レシピエントブロックのモルド及びその用途
本発明は、一定空間を有し、上記一定空間の内部一側底面に試料収容穴が多数個備えられたレシピエントブロック製造用モルド及び(1)上記レシピエントブロック製造用モルドの試料収容穴に試料をアレイする工程;(2)上記レシピエントブロック製造用モルドをベースモールドに入れ、試料をベースモールドの底面方向に押しつめる工程;(3)上記ベースモールドを液状のレシピエントブロックの原料で充填し、指定された温度と時間の間放置する工程;及び(4)レシピエントブロックの原料が硬化されれば、レシピエントブロック製造用モルドに付着された組織マイクロアレイブロックを分離する工程;を含む組織マイクロアレイブロックの製造方法に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レシピエントブロック製造用モルド及びその用途に関する。詳しくは、一定空間を有し、上記一定空間の内部一側底面に試料収容穴が多数個備えられたレシピエントブロック製造用モルド及び上記レシピエントブロック製造用モルドの試料収容穴に試料をアレイし、上記レシピエントブロック製造用モルドをベースモールドに入れた後、液状のレシピエントブロックの原料で充填し、レシピエントブロックの原料が硬化されれば、レシピエントブロック製造用モルドに付着された組織マイクロアレイブロックを分離し、組織マイクロアレイブロックを製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
組織マイクロアレイ(Tissue Microarray)は、約2.5×7.5cmサイズのガラススライドに、複数個(30〜120個以上)の組織を付着させた研究材料を製作する技術を意味する。対象となる生体組織は人体組織、実験動物組織及び培養細胞であり、細胞及び組織でのタンパク質、DNA、RNA分析など顕微鏡観察用途に利用される。組織マイクロアレイは、組織を利用する大部分の検査技法(例、in situ PCR, Special stain, in situ hybridization, Immunohistochemistry等)に広く適用することができる。
【0003】
組織分析の古典的な方法では、一枚のガラススライドに一個の組織サンプル(1×2×0.4cm以上)を付着し、研究分析した。この方法は、複数の検体の検査結果を比較分析する場合に、分析対象の数と同じくらいの組織を付着させたガラススライドを製造しなければならない。また、検査に使われる試薬及び消耗品も多量消耗される。結果的に、多くの時間、費用及び人件費が必要とされる。さらに、比較分析する組織サンプルが個別的に検査されるため、検査の一貫性がなく、結果の信頼度が低い問題点がある。
【0004】
組織マイクロアレイ技術は、このような問題点を克服するために、組織サンプル中、分析しようとする部位だけを採取し、これを収納しうるレシピエントブロックに収納し、完全な組織マイクロアレイブロックを作った後、ミクロトームを用いて薄切して、ガラススライド上に付着させ、様々な組織検査技法を施行する。具体的に次のような文献から関連技術を確認することができる。
【0005】
特許文献1には、多数の組織を収納することができるレシピエントブロックの製造方法が開示されている。具体的には、上記特許文献1ではトレータイプのアルミニウムブロックの下端に孔をあけ、そこにシリンダーピンを打ち、上記レシピエントブロックに対する鋳型を製造した後、この鋳型に溶融された高温のパラフィン溶液を注ぎ、冷却して固めた後、多数の円筒孔が形成されたレシピエントブロックを製造する方法が開示されている。
【0006】
特許文献2は、レシピエントブロック製造用機構として、レシピエントブロック形態を形成しうるモルドを備えられるように組立された鉄材質の鋳型で、溶融されたパラフィンを上記モルド内部に注いだ後、カセットの上を覆い、冷却してパラフィンを固めた後、両側に備えられたネジを操作し、レシピエントブロックをゆっくり持ち上げ、鋳型から分離する機構を開示している。
【0007】
しかし、上述した従来技術は、レシピエントブロックの金型を製造して上記金型を利用して、レシピエントブロックを製造した後、上記レシピエントブロックの円筒孔に試料をアレイし、パラフィンで包埋する工程を経て組織マイクロアレイブロックを製造しなければならない。この方法は多数の工程からなり、複雑、且つ時間がかかるという短所がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際特許PCT/DE00/04647号
【特許文献2】米国公開特許第2005−60740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明者らは、一定空間を有し、上記一定空間の内部一側底面に試料収容穴が多数個備えられたレシピエントブロック製造用モルドを製造し、これを利用して、組織マイクロアレイブロックを製造した結果、レシピエントブロックを製造すると同時に、試料をアレイし、包埋することができ、組織マイクロアレイブロックの製造工程をより効率的で、且つ簡単にすることを確認し、本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、一面に従って、一定空間を有し、上記一定空間の内部一側底面に試料収容穴が多数個備えられたレシピエントブロック製造用モルドを提供する。
【0011】
他の一面に従って、(1)上記レシピエントブロック製造用モルドの試料収容穴に試料をアレイする工程;(2)上記レシピエントブロック製造用モルドをベースモールドに入れ、試料をベースモールドの底面方向へ押しつめる工程;(3)上記ベースモールドを液状のレシピエントブロックの原料で充填し、指定された温度と時間の間放置する工程;及び(4)レシピエントブロックの原料が硬化されれば、レシピエントブロック製造用モルドに付着された組織マイクロアレイブロックを分離する工程;を含む組織マイクロアレイブロックを製造する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】ベースモールドとカセットを示す図である。
