説明

レンズユニット

【課題】鏡筒に保持されたレンズが結像する焦点像を顕微鏡で観察し、その観察結果に基づいてレンズを位置調整する方法において、光路延長部材を用いる際にそれを正確に位置決めする。
【解決手段】物体からの光が入射するレンズ22および、該レンズ22を保持する鏡筒21を有してなり、レンズ22の焦点像を顕微鏡で観察する際に光路延長部材25を用いるようにしたレンズユニット201において、鏡筒21の一部に、その内部に配置された光路延長部材25のレンズ22側を向く前端面25bを受ける受け面21bを有する受け部21aを形成するとともに、光路延長部材25の後端面25cよりも後方に位置して、前記受け面21aに対して直角に延びるガイド挿入孔21dおよびこのガイド挿入孔21dの周囲において前記受け面21aと平行に延びる取付面21eを有する取付部21cを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカメラ等に用いられるレンズユニット、より詳しくは、物体からの光が入射するレンズが鏡筒に保持されてなり、鏡筒内に配置した光路延長部材を利用してレンズの位置調整を行うようにしたレンズユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばカメラのズームレンズ等、最も物体側に固定レンズ(使用時に光軸方向に移動されることのないレンズ)の群を有するレンズユニットにおいては、その全長をより短くしようとすると、各レンズ群の屈折力が強いものとなる。そうであると、レンズ群同士の軸ズレや倒れが、結像状態に敏感に反映して像質の低下を招くことになる。
【0003】
特に例えば特許文献1に示されているように、固定レンズ群の中で光路を90°折り曲げる光学部材を備えてなるいわゆる屈曲光学系においては、そのような構成を採用する本来の目的である小型化のために、より屈折力が強いレンズが採用されるので、レンズ群同士の軸ズレや倒れが、より敏感に像質低下につながるようになる。
【0004】
上述のような問題を招かないためには、レンズ群を構成する個々のレンズが鏡筒内で、偏心や軸ズレが無くて、所定の光学性能が得られる状態に組み付けられる必要がある。そのためにズームレンズ等においては、各レンズを上記の状態とするための位置調整作業が必要となっている。
【0005】
そのようなレンズ位置調整を行う場合、前述の固定レンズ等に対しては、鏡筒に保持したままの状態で位置調整をすることが多い。そしてその固定レンズ等が正の屈折力を有するものである場合は、該レンズが結像する焦点像を顕微鏡で観察し、その観察結果に基づいてレンズを位置調整することがなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−199406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、上述のように顕微鏡を利用するレンズの位置調整方法においては、顕微鏡による焦点像の観察が難しいという問題が認められている。以下、この問題について、図3および図4を参照して詳しく説明する。
【0008】
これらの図において、1が鏡筒、2および3が図中左方に有る物体からの光4が入射する固定レンズ、5が焦点像観察に使われる顕微鏡である。先に説明したように固定レンズ2、3が正の屈折力が強いものである場合、その焦点位置Aは比較的レンズ2、3に近い位置にある。それに対して、鏡筒1の後端に突き付き合わせた顕微鏡5の観察位置Bが図3に示す位置にあると、顕微鏡5による焦点像の観察が不可能になる。この状況下で焦点像の観察を可能にするためには、図4に示すように顕微鏡5を、その前端が鏡筒1の後端よりも前方に位置するように配設する必要がある。しかし、そのようにすることは、一般には顕微鏡5と鏡筒1とが干渉するので不可能である。その干渉を避けるために、顕微鏡5を組み入れて受容できる特殊な構造に鏡筒1を形成することも考えられるが、その場合は鏡筒1のコストアップを招き、ひいてはレンズユニットが高価なものになってしまうという問題が発生する。
【0009】
そこで、鏡筒に保持されたレンズが結像する焦点像を顕微鏡で観察し、その観察結果に基づいてレンズを、所定の光学性能が得られる状態に位置調整する際に、顕微鏡による像観察を容易化することが望まれている。
【0010】
そのために、光路延長部材を利用したレンズ位置調整方法が考えられている。このレンズ位置調整方法は、
物体からの光が入射するレンズおよび、該レンズを保持する鏡筒を有してなるレンズユニットにおいて、
前記レンズの焦点像を顕微鏡で観察し、その観察結果に基づいて該レンズを所定の状態に位置調整するレンズ位置調整方法であって、
前記レンズの後方側において前記鏡筒内に、該レンズの焦点位置を後方側つまり物体と反対側に延ばす光路延長部材を配置し、
その状態で前記焦点像の観察を行うことを特徴とするものである。
【0011】
上述のようなレンズ位置調整方法を実施するに当たっては、鏡筒に対して光路延長部材を所定の相対位置に正しく配置することが必要となる。そこで本発明は、鏡筒に対して光路延長部材を所定の相対位置に正しく配置することができるレンズユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による第1のレンズユニットは、
物体からの光が入射するレンズおよび、該レンズを保持する鏡筒を有してなるレンズユニットであって、
前記レンズの焦点像を顕微鏡で観察し、その観察結果に基づいて該レンズを所定の状態に位置調整するために、前記レンズの後方側において前記鏡筒内に、該レンズの焦点位置を後方側に延ばす光路延長部材を配置し、その状態で前記焦点像の観察がなされるレンズユニットにおいて、
前記鏡筒の一部に、その内部に配置された光路延長部材の前記レンズ側を向く前端面を受ける受け面を有する受け部が形成されるとともに、前記光路延長部材の後端面よりも後方に位置して、前記受け面に対して直角に延びるガイド挿入孔およびこのガイド挿入孔の周囲において前記受け面と平行に延びる取付面を有する取付部が形成されていることを特徴とするものである。
【0013】
なお上記レンズの位置調整としては、鏡筒の中心軸に対してレンズの軸ズレや倒れが無い状態にする位置調整や、光軸方向の位置調整、他のレンズ群に対する軸ズレを直す調整、他のレンズとの間で収差等を相補的に低減してレンズ全体で所定の光学性能が得られるようにする調整等が挙げられる。
【0014】
また、本発明による第2のレンズユニットは、
物体からの光が入射するレンズおよび、該レンズを保持する鏡筒を有してなるレンズユニットであって、
前記レンズの焦点像を顕微鏡で観察し、その観察結果に基づいて該レンズを所定の状態に位置調整するために、前記レンズの後方側において前記鏡筒内に、該レンズの焦点位置を後方側に延ばす光路延長部材を配置し、その状態で前記焦点像の観察がなされるレンズユニットにおいて、
