説明

レジスタ

【課題】車両の空調装置からの気流の吹き出し方向を調整するためのレジスタを提供する。
【解決手段】車両用内装材3(ダッシュボード等)の開口部31に配されたレジスタ1であって、一端が、開口部内に配された空調用ダクト2に接続されたフレキシブルチューブ11(ポリアミドなどの合成樹脂製等)と、フレキシブルチューブの他端に取り付けられた気流を吹き出すための吹出口用部材12と、吹出口用部材に取り付けられ、気流の方向を変化させるためのフィン13と、を備え、フレキシブルチューブは、曲げられたときに屈曲した形状を保持可能であり、車両用内装材の開口部の開口周縁32と、吹出口用部材との間は、可撓性被覆部材14(ファブリック製等)により覆われている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両が備える空調装置からの気流の吹き出し方向を調整するためのレジスタに関する。更に詳しくは、本発明は、気流の吹き出し方向をより広範囲に調整することができ、フレキシブルチューブによる気流の吹き出し方向の調整が可能な範囲であれば、フィンを全開にした状態で気流の吹き出し方向を広範囲に調整することができるレジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の空調装置からの気流の吹き出し方向を調整するためのレジスタとしては、従来、各種の構造のものが知られている。例えば、円筒形のリテーナ内に円筒形のインナレジスタが送風方向と平行な軸の回りで回動可能に装着され、インナレジスタ内に複数の可動フィンが送風方向と垂直な軸の回りで傾動可能に装着されるとともにリンク部材によって同期して傾動するように結合されており、リンク部材がインナレジスタの外部に設けられているレジスタが知られている(例えば、特許文献1参照。)。そして、このレジスタでは、送風時の通風抵抗及び圧力損失を低減させることができる等と説明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−153207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載されたレジスタでは、送風方向が可動フィンの開閉動作のみによりなされており、送風方向の調整に限界がある。
【0005】
本発明は、前述の従来の状況に鑑みてなされたものであり、気流の吹き出し方向をより広範囲に調整することができ、フレキシブルチューブによる気流の吹き出し方向の調整が可能な範囲であれば、フィンを全開にした状態で気流の吹き出し方向を広範囲に調整することができるレジスタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は以下のとおりである。
1.車両用内装材の開口部に配されたレジスタであって、
一端が、前記開口部内に配された空調用ダクトに接続されたフレキシブルチューブと、
前記フレキシブルチューブの他端に取り付けられた気流を吹き出すための吹出口用部材と、
前記吹出口用部材に取り付けられ、気流の方向を変化させるためのフィンと、を備え、
前記フレキシブルチューブは、曲げられたときに屈曲した形状を保持可能であり、
前記車両用内装材の前記開口部の開口周縁と、前記吹出口用部材との間は、可撓性被覆部材により覆われていることを特徴とするレジスタ。
2.前記吹出口用部材が前記車両用内装材の表面から車室側へと突出している前記1.に記載のレジスタ。
3.前記可撓性被覆部材は、前記吹出口用部材から前記車両用内装材の前記開口部に向かうにつれて、裾拡がりの形態とされている前記2.に記載のレジスタ。
【発明の効果】
【0007】
本発明のレジスタによれば、空調用ダクトと気流の吹出口用部材とがフレキシブルチューブにより接続されているため、気流の吹き出し方向を広範囲に調整することができる。これにより、乗員が求めるエリアに送風することができ、車内での快適性が向上する。また、フレキシブルチューブによる気流の吹き出し方向の調整が可能な範囲であれば、フィンの角度による送風量の低下をともなうことなく、気流の吹き出し方向を広範囲に調整することができる。更に、気流の吹き出し方向を調整するときでも、車室側から見えるのは、吹出口の前面部と可撓性被覆部材のみであり、見栄えが低下することもない。
また、吹出口用部材が車両用内装材の表面から車室側へと突出している場合は、気流の吹き出し方向を容易に、且つより広範囲に調整することができ、車内での快適性をより向上させることができる。
