レンズアセンブリー
【課題】光学的ローパスフィルターのような方向性を有するフィルターの設置方向の微調整を容易に行なうことができるカメラを実現するためのレンズアセンブリーを提供すること。
【解決手段】カメラ用レンズアセンブリーは、レンズと、該レンズを保持するレンズホルダーと、該レンズホルダーに、少なくとも部分的に回動自在に装着され、前記レンズとデジタルカメラの撮像素子の間に配置される、方向性を有するフィルターとを具備する。
【解決手段】カメラ用レンズアセンブリーは、レンズと、該レンズを保持するレンズホルダーと、該レンズホルダーに、少なくとも部分的に回動自在に装着され、前記レンズとデジタルカメラの撮像素子の間に配置される、方向性を有するフィルターとを具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、方向性を有するフィルターを具備するレンズアセンブリーに関する。
【背景技術】
【0002】
光学的ローパスフィルター(OLPF)は、デジタルカメラにより撮像される像のモアレを除去するために用いられるものであり、デジタルカメラにはなくてはならないものである。従来のデジタルカメラでは、OLPF又はOLPFを保持するフレームを、デジタルカメラのCCDを保持するCCDホルダーに接着剤又はテープにより固着していた。すなわち、従来のデジタルカメラでは、OLPFはCCD側に固着されていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
OLPFは方向性を有しているため、適切な方向に位置合わせした後に撮像素子ホルダー(以下CCDホルダーと呼ぶ)に固着されている。しかしながら、OLPFの位置合わせは微妙な調節を必要とするため、OLPFを最適な方向に合わせてCCDホルダーに固着することは必ずしも容易ではない。デジタルカメラを組立てた後にOLPFの方向が最適でないことがわかる場合もあるが、デジタルカメラを組立てた後では既にOLPFが固着されているので、再度最適な方向に合わせることは困難である。また、カメラを組立てた後に、OLPFのCCD側の面に埃が付着していることがわかった場合でも、その埃を除去することは困難である。
【0004】
従って、本発明の目的は、OLPFのような方向性を有するフィルターの設置方向の微調整を容易に行なうことができるカメラを実現するためのレンズアセンブリーを提供することである。さらに、本発明の目的は、カメラを組立てた後に前記フィルターに埃が付着していることがわかった場合でも容易に埃を除去することができるカメラを実現するためのレンズアセンブリーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明者らは、鋭意研究の結果、OLPFを、従来のようにデジタルカメラの撮像素子側に固着するのではなく、レンズ側に回動自在に装着することにより、容易にその設置方向を微調整できることに想到し本発明を完成した。また、OLPFをレンズ側に着脱自在に装着することにより、カメラを組立てた後に前記フィルターに埃が付着していることがわかった場合でも容易に埃を除去することができることに想到した。
【0006】
すなわち、本発明は、レンズと、該レンズを保持するレンズホルダーと、該レンズホルダーに、少なくとも部分的に回動自在に装着され、前記レンズとデジタルカメラの撮像素子の間に配置される、方向性を有するフィルターとを具備する、カメラ用レンズアセンブリーを提供する。また、本発明は、上記本発明のレンズアセンブリーにおいて、前記フィルターを着脱自在に装着したレンズアセンブリーを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のレンズアセンブリーを具備するカメラでは、OLPFのような方向性を有するフィルターが、レンズホルダーに少なくとも部分的に回動自在に装着されているので、フィルターの方向合わせを容易に行なうことができる。特に、カメラをモニターに接続し、モニターを見ながらフィルターの方向合わせを行なうことが可能になる。また、該フィルターを着脱自在にレンズホルダーに装着した場合には、カメラを組立てた後に前記フィルターに埃が付着していることがわかった場合でも容易に埃を除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
