説明

レバー付き流体注出器

【課題】レバーがノズルに対して干渉する構成の場合にも、ステムの押し込み及び復元の動作を妨げることなく、組み付け作業性に優れたレバー付き流体注出器を提供する。
【解決手段】容器口部に装着される装着筒2を有し、口部内側に配置されるポンプ1と、このポンプ1から起立して当該ポンプ1を駆動させるステム1gと、内容物の注出口Aを有しステム1gの上端部から前方に伸びるノズル6と、ポンプ1から斜め後方に起立するアーム3と、アーム先端3aに揺動可能に支持され、当該先端3aを基点として下向きに押し下げることにより、ステム1gの押し下げを生起させるレバー5とを備え、ノズル6は、レバー5の裏側から垂下する操作片5dが摺動可能に接触する湾曲面6fを有しステム1gに固定されるノズル基端部6aと、注出口Aを有しレバー5の裏側に位置するノズル本体6bとを備え、ノズル本体6bとノズル基端部6aとの間を、蛇腹部6cとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の口部に装着される装着筒を有するポンプを口部内側に配置し、このポンプから、その押し下げ及び復元の繰り返しにより当該ポンプを駆動させるステムを起立させ、このステムを通って汲み上げられた流体を、当該ステムから前方に向かって伸ばしたノズルから注出するにあたり、ポンプから斜め後方に起立したアームの先端を基点にレバーを下向きに押し下げることにより、ステムの押し下げを生起させるレバー付き流体注出器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
容器に使用するレバー付き流体注出器には、使い易さを考慮して、片手での注出が可能となるように、ポンプから斜め後方に起立するアームを支点とする、所謂、てこ式の押し下げ部材(レバー)を採用したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実用新案登録第2564025号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、こうしたレバー付き流体注出器は、アームを基点とするレバーの回転(揺動)運動をステムの上下運動に変換することになるため、例えば、レバーをノズルに固定して一体ものとして構成するときには、ノズルに不用意な応力が生じてしまう。
【0004】
そこで、従来のレバー付き流体注出器では、ノズルに生じる不用意な応力を分散させるべく、当該ノズル全体を、可撓性を有する軟材質で構成していたが、ノズルそのもののセット性(組み付け作業性)に難があるため、生産工程の複雑化を招く要因ともなりかねなかった。
【0005】
本発明は、レバーがノズルに対して干渉する構成の場合にも、ステムの押し込み及び復元の動作を妨げることなく、組み付け作業性に優れたレバー付き流体注出器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、容器の口部に装着される装着筒を有し口部内側に配置されるポンプと、このポンプから起立してその押し下げ及び復元の繰り返しにより当該ポンプを駆動させるステムと、このステムを通って汲み上げられた流体の注出口を有し当該ステムの上端部から前方に伸びるノズルと、ポンプから斜め後方に起立するアームと、このアームの先端に揺動可能に支持され、当該先端を基点として下向きに押し下げることにより、ステムの押し下げを生起させるレバーとを備えるレバー付き流体注出器であって、
前記ノズルは、レバーの裏側から垂下する操作片が摺動可能に接触する湾曲面を有しステムの上端部に固定されるノズル基端部と、前記注出口を有しレバーの裏側に位置するノズル本体とを備え、
このノズル本体とノズル基端部との間を、山折りと谷折りとの繰り返し構造よりなる蛇腹部とすることで、
ノズル本体をノズル基端部に対して揺動可能に一体成形してなるものであることを特徴とするものである。
【0007】
上記ノズルを一体に成形する方法としては、例えば、射出成形が挙げられる。この場合、同ノズルは、真直ぐな棒状に成形され、蛇腹部を基点に折り曲げることで組み付けられる。
【0008】
これに対し、他の本発明は、容器の口部に装着される装着筒を有し口部内側に配置されるポンプと、このポンプから起立してその押し下げ及び復元の繰り返しにより当該ポンプを駆動させるステムと、このステムを通って汲み上げられた流体の注出口を有し当該ステムの上端部から前方に伸びるノズルと、ポンプから斜め後方に起立するアームと、このアームの先端に揺動可能に支持され、当該先端を基点として下向きに押し下げることにより、ステムの押し下げを生起させるレバーとを備えるレバー付き流体注出器であって、
