レチンアミドによる皮膚癌の予防
本明細書には、特定の実施形態において、フェンレチニド薬剤によって、皮膚癌の高いリスクを有する個体において、皮膚癌を予防する方法が提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(相互関連)
本出願は、2009年10月28日に出願された米国仮出願第61/255,739号、および2010年8月11日に出願された米国仮出願第61/372,821号の優先権を主張するものであり;これらは両方とも、その全体が、本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
皮膚癌は皮膚上の悪性腫瘍である。米国では、毎年、約100万人が皮膚癌と診断される。米国では、毎年、皮膚癌によって約1万2000人が死亡する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書には、特定の実施形態において、過剰なリポフスチン蓄積、黄斑ジストロフィー、シュタルガルト病、GA、非滲出性AMD及び/又は滲出性AMDと診断された個体において非黒色腫皮膚癌を処置するまたはその再発を低減する方法が開示され、その方法は、(a)血清レチノールを減少させる;(b)セラミドレベルを増加させる;(c)シグマ受容体の活性を減少させる、またはシグマ受容体を遮断する;及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatched受容体またはsmoothened受容体の活性を減少させる、またはヘッジホッグ経路内のpatched受容体またはsmoothened受容体を遮断する、有効な量の活性薬剤を、個体に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、レチノイド又はレチノイド誘導体である。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、N−(4−メトキシフェニル)レチンアミド、4−オキソ−N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、式(I)の化合物:
【0004】
【化1】
【0005】
式中、
Aは、O、NHまたはSであり;
Bは、1つの結合(a bond)、−(C2−C7)アルキル、−(C2−C7)アルケニル、−(C3−C8)シクロアルキル、−(C2−C7)ヘテロアルキル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルキル、−(C3−C8)シクロアルケニル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルケニルであり;
Dは、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、sec−ペンチル、イソペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、メチレンシクロプロピル、メチレンシクロブチル、メチレンシクロペンチルであり;Eは、(C=O)−OR、−O−(C=O)−R、−(C=O)−R、−OR、カルボン酸バイオアイソスター(bioisostere)、−(C=O)−NR1R、NR1−(C=O)−R、−(C1−C7)アルキル−(C=O)−OR、または−(C1−C7)アルキル−(C=O)−NR1Rであり;
Rは、Hあるいは
【0006】
【化2】
【0007】
であり;
Gは、−OR1、−(C1−C6)アルキル、−(C1−C6)アルキル−OR1、ハロゲン、−CO2R1、−(C1−C6)アルキル−CO2R1、NHR1、−(C1−C6)アルキル−NHR1、−(C=O)NHR1、−(C1−C6)アルキル−(C=O)NHR1、−NHR1(C=O)R1、−(C1−C6)アルキル−NHR1(C=O)R1であり、
R1は、Hまたは(C1−C6)アルキルであり;
Xは、ハロゲンであり;
またはそれらの活性代謝物若しくは薬学的に許容可能なプロドラッグ、塩若しくは溶媒和物;またはそれらの組み合わせである。幾つかの実施形態において、個体は、高い血漿レチノール;高い血漿RBP4;随意に目において、高いシグマ受容体の濃度;または、随意に、目若しくは癌性腫瘍において、高いVEGFの濃度;または0.5を超えるholo−RBPに対するapo−RBPの比率(apo−RBP−to−holo−RBP ratio)を有する。幾つかの実施形態において、個体は、(a)25μg/mLを超える血漿RBP4濃度及び/又は0.5を超える血漿のholo−RBPに対するapo−RBPの比率を有する男性のヒト個体;または(b)20μg/mLを超える血漿RBP4濃度及び/又は0.5を超える血漿のholo−RBPに対するapo−RBPの比率を有する女性のヒト個体である。幾つかの実施形態において、有効な量の活性薬剤は、約25%〜約75%で、個体においてAMDまたは非黒色腫皮膚癌に関係する危険因子のレベルを減らすのに十分な量であり;ここで、危険因子は、高い濃度の循環ビタミンA、高い濃度の循環RBP、高い濃度の循環holo−RBP、高い濃度のVEGF、または高い濃度のシグマ受容体から選択される。幾つかの実施形態において、活性薬剤の有効な量は、1日約300mg未満である。幾つかの実施形態において、活性薬剤の有効な量は、1日約50mg〜約150mgである。幾つかの実施形態において、皮膚癌は、非黒色腫皮膚癌である。幾つかの実施形態において、皮膚癌は基底細胞癌または扁平上皮癌である。
【0008】
本明細書には、特定の実施形態において、過剰なリポフスチン蓄積、黄斑ジストロフィー、シュタルガルト病、GA、非滲出性AMD及び/又は滲出性AMDと診断された個体において非黒色腫皮膚癌を処置するための医薬の製造のためのレチノイドまたはレチノイド誘導体の使用が開示される。幾つかの実施形態において、レチノイドまたはレチノイド誘導体は、N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、N−(4−メトキシフェニル)レチンアミド、4−オキソ−N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、式(I)の化合物:
【0009】
【化3】
【0010】
式中、
Aは、O、NHまたはSであり;
Bは、1つの結合(a bond)、−(C2−C7)アルキル、−(C2−C7)アルケニル、−(C3−C8)シクロアルキル、−(C2−C7)ヘテロアルキル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルキル、−(C3−C8)シクロアルケニル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルケニルであり;
Dは、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、sec−ペンチル、イソペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、メチレンシクロプロピル、メチレンシクロブチル、メチレンシクロペンチルであり;
Eは、(C=O)−OR、−O−(C=O)−R、−(C=O)−R、−OR、カルボン酸バイオアイソスター(bioisostere)、−(C=O)−NR1R、NR1−(C=O)−R、−(C1−C7)アルキル−(C=O)−OR、または−(C1−C7)アルキル−(C=O)−NR1Rであり;
Rは、Hあるいは
【0011】
【化4】
【0012】
であり;
Gは、−OR1、−(C1−C6)アルキル、−(C1−C6)アルキル−OR1、ハロゲン、−CO2R1、−(C1−C6)アルキル−CO2R1、NHR1、−(C1−C6)アルキル−NHR1、−(C=O)NHR1、−(C1−C6)アルキル−(C=O)NHR1、−NHR1(C=O)R1、−(C1−C6)アルキル−NHR1(C=O)R1であり、
R1は、Hまたは(C1−C6)アルキルであり;
Xは、ハロゲンであり;
またはそれらの活性代謝物若しくは薬学的に許容可能なプロドラッグ、塩若しくは溶媒和物;またはそれらの組み合わせである。
【0013】
本明細書には、特定の実施形態において、ゴーリン症候群を処置する方法が開示され、その方法は、(a)血清レチノールを減少させる;(b)セラミドレベルを増加させる;(c)シグマ受容体の活性を減少させる、あるいはシグマ受容体を遮断する;及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体の活性を減少させる、またはそれらを遮断する、有効な量の活性薬剤を、個体に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、レチノイド又はレチノイド誘導体である。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、N−(4−メトキシフェニル)レチンアミド、4−オキソ−N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、式(I)の化合物:
【0014】
【化5】
【0015】
式中、
Aは、O、NHまたはSであり;
Bは、1つの結合(a bond)、−(C2−C7)アルキル、−(C2−C7)アルケニル、−(C3−C8)シクロアルキル、−(C2−C7)ヘテロアルキル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルキル、−(C3−C8)シクロアルケニル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルケニルであり;
Dは、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、sec−ペンチル、イソペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、メチレンシクロプロピル、メチレンシクロブチル、メチレンシクロペンチルであり;
Eは、(C=O)−OR、−O−(C=O)−R、−(C=O)−R、−OR、カルボン酸バイオアイソスター(bioisostere)、−(C=O)−NR1R、NR1−(C=O)−R、−(C1−C7)アルキル−(C=O)−OR、または−(C1−C7)アルキル−(C=O)−NR1Rであり;
Rは、Hあるいは
【0016】
【化6】
【0017】
であり;
Gは、−OR1、−(C1−C6)アルキル、−(C1−C6)アルキル−OR1、ハロゲン、−CO2R1、−(C1−C6)アルキル−CO2R1、NHR1、−(C1−C6)アルキル−NHR1、−(C=O)NHR1、−(C1−C6)アルキル−(C=O)NHR1、−NHR1(C=O)R1、−(C1−C6)アルキル−NHR1(C=O)R1であり、
R1は、Hまたは(C1−C6)アルキルであり;
Xは、ハロゲンであり;
またはそれらの活性代謝物若しくは薬学的に許容可能なプロドラッグ、塩若しくは溶媒和物;またはそれらの組み合わせである。幾つかの実施形態において、方法は、基底細胞癌を処置する、またはその再発を減少させる工程をさらに含む。
【0018】
本明細書には、特定の実施形態において、ゴーリン症候群の処置のための医薬の製造のためにレチノイドまたはレチノイド誘導体を使用することが開示される。幾つかの実施形態において、レチノイドまたはレチノイド誘導体は、N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、N−(4−メトキシフェニル)レチンアミド、4−オキソ−N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、式(I)の化合物:
【0019】
【化7】
【0020】
式中、
Aは、O、NHまたはSであり;
Bは、1つの結合(a bond)、−(C2−C7)アルキル、−(C2−C7)アルケニル、−(C3−C8)シクロアルキル、−(C2−C7)ヘテロアルキル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルキル、−(C3−C8)シクロアルケニル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルケニルであり;
Dは、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、sec−ペンチル、イソペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、メチレンシクロプロピル、メチレンシクロブチル、メチレンシクロペンチルであり;
Eは、(C=O)−OR、−O−(C=O)−R、−(C=O)−R、−OR、カルボン酸バイオアイソスター(bioisostere)、−(C=O)−NR1R、NR1−(C=O)−R、−(C1−C7)アルキル−(C=O)−OR、または−(C1−C7)アルキル−(C=O)−NR1Rであり;
Rは、Hあるいは
【0021】
【化8】
【0022】
であり;
Gは、−OR1、−(C1−C6)アルキル、−(C1−C6)アルキル−OR1、ハロゲン、−CO2R1、−(C1−C6)アルキル−CO2R1、NHR1、−(C1−C6)アルキル−NHR1、−(C=O)NHR1、−(C1−C6)アルキル−(C=O)NHR1、−NHR1(C=O)R1、−(C1−C6)アルキル−NHR1(C=O)R1であり、
R1は、Hまたは(C1−C6)アルキルであり;
Xは、ハロゲンであり;
またはそれらの活性代謝物若しくは薬学的に許容可能なプロドラッグ、塩若しくは溶媒和物;またはそれらの組み合わせである。
【0023】
本明細書には、特定の実施形態において(a)血清レチノールを調節する(例えば減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば増加させる);(c)シグマ受容体の活性を減少させる、あるいはシグマ受容体を遮断する;及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体の活性を減少させる、またはそれらを遮断する薬剤を投与する工程を含む、黄斑変性または網膜変性を有する患者において、一定のタイプの癌を処置する方法が記載される。幾つかの実施形態において、癌は、皮膚癌及び/又は基底細胞癌である。
【0024】
本明細書には、幾つかの実施形態において、有効な量の治療薬剤を、それを必要とする個体に投与する工程を含む、個体において癌(例えば皮膚癌または結膜の悪性黒色腫)の発生を減少させる方法が提供され、治療薬剤は、N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド(4−HPR)、N−(4−メトキシフェニル)レチンアミド(4−MPR)、4−オキソ−N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド(4−オキソ−4−HPR)、式(I)の化合物、またはそれらの組み合わせを含む。本明細書には、特定の実施形態において、有効な量の治療薬剤を、それを必要とする個体に投与する工程を含む、個体において皮膚癌の発生を減少させる方法が提供され、治療薬剤は、N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド(4−HPR)、N−(4−メトキシフェニル)レチンアミド(4−MPR)、4−オキソ−N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド(4−オキソ−4−HPR)、式(I)の化合物、またはそれらの組み合わせを含む。本明細書には、幾つかの実施形態において、有効な量の治療薬剤を、それを必要とする個体に投与する工程を含む、地図状萎縮(GA)または加齢性黄斑変性(AMD)と診断された個体において皮膚癌の発生を減少させる方法が提供され、活性薬剤は、N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、N−(4−メトキシフェニル)レチンアミド、4−オキソ−N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、式(I)の化合物、またはそれらの組み合わせである。さらに、本明細書には、幾つかの実施形態において、有効な量の治療薬剤を、それを必要とする個体に投与する工程を含む、皮膚癌を予防的に処置する方法が開示され、活性薬剤は、N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、N−(4−メトキシフェニル)レチンアミド、4−オキソ−N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、式(I)の化合物、またはそれらの組み合わせである。本明細書には、特定の実施形態において、有効な量の治療薬剤を、それを必要とする個体に投与する工程を含む、個体において基底細胞癌、扁平上皮癌、または黒色腫を予防的に処置する方法が提供され、活性薬剤は、N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、N−(4−メトキシフェニル)レチンアミド、4−オキソ−N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、式(I)の化合物、またはそれらの組み合わせである。式(I)の化合物は、以下の構造を有する化合物:
【0025】
【化9】
【0026】
式中、
Aは、O、NHまたはSであり;
Bは、1つの結合(a bond)、−(C2−C7)アルキル、−(C2−C7)アルケニル、−(C3−C8)シクロアルキル、−(C2−C7)ヘテロアルキル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルキル、−(C3−C8)シクロアルケニル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルケニルであり;
Dは、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、sec−ペンチル、イソペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、メチレンシクロプロピル、メチレンシクロブチル、メチレンシクロペンチルであり;
Eは、(C=O)−OR、−O−(C=O)−R、−(C=O)−R、−OR、カルボン酸バイオアイソスター(bioisostere)、−(C=O)−NR1R、NR1−(C=O)−R、−(C1−C7)アルキル−(C=O)−OR、または−(C1−C7)アルキル−(C=O)−NR1Rであり;
Rは、Hあるいは
【0027】
【化10】
【0028】
であり;
Gは、−OR1、−(C1−C6)アルキル、−(C1−C6)アルキル−OR1、ハロゲン、−CO2R1、−(C1−C6)アルキル−CO2R1、NHR1、−(C1−C6)アルキル−NHR1、−(C=O)NHR1、−(C1−C6)アルキル−(C=O)NHR1、−NHR1(C=O)R1、−(C1−C6)アルキル−NHR1(C=O)R1であり、
R1は、Hまたは(C1−C6)アルキルであり;
Xは、ハロゲンであり;
またはそれらの活性代謝物若しくは薬学的に許容可能なプロドラッグ、塩若しくは溶媒和物である。幾つかの実施形態において、式(I)の化合物は、式(II)の化合物:
【0029】
【化11】
【0030】
式中、
Aは、O、NHまたはSであり;
Bは、1つの結合(a bond)、−(C2−C7)アルキル、−(C2−C7)アルケニル、−(C3−C8)シクロアルキル、−(C2−C7)ヘテロアルキル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルキル、−(C3−C8)シクロアルケニル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルケニルであり;
Eは、(C=O)−OR、−O−(C=O)−R、−(C=O)−R、−OR、カルボン酸バイオアイソスター(bioisostere)、−(C=O)−NR1R、NR1−(C=O)−R、−(C1−C7)アルキル−(C=O)−OR、または−(C1−C7)アルキル−(C=O)−NR1Rであり;
Rは、Hあるいは
【0031】
【化12】
【0032】
であり;
Gは、−OR1、−(C1−C6)アルキル、−(C1−C6)アルキル−OR1、ハロゲン、−CO2R1、−(C1−C6)アルキル−CO2R1、NHR1、−(C1−C6)アルキル−NHR1、−(C=O)NHR1、−(C1−C6)アルキル−(C=O)NHR1、−NHR1(C=O)R1、−(C1−C6)アルキル−NHR1(C=O)R1であり、
R1は、Hまたは(C1−C6)アルキルであり;
またはそれらの活性代謝物若しくは薬学的に許容可能なプロドラッグ、塩若しくは溶媒和物を含む。特定の実施形態において、式(I)または(II)の化合物は、AがOである化合物である。さらなる実施形態において、式(I)または(II)の化合物は、Bが、−(CH2)nで、nが1−6である、または、Bが、−(C3−C8)シクロアルキルである化合物である。さらなる別の実施形態において、式(I)または(II)の化合物は、Eが(C=O)−OR、カルボン酸バイオアイソスター、−(C=O)−NR1R、−(C1−C7)アルキル−(C=O)−OR、または−(C1−C7)アルキル(C=O)−NR1Rである化合物である。1つの実施形態において、式(I)または(II)の化合物は、AがOであり、Bが(C3−C8)シクロアルキルであり、Eが(C=O)−ORであり、およびRがHである化合物である。さらなる実施形態において、式(I)または(II)の化合物は、Bがシクロヘキシルであり、およびRがHである化合物である。さらなる別の実施形態において、式(I)または(II)の化合物は、Bがペンチルであり、およびRがHである化合物である。さらなる別の実施形態において、式(I)または(II)の化合物は、以下の構造:
【0033】
【化13】
【0034】
を有する化合物である。
別の実施形態において、式(I)または(II)の化合物は、以下の構造:
【0035】
【化14】
【0036】
を有する化合物である。
1つの実施形態において、式(I)または(II)の化合物は、Rが:
【0037】
【化15】
【0038】
である化合物である。
別の実施形態において、式(I)または(II)の化合物は、Eが(C=O)−ORである化合物である。さらなる実施形態において、式(I)または(II)の化合物はRがHである化合物である。さらなる別の実施形態において、式(I)または(II)の化合物は、化合物が、以下からなる群から選択される化合物である:5−(2−tert−ブチル−4−クロロフェノキシ)−N−(4−ヒドロキシフェニル)ペンタンアミド、7−(2−tert−ブチル−4−クロロフェノキシ)−N−(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタンアミド、4−(5−(2−tert−ブチル−4−クロロフェノキシ)ペンタンアミド(pentanamido))安息香酸、4−(3−((2−tert−ブチル−4−クロロフェノキシ)メチル)シクロペンタンアミド(cyclopentanamido))安息香酸、5−(2−tert−ブチル−4−クロロフェノキシ)ペンタン酸、4−(2−tert−ブチル−4−クロロフェノキシ)ブタン酸、2−(3−((2−tert−ブチル−4−クロロフェノキシ)メチル)シクロペンチル)酢酸、7−(2−tert−ブチル−4−クロロフェノキシ)ヘプタン酸、4−(5−(2−tert−ブチル−4−クロロフェノキシ)ペンタンアミド(pentanamido))ベンズアミド、3−((2−tert−ブチル−4−クロロフェノキシ)メチル)シクロヘキサンカルボン酸、3−((2−tert−ブチル−4−クロロフェノキシ)メチル)シクロペンタンカルボン酸、3−((2−tert−ブチル−4−クロロフェニルアミノ)メチル)シクロペンタンアミド、4−(3−((2−tert−ブチル−4−クロロフェノキシ)メチル)シクロペンタンカルボキシアミド)安息香酸、および5−(2−tert−ブチル−4−クロロフェニルチオ)ペンタン酸。式(I)及び/又は(II)の他の化合物は、2008年9月16日に出願され、WO2009/042444として公表されたPCT/US08/76499において述べられ、それは、そのような化合物のための参照によって、本明細書に組み込まれる。
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される処置を必要とする個体は、血漿レチノール、血漿RBP4(apo−RBP)または血漿RBP4レチノール(holo−RBP)のレベルが高いと診断された個体である。特定の実施形態において、本明細書に記載される処置を必要とする個体は、25μg/mLより大きな血漿RBP4濃度及び/又は0.5を超えるholo−RBPに対するapo−RBPの比率を有する男性のヒト個体である。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される処置を必要とする個体は、20μg/mLより大きな血漿RBP4濃度及び/又は0.25を超えるholo−RBPに対するapo−RBPの比率を有する女性のヒト個体である。特定の実施形態において、本明細書に記載される処置を必要とする個体は、過度のリポフスチン蓄積、黄斑ジストロフィー、シュタルガルト病またはAMDと診断された個体である。特定の実施形態において、本明細書に記載される任意の方法は、高い組織レベルの血漿レチノール、血漿RBP4(apo−RBP)、血漿RBP4レチノール(holo−RBP)、または0.5を超えるholo−RBPに対するapo−RBPの比率によって、必要とする個体を診断する工程をさらに含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される任意の方法は、高い循環Holo−RBPレベルまたは0.5を超える循環holo−RBPに対するapo−RBPの比率によって、必要とする個体を診断する工程をさらに含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される任意の方法は、GA、非滲出性AMDまたは滲出性AMDを有する個体を診断することによって、皮膚癌のリスクが増加した個体を診断する工程をさらに含む。
幾つかの実施形態において、治療薬剤(例えばN−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド)の有効な量は、25%と75%の間で個体内で循環ビタミンAを減少させるのに十分な量である。特定の実施形態において、治療薬剤(例えばN−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド)の有効な量は、25%と75%の間で循環Holo−RBPを減少させるのに十分な量である。幾つかの実施形態において、治療薬剤(例えばN−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド)の有効な量は、25%と75%の間で循環apo−RBPまたはholo−RBPの総濃度を減少させるのに十分な量である。幾つかの実施形態において、治療薬剤(例えばN−(4ヒドロキシフェニル)レチンアミド)の有効な量は、1日300mg未満である。特定の実施形態において、治療薬剤(例えばN−(4ヒドロキシフェニル)レチンアミド)の有効な量は、1日50mg〜150mgである。
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の任意の方法の皮膚癌(skin cancer)は、皮膚癌腫(skin carcinoma)である。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の任意の方法の皮膚癌は、基底細胞癌、扁平上皮癌または黒色腫である。
特定の実施形態において、有効な量のその治療薬剤(例えばN−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド)は、最初は初期量スケジュール(loading dose schedule)で投与され、後に維持量スケジュールで投与される。幾つかの実施形態において、初期量スケジュールは、25%と75%の間で個体内での循環ビタミンAを減少させるのに十分な量および期間で、治療薬剤(例えばN−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド)を投与する工程を含み、および維持量は循環ビタミンAの減少を維持するのに十分な量で投与される。特定の実施形態において、初期量スケジュールは、25%と75%の間で個体内での循環holo−RBPを減少させるのに十分な量および期間で、治療薬剤(例えばN−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド)を投与する工程を含み、および維持量は循環holo−RBPの減少を維持するのに十分な量で投与される。いくつかの実施形態において、初期量スケジュールは、25%と75%の間で個体内での循環apo−RBPおよび循環holo−RBPの総濃度を減少させるのに十分な量および期間で、N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、N−(4−メトキシフェニル)レチンアミド、4−オキソ−N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミドまたはそれらの組み合わせを投与する工程を含み、および維持量は、循環apo−RBPおよび循環holo−RBPの総濃度の減少を維持するのに十分な量で投与される。特定の実施形態において、初期量スケジュールは、循環または組織のいずれかのholo−RBPに対するapo−RBPの比率を約0.5に達させるのに充分な量および期間で、N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、N−(4−メトキシフェニル)レチンアミド、4−オキソ−N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミドまたはそれらの組み合わせを投与する工程を含み、および維持量は、循環または組織のいずれかのholo−RBPに対するapo−RBPの比率が維持されるのに十分な量で投与される。
【0039】
明細書には、幾つかの実施形態において、必要とする個体またはGAまたはAMDと診断された個体において、有効な量の治療薬剤を投与する工程を含む、結膜悪性黒色腫(CMM)の発生を減らす、または予防処置する方法が提供され、活性薬剤は、N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、N−(4−メトキシフェニル)レチンアミド、4−オキソ−N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、式(I)の化合物:
【0040】
【化16】
【0041】
式中、
Aは、O、NHまたはSであり;
Bは、1つの結合(a bond)、−(C2−C7)アルキル、−(C2−C7)アルケニル、−(C3−C8)シクロアルキル、−(C2−C7)ヘテロアルキル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルキル、−(C3−C8)シクロアルケニル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルケニルであり;
Dは、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、sec−ペンチル、イソペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、メチレンシクロプロピル、メチレンシクロブチル、メチレンシクロペンチルであり;
Eは、(C=O)−OR、−O−(C=O)−R、−(C=O)−R、−OR、カルボン酸バイオアイソスター(bioisostere)、−(C=O)−NR1R、 NR1−(C=O)−R、−(C1−C7)アルキル−(C=O)−OR、または−(C1−C7)アルキル−(C=O)−NR1Rであり;
Rは、Hあるいは
【0042】
【化17】
【0043】
であり;
Gは、−OR1、−(C1−C6)アルキル、−(C1−C6)アルキル−OR1、ハロゲン、−CO2R1、−(C1−C6)アルキル−CO2R1、NHR1、−(C1−C6)アルキル−NHR1、−(C=O)NHR1、−(C1−C6)アルキル−(C=O)NHR1、−NHR1(C=O)R1、−(C1−C6)アルキル−NHR1(C=O)R1であり、
R1は、Hまたは(C1−C6)アルキルであり;
Xは、ハロゲンであり;
またはそれらの活性代謝物若しくは薬学的に許容可能なプロドラッグ、塩若しくは溶媒和物;またはそれらの組み合わせである。
【0044】
本明細書には、特定の実施形態において、AMDと診断された個体において非黒色腫皮膚癌を処置する方法が開示され、その方法は、(a)血清レチノールを調節する(例えば減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば増加させる);(c)シグマ受容体の活性を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、またはそれを遮断する)、有効な量の活性薬剤を、個体に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、非黒色腫皮膚癌は基底細胞癌または扁平上皮癌である。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、レチノイド又はレチノイド誘導体である。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、N−(4−メトキシフェニル)レチンアミド、4−オキソ−N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、式(I)の化合物:
【0045】
【化18】
【0046】
式中、
Aは、O、NHまたはSであり;
Bは、1つの結合(a bond)、−(C2−C7)アルキル、−(C2−C7)アルケニル、−(C3−C8)シクロアルキル、−(C2−C7)ヘテロアルキル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルキル、−(C3−C8)シクロアルケニル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルケニルであり;
Dは、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、sec−ペンチル、イソペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、メチレンシクロプロピル、メチレンシクロブチル、メチレンシクロペンチルであり;
Eは、(C=O)−OR、−O−(C=O)−R、−(C=O)−R、−OR、カルボン酸バイオアイソスター(bioisostere)、−(C=O)−NR1R、NR1−(C=O)−R、−(C1−C7)アルキル−(C=O)−OR、または−(C1−C7)アルキル−(C=O)−NR1Rであり;
Rは、Hあるいは
【0047】
【化19】
【0048】
であり;
Gは、−OR1、−(C1−C6)アルキル、−(C1−C6)アルキル−OR1、ハロゲン、−CO2R1、−(C1−C6)アルキル−CO2R1、NHR1、−(C1−C6)アルキル−NHR1、−(C=O)NHR1、−(C1−C6)アルキル−(C=O)NHR1、−NHR1(C=O)R1、−(C1−C6)アルキル−NHR1(C=O)R1であり、
R1は、Hまたは(C1−C6)アルキルであり;
Xは、ハロゲンであり;
またはそれらの活性代謝物若しくは薬学的に許容可能なプロドラッグ、塩若しくは溶媒和物;またはそれらの組み合わせである。
【0049】
本明細書には、特定の実施形態において、AMDと診断された個体において非黒色腫皮膚癌の発生を妨げる方法が開示され、その方法は、(a)血清レチノールを調節する(例えば減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば増加させる);(c)シグマ受容体の活性を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、またはそれを遮断する)、有効な量の活性薬剤を、個体に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、非黒色腫皮膚癌は基底細胞癌または扁平上皮癌である。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、レチノイド又はレチノイド誘導体である。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、N−(4−メトキシフェニル)レチンアミド、4−オキソ−N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、式(I)の化合物:
【0050】
【化20】
【0051】
式中、
Aは、O、NHまたはSであり;
Bは、1つの結合(a bond)、−(C2−C7)アルキル、−(C2−C7)アルケニル、−(C3−C8)シクロアルキル、−(C2−C7)ヘテロアルキル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルキル、−(C3−C8)シクロアルケニル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルケニルであり;Dは、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、sec−ペンチル、イソペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、メチレンシクロプロピル、メチレンシクロブチル、メチレンシクロペンチルであり;
Eは、 (C=O)−OR、−O−(C=O)−R、−(C=O)−R、−OR、カルボン酸バイオアイソスター(bioisostere)、−(C=O)−NR1R、NR1−(C=O)−R、−(C1−C7)アルキル−(C=O)−OR、または−(C1−C7)アルキル−(C=O)−NR1Rであり;
Rは、Hあるいは
【0052】
【化21】
【0053】
であり;
Gは、−OR1、−(C1−C6)アルキル、−(C1−C6)アルキル−OR1、ハロゲン、−CO2R1、−(C1−C6)アルキル−CO2R1、NHR1、−(C1−C6)アルキル−NHR1、−(C=O)NHR1、−(C1−C6)アルキル−(C=O)NHR1、−NHR1(C=O)R1、−(C1−C6)アルキル−NHR1(C=O)R1であり、
R1は、Hまたは(C1−C6)アルキルであり;
Xは、ハロゲンであり;
またはそれらの活性代謝物若しくは薬学的に許容可能なプロドラッグ、塩若しくは溶媒和物;またはそれらの組み合わせである。
【0054】
本明細書には、特定の実施形態において、ゴーリン症候群を処置する方法が開示され、その方法は、(a)血清レチノールを調節する(例えば減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば増加させる);(c)シグマ受容体の活性を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、またはそれを遮断する)、有効な量の活性薬剤を、個体に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、レチノイド又はレチノイド誘導体である。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、N−(4−メトキシフェニル)レチンアミド、4−オキソ−N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、式(I)の化合物:
【0055】
【化22】
【0056】
式中、
Aは、O、NHまたはSであり;
Bは、1つの結合(a bond)、−(C2−C7)アルキル、−(C2−C7)アルケニル、−(C3−C8)シクロアルキル、−(C2−C7)ヘテロアルキル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルキル、−(C3−C8)シクロアルケニル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルケニルであり;
Dは、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、sec−ペンチル、イソペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、メチレンシクロプロピル、メチレンシクロブチル、メチレンシクロペンチルであり;
Eは、 (C=O)−OR、−O−(C=O)−R、−(C=O)−R、−OR、カルボン酸バイオアイソスター(bioisostere)、−(C=O)−NR1R、NR1−(C=O)−R、−(C1−C7)アルキル−(C=O)−OR、または−(C1−C7)アルキル−(C=O)−NR1Rであり;
Rは、Hあるいは
【0057】
【化23】
【0058】
であり;
Gは、−OR1、−(C1−C6)アルキル、−(C1−C6)アルキル−OR1、ハロゲン、−CO2R1、−(C1−C6)アルキル−CO2R1、NHR1、−(C1−C6)アルキル−NHR1、−(C=O)NHR1、−(C1−C6)アルキル−(C=O)NHR1、−NHR1(C=O)R1、−(C1−C6)アルキル−NHR1(C=O)R1であり、
R1は、Hまたは(C1−C6)アルキルであり;
Xは、ハロゲンであり;
またはそれらの活性代謝物若しくは薬学的に許容可能なプロドラッグ、塩若しくは溶媒和物;またはそれらの組み合わせである。
【0059】
本明細書には、特定の実施形態において、ゴーリン症候群と診断された個体において基底細胞癌を処置する方法が開示され、その方法は、(a)血清レチノールを調節する(例えば減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば増加させる);(c)シグマ受容体を調節する(例えば、活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、またはそれを遮断する)、有効な量の活性薬剤を、個体に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、レチノイド又はレチノイド誘導体である。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、N−(4−メトキシフェニル)レチンアミド、4−オキソ−N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、式(I)の化合物:
【0060】
【化24】
【0061】
式中、
Aは、O、NHまたはSであり;
Bは、1つの結合(a bond)、−(C2−C7)アルキル、−(C2−C7)アルケニル、−(C3−C8)シクロアルキル、−(C2−C7)ヘテロアルキル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルキル、−(C3−C8)シクロアルケニル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルケニルであり;
Dは、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、sec−ペンチル、イソペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、メチレンシクロプロピル、メチレンシクロブチル、メチレンシクロペンチルであり;
Eは、(C=O)−OR、−O−(C=O)−R、−(C=O)−R、−OR、カルボン酸バイオアイソスター(bioisostere)、−(C=O)−NR1R、NR1−(C=O)−R、−(C1−C7)アルキル−(C=O)−OR、または−(C1−C7)アルキル−(C=O)−NR1Rであり;
Rは、Hあるいは
【0062】
【化25】
【0063】
であり;
Gは、−OR1、−(C1−C6)アルキル、−(C1−C6)アルキル−OR1、ハロゲン、−CO2R1、−(C1−C6)アルキル−CO2R1、NHR1、−(C1−C6)アルキル−NHR1、−(C=O)NHR1、−(C1−C6)アルキル−(C=O)NHR1、−NHR1(C=O)R1、−(C1−C6)アルキル−NHR1(C=O)R1であり、
R1は、Hまたは(C1−C6)アルキルであり;
Xは、ハロゲンであり;
またはそれらの活性代謝物若しくは薬学的に許容可能なプロドラッグ、塩若しくは溶媒和物;またはそれらの組み合わせである。
【0064】
