口させた状態で、採光材1面をワイパー6、6で払拭している斜視図である。採光材1面に雨粒、汚れが付着した時はワイパー6、6で払拭して取り除くことができる。第2c図は、レインスポイラー2の上端部が屋根19に回動自在に軸支されている斜視図である。
【0016】
実施の形態の一例として、第3a図は、本発明1のレインスポイラー2が採光材1に当接している時、車体内に設けたワイパー6とワイパーグレード7の状態を示す説明図である。窓枠の下枠3の表面と採光材1面が同一の水平状態に設けられている場合、ワイパーグレード7でレインスポイラー2面を払拭させるためには、ワイパー上下動装置13を設け、このワイパー上下動装置13の棒14によってレインスポイラー2の厚みの高さだけ上昇させた状態を示している。ワイパーグレード7はワイパー6に取り付けたバネによって、採光材1面又はレインスポイラー2面に密着するように成されているので、容易に上下動させることができる。ワイパー上下動装置13の棒14の取り付け位置は、ワイパー6の回転軸とワイパーグレード7の取り付け位置との間である。ワイパー上下動装置13は、電磁弁、電動モーター、油圧、エアーなどによって、作動させることができる。
【0017】
第3b図は、ワイパーグレード7をレインスポイラー2面の位置まで上昇させた後、ワイパー6を作動させることによって、レインスポイラー2面を払拭することができる。第3c図は、レインスポイラー2の先端部を上昇させて開口した後、ワイパー上下動装置13の棒14によって、採光材1面を払拭する位置までワイパーグレード7を下降させた状態を示している。レインスポイラー2を下降させる時は、ワイパーグレード7を第3a図に示す位置に戻す必要がある。
【0018】
実施の形態の一例として、第4a図は、窓枠の下枠3の表面とレインスポイラー2面が同一の水平状態の場合の図である。第4b図は、ワイパーグレード7でレインスポイラー2の表面を払拭する状態を示す説明図である。第4a図は窓枠の下枠3の表面とレインスポイラー2面とが水平に成されているので、ワイパー6を作動させることによって、レインスポイラー2の表面を払拭することができる。第4c図は、レインスポイラー2を上昇させて開口した後、ワイパーグレード7を採光材1面まで移動させるために、ワイパー上下動装置13の棒14を下降させた状態を示している。レインスポイラー2を下降させる時は、ワイパーグレード7を第4a図に示す位置に戻す必要がある。
【0019】
実施の形態の一例として、採光材1面及びレインスポイラー2面の高さにワイパーグレード7を合わせる別の方法として、窓枠の下枠3を上下動自在の構造にすることである。第5a図は本発明1のレインスポイラー2が、上昇した後の状態を示す説明図である。第5b図はレインスポイラー2が上昇した後、ワイパー6が取り付けられている窓枠の下枠3を、下降させて採光材1面に合わせた状態を示している。第5c図は窓枠の下枠3が下方に移動した後、ワイパーグレード7で採光材1面を払拭している状態を示している。開口していたレインスポイラー2を採光材1面に当接するために下降させる時は、ワイパーグレード7を第5a図に示す位置に戻す必要がある。
【0020】
実施の形態の一例として、本発明1の上下動装置7としては、車体内に電動シリンダー、油圧シリンダー、エアシリンダーを設けてレインスポイラー2を最適な位置に停止させ、必要に応じて上下動させることができる。
【0021】
実施の形態の一例として、第6a図は本発明2のレインスポイラー2面の横方向又は縦方向の長さが、採光材1面の長さより短い状態を示す説明図である。レインスポイラー2面が採光材1面より短い場所にレインスポイラー2の端面と平行にワイパー6を取り付け、ワイパー上下装置13によって、採光材1面及びレインスポイラー2面を払拭することができる。第6b図はレインスポイラー2面を払拭するためにワイパー上下装置13の棒14でワイパーグレード7を上昇させた状態を示している。第6c図はワイパーグレード7をレインスポイラー2面にのせて払拭する状態を示している。
【0022】
