説明

レジスタおよび支払いシステム

【課題】顧客が不要とするレシートの印刷を省略できるシステムを提供する。
【解決手段】表示装置10を介してプリンタ20からレシート印刷を行うPOSレジスタ2を提供する。表示装置10は、POSレジスタ2からレシート印刷データ31を受信するとレシート印刷データ31をメモリ13に記憶し、その情報をディスプレイ14に表示し、第1のボタン32aが操作されるとメモリ13に記憶されたレシート印刷データ31をプリンタ20に送信する。さらに、POSレジスタ2は、レシート印刷データ31の送信に先だって表示装置10のメモリ13に記憶されたレシート印刷データ31を削除するキャンセルコマンド30を表示装置10に送信する第1のキャンセル機能521を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、POSなどの顧客が支払い(決済)を行うレジスタおよびシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、レシート紙を不要とし家計簿の作成や商品買い上げの証明を容易にする技術が開示されている。このため、特許文献1においては、入力された商品の買い上げ情報に基づいてレシート情報を生成すると共に当該顧客を識別して該顧客毎に前記レシート情報をアップロードする店側端末と、この店側端末からアップロードされたレシート情報を該顧客別に格納する顧客別レシートファイルと、この顧客別レシートファイルにアクセスして該顧客毎のレシート情報を参照可能な顧客側端末とを備えていることが記載されている。
【0003】
特許文献2には、売上登録中にオペレータまたは顧客がレシート出力を選択したとき、当該取引のレシートを出力するPOSレジスタが記載されている。このため、特許文献2においては、POSレジスタは、レシート出力ボタンの入力回路のオペレータ側レシート出力ボタン及び顧客側レシート出力ボタンと、取引終了の取引終了ボタンと、オペレータ側レシート出力ボタン及び顧客側レシート出力ボタンを変換するレシート出力処理手段と、レシート出力処理手段の出力を記憶し、オペレータ側レシート出力ボタン及び顧客側レシート出力ボタンを点灯するレシート出力フラグと、取引データ入力手段の終了でレシート出力フラグを参照し、レシート出力フラグがオンで、取引データをレシート形式に編集する売上登録処理手段と、レシートを内蔵プリンタに出力するレシート印字出力手段と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−55384号公報
【特許文献2】特開2001−291167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、店舗においてサービスや商品に対する支払いの記録となるレシートのプリントアウトを不要としている顧客に対してレシートを印刷することはむしろサービスの低下となる。また、近年は、レシートは不要と考える顧客も増加している。レシートが不要な顧客に対してレシートをプリントアウトすることは記録媒体が無駄になるだけではなく、サービスの低下につながる。一方で、従来通りレシートが必要と考える顧客も多数存在する。したがって、顧客にレシートの要否を個別に確認を依頼することも有効であるが、顧客がレシートの要否を確認しないとPOSなどにおける支払い業務が滞ってしまえばレシートの要否を確認するメリットが活かされない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、顧客がサービスおよび/または商品に対する支払いを行うレジスタである。このレジスタは、支払いの内容を含むレシートを印刷するレシート印刷データを作成し、表示装置を介してプリンタに送信するレシート印刷機能と、レシート印刷機能がレシート印刷データを送信するときに、送信に先だって表示装置のメモリに記憶されたレシート印刷データを削除するコマンドを表示装置に送信する第1のキャンセル機能とを有する。このレジスタは、レシートを印刷する際に直にプリンタにレシート印刷データを送るのではなく、表示装置を介してプリンタにレシート印刷データを送って印刷する。したがって、表示装置が、レジスタからレシート印刷データを受信するとレシート印刷データを記憶するメモリと、メモリに記憶されたレシート印刷データに含まれる情報を表示するディスプレイと、第1のボタンが操作されるとメモリに記憶されたレシート印刷データをプリンタに送信する機能とを含む場合は、顧客が第1のボタンを操作したときにのみレシート印刷データがプリンタに送られプリンタで印刷される。
