説明

レバーハンドル錠

【課題】扉に配設される既設のレバーハンドルに対し、容易に組み付けることを可能としレバーハンドルの揺動操作をロックする。
【解決手段】扉13の屋内面13aに設けられ揺動操作にて開閉操作が行われるレバーハンドル11に用いられるレバーハンドル錠31であって、扉面13aに固定されるベース部33と、ベース部33に軸支され、扉面13aと把手部21との間に位置する先端47が、扉面13aに対して接離方向に揺動自在とされるとともに、把手部21の一部が嵌入する凹部51を有する規制部41とを具備し、先端47が揺動して扉面13aから離間した際に、凹部51が把手部21の揺動軌跡に干渉する位置となってレバーハンドル11の揺動操作を規制し、先端47が扉面13aに近接する方向に揺動した際には、凹部51による把手部21の規制が解除され、レバーハンドル11の回転操作を許容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扉の開閉操作のために設けられたレバーハンドルの操作を規制するレバーハンドル錠に関するものである。
【背景技術】
【0002】
扉に設けられる開閉操作のための操作部材であるレバーハンドルは、扉に内蔵される、或いは扉面に露出状態で設けられる錠装置に連動連結される。レバーハンドルは錠装置の機構部に連結される軸部と、この軸部に直交方向に延設される把手部を備え、この把手部を掴み持ち揺動操作することで、錠装置内の機構部分を連動させてラッチボルトの進退が行われる。この錠装置は、扉の屋外側からは例えば合鍵による施解錠操作とされ、屋内側からはサムターンによる操作でデッドボルトの進退が行われるものが一般的であるが、屋内側からの操作、特に解錠し開扉する操作においては、サムターン等を使用せずレバーハンドルのみを揺動操作することで解錠が行われる機構を備えたものがある。このレバーハンドルによる解錠機構は、非常時において即座に扉の開放を行いたい場合に有効なもので、サムターン等の操作を不要とし、レバーハンドルのみの操作で緊急性のある解錠,開扉が可能となっている。また、サムターン等を使用しないことから、サムターンが配設されない構造のものもある。
【0003】
このようなレバーハンドルの非常用解錠機構は、施錠状態であってもレバーハンドルを強制的に揺動操作することで解錠できてしまうことから、小さい子供が、親が気付かない間に解錠し戸外へ出てしまい、一人で危険な場所に立ち入ってしまう恐れがある。そのような危険性を防止するため、例えば、小さい子供が手の届かない高い位置に錠装置を設けたり、レバーハンドルの揺動を規制するようにしたりする。レバーハンドルの揺動を規制する構造として、ハンドル取付座からドアハンドルの軸部分に係合し、ドアハンドルの回動を阻止する押さえ板をヒンジを介して設け、この押さえ板のハンドル当片にてドアハンドルの回動を阻止する構造(下記特許文献1)や、着脱自在な略U字状のプレートにて操作レバーの周囲を覆うとともに、箱状のレバー収納部を取り付け、操作レバー全体を覆い、揺動を規制してしまうもの(下記特許文献2)などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−336865号公報
【特許文献2】実開平3−28278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来のレバーハンドルの揺動規制の構造では、いずれも着脱自在な構造とされ、必要時にレバーハンドルに対して取り付け、レバーハンドルの規制を継続して行うものであり、すなわち、規制の必要ない使用しない場合には、レバーハンドルから取り外した構造体を何処かに保管しなくてはならない煩雑さがある。また、上記各特許文献では、レバーハンドルの規制を行いそれを維持するために合鍵を必須とするものであって、二重ロックという意味では安全性が向上するものの、鍵の保管を必要とし、この点においても煩雑さのあるものである。特に、上記したような非常用の扉開放時において、上記従来の構造では、その煩雑さのために開放不可能となるおそれがあり、緊急時の扉の開放を容易に行うことを可能としつつ、安全性を十分に備えることの可能な機能を備えたレバーハンドルの揺動規制構造が望まれていた。