前記鏡筒の一部に、その内部に配置された光路延長部材の前記レンズ側を向く前端面と直角に交わる側面を受ける受け面を有する受け部が形成されるとともに、前記光路延長部材の後端面よりも後方に位置して、前記受け面に対して直角に延びるガイド挿入孔およびこのガイド挿入孔の周囲において前記受け面と平行に延びる取付面を有する取付部が形成されていることを特徴とするものである。
【0015】
なお、以上説明した2つのタイプのレンズユニットにおいては、前記鏡筒に、その中心軸と交わる方向から前記光路延長部材を受け入れる開口が形成されていることが望ましい。
【0016】
また、本発明による第3のレンズユニットは、
物体からの光が入射するレンズおよび、該レンズを保持する鏡筒を有してなるレンズユニットであって、
前記レンズの焦点像を顕微鏡で観察し、その観察結果に基づいて該レンズを所定の状態に位置調整するために、前記レンズの後方側において前記鏡筒内に、該レンズの焦点位置を後方側に延ばす光路延長部材を配置し、その状態で前記焦点像の観察がなされるレンズユニットにおいて、
前記鏡筒の一部に、該鏡筒の中心軸に対して略直角な受け面を有する受け部が形成されるとともに、前記光路延長部材の後端面よりも後方に位置して、前記受け面に対して直角に延びるガイド挿入孔およびこのガイド挿入孔の周囲において前記受け面と平行に延びる取付面を有する取付部が形成されていることを特徴とするものである。
【0017】
なお、このタイプのレンズユニットにおいては、前記鏡筒に、その中心軸に対して平行な方向から前記光路延長部材を受け入れる開口が形成されていることが望ましい。
【0018】
また、本発明による第4のレンズユニットは、
物体からの光が入射するレンズおよび、該レンズを保持する鏡筒を有してなるレンズユニットであって、
前記レンズの焦点像を顕微鏡で観察し、その観察結果に基づいて該レンズを所定の状態に位置調整するために、前記レンズの後方側において前記鏡筒内に、該レンズの焦点位置を後方側に延ばす光路延長部材を配置し、その状態で前記焦点像の観察がなされるレンズユニットにおいて、
前記鏡筒の一部に、前記光路延長部材の周面を受けて該光路延長部材を位置決めする複数の突起が形成されていることを特徴とするものである。
【0019】
また、本発明による第5のレンズユニットは、
物体からの光が入射するレンズおよび、該レンズを保持する鏡筒を有してなるレンズユニットであって、
前記レンズの焦点像を顕微鏡で観察し、その観察結果に基づいて該レンズを所定の状態に位置調整するために、前記レンズの後方側において前記鏡筒内に、該レンズの焦点位置を後方側に延ばす光路延長部材を配置し、その状態で前記焦点像の観察がなされるレンズユニットにおいて、
前記鏡筒の一部に、前記光路延長部材に固定された複数のフランジ部を受承して該光路延長部材を位置決めするフランジ受け溝が形成されていることを特徴とするものである。
【0020】
また、本発明による第6のレンズユニットは、
物体からの光が入射するレンズおよび、該レンズを保持する鏡筒を有してなるレンズユニットであって、
前記レンズの焦点像を顕微鏡で観察し、その観察結果に基づいて該レンズを所定の状態に位置調整するために、前記レンズの後方側において前記鏡筒内に、該レンズの焦点位置を後方側に延ばす光路延長部材を配置し、その状態で前記焦点像の観察がなされるレンズユニットにおいて、
前記鏡筒の一部に、前記光路延長部材に固定された1つのフランジ部を受承して該光路延長部材を位置決めするフランジ受け溝および、この光路延長部材の周面を受けて該光路延長部材を位置決めする受け部が形成されていることを特徴とするものである。
【0021】
また、本発明による第7のレンズユニットは、
物体からの光が入射するレンズおよび、該レンズを保持する鏡筒を有してなるレンズユニットであって、
前記レンズの焦点像を顕微鏡で観察し、その観察結果に基づいて該レンズを所定の状態に位置調整するために、前記レンズの後方側において前記鏡筒内に、該レンズの焦点位置を後方側に延ばす光路延長部材を配置し、その状態で前記焦点像の観察がなされるレンズユニットにおいて、
前記鏡筒の一部に、前記光路延長部材に固定された1つのフランジ部を互いに異なる箇所で受承して該光路延長部材を位置決めする複数のフランジ受け溝が形成されていることを特徴とするものである。
【0022】
また、本発明による第8のレンズユニットは、
物体からの光が入射するレンズおよび、該レンズを保持する鏡筒を有してなるレンズユニットであって、
前記レンズの焦点像を顕微鏡で観察し、その観察結果に基づいて該レンズを所定の状態に位置調整するために、前記レンズの後方側において前記鏡筒内に、該レンズの焦点位置を後方側に延ばす光路延長部材を配置し、その状態で前記焦点像の観察がなされるレンズユニットにおいて、
前記鏡筒の一部に、略角柱状に形成された前記光路延長部材を緊密に受承して該光路延長部材を位置決めする受け穴が形成されていることを特徴とするものである。
【0023】
また、本発明による第9のレンズユニットは、
物体からの光が入射するレンズおよび、該レンズを保持する鏡筒を有してなるレンズユニットであって、
前記レンズの焦点像を顕微鏡で観察し、その観察結果に基づいて該レンズを所定の状態に位置調整するために、前記レンズの後方側において前記鏡筒内に、該レンズの焦点位置を後方側に延ばす光路延長部材を配置し、その状態で前記焦点像の観察がなされるレンズユニットにおいて、
前記鏡筒の一部に、略角柱状に形成された前記光路延長部材の1つの側面に各々が当接してこの側面を位置決めする複数の第1組の突起および、光路延長部材の前記1つの側面と交わる方向に延びる別の側面に各々が当接してこの別の側面を位置決めする複数の第2組の突起が形成されていることを特徴とするものである。
【0024】
なお上述のような第1組の突起および第2組の突起は、各々3個ずつ形成されることが特に望ましい。
【0025】
また、本発明による第10のレンズユニットは、
物体からの光が入射するレンズおよび、該レンズを保持する鏡筒を有してなるレンズユニットであって、
前記レンズの焦点像を顕微鏡で観察し、その観察結果に基づいて該レンズを所定の状態に位置調整するために、前記レンズの後方側において前記鏡筒内に、該レンズの焦点位置を後方側に延ばす光路延長部材を配置し、その状態で前記焦点像の観察がなされるレンズユニットにおいて、
前記鏡筒の一部に、フランジ部が固定された前記光路延長部材を鏡筒の中心軸と交わる方向から受け入れる開口が形成されるとともに、この開口の周囲部分において前記フランジと当接して前記光路延長部材を位置決めする当接部が形成されていることを特徴とするものである。
【0026】
なお上記鏡筒の前記開口の周囲部分には、前記フランジに形成された係合部と係合する少なくとも1つの係合部が形成されていることが望ましい。
【0027】
また、本発明による第11のレンズユニットは、
物体からの光が入射するレンズおよび、該レンズを保持する鏡筒を有してなるレンズユニットであって、
