説明

レンズ用硬化性樹脂組成物、硬化物及びレンズ

【課題】低粘度で成形性が良好であり、さらには、高屈折率、高透明性であり光学特性に優れるだけでなく、離型性、型再現性、基材との密着性、耐久性にも優れたレンズ用硬化性樹脂組成物、その硬化物、及び、このような樹脂組成物を硬化して得られる層を有するレンズを提供する。
【解決手段】(a)25℃における屈折率が1.52以上の2官能(メタ)アクリレート化合物1〜40質量%と、(b)25℃における屈折率が1.55以上の単官能(メタ)アクリレート化合物60〜99質量%と、(c)光重合開始剤0.1〜10質量%を含む硬化性樹脂組成物であって、該硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物が、(A)ガラス転移温度が0〜50℃であり、(B)損失正接tanδが0.45〜1.0である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ用硬化性樹脂組成物、硬化物及びレンズに関する。より詳しくは、プリズムレンズ、フレネルレンズ、レンチキュラレンズ、マイクロレンズ等のレンズ類(またはレンズシート類)に用いられる硬化性樹脂組成物及びその硬化物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記のレンズはプレス法、キャスト法(注型形成法)等の方法により成形されていた。前者のプレス法は、加熱、加圧、冷却サイクルで製造するため生産性が悪かった。又、後者のキャスト法は、金型にモノマーを流し込んで重合するため製作時間が長くかかるとともに、金型が多数個必要なため製造コストが上がるという問題があった。このような問題を解決するために、特許文献1、特許文献2には紫外線硬化性樹脂組成物を使用することについて種々の提案がなされている。
これら紫外線硬化型樹脂組成物を使用することによって透過型スクリーンなどに用いる光学レンズシートを製造する方法は、ある程度成功している。しかしながら、これら従来の樹脂組成物の硬化物はPET等の基材との密着性、型からの離型性が悪いという課題があった。密着性が悪いと、使用可能な基材の種類が限られ、意図する光学物性を得づらくなる。離型性が悪いと、離型時に型に樹脂が残り、型が使用できなくなる。又、密着性の良い硬化物を与える樹脂組成物は型への密着も良くなるため離型性が悪くなり易く、一方、離型性の良い樹脂組成物は密着性が悪くなり易いという課題もある。そのため、基材との密着性と型からの離型性の両性能を満足できる樹脂組成物を提供することが望まれている。特許文献2、及び特許文献3は密着性には言及しておらず、密着性と離型性のバランスの取れた、微細な構造を持つ光学レンズシートについての要求に対しての提案はいずれの特許文献にも記載されていない。また、これら透過型スクリーン等に用いられるレンズ類用組成物は、近年の画像の高精細化等に伴いより微細な形状に加工されたり、より薄く加工されたりするために、あるいはロール状のシートやフィルムに連続加工をするために、低粘度のものが求められる傾向があるが、特許文献3の組成物はそのような物性を有していない。
さらに、生産性を高める観点からレンズシートを巻き取ったときなどに微細構造が潰れにくいことも必要であるが、この場合、硬化物のガラス転移温度(Tg)を高くすればよいが、一方で、離型性が悪くなったり、反りが大きくなる傾向がある。従って、硬化物としての物性の最適化が望まれている。さらには、耐久性向上の観点から高温高湿環境下でも物性の変化が少ないもの(耐久性に優れるもの)が求められる傾向にある。上記のような要求に対し、低粘度である樹脂組成物であり、硬化物としては、高い屈折率、離型性、密着性、耐久性に優れ、さらには低反りを兼ね備えることは難しく、すべてを満足できるものは得られていないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63−167301号公報
【特許文献2】特開昭63−199302号公報
【特許文献3】特許第3209554号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、低粘度で成形性が良好であり、さらには、高屈折率、高透明性であり光学特性に優れるだけでなく、離型性、型再現性、基材との密着性、耐久性にも優れたレンズ用硬化性樹脂組成物、その硬化物、及び、このような樹脂組成物を硬化して得られる層を有するレンズを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は、レンズに用いられる硬化性樹脂組成物について種々検討したところ、特定の組成を有する硬化性樹脂組成物およびその硬化物が、低粘度であり、高屈折率、高透明性、離型性、型再現性、基材との密着性、耐久性に優れることを見いだし、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、(a)25℃における屈折率が1.52以上の2官能(メタ)アクリレート化合物1〜40質量%と、(b)25℃における屈折率が1.55以上の単官能(メタ)アクリレート化合物60〜99質量%と、(c)光重合開始剤0.1〜10質量%を含む硬化性樹脂組成物であって、該硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物が、(A)ガラス転移温度が0〜50℃であり、(B)損失正接tanδが0.45〜1.0であるレンズ用硬化性樹脂組成物である。
本発明はまた、(a)成分は、分子中にラクトンの開環構造とビスフェノール構造を有する、ウレタン(メタ)アクリレート化合物、エポキシ(メタ)アクリレート化合物、ポリエステル(メタ)アクリレート化合物からなる群より選択される少なくとも1種以上の化合物を含むレンズ用硬化性樹脂組成物でもある。
本発明はまた、(b)成分は、o−フェニルフェノールポリメトキシ(メタ)アクリレートを含むレンズ用硬化性樹脂組成物でもある。
本発明はまた、上記レンズ用硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物でもある。
本発明は更に、上記レンズ用硬化性樹脂組成物を硬化して得られる層を有するレンズでもある。
以下に本発明を詳述する。
<レンズ用硬化性樹脂組成物>
本発明のレンズ用硬化性樹脂組成物(以下、「硬化性樹脂組成物」又は「樹脂組成物」とも称す)は、プリズムレンズ、フレネルレンズ、レンチキュラレンズ、マイクロレンズ等のレンズ類(またはレンズシート類)に用いられるものである。
上記硬化性樹脂組成物は、(a)25℃における屈折率が1.52以上の2官能(メタ)アクリレート化合物1〜40質量%と、(b)25℃における屈折率が1.55以上の単官能(メタ)アクリレート化合物60〜99質量%と、(c)光重合開始剤0.1〜10質量%を含む硬化性樹脂組成物であって、該硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物が、(A)ガラス転移温度が0〜50℃であり、(B)損失正接tanδが0.45〜1.0である硬化性樹脂組成物である。なお、本発明の作用効果を損なわない限り、他の成分を更に含有していてもよい。また、これら含有成分は、各々1種又は2種以上使用してもよく、本発明の作用効果を損なわない限り、他の成分を更に含有していてもよい。
以下では、上記(a)に該当する各化合物を「化合物(a)」と称し、化合物(a)の集合体(すなわち、1以上の化合物(a)の総称)を「(a)成分」と称す。上記(b)〜(c)についても、これと同様に称す。