【図2】従来のレシピエントブロックを示す図である。
【図3a】本発明の一態様に係るレシピエントブロック製造用モルドを示す斜視図である。
【図3b】本発明の一様態に係るレシピエントブロック製造用モルドを示す断面図である。
【図4a】本発明の他の様態に係るレシピエントブロック製造用モルドを示す斜視図である。
【図4b】本発明の他の様態に係るレシピエントブロック製造用モルドを示す断面図である。
【図5a】本発明によってレシピエントブロック製造用モルドの円筒孔に試料をアレイする工程を示す図である。
【図5b】本発明によってレシピエントブロック製造用モルドをベースモールドに入れ、試料をベースモールドの底面方向へ押しつめる工程を示す図である。
【図5c】本発明によってベースモールドをレシピエントブロックの原料で充填する工程を示す図である。
【図5d】本発明によってレシピエントブロックの原料で充填した後、パラフィンオーブン内に指定された温度と時間の間放置する工程を示す図である。
【図5e】本発明によって完成された組織マイクロアレイブロックをミクロトームで薄切する工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、レシピエントブロック製造用モルドと、これを利用して組織マイクロアレイブロックを製造する方法に関する。組織マイクロアレイブロックをはじめとして、これらを製造するのに利用される各種道具を、まず説明し、続いて、従来レシピエントブロックと本発明に係るレシピエントブロック製造用モルドを対比し、具体的に説明する。
【0014】
用語「試料(sample)」は、動物・植物などの個体から分離された組織の断片だけでなく、微生物と細胞培養物を含む。通常、組織マイクロアレイで分析しようとする試料は、採取された状態で利用されるよりは、“ドナーブロック(donor block)”で処理して利用される。本発明で試料は採取さいれた状態の試料だけでなく、ドナーブロックで処理された試料と、これらから分離した断片、特にコア(core)も含む。
【0015】
用語「ベースモールド10」は、レシピエントブロック及び/又は組織マイクロロアレイブロックの製造に利用される道具の一つであって、通例的に金属からなり、一定空間を備えている(図2参照)。本発明で上記ベースモールドの空間は、本発明に係るレシピエントブロック製造用モルドを収納することができる大きさと形態を有する。
【0016】
用語「包埋」は、試料がアレイされたレシピエントブロックに熱を加え、冷却し、試料またはドナーブロックをなす物質トレーシピエントブロックをなす物質とを溶融させる工程を意味する。
【0017】
用語「カセット20」は、上述した包埋時に、レシピエントブロック上に載置され、このようにすれば、レシピエントブロックの原料が硬化されながら、カセットがレシピエントブロックに一体で接着される(図2参照)。レシピエントブロックにカセットが付着される場合の長所は、組織マイクロアレイブロックを薄切するために、通常組織ミクロトームを利用するが、組織ミクロトームはカセットに相応するホルダーを備えて、組織マイクロアレイブロックの脱・付着及び薄切を容易にする。
【0018】
用語「組織マイクロアレイブロック」は、試料がアレイされたレシピエントブロックに熱を加え、冷却し、試料またはドナーブロックをなす物質トレーシピエントブロックをなす物質とが溶融されるようにして得られた物質を意味する。
【0019】
用語「レシピエントブロック30」は、組織マイクロアレイ上の指定された位置に試料をアレイ及び固定させることができる道具を意味する。レシピエントブロックは、通例的に直六面体状を有し、多数の試料を収納することができる円筒孔31が形成され、上記円筒孔はブロックを貫通する形態である。特に、レシピエントブロックは主にパラフィン成分で構成される。
【0020】
従来のレシピエントブロックを利用して組織マイクロアレイブロックを製造する場合には、(a)レシピエントブロックを製造する工程;(b)円筒孔に、試料をアレイする工程;(c)試料がアレイされたレシピエントブロックをベースモールドに入れ、包埋する工程;及び(d)組織マイクロアレイブロックを薄切する工程;からなる。通例的に、上記工程(d)で、組織ミクロトームで組織マイクロアレイブロックを薄切するために、工程(c)ではレシピエントブロック上にカセットを載置し、包埋する。これにより、カセットが組織マイクロアレイブロックに一体的に付着される。即ち、カセットが必須的に利用される。また、組織ミクロトームは、組織マイクロアレイブロック全体を薄切するので、レシピエントブロックは使い捨てである。
【0021】
用語「レシピエントブロック製造用モルド40、50」は、一定空間を有し、上記一定空間の内部一側底面に試料収容穴が多数個備えられている。上記レシピエントブロック製造用モルドは、ベースモールドとミクロトームの利用時に、容易性を提供するために、上記モルドのフレーム全体または一部で断面が段差を有するようにすることが好ましい。上記試料収容穴は、底面に円筒穴41または底面から突出された円筒穴51で形成され得る。
【0022】
図3a及びbは、本発明に係るレシピエントブロック製造用モルドの一様態をそれぞれ示した斜視図と断面図である。試料収容穴が底面に円筒穴41で形成され、モルドのフレーム全体で断面が段差を形成している。上記様態のレシピエントブロック製造用モルドは、底面に孔42をさらに備えることが好ましい。上記孔は後記する組織マイクロアレイブロックの製造方法により溶融されたレシピエントブロックの原料が移動する通路として機能するため、形態、直径及び個数において特に制限がない。
【0023】
図4a及び4bは、本発明に係るレシピエントブロック製造用モルドのさらに別の様態をそれぞれ示した斜視図と断面図である。試料収容穴が底面から突出された円筒穴51で形成され、モルドのフレーム全体で断面が段差を形成している。上記様態のレシピエントブロック製造用モルドは、底面が格子状に構成されることが好ましい。このように形成された格子間の空間52は後記する組織マイクロアレイブロックの製造方法により溶融されたレシピエントブロックの原料が移動する通路として機能する。