更に、可撓性被覆部材が、吹出口用部材から車両用内装材の開口部に向かうにつれて、裾拡がりの形態とされている場合は、気流の吹き出し方向を調整したときに、可撓性被覆部材に皺が生じたり、大きく変形したりすることがなく、見栄えの低下が抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】ダッシュボードの運転席側の一部及びその端部に取り付けられたレジスタの車室側からみた斜視図である。
【図2】ダッシュボードの一部、その開口部内に配された空調用ダクト、及び分解したレジスタの斜視図である。
【図3】フレキシブルチューブが曲げられていないときの、車室側からみたレジスタの正面図である。
【図4】図3のA−A断面における空調用ダクト、車両用内装材の開口部、及びレジスタの断面図である。
【図5】図4において、フレキシブルチューブが曲げられたときのレジスタの断面を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を図1〜5も参照しながら詳しく説明する。
ここで示される事項は例示的なもの及び本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
【0010】
本発明のレジスタ1は、車両用内装材3の開口部31に配されて用いられ、一端が、開口部31内に配された空調用ダクト2に接続されたフレキシブルチューブ11と、フレキシブルチューブ11の他端に取り付けられた気流を吹き出すための吹出口用部材12と、吹出口用部材12に取り付けられ、気流の方向を変化させるためのフィン13と、を備える。また、フレキシブルチューブ11は、曲げられたときに屈曲した形状を保持可能である。更に、車両用内装材3の開口部31の開口周縁32と、吹出口用部材12との間は、可撓性被覆部材14により覆われている。
【0011】
前記「車両用内装材3」は特に限定されず、ダッシュボード、ピラーガーニッシュ、ルーフヘッドライニング、ドアトリム及びデッキサイドトリム等の、レジスタ1が取り付けられる各種の車両用内装材3が挙げられる。これらの車両用内装材3に、本発明のレジスタ1を取り付けることにより、乗員が求めるエリアに所望量の風を容易に送ることができ、車内での快適性を向上させることができる。本発明のレジスタ1が取り付けられる車両用内装材3としては、特にダッシュボードが挙げられ、その幅方向の端部の開口部31にレジスタ1を取り付けることにより(図1参照)、特に運転者等の前席の乗員が求めるエリアに所望量の風を容易に送ることができ、快適性がより向上する。
【0012】
車両用内装材3の前記「開口部31」は、フレキシブルチューブ11又は空調用ダクト2の各々の外径より大径であり、フレキシブルチューブ11(図2参照)又は空調用ダクト2が開口部31内を貫通して配されている。空調用ダクト2が車両用内装材3の表面より車室側へ突出しておれば、開口部31内に空調用ダクト2が配されることになり、空調用ダクト2の端部が車両用内装材3の車室外側に位置しておれば(図2,4、5参照)、開口部31内にフレキシブルチューブ11が配されることになるが、通常、開口部31内にフレキシブルチューブ11が配されている。即ち、空調用ダクト2の端部は、車両用内装材3の車室外側に位置し、開口している。
【0013】
車両用内装材3に設けられた開口部31の形状は特に限定されないが、通常、円形(図2参照)、楕円形、正方形、長方形等であり、円形又は長方形であることが多く、円形であることが好ましい。車両用内装材3の開口部31の開口周縁32と、吹出口用部材12との間は、可撓性被覆部材14により覆われているが、開口部31の形状が円形であれば、気流の方向を変化させたときに、可撓性被覆部材14に生じる皺、変形等を最小限に抑制することができ、見栄えの低下が十分に抑えられる。
【0014】
一端が空調用ダクト2に接続された前記「フレキシブルチューブ11」は、空調用ダクト2への接続部を基点として折り曲げ可能の蛇腹状の管状体である(折り曲げられていない図4と、折り曲げられている図5とを参照)。また、フレキシブルチューブ11は、曲げられたときに屈曲した形状を保持可能である(図5参照)。即ち、屈曲した形状のまま、自重及び他端に取り付けられた吹出口用部材12等の重量を支持可能であり、外力が加えられなければ屈曲した形状が保持される。
【0015】
フレキシブルチューブ11の材質は特に限定されないが、前述のように、外力が加えられなければ屈曲した形状が保持されるためには、所要の強度を有する材料を用いてなるフレキシブルチューブ11である必要がある。このようなフレキシブルチューブ11としては、例えば、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ABS樹脂等の合成樹脂を用いてなるフレキシブルチューブ11、及びアルミニウム、銅等の金属を用いてなるフレキシブルチューブ11を用いることができる。軽量化及び自重を支持するという観点では、合成樹脂製のフレキシブルチューブ11を用いることが好ましい。