実施の形態の一例として、第7a図は本発明1の別の上下動装置の形態を示す斜視図であり、窓枠の上枠4の両端に設けた軸21、21に、レインスポイラー2の上端部を回動自在に取り付け、採光材1の両側枠5、5に溝17、17を設け、レインスポイラー2の下端部に支持棒18の一方端を取り付け、この支持棒18の他端は溝17に設けた移動装置に取り付けられていて、この移動装置によって棒18を溝17に沿って前方に移動させ、本発明1のレインスポイラー2を開口することができる。第7b図は移動装置によって、支持棒18が前方に移動している途中の状態を示している。第7c図は移動装置によって、レインスポイラー2が開口した状態を示している。
【0023】
実施の形態の一例として、第8a図は本発明2のレインスポイラー2の横方向の長さが、採光材1の横方向の長さより短い状態を示す斜視図である。車体の採光材1の左右側端部の形状が、外側に曲線状に斜め下方に傾斜して設けられていて、レインスポイラー2の形状は、採光材1面の左右側端部を除いた窓枠の上枠4の幅が採光材1面に当接した形状を示している。第8b図は本発明2のレインスポイラー2を上昇させて開口した状態を示している。レインスポイラー2の縦方向が長いので、雨、走行風は正面からの採光材1面までは到達し難く、採光材1の左右側端部形状が曲線状に下方に傾斜しているので両側方向に走行風は流れる。
【0024】
実施の形態の一例として、第9a図は、本発明2のレインスポイラー2面の横方向の長さが、採光材1面より2倍以上長いレインスポイラー2をフェリーに取り付けた状態を示す説明図である。横長の1枚のレインスポイラー2を2枚の採光材1、1にわたして取り付けることによって、左右横方向からの風雨、波から採光材1、1を防御することができる。
【0025】
実施の形態の一例として、第9b図は、本発明2のレインスポイラー2の縦方向の長さが、採光材1面よりの長いレインスポイラー2面を電車に取り付けた状態を示す説明図である。ワイパー6の回転軸が窓枠の側枠5の上部になるように縦方向に取り付けることによって、採光材1面より縦方向に長いレインスポイラー2面を払拭することができる。
【0026】
本発明1のレインスポイラー2面は採光材1面に当接して設けられているが、レインスポイラー2の形状は、採光材1の形状とは幅、長さなど異なる形状であり、限定しない。レインスポイラー2面及び採光材1面に撥水加工をすることによって、雨粒が付着し難い状態にすることができる。レインスポイラー2の材質としては、採光材1と同一のガラス、プラスチックなどの透明な材質である。
【0027】
実施の形態の一例として、第10a図は、本発明1のレインスポイラー2の先端部を運転者の目線15の位置に停止させ、この時の雨、走行風の状態を矢印で示している説明図である。降雨中車体が停止している時は、人が傘をさした状態と同じ状態であり、レインスポイラー2の先端部を上昇させることができる。走行中の雨、走行風はレインスポイラー2の先端部で上下に分かれる。レインスポイラー2が開口している時は、前方に斜め下方に向いているので、レインスポイラー2面はウインドスポイラーの作用効果があり、レインスポイラー2面上の雨、走行風は後方に流れる。レインスポイラー2によって遮られた雨、走行風は、斜め下方に降下し、レインスポイラー2の形成する空腔内に侵入しようとするが、空腔内に還流している空気の流れによって、採光材1に到達することなく側面方向に流される。
【0028】
第10b図は、本発明1のレインスポイラー2の先端部を、運転者の目線15の位置より下方の位置に停止させ、この時の雨、走行風の状態を矢印で示している説明図である。レインスポイラー2の先端部を低い位置に止めることによって、雨、走行風はレインスポイラー2面上を後方に流れる。レインスポイラー2の角度は水平に近い緩やかな斜面となり、レインスポイラー2面に撥水加工することによって、レインスポイラー2面上の雨粒は付着し難い状態となる。この時、運転者の目線15は、透明なレインスポイラー2面を通して前方の視野を見ることができる。
【0029】
実施の形態の一例として、本発明1のレインスポイラー2は、車体、船体、機体に取り付けることができる。本発明で言う車体は自動車、バス、新幹線、リニアモーターカー、電車、屋根付きバイク、屋外作業用のクレーン、トラッター、ブルドーザー、船体は船、タンカー、ヨット、ホーバークラフト、機体は飛行機、へリコプター、飛行船などである。本発明で言う走行とは、自動車の場合は走行することであり、船体の場合は航行することであり、機体の場合は走行又は飛行することである。本発明で言う運転者とは、車体は運転手であり、船体は操船手であり、機体は操縦士のことである。本発明で言う運転席とは、車体は運転席であり、船体は操船席であり、機体は操縦席のことである。