【0006】
そこで本発明は、上記問題点を解消するために、扉に配設される既設のレバーハンドルに対して、容易に組み付けることが可能であり、このレバーハンドルの揺動操作をロックでき、且つ、レバーハンドルを使用可能とする際には、簡単にそのロック状態を解除できるレバーハンドル錠を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の請求項1記載のレバーハンドル錠31は、扉13に配設される錠装置17に連動連結され、扉面13aより突出する軸部19を有するとともに、前記軸部19に対して直交方向に延設され前記扉面13aに沿う軌跡となって揺動する把手部21を備え、該把手部21の揺動操作にて前記錠装置17が解錠動作となり前記扉13の開閉操作が行われるレバーハンドル11に用いられるレバーハンドル錠31であって、
該レバーハンドル11の前記軸部19に近接して前記扉面13aに固定されるベース部33と、
前記ベース部33に基端43が軸支され、前記扉面13aと前記把手部21との間に位置する先端47が、前記扉面13aに対して接離方向に揺動自在とされるとともに、前記把手部21の一部が嵌入する凹部51を有する規制部41と、
を具備し、
前記先端47が揺動して前記扉面13aから離間した際に、前記凹部51が前記把手部21の揺動軌跡に干渉する位置となって該レバーハンドル11の揺動操作を規制し、
前記先端47が扉面13aに近接する方向に揺動した際には、前記凹部51による前記把手部21の規制が解除され、前記レバーハンドル11の回転操作を許容することを特徴とする。
【0008】
このレバーハンドル錠31では、扉面13aに対して接離方向に揺動自在な規制部41が、凹部51を把手部21の一部に外嵌させることで、この凹部51が把手部21の揺動軌跡に干渉することとなって、レバーハンドル11の操作を規制でき、このレバーハンドル11による解錠や開扉の操作を無効とする。また、規制部41を扉面13aに近接する方向に揺動させて凹部51による規制を解除することで、把手部21を揺動自在な状態とし、レバーハンドル11による操作を許容することとなって、解錠及び開扉の操作を可能とする。すなわち、規制部先端47の凹部51を把手部21に嵌めるのみで、レバーハンドル11の揺動操作の規制を可能とし、簡素な構成で安全性が高められ、且つ、凹部51と把手部21との嵌合状態を解くのみでレバーハンドル11が使用可能となる。
【0009】
請求項2記載のレバーハンドル錠は、請求項1記載のレバーハンドル錠31であって、前記規制部41には、前記レバーハンドル11の揺動規制状態を維持する方向に付勢力を付与する付勢部材が備えられることを特徴とする。
【0010】
このレバーハンドル錠31では、規制部41に設けられる付勢部材の付勢力によって、規制部41の先端を扉面13aから離間する方向として維持し、これによってレバーハンドル11の揺動が規制される状態が保たれる。
【0011】
請求項3記載のレバーハンドル錠は、請求項1又は2記載のレバーハンドル錠であって、前記凹部51には、該凹部51の内幅を狭める偏差部材65が着脱自在に設けられることを特徴とする。
【0012】
このレバーハンドル錠では、レバーハンドル11の把手部21Aが厚みの小さい狭幅形状であっても、偏差部材65を凹部51の内側に取り付けることで、この凹部51の幅を縮めることが可能となり把手部21Aの嵌合状態を保ち且つ揺動軌跡に対する干渉となり、レバーハンドル11の揺動を規制する。
【0013】
請求項4記載のレバーハンドル錠は、請求項1又は2又は3記載のレバーハンドル錠であって、前記規制部41には、基端43と先端47との間に空隙部53が形成され、該空隙部53に前記軸部19を貫通配置とし、前記ベース部33と前記凹部51とが前記軸部19を挟み、前記規制部41が把手部21に沿って配置されることを特徴とする。