【0016】
フレキシブルチューブ11の横断面の形状も、その一端を空調用ダクト2の端部に接続することができる限り、特に限定されない。また、空調用ダクト2は断面円形の管状体であることが多く、この場合、フレキシブルチューブ11としても、横断面の形状が円形の管状体が用いられる。
【0017】
フレキシブルチューブ11の他端に取り付けられる前記「吹出口用部材12」(図2、4、5等参照)は、その前端部から気流が吹き出される部材である。この吹出口用部材12は、車両用内装材3の表面から車室側へと突出していてもよく、車室外側に位置していてもよいが、気流吹き出しの機能及び見栄えの観点で、車両用内装材3の表面から車室側へと突出していることが好ましい。
【0018】
また、吹出口用部材12は、内面側に気流の方向を変化させるためのフィン13を取り付けることができればよく、その材質は特に限定されない。この吹出口用部材12は、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ABS樹脂等の十分な強度を有する各種の合成樹脂、及びアルミニウム、ステンレス鋼等の金属を用いて形成することができ、軽量化の観点等から合成樹脂製の吹出口用部材12であることが好ましい。
【0019】
吹出口用部材12の横断面の形状も、フレキシブルチューブ11の他端に取り付けることができる限り、特に限定されない。吹出口用部材12は、通常、横断面が円形、楕円形、正方形、長方形等の金属製の筒状体からなり、フレキシブルチューブ11が横断面円形の管状体であることが多いため、吹出口用部材12も横断面円形の筒状体であることが多い。更に、吹出口用部材12の内面には、フィン13を取り付けるためのフィン取付孔124が穿設され(図2参照)、このフィン取付孔124にフィン13が有する取付用ピン131a、132aが嵌め込まれ、吹出口用部材12の内面側にフィン13が取り付けられるとともに、フィン取付孔121を基点としてフィン13を回動させ、気流の方向を変化させることができる。
【0020】
前記「フィン13」は、吹出口用部材12の内面側に取り付けられ、これを回動させることにより、気流の流路の開度を調整するとともに、気流の方向を変化させることができる。フィン13の材質は特に限定されないが、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ABS樹脂等の十分な強度等を有する各種の合成樹脂、及びアルミニウム、ステンレス鋼等の金属を用いて形成することができる。また、軽量化の観点等から合成樹脂製の吹出口用部材12であることが好ましい。更に、金属製の基材に合成樹脂がコーティングされたフィン13を用いることもできる。
【0021】
フィン13は、吹出口用部材12の気流の吹出口を閉じる位置に回動させたときに、気流の流路と略同じ形状、寸法となって、流路の多くの部分を閉止することができる1枚のフィン13のみからなっていてもよい。また、形状、寸法が異なり、且つ全てのフィンを吹出口用部材12の気流の吹出口を閉じる位置に回動させたときに、気流の流路と略同じ形状、寸法となって、流路の多くの部分を閉止することができる複数枚のフィン13からなっていてもよい。フィン13は、通常、複数枚、例えば、2〜3枚、特に2枚の異なる形状、寸法のフィンが組み合わされて用いられることが多く、例えば、図1〜5のように、2枚のフィン[大型フィン(A)131と小型フィン(B)132]を組み合わせて用いることができる。
【0022】
車両用内装材3の開口部31の開口周縁32と、吹出口用部材12との間は、前記「可撓性被覆部材14」により覆われている(図4、5参照)。言い換えれば、車両用内装材3の開口部31の開口周縁32と、吹出口用部材12との間には、可撓性被覆部材14が配されており、フレキシブルチューブ11、車両用内装材3の開口部31及び空調用ダクト2は、気流の吹き出し方向にかかわらず、常時、可撓性被覆部材14により覆われて遮蔽されており、車室側から見ることはできない(図1、3参照)。これにより、見栄えの低下を確実に防止することができる。
【0023】
可撓性被覆部材14の材質は特に限定されず、気流の方向を変化させるため曲げられたフレキシブルチューブ11の動きに追随して容易に変形可能であるとともに、車室側からフレキシブルチューブ11が見えない程度の遮蔽性を有しておればよい。このような可撓性被覆部材14とすることができる材質としては、各種のファブリック、各種の合成樹脂等からなるフィルム、皮革などが挙げられる。これらのうちでは、フレキシブルチューブ11の動きに追随し、意匠形状が表現し易い伸縮性、遮蔽性を有するニット(丸編み)等のファブリックが特に好ましい。