前記レンズの焦点像を顕微鏡で観察し、その観察結果に基づいて該レンズを所定の状態に位置調整するために、前記レンズの後方側において前記鏡筒内に、該レンズの焦点位置を後方側に延ばす光路延長部材を配置し、その状態で前記焦点像の観察がなされるレンズユニットにおいて、
前記鏡筒の一部に、前記光路延長部材の側面に形成された位置決めピンを受承して所定位置まで案内する案内溝が形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0028】
本発明による第1のレンズユニットにおいては、鏡筒の一部に、その内部に配置された光路延長部材の前記レンズ側を向く前端面を受ける受け面を有する受け部が形成されるとともに、前記光路延長部材の後端面よりも後方に位置して、前記受け面に対して直角に延びるガイド挿入孔およびこのガイド挿入孔の周囲において前記受け面と平行に延びる取付面を有する取付部が形成されているので、ガイド挿入孔に挿入されるガイド部材の向きを予め精度を出して所定方向に設定しておけば、鏡筒が例えば前述の顕微鏡の光軸と中心軸が一致する向きに設定され、そして光路延長部材が、その光軸が鏡筒の中心軸と平行になる所定向きに設定されることになる。
【0029】
また本発明による第2のレンズユニットにおいては、鏡筒の一部に、その内部に配置された光路延長部材の前記レンズ側を向く前端面と直角に交わる側面を受ける受け面を有する受け部が形成されるとともに、前記光路延長部材の後端面よりも後方に位置して、前記受け面に対して直角に延びるガイド挿入孔およびこのガイド挿入孔の周囲において前記受け面と平行に延びる取付面を有する取付部が形成されているので、この場合もガイド挿入孔に挿入されるガイド部材の向きを予め精度を出して所定方向に設定しておけば、鏡筒が例えば前述の顕微鏡の光軸と中心軸が一致する向きに設定され、そして光路延長部材が、その光軸が鏡筒の中心軸と平行になる所定向きに設定されることになる。
【0030】
なお、以上説明した2つのタイプのレンズユニットにおいて、鏡筒に、その中心軸と交わる方向から前記光路延長部材を受け入れる開口が形成されている場合は、この開口を通して光路延長部材を鏡筒内に配置した後、それらを光軸方向に相対移動させることにより、両者の光軸方向相対位置を簡単に調整できるようになる。
【0031】
また、本発明による第3のレンズユニットにおいては、鏡筒の一部に、該鏡筒の中心軸に対して略直角な受け面を有する受け部が形成されるとともに、前記光路延長部材の後端面よりも後方に位置して、前記受け面に対して直角に延びるガイド挿入孔およびこのガイド挿入孔の周囲において前記受け面と平行に延びる取付面を有する取付部が形成されているので、この場合もガイド挿入孔に挿入されるガイド部材の向きを予め精度を出して所定方向に設定しておけば、鏡筒が例えば前述の顕微鏡の光軸と中心軸が一致する向きに設定され、そして光路延長部材が、その光軸が鏡筒の中心軸と平行になる所定向きに設定されることになる。
【0032】
また、本発明による第4のレンズユニットにおいては、鏡筒の一部に、前記光路延長部材の周面を受けて該光路延長部材を位置決めする複数の突起が形成されているので、これらの突起に光路延長部材の周面を受けさせることにより、光路延長部材を所定の向き、例えばその光軸が鏡筒の中心軸と平行になる向きに配設可能となる。
【0033】
また、本発明による第5のレンズユニットにおいては、鏡筒の一部に、前記光路延長部材に固定された複数のフランジ部を受承して該光路延長部材を位置決めするフランジ受け溝が形成されているので、光路延長部材に固定された複数のフランジ部をフランジ受け溝に受承させることにより、光路延長部材を所定の向き、例えばその光軸が鏡筒の中心軸と平行になる向きに配設可能となる。
【0034】
また、本発明による第6のレンズユニットにおいては、鏡筒の一部に、前記光路延長部材に固定された1つのフランジ部を受承して該光路延長部材を位置決めするフランジ受け溝および、この光路延長部材の周面を受けて該光路延長部材を位置決めする受け部が形成されているので、光路延長部材に固定されたフランジ部をフランジ受け溝に受承させ、そして光路延長部材の周面を上記受け部に受けさせることにより、光路延長部材を所定の向き、例えばその光軸が鏡筒の中心軸と平行になる向きに配設可能となる。
【0035】
また、本発明による第7のレンズユニットにおいては、鏡筒の一部に、前記光路延長部材に固定された1つのフランジ部を互いに異なる箇所で受承して該光路延長部材を位置決めする複数のフランジ受け溝が形成されているので、光路延長部材に固定されたフランジ部を上記複数のフランジ受け溝に受承させることにより、光路延長部材を所定の向き、例えばその光軸が鏡筒の中心軸と平行になる向きに配設可能となる。
【0036】
また、本発明による第8のレンズユニットにおいては、鏡筒の一部に、略角柱状に形成された前記光路延長部材を緊密に受承して該光路延長部材を位置決めする受け穴が形成されているので、この受け穴に光路延長部材を受承させることにより、光路延長部材を所定の向き、例えばその光軸が鏡筒の中心軸と平行になる向きに配設可能となる。
【0037】
また、本発明による第9のレンズユニットにおいては、鏡筒の一部に、略角柱状に形成された前記光路延長部材の1つの側面に各々が当接してこの側面を位置決めする複数の第1組の突起および、光路延長部材の前記1つの側面と交わる方向に延びる別の側面に各々が当接してこの別の側面を位置決めする複数の第2組の突起が形成されているので、それら2組の突起により光路延長部材の上記2つの側面の向きを所定方向に設定でき、ひいては光路延長部材を所定の向き、例えばその光軸が鏡筒の中心軸と平行になる向きに配設可能となる。
【0038】
なお上述のような第1組の突起および第2組の突起が、各々3個ずつ形成されている場合は、光路延長部材がガタつくことなく所定向きに配設されるようになる。
【0039】
また、本発明による第10のレンズユニットにおいては、鏡筒の一部に、フランジ部が固定された前記光路延長部材を鏡筒の中心軸と交わる方向から受け入れる開口が形成されるとともに、この開口の周囲部分において前記フランジと当接して前記光路延長部材を位置決めする当接部が形成されているので、この当接部にフランジを当接させることにより、光路延長部材を所定の向き、例えばその光軸が鏡筒の中心軸と平行になる向きに配設可能となる。
【0040】
なお、上記鏡筒の前記開口の周囲部分に、上記フランジに形成された係合部と係合する少なくとも1つの係合部が形成されている場合は、フランジが当接部に対して(つまり鏡筒に対して)当接したままその当接面内で回ってしまうようなことを防止できるので、より確実な位置決め効果が得られる。
【0041】