【0007】
したがって、レシートの不要な顧客は第1のボタンを操作しないことによりレシートが紙に印刷されるのを防止でき、不要なレシートの出力を防止できる。また、レジスタがレシート印刷データを送信するのに先だって第1のキャンセル機能が表示装置のメモリに記憶されたレシート印刷データを削除するコマンドを表示装置に送信するので、表示装置のメモリに記憶された前の顧客のレシート印刷データは削除される。したがって、前の顧客のレシートが誤って印刷されることを防止できる。このため、顧客がレシートを必要とするか否かに関わらず、レシートを必要とする顧客に対し、適切なレシートをプリントアウトできる。
【0008】
このレジスタは、レシート印刷機能がレシート印刷データを送信した後に所定の時間が経過すると表示装置のメモリに記憶されたレシート印刷データを削除するコマンドを表示装置に送信する第2のキャンセル機能を有することが好ましい。第1のボタンが操作されると表示装置からレシート印刷データがプリンタに送信されるのでレシートの表示は消える。一方、第1のボタンが操作されないと、次の顧客のレシート印刷データが作成されるまで表示装置の表示が残る可能性がある。第2のキャンセル機能により、削除するコマンドを表示装置に送信すれば表示装置のメモリに記憶されたレシート印刷データが削除されるので、レシート印刷データに基づき表示装置のディスプレイに表示されていた情報は消える。したがって、レシートが印刷されないときに、レジスタ側で表示装置の表示を制御できる。
【0009】
このレジスタは、レシート印刷データとともに、表示装置が表示する広告宣伝データを送信する広告宣伝機能を有することも有効である。このレジスタは、レシートをプリントアウトする前に表示装置にレシートの情報をいったん表示するので、広告宣伝データも表示装置に表示させることにより顧客が広告宣伝を見る可能性が増大する。したがって、店舗側が顧客に伝えたい情報を効率的に伝達できる。
【0010】
本発明の他の態様の1つは、このレジスタとレシート印刷データを受信する表示装置とを有するシステムである。このシステムの表示装置は、レジスタからレシート印刷データを受信するとレシート印刷データを記憶するメモリと、メモリに記憶されたレシート印刷データに含まれる情報を表示するディスプレイと、第1のボタンが操作されるとメモリに記憶されたレシート印刷データをプリンタに送信する機能とを有する。
【0011】
このシステムの表示装置においては、メモリに記憶されたレシート印刷データは、第1のボタンを押すことによりメモリから削除され、さらに、レジスタ側の第1のキャンセル機能および第2のキャンセル機能によっても削除される。さらに、表示装置は、第2のボタンが操作されるとディスプレイのレシート印刷データに関する表示をクリアする機能を有することが好ましい。レシートのプリントアウトを必要としない顧客が、第2のボタンを操作することによりレシートの表示を制御できる。第2のボタンを操作することによりレシートの表示を単にクリアしてもよく、メモリからレシート印刷データを削除してもよい。
【0012】
表示装置は第1のボタンおよび第2のボタンをディスプレイに表示する機能を含むことが好ましい。顧客はレシートの情報が表示されるディスプレイでボタンを操作できるので、顧客は簡単にレシートが不要であることを意思表示できる。
【0013】
本発明の異なる他の態様の1つは、顧客がサービスおよび/または商品に対する支払いを行うレジスタの制御方法である。このレジスタは、支払いの内容を含むレシートを印刷するレシート印刷データを、表示装置を介してプリンタに送信するインターフェイスと、このインターフェイスに関連する処理を行う制御ユニットとを有し、制御方法は以下のステップを含む。
・制御ユニットが、レシート印刷データを作成してインターフェイスから出力すること。
・レシート印刷データをインターフェイスから出力するときに、出力に先だって、表示装置のメモリに記憶されたレシート印刷データを削除するコマンドをインターフェイスから出力すること。
【0014】
この制御方法により、レシート印刷データを記憶するメモリと、メモリに記憶されたレシート印刷データに含まれる情報を表示するディスプレイと、第1のボタンが操作されるとメモリに記憶されたレシート印刷データをプリンタに送信する機能とを含む表示装置を介してレシートのプリントアウトが必要な顧客はレシートをプリントアウトすることができる。さらに、表示装置をレジスタ側から制御することにより、レシートの不要な顧客は何もしなくてもレシートを受け取らずに済み、また、次の顧客に対して誤って前の顧客のレシートが印刷されるような不具合も抑制できる。