上記硬化性樹脂組成物における(a)及び(b)成分のより好ましい含有割合としては、これらの総量100質量%に対し、各々、(a)5〜40質量%、(b)60〜95質量%であり、さらに好ましくはこれらの総量100質量%に対し、各々、(a)5〜30質量%、(b)70〜95質量%であり、最も好ましくはこれらの総量100質量%に対し、各々、(a)10〜25質量%、(b)75〜90質量%である。(a)成分の含有割合が1質量%未満であると、得られる樹脂組成物の硬化性が悪くなったりするおそれがある。また、(a)成分の含有割合が40質量%を超えると、得られる樹脂組成物の粘度が高くなったり、反りが大きくなったり、離型性が悪くなったりするおそれがある。
上記硬化性樹脂組成物はまた、該硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物が、(A)ガラス転移温度が0〜50℃であり、かつ、(B)損失正接tanδが0.45〜1.0であることが適当である。これと、硬化性樹脂組成物の組成を、上述したように少なくとも(a)及び(c)成分を含み、かつ(a)成分及び(c)成分の含有量が上記のように特定されてなる形態とすることとの相乗効果によって、要求物性を全て実現する硬化性樹脂組成物を得ることが可能になる。ここで、硬化性樹脂組成物の組成、上記(A)の特定事項及び上記(B)の特定事項のうち1つでも満たさないものがあると、耐久性、離型性、型再現性、基材密着性、反り特性を同時に充分に発揮させることができない。すなわち本発明では、バランスよく要求物性を同時に発揮させるには、硬化性樹脂組成物の組成、その硬化物のガラス転移温度及び損失正接tanδを上記のように特定することが必須となることを見いだしたのであり、ここに本発明の技術的意義を有する。
上記ガラス転移温度(Tg)として好ましくは5℃以上、より好ましくは10℃以上であり、更に好ましくは15℃以上、特に好ましくは20℃以上であり、また、好ましくは45℃以下、より好ましくは43℃以下、更に好ましくは40℃以下である。また、上記損失正接tanδとして好ましい範囲は、上述したTgとも大きく関係するため、一概に説明できない部分もあるものの、例えば、好ましくは0.50以上であり、より好ましくは0.55以上、更に好ましくは0.60以上であり、また、好ましくは0.90以下、より好ましくは0.85以下、更に好ましくは0.80以下である。
上記ガラス転移温度、損失正接tanδは、上記硬化性樹脂組成物を下記硬化方法によって硬化して得た硬化物について、下記測定条件の下、動的粘弾性の測定を行い、得られた値を採用する。なお、ガラス転移温度は、最大tanδ値の温度を採用するものとする。
<測定条件>
引っ張りモード、周波数1Hz、クランプ距離25mm、振幅0.1%、昇温速度5℃/分の条件で動的粘弾性の測定を行う。
<硬化方法>
ガラス板上に膜厚が100μmとなるようにアプリケーターバーを用いて塗布し、1.0J/cmの紫外線を窒素下で照射して硬化させ、試験片を作製する。
上記25℃における屈折率は、JIS K7105に従い、アッベ屈折計(形式「DR−M2」、アタゴ社製)を用いて測定した値を採用するものとする。
〔(a)成分について〕
上記化合物(a)は、25℃における屈折率が1.52以上の2官能(メタ)アクリレート化合物であれば特に限定されるものではないが、高屈折化、機械的強度アップの観点からビスフェノール構造を有することが好ましい。具体的には、ビスフェノ−ルAのアルキレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレート、分子中にビスフェノール構造を有する、ウレタン(メタ)アクリレート化合物、エポキシ(メタ)アクリレート化合物、ポリエステル(メタ)アクリレート化合物、分子中にラクトンの開環構造とビスフェノール構造とを有する、ウレタン(メタ)アクリレート化合物、エポキシ(メタ)アクリレート化合物、ポリエステル(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。中でも、分子中にラクトンの開環構造とビスフェノール構造とを有する、ウレタン(メタ)アクリレート化合物、エポキシ(メタ)アクリレート化合物、ポリエステル(メタ)アクリレート化合物からなる群より選択される少なくとも1種以上の化合物を使用することが好ましい。このような化合物を使用することで、樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物および/又はレンズの機械的強度アップ、離型性、型再現性、基材密着性の向上、高屈折率化が期待できる。なお、ここでいう、ラクトンの開環構造とは、後述するε−カプロラクトン等の環状エステル化合物が開環反応(重合)して得られる構造と同一の化学構造を示す。
ウレタン(メタ)アクリレート化合物は、例えば、水酸基含有(メタ)アクリレートと、ポリイシシアネーを成分として公知の製法により得ることができるが、上記(a)成分として好ましい、分子中にラクトンの開環構造とビスフェノール構造を有するウレタン(メタ)アクリレート化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、水酸基含有(メタ)アクリレートと、環状エステル化合物と、ビスフェノール構造を有するポリオールと、ポリイシシアネートとを反応させて得ることができる。
上記水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリロイルフォスフェート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、さらには、上記の水酸基含有(メタ)アクリレート化合物に後述するε−カプロラクトン等の環状エステル化合物を付加させたもの、アルキルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有化合物と(メタ)アクリル酸との付加反応により得られる化合物も使用することができる。これら水酸基含有(メタ)アクリレートは1種又は2種以上を併用してもよい。中でも、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのε−カプロラクトン付加物、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートのε−カプロラクトン付加物が好ましい。
上記環状エステル化合物は、例えば水酸基含有化合物やカルボキシル基含有化合物等と反応して分子内にラクトンの開環構造を導入するための成分であり、分子内に水酸基とカルボキシシル基を各々1個以上もつ炭素原子数2以上のヒドロシキカルボン酸が分子内結合した構造を有するものならいずれでもよく、例えばγ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、置換ε−カプロラクトン、D−グルコノ−1,4−ラクトン、1,10−フェナントレンカルボラクトン、4−ペンテン−5−オリド、12−ドデカノリド等ラクトン類が挙げられ、得られる樹脂組成物の低粘度が低下して成形性が良好になったり、得られる硬化物および/又はレンズの機械的強度アップ、離型性および型再現性の向上させることができる。また、ここで言う置換ε−カプロラクトンとは、アルキル基が1から12までの炭素原子を有する、種々のε−モノアルキルカプロラクトンであって、例えば、ε−メチルカプロラクトン、ε−エチルカプロラクトン、ε−プロピルカプロラクトン、ε−ドデシルカプロラクトンなどの1置換アルキルラクトン類から、2から3のアルキル置換のものが使用できる。これら環状エステル化合物は、1種又は2種以上を併用してもよい。本発明に用いる環状エステル化合物としては、ε−カプロラクトンが特に好ましく用いられる。
なお、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物および/又は後述するポリオール成分として、これらの環状エステル化合物が付加されたものを用いる場合は、必ずしも環状エステル化合物を単独で用いなくてもよい。
