説明

レベリング装置

【課題】上側支持台と下側支持台との間にクサビ形状の可動体を移動可能に介装せしめてなる構造のレベリング装置において、可動体の案内機構を別途に設けることなく、上側支持台の上面と下側支持台の下面との平行度が精密に維持され得るようにすること。
【解決手段】上側支持台12とクサビ形状の可動体16と下側支持台14とを積み重ねて配置すると共に、かかる支持台12,14にそれぞれ設けられた凹溝22,32の両側壁に形成した凹所24,34にスピンドル支持体20の両側部を嵌合し、このスピンドル支持体20にて、可動体16に螺合せしめた、スピンドル18を自由回転可能に支持して、レベリング装置10を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レベリング装置に係り、特に、レベリング装置における上下面の平行精度を有利に維持することの出来る新規な構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、重量のある機械や装置等の物体を、所定の基礎上に据え付ける場合においては、それら物体と基礎面との間で、適宜の位置に、高さを調整することの出来る複数のレベリング装置を配置して、それぞれのレベリング装置の高さを調整することによって、水平レベルを出し、かかる物体の水平な据え付け等が実現され得るようになっている。
【0003】
そして、そのようなレベリング装置の一つとして、特開2006−224230号公報(特許文献1)においては、下型と、それに重ねられた中型と、この中型に重ねられた上型と、中型の後方に螺合された調整ボルトと、この調整ボルトの後端側を水平方向に軸支しながら、調整ボルトの前後方向への移動を拘束する円柱状の支柱とを備え、且つ、かかる中型の後方に、支柱を飲み込む為の飲み込み溝が設けられると共に、中型が上下に傾斜面を有する側面視クサビ状のブロックからなり、支柱の下端部が、下型の後端部に上下方向に設けられた案内孔に挿入され、支柱の上端部が、上型の後端部に上下方向に設けられた案内孔に挿入されてなる構造の高さ調整装置が、提案され、これによって、中型を前方や後方に大きく移動させた場合であっても、上型の安定性や高さ調整の精度を維持することが出来るとされている。
【0004】
しかしながら、そのような高さ調整装置にあっては、調整ボルトを軸支する円柱状の支柱が、その上下端部を上下の型に設けられた案内孔にそれぞれ挿入して、それら上下の型を連結するものであるために、その軸心周りに回動するようになるところから、そのような調整ボルトの水平方向における振れ(ブレ)を阻止して、クサビ状の中型を、上下の上型と下型に対して水平方向において一定の方向に移動させるためには、かかるクサビ状の中型を案内する機構を、上型や下型との間に、別途設ける必要があった。特に、調整ボルトによって作用せしめられるスラスト荷重が、クサビ状中型の上下面において均等な面圧となって、上型及び下型に伝達されるように、調整ボルトと円柱状の支柱とを直交させ、そして中型を水平方向において一定の方向に移動させて、上型の上面と下型の下面の平行度を精密に維持するためには、かかるクサビ状の中型の案内が必要となるのである。
【0005】
また、そのようなレベリング装置としての高さ調整装置においては、上型や下型に対して、それぞれ貫通する孔を設けて、それら貫通孔に、円柱状の支柱の上部と下部をそれぞれ挿入して、上型や下型との連結が行われているところから、装置全体としての高さを低くして、装置全体を薄くすることは、支柱の上部と下部にて、それら上型や下型との連結が行われている限りにおいて、極めて困難なことであった。
【0006】
