説明

レンズメータ

【課題】 上下幅の狭いフレームに枠入れされている累進レンズの近用部を効率的且つ正確に測定できるレンズメータを提供する。
【解決手段】 眼鏡レンズの光学特性を測定するためのレンズメータにおいて、光学特性を測定するためにレンズに測定光束を投光する光源と,測定光束を受光する受光素子と,を有する測定光学系と、測定光束の少なくとも一部が通る孔を持つレンズ載置台と、レンズが枠入れされている眼鏡フレーム又はフレームに枠入れされているレンズを当接させてその動きを制限させるための,レンズ載置台に対して近寄る方向及び遠ざかる方向にスライド可能なフレーム支持部材と、レンズ載置台と前記フレーム支持部材との所定の近接状態である所定の位置関係に基づいてフレームの下部及び/又はレンズの下端を検知する検知手段と、検知手段による検知結果を報知する報知手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象レンズである眼鏡レンズの光学特性を測定するためのレンズメータに関する。
【背景技術】
【0002】
測定光束をレンズに投光し,レンズを透過した測定光束を受光素子で受光することによってレンズの光学特性を得るレンズメータが知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。このようなレンズメータを用いて眼鏡フレームに枠入れされているレンズを測定する場合、検者は、測定光学系の測定光軸が通る(測定光束の少なくとも一部が通る)孔を持つノーズピースとも呼ばれるレンズ載置台上にレンズを配置する(載せる)。そして、フルリムフレーム等の場合はレンズが枠入れされているフレームを、リムレスフレーム等の場合はフレームに枠入れされているレンズを、レンズ載置台に対して近寄る方向(前方向)及び遠ざかる方向(後方向)にスライド(移動)可能なフレーム支持部材に当接させてその動きを制限させる。そして、この状態を維持したままフレーム支持部材とフレーム及びレンズとを移動させることにより、レンズの所期する箇所(位置又は領域)を測定する。このような測定動作により、遠近の累進レンズ(累進屈折力レンズ)であっても、遠用部及び近用部の位置と加入度数とを測定できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−126151公報
【特許文献2】特開2006−292650公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、カニ目フレームと呼ばれる上下幅の狭いフレームが登場してきており、このようなフレームに累進レンズを枠入れする場合が増えてきている。このようなフレームに累進レンズを枠入れすると、累進レンズは下部に近用部があるため、フレームの形状(いわゆる玉型)に加工されたレンズの下方(眼鏡を装用した状態での下方をいう)のコバ(下端)付近に近用部が位置してしまう(近用部の下部が欠けて(欠落して)しまう場合もある)。このため、前記のようなレンズメータでレンズの下端の近用部を測定しようとすると、フレーム支持部材がレンズ載置台に接触(干渉)してしまい、それ以上フレーム支持部材(フレーム及びレンズ)を前方向に移動できず、上手く近用部を測定できないことがある。また、レンズがレンズ載置台上から外れ易くなる。
【0005】
本発明は、前記従来技術の課題に鑑み、上下幅の狭いフレームに枠入れされている累進レンズの近用部を効率的且つ正確に測定できるレンズメータを提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は、以下のような構成を有することを特徴とする。
(1) 眼鏡レンズの光学特性を測定するためのレンズメータにおいて、
前記光学特性を測定するために前記レンズに測定光束を投光する光源と,前記測定光束を受光する受光素子と,を有する測定光学系と、
前記測定光束の少なくとも一部が通る孔を持つレンズ載置台と、
前記レンズが枠入れされている眼鏡フレーム又は前記フレームに枠入れされている前記レンズを当接させてその動きを制限させるための,前記レンズ載置台に対して近寄る方向及び遠ざかる方向にスライド可能なフレーム支持部材と、
前記レンズ載置台と前記フレーム支持部材との所定の近接状態である所定の位置関係に基づいて前記フレームの下部及び/又は前記レンズの下端を検知する検知手段と、
前記検知手段による検知結果を報知する報知手段と、
を有する、ことを特徴とする。
(2) (1)のレンズメータにおいて、
前記レンズ載置台を収納するために前記フレーム支持部材の前面に形成されている開口を有し、
前記検知手段は、前記開口内に前記レンズ載置台が収納される又は収納された所定位置を検出するセンサを含む、ことを特徴とする。
(3) (2)のレンズメータにおいて、
前記フレーム支持部材の前面から突出せずに略同一な平面となるような前面を持つ,前記開口に嵌合可能なパッドと、
前記開口に嵌合する方向と前記開口から分離する方向とに前記パッドを移動可能にする移動機構と、
前記移動機構による前記パッドの前記開口から分離する方向への移動を規制する規制機構と、
前記規制機構による前記パッドの前記開口から分離する方向への移動の規制を解除する解除機構と、
を有し、
前記センサは、前記解除機構による前記パッドの前記開口から分離する方向への移動の規制が解除される位置を検出し、
前記検知手段は、前記センサの検出結果に基づいて前記フレームの下部及び/又は前記レンズの下端を検知する、ことを特徴とする。
(4) (1)〜(3)の何れかのレンズメータにおいて、
前記報知手段は、前記レンズを前記測定光学系に対してアライメントするための情報を表示するモニタと、前記レンズを模したレンズマークと前記測定光学系による測定基準位置を示す第1マークと前記レンズの近用部を示す第2マークとを前記モニタに表示させ,前記検知手段が前記フレーム下部及び/又は前記レンズ下端を検知した場合に前記第1マーク及び前記第2マークの各上下方向位置とを略一致させて表示させる制御手段と、を有する、ことを特徴とする。