前記ノズルは、レバーの裏側から垂下する操作片が摺動可能に接触する湾曲面を有しステムの上端部に固定されるノズル基端部と、前記注出口を有しレバーの裏側に位置するノズル本体とを備え、
このノズル本体とノズル基端部との間を、変形及びその復元の可能な弾性材料からなる弾性材料部とすることで、
ノズル本体をノズル基端部に対して揺動可能に連結してなるものであることを特徴とするものである。
【0009】
上記ノズルを形成する方法としては、例えば、弾性材料部を予めエラストマー等により成形し、これをインサート品としてノズル全体をインサート成形し、又は、弾性材料部をインサート品としてノズル基端部又はノズル本体の一方を除いた中間体をインサート成形した後、当該中間体をノズル基端部又はノズル本体の他方に組み付ける方法が挙げられる。この場合も、同ノズルは、真直ぐな棒状に成形され、弾性材料部を基点に折り曲げることで組み付けられる。
【0010】
本発明に従えば、前記ノズル本体は、その両側に枢軸を有し、当該枢軸を着脱可能に挟持する挟持部をレバーの裏面に設けることができる。
【0011】
また、本発明に従えば、前記ノズル本体は、その両側にリブを有し、当該リブを案内して前記ノズル本体をレバーの裏側に位置決めするレール部を当該レバーに設けることもできる。
【0012】
更に、本発明に従えば、ポンプとアームとを一体成形することができる。また、本発明に従えば、アームとレバーとをヒンジを介して一体に成形することもできる。
【0013】
なお、本発明において、ノズル本体とノズル基端部との間とは、例えば、ステムの内側に形成された貫通路に通じ当該ステムに沿って垂直に起立する第1の貫通路を形作る部分と、この第1の貫通路から前方に向かって水平方向又は傾斜方向に延在して当該第1の貫通路の上端から注出口に至るまでの間に第2の貫通路を形作る部分とを接続し、その内側に、第1の貫通路と第2の貫通路とを通じさせる第3の貫通路を形作る部分をいう。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、ポンプを駆動させるステムと、このステムの押し下げを生起させるレバーとの間に介在するノズルが、ステムの上端部に固定されるノズル基端部と、注出口を有するノズル本体とを備え、このノズル本体とノズル基端部との間を、山折りと谷折りとの繰り返し構造よりなる蛇腹部、又は、変形及びその復元の可能な弾性材料からなる弾性材料部とすることで、ノズル本体がノズル基端部に対して揺動できるようにしたことから、ステムに対するノズルのセット性(組み付け作業性)、即ち、ノズルそのものの組み付け作業性に優れる。
【0015】
また、上記ノズルは、蛇腹部又は弾性材料部にて自由に折り曲げることができるため、例えば、レバーをノズルに固定して一体ものとして構成しても、ステムの押し込み及び復元の動作を妨げることがない。
【0016】
従って、本発明によれば、レバーがノズルに対して干渉する構成の場合にも、ステムの押し込み及び復元の動作を妨げることなく、組み付け作業性に優れたレバー付き流体注出器を提供することができる。
【0017】
特に、ノズルの折り曲げを蛇腹部によって実現する場合には、単一材料によって一体成形を行うことができるので、製造コストの抑制に有効である。また、ノズルの折り曲げを弾性材料部によって実現する場合には、材料の選択により、ノズルの折り曲げ感覚や、折り曲げ後の復元力等を自由に設定することができる。
【0018】
本発明に従えば、ノズル本体の両側に枢軸を設け、当該枢軸をレバーの裏面に設けた挟持部で着脱可能に挟持することができる。この場合、レバーをノズルに固定して一体ものとして構成したときも、ノズル本体がレバーに対して自由度を持つことから、ノズルに生じる不用意な応力を更に効果的に軽減させることができる。
【0019】
また、本発明に従えば、ノズル本体の両側にリブを設け、当該リブをレバーの裏側に設けたレール部で案内することにより、ノズル本体をレバーの裏側に位置決めすることもできる。この場合、容易な組み付け作業で、ノズル(ノズル本体)にぶれを生じさせることなく安定した状態に組み付けることができる。
【0020】