上記ビスフェノール構造を有するポリオールとしては、例えばビスフェノールAポリ(好ましくは重合度:平均値としてn=2〜40)エトキシグリコール、ビスフェノールAポリ(好ましくは重合度:平均値としてn=2〜40)プロポキシグリコール、ビスフェノールAポリ(好ましくは重合度:平均値としてn=2〜40)エトキシプロポキシグリコール、ビスフェノールFポリ(好ましくは重合度:平均値としてn=2〜40)エトキシグリコール、ビスフェノールFポリ(好ましくは重合度:平均値としてn=2〜40)プロポキシグリコール、ビスフェノールFポリ(好ましくは重合度:平均値としてn=2〜40)エトキシプロポキシグリコール、ビスフェノールSポリ(好ましくは重合度:平均値としてn=2〜40)エトキシグリコール、ビスフェノールSポリ(好ましくは重合度:平均値としてn=2〜40)プロポキシグリコール及びビスフェノールSポリ(好ましくは重合度:平均値としてn=2〜40)エトキシプロポキシグリコール、さらには、上記ビスフェノール構造を有するポリオールにε−カプロラクトン等の環状エステル化合物を付加させたものも使用することができ、樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物および/又はレンズの機械的強度アップ、高屈折率化が期待できる。これらビスフェノール構造を有するポリオールは、1種又は2種以上を併用してもよい。中でも、ビスフェノールAポリ(好ましくは重合度:平均値としてn=2〜10)エトキシグリコール、ビスフェノールAポリ(好ましくは重合度:平均値としてn=2〜10)プロポキシグリコール、ビスフェノールAポリ(好ましくは重合度:平均値としてn=2〜10)エトキシプロポキシグリコール、これらビスフェノール構造を有するポリオールにε−カプロラクトンを付加させたものが好ましい。
上記(a)成分の、分子中にラクトンの開環構造とビスフェノール構造を有するウレタン(メタ)アクリレート化合物には、ビスフェノール構造を有さないポリオールも使用することができる。例えば、ビスフェノール構造を有さないポリオールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,3−ブタンジオール、シクロヘキサンジメチロール、トリシクロデカンジメチロール、1,6−ヘキサンジオール、2−ブチル−2−エチル−プロパンジオール、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリエチレンブチレングリコール、ポリカプロラクトンジオール、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール等を挙げることができる。
上記ポリイシシアネートとしては、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート;イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、ノルボルナンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチルフェニレンジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート等が挙げられる。特に、得られるウレタン(メタ)アクリレート、樹脂組成物、およびその硬化物の屈折率が高くなることから、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネートを使用することが好ましい。
上記(a)成分の、分子中にラクトンの開環構造とビスフェノール構造を有するウレタン(メタ)アクリレート化合物の製造方法としては、特に限定はされないが、製法1としてビスフェノール構造を有するポリオール及びポリイソシアネートを反応させ、次いで環状エステル化合物を付加させた水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させる方法、製法2として環状エステル化合物を付加させたビスフェノール構造を有するポリオール及びポリイソシアネートを反応させ、次いで水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させる方法、製法3としてポリイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させ、次いで環状エステル化合物を付加させたビスフェノール構造を有するポリオールを反応させる方法、製法4としてポリイソシアネート及び環状エステル化合物を付加させた水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させ、次いでビスフェノール構造を有するポリオールを反応させる方法、製法5として環状エステル化合物を付加させたビスフェノール構造を有するポリオール、ポリイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートを一括に仕込んで反応させる方法、製法6としてビスフェノール構造を有するポリオール、ポリイソシアネート及び環状エステル化合物を付加させた水酸基含有(メタ)アクリレートを一括に仕込んで反応させる方法が挙げられる。いずれの方法を用いてもよいが、本発明では、製法1または製法3が好ましい。
ビスフェノール構造を有するポリオール、ポリイソシアネート、環状エステル化合物を付加させた水酸基含有(メタ)アクリレートのそれぞれの使用割合は、ビスフェノール構造を有するポリオールに含まれる水酸基が1当量に対して、ポリイソシアネートに含まれるイソシアネート基が1.1〜2当量、環状エステル化合物を付加させた水酸基含有(メタ)アクリレートに含まれる水酸基が0.5〜1当量になるように定めるのが好ましい。この好適範囲から外れると、粘度が高くなり、得られる樹脂組成物の取り扱いが悪くなるおそれがある。
上記(a)成分の、分子中にビスフェノール構造または、ラクトンの開環構造とビスフェノール構造とを有するウレタン(メタ)アクリレート化合物(以下、ウレタン(メタ)アクリレート化合物とも称す)の数平均分子量は、好ましくは500〜20,000、より好ましくは1,000〜15,000である。該数平均分子量が500未満であると、得られる樹脂組成物の硬化性が悪くなったり、硬化物の基材への密着性の低下や反りの増大がおこるおそれがある。逆に数平均分子量が20,000を超えると、得られる樹脂組成物の粘度が高くなり、取り扱いが悪くなるおそれがある。なお、本明細書中の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)は、いずれも、テトラヒドロフラン(THF)を移動相とし、温度40℃、流速0.3mL/minの条件下で、東ソー社製のカラム TSK−gel SuperHM−H 2本、TSK−gel SuperH2000 1本を用い、東ソー社製のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置 HLC−8220GPCにより求め、標準ポリスチレン換算した値である。
成分(a)のウレタン(メタ)アクリレート化合物を製造する際、例えばトリエチルアミン、ベンジルメチルアミン等のアミン類、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート等のジラウレート化合物、ナフテン酸銅、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛等を触媒として用いることができる。触媒の添加量は反応混合物全体に対して0.001〜5質量%程度であることが好ましく、0.01〜1質量%程度であることが特に好ましい。なお、反応温度は通常、10〜100℃、特に30〜80℃で行うことが好ましい。また、反応中のラジカル重合によるゲル化を防止するため、公知の重合禁止剤が添加しておくことが好ましい。重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、メトキノン、p−メトキシフェノール、p−ベンゾキノン等が好ましく使用でき、反応混合物全体に対して0.001〜3質量%であることが好ましく、0.01〜1質量%であることがより好ましい。