(5) (4)のレンズメータにおいて、
前記制御手段は、前記検知手段が前記フレーム下部及び/又は前記レンズ下端を検知した場合に前記レンズマークを変化させて表示させる、
ことを特徴とする。
(6) (1)〜(5)の何れかのレンズメータにおいて、
前記レンズは、下方に近用部を持つ累進レンズであり、
装置の測定モードを累進レンズ測定モードに設定する設定手段と、
累進レンズ測定モードにおいて,前記検知手段が前記フレーム下部及び/又は前記レンズ下端を検知すると前記近用部の光学特性を取得する演算手段と、
を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、上下幅の狭いフレームに枠入れされている累進レンズの近用部を効率的且つ正確に測定できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態のレンズメータの概略外観図である。レンズメータ100は、測定光学系10(図2参照)の一部(本実施形態では測定光束の受光光学系)を収納すると共に上部にレンズ載置台4が配置されている第1収納部1、液晶ディスプレイ等で構成されている報知手段である表示部2、操作信号等を入力するために表示部2に表示される設定手段であるスイッチ部3、フレーム支持部材5、測定光学系10の一部(本実施形態では測定光束の投光光学系)を収納すると共に下部にレンズ押え7及び印点ユニット8が配置されている第2収納部6、データ読み込み用のリードスイッチ9a、装置の電源のON/OFFを切換えるための電源スイッチ9b、等を備えている。なお、第1収納部1に投光光学系が収納されていると共に、第2収納部6に受光光学系が収納されていてもよい。
【0009】
表示部2には、測定情報、アライメント情報、等が表示される。表示部2は、タッチパネル機能を有しており、スイッチ部3の操作によって装置が測定するレンズの種類(単焦点レンズ、累進レンズ、等)の切換え(測定モードの切換え(設定))等が行われる。なお、表示部2がタッチパネル機能を持たず、スイッチ部3が表示部2の周辺等に設けられていてもよい。
【0010】
レンズ載置台4は、筒状の部材であり、筒の円形孔内には、測定光学系10の測定光軸MAが通っている(詳細は後述する)。測定対象レンズLEを測定する場合には、レンズLEがレンズ載置台4の孔の上に配置される(載せられる)。
【0011】
フレーム支持部材5は、レンズ載置台4に対して近寄る方向(前方向)及び遠ざかる方向(後方向)(図1中矢印A方向)にスライド(移動)可能に配置されている。フルリムフレームである眼鏡フレームFに枠入れされている眼鏡レンズLEの測定では、フレーム支持部材5にフレームFの下端(フレームF及びレンズLEの上下とは、眼鏡装用時の上下をいう)が当接されることにより、フレームFを安定して保持できる。このため、レンズLEの乱視軸角度がずれることがなくフレームFを移動でき、レンズLEの乱視軸角度を精度良く測定できる。同様に、レンズLEが遠近の累進レンズである場合には、その遠用部及び近用部を精度良く測定できる。なお、リムレスフレームに枠入れされている眼鏡レンズLEの測定では、フレーム支持部材5にレンズLEの下方のコバ(下端)が当接される。後記の説明では、フルリムフレームであるフレームFに枠入れされているレンズLEの測定について説明する。
【0012】
レンズ押え7は、レンズ載置台4の上方に配置されており、レンズ押え7が降ろされることにより、レンズ載置台4上のレンズLEを安定して保持できる。印点ユニット8は、レンズ載置台4の上方に配置されており、印点ユニット8が降ろされることにより、レンズ載置台4上のレンズLEにマーキング(印点)が施される。
【0013】
スイッチ9aは、これが押されることにより、測定値が表示部2にホールド表示されると共に、測定値が装置内部のメモリ21(図2参照)に記憶される。
【0014】
図2は、本装置の光学系及び制御系の概略構成図である。測定光学系10の測定光軸MA上には、各光学部材が配置されている。測定光学系10は、発光ダイオード等の測定用光源11、コリメータレンズ12、全反射ミラー13、等を備えている投光光学系と、多数の測定用指標(点指標)が形成されている測定用指標板14、受光素子である二次元受光センサ(イメージセンサ)15、等を備えている受光光学系と、からなっている。指標板14は、レンズ載置台4の孔内で装置本体の指標板保持部材16によって保持されており、指標板14の上方にレンズ載置台4の開口4aが位置している。開口4aは、直径約8mmの円形である。また、レンズ載置台4の下部には、外側に突出するフランジ4bが形成されている(詳細は後述する)。
【0015】
図3は、指標板14の概略外観図である。指標板14の外径は、ノーズピース4の開口4aの内径よりやや大きくなっている。指標板14には、レンズLEがレンズ載置台4上で移動されずに開口4a内のレンズLEの光学特性分布を一度に(同時に)測定するための測定用指標パターンが形成されている。本実施形態では、指標は、測定光軸MAが通る指標板14の中心位置に配置(形成)された直径約0.4mmの大孔(中心指標)14aと、孔14aの周りに格子状に配置(形成)された直径約0.2mmの多数の小孔(周辺指標)14bと、からなる。孔14bは、約0.5mmピッチで格子状に分布されている。孔14aは、孔14bの対応関係(位置関係)を特定するための基準指標である。すなわち、中心指標(孔14a)は、レンズLEが測定光路(測定光学系による測定光束の光路)上に置かれていない状態(「0D(ディオプタ)基準」状態)の各周辺指標(孔14b)に対して、レンズLEが測定光路上に置かれた状態の各周辺指標(孔14b)を特定するための基準指標である。
【0016】