【0024】
本発明のレシピエントブロック製造用モルドは、上述するような構造的特徴によってカセットとしての役割も果たすことができる。試料収容穴は試料を収納するので、試料の個数によって試料収容穴の個数も自由に調整可能である。試料収容穴の内径は特に制限されないが、1〜5mmが好ましく、2〜5mmがより好ましい。
【0025】
本発明に係るレシピエントブロック製造用モルドは、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカルボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フッ素樹脂、セルロース樹脂、アセタール樹脂の中から選択されたものであるが、これらに制限されない。
【0026】
本発明に係るレシピエントブロック製造用モルドは、レシピエントブロックを製造するために、レシピエントブロック製造用モルドと命名したが、レシピエントブロックを製造し、試料をアレイし、試料トレーシピエントブロック原料とを同時に包埋して最終的に組織マイクロアレイブロックを製造する。従って、本発明に係るレシピエントブロック製造用モルドを利用して、組織マイクロアレイブロックを製造する方法が本発明の一側面を形成する。
【0027】
本発明に係るレシピエントブロック製造用モルドを利用して組織マイクロアレイブロックを製造する場合には、(1)上記レシピエントブロック製造用モルドの試料収容穴に試料をアレイする工程;(2)上記レシピエントブロック製造用モルドをベースモールドに入れ、試料をベースモールドの底面方向へ押しつめる工程;(3)上記ベースモールドを液状のレシピエントブロックの原料で充填し、指定された温度と時間の間放置する工程;及び(4)レシピエントブロックの原料が硬化されれば、レシピエントブロック製造用モルドに付着された組織マイクロアレイブロックを分離する工程;を経る。以下、工程別に具体的に説明する。
【0028】
工程(1)では、例えば、穿孔機を利用して本発明に係るレシピエントブロック製造用モルドの試料収容穴に、試料をアレイする。穿孔機を用いる場合、レシピエントブロック製造用モルドの試料収容穴と類似する貫通孔の内径を有する穿孔機を選択する。
【0029】
工程(2)では、まず、上記レシピエントブロック製造用モルドをベースモールド、即ち、ベースモールドの空間に入れる。レシピエントブロック製造用モルドとベースモールドはトレー形態であるため、工程(2)によってベースモールドにレシピエントブロック製造用モルドを入れれば、二つのトレーが重なったような形状となる。ここで、レシピエントブロック製造用モルドの試料収容穴の底面とベースモールドの内部底面とが離隔され、一定空間が形成されるようにすることが好ましい。上記空間が、後でレシピエントブロックの原料で充填され、レシピエントブロックになるからである。
【0030】
続いて、スティックなどを利用して試料をベースモールドの底面方向へ押しつめる。このようにして、レシピエントブロック製造用モルドの試料収容穴の底面とベースモールドの内部底面とを離隔させ、一定空間を形成させるか、または工程(2)で一定空間が既に形成されたとすれば、さらに、より多くの一定の空間を確保することができる。この時、できるだけ試料の多くの部分がレシピエントブロック製造用モルドの試料収容穴の底面とベースモールドの内部底面と間の空間に移動するようになり、できるだけ試料の少ない部分が試料料収容穴に残こるようにする。
【0031】
工程(3)では、上記ベースモールドを液状のレシピエントブロックの原料で充填する。上記レシピエントブロックの原料としては、パラフィン、微結晶ワックス、蜜ろう、アガロースまたは寒天が挙げられるが、少なくともパラフィンを含むことが好ましい。パラフィンの場合には、45〜60℃で溶融されるため、その温度以上、好ましくは60〜62℃以上に加温すると、液状で得ることができる。
【0032】
液状のレシピエントブロックの原料は、レシピエントブロック製造用モルドの試料収容穴の中から、試料が充填されない試料収容穴があるとき、その試料収容穴を介して及び/又は本発明のレシピエントブロックが孔を有している場合には、その孔を介して、レシピエントブロックの試料収容穴の底面とベースモールドの内部底面と間に形成された空間へ移動するようになる。このとき、レシピエントブロックの原料をレシピエントブロック製造用モルドの上端面の少なくとも一部分が浸漬するように十分に充填することが好ましい。このようにすれば、後記する工程(4)によって硬化された後、レシピエントブロック製造用モルドが組織マイクロアレイブロックに堅固に接着され、後で、組織マイクロアレイブロックの薄切及び処理に有利に作用する。
【0033】
このように液状のレシピエントブロックの原料を注いだ後、オーブンなどに指定された温度で、指定された時間の間放置して包埋する。これにより、レシピエントブロックの原料と試料またはドナーブロックをなす物質とが溶融され得る。ここで、指定された温度は好ましくは上述した、パラフィンの溶融温度45〜60℃、指定された時間は10〜60分、好ましくは20〜30分である。また、オーブンの代りに指定された温度を保持することができる任意の場所及び装置を利用できるが、好ましくはパラフィンオーブン(paraffin oven)を用いる。
【0034】
工程(4)では、レシピエントブロックの原料が硬化されれば、ベースモールドから、レシピエントブロック製造用モルドとこれに付着された組織マイクロアレイブロックを共に分離する。
【0035】
従来、レシピエントブロックを利用して組織マイクロアレイブロックを製造する場合には、レシピエントブロックを製造する工程が必要とされていたが、本発明では、別にレシピエントブロックを製造する工程を必要としない。また、従来には、レシピエントブロックの円筒孔に試料を充填した後、ベースモールド内に位置させ、加熱し、包埋し、カセットを付着させたが、本発明では工程(4)でレシピエントブロックが形成され、試料がアレイされながら同時に包埋されるため、工程が簡単になった。さらに、本発明に係るレシピエントブロック製造用モルドはそれ自体がカセットとしての役割を果たすため、カセット及びこれを付着させる手順をいずれも省略することができる。