エポキシ(メタ)アクリレート化合物は、例えば、エポキシ樹脂とカルボキシル基含有(メタ)アクリレートを成分として公知の製法により得ることができるが、上記(a)成分として好ましい、分子中にラクトンの開環構造とビスフェノール構造とを有するエポキシ(メタ)アクリレート化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、環状エステル化合物を付加させたカルボキシル基含有(メタ)アクリレートとビスフェノール構造を有するエポキシ樹脂とを反応させる方法や、上述の環状エステル化合物を付加させた水酸基含有アクリレートと二塩基酸無水物とビスフェノール構造を有するエポキシ樹脂とを反応させる方法で得ることができる。本発明では、後述の方法が好ましく使用できる。
上記環状エステル化合物を付加させたカルボキシル基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば(メタ)アクリル酸に上記環状エステル化合物を付加させることで得ることができる。
上記ビスフェノール構造を有するエポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールAのグリシジルエーテル、
ビスフェノールAのグリシジルエーテルの2級水酸基にε−メチルカプロラクトン等の環状エステル化合物を付加させたもの、ビスフェノールFのグリシジルエーテル、ビスフェノールFのグリシジルエーテルの2級水酸基にε−メチルカプロラクトン等の環状エステル化合物を付加させたもの、ビスフェノールSのグリシジルエーテル、ビスフェノールSのグリシジルエーテルの2級水酸基にε−メチルカプロラクトン等の環状エステル化合物を付加させたもの等を挙げることができる。中でも、ビスフェノールAのグリシジルエーテル、ビスフェノールAのグリシジルエーテルの2級水酸基にε−メチルカプロラクトン等の環状エステル化合物を付加させたものを用いることが好ましい。
その他の使用できるエポキシ樹脂としては、特に構造が限定されるものではないが、例えばノボラック型エポキシ樹脂類、脂環式エポキシ樹脂類、グリシジルエステル類、グリシジルエステル類、グリシジルアミン類、複素環式エポキシ樹脂類、及び臭素化エポキシ樹脂類などが挙げられる。
上記二塩基酸無水物としては、フタル酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物及びその誘導体、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物及びその誘導体、1,2,3,4−テトラヒドロフタル酸無水物及びその誘導体、2,3,4,5−テトラヒドロフタル酸無水物及びその誘導体、ヘキサヒドロフタル酸無水物及びその誘導体、琥珀酸無水物及びその誘導体、モノアルキル琥珀酸無水物及びその誘導体、ジアルキル琥珀酸無水物及びその誘導体、マレイン酸無水物及びその誘導体、モノアルキルマレイン酸無水物及びその誘導体、並びにジアルキルマレイン酸無水物及びその誘導体が挙げられる。中でもフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、又はヘキサヒドロフタル酸無水物を用いることが好ましい。
上記(a)成分の、分子中にラクトンの開環構造とビスフェノール構造とを有するエポキシ(メタ)アクリレート化合物の合成に用いられる環状エステル化合物、水酸基含有アクリレートは、上記(a)成分のウレタン(メタ)アクリレートの合成で用いられた同一の化合物が使用できる。
上記(a)成分の、分子中にラクトンの開環構造とビスフェノール構造とを有するエポキシ(メタ)アクリレートは、特に限定はされないが、下記の反応工程で製造することが好ましい。第一段の反応として、ε−カプロラクトン等の環状エステル化合物を付加させた水酸基含有(メタ)アクリレートの水酸基と、二塩基酸無水物とを、水酸基と二塩基酸無水物のモル比が0.9〜1.1、好ましくは等モルにて反応させてハーフエステル化合物を得る。第二段の反応として、得られたハーフエステル化合物とビスフェノール構造を有するエポキシ樹脂とを、ハーフエステル化合物のカルボキシル基とビスフェノール構造を有するエポキシ樹脂のグリシジル基とを、モル比が0.9〜1.1、好ましくは等モルにて反応させる。この第1段反応は、上記(a)成分のウレタンアクリレートの合成で使用可能な重合禁止剤の存在下、反応温度60〜120℃、好ましくは70〜100℃で反応する事が望ましい。60℃以下では反応時間が長くなり、120℃以上ではε−カプロラクトン等の環状エステル化合物を付加させた水酸基含有(メタ)アクリレートの不飽和二重結合の重合が起きやすくなる。第2段の反応は、60℃以下では反応時間が長くなり、120℃以上ではε−カプロラクトン等の環状エステル化合物を付加させた水酸基含有(メタ)アクリレートの不飽和二重結合の重合が起きやすくなるため、上記(a)成分のウレタンアクリレートの合成で使用可能な重合禁止剤の存在下、反応温度60〜120℃、好ましくは70〜100℃で反応する事が望ましい。グリシジル基の開環触媒として公知任意の触媒を用いる事が出来る。トリエチレンジアミン、又はトリnブチルアミン等の三級アミン類、及び、トリフェニルフォスファイト、亜燐酸エステル、又はトリフェニルホスフィン等のホスフィン類などがその代表例として挙げる事が出来る。触媒の使用量は、反応混合物全体に対して0.001〜5質量%程度であることが好ましく、0.01〜1質量%程度であることが特に好ましい。
上記(a)成分の、分子中にビスフェノール構造または、ラクトンの開環構造とビスフェノール構造とを有するエポキシ(メタ)アクリレート化合物(以下、エポキシ(メタ)アクリレート化合物とも称す)の数平均分子量は、好ましくは500〜15,000、より好ましくは1,000〜10,000である。該数平均分子量が500未満であると、得られる樹脂組成物の硬化性が悪くなったり、硬化物の基材への密着性の低下や反りの増大がおこるおそれがある。逆に数平均分子量が15,000を超えると、得られる樹脂組成物の粘度が高くなり、取り扱いが悪くなるおそれがある。
ポリエステル(メタ)アクリレート化合物は、例えば、ポリオールと、カルボキシル基含有(メタ)アクリレートを成分として公知の製法により得ることができるが、上記(a)成分として好ましい、分子中にラクトンの開環構造とビスフェノール構造とを有するポリエステル(メタ)アクリレート化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、環状エステル化合物を付加させたカルボキシル基含有(メタ)アクリレートと上述のビスフェノール構造を有するポリオールとを反応させる方法や、上述の環状エステル化合物とビスフェノール構造を有するポリオールと(メタ)アクリル酸などのカルボキシル基含有(メタ)アクリレートとを反応させる方法で得ることができる。本発明では、後述の方法が好ましく使用できる。
上記(a)成分の、分子中にラクトンの開環構造とビスフェノール構造とを有するポリエステル(メタ)アクリレート化合物の合成に用いられる環状エステル化合物、環状エステル化合物を付加させたカルボキシル基含有(メタ)アクリレート、ビスフェノール構造を有するポリオールは、上記(a)成分のウレタン(メタ)アクリレートおよび/又はエポキシ(メタ)アクリレートの合成で用いられる同一の化合物が使用できる。