光源11からの測定光束は、コリメータレンズ12によって平行光束とされ、ミラー13によって反射され、レンズ載置台4上に配置されているレンズLEに投光される。レンズLEを透過した光束の内、開口4aと指標板14の孔14a及び/又は14bとを通過した光束が、受光センサ15に入射する(受光センサが指標の像を受像する)。
【0017】
受光センサ15からの出力信号(受光信号)は、演算手段及び制御手段である演算制御ユニット(演算制御部)20に入力される。演算制御ユニット20は、レンズLEが測定光路上に置かれていない場合に受光センサ15が受像した各指標像(孔14a及び/又は14bの像)の座標位置を基準位置にし、ある屈折力等を持つレンズLEが測定光路上に置かれた場合に受光センサ15が受像した各指標像(孔14a及び/又は14bの像)の座標位置の基準位置に対する変化(指標パターンの像の位置変化)に基づき、開口4aに対応するレンズLEの測定領域内の複数の測定位置での光学特性(球面度数S、乱視度数C、乱視軸角度A、プリズム度数Δ、等)の分布を求める。なお、レンズLEの光学特性(光学特性分布)の測定については、特開2003−75296、特開2006ー292650、等に開示されている技術が利用できる。
【0018】
例えば、レンズLEの光学中心を中心とする測定領域内の光学特性分布を得る場合(レンズLEの光学中心が測定光軸MAにアライメントされている場合)、測定光軸MAを中心とした5個×5個(25個)、7個×7個(49個)、等の指標像が使用されることにより、レンズLEの光学中心を中心とする測定領域内の光学特性分布が精度良く得られる。すなわち、演算制御ユニット20は、中心指標(孔14a)の像を中心とした5個×5個等の指標像の中で隣り合う3個又は4個の指標像を1指標像組とし、全指標像組での各光学特性の分布を得る。
【0019】
このような測定光学系10により、開口4aに対応するレンズLEの測定領域内の光学特性分布が得られる。このため、レンズLEが遠近の累進レンズである場合の測定においては、現在の測定領域内に遠用部、累進帯(累進部)及び近用部の何れがあるかが効率良く検知できる。演算制御ユニット20は、受光センサ15からの出力信号(受光信号)に基づき、測定領域内の光学特性分布を所定の時間間隔毎に連続的に得、メモリ21に記憶させる。
【0020】
また、演算制御ユニット20には、表示部2(スイッチ部3)、スイッチ9a及び9b、測定光学系10の光源11及び受光センサ15、メモリ21、フレーム支持部材5の前後方向の位置を検出する位置検出手段であるエンコーダ57(詳細は後述する)、等が接続されている。演算制御ユニット20は、レンズLEの測定光学系に対するアライメント状態の検出結果に基づき、表示部2に表示されるアライメント情報を制御する。また、演算制御ユニット20は、表示部2に表示される測定情報を制御する。
【0021】
次に、フレーム支持部材5及びレンズ押え7の構成について説明する。図4は、フレーム支持部材5の分解図である。また、図5(a)及び(b)は、レンズ載置台4、フレーム支持部材5及びレンズ押え7の側方断面図である。
【0022】
フレーム支持部材5は、フレームFが当接される平面を前面に持つ当接部51、当接部51の移動方向をガイドするために第1収納部1によって支持される(第1収納部1の上方に位置する)凹部52、当接部51内(当接部51の前面よりも後方)にレンズ載置台4を収納するための開口53、開口53の左右両側に形成されてパッド61(詳細は後述する)の前方への移動を規制するストッパ54、当接部51の移動方向をガイドするために当接部51から後方に延びるガイドシャフト55、等を備えている。
【0023】
凹部52は、当接部51の中央下部に形成されており、第1収納部1の上部の横幅と同じか若干大きい横幅を持っている。また、開口53は、パッド61が嵌合された場合には当接部51の前面が平面になるような前面を持っている。従って、開口53は、当接部51の中央部でフレームFが当接されるような位置で、且つ、当接部51の前方への移動によってレンズ載置台4が収納される位置に形成されている。なお、開口53の下部(下方)には、フランジ4bを収納するための空間Sが形成されている。ガイドシャフト55は、フレーム支持部材5の移動方向(前後方向)に沿って延びている。
【0024】
また、フレーム支持部材5は、フレームFの鼻当てが当接される鼻当て支持部材50を備えている。鼻当て支持部材50は、フレーム支持部材5に対して左右方向に移動可能にフレーム支持部材5によって保持されている。
【0025】
本実施形態のパッド部60は、開口53に嵌合する方向と開口53から分離する方向とにパッド61を移動可能にする移動機構、パッド61の開口53から分離する方向への移動を規制する規制機構、規制機構によるパッド61の開口53から分離する方向への移動の規制を解除する解除機構、等を備えている。
【0026】
パッド部60は、開口53に嵌合された場合に当接部51の前面の一部を形成する前面を持つ(当接部51の前面が平面になるような前面を持っている)パッド61、ストッパ54に当接することによってパッド61がそれ以上前方に移動しないようにするためにパッド61の側部から左右両側に延びる凸部62、パッド61の後面から後方に延びる第1規制部材63、上下方向(略垂直方向)に移動可能な第2規制部材64、第2規制部材64の下部に回転可能に保持されている回転部材であるローラ65、ローラ65を第2規制部材64に固定するためのピン66、パッド61を前方に付勢する付勢部材であるバネ67a、第2規制部材64を下方に付勢する付勢部材であるバネ67b、パッド61、第2規制部材64、バネ67a、バネ67b、等を後方から保持してパッド部60をフレーム支持部材5(当接部51)に固定するための背面板68、背面板68をフレーム支持部材5(当接部51)に固定するためのネジ69、等を備えている。なお、本実施形態では、凸部62はパッド61の左右両側に設けられているが、少なくとも左右一方にあればよい。また、左右両方又は一方ではなく上方でもよい。また、凸部62の位置に伴ってストッパ54の位置が定められていればよい。