【実施例2】
【0030】
本発明の請求項2記載のレインスポイラー(以下、本発明2と言う)は、上記窓枠の上枠4の上部車体又は上記屋根19の上又は屋根19と天井の間に設けられた、延長部16の下端と上記レインスポイラー2の上端とが、回動自在に取り付けられ、この延長部16が上下に摺動可能と成されていることを特徴としている。
【0031】
実施の形態の一例として、第11a図は、本発明2の延長部16を新幹線の窓枠の上枠4の上部に取り付けた斜視図である。窓枠の上枠4の上部車体にレインスポイラー2の幅と同じ幅の延長部16を設け、この延長部16を前方に押し出すよう
に成されていて、延長部16の下端とレインスポイラー2の上端とが、兆番又は軸によって回動自在に取り付けられている。延長部16の長さだけレインスポイラー2を前方に突き出した状態になるので、前方からの走行風を防御することができる。レインスポイラー2の下端部に取り付けられている2本の上下動装置7、7の先端が、回動自在に設けられているので、延長部16を前方に押し出すことができる。
【0032】
実施の形態の一例として、第11b図は、本発明2の延長部16を自動車の屋根19と天井の間に取り付けた斜視図である。レインスポイラー2を開口する時に自動車の屋根19と天井の間から延長部16を前方に押し出し、前方からの走行風を防御することができる。延長部16の材質は採光材1と同一のガラス、プラスチック、半透明なプラスチック、不透明なプラスチックなどである。
【実施例3】
【0033】
本発明の請求項3記載のレインスポイラー(以下、本発明3と言う)は、上記レインスポイラー2の形状が、採光材1と同一形状、寸法であり、レインスポイラー1に相対して当接して設けられていることを特徴としている。
【0034】
実施の形態の一例として、第12a図は本発明3のレインスポイラー2を、採光材1が略垂直に取り付けられているトラックに当接した斜視図である。車体の採光材1と略同一形状の透明なレインスポイラー2を、車体の採光材1面に相対して当接し、ワイパー6、6は車体の外板9に取り付けられ、ワイパーグレード7でレインスポイラー2面を払拭することができる。外観では透明なレインスポイラー2が採光材1面に当接していることは見分け難い。
【0035】
第12b図はレインスポイラー2を採光材1の両側枠5、5近傍の車体内に設けた2本の上下動装置7、7を上昇させた状態を示している。レインスポイラー2を上昇させた後、採光材1面に付いた汚れ、雨をワイパー6で払拭することができる。窓枠の上枠4の上に庇20を設けることによって、レインスポイラー2を開口した時に屋根19からの水漏れを防ぐことができる。二階建てバスの場合は、上下の採光材1、1、に取り付けることができる。また一階の採光材1だけに取り付ける場合もある。
【実施例4】
【0036】
本発明の請求項4記載のレインスポイラー(以下、本発明4と言う)は、上記レインスポイラー2の下端部の端面が、ボンネット8の後端部又は外板9の上端部の端面に接するように成されていて、上記上下動装置7、7・・・の作用によって、レインスポイラー2の下端部の端面とボンネット8の後端部又は外板9の上端部の端面同士が、相接した状態で停止可能に成されていることを特徴としている。
【0037】
実施の形態の一例として、第13a図は本発明4のレインスポイラー2の下端部の端面をボンネット8の後端部に当接した状態を示す斜視図である。雨が降っていない時のレインスポイラー2の位置を示しており、レインスポイラー2の下端部の端面をボンネット8の後端部に当接することによって、車体の採光材1の下枠3とボンネット8の後端部の隙間が塞がれ、車体は流れるようなラインが形成される。この時、ワイパー6、6はボンネット8の後端部近傍の車体内に収納されている。そして、車体の空気抵抗を減少させることができる。
【0038】
実施の形態の一例として、第13b図は、本発明4のレインスポイラー2の下端部の端面を新幹線の外板9の端面に当接した状態を示す斜視図である。レインスポイラー2の下端部の端面と外板9の上端部の端面を当接して隙間を無くし、空気抵抗を減少させる作用効果がある。第12c図は、本発明3のレインスポイラー2の下端部の端面をジェット旅客機の外板9の端面に当接した状態を示す斜視図である。レインスポイラー2の下端部の端面と外板9の上端部の端面を当接して隙間を無くすことによって、空気抵抗を減少させる作用効果があり、時間飛行する航空機の燃料コストを削減することができる。レインスポイラー2面が汚れた場合、レインスポイラー2面を採光材1面に当接させ、第3図、第4図に示すようにワイパーグレード7をレインスポイラー2面の高さに合わせることによって、レインスポイラー2面の汚れを払拭することができる。