上記(a)成分の、ビスフェノール構造または、分子中にラクトンの開環構造とビスフェノール構造とを有するポリエステル(メタ)アクリレート(以下、ポリエステル(メタ)アクリレートと称す)は、必要に応じて、上記(a)成分のウレタン(メタ)アクリレートの合成で用いられるビスフェノール構造を有さないポリオールも使用することができる。
上記(a)成分の、ポリエステル(メタ)アクリレートは、必要に応じて、例えば上記(a)成分のエポキシ(メタ)アクリレートの合成で用いられる二塩基酸無水物も使用することができる。
上記(a)成分の、ポリエステル(メタ)アクリレートは、必要に応じて多塩基酸を用いることができ、例えば、アジピン酸、コハク酸、セバチン酸等の飽和多塩基酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和多塩基酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸等の芳香族多塩基酸を挙げることができる。
上記(a)成分の、ポリエステル(メタ)アクリレートは、ポリオールに含まれる水酸基が1当量に対して、使用するカルボキシル基含有(メタ)アクリレート、二塩基酸無水物、二塩基酸の合計当量が0.9〜2.2当量になるように定めるのが好ましい。この好適範囲から外れると、粘度が高くなり、得られる樹脂組成物の取り扱いが悪くなるおそれがある。
上記(a)成分の、ポリエステル(メタ)アクリレートは、触媒を添加して合成することが好ましい。触媒としては、ルイス酸として機能する触媒が好ましく、例えばTi化合物(例えば、Ti(OBu)、Ti(O−Pr)等)、Sn化合物(例えば、オクチル酸スズ、ジブチルスズオキシド、ジブチルスズジラウレート、モノブチルスズヒドロキシブチルオキシド、塩化第一スズ、塩化第二スズ等)、プロトン酸(例えば、硫酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等)等が挙げられ、なかでも反応性、薬品の有害性、入手の容易さの観点からTi(OBu)、Ti(O−Pr)、オクチル酸スズ、ジブチルスズオキシド、ジブチルスズジラウレート、モノブチルスズヒドロキシブチルオキシド、メタンスルホン酸が好ましい。上記触媒は、単独で用いてもよいし、本発明の効果を損なわない範囲で、2種以上を併用してもよい。触媒の使用量は、反応混合物全体に対して0.001〜5質量%程度であることが好ましく、0.01〜1質量%程度であることが特に好ましい。反応温度は、80〜250℃が好ましく、90〜230℃がより好ましく、100〜210℃が更に好ましい。上記範囲とすることで、好適な反応速度による合成が可能となり、得られるポリエステルアクリレートの着色の小さくなるため好ましい。
上記(a)成分の、ポリエステル(メタ)アクリレート化合物の数平均分子量は、好ましくは300〜10,000、より好ましくは500〜8,000である。該数平均分子量が300未満であると、得られる樹脂組成物の硬化性が悪くなったり、硬化物の基材への密着性の低下や反りの増大がおこるおそれがある。逆に数平均分子量が10,000を超えると、得られる樹脂組成物の粘度が高くなり、取り扱いが悪くなるおそれがある。
上記化合物(a)は、得られる硬化物および/又はレンズの高屈折率化の観点から、25℃における屈折率が1.53以上の2官能(メタ)アクリレート化合物を使用することがより好ましい。
〔(b)成分について〕
上記化合物(b)は、25℃における屈折率が1.55以上の単官能(メタ)アクリレート化合物である。化合物(b)を含むことにより、例えば、高屈折率化と同時に液粘度や硬化物の物性を調節することができるという効果を奏する。なお、化合物(b)は1種の化合物であってもよいし、2種以上であってもよい。
上記化合物(b)としては、例えば、o−フェニルフェノールポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェニルチオエチル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、p−クミルフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、9−フルオレニルメタノールと(メタ)アクリル酸との反応物等が挙げられる。中でも、o−フェニルフェノールポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェニルチオエチル(メタ)アクリレートが、低粘度、高屈折率、入手の容易さから好ましく、o−フェニルフェノールポリエチレングリコール(メタ)アクリレートが特に好ましい。
〔他の重合性成分について〕
本発明ではまた、上述した必須成分(a)、(b)及び(c)に加え、更に必要に応じて、その他の共硬化可能な成分(他の重合性成分)として、下記の(メタ)アクリレート化合物やビニル系単量体や不飽和化合物等の1種又は2種以上を含んでいてもよい。
(メタ)アクリレート化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェニルチオエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸、2−アクリロイロキシエチル−フタル酸等の単官能(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノ−ルAのアルキレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールのアルキレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのアルキレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリレート、1,4ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルのジ(メタ)アクリル酸付加物、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジメタノールジ(メタ)アクリレート、p−メンタンー1,8−ジオールジ(メタ)アクリレート、p−メンタン−2,8−ジオールジ(メタ)アクリレート、p−メンタン−3,8−ジオールジ(メタ)アクリレート、ビシクロ[2.2.2]−オクタン−1−メチル−4−イソプロピル−5,6−ジメチロールジ(メタ)アクリレート、ビス((メタ)アクリロキシネオペンチルグリコール)アジペート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の(メタ)アクリレートが挙げられる。中でも、25℃における屈折率が1.49以上であることが好ましく、具体的には、例えばジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ビニル系単量体としては、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)エトキシ}エチル等が挙げられる。
不飽和化合物としては、スチレン、ビニルトルエン、4−t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、4−クロロスチレン、4−メチルスチレン、4−クロロメチルスチレン、ジビニルベンゼン等のスチレン系モノマー;ジフェン酸ジアリル、フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル等のアリルエステル系モノマー;トリエチレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル等のビニルエーテル系モノマー;トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、アリルグリシジルエーテル、メチロールメラミンのアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテルのアジピン酸エステル、アリルアセタール、メチロールグリオキザールウレインのアリルエーテル等のアリルエーテル系モノマー;マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル等のマレイン酸エステル系モノマー;フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチル等のフマル酸エステル系モノマー;(メタ)アクリロイルモルホリン;N−ビニルホルムアミド;N−ビニルピロリドン等が挙げられる。