しかも、上型や下型には、支柱が挿入される貫通孔が形成されているところから、その高さ調整装置にて支持される機械、装置等の物体からの液漏れ等によって、かかる貫通孔を通じて、液体が装置内部に侵入するという問題も、内在するものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−224230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、上側支持台と下側支持台との間に、クサビ形状の可動体を、移動可能に介装せしめてなる構造のレベリング装置において、かかる可動体を移動せしめるスピンドルを自由回転可能に支持するスピンドル支持体が回動しないようにして、可動体の案内機構を別途に設ける必要がない構造において、上側支持台の上面と下側支持台の下面との平行度が精密に維持され得るようにすることにあり、また、他の課題とすることろは、レベリング装置を薄くすることの出来る、換言すれば、その高さを低くすることの出来る、効果的な構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そして、本発明は、上記した課題を解決するために、以下に列挙せる如き各種の態様において、好適に実施され得るものであるが、また、以下に記載の各態様は、任意の組合せにて採用可能である。なお、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに何等限定されることなく、明細書全体の記載及び図面に開示の発明思想に基づいて認識され得るものであることが、理解されるべきである。
【0010】
(1) 上側支持台と下側支持台との間にクサビ形状の可動体を移動可能に介装すると共に、該可動体に対してスピンドルを螺合せしめて、該スピンドルの回転によって該可動体を移動させることにより、それら上側支持台と下側支持台との間の上下方向の距離を調整し得るようにしたレベリング装置において、
前記スピンドルが挿通されて、該スピンドルを自由回転可能に支持するブロック形状のスピンドル支持体を、前記上側支持台と前記下側支持台との間に配置すると共に、該スピンドル支持体のスピンドル挿通方向に直角な方向における両側部と、該スピンドル支持体が配置される前記上側支持台及び前記下側支持台の各々の内面部位との何れか一方に、係合凸部を形成する一方、それらの何れか他方に、係合凹部を形成して、それら係合凸部と係合凹部との嵌合によって、該スピンドル支持体が、その両側部において該上側支持台と該下側支持台とに保持、固定されるように構成し、更に前記上側支持台と前記下側支持台の側部をバネにて連結せしめたことを特徴とするレベリング装置。
(2) 前記係合凹部が、前記上側支持台及び前記下側支持台における前記スピンドル支持体の配置部位に、それぞれ配設されている一方、前記スピンドル支持体の両側部が、該係合凹部に嵌合せしめられる前記係合凸部として構成されている前記態様(1)に記載のレベリング装置。
(3) 前記上側支持台及び前記下側支持台の相対向する内面に、前記スピンドルの軸方向に延びる凹溝が、それぞれ形成されていると共に、それら凹溝の両側壁にそれぞれ上下方向に延びる凹所が、前記係合凹部として、それぞれ形成されている前記態様(2)に記載のレベリング装置。
(4) 前記スピンドル支持体が、矩形ブロック形状を呈し、その中央部に、前記スピンドルの挿通せしめられる挿通孔が貫通して設けられている前記態様(1)乃至(3)の何れか1つに記載のレベリング装置。
(5) 前記スピンドル支持体が矩形のブロック形状を有していると共に、該スピンドル支持体の前記スピンドル軸方向における何れか一方の側の面の両側部にそれぞれ設けられた段付き部によって、中央部が上下方向に延びる突起とされ、そしてこの突起が、前記上側支持台及び前記下側支持台にそれぞれ配設された凹溝の両側壁に嵌合せしめられるようになっている前記態様(3)又は(4)に記載のレベリング装置。
(6) 前記上側支持台及び前記下側支持台にそれぞれ配設された凹溝の両側壁に、前記スピンドル支持体の突起が嵌合せしめられる嵌合凹所が、それぞれ形成されている前記態様(5)に記載のレベリング装置。
(7) 前記係合凸部が、前記上側支持台及び前記下側支持台における前記スピンドル支持体の配置部位にそれぞれ配設されている一方、前記スピンドル支持体の両側面に、それぞれ、該係合凸部が嵌合せしめられる凹所が、前記係合凹部として形成されている前記態様(1)に記載のレベリング装置。
(8) 前記スピンドル支持体が矩形のブロック形状を有していると共に、該スピンドル支持体の両側面にそれぞれ上下方向に延びる凹溝が設けられて、それら凹溝にて、該スピンドル支持体の両側面に設けられる凹所が構成されている前記態様(7)に記載のレベリング装置。
【発明の効果】
【0011】