【0014】
このレバーハンドル錠31では、凹部51に把手部21が嵌入した状態でレバーハンドル11周りでの意匠性を大きく崩すことなくコンパクトに配置できるとともに、レバーハンドル11に対して規制部41のみが掛かっている状態で確実にその揺動を阻止可能とされ、また、レバーハンドル11を正面から正しく使用する際には、把手部21を握る際に、規制部41を扉面13a側に容易に押し遣ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明による請求項1記載のレバーハンドル錠では、扉面に対して接離方向に揺動自在な規制部が、凹部を把手部の一部に外嵌させることにより、この凹部が把手部の揺動軌跡に干渉することとなり、レバーハンドルの操作を規制することが可能となる。これにより、このレバーハンドルによる解錠操作や開扉操作を無効なものとすることができる。また、規制部を扉面に近接する方向に揺動させて凹部による上記規制を解除することで、把手部は揺動自在な状態となり、レバーハンドルによる操作を許容することとなって、解錠操作及び開扉操作を可能とする。すなわち、規制部先端の凹部を把手部に嵌めるのみで、レバーハンドルの揺動操作の規制を可能とし、簡素な構成で安全性が高められ、且つ、凹部と把手部との嵌合状態を解くのみでレバーハンドルが操作性を妨げることがない。そして、このレバーハンドル錠は、扉面に固定されるベース部に対して揺動する規制部を具備するという簡素な構成で安全性を高めることが可能となるとともに、レバーハンドルを操作する際には凹部と把手部との嵌合状態を解くのみであり、部材を取り外す或いは合鍵を使う操作を必要とするような煩雑な操作や部材管理が一切不要となり、レバーハンドルのロック機構として操作性が向上するものである。
【0016】
請求項2記載のレバーハンドル錠では、付勢部材を備えることで、この付勢部材による付勢力で把手部に対する凹部の嵌合状態が維持され、レバーハンドルの揺動規制状態を維持することが可能となる。また、このことから、レバーハンドルの操作を行うには、付勢力に抗して規制部を揺動させなければならないことから、不注意で閉扉させてしまうなどを防ぐことが可能となる。
【0017】
請求項3記載のレバーハンドル錠では、レバーハンドルの把手部の形状が厚みの小さい狭幅形状で、規制部の凹部の内幅に対して不適当となる場合であっても、この凹部の内側に偏差部材を取り付けることで、凹部の内幅を縮めることが可能となり、凹部に対する把手部の嵌合状態を可能とし、レバーハンドルの揺動を規制することが可能となる。
【0018】
請求項4記載のレバーハンドル錠では、規制部の空隙部にレバーハンドルの軸部が貫通して位置し、規制部のベース部と凹部とが軸部を挟んだ配置位置となって、この規制部が把手部に沿っていることから、レバーハンドル錠として凹部に把手部が嵌入した状態でレバーハンドル周りでの意匠性を大きく崩すことなくコンパクトに配置できるとともに、レバーハンドルに対して規制部のみが掛かっている状態で確実にその揺動を阻止可能とされ安全性を得ることができ、また、レバーハンドルを正面から正しく使用する際には、把手部を握る際に、規制部を扉面側に容易に押し遣ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明によるレバーハンドル錠の実施の形態を示す斜視図である。
【図2】同レバーハンドル錠の平面図である。
【図3】同レバーハンドル錠の規制部の変形例を示す正面図である。
【図4】同平面図である。
【図5】同側面図である。
【図6】偏差部材を具備したレバーハンドル錠の正面図である。
【図7】同規制部の斜視図である。
【図8】同レバーハンドル錠の平面図である。
【図9】レバーハンドル錠の他の実施の形態を示す斜視図である。
【図10】同レバーハンドル錠の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は本発明によるレバーハンドル錠の実施の形態を示す斜視図、図2は平面図である。