本明細書には、特定の実施形態において、ゴーリン症候群と診断された個体において基底細胞癌の発生を妨げる方法が開示され、その方法は、(a)血清レチノールを調節する(例えば減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば増加させる);(c)シグマ受容体の活性を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、またはそれを遮断する)、有効な量の活性薬剤を、個体に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、レチノイド又はレチノイド誘導体である。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、N−(4−メトキシフェニル)レチンアミド、4−オキソ−N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、式(I)の化合物:
【0065】
【化26】
【0066】
式中、
Aは、O、NHまたはSであり;
Bは、1つの結合(a bond)、−(C2−C7)アルキル、−(C2−C7)アルケニル、−(C3−C8)シクロアルキル、−(C2−C7)ヘテロアルキル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルキル、−(C3−C8)シクロアルケニル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルケニルであり;
Dは、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、sec−ペンチル、イソペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、メチレンシクロプロピル、メチレンシクロブチル、メチレンシクロペンチルであり;
Eは、(C=O)−OR、−O−(C=O)−R、−(C=O)−R、−OR、カルボン酸バイオアイソスター(bioisostere)、−(C=O)−NR1R、NR1−(C=O)−R、−(C1−C7)アルキル−(C=O)−OR、又は−(C1−C7)アルキル−(C=O)−NR1Rであり;
Rは、Hあるいは
【0067】
【化27】
【0068】
であり;
Gは、−OR1、−(C1−C6)アルキル、−(C1−C6)アルキル−OR1、ハロゲン、−CO2R1、−(C1−C6)アルキル−CO2R1、NHR1、−(C1−C6)アルキル−NHR1、−(C=O)NHR1、−(C1−C6)アルキル−(C=O)NHR1、−NHR1(C=O)R1、−(C1−C6)アルキル−NHR1(C=O)R1であり、
R1は、Hまたは(C1−C6)アルキルであり;
Xは、ハロゲンであり;
またはそれらの活性代謝物若しくは薬学的に許容可能なプロドラッグ、塩若しくは溶媒和物;またはそれらの組み合わせである。
【0069】
本発明の、新規な特徴は、添付の特許請求の範囲内に特に明記されている。本発明の特徴と利点とのよりよい理解は、本発明の原理を利用している、説明に役立つ実施形態および添付図面に明記される、後述する詳細な説明を参照することによって、得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】図1は、GAを処置するHPRの有効性を評価した第2相臨床試験における脈絡膜血管新生(CNV)の試験治療下での発現(Treatment Emergent)の発生を示す。
【図2】図2は、胎児のヒト網膜色素上皮培養物中のVEGF発現に対するHPRの効果を示す。
【図3】図3は、HPR GA治験における癌の試験治療下での発現の発生を示す。
【図4】図4は、メラノーマ細胞株(B16(RL))に対するHPRの効果を示す。
【図5】図5は、2つのヒトメラノーマ細胞株(M207およびSK−MEL28)に対するHPRおよび式IIの化合物の効果を示す。
【図6】図6は、シグマ1受容体に結合するペンタゾシンに対するHPRの効果を示す。
【図7】図7は、シグマ1受容体への結合に対するペンタゾシンとのHPR競合の効果を示す。
【図8A】図8Aは、フェンレチニドが、BALC/C**マウスの目において、特定の補体遺伝子(Crry、CFH、MCP−1、CD59a、Daf2およびCD59b)をアップレギュレートすることを示す。左側の棒は、普通の食事を与えられたマウスにおける遺伝子活性化のレベルである。左側の棒は、フェンレチニドを補った食事(1g フェンレチニド/kg食事)を与えられたマウスにおける遺伝子活性化のレベルである。補体遺伝子の発現はRT−PCRによって測定された。データは、18S RNAの発現に対して正規化された。
【図8B】図8Bは、フェンレチニドが、BALC/C**マウスの目において、特定の補体遺伝子(Crry、CFH、MCP−1、CD59a、Daf2およびCD59b)をアップレギュレートすることを示す。左側の棒は、普通の食事を与えられたマウスにおける遺伝子活性化のレベルである。左側の棒は、フェンレチニドを補った食事(1g フェンレチニド/kg食事)を与えられたマウスにおける遺伝子活性化のレベルである。補体遺伝子の発現はRT−PCRによって測定された。データは、18S RNAの発現に対して正規化された。
【図8C】図8Cは、フェンレチニドが、BALC/C**マウスの目において、特定の補体遺伝子(Crry、CFH、MCP−1、CD59a、Daf2およびCD59b)をアップレギュレートすることを示す。左側の棒は、普通の食事を与えられたマウスにおける遺伝子活性化のレベルである。左側の棒は、フェンレチニドを補った食事(1g フェンレチニド/kg食事)を与えられたマウスにおける遺伝子活性化のレベルである。補体遺伝子の発現はRT−PCRによって測定された。データは、18S RNAの発現に対して正規化された。
【図8D】図8Dは、フェンレチニドが、BALC/C**マウスの目において、特定の補体遺伝子(Crry、CFH、MCP−1、CD59a、Daf2およびCD59b)をアップレギュレートすることを示す。左側の棒は、普通の食事を与えられたマウスにおける遺伝子活性化のレベルである。左側の棒は、フェンレチニドを補った食事(1g フェンレチニド/kg食事)を与えられたマウスにおける遺伝子活性化のレベルである。補体遺伝子の発現はRT−PCRによって測定された。データは、18S RNAの発現に対して正規化された。
【図8E】図8Eは、フェンレチニドが、BALC/C**マウスの目において、特定の補体遺伝子(Crry、CFH、MCP−1、CD59a、Daf2およびCD59b)をアップレギュレートすることを示す。左側の棒は、普通の食事を与えられたマウスにおける遺伝子活性化のレベルである。左側の棒は、フェンレチニドを補った食事(1g フェンレチニド/kg食事)を与えられたマウスにおける遺伝子活性化のレベルである。補体遺伝子の発現はRT−PCRによって測定された。データは、18S RNAの発現に対して正規化された。
【図8F】図8Fは、フェンレチニドが、BALC/C**マウスの目において、特定の補体遺伝子(Crry、CFH、MCP−1、CD59a、Daf2およびCD59b)をアップレギュレートすることを示す。左側の棒は、普通の食事を与えられたマウスにおける遺伝子活性化のレベルである。左側の棒は、フェンレチニドを補った食事(1g フェンレチニド/kg食事)を与えられたマウスにおける遺伝子活性化のレベルである。補体遺伝子の発現はRT−PCRによって測定された。データは、18S RNAの発現に対して正規化された。
【図9A】図9Aは、高用量のフェンレチニドが、BALC/C**マウスの目において、特定の補体遺伝子(Crry、CFH、MCP−1、CD59a、Daf2およびCD59b)をダウンレギュレートすることを示す。左側の棒は、普通の食事を与えられたマウスにおける遺伝子活性化のレベルである。左側の棒は、フェンレチニドを補った食事(1g フェンレチニド/kg食事)を与えられたマウスにおける遺伝子活性化のレベルである。補体遺伝子の発現はRT−PCRによって測定された。データは、18S RNAの発現に対して正規化された。
【図9B】図9Bは、高用量のフェンレチニドが、BALC/C**マウスの目において、特定の補体遺伝子(Crry、CFH、MCP−1、CD59a、Daf2およびCD59b)をダウンレギュレートすることを示す。左側の棒は、普通の食事を与えられたマウスにおける遺伝子活性化のレベルである。左側の棒は、フェンレチニドを補った食事(1g フェンレチニド/kg食事)を与えられたマウスにおける遺伝子活性化のレベルである。補体遺伝子の発現はRT−PCRによって測定された。データは、18S RNAの発現に対して正規化された。
【図9C】図9Cは、高用量のフェンレチニドが、BALC/C**マウスの目において、特定の補体遺伝子(Crry、CFH、MCP−1、CD59a、Daf2およびCD59b)をダウンレギュレートすることを示す。左側の棒は、普通の食事を与えられたマウスにおける遺伝子活性化のレベルである。左側の棒は、フェンレチニドを補った食事(1g フェンレチニド/kg食事)を与えられたマウスにおける遺伝子活性化のレベルである。補体遺伝子の発現はRT−PCRによって測定された。データは、18S RNAの発現に対して正規化された。
【図9D】図9Dは、高用量のフェンレチニドが、BALC/C**マウスの目において、特定の補体遺伝子(Crry、CFH、MCP−1、CD59a、Daf2およびCD59b)をダウンレギュレートすることを示す。左側の棒は、普通の食事を与えられたマウスにおける遺伝子活性化のレベルである。左側の棒は、フェンレチニドを補った食事(1g フェンレチニド/kg食事)を与えられたマウスにおける遺伝子活性化のレベルである。補体遺伝子の発現はRT−PCRによって測定された。データは、18S RNAの発現に対して正規化された。
【図9E】図9Eは、高用量のフェンレチニドが、BALC/C**マウスの目において、特定の補体遺伝子(Crry、CFH、MCP−1、CD59a、Daf2およびCD59b)をダウンレギュレートすることを示す。左側の棒は、普通の食事を与えられたマウスにおける遺伝子活性化のレベルである。左側の棒は、フェンレチニドを補った食事(1g フェンレチニド/kg食事)を与えられたマウスにおける遺伝子活性化のレベルである。補体遺伝子の発現はRT−PCRによって測定された。データは、18S RNAの発現に対して正規化された。
【図9F】図9Fは、高用量のフェンレチニドが、BALC/C**マウスの目において、特定の補体遺伝子(Crry、CFH、MCP−1、CD59a、Daf2およびCD59b)をダウンレギュレートすることを示す。左側の棒は、普通の食事を与えられたマウスにおける遺伝子活性化のレベルである。左側の棒は、フェンレチニドを補った食事(1g フェンレチニド/kg食事)を与えられたマウスにおける遺伝子活性化のレベルである。補体遺伝子の発現はRT−PCRによって測定された。データは、18S RNAの発現に対して正規化された。
【図10】図10は、フェンレチニドがセラミド生合成を調節するという1つの可能な方法を示す。
【図11】図11は、Patched1(Ptch1)がSmoothened(Smo)の活性化をどのように抑えるかを示す図解である。ヘッジホッグリガンド(Hh)がPTCH1に結合されない場合、PTCH1は活性であり、SMOの活性を抑制する。不活性のSMOは、細胞の成長を媒介するGLI転写因子を活性化することができない。
【図12】図12は、ヘッジホッグ(Hh)がどのようにSMOの活性化を生じるかを示す図解である。ヘッジホッグリガンド(Hh)がPTCH1に結合される場合、PTCH1は不活性化され、リソソームの分解につながるエンドサイトーシス経路を介して進められる(proceed)。PTCH1の喪失は細胞内のオキシステロールの高いレベルにつながり、SMOは、GLIを活性化する一次繊毛に転座する。
【図13】図13は、フェンレチニドがどのようにSMOの調節に影響するかを示す図解である。この場合、フェンレチニド、その代謝物質、または式I若しくはIIの化合物は、スフィンゴミエリンを加水分解するスフィンゴミエリナーゼの活性化を介してセラミドの蓄積を誘発する。その後、セラミドは、原形質膜からコレステロール、および細胞内脂質ラフトを排出し(displace)、それによって、濃度勾配を作り出し、その結果、コレステロールおよびその酸化した誘導体(オキシステロール)の低いレベルを生じる(2、3)。SMOはエンドソームの小胞に制限されたままである。
【図14】図14は、フェンレチニドがどのようにSMの調節に影響を与えるかを示す図解である。この場合、フェンレチニド、その代謝物質、または式I若しくはIIの化合物は、スフィンゴミエリナーゼの活性化を通じてセラミドの合成を誘発する。その後、セラミドは、原形質膜からコレステロールおよび細胞内脂質ラフトを排出する。その後、排出されたコレステロールは、PTCH1上のコレステロール結合部位を占めることによりHhを結合することを妨げる。活性PTCH1は、オキシステロールの除去を促進し続ける。SMOは、エンドソームの小胞に制限されたままである。
【発明を実施するための形態】
【0071】
本発明の好ましい実施形態が、本明細書に示され記載されているが、このような実施形態が、ほんの一例として提供されることは当業者に明白となるであろう。ここで、本発明から逸脱することなく、多数の変更、変化、及び置換がなされることは、当業者によって理解される。本明細書に記載される本発明の実施形態の様々な代替案が、本発明を実行する際に利用され得ることを理解されたい。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を定義するものであり、この特許請求の範囲及びそれらの同等物の範囲内の方法及び構造体がそれによって包含されることが意図される。
【0072】
特定の実施形態において、本明細書には、AMDと診断された個体、またはAMDを有する疑いのある個体において癌(例えば、皮膚癌)の発生を減少する、またはその進行のおそれを減少する方法が開示され、その方法は、(a)血清レチノールを調節する(例えば減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば増加させる);(c)シグマ受容体の活性を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、またはそれを遮断する)、有効な量の活性薬剤を、個体に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、レチノイド又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、活性薬剤は、フェンレチニド(N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド,HPR)、式(I)の化合物またはその代謝物質である。特定の実施形態において、本明細書には、AMDと診断された個体、またはAMDを有する疑いのある個体において、癌(例えば、皮膚癌)を予防的に処置する方法(すなわち、その予防法)が提供され、その方法は、(a)血清レチノールを調節する(例えば減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば増加させる);(c)シグマ受容体の活性を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、またはそれを遮断する)、有効な量の活性薬剤を、個体に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、レチノイド又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、活性薬剤は、フェンレチニド(N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド,HPR)、式(I)の化合物またはその代謝物質である。
【0073】
特定の実施形態において、本明細書には、AMDと診断された個体、またはAMDを有する疑いのある個体において、非黒色腫皮膚癌(例えば、基底細胞癌または扁平上皮癌)の発生を減少する、またはその進行のおそれを減少する方法が開示され、その方法は、(a)血清レチノールを調節する(例えば減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば増加させる);(c)シグマ受容体の活性を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、またはそれを遮断する)、有効な量の活性薬剤を、個体に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、レチノイド又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、活性薬剤は、フェンレチニド(N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド,HPR)、式(I)の化合物またはその代謝物質である。幾つかの実施形態において、本明細書には、AMDと診断された個体、またはAMDを有する疑いのある個体において、非黒色腫皮膚癌(例えば、基底細胞癌または扁平上皮癌)を予防的に処置する方法(すなわち、その予防法)が提供され、その方法は、(a)血清レチノールを調節する(例えば減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば増加させる);(c)シグマ受容体の活性を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、またはそれを遮断する)、有効な量の活性薬剤を、個体に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、レチノイド又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、活性薬剤は、フェンレチニド(N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド,HPR)、式(I)の化合物またはその代謝物質である。
【0074】
【化28】
【0075】
特定の実施形態において、本明細書には、AMDと診断された個体、またはAMDを有する疑いのある個体において、基底細胞癌の発生を減少する、またはその進行のおそれを減少する方法が提供され、その方法は、(a)血清レチノールを調節する(例えば減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば増加させる);(c)シグマ受容体の活性を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、またはそれを遮断する)、有効な量の活性薬剤を、個体に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、レチノイド又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、活性薬剤は、フェンレチニド(N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド,HPR)、式(I)の化合物またはその代謝物質である。特定の実施形態において、本明細書には、AMDと診断された個体、またはAMDを有する疑いのある個体において、基底細胞癌を予防的に処置する方法(すなわち、その予防法)が提供され、その方法は、(a)血清レチノールを調節する(例えば減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば増加させる);(c)シグマ受容体の活性を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、またはそれを遮断する)、有効な量の活性薬剤を、個体に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、レチノイド又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、活性薬剤は、フェンレチニド(N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド,HPR)、式(I)の化合物またはその代謝物質である。
【0076】
【化29】
【0077】
特定の実施形態において、本明細書には、AMDと診断された個体、またはAMDを有する疑いのある個体において、扁平上皮癌の発生を減少する、またはその進行のおそれを減少する方法が提供され、その方法は、(a)血清レチノールを調節する(例えば減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば増加させる);(c)シグマ受容体の活性を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、またはそれを遮断する)、有効な量の活性薬剤を、個体に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、レチノイド又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、活性薬剤は、フェンレチニド(N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド,HPR)、式(I)の化合物またはその代謝物質である。
特定の実施形態において、本明細書には、AMDと診断された個体、またはAMDを有する疑いのある個体において、扁平上皮癌を予防的に処置する方法(すなわち、その予防法)が提供され、その方法は、(a)血清レチノールを調節する(例えば減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば増加させる);(c)シグマ受容体の活性を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、またはそれを遮断する)、有効な量の活性薬剤を、個体に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、レチノイド又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、活性薬剤は、フェンレチニド(N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド,HPR)、式(I)の化合物またはその代謝物質である。
【0078】
【化30】
【0079】
特定の実施形態において、本明細書には、ゴーリン症候群と診断された(またはゴーリン症候群を有する疑いのある)個体において、基底細胞癌の発生を減少する、またはその進行のおそれを減少する方法が提供され、その方法は、(a)血清レチノールを調節する(例えば減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば増加させる);(c)シグマ受容体の活性を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、またはそれを遮断する)、有効な量の活性薬剤を、個体に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、レチノイド又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、活性薬剤は、フェンレチニド(N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド,HPR)、式(I)の化合物またはその代謝物質である。幾つかの実施形態において、本明細書には、ゴーリン症候群と診断された(またはゴーリン症候群を有する疑いのある)個体において、基底細胞癌を予防的に処置する方法(すなわち、その予防法)が提供され、その方法は、(a)血清レチノールを調節する(例えば減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば増加させる);(c)シグマ受容体の活性を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、またはそれを遮断する)、有効な量の活性薬剤を、個体に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、レチノイド又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、活性薬剤は、フェンレチニド(N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド,HPR)、式(I)の化合物またはその代謝物質である。
【0080】
【化31】
【0081】
特定の実施形態において、式(I)の化合物:
【0082】
【化32】
【0083】
式中、
Aは、O、NHまたはSであり;
Bは、1つの結合(a bond)、−(C2−C7)アルキル、−(C2−C7)アルケニル、−(C3−C8)シクロアルキル、−(C2−C7)ヘテロアルキル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルキル、−(C3−C8)シクロアルケニル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルケニルであり;
Dは、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、sec−ペンチル、イソペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、メチレンシクロプロピル、メチレンシクロブチル、メチレンシクロペンチルであり;
Eは、(C=O)−OR、−O−(C=O)−R、−(C=O)−R、−OR、カルボン酸バイオアイソスター(bioisostere)、−(C=O)−NR1R、NR1−(C=O)−R、−(C1−C7)アルキル−(C=O)−OR、又は−(C1−C7)アルキル−(C=O)−NR1Rであり;
Rは、Hあるいは
【0084】
【化33】
【0085】
であり;
Gは、−OR1、−(C1−C6)アルキル、−(C1−C6)アルキル−OR1、ハロゲン、−CO2R1、−(C1−C6)アルキル−CO2R1、NHR1、−(C1−C6)アルキル−NHR1、−(C=O)NHR1、−(C1−C6)アルキル−(C=O)NHR1、−NHR1(C=O)R1、−(C1−C6)アルキル−NHR1(C=O)R1であり、
R1は、Hまたは(C1−C6)アルキルであり;
Xは、ハロゲンであり;
またはそれらの活性代謝物若しくは薬学的に許容可能なプロドラッグ、塩若しくは溶媒和物である。
【0086】
幾つかの実施形態において、式Iの化合物は、式(II)の化合物:
【0087】
【化34】
【0088】
式中、
Aは、O、NHまたはSであり;
Bは、1つの結合(a bond)、−(C2−C7)アルキル、−(C2−C7)アルケニル、−(C3−C8)シクロアルキル、−(C2−C7)ヘテロアルキル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルキル、−(C3−C8)シクロアルケニル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルケニルであり;
Eは、(C=O)−OR、−O−(C=O)−R、−(C=O)−R、−OR、カルボン酸バイオアイソスター(bioisostere)、−(C=O)−NR1R、NR1−(C=O)−R、−(C1−C7)アルキル−(C=O)−OR、又は−(C1−C7)アルキル−(C=O)−NR1Rであり;
Rは、Hあるいは
【0089】
【化35】
【0090】
であり;
Gは、−OR1、−(C1−C6)アルキル、−(C1−C6)アルキル−OR1、ハロゲン、−CO2R1、−(C1−C6)アルキル−CO2R1、NHR1、−(C1−C6)アルキル−NHR1、−(C=O)NHR1、−(C1−C6)アルキル−(C=O)NHR1、−NHR1(C=O)R1、−(C1−C6)アルキル−NHR1(C=O)R1であり、
R1は、Hまたは(C1−C6)アルキルであり;
またはそれらの活性代謝物若しくは薬学的に許容可能なプロドラッグ、塩若しくは溶媒和物である。
【0091】
特定の実施形態において、式(I)または(II)の化合物は、AがOである化合物である。さらなる実施形態において、式(I)または(II)の化合物は、Bが、−(CH2)nで、nが1−6である、または、Bが、−(C3−C8)シクロアルキルである化合物である。さらなる別の実施形態において、式(I)または(II)の化合物は、Eが(C=O)−OR、カルボン酸バイオアイソスター、−(C=O)−NR1R、−(C1−C7)アルキル−(C=O)−OR、または−(C1−C7)アルキル(C=O)−NR1Rである化合物である。1つの実施形態において、式(I)または(II)の化合物は、AがOであり、Bが(C3−C8)シクロアルキルであり、Eが(C=O)−ORであり、およびRがHである化合物である。さらなる実施形態において、式(I)または(II)の化合物は、Bがシクロヘキシルであり、およびRがHである化合物である。さらなる別の実施形態において、式(I)または(II)の化合物は、Bがシクロペンチルであり、およびRがHである化合物である。さらなる別の実施形態において、式(I)または(II)の化合物は、以下の構造:
【0092】
【化36】
【0093】
を有する化合物である。
別の実施形態において、式(I)または(II)の化合物は、構造:
【0094】
【化37】
【0095】
を有する化合物である。
【0096】
1つの実施形態において、式(I)または(II)の化合物は、Rが、
【0097】
【化38】
【0098】
である化合物である。
【0099】
別の実施形態において、式(I)または(II)の化合物は、Eが (C=O)−ORである化合物である。さらなる実施形態において、式(I)または(II)の化合物は、RがHである化合物である。さらなる別の実施形態にて、式(I)または(II)の化合物は、以下の群から選択される化合物である:5−(2−tert−ブチル−4−クロロフェノキシ)−N−(4−ヒドロキシフェニル)ペンタンアミド、7−(2−tert−ブチル−4−クロロフェノキシ)−N−(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタンアミド、4−(5−(2−tert−ブチル−4−クロロフェノキシ)ペンタンアミド(pentanamido))安息香酸、4−(3−((2−tert−ブチル−4−クロロフェノキシ)メチル)シクロペンタンアミド(cyclopentanamido))安息香酸、5−(2−tert−ブチル−4−クロロフェノキシ)ペンタン酸、4−(2−tert−ブチル−4−クロロフェノキシ)ブタン酸、2−(3−((2−tert−ブチル−4−クロロフェノキシ)メチル)シクロペンチル)酢酸、7−(2−tert−ブチル−4−クロロフェノキシ)ヘプタン酸、4−(5−(2−tert−ブチル−4−クロロフェノキシ)ペンタンアミド(pentanamido))ベンズアミド、3−((2−tert−ブチル−4−クロロフェノキシ)メチル)シクロヘキサンカルボン酸、3−((2−tert−ブチル−4−クロロフェノキシ)メチル)シクロペンタンカルボン酸、3−((2−tert−ブチル−4−クロロフェニルアミノ)メチル)シクロペンタンアミド、4−(3−((2−tert−ブチル−4−クロロフェノキシ)メチル)クロロペンタンカルボキシアミド)安息香酸、および5−(2−tert−ブチル−4−クロロフェニルチオ)ペンタン酸。式(I)及び/又は(II)の他の化合物は、2008年9月16日に出願され、WO2009/042444として公表されたPCT/US08/76499において述べられ、それは、そのような化合物のための参照によって、本明細書によって組み込まれる。
【0100】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、限定されない例として、基底細胞癌、扁平上皮癌、黒色腫などから選択される皮膚癌の発生を減少させるために、その進行の可能性を減少させるために、あるいは予防的に処置する(即ち、その予防の方法)ために有用である。特定の実施形態において、本明細書に記載の任意の方法によって処置される個体は、AMDと診断された、またはAMDを有している疑いがある。
特定の実施形態において、本明細書に記載の任意の方法によって処置される個体は、皮膚癌を有しているか、または(例えばAMDの診断によって)皮膚癌を進行させるおそれが高いと診断される。いくつかの実施形態において、皮膚癌を有するまたは皮膚癌の進行する恐れが高いと診断された個体は、過剰なリポフスチン蓄積、黄斑ジストロフィー、シュタルガルト病、GA、非滲出性AMD、滲出性AMD、高いレチノール値、高いレベルのapo−RBPまたはholo−RBP、高いシグマ受容体レベル(例えば、高いシグマ−1及び/又はシグマ−2の受容体レベル)、高いVEGFレベル、及び/又は、holo−RBPに対するapo−RBPの比率を有する、または有するとして診断された個体である。
【0101】
幾つかの実施形態において、本明細書には、癌(例えば、皮膚癌)の発生を減少させる方法が提供され、その方法は、(a)血清レチノールを調節する(例えば減少させる);
(b)セラミドレベルを調節する(例えば増加させる);(c)シグマ受容体の活性を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、またはそれを遮断する)、有効な量の活性薬剤を、個体に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、レチノイド又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、活性薬剤は、4−HPR、4−MPR、4−オキソ−4−HPR、式(I)の化合物、シグマ受容体モジュレーター、シグマ−1受容体モジュレーター、シグマ−2受容体モジュレーター、血清レチノール−RBPを減らす、およびシグマ受容体(例えばシグマ−1及び/又はシグマ−2)を調節するデュアル剤(dual agent)、デキストロメトルファン、あるいはそれらの組み合わせである。
【0102】
(患者集団)
特定の実施形態において、本発明者は、目の特定の障害に苦しむ個体が、皮膚癌(例えば非黒色腫皮膚癌)の増加した発生に苦しむことを発見した。例えば、特定の場合において、75歳以上の正常ヒト個体の約2%は、基底細胞癌、扁平上皮癌および黒色腫を含む皮膚癌にかかる。幾つかの例において、75歳以上の個体および特定のタイプの眼障害(例えば、加齢性黄斑変性、地図状萎縮など)を患う個体は、正常の個体の2倍(またはそれ以上)の頻度で皮膚癌にかかる。
【0103】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の方法に従って処置される個体は、過剰なリポフスチン蓄積、黄斑ジストロフィー、シュタルガルト病、GA、非滲出性AMD及び/又は滲出性AMDを患う、及び/又は診断されている。特定の実施形態において、本明細書に記載の方法は、個体を、過剰なリポフスチン蓄積、黄斑ジストロフィー、シュタルガルト病、GA、非滲出性AMD及び/又は滲出性AMDと診断する工程をさらに含む。
【0104】
特定の実施形態において、本明細書に記載の任意の方法に従って処置される個体は、高いレチノールレベルを有するか、またはそれで診断されている。高いレチノールレベルは、例えば、高い循環レチノールレベル、及び/又は高い組織レチノールレベルを含む。特定の実施形態において、高いレチノールレベルは、2μmol/Lのより高い循環レベルを含む。幾つかの実施形態において、高いレチノールレベルは、2.5μmol/Lより高い循環レベルを含む。特定の実施形態において、高いレチノールレベルは、3μmol/Lより高い循環レベルを含む。特定の実施形態において、高いレチノールレベルは、3.5μmol/Lより高い循環レベルを含む。幾つかの実施形態において、高いレチノールレベルは、4μmol/Lより高い循環レベルを含む。特定の実施形態において、高いレチノールレベルは、5μmol/Lより高い循環レベルを含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、高いレチノールレベルを有する個体を診断する工程をさらに含む。特定の実施形態において、個体は、個体からサンプル(例えば組織サンプル、血清サンプル、血漿サンプルなど)を得て、サンプル中のレチノールの量を測定することにより、高いレチノールレベルと診断される。
【0105】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の任意の方法に従って処置される個体は、高いレベルのRBP4を有するか、または高いレベルのRBP4と診断されている。高いRBP4レベルは、例えば、高い循環レチノールレベル、及び/又は高い組織レチノールレベルを含む。特定の実施形態において、高いRBPレベルは、20μmol/Lより高いRBPの循環レベルを含む。特定の実施形態において、高いRBPレベルは、21μmol/Lより高いRBPの循環レベルを含む。特定の実施形態において、高いRBPレベルは、22μmol/Lより高いRBPの循環レベルを含む。特定の実施形態において、高いRBPレベルは、23μmol/Lより高いRBPの循環レベルを含む。特定の実施形態において、高いRBPレベルは、24μmol/Lより高いRBPの循環レベルを含む。幾つかの実施形態において、高いRBPレベルは、25μmol/Lより高いRBPの循環レベルを含む。特定の実施形態において、高いRBPレベルは、30μmol/Lより高いRBPの循環レベルを含む。特定の実施形態において、高いRBPレベルは、35μmol/Lより高いRBPの循環レベルを含む。幾つかの実施形態において、高いRBPレベルは、40μmol/Lより高いRBPの循環レベルを含む。特定の実施形態において、高いRBPレベルは、50μmol/Lより高いRBPの循環レベルを含む。特定の実施形態において、高いRBPレベルは、25μg/mLと100μg/mLの間にあるRBP4の循環レベルを含む。具体的な実施形態において、個体は、25μg/mLより大きな循環RBP4レベルを有する男性体である。より具体的な実施形態において、個体は、26μg/mLより大きな循環RBP4レベルを有する男性ヒトである。さらにより具体的な実施形態において、個体は、27μg/mLより大きな循環RBP4レベルを有する男性ヒトである。さらにより具体的な実施形態において、個体は、28μg/mLより大きな循環RBP4レベルを有する男性ヒトである。より具体的な実施形態において、個体は、29μg/mLより大きな循環RBP4レベルを有する男性ヒトである。さらにより具体的な実施形態において、個体は、30μg/mLより大きな循環RBP4レベルを有する男性ヒトである。特定の実施形態において、高いRBPレベルは、20μg/mLと100μg/mLの間にあるRBP4の循環レベルを含む。特定の実施形態において、個体は、21μg/mLより大きな循環RBP4レベルを有する女性体である。より具体的な実施形態において、個体は、22μg/mLより大きな循環RBP4レベルを有する女性ヒトである。さらにより具体的実施形態において、個体は、23μg/mLより大きな循環RBP4レベルを有する女性ヒトである。さらにより具体的な実施形態において、個体は、24μg/mLより大きな循環RBP4レベルを有する女性ヒトである。より具体的な実施形態において、個体は、25μg/mLより大きな循環RBP4レベルを有する女性ヒトである。さらにより具体的な実施形態において、個体は、26μg/mLより大きな循環RBP4レベルを有する女性ヒトである。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、高いRBPレベルを有する個体を診断する工程をさらに含む。具体的の実施形態において、個体は、個体からサンプル(例えば組織サンプル、血清サンプル、血漿サンプルなど)を得て、サンプル中のRBPの量を測定することにより、高いRBPレベルと診断される。
【0106】
特定の実施形態において、本明細書に記載の任意の方法に従って処置される個体は、(モル濃度で)holo−RBPに対するapo−RBPの高い比率を有するか、またはそう診断されている。holo−RBPに対するapo−RBPの高い比率は、例えば、holo−RBPに対するapo−RBPの高い循環比率及び/又はholo−RBPに対するapo−RBPの高い組織比率を含む。特定の実施形態において、holo−RBPに対するapo−RBPの高い比率は、0.5より大きな比率(例えば、循環比率)を含む。幾つかの実施形態において、holo−RBPに対するapo−RBPの高い比率は、0.6より大きな比率(例えば、循環比率)を含む。特定の実施形態において、holo−RBPに対するapo−RBPの高い比率は、0.7より大きな比率(例えば、循環比率)を含む。特定の実施形態において、holo−RBPに対するapo−RBPの高い比率は、0.8より大きな比率(例えば、循環比率)を含む。特定の実施形態において、holo−RBPに対するapo−RBPの高い比率は、0.9より大きな比率(例えば、循環比率)を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、holo−RBPに対するapo−RBPの高い比率を有すると個体を診断する工程をさらに含む。具体的の実施形態において、個体は、個体からサンプル(例えば組織サンプル、血清サンプル、血漿サンプルなど)を得て、サンプル中のholo−RBPに対するapo−RBPの比率を測定することにより、高いholo−RBPに対するapo−RBPの比率を有すると診断される。
【0107】
特定の実施形態において、本明細書に記載の任意の方法によって処置される個体は、高いまたは過剰に発現したレベルのシグマ受容体または活性化シグマ受容体(例えば、シグマ−1及び/又はシグマ−2受容体)を有するか、またはそう診断されている。シグマ受容体の高いレベルは、例えば、シグマ受容体の高い循環レベル及び/又はシグマ受容体の高い組織レベルまたは目のレベルを含む。幾つかの例においては、シグマ受容体の高いレベルは、異常な新血管新生または網膜細胞死(すなわち、ミュラー細胞、神経線維細胞、神経節細胞、内網状層または外網状層の細胞、光受容細胞または色素上皮の細胞の死)が生じるレベルを含む。図1は、GAを処置するHPRの有効性を評価した第2相臨床試験における脈絡膜血管新生(CNV)の試験治療下での発現(Treatment Emergent)の発生に対するHPRの効果を示す。
【0108】
特定の実施形態において、本明細書に記載の任意の方法に従って処置される個体は、高いレベルのVEGF(例えばVEGF−AまたはVEGF−C)を有するか、またはそう診断されている。シグマ受容体の高いレベルは、例えば、シグマ受容体の高い循環レベル及び/又はシグマ受容体の高い組織レベルまたは目のレベルを含む。図2は、ヒト胎児の目から準備された網膜色素上皮の培養物におけるVEGF発現に対するHPRの効果を示す。
【0109】
様々な実施形態において、本明細書に記載の循環レベルは、限定しない例として、血清サンプル、血漿サンプルなどから得られる。幾つかの実施形態において、組織サンプルは、限定しない例として、脂肪組織などから得られる。
【0110】
(指標)
(補体媒介性の皮膚癌)
本明細書には、特定の実施形態において、補体媒介性の皮膚癌を処置する方法が開示される。ほんの一例として、補体媒介性の疾患は、基底細胞癌および扁平上皮癌を含む。
【0111】
幾つかの実施形態において、(a)血清レチノールを調節する(例えば減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば増加させる);(c)シグマ受容体の活性を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、またはそれを遮断する)活性薬剤の有効な量を個体に投与することは、それを必要とする個体において補体媒介性の皮膚癌を処置する。幾つかの実施形態において、(a)血清レチノールを調節する(例えば減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば増加させる);(c)シグマ受容体の活性を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、活性を減少させる、またはそれを遮断する)活性薬剤の有効な量を投与することは、それを必要とする個体において補体媒介性の皮膚癌の発生を減少させる。幾つかの実施形態において、個体は、AMDと診断され、またはAMDの疑いがある。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、レチノイド又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、活性薬剤は、フェンレチニド(N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド,HPR)、式(I)の化合物またはその代謝物質である。