従って、このような本発明に係るレベリング装置にあっては、スピンドルを自由回転可能に支持するスピンドル支持体が、ブロック形状とされて、その両側部と、上側支持台及び下側支持台のそれぞれの内面部位とが、凹凸嵌合されて、かかるスピンドル支持体が、その両側部において、上側支持台及び下側支持台に固定、保持されているところから、スピンドル支持体の回動やスピンドルの水平方向における振れ等の動きが全く阻止され得、以て、クサビ形状の可動体に案内機構を設けなくても、可動体は、水平方向において常に一定の方向に移動せしめられ得ることとなるのであり、これによって、スピンドルのスラスト荷重を、可動体の上下面からの均等な面圧として、上側支持台と下側支持台に効果的に伝達せしめ得て、それら上側支持台と下側支持台の上下面の平行精度を、有利に維持せしめ得ることとなるのである。
【0012】
また、そのような本発明に従うレベリング装置にあっては、スピンドル支持体の両側部において、上側支持台及び下側支持台との連結部が形成されることとなるところから、スピンドル支持体の上下部に連結部を設ける構造に比して、上側支持台や下側支持台との間の高さを可及的に低減せしめることが可能となるのであり、以て、レベリング装置全体として、その厚さを薄くすることが可能となるのである。
【0013】
しかも、そのようなスピンドル支持体の両側部における上側支持台及び下側支持台との嵌合による連結構造の採用により、上側支持台や下側支持台には、スピンドル支持体を固定、保持する貫通孔を設ける必要がないところから、液漏れ等によって、そのような貫通孔を通じて装置内部に液体が侵入するような恐れも、有利に回避され得ることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に従うレベリング装置の一例を示す説明図であって、(a)、(b)及び(c)は、それぞれ、そのようなレベリング装置の高さを最低にした状態の平面説明図、(a)の右側面説明図、及び正面説明図である。
【図2】図1に示されるレベリング装置の断面説明図であって、(a)は、図1(a)におけるA−A断面説明図であり、(b)は、図2(a)におけるB−B断面説明図である。
【図3】図1に示されるレベリング装置の高さを最大にした状態を示す説明図であって、(a)、(b)及び(c)は、それぞれ、図1における(a)、(b)及び(c)に対応する説明図である。
【図4】図3(a)におけるC−C断面説明図であって、図2(a)に対応する説明図である。
【図5】図1に示されるレベリング装置に用いられている上側支持台の説明図であって、(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)は、それぞれ、その平面説明図、正面説明図、底面説明図、(a)の右側面説明図、及び(a)の左側面説明図である。
【図6】図5に示される上側支持台の断面説明図であって、(a)及び(b)は、それぞれ、図5(a)におけるD−D断面拡大説明図及びE−E断面拡大説明図である。
【図7】図1に示されるレベリング装置において用いられている下側支持台の説明図であって、(a)、(b)、(c)及び(d)は、それぞれ、平面説明図、正面説明図、(a)の右側面説明図、及び(a)の左側面説明図である。
【図8】図7に示される下側支持台の断面説明図であって、(a)及び(b)は、それぞれ、図7(a)におけるF−F断面拡大説明図及びG−G断面拡大説明図である。
【図9】図1に示されるレベリング装置において用いられている可動体を示す説明図であって、(a)、(b)、(c)及び(d)は、それぞれ、平面説明図、正面説明図、(a)の右側面説明図及び(a)の左側面説明図であり、(e)は、(a)におけるH−H断面説明図である。
【図10】図1に示されるレベリング装置に用いられているスピンドルとスピンドル支持体を示す拡大説明図であって、(a)は、スピンドルの正面説明図であり、(b)、(c)、(d)及び(e)は、それぞれ、スピンドル支持体の平面説明図、正面説明図、(c)の右側面説明図、及び(c)の左側面説明図である。
【図11】図10に示されるスピンドルとスピンドル支持体とを組み付けてなる形態を示す拡大説明図であって、(a)及び(b)は、そのような組付け体の正面説明図及び(a)の右側面説明図であり、(c)は、かかる(a)におけるI−I断面説明図である。
