レシートプリンタ
【課題】印刷された情報を滲ませずにレシート用紙を折りたたんで買い物客にとって取り扱いやすい形状のレシートを発行するレシートプリンタを提供する。
【解決手段】レシート用紙保持部と排出部との間を連絡してレシート用紙5を案内する搬送経路上に、搬送経路の上流側をなす第1の要素15と下流側をなす第2の要素16とを有する折りたたみ機構14を具備する。レシートプリンタは、折りたたみ機構14の第2の要素16を回転駆動制御する回動制御手段を備え、印刷後のレシート用紙5を第2の要素16まで搬送し、レシート用紙5を搬送経路に拘束させ、第2の要素16を第1の要素15に接合するまで回動駆動させてレシート用紙5を折りたたみ、その後第2の要素16を初期位置に復帰させて、レシート用紙5を解放し、搬送経路沿いに搬送する。
【解決手段】レシート用紙保持部と排出部との間を連絡してレシート用紙5を案内する搬送経路上に、搬送経路の上流側をなす第1の要素15と下流側をなす第2の要素16とを有する折りたたみ機構14を具備する。レシートプリンタは、折りたたみ機構14の第2の要素16を回転駆動制御する回動制御手段を備え、印刷後のレシート用紙5を第2の要素16まで搬送し、レシート用紙5を搬送経路に拘束させ、第2の要素16を第1の要素15に接合するまで回動駆動させてレシート用紙5を折りたたみ、その後第2の要素16を初期位置に復帰させて、レシート用紙5を解放し、搬送経路沿いに搬送する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レシート用紙を折りたたんで発行するレシートプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、取引情報を印刷したレシートを折りたたんで排出する発明がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、取り忘れ等により受け取られなかったレシートを搬送ローラで折りたたんで回収する装置が開示されている。図16に、特許文献1に記載された、レシートを折りたたんで回収するレシート処理機構を示す。この機構によれば、レシートの略中央の折りたたみ位置が搬送経路6を構成する2枚のブレードの繋ぎ目位置に位置付けられるようにレシート5を搬送し、ブレード50を切り替えてレシート5を搬送経路6から解放し、レシート5を膨らませる方向に複数の搬送ローラ51を回転させ、その後、別の2つの搬送ローラ52により膨らんだ部分を押しつぶすことで、レシートを折りたたむ。
【0004】
【特許文献1】特開2003−168163公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、買い物客は、商品を購入した時に発行されたレシートを、折りたたまれていないそのままの形状で受け取る。しかし、購入した商品の品目が多いために記載事項が増えて長いレシートが発行された場合、買い物客はこのようなレシートを折りたたんで財布に収納する手間を強いられることになる。このような手間を強いられる客が多くなると、レジ近傍に買い物客の滞留が発生し、結果的にレジの回転率が低下しかねない。
【0006】
この課題を解決するために、特許文献1では印刷済みのレシート用紙を搬送ローラで、レシート用紙が膨らんだ部分を押しつぶして折りたたむ手法が採用されている。しかし、この手法では、搬送ローラとの間の摩擦によって、レシート用紙に印刷された情報が滲むおそれがある。また、特許文献1で採用されている機構ではレシート用紙が多くのローラを通過するため、紙ジャムが発生しやすい。
【0007】
本発明の目的は、印刷された情報を滲ませずにレシート用紙を折りたたんで買い物客にとって取り扱いやすい形状のレシートを発行するレシートプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のレシートプリンタは、ロール状に巻回されたレシート用紙を保持するレシート用紙保持部とレシート用紙排出部との間を連絡し前記レシート用紙を案内する搬送経路と、前記レシート用紙に搬送力を与えて前記搬送経路に沿って搬送させる搬送機構と、前記搬送経路の途中に配置され前記レシート用紙に情報を印刷する印刷機構と、前記印刷機構よりも前記搬送経路の下流側に配置され前記レシート用紙を切断する切断機構と、前記印刷機構と前記切断機構との間の前記搬送経路上で当該搬送経路の上流側をなす第1の要素と下流側をなす第2の要素とを有し、前記第1の要素と前記第2の要素との少なくとも一方が前記レシート用紙を拘束した状態で、前記第2の要素を前記第1の要素に接合するまで回動して当該レシート用紙を折りたたむ折りたたみ機構と、前記第2の要素を前記搬送経路を構成する初期位置と前記第1の要素に接合する折りたたみ位置との間で変位動作させる動力源と、印刷後の前記レシート用紙が前記第2の要素の位置まで搬送された状態で当該第2の要素が前記折りたたみ位置に変位した後に前記初期位置に復帰するように前記動力源を駆動制御する回動制御手段と、を具備する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第2の要素の回動動作のみでレシート用紙を折りたたむので、印刷された情報を滲ませることがなく、折りたたんだ状態のレシートを発行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施の一形態を図1ないし図15に基づいて説明する。
【0011】
本実施の形態の説明は、次の項目に沿ってなされる。
【0012】
1.構造の概要
2.システムの詳細
3.レシート作成処理
(1)データ受信
(2)印刷処理
(3)折りたたみ処理
(4)切断処理
4.効果
以下、上記項目の順に説明する。
1.構造の概要
図1は、本実施の形態の概要を示す全体の模式図である。
【0013】
本実施の形態のレシートプリンタ1は、外観構成を図示しないPOSターミナルに内蔵され、各部をメインフレーム2に保持されて構成されている。このようなレシートプリンタ1は、POSターミナルのハウジング上面に着脱自在に取り付けられた図示しないプリンタカバーに覆われ、図示しないプリンタカバーを取り外すと外部に露出するように位置付けられている。
【0014】