【0015】
この制御方法は、さらに、レシート印刷データをインターフェイスから出力した後に所定の時間が経過すると表示装置のメモリに記憶されたレシート印刷データを削除するコマンドを表示装置に出力することを含むことが好ましい。顧客がレシートの要否に対して何もアクションしないときでもレジスタ側から表示装置に記憶されたレシート印刷データを削除できる。
【0016】
さらに、この制御方法は、レシート印刷データをインターフェイスから出力することと同時に、または前後して、レシート印刷データに関連し、表示装置が表示する広告宣伝データをインターフェイスから出力することを含むことが好ましい。レシートの情報とともに、その顧客に適した広告宣伝情報または店舗側が伝えたい広告宣伝情報を表示することにより顧客にいっそう確実に伝えたい情報を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】POSレジスタを含むシステムの概要を示す図。
【図2】表示装置のディスプレイ(タッチパネル)の表示例を示す図。
【図3】システムの動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1に、POSレジスタを含むシステムの概要を示している。図2に、表示装置のディスプレイ(タッチパネル)の表示例を示している。このシステム1は、コンビニエンスストアなどの店舗において顧客(ユーザー)がサービスおよび/または商品に対して支払いを行うシステムである。システム1は、POSレジスタ(レジスタ、POS端末、店舗端末)2と、POSレジスタ2からレシート情報(レシート印刷データ)31を受信して表示する表示装置10と、表示装置10を介してPOSレジスタ2から得られたレシート情報(レシート印刷データ)31を印刷するプリンタ20とを含む。
【0019】
POSレジスタ2は、キーボードやバーコードリーダ等を用いて入力された顧客の取引データから、顧客の支払いの内容を含むレシートを印刷するためのレシート印刷データ31を作成し、表示装置10に送信する。POSレジスタ2は、POSレジスタ2の制御ユニットとなるCPU(プロセッサ)52と、プログラムや取引データなどを格納するメモリ53と、入力された内容などを店員等が確認するためのディスプレイ54と、入出力インターフェイス58と、お金等の出し入れを行うメカ(ドロワ)56とを有する。入出力インターフェイス58には、決済に関する情報の入力を行う入力装置(キーボード、バーコードリーダ、カードリーダなどのインテリジェントPOS機能)55と、表示装置10と、イントラネットまたはインターネット9などが接続されている。CPU(プロセッサ)52は、メモリ53からプログラム(プログラムモジュール)を適当なタイミングでダウンロードして実行することによりレジスタの制御ユニット52として機能を果たす。POSレジスタ2は、店舗用のスタンドアロンの支払い用の装置(レジスタ)であってもよく、イントラネットまたはインターネットにより店舗内または店舗外の複数のPOSレジスタと接続されていてもよく、さらに、インターネットまたはイントラネットによりレシート情報を蓄積するサーバーに接続されていてもよい。
【0020】
表示装置10は、POSレジスタ2からレシート印刷データ31を受信し、レシート印刷データ31をメモリ13に記憶するとともにディスプレイ14に表示する。さらに、条件が整えばレシート印刷データ31をプリンタ20に供給する。表示装置10は、データの入出力を行うインターフェイス11と、表示装置10の制御ユニットとなるCPU12と、プログラムなどを格納するとともにレシート印刷データ31を一時的に記憶するメモリ13と、タッチパネル機能を備えたディスプレイ(以降ではタッチパネルと称する)14とを有する。インターフェイス11には、POSレジスタ2と、プリンタ20とが接続されている。CPU12は、メモリ13から適当なタイミングでプログラムをダウンロードして実行することにより表示装置の制御ユニット12としての機能を果たす。
【0021】
プリンタ(レシートプリンタ)20は、表示装置10からレシート印刷データ31の供給を受けるとレシートを印刷する。プリンタ20は、データの入出力を行うインターフェイス21と、プリンタ20の制御ユニットとなるCPU22と、プログラムやレシート印刷データ31などを格納するメモリ23と、レシートを印刷するプリンタメカ24とを有する。プリンタメカ24の典型的なものは、ロールタイプの感熱紙に情報を印刷するサーマルプリンタであるが、プリンタメカ24は、インクジェットタイプ、レーザープリンタなどの他のタイプのプリンタメカであってもよい。