上記の通り、本発明のレンズアセンブリーは、方向性を有するフィルターを具備することを特徴とする。ここで、「方向性を有するフィルター」とは、該フィルターを通過する光の光路にフィルターを配置して光を通過させた状態で、フィルターを該フィルターの面内で回転させることにより、フィルターを通過する光の何らかの光学的特性が変化するフィルターを意味する。方向性を有するフィルターの例として、OLPF、偏光フィルター及び逆光補正フィルターを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。これらのうち、光学的ローパスフィルターが好ましい。なお、当然ながら、カメラ内では、方向性を有するフィルターは、レンズとCCD又は感光フィルムとの間に配置される。
【0009】
レンズアセンブリーは、通常のカメラに採用されている従来のレンズアセンブリーと同様、レンズホルダーを具備し、該レンズホルダーに1枚又は複数枚のレンズが保持される。なお、本発明において、「レンズアセンブリー」は、少なくとも1枚のレンズと、それを保持するレンズホルダーを具備するものを意味する。上記方向性を有するフィルターは、該レンズホルダーに少なくとも部分的に回動自在に装着される。ここで、「回動自在」とは、人力を加えることによりどちらの方向にも回転させることができるという意味であり、「少なくとも部分的に回動自在」とは、360度(1回転)回動自在か又は360度未満の角度だけ回動自在であることを意味する。フィルターの方向性は、通常、設置する前からわかっているので、フィルターを回動させる最大角度は、通常、30度〜90度程度あれば十分である。
【0010】
方向性を有するフィルターは、レンズホルダーに着脱自在に装着されることが好ましい。そうすることにより、カメラを組立てた後にフィルターに埃等が付着していることがわかった場合でも、容易にその埃等を除去することができる。方向性を有するフィルターを、少なくとも部分的に回動自在、かつ、着脱自在にレンズホルダーに装着することは、例えば、図2に基づいて後述するように、方向性を有するフィルターを、略円筒状フィルターホルダー内に保持し、一方、レンズホルダーに略円筒状のフィルター装着部を設け、前記フィルターホルダーを、該フィルター装着部に少なくとも部分的に回動自在に嵌着又は螺着することにより容易に達成することができる。なお、嵌着又は螺着する場合、カメラを組立てた後に振動等によりフィルターが勝手に回動することを防止するために、指である程度力を入れなければフィルターホルダーが回動しないように緊密に嵌着又は螺着することが好ましい。あるいは、フィルターを最適方向に設定した後、フィルターホルダーが回動しないように、フィルターホルダーをフィルター装着部に固定ネジ等により固定してもよい。
【0011】
好ましい1具体例では、フィルターホルダーの側面に少なくとも1つの貫通孔を設け、前記フィルター装着部を、該フィルターホルダーに外接する略円筒状とし、該フィルター装着部の側面には前記フィルターホルダーに設けられた前記貫通孔と連通する貫通溝を設け、前記貫通孔と該貫通溝とに同時に調節ピンを挿入し、この調節ピンを指で光軸を中心として回動させることにより、前記フィルターホルダーひいては前記方向性を有するフィルターを回動させることができる。この態様において、図3及び図4に基づいて後述するように、PCB(印刷回路基板)ホルダー(CCD を搭載したPCBを収容する)がフィルター装着部に嵌着される場合には、PCBホルダーの円筒状部材の側面は、前記フィルターホルダーに設けられた前記貫通孔及び前記フィルター装着部に設けられた前記貫通溝と連通する貫通溝を形成し、前記円筒状部材は、前記フィルター装着部に固定してもよい。この場合には、前記調節ピンは、フィルターホルダー側面に設けられた貫通孔、レンズホルダーのフィルター装着部に設けられた貫通溝、及びPCBホルダーの円筒状部材に設けられた貫通溝を貫通するように挿入される。
【0012】
上記フィルターホルダー内には、方向性を有さない他のフィルターをさらに保持してもよい。このような方向性を有さない他のフィルターとしては、光吸収フィルターや、赤外線カットフィルターのような反射フィルターを例示することができるがこれらに限定されるものではない。これらの方向性を有さない他のフィルターは、1枚でも複数枚でもよく、複数種類のものを組み合わせてもよい。
【0013】
上記した方向性を有するフィルターを具備すること以外は、本発明のレンズアセンブリーは、従来から周知のレンズアセンブリーと同様の構成を有する。
【0014】
本発明の好ましい態様では、前記方向性を有するフィルターがOLPFであり、カメラがデジタルカメラである。本発明のレンズアセンブリーを具備するカメラの構成は、レンズアセンブリーとして上記本発明のレンズアセンブリーを用いる点を除き、従来のカメラと全く同様である。すなわち、筐体内に前記レンズアセンブリーとCCD又は感光フィルムを設置し、レンズの全面にはシャッターを配置した通常の構成のものであってよい。