【0112】
(基底細胞癌)
基底細胞癌は、皮膚癌の最も一般的な型である。毎年、およそ900,000例の基底細胞癌が診断される。白人における基底細胞癌の推測された生涯リスクは、男性で33−39%および女性で23−28%である。少なくとも1つの基底細胞癌を発症する個体のおよそ35%は、3年以内に再発を経験する。5年での再発率は約50%である。めったに致死的でないが、それは、皮膚の重大な破壊または変形を引き起こし得る。
【0113】
特定の例において、基底細胞癌は、(部分的にまたは完全に)皮膚の基底細胞中のチミン二量体の形成に起因する。幾つかの実施形態において、基底細胞中のチミン二量体は、SMO内での機能獲得型突然変異またはPTCH1内での機能欠損の変化を結果として生じる。
【0114】
特定の例において、基底細胞癌は、(部分的にまたは完全に)SMOにおける機能獲得型突然変異(a gain−of−function mutation)及び/又はPTCH1における機能喪失型変異(a loss−of−function mutation)に起因する。
【0115】
幾つかの実施形態において、(a)血清レチノールを調節する(例えば減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば増加させる);(c)シグマ受容体の活性を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、またはそれを遮断する)活性薬剤の有効な量を個体に投与することは、それを必要とする個体において基底細胞癌を処置する。表1および実施例3を参照。
【0116】
【表1】
【0117】
幾つかの実施形態において、(a)血清レチノールを調節する(例えば減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば増加させる);(c)シグマ受容体の活性を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、活性を減少させる、またはそれを遮断する)活性薬剤の有効な量を投与することは、それを必要とする個体において基底細胞癌の発生を減少させる。幾つかの実施形態において、個体は、AMDと診断され、またはAMDの疑いがある。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、レチノイド又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、活性薬剤は、フェンレチニド(N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド,HPR)、式(I)の化合物またはその代謝物質である。
【0118】
節状基底細胞癌(Nodular basal cell carcinoma)は最も一般的な種類である。それは、しばしば、頭、首および背面上部に現われる。節状基底細胞癌は、以下の特性の少なくとも1つを現す:(a)中央にくぼみのあるろう様の丘疹(waxy papules with central depression);(b)真珠のような外観;(c)びらんまたは潰瘍状態;(d)出血;(e)痂皮形成;(f) 丸くなった境界(rolled borders);(g)透光性(translucency);および(h)表面にわたる末梢血管拡張。
【0119】
色素性基底細胞癌は、節状基底細胞癌と同じ特性の多くを現す;しかしながら色素性基底細胞癌は、茶色または黒い色素沈着を増加させる。
【0120】
嚢胞性基底細胞癌は、良性の嚢胞性の病変の外観を模倣する半透明の青灰色嚢胞性の結節を現す。
【0121】
微結節性BCCは、以下を現す活動的なBCCサブタイプである:(a)中央にくぼみのあるろう様の丘疹(waxy papules with central depression);(b)伸ばされた時黄色の白く見える真珠のような外観;(c)出血;(d)痂皮形成;(e)はっきりとした丸くなった境界;(f)透光性(translucency);(g)表面にわたる末梢血管拡張;および(h)触ると硬い(firmness to the touch)。
【0122】
モルフェア型(Morpheaform)及び湿潤性の(infiltrating)基底細胞癌は、硬化性の(瘢痕様の)プラーク又は丘疹を提供する。癌腫の境界は通常明確に定義されておらず、しばしば臨床的な限界を優に超える。潰瘍、出血、及びクラスト形成は珍しい。それは、しばしば外観において瘢痕組織に類似している。
【0123】
(扁平上皮癌)
扁平上皮癌は、2番目に一般的な皮膚の癌である。それは皮膚の悪性腫瘍の約20%を占める。扁平上皮癌を有する転移の割合は低い(約2%〜6%)が、基底細胞癌に関係する割合より高い。
【0124】
特定の例において、扁平上皮癌は、表皮角化細胞におけるピリミジン二量体の形成に(部分的に又は完全に)起因する。幾つかの実施形態において、表皮角化細胞におけるピリミジン二量体は、結果として、SMOにおける機能獲得型突然変異、又はPTCH1における機能喪失型変異をもたらす。
【0125】
特定の例において、扁平上皮癌は、SMOにおける機能獲得型突然変異及び/又はPTCH1における機能喪失型変異に(部分的に又は完全に)起因する。
【0126】
幾つかの実施形態において、(a)血清レチノールを調節する(例えば、減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば、増加させる);(c)シグマ受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、活性を減少させる、またはそれを遮断する)有効な量の活性薬剤を投与することによって、それを必要とする個体において扁平上皮癌を処置する。
【0127】
幾つかの実施形態において、(a)血清レチノールを調節する(例えば、減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば、増加させる);(c)シグマ受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、活性を減少させる、またはそれを遮断する)有効な量の活性薬剤を投与することによって、扁平上皮癌の再発を減少させる。幾つかの実施形態において、個体は、AMDと診断されたか、またはAMDの疑いがある。幾つかの実施形態において、活性薬剤はレチノイド又はその誘導体である。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、フェンレチニド(N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド,HPR)、式(I)の化合物、又はそれらの代謝物質である。
【0128】
インサイツの扁平上皮癌(SCCis)は、表皮の十分な厚さを含むが真皮へは侵入しない異型性を示す。インサイツの扁平上皮癌の病変は、鱗片状のピンクの斑点から薄い角化の丘疹又はプラークまでの範囲にわたる。
【0129】
典型的な扁平上皮癌は、盛り上がった、固い、ピンク−肌色の角化の丘疹又はプラークとして現れる。それは、日光に晒された皮膚に最も頻繁に現われる。肌表面の変化は、スケーリング、潰瘍化、クラスト形成、又は皮角の存在を含み得る。
【0130】
爪周囲の扁平上皮癌は、外観において疣状突起に類似している。頻度は低いものの、病変は、爪郭の膨張、紅斑、及び圧痛を有する慢性の爪囲炎に類似し得;それは爪ジストロフィーにも言及され得る。
【0131】
マルジョラン潰瘍は、先在する瘢痕又は潰瘍の部位で硬化、隆起又は潰瘍化の新しい領域として現れる。
【0132】
口周囲の扁平上皮癌は、下唇の朱唇上に現れる。それは、紅斑/硬化の丘疹、侵食、又は焦点として現われる。口内の扁平上皮癌は、典型的に、赤みがかった網状組織(紅板症)を伴う又は伴わない白色プラーク(白斑症)として現れる。一般的な位置は、前部の口底、外側の舌、及び頬前庭を含む。
【0133】
いぼ状癌は、外方増殖性、菌状発育性、いぼ状の結節又はプラークとして現れ、それは「カリフラワー状の」と記載され得る。
【0134】
(ゴーリン症候群)
(Basal Cell Carcinoma Syndromeとしても知られる)ゴーリン症候群は、複数の解剖学的変形及び基底細胞癌を進行しやすい体質によって特徴付けられる疾患である。ゴーリン症候群は、結果として、複数の基底細胞癌、歯原性角化嚢胞、頭蓋内石灰沈着、分岐肋骨、脊柱後側弯症、大脳鎌の初期の石灰沈着、前頭及び側頭頂の隆起、隔離症、下顎前突症、及びそれらの組み合わせをもたらす。
【0135】
特定の例において、ゴーリン症候群は、PTCH1における機能喪失型変異(loss of function mutations)、SMOにおける機能獲得型突然変異(gain of function mutations)、又はそれらの組み合わせに起因する。
【0136】
幾つかの実施形態において、レチノールの血漿濃度を減少させる有効な量の活性薬剤の投与によって、その必要のある個体のゴーリン症候群を処置する。幾つかの実施形態において、(a)血清レチノールを調節する(例えば、減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば、増加させる);(c)シグマ受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、活性を減少させる、またはそれを遮断する)有効な量の活性薬剤を、ゴーリン症候群と診断された個体において投与することによって、基底細胞癌を処置する。幾つかの実施形態において、(a)血清レチノールを調節する(例えば、減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば、増加させる);(c)シグマ受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、活性を減少させる、またはそれを遮断する)有効な量の活性薬剤を、ゴーリン症候群と診断された個体において投与することによって、基底細胞癌の再発を減少させる。幾つかの実施形態において、個体は、AMDと診断されたか、またはAMDの疑いがある。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、レチノイド又はその誘導体である。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、フェンレチニド(N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド,HPR)、式(I)の化合物、又はそれらの代謝物質である。
【0137】
個体は、以下の大基準のうちの2つ、又は以下の大基準のうちの1つ及び以下の小基準のうちの2つを有すると、ゴーリン症候群と診断される。
【0138】
(大基準)
20歳より若い個人における2つを超える基底細胞癌、又は1つの基底細胞癌
【0139】
あごの歯原性角化嚢胞
【0140】
3つ又はそれ以上の掌か足底の窪み
【0141】
大脳鎌の異所性石灰化又は初期の石灰沈着
【0142】
二分した、融合した、又は外に開いた肋骨
【0143】
ゴーリン症候群と診断された一等親血縁者
【0144】
(小基準)
大頭症
【0145】
先天性奇形(例えば、口蓋裂、前頭隆起、白内障、コロボーマ、小眼球症、眼振)
【0146】
骨格異常(例えば、スプレンゲル奇形、胸部奇形、多指症、合指症、隔離症)
【0147】
放射線学的異常(例えば、トルコ鞍のブリッジング、椎骨異常、モデリングの欠陥、手及び足の火炎状の輝き(Flame−Shaped lucencies))
【0148】
卵巣及び心臓の線維腫又は髄芽腫
【0149】
(ヘッジホッグ経路)
ヘッジホッグ経路は、特定の遺伝子の転写を規制する。特定の例において、ヘッジホッグ経路の機能不全は、結果として、癌の進行を(部分的にまたは十分に)もたらす。幾つかの実施形態において、ヘッジホッグ経路の機能不全は、結果として、非黒色腫癌の進行をもたらす。幾つかの実施形態において、ヘッジホッグ経路の機能不全は、結果として、基底細胞癌、扁平上皮癌又はそれらの組み合わせの進行をもたらす。特定の例において、ヘッジホッグ経路の機能不全は、結果として、ゴーリン症候群の進行を(部分的にまたは十分に)もたらす。
【0150】
ヘッジホッグ経路は、ヘッジホッグリガンド(Hh;例えば、ソニックヘッジホッグ(SHH);デザートヘッジホッグ(DHH)及びIndianヘッジホッグ(IHH))の受容体−Patched−1(PTCH1)への結合によって開始される。PTCH1へのヘッジホッグリガンドの結合は、結果的に、PTCH1の不活性化をもたらす。不活性なPTCH1は、結果的に、膜貫通型タンパク質Smoothened(SMO)の活性化をもたらす。SMOの活性化は、最終的に、GLI転写因子の活性化をもたらす。
【0151】
HhリガンドがPTCH1に結合されない場合において、PTCH1は活性である。PTCH1の活性化は、結果として、SMOの不活性化をもたらす。不活性なSMOは、GLI転写因子を活性化することができない。
【0152】
特定の例において、PTCH1における機能喪失型変異は、結果として、SMOの構成的活性化を(部分的にまたは十分に)もたらす。特定の例において、SMOの構成的活性化は、結果として、細胞分裂に関係する遺伝子の異常転写をもたらす。特定の例において、PTCH1における機能喪失型変異は、結果として、非黒色腫癌の進行を(部分的にまたは十分に)もたらす。特定の例において、PTCH1における機能喪失型変異は、結果として、基底細胞癌、扁平上皮癌、又はそれらの組み合わせの進行を(部分的にまたは十分に)もたらす。特定の例において、PTCH1における機能喪失型変異は、結果として、ゴーリン症候群の進行を(部分的にまたは十分に)もたらす。
【0153】
幾つかの実施形態において、(a)血清レチノールを調節する(例えば、減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば、増加させる);(c)シグマ受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、活性を減少させる、またはそれを遮断する)有効な量の活性薬剤を投与することによって、PTCH1における機能喪失型変異を処置する。幾つかの実施形態において、(a)血清レチノールを調節する(例えば、減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば、増加させる);(c)シグマ受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、活性を減少させる、またはそれを遮断する)有効な量の活性薬剤を、PTCH1における機能喪失型変異を有する個体において投与することによって、基底細胞癌を処置する。幾つかの実施形態において、(a)血清レチノールを調節する(例えば、減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば、増加させる);(c)シグマ受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、活性を減少させる、またはそれを遮断する)有効な量の活性薬剤を、PTCH1における機能喪失型変異を有する個体において投与することによって、基底細胞癌の再発を減少させる。幾つかの実施形態において、個体は、AMDと診断されたか、またはAMDの疑いがある。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、フェンレチニド(N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド,HPR)、式(I)の化合物、又はそれらの代謝物質である。
【0154】
特定の例において、SMOにおける機能獲得型突然変異は、結果として、SMOの構成的活性化を(部分的にまたは十分に)もたらす。特定の例において、SMOの構成的活性化は、結果として、細胞分裂に関係する遺伝子の異常転写をもたらす。特定の例において、SMOにおける機能獲得型突然変異は、結果として、非黒色腫癌の進行を(部分的にまたは十分に)もたらす。特定の例において、SMOにおける機能獲得型突然変異は、結果として、基底細胞癌、扁平上皮癌、又はそれらの組み合わせの進行を(部分的にまたは十分に)もたらす。特定の例において、SMOにおける機能獲得型突然変異は、結果として、ゴーリン症候群の進行を(部分的にまたは十分に)もたらす。
【0155】
幾つかの実施形態において、(a)血清レチノールを調節する(例えば、減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば、増加させる);(c)シグマ受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、活性を減少させる、またはそれを遮断する)有効な量の活性薬剤を投与することによって、SMOにおける機能獲得型突然変異を処置する。幾つかの実施形態において、(a)血清レチノールを調節する(例えば、減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば、増加させる);(c)シグマ受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、活性を減少させる、またはそれを遮断する)有効な量の活性薬剤を、SMOにおける機能獲得型突然変異を有する個体において投与することによって、基底細胞癌を処置する。幾つかの実施形態において、(a)血清レチノールを調節する(例えば、減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば、増加させる);(c)シグマ受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、活性を減少させる、またはそれを遮断する)有効な量の活性薬剤を、SMOにおける機能獲得型突然変異を有する個体において投与することによって、基底細胞癌の再発を減少させる。幾つかの実施形態において、個体は、AMDと診断されたか、またはAMDの疑いがある。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、レチノイド又はその誘導体である。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、フェンレチニド(N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド,HPR)、式(I)の化合物、又はそれらの代謝物質である。
【0156】
(セラミド)
本明細書には、特定の実施形態において、セラミド生合成を調節する工程を含む、AMDと診断されたか、またはAMDの疑いがある個体において癌を処置する方法が記載される。
【0157】
本明細書に使用されるように、「セラミド」は、アミド結合を介して脂肪酸に連結された、長鎖の又はスフィンゴイドの塩基から成る分子を意味する。特定の例において、セラミドは、脂質の二次メッセンジャーである。特定の例において、セラミド生合成は、生理的ストレスに起因する。特定の例において、セラミドは、好ましくは、側方の液体秩序のマイクロドメイン(「セラミドが豊富なプラットフォーム」と名付けられる「ラフト」の形態)に濃縮される。幾つかの実施形態において、セラミドは、ラフトをコレステロールと置き換える。特定の例において、セラミドはPKCを活性化する。
【0158】
幾つかの実施形態において、セラミド生合成を増加させることによって、癌を処置する。幾つかの実施形態において、癌は、補体に関係する皮膚癌、基底細胞癌、又は扁平上皮癌である。
【0159】
幾つかの実施形態において、セラミドレベルを増加させる有効な量の活性薬剤の投与は、結果として、補体経路の活性化をもたらす。
【0160】
幾つかの実施形態において、活性薬剤は、レチノイド又はその誘導体である。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、フェンレチニド(N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド,HPR)、式(I)の化合物、又はそれらの代謝物質である。
【0161】
幾つかの実施形態において、フェンレチニドは、癌性の及び前癌性の細胞においてセラミド生合成を増加させる。幾つかの実施形態において、フェンレチニドは、セリンパルミトイルトランスフェラーゼ及び/又はセラミドシンターゼの発現を増加させることによって、癌性の及び前癌性の細胞においてセラミド生合成を増加させる。図10を参照。
【0162】
幾つかの実施形態において、フェンレチニドは、フェンレチニドを投与されない被験体におけるセラミド生合成と比較して、セラミド生合成を増加させる。幾つかの実施形態において、セラミドは、PKCの活性化を誘発する。幾つかの実施形態において、PKCは、補体の活性化を誘発する。したがって、幾つかの実施形態において、フェンレチニドの投与は、結果として、補体の活性化をもたらす。
【0163】
(補体経路)
本明細書には、特定の実施形態において、補体を調節する工程を含む、AMDと診断されたか、またはAMDの疑いがある個体において癌を処置する方法が開示される。幾つかの実施形態において、AMDと診断されたか、またはAMDの疑いがある個体において癌を処置する方法は、レチノール及び補体のRbp(レチノール結合タンパク質)結合を調節する工程を含む。
【0164】
幾つかの実施形態において、(a)血清レチノールを調節する(例えば、減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば、増加させる);(c)シグマ受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、活性を減少させる、またはそれを遮断する)有効な量の活性薬剤を投与することは、結果として、補体経路の活性化をもたらす。幾つかの実施形態において、(a)血清レチノールを調節する(例えば、減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば、増加させる);(c)シグマ受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、活性を減少させる、またはそれを遮断する)有効な量の活性薬剤を投与することによって、結果的に、(i)レチノールを結合するRBPの能力を減少させ、(ii)補体経路の活性化をもたらす。
【0165】
幾つかの実施形態において、癌は、補体に関係する癌、基底細胞癌、又は扁平上皮癌である。
【0166】
幾つかの実施形態において、活性薬剤は、レチノイド又はその誘導体である。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、フェンレチニド(N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド,HPR)、式(I)の化合物、又はそれらの代謝物質である。例えば、図8及び9は、フェンレチニドの投与が、特定の補体カスケード遺伝子の発現に効果的であることを実証する。低薬量のフェンレチニドは、結果として、Crry、CFH、MCP−1、CD59a、CD59b、及びDaf2のアップレギュレーションをもたらす。高薬量のフェンレチニドは、結果として、Crry、CFH、MCP−1、CD59a、CD59b、及びDaf2のダウンレギュレーションをもたらす。
【0167】
補体系は、自然免疫系の一部である。それは、非特異的な方法(即ち、非適応的な方法)で病原体を攻撃する。特定の例において、補体系は、免疫系細胞(例えばマクロファージ及び好中球)を走化性によって感染の部位へ動員することによって機能する。特定の例において、補体系はまた、病原体を攻撃し、免疫系細胞を動員するために補体カスケードを利用する。特定の例において、補体系はまた、異物を白血球(例えば好中球及びマクロファージ)の作用によって取り除く。
【0168】
特定の例において、不活性な補体系は、20を超えるタンパク質及び酵素を含み、それらのほとんどは、不活性な形態で存在する。特定の例において、(例えば、抗体の存在、抗原の存在、又はC3の自然に起こる加水分解による)補体の活性化は、その系における不活性なプロテアーゼを活性化する。特定の例において、プロテアーゼは、標的(例えば、C3)を開裂する(cleave)。特定の例において、標的の最初の開裂は、結果として、開裂のカスケードを(部分的にまたは十分に)もたらす。特定の例において、活性な補体系は、アナフィラトキシン(例えばC3a及びC5a)、膜侵襲複合体(MAC)、及びオプソニン作用を促進するタンパク質(例えばC3b)を含む。
【0169】
特定の例において、補体系は、3つの経路;正経路、別経路、及びマンノース結合のレクチン経路によって活性化される。
【0170】
特定の例において、正経路は、酵素C1(C1q2C1r2C1s)の活性化によって開始する。特定の例において、この酵素のC1qサブユニットは、抗原に直接結合するか、又は抗原に結合した抗体に結合するかのいずれかである。特定の例において、C1qの結合は、C1qにおける構造的変化につながる。特定の例において、C1qにおける構造的変化は、2つのC1rサブユニット(C1r*)及びC1sサブユニット(C1s*)の活性化につながる。特定の例において、C1r及びC1sのサブユニットの活性化は、結果として、活性なC1酵素(C1q2C1r*2C1s*)をもたらす。
【0171】
特定の例において、活性化C1は、タンパク質補体成分4(C4)を、C4a及びC4bへ開裂する。特定の例において、C4bは、病原体又は宿主細胞の原形質膜に結合する。
特定の例において、活性化C1はまた、タンパク質補体成分2(C2)を、C2a及びC2bへ開裂する。特定の例において、C2aは、C4bに結合し、C3転化酵素(C4bC2a)を形成する。特定の例において、C4bC2aは、タンパク質C3をC3a及びC3bへ開裂する。特定の例において、C3bは、病原体又は宿主細胞のオプソニン作用を促進する(例えば白血球化学誘引、抗原結合、及び食細胞運動の促進)病原体又は宿主細胞の膜に結合する。特定の例において、C3bは、C4bC2aに結合し、補体成分5(C5)をC5a及びC5bへ開裂するC5転化酵素(C4bC2aC3a)を形成する。
【0172】
特定の例において、別経路は、タンパク質C3(補体成分3)の自然に起こる加水分解によって開始し、C3(H2O)を形成する。特定の例において、C3の加水分解は、B因子がC3(H2O)に結合することを可能にする構造的変化を引き起こす。特定の例において、D因子は、B因子をBa及びBbへ開裂する。特定の例において、Bbは、C3(H2O)に結合したままであり、複合体C3(H2O)Bb(流相C3転化酵素)を形成する。特定の例において、流相C3転化酵素は、C3をC3a及びC3bへ開裂する。特定の例において、C3bは、宿主細胞又は病原体のオプソニン作用を促進する場合に、病原体又は宿主細胞の原形質膜に結合する。特定の例において、C3bは、B因子によって結合される。特定の例において、C3bに結合された時、B因子は、D因子によってBa及びBbへ開裂される。特定の例において、Bbは、C3bに結合したままであり、不安定なC3プロテアーゼ(C3Bb)を形成する。特定の例において、不安定なC3bBbプロテアーゼは、タンパク質プロパージン(P)の結合によって安定化され、より安定的なC3転化酵素(C3bBbP)を形成する。特定の例において、第2のC3b成分が結合することで、C3bBbPは、C5転化酵素(C3bBbC3bP)になる。
【0173】
特定の例において、C3bは、抗原提示細胞の膜に結合する。特定の例において、C3bの抗原提示細胞への結合は、抗原提示細胞のオプソニン作用を促進する。特定の例において、C3bの抗原提示細胞への結合は、ADCCを妨害する。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、C3転化酵素(例えば、C4bC2a、C3(H2O)Bb、C3bBb、C3bBbP)を使いつくす(depleting)及び/又はC3転化酵素の活性を阻害する工程を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、C3転化酵素の形成を阻害する工程を含む。幾つかの実施形態において、C3転化酵素を使いつくす及び/又はC3転化酵素の活性を阻害する、又はC3転化酵素の形成を阻害することは、C3の発現を阻害する、C1のサブユニットのいずれかの発現を阻害する、C1の活性を阻害する、C4の発現を阻害する、C2の発現を阻害する、B因子の発現を阻害する、I因子の発現を増加させる、外因性のI因子を投与する、外因性のCR1を投与することを含む。
【0174】
特定の例において、膜侵襲複合体(MAC)は、5つのタンパク質サブユニット:C5b、C6、C7、C8、及びC9を含む。特定の例において、C5bは、C5の開裂によって生成される。特定の例において、C5の開裂の後に、C5bはC6を結合する。その後、C5bC6はC7によって結合される。特定の例において、C7の結合は、C7における構造的変化を誘発し、疎水性のドメインを晒す。特定の例において、疎水性のドメインは、C7がそれ自体を病原体又は宿主細胞の原形質膜に挿入することを可能にする。特定の例において、C8は、C5bC6C7複合体に結合する。特定の例において、C8の結合はまた、C8における構造的変化を誘発し、C8がそれ自体を原形質膜に挿入することを可能にする、疎水性のドメインを晒す。特定の例において、C5bC6C7C8複合体は、複数のC9タンパク質のポリメリゼーションを誘発する。特定の例において、C9タンパク質は、原形質膜において気孔を形成する。特定の例において、気孔は、流体、イオン、及びタンパク質の細胞への及び細胞からの自由拡散を可能にし;その過程は、最終的に、細胞の死につながる。
【0175】
C3a、C4a、及びC5aは、アナフィラトキシンである。特定の例において、アナフィラトキシンは、マスト細胞上の受容体に結合する液相タンパク質である。特定の例において、アナフィラトキシンは、平滑筋攣縮(例えば気管支痙攣)を規制し、毛細管の透過性を増加させ、白血球の走化性の標的である(例えば、アナフィラトキシンの増加する濃度勾配に従う(the follow the increasing concentration gradient of an anaphylatoxin))。特定の例において、C3a及びC5aは、最も強力なアナフィラトキシンである。
【0176】
特定の例において、C3aは、マスト細胞の顆粒消失を規制し、好酸性顆粒球の走化性の標的として機能する。
【0177】
特定の例において、C5aは、顆粒球及びマクロファージの走化性の標的として機能し、血管透過性、平滑筋攣縮及びマスト細胞の顆粒消失を規制する。特定の例において、C5aは、腫瘍の成長を加速させる。特定の例において、C5aは、ミエロイド由来サプレッサー細胞(myeloid−derived suppressor cells)(MDSC)を動員する。特定の例において、MDSCは、CD8+T細胞の活性を(部分的にまたは完全にのいずれかで)阻害する。特定の例において、C5a及び/又はC5aRを拮抗することによって、腫瘍の成長を(部分的にまたは完全にのいずれかで)阻害する。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、C5を開裂させずに又はC5を最小限にしか開裂させずに(即ち、C5aを生成する)、補体カスケードを使いつくす及び/又は阻害する。
【0178】
本明細書には、特定の実施形態において、補体カスケードにおいて遺伝子の発現レベルを測定する工程を含む、癌の処置において、本明細書に開示される化合物(例えば、N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、N−(4−メトキシフェニル)レチンアミド、4−オキソ−N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、又は式(I)の化合物)の有効性を測定するために、個体をスクリーニングする方法が開示される。幾つかの実施形態において、遺伝子は、Crry、CFH、MCP−1、CD59a、CD59b、及びDaf2から選択される。幾つかの実施形態において、遺伝子に関する正常な発現特性と比較して、補体カスケードにおける遺伝子(例えば、Crry、CFH、MCP−1、CD59a、CD59b、及びDaf2)の発現の増加は、本明細書に開示される化合物の投与が、癌の処置において効果的であることを示唆する。幾つかの実施形態において、正常な発現特性は、本明細書の化合物(例えば、N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、N−(4−メトキシフェニル)レチンアミド、4−オキソ−N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、又は式(I)の化合物)を投与されなかった個体において、補体カスケード遺伝子(例えば、Crry、CFH、MCP−1、CD59a、CD59b、及びDaf2)の発現レベルを測定することによって決定される。幾つかの実施形態において、癌は、補体に関係する皮膚癌である。幾つかの実施形態において、癌は、基底細胞癌である。幾つかの実施形態において、癌は、扁平上皮癌である。
【0179】
(活性薬剤)
特定の実施形態において、本明細書には、(a)AMD又は(b)ゴーリン症候群と診断されたか、またはそれらの疑いがある個体において癌を処置する方法が提供され、該方法は、(a)血清レチノールを調節する(例えば、減少させる); (b)セラミドレベルを調節する(例えば、増加させる); (c)シグマ受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する); 及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、活性を減少させる、またはそれを遮断する)有効な量の活性薬剤を、それを必要とする個体に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、(a)レチノールの血漿濃度を減少させるか、又は(b)レチノール及びRBPの結合を阻害する。
【0180】
任意のレチノイド化合物、又はレチノイドの任意の誘導体は、本明細書に開示される方法において使用され得る。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、レチノイドである。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、第1世代レチノイドである。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、第2世代レチノイドである。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、第3世代レチノイドである。幾つかの実施形態において、レチノイドは、レチノール、レチナール、トレチノイン、イソトレチノイン、アリトレチノイン、エトレチナート、アシトレチン、タザロテン、ベキサロテン、アダパレンである。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、レチノイドの誘導体である。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、フェンレチニド、式(I)の化合物、又はそれらの代謝物質である。
【0181】
本明細書に記載される任意の方法で投与されたフェンレチニド又は他の治療薬剤は、フェンレチニド、薬学的に活性なフェンレチニドの代謝物質、薬学的に許容可能なフェンレチニドの塩又はその代謝物質、薬学的に許容可能なフェンレチニドのN−オキシド又はその代謝物質、薬学的に許容可能なフェンレチニドのプロドラッグ又はその代謝物質、又は薬学的に許容可能なフェンレチニドの溶媒和物又はその代謝物質として随意に投与される。
【0182】
フェンレチニドの代謝物質は、限定しない例として、RBP結合のフェンレチニド代謝物質、N−(4−メトキシフェニル)レチンアミド(4−MPR)、4−オキソ−N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド(4−オキソ−フェンレチニド,4−オキソ−4−HPR)などを含む。
【0183】
【化39】
【0184】
幾つかの実施形態において、フェンレチニド又はその代謝物質は、プロドラッグとして本明細書に記載される任意の方法に従って投与され得る。フェンレチニドプロドラッグは、インビボでフェンレチニド又は活性フェンレチニドの代謝物質へ変換される薬剤である。幾つかの実施形態において、プロドラッグは、親薬物以上に医薬組成物中で改善された溶解度を有する。プロドラッグのさらなる例は、アルコールに結合するエステル、炭酸塩、カルバマートなどであり、個体への投与で、プロドラッグが、(例えば、酸性環境、代謝経路などとの接触を介して)反応する場合に、フェンレチニド又はその活性代謝物を現す。エステルは、置換及び非置換のアルキルエステル、置換及び非置換のアリールエステル、ペプチド(例えば、リジンを含み、リジンを介して付けられる)、アミノ酸(例えば、リジン)などを含む。炭酸塩は、置換及び非置換の炭酸アルキル、置換及び非置換のアリール炭酸塩などを含む。カルバマートは、置換及び非置換のアルキルカルバマート、置換及び非置換のアリールカルバマートなどを含む。特定の実施形態において、インビボでの投与で、プロドラッグは、化合物の、生物学的、薬学的又は治療的に活性な形態へと化学的に変換される。特定の実施形態において、プロドラッグは、1以上の工程又は過程によって、化合物の、生物学的、薬学的又は治療的に活性な形態へと酵素的に代謝される(例えば、ここで、フェンレチニドエステルは、フェンレチニドのペプチドエステルである)。
【0185】
また、本明細書に記載されるフェンレチニド又は治療薬剤には、式(I)、式(II)の化合物、及び/又は特に本明細書に記載の任意の化合物が含まれる。
【0186】
「アルキル」基は、脂肪族炭化水素基を指す。アルキル基は、飽和したアルキル及び/又は不飽和のアルキル基を含む。幾つかの例において、アルキル基の炭素原子の1以上は、ヘテロ原子と置換される。アルキル基はまた、非環式及び環式のアルキル基を含む。非環式のアルキル基は、直鎖の及び分枝したアルキル基を含む。
【0187】
本明細書に使用されるように、用語「アリール」は、芳香環を指し、該芳香環は、環を形成する原子の各々が炭素原子であり、環を形成する原子の1以上がヘテロ原子(即ち、ヘテロアリールを形成する)であるものを含む。本明細書に開示されるアリール環は、5、6、7、8、9、又は9より多い炭素原子を有する環を含む。アリール基の例は、限定されないが、フェニル、及びナフタレニルを含む。ヘテロアリール基は、任意の適切な位置で(例えば、ヘテロ原子又は炭素原子で)分子に付けられる。ヘテロアリール基の実例は、以下の部分などを含む:
【0188】
【化40】
【0189】
(投薬)
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される任意の疾患又は疾病を、そのような処置を必要とする被験体において処置するための方法は、フェンレチニド又は治療薬剤、例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド、又はそれらの薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能なNオキシド、薬学的に活性な代謝物質、薬学的に許容可能なプロドラッグ、又は薬学的に許容可能な溶媒和物の投与を含む。特定の実施形態において、フェンレチニド薬剤は、治療上有効な量で投与される。特定の実施形態において、フェンレチニド薬剤は、フェンレチニド薬剤を含む医薬組成物において投与される。
【0190】
特定の実施形態において、本明細書に記載される化合物又はその組成物は、予防処置のために投与される。特定の実施形態において、これらの使用に有効な量は、疾患又は疾病の重症度及び経過、以前の治療、患者の健康状態、体重、薬物への反応、及び処置に当たる医師の判断に依存する。幾つかの実施形態において、治療上有効な量は、限定されない例として、用量漸増臨床試験(dose escalation clinical trial)を含む任意の方法によって測定される。
【0191】
特定の予防的適用において、本明細書に記載される化合物及びその組成物は、特定の疾患、障害、又は疾病にかかり易い又はそうでなければその危険性のある患者に投与される。特定の実施形態において、投与される化合物の有効な量は、予防的に有効な量又は投与量である。特定の実施形態において、正確な量もまた、患者の健康状態、体重などに依存する。特定の実施形態において、この使用のために有効な量は、以前の治療、患者の健康状態及び薬への反応、及び処置に当たる医師の判断に依存する。幾つかの実施形態において、有効な量は、例えば、用量増加の臨床試験を含む任意の方法において測定される。
【0192】
幾つかの実施形態において、成人のヒトの処置のために利用される投与量は、1日当たり、約10から約1000mgまでの治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の範囲内にある。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、1日当たり、約20から約300mgまでの治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、1日当たり、300mg未満の治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、1日当たり、約40から約200mgまでの治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、1日当たり、約50から約150mgまでの治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、1日当たり、約80から約120mgまでの治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、1日当たり、約90から約110mgまでの治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載され方法は、1日当たり、約100mgの治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。様々な実施形態において、所望の投与量は、単回投与で、又は同時に(又は短時間にわたって)又は適切な間隔、例えば、一日に2回、3回、4回、又はそれ以上のサブ用量として投与される分割量として、好都合に提供される。
【0193】
幾つかの実施形態において、成人のヒトの処置のために利用される投与量は、約0.5mg/kg/日から約10mg/kg/日までの治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の範囲内にある。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、約0.7mg/kg/日から約5mg/kg/日までの治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、約5mg/kg/日未満の治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、約4mg/kg/日未満の治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、約3mg/kg/日未満の治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、約2mg/kg/日未満の治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、約0.8mg/kg/日から約4mg/kg/日までの治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、約0.9mg/kg/日から約3mg/kg/日までの治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、約0.9mg/kg/日から約2mg/kg/日までの治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、約1mg/kg/日から約2mg/kg/日までの治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、約1mg/kg/日から約1.6mg/kg/日までの治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、約1mg/kg/日から約1.5mg/kg/日までの治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。様々な実施形態において、所望の投与量は、単回投与で、又は同時に(又は短時間にわたって)又は適切な間隔、例えば、一日に2回、3回、4回、又はそれ以上のサブ用量として投与される分割量として、好都合に提供される。