【0022】
レシート印刷データ31を生成するPOSレジスタ2の制御ユニット52は、入力装置55により入力された情報からレシート印刷データ31を作成し表示装置10に送信する機能(レシート印刷機能、レシート印刷ユニット)520と、レシート印刷データ31を送信するときに、その送信に先立って、キャンセルコマンド30を表示装置10に送信する機能(第1のキャンセル機能、第1のキャンセルユニット)521を含む。表示装置10の制御ユニット12は、キャンセルコマンド30を受信すると、表示装置10のメモリ13にスプールとして記憶されているレシート印刷データ31を削除する。
【0023】
さらに、制御ユニット52は、レシート印刷機能520が表示装置10にレシート印刷データ31を送信してから所定の時間、たとえば2分が経過しても次の顧客のレシート印刷データ31が作成されなければ、キャンセルコマンド30を表示装置10に送信する機能(第2のキャンセル機能、第2のキャンセルユニット)522を含む。なお、第2のキャンセル機能522がキャンセルコマンド30を送信するまでの時間は2分に限定されない。制御ユニット52は、さらに、レシート印刷データ31に含まれる商品に関連し、表示装置10が表示する広告宣伝データ39を、インターネット9を介して取得し、表示装置10に送信する機能(広告宣伝機能、広告宣伝ユニット)523を含む。
【0024】
表示装置10の制御ユニット12は、POSレジスタ2からレシート印刷データ31を受信するとメモリ13に記憶する機能(受信機能)40と、キャンセルコマンド30を受信するとメモリ13に記憶されている(スプールされている)レシート印刷データ31を削除(廃棄、消去)する機能(削除機能)41とを含む。したがって、キャンセルコマンド30はメモリ13のレシート印刷データ31を削除するコマンドである。さらに表示装置10の制御ユニット12は、メモリ13に記憶されているレシート印刷データ31に含まれる情報(レシート情報)31dとレシート印刷要の第1のボタン32aおよびレシート印刷不要の第2のボタン32bとをタッチパネル14に表示する機能(表示機能)42と、広告宣伝33をタッチパネル14に表示する機能(宣伝表示機能)43と、第1のボタン32aが押されるとメモリ13に記憶されているレシート印刷データ31をプリンタ20に転送してメモリ13からレシート印刷データ31を削除し、第2のボタン32bが押されるとメモリ13に記憶されているレシート印刷データ31をプリンタ20に転送せずにメモリ13からレシート印刷データ31を削除する処理機能44とを含む。
【0025】
したがって、POSレジスタ2から表示装置10にレシート印刷データ31が転送されると、表示装置10ではプリンタ20で印刷するための適当な形式のスプール(スプールデータ、スプールファイル)としてメモリ13に格納され、それとともに、図2に示すように、タッチパネル14には、レシート情報31dと、レシートの要否を入力する第1および第2のボタン32aおよび32bと、広告宣伝33とが表示される。このため、顧客は表示装置10のタッチパネル14に表示されたボタン32aおよび32bによりレシートのプリントアウトの要否を選択できる。
【0026】
レシートのプリントアウトが必要な顧客はボタン32aを操作することによりプリントアウトできる。一方、レシートのプリントアウトが不要な顧客はボタン32aを操作しないことにより、レシートをプリントアウトしないようにできる。レシートが印刷されないことにより、レシートが不要な顧客に対してはレシートを破棄する手間をかけないことでサービスを向上できる。また、不要なレシートを印刷しないことにより資源の浪費を抑制できる。
【0027】
さらに、このシステム1においては、POSレジスタ2が第1のキャンセル機能521を備えている。このため、POSレジスタ2から次の顧客のレシート印刷データ31が表示装置10に転送される前にキャンセルコマンド30が表示装置10に出力され、表示装置10のメモリ13に前の顧客のレシート印刷データ31が残っていても、そのレシート印刷データ31は削除される。したがって、レシートのプリントアウトが不要な顧客が、表示装置10の、印刷不要を示すボタン32bを操作しない場合であっても、表示装置10のメモリ13に格納されるレシート印刷データ31は、次の顧客のレシート印刷データ31に更新され、表示装置10のタッチパネル14に表示されるレシート情報31dも、次の顧客のレシート情報31dに自動的に更新される。
【0028】