また、本発明による第11のレンズユニットにおいては、鏡筒の一部に、前記光路延長部材の側面に形成された位置決めピンを受承して所定位置まで案内する案内溝が形成されていることので、位置決めピンをこの案内溝に受承させて所定位置まで動かすことにより、該ピンと連結している光路延長部材を所定の向き、例えばその光軸が鏡筒の中心軸と平行になる向きに配設可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】光路延長部材を利用してレンズ位置調整がなされるレンズユニットの、レンズ位置調整前の状態を示す一部破断側面図
【図2】図1のレンズユニットの、レンズ位置調整時の状態を示す一部破断側面図
【図3】従来のレンズ位置調整方法の問題を説明する図
【図4】従来のレンズ位置調整方法の問題を説明する図
【図5】本発明の第1の実施形態によるレンズユニットを示す一部破断側面図
【図6】本発明の第2の実施形態によるレンズユニットを示す一部破断側面図
【図7】本発明の第3の実施形態によるレンズユニットを示す一部破断側面図
【図8】本発明の第4の実施形態によるレンズユニットを示す一部破断斜視図
【図9】本発明の第5の実施形態によるレンズユニットを示す一部破断正面図
【図10】本発明の第6の実施形態によるレンズユニットを示す一部破断斜視図
【図11】本発明の第7の実施形態によるレンズユニットを示す一部破断斜視図
【図12】本発明の第8の実施形態によるレンズユニットを示す一部破断斜視図
【図13】図12のレンズユニットの一部を示す部分平面図
【図14】本発明の第9の実施形態によるレンズユニットを示す一部破断斜視図
【図15】本発明の第10の実施形態によるレンズユニットを示す一部破断斜視図
【図16】本発明の第11の実施形態によるレンズユニットを示す一部破断斜視図
【図17】本発明の第12の実施形態によるレンズユニットを示す一部破断斜視図
【図18】本発明の第13の実施形態によるレンズユニットを示す一部破断斜視図
【図19】本発明の第14の実施形態によるレンズユニットを示す一部破断斜視図
【図20】本発明の第15の実施形態によるレンズユニットを示す一部破断斜視図
【図21】本発明の第16の実施形態によるレンズユニットを示す一部破断斜視図
【図22】本発明の第17の実施形態によるレンズユニットを示す一部破断斜視図
【符号の説明】
【0043】
1、21 鏡筒
2、3 レンズ
5 顕微鏡
11、22 固定レンズ
12、25、25′、25″、27 光路延長部材
21a 鏡筒の受け部
21b 鏡筒の受け面
21c 鏡筒の取付部
21d 鏡筒のガイド挿入孔
21e 鏡筒の取付面
21f 鏡筒の貫通孔
21g 鏡筒の受け部
21h 鏡筒の受け面
21i 鏡筒の受け部
21j 鏡筒の側壁
21k 鏡筒の位置決め突起
21m 鏡筒のフランジ受け溝
21n 鏡筒の受け部
21p 鏡筒の受け面
21q 鏡筒の案内溝
21r 鏡筒のフランジ受け溝
21s 鏡筒の受け穴
21t 鏡筒の位置決め突起
21v 鏡筒の側壁
21w 鏡筒の貫通孔
21x 鏡筒の側壁
21y 鏡筒の開口
21z 鏡筒の案内溝
25a 光路延長部材の周面
25b 光路延長部材の前端面
25c 光路延長部材の後端面
26 位置決め突起
27a 光路延長部材の側面
27b 光路延長部材の前端面
27c 光路延長部材の後端面
32 取付部材
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。まず、本発明のレンズユニットに施されるレンズ位置調整方法の概要について、図1および図2を参照して説明する。なおこれらの図1および図2において、既に説明した図3および図4中の要素と同等の要素には同番号を付してあり、それらについての説明は特に必要のない限り省略する(以下、同様)。
【0045】
本例のレンズユニット10は、例えばカメラのズームレンズ等を構成するものであって、図中左側から物体からの光が入射する固定レンズ11および、該レンズ11を保持する円筒状の鏡筒1を有している。なお、鏡筒1において固定レンズ11の後方側つまり物体と反対側には、例えばズームレンズを構成する移動レンズ群が保持されるが、それについては説明を省略する。
【0046】
凸レンズである固定レンズ11は、所定の状態に、つまり例えば光軸が中心軸Oに対して軸ズレや倒れを起こしていない状態に位置調整して、該鏡筒1に保持される必要がある。特にレンズユニット10の全長をより短くしようとすると、固定レンズ11として屈折力が強いものが適用されるが、その場合は、上記軸ズレや倒れが結像状態に敏感に反映して像質の低下を招くことになる。
【0047】
なお固定レンズ11の位置調整としては、上に例示したものの他、光軸方向の位置調整、他のレンズ群に対する軸ズレを直す調整、他のレンズとの間で収差等を相補的に低減してレンズ全体で所定の光学性能が得られるようにする調整等が挙げられる。
【0048】
本例の方法は、この固定レンズ11の位置調整のために適用されるものであり、そのためにまず、固定レンズ11の焦点像が顕微鏡5によって観察される。つまり、この焦点像を顕微鏡によって拡大観察すると、上記軸ズレや倒れが有る場合はその像がいわゆるコマ状に歪むので、それが解消されるように、鏡筒1内で固定レンズ11の位置を調整する。なおこの固定レンズ11の位置調整作業は、具体的には例えば前記特許文献1に記載されているようにしてなされるものであるが、それは本発明には直接関係しないので、詳しい説明は省略する。
【0049】
本例のレンズユニット10において、固定レンズ11の焦点位置は本来、図1中にAで示す位置にある。それに対して顕微鏡5の観察位置は図中Bの位置にあって、固定レンズ11の焦点位置Aから離れている。なお同図に示すように、鏡筒1の後端面から焦点位置Aまでの距離をL2、顕微鏡5の前端面からその観察位置Bまでの距離をWDとする。
【0050】
この状態のままでは、顕微鏡5による焦点像の観察が不可能であるので、図2に示すように鏡筒1内において固定レンズ11の後方側に光路延長部材12を配置する。この光路延長部材12は、均一な屈折率n(1<n)を有する光学ガラス等の部材から形成され、固定レンズ11に近い方の端面である前端面12aと、固定レンズ11から遠い方の端面である後端面12bとが互いに平行な円柱状とされている。なお光路延長部材12は、鏡筒1の後方端つまり図中の右端から該鏡筒1内に挿入される。
【0051】
上記光路延長部材12が配置されると、固定レンズ11の焦点位置Aは、光路延長部材12の長さをDとして(n−1)Dだけ後方側に延びるようになる。それにより、顕微鏡5を鏡筒1に干渉させることなく、顕微鏡5の観察位置Bを固定レンズ11の焦点位置Aに合わせることが可能になるので、固定レンズ11の焦点像を顕微鏡5によって容易に観察可能となる。より詳しく説明すると、顕微鏡5が鏡筒1と干渉しないための条件は、図2から明らかな通りL2−(n−1)D<WD、つまりはL2−WD<(n−1)Dである。
【0052】
以上の通りにして固定レンズ11の焦点像を顕微鏡5によって観察しながら、その固定レンズ11の位置調整作業が行われ、それが終了すると、光路延長部材12は鏡筒1から取り外される。