更に、本発明に従えば、ポンプとアームとを一体成形することで、組み付け作業性を向上させることができる。また、本発明に従えば、アームとレバーとをヒンジを介して一体に成形することでも組み付け作業性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明であるポンプ式流体注出器を詳細に説明する。
【0022】
図1(a),(b)はそれぞれ、本発明の第1の形態であるレバー付きディスペンサの正面図及び平面図である。また、図2は、図1のX−X断面図であり、図3は、レバーを操作した状態をX−X断面より示す断面図である。更に、図4(a)〜(c)はそれぞれ、同形態に係るレバーにおける後方部分の裏側を、一部切り欠いた状態で示す斜視図、同形態に係るアームの先端部を示す拡大斜視図及び同形態に係るレバーの前方部分の裏側を、一部切り欠いた状態で示す斜視図である。
【0023】
符号1は、容器の口部に装着される装着筒2を有し、口部の内側に配置されるポンプである。ポンプ1は、装着筒2の内側にシリンダ1aが固定された既存のポンプである。
【0024】
シリンダ1aの上端部には、ポンプリング1bが装着され、その内側には、図2等に示すように、プレート状の吸入バルブ1cを開閉可能に保持するポペット1dと、このポペット1dにスプリング1eを介して弾支されるピストン1fが配置されている。
【0025】
ピストン1fの上端には、ポンプリング1bを貫通して上方に向かって起立するステム1gが一体に成形されている。ステム1gの内側には、シリンダ1aとピストン1eとの間に形成されたポンプ室Rを外界に通じさせる貫通路1hが形成され、この貫通路1hの内側には、球形の排出バルブ1jが設けられている。
【0026】
ポンプ1は、ステム1gを軸線O1に沿って下向きに押し込んだとき、シリンダ1a内に配したスプリング1eの弾性力に抗した付勢力により、内容物の加圧又は圧送を生起させる一方、押し込みを解除したときのスプリング1eの復元力により、内容物の吸引と共に、押し込まれたステム1gの復帰を生起させる。即ち、ポンプ1から起立したステム1gは、その押し下げ及び復元の繰り返しによりポンプ1を駆動させる。
【0027】
符号3は、ポンプ1から斜め後方に起立するアームである。アーム3は、ポンプリング1bに装着されるベース4と一体に成形されている。なお、本形態のベース4は、ポンプリング1bに対して螺着しているが、ポンプリング1bに対する装着方法はこれに限定されるものではない。
【0028】
符号5は、アーム3の先端部3aに揺動可能に支持されるレバーである。レバー5は、その裏面に凹部5aが形成され、その内側面にはそれぞれ、図4(a)に示すように、枢軸5bが一体に設けられている。
【0029】
これに対し、アーム3の先端部3aには、図4(b)に示すように、枢軸5bが回転可能に嵌合する嵌合凹部3bが形成されている。また、本形態の先端部3aには、同図に示すように、枢軸5bを嵌合凹部3bに案内するための案内溝3cが形成されている。これにより、レバー5は、アーム3に対して容易に組み付けることができる。
【0030】
上記の構成によれば、レバー5は、図2,3に示すように、上下の方向に対してアーム3の先端部3aを基点に揺動させることができる。なお、本形態では、レバー5の裏側から突起5cが一体に垂下する。この突起5cは、レバー5を下向きに押し下げたとき、図3に示すように、アーム3に形成した座面3dと接触することで、レバー5の動きを規制するストッパとして機能する。
【0031】
符号6は、ステム1gの貫通路1hを通って汲み上げられた内容物の注出口Aを有し当該ステム1gの上端部から前方に伸びるノズルである。
【0032】
ノズル6は、ステム1gの上端部に固定され、その内側にステム1gの貫通路1hに通じる第1の貫通路を形作るノズル基端部6aと、注出口Aに通じる第2の貫通路を内側に形作りレバー5の裏側に形成された凹部5a内に位置するノズル本体6bとを備え、このノズル本体6bとノズル基端部6aとの間を、山折りと谷折りとの繰り返し構造よりなって、その内側に第1の貫通路と第2の貫通路とを通じさせる第3の貫通路を形作る蛇腹部6cとすることで、ノズル本体6bをノズル基端部6aに対して揺動可能に一体成形してなるものである。
【0033】
ノズル基端部6aは、レバー5の裏側から一体に垂下する操作片5dが摺動可能に接触する湾曲面6dを有する。この場合、操作片5dがステム1g側(下向き)に湾曲することから、湾曲面6dも、ステム1g側(下向き)に湾曲している。これにより、レバー5を下向きに押し下げると、操作片5dが湾曲面6dと接触することで、ステム1gをシリンダ1a内に押し込むことができる。なお、本形態では、ノズル基端部6aの外周にフランジ6eを設け、このフランジ6eを、図3に示すように、ポンプリング4に対して接触可能とすることで、ステム1gの押し込み量を制限している。