【0027】
パッド61は、フレームFが当接された場合にフレームFの位置(姿勢)がずれないように平板状に形成されている。凸部62は、ストッパ54に当接することにより、バネ67aによる前方への付勢があってもパッド61(の前面)が当接部51の前面から突出しないように形成されている。言い換えると、ストッパ54及び凸部62は、当接部51とパッド61とを略同一平面にする役割を持っている。第1規制部材63は、パッド61の後面の中央部に配置されており、パッド61の前面が当接部51の前面と略一致したときに第2規制部材64の前板部64aに当接する長さとされている。第2規制部材64は、前板部64a、前板部64aと上部で繋がっている後板部64b、ローラ65がピン66によって固定されるローラ保持部64c、等を備えている。前板部64aは、第1規制部材63と当接することにより、パッド61を後方に移動させない(規制する)役割を持っている。前板部64aが上方に移動して(詳細は後述する)第1規制部材63の後方から外れると、第1規制部材63(パッド61)は後方に移動可能となる。そして、第1規制部材63は、後板部64bに当接するまで後方に移動する。従って、第1規制部材63が後板部64bに当接するまで後方に移動する距離が、パッド61が開口63から分離して後方に移動する距離となる。ローラ65は、ローラ保持部64cに回転可能に保持されている。バネ67aは、パッド61に対して左右(横方向)に2本配置されており、一端がパッド61に固定(保持)されており、他端が背面板68に固定(保持)されている。バネ67bは、第2規制部材64に対して縦方向に1本配置されており、一端が第2規制部材64に固定(保持)されており、他端が背面板68に固定(保持)されている。背面板68は、第2規制部材64の上下方向の移動をガイドするために上下方向に延びるガイド溝、バネ67a及び67bの各固定部、ネジ69を通すための孔、等を備えている。
【0028】
フレーム支持部材5は、第1収納部1上に載せられて前後方向(図4中矢印B方向)にスライド(移動)される。ガイドシャフト55の後部には、ガイドシャフト55に当接する(ガイドシャフト55の第1係合部に係合する第2係合部を持っている)ローラ56と、ローラ56の回転量を検出するエンコーダ57と、が設けられている。フレーム支持部材5(当接部51)の移動に伴ってガイドシャフト55が移動し、ガイドシャフト55の移動量がエンコーダ57によって検出され、その検出信号が演算制御ユニット20に送られる。これにより、フレーム支持部材5の位置(移動量)が演算制御ユニット20によって把握される。フレーム支持部材5の位置情報(移動情報)は、遠近の累進レンズLEの遠用部から近用部までの距離、等の測定に用いられる。また、累進レンズLEの測定(累進レンズ測定モード)におけるサブ測定モードの切換え(設定)にも用いられる。なお、ガイドシャフト55の位置(移動量)は、周知の機構によって検出するものであってもよい。
【0029】
レンズ押え(レンズ押え部材)7は、レンズLEに当接される少なくとも3つのパッド71、パッド71を保持するパッド保持部材72、パッド保持部材72を前後方向(図4中矢印B方向)に移動可能に支持するレンズ押え支持部材73、レンズ押え支持部材73に接続されていると共に第2収納部6の下部に固定されているアーム74、レンズ押え支持部材73内に配置されてパッド保持部材72を後方に付勢する付勢部材であるバネ75、バネ75によって後方に付勢されているパッド保持部材72が所定の状態(パッド71が測定光軸MAを囲む状態)となるようにパッド保持部材72の後方への移動を規制するストッパ、等を備えている。バネ75は、パッド71がレンズLEを保持した状態を維持できる程度の付勢力であり、パッド71(パッド保持部材72)がフレーム支持部材5(当接部51)の前方への移動によって共に前方に移動できる程度の付勢力を持っている。
【0030】
次に、第2規制部材64の上下方向への移動と、パッド61の後方への移動の規制と規制の解除と、について説明する。図5(a)は、パッド61の後方への移動の規制状態を示しており、図5(b)は、パッド61の後方への移動の規制の解除状態を示している。
【0031】
図5(a)に示されているように、フレーム支持部材5が第1収納部1に載せられている場合、凹部52の下面と第1収納部1の上面とは当接している。すなわち、フレーム支持部材5は、第1収納部1上をスライド(移動)することとなる。このとき、ローラ65は、空間S内に位置している。従って、第2規制部材64は下方に位置した状態となり、第1規制部材63の後部が前板部64aに当接した状態となる。この状態では、第1規制部材63は、後方に移動できないことなり、パッド61の後方への移動が規制されることとなる。
【0032】
図5(a)の状態から、さらに、フレーム支持部材5が前方に移動されると、レンズ載置台4がパッド61に当接するようになる(図示は略す)。このとき、フランジ4bが空間S内に入り、ローラ65がフランジ4b上に載り上げる。ローラ65が上方に移動することにより、第2規制部材64(前板部64a)も上方に移動し、第1規制部材63の後部から前板部64aが外れる。これにより、パッド61の後方への移動の規制が解除され、パッド61は、レンズ載置台4に押されて後方に移動する。このとき、レンズ押え7のパッド71及びパッド保持部72は、フレーム支持部材5の前方への移動に伴って前方に移動される。なお、パッド71は、レンズLEを上方から押えた状態を維持している。
【0033】
さらに、フレーム支持部材5が前方に移動されると、図5(b)に示されているように、第1規制部材63が後板部64bに当接し、これ以上後方に移動できないように止められる。従って、パッド61は、開口53内でこれ以上後方に移動できなくなる。このように、パッド61が図5(b)の状態に到ることにより、開口53内にレンズ載置台4が収納される。