【0039】
実施の形態の一例として、第14a図は、本発明4のレインスポイラー2の下端部の端面が、ボンネット8の後端部の端面に当接した状態を示す説明図であり、採光材1面と窓枠の下枠3の面とが水平状態に連なっている場合である。ワイパーグレード7でレインスポイラー2面を払拭するために、ワイパー上下動装置13の棒14でワイパーグレード7を上昇させた状態を示している。第14b図は、窓枠の下枠3の表面とレインスポイラー2面とが水平状態に連なっている場合である。いずれの場合においても、冬期には、雨の浸入を防御してワイパー6に雪が凍りつくことを防ぐことができる。
【実施例5】
【0040】
本発明の請求項5記載のレインスポイラー(以下、本発明5と言う)は、上記車体の採光材1の窓枠の下端部と上記ボンネット8又は上記外板9の上端部との間、或いは採光材1面の上部に気体噴出口10が設けられていて、上記レインスポイラー2を開口した時に、採光材1との間に気体12を吹き込むように成されていることを特徴としている。
【0041】
実施の形態の一例として、第15a図は、本発明5の気体噴出口10から気体12を噴き出す状態を示す図である。車体の窓枠の下端部とボンネット8との間の隙間に設けた気体噴出口10から気体12を噴き出すことによって、レインスポイラー2面の形成する空腔内の圧力を上昇させ、レインスポイラー2内に吹き込んだ走行風、雨が採光材1面に付着しないように防御し、良好な視界を継続して見ることができる。第15b図は、気体噴出口10から噴き出した気体12が採光材1全面に吹き付けられ、その気体が側面から後方に流れる状態を示している。
【0042】
実施の形態の一例として、第16a図は、本発明5の気体噴出口10を電車の採光材1面の上部に設けた状態を示す図である。採光材1面が略垂直に立っている車体の場合、採光材1面の上部にスリット状の気体噴出口10を設け、気体噴出口10から走行風以上の気圧の気体12を噴き出すことによって、レインスポイラー2の形成する空腔内の気力を上昇させ、レインスポイラー2内に吹き込んだ走行風、雨が採光材1面に付着しないように防御し、良好な視界を継続して見ることができる。ワイパーグレード7は窓枠の側枠5と平行に設けられ、第3図、第4図に示すようにワイパー上下動装置13によって、採光材1面及びレインスポイラー2面を払拭することができる。また、ワイパー6を窓枠の側枠5近傍の車体の外板9の内側に収納し、第12図に示すようにレインスポイラー2面と外板9とが隙間のない状態を保つようにすることができる。
【0043】
実施の形態の一例として、第16b図は、本発明5の気体噴出口10を新幹線のレインスポイラー2の下端部と外板9の上端部との間の隙間に設けた気体噴出口10から走行風以上の気圧の気体12を噴き出すことによって、レインスポイラー2の形成する空腔内の圧力を上昇させ、レインスポイラー2内に吹き込んだ走行風、雨が採光材1面に付着しないように防御し、良好な視界を継続して見ることができる。
【0044】
実施の形態の一例として、第17a図は、本発明5の気体噴出口10をフェリーの採光材1面の上部に設けた状態を示す図である。気体噴出口10から走行風以上の気圧の気体12を噴き出すことによって、レインスポイラー2の形成する空腔内の圧力を上昇させ、レインスポイラー2内に吹き込んだ走行風、雨が採光材1面に付着しないように防御し、良好な視界を継続して見ることができる。
【0045】