メインフレーム2は、レシート用紙5を収納保持するレシート用紙保持部3を有し、レシート用紙保持部3と図示しないPOSターミナルに設けられたレシート用紙排出部4との間を連絡しレシート用紙5を案内する搬送経路6上に各部を配置している。これらの各部としては、搬送機構9と、印刷機構11と、折りたたみ機構14と、押圧機構20と、切断機構18とが設けられている。折りたたみ機構14は、搬送経路6の一部を構成している。
【0015】
レシート用紙保持部3は、シャーシ2aに対して着脱自在である細い円筒部材の支持軸21を具備する。支持軸21は、ロール状に巻回されたレシート用紙5の中心穴を貫通し、レシート用紙5を回動自在に保持する。
【0016】
搬送機構9は、レシート用紙5に搬送力を与えて搬送経路に沿って搬送させるプラテンローラ10を具備する。プラテンローラ10の表層に用いる素材は、SBRやEPDMなどのゴム素材である。
【0017】
搬送経路6は、レシート用紙5にあてがわれる略平板状の金属板の案内部材7と、レシート用紙5の搬送方向を屈曲させる補助ローラ8とにより構成される。搬送経路6は、搬送機構9によって引き出されたレシート用紙5を、レシート用紙排出部4まで案内する。
【0018】
印刷機構11は、レシート用紙5に情報を印刷する印刷ヘッド12を具備する。印刷ヘッド12は、プラテンローラ10とともに、搬送経路6上のレシート用紙5を挟みこむように設置されるサーマルヘッドである。
【0019】
図2は、折りたたみ機構14の外観斜視図である。
【0020】
図3は、レシート用紙5が乗った状態の折りたたみ機構14の外観斜視図である。
【0021】
図4は、折りたたみ機構14の外観平面図である。
【0022】
折りたたみ機構14は、印刷機構11よりも下流側に配置されている。折りたたみ機構14は、印刷機構11と後述する切断機構18との間の搬送経路6上で、搬送経路6の上流側をなす第1の要素である折りたたみ固定部15と、搬送経路6の下流側をなす第2の要素である折りたたみ駆動部16と、を具備する。
【0023】
折りたたみ固定部15は、搬送経路6を構成する路面上に空気孔24を設けた第1矩形平板23であり、シャーシ2aに保持されている。第1矩形平板23の下流側面には、レシート用紙5の搬送方向と直交する方向に貫通孔を備えた第1ヒンジ筒23aが凹字に突設して一体形成されている。また、第1矩形平板23の両側面には、第1矩形平板23上に搬送されたレシート用紙5の両端部を搬送経路6に対し垂直方向に移動しないように拘束する、コ字型に屈曲した拘束部材25が一体接続されている。拘束部材25の下流側端は、第1矩形平板23の下流側端近傍に位置付けられている。また、拘束部材25の上流側端は、レシート用紙5を挿通しやすいように第1矩形平板23との間隔を広く設けている。そして、拘束部材25と第1矩形平板23との間には、レシート用紙5を搬送して挿通させる際に、レシート用紙5の印刷面を拘束部材25に擦り合わせずに搬送させることが可能な程度に、レシート用紙5の厚さよりも僅かに厚みのある空間を形成されている。
【0024】
また、折りたたみ固定部15の底面には、図示しない減圧ポンプ(ブロック図(図9)の26参照)の動作によって、空気孔24から空気を吸引するアダプタ26が接続されている。図示しない減圧ポンプは、アダプタ26を通じて空気孔24から空気を吸引して、第1矩形平板23上に搬送されたレシート用紙5を浮き上がらないように拘束する。
【0025】
折りたたみ駆動部16は、上流側横側面に平面翼28を一体形成した第2矩形平板27であり、上流側面にレシート用紙5の搬送方向と直交する方向に貫通孔を備えた第2ヒンジ筒27aを凸字に突設して一体形成している。
【0026】
なお、本実施の形態では、空気孔24を第1矩形平板23に設けて、折りたたみ固定部15の底面にアダプタ16を接続しているが、別の実施の形態として、空気孔24を第2矩形平板27に設けて、折りたたみ駆動部16の底面にアダプタ16を接続したり、また、空気孔24を第1矩形平板23および第2矩形平板27の両方に設けて、折りたたみ固定部15および折りたたみ駆動部16の両方の底面にアダプタ16を接続するようにしても良い。
【0027】
折りたたみ固定部15と折りたたみ駆動部16とは、第1ヒンジ筒23aと第2ヒンジ筒27aとを嵌合させた状態で両方の貫通孔に貫通するヒンジ17を介して回動自在に接続されている。そして、折りたたみ駆動部16はシャーシ2aに保持される動力源22によって、搬送経路6を構成する初期位置と、折りたたみ固定部15に接合する折りたたみ位置との間で変位する。
【0028】
図5は、折りたたみ固定部15と折りたたみ駆動部16との接続部分の側面図である。
【0029】
図6は、折りたたみ固定部15と折りたたみ駆動部16との接続部分の平面図である。
【0030】
折りたたみ駆動部16の一部を構成する平面翼28の側面には、ヒンジ17を回動軸としてヒンジ17の端部に回動自在に接続された摩擦車29が接続されている。摩擦車29にはワイヤ30が掛け回されている。ワイヤ30の一端には、回動モータ105の動作によりワイヤ30を第2矩形平板27が第1矩形平板23と接合するように回動する方向(以下、閉方向という)に引っ張り、折りたたみ駆動部16を回動させる巻取ドラム32が接続されている。また、ワイヤ30の他端には、回動モータ105が通電停止すると、ワイヤ30を閉方向とは逆の方向(以下、開方向という)に引っ張り、折りたたみ駆動部16を初期位置まで回動復帰させる復帰バネ33が接続されている。
【0031】
つまり、折りたたみ駆動部16は、回動モータ105が動作することにより、ヒンジ17を回動中心として折りたたみ固定部15に接合するまで回動し、その後回動モータ105が通電停止することにより初期位置まで復帰する。
【0032】
図7は、押圧機構14の外観斜視図である。
【0033】
図8は、図7のB−B線断面図である。
【0034】
押圧機構20は折りたたみ機構14よりも搬送経路6の下流側に配置されている。押圧機構20は、押圧機構20全体を保持するフレーム34と、フレーム34に格納され下面が僅かに凸状に丸みを帯びた略平面形状のゴム素材であり搬送経路6を形成する案内部材7に対し垂直方向に移動自在である押圧部材35と、後述する押圧駆動源である押圧モータ106の動作により押圧部材35を搬送経路6に対し垂直方向にプレスさせる伝達部材37と、フレーム34と押圧部材35とを接続する押圧部材復帰バネ36と、を具備する。