本発明のレバーハンドル錠31が設けられるレバーハンドル11は、扉13の屋内面13a及び屋外面13bに配設され、例えば、図1に示すように扉面13aに固定される取付座となるエスカチオン15を貫通し、扉13に内設される錠装置17に連動連結される。レバーハンドル11は、エスカチオン15を介し扉面13aから略水平方向に突出する軸部19と、この軸部19の先端に、軸部19の軸線方向に対して直交する方向に延設される把手部21とからなる略L字状に形成され、軸部19を回転中心とし把手部21が揺動自在とされる。把手部21による揺動は扉面13aに平行に沿う軌跡となり、揺動による回転が軸部19を介して錠装置17に伝達され、扉木口13c側に突出するラッチボルト23及びデッドボルト24を進退作動させる。本実施の形態では、図1に示すように、施解錠操作を行うことが可能なサムターン25を屋内側に備えるが、非常時などに施錠状態を解除可能な機構所謂アンチパニック機構(図示せず)を内蔵し、レバーハンドル11の軸部19と連動連結されて、レバーハンドル11の揺動操作で、解錠でき開扉が可能となっている。
【0021】
レバーハンドル錠31は、ベース部33と規制部41とで大略構成される。
ベース部33はエスカチオン15の側縁に沿って軸部19に近接して扉面13aに固定される。本実施の形態では、レバーハンドル11の軸部19の位置から扉木口13c側へ水平方向側部のエスカチオン15の側縁に沿ってビス35などの固定手段にて固定される。ベース部33は、縦長な基板部37と、この基板部37に水平に突設される連結部39とを有する。
【0022】
規制部41は、矩形枠状に形成されており、一端となる基端43がベース部33の連結部39に垂直な連結軸45にて軸支され、水平に揺動自在とされている。本実施の規制部41は、円柱軸状部材を屈曲成形して略矩形状とするとともに、基端43をL字状に屈曲させて一対の突出端部49を形成し、この突出端部49に軸穴を設けて連結軸45を介してベース部33と連結している。そして、規制部41は、この連結軸45を中心に先端47側が水平方向に揺動自在となっている。また規制部41の先端47側は、略コ字状に折曲形成され凹部51を構成するとともに、この先端47と基端43との間は空隙部53を有して上下に軸状部材55,57が平行な枠状となって位置し、且つこの中途部を略へ字状に屈曲している。基端43がベース部33に取り付けられた状態で、規制部41の空隙部53は、レバーハンドル11の軸部19が貫通した状態で配置となり、規制部41の長手方向が把手部21の長手方向に沿い、規制部41の先端47は、扉面13aと把手部21との間に位置する。
【0023】
また、この規制部41には、図1に示すように、屈曲形成される円柱軸状部材の表面を覆う被覆材59を有し、例えば円柱軸状部材本体は金属素材とされ被覆材59がウレタン樹脂や塩化ビニル樹脂などの柔軟性のある素材で構成されて、把手部21に対しての接触を金属同士にせず、接触音の防止や、規制部41の耐蝕性向上、感触の向上、或いは着色することでの意匠性向上などを得ている。さらに、この規制部41の基端43には、上下に亘って架設されるカバー体61を有し、ベース部33や連結部39を正面視で覆うように構成され、また被覆材59と同様な効果を得ている。
【0024】
なお、図示しないが、規制部41とベース部33との間には付勢部材が設けられ、連結軸45を中心にベース部33に対して規制部41の先端47が揺動する付勢力が付与されている。この付勢部材による付勢力は、規制部41の先端47を扉面13aから離間する方向とされる。これにより規制部先端47の凹部51は、内側にレバーハンドル11の把手部21が嵌入する。図1に示すように、本実施の形態の規制部41は、空隙部53を有するとともに、中途が略ヘ字状に形成されていることで、凹部51の底部51aが把手部21の裏面に当接状態となると、凹部51の上下両側部分51b,51cが把手部21を上下から挟むような位置となる。なお、好ましくは、レバーハンドル11の動作方向に対して、その揺動を規制するように凹部51が配置されることとされ、本実施の形態では、レバーハンドル11の把手部21は、操作方向が水平状態から下方向に揺動する方向が操作方向であり揺動軌跡となるので、把手部21の下側面と規制部41の凹部下側51cとのクリアランスを小さく設定し、ベース部33を固定することとする。