【0015】
本発明のレンズアセンブリーを用いてカメラを組立てる際には、方向性を有するフィルターをレンズホルダーに装着し、レンズアセンブリーをカメラ筐体に設置した後、必要に応じてフィルターを光軸の回りに手動により回動させて微調整を行なう。微調整は、当該カメラで写真をとってその状態を観察し、必要があればフィルターを回動させるという作業を繰り返して、フィルターを最適な方向に設置することにより行なうことができる。デジタルカメラの場合には、CCDをモニターに接続し、モニターを見ながらリアルタイムでフィルターを回動させながら微調整することが効率的で好ましい。フィルターを最適な方向に設置すれば、その方向を維持したままカメラの筐体を閉じる。
【0016】
以下、図面に基づき、本発明の好ましい具体例をさらに詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明のレンズアセンブリーの好ましい1具体例の斜視図であり、図2は、図1に示すレンズアセンブリーの分解組立図である。本発明の1具体例になるレンズアセンブリー10は、レンズ12を内部に保持するレンズホルダー14を具備する。レンズ12は、1枚でも複数枚でもよく、通常、複数枚である。レンズホルダー14の後側(具体例の記述において、カメラの前面側(シャッターを設ける側)を「前側」、「前」等と記載することがあり、その反対側を「後側」、「後」等と記載することがある)には、略円筒状のフィルター装着部20が設けられている。一方、方向性を有するフィルター16は、略円筒状のフィルターホルダー18内の後端部に保持される。フィルターホルダー18の側面には、図2に示すようにネジ溝が形成されている。フィルター装着部20の内面には、前記ネジ溝に対応するネジ溝が形成されている(図示せず)。そして、フィルターホルダー18がフィルター装着部20内に挿入、螺着され、それによって、フィルター16がレンズホルダー14に装着される。フィルターホルダー18の後端部の外周には、指でつまみ易いように光軸方向に多数の突起を形成したつまみ部18’が形成されている。フィルターホルダー18を、フィルター装着部20に螺着した後、つまみ部18’を指でつまんでフィルターホルダー18を図2に示す矢印方向に回して、フィルター16の設置方向を調節する。
【0018】
図3は、本発明のレンズアセンブリーの好ましい他の1具体例の斜視図であり、図4は、図3に示すレンズアセンブリーの分解組立図である。図1及び図2に示す具体例と同一の部材には同一の参照番号を付してある。図4に示すように、フィルターホルダー18の側面には複数の貫通孔22が設けられている。一方、フィルター装着部20の側面には、貫通溝24が形成されている。貫通溝24は、フィルターホルダー18がフィルター装着部20に螺着された際に、少なくとも1つの貫通孔22と連通できるだけの周方向の長さを有する。図4には、レンズアセンブリーに加え、PCBホルダー32も描かれている。PCBホルダー32は、フィルター装着部20に外接して嵌着される略円筒状の部材26と、CCDを搭載したPCB(以下、単に「PCB」)34を収容するPCB収容部材36とを具備し、円筒状部材26とPCB収容部材36とは固着され又は一体に形成されている。なお、PCBホルダー32は、通常のデジタルカメラに採用されているものである。フィルター装着部20を円筒状部材26内に嵌挿することにより、円筒状部材26がフィルター装着部20に装着される。円筒状部材26の側面にも貫通溝28が形成されており、円筒状部材26がフィルター装着部20に装着された状態で、該貫通溝28、前記貫通溝24及び少なくとも1個の前記貫通孔22が連通する。この状態で、調節ピン30を貫通溝28、貫通溝24及び1個の貫通孔22に貫通させ、この調節ピン30を指でつまんで、図4の矢印に示すように回すことにより、フィルターホルダー18、ひいてはフィルター16を光軸の回りに回転させ、フィルター16の方向を調節する。この具体例では、レンズアセンブリー10とPCBホルダー32を連結した後でもフィルター16の方向を調節することができ便利である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のレンズアセンブリーの好ましい1具体例の斜視図である。
【図2】図1に示す1具体例の分解組立図である。
【図3】本発明のレンズアセンブリーの好ましい他の1具体例の斜視図である。
【図4】図3に示す1具体例の分解組立図である。