第17b図は、本発明5の気体噴出口10をジェット旅客機の窓枠の下枠3と外板9の隙間に設けた状態を示す図である。この隙間にワイパー6が設けられていて、従来、ジェット旅客機の外板9に設けられていたワイパー6、6を取り除くことができる。採光材1面に付着した雨、汚れはワイパー6で払拭することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上のように、本発明のレインスポイラー2は、雨の降っていない時、雨の降り始めから豪雨まで、雨の状況に合わせてワイパー6の払拭回数を必要最小限にすることができる。ワイパー6はボンネット8、外板9内に隠すことができるので、外観からは車体の採光材1の外側に透明なレインスポイラー2が見えるだけである。車体の形状もワイパー6の隙間を塞ぎ走行中の空気抵抗を極力減少させる形状である。レインスポイラー2が開口している時は、前方に斜め下方に向いているので、レインスポイラー2の上面はウインドスポイラーの作用効果があり、下面で雨を遮ることができる。透明なレインスポイラー2は、衝突物に対して衝撃吸収の作用効果がある。そして気体噴出口10から気体12を噴き出すことによって、豪雨に対応することができるので、ワイパー6に代わる水滴防御装置として適している。
【符号の説明】
【0047】
1 採光材
2 レインスポイラー
3 下枠
4 上枠
5 側枠
6 ワイパー
7 ワイパーブレード
8 ボンネット
9 外板
10 気体噴出口
11 上下動装置
12 気体
13 ワイパー上下動装置
14 棒
15 目線
16 延長部
17 溝
18 支持棒
19 屋根
20 庇
21 軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体、船体、機体(以下、車体と言う)の採光材(1)に透明なレインスポイラー(2)を、車体の採光材(1)面に当接して設け、このレインスポイラー(2)の上端部は採光材(1)を嵌めている窓枠の上枠(4)又は屋根(19)に対し回動自在に取り付けられており、このレインスポイラー(2)の下端部近傍には、採光材(1)の両側枠(5、5)又は車体内に設けた一本又は複数本の上下動装置(7、7・・・)の先端が取り付けられていて、この上下動装置(7、7・・・)の作用によって、上記レインスポイラー(2)が下端側から開口されるように成されており、このレインスポイラー(2)が採光材(1)面に当接している時レインスポイラー(2)面が、レインスポイラー(2)が開口している時には採光材(1)面が、ワイパー(6、6)により払拭されるように成されていることを特徴とするレインスポイラー。
【請求項2】
上記窓枠の上枠(4)の上部車体又は上記屋根(19)の上又は屋根(19)と天井の間に設けられた、延長部(16)の下端と上記レインスポイラー(2)の上端とが、回動自在に取り付けられ、この延長部(16)が上下に摺動可能と成されていることを特徴とする請求項1記載のレインスポイラー。
【請求項3】
上記レインスポイラー(2)の形状が、採光材(1)と同一形状、寸法であり、レインスポイラー(1)に相対して当接して設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載のレインスポイラー。
【請求項4】
上記レインスポイラー(2)の下端部の端面が、ボンネット(8)の後端部又は外板(9)の上端部の端面に接するように成されていて、上記上下動装置(7、7・・・)の作用によって、レインスポイラー(2)の下端部の端面とボンネット(8)の後端部又は外板(9)の上端部の端面同士が、相接した状態で停止可能に成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のレインスポイラー。
【請求項5】
上記車体の採光材(1)の窓枠の下端部と上記ボンネット(8)又は上記外板(9)の上端部との間、或いは採光材(1)面の上部に気体噴出口(10)が設けられていて、上記レインスポイラー(2)を開口した時に、採光材(1)との間に気体(12)を吹き込むように成されていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のレインスポイラー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−20461(P2011−20461A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−164318(P2009−164318)
【出願日】平成21年7月13日(2009.7.13)
【特許番号】特許第4437837号(P4437837)
【特許公報発行日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(599138054)
【Fターム(参考)】