【0025】
次に、上記構成を有するレバーハンドル錠31の作用を説明する。
レバーハンドル錠31は、通常時、レバーハンドル11の把手部21が水平な未操作状態、すなわち施錠状態で、その把手部21の扉面13aとの間である把手部裏面21aに対して、凹部51が外嵌状態となる。この凹部51の外嵌状態は、凹部51の底部51aとなる垂直部が把手部裏面21aに接触状態であり、下側部51cが把手部21の下縁21bに近接対向或いは接触状態となる。また、この凹部51の外嵌状態は、把手部21の中途部の裏面21a側に位置し付勢部材による付勢力によって維持され、これにより凹部51内に把手部21が位置し、把手部21の揺動軌跡に干渉することとなり、レバーハンドル11の揺動操作を規制する。この状態では、レバーハンドル11の揺動を行うことが不可能となり、すなわちレバーハンドル11を使用することでの不用意な解錠及び開扉操作となってしまうことがない。
【0026】
レバーハンドル11による解錠、開扉操作を行おうとする際には、把手部21の裏面21aから、付勢部材による付勢力にて外嵌状態な凹部51を含む規制部41を、付勢部材の付勢力に抗して規制部先端47を扉面13aに近接させる方向へ揺動させる。これにより凹部51は把手部21から離脱し(図2の二点鎖線)、把手部21の揺動軌跡の干渉がなくなり規制が解除され、すなわち把手部21は揺動自在な状態となる。そして把手部21の揺動によって解錠及び開扉操作となる。
【0027】
このようにレバーハンドル錠31では、扉面13aに対して接離方向に揺動自在な規制部41が、付勢部材の付勢力により凹部51を把手部21の一部に外嵌させ、この凹部51が把手部21の揺動軌跡に干渉することとなって、レバーハンドル11の操作を規制でき、このレバーハンドル11による解錠や開扉の操作を無効とするとともに、規制部41を扉面13aに近接する方向に揺動させて凹部51による規制を解除することで、把手部21を揺動自在な状態とし、レバーハンドル11による操作を許容することとなって、解錠及び開扉の操作を可能とするものである。そして、このレバーハンドル錠31は、ベース部33に対して揺動する規制部41を具備し、ベース部33は扉面13aに固定されており、規制部先端47の凹部51を把手部21に嵌めるのみで、レバーハンドル11の揺動操作を規制することが可能となり、簡素な構成で不用意な揺動操作の防止や安全性が高められ、また、凹部51と把手部21との嵌合状態を解くのみでレバーハンドル11が使用可能となり、部材を取り外す或いは合鍵を使う操作を必要とするような煩雑な操作や部材管理が不要となり、操作性が向上するものである。
【0028】
また、このレバーハンドル錠31では、規制部41の空隙部53にレバーハンドル11の軸部19が貫通して位置し、ベース部33と規制部41の凹部51とが軸部19を挟んだ配置位置となって、この規制部41が把手部21の長手に沿っていることから、レバーハンドル錠31として凹部51に把手部21が嵌入した状態でレバーハンドル11周りでの意匠性を大きく崩すことなくコンパクトに配置できるとともに、レバーハンドル11に対して規制部41のみが掛かっている状態で確実にその揺動を阻止可能とされ、また、レバーハンドル11を正面から正しく使用する際には、把手部21を握る際に、規制部41を扉面13a側に容易に押し遣ることが可能である。
【0029】
なお、上述した実施の形態では、規制部41の構造として、屈曲形成した円柱軸状部材のほぼ全体を被覆材59にて覆う構成としたが、図3,4,5に示すように、略真直な部分のみの部分的な位置、例えば、実際に手指に触れる箇所や把手部21などに接触する箇所に被覆材59Aを設けて構成しても良い。また、上述した実施の形態では、規制部41の基端43にカバー体61を備えた構造として述べたが、この規制部41の形状をコ字状に屈曲形成してカバー体61の無い線条体形状に構成しても良い。このような構成とすることで、圧迫感のないシンプルな意匠性とすることができ、素材を活かしつつ安価に提供することができる。なお、各図において、図1,2に示した部材と同等の部材には同一の符号を付し説明は省略する。