【符号の説明】
【0020】
10 レンズアセンブリー
12 レンズ
14 レンズホルダー
16 方向性を有するフィルター
18 フィルターホルダー
20 フィルター装着部
22 貫通孔
24 貫通溝
26 円筒状部材
28 貫通溝
30 調節ピン
32 PCBホルダー
34 CCD搭載PCB
36 PCB収容部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、方向性を有するフィルターを具備するレンズアセンブリーに関する。
【背景技術】
【0002】
光学的ローパスフィルター(OLPF)は、デジタルカメラにより撮像される像のモアレを除去するために用いられるものであり、デジタルカメラにはなくてはならないものである。従来のデジタルカメラでは、OLPF又はOLPFを保持するフレームを、デジタルカメラのCCDを保持するCCDホルダーに接着剤又はテープにより固着していた。すなわち、従来のデジタルカメラでは、OLPFはCCD側に固着されていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
OLPFは方向性を有しているため、適切な方向に位置合わせした後に撮像素子ホルダー(以下CCDホルダーと呼ぶ)に固着されている。しかしながら、OLPFの位置合わせは微妙な調節を必要とするため、OLPFを最適な方向に合わせてCCDホルダーに固着することは必ずしも容易ではない。デジタルカメラを組立てた後にOLPFの方向が最適でないことがわかる場合もあるが、デジタルカメラを組立てた後では既にOLPFが固着されているので、再度最適な方向に合わせることは困難である。また、カメラを組立てた後に、OLPFのCCD側の面に埃が付着していることがわかった場合でも、その埃を除去することは困難である。
【0004】
従って、本発明の目的は、OLPFのような方向性を有するフィルターの設置方向の微調整を容易に行なうことができるカメラを実現するためのレンズアセンブリーを提供することである。さらに、本発明の目的は、カメラを組立てた後に前記フィルターに埃が付着していることがわかった場合でも容易に埃を除去することができるカメラを実現するためのレンズアセンブリーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明者らは、鋭意研究の結果、OLPFを、従来のようにデジタルカメラの撮像素子側に固着するのではなく、レンズ側に回動自在に装着することにより、容易にその設置方向を微調整できることに想到し本発明を完成した。また、OLPFをレンズ側に着脱自在に装着することにより、カメラを組立てた後に前記フィルターに埃が付着していることがわかった場合でも容易に埃を除去することができることに想到した。
【0006】
すなわち、本発明は、レンズと、該レンズを保持するレンズホルダーと、該レンズホルダーに、少なくとも部分的に回動自在に装着され、前記レンズとデジタルカメラの撮像素子の間に配置される、方向性を有するフィルターとを具備する、カメラ用レンズアセンブリーを提供する。また、本発明は、上記本発明のレンズアセンブリーにおいて、前記フィルターを着脱自在に装着したレンズアセンブリーを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のレンズアセンブリーを具備するカメラでは、OLPFのような方向性を有するフィルターが、レンズホルダーに少なくとも部分的に回動自在に装着されているので、フィルターの方向合わせを容易に行なうことができる。特に、カメラをモニターに接続し、モニターを見ながらフィルターの方向合わせを行なうことが可能になる。また、該フィルターを着脱自在にレンズホルダーに装着した場合には、カメラを組立てた後に前記フィルターに埃が付着していることがわかった場合でも容易に埃を除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
上記の通り、本発明のレンズアセンブリーは、方向性を有するフィルターを具備することを特徴とする。ここで、「方向性を有するフィルター」とは、該フィルターを通過する光の光路にフィルターを配置して光を通過させた状態で、フィルターを該フィルターの面内で回転させることにより、フィルターを通過する光の何らかの光学的特性が変化するフィルターを意味する。方向性を有するフィルターの例として、OLPF、偏光フィルター及び逆光補正フィルターを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。これらのうち、光学的ローパスフィルターが好ましい。なお、当然ながら、カメラ内では、方向性を有するフィルターは、レンズとCCD又は感光フィルムとの間に配置される。