【実施例】
【0036】
以下、実施例は本発明を具体的に説明するためだけであり、本発明の要旨によって本発明の範囲がこれらの実施例によって制限されないことは、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者にとっては明らかである。
【0037】
実施例:組織マイクロアレイブロックの製造
図5aに示されるように、上記レシピエントブロック製造用モルドの試料収容穴の内径と類似する貫通孔の内径を有する穿孔機を利用して、ドナーブロックからコアを分離し、レシピエントブロック製造用モルドの試料収容穴にアレイした。
【0038】
図5bに示されるように、本発明のレシピエントブロック製造用モルドをベースモールドの空間に入れた。このとき、レシピエントブロック製造用モルドの試料収容穴の底面とベースモールドの内部底面とが離隔され、一定空間が形成されるようにした。続いて、スティックを利用して試料をベースモールドの底面方向へ押しつめた。
【0039】
図5cに示されるように、上記ベースモールドを液状のレシピエントブロックの原料で十分に充填し、図5dに示されるように、パラフィンオーブン内に60〜62℃の温度で、20〜30分間放置した。次に、冷却板で完全に硬化させた後、ベースモールドから組織マイクロアレイブロックを分離した。
【0040】
図5eに示されるように、完成された組織マイクロアレイブロックは、組織ミクロトームで薄切し、薄切された切片をガラススライド上に載置した後、目的する一組職検査を行って、顕微鏡で観察した。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明に係るレシピエントブロック製造用モルドを利用すれば、レシピエントブロックを製造すると同時に、レシピエントブロックに試料がアレイされ、包埋されることによって、レシピエントブロックを製造し、このように製造されたレシピエントブロックに試料を充填及び包埋する工程を省略することができ、組織マイクロアレイブロックを製造する工程を効率的で、且つ簡単になる。
【0042】
以上で本発明の記載された具体例だけを詳細に説明した。しかし、本発明の技術思想範囲内で様々な変形及び修飾が可能であることは当業者にとって自明なことであり、このような変形及び修飾が添付された特許請求の範囲に属ものである。
【符号の説明】
【0043】
10 ベースモールド
20 カセット
30 レシピエントブロック
31 円筒孔
40 レシピエントブロック製造用モルド
41 円筒穴
42 孔
50 レシピエントブロック製造用モルド
51 突出された円筒穴
52 格子間の空間
【技術分野】
【0001】
本発明は、レシピエントブロック製造用モルド及びその用途に関する。詳しくは、一定空間を有し、上記一定空間の内部一側底面に試料収容穴が多数個備えられたレシピエントブロック製造用モルド及び上記レシピエントブロック製造用モルドの試料収容穴に試料をアレイし、上記レシピエントブロック製造用モルドをベースモールドに入れた後、液状のレシピエントブロックの原料で充填し、レシピエントブロックの原料が硬化されれば、レシピエントブロック製造用モルドに付着された組織マイクロアレイブロックを分離し、組織マイクロアレイブロックを製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
組織マイクロアレイ(Tissue Microarray)は、約2.5×7.5cmサイズのガラススライドに、複数個(30〜120個以上)の組織を付着させた研究材料を製作する技術を意味する。対象となる生体組織は人体組織、実験動物組織及び培養細胞であり、細胞及び組織でのタンパク質、DNA、RNA分析など顕微鏡観察用途に利用される。組織マイクロアレイは、組織を利用する大部分の検査技法(例、in situ PCR, Special stain, in situ hybridization, Immunohistochemistry等)に広く適用することができる。
【0003】
組織分析の古典的な方法では、一枚のガラススライドに一個の組織サンプル(1×2×0.4cm以上)を付着し、研究分析した。この方法は、複数の検体の検査結果を比較分析する場合に、分析対象の数と同じくらいの組織を付着させたガラススライドを製造しなければならない。また、検査に使われる試薬及び消耗品も多量消耗される。結果的に、多くの時間、費用及び人件費が必要とされる。さらに、比較分析する組織サンプルが個別的に検査されるため、検査の一貫性がなく、結果の信頼度が低い問題点がある。
【0004】
組織マイクロアレイ技術は、このような問題点を克服するために、組織サンプル中、分析しようとする部位だけを採取し、これを収納しうるレシピエントブロックに収納し、完全な組織マイクロアレイブロックを作った後、ミクロトームを用いて薄切して、ガラススライド上に付着させ、様々な組織検査技法を施行する。具体的に次のような文献から関連技術を確認することができる。
【0005】
特許文献1には、多数の組織を収納することができるレシピエントブロックの製造方法が開示されている。具体的には、上記特許文献1ではトレータイプのアルミニウムブロックの下端に孔をあけ、そこにシリンダーピンを打ち、上記レシピエントブロックに対する鋳型を製造した後、この鋳型に溶融された高温のパラフィン溶液を注ぎ、冷却して固めた後、多数の円筒孔が形成されたレシピエントブロックを製造する方法が開示されている。
【0006】
特許文献2は、レシピエントブロック製造用機構として、レシピエントブロック形態を形成しうるモルドを備えられるように組立された鉄材質の鋳型で、溶融されたパラフィンを上記モルド内部に注いだ後、カセットの上を覆い、冷却してパラフィンを固めた後、両側に備えられたネジを操作し、レシピエントブロックをゆっくり持ち上げ、鋳型から分離する機構を開示している。