これら(メタ)アクリレート化合物、ビニル系単量体、不飽和化合物の含有割合は、上記(a)〜(b)成分と、(メタ)アクリレート化合物、ビニル系単量体、不飽和化合物との総量100質量%に対し、0〜50質量%であることが好適である。より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下であり、特に好ましくは、実質的にこれら化合物を含まないことである。なお、以下では、上記(a)〜(b)成分と、上記(メタ)アクリレート化合物、ビニル系単量体、不飽和化合物とを総称して「重合性成分」と称す。
〔(c)成分について〕
本発明の樹脂組成物はまた、必須成分として光重合開始剤(c)0.1〜10質量%を含有する。光重合開始剤を含むことにより、光照射によって速やかに硬化させることができるという効果を奏する。上記硬化性樹脂組成物中、上記光重合開始剤(c)の含有量としては、0.3〜8質量%であることがより好ましく、更に好ましくは1〜5質量%である。0.1質量%以上であると上記硬化性樹脂組成物をより充分に硬化することができ、また10質量%以下であると臭気発生や硬化物の着色を充分に抑制できる。光重合開始剤(c)としては、光線の照射により重合開始ラジカルを発生する光ラジカル重合開始剤が好適である。また、光線の照射により重合開始カチオンを発生する光カチオン重合開始剤を使用してもよい。なお、光重合開始剤(c)は、1種又は2種以上を用いることができる。
上記光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジルー2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン}、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン等のアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド等のベンゾフェノン類;2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロリド等のチオキサントン類等が挙げられる。
上記光ラジカル重合開始剤の中でも、アセトフェノン類が好適であり、具体的には1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン}、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オンが好適である。
〔他の成分について〕
上記硬化性樹脂組成物はまた、必要に応じ、紫外線吸収剤、熱重合開始剤、光増感剤、光重合促進剤、金属酸化物粒子、表面機能調整剤、離型剤、溶剤、無機充填剤、低収縮化剤(反応性オリゴマー又はポリマー、非反応性オリゴマー又はポリマー)、着色顔料、可塑剤、連鎖移動剤、重合禁止剤、近赤外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、難燃化剤、艶消し剤、染料、消泡剤、レベリング剤、帯電防止剤、分散剤、スリップ剤、表面改質剤、揺変化剤、揺変助剤等の1種又は2種以上を含んでもよい。
これらのその他の成分の配合量は、その種類や使用目的、組成物の用途や使用方法等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。
〔レンズ用硬化性樹脂組成物のより好適な形態等〕
本発明の硬化性樹脂組成物は、上述した必須成分と、更に必要に応じて含まれる上記成分とを配合し、通常の手法により混合・攪拌することにより得ることができる。
このような樹脂組成物の粘度は、硬化手法やレンズ設計等によって適宜設定される。通常、25℃において、10mPa・s以上であることが好ましく、また、2000mPa・s以下であることが好適である。より好ましくは30mPa・s以上、更に好ましくは50mPa・sで以上あり、また、より好ましくは1500mPa・s以下、更に好ましくは1000mPa・s以下、特に好ましくは800mPa・s以下である。なお、上記樹脂組成物の粘度は、温度25℃の条件下で、B型粘度計(型式「RB80L」:東機産業社製)を用いて算出することができる。
上記硬化性樹脂組成物は、紫外線を照射することで硬化させることができる。ここでいう硬化とは、流動性のない状態にすることを意味する。
使用する紫外線の波長は、150〜450nmの範囲内であればよい。このような波長を発する光源としては、例えば、太陽光線、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライド灯、ガリウム灯、キセノン灯、フラッシュ型キセノン灯、カーボンアーク灯等が挙げられる。照射積算光量は、好ましくは0.1〜3J/cm、より好ましくは0.2〜2.0J/cm、更に好ましくは0.3〜1.0J/cmの範囲内である。
上記硬化性樹脂組成物はまた、光照射による硬化と共に加熱による硬化を行ってもよい。この場合は、上述した光源と共に、赤外線、遠赤外線、熱風、高周波加熱等を用いればよい。加熱温度は、基材の種類等に応じて適宜調節すればよく、特に限定されるものではないが、好ましくは80〜200℃、より好ましくは90〜180℃、更に好ましくは100〜170℃の範囲内である。加熱時間は、塗布面積等に応じて適宜調節すればよく、特に限定されるものではないが、好ましくは1分間〜24時間、より好ましくは10分間〜12時間、更に好ましくは30分間〜6時間の範囲内である。
上記硬化性樹脂組成物は更に、光照射による硬化と共に電子線照射による硬化を行ってもよい。この場合、加速電圧は、好ましくは0〜500kV、より好ましくは20〜300kV、更に好ましくは30〜200kVの範囲内である電子線を用いればよい。また、照射量は、好ましくは2〜500kGy、より好ましくは3〜300kGy、更に好ましくは4〜200kGyの範囲内である。
〔硬化物〕
本発明はまた、上記レンズ用硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物でもある。このような硬化物は、屈折率や透明性が高く光学特性に優れるのみならず、離型性、型再現性、基材密着性にも優れ、反りが著しく小さく、長期保存安定性にも著しく優れたものである。そのため、この硬化物は、プリズムレンズ、フレネルレンズ、レンチキュラレンズ、マイクロレンズ等のレンズ類(またはレンズシート類)のレンズ部を構成する層(硬化膜)として特に有用なものである。
上記硬化物はまた、25℃における屈折率が1.565以上となるものが好適である。屈折率が1.565以上であることによって、正面輝度が向上するためレンズ部として有用性が高くなる。より好ましくは1.570以上、更に好ましくは1.575以上、特に好ましくは1.580以上、最も好ましくは1.585以上である。
【0006】
上記硬化物はまた、厚さ100μmでの400nmにおける光線透過率が90%以上となるものが好適である。この光線透過率が90%以上であることによって、透明性がより充分なものとなり、レンズ部として有用性が高くなる。上記光線透過率は、分光光度計により測定することができる。