【0024】
また、ファブリックである場合、その色調は特に限定されず、内装材の色調に基づいて適宜設定することができ、所望の柄を付することもできる。更に、各種の合成樹脂からなるフィルムを用いる場合は、樹脂原料に顔料等を配合し、所望の色調に、且つ可撓性被覆部材14の内部を車室側から見ることができない程度に着色することができる。
【0025】
可撓性被覆部材14の形状も特に限定されず、車両用内装材3の開口部31の開口周縁32と、吹出口用部材12との間を覆うことができ、内部のフレキシブルチューブ11等を遮蔽してしまうことができればよい。また、車両用内装材3の開口部31は、通常、吹出口用部材12より大寸であり、吹出口用部材12が車両用内装材3の表面から車室側へと突出している場合、可撓性被覆部材14は、吹出口用部材12から車両用内装材3の開口部31に向かうにつれて、裾拡がりの形態とされていることが好ましい。
【0026】
可撓性被覆部材14は、前述のように、裾拡がりの形態とされていることが好ましいが、その形状は、車両用内装材3の開口部31の形状と、吹出口用部材12の横断面の形状とにより変化する。具体的には、車両用内装材3の開口部31及び吹出口用部材12の横断面形状が、ともに円形であるときは、可撓性被覆部材14の側方から見た形状は略円錐台(フレキシブルチューブ11が折り曲げられていない状態、以下、同様である。)になる。また、車両用内装材3の開口部31及び吹出口用部材12の横断面形状が、ともに長方形等の方形であるときは、可撓性被覆部材14の側方から見た形状は略角錐台になる。更に、車両用内装材3の開口部31と、吹出口用部材12の横断面形状とが異なる形状であるときは、可撓性被覆部材14の側方から見た形状は異形状になる。
【0027】
可撓性被覆部材14としては、裾拡がりの形態とされているとともに、側方から見た形状が、前述の各種の形状である可撓性被覆部材14を用いることができるが、側方から見た形状が略円錐台である可撓性被覆部材14が特に好ましい(図2、4参照)。このような形状の可撓性被覆部材14であれば、フレキシブルチューブ11を折り曲げて気流の方向を変化させたときに、可撓性被覆部材14に生じる皺、変形等を最小限に抑制することができ、見栄えの低下も十分に抑えることができる。
【実施例】
【0028】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する(図1〜5参照)。
実施例1
乗用車のダッシュボード(車両用内装材3)の運転席側の端部に設けられた直径120mmの円形の開口部31にレジスタ1を配した。この開口部31の周面に、ABS樹脂製であり、内周面に複数の係止用凹部151を有する開口部用嵌め込み部材15を嵌め込み固定した。
【0029】
その後、ポリプロピレン製であり、内径が52mmのフレキシブルチューブ11の一端部111を、外径52mmの空調用ダクト2の先端から6mmの位置まで差し込み固定した。尚、正面から見た場合に、ダッシュボードの開口部31と空調用ダクト2とは同心円状に位置している。次いで、ABS樹脂製であり、外径52mmの吹出口用部材12の一端部に設けられた嵌合部121に、フレキシブルチューブ11の他端部112を嵌め合わせて接続した。
【0030】
吹出口用部材12の内周面の対向する位置には、フィン取付孔124が、片方で2個、合計4個設けられており、対向するフィン取付孔124のうちの一方及び他方の各々1個のフィン取付孔124に、大型フィン(A)131が有する2本の取付用ピン131aがそれぞれ嵌め込まれている。また、残りの2個のフィン取付孔124には、小型フィン(B)132が有する2本の取付用ピン132aが嵌め込まれている。このようにして吹出口用部材12の内部に取り付けられた大型フィン(A)131及び小型フィン(B)132は、指で押すことにより容易に回動させることができ、気流の方向を調整することができる。
【0031】
その後、開口部用嵌め込み部材15の内周面の全周に、ニット(丸編み)製のファブリックからなる可撓性被覆部材14の裾拡がりとなった側の一端部を配した。次いで、ポリプロピレン製であり、外周面に係止用凸部161を有する第1被覆材押さえ部材16を、開口部用嵌め込み部材15の内周面に、開口部用嵌め込み部材15が有する係止用凹部151と、第1被覆材押さえ部材16が有する係止用凸部161とが噛み合うようにして、且つ可撓性被覆部材14の一端部が、開口部用嵌め込み部材15と第1被覆材押さえ部材16との間に挟み込まれるようにして、嵌め込んだ。このようにして、可撓性被覆部材14の裾拡がりとなった側の一端部を、開口部用嵌め込み部材15の内周面と、第1被覆材押さえ部材16の外周面との間に挟んで固定した。