【0035】
押圧部材35は、シャーシ2aに保持される押圧モータ106によって、案内部材7に圧接するプレス位置と折りたたまれた状態で案内部材7に沿って搬送されるレシート用紙5に接触しない程度に案内部材7から離れている待機位置との間で変位する。
【0036】
切断機構18は、押圧機構20よりも搬送経路6の下流側に配置され、カッタ動作用モータ107の動作によりレシート用紙5を切断するカッタ19を具備する。
2.システムの詳細
図9は、レシートプリンタ1のシステム構成を示すブロック図である。
【0037】
レシートプリンタ1は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等で構成される主制御部101を具備する。主制御部101は、ステッピングモータ104と、印刷ヘッド12と、印刷データバッファ13と、回動モータ105と、減圧ポンプ26と、押圧モータ106と、カッタ動作用モータ107とに接続されている。また、主制御部101は、POSターミナル制御部102とデータ送受信を実行し得るように接続されている。
3.レシート作成処理
図10は、レシートプリンタ1が実行するレシート作成処理のフローチャートである。
【0038】
以下、図10に示すフローチャートに従って説明する。
(1)データ受信
POSターミナル制御部102からレシートプリンタ1にレシート記載事項に関するデータが送信されると、主制御部101はそのデータを受信し、主制御部101内のRAMに記憶する(ST1)。
(2)印刷処理
続く処理として、主制御部101は、RAMに記憶したデータから構成される印刷データを印刷データバッファ13に送信し、印刷ヘッド12を制御してレシート用紙5に印刷する(ST2)。
【0039】
図11は、レシートプリンタ1が印刷処理で作成するレシートの模式図である。
【0040】
印刷機構11は、レシート用紙5に、基本フォーム111と、購入商品データ112と、取引情報113とを印刷してレシートを作成する。基本フォーム111は、店舗名のロゴ、セールの案内、「毎度ご来店ありがとうございます」などのメッセージで構成されるレシート構成要素のひとつである。購入商品データ112は、買い物客が購入した商品名、その単価、個数などのフィールドで構成されるリストであるレシート構成要素のひとつである。取引情報113は、合計金額、お預かり金額、お釣りの金額、レシート発行日時で構成されるレシート構成要素のひとつである。
(3)折りたたみ処理
続く処理として、レシートプリンタ1は折りたたみ処理を行う(ST3)。
【0041】
図12は、レシートプリンタ1が実行する折りたたみ処理のフローチャートである。
【0042】
図13は、図2のA−A線断面図において、レシートプリンタ1がレシート用紙5を折りたたむ工程を示す模式図である。
【0043】
以下、折りたたみ処理について、図12に示すフローチャートに従って説明する。
【0044】
印刷処理直後では、レシート用紙5の先端5eは、印刷ヘッド12の位置から印刷長Pだけ下流側に位置付けられている(図13(a))。
【0045】
まず、主制御部101は、プラテンローラ10を動作させるステッピングモータ104の印刷処理(ST2)におけるステップ数から印刷長Pを算出する(ST11)。
【0046】
続く処理として、主制御部101は、算出したPと予め設定されたレシート用紙5の折りたたみ長Lとを比較して、レシート用紙5を折りたたむ必要があるかどうかの判定を実行する(ST12)。P≦Lであってレシート用紙5を折りたたむ必要がない場合(ST12のN)、レシートプリンタ1はレシート用紙5を折りたたまずに処理を終了する。
【0047】
これに対し、P>Lである場合(ST12のY)、主制御部101はステッピングモータ104を動作させて、レシート用紙5を距離P−(L+R)だけ上流側に搬送する(Rは印刷ヘッド12からヒンジ17までの距離)。これにより、レシート先端5eから距離Lまでの部分が折りたたみ駆動部16に載置される(ST13、図13(b))。
【0048】
続く処理として、主制御部101は減圧ポンプ26を動作させて、レシート用紙5のうち折りたたみ固定部15に載置されている部分を第1矩形平板23に拘束する(ST14、図13(c))。
【0049】
続く処理として、主制御部101は回動モータ105を動作させて折りたたみ駆動部16を折りたたみ位置まで閉方向に回動し、レシート用紙5を閉方向に折りたたむ(ST15)。レシート用紙5は、拘束部材25の下流側端によって、先端5eから距離Lだけ上流の位置に折り目5dを形成して折りたたまれる(図13(d))。
【0050】
続く処理として、主制御部101は回動モータ105を通電停止させて(ST16)、折りたたみ駆動部16を初期位置に復帰させる(図13(e))。
【0051】
復帰する時間の待機後に続く処理として、主制御部101は減圧ポンプ26を通電停止させて、第1矩形平板23に拘束されていたレシート用紙5を解放する(ST17、図13(f))。
【0052】
続く処理として、主制御部101はステッピングモータ104を動作させて、レシート用紙5をヒンジ17から押圧部材35までの距離Qだけ下流方向に搬送し、折り目5dを押圧部材35の位置に位置付ける(ST18、図13(g))。
【0053】
続く処理として、主制御部101は押圧モータ106を動作させて押圧部材28をプレス位置まで移動させて折り目5dをプレスし、その後に、押圧モータ106を停止させて押圧部材35を待機位置に復帰させる(ST19、図13(h)(i))。
【0054】
このような手段で、レシートプリンタ1は折りたたみ駆動部16の回動動作によって、レシート用紙5の先端5eから距離Lの部分を折りたたむ。
(4)切断処理
続く処理として、レシートプリンタ1は切断処理を行う(ST4)。
【0055】
図14は、レシートプリンタ1が実行する切断処理のフローチャートである。
【0056】
図15は、レシート用紙5の切断位置5cを示す説明図である。
【0057】
以下、切断処理について、図14に示すフローチャートに従って説明する。