【図12】図1に示されるレベリング装置における、下側支持台に対するスピンドル支持体の嵌合配設形態を示す斜視説明図である。
【図13】本発明に従うレベリング装置の他の例における、下側支持台とスピンドル支持体の異なる嵌合配設形態を示す斜視説明図である。
【図14】図1に示されるレベリング装置の側面に、上側支持台と下側支持台とを弾性的に連結するバネを設けてなる形態を示す正面拡大説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の構成について、図面に示される代表的な実施形態を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0016】
先ず、図1〜図4には、本発明に従うレベリング装置の代表的な一例が、2つの作動形態において示されている。即ち、図1及び図2においては、レベリング装置10の高さを最も低くした状態が示され、また図3及び図4においては、レベリング装置10の高さを最も高くした状態が示されている。それらの図において、レベリング装置10は、上側支持台12と下側支持台14とが、それらの間のクサビ形状の可動体16を介装せしめた形態において積み重ねられ、そして可動体16に螺合せしめられたスピンドル18を、ブロック形状のスピンドル支持体20に支持させた状態で回転せしめることによって、かかる可動体16を移動させ得るようになっている。そして、この可動体16を、上側支持台12と下側支持台14との間に対して進退させることによって、上側支持台12と下側支持台14との間の上下方向の距離(高さ)を変化させ、図1〜図2に示される如き最低高さ位置や、図3〜図4に示される如き最高高さ位置を取り得るようになっており、以て、そのようなレベリング装置10の上に載置される機械、装置等の物体の所定部位の高さ調整、ひいては水平度が、従来と同様にして行われ得るようになっている。
【0017】
ところで、かかるレベリング装置10において、上側支持台12は、図5及び図6に示される如く、全体として略矩形の平面形態を呈するものであって、その上面12aは、平坦な水平面とされている一方、その下面12bが、クサビ形状の可動体16の傾斜した上面に対応した傾斜面として形成されて、対向する一辺側が薄く、他の辺側が厚くなるように構成されている。そして、上側支持台12の下面12bにおいて、スピンドル18やスピンドル支持体20が配置される内面部位に位置するように、かかる上側支持台12の厚肉部位には、スピンドル18との干渉を避けるべく、幅方向と深さ方向において段付き構造とされた所定幅の凹溝22が、スピンドル18の延びる方向(軸方向)において設けられている。また、この凹溝22の上側支持台12の端面に開口する深さの最も深い部位の両側壁に、それぞれ、溝直角方向(上側支持台12の幅方向)に入り込んだ矩形の凹所24が、凹溝22と同様な深さにおいて設けられ、更に、この凹所24の、凹溝22が開口する上側支持台12端面側の角部が、所定長さで切り欠かれて、凹所24と同様な深さの補助凹所26,26が、嵌合部として形成されている。
【0018】
また、下側支持台14は、図7及び図8に明らかにせる如く、上記した図5及び図6に示される上側支持台12と同様な平面形態と内面構造とされている。即ち、略矩形の平面形態を有する下側支持台14は、その下面14bが、平坦な水平面とされている一方、その上面14aが、可動体16の下面に対応した傾斜面とされているのである。そして、かかる下側支持台14の内面となる上面14aには、上側支持台12と同様に、スピンドル18及びスピンドル支持体20の配置される部位において、所定幅の段付き構造の凹溝32が、スピンドル18の軸方向に延びるように設けられていると共に、この凹溝32の両側壁には、スピンドル支持体20の配設部位に位置するように、それぞれ溝直角方向に延びる矩形の凹所34,34が形成され、更に、それら凹所34,34の、凹溝32が開口する下側支持台14の端面側の角部に、それぞれ、所定長さの補助凹所36,36が、嵌合部として、同様な深さにおいて、それぞれ形成されている。
【0019】