【0032】
次いで、吹出口用部材12の他端部の先端部の端面に突出して設けられた嵌込部122、及び先端部の外周面に設けられたフランジ部123に、可撓性被覆部材14の他端部を配した。その後、ABS樹脂製の第2被覆材押さえ部材17の一面側の全周に亘って設けられた環状の凹部を、吹出口用部材12が有する嵌込部122に、可撓性被覆部材14の他端部が挟み込まれるようにして嵌め込み、可撓性被覆部材14の他端部を、吹出口用部材12が有する嵌込部122の外周面と、第2被覆材押さえ部材17が有する環状の凹部の周面との間に固定した。このようにして、ダッシュボード(車両用内装材3)の運転席側の端部に設けられた開口部31にレジスタ1を配した。
【0033】
前述のようにしてダッシュボード(車両用内装材3)に設けられた開口部31に配したレジスタ1の第2被覆材押さえ部材17を指で持ち、方向を調整してみた。その結果、フレキシブルチューブ11の空調用ダクト2に接続された位置を基点として、吹出口用部材12の向きを全方向に調整することができた。また、吹出口用部材12の向きを、フィン13を全開にした状態で全方向に調整することができるため、フィンの角度による送風量の低下をともなうことなく、乗員が求めるエリアに十分に送風することができ、車室内での快適性がより向上する。更に、気流の吹き出し方向を調整するときに、吹出口の前面部及び可撓性被覆部材を除く他部は、車室側からは見えず、見栄えが低下することもなかった。
【0034】
尚、前述の記載は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施態様を挙げて説明したが、本発明の記述及び図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく、説明的および例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その態様において本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料及び実施態様を参照したが、本発明をここにおける開示事項に限定することを意図するものではなく、寧ろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、車両、特に乗用車のレジスタの技術分野において利用することができる。車両のレジスタとしては、センタレジスタ、サイドレジスタ、ロアレジスタ、サイドデフロスタ等の各種のレジスタがあるが、本発明は、特に乗用車のダッシュボードの両端部に取り付けられたサイドレジスタにおいて利用することができる。
【符号の説明】
【0036】
1;レジスタ、11;フレキシブルチューブ、111;一端部、112;他端部、12;吹出口用部材、121;嵌合部、122;嵌込部、123;フランジ部、124;フィン取付孔、13;フィン、131;大型フィン(A)、132;小型フィン(B)、131a、132a;取付用ピン、14;可撓性被覆部材、15;開口部用嵌め込み部材、151;係止用凹部、16;第1被覆材押さえ部材、161;係止用凸部、17;第2被覆材押さえ部材、2;空調用ダクト、3;車両用内装材(ダッシュボード)、31;開口部、32;開口部周縁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用内装材の開口部に配されたレジスタであって、
一端が、前記開口部内に配された空調用ダクトに接続されたフレキシブルチューブと、
前記フレキシブルチューブの他端に取り付けられた気流を吹き出すための吹出口用部材と、
前記吹出口用部材に取り付けられ、気流の方向を変化させるためのフィンと、を備え、
前記フレキシブルチューブは、曲げられたときに屈曲した形状を保持可能であり、
前記車両用内装材の前記開口部の開口周縁と、前記吹出口用部材との間は、可撓性被覆部材により覆われていることを特徴とするレジスタ。
【請求項2】
前記吹出口用部材が前記車両用内装材の表面から車室側へと突出している請求項1に記載のレジスタ。
【請求項3】
前記可撓性被覆部材は、前記吹出口用部材から前記車両用内装材の前記開口部に向かうにつれて、裾拡がりの形態とされている請求項2に記載のレジスタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−240588(P2012−240588A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−114102(P2011−114102)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】