【0034】
このようにして、第2規制部材64の上下方向への移動により、パッド61の後方への移動の規制と規制の解除とが行われる。すなわち、前述されている移動機構、規制機構及び解除機構がパッド部60に備わっていることとなる。
【0035】
なお、パッド61の後方への移動距離(可動範囲)は、前板部64aと後板部64bとの間の前後方向の距離によって定められている。すなわち、パッド61の後方への移動距離は、レンズ載置台4を収納する空間の奥行方向の長さ(深さ)となる。本実施形態では、フレーム支持部材5(当接部51)が開口4aに僅かに(1mm程度)掛かるような長さとされている。なお、フレーム支持部材5が開口4aに掛からない(被らない)程度の長さとされていてもよい。
【0036】
また、パッド61の後方への移動の規制を解除する位置は、フランジ4bの大きさ(外側に突出する長さ)と、ローラ65の位置と、によって定められている。本実施形態では、当接部51(パッド61)の前面がレンズ載置台4に当接する寸前でパッド61の後方への移動の規制が解除されるようになっている。すなわち、当接部61(パッド61)の前面がレンズ載置台4に当接する寸前に、ローラ65がフランジ4b上に載り上げ始めるように、フランジ4bの大きさとローラ65の位置とが定められている。具体的には、フレーム支持部材5の移動方向(前後方向)においてレンズ載置台4の中心(開口4aの中心、測定光軸MA)とフレーム支持部材5(パッド61)の前面との距離が約4mmとなった位置でパッド61の規制が解除されるように、ローラ65の位置等が定められている。
【0037】
次に、サブ測定モードの切換え(設定)について説明する。本実施形態では、演算制御ユニット20は、累進レンズLEの測定(累進レンズ測定モード)において、エンコーダ57の検出信号に基づき、装置のサブ測定モードを第1サブ測定モードと第2サブ測定モードとの何れかに切換える(第1サブ測定モードと第2サブ測定モードとの何れかを設定する)。エンコーダ57によって検出されたフレーム支持部材5の位置は、フレーム支持部材5とレンズ載置台4の間の距離が所定の関係となった位置(所定位置)であり、フレーム支持部材5に上下幅の広いフレームFを当接させた状態で移動させ、開口4a上にレンズLEの下端付近が位置する状態に対応する位置である。具体的には、パッド61の後方への移動の規制が解除される位置であり、レンズ載置台4からフレーム支持部材5までの距離が約4mmとなった位置である。本実施形態では、フレーム支持部材5がレンズ載置台4の中心から約4mmの位置に到ると、開口4aにフレーム支持部材5が掛る直前の位置関係となる。
【0038】
ここで、累進レンズLEの測定(累進レンズ測定モード)におけるサブ測定モードについて説明する。第1サブ測定モードは、開口4aにフルリムフレームFの下部(リムレスフレームの場合はレンズLEの下端、以下同じ)が掛かった場合に、現在測定中又は前段階での測定結果を近用部の光学特性(加入度数等)として得、それを表示部2に表示し、測定状態を終了させるモードである。一方、第2サブ測定モードは、開口4aにフレームFの下部(又はレンズLEの下端)が掛かった場合に、現在測定中又は前段階での測定結果を近用部の光学特性(加入度数等)として得、それを表示部2に表示するものの、測定状態を維持する(測定を終了させない)モードである。
【0039】
演算制御ユニット20は、エンコーダ57の検出信号を経時的に得、フレーム支持部材5とレンズ載置台4との距離が4mm以下(又は未満)になると、言い換えると、フレーム支持部材5が所定位置よりもレンズ載置台4に近い位置に移動する(フレーム支持部材5が所定位置に来る(所定の近接状態になる))と、フレームFの下部(又はレンズLEの下端(下限))を検知し、装置のサブ測定モードを第2サブ測定モードに切換える(第2サブ測定モードを設定する)。すなわち、演算制御ユニット20は、フレーム支持部材5とレンズ載置台4の距離が4mmより大きい(離れている)場合は第1サブ測定モードとし、フレーム支持部材5とレンズ載置台4の距離が4mmより小さい(近付いている)場合は第2サブ測定モードとする。従って、位置検出手段であるエンコーダ57と演算制御ユニット20とがフレームの下部(又はレンズの下端(下限))を検知する検知手段を兼ねることとなり、演算制御ユニット20がサブ測定モードを切換える(設定する)切換え手段(設定手段)を兼ねることとなる。
【0040】
次に、表示部2の表示画面について説明する。図1に示されている表示部2には、右眼用の遠近の累進レンズLEの測定値(測定結果)の一例が表示されている。表示部2には、測定情報表示部分80と、アライメント表示部分90と、が表示されている。表示部分80には、レンズLEの遠用部の球面度数S、乱視度数C、乱視軸角度A及びプリズム度数Δと、レンズLEの近用部の加入度数ADDと、の各測定値(測定結果)が表示されている。
【0041】
スイッチ部3によって装置の測定モードが累進レンズ測定モードに切換えられる(設定される)と、表示部分90には、累進レンズを模した(累進帯のグラフィックを持っている)レンズマーク91と、交点が測定光学系10による測定基準位置を示す「+」状の十字マーク(第1マーク)92と、が表示される。本実施形態では、マーク91は、レンズLEの移動によるレンズLEの測定光学系に対するアライメント状態の変化に伴って移動表示される。マーク92は、表示部分90の略中央部に固定表示される。なお、本装置では、表示部2の表示画面の上方が装置の奥側に相当し、表示画面の下方が装置の手前側に相当する。
【0042】
次に、前記のような構成を有するレンズメータにおいて、遠近の累進レンズLEの測定動作を中心に説明する。図6(a)〜(f)は、各測定段階における表示部分90を示している。
【0043】