〔レンズ〕
本発明は更に、上記レンズ用硬化性樹脂組成物を硬化させてなる層(硬化して得られる層)を有するレンズ(レンズシートとも称する)でもある。このようなレンズは、具体的には、プリズムレンズ、フレネルレンズ、レンチキュラレンズ、マイクロレンズ等が挙げられる。
上記レンズは、レンズ形状の付いた金型と透明基材との間に樹脂組成物を流し込み、基材側より紫外線を照射して、該樹脂組成物を硬化させることにより製造されることが好ましい。
透明基材としては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)を主体とする基材、メチルメタクリレート・スチレン共重合体(MS)を主体とする基材、ポリエチレンテレフタレート(PET)を主体とする基材や、接着層を有するPET基材、シクロオレフィン樹脂主体とする基材等が挙げられる。中でも、接着層を有するPET基材が好ましい。基材の厚みは、特に限定されないが、例えば30〜200μmであることが好適である。より好ましくは50〜150μm、更に好ましくは80〜130μmである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のレンズ用硬化性樹脂組成物は、上述のような構成であるので、屈折率や透明性が高いため優れた光学特性が発揮でき、かつ、長期安定的に反りや変形、基材との剥がれ等が抑制された硬化物を与えることができる。このような樹脂組成物を用いれば、長期間にわたって安定した光学特性を有するレンズを与えることができるため有用である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
<各種物性の評価方法>
(1)組成物粘度
得られた樹脂組成物を、温度25℃の条件下で、B型粘度計(型式「RB80L」、東機産業社製)を用いて測定した値を採用した。
(2)25℃における屈折率
得られた樹脂組成物を、ガラス板上に膜厚が300μmとなるようにアプリケーターバーを用いて塗布し、1.0J/cmの紫外線を窒素下で照射して硬化させ、試験片を作製した。JIS K7105に従い、アッベ屈折計(形式「DR−M2」、アタゴ社製)を用いて、上記試験片の25℃における屈折率を測定した。また、(a)成分および(b)成分のそれぞれ単独の液状屈折率を、直接、上記屈折計に塗布して25℃における屈折率を測定した。
(3)透明性(耐久性)
得られた樹脂組成物を、ガラス板上に膜厚が100μmとなるようにアプリケーターバーを用いて塗布し、1.0J/cmの紫外線を窒素下で照射して硬化させ、試験片を作製した。次に、温度80℃、相対湿度80%環境下にて48時間放置し、さらに、温度25℃、相対湿度45%環境下にて48時間放置し、得られた試験片の400nmにおける光線透過率を、分光光度計(形式「UV−3100」、島津製作所社製)を用いて測定した。次に、以下の基準により評価した。
○:透過率が90%以上
×:透過率が90%未満
(4)離型性
プリズム形状を有する金型の上に、得られた樹脂組成物を50μm厚みで塗布し、その上に基材として厚さ100μmの易接着PETフィルムで気泡が入らないように覆い、更にその上から1.0J/cmの紫外線を照射して硬化させ、プリズムシートを作製した。次に、金型よりプリズムシートを手で剥離した。この際、極めて容易に剥離できたものを「◎」、容易に剥離できたものを「○」、やや剥離時に力を要したものを「△」、剥離できず、樹脂層の一部が金型に接着したものを「×」と判断し、評価した。
(5)型再現性
離型性評価で得られたプリズムシートの樹脂層部分(樹脂組成物の硬化部分)の表面形状を、金型の表面形状と観察し、以下の基準により評価した。
○:型再現性が良好である
△:一部、型再現性に不良部分がある
×:型再現性の不良部分が多く見られる
(6)基材密着性
得られた樹脂組成物を、厚さ100μmの易接着PETフィルム上に、膜厚が50μmとなるようにアプリケーターバーを用いて塗布し、1.0J/cmの紫外線を窒素下で照射して硬化させ、試験片を作製した。得られた試験片の基材密着性を、JIS K5600−5−6に準じて以下の基準により評価した。
◎:剥離数が0個
○:剥離数が1〜3個
△:剥離数が4〜15個
×:剥離数が16個以上
(7)反り
離型性評価で得られたプリズムシートを20cm角に切り出して、樹脂層(樹脂組成物の硬化物)が上面側になるように水平なガラス板上に置いた後、温度25℃、相対湿度45%環境下にて、48時間放置した。次に、水平なガラス板からのプリズムシート4角の平均高さを測定し、以下の基準により評価した。
◎:1mm未満
○:1mm以上3mm未満
△:3mm以上5mm未満
×:5mm以上
製造例1(EA−1の合成)
攪拌棒、温度計、滴下ライン、窒素/空気混合ガス導入管を取り付けた4つ口フラスコに、プラクセルFM2D(ダイセル化学社製、2−ヒドロキシエチルアクリレートのε−カプロラクトン2モル付加物)250g、無水フタル酸100g、メトキノン0.3gを加え、100℃へ昇温した。100℃10時間後、ビスフェノールA型グリシジルエーテル(三菱化学社製、品番827、エポキシ当量180〜190)130g、トリフェニルホスフィン1.0gを加え、酸価が0.9KOHmg/g以下になったところで反応を終了させ、ラジカル重合性不飽和基を平均2個有するエポキシアクリレート(「EA−1」と称する。)を合成した。得られたEA−1の数平均分子量Mnは3900であった。また、25℃における屈折率は、1.5419であった。
製造例2(EA−2の合成)
攪拌棒、温度計、滴下ライン、窒素/空気混合ガス導入管を取り付けた4つ口フラスコに、アクリル酸144g、ビスフェノールA型グリシジルエーテル(三菱化学社製、品番827、エポキシ当量180〜190)187g、メトキノン0.3g、トリフェニルホスフィン1.0gを加え、を加え、100℃へ昇温した。100℃10時間後、酸価が0.9KOHmg/g以下になったところで反応を終了させ、ラジカル重合性不飽和基を平均2個有するエポキシアクリレート(「EA−2」と称する。)を合成した。得られたEA−2の数平均分子量Mnは3600であった。また、25℃における屈折率は、1.5581であった。
製造例3(UA−1の合成)
攪拌棒、温度計、滴下ライン、窒素/空気混合ガス導入管を取り付けた4つ口フラスコに、2,4−トリレジンジイソシアネート140g、メトキノン0.15g、ジブチルスズジラウレート0.05gを加え、80℃へ昇温した。一定温度後、ビスフェノールAポリプロポキシグリコール(重合度:平均としてn=2)150gを2時間かけて滴下し、滴下終了後、5時間、80℃の温度を保った。次に、プラクセルFM2D(ダイセル化学社製、2−ヒドロキシエチルアクリレートのε−カプロラクトン2モル付加物)160gとメトキノン0.2gとの混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、15時間、80℃の温度を保ち、ラジカル重合性不飽和基を平均2個有するウレタンアクリレート(「UA−1」と称する。)を合成した。得られたUA−1の数平均分子量Mnは3100であった。また、25℃における屈折率は、1.5331であった。
製造例4(UA−2の合成)
製造例1のプラクセルFM2D(ダイセル化学社製、2−ヒドロキシエチルアクリレートのε−カプロラクトン2モル付加物)160gを、2−ヒドロキシエチルアクリレート100gに変更した以外は、製造例1と同様にして、ラジカル重合性不飽和基を平均2個有するウレタンアクリレート(「UA−2」と称する。)を合成した。得られたUA−2の数平均分子量Mnは3400であった。また、25℃における屈折率は、1.5501であった。
製造例5(UA−3の合成)