【0007】
しかし、上述した従来技術は、レシピエントブロックの金型を製造して上記金型を利用して、レシピエントブロックを製造した後、上記レシピエントブロックの円筒孔に試料をアレイし、パラフィンで包埋する工程を経て組織マイクロアレイブロックを製造しなければならない。この方法は多数の工程からなり、複雑、且つ時間がかかるという短所がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際特許PCT/DE00/04647号
【特許文献2】米国公開特許第2005−60740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明者らは、一定空間を有し、上記一定空間の内部一側底面に試料収容穴が多数個備えられたレシピエントブロック製造用モルドを製造し、これを利用して、組織マイクロアレイブロックを製造した結果、レシピエントブロックを製造すると同時に、試料をアレイし、包埋することができ、組織マイクロアレイブロックの製造工程をより効率的で、且つ簡単にすることを確認し、本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、一面に従って、一定空間を有し、上記一定空間の内部一側底面に試料収容穴が多数個備えられたレシピエントブロック製造用モルドを提供する。
【0011】
他の一面に従って、(1)上記レシピエントブロック製造用モルドの試料収容穴に試料をアレイする工程;(2)上記レシピエントブロック製造用モルドをベースモールドに入れ、試料をベースモールドの底面方向へ押しつめる工程;(3)上記ベースモールドを液状のレシピエントブロックの原料で充填し、指定された温度と時間の間放置する工程;及び(4)レシピエントブロックの原料が硬化されれば、レシピエントブロック製造用モルドに付着された組織マイクロアレイブロックを分離する工程;を含む組織マイクロアレイブロックを製造する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】ベースモールドとカセットを示す図である。
【図2】従来のレシピエントブロックを示す図である。
【図3a】本発明の一態様に係るレシピエントブロック製造用モルドを示す斜視図である。
【図3b】本発明の一様態に係るレシピエントブロック製造用モルドを示す断面図である。
【図4a】本発明の他の様態に係るレシピエントブロック製造用モルドを示す斜視図である。
【図4b】本発明の他の様態に係るレシピエントブロック製造用モルドを示す断面図である。
【図5a】本発明によってレシピエントブロック製造用モルドの円筒孔に試料をアレイする工程を示す図である。
【図5b】本発明によってレシピエントブロック製造用モルドをベースモールドに入れ、試料をベースモールドの底面方向へ押しつめる工程を示す図である。
【図5c】本発明によってベースモールドをレシピエントブロックの原料で充填する工程を示す図である。
【図5d】本発明によってレシピエントブロックの原料で充填した後、パラフィンオーブン内に指定された温度と時間の間放置する工程を示す図である。
【図5e】本発明によって完成された組織マイクロアレイブロックをミクロトームで薄切する工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、レシピエントブロック製造用モルドと、これを利用して組織マイクロアレイブロックを製造する方法に関する。組織マイクロアレイブロックをはじめとして、これらを製造するのに利用される各種道具を、まず説明し、続いて、従来レシピエントブロックと本発明に係るレシピエントブロック製造用モルドを対比し、具体的に説明する。
【0014】
用語「試料(sample)」は、動物・植物などの個体から分離された組織の断片だけでなく、微生物と細胞培養物を含む。通常、組織マイクロアレイで分析しようとする試料は、採取された状態で利用されるよりは、“ドナーブロック(donor block)”で処理して利用される。本発明で試料は採取さいれた状態の試料だけでなく、ドナーブロックで処理された試料と、これらから分離した断片、特にコア(core)も含む。
【0015】
用語「ベースモールド10」は、レシピエントブロック及び/又は組織マイクロロアレイブロックの製造に利用される道具の一つであって、通例的に金属からなり、一定空間を備えている(図2参照)。本発明で上記ベースモールドの空間は、本発明に係るレシピエントブロック製造用モルドを収納することができる大きさと形態を有する。
【0016】
用語「包埋」は、試料がアレイされたレシピエントブロックに熱を加え、冷却し、試料またはドナーブロックをなす物質トレーシピエントブロックをなす物質とを溶融させる工程を意味する。
【0017】
用語「カセット20」は、上述した包埋時に、レシピエントブロック上に載置され、このようにすれば、レシピエントブロックの原料が硬化されながら、カセットがレシピエントブロックに一体で接着される(図2参照)。レシピエントブロックにカセットが付着される場合の長所は、組織マイクロアレイブロックを薄切するために、通常組織ミクロトームを利用するが、組織ミクロトームはカセットに相応するホルダーを備えて、組織マイクロアレイブロックの脱・付着及び薄切を容易にする。
【0018】
用語「組織マイクロアレイブロック」は、試料がアレイされたレシピエントブロックに熱を加え、冷却し、試料またはドナーブロックをなす物質トレーシピエントブロックをなす物質とが溶融されるようにして得られた物質を意味する。
【0019】
用語「レシピエントブロック30」は、組織マイクロアレイ上の指定された位置に試料をアレイ及び固定させることができる道具を意味する。レシピエントブロックは、通例的に直六面体状を有し、多数の試料を収納することができる円筒孔31が形成され、上記円筒孔はブロックを貫通する形態である。特に、レシピエントブロックは主にパラフィン成分で構成される。
【0020】