検者がスイッチ部3を操作して累進レンズ測定モードを設定すると、演算制御ユニット20は、表示部分80及び90(マーク91及び92)を表示部2に表示させる。検者は、フレームFに枠入れされているレンズLEをレンズ載置台4上に置き(載せ)、フレームFの左右リムの各下部をフレーム支持部材5(当接部51)の前面に当接させ、レンズLEの累進帯と思われる箇所(レンズLEの中心より少し下の箇所)を開口4a上に置く(載せる)。このとき、フレーム支持部材5は、装置の奥側に位置している。このため、演算制御ユニット20は、エンコーダ57の検出信号に基づき、装置の測定モードを第1サブ測定モードに設定する。
【0044】
累進レンズ測定モードが設定されると、演算制御ユニット20は、先ず、表示部分90に遠用部の概略箇所を示す「○」状の遠用部ターゲットマーク93を表示させる(図6(a)参照)。レンズ載置台4上にレンズLEが置かれる(載せられる)と、演算制御ユニット20は、開口4aに対応するレンズLEの測定領域内の光学特性分布に基づき、測定領域がレンズLEのどの辺りにあるかを判断する。言い換えると、演算制御ユニット20は、測定光軸MAに対する測定領域の大凡の位置関係を求める。
【0045】
検者は、マーク93の位置がマーク92の位置と略一致するように、フレームF及びレンズLEをフレーム支持部材5と共にレンズ載置台4上で移動させる。すなわち、先ず、レンズLEを左右方向に移動させてマーク93をマーク92の縦線に合わせる。次に、マーク92の縦線を参考にレンズLEを奥側(後方向)に移動させてマーク93をマーク92の横線に合わせる。そして、レンズLEの位置を左右方向及び前後方向に微調整してマーク93をマーク92に重ね、マーク93が「○」状から「+」状に変わるようにする(図6(b)参照)。マーク93が「+」状に変わり測定値が安定すると、自動的に(スイッチ9aを操作することなく)測定値がホールド表示されると共にメモリ21に記憶される。すなわち、レンズLEの遠用部が測定される。
【0046】
遠用部の測定が完了すると、演算制御ユニット20は、近用部の測定を自動的に開始する。演算制御ユニット20は、表示部分90からマーク93を消去し、表示部分90に近用部の概略箇所を示す「○」状の近用部ターゲットマーク(第2マーク)94を表示させる(図6(c)参照)。近用部の箇所は、遠用部の箇所と同様に、演算制御ユニット20によって求められる。
【0047】
検者は、マーク94の位置がマーク92の位置と略一致するように、フレームF及びレンズLEをフレーム支持部材5と共にレンズ載置台4上で移動させる。すなわち、先ず、レンズLEを左右方向に移動させてマーク94をマーク92の縦線に合わせる。次に、マーク92の縦線を参考にレンズLEを手前側(前方向)に移動させてマーク94をマーク92の横線に合わせる。そして、レンズLEの位置を左右方向及び前後方向に微調整してマーク94をマーク92に重ね、マーク94が「○」状から「+」状に変わるようにする(図6(d)参照)。マーク94が「+」状に変わり測定値が安定すると、自動的に(スイッチ9aを操作することなく)測定値がホールド表示されると共にメモリ21に記憶(オートリード)される。すなわち、レンズLEの近用部が測定される。
【0048】
なお、前記の近用部の測定の説明は、第1サブ測定モードのまま遠用部の測定から近用部の測定に移行した場合、すなわち、フレームFは上下幅の広いフルリムフレームであり、累進レンズLEの近用部はレンズLEの下端付近に欠けずに位置している(フレームFの下部付近にレンズLEの近用部が欠けずに位置している)場合である。これに対し、後記の近用部の測定の説明は、第2サブ測定モードで近用部を測定した場合(第1サブ測定モードでの遠用部の測定から第2サブ測定モードでの近用部の測定に移行した場合)、すなわち、フレームFは上下幅の狭いフルリムフレームであり、累進レンズLEの近用部はレンズLEの下端付近に欠けて位置している(フレームFの下部付近にレンズLEの近用部が欠けて位置している)場合である。
【0049】
レンズLEに近用部があるもののレンズLEの下端付近(フレームFの下部付近)に欠けて位置している場合において、フレーム支持部材5とレンズ載置台4とが所定の距離(本実施形態では約4mm)よりも近い場合を想定する。言い換えると、パッド61の後方への移動の規制が解除される場合を想定する。フレームF及びレンズLEがフレーム支持部材5と共にレンズ載置台4上で移動され、フレームFの下部(又はレンズLEの下端)付近が開口4a上に近付くと、フレーム支持部材5とレンズ載置台4とが接触(干渉)する。このとき、レンズ載置台4と接触するパッド61の後方への移動の規制が解除され、フレーム支持部材5の前方への移動に伴って、レンズ載置台4がフレーム支持部材5(開口53)内に入っていく(収納されていく)。これにより、レンズLEの下端付近にある下部が欠けた近用部を測定できる。
【0050】
パッド61の後方への移動の規制が解除される位置までフレーム支持部材5が移動すると、エンコーダ57は、フレーム支持部材5の位置を読み取り(検出し)、検出信号を演算制御ユニット20に送る。演算制御ユニット20は、エンコーダ57の検出信号に基づき、装置のサブ測定モードを第2サブ測定モードに切換る(設定する)。すなわち、演算制御ユニット20は、開口4aにフレームFの下部(又はレンズLEの下端)が掛かったこと(開口4aに対応するレンズLEの測定領域内にフレームFの下部(又はレンズLEの下端)があること(開口4a上のフレームFの下部(又はレンズLEの下端)の存在))をエンコーダ57の検出信号に基づいて検知し、装置のサブ測定モードを第2サブ測定モードに切換る(設定する)。このとき、マーク91の表示色を青色に変える(第1サブ測定モードの通常表示色は黒色)。これにより、装置のサブ測定モードが第2サブ測定モードに切換った(設定された)ことが分かる(検者が視認できる)。
【0051】