【0030】
次に、上記構成要部の変形例を説明する。
図6は偏差部材を具備したレバーハンドル錠の正面図、図7は同規制部の斜視図、図8は同レバーハンドル錠の平面図である。
なお、図1〜図5に示した部材と同等の部材には同一の符号を付し重複する説明は省略する。
レバーハンドル11は、多様なデザインがあり、把手部21の形状として、図1,2に示すような略丸棒形状や、図3,4,5に示すような正面が平滑で裏面(扉面に対向する面)21a側が曲率の大きな断面略蒲鉾形状(図5参照)など、幅長(縦幅)が略一定に形成されるものの他に、図6及び図8に示すように、把手部21Aの形状が、正面から見て略S字状に緩やかに湾曲するとともに、平面視(図8参照)で先端に向かって幅広になるよう形成されたものがある。
【0031】
この略S字形状の把手部21Aは、先端21cに向かって厚みがやや小さくなる板状で、把手部21Aの中途の上下幅長(厚さ)が、軸部19の直径よりも小さくなる形状とされることで、上述した各実施の形態のレバーハンドル錠31の規制部41をそのまま用いると、その先端47の凹部51における内幅である上下間隔距離が合わず、すなわち、規制部41の形状が、基端43から連続する平行な上下一対の円柱軸状部材であることから、軸部19の直径に合せ上下間隔を形成することによって、凹部51内側と把手部21とに間隙が生じてしまう。そこで、この実施の形態による規制部41は、凹部51の内側幅を変更可能とする偏差部材65を具備している。
【0032】
偏差部材65は、板状の当接部67と、その両端に設けられる一対の嵌着部69,71とを具備している。当接部67は、短冊板状に形成されて、当接端73となる角部分が丸みを帯びて形成され、この当接端73を境に隣り合う直交しあう各縁部75,77が長短の組み合わせとされて形成される。一対の嵌着部69,71は、短縁部75と長縁部77のそれぞれ延長方向となって当接部67の両端に設けられ、図7に示すように、C字状の開口側が、各延長方向に沿って形成され、すなわち各嵌着部69,71の成形向きが互いに直交する方句となっている。図7においては、長縁部77を水平として、両嵌着部69,71が凹部下側51cにおける隣り合う円柱軸状部材部分の内側に嵌合し、この凹部51の内幅を縮めている。これにより、図6に示すように、レバーハンドル11の軸部19の直径に対して、縦幅が小さい把手部21Aとされ、且つこの把手部21Aの下縁21bが軸部19の最下縁よりも上方となるような構成であっても、偏差部材65を凹部51の内側に取り付けることで、凹部51の幅が縮まるとともに、その幅長を上方に偏らせて位置し、この偏差部材65の当接部67の縁部77に把手部21Aが当接可能となる。
【0033】
なお、上述した各実施の形態では、規制部41の空隙部53をレバーハンドル11の軸部19が貫通する配置構成とした例について述べたが、軸部19の貫通する位置でなくとも良く、例えば、扉面13aのいずれかの位置にベース部を固定、例えばエスカチオン15の位置よりも扉13の吊元側に位置させ固定してもよく、規制部41によって把手部21(21A)が揺動規制される箇所であれば上記固定位置は限定されるものではなく、軸部19の長さや直径など形状が異なる場合にも対応可能となる。また、規制部41の形状について、上記各実施の形態のように、円柱軸状部材を屈曲形成して構成されるものではなく、板状部材を折曲形成して略凹溝状として把手部21(21A)に嵌合可能とする構成や、凹溝を備えるブロック状部材で構成することとしてもよい。
【0034】
また、上述した各実施の形態では、規制部41の形状を、先端47と基端43とを上下の軸状部材55,57で連結した矩形枠状構造とした例について述べたが、図9及び図10に示すようなL字状構造の規制部41Aとして構成してもよい。