【0053】
次に図5を参照して、本発明の第1の実施形態によるレンズユニット201について説明する。このレンズユニット201も、例えばカメラのズームレンズ等を構成するものであって、物体からの光が入射する凸レンズである固定レンズ22、プリズム23および、凹レンズである別の固定レンズ24と、それらの光学要素を保持する角筒状の鏡筒21とを有している。プリズム23は2つのレンズ22および24の間において光路を90°折り曲げるものであり、それによりこのレンズユニット201は、いわゆる屈曲光学系となっている。
【0054】
このレンズユニット201は、カメラの使用状態下で固定レンズ24が被写体側を向くように配置される。そこで、被写体からの光はこの固定レンズ24およびプリズム23を介して、固定レンズ22に図中左側から入射する。なお、鏡筒21において固定レンズ22の後方側つまり物体と反対側には、例えばズームレンズを構成する移動レンズ群が保持されるが、それについては説明を省略する。
【0055】
本例においても固定レンズ22は、所定の状態に、つまり例えば光軸が中心軸Oに対して軸ズレや倒れを起こしていない状態に位置調整して、該鏡筒21に保持される必要がある。特にレンズユニット201の全長をより短くしようとすると、固定レンズ22として屈折力が強いものが適用されるが、その場合は、上記軸ズレや倒れが結像状態に敏感に反映して像質の低下を招くことになる。その上本例においては、カメラの小型化のために前述の通りの屈曲光学系が採用されており、この場合はカメラの小型化のために、固定レンズ22としてより屈折力が強いものが適用されることが多いので、上記問題がさらに起きやすくなっている。
【0056】
本実施形態においても、固定レンズ22の位置調整のために固定レンズ22の焦点像が図示外の顕微鏡によって観察される。そしてこの場合も、固定レンズ22の後方側において鏡筒21内に光路延長部材25を配置して、固定レンズ22の焦点位置を後方側に延ばし、その状態で焦点像の観察が行われるので、基本的に、図1、2に示した例におけるのと同様の効果が得られる。なお焦点像を観察しながら行われる固定レンズ22の位置調整も前述の実施形態におけるのと同様になされるものであり、それについての重複した説明は省略する(以下、同様)。
【0057】
ここで図5は、光路延長部材25が鏡筒21に対して位置決め固定される前の状態を示している。以下、この状態からなされる光路延長部材25の位置決め固定について説明する。光路延長部材25は一例として円筒状に形成されており、固定レンズ22の側を向く前端面25bおよび反対側の後端面25cは、その周面25aに対して正確に直角となる向きに形成されている。
【0058】
一方鏡筒21の、光路延長部材前端面25bに近い位置には、この前端面25bを受ける受け面21bを有する受け部21aが形成されている。また鏡筒21の、光路延長部材後端面25cよりも後方の位置には、取付部21cが形成されている。この取付部21cは、上記受け面21bに対して直角に延びる2つのガイド挿入孔21dおよび、このガイド挿入孔21dの周囲において上記受け面21bと平行に延びる取付面21eを有するものである。
【0059】
そして測定台30には、光路延長部材25の周面25aを下から受け止める2つの保持部材31および、鏡筒21を取り付ける取付部材32が突設されている。取付部材32は、一例として2つのガイドピン32aと、これらのガイドピン32aに対して垂直とされた平滑な保持面32bとを有している。図示外の顕微鏡はこの図において鏡筒21から右側に離れた位置に配されて、前述したような焦点像の観察に使用される。上記ガイドピン32aは、上記顕微鏡の光軸と平行になる向きに配設されている。
【0060】
なお取付部材32には貫通孔32cが形成され、また鏡筒21の取付部21cにも貫通孔21fが形成されているので、光路延長部材25から出射する光はこれらの貫通孔21f、32cを通って上記顕微鏡に入射し得る。
【0061】
光路延長部材25の位置決め固定に際しては、この光路延長部材25が上述のようにして2つの保持部材31の上に載置保持される。鏡筒21は側壁部の一部(図中の下方部)が開口しており、鏡筒21はこの開口を通して光路延長部材25を内部空間に収めるように(図示の状態)、上から下に向けて動かされる。こうして鏡筒21の内部空間に光路延長部材25が入った状態になると、次に鏡筒21は図中の右方に移動される。すると2本のガイドピン32aが取付部21cのガイド挿入孔21d内に進入し、そのまま鏡筒21はその取付面21eが取付部材32の保持面32bと接するまで右方に移動される。こうして鏡筒21が移動されると、最終的に光路延長部材25の前端面25bが、鏡筒21の受け面21bに接するようになる。
【0062】
以上の状態になると、鏡筒21の中心軸Oが顕微鏡の光軸と一致し、また光路延長部材25の光軸もこの中心軸Oと一致する状態となる。このようにして、本実施形態のレンズユニット201によれば、簡単な作業によって光路延長部材25を、その光軸が鏡筒21の中心軸Oと一致する状態に位置決め固定することが可能になる。
【0063】
次に図6を参照して、本発明の第2の実施形態によるレンズユニット202について説明する。このレンズユニット202は図5に示したレンズユニット201と比べると基本的に、受け部21aの代わりに別の受け部21gが設けられた点が異なるものである。この受け部21gは、光路延長部材25の前端面25bと直角な側面(周面25a)を受けるものであり、その受け面は鏡筒21の中心軸Oと平行に延びる湾曲面とされている。
【0064】
この実施形態においても、光路延長部材25の位置決め固定は第1の実施形態におけるのと同様になされるが、この場合は光路延長部材25の位置が上記受け部21gによって規定されることになる。そして受け部21gは上記の通りの形状を有するものであるので、この場合も、鏡筒21の中心軸Oが顕微鏡の光軸と一致し、また光路延長部材25の光軸が中心軸Oと一致する状態が得られる。
【0065】
次に図7を参照して、本発明の第3の実施形態によるレンズユニット203について説明する。このレンズユニット203は、図5に示したレンズユニット201と比べると基本的に、受け部21aの代わりに別形状の受け部21iが設けられた点が異なるものである。この受け部21iは鏡筒21の外側に形成されたもので、鏡筒21の中心軸Oに対して直角に形成された受け面21hを有する。
【0066】
また取付部材32には、光路延長部材25をその光軸がガイドピン32aと平行となる状態に保持する保持部36が設けられている。さらに取付部材32は図中左端の位置に、上下方向に伸縮可能とされたアーム32hを有し、その上端には当て面32eを有する保持部32fが形成されている。上記当て面32eは、ガイドピン32aと垂直に延びるように形成されている。
【0067】