フレーム支持部材5を手前側に引いた状態でレンズLEの下端付近を測定する場合、レンズLEはレンズ載置台4上から外れ易く(脱落し易く)なる。累進レンズ測定モードで第1サブ測定モードの場合、レンズLEがレンズ載置台4上から外れると、演算制御ユニット20は、再び、遠用部の測定から始める(遠用部の測定を誘導する)。これに対し、累進レンズ測定モードで第2サブ測定モードの場合、レンズLEがレンズ載置台4上から外れても、演算制御ユニット20は、近用部の測定を保つ。これにより、レンズLEがレンズ載置台4上から外れても、何度でも近用部を測定できる。
【0052】
また、演算制御ユニット20は、開口4aにフレームFの下部(又はレンズLEの下端)が掛かったことをエンコーダ57の検出信号に基づいて検知し、さらに測定領域内に近用部があることを検知できないと、近用部の下部が欠けていると判断し、マーク92及び94の各上下方向位置を強制的に合わせる(略一致させる)。これにより、マーク92及び94の各左右方向位置が合わさる(略一致される)ようにレンズLEが移動されれば、近用部を測定できる。なお、マーク91〜94の上下方向及び左右方向は前記のレンズLEの上下方向及び左右方向に対応している。
【0053】
さらに、マーク92及び94の各上下方向位置に加えてマーク92及び94の各左右方向位置が略一致すると、演算制御ユニット20は、レンズLEの上下方向の加入度数変化を確認し、やはり近用部の下部が欠けていると判断した場合には、マーク91の表示色を赤色に変える。また、近用部に欠けがあることが分かる(検者が視認できる)ようにマーク91の表示を変化させる(図6(e)参照)。
【0054】
なお、フレームFの下部(又はレンズLEの下端(下限))の検知は、後記のようにも行える。演算制御ユニット20は、受光センサ15からの出力信号(受光信号)に基づき、指標パターン像の内の一部、例えば、連続した3指標像が欠けている(受像できない)場合、開口4aにフレームFの下部(又はレンズLEの下端)が掛かったものと検知する。なお、フレームFの下部(又はレンズLEの下端(下限))の検知、近用部の下部の欠けの判断(検知)、等については、特開2006−126151に開示されている技術が利用できる。
【0055】
指標パターン像の欠けによってフレームFの下部(又はレンズLEの下端)が検知された場合には、演算制御ユニット20は、マーク91の表示色を緑色に変える。これにより、装置のサブ測定モードが第2サブ測定モードに切換った(設定された)ことが分かる(検者が視認できる)。また、近用部の下部が欠けていると判断した場合には、マーク91の表示色を黄色に変える。また、近用部に欠けがあることが分かる(検者が視認できる)ようにマーク91の表示を変化させる(図6(e)参照)。
【0056】
なお、前記の2通りのフレームFの下部(又はレンズLEの下端(下限))の検知方法(フレーム支持部材5の位置による検知、指標パターン像による検知)による第2サブ測定モードへの切換えは、両者が干渉して誤検知(誤判断)する虞があるため、併用されないことが好ましい。そして、指標パターン像によるフレームFの下部(又はレンズLEの下端)の検知のみを使用する場合は、少なくともフレーム支持部材5にレンズ載置台4との接触(干渉)を避けるための(レンズ載置台4を収納できる)開口が形成されていればよい。
【0057】
なお、前記の説明では、指標パターンが点指標(孔)の格子状パターンとされているが、これに限るものではない。レンズLEによる測定光束の屈折によって位置変化する所定の図形パターンであるとともに、一部の欠けが検出できるものであればよい(例えば、複数の同心円状の線パターン、複数の同心円状の点パターン、等)。また、前記の説明では、点指標である多数の孔が格子状に分布されたものが指標板とされているが、同様のものであればよい(例えば、遮光コーティングされた指標板に多数の透明な点が格子状に分布されたもの、透明な指標板に多数の黒点が格子状に分布されたもの、等)。
【0058】
また、前記の説明では、フレームFの下部(又はレンズLEの下端)を検知された場合(第2サブ測定モードに切換った場合)と近用部の下部が欠けていると判断(検知)された場合とでマーク91の表示色が変わるものとされているが、これに限るものではない。要はフレームFの下部(又はレンズLEの下端)が検知された場合(第2サブ測定モードに切換った場合)と近用部の下部が欠けていると判断(検知)された場合とを検者が視認できる表示状態にされればよい。例えば、フレームFの下部(又はレンズLEの下端)を検知されたことと近用部の下部が欠けていると判断(検知)されたこととの各々が文字等で表示されてもよい。
【0059】
また、前記の説明では、フレームFの下部(又はレンズLEの下端)を検知された場合(第2サブ測定モードに切換った場合)と近用部の下部が欠けていると判断(検知)された場合とが報知手段である表示部2(及び演算制御ユニット20(制御手段))によって検者に報知されるものとされているが、これに限るものではない。音声等によって検者に報知されてもよい。この場合は、装置に報知手段である発声器、ブザー、等が設けられていればよい。また、発光色によって検者に報知されてもよい。この場合は、報知手段である発光ダイオード等の発光器が設けられていればよい。
【0060】
また、前記の説明では、フレーム支持部材5の位置が位置検出手段であるエンコーダ57を用いて検出されるものとされているが、これに限るものではない。ポテンショメータ等の周知の位置センサ、光学センサ、磁気センサ、等の周知のセンサが位置検出手段とされ、これによってフレーム支持部材5の位置が検出されてもよい。また、例えば、ガイドシャフト55に突起が設けられ、フレーム支持部材5が所定位置に到ったときに接触センサにガイドシャフト55の突起が当接することによってフレーム支持部材5の位置が検出されてもよい。また、パッド61の後方への移動の規制を解除する機構と連動してフレーム支持部材5の位置が検出されてもよい。
【0061】