【0058】
まず、主制御部101はレシート用紙5の切断位置を決定する。
【0059】
P≦Lであれば、図15(a)に示すようにレシート用紙5は折りたたまれない。この場合(ST31のN)、主制御部101は印刷終端5bを切断位置5cと決定する(ST34)。
【0060】
L<P<2Lであれば、図15(b)に示すようにレシート用紙5が折りたたまれ(ST31のY)、レシート層の中に印刷終端5bが存在する状態になる。この場合(ST32のY)、主制御部101は折りたたまれたレシート用紙5の最下流端の折り目5dから距離Lだけ上流の位置を切断位置5cに決定する(ST33)。
【0061】
P≧2Lであれば、図15(c)に示すようにレシート用紙5が折りたたまれ(ST31のY)、レシート層の外に印刷終端5bが存在する状態になる。この場合(ST32のN)、主制御部101は印刷終端5bを切断位置5cと決定する(ST34)。
【0062】
切断位置5cを決定した後に続く処理として、主制御部101はステッピングモータ104を動作させて切断位置5cをカッタ19に位置付けた後に、カッタ動作用モータ107を動作させてレシート用紙5を切断位置5cで切断する(ST35)。レシート用紙5の下流側で切断された部分5aは、レシート排出部4より排出される(図1参照)。
【0063】
続く処理として、主制御部101は、ステッピングモータ104を動作させてレシート用紙5をカッタ19から印刷ヘッド12までの距離S(図13(a)参照)だけ上流方向に搬送し、切断されて新たに形成されたレシート用紙5の先端(図示せず)を印刷ヘッド23に位置付ける(ST36)。
4.効果
本実施の形態のレシートプリンタ1によれば、折りたたみ機構14の回動動作のみでレシート用紙5を折りたたむことができ、したがって、印刷された情報を滲ませることがなく、折りたたんだ状態のレシートを発行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本実施の形態の概要を示す全体の模式図である。
【図2】折りたたみ機構の外観斜視図である。
【図3】レシート用紙が乗った状態の折りたたみ機構の外観斜視図である。
【図4】折りたたみ機構の外観平面図である。
【図5】折りたたみ固定部と折りたたみ駆動部との接続部分の側面図である。
【図6】折りたたみ固定部と折りたたみ駆動部との接続部分の平面図である。
【図7】押圧機構の外観斜視図である。
【図8】図7のB−B線断面図である。
【図9】レシートプリンタのシステム構成を示すブロック図である。
【図10】レシートプリンタが実行するレシート作成処理のフローチャートである。
【図11】レシートプリンタが作成するレシートの模式図である。
【図12】レシートプリンタが実行する折りたたみ処理のフローチャートである。
【図13】図2のA−A線断面図において、レシートプリンタがレシート用紙を折りたたむ工程を示す模式図である。
【図14】レシートプリンタが実行する切断処理のフローチャートである。
【図15】レシート用紙の切断位置を示す説明図である。
【図16】従来のレシートを折りたたんで回収するレシート処理機構を示す模式図である。
【符号の説明】
【0065】
1…レシートプリンタ、3…レシート用紙保持部、4…レシート用紙排出部、5…レシート用紙、5d…折り目、6…搬送経路、7…案内部材、9…搬送機構、11…印刷機構、14…折りたたみ機構、15…第1の要素、16…第2の要素、19…切断機構、20…押圧機構、22…動力源、24…空気孔、25…拘束部材、26…減圧ポンプ、33…復帰バネ、35…押圧部材、105…回動モータ、106…押圧モータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、レシート用紙を折りたたんで発行するレシートプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、取引情報を印刷したレシートを折りたたんで排出する発明がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、取り忘れ等により受け取られなかったレシートを搬送ローラで折りたたんで回収する装置が開示されている。図16に、特許文献1に記載された、レシートを折りたたんで回収するレシート処理機構を示す。この機構によれば、レシートの略中央の折りたたみ位置が搬送経路6を構成する2枚のブレードの繋ぎ目位置に位置付けられるようにレシート5を搬送し、ブレード50を切り替えてレシート5を搬送経路6から解放し、レシート5を膨らませる方向に複数の搬送ローラ51を回転させ、その後、別の2つの搬送ローラ52により膨らんだ部分を押しつぶすことで、レシートを折りたたむ。
【0004】
【特許文献1】特開2003−168163公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、買い物客は、商品を購入した時に発行されたレシートを、折りたたまれていないそのままの形状で受け取る。しかし、購入した商品の品目が多いために記載事項が増えて長いレシートが発行された場合、買い物客はこのようなレシートを折りたたんで財布に収納する手間を強いられることになる。このような手間を強いられる客が多くなると、レジ近傍に買い物客の滞留が発生し、結果的にレジの回転率が低下しかねない。
【0006】
この課題を解決するために、特許文献1では印刷済みのレシート用紙を搬送ローラで、レシート用紙が膨らんだ部分を押しつぶして折りたたむ手法が採用されている。しかし、この手法では、搬送ローラとの間の摩擦によって、レシート用紙に印刷された情報が滲むおそれがある。また、特許文献1で採用されている機構ではレシート用紙が多くのローラを通過するため、紙ジャムが発生しやすい。
【0007】