【0009】
レンズアセンブリーは、通常のカメラに採用されている従来のレンズアセンブリーと同様、レンズホルダーを具備し、該レンズホルダーに1枚又は複数枚のレンズが保持される。なお、本発明において、「レンズアセンブリー」は、少なくとも1枚のレンズと、それを保持するレンズホルダーを具備するものを意味する。上記方向性を有するフィルターは、該レンズホルダーに少なくとも部分的に回動自在に装着される。ここで、「回動自在」とは、人力を加えることによりどちらの方向にも回転させることができるという意味であり、「少なくとも部分的に回動自在」とは、360度(1回転)回動自在か又は360度未満の角度だけ回動自在であることを意味する。フィルターの方向性は、通常、設置する前からわかっているので、フィルターを回動させる最大角度は、通常、30度〜90度程度あれば十分である。
【0010】
方向性を有するフィルターは、レンズホルダーに着脱自在に装着されることが好ましい。そうすることにより、カメラを組立てた後にフィルターに埃等が付着していることがわかった場合でも、容易にその埃等を除去することができる。方向性を有するフィルターを、少なくとも部分的に回動自在、かつ、着脱自在にレンズホルダーに装着することは、例えば、図2に基づいて後述するように、方向性を有するフィルターを、略円筒状フィルターホルダー内に保持し、一方、レンズホルダーに略円筒状のフィルター装着部を設け、前記フィルターホルダーを、該フィルター装着部に少なくとも部分的に回動自在に嵌着又は螺着することにより容易に達成することができる。なお、嵌着又は螺着する場合、カメラを組立てた後に振動等によりフィルターが勝手に回動することを防止するために、指である程度力を入れなければフィルターホルダーが回動しないように緊密に嵌着又は螺着することが好ましい。あるいは、フィルターを最適方向に設定した後、フィルターホルダーが回動しないように、フィルターホルダーをフィルター装着部に固定ネジ等により固定してもよい。
【0011】
好ましい1具体例では、フィルターホルダーの側面に少なくとも1つの貫通孔を設け、前記フィルター装着部を、該フィルターホルダーに外接する略円筒状とし、該フィルター装着部の側面には前記フィルターホルダーに設けられた前記貫通孔と連通する貫通溝を設け、前記貫通孔と該貫通溝とに同時に調節ピンを挿入し、この調節ピンを指で光軸を中心として回動させることにより、前記フィルターホルダーひいては前記方向性を有するフィルターを回動させることができる。この態様において、図3及び図4に基づいて後述するように、PCB(印刷回路基板)ホルダー(CCD を搭載したPCBを収容する)がフィルター装着部に嵌着される場合には、PCBホルダーの円筒状部材の側面は、前記フィルターホルダーに設けられた前記貫通孔及び前記フィルター装着部に設けられた前記貫通溝と連通する貫通溝を形成し、前記円筒状部材は、前記フィルター装着部に固定してもよい。この場合には、前記調節ピンは、フィルターホルダー側面に設けられた貫通孔、レンズホルダーのフィルター装着部に設けられた貫通溝、及びPCBホルダーの円筒状部材に設けられた貫通溝を貫通するように挿入される。
【0012】
上記フィルターホルダー内には、方向性を有さない他のフィルターをさらに保持してもよい。このような方向性を有さない他のフィルターとしては、光吸収フィルターや、赤外線カットフィルターのような反射フィルターを例示することができるがこれらに限定されるものではない。これらの方向性を有さない他のフィルターは、1枚でも複数枚でもよく、複数種類のものを組み合わせてもよい。
【0013】
上記した方向性を有するフィルターを具備すること以外は、本発明のレンズアセンブリーは、従来から周知のレンズアセンブリーと同様の構成を有する。
【0014】
本発明の好ましい態様では、前記方向性を有するフィルターがOLPFであり、カメラがデジタルカメラである。本発明のレンズアセンブリーを具備するカメラの構成は、レンズアセンブリーとして上記本発明のレンズアセンブリーを用いる点を除き、従来のカメラと全く同様である。すなわち、筐体内に前記レンズアセンブリーとCCD又は感光フィルムを設置し、レンズの全面にはシャッターを配置した通常の構成のものであってよい。
【0015】