従来のレシピエントブロックを利用して組織マイクロアレイブロックを製造する場合には、(a)レシピエントブロックを製造する工程;(b)円筒孔に、試料をアレイする工程;(c)試料がアレイされたレシピエントブロックをベースモールドに入れ、包埋する工程;及び(d)組織マイクロアレイブロックを薄切する工程;からなる。通例的に、上記工程(d)で、組織ミクロトームで組織マイクロアレイブロックを薄切するために、工程(c)ではレシピエントブロック上にカセットを載置し、包埋する。これにより、カセットが組織マイクロアレイブロックに一体的に付着される。即ち、カセットが必須的に利用される。また、組織ミクロトームは、組織マイクロアレイブロック全体を薄切するので、レシピエントブロックは使い捨てである。
【0021】
用語「レシピエントブロック製造用モルド40、50」は、一定空間を有し、上記一定空間の内部一側底面に試料収容穴が多数個備えられている。上記レシピエントブロック製造用モルドは、ベースモールドとミクロトームの利用時に、容易性を提供するために、上記モルドのフレーム全体または一部で断面が段差を有するようにすることが好ましい。上記試料収容穴は、底面に円筒穴41または底面から突出された円筒穴51で形成され得る。
【0022】
図3a及びbは、本発明に係るレシピエントブロック製造用モルドの一様態をそれぞれ示した斜視図と断面図である。試料収容穴が底面に円筒穴41で形成され、モルドのフレーム全体で断面が段差を形成している。上記様態のレシピエントブロック製造用モルドは、底面に孔42をさらに備えることが好ましい。上記孔は後記する組織マイクロアレイブロックの製造方法により溶融されたレシピエントブロックの原料が移動する通路として機能するため、形態、直径及び個数において特に制限がない。
【0023】
図4a及び4bは、本発明に係るレシピエントブロック製造用モルドのさらに別の様態をそれぞれ示した斜視図と断面図である。試料収容穴が底面から突出された円筒穴51で形成され、モルドのフレーム全体で断面が段差を形成している。上記様態のレシピエントブロック製造用モルドは、底面が格子状に構成されることが好ましい。このように形成された格子間の空間52は後記する組織マイクロアレイブロックの製造方法により溶融されたレシピエントブロックの原料が移動する通路として機能する。
【0024】
本発明のレシピエントブロック製造用モルドは、上述するような構造的特徴によってカセットとしての役割も果たすことができる。試料収容穴は試料を収納するので、試料の個数によって試料収容穴の個数も自由に調整可能である。試料収容穴の内径は特に制限されないが、1〜5mmが好ましく、2〜5mmがより好ましい。
【0025】
本発明に係るレシピエントブロック製造用モルドは、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカルボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フッ素樹脂、セルロース樹脂、アセタール樹脂の中から選択されたものであるが、これらに制限されない。
【0026】
本発明に係るレシピエントブロック製造用モルドは、レシピエントブロックを製造するために、レシピエントブロック製造用モルドと命名したが、レシピエントブロックを製造し、試料をアレイし、試料トレーシピエントブロック原料とを同時に包埋して最終的に組織マイクロアレイブロックを製造する。従って、本発明に係るレシピエントブロック製造用モルドを利用して、組織マイクロアレイブロックを製造する方法が本発明の一側面を形成する。
【0027】
本発明に係るレシピエントブロック製造用モルドを利用して組織マイクロアレイブロックを製造する場合には、(1)上記レシピエントブロック製造用モルドの試料収容穴に試料をアレイする工程;(2)上記レシピエントブロック製造用モルドをベースモールドに入れ、試料をベースモールドの底面方向へ押しつめる工程;(3)上記ベースモールドを液状のレシピエントブロックの原料で充填し、指定された温度と時間の間放置する工程;及び(4)レシピエントブロックの原料が硬化されれば、レシピエントブロック製造用モルドに付着された組織マイクロアレイブロックを分離する工程;を経る。以下、工程別に具体的に説明する。
【0028】
工程(1)では、例えば、穿孔機を利用して本発明に係るレシピエントブロック製造用モルドの試料収容穴に、試料をアレイする。穿孔機を用いる場合、レシピエントブロック製造用モルドの試料収容穴と類似する貫通孔の内径を有する穿孔機を選択する。
【0029】
工程(2)では、まず、上記レシピエントブロック製造用モルドをベースモールド、即ち、ベースモールドの空間に入れる。レシピエントブロック製造用モルドとベースモールドはトレー形態であるため、工程(2)によってベースモールドにレシピエントブロック製造用モルドを入れれば、二つのトレーが重なったような形状となる。ここで、レシピエントブロック製造用モルドの試料収容穴の底面とベースモールドの内部底面とが離隔され、一定空間が形成されるようにすることが好ましい。上記空間が、後でレシピエントブロックの原料で充填され、レシピエントブロックになるからである。
【0030】
続いて、スティックなどを利用して試料をベースモールドの底面方向へ押しつめる。このようにして、レシピエントブロック製造用モルドの試料収容穴の底面とベースモールドの内部底面とを離隔させ、一定空間を形成させるか、または工程(2)で一定空間が既に形成されたとすれば、さらに、より多くの一定の空間を確保することができる。この時、できるだけ試料の多くの部分がレシピエントブロック製造用モルドの試料収容穴の底面とベースモールドの内部底面と間の空間に移動するようになり、できるだけ試料の少ない部分が試料料収容穴に残こるようにする。
【0031】
工程(3)では、上記ベースモールドを液状のレシピエントブロックの原料で充填する。上記レシピエントブロックの原料としては、パラフィン、微結晶ワックス、蜜ろう、アガロースまたは寒天が挙げられるが、少なくともパラフィンを含むことが好ましい。パラフィンの場合には、45〜60℃で溶融されるため、その温度以上、好ましくは60〜62℃以上に加温すると、液状で得ることができる。