本発明の目的は、印刷された情報を滲ませずにレシート用紙を折りたたんで買い物客にとって取り扱いやすい形状のレシートを発行するレシートプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のレシートプリンタは、ロール状に巻回されたレシート用紙を保持するレシート用紙保持部とレシート用紙排出部との間を連絡し前記レシート用紙を案内する搬送経路と、前記レシート用紙に搬送力を与えて前記搬送経路に沿って搬送させる搬送機構と、前記搬送経路の途中に配置され前記レシート用紙に情報を印刷する印刷機構と、前記印刷機構よりも前記搬送経路の下流側に配置され前記レシート用紙を切断する切断機構と、前記印刷機構と前記切断機構との間の前記搬送経路上で当該搬送経路の上流側をなす第1の要素と下流側をなす第2の要素とを有し、前記第1の要素と前記第2の要素との少なくとも一方が前記レシート用紙を拘束した状態で、前記第2の要素を前記第1の要素に接合するまで回動して当該レシート用紙を折りたたむ折りたたみ機構と、前記第2の要素を前記搬送経路を構成する初期位置と前記第1の要素に接合する折りたたみ位置との間で変位動作させる動力源と、印刷後の前記レシート用紙が前記第2の要素の位置まで搬送された状態で当該第2の要素が前記折りたたみ位置に変位した後に前記初期位置に復帰するように前記動力源を駆動制御する回動制御手段と、を具備する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第2の要素の回動動作のみでレシート用紙を折りたたむので、印刷された情報を滲ませることがなく、折りたたんだ状態のレシートを発行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施の一形態を図1ないし図15に基づいて説明する。
【0011】
本実施の形態の説明は、次の項目に沿ってなされる。
【0012】
1.構造の概要
2.システムの詳細
3.レシート作成処理
(1)データ受信
(2)印刷処理
(3)折りたたみ処理
(4)切断処理
4.効果
以下、上記項目の順に説明する。
1.構造の概要
図1は、本実施の形態の概要を示す全体の模式図である。
【0013】
本実施の形態のレシートプリンタ1は、外観構成を図示しないPOSターミナルに内蔵され、各部をメインフレーム2に保持されて構成されている。このようなレシートプリンタ1は、POSターミナルのハウジング上面に着脱自在に取り付けられた図示しないプリンタカバーに覆われ、図示しないプリンタカバーを取り外すと外部に露出するように位置付けられている。
【0014】
メインフレーム2は、レシート用紙5を収納保持するレシート用紙保持部3を有し、レシート用紙保持部3と図示しないPOSターミナルに設けられたレシート用紙排出部4との間を連絡しレシート用紙5を案内する搬送経路6上に各部を配置している。これらの各部としては、搬送機構9と、印刷機構11と、折りたたみ機構14と、押圧機構20と、切断機構18とが設けられている。折りたたみ機構14は、搬送経路6の一部を構成している。
【0015】
レシート用紙保持部3は、シャーシ2aに対して着脱自在である細い円筒部材の支持軸21を具備する。支持軸21は、ロール状に巻回されたレシート用紙5の中心穴を貫通し、レシート用紙5を回動自在に保持する。
【0016】
搬送機構9は、レシート用紙5に搬送力を与えて搬送経路に沿って搬送させるプラテンローラ10を具備する。プラテンローラ10の表層に用いる素材は、SBRやEPDMなどのゴム素材である。
【0017】
搬送経路6は、レシート用紙5にあてがわれる略平板状の金属板の案内部材7と、レシート用紙5の搬送方向を屈曲させる補助ローラ8とにより構成される。搬送経路6は、搬送機構9によって引き出されたレシート用紙5を、レシート用紙排出部4まで案内する。
【0018】
印刷機構11は、レシート用紙5に情報を印刷する印刷ヘッド12を具備する。印刷ヘッド12は、プラテンローラ10とともに、搬送経路6上のレシート用紙5を挟みこむように設置されるサーマルヘッドである。
【0019】
図2は、折りたたみ機構14の外観斜視図である。
【0020】
図3は、レシート用紙5が乗った状態の折りたたみ機構14の外観斜視図である。
【0021】
図4は、折りたたみ機構14の外観平面図である。
【0022】
折りたたみ機構14は、印刷機構11よりも下流側に配置されている。折りたたみ機構14は、印刷機構11と後述する切断機構18との間の搬送経路6上で、搬送経路6の上流側をなす第1の要素である折りたたみ固定部15と、搬送経路6の下流側をなす第2の要素である折りたたみ駆動部16と、を具備する。
【0023】
折りたたみ固定部15は、搬送経路6を構成する路面上に空気孔24を設けた第1矩形平板23であり、シャーシ2aに保持されている。第1矩形平板23の下流側面には、レシート用紙5の搬送方向と直交する方向に貫通孔を備えた第1ヒンジ筒23aが凹字に突設して一体形成されている。また、第1矩形平板23の両側面には、第1矩形平板23上に搬送されたレシート用紙5の両端部を搬送経路6に対し垂直方向に移動しないように拘束する、コ字型に屈曲した拘束部材25が一体接続されている。拘束部材25の下流側端は、第1矩形平板23の下流側端近傍に位置付けられている。また、拘束部材25の上流側端は、レシート用紙5を挿通しやすいように第1矩形平板23との間隔を広く設けている。そして、拘束部材25と第1矩形平板23との間には、レシート用紙5を搬送して挿通させる際に、レシート用紙5の印刷面を拘束部材25に擦り合わせずに搬送させることが可能な程度に、レシート用紙5の厚さよりも僅かに厚みのある空間を形成されている。
【0024】
また、折りたたみ固定部15の底面には、図示しない減圧ポンプ(ブロック図(図9)の26参照)の動作によって、空気孔24から空気を吸引するアダプタ26が接続されている。図示しない減圧ポンプは、アダプタ26を通じて空気孔24から空気を吸引して、第1矩形平板23上に搬送されたレシート用紙5を浮き上がらないように拘束する。
【0025】
折りたたみ駆動部16は、上流側横側面に平面翼28を一体形成した第2矩形平板27であり、上流側面にレシート用紙5の搬送方向と直交する方向に貫通孔を備えた第2ヒンジ筒27aを凸字に突設して一体形成している。
【0026】
なお、本実施の形態では、空気孔24を第1矩形平板23に設けて、折りたたみ固定部15の底面にアダプタ16を接続しているが、別の実施の形態として、空気孔24を第2矩形平板27に設けて、折りたたみ駆動部16の底面にアダプタ16を接続したり、また、空気孔24を第1矩形平板23および第2矩形平板27の両方に設けて、折りたたみ固定部15および折りたたみ駆動部16の両方の底面にアダプタ16を接続するようにしても良い。