さらに、クサビ形状の可動体16は、図9に示されている如く、その上面16aと下面16bとが、それぞれ水平面に対して同一の傾斜角度をもって傾斜する傾斜面にて形成されて、略矩形の平面形状において対応する一辺側から他の辺側に、漸次厚さが薄くなる、断面がクサビ状の形態において、形成されている。そして、この可動体16の薄肉部における中心部位には、段付き形状の矩形の切欠き部42が設けられていると共に、この切欠き部42の中央部において、更に厚肉部側に切り込まれた切欠き奥部44が、形成されている。また、この切欠き奥部44の中央に開口するように、可動体16の厚肉部から薄肉部に向かって延びる中心線上に位置して、可動体16を貫通するネジ穴46が設けられて、このネジ穴46に、後述するスピンドル18のネジ部18aが螺入せしめられ得るようになっている。
【0020】
加えて、スピンドル18と、それが挿通、支持されるブロック形状のスピンドル支持体20は、図10の(a)及び(b)〜(e)に、それぞれ示されている。そこにおいて、スピンドル18は、(a)に示される如く、所定長さのネジ部18aと、その一端に一体に設けられてなる六角形状の操作部18bとから、構成されている。そして、かかる操作部18bを工具にて回転せしめることにより、スピンドル18がその軸周りに回転させられることとなるのであるが、そのような操作部18bの外周面に工具を外挿して回転させる方法の他、操作部18bの中心部に六角穴を形成して、そこに工具を挿入し、回転させる方法も、採用可能である。また、スピンドル支持体20は、(b)〜(c)に示される如く、全体として矩形のブロック形状を呈し、その中心部を通って貫通する挿通孔52が設けられており、この挿通孔52に、スピンドル18のネジ部18aが、自由回転可能に挿通せしめられるようになっている。なお、かかるスピンドル支持体20の挿通孔52が開口する一方の面側に、その両側部において上下方向に延びる段部54,54が形成されて、それらの間の中央部が側方に突出した形態の突起56が、上下方向に延びる形態において設けられている。
【0021】
また、それらスピンドル18とスピンドル支持体20とは、次のようにして組み付けられることとなる。即ち、図11に示される如く、スピンドル支持体20の両側に、スラスト軸受62,62と平座金64,64とをそれぞれ配して、スピンドル18を挿通し、更に、六角ナット66を、スピンドル18のネジ部18aに螺合して、この六角ナット66を、スピンドル18のネジ部18aに溶接固定せしめることにより、スピンドル18がスピンドル支持体20にて自由回転可能に支持されてなる構造の組付け体60が、構成されるのである。
【0022】
そして、かくの如きスピンドル18とスピンドル支持体20との組付け体60を用い、そのスピンドル18のネジ部18aを、可動体16のネジ穴46に、可動体16の切欠き部42側から螺入せしめる一方、かかる可動体16の上面16a側には、上側支持台12の下面12aを対向するようにして重ね合わせ、更に、可動体16の下面16b側には、下側支持台14の上面14aを対向させるようにして、重ね合わせて、スピンドル支持体20の、スピンドル軸心に直角な方向で且つ水平な方向の両側部が、上側支持台12における凹溝22の両側壁に設けた凹所24,24と下側支持台14における凹溝32の両側壁に設けた凹所34,34とに、それぞれ嵌合せしめられることにより、スピンドル支持体20が、その両側部において、上側支持台12と下側支持台14とに保持、固定せしめられるようにすることにより、図1〜図4に示される如き組付け構造のレベリング装置10が、完成されるのである。
【0023】
なお、そのようなレベリング装置10の組立て作業において、スピンドル支持体20の両側部と、上側支持台12の凹所24,24や下側支持台14の凹所34,34との嵌合は、例えば、図12において下側支持台14の凹所34,34との嵌合の形態として示される如く、スピンドル支持体20の両側部の下部側において、下側支持台14の凹所34,34に、それぞれ嵌合せしめられる一方、スピンドル支持体20の両側部の上部部位において、上側支持台12の凹所24,24に嵌合せしめられることとなるのである。そして、その際、スピンドル支持体20の側面において突出する突起56は、上側支持台12や下側支持台14における凹所24,24;34,34の一方の開口部に設けた補助凹所26,26;36,36に、それぞれ嵌合せしめられて、スピンドル支持体20、ひいてはスピンドル18のレベリング装置10幅方向の移動が阻止され得るようになっている。特に、それら突起56と補助凹所26,26;36,36との嵌合は、本実施形態の如く、凹所24,24;34,34とスピンドル支持体20の側面との間に隙間が存在するような場合において、有効である。なお、上側支持台12や下側支持台14の内面(内側)部位に設けられた段付き構造の凹溝22,32は、スピンドル18を、それら上側支持台12と下側支持台14との間に配置した際に、それらの間の接触(干渉)を回避するために設けられている肉抜き部である。