この例では、規制部41Aの基端43から先端47を中途が湾曲した板状に形成し、ベース部33に対して連結軸45を介して揺動自在とするとともに、先端47には、揺動方向に直交する垂直上方向に延びる軸状部材52が設けられ、この軸状部材52と規制部先端47とで凹部51を構成している。凹部51の軸状部材52は、前述した実施の形態における底部51aと同等であり、レバーハンドル11の把手部21の裏面21aに付勢部材の付勢力にて接触状態となって、規制部41Aの先端47が把手部21の下縁に近接対向或いは接触状態となる。この実施の形態では、規制部先端47と軸状部材52とが、内隅形状の凹部51となり、把手部21の揺動軌跡に干渉する位置となって、レバーハンドル11の揺動操作を規制する。そして、レバーハンドル11による解錠、開扉操作を行う際には、規制部41Aを、付勢部材の付勢力に抗して扉面13aに近接させる方向へ揺動させ、凹部51を把手部21から離脱させ(図10の二点鎖線)、把手部21の揺動軌跡の干渉をなくし規制を解除させることとする。なお、図示してないが、規制部41Aは、板状に形成されることから、中途部分の正面に「PUSH」などの文字等を標示形成して、視覚的に操作方法を示すこととしてもよい。この実施の形態では、上述した実施の形態での規制部41の形状に対して略半部の構造とされ、レバーハンドル11の把手部21を上下から覆わずに簡素に構成され、意匠性が向上する。
【符号の説明】
【0035】
11…レバーハンドル
13…扉
13a…扉面(屋内面)
17…錠装置
19…軸部
21…把手部
31…レバーハンドル錠
33…ベース部
41,41A…規制部
43…基端
47…先端
51…凹部
53…空隙部
65…偏差部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉に配設される錠装置に連動連結され、扉面より突出する軸部を有するとともに、前記軸部に対して直交方向に延設され前記扉面に沿う軌跡となって揺動する把手部を備え、該把手部の揺動操作にて前記錠装置が解錠動作となり前記扉の開閉操作が行われるレバーハンドルに用いられるレバーハンドル錠であって、
該レバーハンドルの前記軸部に近接して前記扉面に固定されるベース部と、
前記ベース部に基端が軸支され、前記扉面と前記把手部との間に位置する先端が、前記扉面に対して接離方向に揺動自在とされるとともに、前記把手部の一部が嵌入する凹部を有する規制部と、
を具備し、
前記先端が揺動して前記扉面から離間した際に、前記凹部が前記把手部の揺動軌跡に干渉する位置となって該レバーハンドルの揺動操作を規制し、
前記先端が扉面に近接する方向に揺動した際には、前記凹部による前記把手部の規制が解除され、前記レバーハンドルの回転操作を許容することを特徴とするレバーハンドル錠。
【請求項2】
前記規制部には、前記レバーハンドルの揺動規制状態を維持する方向に付勢力を付与する付勢部材が備えられることを特徴とする請求項1記載のレバーハンドル錠。
【請求項3】
前記凹部には、該凹部の内幅を狭める偏差部材が着脱自在に設けられることを特徴とする請求項1又は2記載のレバーハンドル錠。
【請求項4】
前記規制部には、基端と先端との間に空隙部が形成され、該空隙部に前記軸部を貫通配置とし、前記ベース部と前記凹部とが前記軸部を挟み、前記規制部が把手部に沿って配置されることを特徴とする請求項1又は2又は3記載のレバーハンドル錠。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−167447(P2012−167447A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−27379(P2011−27379)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(390037028)美和ロック株式会社 (868)