【0027】
折りたたみ固定部15と折りたたみ駆動部16とは、第1ヒンジ筒23aと第2ヒンジ筒27aとを嵌合させた状態で両方の貫通孔に貫通するヒンジ17を介して回動自在に接続されている。そして、折りたたみ駆動部16はシャーシ2aに保持される動力源22によって、搬送経路6を構成する初期位置と、折りたたみ固定部15に接合する折りたたみ位置との間で変位する。
【0028】
図5は、折りたたみ固定部15と折りたたみ駆動部16との接続部分の側面図である。
【0029】
図6は、折りたたみ固定部15と折りたたみ駆動部16との接続部分の平面図である。
【0030】
折りたたみ駆動部16の一部を構成する平面翼28の側面には、ヒンジ17を回動軸としてヒンジ17の端部に回動自在に接続された摩擦車29が接続されている。摩擦車29にはワイヤ30が掛け回されている。ワイヤ30の一端には、回動モータ105の動作によりワイヤ30を第2矩形平板27が第1矩形平板23と接合するように回動する方向(以下、閉方向という)に引っ張り、折りたたみ駆動部16を回動させる巻取ドラム32が接続されている。また、ワイヤ30の他端には、回動モータ105が通電停止すると、ワイヤ30を閉方向とは逆の方向(以下、開方向という)に引っ張り、折りたたみ駆動部16を初期位置まで回動復帰させる復帰バネ33が接続されている。
【0031】
つまり、折りたたみ駆動部16は、回動モータ105が動作することにより、ヒンジ17を回動中心として折りたたみ固定部15に接合するまで回動し、その後回動モータ105が通電停止することにより初期位置まで復帰する。
【0032】
図7は、押圧機構14の外観斜視図である。
【0033】
図8は、図7のB−B線断面図である。
【0034】
押圧機構20は折りたたみ機構14よりも搬送経路6の下流側に配置されている。押圧機構20は、押圧機構20全体を保持するフレーム34と、フレーム34に格納され下面が僅かに凸状に丸みを帯びた略平面形状のゴム素材であり搬送経路6を形成する案内部材7に対し垂直方向に移動自在である押圧部材35と、後述する押圧駆動源である押圧モータ106の動作により押圧部材35を搬送経路6に対し垂直方向にプレスさせる伝達部材37と、フレーム34と押圧部材35とを接続する押圧部材復帰バネ36と、を具備する。
【0035】
押圧部材35は、シャーシ2aに保持される押圧モータ106によって、案内部材7に圧接するプレス位置と折りたたまれた状態で案内部材7に沿って搬送されるレシート用紙5に接触しない程度に案内部材7から離れている待機位置との間で変位する。
【0036】
切断機構18は、押圧機構20よりも搬送経路6の下流側に配置され、カッタ動作用モータ107の動作によりレシート用紙5を切断するカッタ19を具備する。
2.システムの詳細
図9は、レシートプリンタ1のシステム構成を示すブロック図である。
【0037】
レシートプリンタ1は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等で構成される主制御部101を具備する。主制御部101は、ステッピングモータ104と、印刷ヘッド12と、印刷データバッファ13と、回動モータ105と、減圧ポンプ26と、押圧モータ106と、カッタ動作用モータ107とに接続されている。また、主制御部101は、POSターミナル制御部102とデータ送受信を実行し得るように接続されている。
3.レシート作成処理
図10は、レシートプリンタ1が実行するレシート作成処理のフローチャートである。
【0038】
以下、図10に示すフローチャートに従って説明する。
(1)データ受信
POSターミナル制御部102からレシートプリンタ1にレシート記載事項に関するデータが送信されると、主制御部101はそのデータを受信し、主制御部101内のRAMに記憶する(ST1)。
(2)印刷処理
続く処理として、主制御部101は、RAMに記憶したデータから構成される印刷データを印刷データバッファ13に送信し、印刷ヘッド12を制御してレシート用紙5に印刷する(ST2)。
【0039】
図11は、レシートプリンタ1が印刷処理で作成するレシートの模式図である。
【0040】
印刷機構11は、レシート用紙5に、基本フォーム111と、購入商品データ112と、取引情報113とを印刷してレシートを作成する。基本フォーム111は、店舗名のロゴ、セールの案内、「毎度ご来店ありがとうございます」などのメッセージで構成されるレシート構成要素のひとつである。購入商品データ112は、買い物客が購入した商品名、その単価、個数などのフィールドで構成されるリストであるレシート構成要素のひとつである。取引情報113は、合計金額、お預かり金額、お釣りの金額、レシート発行日時で構成されるレシート構成要素のひとつである。
(3)折りたたみ処理
続く処理として、レシートプリンタ1は折りたたみ処理を行う(ST3)。
【0041】
図12は、レシートプリンタ1が実行する折りたたみ処理のフローチャートである。
【0042】
図13は、図2のA−A線断面図において、レシートプリンタ1がレシート用紙5を折りたたむ工程を示す模式図である。
【0043】
以下、折りたたみ処理について、図12に示すフローチャートに従って説明する。
【0044】
印刷処理直後では、レシート用紙5の先端5eは、印刷ヘッド12の位置から印刷長Pだけ下流側に位置付けられている(図13(a))。
【0045】
まず、主制御部101は、プラテンローラ10を動作させるステッピングモータ104の印刷処理(ST2)におけるステップ数から印刷長Pを算出する(ST11)。
【0046】
続く処理として、主制御部101は、算出したPと予め設定されたレシート用紙5の折りたたみ長Lとを比較して、レシート用紙5を折りたたむ必要があるかどうかの判定を実行する(ST12)。P≦Lであってレシート用紙5を折りたたむ必要がない場合(ST12のN)、レシートプリンタ1はレシート用紙5を折りたたまずに処理を終了する。
【0047】
これに対し、P>Lである場合(ST12のY)、主制御部101はステッピングモータ104を動作させて、レシート用紙5を距離P−(L+R)だけ上流側に搬送する(Rは印刷ヘッド12からヒンジ17までの距離)。これにより、レシート先端5eから距離Lまでの部分が折りたたみ駆動部16に載置される(ST13、図13(b))。