光路延長部材25を位置決め固定する際には、まず取付部21cのガイド挿入孔21dにガイドピン32aを通して、鏡筒21が取付部材32に固定される。次に、それまで図示の位置よりも上に有った上記アーム32hが下方に動かされて、保持部32fが、その当て面32eに受け部21iの受け面21hが当接する図示の状態とされる。
【0068】
以上の状態になってから、取付部材32の貫通孔32cを通して光路延長部材25が下から保持部36内に通され、そこに保持される。あるいは、このように光路延長部材25を保持部36に保持させてから、保持部32fを、その当て面32eに受け部21iの受け面21hが当接する状態に設定しても構わない。いずれにしてもこの状態になると、鏡筒1の中心軸Oと光路延長部材25の光軸が一致する状態となる。
【0069】
次に図8を参照して、本発明の第4の実施形態によるレンズユニット204について説明する。なおこの図8は、鏡筒21の手前側の側壁および上側の側壁は破断して示してある。このレンズユニット204は、鏡筒21の1つの側壁21jの上に、一例として4つの位置決め突起21kが形成されてなるものである。これらの位置決め突起21kの上面は、円筒状の光路延長部材25の周面25aを緊密に受ける湾曲面とされている。このような複数の位置決め突起21kを所定形状としておくことにより、光路延長部材25を、その光軸が鏡筒21の中心軸と一致する状態に位置決めすることが可能になる。
【0070】
なおこの実施形態では、光路延長部材25を受ける面が湾曲面とされた位置決め突起21kが適用されているが、図9に示す第5の実施形態のように、光路延長部材25を受ける面が平面とされた位置決め突起26を適用することもできる。
【0071】
次に図10を参照して、本発明の第6の実施形態によるレンズユニット205について説明する。このレンズユニット205は、鏡筒21の1つの側壁21jの上に、一例として2つのフランジ受け溝21mが形成されてなるものである。ここで用いられる光路延長部材25′は図示の通り、両端部にそれぞれフランジ部25d、25eを有するものであって、該光路延長部材25′はそれらのフランジ部25d、25eが各々上記フランジ受け溝21m内に緊密に入り込む状態にして、鏡筒21に取り付けられる。それによりこの場合も光路延長部材25′を、その光軸が鏡筒21の中心軸と一致する状態に位置決めすることが可能になる。
【0072】
次に図11を参照して、本発明の第7の実施形態によるレンズユニット206について説明する。このレンズユニット206は、鏡筒21の1つの側壁21jの上に、1つのフランジ受け溝21mおよび受け部21nが形成されてなるものである。上記受け部21nは、光路延長部材25の周面25aを緊密に受ける円弧状の受け面21pを有するものである。
【0073】
ここで用いられる光路延長部材25″は図示の通り、一端部にフランジ部25dを有するものであって、該光路延長部材25″はそのフランジ部25dが上記フランジ受け溝21m内に緊密に入り込み、そしてその周面25aが上記受け面21pに受け止められる状態にして、鏡筒21に取り付けられる。それによりこの場合も光路延長部材25″を、その光軸が鏡筒21の中心軸と一致する状態に位置決めすることが可能になる。
【0074】
次に図12および図13を参照して、本発明の第8の実施形態によるレンズユニット207について説明する。このレンズユニット207は、鏡筒21の互いに向かい合う側壁21vに、それぞれフランジ受け溝21rが形成されてなるものである。
【0075】
ここで用いられる光路延長部材25″は図示の通り、一端部にフランジ部25dを有するものであって、該光路延長部材25″はそのフランジ部25dが上記1対のフランジ受け溝21r内に緊密に入り込む状態にして、鏡筒21に取り付けられる。それによりこの場合も光路延長部材25″を、その光軸が鏡筒21の中心軸と一致する状態に位置決めすることが可能になる。なお上述のようなフランジ受け溝21rを、3つの側壁部分にそれぞれ設けるようにしてもよい。
【0076】
次に図14を参照して、本発明の第9の実施形態によるレンズユニット208について説明する。このレンズユニット208は、鏡筒21の1つの側壁21jの上に、四角形の受け穴21sが形成されてなるものである。
【0077】
ここで用いられる光路延長部材27は図示の通り、4つの側面27a、前端面27bおよび後端面27cを有する直方体状のものであって、該光路延長部材27は一部が上記受け穴21s内に緊密に入り込む状態にして、鏡筒21に取り付けられる。それによりこの場合も光路延長部材27を、その光軸が鏡筒21の中心軸と一致する状態に位置決めすることが可能になる。
【0078】
次に図15を参照して、本発明の第10の実施形態によるレンズユニット209について説明する。このレンズユニット209は、鏡筒21の1つの側壁21jと、それと直交するもう1つの側壁21vの上に、それぞれ3個ずつの位置決め突起21tが形成されてなるものである。
【0079】
ここで用いられる光路延長部材27は図14に示したものと同様、4つの側面27a、前端面27bおよび後端面27cを有する直方体状のものである。この光路延長部材27は、側面27aの1つが側壁21j上の3個の位置決め突起21tに安定に接し、別の側面27aが側壁21v上の3個の位置決め突起21tに安定に接する状態にして、鏡筒21に取り付けられる。そこで上記位置決め突起21tを予め所定形状に形成しておくことにより、光路延長部材27を、その光軸が鏡筒21の中心軸と一致する状態に位置決めすることが可能になる。
【0080】
なお上記側壁21vと向かい合う側壁21vに1つあるいは複数の貫通孔21wを設けて、そこに通した部材により光路延長部材27を押圧することにより、上記側壁21v上の3個の位置決め突起21tに該光路延長部材27を緊密に接触させるようにしてもよい。
【0081】
次に図16を参照して、本発明の第11の実施形態によるレンズユニット210について説明する。なおこの図16において、レンズ22は省略してある(以下の図17〜20も同様)。このレンズユニット210は、1つの側壁21xに開口21yが形成されるとともに、この開口21yの周囲部分において側壁21x上に、レール状の当接部37aおよび当接突起37cが形成されてなるものである。
【0082】
ここで用いられる光路延長部材27は、図15に示したものと基本的に同様の直方体状のものであるが、そこにはフランジ28が固定されている。この光路延長部材27は、図中でフランジ28を上側にして、上記開口21yから鏡筒21の内部に収められる。このとき、フランジ28の下面28aが上記当接部37aおよび当接突起37cに当接することにより、該光路延長部材27が位置決めされる。それによりこの場合も光路延長部材27を、その光軸が鏡筒21の中心軸と一致する状態に位置決めすることが可能になる。
【0083】