このため、表示装置10は印刷不要を示すボタン32bを表示しないことも可能である。一方、顧客によっては、印刷しないレシート情報31dを積極的に削除したい場合もあり、そのような顧客に対しては不要を示すボタン32bを表示装置10に設けておくことは有効である。
【0029】
また、POSレジスタ2からレシート印刷データ31の転送前に自動的に供給されるキャンセルコマンド30により、前の顧客のレシート印刷データ31がメモリ13に残っていたとしても強制的に排除される。このため、レシートのプリントアウトが不要な顧客が前にいたとしても、その顧客のレシートが次の顧客に誤って印刷されることはない。また、第1のキャンセル機能521により、POSレジスタ2からレシート印刷データ31の転送前に自動的にキャンセルコマンド30が表示装置10に出力される。このため、顧客がレシートのプリントアウトを必要としようとしまいと、POSレジスタ2を操作しているユーザー(店員)がPOSレジスタ2を特別に操作したり、表示装置10を操作したりする必要はなく、スムーズに会計処理を行うことができる。
【0030】
さらに、POSレジスタ2は、第2のキャンセル機能522を備えており、レシート印刷データ31を表示装置10に送信してから最初の2分が経過するとキャンセルコマンド30を表示装置10に送り、表示装置10のメモリ13に残されたレシート印刷データ31を削除する。これにより、表示装置10のタッチパネル14に表示されているレシート情報31dもクリアされ、表示装置10から顧客のレシートに関する情報が除去される。したがって、レシートのプリントアウトが不要な顧客で、不要を示すボタン32bを操作しなかった顧客のレシート情報31dであっても所定の時間内に表示装置10から自動的に削除され、顧客のレシート情報31dが表示装置に長時間にわたり残ることを抑制できる。
【0031】
顧客がPOSレジスタ2の近傍から離れたか否かを人感センサーなどで判断して、キャンセルコマンド30を自動的に表示装置10に送信する機能をPOSレジスタ2が備えていてもよい。
【0032】
また、タッチパネル14には、表示中のレシート情報31dのプリントアウトの要否を問うボタン32aおよび32bとともに、広告宣伝あるいは宣伝広告用のメッセージ33が表示される。宣伝広告用のメッセージ33には、本日の目玉商品、本日あるいは明日以降のイベント情報、ユーザーが買った商品と関連性のある広告、たとえば同じまたは同種の商品の他会社の宣伝広告などが表示される。顧客はボタン32aまたは32bを操作するためにタッチパネル14を見るので、宣伝広告用のメッセージ33を宣伝広告が有用な顧客に効率良く届けることができる。
【0033】
図3に、このシステム1の処理の概要をフローチャートにより示している。左側のフローチャートがPOSレジスタ2の処理を示し、右側のフローチャートが表示装置10の処理を示す。POSレジスタ2は、ステップ61において、適当な入力装置55から顧客の支払いに関する情報を受信すると、ステップ62において、合計金額等を算出するなどの会計処理を行う。さらに、ステップ63において、レシート印刷機能520が顧客の支払い内容を含むレシートを印刷するレシート印刷データ31を作成する。レシート印刷機能520がレシート印刷データ31を作成すると、ステップ65において、レシート印刷機能520が、レシート印刷データ31を表示装置10へ出力する前に、ステップ64において、第1のキャンセル機能521が、表示装置10へキャンセルコマンド30を出力する。
【0034】
また、ステップ65において、レシート印刷データ31が出力されるのと前後して、あるいは並列に、ステップ66において、広告宣伝機能523が顧客のレシート印刷データ31に含まれる情報、たとえば、購入した商品、サービス、蓄積されたポイント、顧客情報などにより、それぞれの顧客の状況に適した広告宣伝データ39を作成し表示装置10に出力する。
【0035】
また、POSレジスタ2は、レシート印刷データ31を出力した後、ステップ67において最初の2分間が経過したと判断すると、ステップ68において、第2のキャンセル機能522がキャンセルコマンド30を表示装置10へ出力する。
【0036】
一方、表示装置10は、ステップ71においてレシート印刷データ31を受信すると、ステップ72において受信機能40がレシート印刷データ31をメモリ13に記憶する。ステップ73において、表示機能42が、メモリ13に記憶されているレシート印刷データ31のレシートの内容(レシート情報)31dをタッチパネル14に表示する。それとともに、表示機能42はプリントアウトの要否を入力する第1のボタン32aおよび第2のボタン32bを表示し、さらにPOSレジスタ2から広告宣伝データ39を受信していれば、宣伝表示機能43が広告宣伝33をタッチパネル14に表示する。