【0024】
従って、このような構造のレベリング装置10にあっては、ブロック形状のスピンドル支持体20が、その両側部において、上側支持台12と下側支持台14に対して凹凸嵌合せしめられて、固定されているところから、そのようなスピンドル支持体20が、回動するようなことは全くなく、また、スピンドル支持体20に挿通されたスピンドル18を回転させて、可動体16の進入・退出(退去)を行っても、スピンドル18が水平方向において振れるようなことがないところから、可動体16は、水平方向において常に一定の方向に移動せしめられ得、以て、上側支持台12の上面12aと、下側支持台14の下面14bとの平行度の精度を高く維持することが出来るのである。
【0025】
すなわち、かかるレベリング装置10においては、スピンドル18を回転せしめて、可動体16を外方に退出せしめて、図1及び図2に示される如き、最も低い高さの状態としたり、或いは、スピンドル18の、上記とは逆方向の回転によって、可動体16を上側支持台12と下側支持台14との間に進入せしめて、図3及び図4に示される如き、最も高い高さの状態とする際に、スピンドル18を支持するスピンドル支持体20が、その両側部における凹凸嵌合にて回動することなく、スピンドル18を、その軸方向が常に一定となる状態にて固定、保持しているところから、可動体16を一定の方向に導くようにするガイドを別途に設ける必要がない特徴を有しているのであり、それによって、平行精度を維持する上において、装置構造的にも、その簡略化を有利に実現し得ることとなるのである。
【0026】
しかも、かかるレベリング装置10の構造によれば、スピンドル18を支持するスピンドル支持体20が、その両側部において、上側支持台12と下側支持台14に嵌合、固定されて、連結せしめられるようになっているところから、従来の如きスピンドルを支持する円柱状の支柱の上部と下部において、上側支持台と下側支持台に連結せしめる形態に比べて、そのような支柱の上部連結部や下部連結部の高さ部分は、少なくとも省略し得て、その高さを低くすることが出来るところから、レベリング装置10の全体としての高さを可及的に減ずることが出来ることとなるのである。
【0027】
また、そのような実施形態のレベリング装置10においては、図5や図7から明らかな如く、上側支持台12や下側支持台14には、貫通孔が何等設けられるものではないところから、換言すれば、それら上側支持台12や下側支持台14とスピンドル支持体20との連結に、それら支持台12,14に貫通孔を設ける必要がないところから、レベリング装置10内部への液体の侵入の問題も、有利に回避され得ることとなるのである。
【0028】
以上、本発明の代表的な実施形態について詳述してきたが、それは、あくまでも、例示に過ぎないものであって、本発明は、そのような実施形態に係る具体的な記述によって、何等、限定的に解釈されるものではないことが、理解されるべきである。
【0029】
例えば、スピンドル18との螺合により移動せしめられる可動体16は、上例では、その上面16aと下面16bとがそれぞれ傾斜面とされてなる、両面クサビ形状とされているが、それら上面16a及び下面16bのうちの何れか一方のみが傾斜面とされてなる、片面クサビ形状とすることも可能である。そして、そのような片面クサビ形状が採用される場合にあっては、可動体16に設けられた傾斜面に対向する側の上側支持台12又は下側支持台14の対向面のみが、それに対応した傾斜面とされることとなる。
【0030】
また、例示の実施形態においては、スピンドル支持体20の両側部が、係合凸部とされている一方、上側支持台12や下側支持台14の内面部位に設けられた凹溝22,32の両側部の凹所24,24;34,34が、係合凹部として構成されているが、これとは逆に、スピンドル支持体20側に係合凹部を形成する一方、上側支持台12及び下側支持台14の各々の内面部位に、係合凸部を形成することも可能である。