【0194】
特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のビタミンAを少なくとも10%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のビタミンAを少なくとも25%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のビタミンAを少なくとも30%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のビタミンAを少なくとも40%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のビタミンAを少なくとも50%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のビタミンAを少なくとも60%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のビタミンAを10%と90%の間で減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のビタミンAを20%と80%の間で減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のビタミンAを25%と75%の間で減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のビタミンAを30%と70%の間で減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、ビタミンAレベルの最初の又はベースラインの(例えば、最初の処置の前の、又は最初の処置と同時の)及び後の間欠性の(例えば、毎日の、週ごと、月ごとなどの)測定は、本明細書に記載される任意の処置を受ける個体において測定される。さらなる実施形態において、これらの測定は、例えば、本明細書に記載されるビタミンAレベルを達成するように、投与されるフェンレチニド薬剤の投与量を調節する及び/又は滴定するために利用される。
【0195】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のholo−RBPを少なくとも10%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のholo−RBPを少なくとも25%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のholo−RBPを少なくとも30%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のholo−RBPを少なくとも40%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のholo−RBPを少なくとも50%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のholo−RBPを少なくとも60%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のholo−RBPを10%と90%の間で減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のholo−RBPを20%と80%の間で減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のholo−RBPを25%と75%の間で減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のholo−RBPを30%と70%の間で減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、holo−RBPレベルの最初の又はベースラインの(例えば、最初の処置の前の、又は最初の処置と同時の)及び後の間欠性の(例えば、毎日の、週ごと、月ごとなどの)測定は、本明細書に記載される任意の処置を受ける個体において測定される。さらなる実施形態において、これらの測定は、例えば、本明細書に記載されるholo−RBPレベルを達成するように、投与されるフェンレチニド薬剤の投与量を調節する及び/又は滴定するために利用される。
【0196】
特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のholo−RBP及び遊離RBPの合計濃度(即ち、レチノールに結合するRBPの濃度に遊離RBPの濃度を加えた濃度)を少なくとも10%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のholo−RBP及び遊離RBPの合計濃度を少なくとも25%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のholo−RBP及び遊離RBPの合計濃度を少なくとも30%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のholo−RBP及び遊離RBPの合計濃度を少なくとも40%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のholo−RBP及び遊離RBPの合計濃度を少なくとも50%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のholo−RBP及び遊離RBPの合計濃度を少なくとも60%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のholo−RBP及び遊離RBPの合計濃度を10%と90%の間で減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のholo−RBP及び遊離RBPの合計濃度を20%と80%の間で減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のholo−RBP及び遊離RBPの合計濃度を25%と75%の間で減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のholo−RBP及び遊離RBPの合計濃度を30%と70%の間で減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、holo−RBP及び遊離RBPの合計濃度の最初の又はベースラインの(例えば、最初の処置の前の、又は最初の処置と同時の)及び後の間欠性の(例えば、毎日の、週ごと、月ごとなどの)測定は、本明細書に記載される任意の処置を受ける個体において測定される。さらなる実施形態において、これらの測定は、例えば、本明細書に記載されるholo−RBP及び遊離RBPの合計濃度を達成するように、投与されるフェンレチニド薬剤の投与量を調節する及び/又は滴定するために利用される。
【0197】
特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、約0.5から約1.5までの循環及び/又は組織のholo−RBPに対するapo−RBPの比率(即ち、holo−RBPのモル濃度に対するapo−RBPのモル濃度の比率)を提供するのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、約0.6から約1.4までの循環及び/又は組織のholo−RBPに対するapo−RBPの比率(即ち、holo−RBPのモル濃度に対するapo−RBPのモル濃度の比率)を提供するのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、約0.7から約1.3までの循環及び/又は組織のholo−RBPに対するapo−RBPの比率(即ち、holo−RBPのモル濃度に対するapo−RBPのモル濃度の比率)を提供するのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、約0.8から約1.2までの循環及び/又は組織のholo−RBPに対するapo−RBPの比率(即ち、holo−RBPのモル濃度に対するapo−RBPのモル濃度の比率)を提供するのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、約0.9から約1.1までの循環及び/又は組織のholo−RBPに対するapo−RBPの比率(即ち、holo−RBPのモル濃度に対するapo−RBPのモル濃度の比率)を提供するのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、約1の循環及び/又は組織のholo−RBPに対するapo−RBPの比率(即ち、holo−RBPのモル濃度に対するapo−RBPのモル濃度の比率)を提供するのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、RBP及びレチノールの濃度の最初の又はベースラインの(例えば、最初の処置の前の、又は最初の処置と同時の)及び後の間欠性の(例えば、毎日の、週ごと、月ごとなどの)測定は、本明細書に記載される任意の処置を受ける個体において測定される。さらなる実施形態において、これらの測定は、例えば、本明細書に記載されるholo−RBPに対するapo−RBPの比率を達成するように、投与されるフェンレチニド薬剤の投与量を調節する及び/又は滴定するために利用される。
【0198】
特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、循環及び/又は組織のレチノール結合タンパク質(RBP)を減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、50μg/mL未満の循環及び/又は組織のRBPレベルを提供するのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、40μg/mL未満の循環及び/又は組織のRBPレベルを提供するのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、35μg/mL未満の循環及び/又は組織のRBPレベルを提供するのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、30μg/mL未満の循環及び/又は組織のRBPレベルを提供するのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、25μg/mL未満の循環及び/又は組織のRBPレベルを提供するのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、20μg/mL未満の循環及び/又は組織のRBPレベルを提供するのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、15μg/mL未満の循環及び/又は組織のRBPレベルを提供するのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、10μg/mL未満の循環及び/又は組織のRBPレベルを提供するのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。
【0199】
特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、レチノール(holo−RBP)と複合された循環及び/又は組織のレチノール結合タンパク質(RBP)のレベルを減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、50μg/mL未満の循環及び/又は組織のholo−RBPレベルを提供するのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、40μg/mL未満の循環及び/又は組織のholo−RBPレベルを提供するのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、35μg/mL未満の循環及び/又は組織のholo−RBPレベルを提供するのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、30μg/mL未満の循環及び/又は組織のholo−RBPレベルを提供するのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、25μg/mL未満の循環及び/又は組織のholo−RBPレベルを提供するのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、20μg/mL未満の循環及び/又は組織のholo−RBPレベルを提供するのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、15μg/mL未満の循環及び/又は組織のholo−RBPレベルを提供するのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、10μg/mL未満の循環及び/又は組織のholo−RBPレベルを提供するのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。
【0200】
特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、VEGF−A及び/又はVEGF−Cの循環及び/又は組織の濃度又は発現を少なくとも5%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、循環及び/又は組織の濃度又はVEGF−A及び/又はVEGF−Cの発現を少なくとも10%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、循環及び/又は組織の濃度又はVEGF−A及び/又はVEGF−Cの発現を少なくとも20%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、循環及び/又は組織の濃度又はVEGF−A及び/又はVEGF−Cの発現を少なくとも30%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、循環及び/又は組織の濃度又はVEGF−A及び/又はVEGF−Cの発現を少なくとも40%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。
【0201】
特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、網膜色素上皮(RPE)におけるVEGF−Aの発現を少なくとも5%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、網膜色素上皮(RPE)におけるVEGF−Aの発現を少なくとも10%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、網膜色素上皮(RPE)におけるVEGF−Aの発現を少なくとも20%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、網膜色素上皮(RPE)におけるVEGF−Aの発現を少なくとも30%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、網膜色素上皮(RPE)におけるVEGF−Aの発現を少なくとも40%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。
【0202】
特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、網膜色素上皮(RPE)におけるVEGF−Cの発現を少なくとも5%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、網膜色素上皮(RPE)におけるVEGF−Cの発現を少なくとも10%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、網膜色素上皮(RPE)におけるVEGF−Cの発現を少なくとも20%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、網膜色素上皮(RPE)におけるVEGF−Cの発現を少なくとも30%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、網膜色素上皮(RPE)におけるVEGF−Cの発現を少なくとも40%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。
【0203】
特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、シグマ−1及び/又はシグマ−2などの、循環又は組織のシグマ受容体の少なくとも5%を(例えば、受容体のリガンド結合を介して)不活性化するか又は遮断するのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、シグマ−1及び/又はシグマ−2などの、循環又は組織のシグマ受容体の少なくとも10%を(例えば、受容体のリガンド結合を介して)不活性化するか又は遮断するのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、シグマ−1及び/又はシグマ−2などの、循環又は組織のシグマ受容体の少なくとも20%を(例えば、受容体のリガンド結合を介して)不活性化するか又は遮断するのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、シグマ−1及び/又はシグマ−2などの、循環又は組織のシグマ受容体の少なくとも30%を(例えば、受容体のリガンド結合を介して)不活性化するか又は遮断するのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、シグマ−1及び/又はシグマ−2などの、循環又は組織のシグマ受容体の少なくとも40%を(例えば、受容体のリガンド結合を介して)不活性化するか又は遮断するのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。
【0204】
本明細書に記載されるような毎日の投与量は、幾つかの実施形態において、単回投与の後又は長期間、例えば、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、1週間、2週間、3週間、4週間などの間投与した後の、本明細書に記載される循環及び/又は組織のレベルを提供する。
【0205】
特定の実施形態において、有効な量に相当する、投与される化合物の量は、処置を必要とする個体の同一性(例えば、体重及び/又は年齢)、及び/又は処置を必要とする個体の状態(例えば、RBPの循環及び/又は組織のレベル、holo−RBPの循環及び/又は組織のレベル、及び/又はレチノールの循環及び/又は組織のレベル)などの、要因に依存して変化する。
【0206】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載されるフェンレチニド薬剤(例えば、フェンレチニド又はその代謝物質)は、全身送達のために製剤され、及び/又は全身送達を達成するための方法で本明細書に記載される任意の方法に従って投与される。幾つかの実施形態において、本明細書に記載されるフェンレチニド薬剤(例えばフェンレチニド又はその代謝物質)は、経口投与のために製剤され、及び/又は経口の方法で本明細書に記載される任意の方法に従って投与される。特定の実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物は、正確な用量の単回投与に適したユニット剤形である。ユニット剤形において、製剤は、1以上の化合物の適量を含有する単位用量に分割される。幾つかの実施形態において、単位用量は、製剤の離散量を含有するパッケージ形状である。制限しない例は、パッケージ化された錠剤又はカプセル剤、及びバイアル又はアンプル中の粉末である。特定の実施形態において、水性懸濁液組成物は、単回用量用の再密閉できない容器にパッケージ化される。代替の実施形態において、複数回用量用の再密閉できる容器が使用され、この場合、組成物は、保存剤を随意に含む。特定の実施形態において、注射剤のための製剤は、限定しない例として、アンプル、又は複数回用量用の容器を含むユニット内に含まれる。そのような実施形態において、製剤/組成物は、随意の防腐剤を含む。
【0207】
(維持の方法)
特定の実施形態において、フェンレチニド及び/又はその代謝物質の負荷用量は、個体に投与される。特定の実施形態において、負荷用量は、(1)個体における治療上又は予防的に有効なレベルの循環及び/又は組織の治療薬剤剤及び/又は活性代謝物を達成するために(例えば、式(I)の化合物のレベル、フェンレチニドのレベル、フェンレチニド+代謝物質のレベル、RBP−フェンレチニドのレベル、及び/又はRBP−フェンレチニド+RBP−フェンレチニド代謝物質のレベルは、十分に増加される);及び/又は(2)治療上又は予防的に有効なレチノールのレベル(例えば、holo−RBPに対するapo−RBPの比率、holo−RBPのレベル、レチノールのレベル、RBPのレベルなど)、又はその治療上又は予防的に有効な減少を達成するために利用される。特定の実施形態において、一旦十分な量の治療薬剤、フェンレチニド及び/又は活性フェンレチニド代謝物質が、(例えば、個体の血清及び/又は血漿のレベルを測定することによって決定されるように、)個体において存在する(例えば、個体のフェンレチニドのレベル、フェンレチニド+代謝物質のレベル、RBP−フェンレチニドのレベル、及び/又はRBP−フェンレチニド+RBP−フェンレチニド代謝物質のレベルは十分に増加される)と、holo−RBPレベルは、(例えば、個体の血清及び/又は血漿のレベルを測定することによって決定されるように)十分に減少され、非ブロック化のシグマ受容体レベルは、十分に減少されるか、又はVEGFのレベル又は発現は、十分に減少され、維持量は、そのようなレベルを本質的に維持するために投与される。特定の実施形態において、投与量又は投与の頻度、又はその両方は、治療薬剤のレベル、フェンレチニドのレベル、活性フェンレチニド代謝物質のレベル、非ブロック化のシグマ受容体レベル、VEGFのレベル、及び/又はholo−RBPのレベルに応じて減少され、その結果、そのようなレベルは本質的に保持されるか、又は減少した比率で減らされる。特定の実施形態において、患者は、治療薬剤のレベル(例えば、式(I)の化合物のレベル、フェンレチニドのレベル、活性フェンレチニド代謝物質のレベル、VEGFレベル、非ブロック化のシグマ受容体レベル、及び/又はholo−RBPのレベル)の任意の上昇時に長期間ベースの(on a long−term basis)間欠性の処置を与えられる。特定の実施形態において、フェンレチニドのレベル、活性フェンレチニド代謝物質のレベル、及び/又はholo−RBPのレベル(例えば、血清及び/又は血漿のレベル)の間欠性の(例えば毎日の、週ごと、月ごとなどの)測定は、本明細書に記載される任意の処置を受ける個体から得られる。さらなる実施形態において、これらの間欠測定は、投与される用量を調節する及び/又は滴定するために利用される。
【0208】
(シグマ受容体の調節)
また本明細書の特定の実施形態において、本明細書に記載される有効な量の任意の治療薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)を投与することによって、シグマ受容体(例えば、シグマ−1及び/又はシグマ−2)の過剰発現に関係する疾患又は障害を処置する方法が提供される。特定の実施形態において、そのような疾患は、限定しない例として、網膜神経変性、癌、HIV、脳卒中、アルツハイマー病、統合失調症、パーキンソン病など、うつ病、健忘症、及び薬物依存症を含む。幾つかの実施形態において、本明細書には、シグマ受容体を本明細書に記載される有効な量の任意の薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド、又はその代謝物質)と接触させる工程を含む、シグマ受容体を刺激する及び/又は拮抗する方法が提供される。
実施例
【0209】
<実施例1>
2つの患者のコホートを選択した。各々の患者のコホートの各メンバーは、加齢性黄斑変性(AMD)に続発する、地図状萎縮(GA)に苦しむヒトであった。ベースラインでの患者における血清レチノール結合タンパク質の平均濃縮は、およそ60μg/mLであった。同じタイプの正常な個体における血清レチノール結合タンパク質の平均濃度は、約25μg/mLから約40μg/mLである。第1の患者集団において、個体に、100mg/日のフェンレチニドを経口的に投与した。第2の患者集団において、個体に、プラセボを経口的に投与した。プラセボ群は、9.8%の比率で(基底細胞癌、扁平上皮癌、及び/又は黒色腫を含む)皮膚新生物を進行させた。第1の患者集団において、個体は、2.5%の比率で(基底細胞癌、扁平上皮癌、及び/又は黒色腫を含む)癌を進行させた。図3に示されるように、100mg/日のフェンレチニド薬剤を受ける個体は、プラセボを受ける個体と比較して、癌の発生率が減少した。図4は、メラノーマ細胞株(B16(RL))に対するフェンレチニドの細胞毒性を示す。図5は、2つのヒトメラノーマ細胞株(M207及びSK−MEL28)に対するフェンレチニド及び式(II)の化合物(指定されたSIR−1001及びSIR−1005)の効果を示す。
【0210】
<実施例2>
患者のコホートを選択する。各々の患者のコホートのメンバーは、高いレチノール結合タンパク質(RBP)レベルに苦しむヒトである。随意に、複数のコホートを選択し、例えば、20μg/mL又はそれ未満、20μg/mLから30μg/mL、30μg/mLから40μg/mL、40μg/mLから50μg/mL、50μg/mLから60μg/mL、及び/又は60μg/mL又はそれ以上の血清及び/又は組織のRBPレベルを有する患者のコホートを選択する。所望のRBPレベルを有している各コホートを、2つのサブコホートへ分割し、第1のサブコホートはフェンレチニド薬剤(例えば、フェンレチニド又はその代謝物質)の用量を(例えば経口で100mg/日で)受け、第2のサブコホートはプラセボを受ける。(フェンレチニド薬剤を受ける)第1の群及び(プラセボを受ける)第2の群における(基底細胞癌、扁平上皮癌、及び/又は黒色腫を含む)皮膚癌の進行の割合を測定する。
【0211】
<実施例3>
患者のコホートを選択する。各々の患者のコホートのメンバーは、高いレチノールレベルに苦しむヒトである。随意に、複数のコホートを選択し、例えば、2μmol/L又はそれ未満、2μmol/Lから3μmol/L、3μmol/Lから4μmol/L、4μmol/Lから5μmol/L、5μmol/Lから6μmol/L、及び/又は6μmol/L又はそれ以上の血清及び/又は組織のレチノールレベルを有する患者のコホートを選択する。所望のレチノールレベルを有している各コホートを、2つのサブコホートへ分割し、第1のサブコホートはフェンレチニド薬剤(例えば、フェンレチニド又はその代謝物質)の用量を(例えば、経口で100mg/日で)受け、第2のサブコホートはプラセボを受けた。(フェンレチニド薬剤を受ける)第1の群及び(プラセボを受ける)第2の群における(基底細胞癌、扁平上皮癌、及び/又は黒色腫を含む)皮膚癌の進行の割合を測定する。
【0212】
<実施例4>
シグマ1受容体結合アッセイを、DeHaven−Hudkins et al.(1992)に従って行った。簡潔に言うと、モルモットの脳膜アリコートを、溶かし、その後、新鮮なシグマ1アッセイの緩衝液(50mM Tris=HCl;pH7.4、25℃)を加えることによって、1mgのタンパク質/mlの濃度で懸濁した。各ガラスアッセイ管を、1.0mlの最終容量で維持し、0.25mgのタンパク質を含み、及び[3H](+)−ペンタゾシンとともに37℃で150分間インキュベートした。[3H](+)−ペンタゾシンを、単一の濃縮(1.0nM、図6)、又は様々な濃縮(0−10nM、図7)のいずれかで使用した。非特異的な結合を、ハロペリドール(1.0μM)によって定義した。競合リガンド濃縮(例えば、フェンレチニド)は10μMであった。
氷冷のr1アッセイ緩衝液(5ml)の付加及びポリエチレンイミン(0.5%)で60分間前処理されたグラスファイバーフィルター(GF/B)を介して、セルハーベスター(Brandel,Gaithersburg,MD)を使用して、ろ過によってアッセイを終了した。管及びフィルターディスクを、氷冷のアッセイ緩衝液で洗浄し(3×3.5ml)、フィルターディスクを真空下で乾燥させた。シンチレーション測定を、カクテルとのディスクのインキュベーション後に少なくとも18時間実行した。
【0213】
図6及び7は、放射標識されたペンタゾシン([3H]ペンタゾシン)が、フェンレチニドがある状態の結合を減少させたことを示し、それは、フェンレチニドが、シグマ−1受容体に結合するためにペンタゾシンと競合することを示唆する。
【0214】
<実施例5>
補体遺伝子の発現に対するフェンレチニドの効果を、BALC/C**マウスにおいて研究した。
【0215】
フェンレチニドを補った食事(1gのフェンレチニド/kg食事)又は制限した食事を、妊娠しているマウスに与えた。生まれた同腹子を4週間維持した。マウスを、4週間後安楽死させ、眼組織を、RNA抽出のために調製した。結果については、図9を参照。補体遺伝子の発現を、RT−PCRによって測定した。データを、18S RNAの発現に対して正規化した。
【0216】
マウスの同腹子を、離乳(4週齢)の直前に2つの群に分離した。群Iにおけるマウスに、フェンレチニドを補った食事(1gのフェンレチニド/kg食事)を7週間与えた。群IIにおけるマウスに、制御した食事を7週間与えた。マウスを、7週間後安楽死させ、眼組織を、RNA抽出のために調製した。結果については、図8を参照。補体遺伝子の発現を、RT−PCRによって測定した。データを、18S RNAの発現に対して正規化した。
【0217】
<実施例6>
萎縮型AMDを有する患者を選択した。患者を、3つの群に分ける。群I(n=82)は、プラセボを受けた。群II(n=80)は、100mg/日の投与量でフェンレチニドを受けた。群III(n=80)は、300mg/日の投与量でフェンレチニドを受けた。すべての新生物及び基底細胞癌の発生率を、各群に関して測定した。結果については表1を参照。
【0218】
【表2】
【技術分野】
【0001】
(相互関連)
本出願は、2009年10月28日に出願された米国仮出願第61/255,739号、および2010年8月11日に出願された米国仮出願第61/372,821号の優先権を主張するものであり;これらは両方とも、その全体が、本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
皮膚癌は皮膚上の悪性腫瘍である。米国では、毎年、約100万人が皮膚癌と診断される。米国では、毎年、皮膚癌によって約1万2000人が死亡する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書には、特定の実施形態において、過剰なリポフスチン蓄積、黄斑ジストロフィー、シュタルガルト病、GA、非滲出性AMD及び/又は滲出性AMDと診断された個体において非黒色腫皮膚癌を処置するまたはその再発を低減する方法が開示され、その方法は、(a)血清レチノールを減少させる;(b)セラミドレベルを増加させる;(c)シグマ受容体の活性を減少させる、またはシグマ受容体を遮断する;及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatched受容体またはsmoothened受容体の活性を減少させる、またはヘッジホッグ経路内のpatched受容体またはsmoothened受容体を遮断する、有効な量の活性薬剤を、個体に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、レチノイド又はレチノイド誘導体である。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、N−(4−メトキシフェニル)レチンアミド、4−オキソ−N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、式(I)の化合物:
【0004】
【化1】
【0005】
式中、
Aは、O、NHまたはSであり;
Bは、1つの結合(a bond)、−(C2−C7)アルキル、−(C2−C7)アルケニル、−(C3−C8)シクロアルキル、−(C2−C7)ヘテロアルキル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルキル、−(C3−C8)シクロアルケニル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルケニルであり;
Dは、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、sec−ペンチル、イソペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、メチレンシクロプロピル、メチレンシクロブチル、メチレンシクロペンチルであり;Eは、(C=O)−OR、−O−(C=O)−R、−(C=O)−R、−OR、カルボン酸バイオアイソスター(bioisostere)、−(C=O)−NR1R、NR1−(C=O)−R、−(C1−C7)アルキル−(C=O)−OR、または−(C1−C7)アルキル−(C=O)−NR1Rであり;
Rは、Hあるいは
【0006】
【化2】
【0007】
であり;
Gは、−OR1、−(C1−C6)アルキル、−(C1−C6)アルキル−OR1、ハロゲン、−CO2R1、−(C1−C6)アルキル−CO2R1、NHR1、−(C1−C6)アルキル−NHR1、−(C=O)NHR1、−(C1−C6)アルキル−(C=O)NHR1、−NHR1(C=O)R1、−(C1−C6)アルキル−NHR1(C=O)R1であり、
R1は、Hまたは(C1−C6)アルキルであり;
Xは、ハロゲンであり;
またはそれらの活性代謝物若しくは薬学的に許容可能なプロドラッグ、塩若しくは溶媒和物;またはそれらの組み合わせである。幾つかの実施形態において、個体は、高い血漿レチノール;高い血漿RBP4;随意に目において、高いシグマ受容体の濃度;または、随意に、目若しくは癌性腫瘍において、高いVEGFの濃度;または0.5を超えるholo−RBPに対するapo−RBPの比率(apo−RBP−to−holo−RBP ratio)を有する。幾つかの実施形態において、個体は、(a)25μg/mLを超える血漿RBP4濃度及び/又は0.5を超える血漿のholo−RBPに対するapo−RBPの比率を有する男性のヒト個体;または(b)20μg/mLを超える血漿RBP4濃度及び/又は0.5を超える血漿のholo−RBPに対するapo−RBPの比率を有する女性のヒト個体である。幾つかの実施形態において、有効な量の活性薬剤は、約25%〜約75%で、個体においてAMDまたは非黒色腫皮膚癌に関係する危険因子のレベルを減らすのに十分な量であり;ここで、危険因子は、高い濃度の循環ビタミンA、高い濃度の循環RBP、高い濃度の循環holo−RBP、高い濃度のVEGF、または高い濃度のシグマ受容体から選択される。幾つかの実施形態において、活性薬剤の有効な量は、1日約300mg未満である。幾つかの実施形態において、活性薬剤の有効な量は、1日約50mg〜約150mgである。幾つかの実施形態において、皮膚癌は、非黒色腫皮膚癌である。幾つかの実施形態において、皮膚癌は基底細胞癌または扁平上皮癌である。
【0008】
本明細書には、特定の実施形態において、過剰なリポフスチン蓄積、黄斑ジストロフィー、シュタルガルト病、GA、非滲出性AMD及び/又は滲出性AMDと診断された個体において非黒色腫皮膚癌を処置するための医薬の製造のためのレチノイドまたはレチノイド誘導体の使用が開示される。幾つかの実施形態において、レチノイドまたはレチノイド誘導体は、N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、N−(4−メトキシフェニル)レチンアミド、4−オキソ−N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、式(I)の化合物:
【0009】
【化3】
【0010】
式中、
Aは、O、NHまたはSであり;
Bは、1つの結合(a bond)、−(C2−C7)アルキル、−(C2−C7)アルケニル、−(C3−C8)シクロアルキル、−(C2−C7)ヘテロアルキル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルキル、−(C3−C8)シクロアルケニル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルケニルであり;
Dは、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、sec−ペンチル、イソペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、メチレンシクロプロピル、メチレンシクロブチル、メチレンシクロペンチルであり;
Eは、(C=O)−OR、−O−(C=O)−R、−(C=O)−R、−OR、カルボン酸バイオアイソスター(bioisostere)、−(C=O)−NR1R、NR1−(C=O)−R、−(C1−C7)アルキル−(C=O)−OR、または−(C1−C7)アルキル−(C=O)−NR1Rであり;
Rは、Hあるいは
【0011】
【化4】
【0012】
であり;
Gは、−OR1、−(C1−C6)アルキル、−(C1−C6)アルキル−OR1、ハロゲン、−CO2R1、−(C1−C6)アルキル−CO2R1、NHR1、−(C1−C6)アルキル−NHR1、−(C=O)NHR1、−(C1−C6)アルキル−(C=O)NHR1、−NHR1(C=O)R1、−(C1−C6)アルキル−NHR1(C=O)R1であり、
R1は、Hまたは(C1−C6)アルキルであり;
Xは、ハロゲンであり;
またはそれらの活性代謝物若しくは薬学的に許容可能なプロドラッグ、塩若しくは溶媒和物;またはそれらの組み合わせである。
【0013】
本明細書には、特定の実施形態において、ゴーリン症候群を処置する方法が開示され、その方法は、(a)血清レチノールを減少させる;(b)セラミドレベルを増加させる;(c)シグマ受容体の活性を減少させる、あるいはシグマ受容体を遮断する;及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体の活性を減少させる、またはそれらを遮断する、有効な量の活性薬剤を、個体に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、レチノイド又はレチノイド誘導体である。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、N−(4−メトキシフェニル)レチンアミド、4−オキソ−N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、式(I)の化合物:
【0014】
【化5】
【0015】
式中、
Aは、O、NHまたはSであり;
Bは、1つの結合(a bond)、−(C2−C7)アルキル、−(C2−C7)アルケニル、−(C3−C8)シクロアルキル、−(C2−C7)ヘテロアルキル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルキル、−(C3−C8)シクロアルケニル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルケニルであり;
Dは、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、sec−ペンチル、イソペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、メチレンシクロプロピル、メチレンシクロブチル、メチレンシクロペンチルであり;
Eは、(C=O)−OR、−O−(C=O)−R、−(C=O)−R、−OR、カルボン酸バイオアイソスター(bioisostere)、−(C=O)−NR1R、NR1−(C=O)−R、−(C1−C7)アルキル−(C=O)−OR、または−(C1−C7)アルキル−(C=O)−NR1Rであり;
Rは、Hあるいは
【0016】
【化6】
【0017】
であり;
Gは、−OR1、−(C1−C6)アルキル、−(C1−C6)アルキル−OR1、ハロゲン、−CO2R1、−(C1−C6)アルキル−CO2R1、NHR1、−(C1−C6)アルキル−NHR1、−(C=O)NHR1、−(C1−C6)アルキル−(C=O)NHR1、−NHR1(C=O)R1、−(C1−C6)アルキル−NHR1(C=O)R1であり、
R1は、Hまたは(C1−C6)アルキルであり;
Xは、ハロゲンであり;
またはそれらの活性代謝物若しくは薬学的に許容可能なプロドラッグ、塩若しくは溶媒和物;またはそれらの組み合わせである。幾つかの実施形態において、方法は、基底細胞癌を処置する、またはその再発を減少させる工程をさらに含む。
【0018】
本明細書には、特定の実施形態において、ゴーリン症候群の処置のための医薬の製造のためにレチノイドまたはレチノイド誘導体を使用することが開示される。幾つかの実施形態において、レチノイドまたはレチノイド誘導体は、N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、N−(4−メトキシフェニル)レチンアミド、4−オキソ−N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、式(I)の化合物:
【0019】
【化7】
【0020】
式中、
Aは、O、NHまたはSであり;
Bは、1つの結合(a bond)、−(C2−C7)アルキル、−(C2−C7)アルケニル、−(C3−C8)シクロアルキル、−(C2−C7)ヘテロアルキル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルキル、−(C3−C8)シクロアルケニル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルケニルであり;
Dは、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、sec−ペンチル、イソペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、メチレンシクロプロピル、メチレンシクロブチル、メチレンシクロペンチルであり;
Eは、(C=O)−OR、−O−(C=O)−R、−(C=O)−R、−OR、カルボン酸バイオアイソスター(bioisostere)、−(C=O)−NR1R、NR1−(C=O)−R、−(C1−C7)アルキル−(C=O)−OR、または−(C1−C7)アルキル−(C=O)−NR1Rであり;
Rは、Hあるいは
【0021】
【化8】
【0022】
であり;
Gは、−OR1、−(C1−C6)アルキル、−(C1−C6)アルキル−OR1、ハロゲン、−CO2R1、−(C1−C6)アルキル−CO2R1、NHR1、−(C1−C6)アルキル−NHR1、−(C=O)NHR1、−(C1−C6)アルキル−(C=O)NHR1、−NHR1(C=O)R1、−(C1−C6)アルキル−NHR1(C=O)R1であり、
R1は、Hまたは(C1−C6)アルキルであり;
Xは、ハロゲンであり;
またはそれらの活性代謝物若しくは薬学的に許容可能なプロドラッグ、塩若しくは溶媒和物;またはそれらの組み合わせである。
【0023】
本明細書には、特定の実施形態において(a)血清レチノールを調節する(例えば減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば増加させる);(c)シグマ受容体の活性を減少させる、あるいはシグマ受容体を遮断する;及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体の活性を減少させる、またはそれらを遮断する薬剤を投与する工程を含む、黄斑変性または網膜変性を有する患者において、一定のタイプの癌を処置する方法が記載される。幾つかの実施形態において、癌は、皮膚癌及び/又は基底細胞癌である。