【0034】
ノズル本体6bは、レバー5の裏面に形成した凹部5aに収納され、その両側にそれぞれ、枢軸6fが一体に設けられている。本形態では、枢軸6fをノズル本体6bの軸線方向に沿って間隔を空けて2箇所の位置に設けている。
【0035】
これに対し、レバー5の裏面に形成した凹部5aには、図4(c)に示すように、枢軸6fを着脱可能に挟持する挟持部5eが設けられている。これにより、ノズル本体6bは、レバー5に対して自由度を持った状態で、凹部5aに収納される。
【0036】
更に、ノズル本体6bは、その外周壁に、ノズル本体6bの軸線方向に対して直交する向きに延在する外縁を有して外向きに突出するリブ6gが設けられている。本形態のリブ6gは、フランジとして構成されているが、本発明のリブ6gは、少なくともノズル本体6bの両側にそれぞれ、外向きに突出するように設けられていればよい。このため、リブ6gは、ノズル本体6bの両側から張り出して、その外縁がノズル本体6bの軸線方向に対して直交する向きに延在するフィン状のものであってもよい。
【0037】
これに対し、レバー5に形成された凹部5aの内側面には、図4(c)に示すように、リブ6gを案内してノズル本体5bを凹部5a内に位置決めする2つのリブ5fからなるレール部が設けられている。これにより、ノズル本体6bは、そのリブ6gをリブ5fの相互間に合せて、レバーの裏側に形成した凹部5a内に押し込むだけで、この凹部5a内に、ぶれを生じることなく安定した状態に組み付けられる。
【0038】
本形態では、ポンプ1を駆動させるステム1gと、このステム1gの押し下げを生起させるレバー5との間に介在するノズル6が、ステム1gの上端部に固定されるノズル基端部6aと、注出口Aを有するノズル本体6bとを備え、このノズル本体6bとノズル基端部6aとの間を、山折りと谷折りとの繰り返し構造よりなる蛇腹部6cとすることで、ノズル本体6bがノズル基端部6aに対して揺動できるように一体に成形してなるものとしたことから、ステム1gに対するノズル6のセット性(組み付け作業性)、即ち、ノズル6そのものの組み付け作業性に優れる。
【0039】
また、ノズル6は、蛇腹部6cにて自由に折り曲げることができるため、本形態のように、レバー5をノズル本体6aに固定して一体ものとして構成しても、ステム1gの押し込み及び復元の動作を妨げることがない。
【0040】
従って、本発明によれば、本形態のように、レバー5がノズル本体6aに対して干渉する構成の場合にも、ステム1gの押し込み及び復元の動作を妨げることなく、組み付け作業性に優れたレバー付き流体注出器を提供することができる。
【0041】
特に、本形態の如く、ノズル6の折り曲げを蛇腹部6cによって実現する場合には、単一材料によって一体成形を行うことができるので、製造コストの抑制に有効である。
【0042】
また、本形態の如く、ノズル本体6bの両側に枢軸6fを設け、当該枢軸6fをレバー5の裏面に設けた挟持部5eで着脱可能に挟持すれば、レバー5をノズル本体6bに固定して一体ものとして構成したときも、ノズル本体6bがレバー5に対して自由度を持つことから、ノズル6に生じる不用意な応力を更に効果的に軽減させることができる。
【0043】
また、本形態の如く、ノズル本体6bの外周壁にリブ6gを設け、当該リブ6gをレバー5の裏側に設けた2つのリブ5fの間で案内すれば、ノズル本体6をレバー5の裏側に位置決めすることもできる。この場合、容易な組み付け作業で、ノズル本体6bにぶれを生じさせることなく、当該ノズル本体6bを安定した状態に組み付けることができる。
【0044】
図5は、本発明の第2の形態を図1に係るX−X断面で示す要部断面図であり、図6は、同形態において、レバーを操作した状態を示す要部断面図である。なお、図5の二点鎖線は、レバー5をノズル本体6bから外した状態を示し、本形態の説明において、第1の形態と同一部分は、同一符号をもって、その説明を省略する。
【0045】
本形態では、アーム3とレバー5とをヒンジ7を介して一体に成形する。この場合、アーム3とレバー5とを別途、組み付ける必要がないため、組み付け作業性を向上させることができる。なお、本形態では、第1の形態で採用したリブ6g及びリブ5fを省略しているが、本形態に採用することを否定するものではない。