【0031】
具体的には、図13に例示される如く、スピンドル支持体20’の両側部に、それぞれ上下方向に延びる矩形の角溝58,58が係合凹部として形成されている一方、下側支持台14’におけるスピンドル支持体20’が配設される内面部位に設けられた段付きの凹溝22’の両側壁から、それぞれ所定長さで突出する、相対向する平面矩形形態の突起28,28が、係合凸部として形成されている。
【0032】
そして、そこでは、下側支持台14’における凹溝22’の両側壁に設けられた突起28,28が、スピンドル支持体20’の両側部に設けられた角溝58,58に、それぞれ凹凸嵌合せしめられることにより、スピンドル支持体20’は、下側支持台14’に固定、保持せしめられることとなるのであり、また、上側支持台(12)側においても、下側支持台14’と同様な構造において、スピンドル支持体20’に対して凹凸嵌合されて固定、保持せしめられることによって、スピンドル支持体20’の挿通孔52’に挿通せしめられたスピンドル18の支持が、先の実施形態と同様にして、効果的に行われ得ることとなる。
【0033】
さらに、例示のレベリング装置10においては、それを構成する上側支持台12と下側支持台14とが、スピンドル支持体20との凹凸嵌合にて連結されてなる構造とされているところから、上側支持台12を把持して持ち上げたりすると、上側支持台12のみが分離する恐れがあるところから、それら上側支持台12と下側支持台14とを、更に適当な連結手段にて連結せしめることが望ましく、例えば、図14に示される如く、上側支持台12と下側支持台14とを、その両側部において、それぞれ、適当な個数のキャッチ用バネ70にて連結せしめることが望ましい。なお、ここでは、キャッチ用バネ70は、W型形状を呈し、その2本が、それぞれの端部において、上側支持台12と下側支持台14にネジ止めされて、連結されてなる構造が採用されている。
【0034】
更にまた、図11に示される組付け体60においては、スピンドル支持体20に設けた突起56が、スピンドル18の操作部18b側に位置するように組み付けられているが、これとは逆に、スピンドル18のネジ部18a自由端側に位置するように組み付けることも可能である。その場合においては、そのような突起56が嵌合せしめられる、嵌合部としての補助凹所26,26;36,36は、凹溝34,24;34,34の開口部の凹溝22,32奥側の角部に形成されることとなる。
【0035】
なお、そのようなスピンドル支持体20に設けた突起56が嵌合せしめられる嵌合部は、例示の如き補助凹所26,26;36,36に限られるものではなく、凹溝22,32の側壁そのものを利用することも可能であり、更には凹溝22,32の側壁面に内方突出部を一体的に設けて、それを嵌合部として利用することも可能である。
【0036】
また、レベリング装置10を構成する上側支持台12、下側支持台14、可動体16等には、一般に、鋳鉄製品が用いられることとなるが、これに限定されるものではなく、他の金属製品や加工品を用いることが出来る。
【0037】
加えて、図示は省略するが、例示のレベリング装置10においては、上側支持台12と下側支持台14との間には、それぞれの傾斜面によって薄肉とされた部位間において、大きな間隙が形成されるようになるところから、それら上側支持台12と下側支持台14の両側部において、垂下部や立上り部を一体的に設けて、それら上側支持台12と下側支持台14との間隙を可及的に狭くすることが、レベリング装置10の取扱い上において、有利となることとなる。
【0038】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、そして、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、何れも、本発明の範疇に属するものであることは、言うまでもないところである。
【符号の説明】
【0039】
10 レベリング装置
12 上側支持台
14 下側支持台
16 可動体
18 スピンドル
18a ネジ部
18b 操作部
20 スピンドル支持体