【0024】
本明細書には、幾つかの実施形態において、有効な量の治療薬剤を、それを必要とする個体に投与する工程を含む、個体において癌(例えば皮膚癌または結膜の悪性黒色腫)の発生を減少させる方法が提供され、治療薬剤は、N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド(4−HPR)、N−(4−メトキシフェニル)レチンアミド(4−MPR)、4−オキソ−N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド(4−オキソ−4−HPR)、式(I)の化合物、またはそれらの組み合わせを含む。本明細書には、特定の実施形態において、有効な量の治療薬剤を、それを必要とする個体に投与する工程を含む、個体において皮膚癌の発生を減少させる方法が提供され、治療薬剤は、N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド(4−HPR)、N−(4−メトキシフェニル)レチンアミド(4−MPR)、4−オキソ−N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド(4−オキソ−4−HPR)、式(I)の化合物、またはそれらの組み合わせを含む。本明細書には、幾つかの実施形態において、有効な量の治療薬剤を、それを必要とする個体に投与する工程を含む、地図状萎縮(GA)または加齢性黄斑変性(AMD)と診断された個体において皮膚癌の発生を減少させる方法が提供され、活性薬剤は、N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、N−(4−メトキシフェニル)レチンアミド、4−オキソ−N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、式(I)の化合物、またはそれらの組み合わせである。さらに、本明細書には、幾つかの実施形態において、有効な量の治療薬剤を、それを必要とする個体に投与する工程を含む、皮膚癌を予防的に処置する方法が開示され、活性薬剤は、N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、N−(4−メトキシフェニル)レチンアミド、4−オキソ−N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、式(I)の化合物、またはそれらの組み合わせである。本明細書には、特定の実施形態において、有効な量の治療薬剤を、それを必要とする個体に投与する工程を含む、個体において基底細胞癌、扁平上皮癌、または黒色腫を予防的に処置する方法が提供され、活性薬剤は、N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、N−(4−メトキシフェニル)レチンアミド、4−オキソ−N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、式(I)の化合物、またはそれらの組み合わせである。式(I)の化合物は、以下の構造を有する化合物:
【0025】
【化9】
【0026】
式中、
Aは、O、NHまたはSであり;
Bは、1つの結合(a bond)、−(C2−C7)アルキル、−(C2−C7)アルケニル、−(C3−C8)シクロアルキル、−(C2−C7)ヘテロアルキル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルキル、−(C3−C8)シクロアルケニル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルケニルであり;
Dは、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、sec−ペンチル、イソペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、メチレンシクロプロピル、メチレンシクロブチル、メチレンシクロペンチルであり;
Eは、(C=O)−OR、−O−(C=O)−R、−(C=O)−R、−OR、カルボン酸バイオアイソスター(bioisostere)、−(C=O)−NR1R、NR1−(C=O)−R、−(C1−C7)アルキル−(C=O)−OR、または−(C1−C7)アルキル−(C=O)−NR1Rであり;
Rは、Hあるいは
【0027】
【化10】
【0028】
であり;
Gは、−OR1、−(C1−C6)アルキル、−(C1−C6)アルキル−OR1、ハロゲン、−CO2R1、−(C1−C6)アルキル−CO2R1、NHR1、−(C1−C6)アルキル−NHR1、−(C=O)NHR1、−(C1−C6)アルキル−(C=O)NHR1、−NHR1(C=O)R1、−(C1−C6)アルキル−NHR1(C=O)R1であり、
R1は、Hまたは(C1−C6)アルキルであり;
Xは、ハロゲンであり;
またはそれらの活性代謝物若しくは薬学的に許容可能なプロドラッグ、塩若しくは溶媒和物である。幾つかの実施形態において、式(I)の化合物は、式(II)の化合物:
【0029】
【化11】
【0030】
式中、
Aは、O、NHまたはSであり;
Bは、1つの結合(a bond)、−(C2−C7)アルキル、−(C2−C7)アルケニル、−(C3−C8)シクロアルキル、−(C2−C7)ヘテロアルキル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルキル、−(C3−C8)シクロアルケニル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルケニルであり;
Eは、(C=O)−OR、−O−(C=O)−R、−(C=O)−R、−OR、カルボン酸バイオアイソスター(bioisostere)、−(C=O)−NR1R、NR1−(C=O)−R、−(C1−C7)アルキル−(C=O)−OR、または−(C1−C7)アルキル−(C=O)−NR1Rであり;
Rは、Hあるいは
【0031】
【化12】
【0032】
であり;
Gは、−OR1、−(C1−C6)アルキル、−(C1−C6)アルキル−OR1、ハロゲン、−CO2R1、−(C1−C6)アルキル−CO2R1、NHR1、−(C1−C6)アルキル−NHR1、−(C=O)NHR1、−(C1−C6)アルキル−(C=O)NHR1、−NHR1(C=O)R1、−(C1−C6)アルキル−NHR1(C=O)R1であり、
R1は、Hまたは(C1−C6)アルキルであり;
またはそれらの活性代謝物若しくは薬学的に許容可能なプロドラッグ、塩若しくは溶媒和物を含む。特定の実施形態において、式(I)または(II)の化合物は、AがOである化合物である。さらなる実施形態において、式(I)または(II)の化合物は、Bが、−(CH2)nで、nが1−6である、または、Bが、−(C3−C8)シクロアルキルである化合物である。さらなる別の実施形態において、式(I)または(II)の化合物は、Eが(C=O)−OR、カルボン酸バイオアイソスター、−(C=O)−NR1R、−(C1−C7)アルキル−(C=O)−OR、または−(C1−C7)アルキル(C=O)−NR1Rである化合物である。1つの実施形態において、式(I)または(II)の化合物は、AがOであり、Bが(C3−C8)シクロアルキルであり、Eが(C=O)−ORであり、およびRがHである化合物である。さらなる実施形態において、式(I)または(II)の化合物は、Bがシクロヘキシルであり、およびRがHである化合物である。さらなる別の実施形態において、式(I)または(II)の化合物は、Bがペンチルであり、およびRがHである化合物である。さらなる別の実施形態において、式(I)または(II)の化合物は、以下の構造:
【0033】
【化13】
【0034】
を有する化合物である。
別の実施形態において、式(I)または(II)の化合物は、以下の構造:
【0035】
【化14】
【0036】
を有する化合物である。
1つの実施形態において、式(I)または(II)の化合物は、Rが:
【0037】
【化15】
【0038】
である化合物である。
別の実施形態において、式(I)または(II)の化合物は、Eが(C=O)−ORである化合物である。さらなる実施形態において、式(I)または(II)の化合物はRがHである化合物である。さらなる別の実施形態において、式(I)または(II)の化合物は、化合物が、以下からなる群から選択される化合物である:5−(2−tert−ブチル−4−クロロフェノキシ)−N−(4−ヒドロキシフェニル)ペンタンアミド、7−(2−tert−ブチル−4−クロロフェノキシ)−N−(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタンアミド、4−(5−(2−tert−ブチル−4−クロロフェノキシ)ペンタンアミド(pentanamido))安息香酸、4−(3−((2−tert−ブチル−4−クロロフェノキシ)メチル)シクロペンタンアミド(cyclopentanamido))安息香酸、5−(2−tert−ブチル−4−クロロフェノキシ)ペンタン酸、4−(2−tert−ブチル−4−クロロフェノキシ)ブタン酸、2−(3−((2−tert−ブチル−4−クロロフェノキシ)メチル)シクロペンチル)酢酸、7−(2−tert−ブチル−4−クロロフェノキシ)ヘプタン酸、4−(5−(2−tert−ブチル−4−クロロフェノキシ)ペンタンアミド(pentanamido))ベンズアミド、3−((2−tert−ブチル−4−クロロフェノキシ)メチル)シクロヘキサンカルボン酸、3−((2−tert−ブチル−4−クロロフェノキシ)メチル)シクロペンタンカルボン酸、3−((2−tert−ブチル−4−クロロフェニルアミノ)メチル)シクロペンタンアミド、4−(3−((2−tert−ブチル−4−クロロフェノキシ)メチル)シクロペンタンカルボキシアミド)安息香酸、および5−(2−tert−ブチル−4−クロロフェニルチオ)ペンタン酸。式(I)及び/又は(II)の他の化合物は、2008年9月16日に出願され、WO2009/042444として公表されたPCT/US08/76499において述べられ、それは、そのような化合物のための参照によって、本明細書に組み込まれる。
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される処置を必要とする個体は、血漿レチノール、血漿RBP4(apo−RBP)または血漿RBP4レチノール(holo−RBP)のレベルが高いと診断された個体である。特定の実施形態において、本明細書に記載される処置を必要とする個体は、25μg/mLより大きな血漿RBP4濃度及び/又は0.5を超えるholo−RBPに対するapo−RBPの比率を有する男性のヒト個体である。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される処置を必要とする個体は、20μg/mLより大きな血漿RBP4濃度及び/又は0.25を超えるholo−RBPに対するapo−RBPの比率を有する女性のヒト個体である。特定の実施形態において、本明細書に記載される処置を必要とする個体は、過度のリポフスチン蓄積、黄斑ジストロフィー、シュタルガルト病またはAMDと診断された個体である。特定の実施形態において、本明細書に記載される任意の方法は、高い組織レベルの血漿レチノール、血漿RBP4(apo−RBP)、血漿RBP4レチノール(holo−RBP)、または0.5を超えるholo−RBPに対するapo−RBPの比率によって、必要とする個体を診断する工程をさらに含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される任意の方法は、高い循環Holo−RBPレベルまたは0.5を超える循環holo−RBPに対するapo−RBPの比率によって、必要とする個体を診断する工程をさらに含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される任意の方法は、GA、非滲出性AMDまたは滲出性AMDを有する個体を診断することによって、皮膚癌のリスクが増加した個体を診断する工程をさらに含む。
幾つかの実施形態において、治療薬剤(例えばN−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド)の有効な量は、25%と75%の間で個体内で循環ビタミンAを減少させるのに十分な量である。特定の実施形態において、治療薬剤(例えばN−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド)の有効な量は、25%と75%の間で循環Holo−RBPを減少させるのに十分な量である。幾つかの実施形態において、治療薬剤(例えばN−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド)の有効な量は、25%と75%の間で循環apo−RBPまたはholo−RBPの総濃度を減少させるのに十分な量である。幾つかの実施形態において、治療薬剤(例えばN−(4ヒドロキシフェニル)レチンアミド)の有効な量は、1日300mg未満である。特定の実施形態において、治療薬剤(例えばN−(4ヒドロキシフェニル)レチンアミド)の有効な量は、1日50mg〜150mgである。
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の任意の方法の皮膚癌(skin cancer)は、皮膚癌腫(skin carcinoma)である。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の任意の方法の皮膚癌は、基底細胞癌、扁平上皮癌または黒色腫である。
特定の実施形態において、有効な量のその治療薬剤(例えばN−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド)は、最初は初期量スケジュール(loading dose schedule)で投与され、後に維持量スケジュールで投与される。幾つかの実施形態において、初期量スケジュールは、25%と75%の間で個体内での循環ビタミンAを減少させるのに十分な量および期間で、治療薬剤(例えばN−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド)を投与する工程を含み、および維持量は循環ビタミンAの減少を維持するのに十分な量で投与される。特定の実施形態において、初期量スケジュールは、25%と75%の間で個体内での循環holo−RBPを減少させるのに十分な量および期間で、治療薬剤(例えばN−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド)を投与する工程を含み、および維持量は循環holo−RBPの減少を維持するのに十分な量で投与される。いくつかの実施形態において、初期量スケジュールは、25%と75%の間で個体内での循環apo−RBPおよび循環holo−RBPの総濃度を減少させるのに十分な量および期間で、N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、N−(4−メトキシフェニル)レチンアミド、4−オキソ−N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミドまたはそれらの組み合わせを投与する工程を含み、および維持量は、循環apo−RBPおよび循環holo−RBPの総濃度の減少を維持するのに十分な量で投与される。特定の実施形態において、初期量スケジュールは、循環または組織のいずれかのholo−RBPに対するapo−RBPの比率を約0.5に達させるのに充分な量および期間で、N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、N−(4−メトキシフェニル)レチンアミド、4−オキソ−N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミドまたはそれらの組み合わせを投与する工程を含み、および維持量は、循環または組織のいずれかのholo−RBPに対するapo−RBPの比率が維持されるのに十分な量で投与される。
【0039】
明細書には、幾つかの実施形態において、必要とする個体またはGAまたはAMDと診断された個体において、有効な量の治療薬剤を投与する工程を含む、結膜悪性黒色腫(CMM)の発生を減らす、または予防処置する方法が提供され、活性薬剤は、N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、N−(4−メトキシフェニル)レチンアミド、4−オキソ−N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、式(I)の化合物:
【0040】
【化16】
【0041】
式中、
Aは、O、NHまたはSであり;
Bは、1つの結合(a bond)、−(C2−C7)アルキル、−(C2−C7)アルケニル、−(C3−C8)シクロアルキル、−(C2−C7)ヘテロアルキル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルキル、−(C3−C8)シクロアルケニル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルケニルであり;
Dは、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、sec−ペンチル、イソペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、メチレンシクロプロピル、メチレンシクロブチル、メチレンシクロペンチルであり;
Eは、(C=O)−OR、−O−(C=O)−R、−(C=O)−R、−OR、カルボン酸バイオアイソスター(bioisostere)、−(C=O)−NR1R、 NR1−(C=O)−R、−(C1−C7)アルキル−(C=O)−OR、または−(C1−C7)アルキル−(C=O)−NR1Rであり;
Rは、Hあるいは
【0042】
【化17】
【0043】
であり;
Gは、−OR1、−(C1−C6)アルキル、−(C1−C6)アルキル−OR1、ハロゲン、−CO2R1、−(C1−C6)アルキル−CO2R1、NHR1、−(C1−C6)アルキル−NHR1、−(C=O)NHR1、−(C1−C6)アルキル−(C=O)NHR1、−NHR1(C=O)R1、−(C1−C6)アルキル−NHR1(C=O)R1であり、
R1は、Hまたは(C1−C6)アルキルであり;
Xは、ハロゲンであり;
またはそれらの活性代謝物若しくは薬学的に許容可能なプロドラッグ、塩若しくは溶媒和物;またはそれらの組み合わせである。
【0044】
本明細書には、特定の実施形態において、AMDと診断された個体において非黒色腫皮膚癌を処置する方法が開示され、その方法は、(a)血清レチノールを調節する(例えば減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば増加させる);(c)シグマ受容体の活性を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、またはそれを遮断する)、有効な量の活性薬剤を、個体に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、非黒色腫皮膚癌は基底細胞癌または扁平上皮癌である。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、レチノイド又はレチノイド誘導体である。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、N−(4−メトキシフェニル)レチンアミド、4−オキソ−N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、式(I)の化合物:
【0045】
【化18】
【0046】
式中、
Aは、O、NHまたはSであり;
Bは、1つの結合(a bond)、−(C2−C7)アルキル、−(C2−C7)アルケニル、−(C3−C8)シクロアルキル、−(C2−C7)ヘテロアルキル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルキル、−(C3−C8)シクロアルケニル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルケニルであり;
Dは、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、sec−ペンチル、イソペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、メチレンシクロプロピル、メチレンシクロブチル、メチレンシクロペンチルであり;
Eは、(C=O)−OR、−O−(C=O)−R、−(C=O)−R、−OR、カルボン酸バイオアイソスター(bioisostere)、−(C=O)−NR1R、NR1−(C=O)−R、−(C1−C7)アルキル−(C=O)−OR、または−(C1−C7)アルキル−(C=O)−NR1Rであり;
Rは、Hあるいは
【0047】
【化19】
【0048】
であり;
Gは、−OR1、−(C1−C6)アルキル、−(C1−C6)アルキル−OR1、ハロゲン、−CO2R1、−(C1−C6)アルキル−CO2R1、NHR1、−(C1−C6)アルキル−NHR1、−(C=O)NHR1、−(C1−C6)アルキル−(C=O)NHR1、−NHR1(C=O)R1、−(C1−C6)アルキル−NHR1(C=O)R1であり、
R1は、Hまたは(C1−C6)アルキルであり;
Xは、ハロゲンであり;
またはそれらの活性代謝物若しくは薬学的に許容可能なプロドラッグ、塩若しくは溶媒和物;またはそれらの組み合わせである。
【0049】
本明細書には、特定の実施形態において、AMDと診断された個体において非黒色腫皮膚癌の発生を妨げる方法が開示され、その方法は、(a)血清レチノールを調節する(例えば減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば増加させる);(c)シグマ受容体の活性を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、またはそれを遮断する)、有効な量の活性薬剤を、個体に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、非黒色腫皮膚癌は基底細胞癌または扁平上皮癌である。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、レチノイド又はレチノイド誘導体である。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、N−(4−メトキシフェニル)レチンアミド、4−オキソ−N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、式(I)の化合物:
【0050】
【化20】
【0051】
式中、
Aは、O、NHまたはSであり;
Bは、1つの結合(a bond)、−(C2−C7)アルキル、−(C2−C7)アルケニル、−(C3−C8)シクロアルキル、−(C2−C7)ヘテロアルキル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルキル、−(C3−C8)シクロアルケニル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルケニルであり;Dは、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、sec−ペンチル、イソペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、メチレンシクロプロピル、メチレンシクロブチル、メチレンシクロペンチルであり;
Eは、 (C=O)−OR、−O−(C=O)−R、−(C=O)−R、−OR、カルボン酸バイオアイソスター(bioisostere)、−(C=O)−NR1R、NR1−(C=O)−R、−(C1−C7)アルキル−(C=O)−OR、または−(C1−C7)アルキル−(C=O)−NR1Rであり;
Rは、Hあるいは
【0052】
【化21】
【0053】
であり;
Gは、−OR1、−(C1−C6)アルキル、−(C1−C6)アルキル−OR1、ハロゲン、−CO2R1、−(C1−C6)アルキル−CO2R1、NHR1、−(C1−C6)アルキル−NHR1、−(C=O)NHR1、−(C1−C6)アルキル−(C=O)NHR1、−NHR1(C=O)R1、−(C1−C6)アルキル−NHR1(C=O)R1であり、
R1は、Hまたは(C1−C6)アルキルであり;
Xは、ハロゲンであり;
またはそれらの活性代謝物若しくは薬学的に許容可能なプロドラッグ、塩若しくは溶媒和物;またはそれらの組み合わせである。
【0054】
本明細書には、特定の実施形態において、ゴーリン症候群を処置する方法が開示され、その方法は、(a)血清レチノールを調節する(例えば減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば増加させる);(c)シグマ受容体の活性を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、またはそれを遮断する)、有効な量の活性薬剤を、個体に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、レチノイド又はレチノイド誘導体である。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、N−(4−メトキシフェニル)レチンアミド、4−オキソ−N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、式(I)の化合物:
【0055】
【化22】
【0056】
式中、
Aは、O、NHまたはSであり;
Bは、1つの結合(a bond)、−(C2−C7)アルキル、−(C2−C7)アルケニル、−(C3−C8)シクロアルキル、−(C2−C7)ヘテロアルキル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルキル、−(C3−C8)シクロアルケニル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルケニルであり;
Dは、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、sec−ペンチル、イソペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、メチレンシクロプロピル、メチレンシクロブチル、メチレンシクロペンチルであり;
Eは、 (C=O)−OR、−O−(C=O)−R、−(C=O)−R、−OR、カルボン酸バイオアイソスター(bioisostere)、−(C=O)−NR1R、NR1−(C=O)−R、−(C1−C7)アルキル−(C=O)−OR、または−(C1−C7)アルキル−(C=O)−NR1Rであり;
Rは、Hあるいは
【0057】
【化23】
【0058】
であり;
Gは、−OR1、−(C1−C6)アルキル、−(C1−C6)アルキル−OR1、ハロゲン、−CO2R1、−(C1−C6)アルキル−CO2R1、NHR1、−(C1−C6)アルキル−NHR1、−(C=O)NHR1、−(C1−C6)アルキル−(C=O)NHR1、−NHR1(C=O)R1、−(C1−C6)アルキル−NHR1(C=O)R1であり、
R1は、Hまたは(C1−C6)アルキルであり;
Xは、ハロゲンであり;
またはそれらの活性代謝物若しくは薬学的に許容可能なプロドラッグ、塩若しくは溶媒和物;またはそれらの組み合わせである。
【0059】
本明細書には、特定の実施形態において、ゴーリン症候群と診断された個体において基底細胞癌を処置する方法が開示され、その方法は、(a)血清レチノールを調節する(例えば減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば増加させる);(c)シグマ受容体を調節する(例えば、活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、またはそれを遮断する)、有効な量の活性薬剤を、個体に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、レチノイド又はレチノイド誘導体である。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、N−(4−メトキシフェニル)レチンアミド、4−オキソ−N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、式(I)の化合物:
【0060】
【化24】
【0061】
式中、
Aは、O、NHまたはSであり;
Bは、1つの結合(a bond)、−(C2−C7)アルキル、−(C2−C7)アルケニル、−(C3−C8)シクロアルキル、−(C2−C7)ヘテロアルキル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルキル、−(C3−C8)シクロアルケニル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルケニルであり;
Dは、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、sec−ペンチル、イソペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、メチレンシクロプロピル、メチレンシクロブチル、メチレンシクロペンチルであり;
Eは、(C=O)−OR、−O−(C=O)−R、−(C=O)−R、−OR、カルボン酸バイオアイソスター(bioisostere)、−(C=O)−NR1R、NR1−(C=O)−R、−(C1−C7)アルキル−(C=O)−OR、または−(C1−C7)アルキル−(C=O)−NR1Rであり;
Rは、Hあるいは
【0062】
【化25】
【0063】
であり;
Gは、−OR1、−(C1−C6)アルキル、−(C1−C6)アルキル−OR1、ハロゲン、−CO2R1、−(C1−C6)アルキル−CO2R1、NHR1、−(C1−C6)アルキル−NHR1、−(C=O)NHR1、−(C1−C6)アルキル−(C=O)NHR1、−NHR1(C=O)R1、−(C1−C6)アルキル−NHR1(C=O)R1であり、
R1は、Hまたは(C1−C6)アルキルであり;
Xは、ハロゲンであり;
またはそれらの活性代謝物若しくは薬学的に許容可能なプロドラッグ、塩若しくは溶媒和物;またはそれらの組み合わせである。
【0064】
本明細書には、特定の実施形態において、ゴーリン症候群と診断された個体において基底細胞癌の発生を妨げる方法が開示され、その方法は、(a)血清レチノールを調節する(例えば減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば増加させる);(c)シグマ受容体の活性を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、またはそれを遮断する)、有効な量の活性薬剤を、個体に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、レチノイド又はレチノイド誘導体である。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、N−(4−メトキシフェニル)レチンアミド、4−オキソ−N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、式(I)の化合物:
【0065】
【化26】
【0066】
式中、
Aは、O、NHまたはSであり;
Bは、1つの結合(a bond)、−(C2−C7)アルキル、−(C2−C7)アルケニル、−(C3−C8)シクロアルキル、−(C2−C7)ヘテロアルキル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルキル、−(C3−C8)シクロアルケニル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルケニルであり;
Dは、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、sec−ペンチル、イソペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、メチレンシクロプロピル、メチレンシクロブチル、メチレンシクロペンチルであり;
Eは、(C=O)−OR、−O−(C=O)−R、−(C=O)−R、−OR、カルボン酸バイオアイソスター(bioisostere)、−(C=O)−NR1R、NR1−(C=O)−R、−(C1−C7)アルキル−(C=O)−OR、又は−(C1−C7)アルキル−(C=O)−NR1Rであり;
Rは、Hあるいは
【0067】
【化27】
【0068】
であり;
Gは、−OR1、−(C1−C6)アルキル、−(C1−C6)アルキル−OR1、ハロゲン、−CO2R1、−(C1−C6)アルキル−CO2R1、NHR1、−(C1−C6)アルキル−NHR1、−(C=O)NHR1、−(C1−C6)アルキル−(C=O)NHR1、−NHR1(C=O)R1、−(C1−C6)アルキル−NHR1(C=O)R1であり、
R1は、Hまたは(C1−C6)アルキルであり;
Xは、ハロゲンであり;
またはそれらの活性代謝物若しくは薬学的に許容可能なプロドラッグ、塩若しくは溶媒和物;またはそれらの組み合わせである。
【0069】
本発明の、新規な特徴は、添付の特許請求の範囲内に特に明記されている。本発明の特徴と利点とのよりよい理解は、本発明の原理を利用している、説明に役立つ実施形態および添付図面に明記される、後述する詳細な説明を参照することによって、得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】図1は、GAを処置するHPRの有効性を評価した第2相臨床試験における脈絡膜血管新生(CNV)の試験治療下での発現(Treatment Emergent)の発生を示す。
【図2】図2は、胎児のヒト網膜色素上皮培養物中のVEGF発現に対するHPRの効果を示す。
【図3】図3は、HPR GA治験における癌の試験治療下での発現の発生を示す。
【図4】図4は、メラノーマ細胞株(B16(RL))に対するHPRの効果を示す。
【図5】図5は、2つのヒトメラノーマ細胞株(M207およびSK−MEL28)に対するHPRおよび式IIの化合物の効果を示す。
【図6】図6は、シグマ1受容体に結合するペンタゾシンに対するHPRの効果を示す。
【図7】図7は、シグマ1受容体への結合に対するペンタゾシンとのHPR競合の効果を示す。
【図8A】図8Aは、フェンレチニドが、BALC/C**マウスの目において、特定の補体遺伝子(Crry、CFH、MCP−1、CD59a、Daf2およびCD59b)をアップレギュレートすることを示す。左側の棒は、普通の食事を与えられたマウスにおける遺伝子活性化のレベルである。左側の棒は、フェンレチニドを補った食事(1g フェンレチニド/kg食事)を与えられたマウスにおける遺伝子活性化のレベルである。補体遺伝子の発現はRT−PCRによって測定された。データは、18S RNAの発現に対して正規化された。
【図8B】図8Bは、フェンレチニドが、BALC/C**マウスの目において、特定の補体遺伝子(Crry、CFH、MCP−1、CD59a、Daf2およびCD59b)をアップレギュレートすることを示す。左側の棒は、普通の食事を与えられたマウスにおける遺伝子活性化のレベルである。左側の棒は、フェンレチニドを補った食事(1g フェンレチニド/kg食事)を与えられたマウスにおける遺伝子活性化のレベルである。補体遺伝子の発現はRT−PCRによって測定された。データは、18S RNAの発現に対して正規化された。
【図8C】図8Cは、フェンレチニドが、BALC/C**マウスの目において、特定の補体遺伝子(Crry、CFH、MCP−1、CD59a、Daf2およびCD59b)をアップレギュレートすることを示す。左側の棒は、普通の食事を与えられたマウスにおける遺伝子活性化のレベルである。左側の棒は、フェンレチニドを補った食事(1g フェンレチニド/kg食事)を与えられたマウスにおける遺伝子活性化のレベルである。補体遺伝子の発現はRT−PCRによって測定された。データは、18S RNAの発現に対して正規化された。
【図8D】図8Dは、フェンレチニドが、BALC/C**マウスの目において、特定の補体遺伝子(Crry、CFH、MCP−1、CD59a、Daf2およびCD59b)をアップレギュレートすることを示す。左側の棒は、普通の食事を与えられたマウスにおける遺伝子活性化のレベルである。左側の棒は、フェンレチニドを補った食事(1g フェンレチニド/kg食事)を与えられたマウスにおける遺伝子活性化のレベルである。補体遺伝子の発現はRT−PCRによって測定された。データは、18S RNAの発現に対して正規化された。
【図8E】図8Eは、フェンレチニドが、BALC/C**マウスの目において、特定の補体遺伝子(Crry、CFH、MCP−1、CD59a、Daf2およびCD59b)をアップレギュレートすることを示す。左側の棒は、普通の食事を与えられたマウスにおける遺伝子活性化のレベルである。左側の棒は、フェンレチニドを補った食事(1g フェンレチニド/kg食事)を与えられたマウスにおける遺伝子活性化のレベルである。補体遺伝子の発現はRT−PCRによって測定された。データは、18S RNAの発現に対して正規化された。
【図8F】図8Fは、フェンレチニドが、BALC/C**マウスの目において、特定の補体遺伝子(Crry、CFH、MCP−1、CD59a、Daf2およびCD59b)をアップレギュレートすることを示す。左側の棒は、普通の食事を与えられたマウスにおける遺伝子活性化のレベルである。左側の棒は、フェンレチニドを補った食事(1g フェンレチニド/kg食事)を与えられたマウスにおける遺伝子活性化のレベルである。補体遺伝子の発現はRT−PCRによって測定された。データは、18S RNAの発現に対して正規化された。
【図9A】図9Aは、高用量のフェンレチニドが、BALC/C**マウスの目において、特定の補体遺伝子(Crry、CFH、MCP−1、CD59a、Daf2およびCD59b)をダウンレギュレートすることを示す。左側の棒は、普通の食事を与えられたマウスにおける遺伝子活性化のレベルである。左側の棒は、フェンレチニドを補った食事(1g フェンレチニド/kg食事)を与えられたマウスにおける遺伝子活性化のレベルである。補体遺伝子の発現はRT−PCRによって測定された。データは、18S RNAの発現に対して正規化された。
【図9B】図9Bは、高用量のフェンレチニドが、BALC/C**マウスの目において、特定の補体遺伝子(Crry、CFH、MCP−1、CD59a、Daf2およびCD59b)をダウンレギュレートすることを示す。左側の棒は、普通の食事を与えられたマウスにおける遺伝子活性化のレベルである。左側の棒は、フェンレチニドを補った食事(1g フェンレチニド/kg食事)を与えられたマウスにおける遺伝子活性化のレベルである。補体遺伝子の発現はRT−PCRによって測定された。データは、18S RNAの発現に対して正規化された。
【図9C】図9Cは、高用量のフェンレチニドが、BALC/C**マウスの目において、特定の補体遺伝子(Crry、CFH、MCP−1、CD59a、Daf2およびCD59b)をダウンレギュレートすることを示す。左側の棒は、普通の食事を与えられたマウスにおける遺伝子活性化のレベルである。左側の棒は、フェンレチニドを補った食事(1g フェンレチニド/kg食事)を与えられたマウスにおける遺伝子活性化のレベルである。補体遺伝子の発現はRT−PCRによって測定された。データは、18S RNAの発現に対して正規化された。
【図9D】図9Dは、高用量のフェンレチニドが、BALC/C**マウスの目において、特定の補体遺伝子(Crry、CFH、MCP−1、CD59a、Daf2およびCD59b)をダウンレギュレートすることを示す。左側の棒は、普通の食事を与えられたマウスにおける遺伝子活性化のレベルである。左側の棒は、フェンレチニドを補った食事(1g フェンレチニド/kg食事)を与えられたマウスにおける遺伝子活性化のレベルである。補体遺伝子の発現はRT−PCRによって測定された。データは、18S RNAの発現に対して正規化された。
【図9E】図9Eは、高用量のフェンレチニドが、BALC/C**マウスの目において、特定の補体遺伝子(Crry、CFH、MCP−1、CD59a、Daf2およびCD59b)をダウンレギュレートすることを示す。左側の棒は、普通の食事を与えられたマウスにおける遺伝子活性化のレベルである。左側の棒は、フェンレチニドを補った食事(1g フェンレチニド/kg食事)を与えられたマウスにおける遺伝子活性化のレベルである。補体遺伝子の発現はRT−PCRによって測定された。データは、18S RNAの発現に対して正規化された。
【図9F】図9Fは、高用量のフェンレチニドが、BALC/C**マウスの目において、特定の補体遺伝子(Crry、CFH、MCP−1、CD59a、Daf2およびCD59b)をダウンレギュレートすることを示す。左側の棒は、普通の食事を与えられたマウスにおける遺伝子活性化のレベルである。左側の棒は、フェンレチニドを補った食事(1g フェンレチニド/kg食事)を与えられたマウスにおける遺伝子活性化のレベルである。補体遺伝子の発現はRT−PCRによって測定された。データは、18S RNAの発現に対して正規化された。
【図10】図10は、フェンレチニドがセラミド生合成を調節するという1つの可能な方法を示す。
【図11】図11は、Patched1(Ptch1)がSmoothened(Smo)の活性化をどのように抑えるかを示す図解である。ヘッジホッグリガンド(Hh)がPTCH1に結合されない場合、PTCH1は活性であり、SMOの活性を抑制する。不活性のSMOは、細胞の成長を媒介するGLI転写因子を活性化することができない。
【図12】図12は、ヘッジホッグ(Hh)がどのようにSMOの活性化を生じるかを示す図解である。ヘッジホッグリガンド(Hh)がPTCH1に結合される場合、PTCH1は不活性化され、リソソームの分解につながるエンドサイトーシス経路を介して進められる(proceed)。PTCH1の喪失は細胞内のオキシステロールの高いレベルにつながり、SMOは、GLIを活性化する一次繊毛に転座する。
【図13】図13は、フェンレチニドがどのようにSMOの調節に影響するかを示す図解である。この場合、フェンレチニド、その代謝物質、または式I若しくはIIの化合物は、スフィンゴミエリンを加水分解するスフィンゴミエリナーゼの活性化を介してセラミドの蓄積を誘発する。その後、セラミドは、原形質膜からコレステロール、および細胞内脂質ラフトを排出し(displace)、それによって、濃度勾配を作り出し、その結果、コレステロールおよびその酸化した誘導体(オキシステロール)の低いレベルを生じる(2、3)。SMOはエンドソームの小胞に制限されたままである。
【図14】図14は、フェンレチニドがどのようにSMの調節に影響を与えるかを示す図解である。この場合、フェンレチニド、その代謝物質、または式I若しくはIIの化合物は、スフィンゴミエリナーゼの活性化を通じてセラミドの合成を誘発する。その後、セラミドは、原形質膜からコレステロールおよび細胞内脂質ラフトを排出する。その後、排出されたコレステロールは、PTCH1上のコレステロール結合部位を占めることによりHhを結合することを妨げる。活性PTCH1は、オキシステロールの除去を促進し続ける。SMOは、エンドソームの小胞に制限されたままである。
【発明を実施するための形態】
【0071】
本発明の好ましい実施形態が、本明細書に示され記載されているが、このような実施形態が、ほんの一例として提供されることは当業者に明白となるであろう。ここで、本発明から逸脱することなく、多数の変更、変化、及び置換がなされることは、当業者によって理解される。本明細書に記載される本発明の実施形態の様々な代替案が、本発明を実行する際に利用され得ることを理解されたい。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を定義するものであり、この特許請求の範囲及びそれらの同等物の範囲内の方法及び構造体がそれによって包含されることが意図される。
【0072】