【0046】
また、本形態では、第1の形態で採用した突起5c及び座面3dとからなるストッパを省略し、ノズル基端部6a外周に形成したフランジ6eとポンプリング4とのステム1gの押し込み時の接触のみでレバー5の動きを規制している。
【0047】
図7は、本発明の第3の形態を図1に係るX−X断面で示す要部断面図であり、図8は、同形態において、レバーを操作した状態を示す要部断面図である。なお、図7の二点鎖線も、レバー5をノズル本体6bから外した状態を示し、本形態の説明においても、他の形態と同一部分は、同一符号をもって、その説明を省略する。
【0048】
本形態は、第1の形態の技術的思想と第2の形態の技術的思想とを組み合わせて、アーム3とレバー5とをヒンジ8を介して一体に成形すると共に、枢軸5bと嵌合凹部3bとによりアーム3に対してレバー5を揺動可能にしたものである。
【0049】
本形態では、ヒンジ8を波形構造とすることで、当該ヒンジ8に、変形及びその復元力を持たせ、弾性ヒンジとして構成している。この場合、弾性ヒンジ8は、アーム3に対してレバー5を拘束し、併せて、レバー5の押し下げに対する復元力を発揮する。なお、本形態では、第1の形態で採用したリブ6g及びリブ5fを省略しているが、本形態に採用することを否定するものではない。
【0050】
本形態では、アーム3とレバー5とが弾性ヒンジ8を介して一体に成形されていることから、アーム3とレバー5との組み付けは、個別独立したアーム3とレバー5との組み付けではないため、枢軸5bと嵌合凹部3bとによりアーム3に対してレバー5を揺動可能に組み付けるに際しての、組み付け作業性を更に向上させることができる。即ち、本形態の場合には、第1の形態よりも更に、組み付け作業性が向上する。
【0051】
また、本形態も、第1の形態で採用した突起5c及び座面3dとからなるストッパを省略し、ノズル基端部6a外周に形成したフランジ6eとポンプリング4とのステム1gの押し込み時の接触のみでレバー5の動きを規制している。
【0052】
図9は、本発明の第4の形態を図1に係るX−X断面で示す要部断面図である。なお、本形態は、第1の形態の変形例であり、以下の説明において、第1の形態と同一部分は、同一符号をもって、その説明を省略する。
【0053】
本形態では、ポンプリング1bとアーム3とを一体に成形している。この場合、ポンプリング1bにベース4を装着する作業が省略されることで、組み付け作業性を向上させることができる。
【0054】
図10は、本発明の第5の形態を図1に係るX−X断面で示す要部断面図である。なお、以下の説明においても、他の形態と同一部分は、同一符号をもって、その説明を省略する。
【0055】
本形態に係るノズル9は、ステム1gの上端部に固定されるノズル基端部9aと、注出口Aを有しレバー5の裏側に位置するノズル本体9bとを備え、このノズル本体9bとノズル基端部9aとの間を、変形及びその復元の可能なエラストマーからなる弾性材料部9cとすることで、ノズル本体9bをノズル基端部9aに対して揺動可能に一体成形してなるものである。
【0056】
本形態では、ノズル基端部9aと弾性材料部9cとが一体に成形された部分に、ノズル基端部9aと弾性材料部9cの融着部分を補強する連結リング9dが設けられている。この連結リング9dは、レバー5の裏側から一体に垂下する操作片5gが摺動可能に接触する湾曲面9eを有する。この場合、操作片5gがレバー5の裏側(上向き)に湾曲することから、湾曲面9eも、レバー5の裏側(上向き)に湾曲している。これにより、レバー5を下向きに押し下げると、操作片5gが湾曲面9eと接触することで、ステム1gをシリンダ1a内に押し込むことができる。
【0057】
なお、本形態では、湾曲面9eを連結リング9dに設けているが、連結リング9dを省略する場合も考慮すれば、ノズル基端部9aに直接設けることも可能である。また、本形態でも、ノズル基端部9aの外周にフランジ9fを設け、このフランジ9fを、他の形態と同様に、ポンプリング4に対して接触可能とすることで、ステム1gの押し込み量を制限している。
【0058】
これに対し、ノズル本体9bは、その内側に嵌合するスリーブ部材9gを介して弾性材料部9cが一体に成形されている。スリーブ部材9gを設ければ注出口Aがノズル本体9bの軸線方向に対して垂直に形成されるため、ノズル9を全て一体で成形する場合に複雑とならざるを得ない金型構造を、より簡易な構造とすることができ、成形コストを安価に抑えることが可能となる。但し、本発明によれば、スリーブ部材9gを省略することで、ノズル本体9bと弾性材料部9cとを一体成形してもよい。