製造例2のビスフェノールAポリプロポキシグリコール(重合度:平均としてn=2)150gを、ポリテトラメチレングリコール(平均分子量650)250gに変更した以外は、製造例2と同様にして、ラジカル重合性不飽和基を平均2個有するウレタンアクリレート(「UA−3」と称する。)を合成した。得られたUA−3の数平均分子量Mnは2800であった。また、25℃における屈折率は、1.4981であった。
製造例6(PA−1の合成)
攪拌棒、温度計、滴下ライン、窒素/空気混合ガス導入管を取り付けた4つ口フラスコに、ビスフェノールAポリプロポキシグリコール(重合度:平均としてn=2)250g、ε−カプロラクトン230gを仕込み、190℃にて開環反応を行なった。次に、アクリル酸150g、メトキノン0.3g、ジブチルスズジラウレート0.3gを仕込んで150℃にて反応を行い、酸価が0.9KOHmg/g以下になったところで反応を終了させ、ラジカル重合性不飽和基を平均2個有するポリエステルアクリレート(「PA−1」と称する。)を合成した。得られたPA−1の数平均分子量Mnは3400であった。また、25℃における屈折率は、1.5335であった。
製造例7(PA−2の合成)
攪拌棒、温度計、滴下ライン、窒素/空気混合ガス導入管を取り付けた4つ口フラスコに、ビスフェノールAポリプロポキシグリコール(重合度:平均としてn=2)250g、アクリル酸150g、メトキノン0.3g、ジブチルスズジラウレート0.3gを仕込んで150℃にて反応を行い、酸価が0.9KOHmg/g以下になったところで反応を終了させ、ラジカル重合性不飽和基を平均2個有するポリエステルアクリレート(「PA−2」と称する。)を合成した。得られたPA−2の数平均分子量Mnは2800であった。また、25℃における屈折率は、1.5531であった。
実施例1
製造例1で合成したウレタンアクリレートEA−1を20部、o−フェニルフェノールポリエトキシアクリレート(商品名「ファンクリルFA−301A」、日立化成社製)80部、光重合開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名「イルガキュア184」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)2部、シリコーン系離型剤(商品名「BYK−307」ビックケミー社製 )0.1部を、混合・攪拌して、レンズ用樹脂組成物を調製した。
次に、プリズム形状を有する金型の上に、得られた樹脂組成物を50μm厚みで塗布し、その上に基材として厚さ100μmの易接着PETフィルムで気泡が入らないように覆い、更にその上から1.0J/cmの紫外線を照射して硬化させ、プリズムシートを作製した。得られたレンズ用樹脂組成物及びプリズムシートの評価を上記の方法にて行った結果を表1に示す。
実施例2〜11、比較例1〜4
実施例1と同様にして各成分を表1に示した割合で混合・撹拌して、レンズ用硬化性樹脂組成物(2)〜(11)、比較用樹脂組成物(1)〜(4)を各々得た。その後、実施例1におけるレンズ用硬化性樹脂組成物(1)に代えて、これらの樹脂組成物の各々を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてプリズムシートを得た。得られたレンズ用樹脂組成物及びプリズムシートを実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0009】
【表1】

【0010】
表1中の略称は、以下のとおりである。
OPP−A:o−フェニルフェノールポリエトキシアクリレート(商品名「ファンクリルFA−301A」、日立化成社製)
PT−A:フェニルチオエチルアクリレート(商品名「M1162」、ミオン社製)
PC−A:p−クミルフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート(東亜合成化学社製)
EA−1:製造例1で得たエポキシアクリレート
EA−2:製造例2で得たエポキシアクリレート
UA−1:製造例3で得たウレタンアクリレート
UA−2:製造例4で得たウレタンアクリレート
UA−3:製造例5で得たウレタンアクリレート
PA−1:製造例6で得たポリエステルアクリレート
PA−2:製造例7で得たポリエステルアクリレート
Bis−4EO−A:ビスフェノールAのエチレンオキシド4モル付加物のジアクリレート(商品名「SR−601」、サートマー社製)
Irg184:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名「イルガキュア184」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
BYK−307:シリコーン系離型剤(ビックケミー社製)
PO−A:フェノキシエチルアクリレート(商品名「ライトアクリレートPO−A」、共栄社化学社製)
上述した実施例及び比較例の結果から、本発明のレンズ用硬化性樹脂組成物を、(a)25℃における屈折率が1.52以上の2官能(メタ)アクリレート化合物1〜40質量%と、(b)25℃における屈折率が1.55以上の単官能(メタ)アクリレート化合物60〜99質量%と、(c)光重合開始剤0.1〜10質量%を含む硬化性樹脂組成物であって、該硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物が、(A)ガラス転移温度が0〜50℃であり、(B)損失正接tanδが0.45〜1.0であるという形態とすることにより、該レンズ用硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物およびレンズが、高屈折率、透明性、離型性、型再現性、基材密着性、反り等の、各種特性をバランスよく同時に発揮できるという点において有利な効果を発揮し、それが顕著であることが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)25℃における屈折率が1.52以上の2官能(メタ)アクリレート化合物1〜40質量%と、
(b)25℃における屈折率が1.55以上の単官能(メタ)アクリレート化合物60〜99質量%と、
(c)光重合開始剤0.1〜10質量%を含む硬化性樹脂組成物であって、
該硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物が、
(A)ガラス転移温度が0〜50℃であり、
(B)損失正接tanδが0.45〜1.0である
ことを特徴とするレンズ用硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
前記(a)成分は、分子中にラクトンの開環構造とビスフェノール構造を有する、ウレタン(メタ)アクリレート化合物、エポキシ(メタ)アクリレート化合物、ポリエステル(メタ)アクリレート化合物からなる群より選択される少なくとも1種以上の化合物を含む
ことを特徴とする請求項1記載のレンズ用硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
前記(b)成分は、o−フェニルフェノールポリメトキシ(メタ)アクリレートを含む
ことを特徴とする請求項1又は2記載のレンズ用硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1〜3記載のレンズ用硬化性樹脂組成物を硬化して得られる
ことを特徴とする硬化物。
【請求項5】
請求項1〜3のレンズ用硬化性樹脂組成物を硬化して得られる層を有する
ことを特徴とするレンズ。

【公開番号】特開2012−47921(P2012−47921A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−189085(P2010−189085)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】