22 凹溝
24 凹所
26 補助凹所
28 突起
32 凹溝
34 凹所
36 補助凹所
42 切欠き部
44 切欠き奥部
46 ネジ穴
52 挿通孔
54 段部
56 突起
60 組付け体
62 スラスト軸受
64 平座金
66 六角ナット


【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側支持台と下側支持台との間にクサビ形状の可動体を移動可能に介装すると共に、該可動体に対してスピンドルを螺合せしめて、該スピンドルの回転によって該可動体を移動させることにより、それら上側支持台と下側支持台との間の上下方向の距離を調整し得るようにしたレベリング装置において、
前記スピンドルが挿通されて、該スピンドルを自由回転可能に支持するブロック形状のスピンドル支持体を、前記上側支持台と前記下側支持台との間に配置すると共に、該スピンドル支持体のスピンドル挿通方向に直角な方向における両側部と、該スピンドル支持体が配置される前記上側支持台及び前記下側支持台の各々の内面部位との何れか一方に、係合凸部を形成する一方、それらの何れか他方に、係合凹部を形成して、それら係合凸部と係合凹部との嵌合によって、該スピンドル支持体が、その両側部において該上側支持台と該下側支持台とに保持、固定されるように構成し、更に前記上側支持台と前記下側支持台の側部をバネにて連結せしめたことを特徴とするレベリング装置。
【請求項2】
前記係合凹部が、前記上側支持台及び前記下側支持台における前記スピンドル支持体の配置部位に、それぞれ配設されている一方、前記スピンドル支持体の両側部が、該係合凹部に嵌合せしめられる前記係合凸部として構成されている請求項1に記載のレベリング装置。
【請求項3】
前記上側支持台及び前記下側支持台の相対向する内面に、前記スピンドルの軸方向に延びる凹溝が、それぞれ形成されていると共に、それら凹溝の両側壁にそれぞれ上下方向に延びる凹所が、前記係合凹部として、それぞれ形成されている請求項2に記載のレベリング装置。
【請求項4】
前記スピンドル支持体が、矩形ブロック形状を呈し、その中央部に、前記スピンドルの挿通せしめられる挿通孔が貫通して設けられている請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載のレベリング装置。
【請求項5】
前記スピンドル支持体が矩形のブロック形状を有していると共に、該スピンドル支持体の前記スピンドル軸方向における何れか一方の側の面の両側部にそれぞれ設けられた段付き部によって、中央部が上下方向に延びる突起とされ、そしてこの突起が、前記上側支持台及び前記下側支持台にそれぞれ配設された凹溝の両側壁に嵌合せしめられるようになっている請求項3又は請求項4に記載のレベリング装置。
【請求項6】
前記上側支持台及び前記下側支持台にそれぞれ配設された凹溝の両側壁に、前記スピンドル支持体の突起が嵌合せしめられる嵌合凹所が、それぞれ形成されている請求項5に記載のレベリング装置。
【請求項7】
前記係合凸部が、前記上側支持台及び前記下側支持台における前記スピンドル支持体の配置部位にそれぞれ配設されている一方、前記スピンドル支持体の両側面に、それぞれ、該係合凸部が嵌合せしめられる凹所が、前記係合凹部として形成されている請求項1に記載のレベリング装置。
【請求項8】
前記スピンドル支持体が矩形のブロック形状を有していると共に、該スピンドル支持体の両側面にそれぞれ上下方向に延びる凹溝が設けられて、それら凹溝にて、該スピンドル支持体の両側面に設けられる凹所が構成されている請求項7に記載のレベリング装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2012−132566(P2012−132566A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−9932(P2012−9932)
【出願日】平成24年1月20日(2012.1.20)
【分割の表示】特願2010−263740(P2010−263740)の分割
【原出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(592063401)株式会社ナベヤ (28)
【Fターム(参考)】