【0059】
即ち、本形態に係るノズル9は、弾性材料部9cを予めエラストマーにより成形するに次いで、これをインサート品としてノズル基端部9a及びスリーブ部材9gを有する中間体をインサート成形した後、この中間体のスリーブ部材9gを介して、当該中間体をノズル本体9bに組み付けてなる。
【0060】
本形態では、ステム1gとレバー5との間に介在するノズル9が、ステム1gの上端部に固定されるノズル基端部9aと、注出口Aを有するノズル本体9bとを備え、このノズル本体9bとノズル基端部9aとの間を、変形及びその復元の可能な弾性材料からなる弾性材料部9cとすることで、ノズル本体9bがノズル基端部9aに対して揺動できるようにしたことから、ステム1gに対するノズル9のセット性(組み付け作業性)、即ち、ノズル9そのものの組み付け作業性に優れる。
【0061】
また、ノズル9も、弾性材料部9cにて自由に折り曲げることができるため、レバー5の凹部5aにノズル本体9bを収納してノズル9がレバー5に対して干渉する構成であっても、ステム1gの押し込み及び復元の動作を妨げることがない。
【0062】
従って、本発明によれば、本形態のように、レバー5がノズル9に対して干渉する構成の場合にも、ステム1gの押し込み及び復元の動作を妨げることなく、組み付け作業性に優れたレバー付き流体注出器を提供することができる。
【0063】
特に、本形態の如く、ノズル9の折り曲げを弾性材料部9cによって実現する場合には、材料の選択により、ノズル9の折り曲げ感覚や、折り曲げ後の復元力等を自由に設定することができる。なお、図10には、本発明に係る第1〜第3の貫通路に相当する部分をそれぞれ、符号11,12,13(13a,13b)として例示する。
【0064】
また、本発明は、ノズルに一体に連結した場合に、その機能を有効に発揮し得るが、本形態のように、レバー5の裏面に形成した凹部5aにノズル9を収納する構成とすることも可能であり、この場合は、レバー5をノズル9に連結することなく構成することもできる。なお、本形態に係るレバー5では、ノズル本体9bの注出口Aにレバー押圧用の窪み5hを設けると共に、その先端縁側から突起5jを一体に垂下させ、この突起5jと弾性材料部材9cの復元力によりノズル本体9bを保持している。
【0065】
上述したところは、本発明の一形態を示したに過ぎず、特許請求の範囲内において、種々の変更を加えることができる。例えば、各形態に採用された各構成はそれぞれ、互いに適宜組み合わせることができる。
【0066】
また、本発明に従うポンプ式流体注出器は、押圧ヘッドの押し込み及び復帰の繰返し動作によって容器内に負圧を発生させることで、流体の注出を可能とするものであれば、泡状の注出を伴わない乳液ディスペンサに限ることなく、その他、泡状の注出を伴うフォーマーディスペンサ等の公知のディスペンサも含むものである。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、その流体の粘性を問わずに使用することができ、例えば、液体石鹸、シャンプー、リンス等の家庭用用品や、乳液等の化粧用容器に採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】(a),(b)はそれぞれ、本発明の第1の形態であるレバー付きディスペンサの正面図及び平面図である。
【図2】図1のX−X断面図である。
【図3】同形態において、レバーを操作した状態をX−X断面より示す断面図である。
【図4】(a)〜(c)はそれぞれ、同形態に係るレバーにおける後方部分の裏側を、一部切り欠いた状態で示す斜視図、同形態に係るアームの先端部を示す拡大斜視図及び同形態に係るレバーの前方部分の裏側を、一部切り欠いた状態で示す斜視図である。
【図5】本発明の第2の形態を図1に係るX−X断面で示す要部断面図である。
【図6】同形態において、レバーを操作した状態を示す要部断面図である。
【図7】本発明の第3の形態を図1に係るX−X断面で示す要部断面図である。
【図8】同形態において、レバーを操作した状態を示す要部断面図である。
【図9】本発明の第4の形態を図1に係るX−X断面で示す要部断面図である。
【図10】本発明の第5の形態を図1に係るX−X断面で示す要部断面図である。
【符号の説明】
【0069】
1 ポンプ
1a ポンプシリンダ