特定の実施形態において、本明細書には、AMDと診断された個体、またはAMDを有する疑いのある個体において癌(例えば、皮膚癌)の発生を減少する、またはその進行のおそれを減少する方法が開示され、その方法は、(a)血清レチノールを調節する(例えば減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば増加させる);(c)シグマ受容体の活性を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、またはそれを遮断する)、有効な量の活性薬剤を、個体に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、レチノイド又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、活性薬剤は、フェンレチニド(N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド,HPR)、式(I)の化合物またはその代謝物質である。特定の実施形態において、本明細書には、AMDと診断された個体、またはAMDを有する疑いのある個体において、癌(例えば、皮膚癌)を予防的に処置する方法(すなわち、その予防法)が提供され、その方法は、(a)血清レチノールを調節する(例えば減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば増加させる);(c)シグマ受容体の活性を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、またはそれを遮断する)、有効な量の活性薬剤を、個体に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、レチノイド又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、活性薬剤は、フェンレチニド(N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド,HPR)、式(I)の化合物またはその代謝物質である。
【0073】
特定の実施形態において、本明細書には、AMDと診断された個体、またはAMDを有する疑いのある個体において、非黒色腫皮膚癌(例えば、基底細胞癌または扁平上皮癌)の発生を減少する、またはその進行のおそれを減少する方法が開示され、その方法は、(a)血清レチノールを調節する(例えば減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば増加させる);(c)シグマ受容体の活性を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、またはそれを遮断する)、有効な量の活性薬剤を、個体に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、レチノイド又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、活性薬剤は、フェンレチニド(N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド,HPR)、式(I)の化合物またはその代謝物質である。幾つかの実施形態において、本明細書には、AMDと診断された個体、またはAMDを有する疑いのある個体において、非黒色腫皮膚癌(例えば、基底細胞癌または扁平上皮癌)を予防的に処置する方法(すなわち、その予防法)が提供され、その方法は、(a)血清レチノールを調節する(例えば減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば増加させる);(c)シグマ受容体の活性を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、またはそれを遮断する)、有効な量の活性薬剤を、個体に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、レチノイド又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、活性薬剤は、フェンレチニド(N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド,HPR)、式(I)の化合物またはその代謝物質である。
【0074】
【化28】
【0075】
特定の実施形態において、本明細書には、AMDと診断された個体、またはAMDを有する疑いのある個体において、基底細胞癌の発生を減少する、またはその進行のおそれを減少する方法が提供され、その方法は、(a)血清レチノールを調節する(例えば減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば増加させる);(c)シグマ受容体の活性を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、またはそれを遮断する)、有効な量の活性薬剤を、個体に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、レチノイド又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、活性薬剤は、フェンレチニド(N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド,HPR)、式(I)の化合物またはその代謝物質である。特定の実施形態において、本明細書には、AMDと診断された個体、またはAMDを有する疑いのある個体において、基底細胞癌を予防的に処置する方法(すなわち、その予防法)が提供され、その方法は、(a)血清レチノールを調節する(例えば減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば増加させる);(c)シグマ受容体の活性を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、またはそれを遮断する)、有効な量の活性薬剤を、個体に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、レチノイド又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、活性薬剤は、フェンレチニド(N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド,HPR)、式(I)の化合物またはその代謝物質である。
【0076】
【化29】
【0077】
特定の実施形態において、本明細書には、AMDと診断された個体、またはAMDを有する疑いのある個体において、扁平上皮癌の発生を減少する、またはその進行のおそれを減少する方法が提供され、その方法は、(a)血清レチノールを調節する(例えば減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば増加させる);(c)シグマ受容体の活性を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、またはそれを遮断する)、有効な量の活性薬剤を、個体に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、レチノイド又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、活性薬剤は、フェンレチニド(N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド,HPR)、式(I)の化合物またはその代謝物質である。
特定の実施形態において、本明細書には、AMDと診断された個体、またはAMDを有する疑いのある個体において、扁平上皮癌を予防的に処置する方法(すなわち、その予防法)が提供され、その方法は、(a)血清レチノールを調節する(例えば減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば増加させる);(c)シグマ受容体の活性を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、またはそれを遮断する)、有効な量の活性薬剤を、個体に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、レチノイド又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、活性薬剤は、フェンレチニド(N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド,HPR)、式(I)の化合物またはその代謝物質である。
【0078】
【化30】
【0079】
特定の実施形態において、本明細書には、ゴーリン症候群と診断された(またはゴーリン症候群を有する疑いのある)個体において、基底細胞癌の発生を減少する、またはその進行のおそれを減少する方法が提供され、その方法は、(a)血清レチノールを調節する(例えば減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば増加させる);(c)シグマ受容体の活性を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、またはそれを遮断する)、有効な量の活性薬剤を、個体に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、レチノイド又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、活性薬剤は、フェンレチニド(N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド,HPR)、式(I)の化合物またはその代謝物質である。幾つかの実施形態において、本明細書には、ゴーリン症候群と診断された(またはゴーリン症候群を有する疑いのある)個体において、基底細胞癌を予防的に処置する方法(すなわち、その予防法)が提供され、その方法は、(a)血清レチノールを調節する(例えば減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば増加させる);(c)シグマ受容体の活性を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、またはそれを遮断する)、有効な量の活性薬剤を、個体に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、レチノイド又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、活性薬剤は、フェンレチニド(N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド,HPR)、式(I)の化合物またはその代謝物質である。
【0080】
【化31】
【0081】
特定の実施形態において、式(I)の化合物:
【0082】
【化32】
【0083】
式中、
Aは、O、NHまたはSであり;
Bは、1つの結合(a bond)、−(C2−C7)アルキル、−(C2−C7)アルケニル、−(C3−C8)シクロアルキル、−(C2−C7)ヘテロアルキル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルキル、−(C3−C8)シクロアルケニル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルケニルであり;
Dは、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、sec−ペンチル、イソペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、メチレンシクロプロピル、メチレンシクロブチル、メチレンシクロペンチルであり;
Eは、(C=O)−OR、−O−(C=O)−R、−(C=O)−R、−OR、カルボン酸バイオアイソスター(bioisostere)、−(C=O)−NR1R、NR1−(C=O)−R、−(C1−C7)アルキル−(C=O)−OR、又は−(C1−C7)アルキル−(C=O)−NR1Rであり;
Rは、Hあるいは
【0084】
【化33】
【0085】
であり;
Gは、−OR1、−(C1−C6)アルキル、−(C1−C6)アルキル−OR1、ハロゲン、−CO2R1、−(C1−C6)アルキル−CO2R1、NHR1、−(C1−C6)アルキル−NHR1、−(C=O)NHR1、−(C1−C6)アルキル−(C=O)NHR1、−NHR1(C=O)R1、−(C1−C6)アルキル−NHR1(C=O)R1であり、
R1は、Hまたは(C1−C6)アルキルであり;
Xは、ハロゲンであり;
またはそれらの活性代謝物若しくは薬学的に許容可能なプロドラッグ、塩若しくは溶媒和物である。
【0086】
幾つかの実施形態において、式Iの化合物は、式(II)の化合物:
【0087】
【化34】
【0088】
式中、
Aは、O、NHまたはSであり;
Bは、1つの結合(a bond)、−(C2−C7)アルキル、−(C2−C7)アルケニル、−(C3−C8)シクロアルキル、−(C2−C7)ヘテロアルキル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルキル、−(C3−C8)シクロアルケニル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルケニルであり;
Eは、(C=O)−OR、−O−(C=O)−R、−(C=O)−R、−OR、カルボン酸バイオアイソスター(bioisostere)、−(C=O)−NR1R、NR1−(C=O)−R、−(C1−C7)アルキル−(C=O)−OR、又は−(C1−C7)アルキル−(C=O)−NR1Rであり;
Rは、Hあるいは
【0089】
【化35】
【0090】
であり;
Gは、−OR1、−(C1−C6)アルキル、−(C1−C6)アルキル−OR1、ハロゲン、−CO2R1、−(C1−C6)アルキル−CO2R1、NHR1、−(C1−C6)アルキル−NHR1、−(C=O)NHR1、−(C1−C6)アルキル−(C=O)NHR1、−NHR1(C=O)R1、−(C1−C6)アルキル−NHR1(C=O)R1であり、
R1は、Hまたは(C1−C6)アルキルであり;
またはそれらの活性代謝物若しくは薬学的に許容可能なプロドラッグ、塩若しくは溶媒和物である。
【0091】
特定の実施形態において、式(I)または(II)の化合物は、AがOである化合物である。さらなる実施形態において、式(I)または(II)の化合物は、Bが、−(CH2)nで、nが1−6である、または、Bが、−(C3−C8)シクロアルキルである化合物である。さらなる別の実施形態において、式(I)または(II)の化合物は、Eが(C=O)−OR、カルボン酸バイオアイソスター、−(C=O)−NR1R、−(C1−C7)アルキル−(C=O)−OR、または−(C1−C7)アルキル(C=O)−NR1Rである化合物である。1つの実施形態において、式(I)または(II)の化合物は、AがOであり、Bが(C3−C8)シクロアルキルであり、Eが(C=O)−ORであり、およびRがHである化合物である。さらなる実施形態において、式(I)または(II)の化合物は、Bがシクロヘキシルであり、およびRがHである化合物である。さらなる別の実施形態において、式(I)または(II)の化合物は、Bがシクロペンチルであり、およびRがHである化合物である。さらなる別の実施形態において、式(I)または(II)の化合物は、以下の構造:
【0092】
【化36】
【0093】
を有する化合物である。
別の実施形態において、式(I)または(II)の化合物は、構造:
【0094】
【化37】
【0095】
を有する化合物である。
【0096】
1つの実施形態において、式(I)または(II)の化合物は、Rが、
【0097】
【化38】
【0098】
である化合物である。
【0099】
別の実施形態において、式(I)または(II)の化合物は、Eが (C=O)−ORである化合物である。さらなる実施形態において、式(I)または(II)の化合物は、RがHである化合物である。さらなる別の実施形態にて、式(I)または(II)の化合物は、以下の群から選択される化合物である:5−(2−tert−ブチル−4−クロロフェノキシ)−N−(4−ヒドロキシフェニル)ペンタンアミド、7−(2−tert−ブチル−4−クロロフェノキシ)−N−(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタンアミド、4−(5−(2−tert−ブチル−4−クロロフェノキシ)ペンタンアミド(pentanamido))安息香酸、4−(3−((2−tert−ブチル−4−クロロフェノキシ)メチル)シクロペンタンアミド(cyclopentanamido))安息香酸、5−(2−tert−ブチル−4−クロロフェノキシ)ペンタン酸、4−(2−tert−ブチル−4−クロロフェノキシ)ブタン酸、2−(3−((2−tert−ブチル−4−クロロフェノキシ)メチル)シクロペンチル)酢酸、7−(2−tert−ブチル−4−クロロフェノキシ)ヘプタン酸、4−(5−(2−tert−ブチル−4−クロロフェノキシ)ペンタンアミド(pentanamido))ベンズアミド、3−((2−tert−ブチル−4−クロロフェノキシ)メチル)シクロヘキサンカルボン酸、3−((2−tert−ブチル−4−クロロフェノキシ)メチル)シクロペンタンカルボン酸、3−((2−tert−ブチル−4−クロロフェニルアミノ)メチル)シクロペンタンアミド、4−(3−((2−tert−ブチル−4−クロロフェノキシ)メチル)クロロペンタンカルボキシアミド)安息香酸、および5−(2−tert−ブチル−4−クロロフェニルチオ)ペンタン酸。式(I)及び/又は(II)の他の化合物は、2008年9月16日に出願され、WO2009/042444として公表されたPCT/US08/76499において述べられ、それは、そのような化合物のための参照によって、本明細書によって組み込まれる。
【0100】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、限定されない例として、基底細胞癌、扁平上皮癌、黒色腫などから選択される皮膚癌の発生を減少させるために、その進行の可能性を減少させるために、あるいは予防的に処置する(即ち、その予防の方法)ために有用である。特定の実施形態において、本明細書に記載の任意の方法によって処置される個体は、AMDと診断された、またはAMDを有している疑いがある。
特定の実施形態において、本明細書に記載の任意の方法によって処置される個体は、皮膚癌を有しているか、または(例えばAMDの診断によって)皮膚癌を進行させるおそれが高いと診断される。いくつかの実施形態において、皮膚癌を有するまたは皮膚癌の進行する恐れが高いと診断された個体は、過剰なリポフスチン蓄積、黄斑ジストロフィー、シュタルガルト病、GA、非滲出性AMD、滲出性AMD、高いレチノール値、高いレベルのapo−RBPまたはholo−RBP、高いシグマ受容体レベル(例えば、高いシグマ−1及び/又はシグマ−2の受容体レベル)、高いVEGFレベル、及び/又は、holo−RBPに対するapo−RBPの比率を有する、または有するとして診断された個体である。
【0101】
幾つかの実施形態において、本明細書には、癌(例えば、皮膚癌)の発生を減少させる方法が提供され、その方法は、(a)血清レチノールを調節する(例えば減少させる);
(b)セラミドレベルを調節する(例えば増加させる);(c)シグマ受容体の活性を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、またはそれを遮断する)、有効な量の活性薬剤を、個体に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、レチノイド又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、活性薬剤は、4−HPR、4−MPR、4−オキソ−4−HPR、式(I)の化合物、シグマ受容体モジュレーター、シグマ−1受容体モジュレーター、シグマ−2受容体モジュレーター、血清レチノール−RBPを減らす、およびシグマ受容体(例えばシグマ−1及び/又はシグマ−2)を調節するデュアル剤(dual agent)、デキストロメトルファン、あるいはそれらの組み合わせである。
【0102】
(患者集団)
特定の実施形態において、本発明者は、目の特定の障害に苦しむ個体が、皮膚癌(例えば非黒色腫皮膚癌)の増加した発生に苦しむことを発見した。例えば、特定の場合において、75歳以上の正常ヒト個体の約2%は、基底細胞癌、扁平上皮癌および黒色腫を含む皮膚癌にかかる。幾つかの例において、75歳以上の個体および特定のタイプの眼障害(例えば、加齢性黄斑変性、地図状萎縮など)を患う個体は、正常の個体の2倍(またはそれ以上)の頻度で皮膚癌にかかる。
【0103】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の方法に従って処置される個体は、過剰なリポフスチン蓄積、黄斑ジストロフィー、シュタルガルト病、GA、非滲出性AMD及び/又は滲出性AMDを患う、及び/又は診断されている。特定の実施形態において、本明細書に記載の方法は、個体を、過剰なリポフスチン蓄積、黄斑ジストロフィー、シュタルガルト病、GA、非滲出性AMD及び/又は滲出性AMDと診断する工程をさらに含む。
【0104】
特定の実施形態において、本明細書に記載の任意の方法に従って処置される個体は、高いレチノールレベルを有するか、またはそれで診断されている。高いレチノールレベルは、例えば、高い循環レチノールレベル、及び/又は高い組織レチノールレベルを含む。特定の実施形態において、高いレチノールレベルは、2μmol/Lのより高い循環レベルを含む。幾つかの実施形態において、高いレチノールレベルは、2.5μmol/Lより高い循環レベルを含む。特定の実施形態において、高いレチノールレベルは、3μmol/Lより高い循環レベルを含む。特定の実施形態において、高いレチノールレベルは、3.5μmol/Lより高い循環レベルを含む。幾つかの実施形態において、高いレチノールレベルは、4μmol/Lより高い循環レベルを含む。特定の実施形態において、高いレチノールレベルは、5μmol/Lより高い循環レベルを含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、高いレチノールレベルを有する個体を診断する工程をさらに含む。特定の実施形態において、個体は、個体からサンプル(例えば組織サンプル、血清サンプル、血漿サンプルなど)を得て、サンプル中のレチノールの量を測定することにより、高いレチノールレベルと診断される。
【0105】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の任意の方法に従って処置される個体は、高いレベルのRBP4を有するか、または高いレベルのRBP4と診断されている。高いRBP4レベルは、例えば、高い循環レチノールレベル、及び/又は高い組織レチノールレベルを含む。特定の実施形態において、高いRBPレベルは、20μmol/Lより高いRBPの循環レベルを含む。特定の実施形態において、高いRBPレベルは、21μmol/Lより高いRBPの循環レベルを含む。特定の実施形態において、高いRBPレベルは、22μmol/Lより高いRBPの循環レベルを含む。特定の実施形態において、高いRBPレベルは、23μmol/Lより高いRBPの循環レベルを含む。特定の実施形態において、高いRBPレベルは、24μmol/Lより高いRBPの循環レベルを含む。幾つかの実施形態において、高いRBPレベルは、25μmol/Lより高いRBPの循環レベルを含む。特定の実施形態において、高いRBPレベルは、30μmol/Lより高いRBPの循環レベルを含む。特定の実施形態において、高いRBPレベルは、35μmol/Lより高いRBPの循環レベルを含む。幾つかの実施形態において、高いRBPレベルは、40μmol/Lより高いRBPの循環レベルを含む。特定の実施形態において、高いRBPレベルは、50μmol/Lより高いRBPの循環レベルを含む。特定の実施形態において、高いRBPレベルは、25μg/mLと100μg/mLの間にあるRBP4の循環レベルを含む。具体的な実施形態において、個体は、25μg/mLより大きな循環RBP4レベルを有する男性体である。より具体的な実施形態において、個体は、26μg/mLより大きな循環RBP4レベルを有する男性ヒトである。さらにより具体的な実施形態において、個体は、27μg/mLより大きな循環RBP4レベルを有する男性ヒトである。さらにより具体的な実施形態において、個体は、28μg/mLより大きな循環RBP4レベルを有する男性ヒトである。より具体的な実施形態において、個体は、29μg/mLより大きな循環RBP4レベルを有する男性ヒトである。さらにより具体的な実施形態において、個体は、30μg/mLより大きな循環RBP4レベルを有する男性ヒトである。特定の実施形態において、高いRBPレベルは、20μg/mLと100μg/mLの間にあるRBP4の循環レベルを含む。特定の実施形態において、個体は、21μg/mLより大きな循環RBP4レベルを有する女性体である。より具体的な実施形態において、個体は、22μg/mLより大きな循環RBP4レベルを有する女性ヒトである。さらにより具体的実施形態において、個体は、23μg/mLより大きな循環RBP4レベルを有する女性ヒトである。さらにより具体的な実施形態において、個体は、24μg/mLより大きな循環RBP4レベルを有する女性ヒトである。より具体的な実施形態において、個体は、25μg/mLより大きな循環RBP4レベルを有する女性ヒトである。さらにより具体的な実施形態において、個体は、26μg/mLより大きな循環RBP4レベルを有する女性ヒトである。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、高いRBPレベルを有する個体を診断する工程をさらに含む。具体的の実施形態において、個体は、個体からサンプル(例えば組織サンプル、血清サンプル、血漿サンプルなど)を得て、サンプル中のRBPの量を測定することにより、高いRBPレベルと診断される。
【0106】
特定の実施形態において、本明細書に記載の任意の方法に従って処置される個体は、(モル濃度で)holo−RBPに対するapo−RBPの高い比率を有するか、またはそう診断されている。holo−RBPに対するapo−RBPの高い比率は、例えば、holo−RBPに対するapo−RBPの高い循環比率及び/又はholo−RBPに対するapo−RBPの高い組織比率を含む。特定の実施形態において、holo−RBPに対するapo−RBPの高い比率は、0.5より大きな比率(例えば、循環比率)を含む。幾つかの実施形態において、holo−RBPに対するapo−RBPの高い比率は、0.6より大きな比率(例えば、循環比率)を含む。特定の実施形態において、holo−RBPに対するapo−RBPの高い比率は、0.7より大きな比率(例えば、循環比率)を含む。特定の実施形態において、holo−RBPに対するapo−RBPの高い比率は、0.8より大きな比率(例えば、循環比率)を含む。特定の実施形態において、holo−RBPに対するapo−RBPの高い比率は、0.9より大きな比率(例えば、循環比率)を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、holo−RBPに対するapo−RBPの高い比率を有すると個体を診断する工程をさらに含む。具体的の実施形態において、個体は、個体からサンプル(例えば組織サンプル、血清サンプル、血漿サンプルなど)を得て、サンプル中のholo−RBPに対するapo−RBPの比率を測定することにより、高いholo−RBPに対するapo−RBPの比率を有すると診断される。
【0107】
特定の実施形態において、本明細書に記載の任意の方法によって処置される個体は、高いまたは過剰に発現したレベルのシグマ受容体または活性化シグマ受容体(例えば、シグマ−1及び/又はシグマ−2受容体)を有するか、またはそう診断されている。シグマ受容体の高いレベルは、例えば、シグマ受容体の高い循環レベル及び/又はシグマ受容体の高い組織レベルまたは目のレベルを含む。幾つかの例においては、シグマ受容体の高いレベルは、異常な新血管新生または網膜細胞死(すなわち、ミュラー細胞、神経線維細胞、神経節細胞、内網状層または外網状層の細胞、光受容細胞または色素上皮の細胞の死)が生じるレベルを含む。図1は、GAを処置するHPRの有効性を評価した第2相臨床試験における脈絡膜血管新生(CNV)の試験治療下での発現(Treatment Emergent)の発生に対するHPRの効果を示す。
【0108】
特定の実施形態において、本明細書に記載の任意の方法に従って処置される個体は、高いレベルのVEGF(例えばVEGF−AまたはVEGF−C)を有するか、またはそう診断されている。シグマ受容体の高いレベルは、例えば、シグマ受容体の高い循環レベル及び/又はシグマ受容体の高い組織レベルまたは目のレベルを含む。図2は、ヒト胎児の目から準備された網膜色素上皮の培養物におけるVEGF発現に対するHPRの効果を示す。
【0109】
様々な実施形態において、本明細書に記載の循環レベルは、限定しない例として、血清サンプル、血漿サンプルなどから得られる。幾つかの実施形態において、組織サンプルは、限定しない例として、脂肪組織などから得られる。
【0110】
(指標)
(補体媒介性の皮膚癌)
本明細書には、特定の実施形態において、補体媒介性の皮膚癌を処置する方法が開示される。ほんの一例として、補体媒介性の疾患は、基底細胞癌および扁平上皮癌を含む。
【0111】
幾つかの実施形態において、(a)血清レチノールを調節する(例えば減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば増加させる);(c)シグマ受容体の活性を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、またはそれを遮断する)活性薬剤の有効な量を個体に投与することは、それを必要とする個体において補体媒介性の皮膚癌を処置する。幾つかの実施形態において、(a)血清レチノールを調節する(例えば減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば増加させる);(c)シグマ受容体の活性を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、活性を減少させる、またはそれを遮断する)活性薬剤の有効な量を投与することは、それを必要とする個体において補体媒介性の皮膚癌の発生を減少させる。幾つかの実施形態において、個体は、AMDと診断され、またはAMDの疑いがある。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、レチノイド又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、活性薬剤は、フェンレチニド(N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド,HPR)、式(I)の化合物またはその代謝物質である。
【0112】
(基底細胞癌)
基底細胞癌は、皮膚癌の最も一般的な型である。毎年、およそ900,000例の基底細胞癌が診断される。白人における基底細胞癌の推測された生涯リスクは、男性で33−39%および女性で23−28%である。少なくとも1つの基底細胞癌を発症する個体のおよそ35%は、3年以内に再発を経験する。5年での再発率は約50%である。めったに致死的でないが、それは、皮膚の重大な破壊または変形を引き起こし得る。
【0113】
特定の例において、基底細胞癌は、(部分的にまたは完全に)皮膚の基底細胞中のチミン二量体の形成に起因する。幾つかの実施形態において、基底細胞中のチミン二量体は、SMO内での機能獲得型突然変異またはPTCH1内での機能欠損の変化を結果として生じる。
【0114】
特定の例において、基底細胞癌は、(部分的にまたは完全に)SMOにおける機能獲得型突然変異(a gain−of−function mutation)及び/又はPTCH1における機能喪失型変異(a loss−of−function mutation)に起因する。
【0115】
幾つかの実施形態において、(a)血清レチノールを調節する(例えば減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば増加させる);(c)シグマ受容体の活性を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、またはそれを遮断する)活性薬剤の有効な量を個体に投与することは、それを必要とする個体において基底細胞癌を処置する。表1および実施例3を参照。
【0116】
【表1】
【0117】
幾つかの実施形態において、(a)血清レチノールを調節する(例えば減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば増加させる);(c)シグマ受容体の活性を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、活性を減少させる、またはそれを遮断する)活性薬剤の有効な量を投与することは、それを必要とする個体において基底細胞癌の発生を減少させる。幾つかの実施形態において、個体は、AMDと診断され、またはAMDの疑いがある。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、レチノイド又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、活性薬剤は、フェンレチニド(N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド,HPR)、式(I)の化合物またはその代謝物質である。
【0118】
節状基底細胞癌(Nodular basal cell carcinoma)は最も一般的な種類である。それは、しばしば、頭、首および背面上部に現われる。節状基底細胞癌は、以下の特性の少なくとも1つを現す:(a)中央にくぼみのあるろう様の丘疹(waxy papules with central depression);(b)真珠のような外観;(c)びらんまたは潰瘍状態;(d)出血;(e)痂皮形成;(f) 丸くなった境界(rolled borders);(g)透光性(translucency);および(h)表面にわたる末梢血管拡張。
【0119】
色素性基底細胞癌は、節状基底細胞癌と同じ特性の多くを現す;しかしながら色素性基底細胞癌は、茶色または黒い色素沈着を増加させる。
【0120】
嚢胞性基底細胞癌は、良性の嚢胞性の病変の外観を模倣する半透明の青灰色嚢胞性の結節を現す。
【0121】
微結節性BCCは、以下を現す活動的なBCCサブタイプである:(a)中央にくぼみのあるろう様の丘疹(waxy papules with central depression);(b)伸ばされた時黄色の白く見える真珠のような外観;(c)出血;(d)痂皮形成;(e)はっきりとした丸くなった境界;(f)透光性(translucency);(g)表面にわたる末梢血管拡張;および(h)触ると硬い(firmness to the touch)。
【0122】
モルフェア型(Morpheaform)及び湿潤性の(infiltrating)基底細胞癌は、硬化性の(瘢痕様の)プラーク又は丘疹を提供する。癌腫の境界は通常明確に定義されておらず、しばしば臨床的な限界を優に超える。潰瘍、出血、及びクラスト形成は珍しい。それは、しばしば外観において瘢痕組織に類似している。
【0123】
(扁平上皮癌)
扁平上皮癌は、2番目に一般的な皮膚の癌である。それは皮膚の悪性腫瘍の約20%を占める。扁平上皮癌を有する転移の割合は低い(約2%〜6%)が、基底細胞癌に関係する割合より高い。
【0124】
特定の例において、扁平上皮癌は、表皮角化細胞におけるピリミジン二量体の形成に(部分的に又は完全に)起因する。幾つかの実施形態において、表皮角化細胞におけるピリミジン二量体は、結果として、SMOにおける機能獲得型突然変異、又はPTCH1における機能喪失型変異をもたらす。
【0125】
特定の例において、扁平上皮癌は、SMOにおける機能獲得型突然変異及び/又はPTCH1における機能喪失型変異に(部分的に又は完全に)起因する。
【0126】
幾つかの実施形態において、(a)血清レチノールを調節する(例えば、減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば、増加させる);(c)シグマ受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、活性を減少させる、またはそれを遮断する)有効な量の活性薬剤を投与することによって、それを必要とする個体において扁平上皮癌を処置する。
【0127】
幾つかの実施形態において、(a)血清レチノールを調節する(例えば、減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば、増加させる);(c)シグマ受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、活性を減少させる、またはそれを遮断する)有効な量の活性薬剤を投与することによって、扁平上皮癌の再発を減少させる。幾つかの実施形態において、個体は、AMDと診断されたか、またはAMDの疑いがある。幾つかの実施形態において、活性薬剤はレチノイド又はその誘導体である。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、フェンレチニド(N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド,HPR)、式(I)の化合物、又はそれらの代謝物質である。
【0128】
インサイツの扁平上皮癌(SCCis)は、表皮の十分な厚さを含むが真皮へは侵入しない異型性を示す。インサイツの扁平上皮癌の病変は、鱗片状のピンクの斑点から薄い角化の丘疹又はプラークまでの範囲にわたる。
【0129】
典型的な扁平上皮癌は、盛り上がった、固い、ピンク−肌色の角化の丘疹又はプラークとして現れる。それは、日光に晒された皮膚に最も頻繁に現われる。肌表面の変化は、スケーリング、潰瘍化、クラスト形成、又は皮角の存在を含み得る。
【0130】
爪周囲の扁平上皮癌は、外観において疣状突起に類似している。頻度は低いものの、病変は、爪郭の膨張、紅斑、及び圧痛を有する慢性の爪囲炎に類似し得;それは爪ジストロフィーにも言及され得る。
【0131】
マルジョラン潰瘍は、先在する瘢痕又は潰瘍の部位で硬化、隆起又は潰瘍化の新しい領域として現れる。
【0132】
口周囲の扁平上皮癌は、下唇の朱唇上に現れる。それは、紅斑/硬化の丘疹、侵食、又は焦点として現われる。口内の扁平上皮癌は、典型的に、赤みがかった網状組織(紅板症)を伴う又は伴わない白色プラーク(白斑症)として現れる。一般的な位置は、前部の口底、外側の舌、及び頬前庭を含む。
【0133】
いぼ状癌は、外方増殖性、菌状発育性、いぼ状の結節又はプラークとして現れ、それは「カリフラワー状の」と記載され得る。
【0134】
(ゴーリン症候群)
(Basal Cell Carcinoma Syndromeとしても知られる)ゴーリン症候群は、複数の解剖学的変形及び基底細胞癌を進行しやすい体質によって特徴付けられる疾患である。ゴーリン症候群は、結果として、複数の基底細胞癌、歯原性角化嚢胞、頭蓋内石灰沈着、分岐肋骨、脊柱後側弯症、大脳鎌の初期の石灰沈着、前頭及び側頭頂の隆起、隔離症、下顎前突症、及びそれらの組み合わせをもたらす。
【0135】
特定の例において、ゴーリン症候群は、PTCH1における機能喪失型変異(loss of function mutations)、SMOにおける機能獲得型突然変異(gain of function mutations)、又はそれらの組み合わせに起因する。
【0136】
幾つかの実施形態において、レチノールの血漿濃度を減少させる有効な量の活性薬剤の投与によって、その必要のある個体のゴーリン症候群を処置する。幾つかの実施形態において、(a)血清レチノールを調節する(例えば、減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば、増加させる);(c)シグマ受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、活性を減少させる、またはそれを遮断する)有効な量の活性薬剤を、ゴーリン症候群と診断された個体において投与することによって、基底細胞癌を処置する。幾つかの実施形態において、(a)血清レチノールを調節する(例えば、減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば、増加させる);(c)シグマ受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、活性を減少させる、またはそれを遮断する)有効な量の活性薬剤を、ゴーリン症候群と診断された個体において投与することによって、基底細胞癌の再発を減少させる。幾つかの実施形態において、個体は、AMDと診断されたか、またはAMDの疑いがある。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、レチノイド又はその誘導体である。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、フェンレチニド(N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド,HPR)、式(I)の化合物、又はそれらの代謝物質である。
【0137】
個体は、以下の大基準のうちの2つ、又は以下の大基準のうちの1つ及び以下の小基準のうちの2つを有すると、ゴーリン症候群と診断される。
【0138】
(大基準)
20歳より若い個人における2つを超える基底細胞癌、又は1つの基底細胞癌
【0139】
あごの歯原性角化嚢胞
【0140】
3つ又はそれ以上の掌か足底の窪み
【0141】
大脳鎌の異所性石灰化又は初期の石灰沈着
【0142】
二分した、融合した、又は外に開いた肋骨
【0143】
ゴーリン症候群と診断された一等親血縁者
【0144】
(小基準)
大頭症
【0145】
先天性奇形(例えば、口蓋裂、前頭隆起、白内障、コロボーマ、小眼球症、眼振)
【0146】
骨格異常(例えば、スプレンゲル奇形、胸部奇形、多指症、合指症、隔離症)
【0147】
放射線学的異常(例えば、トルコ鞍のブリッジング、椎骨異常、モデリングの欠陥、手及び足の火炎状の輝き(Flame−Shaped lucencies))
【0148】
卵巣及び心臓の線維腫又は髄芽腫
【0149】
(ヘッジホッグ経路)
ヘッジホッグ経路は、特定の遺伝子の転写を規制する。特定の例において、ヘッジホッグ経路の機能不全は、結果として、癌の進行を(部分的にまたは十分に)もたらす。幾つかの実施形態において、ヘッジホッグ経路の機能不全は、結果として、非黒色腫癌の進行をもたらす。幾つかの実施形態において、ヘッジホッグ経路の機能不全は、結果として、基底細胞癌、扁平上皮癌又はそれらの組み合わせの進行をもたらす。特定の例において、ヘッジホッグ経路の機能不全は、結果として、ゴーリン症候群の進行を(部分的にまたは十分に)もたらす。
【0150】
ヘッジホッグ経路は、ヘッジホッグリガンド(Hh;例えば、ソニックヘッジホッグ(SHH);デザートヘッジホッグ(DHH)及びIndianヘッジホッグ(IHH))の受容体−Patched−1(PTCH1)への結合によって開始される。PTCH1へのヘッジホッグリガンドの結合は、結果的に、PTCH1の不活性化をもたらす。不活性なPTCH1は、結果的に、膜貫通型タンパク質Smoothened(SMO)の活性化をもたらす。SMOの活性化は、最終的に、GLI転写因子の活性化をもたらす。
【0151】
HhリガンドがPTCH1に結合されない場合において、PTCH1は活性である。PTCH1の活性化は、結果として、SMOの不活性化をもたらす。不活性なSMOは、GLI転写因子を活性化することができない。
【0152】
特定の例において、PTCH1における機能喪失型変異は、結果として、SMOの構成的活性化を(部分的にまたは十分に)もたらす。特定の例において、SMOの構成的活性化は、結果として、細胞分裂に関係する遺伝子の異常転写をもたらす。特定の例において、PTCH1における機能喪失型変異は、結果として、非黒色腫癌の進行を(部分的にまたは十分に)もたらす。特定の例において、PTCH1における機能喪失型変異は、結果として、基底細胞癌、扁平上皮癌、又はそれらの組み合わせの進行を(部分的にまたは十分に)もたらす。特定の例において、PTCH1における機能喪失型変異は、結果として、ゴーリン症候群の進行を(部分的にまたは十分に)もたらす。
【0153】