【0032】
液状のレシピエントブロックの原料は、レシピエントブロック製造用モルドの試料収容穴の中から、試料が充填されない試料収容穴があるとき、その試料収容穴を介して及び/又は本発明のレシピエントブロックが孔を有している場合には、その孔を介して、レシピエントブロックの試料収容穴の底面とベースモールドの内部底面と間に形成された空間へ移動するようになる。このとき、レシピエントブロックの原料をレシピエントブロック製造用モルドの上端面の少なくとも一部分が浸漬するように十分に充填することが好ましい。このようにすれば、後記する工程(4)によって硬化された後、レシピエントブロック製造用モルドが組織マイクロアレイブロックに堅固に接着され、後で、組織マイクロアレイブロックの薄切及び処理に有利に作用する。
【0033】
このように液状のレシピエントブロックの原料を注いだ後、オーブンなどに指定された温度で、指定された時間の間放置して包埋する。これにより、レシピエントブロックの原料と試料またはドナーブロックをなす物質とが溶融され得る。ここで、指定された温度は好ましくは上述した、パラフィンの溶融温度45〜60℃、指定された時間は10〜60分、好ましくは20〜30分である。また、オーブンの代りに指定された温度を保持することができる任意の場所及び装置を利用できるが、好ましくはパラフィンオーブン(paraffin oven)を用いる。
【0034】
工程(4)では、レシピエントブロックの原料が硬化されれば、ベースモールドから、レシピエントブロック製造用モルドとこれに付着された組織マイクロアレイブロックを共に分離する。
【0035】
従来、レシピエントブロックを利用して組織マイクロアレイブロックを製造する場合には、レシピエントブロックを製造する工程が必要とされていたが、本発明では、別にレシピエントブロックを製造する工程を必要としない。また、従来には、レシピエントブロックの円筒孔に試料を充填した後、ベースモールド内に位置させ、加熱し、包埋し、カセットを付着させたが、本発明では工程(4)でレシピエントブロックが形成され、試料がアレイされながら同時に包埋されるため、工程が簡単になった。さらに、本発明に係るレシピエントブロック製造用モルドはそれ自体がカセットとしての役割を果たすため、カセット及びこれを付着させる手順をいずれも省略することができる。
【実施例】
【0036】
以下、実施例は本発明を具体的に説明するためだけであり、本発明の要旨によって本発明の範囲がこれらの実施例によって制限されないことは、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者にとっては明らかである。
【0037】
実施例:組織マイクロアレイブロックの製造
図5aに示されるように、上記レシピエントブロック製造用モルドの試料収容穴の内径と類似する貫通孔の内径を有する穿孔機を利用して、ドナーブロックからコアを分離し、レシピエントブロック製造用モルドの試料収容穴にアレイした。
【0038】
図5bに示されるように、本発明のレシピエントブロック製造用モルドをベースモールドの空間に入れた。このとき、レシピエントブロック製造用モルドの試料収容穴の底面とベースモールドの内部底面とが離隔され、一定空間が形成されるようにした。続いて、スティックを利用して試料をベースモールドの底面方向へ押しつめた。
【0039】
図5cに示されるように、上記ベースモールドを液状のレシピエントブロックの原料で十分に充填し、図5dに示されるように、パラフィンオーブン内に60〜62℃の温度で、20〜30分間放置した。次に、冷却板で完全に硬化させた後、ベースモールドから組織マイクロアレイブロックを分離した。
【0040】
図5eに示されるように、完成された組織マイクロアレイブロックは、組織ミクロトームで薄切し、薄切された切片をガラススライド上に載置した後、目的する一組職検査を行って、顕微鏡で観察した。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明に係るレシピエントブロック製造用モルドを利用すれば、レシピエントブロックを製造すると同時に、レシピエントブロックに試料がアレイされ、包埋されることによって、レシピエントブロックを製造し、このように製造されたレシピエントブロックに試料を充填及び包埋する工程を省略することができ、組織マイクロアレイブロックを製造する工程を効率的で、且つ簡単になる。
【0042】
以上で本発明の記載された具体例だけを詳細に説明した。しかし、本発明の技術思想範囲内で様々な変形及び修飾が可能であることは当業者にとって自明なことであり、このような変形及び修飾が添付された特許請求の範囲に属ものである。
【符号の説明】
【0043】
10 ベースモールド
20 カセット
30 レシピエントブロック
31 円筒孔
40 レシピエントブロック製造用モルド
41 円筒穴
42 孔
50 レシピエントブロック製造用モルド
51 突出された円筒穴
52 格子間の空間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定空間を有し、上記一定空間の内部一側底面に試料収容穴が多数個備えられたレシピエントブロック製造用モルド。
【請求項2】
上記レシピエントブロック製造用モルドのフレーム全体または一部で断面が段差を形成するようになされたことを特徴とする請求項1に記載のレシピエントブロック製造用モルド。
【請求項3】
上記試料収容穴は、底面に円筒穴または底面から突出された円筒穴で形成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載のレシピエントブロック製造用モルド。
【請求項4】
試料収容穴が底面に円筒穴で形成された場合には、
底面にレシピエントブロック原料の通過のために孔が、さらに備えられていることを特徴とする請求項3に記載のレシピエントブロック製造用モルド。
【請求項5】
試料収容穴が底面から突出された円筒穴の場合には、