本発明のレンズアセンブリーを用いてカメラを組立てる際には、方向性を有するフィルターをレンズホルダーに装着し、レンズアセンブリーをカメラ筐体に設置した後、必要に応じてフィルターを光軸の回りに手動により回動させて微調整を行なう。微調整は、当該カメラで写真をとってその状態を観察し、必要があればフィルターを回動させるという作業を繰り返して、フィルターを最適な方向に設置することにより行なうことができる。デジタルカメラの場合には、CCDをモニターに接続し、モニターを見ながらリアルタイムでフィルターを回動させながら微調整することが効率的で好ましい。フィルターを最適な方向に設置すれば、その方向を維持したままカメラの筐体を閉じる。
【0016】
以下、図面に基づき、本発明の好ましい具体例をさらに詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明のレンズアセンブリーの好ましい1具体例の斜視図であり、図2は、図1に示すレンズアセンブリーの分解組立図である。本発明の1具体例になるレンズアセンブリー10は、レンズ12を内部に保持するレンズホルダー14を具備する。レンズ12は、1枚でも複数枚でもよく、通常、複数枚である。レンズホルダー14の後側(具体例の記述において、カメラの前面側(シャッターを設ける側)を「前側」、「前」等と記載することがあり、その反対側を「後側」、「後」等と記載することがある)には、略円筒状のフィルター装着部20が設けられている。一方、方向性を有するフィルター16は、略円筒状のフィルターホルダー18内の後端部に保持される。フィルターホルダー18の側面には、図2に示すようにネジ溝が形成されている。フィルター装着部20の内面には、前記ネジ溝に対応するネジ溝が形成されている(図示せず)。そして、フィルターホルダー18がフィルター装着部20内に挿入、螺着され、それによって、フィルター16がレンズホルダー14に装着される。フィルターホルダー18の後端部の外周には、指でつまみ易いように光軸方向に多数の突起を形成したつまみ部18’が形成されている。フィルターホルダー18を、フィルター装着部20に螺着した後、つまみ部18’を指でつまんでフィルターホルダー18を図2に示す矢印方向に回して、フィルター16の設置方向を調節する。
【0018】
図3は、本発明のレンズアセンブリーの好ましい他の1具体例の斜視図であり、図4は、図3に示すレンズアセンブリーの分解組立図である。図1及び図2に示す具体例と同一の部材には同一の参照番号を付してある。図4に示すように、フィルターホルダー18の側面には複数の貫通孔22が設けられている。一方、フィルター装着部20の側面には、貫通溝24が形成されている。貫通溝24は、フィルターホルダー18がフィルター装着部20に螺着された際に、少なくとも1つの貫通孔22と連通できるだけの周方向の長さを有する。図4には、レンズアセンブリーに加え、PCBホルダー32も描かれている。PCBホルダー32は、フィルター装着部20に外接して嵌着される略円筒状の部材26と、CCDを搭載したPCB(以下、単に「PCB」)34を収容するPCB収容部材36とを具備し、円筒状部材26とPCB収容部材36とは固着され又は一体に形成されている。なお、PCBホルダー32は、通常のデジタルカメラに採用されているものである。フィルター装着部20を円筒状部材26内に嵌挿することにより、円筒状部材26がフィルター装着部20に装着される。円筒状部材26の側面にも貫通溝28が形成されており、円筒状部材26がフィルター装着部20に装着された状態で、該貫通溝28、前記貫通溝24及び少なくとも1個の前記貫通孔22が連通する。この状態で、調節ピン30を貫通溝28、貫通溝24及び1個の貫通孔22に貫通させ、この調節ピン30を指でつまんで、図4の矢印に示すように回すことにより、フィルターホルダー18、ひいてはフィルター16を光軸の回りに回転させ、フィルター16の方向を調節する。この具体例では、レンズアセンブリー10とPCBホルダー32を連結した後でもフィルター16の方向を調節することができ便利である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のレンズアセンブリーの好ましい1具体例の斜視図である。
【図2】図1に示す1具体例の分解組立図である。
【図3】本発明のレンズアセンブリーの好ましい他の1具体例の斜視図である。
【図4】図3に示す1具体例の分解組立図である。
【符号の説明】
【0020】
10 レンズアセンブリー
12 レンズ
14 レンズホルダー
16 方向性を有するフィルター
18 フィルターホルダー
20 フィルター装着部
22 貫通孔
24 貫通溝
26 円筒状部材
28 貫通溝
30 調節ピン
32 PCBホルダー
34 CCD搭載PCB