【0037】
また、ステップ74において、POSレジスタ2からキャンセルコマンド30を受信すると、ステップ78において削除機能41がメモリ13に記憶されているレシート印刷データ31を削除する。レシート印刷データ31を削除することにより、タッチパネル14の表示もクリアされる。
【0038】
ボタン操作については、ステップ75において、タッチパネル14に表示されている「レシート要」を示す第1のボタン32aが操作されると、処理機能44がステップ77においてメモリ13に記憶されているレシート印刷データ31をプリンタ20に送信してレシートをプリントアウトさせる。その後、ステップ78でレシート印刷データ31は削除され、表示もクリアされる。ステップ76において、タッチパネル14に表示されている「レシート不要」を示す第2のボタン32bが操作されると、処理機能44はステップ78においてメモリ13に記憶されたレシート印刷データ31を削除する。
【0039】
以上のように、このシステム1およびその制御方法によれば、POSレジスタ2がレシート印刷データ31を、表示装置10を介してプリンタ20に送り、レシート印刷データ31を一時的に表示装置10のメモリ13に記憶することにより顧客がレシートの要不要を表示装置10で選択できる。さらに、顧客がレシートの要不要を選択しなかった場合であっても、POSレジスタ2からレシート印刷データ31を出力する前にキャンセルコマンド30を自動的に出力するので、表示装置10にレシート印刷データ31が残っていても必ず削除される。このため、前の顧客がレシート印刷を要望しなくても、さらに、レシート印刷が不要という意思表示をしなくても、POSレジスタ2から顧客のレシート印刷データ31が支障なく出力装置10に送られ、出力装置10で表示される。また、前の顧客がレシート印刷を要望しなくても、さらに、レシート印刷が不要という意思表示をしなくても、そのレシート印刷データ31が誤って次の顧客に出力されることはなく、個人情報保護の観点からも好ましいシステムとなっている。
【0040】
また、表示装置10は、POSレジスタ2からレシート印刷データ31を受信したらメモリ13に格納し、メモリ13に格納されているレシート印刷データ31を第1のボタン32aの操作によりプリンタ20に出力し、さらに、POSレジスタ2からキャンセルコマンド30を受信したらメモリ13に格納されているレシート印刷データ31を削除するという機能を基本的には備えていればよく、極めて簡易な構成で表示装置10を実現できる。したがって、上記において表示装置10に設けている印刷不要を示すボタン32bは表示されていなくてもシステム上の問題はなく、削除することは可能である。
【0041】
POSレジスタ2が次の顧客のレシート印刷データ31を送信する前に自動的にキャンセルコマンド30を表示装置10に送信する。このため、表示装置10においては、次の顧客のレシート印刷データ31の直前に送られてくるキャンセルコマンド30によりメモリ13のレシート印刷データ31を削除し、その他の場合、たとえば、レシート印刷不要のボタン32bが操作されたとき、または2分が経過したときは、メモリ13のレシート印刷データ31は削除せず、タッチパネル14の表示のみをクリアするという機能を持たせてもよい。
【0042】
なお、図2に示したレシート情報31d、ボタン32aおよび32b、広告宣伝33の表示配置は一例であり、これに限定されるものではない。広告宣伝33は、顧客が操作するボタン32aおよび32bの近傍で、顧客の視線がボタン32aおよび32bを探す視線に沿った位置、たとえば、ボタン32aおよび32bの上方などに表示することが好ましい。また、顧客が操作するボタン32aおよび32bの位置を明示し、顧客の操作が要求されていることを示すためにボタン32aおよび32bの表示を点滅させてもよい。さらに、レシート要不要を示すボタン32aおよび32bを、レシート情報31dが出力されるタッチパネル14と異なる装置、たとえば、操作専用の端末に設けることも可能である。
【0043】
また、上記では表示装置10とプリンタ20とが別体で提供されたシステム1を例に説明しているが、表示装置10とプリンタ20とが一体になったシステムであってもよい。また、表示装置10がPOSレジスタ2と一体になったシステムであってもよく、さらに、POSレジスタ2、表示装置10およびプリンタ20が一体になったシステムであってもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 システム、 2 POSレジスタ