次に図17を参照して、本発明の第12の実施形態によるレンズユニット211について説明する。このレンズユニット211は、1つの側壁21xに開口21yが形成されるとともに、この開口21yの周囲部分において側壁21x上に、細溝状の当接部37bおよび当接突起37cが形成されてなるものである。
【0084】
ここで用いられる光路延長部材27は、図16に示したものと基本的に同様のものであるが、その下面28aの一部に、レール状の当接部28bを有している。この光路延長部材27は、図中でフランジ28を上側にして、上記開口21yから鏡筒21の内部に収められる。このとき、フランジ28の下面28aが当接突起37cに当接するともに、上記レール状の当接部28bが細溝状の当接部37bに嵌入して当接することにより、該光路延長部材27が位置決めされる。それによりこの場合も光路延長部材27を、その光軸が鏡筒21の中心軸と一致する状態に位置決めすることが可能になる。またこの場合は、レール状の当接部28bが細溝状の当接部37bに嵌入するので、光路延長部材27が光軸方向に動いてしまうことも防止される。
【0085】
次に図18を参照して、本発明の第13の実施形態によるレンズユニット212について説明する。このレンズユニット212は図16のレンズユニット210と比べると、当接突起37cに代えてもう1つのレール状の当接部37aが設けられている点が異なるものである。この場合も、2つの当接部37aの作用により、図16の実施形態におけるのと同様の効果が得られる。
【0086】
次に図19を参照して、本発明の第14の実施形態によるレンズユニット213について説明する。このレンズユニット213は図18のレンズユニット212と比べると、2つのレール状当接部37aに代えて、2つの細溝状当接部37bが設けられている点が異なるものである。この場合、図示は省略してあるが、図17に示したレール状の当接部28bを2つ有するフランジ28を持つ光路延長部材27が適用される。そしてこの場合も、基本的に図17の実施形態におけるのと同様に、光路延長部材27を位置決めする効果が得られる。
【0087】
次に図20を参照して、本発明の第15の実施形態によるレンズユニット214について説明する。このレンズユニット214は、1つの側壁21xに開口21yが形成されるとともに、この開口21yの周囲部分において側壁21x上に、3つの当接突起37cと、断面長円形の係合部37dと、断面円形の係合部37eとが形成されてなるものである。
【0088】
ここで用いられる光路延長部材27は、図15に示したものと基本的に同様の直方体状のものであるが、そこにはフランジ28が固定されている。そして該フランジ28には、上記係合部37d、37eをそれぞれ緊密に受承する長円形の係合孔28d、円形の係合孔28eが形成されている。
【0089】
光路延長部材27は、図中でフランジ28を上側にして、上記開口21yから鏡筒21の内部に収められる。このとき、フランジ28の下面28aが上記3つの当接突起37cに当接することにより、該光路延長部材27が位置決めされる。それによりこの場合も光路延長部材27を、その光軸が鏡筒21の中心軸と一致する状態に位置決めすることが可能になる。またこのとき、上記係合部37d、37eがそれぞれ係合孔28d、28eに嵌入するので、フランジ28が、つまり光路延長部材27がフランジ下面28aと平行な面内で回転するように動いてしまうことが防止される。
【0090】
次に図21を参照して、本発明の第16の実施形態によるレンズユニット215について説明する。このレンズユニット215は、図示されている1つの側壁21vと、それと向かい合う図示外の側壁に、図示の通りの案内溝21qが形成されてなるものである。ここで用いられる直方体状の光路延長部材27は、左右側面から外方に突出した1対の位置決めピン27fを有するものである。
【0091】
光路延長部材27を鏡筒21に取り付ける際には、上記1対の位置決めピン27fが案内溝21q内に図中上方から導入され、位置決めピン27fが案内溝21qの終端に至るまで光路延長部材27が移動される。それによりこの場合も光路延長部材27を、その光軸が鏡筒21の中心軸と一致する状態に位置決めすることが可能になる。
【0092】
次に図22を参照して、本発明の第17の実施形態によるレンズユニット216について説明する。このレンズユニット216は、図21に示したレンズユニット215と比べると、案内溝の形状が異なるものである。すなわち本実施形態では、一度レンズ22から離れる方向に延びた後、またレンズ22の側に戻る形状をした案内溝21zが形成されている。このような案内溝21zを設けたことにより、鏡筒21に保持させた光路延長部材27を光軸方向に移動させることも可能になる。そこで、案内溝21zの終端位置によって光路延長部材27の光軸方向位置を規定する他に、側壁21jに設けた位置決め突起40に光路延長部材27の前端面27bを当接させて、その光軸方向位置を規定することも可能になる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体からの光が入射するレンズおよび、該レンズを保持する鏡筒を有してなるレンズユニットであって、
前記レンズの焦点像を顕微鏡で観察し、その観察結果に基づいて該レンズを所定の状態に位置調整するために、前記レンズの後方側において前記鏡筒内に、該レンズの焦点位置を後方側に延ばす光路延長部材を配置し、その状態で前記焦点像の観察がなされるレンズユニットにおいて、
前記鏡筒の一部に、その内部に配置された光路延長部材の前記レンズ側を向く前端面を受ける受け面を有する受け部が形成されるとともに、前記光路延長部材の後端面よりも後方に位置して、前記受け面に対して直角に延びるガイド挿入孔およびこのガイド挿入孔の周囲において前記受け面と平行に延びる取付面を有する取付部が形成されていることを特徴とするレンズユニット。
【請求項2】
物体からの光が入射するレンズおよび、該レンズを保持する鏡筒を有してなるレンズユニットであって、
前記レンズの焦点像を顕微鏡で観察し、その観察結果に基づいて該レンズを所定の状態に位置調整するために、前記レンズの後方側において前記鏡筒内に、該レンズの焦点位置を後方側に延ばす光路延長部材を配置し、その状態で前記焦点像の観察がなされるレンズユニットにおいて、
前記鏡筒の一部に、その内部に配置された光路延長部材の前記レンズ側を向く前端面と直角に交わる側面を受ける受け面を有する受け部が形成されるとともに、前記光路延長部材の後端面よりも後方に位置して、前記受け面に対して直角に延びるガイド挿入孔およびこのガイド挿入孔の周囲において前記受け面と平行に延びる取付面を有する取付部が形成されていることを特徴とするレンズユニット。
【請求項3】
前記鏡筒に、その中心軸に交わる方向から前記光路延長部材を受け入れる開口が形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のレンズユニット。
【請求項4】