36 PCB収容部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズと、該レンズを保持するレンズホルダーと、該レンズホルダーに、少なくとも部分的に回動自在に装着され、前記レンズとCCD又は感光フィルムとの間に配置される、方向性を有するフィルターとを具備する、カメラ用レンズアセンブリー。
【請求項2】
前記方向性を有するフィルターが光学的ローパスフィルター、偏光フィルター及び逆光補正フィルターから成る群より選ばれる少なくとも1種である請求項1記載のレンズアセンブリー。
【請求項3】
前記方向性を有するフィルターが光学的ローパスフィルターであり、前記カメラがデジタルカメラである請求項2記載のレンズアセンブリー。
【請求項4】
前記方向性を有するフィルターが、前記レンズホルダーに着脱可能に装着される請求項1ないし3のいずれか1項に記載のレンズアセンブリー。
【請求項5】
前記方向性を有するフィルターが、略円筒状のフィルターホルダー内に保持され、該フィルターホルダーが、前記レンズホルダーに設けられた略円筒状のフィルター装着部に少なくとも部分的に回動自在に嵌着又は螺着される請求項4記載のレンズアセンブリー。
【請求項6】
前記フィルターホルダーの側面には少なくとも1つの貫通孔が設けられ、前記フィルター装着部は該フィルターホルダーに外接する略円筒状であり、該フィルター装着部の側面には前記フィルターホルダーに設けられた前記貫通孔と連通する貫通溝が設けられている請求項5記載のレンズアセンブリー。
【請求項7】
方向性を有さない1又は2以上のフィルターをさらに具備する請求項1ないし6のいずれか1項に記載のレンズアセンブリー。
【請求項8】
前記方向性を有さないフィルターが光吸収フィルター又は反射フィルターである請求項7記載のレンズアセンブリー。
【請求項9】
前記反射フィルターが赤外線カットフィルターである請求項8記載のレンズアセンブリー。
【請求項1】
レンズと、該レンズを保持するレンズホルダーと、該レンズホルダーに、少なくとも部分的に回動自在に装着され、前記レンズとCCD又は感光フィルムとの間に配置される、方向性を有するフィルターとを具備する、カメラ用レンズアセンブリー。
【請求項2】
前記方向性を有するフィルターが光学的ローパスフィルター、偏光フィルター及び逆光補正フィルターから成る群より選ばれる少なくとも1種である請求項1記載のレンズアセンブリー。
【請求項3】
前記方向性を有するフィルターが光学的ローパスフィルターであり、前記カメラがデジタルカメラである請求項2記載のレンズアセンブリー。
【請求項4】
前記方向性を有するフィルターが、前記レンズホルダーに着脱可能に装着される請求項1ないし3のいずれか1項に記載のレンズアセンブリー。
【請求項5】
前記方向性を有するフィルターが、略円筒状のフィルターホルダー内に保持され、該フィルターホルダーが、前記レンズホルダーに設けられた略円筒状のフィルター装着部に少なくとも部分的に回動自在に嵌着又は螺着される請求項4記載のレンズアセンブリー。
【請求項6】
前記フィルターホルダーの側面には少なくとも1つの貫通孔が設けられ、前記フィルター装着部は該フィルターホルダーに外接する略円筒状であり、該フィルター装着部の側面には前記フィルターホルダーに設けられた前記貫通孔と連通する貫通溝が設けられている請求項5記載のレンズアセンブリー。
【請求項7】
方向性を有さない1又は2以上のフィルターをさらに具備する請求項1ないし6のいずれか1項に記載のレンズアセンブリー。
【請求項8】
前記方向性を有さないフィルターが光吸収フィルター又は反射フィルターである請求項7記載のレンズアセンブリー。
【請求項9】
前記反射フィルターが赤外線カットフィルターである請求項8記載のレンズアセンブリー。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図2】
【図3】
【図4】
【公開番号】特開2007−192923(P2007−192923A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−9013(P2006−9013)
【出願日】平成18年1月17日(2006.1.17)
【出願人】(504378353)株式会社 ADL (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月17日(2006.1.17)
【出願人】(504378353)株式会社 ADL (3)
【Fターム(参考)】
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