底面がレシピエントブロック原料の通過のために、格子状になっていることを特徴とする請求項3に記載のレシピエントブロック製造用モルド。
【請求項6】
ポリエチレン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカルボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フッ素樹脂、セルロース樹脂及びアセタール樹脂よりなる群から選択された樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のレシピエントブロック製造用モルド。
【請求項7】
(1)請求項1〜6のいずれか1項に記載のレシピエントブロック製造用モルドの試料収容穴に試料をアレイする工程;(2)上記レシピエントブロック製造用モルドをベースモールドに入れ、試料をベースモールドの底面方向へ押しつめる工程;(3)上記ベースモールドを液状のレシピエントブロックの原料で充填し、指定された温度と時間の間放置する工程;及び(4)レシピエントブロックの原料が硬化されれば、レシピエントブロック製造用モルドに付着された組織マイクロアレイブロックを分離する工程;
を含む組織マイクロアレイブロックの製造方法。
【請求項8】
工程(2)で、レシピエントブロック製造用モルドの試料収容穴の底面とベースモールドの内部底面とが離隔され、一定空間が形成されるようにすることを特徴とする請求項7に記載の組織マイクロアレイブロックの製造方法。
【請求項9】
レシピエントブロックの原料は、パラフィンを含むことを特徴とする請求項8に記載の組織マイクロアレイブロックの製造方法。
【請求項10】
工程(3)で、指定された温度は45〜60℃以上、指定された時間は10〜60分であることを特徴とする請求項7に記載の組織マイクロアレイブロックの製造方法。
【請求項1】
一定空間を有し、上記一定空間の内部一側底面に試料収容穴が多数個備えられたレシピエントブロック製造用モルド。
【請求項2】
上記レシピエントブロック製造用モルドのフレーム全体または一部で断面が段差を形成するようになされたことを特徴とする請求項1に記載のレシピエントブロック製造用モルド。
【請求項3】
上記試料収容穴は、底面に円筒穴または底面から突出された円筒穴で形成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載のレシピエントブロック製造用モルド。
【請求項4】
試料収容穴が底面に円筒穴で形成された場合には、
底面にレシピエントブロック原料の通過のために孔が、さらに備えられていることを特徴とする請求項3に記載のレシピエントブロック製造用モルド。
【請求項5】
試料収容穴が底面から突出された円筒穴の場合には、
底面がレシピエントブロック原料の通過のために、格子状になっていることを特徴とする請求項3に記載のレシピエントブロック製造用モルド。
【請求項6】
ポリエチレン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカルボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フッ素樹脂、セルロース樹脂及びアセタール樹脂よりなる群から選択された樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のレシピエントブロック製造用モルド。
【請求項7】
(1)請求項1〜6のいずれか1項に記載のレシピエントブロック製造用モルドの試料収容穴に試料をアレイする工程;(2)上記レシピエントブロック製造用モルドをベースモールドに入れ、試料をベースモールドの底面方向へ押しつめる工程;(3)上記ベースモールドを液状のレシピエントブロックの原料で充填し、指定された温度と時間の間放置する工程;及び(4)レシピエントブロックの原料が硬化されれば、レシピエントブロック製造用モルドに付着された組織マイクロアレイブロックを分離する工程;
を含む組織マイクロアレイブロックの製造方法。
【請求項8】
工程(2)で、レシピエントブロック製造用モルドの試料収容穴の底面とベースモールドの内部底面とが離隔され、一定空間が形成されるようにすることを特徴とする請求項7に記載の組織マイクロアレイブロックの製造方法。
【請求項9】
レシピエントブロックの原料は、パラフィンを含むことを特徴とする請求項8に記載の組織マイクロアレイブロックの製造方法。
【請求項10】
工程(3)で、指定された温度は45〜60℃以上、指定された時間は10〜60分であることを特徴とする請求項7に記載の組織マイクロアレイブロックの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図5e】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図5e】
【公表番号】特表2010−511889(P2010−511889A)
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−540138(P2009−540138)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【国際出願番号】PCT/KR2007/006144
【国際公開番号】WO2008/069502
【国際公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(509161369)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【国際出願番号】PCT/KR2007/006144
【国際公開番号】WO2008/069502
【国際公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(509161369)
【Fターム(参考)】
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