幾つかの実施形態において、(a)血清レチノールを調節する(例えば、減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば、増加させる);(c)シグマ受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、活性を減少させる、またはそれを遮断する)有効な量の活性薬剤を投与することによって、PTCH1における機能喪失型変異を処置する。幾つかの実施形態において、(a)血清レチノールを調節する(例えば、減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば、増加させる);(c)シグマ受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、活性を減少させる、またはそれを遮断する)有効な量の活性薬剤を、PTCH1における機能喪失型変異を有する個体において投与することによって、基底細胞癌を処置する。幾つかの実施形態において、(a)血清レチノールを調節する(例えば、減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば、増加させる);(c)シグマ受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、活性を減少させる、またはそれを遮断する)有効な量の活性薬剤を、PTCH1における機能喪失型変異を有する個体において投与することによって、基底細胞癌の再発を減少させる。幾つかの実施形態において、個体は、AMDと診断されたか、またはAMDの疑いがある。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、フェンレチニド(N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド,HPR)、式(I)の化合物、又はそれらの代謝物質である。
【0154】
特定の例において、SMOにおける機能獲得型突然変異は、結果として、SMOの構成的活性化を(部分的にまたは十分に)もたらす。特定の例において、SMOの構成的活性化は、結果として、細胞分裂に関係する遺伝子の異常転写をもたらす。特定の例において、SMOにおける機能獲得型突然変異は、結果として、非黒色腫癌の進行を(部分的にまたは十分に)もたらす。特定の例において、SMOにおける機能獲得型突然変異は、結果として、基底細胞癌、扁平上皮癌、又はそれらの組み合わせの進行を(部分的にまたは十分に)もたらす。特定の例において、SMOにおける機能獲得型突然変異は、結果として、ゴーリン症候群の進行を(部分的にまたは十分に)もたらす。
【0155】
幾つかの実施形態において、(a)血清レチノールを調節する(例えば、減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば、増加させる);(c)シグマ受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、活性を減少させる、またはそれを遮断する)有効な量の活性薬剤を投与することによって、SMOにおける機能獲得型突然変異を処置する。幾つかの実施形態において、(a)血清レチノールを調節する(例えば、減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば、増加させる);(c)シグマ受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、活性を減少させる、またはそれを遮断する)有効な量の活性薬剤を、SMOにおける機能獲得型突然変異を有する個体において投与することによって、基底細胞癌を処置する。幾つかの実施形態において、(a)血清レチノールを調節する(例えば、減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば、増加させる);(c)シグマ受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、活性を減少させる、またはそれを遮断する)有効な量の活性薬剤を、SMOにおける機能獲得型突然変異を有する個体において投与することによって、基底細胞癌の再発を減少させる。幾つかの実施形態において、個体は、AMDと診断されたか、またはAMDの疑いがある。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、レチノイド又はその誘導体である。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、フェンレチニド(N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド,HPR)、式(I)の化合物、又はそれらの代謝物質である。
【0156】
(セラミド)
本明細書には、特定の実施形態において、セラミド生合成を調節する工程を含む、AMDと診断されたか、またはAMDの疑いがある個体において癌を処置する方法が記載される。
【0157】
本明細書に使用されるように、「セラミド」は、アミド結合を介して脂肪酸に連結された、長鎖の又はスフィンゴイドの塩基から成る分子を意味する。特定の例において、セラミドは、脂質の二次メッセンジャーである。特定の例において、セラミド生合成は、生理的ストレスに起因する。特定の例において、セラミドは、好ましくは、側方の液体秩序のマイクロドメイン(「セラミドが豊富なプラットフォーム」と名付けられる「ラフト」の形態)に濃縮される。幾つかの実施形態において、セラミドは、ラフトをコレステロールと置き換える。特定の例において、セラミドはPKCを活性化する。
【0158】
幾つかの実施形態において、セラミド生合成を増加させることによって、癌を処置する。幾つかの実施形態において、癌は、補体に関係する皮膚癌、基底細胞癌、又は扁平上皮癌である。
【0159】
幾つかの実施形態において、セラミドレベルを増加させる有効な量の活性薬剤の投与は、結果として、補体経路の活性化をもたらす。
【0160】
幾つかの実施形態において、活性薬剤は、レチノイド又はその誘導体である。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、フェンレチニド(N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド,HPR)、式(I)の化合物、又はそれらの代謝物質である。
【0161】
幾つかの実施形態において、フェンレチニドは、癌性の及び前癌性の細胞においてセラミド生合成を増加させる。幾つかの実施形態において、フェンレチニドは、セリンパルミトイルトランスフェラーゼ及び/又はセラミドシンターゼの発現を増加させることによって、癌性の及び前癌性の細胞においてセラミド生合成を増加させる。図10を参照。
【0162】
幾つかの実施形態において、フェンレチニドは、フェンレチニドを投与されない被験体におけるセラミド生合成と比較して、セラミド生合成を増加させる。幾つかの実施形態において、セラミドは、PKCの活性化を誘発する。幾つかの実施形態において、PKCは、補体の活性化を誘発する。したがって、幾つかの実施形態において、フェンレチニドの投与は、結果として、補体の活性化をもたらす。
【0163】
(補体経路)
本明細書には、特定の実施形態において、補体を調節する工程を含む、AMDと診断されたか、またはAMDの疑いがある個体において癌を処置する方法が開示される。幾つかの実施形態において、AMDと診断されたか、またはAMDの疑いがある個体において癌を処置する方法は、レチノール及び補体のRbp(レチノール結合タンパク質)結合を調節する工程を含む。
【0164】
幾つかの実施形態において、(a)血清レチノールを調節する(例えば、減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば、増加させる);(c)シグマ受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、活性を減少させる、またはそれを遮断する)有効な量の活性薬剤を投与することは、結果として、補体経路の活性化をもたらす。幾つかの実施形態において、(a)血清レチノールを調節する(例えば、減少させる);(b)セラミドレベルを調節する(例えば、増加させる);(c)シグマ受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する);及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、活性を減少させる、またはそれを遮断する)有効な量の活性薬剤を投与することによって、結果的に、(i)レチノールを結合するRBPの能力を減少させ、(ii)補体経路の活性化をもたらす。
【0165】
幾つかの実施形態において、癌は、補体に関係する癌、基底細胞癌、又は扁平上皮癌である。
【0166】
幾つかの実施形態において、活性薬剤は、レチノイド又はその誘導体である。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、フェンレチニド(N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド,HPR)、式(I)の化合物、又はそれらの代謝物質である。例えば、図8及び9は、フェンレチニドの投与が、特定の補体カスケード遺伝子の発現に効果的であることを実証する。低薬量のフェンレチニドは、結果として、Crry、CFH、MCP−1、CD59a、CD59b、及びDaf2のアップレギュレーションをもたらす。高薬量のフェンレチニドは、結果として、Crry、CFH、MCP−1、CD59a、CD59b、及びDaf2のダウンレギュレーションをもたらす。
【0167】
補体系は、自然免疫系の一部である。それは、非特異的な方法(即ち、非適応的な方法)で病原体を攻撃する。特定の例において、補体系は、免疫系細胞(例えばマクロファージ及び好中球)を走化性によって感染の部位へ動員することによって機能する。特定の例において、補体系はまた、病原体を攻撃し、免疫系細胞を動員するために補体カスケードを利用する。特定の例において、補体系はまた、異物を白血球(例えば好中球及びマクロファージ)の作用によって取り除く。
【0168】
特定の例において、不活性な補体系は、20を超えるタンパク質及び酵素を含み、それらのほとんどは、不活性な形態で存在する。特定の例において、(例えば、抗体の存在、抗原の存在、又はC3の自然に起こる加水分解による)補体の活性化は、その系における不活性なプロテアーゼを活性化する。特定の例において、プロテアーゼは、標的(例えば、C3)を開裂する(cleave)。特定の例において、標的の最初の開裂は、結果として、開裂のカスケードを(部分的にまたは十分に)もたらす。特定の例において、活性な補体系は、アナフィラトキシン(例えばC3a及びC5a)、膜侵襲複合体(MAC)、及びオプソニン作用を促進するタンパク質(例えばC3b)を含む。
【0169】
特定の例において、補体系は、3つの経路;正経路、別経路、及びマンノース結合のレクチン経路によって活性化される。
【0170】
特定の例において、正経路は、酵素C1(C1q2C1r2C1s)の活性化によって開始する。特定の例において、この酵素のC1qサブユニットは、抗原に直接結合するか、又は抗原に結合した抗体に結合するかのいずれかである。特定の例において、C1qの結合は、C1qにおける構造的変化につながる。特定の例において、C1qにおける構造的変化は、2つのC1rサブユニット(C1r*)及びC1sサブユニット(C1s*)の活性化につながる。特定の例において、C1r及びC1sのサブユニットの活性化は、結果として、活性なC1酵素(C1q2C1r*2C1s*)をもたらす。
【0171】
特定の例において、活性化C1は、タンパク質補体成分4(C4)を、C4a及びC4bへ開裂する。特定の例において、C4bは、病原体又は宿主細胞の原形質膜に結合する。
特定の例において、活性化C1はまた、タンパク質補体成分2(C2)を、C2a及びC2bへ開裂する。特定の例において、C2aは、C4bに結合し、C3転化酵素(C4bC2a)を形成する。特定の例において、C4bC2aは、タンパク質C3をC3a及びC3bへ開裂する。特定の例において、C3bは、病原体又は宿主細胞のオプソニン作用を促進する(例えば白血球化学誘引、抗原結合、及び食細胞運動の促進)病原体又は宿主細胞の膜に結合する。特定の例において、C3bは、C4bC2aに結合し、補体成分5(C5)をC5a及びC5bへ開裂するC5転化酵素(C4bC2aC3a)を形成する。
【0172】
特定の例において、別経路は、タンパク質C3(補体成分3)の自然に起こる加水分解によって開始し、C3(H2O)を形成する。特定の例において、C3の加水分解は、B因子がC3(H2O)に結合することを可能にする構造的変化を引き起こす。特定の例において、D因子は、B因子をBa及びBbへ開裂する。特定の例において、Bbは、C3(H2O)に結合したままであり、複合体C3(H2O)Bb(流相C3転化酵素)を形成する。特定の例において、流相C3転化酵素は、C3をC3a及びC3bへ開裂する。特定の例において、C3bは、宿主細胞又は病原体のオプソニン作用を促進する場合に、病原体又は宿主細胞の原形質膜に結合する。特定の例において、C3bは、B因子によって結合される。特定の例において、C3bに結合された時、B因子は、D因子によってBa及びBbへ開裂される。特定の例において、Bbは、C3bに結合したままであり、不安定なC3プロテアーゼ(C3Bb)を形成する。特定の例において、不安定なC3bBbプロテアーゼは、タンパク質プロパージン(P)の結合によって安定化され、より安定的なC3転化酵素(C3bBbP)を形成する。特定の例において、第2のC3b成分が結合することで、C3bBbPは、C5転化酵素(C3bBbC3bP)になる。
【0173】
特定の例において、C3bは、抗原提示細胞の膜に結合する。特定の例において、C3bの抗原提示細胞への結合は、抗原提示細胞のオプソニン作用を促進する。特定の例において、C3bの抗原提示細胞への結合は、ADCCを妨害する。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、C3転化酵素(例えば、C4bC2a、C3(H2O)Bb、C3bBb、C3bBbP)を使いつくす(depleting)及び/又はC3転化酵素の活性を阻害する工程を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、C3転化酵素の形成を阻害する工程を含む。幾つかの実施形態において、C3転化酵素を使いつくす及び/又はC3転化酵素の活性を阻害する、又はC3転化酵素の形成を阻害することは、C3の発現を阻害する、C1のサブユニットのいずれかの発現を阻害する、C1の活性を阻害する、C4の発現を阻害する、C2の発現を阻害する、B因子の発現を阻害する、I因子の発現を増加させる、外因性のI因子を投与する、外因性のCR1を投与することを含む。
【0174】
特定の例において、膜侵襲複合体(MAC)は、5つのタンパク質サブユニット:C5b、C6、C7、C8、及びC9を含む。特定の例において、C5bは、C5の開裂によって生成される。特定の例において、C5の開裂の後に、C5bはC6を結合する。その後、C5bC6はC7によって結合される。特定の例において、C7の結合は、C7における構造的変化を誘発し、疎水性のドメインを晒す。特定の例において、疎水性のドメインは、C7がそれ自体を病原体又は宿主細胞の原形質膜に挿入することを可能にする。特定の例において、C8は、C5bC6C7複合体に結合する。特定の例において、C8の結合はまた、C8における構造的変化を誘発し、C8がそれ自体を原形質膜に挿入することを可能にする、疎水性のドメインを晒す。特定の例において、C5bC6C7C8複合体は、複数のC9タンパク質のポリメリゼーションを誘発する。特定の例において、C9タンパク質は、原形質膜において気孔を形成する。特定の例において、気孔は、流体、イオン、及びタンパク質の細胞への及び細胞からの自由拡散を可能にし;その過程は、最終的に、細胞の死につながる。
【0175】
C3a、C4a、及びC5aは、アナフィラトキシンである。特定の例において、アナフィラトキシンは、マスト細胞上の受容体に結合する液相タンパク質である。特定の例において、アナフィラトキシンは、平滑筋攣縮(例えば気管支痙攣)を規制し、毛細管の透過性を増加させ、白血球の走化性の標的である(例えば、アナフィラトキシンの増加する濃度勾配に従う(the follow the increasing concentration gradient of an anaphylatoxin))。特定の例において、C3a及びC5aは、最も強力なアナフィラトキシンである。
【0176】
特定の例において、C3aは、マスト細胞の顆粒消失を規制し、好酸性顆粒球の走化性の標的として機能する。
【0177】
特定の例において、C5aは、顆粒球及びマクロファージの走化性の標的として機能し、血管透過性、平滑筋攣縮及びマスト細胞の顆粒消失を規制する。特定の例において、C5aは、腫瘍の成長を加速させる。特定の例において、C5aは、ミエロイド由来サプレッサー細胞(myeloid−derived suppressor cells)(MDSC)を動員する。特定の例において、MDSCは、CD8+T細胞の活性を(部分的にまたは完全にのいずれかで)阻害する。特定の例において、C5a及び/又はC5aRを拮抗することによって、腫瘍の成長を(部分的にまたは完全にのいずれかで)阻害する。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、C5を開裂させずに又はC5を最小限にしか開裂させずに(即ち、C5aを生成する)、補体カスケードを使いつくす及び/又は阻害する。
【0178】
本明細書には、特定の実施形態において、補体カスケードにおいて遺伝子の発現レベルを測定する工程を含む、癌の処置において、本明細書に開示される化合物(例えば、N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、N−(4−メトキシフェニル)レチンアミド、4−オキソ−N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、又は式(I)の化合物)の有効性を測定するために、個体をスクリーニングする方法が開示される。幾つかの実施形態において、遺伝子は、Crry、CFH、MCP−1、CD59a、CD59b、及びDaf2から選択される。幾つかの実施形態において、遺伝子に関する正常な発現特性と比較して、補体カスケードにおける遺伝子(例えば、Crry、CFH、MCP−1、CD59a、CD59b、及びDaf2)の発現の増加は、本明細書に開示される化合物の投与が、癌の処置において効果的であることを示唆する。幾つかの実施形態において、正常な発現特性は、本明細書の化合物(例えば、N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、N−(4−メトキシフェニル)レチンアミド、4−オキソ−N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、又は式(I)の化合物)を投与されなかった個体において、補体カスケード遺伝子(例えば、Crry、CFH、MCP−1、CD59a、CD59b、及びDaf2)の発現レベルを測定することによって決定される。幾つかの実施形態において、癌は、補体に関係する皮膚癌である。幾つかの実施形態において、癌は、基底細胞癌である。幾つかの実施形態において、癌は、扁平上皮癌である。
【0179】
(活性薬剤)
特定の実施形態において、本明細書には、(a)AMD又は(b)ゴーリン症候群と診断されたか、またはそれらの疑いがある個体において癌を処置する方法が提供され、該方法は、(a)血清レチノールを調節する(例えば、減少させる); (b)セラミドレベルを調節する(例えば、増加させる); (c)シグマ受容体を調節する(例えば、その活性を減少させる、あるいは遮断する); 及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体を調節する(例えば、活性を減少させる、またはそれを遮断する)有効な量の活性薬剤を、それを必要とする個体に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、(a)レチノールの血漿濃度を減少させるか、又は(b)レチノール及びRBPの結合を阻害する。
【0180】
任意のレチノイド化合物、又はレチノイドの任意の誘導体は、本明細書に開示される方法において使用され得る。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、レチノイドである。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、第1世代レチノイドである。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、第2世代レチノイドである。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、第3世代レチノイドである。幾つかの実施形態において、レチノイドは、レチノール、レチナール、トレチノイン、イソトレチノイン、アリトレチノイン、エトレチナート、アシトレチン、タザロテン、ベキサロテン、アダパレンである。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、レチノイドの誘導体である。幾つかの実施形態において、活性薬剤は、フェンレチニド、式(I)の化合物、又はそれらの代謝物質である。
【0181】
本明細書に記載される任意の方法で投与されたフェンレチニド又は他の治療薬剤は、フェンレチニド、薬学的に活性なフェンレチニドの代謝物質、薬学的に許容可能なフェンレチニドの塩又はその代謝物質、薬学的に許容可能なフェンレチニドのN−オキシド又はその代謝物質、薬学的に許容可能なフェンレチニドのプロドラッグ又はその代謝物質、又は薬学的に許容可能なフェンレチニドの溶媒和物又はその代謝物質として随意に投与される。
【0182】
フェンレチニドの代謝物質は、限定しない例として、RBP結合のフェンレチニド代謝物質、N−(4−メトキシフェニル)レチンアミド(4−MPR)、4−オキソ−N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド(4−オキソ−フェンレチニド,4−オキソ−4−HPR)などを含む。
【0183】
【化39】
【0184】
幾つかの実施形態において、フェンレチニド又はその代謝物質は、プロドラッグとして本明細書に記載される任意の方法に従って投与され得る。フェンレチニドプロドラッグは、インビボでフェンレチニド又は活性フェンレチニドの代謝物質へ変換される薬剤である。幾つかの実施形態において、プロドラッグは、親薬物以上に医薬組成物中で改善された溶解度を有する。プロドラッグのさらなる例は、アルコールに結合するエステル、炭酸塩、カルバマートなどであり、個体への投与で、プロドラッグが、(例えば、酸性環境、代謝経路などとの接触を介して)反応する場合に、フェンレチニド又はその活性代謝物を現す。エステルは、置換及び非置換のアルキルエステル、置換及び非置換のアリールエステル、ペプチド(例えば、リジンを含み、リジンを介して付けられる)、アミノ酸(例えば、リジン)などを含む。炭酸塩は、置換及び非置換の炭酸アルキル、置換及び非置換のアリール炭酸塩などを含む。カルバマートは、置換及び非置換のアルキルカルバマート、置換及び非置換のアリールカルバマートなどを含む。特定の実施形態において、インビボでの投与で、プロドラッグは、化合物の、生物学的、薬学的又は治療的に活性な形態へと化学的に変換される。特定の実施形態において、プロドラッグは、1以上の工程又は過程によって、化合物の、生物学的、薬学的又は治療的に活性な形態へと酵素的に代謝される(例えば、ここで、フェンレチニドエステルは、フェンレチニドのペプチドエステルである)。
【0185】
また、本明細書に記載されるフェンレチニド又は治療薬剤には、式(I)、式(II)の化合物、及び/又は特に本明細書に記載の任意の化合物が含まれる。
【0186】
「アルキル」基は、脂肪族炭化水素基を指す。アルキル基は、飽和したアルキル及び/又は不飽和のアルキル基を含む。幾つかの例において、アルキル基の炭素原子の1以上は、ヘテロ原子と置換される。アルキル基はまた、非環式及び環式のアルキル基を含む。非環式のアルキル基は、直鎖の及び分枝したアルキル基を含む。
【0187】
本明細書に使用されるように、用語「アリール」は、芳香環を指し、該芳香環は、環を形成する原子の各々が炭素原子であり、環を形成する原子の1以上がヘテロ原子(即ち、ヘテロアリールを形成する)であるものを含む。本明細書に開示されるアリール環は、5、6、7、8、9、又は9より多い炭素原子を有する環を含む。アリール基の例は、限定されないが、フェニル、及びナフタレニルを含む。ヘテロアリール基は、任意の適切な位置で(例えば、ヘテロ原子又は炭素原子で)分子に付けられる。ヘテロアリール基の実例は、以下の部分などを含む:
【0188】
【化40】
【0189】
(投薬)
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される任意の疾患又は疾病を、そのような処置を必要とする被験体において処置するための方法は、フェンレチニド又は治療薬剤、例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド、又はそれらの薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能なNオキシド、薬学的に活性な代謝物質、薬学的に許容可能なプロドラッグ、又は薬学的に許容可能な溶媒和物の投与を含む。特定の実施形態において、フェンレチニド薬剤は、治療上有効な量で投与される。特定の実施形態において、フェンレチニド薬剤は、フェンレチニド薬剤を含む医薬組成物において投与される。
【0190】
特定の実施形態において、本明細書に記載される化合物又はその組成物は、予防処置のために投与される。特定の実施形態において、これらの使用に有効な量は、疾患又は疾病の重症度及び経過、以前の治療、患者の健康状態、体重、薬物への反応、及び処置に当たる医師の判断に依存する。幾つかの実施形態において、治療上有効な量は、限定されない例として、用量漸増臨床試験(dose escalation clinical trial)を含む任意の方法によって測定される。
【0191】
特定の予防的適用において、本明細書に記載される化合物及びその組成物は、特定の疾患、障害、又は疾病にかかり易い又はそうでなければその危険性のある患者に投与される。特定の実施形態において、投与される化合物の有効な量は、予防的に有効な量又は投与量である。特定の実施形態において、正確な量もまた、患者の健康状態、体重などに依存する。特定の実施形態において、この使用のために有効な量は、以前の治療、患者の健康状態及び薬への反応、及び処置に当たる医師の判断に依存する。幾つかの実施形態において、有効な量は、例えば、用量増加の臨床試験を含む任意の方法において測定される。
【0192】
幾つかの実施形態において、成人のヒトの処置のために利用される投与量は、1日当たり、約10から約1000mgまでの治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の範囲内にある。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、1日当たり、約20から約300mgまでの治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、1日当たり、300mg未満の治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、1日当たり、約40から約200mgまでの治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、1日当たり、約50から約150mgまでの治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、1日当たり、約80から約120mgまでの治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、1日当たり、約90から約110mgまでの治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載され方法は、1日当たり、約100mgの治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。様々な実施形態において、所望の投与量は、単回投与で、又は同時に(又は短時間にわたって)又は適切な間隔、例えば、一日に2回、3回、4回、又はそれ以上のサブ用量として投与される分割量として、好都合に提供される。
【0193】
幾つかの実施形態において、成人のヒトの処置のために利用される投与量は、約0.5mg/kg/日から約10mg/kg/日までの治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の範囲内にある。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、約0.7mg/kg/日から約5mg/kg/日までの治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、約5mg/kg/日未満の治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、約4mg/kg/日未満の治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、約3mg/kg/日未満の治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、約2mg/kg/日未満の治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、約0.8mg/kg/日から約4mg/kg/日までの治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、約0.9mg/kg/日から約3mg/kg/日までの治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、約0.9mg/kg/日から約2mg/kg/日までの治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、約1mg/kg/日から約2mg/kg/日までの治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、約1mg/kg/日から約1.6mg/kg/日までの治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、約1mg/kg/日から約1.5mg/kg/日までの治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。様々な実施形態において、所望の投与量は、単回投与で、又は同時に(又は短時間にわたって)又は適切な間隔、例えば、一日に2回、3回、4回、又はそれ以上のサブ用量として投与される分割量として、好都合に提供される。
【0194】
特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のビタミンAを少なくとも10%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のビタミンAを少なくとも25%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のビタミンAを少なくとも30%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のビタミンAを少なくとも40%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のビタミンAを少なくとも50%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のビタミンAを少なくとも60%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のビタミンAを10%と90%の間で減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のビタミンAを20%と80%の間で減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のビタミンAを25%と75%の間で減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のビタミンAを30%と70%の間で減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、ビタミンAレベルの最初の又はベースラインの(例えば、最初の処置の前の、又は最初の処置と同時の)及び後の間欠性の(例えば、毎日の、週ごと、月ごとなどの)測定は、本明細書に記載される任意の処置を受ける個体において測定される。さらなる実施形態において、これらの測定は、例えば、本明細書に記載されるビタミンAレベルを達成するように、投与されるフェンレチニド薬剤の投与量を調節する及び/又は滴定するために利用される。
【0195】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のholo−RBPを少なくとも10%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のholo−RBPを少なくとも25%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のholo−RBPを少なくとも30%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のholo−RBPを少なくとも40%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のholo−RBPを少なくとも50%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のholo−RBPを少なくとも60%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のholo−RBPを10%と90%の間で減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のholo−RBPを20%と80%の間で減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のholo−RBPを25%と75%の間で減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のholo−RBPを30%と70%の間で減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、holo−RBPレベルの最初の又はベースラインの(例えば、最初の処置の前の、又は最初の処置と同時の)及び後の間欠性の(例えば、毎日の、週ごと、月ごとなどの)測定は、本明細書に記載される任意の処置を受ける個体において測定される。さらなる実施形態において、これらの測定は、例えば、本明細書に記載されるholo−RBPレベルを達成するように、投与されるフェンレチニド薬剤の投与量を調節する及び/又は滴定するために利用される。
【0196】
特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のholo−RBP及び遊離RBPの合計濃度(即ち、レチノールに結合するRBPの濃度に遊離RBPの濃度を加えた濃度)を少なくとも10%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のholo−RBP及び遊離RBPの合計濃度を少なくとも25%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のholo−RBP及び遊離RBPの合計濃度を少なくとも30%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のholo−RBP及び遊離RBPの合計濃度を少なくとも40%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のholo−RBP及び遊離RBPの合計濃度を少なくとも50%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のholo−RBP及び遊離RBPの合計濃度を少なくとも60%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のholo−RBP及び遊離RBPの合計濃度を10%と90%の間で減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のholo−RBP及び遊離RBPの合計濃度を20%と80%の間で減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のholo−RBP及び遊離RBPの合計濃度を25%と75%の間で減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、個体において循環及び/又は組織のholo−RBP及び遊離RBPの合計濃度を30%と70%の間で減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、holo−RBP及び遊離RBPの合計濃度の最初の又はベースラインの(例えば、最初の処置の前の、又は最初の処置と同時の)及び後の間欠性の(例えば、毎日の、週ごと、月ごとなどの)測定は、本明細書に記載される任意の処置を受ける個体において測定される。さらなる実施形態において、これらの測定は、例えば、本明細書に記載されるholo−RBP及び遊離RBPの合計濃度を達成するように、投与されるフェンレチニド薬剤の投与量を調節する及び/又は滴定するために利用される。
【0197】
特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、約0.5から約1.5までの循環及び/又は組織のholo−RBPに対するapo−RBPの比率(即ち、holo−RBPのモル濃度に対するapo−RBPのモル濃度の比率)を提供するのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、約0.6から約1.4までの循環及び/又は組織のholo−RBPに対するapo−RBPの比率(即ち、holo−RBPのモル濃度に対するapo−RBPのモル濃度の比率)を提供するのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、約0.7から約1.3までの循環及び/又は組織のholo−RBPに対するapo−RBPの比率(即ち、holo−RBPのモル濃度に対するapo−RBPのモル濃度の比率)を提供するのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、約0.8から約1.2までの循環及び/又は組織のholo−RBPに対するapo−RBPの比率(即ち、holo−RBPのモル濃度に対するapo−RBPのモル濃度の比率)を提供するのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、約0.9から約1.1までの循環及び/又は組織のholo−RBPに対するapo−RBPの比率(即ち、holo−RBPのモル濃度に対するapo−RBPのモル濃度の比率)を提供するのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、約1の循環及び/又は組織のholo−RBPに対するapo−RBPの比率(即ち、holo−RBPのモル濃度に対するapo−RBPのモル濃度の比率)を提供するのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、RBP及びレチノールの濃度の最初の又はベースラインの(例えば、最初の処置の前の、又は最初の処置と同時の)及び後の間欠性の(例えば、毎日の、週ごと、月ごとなどの)測定は、本明細書に記載される任意の処置を受ける個体において測定される。さらなる実施形態において、これらの測定は、例えば、本明細書に記載されるholo−RBPに対するapo−RBPの比率を達成するように、投与されるフェンレチニド薬剤の投与量を調節する及び/又は滴定するために利用される。
【0198】
特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、循環及び/又は組織のレチノール結合タンパク質(RBP)を減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、50μg/mL未満の循環及び/又は組織のRBPレベルを提供するのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、40μg/mL未満の循環及び/又は組織のRBPレベルを提供するのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、35μg/mL未満の循環及び/又は組織のRBPレベルを提供するのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、30μg/mL未満の循環及び/又は組織のRBPレベルを提供するのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、25μg/mL未満の循環及び/又は組織のRBPレベルを提供するのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、20μg/mL未満の循環及び/又は組織のRBPレベルを提供するのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、15μg/mL未満の循環及び/又は組織のRBPレベルを提供するのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、10μg/mL未満の循環及び/又は組織のRBPレベルを提供するのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。
【0199】
特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、レチノール(holo−RBP)と複合された循環及び/又は組織のレチノール結合タンパク質(RBP)のレベルを減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、50μg/mL未満の循環及び/又は組織のholo−RBPレベルを提供するのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、40μg/mL未満の循環及び/又は組織のholo−RBPレベルを提供するのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、35μg/mL未満の循環及び/又は組織のholo−RBPレベルを提供するのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、30μg/mL未満の循環及び/又は組織のholo−RBPレベルを提供するのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、25μg/mL未満の循環及び/又は組織のholo−RBPレベルを提供するのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、20μg/mL未満の循環及び/又は組織のholo−RBPレベルを提供するのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、15μg/mL未満の循環及び/又は組織のholo−RBPレベルを提供するのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、10μg/mL未満の循環及び/又は組織のholo−RBPレベルを提供するのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。
【0200】