物体からの光が入射するレンズおよび、該レンズを保持する鏡筒を有してなるレンズユニットであって、
前記レンズの焦点像を顕微鏡で観察し、その観察結果に基づいて該レンズを所定の状態に位置調整するために、前記レンズの後方側において前記鏡筒内に、該レンズの焦点位置を後方側に延ばす光路延長部材を配置し、その状態で前記焦点像の観察がなされるレンズユニットにおいて、
前記鏡筒の一部に、該鏡筒の中心軸に対して略直角な受け面を有する受け部が形成されるとともに、前記光路延長部材の後端面よりも後方に位置して、前記受け面に対して直角に延びるガイド挿入孔およびこのガイド挿入孔の周囲において前記受け面と平行に延びる取付面を有する取付部が形成されていることを特徴とするレンズユニット。
【請求項5】
前記鏡筒に、その中心軸に対して平行な方向から前記光路延長部材を受け入れる開口が形成されていることを特徴とする請求項4記載のレンズユニット。
【請求項6】
物体からの光が入射するレンズおよび、該レンズを保持する鏡筒を有してなるレンズユニットであって、
前記レンズの焦点像を顕微鏡で観察し、その観察結果に基づいて該レンズを所定の状態に位置調整するために、前記レンズの後方側において前記鏡筒内に、該レンズの焦点位置を後方側に延ばす光路延長部材を配置し、その状態で前記焦点像の観察がなされるレンズユニットにおいて、
前記鏡筒の一部に、前記光路延長部材の周面を受けて該光路延長部材を位置決めする複数の突起が形成されていることを特徴とするレンズユニット。
【請求項7】
物体からの光が入射するレンズおよび、該レンズを保持する鏡筒を有してなるレンズユニットであって、
前記レンズの焦点像を顕微鏡で観察し、その観察結果に基づいて該レンズを所定の状態に位置調整するために、前記レンズの後方側において前記鏡筒内に、該レンズの焦点位置を後方側に延ばす光路延長部材を配置し、その状態で前記焦点像の観察がなされるレンズユニットにおいて、
前記鏡筒の一部に、前記光路延長部材に固定された複数のフランジ部を受承して該光路延長部材を位置決めするフランジ受け溝が形成されていることを特徴とするレンズユニット。
【請求項8】
物体からの光が入射するレンズおよび、該レンズを保持する鏡筒を有してなるレンズユニットであって、
前記レンズの焦点像を顕微鏡で観察し、その観察結果に基づいて該レンズを所定の状態に位置調整するために、前記レンズの後方側において前記鏡筒内に、該レンズの焦点位置を後方側に延ばす光路延長部材を配置し、その状態で前記焦点像の観察がなされるレンズユニットにおいて、
前記鏡筒の一部に、前記光路延長部材に固定された1つのフランジ部を受承して該光路延長部材を位置決めするフランジ受け溝および、この光路延長部材の周面を受けて該光路延長部材を位置決めする受け部が形成されていることを特徴とするレンズユニット。
【請求項9】
物体からの光が入射するレンズおよび、該レンズを保持する鏡筒を有してなるレンズユニットであって、
前記レンズの焦点像を顕微鏡で観察し、その観察結果に基づいて該レンズを所定の状態に位置調整するために、前記レンズの後方側において前記鏡筒内に、該レンズの焦点位置を後方側に延ばす光路延長部材を配置し、その状態で前記焦点像の観察がなされるレンズユニットにおいて、
前記鏡筒の一部に、前記光路延長部材に固定された1つのフランジ部を互いに異なる箇所で受承して該光路延長部材を位置決めする複数のフランジ受け溝が形成されていることを特徴とするレンズユニット。
【請求項10】
物体からの光が入射するレンズおよび、該レンズを保持する鏡筒を有してなるレンズユニットであって、
前記レンズの焦点像を顕微鏡で観察し、その観察結果に基づいて該レンズを所定の状態に位置調整するために、前記レンズの後方側において前記鏡筒内に、該レンズの焦点位置を後方側に延ばす光路延長部材を配置し、その状態で前記焦点像の観察がなされるレンズユニットにおいて、
前記鏡筒の一部に、略角柱状に形成された前記光路延長部材を緊密に受承して該光路延長部材を位置決めする受け穴が形成されていることを特徴とするレンズユニット。
【請求項11】
物体からの光が入射するレンズおよび、該レンズを保持する鏡筒を有してなるレンズユニットであって、
前記レンズの焦点像を顕微鏡で観察し、その観察結果に基づいて該レンズを所定の状態に位置調整するために、前記レンズの後方側において前記鏡筒内に、該レンズの焦点位置を後方側に延ばす光路延長部材を配置し、その状態で前記焦点像の観察がなされるレンズユニットにおいて、
前記鏡筒の一部に、略角柱状に形成された前記光路延長部材の1つの側面に各々が当接してこの側面を位置決めする複数の第1組の突起および、光路延長部材の前記1つの側面と交わる方向に延びる別の側面に各々が当接してこの別の側面を位置決めする複数の第2組の突起が形成されていることを特徴とするレンズユニット。
【請求項12】
前記第1組の突起および第2組の突起として、各々3個ずつ突起が形成されていることを特徴とする請求項12記載のレンズユニット。
【請求項13】
物体からの光が入射するレンズおよび、該レンズを保持する鏡筒を有してなるレンズユニットであって、
前記レンズの焦点像を顕微鏡で観察し、その観察結果に基づいて該レンズを所定の状態に位置調整するために、前記レンズの後方側において前記鏡筒内に、該レンズの焦点位置を後方側に延ばす光路延長部材を配置し、その状態で前記焦点像の観察がなされるレンズユニットにおいて、
前記鏡筒の一部に、フランジ部が固定された前記光路延長部材を鏡筒の中心軸と交わる方向から受け入れる開口が形成されるとともに、この開口の周囲部分において前記フランジと当接して前記光路延長部材を位置決めする当接部が形成されていることを特徴とするレンズユニット。
【請求項14】
前記鏡筒の前記開口の周囲部分に、前記フランジに形成された係合部と係合する少なくとも1つの係合部が形成されていることを特徴とする請求項13記載のレンズユニット。
【請求項15】
物体からの光が入射するレンズおよび、該レンズを保持する鏡筒を有してなるレンズユニットであって、
前記レンズの焦点像を顕微鏡で観察し、その観察結果に基づいて該レンズを所定の状態に位置調整するために、前記レンズの後方側において前記鏡筒内に、該レンズの焦点位置を後方側に延ばす光路延長部材を配置し、その状態で前記焦点像の観察がなされるレンズユニットにおいて、
前記鏡筒の一部に、前記光路延長部材の側面に形成された位置決めピンを受承して所定位置まで案内する案内溝が形成されていることを特徴とするレンズユニット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate


【公開番号】特開2010−237261(P2010−237261A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−82182(P2009−82182)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】