10 表示装置、 14 ディスプレイ(タッチパネル)
20 プリンタ
32a 第1のボタン、 32b 第2のボタン
33 広告宣伝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客がサービスおよび/または商品に対する支払いを行うレジスタであって、
前記支払いの内容を含むレシートを印刷するレシート印刷データを作成し、表示装置を介してプリンタに送信するレシート印刷機能を有し、
前記表示装置は、前記レジスタから前記レシート印刷データを受信すると前記レシート印刷データを記憶するメモリと、前記メモリに記憶された前記レシート印刷データに含まれる情報を表示するディスプレイと、第1のボタンが操作されると前記メモリに記憶された前記レシート印刷データを前記プリンタに送信する機能とを含み、
当該レジスタは、さらに、
前記レシート印刷機能が前記レシート印刷データを送信するときに、送信に先だって前記表示装置の前記メモリに記憶された前記レシート印刷データを削除するコマンドを前記表示装置に送信する第1のキャンセル機能を有する、レジスタ。
【請求項2】
請求項1において、前記レシート印刷機能が前記レシート印刷データを送信した後に所定の時間が経過すると前記表示装置の前記メモリに記憶された前記レシート印刷データを削除するコマンドを前記表示装置に送信する第2のキャンセル機能を有する、レジスタ。
【請求項3】
請求項1または2において、前記レシート印刷データとともに、前記表示装置が表示する広告宣伝データを送信する広告宣伝機能を有する、レジスタ。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載のレジスタと、前記レシート印刷データを受信する表示装置とを有するシステムであって、
前記表示装置は、前記レジスタから前記レシート印刷データを受信すると前記レシート印刷データを記憶するメモリと、
前記メモリに記憶された前記レシート印刷データに含まれる情報を表示するディスプレイと、
第1のボタンが操作されると前記メモリに記憶された前記レシート印刷データをプリンタに送信する機能とを有する、システム。
【請求項5】
請求項4において、前記表示装置は、さらに、第2のボタンが操作されると前記ディスプレイの前記レシート印刷データに関する表示をクリアする機能を有する、システム。
【請求項6】
顧客がサービスおよび/または商品に対する支払いを行うレジスタの制御方法であって、
前記レジスタは、前記支払いの内容を含むレシートを印刷するレシート印刷データを、表示装置を介してプリンタに送信するインターフェイスと、前記インターフェイスに関連する処理を行う制御ユニットとを有し、
前記表示装置は、前記レジスタから前記レシート印刷データを受信すると前記レシート印刷データを記憶するメモリと、前記メモリに記憶された前記レシート印刷データに含まれる情報を表示するディスプレイと、第1のボタンが操作されると前記メモリに記憶された前記レシート印刷データを前記プリンタに送信する機能とを含み、
当該制御方法は、
前記制御ユニットが、前記レシート印刷データを作成して前記インターフェイスから出力することと、
前記レシート印刷データを前記インターフェイスから出力するときに、出力に先立って、前記表示装置の前記メモリに記憶された前記レシート印刷データを削除するコマンドを前記インターフェイスから出力することとを有する、制御方法。
【請求項7】
請求項6において、さらに、
前記レシート印刷データを前記インターフェイスから出力した後に所定の時間が経過すると前記表示装置の前記メモリに記憶された前記レシート印刷データを削除するコマンドを前記表示装置に出力することを有する、制御方法。
【請求項8】
請求項6または7において、前記レシート印刷データを前記インターフェイスから出力することと同時に、または前後して、前記レシート印刷データに関連し前記表示装置が表示する広告宣伝データを前記インターフェイスから出力することを有する、制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−256199(P2012−256199A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128765(P2011−128765)
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(399063013)ナルテック株式会社 (30)
【Fターム(参考)】