特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、VEGF−A及び/又はVEGF−Cの循環及び/又は組織の濃度又は発現を少なくとも5%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、循環及び/又は組織の濃度又はVEGF−A及び/又はVEGF−Cの発現を少なくとも10%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、循環及び/又は組織の濃度又はVEGF−A及び/又はVEGF−Cの発現を少なくとも20%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、循環及び/又は組織の濃度又はVEGF−A及び/又はVEGF−Cの発現を少なくとも30%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、循環及び/又は組織の濃度又はVEGF−A及び/又はVEGF−Cの発現を少なくとも40%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。
【0201】
特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、網膜色素上皮(RPE)におけるVEGF−Aの発現を少なくとも5%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、網膜色素上皮(RPE)におけるVEGF−Aの発現を少なくとも10%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、網膜色素上皮(RPE)におけるVEGF−Aの発現を少なくとも20%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、網膜色素上皮(RPE)におけるVEGF−Aの発現を少なくとも30%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、網膜色素上皮(RPE)におけるVEGF−Aの発現を少なくとも40%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。
【0202】
特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、網膜色素上皮(RPE)におけるVEGF−Cの発現を少なくとも5%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、網膜色素上皮(RPE)におけるVEGF−Cの発現を少なくとも10%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、網膜色素上皮(RPE)におけるVEGF−Cの発現を少なくとも20%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、網膜色素上皮(RPE)におけるVEGF−Cの発現を少なくとも30%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、網膜色素上皮(RPE)におけるVEGF−Cの発現を少なくとも40%減少させるのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。
【0203】
特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、シグマ−1及び/又はシグマ−2などの、循環又は組織のシグマ受容体の少なくとも5%を(例えば、受容体のリガンド結合を介して)不活性化するか又は遮断するのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、シグマ−1及び/又はシグマ−2などの、循環又は組織のシグマ受容体の少なくとも10%を(例えば、受容体のリガンド結合を介して)不活性化するか又は遮断するのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、シグマ−1及び/又はシグマ−2などの、循環又は組織のシグマ受容体の少なくとも20%を(例えば、受容体のリガンド結合を介して)不活性化するか又は遮断するのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、シグマ−1及び/又はシグマ−2などの、循環又は組織のシグマ受容体の少なくとも30%を(例えば、受容体のリガンド結合を介して)不活性化するか又は遮断するのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、シグマ−1及び/又はシグマ−2などの、循環又は組織のシグマ受容体の少なくとも40%を(例えば、受容体のリガンド結合を介して)不活性化するか又は遮断するのに十分な1日量での、治療薬剤又はフェンレチニド薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)の投与を含む。
【0204】
本明細書に記載されるような毎日の投与量は、幾つかの実施形態において、単回投与の後又は長期間、例えば、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、1週間、2週間、3週間、4週間などの間投与した後の、本明細書に記載される循環及び/又は組織のレベルを提供する。
【0205】
特定の実施形態において、有効な量に相当する、投与される化合物の量は、処置を必要とする個体の同一性(例えば、体重及び/又は年齢)、及び/又は処置を必要とする個体の状態(例えば、RBPの循環及び/又は組織のレベル、holo−RBPの循環及び/又は組織のレベル、及び/又はレチノールの循環及び/又は組織のレベル)などの、要因に依存して変化する。
【0206】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載されるフェンレチニド薬剤(例えば、フェンレチニド又はその代謝物質)は、全身送達のために製剤され、及び/又は全身送達を達成するための方法で本明細書に記載される任意の方法に従って投与される。幾つかの実施形態において、本明細書に記載されるフェンレチニド薬剤(例えばフェンレチニド又はその代謝物質)は、経口投与のために製剤され、及び/又は経口の方法で本明細書に記載される任意の方法に従って投与される。特定の実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物は、正確な用量の単回投与に適したユニット剤形である。ユニット剤形において、製剤は、1以上の化合物の適量を含有する単位用量に分割される。幾つかの実施形態において、単位用量は、製剤の離散量を含有するパッケージ形状である。制限しない例は、パッケージ化された錠剤又はカプセル剤、及びバイアル又はアンプル中の粉末である。特定の実施形態において、水性懸濁液組成物は、単回用量用の再密閉できない容器にパッケージ化される。代替の実施形態において、複数回用量用の再密閉できる容器が使用され、この場合、組成物は、保存剤を随意に含む。特定の実施形態において、注射剤のための製剤は、限定しない例として、アンプル、又は複数回用量用の容器を含むユニット内に含まれる。そのような実施形態において、製剤/組成物は、随意の防腐剤を含む。
【0207】
(維持の方法)
特定の実施形態において、フェンレチニド及び/又はその代謝物質の負荷用量は、個体に投与される。特定の実施形態において、負荷用量は、(1)個体における治療上又は予防的に有効なレベルの循環及び/又は組織の治療薬剤剤及び/又は活性代謝物を達成するために(例えば、式(I)の化合物のレベル、フェンレチニドのレベル、フェンレチニド+代謝物質のレベル、RBP−フェンレチニドのレベル、及び/又はRBP−フェンレチニド+RBP−フェンレチニド代謝物質のレベルは、十分に増加される);及び/又は(2)治療上又は予防的に有効なレチノールのレベル(例えば、holo−RBPに対するapo−RBPの比率、holo−RBPのレベル、レチノールのレベル、RBPのレベルなど)、又はその治療上又は予防的に有効な減少を達成するために利用される。特定の実施形態において、一旦十分な量の治療薬剤、フェンレチニド及び/又は活性フェンレチニド代謝物質が、(例えば、個体の血清及び/又は血漿のレベルを測定することによって決定されるように、)個体において存在する(例えば、個体のフェンレチニドのレベル、フェンレチニド+代謝物質のレベル、RBP−フェンレチニドのレベル、及び/又はRBP−フェンレチニド+RBP−フェンレチニド代謝物質のレベルは十分に増加される)と、holo−RBPレベルは、(例えば、個体の血清及び/又は血漿のレベルを測定することによって決定されるように)十分に減少され、非ブロック化のシグマ受容体レベルは、十分に減少されるか、又はVEGFのレベル又は発現は、十分に減少され、維持量は、そのようなレベルを本質的に維持するために投与される。特定の実施形態において、投与量又は投与の頻度、又はその両方は、治療薬剤のレベル、フェンレチニドのレベル、活性フェンレチニド代謝物質のレベル、非ブロック化のシグマ受容体レベル、VEGFのレベル、及び/又はholo−RBPのレベルに応じて減少され、その結果、そのようなレベルは本質的に保持されるか、又は減少した比率で減らされる。特定の実施形態において、患者は、治療薬剤のレベル(例えば、式(I)の化合物のレベル、フェンレチニドのレベル、活性フェンレチニド代謝物質のレベル、VEGFレベル、非ブロック化のシグマ受容体レベル、及び/又はholo−RBPのレベル)の任意の上昇時に長期間ベースの(on a long−term basis)間欠性の処置を与えられる。特定の実施形態において、フェンレチニドのレベル、活性フェンレチニド代謝物質のレベル、及び/又はholo−RBPのレベル(例えば、血清及び/又は血漿のレベル)の間欠性の(例えば毎日の、週ごと、月ごとなどの)測定は、本明細書に記載される任意の処置を受ける個体から得られる。さらなる実施形態において、これらの間欠測定は、投与される用量を調節する及び/又は滴定するために利用される。
【0208】
(シグマ受容体の調節)
また本明細書の特定の実施形態において、本明細書に記載される有効な量の任意の治療薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド又はその代謝物質)を投与することによって、シグマ受容体(例えば、シグマ−1及び/又はシグマ−2)の過剰発現に関係する疾患又は障害を処置する方法が提供される。特定の実施形態において、そのような疾患は、限定しない例として、網膜神経変性、癌、HIV、脳卒中、アルツハイマー病、統合失調症、パーキンソン病など、うつ病、健忘症、及び薬物依存症を含む。幾つかの実施形態において、本明細書には、シグマ受容体を本明細書に記載される有効な量の任意の薬剤(例えば、式(I)の化合物、フェンレチニド、又はその代謝物質)と接触させる工程を含む、シグマ受容体を刺激する及び/又は拮抗する方法が提供される。
実施例
【0209】
<実施例1>
2つの患者のコホートを選択した。各々の患者のコホートの各メンバーは、加齢性黄斑変性(AMD)に続発する、地図状萎縮(GA)に苦しむヒトであった。ベースラインでの患者における血清レチノール結合タンパク質の平均濃縮は、およそ60μg/mLであった。同じタイプの正常な個体における血清レチノール結合タンパク質の平均濃度は、約25μg/mLから約40μg/mLである。第1の患者集団において、個体に、100mg/日のフェンレチニドを経口的に投与した。第2の患者集団において、個体に、プラセボを経口的に投与した。プラセボ群は、9.8%の比率で(基底細胞癌、扁平上皮癌、及び/又は黒色腫を含む)皮膚新生物を進行させた。第1の患者集団において、個体は、2.5%の比率で(基底細胞癌、扁平上皮癌、及び/又は黒色腫を含む)癌を進行させた。図3に示されるように、100mg/日のフェンレチニド薬剤を受ける個体は、プラセボを受ける個体と比較して、癌の発生率が減少した。図4は、メラノーマ細胞株(B16(RL))に対するフェンレチニドの細胞毒性を示す。図5は、2つのヒトメラノーマ細胞株(M207及びSK−MEL28)に対するフェンレチニド及び式(II)の化合物(指定されたSIR−1001及びSIR−1005)の効果を示す。
【0210】
<実施例2>
患者のコホートを選択する。各々の患者のコホートのメンバーは、高いレチノール結合タンパク質(RBP)レベルに苦しむヒトである。随意に、複数のコホートを選択し、例えば、20μg/mL又はそれ未満、20μg/mLから30μg/mL、30μg/mLから40μg/mL、40μg/mLから50μg/mL、50μg/mLから60μg/mL、及び/又は60μg/mL又はそれ以上の血清及び/又は組織のRBPレベルを有する患者のコホートを選択する。所望のRBPレベルを有している各コホートを、2つのサブコホートへ分割し、第1のサブコホートはフェンレチニド薬剤(例えば、フェンレチニド又はその代謝物質)の用量を(例えば経口で100mg/日で)受け、第2のサブコホートはプラセボを受ける。(フェンレチニド薬剤を受ける)第1の群及び(プラセボを受ける)第2の群における(基底細胞癌、扁平上皮癌、及び/又は黒色腫を含む)皮膚癌の進行の割合を測定する。
【0211】
<実施例3>
患者のコホートを選択する。各々の患者のコホートのメンバーは、高いレチノールレベルに苦しむヒトである。随意に、複数のコホートを選択し、例えば、2μmol/L又はそれ未満、2μmol/Lから3μmol/L、3μmol/Lから4μmol/L、4μmol/Lから5μmol/L、5μmol/Lから6μmol/L、及び/又は6μmol/L又はそれ以上の血清及び/又は組織のレチノールレベルを有する患者のコホートを選択する。所望のレチノールレベルを有している各コホートを、2つのサブコホートへ分割し、第1のサブコホートはフェンレチニド薬剤(例えば、フェンレチニド又はその代謝物質)の用量を(例えば、経口で100mg/日で)受け、第2のサブコホートはプラセボを受けた。(フェンレチニド薬剤を受ける)第1の群及び(プラセボを受ける)第2の群における(基底細胞癌、扁平上皮癌、及び/又は黒色腫を含む)皮膚癌の進行の割合を測定する。
【0212】
<実施例4>
シグマ1受容体結合アッセイを、DeHaven−Hudkins et al.(1992)に従って行った。簡潔に言うと、モルモットの脳膜アリコートを、溶かし、その後、新鮮なシグマ1アッセイの緩衝液(50mM Tris=HCl;pH7.4、25℃)を加えることによって、1mgのタンパク質/mlの濃度で懸濁した。各ガラスアッセイ管を、1.0mlの最終容量で維持し、0.25mgのタンパク質を含み、及び[3H](+)−ペンタゾシンとともに37℃で150分間インキュベートした。[3H](+)−ペンタゾシンを、単一の濃縮(1.0nM、図6)、又は様々な濃縮(0−10nM、図7)のいずれかで使用した。非特異的な結合を、ハロペリドール(1.0μM)によって定義した。競合リガンド濃縮(例えば、フェンレチニド)は10μMであった。
氷冷のr1アッセイ緩衝液(5ml)の付加及びポリエチレンイミン(0.5%)で60分間前処理されたグラスファイバーフィルター(GF/B)を介して、セルハーベスター(Brandel,Gaithersburg,MD)を使用して、ろ過によってアッセイを終了した。管及びフィルターディスクを、氷冷のアッセイ緩衝液で洗浄し(3×3.5ml)、フィルターディスクを真空下で乾燥させた。シンチレーション測定を、カクテルとのディスクのインキュベーション後に少なくとも18時間実行した。
【0213】
図6及び7は、放射標識されたペンタゾシン([3H]ペンタゾシン)が、フェンレチニドがある状態の結合を減少させたことを示し、それは、フェンレチニドが、シグマ−1受容体に結合するためにペンタゾシンと競合することを示唆する。
【0214】
<実施例5>
補体遺伝子の発現に対するフェンレチニドの効果を、BALC/C**マウスにおいて研究した。
【0215】
フェンレチニドを補った食事(1gのフェンレチニド/kg食事)又は制限した食事を、妊娠しているマウスに与えた。生まれた同腹子を4週間維持した。マウスを、4週間後安楽死させ、眼組織を、RNA抽出のために調製した。結果については、図9を参照。補体遺伝子の発現を、RT−PCRによって測定した。データを、18S RNAの発現に対して正規化した。
【0216】
マウスの同腹子を、離乳(4週齢)の直前に2つの群に分離した。群Iにおけるマウスに、フェンレチニドを補った食事(1gのフェンレチニド/kg食事)を7週間与えた。群IIにおけるマウスに、制御した食事を7週間与えた。マウスを、7週間後安楽死させ、眼組織を、RNA抽出のために調製した。結果については、図8を参照。補体遺伝子の発現を、RT−PCRによって測定した。データを、18S RNAの発現に対して正規化した。
【0217】
<実施例6>
萎縮型AMDを有する患者を選択した。患者を、3つの群に分ける。群I(n=82)は、プラセボを受けた。群II(n=80)は、100mg/日の投与量でフェンレチニドを受けた。群III(n=80)は、300mg/日の投与量でフェンレチニドを受けた。すべての新生物及び基底細胞癌の発生率を、各群に関して測定した。結果については表1を参照。
【0218】
【表2】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
過剰なリポフスチン蓄積、黄斑ジストロフィー、シュタルガルト病、GA、非滲出性AMD及び/又は滲出性AMDと診断された個体において非黒色腫皮膚癌を処置するまたはその再発を低減する方法であって、前記方法は、(a)血清レチノールを減少させる;(b)セラミドレベルを増加させる;(c)シグマ受容体の活性を減少させる、またはシグマ受容体を遮断する;及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatched受容体またはsmoothened受容体の活性を減少させる、またはヘッジホッグ経路内のpatched受容体またはsmoothened受容体を遮断する、有効な量の活性薬剤を、個体に投与する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記活性薬剤が、レチノイド又はレチノイド誘導体であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記活性薬剤が、N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、N−(4−メトキシフェニル)レチンアミド、4−オキソ−N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、式(I)の化合物:
【化1】
式中、
Aは、O、NHまたはSであり;
Bは、1つの結合、−(C2−C7)アルキル、−(C2−C7)アルケニル、−(C3−C8)シクロアルキル、−(C2−C7)ヘテロアルキル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルキル、−(C3−C8)シクロアルケニル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルケニルであり;
Dは、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、sec−ペンチル、イソペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、メチレンシクロプロピル、メチレンシクロブチル、メチレンシクロペンチルであり;
Eは、(C=O)−OR、−O−(C=O)−R、−(C=O)−R、−OR、カルボン酸バイオアイソスター、−(C=O)−NR1R、NR1−(C=O)−R、−(C1−C7)アルキル−(C=O)−OR、または−(C1−C7)アルキル−(C=O)−NR1Rであり;
Rは、Hあるいは
【化2】
であり;
Gは、−OR1、−(C1−C6)アルキル、−(C1−C6)アルキル−OR1、ハロゲン、−CO2R1、−(C1−C6)アルキル−CO2R1、NHR1、−(C1−C6)アルキル−NHR1、−(C=O)NHR1、−(C1−C6)アルキル−(C=O)NHR1、−NHR1(C=O)R1、−(C1−C6)アルキル−NHR1(C=O)R1であり、
R1は、Hまたは(C1−C6)アルキルであり;
Xは、ハロゲンであり;
またはそれらの活性代謝物若しくは薬学的に許容可能なプロドラッグ、塩若しくは溶媒和物;またはそれらの組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記個体が、高い血漿レチノール;高い血漿RBP4;随意に目において、高いシグマ受容体の濃度;または、随意に、目若しくは癌性腫瘍において、高いVEGFの濃度;または0.5を超えるholo−RBPに対するapo−RBPの比率を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記個体が、(a)25μg/mLを超える血漿RBP4濃度及び/又は0.5を超える血漿のholo−RBPに対するapo−RBPの比率を有する男性のヒト個体;または(b)20μg/mLを超える血漿RBP4濃度及び/又は0.5を超える血漿のholo−RBPに対するapo−RBPの比率を有する女性のヒト個体であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記有効な量の活性薬剤が、約25%〜約75%で、個体においてAMDまたは非黒色腫皮膚癌に関係する危険因子のレベルを減らすのに十分な量であり;ここで、危険因子は、高い濃度の循環ビタミンA、高い濃度の循環RBP、高い濃度の循環holo−RBP、高い濃度のVEGF、または高い濃度のシグマ受容体から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記活性薬剤の有効な量が、1日約300mg未満であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記活性薬剤の有効な量が、1日約50mg〜約150mgであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記皮膚癌が、非黒色腫皮膚癌であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記皮膚癌が、基底細胞癌または扁平上皮癌であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
過剰なリポフスチン蓄積、黄斑ジストロフィー、シュタルガルト病、GA、非滲出性AMD及び/又は滲出性AMDと診断された個体において非黒色腫皮膚癌を処置するための医薬の製造のためのレチノイドまたはレチノイド誘導体の使用。
【請求項12】
前記レチノイドまたはレチノイド誘導体が、N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、N−(4−メトキシフェニル)レチンアミド、4−オキソ−N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、式(I)の化合物:
【化3】
式中、
Aは、O、NHまたはSであり;
Bは、1つの結合、−(C2−C7)アルキル、−(C2−C7)アルケニル、−(C3−C8)シクロアルキル、−(C2−C7)ヘテロアルキル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルキル、−(C3−C8)シクロアルケニル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルケニルであり;
Dは、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、sec−ペンチル、イソペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、メチレンシクロプロピル、メチレンシクロブチル、メチレンシクロペンチルであり;
Eは、(C=O)−OR、−O−(C=O)−R、−(C=O)−R、−OR、カルボン酸バイオアイソスター、−(C=O)−NR1R、NR1−(C=O)−R、−(C1−C7)アルキル−(C=O)−OR、または−(C1−C7)アルキル−(C=O)−NR1Rであり;
Rは、Hあるいは
【化4】
であり;
Gは、−OR1、−(C1−C6)アルキル、−(C1−C6)アルキル−OR1、ハロゲン、−CO2R1、−(C1−C6)アルキル−CO2R1、NHR1、−(C1−C6)アルキル−NHR1、−(C=O)NHR1、−(C1−C6)アルキル−(C=O)NHR1、−NHR1(C=O)R1、−(C1−C6)アルキル−NHR1(C=O)R1であり、
R1は、Hまたは(C1−C6)アルキルであり;
Xは、ハロゲンであり;
またはそれらの活性代謝物若しくは薬学的に許容可能なプロドラッグ、塩若しくは溶媒和物;またはそれらの組み合わせであることを特徴とする請求項11に記載の使用。
【請求項13】
ゴーリン症候群を処置する方法であって、前記方法が、(a)血清レチノールを減少させる;(b)セラミドレベルを増加させる;(c)シグマ受容体の活性を減少させる、あるいはシグマ受容体を遮断する;及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体の活性を減少させる、またはそれらを遮断する、有効な量の活性薬剤を、個体に投与する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
前記活性薬剤が、レチノイド又はレチノイド誘導体であることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記活性薬剤が、N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、N−(4−メトキシフェニル)レチンアミド、4−オキソ−N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、式(I)の化合物:
【化5】
式中、
Aは、O、NHまたはSであり;
Bは、1つの結合、−(C2−C7)アルキル、−(C2−C7)アルケニル、−(C3−C8)シクロアルキル、−(C2−C7)ヘテロアルキル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルキル、−(C3−C8)シクロアルケニル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルケニルであり;
Dは、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、sec−ペンチル、イソペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、メチレンシクロプロピル、メチレンシクロブチル、メチレンシクロペンチルであり;
Eは、(C=O)−OR、−O−(C=O)−R、−(C=O)−R、−OR、カルボン酸バイオアイソスター、−(C=O)−NR1R、NR1−(C=O)−R、−(C1−C7)アルキル−(C=O)−OR、または−(C1−C7)アルキル−(C=O)−NR1Rであり;
Rは、Hあるいは
【化6】
であり;
Gは、−OR1、−(C1−C6)アルキル、−(C1−C6)アルキル−OR1、ハロゲン、−CO2R1、−(C1−C6)アルキル−CO2R1、NHR1、−(C1−C6)アルキル−NHR1、−(C=O)NHR1、−(C1−C6)アルキル−(C=O)NHR1、−NHR1(C=O)R1、−(C1−C6)アルキル−NHR1(C=O)R1であり、
R1は、Hまたは(C1−C6)アルキルであり;
Xは、ハロゲンであり;
またはそれらの活性代謝物若しくは薬学的に許容可能なプロドラッグ、塩若しくは溶媒和物;またはそれらの組み合わせであることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記方法が、基底細胞癌を処置する、またはその再発を減少させる工程をさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項17】
ゴーリン症候群の処置のための医薬の製造のためのレチノイドまたはレチノイド誘導体の使用。
【請求項18】
前記レチノイドまたはレチノイド誘導体が、N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、N−(4−メトキシフェニル)レチンアミド、4−オキソ−N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、式(I)の化合物:
【化7】
式中、
Aは、O、NHまたはSであり;
Bは、1つの結合、−(C2−C7)アルキル、−(C2−C7)アルケニル、−(C3−C8)シクロアルキル、−(C2−C7)ヘテロアルキル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルキル、−(C3−C8)シクロアルケニル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルケニルであり;
Dは、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、sec−ペンチル、イソペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、メチレンシクロプロピル、メチレンシクロブチル、メチレンシクロペンチルであり;
Eは、(C=O)−OR、−O−(C=O)−R、−(C=O)−R、−OR、カルボン酸バイオアイソスター、−(C=O)−NR1R、NR1−(C=O)−R、−(C1−C7)アルキル−(C=O)−OR、または−(C1−C7)アルキル−(C=O)−NR1Rであり;
Rは、Hあるいは
【化8】
であり;
Gは、−OR1、−(C1−C6)アルキル、−(C1−C6)アルキル−OR1、ハロゲン、−CO2R1、−(C1−C6)アルキル−CO2R1、NHR1、−(C1−C6)アルキル−NHR1、−(C=O)NHR1、−(C1−C6)アルキル−(C=O)NHR1、−NHR1(C=O)R1、−(C1−C6)アルキル−NHR1(C=O)R1であり、
R1は、Hまたは(C1−C6)アルキルであり;
Xは、ハロゲンであり;
またはそれらの活性代謝物若しくは薬学的に許容可能なプロドラッグ、塩若しくは溶媒和物;またはそれらの組み合わせであることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項1】
過剰なリポフスチン蓄積、黄斑ジストロフィー、シュタルガルト病、GA、非滲出性AMD及び/又は滲出性AMDと診断された個体において非黒色腫皮膚癌を処置するまたはその再発を低減する方法であって、前記方法は、(a)血清レチノールを減少させる;(b)セラミドレベルを増加させる;(c)シグマ受容体の活性を減少させる、またはシグマ受容体を遮断する;及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatched受容体またはsmoothened受容体の活性を減少させる、またはヘッジホッグ経路内のpatched受容体またはsmoothened受容体を遮断する、有効な量の活性薬剤を、個体に投与する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記活性薬剤が、レチノイド又はレチノイド誘導体であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記活性薬剤が、N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、N−(4−メトキシフェニル)レチンアミド、4−オキソ−N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、式(I)の化合物:
【化1】
式中、
Aは、O、NHまたはSであり;
Bは、1つの結合、−(C2−C7)アルキル、−(C2−C7)アルケニル、−(C3−C8)シクロアルキル、−(C2−C7)ヘテロアルキル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルキル、−(C3−C8)シクロアルケニル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルケニルであり;
Dは、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、sec−ペンチル、イソペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、メチレンシクロプロピル、メチレンシクロブチル、メチレンシクロペンチルであり;
Eは、(C=O)−OR、−O−(C=O)−R、−(C=O)−R、−OR、カルボン酸バイオアイソスター、−(C=O)−NR1R、NR1−(C=O)−R、−(C1−C7)アルキル−(C=O)−OR、または−(C1−C7)アルキル−(C=O)−NR1Rであり;
Rは、Hあるいは
【化2】
であり;
Gは、−OR1、−(C1−C6)アルキル、−(C1−C6)アルキル−OR1、ハロゲン、−CO2R1、−(C1−C6)アルキル−CO2R1、NHR1、−(C1−C6)アルキル−NHR1、−(C=O)NHR1、−(C1−C6)アルキル−(C=O)NHR1、−NHR1(C=O)R1、−(C1−C6)アルキル−NHR1(C=O)R1であり、
R1は、Hまたは(C1−C6)アルキルであり;
Xは、ハロゲンであり;
またはそれらの活性代謝物若しくは薬学的に許容可能なプロドラッグ、塩若しくは溶媒和物;またはそれらの組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記個体が、高い血漿レチノール;高い血漿RBP4;随意に目において、高いシグマ受容体の濃度;または、随意に、目若しくは癌性腫瘍において、高いVEGFの濃度;または0.5を超えるholo−RBPに対するapo−RBPの比率を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記個体が、(a)25μg/mLを超える血漿RBP4濃度及び/又は0.5を超える血漿のholo−RBPに対するapo−RBPの比率を有する男性のヒト個体;または(b)20μg/mLを超える血漿RBP4濃度及び/又は0.5を超える血漿のholo−RBPに対するapo−RBPの比率を有する女性のヒト個体であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記有効な量の活性薬剤が、約25%〜約75%で、個体においてAMDまたは非黒色腫皮膚癌に関係する危険因子のレベルを減らすのに十分な量であり;ここで、危険因子は、高い濃度の循環ビタミンA、高い濃度の循環RBP、高い濃度の循環holo−RBP、高い濃度のVEGF、または高い濃度のシグマ受容体から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記活性薬剤の有効な量が、1日約300mg未満であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記活性薬剤の有効な量が、1日約50mg〜約150mgであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記皮膚癌が、非黒色腫皮膚癌であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記皮膚癌が、基底細胞癌または扁平上皮癌であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
過剰なリポフスチン蓄積、黄斑ジストロフィー、シュタルガルト病、GA、非滲出性AMD及び/又は滲出性AMDと診断された個体において非黒色腫皮膚癌を処置するための医薬の製造のためのレチノイドまたはレチノイド誘導体の使用。
【請求項12】
前記レチノイドまたはレチノイド誘導体が、N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、N−(4−メトキシフェニル)レチンアミド、4−オキソ−N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、式(I)の化合物:
【化3】
式中、
Aは、O、NHまたはSであり;
Bは、1つの結合、−(C2−C7)アルキル、−(C2−C7)アルケニル、−(C3−C8)シクロアルキル、−(C2−C7)ヘテロアルキル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルキル、−(C3−C8)シクロアルケニル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルケニルであり;
Dは、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、sec−ペンチル、イソペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、メチレンシクロプロピル、メチレンシクロブチル、メチレンシクロペンチルであり;
Eは、(C=O)−OR、−O−(C=O)−R、−(C=O)−R、−OR、カルボン酸バイオアイソスター、−(C=O)−NR1R、NR1−(C=O)−R、−(C1−C7)アルキル−(C=O)−OR、または−(C1−C7)アルキル−(C=O)−NR1Rであり;
Rは、Hあるいは
【化4】
であり;
Gは、−OR1、−(C1−C6)アルキル、−(C1−C6)アルキル−OR1、ハロゲン、−CO2R1、−(C1−C6)アルキル−CO2R1、NHR1、−(C1−C6)アルキル−NHR1、−(C=O)NHR1、−(C1−C6)アルキル−(C=O)NHR1、−NHR1(C=O)R1、−(C1−C6)アルキル−NHR1(C=O)R1であり、
R1は、Hまたは(C1−C6)アルキルであり;
Xは、ハロゲンであり;
またはそれらの活性代謝物若しくは薬学的に許容可能なプロドラッグ、塩若しくは溶媒和物;またはそれらの組み合わせであることを特徴とする請求項11に記載の使用。
【請求項13】
ゴーリン症候群を処置する方法であって、前記方法が、(a)血清レチノールを減少させる;(b)セラミドレベルを増加させる;(c)シグマ受容体の活性を減少させる、あるいはシグマ受容体を遮断する;及び/又は(d)ヘッジホッグ経路内のpatchedまたはsmoothened受容体の活性を減少させる、またはそれらを遮断する、有効な量の活性薬剤を、個体に投与する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
前記活性薬剤が、レチノイド又はレチノイド誘導体であることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記活性薬剤が、N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、N−(4−メトキシフェニル)レチンアミド、4−オキソ−N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、式(I)の化合物:
【化5】
式中、
Aは、O、NHまたはSであり;
Bは、1つの結合、−(C2−C7)アルキル、−(C2−C7)アルケニル、−(C3−C8)シクロアルキル、−(C2−C7)ヘテロアルキル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルキル、−(C3−C8)シクロアルケニル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルケニルであり;
Dは、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、sec−ペンチル、イソペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、メチレンシクロプロピル、メチレンシクロブチル、メチレンシクロペンチルであり;
Eは、(C=O)−OR、−O−(C=O)−R、−(C=O)−R、−OR、カルボン酸バイオアイソスター、−(C=O)−NR1R、NR1−(C=O)−R、−(C1−C7)アルキル−(C=O)−OR、または−(C1−C7)アルキル−(C=O)−NR1Rであり;
Rは、Hあるいは
【化6】
であり;
Gは、−OR1、−(C1−C6)アルキル、−(C1−C6)アルキル−OR1、ハロゲン、−CO2R1、−(C1−C6)アルキル−CO2R1、NHR1、−(C1−C6)アルキル−NHR1、−(C=O)NHR1、−(C1−C6)アルキル−(C=O)NHR1、−NHR1(C=O)R1、−(C1−C6)アルキル−NHR1(C=O)R1であり、
R1は、Hまたは(C1−C6)アルキルであり;
Xは、ハロゲンであり;
またはそれらの活性代謝物若しくは薬学的に許容可能なプロドラッグ、塩若しくは溶媒和物;またはそれらの組み合わせであることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記方法が、基底細胞癌を処置する、またはその再発を減少させる工程をさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項17】
ゴーリン症候群の処置のための医薬の製造のためのレチノイドまたはレチノイド誘導体の使用。
【請求項18】
前記レチノイドまたはレチノイド誘導体が、N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、N−(4−メトキシフェニル)レチンアミド、4−オキソ−N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、式(I)の化合物:
【化7】
式中、
Aは、O、NHまたはSであり;
Bは、1つの結合、−(C2−C7)アルキル、−(C2−C7)アルケニル、−(C3−C8)シクロアルキル、−(C2−C7)ヘテロアルキル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルキル、−(C3−C8)シクロアルケニル、−(C3−C8)ヘテロシクロアルケニルであり;
Dは、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、sec−ペンチル、イソペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、メチレンシクロプロピル、メチレンシクロブチル、メチレンシクロペンチルであり;
Eは、(C=O)−OR、−O−(C=O)−R、−(C=O)−R、−OR、カルボン酸バイオアイソスター、−(C=O)−NR1R、NR1−(C=O)−R、−(C1−C7)アルキル−(C=O)−OR、または−(C1−C7)アルキル−(C=O)−NR1Rであり;
Rは、Hあるいは
【化8】
であり;
Gは、−OR1、−(C1−C6)アルキル、−(C1−C6)アルキル−OR1、ハロゲン、−CO2R1、−(C1−C6)アルキル−CO2R1、NHR1、−(C1−C6)アルキル−NHR1、−(C=O)NHR1、−(C1−C6)アルキル−(C=O)NHR1、−NHR1(C=O)R1、−(C1−C6)アルキル−NHR1(C=O)R1であり、
R1は、Hまたは(C1−C6)アルキルであり;
Xは、ハロゲンであり;
またはそれらの活性代謝物若しくは薬学的に許容可能なプロドラッグ、塩若しくは溶媒和物;またはそれらの組み合わせであることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図8F】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図9F】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図8F】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図9F】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2013−509430(P2013−509430A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537079(P2012−537079)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/054575
【国際公開番号】WO2011/059776
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(510203762)リヴィジョン セラピューティクス,インク. (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/054575
【国際公開番号】WO2011/059776
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(510203762)リヴィジョン セラピューティクス,インク. (2)
【Fターム(参考)】
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