1b ポンプリング
1c 吸入バルブ
1d ポペット
1e スプリング
1f ピストン
1g ステム
1h 貫通路
1j 排出バルブ
2 装着筒
3 アーム
3a アーム先端部
3b 嵌合凹部
3c 案内溝
4 ベース
5 レバー
5a レバー裏側凹部
5b 枢軸
5c ストッパ用突起
5d 操作片
5e 挟持部
5f 位置決め用リブ
5g 操作片
5h レバー押圧用窪み
5j 位置決め用突起
6 ノズル
6a ノズル基端部
6b ノズル本体
6c 蛇腹部
6d 湾曲面
6e フランジ
6f 枢軸
6g 位置決め用リブ
7 ヒンジ
8 弾性ヒンジ
9 ノズル
9a ノズル基端部
9b ノズル本体
9c 弾性材料部
9d 連結リング
9e 湾曲面
9f フランジ
9g スリーブ部材
11 第1の貫通路
12 第2の貫通路
13 第3の貫通路
13a 第3の貫通路(第2の貫通路側)
13b 第3の貫通路(注出口側)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の口部に装着される装着筒を有し口部内側に配置されるポンプと、このポンプから起立してその押し下げ及び復元の繰り返しにより当該ポンプを駆動させるステムと、このステムを通って汲み上げられた流体の注出口を有し当該ステムの上端部から前方に伸びるノズルと、ポンプから斜め後方に起立するアームと、このアームの先端に揺動可能に支持され、当該先端を基点として下向きに押し下げることにより、ステムの押し下げを生起させるレバーとを備えるレバー付き流体注出器であって、
前記ノズルは、レバーの裏側から垂下する操作片が摺動可能に接触する湾曲面を有しステムの上端部に固定されるノズル基端部と、前記注出口を有しレバーの裏側に位置するノズル本体とを備え、
このノズル本体とノズル基端部との間を、山折りと谷折りとの繰り返し構造よりなる蛇腹部とすることで、
ノズル本体をノズル基端部に対して揺動可能に一体成形してなるものであることを特徴とするレバー付き流体注出器。
【請求項2】
容器の口部に装着される装着筒を有し口部内側に配置されるポンプと、このポンプから起立してその押し下げ及び復元の繰り返しにより当該ポンプを駆動させるステムと、このステムを通って汲み上げられた流体の注出口を有し当該ステムの上端部から前方に伸びるノズルと、ポンプから斜め後方に起立するアームと、このアームの先端に揺動可能に支持され、当該先端を基点として下向きに押し下げることにより、ステムの押し下げを生起させるレバーとを備えるレバー付き流体注出器であって、
前記ノズルは、レバーの裏側から垂下する操作片が摺動可能に接触する湾曲面を有しステムの上端部に固定されるノズル基端部と、前記注出口を有しレバーの裏側に位置するノズル本体とを備え、
このノズル本体とノズル基端部との間を、変形及びその復元の可能な弾性材料からなる弾性材料部とすることで、
ノズル本体をノズル基端部に対して揺動可能に連結してなるものであることを特徴とするレバー付き流体注出器。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記ノズル本体は、その両側に枢軸を有し、当該枢軸を着脱可能に挟持する挟持部をレバーの裏面に設けたことを特徴とするレバー付き流体注出器。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項において、前記ノズル本体は、少なくとも、その両側にリブを有し、当該リブを案内して前記ノズル本体をレバーの裏側に位置決めするレール部を当該レバーに設けたことを特徴とするレバー付き流体注出器。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項において、ポンプとアームとを一体に成形したことを特徴とするレバー付き流体注出器。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項において、アームとレバーとをヒンジを介して一体に成形したことを特徴とするレバー付き流体注出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−52792(P2010−52792A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−221609(P2008−221609)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】