【0048】
続く処理として、主制御部101は減圧ポンプ26を動作させて、レシート用紙5のうち折りたたみ固定部15に載置されている部分を第1矩形平板23に拘束する(ST14、図13(c))。
【0049】
続く処理として、主制御部101は回動モータ105を動作させて折りたたみ駆動部16を折りたたみ位置まで閉方向に回動し、レシート用紙5を閉方向に折りたたむ(ST15)。レシート用紙5は、拘束部材25の下流側端によって、先端5eから距離Lだけ上流の位置に折り目5dを形成して折りたたまれる(図13(d))。
【0050】
続く処理として、主制御部101は回動モータ105を通電停止させて(ST16)、折りたたみ駆動部16を初期位置に復帰させる(図13(e))。
【0051】
復帰する時間の待機後に続く処理として、主制御部101は減圧ポンプ26を通電停止させて、第1矩形平板23に拘束されていたレシート用紙5を解放する(ST17、図13(f))。
【0052】
続く処理として、主制御部101はステッピングモータ104を動作させて、レシート用紙5をヒンジ17から押圧部材35までの距離Qだけ下流方向に搬送し、折り目5dを押圧部材35の位置に位置付ける(ST18、図13(g))。
【0053】
続く処理として、主制御部101は押圧モータ106を動作させて押圧部材28をプレス位置まで移動させて折り目5dをプレスし、その後に、押圧モータ106を停止させて押圧部材35を待機位置に復帰させる(ST19、図13(h)(i))。
【0054】
このような手段で、レシートプリンタ1は折りたたみ駆動部16の回動動作によって、レシート用紙5の先端5eから距離Lの部分を折りたたむ。
(4)切断処理
続く処理として、レシートプリンタ1は切断処理を行う(ST4)。
【0055】
図14は、レシートプリンタ1が実行する切断処理のフローチャートである。
【0056】
図15は、レシート用紙5の切断位置5cを示す説明図である。
【0057】
以下、切断処理について、図14に示すフローチャートに従って説明する。
【0058】
まず、主制御部101はレシート用紙5の切断位置を決定する。
【0059】
P≦Lであれば、図15(a)に示すようにレシート用紙5は折りたたまれない。この場合(ST31のN)、主制御部101は印刷終端5bを切断位置5cと決定する(ST34)。
【0060】
L<P<2Lであれば、図15(b)に示すようにレシート用紙5が折りたたまれ(ST31のY)、レシート層の中に印刷終端5bが存在する状態になる。この場合(ST32のY)、主制御部101は折りたたまれたレシート用紙5の最下流端の折り目5dから距離Lだけ上流の位置を切断位置5cに決定する(ST33)。
【0061】
P≧2Lであれば、図15(c)に示すようにレシート用紙5が折りたたまれ(ST31のY)、レシート層の外に印刷終端5bが存在する状態になる。この場合(ST32のN)、主制御部101は印刷終端5bを切断位置5cと決定する(ST34)。
【0062】
切断位置5cを決定した後に続く処理として、主制御部101はステッピングモータ104を動作させて切断位置5cをカッタ19に位置付けた後に、カッタ動作用モータ107を動作させてレシート用紙5を切断位置5cで切断する(ST35)。レシート用紙5の下流側で切断された部分5aは、レシート排出部4より排出される(図1参照)。
【0063】
続く処理として、主制御部101は、ステッピングモータ104を動作させてレシート用紙5をカッタ19から印刷ヘッド12までの距離S(図13(a)参照)だけ上流方向に搬送し、切断されて新たに形成されたレシート用紙5の先端(図示せず)を印刷ヘッド23に位置付ける(ST36)。
4.効果
本実施の形態のレシートプリンタ1によれば、折りたたみ機構14の回動動作のみでレシート用紙5を折りたたむことができ、したがって、印刷された情報を滲ませることがなく、折りたたんだ状態のレシートを発行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本実施の形態の概要を示す全体の模式図である。
【図2】折りたたみ機構の外観斜視図である。
【図3】レシート用紙が乗った状態の折りたたみ機構の外観斜視図である。
【図4】折りたたみ機構の外観平面図である。
【図5】折りたたみ固定部と折りたたみ駆動部との接続部分の側面図である。
【図6】折りたたみ固定部と折りたたみ駆動部との接続部分の平面図である。
【図7】押圧機構の外観斜視図である。
【図8】図7のB−B線断面図である。
【図9】レシートプリンタのシステム構成を示すブロック図である。
【図10】レシートプリンタが実行するレシート作成処理のフローチャートである。
【図11】レシートプリンタが作成するレシートの模式図である。
【図12】レシートプリンタが実行する折りたたみ処理のフローチャートである。
【図13】図2のA−A線断面図において、レシートプリンタがレシート用紙を折りたたむ工程を示す模式図である。
【図14】レシートプリンタが実行する切断処理のフローチャートである。
【図15】レシート用紙の切断位置を示す説明図である。
【図16】従来のレシートを折りたたんで回収するレシート処理機構を示す模式図である。
【符号の説明】
【0065】
1…レシートプリンタ、3…レシート用紙保持部、4…レシート用紙排出部、5…レシート用紙、5d…折り目、6…搬送経路、7…案内部材、9…搬送機構、11…印刷機構、14…折りたたみ機構、15…第1の要素、16…第2の要素、19…切断機構、20…押圧機構、22…動力源、24…空気孔、25…拘束部材、26…減圧ポンプ、33…復帰バネ、35…押圧部材、105…回動モータ、106…押圧モータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状に巻回されたレシート用紙を保持するレシート用紙保持部とレシート用紙排出部との間を連絡し前記レシート用紙を案内する搬送経路と、
前記レシート用紙に搬送力を与えて前記搬送経路に沿って搬送させる搬送機構と、
前記搬送経路の途中に配置され前記レシート用紙に情報を印刷する印刷機構と、