また、前記の説明では、フレーム支持部材5の全面とレンズ載置台4(の中心)との距離が4mmとなるフレーム支持部材5の位置で第2サブ測定モードに切換えられるものとされているが、これに限るものではない。フレームFの下部(又はレンズLEの下端)付近に近用部があるようなレンズLEが測定し易い距離(位置関係(近接状態))となるフレーム支持部材5の位置で第2サブ測定モードに切換えられればよい。
【0062】
また、前記の説明では、開口4aに対応するレンズLEの測定領域内の光学特性分布を得、得られた光学特性分布に基づいてアライメント情報が表示されるものとされているが、これに限るものではない。また、前記の説明では、指標板(指標パターン)を介した測定光束の受光結果に基づいてレンズLEの光学特性が得られるものとされているが、これに限るものではない。アライメント情報の表示、測定方法(測定機構(測定光学系)、等は周知のレンズメータのものであればよい。
【0063】
また、前記の説明では、測定モードの切換え(設定)が設定手段(切換え手段)であるスイッチ部3の操作によって行われるものとされているが、これに限るものではない。得られた光学特性に基づき、単焦点レンズ測定モード、累進レンズ測定モード、等への切換え(設定)が、設定手段(切換え手段)である演算制御ユニット20によって自動的に行われてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施形態のレンズメータの概略外観図である。
【図2】本装置の光学系及び制御系の概略構成図である。
【図3】指標板の概略外観図である。
【図4】フレーム支持部材の分解図である。
【図5】レンズ載置台、フレーム支持部材及びレンズ押えの側方断面図である。
【図6】表示部の表示画面におけるアライメント表示部分を示す図である。
【符号の説明】
【0065】
2 表示部
4 レンズ載置台
5 フレーム支持部材
10 測定光学系
20 演算制御ユニット
55 ガイドシャフト
57 エンコーダ
100 レンズメータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼鏡レンズの光学特性を測定するためのレンズメータにおいて、
前記光学特性を測定するために前記レンズに測定光束を投光する光源と,前記測定光束を受光する受光素子と,を有する測定光学系と、
前記測定光束の少なくとも一部が通る孔を持つレンズ載置台と、
前記レンズが枠入れされている眼鏡フレーム又は前記フレームに枠入れされている前記レンズを当接させてその動きを制限させるための,前記レンズ載置台に対して近寄る方向及び遠ざかる方向にスライド可能なフレーム支持部材と、
前記レンズ載置台と前記フレーム支持部材との所定の近接状態である所定の位置関係に基づいて前記フレームの下部及び/又は前記レンズの下端を検知する検知手段と、
前記検知手段による検知結果を報知する報知手段と、
を有する、
ことを特徴とするレンズメータ。
【請求項2】
請求項1のレンズメータにおいて、
前記レンズ載置台を収納するために前記フレーム支持部材の前面に形成されている開口を有し、
前記検知手段は、前記開口内に前記レンズ載置台が収納される又は収納された所定位置を検出するセンサを含む、
ことを特徴とするレンズメータ。
【請求項3】
請求項2のレンズメータにおいて、
前記フレーム支持部材の前面から突出せずに略同一な平面となるような前面を持つ,前記開口に嵌合可能なパッドと、
前記開口に嵌合する方向と前記開口から分離する方向とに前記パッドを移動可能にする移動機構と、
前記移動機構による前記パッドの前記開口から分離する方向への移動を規制する規制機構と、
前記規制機構による前記パッドの前記開口から分離する方向への移動の規制を解除する解除機構と、
を有し、
前記センサは、前記解除機構による前記パッドの前記開口から分離する方向への移動の規制が解除される位置を検出し、
前記検知手段は、前記センサの検出結果に基づいて前記フレームの下部及び/又は前記レンズの下端を検知する、
ことを特徴とするレンズメータ。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかのレンズメータにおいて、
前記報知手段は、前記レンズを前記測定光学系に対してアライメントするための情報を表示するモニタと、前記レンズを模したレンズマークと前記測定光学系による測定基準位置を示す第1マークと前記レンズの近用部を示す第2マークとを前記モニタに表示させ,前記検知手段が前記フレーム下部及び/又は前記レンズ下端を検知した場合に前記第1マーク及び前記第2マークの各上下方向位置とを略一致させて表示させる制御手段と、を有する、
ことを特徴とするレンズメータ。
【請求項5】
請求項4のレンズメータにおいて、
前記制御手段は、前記検知手段が前記フレーム下部及び/又は前記レンズ下端を検知した場合に前記レンズマークを変化させて表示させる、
ことを特徴とするレンズメータ。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかのレンズメータにおいて、
前記レンズは、下方に近用部を持つ累進レンズであり、
装置の測定モードを累進レンズ測定モードに設定する設定手段と、
累進レンズ測定モードにおいて,前記検知手段が前記フレーム下部及び/又は前記レンズ下端を検知すると前記近用部の光学特性を取得する演算手段と、
を有する、
ことを特徴とするレンズメータ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−107910(P2012−107910A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−255376(P2010−255376)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(000135184)株式会社ニデック (745)
【Fターム(参考)】