前記印刷機構よりも前記搬送経路の下流側に配置され前記レシート用紙を切断する切断機構と、
前記印刷機構と前記切断機構との間の前記搬送経路上で当該搬送経路の上流側をなす第1の要素と下流側をなす第2の要素とを有し、前記第1の要素と前記第2の要素との少なくとも一方が前記レシート用紙を拘束した状態で、前記第2の要素を前記第1の要素に接合するまで回動して当該レシート用紙を折りたたむ折りたたみ機構と、
前記第2の要素を前記搬送経路を構成する初期位置と前記第1の要素に接合する折りたたみ位置との間で変位動作させる動力源と、
印刷後の前記レシート用紙が前記第2の要素の位置まで搬送された状態で当該第2の要素が前記折りたたみ位置に変位した後に前記初期位置に復帰するように前記動力源を駆動制御する回動制御手段と、
を具備するレシートプリンタ。
【請求項2】
前記動力源は、
前記第2の要素を前記折りたたみ位置に変位させる動作と当該第2の要素を前記初期位置に復帰させる動作とのいずれか一の動作を行う回動モータと、
いずれか他方の動作を行う復帰バネと、
により構成される請求項1に記載のレシートプリンタ。
【請求項3】
前記第1の要素は、
その両側部にコ字型に屈曲してレシート用紙の両側部を拘束する拘束部材を更に有する、
請求項1もしくは請求項2のいずれか一に記載のレシートプリンタ。
【請求項4】
前記折りたたみ機構は、
前記第1の要素と前記第2の要素とが構成する前記搬送経路の路面の一部に設けられた空気孔と、
前記路面の一部の前記搬送経路とは反対の面に接続し当該空気孔から空気を吸引して前記レシート用紙を拘束する減圧ポンプとを更に有し、
前記レシート用紙の折り曲げ動作に際して当該減圧ポンプを動作させ、前記第2の要素が初期位置に復帰した後に当該減圧ポンプを停止させる減圧ポンプ制御手段を具備する、
請求項1から請求項3のいずれか一に記載のレシートプリンタ。
【請求項5】
前記折りたたみ機構と前記切断機構との間に配置されて前記搬送経路に対し垂直方向に移動自在である押圧部材を有する押圧機構と、
前記押圧部材を前記搬送経路に圧接するプレス位置と折りたたまれた状態で当該搬送経路に沿って搬送される前記レシート用紙に接触しない程度に当該搬送経路から離れている待機位置との間で変位動作させる押圧駆動源と、
折りたたまれた前記レシート用紙の折り目部分が前記押圧部材の位置に位置付けられた状態で当該押圧部材が前記プレス位置に変位した後に前記待機位置に復帰するように前記押圧駆動源を駆動制御する押圧部材制御手段と、
を具備する請求項1から請求項4のいずれか一に記載のレシートプリンタ。
【請求項1】
ロール状に巻回されたレシート用紙を保持するレシート用紙保持部とレシート用紙排出部との間を連絡し前記レシート用紙を案内する搬送経路と、
前記レシート用紙に搬送力を与えて前記搬送経路に沿って搬送させる搬送機構と、
前記搬送経路の途中に配置され前記レシート用紙に情報を印刷する印刷機構と、
前記印刷機構よりも前記搬送経路の下流側に配置され前記レシート用紙を切断する切断機構と、
前記印刷機構と前記切断機構との間の前記搬送経路上で当該搬送経路の上流側をなす第1の要素と下流側をなす第2の要素とを有し、前記第1の要素と前記第2の要素との少なくとも一方が前記レシート用紙を拘束した状態で、前記第2の要素を前記第1の要素に接合するまで回動して当該レシート用紙を折りたたむ折りたたみ機構と、
前記第2の要素を前記搬送経路を構成する初期位置と前記第1の要素に接合する折りたたみ位置との間で変位動作させる動力源と、
印刷後の前記レシート用紙が前記第2の要素の位置まで搬送された状態で当該第2の要素が前記折りたたみ位置に変位した後に前記初期位置に復帰するように前記動力源を駆動制御する回動制御手段と、
を具備するレシートプリンタ。
【請求項2】
前記動力源は、
前記第2の要素を前記折りたたみ位置に変位させる動作と当該第2の要素を前記初期位置に復帰させる動作とのいずれか一の動作を行う回動モータと、
いずれか他方の動作を行う復帰バネと、
により構成される請求項1に記載のレシートプリンタ。
【請求項3】
前記第1の要素は、
その両側部にコ字型に屈曲してレシート用紙の両側部を拘束する拘束部材を更に有する、
請求項1もしくは請求項2のいずれか一に記載のレシートプリンタ。
【請求項4】
前記折りたたみ機構は、
前記第1の要素と前記第2の要素とが構成する前記搬送経路の路面の一部に設けられた空気孔と、
前記路面の一部の前記搬送経路とは反対の面に接続し当該空気孔から空気を吸引して前記レシート用紙を拘束する減圧ポンプとを更に有し、
前記レシート用紙の折り曲げ動作に際して当該減圧ポンプを動作させ、前記第2の要素が初期位置に復帰した後に当該減圧ポンプを停止させる減圧ポンプ制御手段を具備する、
請求項1から請求項3のいずれか一に記載のレシートプリンタ。
【請求項5】
前記折りたたみ機構と前記切断機構との間に配置されて前記搬送経路に対し垂直方向に移動自在である押圧部材を有する押圧機構と、
前記押圧部材を前記搬送経路に圧接するプレス位置と折りたたまれた状態で当該搬送経路に沿って搬送される前記レシート用紙に接触しない程度に当該搬送経路から離れている待機位置との間で変位動作させる押圧駆動源と、
折りたたまれた前記レシート用紙の折り目部分が前記押圧部材の位置に位置付けられた状態で当該押圧部材が前記プレス位置に変位した後に前記待機位置に復帰するように前記押圧駆動源を駆動制御する押圧部材制御手段と、
を具備する請求項1から請求項4のいずれか一に記載のレシートプリンタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2008−97200(P2008−97200A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−276613(P2006−276613)
【出願日】平成18年10月10日(2006.10.10)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月10日(2006.10.10)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
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